WO2004022360A1

WO2004022360A1 - キャップレス筆記具

Info

Publication number: WO2004022360A1
Application number: PCT/JP2003/011383
Authority: WO
Inventors: Yukinori Sawa
Original assignee: Mitsubishi Pencil Co., Ltd.
Priority date: 2002-09-06
Filing date: 2003-09-05
Publication date: 2004-03-18
Also published as: GB0506996D0; GB2409437B; US20060002755A1; AU2003261975A1; WO2004022360B1; GB2409437A; US7101102B2

Abstract

軸筒（２）内に筆記体（５）を配置して、軸筒（２）の先端開口より筆記体（５）のペン先部（６）が出入自在に構成されるキャップレス筆記具（１）に於いて、軸筒（２）の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるインナーキャップ（２０）を備え、インナーキャップ（２０）は、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部（６）が出入自在のスリット（２５）が形成されるとともに先端開口を閉塞する閉塞部（２１）を有し、閉塞部（２１）の外周部に先端開口方向に向かって膨出した前方突出部（２７）が形成され、スリット（２５）を閉じた状態で、さらにそのスリット面と略直角となる方向で前方突出部（２７）の外周より内側に向う力が掛かるように軸筒内に装着されることを特徴とするものとする。

Description

技術分野

本発明は、キャップレスの筆記具に関し、特に、乾燥防止機構を有するキヤップレス筆記具に関する。明

*f景技術書

従来、水性や油性のマ一キングペン、水性ポールペンや万年筆などの筆記具に於いては、筆記部の先端のィンクが乾燥して筆記できなくなることを防止するために、先端部を密閉するためのキャップを備えるものが一般に用いられている。また、上記のようにキャップを備えた筆記具の場合には、頻繁に使用する際に、使用するたびにキャップを着脱する必要があり面倒であることから、別体のキャップを不要とした、いわゆるキャップレスの筆記具が数多く提案されている。しかしながら、キャップレスの筆記具の場合、別体のキャップの代わりに狭い筆記体内部に先端部を密閉するための密閉機構を構成する必要があり、従来の方式によると密閉機構が複雑となり、構成部品の部品点数が多くなることで、組立て作業が複雑となり、さらに、生産コストが高くなるという問題点があった。そこで、筆記部先端を密閉する方法として、実開昭 4 9 - 3 2 7 3 1号公報（以下、従来例 1と称する。）に開示されているように、筆記具の軸筒内部の先端部に中央から外側に向かい切り込みを入れた弁板を組み込み、その切り込み部分より筆記部先端を突出するようにした方式や、実開昭 4 9一 1 0 7 4 2 1号公報 (以下、従来例 2と称する。 ) に開示されているように、筆記具の軸筒内部の基端部及び先端部にパッキンを設けて軸筒内部を密閉するとともに、先端部の対向当接させたパッキンの当接部より筆記部先端を突出するようにした方式や、実開昭 6 3— 2 3 0 8 4号公報（以下、従来例 3と称する。）に開示されているように、キャップ本体の前方に開口部を有する弾性自閉体を設けて、軸筒先端部のぺン先部を突出するようにしたものが提案されている。

また、その他の方法として、特開平 1一 2 8 1 9 9 9号公報（以下、従来例 4 と称する。）に開示されているように、筆記具の軸筒内部の先端部に形成され、筆記部のペン先部が収容されるシール室の先端側を開閉自在とするシール手段を備え、該ペン先部が先端部より突出する時に、シール室の先端部を開放するようにした方式や、実開昭 5 8— 8 9 3 9 4号公報（以下、従来例 5と称する。）に開示されているように、筆記具の軸筒内の先端部に配置される先軸先端部にペン先部を密閉する密閉部材が密嵌固定されて、先軸の動作に伴い密嵌部材の先端部が開閉するようにした方法が提案されている。

しかしながら、前記従来例 1、 2、 3のような方式によると、ペン先が突出するシール部にはすでに開口部が形成ざれているため密閉性に問題があった。また、従来例 4のような方式によると、シール室やシール開閉機構など構造が複雑になるという問題点があり、同様に、従来例 5のような方式においても、別部品でシール室を構成して開口機構を設けるなど構造が複雑になるという問題点があっこ。

本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で軸筒内部の先端部の密閉状態を確実にしたキャップレス筆記具を提供することを目的とするものである。発明の開示

本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。

本発明の第 1の要旨は、軸筒内に筆記体を配置して軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキャップレス筆記具に於いて、軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるインナーキャップを備え、該インナ —キャップは、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリッ卜が形成されるとともに先端開口を閉塞する閉塞部を有し、該閉塞部の外周部に先端開口方向に向かって膨出した前方突出部が形成され、スリツトを閉じた状態で、さらにそのスリット面と略直角となる方向で前方突出部の外周より内周に向う力が掛かるように軸筒内に装着されることを特徴とするものである。本発明の第 2の要旨は、本発明の第 1の要旨に記載のキヤップレス筆記具に於いて、ィンナーキヤップの前方突出部の外周または前方突出部の外周に対接する軸筒装着内面に凸部が設けられて、その凸部の作用により前端部の外周が内側に押されてスリット面と略直角方向で内側に向う力が掛かるように構成されることを特徴とするものである。

本発明の第 3の要旨は、本発明の第 1の要旨に記載のキャップレス筆記具に於いて、もっとも単純なスリット形状としてスリットが一文字に形成されてなることを特徴とするものである。

本発明の第 4の要旨は、本発明の第 1の要旨に記載のキヤップレス筆記具に於いて、インナーキャップの閉塞部は、先端開口に向かいアーチ状（ドーム状）に突出した形状を有することを特徴とするものである。

本発明の第 5の要旨は、軸筒内に筆記体を配置して、軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキヤップレス筆記具に於いて、前記軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるインナーキャップを備え、該インナーキャップは、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリツトが形成されるとともに先端開口を閉塞する閉塞部を有し、該閉塞部の外周部から後方に筒部が形成され、その筒部の後方に筒部内孔を拡開する状態で該筒部が嵌着されるホルダを備えて、常時閉塞部には常時スリツトを閉じる側に向かう応力が掛かるようになされて軸筒内に装着されることを特徴とするものである。

本発明の第 6の要旨は、本発明の第 5の要旨に記載のキヤップレス筆記具に於いて、インナ一キャップの筒部内孔を径方向に 5 %〜 3 0 %の範囲に、好ましくは略 2 0 %に拡開してなることを特徴とするものである。

本発明の第 7の要旨は、本発明の第 5の要旨に記載のキヤップレス筆記具に於いて、スリットの方向と略一致する方向でィンナーキヤップの筒部内孔が拡張されるように、インナ一キャップの筒部内孔とホルダの簡部外周との間の所用箇所に凸部が形成されたことを特徴とするものである。

本発明の第 8の要旨は、本発明の第 5の要旨に記載のキヤップレス筆記具に於いて、インナーキャップの閉塞部は、先端開口に向かいアーチ状に突出した形状を有することを特徴とするものである。

本発明によれば、以下のような作用が得られる。

すなわち、軸筒内に筆記体を配置して、該軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキャップレス筆記具に於いて、前記軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるインナーキャップを備え、前記インナ一キャップは、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリットが形成されるとともに前記先端開口を閉塞する閉塞部を備え、前記スリツトを閉じるように該閉塞部に力が掛かつた状態で軸筒内に装着されることで、スリットを常に閉じる方向に力が掛かり、該ペン先突出部の密着性を高めることができるので、軸筒内のぺン先部近傍の密閉状態を確実にすることができる。

また、インナーキャップの閉塞部は、先端開口に向かいアーチ状（ドーム状）に突出形成した形状とすることで該閉塞部の剛性を高くできるので、スリットを閉じる方向に力が作用した場合に確実にスリットを密着させることができる。また、スリットの周囲に適宜凸状の縁が設けられることによって、スリット面の直角方向の剛性があがり、スリットの密着性が安定する。

さらに、本発明によれば、軸筒内に筆記体を配置して、該軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキャップレス筆記具に於いて、前記軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるィンナ一キヤップを備え、前記インナーキャップは、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリツトが形成されるとともに前記先端開口を閉塞する閉塞部を備え、前記インナーキャップ後端の筒部に拡開力が懸かった状態で軸筒内に装着されることで、閉塞部にスリットが常に閉じる方向に力が掛かり、該ペン先突出部の密着性を高めることができるので、軸筒内のペン先部近傍の密閉状態を確実にすることができる。

また、インナーキャップの筒部内孔が閉塞部に設けられたスリツトの形成方向と略一致する方向に拡張されることによって、スリット面を接触させる方向の応力が作用し、スリットの密着性を確実にすることができる。

以上説明したように、本発明によれば、従来のスリット状にあるシール部の密閉不完全な問題や、シール開閉機構などの構造が複雑で安価に提供できないという問題が解決可能となる。

また、本発明によれば、以下に示す効果を奏し得る。

すなわち、本発明によれば、インナーキャップをゴム材または弾性樹脂材で形成し、前面にペン先部が出入自在のスリツトを形成するとともに先端開口を閉塞する閉塞部を備え、該閉塞部の外周部に先端開口方向に向かって膨出した前方突出部を形成し、スリットを閉じた状態で、さらにそのスリット面と略直角となる方向で前方突出部の外周より内側に向う力が掛かるように軸筒内に装着することによって、その外周部の変形に伴う応力が閉塞部に沿ってスリット面を締め付ける圧力として作用し、簡単な構成で軸筒内部の先端部を密閉できるので、ペン先部の密閉状態を確実にすることができ、長期保存性に優れたキヤップレス筆記具が安価に提供可能となる。

また、本発明によれば、インナ一キャップをゴム材または弾性樹脂材で形成し、該インナーキャップの軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリットを形成するとともに先端開口を閉塞する閉塞部を有し、該閉塞部の外周部から後方に筒部を形成し、その筒部の後方に筒部内孔を拡開する状態で該筒部が嵌着されるホルダを備えて、常時閉塞部には常時スリットを閉じる側に向かう応力が掛かるようにすることで、簡単な構成で軸筒内部の先端部を密閉きるので、ペン先部の密閉状態を確実にすることができ、長期保存性に優れたキ、筆記具が安価に提供可能となる。

図面の簡単な説明 . 図 1は、本発明の第 1の実施形態に係るキヤップレス筆記具の全体の構成を示す断面図であり、

図 2は、前記キヤップレス筆記具のィンナ一キヤップの軸筒への装着状態を示す径方向の断面図であり、

図 3は、前記ィンナーキヤップの軸筒への装着状態を示す軸方向の断面図であ図 4は、本発明の第 2の実施形態に係るキヤップレス筆記具の全体の構成を示す断面図であり、

図 5は、前記キャップレス筆記具のインナ一キャップにホルダを嵌着した状態を示す径方向の断面図であり、

図 6は、前記ィンナーキヤップの構成を示す正面図であり、

図 7は、前記ィンナーキヤップをホルダに嵌着する前の状態を示す説明図である。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて鋭明する。 '

(第 1の実施形態）

図 1乃至図 3は発明の実施の形態を示す一例であって、図 1は本発明の第 1の実施形態に係るキャップレス筆記具の全体の構成を示す断面図、図 2は前記キヤップレス筆記具のィンナ一キヤップの軸筒への装着状態を示す径方向の断面図、図 3は前記ィンナーキヤップの軸筒への装着状態を示す軸方向の断面図である。先ず、キャップレス筆記具 1は、図 1に示すように軸筒 2内に筆記体 5を配置して、該軸筒 2の先端部 3に形成された開口部 4より筆記体 5のペン先部 6を突出自在に構成したものである。

前記筆記体 5は、軸筒 2内の前側の内周に沿って配置されたコイルスプリング

7によって後部方向に付勢されると共に後方に保持されている。また、筆記体 5 には、ペン先部 6を突出させるためのノック部 1 1が軸筒後端部 1 2より突出して設けられており、ノック部 1 1を前進することで係止機構部 1 0によってペン先部 6を開口部 4から出没状態に係止する。すなわち、係止機構部 1 0は、軸筒 2の後部に設けられてペン先部 6を開口部 4から出没状態に係止する。

なお、係止機構 1 0は、図示した形態に限らず様々のものが知られており、その構成は本発明の要旨ではないので説明は省略する。また、ノック部 1 1は筆記体 5の後端に別体で配設される場合もある。

前記軸筒 2内の先端部 3には、図 1及び図 3に示ざれるように、先端方向にはアーチ状に突出形成された閉塞部 2 1を有するインナ一キャップ 2 0が設けられている。また、閉塞部 2 1には、基部 2 2と閉塞部 2 1の略中央部 2 3を通る直径上のスリット 2 5がー文字状に形成されている。また、スリット 2 5には凸状の縁 2 6が設けられている。

前記ィンナーキヤップ 2 0はシリコーンゴム等のゴム材ゃ弹性樹脂材で形成され、アーチ状（トーム状）の閉塞部 2 1の基部 2 2の外周端部に、先端開口方向に向かって膨出した前方突出部 2 7が形成され、その前方突出部 2 7が軸筒 2の先端部 3内孔に設けられた凹部 2 4 (前方突出部の装着内面）に装着され、前方突出部 2 7'の前端が凹部 2 4の前端 2 8に当接されると共に、スリツト面と直角となる方向で前方突出部 2 7の外周に内側に向う適宜力が掛かるように設けられている。

また、インナ一キャップ 2 0のその他の材質として、 E P D M、ブチルゴム、フッ素ゴムなど、ィンク溶剤に対して非透過性に優れたゴム材を使用するものであっても良い。これにより、インナ一キャップ 2 0先端側からのインク溶剤の揮発をさらに防止することができる。

なお、本実施形態では、スリット面と直角の方向に基部 2 2から張り出した片状の前方突出部 2 7が軸筒 2の先端部 3内孔に設けられた凹部 2 4に装着され、その外周部の前端あるいは後方の所定箇所に変形に伴う応力（図 3の矢印 P ) が懸かり、その応力が閉塞部 2 1に沿ってスリツト面を締め付ける圧力として作用するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前方突出部が全周状に設けられ、その外周部でスリット面と直角の方向に凸部を形成したり、前方突出部の外周を押圧する凸部を軸筒の先端部内孔面に設けることで同様に作用するように構成することが可能である。

また、本実施形態では、もっとも単純なスリット形状としてスリット 2 5がー文字に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、閉塞部の中央部より三方に放射状に切り込まれた形状のスリットであっても、それぞれのスリット面を略締め付けるように作用する上述したような前方突出部ゃ凸部を設定することが可能である。

また、前記基部 2 2の後端には後方突出部 2 9が形成され、その後端に前端を当接させた状態でリング状の止め具 3 0が固定されている。このとき、インナーキャップ 2 0は、凹部 2 4の前端 2 8と止め具 3 0の前端との間に狭窄されて固定状態となる。

なお、後方突出部 2 9を全周状に設けてその外周部の全周を軸筒 2の内孔周面に密接させ、インナ一キャップ 2 0の後側のシール部となしたり、全周状に設けた後方突出部 2 9の後端に密接して止め具 3 0を軸筒内孔に密嵌してシール部とすることができる。

また、本実施形態では、インナ一キャップ 2 0の閉塞部 2 1の形状をアーチ状

(ドーム状）としているが、本発明は、閉塞部の形状に限定されるものではなく、例えば、平面状としたものや凹状に凹んだ形状としたもの、あるいは円錐状、多角錐状としたものであっても良い。

次に、本実施形態に係るキヤップレス筆記具 1の作動を説明する。

まず、キャップレス筆記具 1を使用しない場合は、図 1に示すように、軸筒 2 の内部に筆記体 5とともにペン先部 6も収容されている。

前記キャップレス筆記具 1を使用する場合、軸筒 2を握り、筆記体 5の後端部に形成されたノック部 1 1をコイルスプリング 7のばね力に杭して先端方向へ押し込むことにより筆記体 5が前進する。

また、係止機構部 1 0の前端に設けられた係止部 1 0 aが軸筒 2に穿設された窓部を貫通して設けられ、筆記体 5後方でノック部 1 1の前端外周部に設けられた係止段部 3 1に係合して筆記体 5が前進した状態に係止される。

そのとき、ペン先部 6は、インナ一キャップ 2 0の閉塞部 2 1のスリット 2 5 を押し開き、軸筒 2の先端部 3の開口部 4より突出した状態となる。

また、その状態で、係止機構部 1 0の係止状態を解除すると、コイルスプリング 7のばね力により筆記体 5は再び軸筒 2内に収容される。

またその際、インナーキャップ 2 0に於いて、スリット 2 5からペン先部 6が軸筒 2内に後退すると、前記スリット 2 5は、シリコーンゴムの弾性力と閉塞部 2 1の外側から内側に作用する力によって隙間が密着した状態となる。

したがって、キャップレス筆記具 1を使用しない状態では、スリット 2 5からのインクの揮発を最小限に止めることができる。

(第 2の実施形態）

次に、本発明の第 2の実施形態を図面に基づいて説明する。

図 4乃至図 7は発明の第 2の実施形態を示すものであつて、図 4は本発明の第 2の実施形態に係るキヤップレス筆記具の全体の構成を示す断面図、図 5は前記キヤップレス筆記具のィンナ一キヤップにホルダを嵌着した状態を示す径方向の断面図、図 6は前記インナーキャップの構成を示す正面図、図 7は前記インナーキャップをホルダに嵌着する前の状態を示す説明図である。

先ず、キャップレス筆記具 1 0 1は、図 4に示すように軸筒 1 0 2内に筆記体 1 0 5を配置して、該軸筒 1 0 2の先端部 1 0 3に形成された開口部 1 0 4より筆記体 1 0 5のペン先部 1 0 6を突出自在となるように構成したものである。前記筆記体 1 0 5は、軸筒 1 0 2内の前側の内周に沿って配置されたコイルスプリング 1 0 7によって後部方向に付勢されると共に後方に保持されている。また、筆記体 1 0 5には、ペン先部 1 0 6を突出させるためのノック部 1 1 1が軸筒後端部 1 1 2より突出して設けられており、ノック部 1 1 1を前進することで係止機構部 1 1 0によってペン先部 1 0 6を開口部 1 0 4から出没状態に係止する。すなわち、係止機構部 1 1 0は、軸筒 1 0 2の後部に設けられてペン先部 1 0 6を開口部 1 0 4から出没状態に係止する。

なお、係止機構部 1 1 0は、図示した形態に限らず様々のものが知られており、その構成は本発明の要旨ではないので説明は省略する。また、ノック部 1 1 1 は筆記体 1 0 5の後端に別体で配役される場合もある。

図 4に示されるように、軸筒 1 0 2内の先端部 1 0 3には、先端方向にアーチ状に突出形成された閉塞部 1 2 1を有するインナーキャップ 1 2 0が固定されている。

インナーキャップ 1 2 0は、その後端内孔にホルダ 1 2 5が嵌着され、閉塞部 1 2 1の外周部に設けられた鍔部 1 2 2が先端部 1 0 3内孔面に設けられた前段部 1 2 8に略当接し、ホルダ 1 2 5の鍔部 1 2 7の前端が前段部 1 2 8後方に設けられた後段部 1 2 9に当接すると共にホルダ 1 2 5によって先端部 1 0 3内孔に位置決め固定される。

また、図 5乃至図 7に示されるように/前書己インナーキャップ 1 2 0は、ゴム材ゃ弾性樹脂材で形成され、閉塞部 1 2 1には、前記鍔部 1 2 2と閉塞部 1 2 1の略中心を通る直径上のスリット 1 2 4が十文字状に形成されている。また、アーチ状（ドーム状）の閉塞部 1 2 1の外周部に適宜に膨出した鍔部 1 2 2が形成され、さらに鍔部 1 2 2の後方に筒部 1 2 3が形成されている。

また、その筒部内孔 1 2 3 aを拡開（矢印 P方向）する為に、ホルダ 1 2 5の前端に設けられた筒部 1 2 6が前記筒部内孔 1 2 3 aより適宜増径されて設けられ、その筒部 1 2 6が筒部内孔 1 2 3 aに嵌着されて、閉塞部 1 2 1に常時スリット 1 2 4を閉じる側に向かう応力が掛かるようになされている。

また、インナ一キャップ 1 2 0の筒部内孔 1 2 3 aを径方向に拡開する量は、無論インナ一キャップ 1 2 0の材質や硬度、筒部 1 2 3の大きさと肉厚、閉塞部 1 2 1の形状と肉厚、スリット 1 2 4の形状や数なとの設計都合によって変化するが、 5 %〜3 0 %の範囲に、好ましくは略 2 0 %に拡開することによって、閉塞部 1 2 1にはスリット部 1 2 4を閉じる側、即ち、効果的に閉塞面を後方に戻す応力が掛かる。

なお、スリットの数は限定されないが、効果的に閉塞面を後方に戻すには、閉塞部の中心を通る一文字状、十文字状、中心から放射状に 3本〜 6本程度に設けられる。

また、スリット 1 2 4の方向と略一致する方向でインナ一キャップ 1 2 0の筒部内孔 1 2 3 aが拡張されるように設けられる。インナ一キャップ 1 2 0の筒部内孔 1 2 3 aが閉塞部 1 2 1に設けられたスリット 1 2 4の方向と略一致する方向に拡張されることによって、スリット面を接触させる方向の応力が作用する。なお、インナ一キャップの筒部内孔を拡張するために、スリットの方向と略一致する方向でインナーキャップの筒部内孔とホルダの筒部外周との間の所用箇所にインナーキャップの筒部内孔を拡張するように凸部を形成するものであっても良い。前記凸部は、ホルダの筒部を多角形となせば、その対角が凸部としての作用点となる。

また、もっとも単純なスリット形状としてスリッ卜が一文字に形成されている場合、インナ一キャップの筒部内孔に、筒部が楕円あるいは長円となったホルダの該筒部の長径方向をスリツト方向と一致させて嵌着することで、スリツト面を接触させる方向の応力を効果的に得ることが可能となる。

また、本実施形態では、効果的に閉塞面を後方に戻す閉塞部の形状として、-インナーキャップ 1 2 0の閉塞部 1 2 1の形状をアーチ状（ドーム状）としているが、本発明は、閉塞部の形状に限定されるものではなく、例えば、平面状としたものや凹状に凹んだ形状としたもの、あるいは円錐状、多角錐状としたものであつても良い。

ところで、インナ一キャップ 1 2 0の材質としては、ゴム材または弾性樹脂材からなる材質であれば、特に限定されず、

例えば、エチレンプロピレンゴム（E P DM) 、ブチルゴム（I I R) 、シリコーンゴム (Q) 、クロロプレンゴム (C R) 、アクリロニトリルブタジエンゴム（N B R) 、ウレタンゴム（U) 、フッ素ゴム（F KM) 、クロロスルホン化ゴポリエチレンゴム（C S M) 、ェビクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ォレフイン系熱可塑性エラストマ一、その他上記各ゴム同士のブレンド品、上記各ゴムと樹脂材とのブレンド品などが挙げられる。

また、ィンク溶剤に対して非透過性に優れたゴム材等を使用することが望ましく、必要によって非透過性に優れた皮膜を設けることによって、インナ一キヤップ 1 2 0先端側からのインク溶剤の揮発をさらに防止することが可能となる。次に、本実施形態に係るキャップレス筆記具 1 0 1の作動を説明する。

まず、キャップレス筆記具 1 0 1を使用しない場合は、図 4に示すように、軸筒 1 0 2の内部に筆記体 1 0 5とともにペン先部 1 0 6も収容されている。前記キャップレス筆記具 1 0 1を使用する場合、軸筒 1 0 2を握り、筆記体 1 0 5の後端部に形成されたノック部 1 1 1をコイルスプリング 1 0 7のばね力に抗して先端方向へ押し込むことにより筆記体 1 0 5が前進する。

また、係止機構部 1 1 0の前端に設けられた係止部 1 1 0 aが軸筒 1 0 2に穿設された窓部を貫通して設けられ、筆記体後方でノック部 1 1 1の前端外周部に設けられた係止段部 1 1 1 aに係合して筆記体 1 0 5が前進した状態に係止される。

そのとき、ペン先部 1 0 6は、インナーキャップ 1 2 0の閉塞部 1 2 1のスリット 1 2 4を押し開き、軸筒 1 0 2の先端部 1 0 3の開口部 1 0 4より突出した状態となる。

また、その状態で、係止機構部 1 1 0の係止状態を解除すると、コイルスプリング 1 0 7のばね力により筆記体 1 0 5は再び軸筒 1 0 2内に収容される。またその際、インナ一キャップ 1 2 0に於いて、スリット 1 2 4からペン先部 1 0 6が軸筒 1 0 2内に後退すると、前記スリット 1 2 4は、シリコーンゴムの弾性力と閉塞部 1 2 1の外側から内側に作用する力によって隙間が密着した状態となる。 - したがって、キャップレス筆記具 1 0 1を使用しない状態では、スリット 1 2 4からのインクの揮発を最小限に止めることができる。産業上の利用可能性

本発明に係るキャップレス筆記具は、水性や油性のマーキングペン、水性ポールペンや万年筆などの筆記部先端のィンクが乾燥して筆記できなくなることを防止するために先端部を密閉するものであって、特に、別体のキャップを不要として使用するたびにキヤップを着脱する必要がない、いわゆるキャップレス筆記具に適している。

Claims

請求の範囲

1 . 軸筒内に筆記体を配置して、軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキャップレス筆記具に於いて、前記軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるィンナーキヤップを備え、該ィンナーキヤップは、軸筒軸心方向に治ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリツトが形成されるとともに先端開口を閉塞する閉塞部を有し、該閉塞部の外周部に先端開口方向に向かって膨出した前方突出部が形成され、前記スリットを閉じた状態で、さらにそのスリット面と略直角となる方向で前記前方突出部の外周より内側に向う力が掛かるように軸筒内に装着されることを特徴とするキャップレス筆記具。

2 . ィンナ一キヤップの前方突出部の外周または前方突出部の外周に対接する軸筒装着内面に凸部が設けられて、その凸部の作用によりスリツト面と略直角方向で内側に向う力が掛かるように構成されてなる請求の範囲第 1項に記載のキヤップレス筆記具。

3 . スリツトが一文字に形成されてなる請求の範囲第 1項に記載のキヤップレス

4. インナーキャップの閉塞部は、先端開口に向かいアーチ状に突出した形状を有することを特徴とする請求の範囲第 1項に記載のキヤップレス筆記具。

5 . 軸筒内に筆記体を配置して、軸筒の先端開口より筆記体のペン先部が出入自在に構成されるキャップレス筆記具に於いて、前記軸筒の先端開口に、ゴム材または弾性樹脂材で形成されるィンナーキヤップを備え、該ィンナーキヤップは、軸筒軸心方向に沿ったペン先部出側に、ペン先部が出入自在のスリツ卜が形成されるとともに先端開口を閉塞する閉塞部を有し、該閉塞部の外周部から後方に筒部が形成され、その筒部の後方に筒部内孔を拡開する状態で該筒部が嵌着されるホルダを備えて、常時閉塞部には常時スリットを閉じる側に向かう応力が掛かるようになされて軸筒内に装着されることを特徴とするキャップレス筆記具。

6 . インナーキャップの筒部内孔を径方向に 5 %〜 3 0 %の範囲に、好ましくは略 2 0 %に拡開してなる請求の範囲第 5項に記載（

7 . スリツトの方向と略一致する方向でィンナーキヤップの筒部内孔が拡張されるように、ィンナ一キヤップの筒部内孔とホルダの筒部外周との間の所用箇所に凸部が形成されたことを特徴とする請求の範囲第 5項に記載のキヤップレス筆記

8 . インナーキャップの閉塞部は、先端開口に向かいアーチ状に突出した形状を有することを特徴とする請求の範囲第 5項に記載（