JP2003191682A

JP2003191682A - キャップレス筆記具

Info

Publication number: JP2003191682A
Application number: JP2001397299A
Authority: JP
Inventors: Yukinori Sawa; 澤　　幸儀; Akira Fukai; 明深井
Original assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority date: 2001-12-27
Filing date: 2001-12-27
Publication date: 2003-07-09

Abstract

(57)【要約】【課題】簡単な構成で部品点数の削減を図るとともに
組立て性の容易化を図り、よって低コストを実現し、し
かも筆記具本体内部の先端部の密閉作用に優れたキャッ
プレス筆記具を提供する。【解決手段】先端部３に開口部４を有する中空状の軸
筒２と、前記開口部４よりペン先部６が出没可能に前記
軸筒２内に配設される筆記軸５と、前記軸筒２内に配置
されて前記開口部４を塞ぐインナーキャップ１０とを備
えた筆記具１において、前記インナーキャップ１０は、
磁性を有するＮＢＲで構成され、且つ前記インナーキャ
ップ１０よりペン先部６が出没可能なスリット１３を設
けるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、キャップレスの筆
記具に関し、特に、乾燥防止機構を有するキャップレス
筆記具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、水性や油性のマーキングペン、水
性ボールペンや万年筆などの筆記具においては、筆記部
の先端のインクが乾燥して筆記できなくなることを防止
するために、先端部を密閉するためのキャップを備える
ものが一般に用いられている。また、上記のようにキャ
ップを備えた筆記具の場合には、頻繁に使用する際に、
使用するたびにキャップを着脱する必要があり面倒であ
り、これを片手で操作ができないことや、キャップを紛
失することがあることから、別体のキャップを不要とし
た、いわゆるキャップレスの筆記具が数多く提案されて
いる。

【０００３】しかしながら、従来のキャップレスの筆記
具の場合、別体のキャップの代わりに狭い筆記具本体内
部に先端開口部を密閉するための密閉機構を構成する必
要があり、従来の方式によると密閉機構が複雑となり、
構成部品の部品点数が多くなることで、組立て作業が複
雑となり、さらに、生産コストが高くなるという問題点
があった。

【０００４】そこで、筆記部本体の先端開口部を密閉す
る方法として、実開昭４９−３２７３１号公報（以下、
従来例１と称する。）に開示されているように、筆記具
本体内部の先端開口部に中央から外側に向かい切り込み
を入れた弁板を組み込み、その切り込み部分より筆記軸
先端のペン先を突出するようにした方式や、実開昭４９
−１０７４２１号公報（以下、従来例２と称する。）に
開示されているように、筆記具本体内部の基端部及び先
端部にパッキンを設けて筆記部本体内部を密閉するとと
もに、先端部の対向当接させたパッキンの当接部より筆
記軸先端のペン先を突出するようにした方式や、実開昭
６３−２３０８４号公報（以下、従来例３と称する。）
に開示されているように、キャップ本体の前方に開口部
を有する弾性自閉体を設けて、筆記軸先端のペン先を突
出するようにしたものが提案されている。

【０００５】また、その他の方法として、特開平１−２
８１９９９号公報（以下、従来例４と称する。）に開示
されているように、筆記具本体内部の先端部に形成さ
れ、筆記軸先端のペン先が収容されるシール室の先端側
を開閉自在とするシール手段を備え、該ペン先が先端部
より突出する時に、シール室の先端側を開放するように
した方式や、実開昭５８−８９３９４号公報（以下、従
来例５と称する。）に開示されているように、筆記具の
軸筒内の先端部配置される先軸先端部にペン先部を密閉
する密閉部材が密嵌固定されて、先軸の動作に伴い密嵌
部材の先端部が開閉するようにした方法が提案されてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例１、２、３のような方式によると、ペン先が突出す
るシール部にはすでに開口部が形成されているため密閉
性に問題があった。また、従来例４のような方式による
と、シール室やシール開閉機構など構造が複雑になると
いう問題点があり、同様に、従来例５のような方式にお
いても、別部品でシール室を構成して開口機構を設ける
など構造が複雑になるという問題点があった。

【０００７】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、簡単な構成で部品点数の削減を図ると
ともに組立て性の容易化を図り、よって低コストを実現
し、しかも筆記具本体内部の先端部の密閉作用に優れた
キャップレス筆記具を提供することを目的とするもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、キャップレス
筆記具に係り、先端開口部を有する中空状の筆記具本体
と、前記先端開口部よりペン先が出没可能に前記筆記具
本体内に配設される筆記軸と、前記筆記具本体内に配置
されて前記先端開口部を塞ぐ閉塞体とを備えた筆記具に
おいて、前記閉塞体は、磁性を有する弾性体で構成さ
れ、且つ前記閉塞体よりペン先が出没可能なスリットを
設けたことを特徴とするものである。

【０００９】また、前記弾性体は、０．５μ〜５．０μ
の平均粒径を持つ磁性材料粉末を混練し、磁性を持たせ
ることが好ましい。また、前記弾性体は、ゴム材または
弾性樹脂材を主材料として形成することが好ましい。

【００１０】本発明によれば、以下のような作用が得ら
れる。すなわち、先端開口部を有する中空状の筆記具本
体と、前記先端開口部よりペン先が出没可能に前記筆記
具本体内に配設される筆記軸と、前記筆記具本体内に配
置されて前記先端開口部を塞ぐ閉塞体とを備えた筆記具
において、前記閉塞体を弾性体で構成し、且つ前記閉塞
体よりペン先が出没可能なスリットを設けたことで、ペ
ン先が前進する際に、スリットを押し開いてペン先を突
出させて筆記可能となり、ペン先を収納する際には、閉
塞体の弾性でスリットを閉じることができる。さらに、
閉塞体を着磁して磁性を持たせることで、弾性力により
形状復元したスリットの対向面が近づくと、磁性により
さらに対向面がお互いに引き合いスリットの隙間が無く
なるように密着して、密閉性を高めることができる。

【００１１】また、前記弾性体は、０．５μ〜５．０μ
の平均粒径を持つ磁性材料粉末を混練して磁性を持たせ
たことで、その磁性によりスリットの隙間が無くなるよ
うに密着して、密閉性を高めることができる。また、前
記弾性体を、ゴム材または弾性樹脂材を主材料として形
成することで、弾性変形を容易にするとともに、弾性力
による復元力によりにスリットの密着性を高めることが
できる。

【００１２】このように、本発明によれは、先端開口部
の閉塞体を、磁性を有する弾性体で構成することで、ス
リットの開閉動作の繰り返しにより弾性体にクリープ現
象が生じても、磁性によりスリットを密着させることが
できるのでシール性能が劣化することがないという優れ
た効果を奏する。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して詳細に説明する。図１〜６は発明を実施す
る形態の一例であって、図１は本発明の実施形態に係る
キャップレス筆記具のペン先側の構成を示す断面図、図
２は前記キャップレス筆記具の使用時の状態を示す断面
図、図３は前記キャップレス筆記具の先端の開口部を閉
じるインナーキャップの構成を示す平面図、図４は前記
インナーキャップの側面断面図、図５は前記インナーキ
ャップのスリットの構成を示す詳細図、図６は前記スリ
ットの閉塞動作の作用を示す詳細説明図である。図中の
同一の符号を付した部分は同一の物を表す。

【００１４】本実施形態に係るキャップレス筆記具１
は、図１、図２に示すように、筆記具本体である軸筒２
内に筆記軸５を配置して、該軸筒２の先端部３に形成さ
れた開口部４より筆記軸５のペン先部６を突出自在に構
成したものである。前記筆記軸５は、軸筒２内の前側の
内周に沿って配置されたコイルスプリング７によって後
部方向に付勢されるとともに、軸筒２内後部に設けられ
るストッパ（図示省略）により後方で保持されている。
また、筆記軸５は、軸筒２後端部に設けられる押し部
（図示省略）によりペン先部６を前記開口部４より突出
自在に動作するようにされている。

【００１５】前記軸筒２内の先端部３には、図１〜図４
に示すように、先端方向にドーム状に突出形成された閉
塞部１１を有する閉塞体としてのインナーキャップ１０
が設けられている。前記インナーキャップ１０の後方に
は、該インナーキャップ１０を軸筒２の先端部３内側に
取付けるためのインナーキャップホルダ２０が配置され
ている。

【００１６】前記インナーキャップ１０は、材質にアク
リルニトリル−ブタジエンゴム（以下、「ＮＢＲ」と称
する。）を使用して形成され、磁性材料粉末であって平
均粒径が０．５μ〜５．０μのフェライトパウダをＮＢ
Ｒに混練後、成形した後に着磁処理を行ったものであ
る。前記インナーキャップ１０のほぼ中央部に形成され
るドーム状の閉塞部１１には、図３〜図５に示すよう
に、その基部１２の一部位より該ドーム状凸部のほぼ中
央部を通り軸心方向を中心に対向する部位に亘り筋状に
貫通したスリット１３が、平面視で十字状に形成されて
いる。

【００１７】また、前記インナーキャップ１０は、前記
基部１２の後端側に、矩形状断面を有する後側取付部１
４が円周方向全周に亘りに連続的に後部方向に向かい突
設されている。

【００１８】前記インナーキャップホルダ２０は、ゴム
材または弾性樹脂材を主材料としてリング状に形成さ
れ、その円周方向の外周面を前記先端部３の内壁部に嵌
合して、前記インナーキャップ１０を先端部３の内側へ
取付けることで、前記インナーキャップ１０により軸筒
２内部を密閉するようにしている。

【００１９】また、インナーキャップホルダ２０におけ
る前記インナーキャップ１０の後側取付部１４と対向す
る部位には、前記後側取付部１４が嵌め込まれる保持部
２１が形成されている。前記保持部２１は、前記後側取
付部１４と対向する面２１ａに該後側取付部１４の端部
を当接するとともに、該後側取付部１４の内径側に嵌合
される凸部２１ｂが該後側取付部１４の内径側に沿って
連続的に突設されている。

【００２０】次に、本実施形態に係るキャップレス筆記
具の作動を説明する。まず、キャップレス筆記具１を使
用しない場合、図１に示すように、軸筒２の内部に筆記
軸５とともにペン先部６も収容されている。

【００２１】前記キャップレス筆記具１を使用する場
合、図２に示すように、軸筒２を握り、筆記軸５の後端
部に形成された押し部（図示省略）をコイルスプリング
７のばね力に勝って先端方向へ押し込む。すると、ペン
先部６は、図３に示すように、インナーキャップ１０の
閉塞部１１のスリット１３を押し開き、軸筒２の先端部
３の開口部４より突出した状態となる。

【００２２】一方、ペン先部６を収容する場合は、再び
押し部を押し込み、軸筒２内の係止部（図示省略）を解
除して、コイルスプリング７のばね力により筆記軸５を
後方に移動して、ペン先部６を軸筒２内部に収容するこ
とができる。

【００２３】この時、インナーキャップ１０において、
スリット１３からペン先部６が軸筒２内に退避すると、
前記スリット１３は、図３の状態から図２の状態へＮＢ
Ｒの弾性による復元力により元に戻され、閉塞部１１の
隙間が密着した状態となる。ここで、スリット１３にお
いては、図６に示すように、対向するスリット面１３
ａ、１３ｂがそれぞれＳ極、Ｎ極となるため、スリット
面１３ａ、１３ｂに互いに引き合う力が働き、スリット
１３を密着させる力が作用する。

【００２４】したがって、キャップレス筆記具１を使用
しない状態では、インナーキャップ１０のＮＢＲの弾性
による復元力とともに磁力により、スリット１３が密着
されるため該スリット１３からの塗布剤の揮発を最小限
に止めることができる。

【００２５】以上のように構成したので、本実施形態に
よるキャップレス筆記具１によれば、インナーキャップ
１０を０．５μ〜５．０μの平均粒径を持つ磁性材料粉
末を混練して磁性を持たせたの弾性体としたので、その
磁性によりスリット１３をより密着させて、軸筒２内部
の密閉性を高めることができる。

【００２６】また、本実施形態によれば、インナーキャ
ップ１０の材質にＮＢＲを採用したので、ペン先部６が
突出する際のスリット１３の変形を容易にするととも
に、ＮＢＲの弾性力によりにスリット１３の密閉状態を
良好に保つことができ、さらに、耐久性を高めることが
できる。

【００２７】また、本実施形態によれは、インナーキャ
ップ１０の閉塞部１１を、先端開口に向かいドーム状に
突出形成したので、該閉塞部１１の剛性を高くでき、ス
リット１３を閉じる方向に力が作用した場合に確実にス
リット１３を密着させることができる。

【００２８】尚、本実施形態は、インナーキャップ１０
の材質にＮＢＲを採用しているが、本発明に係る閉塞部
の構成は、ゴム材または弾性樹脂材を主材料として形成
するものであれば、これに限定されるものではなく、例
えば、ブチルゴムや、その他の材質として、ＥＰＤＭ、
シリコーンゴム、フッ素ゴムなど、インク溶剤に対して
非透過性に優れたゴム材を使用するものであっても良
い。これにより、インナーキャップ先端側からのインク
溶剤の揮発をさらに抑制することができる。

【００２９】また、本実施形態は、インナーキャップ１
０の閉塞部１１の形状をドーム状としているが、本発明
は、閉塞部の形状に限定されるものではなく、例えば、
平面状としたものや凹状に凹んだ形状としたもの、ある
いは円錐状、多角錐状としたものであっても良い。

【００３０】また、本実施形態は、インナーキャップ１
０の閉塞部１１の中央部を通るスリット１３を十字状に
形成しているが、本発明は、スリットの形状や数に限定
されるものではなく、スリットを複数形成したものであ
っても良く、例えば、図７、図８に示すように、閉塞部
３１の中央部より放射状に３本のスリット３３を形成し
て略三菱状にしたインナーキャップ３０や、さらに、ス
リットを６本形成したものであってもよい。

【００３１】また、本発明のキャップレス筆記具は、上
述した説明や図示例にのみ限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え
得ることは勿論である。

【００３２】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の請求項
１〜３に記載のキャップレス筆記具によれば、軸筒の先
端開口部を塞ぐ閉塞体を、磁性を有する弾性体で構成す
ることで、簡単な構成で部品点数の削減を図るととも
に、組立て性の容易化を図り、よって低コストでしかも
筆記具本体内部の先端部の密閉性に優れたキャップレス
筆記具を実現することができる。詳しくは、キャップレ
ス筆記具において、前記閉塞体を弾性体で構成し、且つ
前記閉塞体よりペン先が出没可能なスリットを設けたこ
とで、ペン先が前進する際に、スリットを押し開いてペ
ン先を突出させて筆記可能となり、ペン先を収納する際
には、閉塞体の弾性でスリットを閉じることができる。
さらに、閉塞体を着磁して磁性を持たせることで、弾性
力による形状復元とともに、磁性によりさらに対向面が
お互いに引き合いスリットの隙間が無くなるように密着
して、密閉性を高めることができる。また、本発明によ
れば、前記弾性体を、０．５μ〜５．０μの平均粒径を
持つ磁性材料粉末を混練して形成し、磁性を持たせるよ
うにしたことで、その磁性によりスリットの隙間が無く
なるように密着して、密閉性を高めることができる。さ
らに、本発明によれば、前記弾性体として、ゴム材また
は弾性樹脂材を主材料として形成することで、弾性変形
を容易にするとともに、弾性力による復元力によりにス
リットの密着性を高めることができる。以上のように、
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係るキャップレス筆記具の
ペン先側の構成を示す断面図である。

【図２】前記キャップレス筆記具の使用時の状態を示す
断面図である。

【図３】前記キャップレス筆記具の先端部の開口部を閉
じるインナーキャップの構成を示す平面図である。

【図４】前記インナーキャップの側面断面図である。

【図５】前記インナーキャップのスリットの構成を示す
詳細図である。

【図６】前記スリットの閉塞動作の作用を示す詳細説明
図である。

【図７】本実施形態に係るインナーキャップの変形例の
構成を示す平面図である。

【図８】前記変形例のインナーキャップの側面断面図で
ある。

【符号の説明】

１キャップレス筆記具２軸筒３先端部４開口部５筆記軸６ペン先部１０、３０インナーキャップ１１、３１閉塞部１３、３３スリット２０インナーキャップホルダ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】先端開口部を有する中空状の筆記具本体
と、前記先端開口部よりペン先が出没可能に前記筆記具
本体内に配設される筆記軸と、前記筆記具本体内に配置
されて前記先端開口部を塞ぐ閉塞体とを備えた筆記具に
おいて、前記閉塞体は、磁性を有する弾性体で構成され、且つ前
記閉塞体よりペン先が出没可能なスリットを設けたこと
を特徴とするキャップレス筆記具。
【請求項２】前記弾性体は、０．５μ〜５．０μの平
均粒径を持つ磁性材料粉末を混練し、磁性を持たせたこ
とを特徴とする請求項１に記載のキャップレス筆記具。
【請求項３】前記弾性体は、ゴム材または弾性樹脂材
を主材料として形成したことを特徴とする請求項１また
は２に記載のキャップレス筆記具。