JP3836750B2 - ノック式筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シャープペンシル、ボールペン等の筆記具に玩具又はアミューズメントの観点から付加価値を付与してなるノック式筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のノック式筆記具としては、筆記専用の機能を備えたもの以外に、軸筒に有名キャラクタ等を印刷したり、軸筒外部にアクセサリを取り付けたものがあった。しかしながら、軸筒側壁へのキャラクタ等のプリントは平面的でキャラクタの著名性に依存するだけで印象が薄く、使用により印刷が剥げたりする不都合があった。
【0003】
また、例えば特開10−278483号公報に記載のように軸筒外部にアクセサリを取り付けたものでは、筆記中はもとより、ポケットに入れて携帯する場合にも、そのアクセサリが邪魔となる不都合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は従来のノック式筆記具の通常の機能を損なうことなく、かえってそのリターンスプリングの機能を積極的に利用して、玩具又はアミューズメントとしての付加価値を筆記具に与えるとともに、筆記および携帯にも支障のないファンシーなノック式筆記具を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明のノック式筆記具によれば、少なくとも一部分が透明または半透明の軸筒と、この軸筒内に摺動可能に設けられたレフィールと、ノック手段によってこのレフィールの筆記体を軸筒先端の開口から出没させる出没機構とからなる筆記具において、上記レフィールにOリング状の下ストッパを設け、この下ストッパ上のレフィールに表示体を摺動可能に遊嵌せしめ、前記下ストッパに離間してさらにレフィールにOリング状の上ストッパを設け、かつこれらストッパの少なくとも一方が両ストッパの間隔を可変とするためにレフィール上を移動可能であり、上記出没機構はレフィールの後端部に受けられた回転カムと、この回転カムが係合する軸筒内周に設けられた本体カムと、これら回転カムと本体カムとの間に設けられたノックカムと、このノックカムの後部に設けられたノック部材と、レフィールを後方に付勢しているリターンスプリングとからなり、このリターンスプリングの弾発力によりレフィールを移動せしめることによってレフィールに沿って表示体を上下動せしめてなる。
【0006】
さらにこの発明のノック式筆記具によれば、前記上・下ストッパはいずれも弾性を有し、前記表示体はマスコット等のメインパーツおよび飾りパーツのいずれかもしくは両者を含み、これらのパーツの形状はレフィール上を摺動可能な全ての立体的形状を含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いてこの発明の実施の形態について詳述する。図1は、この発明によるノック式筆記具を示す縦断面図であり、図2は図1の筆記具に使用される本体カムの拡大縦断面図である。図において、軸筒1は少なくとも部分的に透明または半透明のいわゆる一本軸からなり、この軸筒1内にはボールペンレフィールの出没機構が設けられている。
【0008】
即ち、軸筒1内にはレフィール2が摺動可能に設けられており、このレフィール2には、リターンスプリング3の後端を係止するための係止突起21が形成されている。なお、軸筒1の先端部には先具4が設けられていて、この先具4とレフィール2の係止突起21との間にリターンスプリング3が巻装されている。また、レフィール2の係止突起21の後方には所定の間隔を置いてOリング状の弾性体からなる上ストッパ5と下ストッパ6とがそれぞれ嵌合されている。
【0009】
そして、これら上ストッパ5と下ストッパ6との間のレフィール2には表示体としてメインパーツである熊のマスコット7と飾りパーツである2つのリング8とが上下動自在に遊嵌されている。なお、これらの表示体を構成するマスコット7およびリング8の形状はレフィールに遊嵌される形状であれば良く、リング8であれば星形等であっても良い。
【0010】
そして、レフィール2の後端部は回転カム9に受けられており、この回転カム9のカム部は軸筒1の内周に設けられた本体カム10(図2)と係合している。なお、このカム本体10と回転カム9との間にはノックカム11が設けられており、このノックカム11の後部にはノック部材としてノックキャップ12が設けられている。
【0011】
以下、上記実施の形態による筆記具の動作について説明する。この筆記具は、後端ノック式ボールペンであって、筆記する際には軸筒1の後端のノックキャップ12をノックすると、ノックキャップ12に連動したノックカム11が前進せしめられる。
【0012】
この場合、ノックカム11に係合した回転カム9が回転し、軸筒1内に固設されかつカム溝を有する本体カム10に案内される。そして、回転カム9に連動してボールペンレフィール2が、リターンスプリング3の後方への付勢力に抗して前進せしめられる。その結果、先具4の開口から筆記体であるボールペンチップ22の先端が突出せしめられる。そして、ノックを終えると回転カム9は、本体カム10のカム山に係止された状態、即ち、ボールペンチップ22の先端が突出された筆記可能状態を維持する。
【0013】
他方、筆記を終了して、レフィール2を軸筒内に収納したい場合には、再度操作部材をノックすると回転カム9が回転して、その先端が本体カム10のカム山から外れてリターンスプリング3の付勢力によって後退し、その結果レフィール2も後退せしめられてボールペンチップ22が軸筒1内に収納される。
【0014】
なお、ノック操作の過程で、リータンスプリング3の付勢力によって回転カム9の先端が本体カム10のカム山を昇降して間欠動作をする。一方、レフィール2の前後運動を考察すると、ノック操作が行われてレフィール2がノックストロークの最先端まで前進するが、ノックを終える瞬間、レフィール2は瞬間的にリターンスプリング3の弾発力によってやや後退せしめられる。
【0015】
この時、レフィール3の上・下ストッパ5、6間に遊嵌されてマスコット7やリング8等の表示体が弾性体である下ストッパ6によって突き上げられて飛び上がり、自重もしくは上ストッパに5に衝突して下降する。なお、少なくともこれらに対応する軸筒1の外壁は透明もしくは半透明であるから、これら表示体の上下動が容易に目視出来る。従って、筆記機能に加えて玩具またはアミューズメントの観点から楽しむことが出来る。
【0016】
さらに、上・下ストッパ5、6は弾性Oリングからなっているので、表示体が移動する間隔を変えたい場合には、上・下ストッパ5、6のいずれかの位置を移動することも可能である。このストッパ5、6の間隔はリターンスプリングの弾発力を考慮して、表示体が上ストッパ5に衝突するように設定することが望ましい。
【0017】
さらに、図3は、この発明の他の実施の形態によるクリップ付きのボールペンを示し、この例では軸筒1が前軸1aと後軸1bとの二部品から構成されてなる。従って、この場合は、後軸1bのみ透明または半透明であれば、前軸1aは不透明なものであっても良い。なお、このボールペンでは図1のものに比べて軸筒1の後端にクリップ13が取り付けられており、かつ前軸1aのグリップ部分にはグリップカバー14が設けられている。
【0018】
そして、上・下ストッパ5、6およびマスコット7はいずれもレフィール2に固定されている。このような構造であっても、同様にノックの際のレフィール2の移動によりマスコット7自体もレフィール2の移動に伴って表示体が上下動するので、その動きを軸筒1の外部から目視して楽しむことができる。なお、この場合ストッパ5、6がなくマスコット7のみが表示体であっても良い。
【0019】
またさらに、図4は、この発明のさらに他の実施の形態によるノック式シャープペンシルを示す。図において、軸筒1内に筆記体である鉛芯を収納した芯タンク15が摺動可能に設けられている。この芯タンク15の先部にはチャック16が圧入・固設されている。このチャック16のチャック部161にはチャックリング17が遊嵌されている。また、芯タンク15の外側には過大筆圧を吸収するためのクッションスリーブ18が設けられている。なお、このクッションスリーブ18の後端面は軸筒1の内フランジ1cに当接して位置決めされている。また、芯タンク15の先端とクッションスリーブ18の前端の内フランジ1cとの間にはリターンスプリング3が装着されている。
【0020】
また、軸筒1先部の外側に設けられた先具4内には先端チップ192を備えたスライダ19が摺動自在に設けられている。このスライダ19は後部に前軸1aに内接する摺接部191を有している。このスライダ19は芯が落下しない程度に芯を保持している。そして、このシャープペンシルにおいても、その芯タンク15に上記ボールペンと同様に弾性Oリングからなる上・下ストッパ5、6が取り付けられており、これらストッパ5、6の間の芯タンク15にはマスコット7の表示体が上下動自在に遊嵌されている。
【0021】
なお、ノック過程において、芯タンク15はリターンスプリング3の衝撃によって間欠運動をするので芯タンク15に取り付けられたストッパ5、6の間に遊嵌された表示体7、8はストッパ5、6間を上下動する。また、図中符号20はシャープペンシルの後端に装着された消しゴムを示す。
【0022】
以下、上記実施の形態によるノック式シャープペンシルの動作について説明する。まず、このシャープペンシルの後端のノックキャップ12をノックすると、リターンスプリング3の後方への付勢力に抗して芯タンク15およびチャック16が前進せしめられる。そして、このチャック16の前進過程でチャックリング17が外れ、チャック16が開放されて芯が突出される。そして、ノックを終えると芯タンク15とチャック16とがリターンスプリング3の付勢力によって後退せしめられ、この後退過程でチャック16は閉じられて芯を保持するので、この状態で筆記が可能となる。
【0023】
なお、筆記を終了して芯を軸筒1内に収納したい時には、再度後端のノックキャップ12をノックすると、チャック15が開放されるので、芯先端を指先などで押し込むことによって、軸筒1内に容易に収納することができる。
【0024】
これら一連のノック操作の間において、リターンスプリング3の付勢力によって芯タンク15に衝撃が与えられる。すると、芯タンク15に予め取り付けられたマスコット7の表示体が弾性ストッパ5、6間を上下動することになる。この場合、軸筒1は透明または半透明であるから、その表示体の上下動を軸筒1外部から目視して楽しむことができる。なお、筆記とは無関係にノック操作を連続して行っても同様に、マスコット7の表示体の上下動を目視して楽しむことができることは勿論である。
【0025】
なお、上記実施の形態では、表示体はマスコット7等の表示機能のみを有するものを挙げたが、この表示体はレフィール上の摺動により上・下ストッパとの衝突によって衝撃音を発生する鈴等でも良く、さらに反射光を発する金色または銀色の表示体および鏡等の反射部材であっても良い。そして、表示体の形状はレフィール上を摺動可能な全ての形状を含むことは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
この発明は上記したような構成であるから、従来のノック式筆記具の通常の機能を損なうことなく、かえってその機能を利用して、玩具またはアミューズメントとしての付加価値を筆記具に与えるという顕著な効果がある。
【0027】
さらに、この発明によれば、軸筒内を利用して立体的な表示体をレフィールに設けたので表示効果が著しく、かつ筆記中は勿論のこと携帯に際しても邪魔とならないような効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態によるノック式ボールペンの縦断面図である。
【図2】図1のボールペンの本体カムの拡大縦断面図である。
【図3】この発明の他の実施の形態によるノック式ボールペンの縦断面図である。
【図4】この発明のさらに他の実施の形態によるノック式シャープペンシルの縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸筒
1a 前軸
1b 後軸
2 レフィール
3 リターンスプリング
4 先具
5 上ストッパ
6 下ストッパ
7 マスコット(表示体)
8 リング(表示体)
9 回転カム
10 本体カム
11 ノックカム
12 ノックキャップ(ノック部材)
13 クリップ
14 グリップカバー
15 芯タンク
16 チャック
17 チャックリング
18 クッションスリーブ
19 スライダ
20 消しゴム
Claims (2)
- 少なくとも一部分が透明または半透明の軸筒と、この軸筒内に摺動可能に設けられたレフィールと、ノック手段によってこのレフィールの筆記体を軸筒先端の開口から出没させる出没機構とからなる筆記具において、上記レフィールにOリング状の下ストッパを設け、この下ストッパ上のレフィールに表示体を摺動可能に遊嵌せしめ、前記下ストッパに離間してさらにレフィールにOリング状の上ストッパを設け、かつこれらストッパの少なくとも一方が両ストッパの間隔を可変とするためにレフィール上を移動可能であり、上記出没機構はレフィールの後端部に受けられた回転カムと、この回転カムが係合する軸筒内周に設けられた本体カムと、これら回転カムと本体カムとの間に設けられたノックカムと、このノックカムの後部に設けられたノック部材と、レフィールを後方に付勢しているリターンスプリングとからなり、このリターンスプリングの弾発力によりレフィールを移動せしめることによってレフィールに沿って表示体を上下動せしめてなることを特徴とするノック式筆記具。
- 前記上・下ストッパはいずれも弾性を有し、前記表示体はマスコット等のメインパーツおよび飾りパーツのいずれかもしくは両者を含み、これらのパーツの形状はレフィール上を摺動可能な全ての立体的形状を含む請求項1記載のノック式筆記具。
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