発明の要旨
本発明は、種々の分子を生物学的システム、例えば、細胞に送達することを容易にする化合物、組成物、及び方法を特徴とする。本発明により提供される化合物、組成物、及び方法は、治療用化合物を、細胞膜を越えて、又は上皮又は内皮組織の1つ又はそれ以上の層を越えて輸送することにより、治療活性を与えることができる。本発明は、分子、例えば、限定されないが、小分子、脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、抗体、毒素、負に荷電したポリマー及び他のポリマー、例えば、蛋白質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、又はポリアミンを、細胞膜を越えて送達するための新規な薬剤の設計及び合成を包含する。本発明の化合物及び方法を用いて細胞膜を越えて送達することができるポリヌクレオチドの非限定的例としては、低分子干渉核酸(siNA)(siRNAを含む)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、酵素的核酸分子、2’,5’−オリゴアデニレート、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、アプタマー、及びデコイが挙げられる。一般に、記載されるトランスポーターは、別々に又は多成分系の一部として、分解性リンカーとともに又はなしで用いるように設計される。本発明の化合物(一般に下記の式で示される)は、組成物として処方したときに、血清の存在下又は非存在下で、異なる組織に由来する多数の種類の細胞中への分子の送達を改良すると予測される。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、siRNA、miRNA、siRNA及びmiRNAの阻害物質、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、ホルモン、抗体、及び小分子)を細胞に、又は、例えば、皮膚、粘膜、血管組織、胃腸組織、血液脳関門組織、眼組織、肺組織、肝臓組織、心臓組織、腎臓組織等の上皮及び内皮組織を越えて送達するのに有用である。本発明の化合物、組成物、及び方法は、投与の特定の部位への送達又は全身送達の両方に用いることができる。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、本発明の化合物、組成物、及び方法なしで分子を送達する場合と比較して、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、siRNA、miRNA、siRNA及びmiRNAの阻害物質、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、ホルモン、抗体、及び小分子)の細胞又は組織への送達又は利用性を高めることができる。そのように、本発明の化合物及び組成物の存在下では、本発明の化合物及び組成物がない場合と比較して、細胞、組織、又は生物の内部における生物学的に活性な分子のレベルを高めることができる。
1つの態様においては、本発明は、新規なカチオン性脂質、トランスフェクション剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、及びこれらと生物学的に活性な分子との製剤を特徴とする。別の実施態様においては、本発明は、患者又は生物において遺伝子発現及び/又は活性の調節に応答する形質、疾患、及び状態の研究、診断、及び治療において用いるための組成物及び方法を特徴とする。別の実施態様においては、本発明は、小核酸分子、例えば、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロ−RNA(miRNA)、及び短ヘアピンRNA(shRNA)分子、並びにこれらの阻害物質(RNAi阻害物質)を、例えば、患者又は生物における関連する細胞及び/又は組織に効率的にトランスフェクト又は送達する新規なカチオン性脂質、マイクロ粒子、ナノ粒子トランスフェクション剤、及び製剤を特徴とする。このような新規なカチオン性脂質、マイクロ粒子、ナノ粒子、トランスフェクション剤、及び製剤は、本明細書に記載されるように、細胞、患者又は生物における疾患、状態又は形質を予防、阻害又は治療する組成物を提供するのに有用である。
1つの態様においては、本発明は、種々のカチオン性脂質、マイクロ粒子、ナノ粒子、トランスフェクション剤、及び、例えば、患者又は生物における細胞、組織において、RNA干渉(RNAi)により標的遺伝子の発現又は活性を調節する化学的に修飾された合成低分子干渉核酸(siNA)分子及び/又はRNAi阻害物質を送達するための製剤を特徴とする。化学的に修飾されたsiNAの使用は、インビボでのヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの改良、及びインビボでの薬物動態学的特性の改良により、天然のsiRNA分子の種々の特性を改良する。本発明のカチオン性脂質、マイクロ粒子、ナノ粒子、トランスフェクション剤、製剤、及びsiNA分子、並びにRNAi阻害物質は、種々の治療、獣医学、診断、標的評価、ゲノム探索、遺伝子工学、及びファーマコゲノミクス用途に有用な試薬及び方法を提供する。
1つの態様においては、本発明は、蛋白質、例えば、疾患、形質、又は状態、例えば、肝臓の疾患、形質、又は状態の維持及び/又は発達に関連する蛋白質をコードする標的遺伝子の発現を独立して又は組み合わせて調節する組成物及び方法を特徴とする。これらの遺伝子は本明細書において一般に標的遺伝子と称される。このような標的遺伝子は、当該技術分野において一般に知られており、このような遺伝子の転写産物は一般にGenbank受託番号により参照される(例えば、国際公開第03/74654号パンフレット、出願番号PCT/US03/05028、及び米国特許出願第10/923,536号明細書(いずれも参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。例示的標的遺伝子及び標的遺伝子転写産物を参照して、本発明の種々の態様及び実施態様について以下に説明する。しかし、種々の態様及び実施態様はまた、他の標的遺伝子、例えば、ある種の標的遺伝子と関連する遺伝子ホモログ、遺伝子転写産物変種、及び遺伝子多型(例えば、一塩基多型、(SNPs))も対象とする。そのように、種々の態様及び実施態様はまた、例えば、疾患、形質、又は状態の維持及び/又は発達に関与するシグナル伝達又は遺伝子発現の経路に関与する他の遺伝子も対象とする。これらのさらなる遺伝子は、本明細書において標的遺伝子について記載される方法を用いて標的部位について分析することができる。すなわち、他の遺伝子の調節及び他の遺伝子のそのような調節の効果は、本明細書に記載されるようにして、実施し、判定し、測定することができる。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(例えば、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールであり、このような化合物は、本明細書において一般にCLinDMA又は3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパンと称される。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLII:
[式中、
各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。1つの実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLIV:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLV:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;及び各R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R1及びR2はメチルであり、及びR3及びR4はオレイルであり、この化合物は本明細書において一般にDMOBA又はN,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミンと称される。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLVI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLVII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLVIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;及び各R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、及びR3及びR4はリノイルである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLIX:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4はコレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバメート カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLX:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXIIa又はCLXIIb:
[式中、R0並びに各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXIVa及びCLXIVb:
[式中、R0並びに各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXV:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;Lはリンカーであり、及び各R3は、独立して、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はコレステロールであり、及びLはブチルである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXVI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;各Lは、リンカーであり、その構造は他のLとは独立しており、及び各R3は、独立して、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、R3はコレステロールであり、及びLはブチルである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXVII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり、及びR3はC9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、及びR3はリノイルである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXVIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各R1及びR2はメチルであり、及びR3はリノイルである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXIX:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXX:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、及びLはリンカーである]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXIV:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、及びLはリンカーである]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXV:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、及びLはリンカーである]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXVI:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXVII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、及びLはリンカーである]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXVIII:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXIX:
[式中、各R1及びR2は、独立して、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素であり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXX:
[式中、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(例えば、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXI:
[式中、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXII:
[式中、それぞれ、R1、R2及びR5は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXIII:
[式中、それぞれ、R1、R2及びR5は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXIV:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXV:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXVI:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXVII:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXVIII:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXIX:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXX:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXXI:
[式中、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、それぞれ、R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、及び各Lは、独立して、リンカーであり、これらは存在しても存在しなくてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3及びR4はオレイルである。
1つの実施態様においては、それぞれ、R1及びR2は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルであり、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、各Lは、独立して、リンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はジスルフィド結合を含む若しくは含まないポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式CLXXXXII:
[式中、R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、化合物CLI−CLXXXXIIのいずれかは、生物分解性結合L、例えば、以下のようなジスルフィド結合を含む:
1つの実施態様においては、本発明は、式NLI:
[式中、R1は、H、OH、又はC1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、OH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(例えば、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1はOHであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLII:
[式中、R1は、H、OH、又はC1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4はコレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1はOHであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLIII:
[式中、R1は、H、OH、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;及び各R3及びR4は、独立して、C12−C24の脂肪族炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R1はOHであり、及びR3及びR4はオレイルであり、この化合物は、本明細書において、一般に、DOBA又はジオレイルオキシベンジルアルコールと称される。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLIV:
[式中、R1は、H、OH、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1はOHであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLV:
[式中、R1は、H、OH、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、Lはリンカーであり、及びR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3は、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R4は、コレステロールである。1つの実施態様においては、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、Lは、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。1つの実施態様においては、R1はOHであり、R3はリノイルであり、Lはブチルであり、及びR4はコレステロールである。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLVI:
[式中、R1は、H、OH、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3は、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、及び各Lはリンカーである]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。1つの実施態様においては、各Lは、独立して、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、又はポリエチレングリコールリンカーである。別の実施態様においては、各Lは、独立して、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明は、式NLVII:
[式中、R1は、独立して、H、OH、C1−C10のアルキル、アルキニル、又はアリール炭化水素又はアルコールであり;R3及びR4は、それぞれ独立して、C9−C24の脂肪族飽和又は不飽和炭化水素であり、これらは同じであっても異なっていてもよい]
を有する化合物を特徴とする。1つの実施態様においては、R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチル又はその対応するアルコールである。1つの実施態様においては、R3及びR4は、それぞれ独立して、リノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル、又はラウロイルである。1つの実施態様においては、R3又はR4は、コレステロール、コレステロール誘導体、ステロイドホルモン、又は胆汁酸である。
1つの実施態様においては、式CLI−CLXIV、CLXVII−CLXXII、CLXXVI、及びCLXXVIII−CLXXXIXを有する任意の化合物の各O−R3及び/又はO−R4は、さらにリンカーLを含み(例えば、上で示される−O−R3及び/又は−O−R4は、−O−L−R3及び/又は−O−L−R4である)、ここで、Lは、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、アセタール、アミド、スクシニル、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又は当該技術分野において一般に知られる他のリンカーである。
1つの実施態様においては、本発明の製剤(例えば、本発明の処方分子組成物(FMC)又は脂質ナノ粒子(LNP))は、式NLI−NLVIIのいずれかを有する中性脂質である。
ステロイドホルモンの例としては、コレステロール、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロン、グルココルチゾン、アドレナリン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、ビタミンD、甲状腺ホルモン、レチノイン酸、及び/又は成長ホルモンを含むものが挙げられる。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、他の核酸分子又は本明細書に記載される他の生物学的に活性な分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びポリエチレングリコールコンジュゲート、例えば、PEG−ジアシルグリセロール、PEG−ジアシルグリカミド、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBコンジュゲートを含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、組成物はさらにコレステロール又はコレステロール誘導体を含む。本明細書に記載される組成物は、一般に処方分子組成物(FMC)又は脂質ナノ粒子(LNP)と称される。本発明のある実施態様においては、処方分子組成物(FMC)又は脂質ナノ粒子(LNP)組成物はさらにコレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
適当なカチオン性脂質には、選択されたpH、例えば生理学的pHにおいて正味の負電荷を含むカチオン性脂質が含まれる。特に有用なカチオン性脂質としては、比較的小さい頭部基、例えば、三級アミン、四級アミン又はグアニジン頭部基、及び立体的に障害される非対称脂質鎖を有するものが挙げられる。本明細書に記載されるいずれの実施態様においても、カチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXII、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXIIを含むもの;塩化N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウム(DODAC)、臭化N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、塩化N−(1−(2、3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)、塩化N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、ジオレオイルオキシ−N−[2−スペルミンカルボキサミド]エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、DC−Chol、臭化1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウム(DMRIE)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスタ−5−エン−3β−オキシ)−3’−オキサペントキシ]−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,12’−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2−N,N’−ジオレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、及び/又はこれらの混合物、並びに同様の特性を有する他のカチオン性脂質から選択される。上述のカチオン性脂質は、当該技術分野において知られるように、種々の異なる塩を含むことができる。これらのカチオン性脂質構造の非限定的例は図1〜図5及び図19に示される。
ある実施態様においては、カチオン性脂質の頭部基は、切断可能な又は切断可能でないリンカー、例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他のリンカーを介して、脂質鎖に結合させることができる。適当なリンカーの非限定的例としては、C1−C10のアルキル、アルキルエーテル、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、アセタール、アミド、カルボニル、カルバミド、カルバメート、カーボネート、エステル(すなわち、モノエステル、ジエステル)、又はスクシニルを含むものが挙げられる。
適当な中性脂質としては、安定な複合体を生成しうる種々の中性の荷電していない、両性イオン性又はアニオン性脂質の任意のものが挙げられる。それらは好ましくは中性であるが、或いは、正又は負に荷電していてもよい。本明細書に記載されるいずれの実施態様においても、適当な中性脂質としては、式NLI−NLVIIを有する化合物、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン 4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、コレステロール、並びに以下に記載される他の中性脂質、及び/又はこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。
適当なポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)コンジュゲートとしては、約C4〜約C40の長さの、飽和又は不飽和の炭素原子を独立して含むアルキル鎖を有するジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基を含むものが挙げられる。ジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基は、さらに1つ又はそれ以上の置換アルキル基を含むことができる。本明細書に記載されるいずれの実施態様においても、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、及びPEG−ジステリルグリカミド(C18)、PEG−コレステロール(1−[8’−(コレスタ−5−エン−3β−オキシ)カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)、及びPEG−DMB(3,4−ジテトラデコキシイルベンジル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)エーテル)から選択することができる。
1つの実施態様においては、本発明は、本明細書に記載される、L051、L053、L054、L060、L061、L069、L073、L077、L080、L082、L083、L086、L097、L098、L099、L100、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L108、L109、L110、L111、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118、L121、L122、L123、L124、L130、L131、L132、L133、L134、L149、L155、L156、L162、L163、L164、L165、L166、L167、L174、L175、L176、L180、L181、及び/又はL182として処方された生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)を含む組成物を特徴とする(表IVを参照)。
他の適当なPEGコンジュゲートとしては、PEG−コレステロール又はPEG−DMBコンジュゲート(例えば図24を参照)が挙げられる。1つの実施態様においては、PEGコンジュゲートは、飽和又は不飽和脂質鎖、例えば、オレイル、リノレイル及び同様の脂質鎖に結合したPEGを含む。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−DAG(すなわち、ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBコンジュゲートを含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、組成物はさらにコレステロール又はコレステロール誘導体を含む。別の実施態様においては、組成物は、本明細書に記載される、L051、L053、L054、L060、L061、L069、L073、L077、L080、L082、L083、L086、L097、L098、L099、L100、L101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L108、L109、L110、L111、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118、L121、L122、L123、L124、L130、L131、L132、L133、L134、L149、L155、L156、L162、L163、L164、L165、L166、L167、L174、L175、L176、L180、L181、及び/又はL182として処方される(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、CLinDMA:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、48:40:10:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤L051と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、DMOBA:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、30:20:48:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤L053と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、DMOBA:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、50:20:28:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤L054と称される。別の実施態様においては、組成物はさらに、中性脂質、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)を含むカチオン性脂質、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、CLinDMA:DMOBA:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、25:25:20:28:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤L073と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−コレステロール(PEG−Chol)を含むPEG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、CLinDMA:DSPC:コレステロール:PEG−Cholのモル比はそれぞれ、48:40:10:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤L069と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、1,2−N,N’−ジオレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、DOcarbDAP:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、30:20:48:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤T018.1と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)を含むカチオン性脂質、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む中性脂質、PEG−n−ジミリスチルグリセロール(PEG−DMG)を含むPEG−DAG、及びコレステロールを含む組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、DODMA:DSPC:コレステロール:PEG−DMGのモル比はそれぞれ、30:20:48:2であり、この組成物は、本明細書において一般に製剤T019.1と称される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、及び式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXII CLXXXX、CLXXXXI、又はCLXXXXIIのいずれかを有する化合物を含むカチオン性脂質を含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、組成物はさらに、中性脂質、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、PEGコンジュゲートを含む。さらに別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、及び3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)を含むカチオン性脂質を含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、組成物はさらに、中性脂質、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、PEGコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)を含む。さらに別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、及びN,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)を含むカチオン性脂質を含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、組成物はさらに、中性脂質、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含む。さらに別の実施態様においては、組成物はさらに、カチオン性脂質CLinDMAを含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、PEGコンジュゲートを含む。さらに別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
本明細書で用いる場合、用語「生物学的に活性な分子」は、ある系において生物学的応答を誘発又は調節しうる化合物又は分子を示す。生物学的に活性な分子の非限定的例としては、抗体(例えば、モノクローナル、キメラ、ヒト化等)、コレステロール、ホルモン、抗ウイルス剤、ペプチド、蛋白質、化学療法剤、小分子、ビタミン、補因子、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、酵素的核酸、アンチセンス核酸、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、2,5−Aキメラ、siNA、siRNA、miRNA、RNAi阻害物質、dsRNA、アロザイム、アプタマー、デコイ、及びこれらの類似体が挙げられる。本発明の生物学的に活性な分子にはまた、他の生物学的に活性な分子、例えば、脂質及びポリマー、例えば、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、及び他のポリエーテルの薬物動態及び/又は薬力学を調節しうる分子も含まれる。特定の実施態様においては、生物学的に活性な分子という用語は、本明細書において、用語「分子」又は「対象となる分子」と互換的に用いられる。
1つの実施態様においては、本発明は、siNA分子、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質、中性脂質、及びポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)を含む組成物を特徴とする。これらの組成物は、本明細書において一般に、処方siNA組成物と称される。別の実施態様においては、本発明の処方siNA組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物のsiNA成分は、哺乳動物細胞、患者、又は生物においてインターフェロン応答を刺激しないように化学的に修飾されている。そのようなsiNA分子は、改良された毒性プロファイルを有するといわれ、例えば、免疫刺激特性が弱められているか又は有しないか、オフターゲット効果が弱められているか又は有しないか、又は本明細書に記載される他の効果を有する。
1つの実施態様においては、本発明は、miRNA分子、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質、中性脂質、及びポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)を含む組成物を特徴とする。これらの化合物は一般に、本明細書において処方miRNA組成物と称される。別の実施態様においては、本発明の処方miRNA組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方miRNA組成物のmiRNA成分は、哺乳動物細胞、患者、又は生物においてインターフェロン応答を刺激しないように化学的に修飾されている。そのようなmiRNA分子は、改良された毒性プロファイルを有するといわれ、例えば、免疫刺激特性が弱められているか又は有しないか、オフターゲット効果が弱められているか又は有しないか、又は本明細書に記載される他の効果を有する。
1つの実施態様においては、本発明は、RNAi阻害物質分子、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質、中性脂質、及びポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)を含む組成物を特徴とする。これらの化合物は一般に、本明細書において処方RNAi阻害物質組成物と称される。別の実施態様においては、本発明の処方RNAi阻害物質組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方RNAi阻害物質組成物のRNAi阻害物質成分は、哺乳動物細胞、患者、又は生物においてインターフェロン応答を刺激しないように化学的に修飾されている。そのようなRNAi阻害物質分子は、改良された毒性プロファイルを有するといわれ、例えば、免疫刺激特性が弱められているか又は有しないか、オフターゲット効果が弱められているか又は有しないか、又は本明細書に記載される他の効果を有する。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)標的遺伝子のRNAに対するRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子RNAに対して、siNA分子が標的遺伝子RNAに対するRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、標的RNAは、国際公開第03/74654号パンフレット(PCT/US03/05028)及び米国特許出願第10/923,536号明細書(いずれも参照することにより本明細書の一部となす)においてGenbank受託番号で参照されるRNA配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)標的遺伝子のRNAに対するRNA干渉(RNAi)を媒介するmiRNA分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記miRNA分子の各鎖は、約18〜約40ヌクレオチドの長さであり;前記miRNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子RNAに対して、miRNA分子が標的遺伝子RNAに対するRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、標的RNAは、国際公開第03/74654号パンフレット(PCT/US03/05028)及び米国特許出願第10/923,536号明細書(いずれも参照することにより本明細書の一部となす)においてGenbank受託番号で参照されるRNA配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)miRNA又はsiRNA標的のRNA干渉(RNAi)活性を調節するRNAi阻害物質を含む組成物を特徴とし、ここで、前記RNAi阻害物質は、約15〜約40ヌクレオチドの長さであり;前記RNAi阻害物質分子は、標的siRNA又はmiRNAに対して、RNAi阻害物質分子が標的siRNA又はmiRNAのRNAi活性を調節するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、miRNA又はsiRNA標的は、国際公開第03/74654号パンフレット(PCT/US03/05028)及び米国特許出願第10/923,536号明細書(いずれも参照することにより本明細書の一部となす)においてGenbank受託番号で参照されるRNA配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)コンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)肝炎ウイルスRNAに対するRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;及び前記siNA分子の一方の鎖は、肝炎ウイルスRNAに対して、siNA分子が肝炎ウイルスRNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、肝炎ウイルスRNAはB型肝炎ウイルス(HBV)である。1つの実施態様においては、肝炎ウイルスRNAはC型肝炎ウイルス(HCV)である。1つの実施態様においては、siNAは米国特許出願第60/401104号明細書、同第10/667,271号明細書、及び同第10/942,560号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらにコレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)蛋白質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、PTP1B RNAに対して、siNA分子がPTP1B RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願公開第20040019001号明細書及び同第200500704978号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)形質転換成長因子ベータ(TGF−ベータ)及び/又は形質転換成長因子ベータ受容体(TGF−betaR)RNAに対するRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、TGF−ベータ及び/又はTGF−betaR RNAに対して、siNA分子がTGF−ベータ及び/又はTGF−betaR RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第11/054,047号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)コレステリルエステル転移蛋白質(CETP)RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、CETP RNAに対して、siNA分子がCETP RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/921,554号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)胃抑制ペプチド(GIP)RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、GIP RNAに対して、siNA分子がGIP RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/916,030号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、SCD RNAに対して、siNA分子がSCD RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/923,451号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACACB)RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、ACACB RNAに対して、siNA分子がACACB RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/888,226号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)アポリポ蛋白質RNA(例えば、apoAI、apoA−IV、apoB、apoC−III、及び/又はapoE RNA)に対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、アポリポ蛋白質RNAに対して、siNA分子がアポリポ蛋白質RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第11/054,047号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB);及び(d)VEGF及び/又はVEGF−受容体RNA(例えば、VEGF、VEGFR1、VEGFR2、及び/又はVEGFR3 RNA)に対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、VEGF及び/又はVEGF−受容体RNAに対して、siNA分子がVEGF及び/又はVEGF−受容体RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/962,898号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG_DMB);及び(d)IL4−受容体RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、IL4−受容体RNAに対して、siNA分子がIL4−受容体RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第11/001,347号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG_DMB);及び(d)ヘアレスRNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、ヘアレスRNAに対して、siNA分子がヘアレスRNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNAは、米国特許出願第10/919,964号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、(a)式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有するカチオン性脂質;(b)中性脂質;(c)ポリエチレングリコールコンジュゲート(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG_DMB);及び(d)標的RNAに対してRNA干渉(RNAi)を媒介する低分子干渉核酸(siNA)分子を含む組成物を特徴とし、ここで、前記siNA分子の各鎖は、約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;前記siNA分子の一方の鎖は、標的RNAに対して、siNA分子が標的RNAに対してRNA干渉を媒介するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、標的RNAは、国際公開第03/74654号パンフレット(PCT/US03/05028)及び米国特許出願第10/923,536号明細書(これらの両方とも参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるGenbank受託番号で参照されるRNA配列を含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物のカチオン性脂質成分(例えば、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有する化合物又は本明細書に記載される他のもの)は、製剤中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約45%、約5%〜約15%、又は約40%〜約50%を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物の中性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約5%〜約90%、又は約20%〜約85%を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物のPEGコンジュゲート(すなわち、PEG_DAG、PEG−コレステロール、PEG−DMB)は、製剤中に存在する総脂質の約1%〜約20%、又は約4%〜約15%を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物のコレステロール成分は、製剤中に存在する総脂質の約10%〜約60%、又は約20%〜約45%を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物は、製剤中に存在する総脂質の約30〜約50%を含むカチオン性脂質成分、製剤中に存在する総脂質の約30〜約50%を含む中性脂質、及び製剤中に存在する総脂質の約0〜約10%を含むPEGコンジュゲート(すなわち、PEG_DAG、PEG−コレステロール、PEG−DMB)を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、DSPC、及びPEGコンジュゲート(すなわち、PEG−DAG、PEG−コレステロール、PEG−DMB)を含む。1つの実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、又はPEG−ジステリルグリカミド(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−コレステロール又はPEG−DMBである。別の実施態様においては、処方分子組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、式CLIを有する化合物、DSPC、及びPEGコンジュゲートを含む。1つの実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、又はPEG−ジステリルグリカミド(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−コレステロール又はPEG−DMBである。別の実施態様においては、処方分子組成物はさらにコレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)、式CLVを有する化合物、DSPC、及びPEGコンジュゲートを含む。1つの実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、又はPEG−ジステリルグリカミド(C18)である。別の実施態様においては、PEGコンジュゲートは、PEG−コレステロール又はPEG−DMBである。別の実施態様においては、処方分子組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物(例えば、処方分子組成物)はさらに、特定の組織型の細胞に対する標的リガンドを含む。そのようなリガンドの非限定的例としては、糖及び炭水化物、例えば、ガラクトース、ガラクトサミン、及びN−アセチルガラクトサミン;ホルモン、例えば、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロン、グルココルチゾン、アドレナリン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、ビタミンD、甲状腺ホルモン、レチノイン酸、及び成長ホルモン;成長因子、例えば、VEGF、EGF、NGF、及びPDGF;コレステロール;胆汁酸;神経伝達物質、例えば、GABA、グルタメート、アセチルコリン;NOGO;イノシトール三リン酸;ジアシルグリセロール;エピネフリン;ノルエピネフリン;一酸化窒素、ペプチド、ビタミン、例えば葉酸及びピリドキシン、薬剤、抗体、及びインビボ又はインビトロで受容体と相互作用しうる任意の他の分子が挙げられる。リガンドは、リンカー分子、例えば、アミド(amide)、アミド(amido)、カルボニル、エステル、ペプチド、ジスルフィド、シラン、ヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、リン酸エステル、ホスホルアミデート、チオホスフェート、アルキルホスフェート、又は光解離性リンカーを用いて、本発明の処方siNA組成物の任意の成分(例えば、カチオン性脂質成分、中性脂質成分、PEG−DAG成分、又はsiNA成分等)に結合させることができる。1つの実施態様においては、リンカーは生物分解性リンカーである。
1つの実施態様においては、本発明のPEGコンジュゲート、例えば、PEG−DAG、PEG−コレステロール、PEG−DMBは、200〜10,000原子のPEG分子を含む。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、例えば処方分子組成物は、ジアシルグリセロール−ポリエチレングリコールコンジュゲート、すなわち、DAG−PEGコンジュゲートを含む。用語「ジアシルグリセロール」とは、2つの脂肪アシル鎖、すなわちR1及びR2を有し、この両方とも、独立して、グリセロールの1位及び2位にエステル結合により結合した2〜30個の炭素を有する化合物を表す。アシル基は飽和していてもよく、又は種々の程度の不飽和を有していてもよい。ジアシルグリセロールは以下の一般式VIII:
[式中、R1及びR2は、それぞれ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、脂質、又はリガンドである]
を有する。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、C2−C30のアルキル基である。1つの実施態様においては、DAG−PEGコンジュゲートは、ジラウリルグリセロール(C12)−PEGコンジュゲート、ジミリスチルグリセロール(C14)−PEGコンジュゲート、ジパルミトイルグリセロール(C16)−PEGコンジュゲート、ジステリルグリセロール(C18)−PEGコンジュゲート、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、又はPEG−ジステリルグリカミド(C18)である。当業者は、本発明のDAG−PEGコンジュゲートにおいて他のジアシルグリセロールを用いることができることを、容易に理解するであろう。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、例えば、処方分子組成物は、ポリエチレングリコール−コレステロールコンジュゲート、すなわち、PEG−cholコンジュゲートを含む。PEG−cholコンジュゲートは、コレステロール又はコレステロール誘導体に連結された200〜10,000原子のPEG分子を含むことができる。例示的PEG−chol及びその合成は図24に示される。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、例えば、処方分子組成物は、ポリエチレングリコール−DMBコンジュゲートを含む。用語「DMB」とは、化合物3,4−ジテトラデコキシイルベンジル−β−メチル−ポリ(エチレングリコール)エーテルを表す。PEG−DMBコンジュゲートは、DMBに連結された200〜10,000原子のPEG分子を含むことができる。例示的PEG−DMB及びその合成は図24Aに示される。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、例えば、処方分子組成物は、ポリエチレングリコール−DMG(PEG−DMG)コンジュゲートを含む。用語「PEG−DMG」は、化合物1−[8’−(1,2−ジミリストイル−3−プロパンオキシ)−カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−オメガ−メチル−ポリ(エチレングリコール)を表す。PEG−DMGコンジュゲートは、DMG部分に連結された200〜10,000原子のPEG分子を含むことができる。1つの実施態様においては、PEGは、式PEGnにより表される多分散物質であり、ここで、1500Da〜3000DaのPEGの場合、n=約33〜67であり、2KPEG/PEG2000の場合、平均=45である。例示的PEG−DMG及びその合成は図24Bに示される。
用語「リガンド」とは、受容体等の別の化合物と直接的に又は間接的に相互作用することができる任意の化合物又は分子、例えば、薬剤、ペプチド、ホルモン、又は神経伝達物質を表す。リガンドと相互作用する受容体は、細胞の表面に存在していてもよく、或いは細胞間受容体であってもよい。リガンドと受容体との相互作用により、生化学的反応が生ずることもあり、又はこれは単に物理学的相互作用又は会合でありうる。リガンドの非限定的例としては、糖及び炭水化物、例えば、ガラクトース、ガラクトサミン、及びN−アセチルガラクトサミン;ホルモン、例えば、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロン、グルココルチゾン、アドレナリン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、ビタミンD、甲状腺ホルモン、レチノイン酸、及び成長ホルモン;成長因子、例えば、VEGF、EGF、NGF、及びPDGF;コレステロール;胆汁酸;神経伝達物質、例えば、GABA、グルタメート、アセチルコリン;NOGO;イノシトール三リン酸;ジアシルグリセロール;エピネフリン;ノルエピネフリン;一酸化窒素、ペプチド、ビタミン、例えば葉酸及びピリドキシン、薬剤、抗体及びインビボ又はインビトロで受容体と相互作用することができる他の任意の分子が挙げられる。リガンドは、リンカー分子、例えば、アミド(amide)、アミド(amido)、カルボニル、エステル、ペプチド、ジスルフィド、シラン、ヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、リン酸エステル、ホスホルアミデート、チオホスフェート、アルキルホスフェート、又は光解離性リンカーを用いて、本発明の化合物に結合させることができる。1つの実施態様においては、リンカーは生物分解性リンカーである。
本明細書で用いる場合、用語「分解性リンカー」とは、種々の条件下で切断され得るリンカー部分を表す。切断に適した条件としては、例えば、限定されないが、pH、UV照射、酵素活性、温度、加水分解、脱離、及び置換反応、及び結合の熱力学的特性が挙げられる。
本明細書で用いる場合、用語「光解離性リンカー」とは、特定のUV波長で選択的に切断されるリンカー部分として当該技術分野において知られるものを表す。光解離性リンカーを含む本発明の化合物は、対象となる標的細胞又は組織に化合物を送達させるために使用することができ、続いてUV光源の存在下で放出させることができる。
本明細書で用いる場合、用語「脂質」とは、任意の親油性化合物を表す。脂質化合物の非限定的例としては、脂肪酸及びその誘導体、例えば、直鎖、分枝鎖、飽和及び不飽和の脂肪酸、カロチノイド、テルペン、胆汁酸、及びステロイド、例えばコレステロール及びその誘導体又は類似体が挙げられる。
上述の成分に加えて、本発明の組成物はさらに、脂質二重層中に挿入されて正の電荷を付与するよう設計された、カチオン性ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質、又はCPLを含むことができる(例えば、Chen et al.,2000,Bioconj.Chem.11,433−437を参照)。本発明において用いるのに適した製剤、及びそのような製剤の製造及び使用方法は、例えば、米国特許出願第09/553,639号明細書(2000年4月20日出願)、及び国際出願第CA00/00451号明細書(2000年4月20日出願、2000年10月26日に国際公開第00/62813号として公開)(これらのそれぞれの教示は、その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に開示されている。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、すなわち、PEGコンジュゲートを含む処方分子組成物は、多数の異なる方法のいずれかを用いて製造される。1つの実施態様においては、本発明は、疎水性ポリヌクレオチド−脂質中間複合体を介して製造される脂質−核酸粒子を提供する。複合体は、好ましくは電荷が中和されている。これらの複合体を、界面活性剤系又は有機溶媒系の系において操作することにより、核酸が保護される粒子を形成させることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子が脂質二重層中に封入され、分解から保護されている(例えば、組成物がラメラ構造をとっている)血清に安定な処方分子組成物(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子等の生物学的に活性な分子を含むもの)を提供する。さらに、本発明において形成される処方された粒子は、好ましくは生理学的pHにおいて中性又は負に荷電している。1つの実施態様においては、インビボでの適用には中性粒子が有利であり得るが、インビトロでの適用には、粒子は負に荷電していてもよい。このことにより、生物学的に活性な分子をカチオン性脂質中に封入しうる正に荷電したリポソーム製剤上での凝集が減少するというさらなる利点が得られる。
さらに、本発明は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物を提供する。pH依存的相転移により、ポリヌクレオチド等の生物学的に活性な分子の、細胞等の生物学的システムへの送達効率を高める構造的変化が生ずる。構造的変化は、例えば、細胞膜融合及び生物学的に活性な分子の生物学的システムへの放出を増加させることにより、送達効率を高めることができる。すなわち、1つの実施態様においては、血清安定処方分子組成物は、血漿又は血清中で(すなわち、循環中で)安定であり、生理学的pH(すなわち、約pH7.4)で安定であり、急速なpH依存的相転移を起こして、生物学的に活性な分子の生物学的システムへの送達効率を高める構造的変化を起こす。1つの実施態様においては、pH依存的相転移は、約pH5.5〜6.5で生ずる。1つの実施態様においては、血清安定処方分子組成物は、構造的変化を起こして、約pH5.5〜6.5で逆位六角形構造をとる。例えば、血清安定処方分子組成物は、循環中(すなわち、血漿又は血清中)、生理学的pH(約pH7.4)でとっている安定なラメラ構造から、初期エンドソームで見いだされるpHであるpH5.5〜6.5で、逆位六角形構造を有するより安定性が低く、より有効な送達組成物に転移することができる。急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物は、生理学的pHにおける循環中での安定性及び細胞膜融合を増加させるpH依存的構造変化を生じ、生物学的に活性な分子を細胞等の生物学的システム中に放出する能力のため、生物学的に活性な分子の送達効率の増大を示す。
急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物は、生物学的に活性な分子(例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、他の核酸分子又は本明細書に記載される他の生物学的に活性な分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びポリエチレンコンジュゲート、例えば、ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール、ポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド、ポリエチレングリコール−コレステロール、又はポリエチレン−DMBコンジュゲートを含む。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。適当なカチオン性脂質、中性脂質、及びPEGコンジュゲートの例は本明細書に記載される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートはPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L051として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートはPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L053又はL054として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−コレステロールである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L069として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はpCLinDMA又はCLinDMA及びDMOBAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートはPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L073として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はeCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−コレステロールである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L077として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はeCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L080として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はpCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは製剤L082として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はpCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−コレステロールである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。これは、製剤L083として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体及びリノレイルアルコールを含む。これは、製剤L086として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMLBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGである。これは、製剤L061として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGであり、処方分子組成物の窒素対リン酸の比率(N/P)は5である。これは、製剤L060として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMLBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGである。これは、製剤L097として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGであり、処方分子組成物の窒素対リン酸の比率(N/P)は3である。これは、製剤L098として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMGであり、処方分子組成物の窒素対リン酸の比率(N/P)は4である。これは、製剤L099として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はDOBAであり、PEGコンジュゲートは2KPEG−DMG(3%)であり、処方分子組成物の窒素対リン酸の比率(N/P)は3である。これは、製剤L100として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2K−PEG−コレステロールである。これは、製剤L101として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMOBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2K−PEG−コレステロールであり、処方分子組成物の窒素対リン酸の比率(N/P)は5である。これは、製剤L102として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はDMLBAであり、中性脂質はコレステロールであり、PEGコンジュゲートは2K−PEG−コレステロールである。これは、製剤L103として知られる(表IVを参照)。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質分子)、カチオン性脂質、中性脂質、及びPEG−コンジュゲートを含む血清安定処方分子組成物を特徴とし、ここで、カチオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)であり、PEGコンジュゲートは2KPEG−コレステロールである。別の実施態様においては、組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体及びリノレイルアルコールを含む。これは、製剤L104として知られる(表IVを参照)。
本発明はさらに、処方分子組成物が生物学的に活性な分子を生物学的システム中に送達するのに有効であるか否かを判定する方法を提供する。1つの実施態様においては、処方分子組成物が生物学的に活性な分子を生物学的システムに送達するのに有効であるか否かを判定する方法は、(1)処方分子組成物の血清安定性を測定する工程、及び(2)処方分子組成物のpH依存的相転移を測定する工程を含み、ここで、処方分子組成物が血清中で安定であるという判定、及び処方分子組成物が約pH4〜約7、例えば、5.5〜6.5で相転移を起こすという判定は、処方分子組成物が生物学的に活性な分子を生物学的システムに送達するのに有効であることを示す。別の実施態様においては、この方法はさらに、細胞中の処方分子組成物のトランスフェクション効率をインビトロで測定する工程を含む。
処方分子組成物の血清安定性は、処方分子組成物の血清中における安定性を測定する任意のアッセイ、例えば本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他のアッセイを用いて測定することができる。血清安定性を測定するために用いることができる1つの例示的アッセイは、組成物の血清中における相対濁度を経時的に測定するアッセイである。例えば、処方分子組成物の相対濁度は、分光光度計を用いて、血清の存在下又は非存在下で(すなわち、50%)、処方分子組成物の吸光度を24時間のあいだに数回測定することにより決定することができる。吸光度により測定した相対濁度が、経時的に約1.0で一定のままであれば、処方分子組成物は血清中で安定である。
処方分子組成物のpH依存的相転移は、約pH5.5〜6.5で処方分子組成物の相転移を測定する任意のアッセイ、例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他のアッセイを用いて測定することができる。pH依存的相転移を測定するために用いることができる1つの例示的アッセイは、異なるpHで組成物の相対濁度を経時的に測定するアッセイである。例えば、処方分子組成物の相対濁度は、ある範囲の異なるpH値を有するバッファー中で処方分子組成物の吸光度を経時的に測定することにより決定することができる。pHが7.0未満に下がったときに吸光度により測定した相対濁度が減少すれば、処方分子組成物はpH依存的相転移を起こす。
さらに、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物の送達剤としての効率は、処方分子組成物のトランスフェクション効率を測定することにより判定することができる。トランスフェクションアッセイを実施する方法は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られている。
1つの実施態様においては、本発明の方法により製造される粒子は、約50〜約600nmのサイズを有する。粒子は、界面活性剤透析法、又は有機溶媒を利用して成分を混合する間に単一相を与える逆相法の変法により形成することができる。いかなる特定の形成メカニズムにも拘束されることを意図するものではないが、分子(例えば、ポリヌクレオチド等の生物学的に活性な分子)をカチオン性脂質の界面活性剤溶液と接触させると、コーティングされた分子複合体が形成される。これらのコーティングされた分子は、凝集し沈殿しうる。しかし、界面活性剤の存在は、この凝集を減少させ、コーティングされた分子が過剰の脂質(典型的には、非カチオン性脂質)と反応して、対象となる分子が脂質二重層中に封入されている粒子を形成することを可能とする。以下に記載される有機溶媒を用いて処方分子組成物を形成する方法は、同様のスキームにしたがう。
1つの実施態様においては、粒子は界面活性剤透析を用いて形成する。すなわち、本発明は、pH依存的相転移を起こすもの等の血清安定処方分子組成物を製造する方法を提供し、この方法は、(a)界面活性剤溶液中で分子(例えば、生物学的に活性な分子、例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)をカチオン性脂質と混合して、コーティングされた分子−脂質複合体を形成する工程;(b)非カチオン性脂質をコーティングされた分子−脂質複合体と接触させて、siNA−脂質複合体及び非カチオン性脂質を含む界面活性剤溶液を形成する工程;そして(c)工程(b)の界面活性剤溶液を透析して血清安定分子−脂質粒子の溶液を得る工程、の各工程を含み、ここで、分子は、脂質二重層中に封入され、粒子は血清安定性であり、約50〜約600nmのサイズを有する。
1つの実施態様においては、コーティングされた分子−脂質(例えば、ポリヌクレオチド−脂質)複合体の最初の溶液は、例えば、界面活性剤溶液中で分子をカチオン性脂質と混合することにより形成する。
これらの実施態様においては、界面活性剤溶液は、好ましくは15〜300mM、より好ましくは20〜50mMの臨界ミセル濃度を有する中性界面活性剤の水性溶液である。適当な界面活性剤の例としては、例えば、N,N’−((オクタノイルイミノ)−ビス−(トリメチレン))−ビス−(D−グルコナミド)(BIGCHAP);BRIJ35;デオキシ−BIGCHAP;ドデシルポリ(エチレングリコール)エーテル;Tween20;Tween40;Tween60;Tween80;Tween85;Mega8;Mega9;Zwittergent(登録商標)3−08;Zwittergent(登録商標)3−10;TritonX−405;ヘキシル−、ヘプチル−、オクチル−及びノニル−ベータ−D−グルコピラノシド;及びヘプチルチオグルコピラノシドが挙げられ、オクチルβ−D−グルコピラノシド及びTween−20が最も好ましい。界面活性剤溶液中の界面活性剤の濃度は、典型的には約100mM〜約2M、好ましくは約200mM〜約1.5Mである。
1つの実施態様においては、カチオン性脂質及び対象となる分子(例えば、生物学的に活性な分子、例えば、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)は、典型的には、約1:1〜約20:1の電荷比(+/−)、好ましくは約1:1〜約12:1の比、より好ましくは約2:1〜約6:1の比が生ずるように混合する。さらに、siNAの溶液中の総濃度は、典型的には、約25μg/mL〜約1mg/mL、好ましくは約25μg/mL〜約500μg/mL、より好ましくは約100μg/mL〜約250μg/mLである。界面活性剤溶液中の対象となる分子とカチオン性脂質との混合物を、典型的には室温で、コーティングされた複合体が形成するのに十分な時間保持する。或いは、対象となる分子及びカチオン性脂質を界面活性剤溶液中で混合し、約37℃の温度まで暖める。温度に特に感受性の分子(例えば、本明細書のある種のポリヌクレオチド)については、コーティングされた複合体は、より低い温度、典型的には約4℃で形成することができる。
1つの実施態様においては、形成された処方分子組成物中のsiNA対脂質の比率(質量/質量比)は、約0.01〜約0.08の範囲である。精製工程は、典型的には封入されていないsiNA並びに空のリポソームを除去するため、出発物質の比率もまたこの範囲内である。別の実施態様においては、処方siNA組成物製剤は、10mgの総脂質あたり約400μgのsiNAを使用するか、又はsiNA対脂質の比は約0.01〜約0.08、より好ましくは、約0.04であり、これは、50μgのsiNAあたり1.25mgの総脂質に対応する。本発明の処方分子組成物は、特定の臓器、組織、又は細胞タイプを標的とするよう開発される。1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、肝臓又は肝細胞を標的とするよう開発される。処方分子組成物の種々の成分の比率は、特定の臓器、組織、又は細胞タイプを標的とするよう調節される。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の細胞に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は経肺投与することにより、患者又は生物の細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の肝臓又は肝臓細胞(例えば、肝細胞)に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の肝臓又は肝臓細胞(例えば、肝細胞)に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接注射、門脈注射、カテーテル挿入、ステント留置等)することにより、患者又は生物の肝臓又は肝臓細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の腎臓又は腎臓細胞に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の腎臓又は腎臓細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接注射、カテーテル挿入、ステント留置等)することにより、患者又は生物の腎臓又は腎臓細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の腫瘍又は腫瘍細胞に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の腫瘍又は腫瘍細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接注射、カテーテル挿入、ステント留置等)することにより、患者又は生物の腫瘍又は腫瘍細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物のCNS又はCNS細胞(例えば、脳、脊髄)に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物のCNS又はCNS細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接注射、カテーテル挿入、ステント留置等)することにより、患者又は生物のCNS又はCNS細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の肺又は肺細胞に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の肺又は肺細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、肺組織及び細胞への直接的経肺投与)することにより、患者又は生物の肺又は肺細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の血管又は血管細胞に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の血管又は血管細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、クランプ設置、カテーテル挿入、ステント留置等)することにより、患者又は生物の血管又は血管細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の皮膚又は皮膚細胞(例えば、真皮又は真皮細胞、毛包又は毛包細胞)に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の皮膚又は皮膚細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接皮膚適用、イオントフォレシス等)することにより、患者又は生物の皮膚又は皮膚細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の眼又は眼細胞(例えば、黄斑、窩、角膜、網膜等)に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の眼又は眼細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物を、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、投与を容易にする賦形剤を含むか又は含まない処方分子組成物を非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与)又は局所投与(例えば、直接注射、眼内注射、眼周囲注射、イオントフォレシス、点眼薬の使用、移植等)することにより、患者又は生物の眼又は眼細胞と接触させる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物の耳又は耳の細胞(例えば、内耳、中耳、外耳)に生物学的に活性な分子を送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、処方分子組成物の生物学的に活性な分子成分を患者又は生物の耳又は耳細胞に送達するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を投与することを含む。1つの実施態様においては、投与は、米国特許第5,421,818号明細書、同第5,476,446号明細書、同第5,474,529号明細書、同第6,045,528号明細書、同第6,440,102号明細書、同第6,685,697号明細書、同第6,120,484号明細書;及び同第5,572,594号明細書;(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)及びSilverstein,1999,Ear Nose Throat J.,78,595−8,600;及びJackson and Silverstein,2002,Otolaryngol Clin North Am.,35,639−53の教示に記載され、本発明の組成物の使用に適合させた方法及び装置を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、該siNA分子は約15〜約28塩基対を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)により標的RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、二本鎖siNA分子は、第1の鎖及び第2の鎖を含み、siNA分子の各鎖は約18〜約28ヌクレオチドの長さであり、siNAの第1の鎖は、標的RNAに対して、siNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含み、前記siNA分子の第2の鎖は第1の鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)により標的RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、二本鎖siNA分子は、第1の鎖及び第2の鎖を含み、siNA分子の各鎖は約18〜約23ヌクレオチドの長さであり、siNA分子の第1の鎖は、標的RNAに対して、siNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含み、前記siNA分子の第2の鎖は第1の鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)により標的RNAの切断を指示する化学的に合成された二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子の各鎖は約18〜約28ヌクレオチドの長さであり;siNA分子の一方の鎖は、標的RNAに対して、siNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)により標的RNAの切断を指示する化学的に合成された二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子の各鎖は約18〜約23ヌクレオチドの長さであり;siNA分子の一方の鎖は、標的RNAに対して、siNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートするsiNA分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、例えば、標的遺伝子は標的をコードする配列を含む。1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートするsiNA分子を特徴とし、例えば、標的遺伝子は標的の非コード配列又は標的遺伝子発現に関与する調節要素を含む。
1つの実施態様においては、本発明のsiNAは、標的遺伝子又は標的遺伝子ファミリーの発現を阻害するために用いられ、ここで、遺伝子又は遺伝子ファミリー配列は、配列ホモロジーを共有する。そのような相同配列は、当該技術分野において知られるようにして、例えば配列アラインメントを用いて同定することができる。siNA分子は、例えば、完全に相補的な配列を用いることにより、又は非標準的な塩基対、例えば、さらなる標的配列を提供することができるミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対を取り込むことにより、そのような相同配列を標的とするよう設計することができる。例えば、ミスマッチを同定する場合には、非標準的塩基対(例えば、ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基)を用いて、2以上の遺伝子配列を標的とするsiNA分子を生成することができる。非限定的例においては、非標準的塩基対、例えば、UU及びCC塩基対を用いて、配列ホモロジーを共有する異なる標的のための配列を標的とすることができるsiNA分子を生成する。そのように、本発明のsiNAを用いる一つの利点は、相同遺伝子間で保存されているヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含む単一のsiNAを設計することができることである。この方法においては、2つ以上のsiNA分子を用いて異なる遺伝子を標的とする代わりに、単一のsiNAを用いて、2つ以上の遺伝子の発現を阻害することができる。
1つの実施態様においては、本発明は、標的RNAに対してRNAi活性を有するsiNA分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子は、標的をコードする配列を有する任意のRNAに相補的な配列を含む。本明細書に記載される製剤に適当なsiNA分子の例は、国際出願第US04/106390号明細書(国際公開第05/19453号パンフレット)(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。PCT/US2004/106390(国際公開第05/19453号パンフレット)、米国特許出願第10/444,853号明細書(2003年5月23日出願)、米国特許出願第10/923,536号明細書(2004年8月20日出願)、米国特許出願第11/234,730号明細書(2005年9月23日出願)又は米国特許出願第11/299,254号明細書(2005年12月8日出願)(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるか又は本明細書に記載される化学修飾を、本発明の任意のsiNA構築物に適用することができる。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用して、これにより標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介しうるヌクレオチド配列を含み、例えば、siNAは標的遺伝子のクロマチン構造又はメチル化パターンを調節し、標的遺伝子の転写を妨害する細胞プロセスにより標的遺伝子発現の制御を媒介する。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、疾患又は状態(例えば、脱毛症、抜け毛、及び/又は無毛症)に関連する標的ハプロタイプ多型から生ずる標的蛋白質の発現をダウンレギュレート又は阻害するために用いられる。標的遺伝子、又は標的蛋白質又はRNAレベルの分析を用いて、そのような多型を有する患者又は本明細書に記載される形質、状態又は疾患を発症するリスクを有する患者を同定することができる。これらの患者は、治療、例えば、標的遺伝子発現に関連する疾患の治療に有用な本発明のsiNA分子及び任意の他の組成物を用いる治療に適している。そのように、標的蛋白質又はRNAレベルの分析を用いて、患者を治療するための治療の種類及び治療計画を決定することができる。標的蛋白質又はRNAレベルのモニタリングを用いて、治療の結果を予測し、形質、状態又は疾患に関連する特定の標的蛋白質のレベル及び/又は活性を調節する化合物及び組成物の効力を判定することができる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的蛋白質をコードするヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。siNAはさらにセンス鎖を含み、前記センス鎖は標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を含む。
別の実施態様においては、本発明のsiNAは、標的蛋白質又はその一部をコードするヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含む。siNA分子はさらにセンス領域を含み、前記センス領域は標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を含む。
別の実施態様においては、本発明のsiNAは、siNA分子のアンチセンス領域に、標的遺伝子のヌクレオチド配列又は配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の実施態様においては、本発明のsiNAは、標的遺伝子配列又はその一部を含む配列に相補的な領域、例えば、siNA構築物のアンチセンス領域を含む。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含み、ここで、アンチセンス鎖は標的蛋白質をコードするRNA配列又はその一部に相補的であり、前記siNAはさらに約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを有するセンス鎖を含み、前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖は、各鎖の少なくとも約15ヌクレオチドが他方の鎖に相補的である別々のヌクレオチド配列を有する。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを有するアンチセンス領域を含み、ここで、アンチセンス領域は、標的蛋白質をコードするRNA配列に相補的であり、前記siNAはさらに約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを有するセンス領域を含み、前記センス領域及び前記アンチセンス領域は、センス領域がアンチセンス領域に相補的な少なくとも約15ヌクレオチドを含む直鎖状分子に含まれる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子によりコードされるRNAの発現を調節するRNAi活性を有する。標的遺伝子は互いにある程度の配列ホモロジーを共有することができるため、siNA分子は、異なる標的の間で共有されている配列、或いは、特定の標的にユニークな配列を選択することにより、一群の標的遺伝子、或いは、特定の標的遺伝子(例えば、多型変異体)を標的とするよう設計してもよい。したがって、1つの実施態様においては、siNA分子は、1つのsiNA分子で一群の標的遺伝子を標的とするように、いくつかの標的遺伝子変異体の間でホモロジーを有する標的RNA配列の保存領域を標的とするよう設計することができる。したがって、1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、患者において一方又は両方の標的対立遺伝子の発現を調節する。別の実施態様においては、RNAi活性を媒介するためにsiNA分子が必要とする高度の特異性のため、siNA分子は、特定の標的RNA配列(例えば、単一の標的対立遺伝子又は標的一塩基多型(SNP))にユニークな配列を標的とするよう設計することができる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は二本鎖である。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、オリゴヌクレオチド間に約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む約15〜約30塩基対を含む二本鎖核酸分子からなる。さらに別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、約1〜約3(例えば、約1、2、又は3)ヌクレオチドのオーバーハング末端を有する二本鎖核酸分子、例えば、約19塩基対及び3’末端のモノヌクレオチド、ジヌクレオチド、又はトリヌクレオチドオーバーハング部分を有する約21−ヌクレオチド二本鎖を含む。さらに別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、平滑末端を有する二本鎖核酸分子を含み、ここで、両方の末端が平滑であってもよく、或いは一方の末端が平滑であってもよい。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的蛋白質を発現する核酸分子、例えば標的蛋白質をコードするRNAに対して特異性を有する。1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、RNAに基づき(例えば、2’−OHヌクレオチドを含むsiNA)、1つ又はそれ以上の化学修飾、例えば本明細書に記載されるようなものを含む。そのような化学修飾の非限定的例としては、限定されないが、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「普遍塩基」ヌクレオチド、「非環状」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、及び末端グリセリル及び/又は逆位デオキシ脱塩基残基の取り込みが挙げられる。これらの化学修飾は、種々のsiNA構築物(例えば、RNAに基づくsiNA構築物)中で用いたときに、細胞中でRNAi活性を維持しながら、同時にこれらの化合物の血清安定性を劇的に増加させることが示されている。さらに、Parrishら(上掲)に公表されるデータに反して、本願出願人は、多数(2つ以上)のホスホロチオエート置換が充分に許容され、修飾siNA構築物の血清安定性を実質的に増加させることを示す。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、RNAiを媒介する能力を維持しながら、修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドを用いて、インビトロ又はインビボでの特性、例えば、安定性、活性、及び/又は生物利用性を改良することができる。例えば、本発明のsiNA分子は、siNA分子中に存在するヌクレオチドの総数のパーセンテージとして修飾ヌクレオチドを含むことができる。すなわち、本発明のsiNA分子は、一般に、約5%〜100%の修飾ヌクレオチド(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)を含むことができる。所定のsiNA分子中に存在する修飾ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、siNA中に存在するヌクレオチドの総数によって異なりうる。siNA分子が一本鎖である場合、修飾のパーセントは一本鎖siNA分子中に存在するヌクレオチドの総数に基づくことができる。同様に、siNA分子が二本鎖である場合、修飾のパーセントは、センス鎖、アンチセンス鎖、又はセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方中に存在するヌクレオチドの総数に基づくことができる。
本発明の1つの側面は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、二本鎖siNA分子は、1つ又はそれ以上の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約21ヌクレオチドの長さである。1つの実施態様においては、二本鎖siNA分子はリボヌクレオチドを含まない。別の実施態様においては、二本鎖siNA分子は1つ又はそれ以上のリボヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含み、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチドに相補的な約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第2の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に実質的に類似するヌクレオチド配列を含む。
別の実施態様においては、本発明は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域、及び標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に実質的に類似するヌクレオチド配列を含むセンス領域を含む、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とする。1つの実施態様においては、アンチセンス領域及びセンス領域は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含み、アンチセンス領域はセンス領域のヌクレオチドに相補的な約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。
別の実施態様においては、本発明は、センス領域及びアンチセンス領域を含む、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、アンチセンス領域は標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域はアンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、平滑末端、すなわち、オーバーハングするヌクレオチドを含まない末端を含む。例えば、米国特許出願第10/444,853号明細書(2003年5月23日出願)、米国特許出願第10/923,536号明細書(2004年8月20日出願)、又は米国特許出願第11/234,730号明細書(2005年9月23日出願)(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される修飾、又はそれらの任意の組み合わせ、及び/又は本明細書に記載される任意の長さのものを含むsiNA分子は、平滑末端又はオーバーハングするヌクレオチドを有しない末端を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明の任意のsiNA分子は、1つ又はそれ以上の平滑末端(すなわち、平滑末端はオーバーハングするヌクレオチドを有しない)を含むことができる。1つの実施態様においては、平滑末端のsiNA分子は、siNA分子の各鎖に存在するヌクレオチドの数と等しい塩基対数を有する。別の実施態様においては、siNA分子は1つの平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の5’末端及びセンス鎖の3’末端はオーバーハングするヌクレオチドを有しない。別の例においては、siNA分子は1つの平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の3’末端とセンス鎖の5’末端とはオーバーハングするヌクレオチドを有しない。別の例においては、siNA分子は2つの平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の3’末端とセンス鎖の5’末端並びにアンチセンス鎖の5’末端とセンス鎖の3’末端は、オーバーハングするヌクレオチドを有しない。平滑末端化siNA分子は、例えば、約15〜約30ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチド)を含むことができる。平滑末端化siNA分子中に存在する他のヌクレオチドは、siNA分子がRNA干渉を媒介する活性を調節するために、例えば、ミスマッチ、バルジ、ループ、又はゆらぎ塩基対を含むことができる。
「平滑末端」とは、対称な末端、又はオーバーハングするヌクレオチドを有しない二本鎖siNA分子の末端を意味する。二本鎖siNA分子の2つの鎖は、末端でオーバーハングするヌクレオチドを含むことなく互いに整列する。例えば、平滑末端化siNA構築物は、siNA分子のセンス領域とアンチセンス領域との間で相補的な末端ヌクレオチドを含む。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子は、2つの別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、ここで、一方の断片はsiNA分子のセンス領域を含み、第2の断片はアンチセンス領域を含む。センス領域はアンチセンス領域にリンカー分子、例えばポリヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーを介して連結することができる。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子は、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)塩基対を含み、siNA分子の各鎖は1つ又はそれ以上の化学修飾を含む。別の実施態様においては、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第2の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に類似するヌクレオチド配列を含む。別の実施態様においては、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第2の鎖は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に実質的に類似するヌクレオチド配列を含む。別の実施態様においては、siNA分子の各鎖は、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含み、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。
本明細書に記載されるいずれの実施態様においても、本発明のsiNA分子は、リボヌクレオチドを含まなくてもよい。或いは、本発明のsiNA分子は1つ又はそれ以上のリボヌクレオチドを含んでもよい。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含み、siNAはさらに、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に実質的に類似するヌクレオチド配列を含むセンス領域を含む。別の実施態様においては、アンチセンス領域及びセンス領域はそれぞれ、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含み、アンチセンス領域は、センス領域のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。標的遺伝子は、例えば、国際公開第03/74654号パンフレット、PCT/US03/05028又は米国特許出願第10/923,536号明細書にGenbank受託番号で参照される配列を含むことができる。別の実施態様においては、siNAは二本鎖核酸分子であり、siNA分子の2つの鎖のそれぞれは、独立して、約15〜約40(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、23、33、34、35、36、37、38、39、又は40)ヌクレオチドを含み、siNA分子の一方の鎖は、標的遺伝子の核酸配列又はその一部に相補的な少なくとも約15(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域及びアンチセンス領域を含み、ここで、アンチセンス領域は、標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列又はその一部を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。1つの実施態様においては、siNA分子は2つの別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられており、ここで、一方の断片はsiNA分子のセンス領域を含み、第2の断片はアンチセンス領域を含む。別の実施態様においては、センス領域は、リンカー分子を介してアンチセンス領域に連結されている。別の実施態様においては、センス領域は、リンカー分子、例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーを介してアンチセンス領域に連結されている。標的遺伝子は、例えば、国際公開第03/74654号パンフレット、PCT/US03/05028又は米国特許出願第10/923,536号明細書において参照されるか又は当該技術分野において知られる他の配列を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域及びアンチセンス領域を含み、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、アンチセンス領域は、標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列又はその一部を含み、センス領域はアンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含み、siNA分子は1つ又はそれ以上の修飾ピリミジン及び/又はプリンヌクレオチドを有する。1つの実施態様においては、センス領域のピリミジンヌクレオチドは2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の実施態様においては、センス領域のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。別の実施態様においては、センス領域のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、アンチセンス領域のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチル又は2’−デオキシプリンヌクレオチドである。上述したsiNA分子のいずれかの別の実施態様においては、センス鎖の非相補的領域(例えば、オーバーハング領域)に存在する任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子は、2つの別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、一方の断片はsiNA分子のセンス領域を含み、第2の断片はアンチセンス領域を含み、センス領域を含む断片は、断片の5’末端、3’末端、又は5’末端及び3’末端の両方に末端キャップ部分を含む。1つの実施態様においては、末端キャップ部分は、逆位デオキシ脱塩基部分又はグリセリル部分である。1つの実施態様においては、siNA分子の2つの断片のそれぞれは、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。別の実施態様においては、siNA分子の2つの断片のそれぞれは、独立して、約15〜約40(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、23、33、34、35、36、37、38、39、又は40)ヌクレオチドを含む。非限定的例においては、siNA分子の2つの断片のそれぞれは約21ヌクレオチドを含む。
1つの実施態様においては、本発明は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。siNAは、例えば、約15〜約40ヌクレオチドの長さであることができる。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の実施態様においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−フルオロシチジン及び少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのウリジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのシチジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのアデノシンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのグアノシンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAはさらに、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合、例えば、ホスホロチオエート結合を含むことができる。1つの実施態様においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、リボヌクレアーゼによる切断に感受性を有するsiNA中の特に選択された位置、例えばピリミジンヌクレオチドを有する位置に存在する。
1つの実施態様においては、本発明は、リボヌクレアーゼによる切断に対する本発明のsiNA分子の安定性を増加させる方法を特徴とし、この方法は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドをsiNA分子に導入する工程を含み、ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の実施態様においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−フルオロシチジン及び少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのウリジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのシチジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのアデノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNAに存在する全てのグアノシンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAはさらに、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合、例えばホスホロチオエート結合を含むことができる。1つの実施態様においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、リボヌクレアーゼによる切断に感受性を有するsiNA中の特に選択された位置、例えばピリミジンヌクレオチドを有する位置に存在する。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域及びアンチセンス領域を含み、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、アンチセンス領域は標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域はアンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含み、アンチセンス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシ−プリンヌクレオチドを含む。別の実施態様においては、アンチセンス領域に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。上述の実施態様のいずれにおいても、アンチセンス領域は、アンチセンス領域の3’末端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。或いは、上述の実施態様のいずれにおいても、アンチセンス領域は、アンチセンス領域の3’末端にグリセリル修飾を含むことができる。上述のいずれかのsiNA分子の別の実施態様においては、アンチセンス鎖の非相補的領域(例えば、オーバーハング領域)に存在する任意のヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、特定の標的疾患に関連する対立遺伝子にユニークな配列、例えば、疾患特異的対立遺伝子に関連する一塩基多型(SNP)を含む配列を有する標的転写産物の一部に相補的な配列を含む。そのように、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、特定の対立遺伝子にユニークな配列に相補的な配列を含み、疾患、状態又は形質に関連する対立遺伝子に対して選択的RNAiを媒介する特異性を与えることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、標的遺伝子の発現をダウンレギュレートする二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、ここで、siNA分子は、2つの別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられており、一方の断片はsiNA分子のセンス領域を含み、第2の断片はアンチセンス領域を含む。別の実施態様においては、siNA分子は二本鎖核酸分子であり、各鎖は約21ヌクレオチドの長さであり、siNA分子の各断片の約19ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成し、siNA分子の各断片の少なくとも2つの3’末端ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対形成しない。別の実施態様においては、siNA分子は二本鎖核酸分子であり、各鎖は約19ヌクレオチドの長さであり、siNA分子の各断片のヌクレオチドはsiNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成して、少なくとも約15(例えば、15、16、17、18、又は19)塩基対を形成し、siNA分子の一方又は両方の末端は平滑末端である。1つの実施態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’末端ヌクレオチドのそれぞれは2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチド、例えば2’−デオキシ−チミジンである。別の実施態様においては、siNA分子の各断片の全てのヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成する。別の実施態様においては、siNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を有する約19〜約25塩基対の二本鎖核酸分子であり、アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。別の実施態様においては、アンチセンス領域の約21ヌクレオチドは、標的遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。上述の実施態様のいずれにおいても、前記アンチセンス領域を含む断片の5’末端は、任意にリン酸基を含むことができる。
本明細書に記載されるいずれの実施態様においても、本発明のsiNA分子は、表Iに示されるか又はPCT/US2004/106390(WO05/19453)、米国特許出願第10/444,853号明細書(2003年5月23日出願)、米国特許出願第10/923,536号明細書(2004年8月20日出願)、米国特許出願第11/234,730号明細書(2005年9月23日出願)又は米国特許出願第11/299,254号明細書(2005年12月8日出願)(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される安定化化学の1つ又はそれ以上を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、標的RNA配列(例えば、前記標的RNA配列は標的経路に関与する標的遺伝子によりコードされる)の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、siNA分子はリボヌクレオチドを含まず、二本鎖siNA分子の各鎖は約15〜約30ヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNA分子は21ヌクレオチドの長さである。非リボヌクレオチド含有siNA構築物の例は、PCT/US2004/106390(WO05/19453)、米国特許出願第10/444,853号明細書(2003年5月23日出願)、米国特許出願第10/923,536号明細書(2004年8月20日出願)、米国特許出願第11/234,730号明細書(2005年9月23日出願)又は米国特許出願第11/299,254号明細書(2005年12月8日出願)(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される安定化化学の組み合わせである。
1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉により標的RNAの切断を指示する化学的に合成された二本鎖RNA分子を含む処方siNA組成物を特徴とし、前記RNA分子の各鎖は約15〜約30ヌクレオチドの長さであり;RNA分子の一方の鎖は、標的RNAに対して、RNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含み;RNA分子の少なくとも一方の鎖は、本明細書に記載される1つ又はそれ以上の化学的に修飾されたヌクレオチド、例えば、限定されないが、デオキシヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド等を含んでもよい。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の処方siNA組成物を薬学的に許容されうる担体又は希釈剤中に含む組成物を特徴とする。
1つの実施態様においては、本発明は、標的RNA配列の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、siNA分子は、リボヌクレオチドを含まず、二本鎖siNA分子の各鎖は約15〜約30ヌクレオチドである。1つの実施態様においては、siNA分子は21ヌクレオチドの長さである。非リボヌクレオチド含有siNA構築物の例は、センス/アンチセンス化学の任意の組み合わせである、表Iに示される安定化化学の組み合わせ、例えば、Stab7/8、Stab7/11、Stab8/8、Stab18/8、Stab18/11、Stab12/13、Stab7/13、Stab18/13、Stab7/19、Stab8/19、Stab18/19、Stab7/20、Stab8/20、Stab18/20、Stab7/32、Stab8/32、又はStab18/32(例えば、Stab7、8、11、12、13、14、15、17、18、19、20、又は32のセンス又はアンチセンス鎖又はこれらの任意の組み合わせを有する任意のsiNA)である。ここで、多くのStab化学は、表Iに示される化学の2’−フルオロ及び2’−OCF3バージョンの両方を含むことができる。例えば、「Stab7/8」とは、Stab7/8とStab7F/8F等の両方を表す。1つの実施態様においては、本発明は、RNA干渉により標的RNAの切断を指示する、化学的に合成された二本鎖RNA分子を特徴とし、前記RNA分子の各鎖は約15〜約30ヌクレオチドの長さであり;RNA分子の一方の鎖は、標的RNAに対して、RNA分子がRNA干渉により標的RNAの切断を指示するのに十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含み;RNA分子の少なくとも一方の鎖は、本明細書に記載される1つ又はそれ以上の化学的に修飾されたヌクレオチド、例えば、限定されないが、デオキシヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド等を含んでもよい。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、化学修飾は、式I:
[式中、各R1及びR2は、独立して、任意のヌクレオチド、非ヌクレオチド、又はポリヌクレオチドであり、これらは天然のものであっても、化学的に修飾されたものであってもよく、各X及びYは、独立して、O、S、N、アルキル、又は置換アルキルであり、各Z及びWは、独立して、O、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリール、アラルキル、又はアセチルであり、W、X、Y、及びZは、任意に、すべてがOではない]
を有する主鎖修飾ヌクレオチド間結合を含む1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。別の実施態様においては、本発明の主鎖修飾は、ホスホノアセテート及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含む(例えば、Sheehan et al.,2003,Nucleic Acids Research,31,4109−4118を参照)。
例えば、任意のZ、W、X、及び/又はYが、独立して、イオウ原子を含む、式Iを有する化学的に修飾されたヌクレオチド間結合は、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に存在していてもよい。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に式Iを有する1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の化学的に修飾されたヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に式Iを有する約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の化学的に修飾されたヌクレオチド間結合を含むことができる。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に式Iを有する化学的に修飾されたヌクレオチド間結合を有する1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のピリミジンヌクレオチドを含むことができる。さらに別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に式Iを有する化学的に修飾されたヌクレオチド間結合を有する1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のプリンヌクレオチドを含むことができる。別の実施態様においては、式Iのヌクレオチド間結合を有する本発明のsiNA分子はまた、式I−VIIのいずれかを有する化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、化学修飾は、式II:
[式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12は、独立して、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール又はアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、又は式I若しくはIIを有する基であり;R9は、O、S、CH2、S=O、CHF、又はCF2であり、Bは、ヌクレオシド性塩基、例えば、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、又は標的RNAに対して相補的であっても相補的でなくてもよい、任意の他の非天然の塩基、又は、非ヌクレオシド性塩基、例えば、フェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノン、又は標的RNAに対して相補的であっても相補的でなくてもよい他の任意の非天然の普遍塩基である]
を有する1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、R3及び/又はR7はコンジュゲート部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。コンジュゲート部分の非限定的例としては、細胞受容体のリガンド、例えば天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば、細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えば、PEI、スペルミン又はスペルミジンが挙げられる。
式IIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドは、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖に、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に存在することができる。本発明のsiNA分子は、式IIの1個又はそれ以上の化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に含むことができる。例えば、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に、約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の式IIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含むことができる。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に、約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の式IIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、化学修飾は、式III:
[式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12は、独立して、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール又はアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、又は式I若しくはIIを有する基であり;R9は、O、S、CH2、S=O、CHF、又はCF2であり、Bは、ヌクレオシド性塩基、例えば、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、又は、標的RNAに相補的であるように若しくは相補的でないように用いることができる任意の他の非天然の塩基、又は非ヌクレオシド性塩基、例えば、フェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノン、又は標的RNAに相補的であっても相補的でなくてもよい任意の他の非天然の普遍塩基である]
を有する1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、R3及び/又はR7はコンジュゲート部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。コンジュゲート部分の非限定的例としては、細胞受容体のリガンド、例えば天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えばPEI、スペルミン又はスペルミジンが挙げられる。
式IIIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドは、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖に、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に存在することができる。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に、式IIIの1つ又はそれ以上の化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含むことができる。例えば、本発明のsiNA分子の一例は、約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の、式IIIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に含むことができる。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の、式IIIの化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に含むことができる。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、式II又はIIIを有するヌクレオチドを含み、式II又はIIIを有するヌクレオチドは、逆位構造である。例えば、式II又はIIIを有するヌクレオチドは、siNA構築物に3’−3’、3’−2’、2’−3’、又は5’−5’構造で、例えば、一方又は両方のsiNA鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に連結されている。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、化学修飾は、式IV:
[式中、各X及びYは、独立して、O、S、N、アルキル、置換アルキル、又はアルキルハロであり;各Z及びWは、独立して、O、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリール、アラルキル、アルキルハロ、又はアセチルであり;W、X、Y及びZのすべてがOではない]
を有する5’末端リン酸基を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、標的相補鎖、例えば標的RNAに相補的な鎖に式IVを有する5’末端リン酸基を有するsiNA分子を特徴とし、siNA分子は全RNAのsiNA分子を含む。別の実施態様においては、本発明は、標的相補鎖に式IVを有する5’末端リン酸基を有するsiNA分子を特徴とし、siNA分子はまた、一方又は両方の鎖の3’末端に約1〜約4個(例えば、約1、2、3、又は4個)のデオキシリボヌクレオチドを有する約1〜約3個(例えば、約1、2、又は3個)のヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施態様においては、式IVを有する5’末端リン酸基は、本発明のsiNA分子、例えば式I−VIIのいずれかを有する化学修飾を有するsiNA分子の標的相補鎖に存在する。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、化学修飾は1つ又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。例えば、非限定的例においては、本発明は、一方のsiNA鎖に約1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。さらに別の実施態様においては、本発明は、両方のsiNA鎖に、独立して、約1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖に、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に存在することができる。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に、1個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に、約1〜約5個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個、又はそれ以上)の連続するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に、1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。さらに別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子の一例は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖に、1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、センス鎖が、1個又はそれ以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ及び/又は約1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含み;アンチセンス鎖が、約1〜約10個又はそれ以上、特に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子を特徴とする。別の実施態様においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個又はそれ以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学的に修飾されており、さらに、同じ又は異なる鎖に存在する、1個又はそれ以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を有していても有していなくてもよい。
別の実施態様においては、本発明は、センス鎖が、約1〜約5個、特に約1、2、3、4、又は5個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にセンス鎖の3末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含み;アンチセンス鎖が、約1〜約5個又はそれ以上、特に約1、2、3、4、5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子を特徴とする。別の実施態様においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個又はそれ以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学的に修飾されており、さらに、同じ又は異なる鎖に存在する、約1〜約5個又はそれ以上、例えば約1、2、3、4、5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を有していても有していなくてもよい。
1つの実施態様においては、本発明は、アンチセンス鎖が、1個又はそれ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は約1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含み;アンチセンス鎖が、約1〜約10個又はそれ以上、特に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子を特徴とする。別の実施態様においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個又はそれ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学的に修飾されており、さらに、同じ又は異なる鎖に存在する、1個又はそれ以上、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を有していても有していなくてもよい。
別の実施態様においては、本発明は、アンチセンス鎖が、約1〜約5個又はそれ以上、特に約1、2、3、4、5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含み;アンチセンス鎖は、約1〜約5個又はそれ以上、特に約1、2、3、4、5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は1個若しくはそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の普遍塩基修飾ヌクレオチドを含み、任意にアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子を特徴とする。別の実施態様においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個又はそれ以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学的に修飾されており、さらに、同じ又は異なる鎖に存在する、約1〜約5個、例えば約1、2、3、4、5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に末端キャップ分子を有していても有していなくてもよい。
1つの実施態様においては、本発明は、siNA分子の各鎖に、約1〜約5個又はそれ以上(特に、約1、2、3、4、5個又はそれ以上)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。
別の実施態様においては、本発明は、2’−5’ヌクレオチド間結合を含むsiNA分子を特徴とする。2’−5’ヌクレオチド間結合は、一方又は両方のsiNA配列鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方にあってもよい。さらに、2’−5’ヌクレオチド間結合は、一方又は両方のsiNA配列鎖中の種々の他の位置に存在していてもよく、例えば、siNA分子の一方又は両方の鎖のピリミジンヌクレオチドの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上、例えばすべてのヌクレオチド間結合は2’−5’ヌクレオチド間結合を含んでいてもよく、又はsiNA分子の一方又は両方の鎖のプリンヌクレオチドの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上、例えばすべてのヌクレオチド間結合は2’−5’ヌクレオチド間結合を含んでいてもよい。
別の実施態様においては、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子は、2つの鎖を有する二本鎖を含み、その一方又は両方は化学的に修飾することができ、ここで各鎖は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドの長さであり、二本鎖は約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)塩基対を有し、化学修飾は、式I−VIIのいずれかを有する構造を含む。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、2つの鎖を有する二本鎖を含み、その一方又は両方は化学的に修飾することができ、化学修飾は式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有し、各鎖は約21ヌクレオチドからなり、それぞれ2−ヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有し、二本鎖は約19塩基対を有する。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、一本鎖ヘアピン構造を含み、siNAは約36〜約70(例えば、約36、40、45、50、55、60、65、又は70)ヌクレオチドの長さであり、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)塩基対を有し、siNAは式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する化学修飾で化学的に修飾された、約42〜約50(例えば、約42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)ヌクレオチドを有する直鎖状オリゴヌクレオチドを含み、直鎖状オリゴヌクレオチドは約19〜約21(例えば、19、20、又は21)塩基対及び2−ヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有するヘアピン構造を形成する。別の実施態様においては、本発明の直鎖状ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生物分解性である。例えば、本発明の直鎖状ヘアピンsiNA分子は、siNA分子のループ部分のインビボでの分解により、3’末端オーバーハング、例えば、約2ヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有する二本鎖siNA分子が生ずるように設計される。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子はヘアピン構造を含み、siNAは約25〜約50(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)ヌクレオチドの長さであり、約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)塩基対を有し、siNAは式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む1つ又はそれ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する1つ又はそれ以上の化学修飾で化学的に修飾された約25〜約35(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35)ヌクレオチドを有する直鎖状オリゴヌクレオチドを含み、直鎖状オリゴヌクレオチドは、約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)塩基対及び本明細書に記載されるように化学的に修飾されていてもよい5’末端リン酸基(例えば、式IVを有する5’末端リン酸基)を有するヘアピン構造を形成する。別の実施態様においては、本発明の直鎖状ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生物分解性である。1つの実施態様においては、本発明の直鎖状ヘアピンsiNA分子は非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、非対称ヘアピン構造を含み、siNAは約25〜約50(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)ヌクレオチドの長さであり、約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)塩基対を有し、siNAは、式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む1つ又はそれ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する1つ又はそれ以上の化学修飾で化学的に修飾された約25〜約35(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35)ヌクレオチドを有する直鎖状オリゴヌクレオチドを含み、直鎖状オリゴヌクレオチドは、約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)塩基対及び本明細書に記載されるように化学的に修飾されていてもよい5’末端リン酸基(例えば、式IVを有する5’末端リン酸基)を有する非対称ヘアピン構造を形成する。1つの実施態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生物分解性である。別の実施態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を含む別々のポリヌクレオチド鎖を有する非対称二本鎖構造を含み、アンチセンス領域は約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドの長さであり、センス領域は約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチドの長さであり、センス領域及びアンチセンス領域は少なくとも3つの相補的ヌクレオチドを有し、siNAは式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む1つ又はそれ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、センス領域及びアンチセンス領域を含む別々のポリヌクレオチド鎖を有する非対称二本鎖構造を含み、アンチセンス領域は約18〜約23(例えば、約18、19、20、21、22、又は23)ヌクレオチドの長さであり、センス領域は約3〜約15(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)ヌクレオチドの長さであり、センス領域及びアンチセンス領域は少なくとも3つの相補的ヌクレオチドを有し、siNAは式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む1つ又はそれ以上の化学修飾を含むことができる。別の実施態様においては、非対称二本鎖siNA分子はまた、本明細書に記載されるように化学的に修飾されていてもよい5’末端リン酸基(例えば式IVを有する5’末端リン酸基)を有することができる。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、環状核酸分子を含み、siNAは約38〜約70(例えば、約38、40、45、50、55、60、65、又は70)ヌクレオチドの長さであり、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)塩基対を有し、siNAは式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する構造を含む化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の化学的に修飾されたsiNA分子の一例は、式I−VIIのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを有する化学修飾で化学的に修飾された約42〜約50(例えば、約42、43、44、45、46、47、48、49、又は50)ヌクレオチドを有する環状オリゴヌクレオチドを含み、環状オリゴヌクレオチドは、約19塩基対及び2つのループを有するダンベル形状の構造を形成する。
別の実施態様においては、本発明の環状siNA分子は、2つのループモチーフを含み、siNA分子の一方又は両方のループ部分は生物分解性である。例えば、本発明の環状siNA分子は、siNA分子のループ部分のインビボにおける分解により3’末端オーバーハング、例えば約2ヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有する二本鎖siNA分子が生ずるように設計される。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は少なくとも1つ(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の脱塩基部分、例えば、式V:
[式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、及びR13は、独立して、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール又はアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、又は式I若しくはIIを有する基であり;R9は、O、S、CH2、S=O、CHF、又はCF2である]
を有する化合物を含む。1つの実施態様においては、R3及び/又はR7は、コンジュゲート部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。コンジュゲート部分の非限定的例としては、細胞受容体のリガンド、例えば天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えば、PEI、スペルミン又はスペルミジンが挙げられる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも1つ(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の逆位脱塩基部分、例えば、式VI:
[式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、及びR13は、独立して、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール又はアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、又は式I若しくはIIを有する基であり;R9は、O、S、CH2、S=O、CHF、又はCF2であり、R2、R3、R8又はR13のいずれかは本発明のsiNA分子への結合点として働く]
を有する化合物を含む。1つの実施態様においては、R3及び/又はR7は、コンジュゲート部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。コンジュゲート部分の非限定的例としては、細胞受容体のリガンド、例えば天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えばPEI、スペルミン又はスペルミジンが挙げられる。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも1つ(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の置換ポリアルキル部分、例えば、式VII:
[式中、各nは、独立して、1〜12の整数であり、各R1、R2及びR3は、独立して、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール又はアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、又は式Iを有する基であり、R1、R2又はR3は、本発明のsiNA分子への結合点として働く]
を有する化合物を含む。1つの実施態様においては、R3及び/又はR1は、コンジュゲート部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。コンジュゲート部分の非限定的例としては、細胞受容体のリガンド、例えば天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えばPEI、スペルミン又はスペルミジンが挙げられる。
「ZIPコード」配列とは、細胞局所的(topogenic)シグナル伝達媒介性輸送(例えば、Ray et al.,2004,Science,306(1501):1505を参照)に関与する任意のペプチド又は蛋白質配列を意味する。
別の実施態様においては、本発明は、式VIIを有する化合物を特徴とし、式中、R1及びR2はヒドロキシル(OH)基であり、nは1であり、R3はOを含み、これは本発明の二本鎖siNA分子の一方又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方への、又は本発明の一本鎖siNA分子への結合点である。この修飾は本明細書において「グリセリル」と称される。
別の実施態様においては、本発明の化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIのいずれかを有する部分)は、本発明のsiNA分子の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に存在する。例えば、化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIを有する部分)は、siNA分子のアンチセンス鎖、センス鎖、又はアンチセンス鎖及びセンス鎖の両方の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に存在することができる。1つの実施態様においては、化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIを有する成分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端並びにアンチセンス鎖の3’末端に存在する。1つの実施態様においては、化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIを有する部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端の末端位置並びにアンチセンス鎖の3’末端に存在する。1つの実施態様においては、化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIを有する部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端の2つの末端位置並びにアンチセンス鎖の3’末端に存在する。1つの実施態様においては、化学的に修飾されたヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIを有する部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端から2番目の位置並びにアンチセンス鎖の3’末端に存在する。さらに、式VIIを有する部分が本明細書に記載されるヘアピンsiNA分子の3’末端又は5’末端に存在していてもよい。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、式V又はVIを有する脱塩基残基を含み、式VI又はVIを有する脱塩基残基は、siNA構築物に、3’−3’、3’−2’、2’−3’、又は5’−5’構造で、例えば、一方又は両方のsiNA鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に連結されている。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)のロック核酸(LNA)ヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端、3’末端、5’末端及び3’末端の両方、又はこれらの任意の組み合わせの位置に含む。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の4’−チオヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端、3’末端、5’末端及び3’末端の両方、又はこれらの任意の組み合わせの位置に含む。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上)の非環状ヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端、3’末端、5’末端及び3’末端の両方、又はこれらの任意の組み合わせの位置に含む。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。
1つの実施態様においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの実施態様においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。
1つの実施態様においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)、前記アンチセンス領域に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの実施態様においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。
1つの実施態様においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、アンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、及びアンチセンス領域に存在する任意の(例えば、1つ又はそれ以上の又は全ての)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる本発明の化学的に修飾された低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、この核酸分子は、センス領域を含み、このセンス領域に存在する1つ又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する1つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)、またこの核酸分子は、アンチセンス領域を含み、このアンチセンス領域に存在する1つ又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する1つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。センス領域及び/又はアンチセンス領域は、センス及び/又はアンチセンス配列の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に任意に存在する末端キャップ修飾を有していてもよい。センス及び/又はアンチセンス領域はさらに、約1〜約4個(例えば、約1、2、3、又は4個)の2’−デオキシヌクレオチドを有する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有していてもよい。オーバーハングヌクレオチドはさらに、1つ又はそれ以上の(例えば、約1、2、3、4個又はそれ以上)のホスホロチオエート、ホスホノアセテート、及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含むことができる。これら記載の実施態様のいずれかにおいて、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは、或いは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)、及びアンチセンス領域に存在する1つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。また、これらの実施態様のいずれかにおいて、センス領域に存在する1つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは、或いは、プリンリボヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。さらに、これらの実施態様のいずれかにおいて、センス領域に存在するか、及び/又はアンチセンス領域に存在する1つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−デオキシヌクレオチド、ロック核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択される(例えば、全てのプリンヌクレオチドが、2’−デオキシヌクレオチド、ロック核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択されるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシヌクレオチド、ロック核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択される)。
別の実施態様においては、本発明のsiNA分子に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、好ましくは、本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖に存在するが、任意にセンス及び/又はアンチセンス鎖とセンス鎖との両方に存在していてもよく、これは天然のリボヌクレオチドと類似する特性又は特徴を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、ノーザンコンフォメーション(例えば、ノーザン擬回転サイクル、例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed.,1984を参照)を有する修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。このように、本発明のsiNA分子に存在する化学的に修飾されたヌクレオチドは、好ましくは、本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖に存在するが、任意にセンス及び/又はアンチセンス鎖とセンス鎖の両方に存在してもよく、これはヌクレアーゼ分解に対して耐性であり、同時にRNAiを媒介する能力を保持している。ノーザンコンフィギュレーションを有するヌクレオチドの非限定的例としては、ロック核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド);2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド;2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドが挙げられる。
1つの実施態様においては、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖は、センス鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に、末端キャップ部分、例えば、逆位デオキシ脱塩基部分を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞内で又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる化学的に修飾された低分子干渉核酸分子(siNA)を特徴とし、ここで、化学修飾は、化学的に修飾されたsiNA分子に共有結合されたコンジュゲートを含む。本発明により意図されるコンジュゲートの非限定的例としては、Vargeeseら、米国特許出願第10/427,160号明細書(2003年4月30日出願)(図面を含めその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるコンジュゲート及びリガンドが挙げられる。別の実施態様においては、コンジュゲートは、生物分解性リンカーを介して化学的に修飾されたsiNA分子に共有結合されている。1つの実施態様においては、コンジュゲート分子は、化学的に修飾されたsiNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に結合している。別の実施態様においては、コンジュゲート分子は、化学的に修飾されたsiNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に結合している。さらに別の実施態様においては、コンジュゲート分子は、化学的に修飾されたsiNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端及び5’末端の両方又はこれらの任意の組み合わせに結合している。1つの実施態様においては、本発明のコンジュゲート分子は、化学的に修飾されたsiNA分子の生物学的システム、例えば細胞への送達を容易にする分子を含む。別の実施態様においては、化学的に修飾されたsiNA分子に結合したコンジュゲート分子は、細胞受容体のリガンド、例えば、天然の蛋白質リガンドに由来するペプチド;蛋白質局在化配列、例えば細胞ZIPコード配列;抗体;核酸アプタマー;ビタミン及び他の補因子、例えば葉酸及びN−アセチルガラクトサミン;ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);リン脂質;コレステロール;ステロイド、及びポリアミン、例えば、PEI、スペルミン又はスペルミジンである。化学的に修飾されたsiNA分子に結合することができる、本発明により意図される特異的コンジュゲート分子の例は、Vargeeseら、米国特許出願第10/201,394号明細書(2002年7月22日出願)(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。使用されるコンジュゲートのタイプ及び本発明のsiNA分子のコンジュゲートの程度は、同時にsiNAがRNAi活性を媒介する能力を維持しながら、siNA構築物の改良された薬物動態学的プロファイル、生物利用性、及び/又は安定性について評価することができる。そのように、当業者は、種々のコンジュゲートで修飾されたsiNA構築物をスクリーニングして、例えば、当該技術分野において一般に知られるような動物モデルにおいて、siNAコンジュゲート複合体がRNAiを媒介する能力を維持しながら、改良された特性を有するか否かを判定することができる。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、siNAはさらに、siNAのセンス領域をsiNAのアンチセンス領域と連結するヌクレオチド、非ヌクレオチド、又は混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを含む。1つの実施態様においては、ヌクレオチド、非ヌクレオチド、又は混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーは、例えば、コンジュゲート部分をsiNAに結合させるために用いる。1つの実施態様においては、本発明のヌクレオチドリンカーは、2ヌクレオチド以上の長さ、例えば、約3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドの長さのリンカーでありうる。別の実施態様においては、ヌクレオチドリンカーは核酸アプタマーでありうる。
さらに別の実施態様においては、本発明の非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、又は他のポリマー性化合物(例えば、ポリエチレングリコール、例えば、2〜100個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール)を含む。特定の例としては、Seela and Kaiser,Nucleic Acid Res.1990,18:6353及びNucleic Acid Res.1987,15:3113;Cload and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.1991,113:6324;Richardson and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.1991,113:5109;Ma et al.,Nucleic Acid Res.1993,21:2585及びBiochemistry 1993,32:1751;Durand et al.,Nucleic Acid Res.1990,18:6353;McCurdy et al.,Nucleosides & Nucleotides 1991,10:287;Jschke et al.,Tetrahedron Lett.1993,34:301;Ono et al.,Biochemistry 1991,30:9914;Arnold et al.,国際公開第89/02439号パンフレット;Usman et al.,国際公開第95/06731号パンフレット;Dudycz et al.,国際公開第95/11910号パンフレット及びFerentz and Verdine,J.Am.Chem.Soc.1991,113:4000(全て参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるものが含まれる。「非ヌクレオチド」はさらに、1つ又はそれ以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖中に取り込ませることができ(例えば糖及び/又はリン酸の置換を含む)、残りの塩基がその酵素活性を示すことができる任意の基又は化合物を意味する。基又は化合物は、一般に認識されているヌクレオチド塩基、例えば、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル又はチミンを、例えば糖のC1位に含まないという点において、脱塩基であってもよい。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞又は再構成されたインビトロ系でRNA干渉(RNAi)を媒介しうる低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、2つの別々のオリゴヌクレオチドから組み立てられたsiNA分子の一方又は両方の鎖は、リボヌクレオチドを含まない。例えば、siNA分子は、単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、ここで、siNAのセンス領域及びアンチセンス領域は、オリゴヌクレオチド中にリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まない別々のオリゴヌクレオチドを含む。別の例においては、siNA分子は単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、ここで、siNAのセンス領域及びアンチセンス領域は、本明細書に記載されるヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーにより連結されているか又は環状化されており、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド中にリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まない。本出願人は、驚くべきことに、siNA分子中にリボヌクレオチド(例えば、2’−ヒドロキシル基を有するヌクレオチド)が存在することがRNAi活性を支持するのに必要ではないか又は必須ではないことを見いだした。そのように、1つの実施態様においては、siNA中の全ての位置は、細胞内においてsiNA分子がRNAi活性を支持する能力が維持される程度に、化学的に修飾されたヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチド、例えば、式I、II、III、IV、V、VI、又はVIIを有するヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチド又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的核酸配列に対する相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含む、細胞又は再構成されたインビトロ系においてRNAi活性を媒介する一本鎖siNA分子である。別の実施態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は、5’末端リン酸基を含む。別の実施態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は、5’末端リン酸基及び3’末端リン酸基(例えば、2’,3’−環状リン酸)を含む。別の実施態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は、約15〜約30個(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個)のヌクレオチドを含む。さらに別の実施態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は、本明細書に記載される1つ又はそれ以上の化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。例えば、siNA分子中の全ての位置は、siNA分子が細胞内でRNAi活性を支持する能力が維持される程度に、化学的に修飾されたヌクレオチド、例えば、式I−VIIのいずれかを有するヌクレオチド、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞又は再構成されたインビトロ系においてRNAi活性を媒介する一本鎖siNA分子であり、これは、標的核酸配列に相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含み、ここで、siNA中に存在する1つ又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全てのピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、かつ、アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全てのプリンヌクレオチドが、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)、そして、アンチセンス配列の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の両方に存在していてもよい末端キャップ修飾を含む。siNAはさらに、約1〜約4個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4個又はそれ以上)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’末端に含んでいてもよく、ここで、末端ヌクレオチドはさらに、1つ又はそれ以上(例えば、1、2、3、4個又はそれ以上)のホスホロチオエート、ホスホノアセテート、及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含んでいてもよく、siNAはさらに末端リン酸基、例えば、5’末端リン酸基を含んでいてもよい。これらの実施態様のいずれにおいても、アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。また、これらの実施態様のいずれにおいても、siNA中に存在する任意のプリンヌクレオチド(すなわち、センス及び/又はアンチセンス領域に存在するプリンヌクレオチド)は、或いは、ロック核酸(LNA)ヌクレオチドであってもよい(例えば、すべてのプリンヌクレオチドがLNAヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドがLNAヌクレオチドである)。また、これらの実施態様のいずれにおいても、siNA中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドであり(例えば、すべてのプリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドであるか、又は1つおきの複数のプリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドである)。別の実施態様においては、本発明の一本鎖siNA分子中に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、天然のリボヌクレオチドと類似した特性又は特徴を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、ノーザンコンフォメーション(例えば、ノーザン擬回転(pseudorotation)サイクル(例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed.,1984を参照)を有する修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。このように、本発明の一本鎖siNA分子中に存在する化学的に修飾されたヌクレオチドは、好ましくはヌクレアーゼ分解に対して耐性であるが、同時にRNAiを媒介する能力を維持する。
1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、化学的に修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチド(例えば、式I−VIIのいずれかを有するもの、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ又は2’−O−メチルヌクレオチド)を、siNA分子の1つ又はそれ以上の鎖又は領域中の交互の位置に含む。例えば、そのような化学修飾は、siNAの3’末端又は5’末端から1番目又は2番目のヌクレオチドのいずれかから出発して、RNAに基づくsiNA分子の1つおきの位置に導入することができる。非限定的例においては、siNAの各鎖が21ヌクレオチドの長さである本発明の二本鎖siNA分子は、各鎖の1、3、5、7、9、11、13、15、17、19及び21位が化学的に修飾されていることを特徴とする(例えば、式I−VIIのいずれかを有する化合物、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ又は2’−O−メチルヌクレオチドによる)。別の非限定的例においては、siNAの各鎖が21ヌクレオチドの長さである本発明の二本鎖siNA分子は、各鎖の2、4、6、8、10、12、14、16、18、及び20位が化学的に修飾されていることを特徴とする(例えば、式I−VIIのいずれかを有する化合物、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ又は2’−O−メチルヌクレオチドによる)。そのようなsiNA分子はさらに、本明細書に記載される末端キャップ部分及び/又は主鎖修飾を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の生物学的に活性な分子、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)を患者又は生物の細胞に送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、本発明の処方分子組成物を、処方分子組成物のポリヌクレオチド成分の送達に適した条件下で、患者又は生物の細胞に投与することを含む。別の実施態様においては、細胞は、例えば、肺細胞、肝臓細胞、CNS細胞、PNS細胞、腫瘍細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、眼細胞、又は耳の細胞である。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の生物学的に活性な分子、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)を患者又は生物の肝臓又は肝臓細胞(例えば、肝細胞)に送達又は投与する方法を特徴とし、この方法は、本発明の処方分子組成物を、処方分子組成物のポリヌクレオチド成分の送達に適した条件下で、患者又は生物の肝臓又は肝臓細胞(例えば、肝細胞)に投与することを含む。
1つの実施態様においては、本発明は、細胞中で標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、この方法は、本発明の処方分子組成物を、細胞における標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で細胞中に導入することを含む。1つの実施態様においては、細胞は肝臓細胞(例えば、肝細胞)である。別の実施態様においては、細胞は、例えば、肺細胞、CNS細胞、PNS細胞、腫瘍細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、眼細胞、又は耳の細胞である。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞中で2つ以上の標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、この方法は、本発明の処方分子組成物を、細胞における標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で細胞中に導入することを含む。1つの実施態様においては、細胞は肝臓細胞(例えば、肝細胞)である。別の実施態様においては、細胞は、例えば、肺細胞、CNS細胞、PNS細胞、腫瘍細胞、腎臓細胞、血管細胞、皮膚細胞、眼細胞、又は耳の細胞である。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において遺伝子発現に関連する疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、遺伝子発現の低下、したがってそれぞれの蛋白質/RNAのレベルの低下は、疾患、障害、形質又は状態の症状をある程度軽減する。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において癌を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより癌の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、癌性細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において癌の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において、増殖性疾患又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、増殖性疾患又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、増殖性疾患に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において増殖性疾患又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において移植及び/又は組織拒絶(同種移植片拒絶)を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、移植及び/又は組織拒絶(同種移植片拒絶)の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、移植及び/又は組織拒絶(同種移植片拒絶)に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において移植及び/又は組織拒絶(同種移植片拒絶)の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において自己免疫疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、自己免疫疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、自己免疫疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において自己免疫疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において感染性疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、感染性疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物はポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、感染性疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において感染性疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において加齢関連疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、加齢関連疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、加齢関連疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において加齢関連疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において神経学的又は神経変性性疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、神経学的又は神経変性性疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、神経学的又は神経変性性疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において神経学的又は神経変性性疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物のカテーテル挿入、浸透圧ポンプ投与(例えば、髄腔内又は心室内)、静脈内又は皮下投与)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。1つの実施態様においては、神経疾患はハンチントン病である。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において代謝性疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、代謝性疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、代謝性疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において代謝性疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして、処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において心臓血管疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより心臓血管疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、心臓血管疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において心臓血管疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において呼吸器疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、呼吸器疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、呼吸器疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において呼吸器疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において眼科疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、眼科疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、眼科疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において、眼科疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において皮膚疾患、障害、形質又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより、皮膚疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、皮膚疾患、障害、形質又は状態に関与する細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において皮膚疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において肝臓疾患、障害、形質又は状態(例えば、肝炎、HCV、HBV、糖尿病、肝硬変、肝細胞癌等)を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより肝臓疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、肝臓疾患、障害、形質又は状態に関与する肝臓細胞及び組織への局所投与により、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物の肝臓疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞への全身投与により(例えば、処方分子組成物の静脈内又は投与により)、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において腎臓/腎性疾患、障害、形質又は状態(例えば、多発性嚢胞腎疾患等)を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより腎臓/腎性疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、腎臓/腎性疾患、障害、形質又は状態に関与する腎臓/腎性細胞及び組織への局所投与により、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において腎臓/腎性疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含む。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において聴覚疾患、障害、形質又は状態(例えば、聴力損失、難聴等)を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物において標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを含み、このことにより聴覚疾患、障害、形質又は状態の治療又は予防を達成することができる。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、ポリヌクレオチド、例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を含む。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、聴覚疾患、障害、形質又は状態に関与する耳、内耳(inner hear)又は中耳の細胞及び組織に局所投与することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。1つの実施態様においては、本発明は、関連する組織又は細胞、例えば、患者又は生物において聴覚疾患、障害、形質又は状態の維持又は発達に関与する組織又は細胞に全身投与(例えば、処方分子組成物の静脈内又は皮下投与により)することにより、患者又は生物を本発明の処方分子組成物と接触させることを特徴とする。本発明の処方分子組成物は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして処方又はコンジュゲートして、患者又は生物の適当な組織又は細胞を標的とすることができる。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において本明細書に記載される疾患又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者又は生物に本発明の処方分子組成物を投与することを含み;ここで、処方分子組成物は、処方分子組成物で治療していない患者と比較して、患者における標的遺伝子の発現レベルを低下させるか又は阻害するのに適した条件下で投与される。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、本発明の脂質ナノ粒子及びsiNA分子を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において本明細書に記載される疾患又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者に本発明の処方分子組成物を投与することを含み;ここで、(a)処方分子組成物はセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する二本鎖核酸分子を含み;(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15〜28ヌクレオチドの長さであり;(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドはアンチセンス鎖に相補的であり;(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は標的RNAに対して相補性を有しており;処方分子組成物は、処方分子組成物で治療していない患者と比較して、患者における標的RNAを低下させるか又は阻害するのに適した条件下で投与される。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、本発明の脂質ナノ粒子及びsiNA分子を含む。
1つの実施態様においては、本発明は、患者又は生物において本明細書に記載される疾患又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者に本発明の処方分子組成物を投与することを含み;ここで、(a)処方分子組成物はセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する二本鎖核酸分子を含み;(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15〜28ヌクレオチドの長さであり;(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドはアンチセンス鎖に相補的であり;(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は標的RNAに対して相補性を有しており;(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、化学修飾を有する修飾ヌクレオシドであり;かつ、(f)化学修飾の少なくとも2つは互いに異なっており、そして、処方分子組成物は、処方分子組成物で治療していない患者と比較して患者における標的RNAのレベルを低下させるか又は阻害するのに適した条件下で投与される。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、本発明の脂質ナノ粒子及びsiNA分子を含む。
本発明の治療方法のいずれにおいても、処方分子組成物は、例えば、種々の時間間隔で、例えば、治療過程の間に1日に1回、治療過程の間に2日に1回、治療過程の間に3日に1回、治療過程の間に4日に1回、治療過程の間に5日に1回、治療過程の間に6日に1回、治療過程の間に1週間に1回、治療過程の間に1週おきに、治療過程の間に1ヶ月に1回などの治療過程として、患者に投与することができる。1つの実施態様においては、治療過程は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週ごとに1回である。1つの実施態様においては、治療過程は、約1〜約52週間又はそれ以上(例えば、無期限に)である。1つの実施態様においては、治療過程は約1〜約48か月又はそれ以上(例えば、無期限に)である。
1つの実施態様においては、治療過程は、初期治療過程、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週又はそれ以上の週ごとに1回を固定された期間(例えば、1x、2x、3x、4x、5x、6x、7x、8x、9x、10x又はそれ以上)、次に維持治療過程、例えば、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、又はそれ以上の週ごとに1回をさらに別の固定された期間(例えば、1x、2x、3x、4x、5x、6x、7x、8x、9x、10x又はそれ以上)を含む。
本発明の治療方法のいずれにおいても、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他の方法により、処方分子組成物を患者に全身投与することができる。全身投与は、当該技術分野において一般に知られるように、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、カテーテル挿入、鼻咽頭、経皮、又は胃腸投与を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明の治療又は予防のいずれの方法においても、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られるようにして、処方分子組成物を患者に局所的に又は局所組織に投与することができる。局所投与には、例えば、関連する組織へのカテーテル挿入、移植、浸透圧ポンプ、直接注入、皮膚/経皮適用、ステント留置、点耳薬/点眼薬、又は門脈投与、又は当該技術分野において一般に知られる他の任意の局所投与技術、方法又は手順が含まれる。
1つの実施態様においては、本発明は、薬学的に許容されうる担体又は希釈剤中に本発明の処方分子組成物を含む組成物を特徴とする。別の実施態様においては、本発明は、1つ又はそれ以上の遺伝子を標的とする本発明の処方分子組成物を薬学的に許容されうる担体又は希釈剤中に含む医薬組成物を特徴とする。別の実施態様においては、本発明は、患者において疾患又は状態を診断する方法を特徴とし、この方法は、患者における疾患又は状態の診断に適した条件下で、患者に本発明の処方分子組成物を投与することを含む。別の実施態様においては、本発明は、患者において疾患、形質、又は状態を治療又は予防する方法を特徴とし、この方法は、患者において疾患、形質又は状態を治療又は予防するのに適した条件下で、本発明の処方分子組成物を、単独で、又は1つ又はそれ以上の他の治療用化合物と組み合わせて、患者に投与することを含む。
1つの実施態様においては、本発明のポリヌクレオチド分子、例えば、限定されないが、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子を合成する方法は、Scaringeら、米国特許第5,889,136号明細書;同第6,008,400号明細書;及び同第6,111,086号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)の教示を含む。
別の実施態様においては、本発明は、ヌクレアーゼ耐性が増加した処方ポリヌクレオチド(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)組成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明の処方分子組成物のポリヌクレオチド成分に修飾ヌクレオチドを導入し、(b)ヌクレアーゼ耐性が増加した処方ポリヌクレオチド組成物を単離するのに適した条件下で工程(a)の処方分子組成物をアッセイする、ことを含む。
別の実施態様においては、本発明は、毒性プロファイルが改良された(例えば、免疫刺激特性が弱められているか又はこれを有しない)ポリヌクレオチド(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)分子を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)式I−VIIのいずれかを有するヌクレオチド(例えば、表Iに示されるsiNAモチーフ)又はこれらの任意の組み合わせをポリヌクレオチド分子に導入し、(b)毒性プロファイルが改良されたsiNA分子を単離するのに適した条件下で工程(a)のポリヌクレオチド分子をアッセイする、ことを含む。
別の実施態様においては、本発明は、毒性プロファイルが改良された(例えば、免疫刺激特性が弱められているか又はこれを有しない)処方siNA組成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明のsiNA分子及び本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる送達ビヒクル又は送達粒子を含む処方siNA組成物を製造し、(b)毒性プロファイルが改良された処方siNA組成物を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA製剤をアッセイする、ことを含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物においてインターフェロン応答を刺激しない(例えば、インターフェロン応答がないか又はインターフェロン応答が弱められている)siNA分子を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)式I−VIIのいずれかを有するヌクレオチド(例えば、表Iに示されるsiNAモチーフ)又はこれらの任意の組み合わせをsiNA分子に導入し、(b)インターフェロン応答を刺激しないsiNA分子を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA分子をアッセイする、ことを含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物において、インターフェロン応答を刺激しない(例えば、インターフェロン応答がないか又はインターフェロン応答が弱められている)処方siNA組成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明のsiNA分子及び本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる送達ビヒクル又は送達粒子を含む処方siNA組成物を製造し、(b)インターフェロン応答を刺激しない処方siNA組成物を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA製剤をアッセイする、ことを含む。1つの実施態様においては、インターフェロンはインターフェロンアルファを含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物において、炎症性又は炎症促進性サイトカイン応答を刺激しない(例えば、サイトカイン応答がないか又はサイトカイン応答が弱められている)、siNA分子を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)式I−VIIのいずれかを有するヌクレオチド(例えば、表Iに示されるsiNAモチーフ)又はこれらの任意の組み合わせをsiNA分子に導入し、(b)サイトカイン応答を刺激しないsiNA分子を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA分子をアッセイする、ことを含む。1つの実施態様においては、サイトカインは、インターロイキン、例えば、インターロイキン−6(IL−6)及び/又は腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)を含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物において、炎症性又は炎症促進性サイトカイン応答を刺激しない(例えば、サイトカイン応答がないか又はサイトカイン応答が弱められている)処方siNA組成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明のsiNA分子及び本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる送達ビヒクル又は送達粒子を含む処方siNA組成物を製造し、(b)サイトカイン応答を刺激しない処方siNA組成物を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA製剤をアッセイする、ことを含む。1つの実施態様においては、サイトカインは、インターロイキン、例えば、インターロイキン−6(IL−6)及び/又は腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)を含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物において、Toll様受容体(TLR)応答を刺激しない(例えば、TLR応答がないか又はTLR応答が弱められている)siNA分子を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)式I−VIIのいずれかを有するヌクレオチド(例えば、表Iに示されるsiNAモチーフ)又はこれらの任意の組み合わせをsiNA分子中に導入し、(b)TLR応答を刺激しないsiNA分子を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA分子をアッセイする、ことを含む。1つの実施態様においては、TLRは、TLR3、TLR7、TLR8及び/又はTLR9を含む。
別の実施態様においては、本発明は、細胞、患者、又は生物においてToll様受容体(TLR)応答を刺激しない(例えば、TLR応答がないか又はTLR応答が弱められている)処方siNA組成物を製造する方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明のsiNA分子及び本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる送達ビヒクル又は送達粒子を含む処方siNA組成物を製造し、(b)TLR応答を刺激しない処方siNA組成物を単離するのに適した条件下で工程(a)のsiNA製剤をアッセイすることを含む。1つの実施態様においては、TLRは、TLR3、TLR7、TLR8及び/又はTLR9を含む。
「改良された毒性プロファイル」とは、ポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA又は処方siNA組成物が、細胞、患者、又は生物において、より少ない修飾又は改良された毒性を付与する効果がより低い修飾を有する非修飾ポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA又は処方siNA組成物、又はsiNA分子と比較して、低下した毒性を示すことを意味する。非限定的例においては、改良された毒性プロファイルを有するポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNAs又は処方siNA組成物は、細胞、患者、又は生物において、より少ない修飾又は改良された毒性を付与する効果がより低い修飾を有する非修飾ポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA又は処方siNA組成物、又はポリヌクレオチド(例えば、siNA)分子と比較して、免疫刺激特性の低下、例えば、免疫刺激性応答の低下、減少又は減弱化と関連する。そのような改良された毒性プロファイルは、無効の又は低下した免疫刺激、例えば、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ)、炎症性サイトカイン(例えば、インターロイキン、例えばIL−6、及び/又はTNF−アルファ)、及び/又はtoll様受容体(例えば、TLR−3、TLR−7、TLR−8、及び/又はTLR−9)の誘導が低下するか又は無効であることを特徴とする。1つの実施態様においては、改良された毒性プロファイルを有するポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA又は処方siNA組成物は、リボヌクレオチドを含まない。1つの実施態様においては、改良された毒性プロファイルを有するポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA又は処方siNA組成物は、5個未満のリボヌクレオチド(例えば、1、2、3、又は4個のリボヌクレオチド)を含む。1つの実施態様においては、改良された毒性プロファイルを有するsiNA又は処方siNA組成物は、Stab7、Stab8、Stab11、Stab12、Stab13、Stab16、Stab17、Stab18、Stab19、Stab20、Stab23、Stab24、Stab25、Stab26、Stab27、Stab28、Stab29、Stab30、Stab31、Stab32、Stab33、Stab34又はこれらの任意の組み合わせを含む(表Iを参照)。本明細書において、数字が付されたStab化学物質は、表IVに示される化学物質の2’−フルオロ及び2’−OCF3版の両方を含む。例えば、「Stab7/8」は、Stab7/8及びStab7F/8F等の両方を表す。1つの実施態様においては、改良された毒性プロファイルを有するsiNA又は処方siNA組成物は、米国特許出願公開第20030077829号明細書(図面を含めその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるsiNA分子を含む。
1つの実施態様においては、所定のポリヌクレオチド、処方分子組成物、siNA分子又は処方siNA組成物と関連する免疫刺激性応答のレベルは、本明細書に記載されるようにして、又は当該技術分野において知られるようにして、例えば、特定のポリヌクレオチド分子の免疫刺激性応答を定量するアッセイにおいて、PKR/インターフェロン応答、増殖、B−細胞活性化、及び/又はサイトカイン産生のレベルを測定することにより、測定することができる(例えば、Leifer et al.,2003,J Immunother.26,313−9;及び米国特許第5,968,909号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。1つの実施態様においては、低下した免疫刺激性応答は、修飾されていないか又は最小限に修飾されているsiRNA分子と比較して、約10%〜約100%の範囲であり、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低下した免疫刺激性応答である。1つの実施態様においては、siNA分子に関連する免疫刺激性応答は、化学修飾の程度により調節することができる。例えば、siNA分子のヌクレオチド位置の約10%〜約100%、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%が修飾されている、本明細書に記載される対応する程度の免疫刺激特性を有するsiNA分子を選択することができる。
1つの実施態様においては、低下した免疫刺激性応答の程度は、RNAi活性を最適化するように選択することができる。例えば、ウイルス感染を治療するためにはある程度の免疫刺激を保持することが好ましく、最大抗ウイルス活性のためには免疫刺激の100%未満の低下が好ましいであろうが(例えば、免疫刺激の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の低下)、一方、内因性遺伝子標的の発現の阻害は、非特異的毒性又はオフターゲット効果を防止するために、最少の免疫刺激特性(例えば、免疫刺激の約90%〜約100%の低下)を有するsiNA分子を用いることが好ましいであろう。
1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物は、細胞に毒性とならないように、又は組成物が処方siNA組成物のsiNA成分により媒介されるRNAiの効力を妨害しないか、若しくは組成物が細胞に対して毒性ではないように、最少の毒性プロファイルを有するように設計される。
本明細書で用いる場合、用語「処方分子組成物」又は「脂質ナノ粒子」、又は「脂質ナノ粒子組成物」又は「LNP」は、1つ又はそれ以上の生物学的に活性な分子を、独立して又はカチオン性脂質、中性脂質、及び/又はポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(すなわち、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)コンジュゲートと組み合わせて含む組成物を表す。処方分子組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含むことができる(図5を参照)。本発明のカチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、塩化N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウム(DODAC)、臭化N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、塩化N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)、塩化N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ]−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,12’−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)及び/又はこれらの混合物を含むことができる。中性脂質は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含むことができる。PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、PEG−ジステリルグリカミド(C18)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBを含むことができる。カチオン性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約45%、約5%〜約15%、又は約40%〜約50%を含むことができる。中性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約5%〜約90%、又は約20%〜約85%を含むことができる。PEG−DAGコンジュゲート(例えば、ポリエチレングリコールジアシルグリセロール(PEG−DAG)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMB)は、製剤中に存在する総脂質の約1%〜約20%、又は約4%〜約15%を含むことができる。コレステロール成分は、製剤中に存在する総脂質の約10%〜約60%、又は約20%〜約45%を含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、製剤中に存在する総脂質の約7.5%を含むカチオン性脂質成分、製剤中に存在する総脂質の約82.5%を含む中性脂質、及び製剤中に存在する総脂質の約10%を含むPEGコンジュゲートを含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、生物学的に活性な分子、DODMA、DSPC、及びPEG−DAGコンジュゲートを含むことができる。1つの実施態様においては、PEG−DAGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、処方分子組成物はまた、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。1つの実施態様においては、処方分子組成物は、表IVに示される脂質ナノ粒子製剤を含む。
本明細書で用いる場合、用語「処方siNA組成物」は、1つ若しくはそれ以上のsiNA分子又は1つ若しくはそれ以上のsiNA分子をコードするベクターを、独立して又はカチオン性脂質、中性脂質、及び/又はポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)又はPEG−コレステロール(PEG−Chol)コンジュゲートと組み合わせて含む組成物を表す。処方siNA組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含むことができる。本発明のカチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、塩化N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウム(DODAC)、臭化N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、塩化N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)、塩化N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ]−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,12’−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)及び/又はこれらの混合物を含むことができる。中性脂質は、式NLI−NLVIIのいずれかを有する化合物、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含むことができる。PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、PEG−ジステリルグリカミド(C18)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBを含むことができる。カチオン性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約45%、約5%〜約15%、又は約40%〜約50%を含むことができる。中性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約5%〜約90%、又は約20%〜約85%を含むことができる。PEG−DAGコンジュゲートは、製剤中に存在する総脂質の約1%〜約20%、又は約4%〜約15%を含むことができる。コレステロール成分は、製剤中に存在する総脂質の約10%〜約60%、又は約20%〜約45%を含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物は、製剤中に存在する総脂質の約7.5%を含むカチオン性脂質成分、製剤中に存在する総脂質の約82.5%を含む中性脂質、及び製剤中に存在する総脂質の約10%を含むPEG−DAGコンジュゲートを含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物は、siNA分子、DODMA、DSPC、及びPEG−DAGコンジュゲートを含む。1つの実施態様においては、PEG−DAGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、処方siNA組成物はまた、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
本明細書で用いる場合、用語「処方miRNA組成物」は、1つ若しくはそれ以上のmiRNA分子又は1つ若しくはそれ以上のmiRNA分子をコードするベクターを、独立して又はカチオン性脂質、中性脂質、及び/又はポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)又はPEG−コレステロール(PEG−Chol)コンジュゲートと組み合わせて含む組成物を表す。処方miRNA組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含むことができる。本発明のカチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、塩化N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウム(DODAC)、臭化N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、塩化N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)、塩化N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ]−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,12’−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)及び/又はこれらの混合物を含むことができる。中性脂質は、式NLI−NLVIIのいずれかを有する化合物、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含むことができる。PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、PEG−ジステリルグリカミド(C18)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBを含むことができる。カチオン性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約45%、約5%〜約15%、又は約40%〜約50%を含むことができる。中性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約5%〜約90%、又は約20%〜約85%を含むことができる。PEG−DAGコンジュゲートは、製剤中に存在する総脂質の約1%〜約20%、又は約4%〜約15%を含むことができる。コレステロール成分は、製剤中に存在する総脂質の約10%〜約60%、又は約20%〜約45%を含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方miRNA組成物は、製剤中に存在する総脂質の約7.5%を含むカチオン性脂質成分、製剤中に存在する総脂質の約82.5%を含む中性脂質、及び製剤中に存在する総脂質の約10%を含むPEG−DAGコンジュゲートを含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方miRNA組成物は、miRNA分子、DODMA、DSPC、及びPEG−DAGコンジュゲートを含む。1つの実施態様においては、PEG−DAGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、処方miRNA組成物はまた、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
本明細書で用いる場合、用語「処方RNAi阻害物質組成物」は、1つ若しくはそれ以上のRNAi阻害物質分子又は1つ若しくはそれ以上のRNAi阻害物質分子をコードするベクターを、独立して又はカチオン性脂質、中性脂質、及び/又はポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)又はPEG−コレステロール(PEG−Chol)コンジュゲートと組み合わせて含む組成物を表す。処方RNAi阻害物質組成物はさらに、コレステロール又はコレステロール誘導体を含むことができる。本発明のカチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、塩化N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウム(DODAC)、臭化N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム(DDAB)、塩化N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)、塩化N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5’−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3’−オキサペントキシ]−3−ジメチル−1−(cis,cis−9’,12’−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)及び/又はこれらの混合物を含むことができる。中性脂質は、式NLI−NLVIIのいずれかを有する化合物、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及び/又はこれらの混合物を含むことができる。PEGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、PEG−ジステリルグリカミド(C18)、PEG−コレステロール、又はPEG−DMBを含むことができる。カチオン性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約45%、約5%〜約15%、又は約40%〜約50%を含むことができる。中性脂質成分は、製剤中に存在する総脂質の約5%〜約90%、又は約20%〜約85%を含むことができる。PEG−DAGコンジュゲートは、製剤中に存在する総脂質の約1%〜約20%、又は約4%〜約15%を含むことができる。コレステロール成分は、製剤中に存在する総脂質の約10%〜約60%、又は約20%〜約45%を含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方RNAi阻害物質組成物は、製剤中に存在する総脂質の約7.5%を含むカチオン性脂質成分、製剤中に存在する総脂質の約82.5%を含む中性脂質、及び製剤中に存在する総脂質の約10%を含むPEG−DAGコンジュゲートを含むことができる。1つの実施態様においては、本発明の処方RNAi阻害物質組成物は、RNAi阻害物質分子、DODMA、DSPC、及びPEG−DAGコンジュゲートを含む。1つの実施態様においては、PEG−DAGコンジュゲートは、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、又はPEG−ジステリルグリセロール(C18)である。別の実施態様においては、処方RNAi阻害物質組成物はまた、コレステロール又はコレステロール誘導体を含む。
本明細書で用いる場合、用語「カチオン性脂質」とは、カチオン性電荷を有する任意の親油性化合物、例えば、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有する化合物を意味する。
本明細書で用いる場合、「中性脂質」とは、カチオン性ではない電荷(例えば、アニオン性又は中性の電荷)を有する任意の親油性化合物を意味する。
「PEG」とは、任意のポリエチレングリコール又は他のポリアルキレンエーテル又は同等のポリマーを意味する。1つの実施態様においては、PEGは、例えば、本発明の脂質部分と結合した、200〜10,000原子のPEG分子を含むことができるPEGコンジュゲートである。1つの実施態様においては、PEGは、式PEGnで表される多分散体であり、ここで、1500Da〜3000DaのPEGに対してnは約33〜67であり、2KPEG/PEG2000に対して平均は45である。
「ナノ粒子」とは、そのサイズがナノメーターのオーダーで測定される微細な粒子を意味する。本発明のナノ粒子は、典型的には直径約1〜約999nmの範囲であり、カプセル化又は封入された生物学的に活性な分子を含むことができる。
「マイクロ粒子」とは、そのサイズがマイクロメーターのオーダーで測定される微細な粒子を意味する。本発明のマイクロ粒子は、典型的には直径約1〜約100マイクロメーターの範囲であり、カプセル化又は封入された生物学的に活性な分子を含むことができる。
本明細書で用いる場合、用語「低分子干渉核酸」、「siNA」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」、「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」、及び「化学的に修飾された低分子干渉核酸分子」は、配列特異的様式でRNA干渉「RNAi」又は遺伝子サイレンシングを媒介することにより遺伝子発現又はウイルス複製を阻害又はダウンレギュレートすることができる任意の核酸分子を表す(PCT/US2004/106390(国際公開第05/19453号パンフレット)、米国特許出願第10/444,853号明細書(2003年5月23日出願)、米国特許出願第10/923,536号明細書(2004年8月20日出願)、米国特許出願第11/234,730号明細書(2005年9月23日出願)、米国特許出願第11/299,254号明細書(2005年12月8日出願)又はPCT/US06/32168(2006年8月17日出願)(すべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。これらの用語は、個々の核酸分子、複数のそのような核酸分子、又はそのような核酸分子プールの両方を表すことができる。siNAは、自己相補的センス領域及びアンチセンス領域を含む二本鎖核酸分子であることができ、ここで、アンチセンス領域は標的核酸分子又はその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。siNAは、2つの別々のオリゴヌクレオチドから組み立てられていてもよく、ここで、一方の鎖はセンス鎖であり、他方の鎖はアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖及びセンス鎖は自己相補的である(すなわち、各鎖は他方の鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む;例えば、アンチセンス鎖及びセンス鎖は、二本鎖又は二本鎖構造を形成し、ここで、例えば、二本鎖領域は約15〜約30、例えば約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30塩基対である;アンチセンス鎖は、標的核酸分子又はその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を含む(例えば、siNA分子の約15〜約25又はそれ以上のヌクレオチドが標的核酸又はその一部に相補的である)。或いは、siNAは単一のオリゴヌクレオチドから組み立てられ、ここで、siNAの自己相補的センス領域及びアンチセンス領域は、核酸系又は非核酸系のリンカーにより連結されている。siNAは自己相補的センス領域及びアンチセンス領域を有する二本鎖、非対称二本鎖、ヘアピン又は非対称ヘアピン二次構造を有するポリヌクレオチドであることができ、ここで、アンチセンス領域は、別個の標的核酸分子又はその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。siNAは、2つ又はそれ以上のループ構造及び自己相補的センス領域及びアンチセンス領域を含むステムを有する環状一本鎖ポリヌクレオチドであってもよく、ここで、アンチセンス領域は標的核酸分子又はその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を有し、環状ポリヌクレオチドは、インビボ又はインビトロでプロセシングされて、RNAiを媒介しうる活性なsiNA分子を生ずることができる。siNAはまた、標的核酸分子又はその一部のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含んでいてもよく(例えば、そのようなsiNA分子は、siNA分子中に標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列が存在することを必要としない)、一本鎖ポリヌクレオチドはさらに、末端リン酸基、例えば、5’−リン酸(例えば、Martinez et al.,2002,Cell.,110,563−574及びSchwarz et al.,2002,Molecular Cell,10,537−568を参照)、又は5’,3’−ジホスフェートを含むことができる。ある実施態様においては、本発明のsiNA分子は、別々のセンス及びアンチセンス配列又は領域を含み、ここで、センス領域及びアンチセンス領域は、当該技術分野において知られるようにヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー分子により共有結合で連結されていてもよく、或いは、イオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、及び/又はスタッキング相互作用により非共有結合で連結されていてもよい。ある実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子の発現の阻害を引き起こすような様式で、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。本明細書で用いる場合、siNA分子は、RNAのみを含む分子に限定される必要はなく、化学的に修飾されたヌクレオチド及び非ヌクレオチドをさらに包含する。ある実施態様においては、本発明の低分子干渉核酸分子は、2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを有しない。本出願人は、ある実施態様において、RNAiを媒介するために2’−ヒドロキシ基を有するヌクレオチドの存在を必要としない低分子干渉核酸を記載し、したがって、本発明の低分子干渉核酸分子は、任意に、リボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まなくてもよい。しかし、RNAiを支持するためにsiNA分子中にリボヌクレオチドの存在を必要としないそのようなsiNA分子は、2’−OH基を有する1つ又はそれ以上のヌクレオチドを含む結合したリンカー又は他の結合した又は会合した基、部分、又は鎖を有していてもよい。任意に、siNA分子は、ヌクレオチド位置の約5、10、20、30、40、又は50%にリボヌクレオチドを含むことができる。本発明の修飾低分子干渉核酸分子は、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド「siMON」と称することもできる。本明細書で用いる場合、用語siNAは、配列特異的RNAiを媒介しうる核酸分子を記述するために用いられる他の用語、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロ−RNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)及び他のものと同等であることを意味する。本発明のsiNA分子の非限定的例は、米国特許出願11/234,730(2005年9月23日出願)(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に示される。そのようなsiNA分子は、当該技術分野において知られる遺伝子発現の阻害を媒介する他の核酸技術、例えば、リボザイム、アンチセンス、三重鎖形成、アプタマー、2,5−Aキメラ、又はデコイオリゴヌクレオチドと区別される。
「RNA干渉」又は「RNAi」とは、当該技術分野において一般に知られているように細胞において遺伝子発現を阻害するか又はダウンレギュレートし、低分子干渉核酸分子により媒介される生物学的過程を意味する(例えば、Zamore and Haley,2005,Science,309,1519−1524;Vaughn and Martienssen,2005,Science,309,1525−1526;Zamore et al.,2000,Cell,101,25−33;Bass,2001,Nature,411,428−429;Elbashir et al.,2001,Nature,411,494−498;及びKreutzer et al.,国際公開第00/44895号パンフレット;Zernicka−Goetz et al.,国際公開第01/36646号パンフレット;Fire,国際公開第99/32619号パンフレット;Plaetinck et al.,国際公開第00/01846号パンフレット;Mello and Fire,国際公開第01/29058号パンフレット;Deschamps−Depaillette,国際公開第99/07409号パンフレット;及びLi et al.,国際公開第00/44914号パンフレット;Allshire,2002,Science,297,1818−1819;Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837;Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218;及びHall et al.,2002,Science,297,2232−2237;Hutvagner and Zamore,2002,Science,297,2056−60;McManus et al.,2002,RNA,8,842−850;Reinhart et al.,2002,Gene&Dev.,16,1616−1626;及びReinhart&Bartel,2002,Science,297,1831を参照)。さらに、本明細書で用いる場合、用語RNAiは、配列特異的RNA干渉、例えば、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、転写阻害、又はエピジェネティックスを記述するために用いられる他の用語と同等であることを意味する。例えば、本発明のsiNA分子を用いて、エピジェネティック的に転写後のレベル又は転写前のレベルの両方で遺伝子をサイレンシングすることができる。非限定的例においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現のエピジェネティック的調節は、クロマチン構造又はメチル化パターンのsiNA媒介性修飾により遺伝子発現が変化した結果として生じうる(例えば、Verdel et al.,2004,Science,303,672−676;Pal−Bhadra et al.,2004,Science,303,669−672;Allshire,2002,Science,297,1818−1819;Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837;Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218;及びHall et al.,2002,Science,297,2232−2237を参照)。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の調節は、RISCによるRNA(コード又は非コードRNAのいずれか)のsiNA媒介性切断の結果として、或いは、当該技術分野において知られるように翻訳阻害の結果として生じうる。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の調節は、転写阻害の結果として生じうる(例えば、Janowski et al.,2005,Nature Chemical Biology,1,216−222を参照)。
本明細書で用いる場合、「非対称ヘアピン」とは、アンチセンス領域、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含むことができるループ部分、及びセンス領域がアンチセンス領域と塩基対形成してループを有する二本鎖を形成するのに十分な相補的ヌクレオチドを有する程度にアンチセンス領域より少ないヌクレオチドを含むセンス領域を含む直鎖状siNA分子を意味する。例えば、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、細胞又はインビトロ系でRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約15〜約30、すなわち、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域、及び約4〜約12(例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)ヌクレオチドを含むループ領域、及びアンチセンス領域に相補的な約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチドを有するセンス領域を含むことができる。非対称ヘアピンsiNA分子はまた、化学的に修飾されていてもよい5’末端リン酸基を含むことができる。非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は、本明細書に記載されるヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、又はコンジュゲート分子を含むことができる。
本明細書で用いる場合、「非対称二本鎖」とは、センス領域及びアンチセンス領域を含む2つの別々の鎖を有するsiNA分子を意味し、ここで、センス領域は、センス領域が、アンチセンス領域と塩基対形成して二本鎖を形成するのに十分な相補的ヌクレオチドを含む程度に、アンチセンス領域より少ないヌクレオチドを含む。例えば、本発明の非対称二本鎖siNA分子は、細胞又はインビトロ系においてRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約15〜約30、すなわち、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域、及びアンチセンス領域に相補的な約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチドを有するセンス領域を含むことができる。
本明細書で用いる場合、用語「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」は、ヌクレオチドを有する分子を表す。核酸は、一本鎖、二本鎖又は多重鎖であることができ、修飾された又は修飾されていないヌクレオチド又は非ヌクレオチド、又はこれらの種々の混合物及び組み合わせを含むことができる。
「RNAi阻害物質」とは、細胞又は生物においてRNA干渉の機能又は活性をダウンレギュレート、低下又は阻害しうる任意の分子を意味する。RNAi阻害物質は、RNAi経路の任意の成分、例えば、RISC等の蛋白質成分、又は、miRNA若しくはsiRNA等の核酸成分の機能と相互作用又は妨害することにより、RNAiをダウンレギュレート、低下又は阻害することができる(例えば、RNAiが媒介する標的ポリヌクレオチドの切断、翻訳阻害、又は転写サイレンシング)。RNAi阻害物質は、siNA分子、アンチセンス分子、アプタマー、又は、細胞又は生物において、RISC、miRNA、若しくはsiRNA若しくはRNAi経路の任意の他の成分の機能と相互作用又は妨害する小分子でありうる。RNAiを阻害することにより(例えば、RNAiが媒介する標的ポリヌクレオチドの切断、翻訳阻害、又は転写サイレンシング)、本発明のRNAi阻害物質を用いて、標的遺伝子の発現を調節(例えば、アップレギュレート又はダウンレギュレート)することができる。1つの実施態様においては、本発明のRNA阻害物質は、内因性のダウンレギュレーション又は翻訳阻害、転写サイレンシング、若しくはRISCが媒介するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の切断による遺伝子発現の阻害を妨害(例えば、低下若しくは防止)することにより、遺伝子発現をアップレギュレートするために使用される。遺伝子発現の内因性の抑制、サイレンシング、又は阻害を妨害することにより、したがって、本発明のRNAi阻害物質を用いて、機能喪失から生じる疾患、形質、又は状態の治療のために遺伝子発現をアップレギュレートすることができる。1つの実施態様においては、用語「RNAi阻害物質」は、本明細書における種々の実施態様において、用語「siNA」の代わりに使用され、例えば、機能喪失による疾患、形質、及び/又は状態の治療のために遺伝子発現を増大させる効果を有する。
本明細書で用いる場合、用語「酵素的核酸分子」は、基質結合領域において特定の遺伝子標的と相補性を有し、かつ標的RNAを特異的に切断する作用をする酵素活性を有する核酸分子を表す。すなわち、酵素的核酸分子は、RNAを分子内切断して、それにより標的RNA分子を不活性化することができる。これらの相補的領域は、酵素的核酸分子が標的RNAに十分にハイブリダイズすることを可能とし、したがって、切断を可能とする。100パーセントの相補性が好ましいが、50〜75%程度の低い相補性も本発明において有用でありうる(例えば、Werner and Uhlenbeck,1995,Nucleic Acids Research,23,2092−2096;Hammann et al.,1999,Antisense and Nucleic Acid Drug Dev.,9,25−31を参照)。核酸は、塩基、糖、及び/又はリン酸基において修飾することができる。酵素的核酸という用語は、リボザイム、触媒的RNA、酵素的RNA、触媒的DNA、アプタザイム又はアプタマー結合リボザイム、制御可能リボザイム、触媒的オリゴヌクレオチド、ヌクレオザイム、DNAザイム、RNA酵素、エンドリボヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、ミニザイム、リードザイム、オリゴザイム又はDNA酵素等の用語と互換的に用いられる。これらの用語はすべて、酵素活性を有する核酸分子を記述する。本願に記載される特異的酵素的核酸分子は、本発明を限定するものではなく、当業者は、本発明の酵素的核酸分子において重要なことは、これが標的核酸領域の1つ又はそれ以上に相補的な特異的基質結合部位を有し、かつ、この基質結合部位の中又は周囲に、分子に核酸切断及び/又はライゲーション活性を付与するヌクレオチド配列を有することが全てであることを理解するであろう(Cech et al.,米国特許第4,987,071号;Cech et al.,1988,260 JAMA 3030)。本発明のリボザイム及び酵素的核酸分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
本明細書で用いる場合、用語「アンチセンス核酸」は、RNA−RNA又はRNA−DNA又はRNA−PNA(蛋白質核酸;Egholm et al.,1993 Nature 365,566)相互作用により標的RNAに結合し、標的RNAの活性を変化させる非酵素的核酸分子を表す(概説として、Stein and Cheng,1993 Science 261,1004及びWoolf et al.,米国特許第5,849,902号明細書を参照)。典型的には、アンチセンス分子は、アンチセンス分子の単一の連続する配列に沿って標的配列に相補的である。しかし、ある実施態様においては、アンチセンス分子は、基質分子がループを形成するように基質に結合することができ、かつ/又は、アンチセンス分子は、アンチセンス分子がループを形成するように結合することができる。すなわち、アンチセンス分子は2つ(又はそれ以上)の非連続基質配列に相補的であってもよく、又はアンチセンス分子の2つ(又はそれ以上)の非連続配列部分が標的配列に相補的であってもよく、或いはその両方であってもよい。現在のアンチセンス戦略の概要については、Schmajuk et al.,1999,J.Biol.Chem.,274,21783−21789,Delihas et al.,1997,Nature,15,751−753,Stein et al.,1997,Antisense N.A.Drug Dev.,7,151,Crooke,2000,Methods Enzymol.,313,3−45;Crooke,1998,Biotech.Genet.Eng.Rev.,15,121−157,Crooke,1997,Ad.Pharmacol.,40,1−49を参照。さらに、アンチセンスDNAは、DNA−RNA相互作用によりRNAを標的とするように使用してもよく、それによりRNaseHを活性化し、二本鎖中の標的RNAを切断する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAのRNAseH切断を活性化しうる1つ又はそれ以上のRNAseH活性化領域を含むことができる。アンチセンスDNAは、化学的に合成してもよく、又は一本鎖DNA発現ベクター又はその同等物を用いて発現させてもよい。本発明のアンチセンス分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
本明細書で用いる場合、用語「RNaseH活性化領域」は、標的RNAに結合して細胞のRNaseH酵素により認識される非共有結合複合体を形成することができる核酸分子の領域(一般に、4〜25ヌクレオチドの長さ又はそれ以上、好ましくは5〜11ヌクレオチドの長さ)を表す(例えば、Arrow et al.,米国特許第5,849,902号明細書;Arrow et al.,米国特許第5,989,912号明細書を参照)。RNaseH酵素は、核酸分子−標的RNA複合体に結合して、標的RNA配列を切断する。RNaseH活性化領域は、例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート(好ましくは、ヌクレオチドの少なくとも4つがホスホロチオエート置換であり;より詳細には、ヌクレオチドの4〜11個がホスホロチオエート置換である);ホスホロジチオエート、5’−チオホスフェート、又はメチルホスホネート主鎖化学又はこれらの組み合わせを含む。上述の1つ又はそれ以上の主鎖化学に加えて、RNaseH活性化領域はまた、種々の糖化学を含むことができる。例えば、RNaseH活性化領域は、デオキシリボース、アラビノ、フルオロアラビノ又はこれらの組み合わせのヌクレオチド糖化学を含むことができる。当業者は、上述のものが非限定的例であり、RNaseH酵素の活性を支持する核酸のリン酸、糖及び塩基化学の任意の組み合わせがRNaseH活性化領域の定義の範囲内であり、本発明の範囲内であることを理解するであろう。
本明細書で用いる場合、用語「2−5Aアンチセンスキメラ」は、5’−リン酸化された2’−5’−結合アデニレート残基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを表す。これらのキメラは、配列特異的様式で標的RNAに結合し、細胞の2−5A依存的リボヌクレアーゼを活性化し、これは次に、標的RNAを切断する(Torrence et al.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,1300;Silverman et al.,2000,Methods Enzymol.,313,522−533;Player and Torrence,1998,Pharmacol.Ther.,78,55−113)。本発明の2−5Aアンチセンスキメラ分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
本明細書で用いる場合、用語「三重鎖形成性オリゴヌクレオチド」は、配列特異的様式で二本鎖DNAに結合して、三本鎖ヘリックスを形成することができるオリゴヌクレオチドを表す。そのようなトリプルヘリックス構造は、標的遺伝子の転写を阻害することが示されている(Duval−Valentin et al.,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,504;Fox,2000,Curr.Med.Chem.,7,17−37;Praseuth et.al.,2000,Biochim.Biophys.Acta,1489,181−206)。本発明の三重鎖形成性オリゴヌクレオチド分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
本明細書で用いる場合、用語「デコイRNA」は、所定のリガンドに優先的に結合するように設計されたRNA分子又はアプタマーを表す。そのような結合は、標的分子の阻害又は活性化をもたらしうる。デコイRNA又はアプタマーは、特定のリガンドへの結合について天然の結合標的と競合することができる。例えば、HIVトランス活性化応答(TAR)RNAの過剰発現は「デコイ」として作用して、HIVtat蛋白質に有効に結合することができ、このことによりHIV RNAによりコードされるTAR配列への結合を妨害しうることが示されている(Sullenger et al.,1990,Cell,63,601−608)。しかし、これは特定の例であり、当業者は、当該技術分野において一般に知られる手法を用いて他の実施態様を容易に行ないうることを理解するであろう。例えば、Gold et al.,1995,Annu.Rev.Biochem.,64,763;Brody and Gold,2000,J.Biotechnol.,74,5;Sun,2000,Curr.Opin.Mol.Ther.,2,100;Kusser,2000,J.Biotechnol.,74,27;Hermann and Patel,2000,Science,287,820;及びJayasena,1999、Clinical Chemistry,45,1628を参照。同様に、デコイRNAは、受容体に結合してエフェクター分子の結合をブロックするように設計することができ、又はデコイRNAは、対象となる受容体に結合して受容体との相互作用を妨害するように設計することができる。本発明のデコイ分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
本明細書で用いる場合、用語「一本鎖RNA」(ssRNA)は、直鎖状の一本鎖を含む天然の又は合成のリボ核酸分子を表し、例えば、ssRNAは、遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボゾームRNA(rRNA)等でありうる。
本明細書で用いる場合、用語「一本鎖DNA」(ssDNA)は、直鎖状の一本鎖を含む天然の又は合成のデオキシリボ核酸分子を表し、例えば、ssDNAは、センス又はアンチセンス遺伝子配列又はEST(発現配列タグ)でありうる。
本明細書で用いる場合、用語「二本鎖RNA」又は「dsRNA」は、RNA干渉を行いうる二本鎖RNA分子、例えば低分子干渉RNA(siNA)を表す。
本明細書で用いる場合、用語「アロザイム」は、アロステリック酵素的核酸分子を表す(例えば、George et al.、米国特許第5,834,186号明細書及び同第5,741,679号明細書、Shih et al.、米国特許第5,589,332号明細書、Nathan et al.、米国特許第5,871,914号明細書、Nathan and Ellington、国際公開第00/24931号パンフレット、Breaker et al.、国際公開第00/26226号パンフレット及び同第98/27104号パンフレット、及びSullenger et al.、国際公開第99/29842号パンフレットを参照)。
本明細書で用いる場合、「アプタマー」又は「核酸アプタマー」とは、標的分子に特異的に結合するポリヌクレオチドを意味し、ここで、核酸分子は、自然の状態で標的分子により認識される配列とは別の配列を有する。或いは、アプタマーは、標的分子に結合する核酸分子であってもよく、ここで、標的分子は、自然には核酸に結合しない。標的分子は、任意の対象となる分子でありうる。例えば、アプタマーを用いて蛋白質のリガンド結合ドメインに結合させ、このことにより天然のリガンドと蛋白質との相互作用を妨害することができる。これは非限定的例であり、当業者は当該技術分野において一般に知られる手法を用いて他の実施態様を容易に行いうることを理解するであろう。例えば、Gold et al.,1995,Annu.Rev.Biochem.,64,763;Brody and Gold,2000,J.Biotechnol.,74,5;Sun,2000,Curr.Opin.Mol.Ther.,2,100;Kusser,2000,J.Biotechnol.,74,27;Hermann and Patel,2000,Science,287,820;及びJayasena,1999,Clinical Chemistry,45,1628を参照。本発明のアプタマー分子は、当該技術分野において一般に知られているように、又は本明細書に記載されるようにして化学的に修飾することができる。
「調節する」とは、遺伝子の発現、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットをコードするRNA分子若しくは同等のRNA分子のレベル、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットの活性が、発現、レベル又は活性が調節物質の非存在下で観察されるよりも高いか又は低いように、アップレギュレートされるか又はダウンレギュレートされることを意味する。例えば、用語「調節する」は、「阻害する」ことを意味しうるが、語句「調節する」の使用は、この定義に限定されない。
「阻害する」、「ダウンレギュレートする」、又は「低下させる」とは、遺伝子の発現、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットをコードするRNA分子若しくは同等のRNA分子のレベル、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例えば、siNA)の非存在下において観察されるものより低いことを意味する。1つの実施態様においては、siNA分子による阻害、ダウンレギュレーション又は低下は、不活性又は減弱化分子の存在下で観察されるレベルよりも低い。別の実施態様においては、siNA分子による阻害、ダウンレギュレーション、又は低下は、例えば、スクランブル配列又はミスマッチを有するsiNA分子の存在下で観察されるレベルよりも低い。別の実施態様においては、本発明の核酸分子による遺伝子発現の阻害、ダウンレギュレーション、又は低下は、核酸分子の存在下において、存在しない場合よりも大きい。1つの実施態様においては、遺伝子発現の阻害、ダウンレギュレーション又は低下は、転写後サイレンシング、例えば、標的核酸分子(例えば、RNA)のRNAi媒介性切断又は翻訳の阻害に関連する。1つの実施態様においては、遺伝子発現の阻害、ダウンレギュレーション、又は低下は、転写前サイレンシングに関連する。
「アップレギュレートする」、又は「促進する」とは、遺伝子の発現、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットをコードするRNA分子若しくは同等のRNA分子のレベル、又は1つ若しくはそれ以上の蛋白質若しくは蛋白質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例えば、siNA)の非存在下において観察されるものより高いことを意味する。1つの実施態様においては、siNA分子による遺伝子発現のアップレギュレーション又は促進は、不活性又は減弱化分子の存在下で観察されるレベルより高い。別の実施態様においては、siNA分子による遺伝子発現のアップレギュレーション又は促進は、例えば、スクランブル配列又はミスマッチを有するsiNA分子の存在下で観察されるレベルよりも高い。別の実施態様においては、本発明の核酸分子による遺伝子発現のアップレギュレーション又は促進は、核酸分子の存在下において、存在しない場合よりも大きい。1つの実施態様においては、遺伝子発現のアップレギュレーション又は促進は、RNA媒介性遺伝子サイレンシング、例えば、アップレギュレートされるべき対象となる遺伝子の発現をダウンレギュレート、阻害又はサイレンシングする、コード又は非コードRNA標的のRNAi媒介性切断又はサイレンシングの阻害に伴う。遺伝子発現のダウンレギュレーションは、例えば、コードRNA又はそれによりコードされる蛋白質により、例えば、負のフィードバック又はアンタゴニスト効果を介して誘発することができる。遺伝子発現のダウンレギュレーションは、例えば、対象となる遺伝子の調節制御を有する非コードRNAにより、例えば、翻訳阻害、クロマチン構造、メチル化、RISC媒介性RNA切断、又は翻訳阻害によって遺伝子の発現をサイレンシングすることにより、誘発されうる。そのように、対象となる遺伝子をダウンレギュレート、抑制又はサイレンシングする標的の阻害又はダウンレギュレーションを用いて、治療用途に向けて、対象となる遺伝子の発現をアップレギュレート又は促進することができる。
1つの実施態様においては、本発明のRNAi阻害物質は、RNAi又は遺伝子サイレンシングを阻害することにより遺伝子発現をアップレギュレートするために使用される。例えば、本発明のRNAi阻害物質を用いて、例えば、特定の遺伝子の対立遺伝子の一方が、変異対立遺伝子によりコードされる蛋白質の機能喪失をもたらす変異(例えば、フレームシフト、ミスセンス、ナンセンス変異)を有するハプロ不全の場合に、遺伝子発現をアップレギュレートすることにより、機能喪失による疾患及び状態を治療することができる。そのような場合、RNAi阻害物質を用いて、野生型又は機能性対立遺伝子によりコードされる蛋白質の発現をアップレギュレートし、したがって、変異又はヌル対立遺伝子を補完することによりハプロ不全を修正することができる。別の実施態様においては、例えば、本明細書における又は他の当該技術分野において知られる疾患、形質、又は状態の治療において、本発明のRNAi阻害物質は、同時に、野生型又は機能性対立遺伝子の発現をアップレギュレートするために使用されるとともに、本発明のsiNA分子は、機能性対立遺伝子の毒性獲得の発現をダウンレギュレートするために使用される(例えば、Rhodes et al,2004,PNAS USA,101:11147−11152及びMeisler et al.2005,The Journal of Clinical Investigation,115:2010−2017を参照)。
「遺伝子」又は「標的遺伝子」とは、RNAをコードする核酸、例えば、限定されないが、ポリペプチドをコードする構造遺伝子などの核酸配列を意味する。遺伝子又は標的遺伝子はまた、機能性RNA(fRNA)又は非コードRNA(ncRNA)、例えば、小一過性RNA(stRNA)、マイクロRNA(miRNA)、小核RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snRNA)、リボゾームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)及びこれらの前駆体RNAをコードすることができる。このような非コードRNAは、機能的又は制御的細胞プロセスに関与するfRNA又はncRNAの活性の調節において、siNA媒介性RNA干渉の標的核酸分子として働くことができる。したがって、疾患につながる異常なfRNA又はncRNA活性は、本発明のsiNA分子により調節することができる。fRNA及びncRNAを標的とするsiNA分子はまた、細胞プロセス、例えば遺伝的インプリンティング、転写、翻訳、又は核酸プロセシング(例えば、アミノ転移、メチル化等)を妨害することにより、患者、生物又は細胞の遺伝子型又は表現型を操作又は変更するために用いることができる。標的遺伝子は、細胞、内在性遺伝子、トランスジーン、又は外来遺伝子、例えば、感染後に細胞中に存在するウイルス等の病原体の遺伝子に由来する遺伝子でありうる。標的遺伝子を含む細胞は、任意の生物、例えば、植物、動物、原生動物、ウイルス、細菌又は真菌に由来するものであるか又はその中に含まれうる。植物の非限定的例には、単子葉植物、双子葉植物、又は裸子植物が含まれる。動物の非限定的例には、脊椎動物又は無脊椎動物が含まれる。真菌の非限定的例には、かび又は酵母が含まれる。概説として、例えば、Snyder and Gerstein,2003,Science,300,258−260を参照。
本明細書で用いる場合、「標的」とは、標的遺伝子によりコードされる任意の標的蛋白質、ペプチド、又はポリペプチドを意味する。用語「標的」はまた、例えば、標的RNAによりコードされる、標的活性を有する任意の標的蛋白質、ペプチド、又はポリペプチドをコードする核酸配列を表す。用語「標的」はまた、他の標的をコードする配列、例えば、他の標的アイソフォーム、変異標的遺伝子、標的遺伝子のスプライシング変種、及び標的遺伝子多型を含むことを意味する。「標的核酸」とは、その発現又は活性を調節すべき任意の核酸配列を意味する。標的核酸はDNAであってもRNAであってもよい。
「非標準塩基対」とは、任意の非ワトソン・クリック塩基対、例えば、ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対、例えば、フリップ付きミスマッチ、一水素結合ミスマッチ、トランスタイプミスマッチ、三塩基相互作用、及び四塩基相互作用などを意味する。そのような非標準塩基対の非限定的例としては、限定されないが、AC逆位フーグスティーン、ACゆらぎ、AU逆位フーグスティーン、GUゆらぎ、AA N7アミノ、CC 2−カルボニル−アミノ(H1)−N3−アミノ(H2)、GA共有、UC 4−カルボニル−アミノ、UU イミノ−カルボニル、AC逆位ゆらぎ、AUフーグスティーン、AU逆位ワトソン・クリック、CG逆位ワトソン・クリック、GC N3−アミノ−アミノN3、AA N1−アミノ対称、AA N7−アミノ対称、GA N7−N1アミノ−カルボニル、GA+カルボニル−アミノN7−N1、GG N1−カルボニル対称、GG N3−アミノ対称、CC カルボニル−アミノ対称、CC N3−アミノ対称、UU 2−カルボニル−イミノ対称、UU 4−カルボニル−イミノ対称、AA アミノ−N3、AA N1−アミノ、AC アミノ2−カルボニル、AC N3−アミノ、AC N7−アミノ、AU アミノ−4−カルボニル、AU N1−イミノ、AU N3−イミノ、AU N7−イミノ、CC カルボニル−アミノ、GA アミノ−N1、GA アミノ−N7、GA カルボニル−アミノ、GA N3−アミノ、GC アミノ−N3、GC カルボニル−アミノ、GC N3−アミノ、GC N7−アミノ、GG アミノ−N7、GG カルボニル−イミノ、GG N7−アミノ、GU アミノ−2−カルボニル、GU カルボニル−イミノ、GU イミノ−2−カルボニル、GU N7−イミノ、psiU イミノ−2−カルボニル、UC 4−カルボニル−アミノ、UC イミノ−カルボニル、UU イミノ−4−カルボニル、AC C2−H−N3、GA カルボニル−C2−H、UU イミノ−4−カルボニル2カルボニル−C5−H、AC アミノ(A)N3(C)−カルボニル、GCイミノアミノ−カルボニル、Gpsiイミノ−2−カルボニルアミノ−2−カルボニル、及びGU イミノアミノ−2−カルボニル塩基対などが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「標的」とは、任意の標的蛋白質、ペプチド、又はポリペプチド、例えば、米国特許出願第10/923,536号明細書及び米国特許出願第10/923536号明細書(いずれも参照することにより本明細書の一部となす)に示されるGenbank受託番号によりコードされるものを意味する。用語「標的」はまた、任意の標的蛋白質、ペプチド、又はポリペプチド、例えば、米国特許出願第10/923,536号明細書及び米国特許出願第10/923536号明細書に示されるGenbank受託番号を有する配列によりコードされる蛋白質、ペプチド、又はポリペプチドをコードする核酸配列又は標的ポリヌクレオチド配列を表す。対象となる標的は、標的ポリヌクレオチド配列、例えば、標的DNA又は標的RNAを含むことができる。用語「標的」はまた、他の配列、例えば、異なるアイソフォーム、変異標的遺伝子、標的ポリヌクレオチドのスプライシング変種、標的多型、及び非コード配列(例えば、ncRNA、miRNA、sRNA)、又は本明細書に記載される他の制御ポリヌクレオチド配列を含むことを意味する。したがって、本発明の種々の実施態様においては、標的RNAに相補性を有する本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)を用いて、miRNA又は他のncRNA活性を阻害するか又はダウンレギュレートすることができる。1つの実施態様においては、miRNA又はncRNA活性の阻害を用いて、遺伝子発現(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他の遺伝子標的)、又はmiRNA又はncRNA活性に依存するウイルス複製(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他のウイルス標的)をダウンレギュレート又は阻害することができる。別の実施態様においては、miRNA又はncRNAに相補性を有する本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)によるmiRNA又はncRNA活性の阻害を用いて、miRNA又はncRNAによって遺伝子の発現がダウンレギュレート、抑制又はサイレンシングされるような標的遺伝子の発現(例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる他の遺伝子標的)をアップレギュレート又は促進することができる。そのような遺伝子発現のアップレギュレーションを用いて、当該技術分野において一般に知られる機能の喪失又はハプロ不全に伴う疾患及び状態(例えば、筋ジストロフィー、嚢胞性線維症、又は神経疾患及び本明細書に記載される状態、例えば、乳児重症ミオクロニーてんかん、すなわちDravet症候群等のてんかん)を治療することができる。
「相同配列」とは、1つ又はそれ以上のポリヌクレオチド配列、例えば、遺伝子、遺伝子転写産物及び/又は非コードポリヌクレオチドにより共有されるヌクレオチド配列を意味する。例えば、相同配列は、関連するが異なる蛋白質をコードする2つ又はそれ以上の遺伝子、例えば、遺伝子ファミリーの異なるメンバー、異なる蛋白質エピトープ、異なる蛋白質アイソフォーム等、又は、例えば、サイトカイン及びその対応する受容体等の完全に相違する遺伝子により共有されているヌクレオチド配列でありうる。相同配列は、2つ又はそれ以上の非コードポリヌクレオチド、例えば、非コードDNA又はRNA、制御配列、イントロン、及び転写調節又は制御の部位により共有されているヌクレオチド配列でありうる。相同配列はまた、2つ以上のポリヌクレオチド配列により共有されている保存配列領域を含むことができる。ホモロジーは、完全なホモロジー(例えば、100%)ではなくてもよく、部分的に相同な配列もまた本発明により意図される(例えば、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%等)。
「保存配列領域」とは、世代間で、又は1つの生物学的システム、患者、又は生物から、他の生物学的システム、患者、又は生物へと有意に相違しない、ポリヌクレオチド中の1つ又はそれ以上の領域のヌクレオチド配列を意味する。ポリヌクレオチドは、コード及び非コードDNA及びRNAの両方を含むことができる。
「センス領域」とは、siNA分子のアンチセンス領域に対して相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子のセンス領域は、標的核酸配列とホモロジーを有する核酸配列を含むことができる。1つの実施態様においては、siNA分子のセンス領域はセンス鎖又はパッセンジャー鎖と称される。
「アンチセンス領域」とは、標的核酸配列に対して相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子のアンチセンス領域は、siNA分子のセンス領域に対する相補性を有する核酸配列を任意に含むことができる。1つの実施態様においては、siNA分子のアンチセンス領域はアンチセンス鎖又はガイド鎖と称される。
「標的核酸」又は「標的ポリヌクレオチド」とは、その発現又は活性を調節すべき任意の核酸配列を意味する。標的核酸はDNAであってもRNAであってもよい。1つの実施態様においては、本発明の標的核酸は標的RNA又はDNAである。
「相補性」とは、核酸が他方の核酸配列と、伝統的なワトソン・クリック又は本明細書に記載される他の非伝統的タイプのいずれかにより水素結合を形成しうることを意味する。1つの実施態様においては、各鎖が15〜30ヌクレオチドの長さである本発明の二本鎖核酸分子、例えばsiNA分子は、二本鎖核酸分子の2つの鎖の間に約10%〜約100%(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)の相補性を含む。別の実施態様においては、一方の鎖がセンス鎖であり他方の鎖がアンチセンス鎖であり、各鎖が15〜30ヌクレオチドの長さである本発明の二本鎖核酸分子、例えばsiNA分子は、二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列とその対応する標的核酸分子、例えば標的RNA又は標的mRNA又はウイルスRNAのヌクレオチド配列との間に少なくとも約10%〜約100%(例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)の相補性を含む。1つの実施態様においては、一方の鎖がセンス領域と称されるヌクレオチド配列を含み、他方の鎖がアンチセンス領域と称されるヌクレオチド配列を含み、各鎖が15〜30ヌクレオチドの長さである本発明の二本鎖核酸分子、例えばsiNA分子は、二本鎖核酸分子のセンス領域とアンチセンス領域との間に、約10%〜約100%(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)の相補性を有する。本発明の核酸分子に関して、核酸分子とその相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連する機能、例えばRNAi活性を進行させるのに十分なものである。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は当該技術分野においてよく知られている(例えば、Turner et al.,1987,CSH Symp.Quant.Biol.LII pp.123−133;Frier et al.,1986,Proc.Nat.Acad.Sci.USA83:9373−9377;Turner et al.,1987,J.Am.Chem.Soc.109:3783−3785を参照)。パーセント相補性とは、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン・クリック塩基対形成)を形成することができる、核酸分子中の連続する残基のパーセンテージを示す(例えば、第1のオリゴヌクレオチド中の全部で10ヌクレオチドのうちの5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドが10ヌクレオチドを有する第2の核酸配列と塩基対形成するということは、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%、及び100%の相補性を表す)。1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に完全な相補性を有する。1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、対応する標的核酸分子に完全に相補的である。「完全に相補的」とは、核酸配列のすべての連続する残基が第2の核酸配列中の同じ数の連続する残基と水素結合するであろうことを意味する。1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ又はそれ以上の標的核酸分子又はその一部に相補的な約15〜約30又はそれ以上(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子は、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又はsiNA分子のアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に、部分的な相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的な相補性は、siNA構造中に種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5又はそれ以上のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド)を含むことができ、このことにより、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又はsiNA分子のアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間にバルジ、ループ、又はオーバーハングが生ずる。
1つの実施態様においては、本発明の二本鎖核酸分子、例えば、siNA分子は、核酸分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に完全な相補性を有する。1つの実施態様においては、本発明の二本鎖核酸分子、例えばsiNA分子は、対応する標的核酸分子に完全に相補的である。
1つの実施態様においては、本発明の二本鎖核酸分子、例えばsiNA分子は、二本鎖核酸分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又は核酸分子のアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に、部分的な相補性(すなわち、100%より低い相補性)を有する。例えば、部分的な相補性は、二本鎖核酸分子中に種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5又はそれ以上のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド、例えばヌクレオチドバルジ)を含むことができ、この構造により、二本鎖核酸分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又は二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間にバルジ、ループ又はオーバーハングが生ずる。
1つの実施態様においては、本発明の二本鎖核酸分子は、マイクロRNA(miRNA)である。「マイクロRNA」又は「miRNA」とは、mRNA切断、翻訳の抑制/阻害又はヘテロクロマチンサイレンシングのいずれかにより標的メッセンジャーRNAの発現を制御する小さい二本鎖RNAを意味する(例えば、Ambros,2004,Nature,431,350−355;Bartel,2004,Cell,116,281−297;Cullen,2004,Virus Research.,102,3−9;He et al.,2004,Nat.Rev.Genet.,5,522−531;及びYing et al.,2004,Gene,342,25−28を参照)。1つの実施態様においては、本発明のマイクロRNAは、miRNA分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又はmiRNAのアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に部分的な相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的な相補性は、二本鎖核酸分子中に種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5又はそれ以上のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド、例えば、ヌクレオチドバルジ)を含むことができ、この構造により、miRNAのセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間に、又はmiRNAのアンチセンス鎖又はアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間にバルジ、ループ、又はオーバーハングが生ずる。
1つの実施態様においては、本発明の組成物、例えば処方分子組成物及び標的遺伝子発現をダウンレギュレートするか又は低下させる本発明の処方siNA組成物は、患者又は生物において、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる疾患、障害、状態、又は形質を予防又は治療するために用いられる。
本明細書で用いる場合、「増殖性疾患」又は「癌」とは、当該技術分野において知られるように、制御されない細胞成長又は複製を特徴とする任意の疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型を意味し、例えば、白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、及び慢性リンパ性白血病、AIDS関連癌、例えばカポジ肉腫;乳癌;骨癌、例えば骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、巨細胞癌、アダマンチノーム、及び脊索腫;脳腫瘍、例えば髄膜腫、神経膠芽細胞腫、低等級星状細胞腫、稀突起神経膠細胞腫、下垂体腫瘍、神経鞘腫、及び転移性脳腫瘍;頭頚部の癌、例えば種々のリンパ腫、例えば外套細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、腺腫、扁平上皮癌、喉頭癌腫、胆嚢及び胆管癌、網膜の癌、例えば網膜芽細胞腫、食道の癌、胃癌、多発性骨髄腫、卵巣癌、子宮癌、甲状腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、黒色腫、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、膵臓癌、肉腫、ウイルムス腫瘍、子宮頸癌、頭頚部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌腫、脂肪肉腫、上皮癌、腎細胞癌、胆嚢腺癌、耳下腺腺癌、子宮内膜肉腫、多剤耐性癌;及び増殖性疾患及び状態、例えば、腫瘍血管新生に伴う新生血管形成、黄斑変性(例えば、湿潤/乾燥AMD)、角膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、近視性変性及び他の増殖性疾患及び状態、例えば、再狭窄及び多発性嚢胞腎疾患、及び細胞又は組織において、単独で又は他の療法との組み合わせで疾患関連遺伝子発現の調節に応答しうる他の任意の癌又は増殖性疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「炎症性疾患」又は「炎症性状態」とは、当該技術分野において知られるように、炎症性又はアレルギー性のプロセスを特徴とする任意の疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型を意味し、例えば、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性動脈硬化症、乾癬、皮膚炎、再狭窄、ぜん息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症性ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、痛み、眼性炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠乏症、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性痙性失調症、喉頭部炎症性疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症及び他の塵肺症、及び細胞又は組織において、単独で又は他の療法との組み合わせで疾患関連遺伝子発現の調節に応答しうる他の任意の炎症性疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「自己免疫疾患」又は「自己免疫状態」とは、当該技術分野において知られるように、自己免疫を特徴とする任意の疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型を意味し、例えば、多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギヤン−バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ヴェーゲナー肉芽腫症、自己免疫てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、自己免疫肝炎、アディソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛、メニエール症候群;移植拒絶(例えば、同種移植片拒絶の予防)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グラーベ病、及び細胞又は組織において、単独で又は他の療法との組み合わせで疾患関連遺伝子発現の調節に応答しうる他の任意の自己免疫疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型が挙げられる。
「感染性疾患」とは、感染性因子、例えば、ウイルス、細菌、真菌、プリオン、又は寄生虫と関連する任意の疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型を意味する。本発明のsiNA分子を用いて標的とすることができる種々のウイルス遺伝子の非限定的例としては、C型肝炎ウイルス(HCV、例えばGenbank受託番号D11168、D50483.1、L38318及びS82227)、B型肝炎ウイルス(HBV、例えばGenBank受託番号AF100308.1)、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1、例えばGenBank受託番号U51188)、2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−2、例えばGenBank受託番号X60667)、西ナイル熱ウイルス(WNV、例えばGenBank受託番号NC_001563)、サイトメガロウイルス(CMV、例えばGenBank受託番号NC_001347)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV、例えばGenBank受託番号NC_001781)、インフルエンザウイルス(例えばGenBank受託番号AF037412、ライノウイルス(例えばGenBank受託番号:D00239、X02316、X01087、L24917、M16248、K02121、X01087)、パピローマウイルス(例えばGenBank受託番号NC_001353)、単純ヘルペスウイルス(HSV、例えばGenBank受託番号NC_001345)、及び他のウイルス、例えばHTLV(例えばGenBank受託番号AJ430458)が挙げられる。多くのウイルスゲノムは配列の変動性が高いため、広い治療用途のためのsiNA分子の選択には、ウイルスゲノムの保存領域が関与するであろう。ウイルスゲノムの保存領域の非限定的例としては、限定されないが、5’−非コード領域(NCR)、3’−非コード領域(NCR)及び/又は内部リボソーム侵入部位(IRES)が挙げられる。種々のウイルスゲノムの保存領域に対して設計されたsiNA分子は、多様な患者集団においてウイルス複製の有効な阻害を可能とし、ウイルスゲノムの非保存領域中の変異により生じるウイルス擬似種に対するsiNA分子の有効性を確実にすることができる。細菌感染の非限定的例としては、放線菌症、炭疽、アスペルギルス症、菌血症、細菌感染及び真菌症、バルトネラ感染、ボツリスム、ブルセラ症、セパシア菌感染、キャンピロバクター感染、カンジダ症、ネコ引っ掻き病、クラミジア感染、コレラ、クロストリジウム感染、コクシジオイデス真菌症、交差感染、クリプトコックス症、皮膚真菌症、皮膚真菌症、ジフテリア、エールリヒア症、大腸菌感染、筋膜炎、壊死性、フゾバクテリウム感染、ガス壊疽、グラム陰性細菌感染、グラム陽性細菌感染、ヒストプラスマ症、膿痂疹、クレブシエラ感染、レジオネラ症、らい病、レプトスピラ症、リステリア感染、ライム病、マズラミコーシス、類鼻疽、ミコバクテリウム感染、マイコプラスマ感染、真菌症、ノカルジア感染、爪甲真菌症、オルニトーシス、ペスト、肺炎球菌感染、シュードモナス感染、Q熱、鼡咬熱、回帰熱、リウマチ熱、リケッチア感染、ロッキー山紅斑熱、サルモネラ感染、猩紅熱、ツツガムシ病、敗血症、細菌性性感染症、細菌性皮膚疾患、ブドウ球菌感染、連鎖球菌感染、破傷風、ダニ媒介病、結核、ツラレミア、腸チフス、発疹チフス、流行性シラミ媒介性疾患、ビブリオ感染、フランベジア、エルジニア感染、人獣共通伝染病、及び接合真菌症が挙げられる。真菌感染の非限定的例としては、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス真菌症、クリプトコックス症、爪及び足指爪の真菌感染、真菌性副鼻腔炎、ヒストプラスマ症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症、爪真菌感染、パラコクシジオイドミコーシス、スポロトリクス症、バレー熱(コクシジオイデス真菌症)、及びカビアレルギーが挙げられる。
「神経疾患」又は「神経学的疾患」とは、中枢神経系又は末梢神経系に影響を与える任意の疾患、障害、又は状態を意味し、例えば、ADHD、AIDSの神経学的合併症、透明中隔の欠失、後天性てんかん様失語症、急性播種性脳脊髄炎、副腎脳白質ジストロフィー、脳梁の無発育、失認、エカルディ症候群、アレグザンダー病、アルパーズ病、交代性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側方硬化症、無脳症、動脈瘤、エンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語症、失行症、クモ膜嚢胞、クモ膜炎、アルノルト・キアーリ奇形、動静脈奇形、アスパルテーム、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調、運動失調、注意欠陥過活動性障害、自閉症、自律神経機能障害、背痛、バルト症候群、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性本態性眼瞼痙攣、良性限局性筋萎縮症、良性頭蓋内高血圧症、ベルンハルト・ロート症候群、ビンスヴァンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ−サルズバーガー症候群、腕神経叢分娩外傷、腕神経叢外傷、ブラドバリー・エグルストン症候群、脳動脈瘤、脳外傷、脳及び脊髄腫瘍、ブラウン・セカール症候群、延髄脊髄筋萎縮、キャナヴァン病、手根管症候群、カウザルギー、カベルノーマ、海綿状血管腫、空洞性奇形、中心頸髄症候群、脊髄中心症候群、中心性疼痛症候群、頭疾患、小脳退化、小脳性発育不全、脳性動脈瘤、脳性動脈硬化症、脳萎縮症、脳性脚気、脳性巨人症、脳低酸素症、脳性小児麻痺、脳−眼−顔面−骨格症候群、シャルコー・マリー・ツース病、キアリ奇形、舞踏病、舞踏病有棘赤血球増加症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、慢性起立不耐症、慢性疼痛、II型コケーン症候群、コフィン・ローリー症候、昏睡、例えば持続性植物状態、複雑体局所痛み症候群、先天性両側顔面神経麻痺、先天性筋無力症、先天性ミオパシー、先天性血管空洞奇形、大脳皮質基底核変性症、頭蓋動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、蓄積外傷疾患、クッシング症候群、サイトメガロ封入体病(CIBD)、サイトメガロウイルス感染、跳躍性眼−跳躍性足症候群、ダンディ−ウォーカー症候群、ドーソン病、ド・モルシェ症候群、ドゥジュリーヌ・クルンプケ麻痺、多発脳梗塞性痴呆、皮質下痴呆、レーヴィ小体を伴う痴呆、皮膚筋炎、発達性結合運動障害、ドヴィック症候群、糖尿病性ニューロパシー、散在性硬化症、ドラバー症候群、自律神経障害、書字障害、失読症、えん下困難、結合運動障害、失調症、初期乳児期てんかん性脳障害、トルコ鞍空虚症候群、嗜眠性脳炎、脳炎及び髄膜炎、脳ヘルニア、脳障害、脳三叉神経領域血管腫症、てんかん、エルブ麻痺、エルブデュシェンヌ及びドゥジュリーヌ−クルンプケ麻痺、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性自律神経障害、家族性血管腫、家族性特発性大脳基底核石灰化症、家族性けいれん性麻痺、熱性痙攣(例えば、GEFS及びGEFSプラス)、フィッシャー症候群、フロッピー乳児症候群、フリートライヒ運動失調、ゴシェ病、ゲルストマン症候群、ゲルストマン・シュトロイスラシェインカー病、巨大細胞動脈炎、巨大細胞封入病、球様細胞白質萎縮症、舌咽神経痛、ギラン・バレー症候群、HTLV−1関連ミエロパシー、ハレルフォルデン・スパッツ病、頭部外傷、頭痛、稽留性片頭痛、片側顔面痙縮、交代性片麻痺、遺伝性ニューロパシー、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳帯状疱疹、帯状疱疹、ヒラヤマ症候群、全前脳症、ハンチントン病、水無脳症、正常圧水頭症、水頭症、水脊髄症、副腎皮質機能亢進症、睡眠過剰、高張、低張、低酸素症、免疫媒介性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児期低張、乳児期フタル酸蓄積症、乳児期レフサム病、乳児期痙攣、炎症性ミオパシー、腸性脂肪異栄養症、頭蓋内嚢腫、頭蓋内高血圧症、アイザック症候群、ジュベール症候群、キーンズ・セイアー症候群、ケネディ病、キンスボーン症候群、クライネ・レヴィン症候群、クリペル・フェーユ症候群、クリペル・トルノネー症候群(KTS)、クリューヴァー・ビューシー症候群、コルサコフ健忘症候群、クラッベ病、クーゲルベルク・ヴェランデル病、クールー、ランバート・イートン筋無力症症候群、ランドー・クレッフナー症候群、側方大腿皮膚神経エントラップメント、側方骨髄症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ−ナイハン症候群、白質萎縮症、レヴァイン・クリチリー症候群、レーヴィ小体痴呆、脳回欠損、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリッグ病、ループス−神経学的続発症、ライム病−神経学的合併症、マチャド・ジョセフ病、大脳髄症、巨大脳髄症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、髄膜炎、メンケス病、知覚異常性大腿神経痛、異染性白質萎縮症、小頭蓋症、片頭痛、ミラーフィッシャー症候群、症発作、ミトコンドリアミオパシー、メービウス症候群、単肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、モヤモヤ病、ムコリピドーシス、ムコ多糖体症、多発脳梗塞性痴呆、多病巣性運動ニューロパシー、多発性硬化症、起立性低血圧症を伴う多発性全身萎縮症、多発性全身萎縮症、筋ジストロフィー、先天性筋無力症、重症筋無力症、ミエリン破壊性散在性硬化症、乳児のミオクローヌス脳障害、ミオクローヌス、先天性ミオパシー、甲状腺中毒性ミオパシー、ミオパシー、先天性ミオトニー、ミオトニー、ナルコレプシー、神経有棘赤血球増加症、脳鉄蓄積を有する神経変性、神経線維腫症、神経弛緩薬性悪性症候群、AIDSの神経学的合併症、ポンペ病の神経学的発現、視神経脊髄炎、神経ミオトニー、神経セロイド脂褐素沈着症、神経移動疾患、ニューロパシー−遺伝性、神経サルコイドーシス、神経毒性、海綿状母斑、ニーマン・ピック病、オサリバン・マクラウド症候群、後頭神経痛、不顕性脊椎管癒合異常配列、オータハラ症候群、オリーブ橋小脳萎縮、眼球クローヌスミオクローヌス、起立性低血圧症、過用症候群、慢性痛み、新生物随伴症候群、感覚異常症、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、発作性舞踏病アテトーシス、発作性片頭痛、パリー・ロンバーグ、ペリツェーウス・メルツバッヒャー病、ペナショーカーII症候群、神経周囲嚢、周期性麻痺、末梢ニューロパシー、室周白軟化症、持続性植物状態、広汎発達障害、フィタン酸蓄積症、ピック病、梨状症候群、下垂体腫瘍、多発性筋炎、ポンペ病、脳空洞症、ポリオ後症候群、ヘルペス後神経痛、感染後脳脊髄炎、体位性低血圧症、体位性起立性頻拍症症候群、体位性頻拍症候群、原発性側方硬化症、プリオン病、進行性片側萎縮症、進行性歩行性運動失調症、進行性多病巣性白質脳症、進行性硬化性ポリオジストロフィー、進行性核上麻痺、偽腫瘍大脳、ピリドキシン依存及びピリドキシン応答性シーズー疾患、I型ラムジー・ハント症候群、II型ラムジー・ハント症候群、ラスムッセン脳炎及び他の自己免疫てんかん、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、レフサム病−乳児、レフサム病、反復運動疾患、反復ストレス障害、不穏下肢症候群、レトロウイルス関連ミエロパシー、レット症候群、レイ症候群、リリーデイ症候群、SUNCT頭痛、仙骨神経根嚢胞、舞踏病、唾液腺疾患、ザントホフ病、シルダー病、脳裂、痙攣疾患、中隔−視覚異形成症、新生児期の重症ミオクローヌスてんかん(SMEI)、揺さぶられっ子症候群、帯状ヘルペス、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、ソト症候群、痙性、二分脊椎、脊髄梗塞、脊髄外傷、脊髄腫瘍、棘筋萎縮症、脊髄小脳性萎縮症、スティール・リチャードソン・オルスゼフスキー症候群、スティッフパーソン症候群、線条体黒質変性、脳卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性汎脳炎、皮質下動脈硬化性脳障害、えん下疾患、シドナム舞踏病、失神、梅毒性棘硬化症、空洞水脊髄症、脊髄空洞症、全身性エリテマトーデス、脊髄ろう、遅発性ジスキネジー、眼板嚢胞、テイ−サックス病、一過性動脈炎、繋留脊髄症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、甲状腺中毒性ミオパシー、疼痛性チック、トッド麻痺、ツーレット症候群、一過性虚血性発作、伝染性海綿状脳障害、横断脊髄炎、外傷性脳障害、振せん、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、結節硬化症、血管勃起腫瘍、脈管炎、例えば、一過性動脈炎、フォン・エコーノモ病、フォン・ヒッペル・リンダウ病(VHL)、フォン・レックリングハウゼン病、ヴァレンベルク症候群、ヴェルドニッヒ・ホフマン病、ヴェルニッケ・コルサコフ症候群、ウエスト症候群、ホウィップル病、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、X連鎖脊髄及び延髄筋萎縮、及びツェルヴェーガー症候群が含まれる。
「呼吸器疾患」とは、呼吸管に影響を与える任意の疾患又は状態を意味し、例えば、ぜん息、慢性閉塞性肺疾患すなわち「COPD」、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管収縮、気腫、及び細胞又は組織において、単独で又は他の療法との組み合わせで疾患関連遺伝子発現の調節に応答しうる他の任意の呼吸器疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型が含まれる。
「心臓血管疾患」とは、心臓及び血管系に影響を与える疾患又は状態を意味し、例えば、限定されないが、冠状動脈心臓疾患疾患(CHD)、脳血管疾患(CVD)、大動脈狭窄、末梢血管疾患、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管疾患(脳卒中)、一過性虚血性発作(TIA)、アンギナ(安定性及び不安定性)、心房性細動、不整脈、弁膜性疾患、うっ血性心不全、高コレステロール血症、I型高リポ蛋白血症、II型高リポ蛋白血症、III型高リポ蛋白血症、IV型高リポ蛋白血症、V型高リポ蛋白血症、続発性高トリグリセリド血症、及び家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損が含まれる。
本明細書で用いる場合、「眼科疾患」とは、当該技術分野において知られるように、眼及び関連する構造の任意の疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型を意味し、例えば、類嚢胞黄斑水腫、星芒状硝子体症、病的近視及び後極ブドウ膜腫、トキソカラ症(眼幼虫移行症)、網膜血管閉塞、後部硝子体剥離、着色性網膜断裂、網膜上膜、糖尿病性網膜症、格子変性、網膜血管閉塞、網膜動脈閉塞、黄斑変性(例えば、加齢性黄斑変性、例えば湿潤AMD又は乾燥AMD)、トキソプラスマ症、脈絡膜黒色腫、後天性網膜分離、ホレンホースト斑、特発性中央漿液網脈絡膜症、黄斑円孔、推定眼ヒストプラスマ症症候群、網膜マクロ動脈瘤、色素性網膜炎、網膜剥離、高血圧性網膜症、網膜色素上皮(RPE)剥離、パピロ静脈炎、眼性虚血性症候群、コーツ病、レーベル粟粒動脈瘤、結膜新生物、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、急性細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎及び春季カタル、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、クラミジア及び淋菌性結膜炎、結膜裂傷、上強膜炎、強膜炎、瞼裂斑炎、翼状片、上輪部角結膜炎(テオドールのSLK)、毒性結膜炎、偽膜を有する結膜炎、巨大乳頭状結膜炎、テリエン辺縁変性、アカントアメーバ角膜炎、真菌性角膜炎、糸状角膜炎、細菌性角膜炎、乾性角結膜炎/ドライアイ症候群、細菌性角膜炎、ヘルペス単純角膜炎、無菌性角膜浸潤、フリクテン症、角膜擦過傷及び再発性角膜びらん、角膜異物、薬品熱傷、上皮基底膜ジストロフィー(EBMD)、サイジェソン表在性点状角膜炎、角膜裂傷、ザルツマン結節状角膜変性、フックス内皮ジストロフィー、水晶体亜脱臼、毛様体ブロック緑内障、原発性開放隅角緑内障、色素分散症候群及び色素性緑内障、偽性剥脱症候群及び偽剥脱性緑内障、前部ブドウ膜炎、原発性開放隅角緑内障、ブドウ膜緑内障及び緑内障毛様体炎発症、色素分散症候群及び色素性緑内障、急性閉塞隅角緑内障、前部ブドウ膜炎、前房出血、隅角後退緑内障、水晶体誘発性緑内障、偽性剥脱症候群及び偽性剥脱性緑内障、アクセンフェルト・リーガー症候群、新生血管緑内障、扁平部炎、脈絡膜破裂、デュエーン退縮症候群、毒性/栄養性視神経ニューロパシー、第3脳神経の異常な再生、頭蓋内腫瘤病変、頸動脈海綿静脈洞瘻、虚血性前視神経ニューロパシー、視神経円浮腫及び乳頭水腫、第3脳神経麻痺、第4脳神経麻痺、第6脳神経麻痺、第7脳神経(顔面神経)麻痺、ホルナー症候群、核間眼筋麻痺、視神経頭形成不全、視窩、緊張性瞳孔、視神経乳頭結晶腔、脱髄視神経ニューロパシー(視神経炎、球後視神経炎)、一過性黒内障及び一過性虚血性発作、偽脳腫瘍、下垂体腺腫、伝染性軟属腫、小管炎、いぼ及び乳頭腫、シラミ寄生症及びシラミ症、眼瞼炎、麦粒腫、前中隔蜂巣炎、霰粒腫、基底細胞癌腫、眼部帯状疱疹、シラミ寄生症及びシラミ症、眼窩下壁骨折、慢性流涙症、涙嚢炎、ヘルペス眼瞼炎、眼窩蜂巣炎、老人性内反、及び扁平上皮癌が含まれる。
「代謝性疾患」とは、当該技術分野において知られるように、代謝経路に影響を与える任意の疾患又は状態を意味する。代謝性疾患は、遺伝的酵素異常(先天性代謝異常)による先天性のものか、又は内分泌器官の疾患又は肝臓等の代謝的に重要な臓器の障害による後天性のもののために、異常な代謝性プロセスを引き起こしうる。1つの実施態様においては、代謝性疾患には、肥満、インスリン抵抗性、及び糖尿病(例えば、I型及び/又はII型糖尿病)が含まれる。
「皮膚疾患」とは、皮膚、真皮又はその中の任意の下部構造、例えば、髪、毛包等における任意の疾患又は状態を意味する。皮膚疾患、障害、状態及び形質には、乾癬、異所性皮膚炎、皮膚癌、例えば黒色腫及び基底細胞癌腫、抜け毛、脱毛、色の変化、及び皮膚、真皮又はその中の構造に伴う他の任意の疾患、状態又は形質が含まれる。
「聴覚疾患」とは、耳等の聴覚系、例えば内耳、中耳、外耳、蝸牛神経、及びその中の任意の下部構造の任意の疾患又は状態を意味する。聴覚疾患、障害、状態及び形質には、聴力損失、難聴、耳鳴、メニエール病、めまい、バランス及び運動疾患、及び耳又はその中の構造に伴う他の任意の疾患、状態又は形質が含まれる。
本発明の1つの実施態様においては、本発明のsiNA分子の各配列は、独立して、約15〜約30ヌクレオチドの長さであり、特定の実施態様においては、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチドの長さである。別の実施態様においては、本発明のsiNA二本鎖は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)塩基対を含む。別の実施態様においては、本発明のsiNA分子の1つ又はそれ以上の鎖は、独立して、標的核酸分子に相補的な約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)ヌクレオチドを含む。さらに別の実施態様においては、ヘアピン又は環状構造を含む本発明のsiNA分子は、約35〜約55(例えば、約35、40、45、50又は55)ヌクレオチドの長さであるか、又は約38〜約44(例えば、約38、39、40、41、42、43、又は44)ヌクレオチドの長さであり、約15〜約25(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25)塩基対を含む。
本明細書で用いる場合、「細胞」は、その通常の生物学的意味で用いられ、多細胞生物全体を指さず、特にヒトを指さない。細胞は、生物において、例えば、鳥類、植物及び哺乳動物、例えばヒト、ウシ、ヒツジ、類人猿、サル、ブタ、イヌ及びネコにおいて存在しうる。細胞は、原核生物(例えば細菌細胞)であっても、真核生物(例えば哺乳動物又は植物細胞)であってもよい。細胞は体細胞起源でも生殖細胞系起源でもよく、全能細胞でも多能性細胞でもよく、分裂していても分裂していなくてもよい。細胞はまた、配偶子又は胚、幹細胞、又は完全に分化した細胞に由来するか、又はこれらを含むものであってもよい。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物又は処方siNA組成物は、エクスビボで、又は直接注射、カテーテル挿入、又はステント留置(例えば、門脈カテーテル挿入/ステント留置)によりインビボで、関連する組織に局所投与される。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物又は処方siNA組成物は、当該技術分野において知られる非経口投与により、例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注射により、患者又は生物に全身送達される。
別の態様においては、本発明は、本発明の1つ又はそれ以上の処方分子組成物又は処方siNA組成物を含む哺乳動物細胞を提供する。1つ又はそれ以上の処方分子組成物又は処方siNA組成物は、独立して、同じ又は異なる部位を標的とすることができる。
「RNA」とは、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。「リボヌクレオチド」とは、β−D−リボフラノース部分の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを意味する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA、例えば部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え的に作製されたRNA、並びに1つ又はそれ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換及び/又は変更により天然のRNAと異なるように変更されたRNAを含む。そのような変更は、非ヌクレオチド物質の付加、例えば、siNAの末端又は内部(例えばRNAの少なくとも1つ又はそれ以上のヌクレオチド)への付加を含むことができる。本発明のRNA分子中のヌクレオチドはまた、標準的ではないヌクレオチド、例えば、天然に生じないヌクレオチド又は化学的に合成されたヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドを含むことができる。これらの変更されたRNAは、類似体又は天然のRNAの類似体と称することができる。
「患者」とは、外植された細胞のドナー又はレシピエントである生物又は細胞それ自体を意味する。「患者」とはまた、本発明の核酸分子を投与することができる生物を表す。患者は、哺乳動物又は哺乳動物細胞、例えば、ヒト又はヒト細胞であってもよい。
本明細書で用いる場合、用語「ホスホロチオエート」は、式I(式中、Z及び/又はWはイオウ原子を含む)を有するヌクレオチド間結合を表す。したがって、用語ホスホロチオエートは、ホスホロチオエート及びホスホロジチオエートヌクレオチド間結合の両方を表す。
本明細書で用いる場合、用語「ホスホノアセテート」は、式I(式中、Z及び/又はWはアセチル基又は保護アセチル基を含む)を有するヌクレオチド間結合を表す。
本明細書で用いる場合、用語「チオホスホノアセテート」は、式I(式中、Zはアセチル基又は保護アセチル基を含み、Wはイオウ原子を含むか、或いは、Wはアセチル基又は保護アセチル基を含み、Zはイオウ原子を含む)を有するヌクレオチド間結合を表す。
本明細書で用いる場合、用語「普遍塩基」は、天然のDNA/RNA塩基のそれぞれと、これらをほとんど区別せずに塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を表す。普遍塩基の非限定的例としては、当該技術分野において知られるように、C−フェニル、C−ナフチル、及び他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、及びニトロアゾール誘導体、例えば、3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、及び6−ニトロインドールが挙げられる(例えば、Loakes,2001,Nucleic Acid Research,29,2437−2447を参照)。
本明細書で用いる場合、用語「非環状ヌクレオチド」は、非環状リボース糖を有する任意のヌクレオチド、例えば、リボース炭素(C1、C2、C3、C4、又はC5)のいずれかが、独立して又は組み合わせてヌクレオチド中に存在しないヌクレオチドを表す。
さらに別の実施態様においては、処方分子組成物及び処方siNA組成物は、患者又は生物において、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる疾患、形質、及び状態を阻害、軽減又は予防するために、他の既知の治療剤と組み合わせて用いられる。例えば、本明細書に記載される分子は、患者又は生物において、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において知られる疾患、形質、及び状態を阻害、軽減又は予防するために、1つ又はそれ以上の既知の化合物、治療剤又は方法と組み合わせて用いることができる。非限定的例においては、HCV感染及びHBV感染に伴う合併症を治療するために用いられる処方分子組成物及び処方siNA組成物は、他のHCV治療剤、例えば、HCVワクチン;抗HCV抗体、例えばHepeX−C及びCivacir;プロテアーゼ阻害剤、例えばVX−950;ペグ化インターフェロン、例えばPEG−Intron、及び/又は他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン及び/又はバロピシタビンと組み合わせて用いられる。
1つの実施態様においては、本発明の処方siNA組成物は、本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチド分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)をコードする核酸配列を、siNA分子の発現を可能とする様式で含む発現ベクターを含む。例えば、ベクターは、二本鎖を含むsiNA分子の両方の鎖をコードする配列を含むことができる。ベクターはまた、自己相補的であり、したがってsiNA分子を形成する単一の核酸分子をコードする配列を含むことができる。そのような発現ベクターの非限定的例は、Paul et al.,2002,Nature Biotechnology,19,505;Miyagishi and Taira,2002,Nature Biotechnology,19,497;Lee et al.,2002,Nature Biotechnology,19,500;及びNovina et al.,2002,Nature Medicine,advance online publication doi:10.1038/nm725に記載されている。1つの実施態様においては、本発明の発現ベクターは、2つ又はそれ以上のsiNA分子(同じであっても異なっていてもよい)をコードする核酸配列を含む。
本発明の別の側面においては、標的RNA分子と相互作用して、標的RNA分子(例えば、本明細書においてGenbank受託番号で表される標的RNA分子)をコードする遺伝子をダウンレギュレートする本発明のポリヌクレオチド、例えば、siNA分子は、DNA又はRNAベクター中に挿入された転写ユニットから発現される。組換えベクターはDNAプラスミドであってもウイルスベクターであってもよい。ポリヌクレオチドを発現するウイルスベクターは、例えば、限定されないが、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。ポリヌクレオチド分子を発現しうる組換えベクターは、本明細書に記載されるようにして送達され、標的細胞中に残留させることができる。或いは、ポリヌクレオチド分子の一過性発現をもたらすウイルスベクターを用いることができる。そのようなベクターは、必要に応じて繰り返し投与することができる。例えば、いったん発現されると、siNA分子は結合して、RNA干渉(RNAi)により遺伝子機能又は発現をダウンレギュレートする。処方分子組成物を発現するベクターの送達は、全身的(例えば、静脈内又は筋肉内投与により)、患者から外植された標的細胞に投与した後、患者に再導入することにより、又は所望の標的細胞中への導入を可能とする他のいずれかの手段により行うことができる。
「ベクター」とは、所望の核酸を送達するために使用される、任意の核酸及び/又はウイルスに基づく手法を意味する。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の本発明の好ましい実施態様の説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。
図1は、本発明のカチオン性脂質化合物の非限定的例を示す。
図2は、本発明のアセタール結合カチオン性脂質化合物の非限定的例を示す。
図3は、本発明のスクシニル/アシル結合カチオン性脂質化合物の非限定的例を示す。
図4は、本発明の芳香族カチオン性脂質化合物の非限定的例を示す。
図5は、本発明のさらなるカチオン性脂質化合物の非限定的例を示す。
図6は、処方分子組成物の成分の概略を示す。
図7は、処方分子組成物がとりうるラメラ構造及び逆位六角形構造の概略図を示す。
図8は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL051の成分を示す。
図9は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL073の成分を示す。
図10は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL069の成分を示す。
図11は、500nmの吸光度により測定した、50%血清における処方分子組成物の相対濁度により測定した、処方分子組成物L065、F2、L051、及びL073の血清安定性を示すグラフである。処方分子組成物L065、L051、及びL073は血清中で安定である。
図12は、350nmの吸光度により測定した、処方分子組成物のpH3.5〜pH9.0の範囲のバッファー溶液における相対濁度により測定した、処方分子組成物L065、F2、L051、及びL073のpH依存的相転移を示すグラフである。処方分子組成物L051及びL073はそれぞれ、pH5.5〜pH6.5で急速なpH依存的相転移を起こす。
図13は、350nmの吸光度により測定した、処方分子組成物のpH3.5〜pH9.0の範囲のバッファー溶液における相対濁度により測定した、処方分子組成物L069のpH依存的相転移を示すグラフである。処方分子組成物L069は、pH5.5〜pH6.5で急速なpH依存的相転移を起こす。
図14は、本発明のsiNA分子の化学修飾の非限定的例を示す。
図15は、siNAナノ粒子がHepG2細胞においてHBsAgレベルを低下させるインビトロ効力の非限定的例を示す。活性な化学的に修飾されたsiNA分子を、HBV部位263RNAを標的とするように設計した(siNA配列は図14に示される)。図面は、処方された活性なsiNAL051ナノ粒子(表IVを参照)で処理した細胞におけるHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処理細胞と比較して示す。活性なsiNAで処理した細胞では、HBsAgレベルの用量依存的減少が観察されたが、陰性対照処理細胞では減少は観察されなかった。
図16は、siNAナノ粒子がHepG2細胞においてHBsAgレベルを低下させるインビトロ効力の非限定的例を示す。活性な化学的に修飾されたsiNA分子を、HBV部位263RNAを標的とするように設計した(siNA配列は図14に示される)。図面は、処方された活性なsiNAL053及びL054ナノ粒子(表IVを参照)で処理した細胞におけるHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処理細胞と比較して示す。活性なsiNAで処理した細胞では、HBsAgレベルの用量依存的減少が観察されたが、陰性対照処理細胞では減少は観察されなかった。
図17は、siNAナノ粒子がHepG2細胞においてHBsAgレベルを低下させるインビトロ効力の非限定的例を示す。活性な化学的に修飾されたsiNA分子を、HBV部位263RNAを標的とするように設計した(siNA配列は図14に示される)。図面は、活性なsiNA(表IVを参照)を含む処方分子組成物L069で処理した細胞におけるHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処理細胞と比較して示す。活性なsiNAで処理した細胞では、HBsAgレベルの用量依存的減少が観察されたが、陰性対照処理細胞では減少は観察されなかった。
図18は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L051(表IV)ナノ粒子の活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。活性なsiNA分子を封入したナノ粒子を、HDIの6日後から始めて3日間、標準的なIV注入で3mg/kg/dayで投与した。動物の群(N=5)を最後の投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBV DNAレベルを測定した。HBV DNA力価は定量的リアルタイムPCRにより測定し、平均log10コピー/ml(±SEM)で表した。
図19は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L051(表IV)ナノ粒子の活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。活性なsiNA分子を封入したナノ粒子を、HDIの6日後から始めて3日間、標準的なIV注入で3mg/kg/dayで投与した。動物の群(N=5)を最後の投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBsAgのレベルを測定した。血清HBsAgレベルはELISAによりアッセイし、平均log10pg/ml(±SEM)で表した。
図20は、Huh7 HCVレプリコン系において、用量依存的にウイルス複製を標的とする処方siNA L051(表IV)ナノ粒子構築物の非限定的例を示す。活性なsiNA製剤を、1、5、10、及び25nMで、未処置細胞(「untreated」)、及び同じ濃度の処方された不活性なsiNAスクランブル化対照構築物と比較して評価した。
図21は、Huh7 HCVレプリコン系において、用量依存的にウイルス複製を標的とする処方siNA L053及びL054(表IV)ナノ粒子構築物の非限定的例を示す。活性なsiNA製剤を、1、5、10、及び25nMで、未処置細胞(「untreated」)、及び同じ濃度の処方された不活性なsiNAスクランブル化対照構築物と比較して評価した。
図22は、非処方siNA、コレステロール−コンジュゲート化siNA、及び処方siNA(分子組成18.1及び19.1で処方)を気管内投与した後の、マウスの肺組織におけるsiNAの分布を示す。示されるように、分子組成T018.1又はT019.1で処方したsiNAを用いたときに、肺組織における暴露の最大半減期が観察された。
図23Aは、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)の合成に用いられる合成スキームの非限定的例を示す。
図23Bは、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)の合成に用いられる別の合成スキームの非限定的例を示す。
図23Cは、N,N−ジメチル−3,4−ジリノレイルオキシベンジルアミン及びN,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミンの合成に用いられる合成スキームの非限定的例を示す。
図24Aは、1−[8’−(コレスタ−5−エン−3β−オキシ)カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(PEG−コレステロール)及び3,4−ジテトラデコキシイルベンジル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)エーテル(PEG−DMB)の合成に用いられる合成スキームの非限定的例を示す。図中、PEGはPEG2000であり、式PEGnで表される、典型的には約〜1500ないし〜約3000Daの範囲でありうる多分散系である(すなわち、nは約33〜約67であり、又は平均約〜45である)。
図24Bは、1−[8’−(1,2−ジミリストイル−3−プロパンオキシ)−カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(PEG−DMG)の合成に用いられる合成スキームの非限定的例を示す。図中、PEGはPEG2000であり、式PEGnで表される、典型的には約〜1500ないし〜約3000Daの範囲でありうる多分散系である(すなわち、nは約33〜約67であり、又は平均約〜45である)。
図25は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL083の成分を示す。
図26は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL077の成分を示す。
図27は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL080の成分を示す。
図28は、急速なpH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物であるL082の成分を示す。
図29は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L077、L069、L080、L082、L083、L060、L061、及びL051(表IV)ナノ粒子の活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。ナノ粒子に封入された活性なsiNA分子を、3mg/kg/dayで標準的なIV注入でHDIの6日後から始めて3日間投与した。最後の投与の3及び7日後に動物の群(N=5)を犠牲死させて、血清HBV DNAレベルを測定した。HBV DNA力価は定量的リアルタイムPCRにより測定し、平均log10コピー/ml(±SEM)で表した。
図30は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L083及びL084(表IV)ナノ粒子の用量反応活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。活性なsiNA分子を封入したナノ粒子を、HDIの6日後から始めて3日間、標準的なIV注入で3mg/kg/dayで投与した。動物の群(N=5)を最後の投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBsAgのレベルを測定した。血清HBsAgレベルはELISAによりアッセイし、平均log10pg/ml(±SEM)で表した。
図31は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L077(表IV)ナノ粒子の用量反応活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。活性なsiNA分子を封入したナノ粒子を、HDIの6日後から始めて3日間、標準的なIV注入で3mg/kg/dayで投与した。動物の群(N=5)を最後の投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBsAgのレベルを測定した。血清HBsAgレベルはELISAによりアッセイし、平均log10pg/ml(±SEM)で表した。
図32は、HBVマウスモデルにおける、全身投与されたsiNA L080(表IV)ナノ粒子の用量反応活性の非限定的例を示す。0.3μgのpWTD HBVベクターを含む尾静脈水圧注入を行った。活性なsiNA分子を封入したナノ粒子を、HDIの6日後から始めて3日間、標準的なIV注入で3mg/kg/dayで投与した。動物の群(N=5)を最後の投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBsAgのレベルを測定した。血清HBsAgレベルはELISAによりアッセイし、平均log10pg/ml(±SEM)で表した。
図33は、siNA L077、L080、L082、及びL083(表IV)ナノ粒子製剤の血清安定性の非限定的例を示す。
図34は、350nmの吸光度により測定した、処方分子組成物のpH3.5〜pH9.0の範囲のバッファー溶液における相対濁度により測定した、siNA L077、L080、L082、及びL083(表IV)ナノ粒子製剤のpH依存的相転移を示すグラフである。処方分子組成物L069は、pH5.5〜pH6.5で急速なpH依存的相転移を起こす。
図35は、RAW264.7マウスマクロファージ細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP58及びLNP98製剤の効力のデータを、LFK2000及び処方された無関係なsiNA対照と比較して示す。
図36は、MM14.Lu正常マウス肺細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP98製剤の効力のデータを、LFK2000及び処方された無関係なsiNA対照と比較して示す。
図37は、6.12Bリンパ球細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP54、LNP97、及びLNP98製剤の効力のデータを、LFK2000及び処方された無関係なsiNA対照と比較して示す。
図38は、NIH 3T3細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP98製剤の効力のデータを、LFK2000及び処方された無関係なsiNA対照と比較して示す。
図39は、RAW264.7細胞における、MapK14 LNP54及びLNP98処方siNAによるMapK14RNAの用量依存的減少を示す。
図40は、MM14.Lu細胞における、MapK14 LNP98処方siNAによるMapK14RNAの用量依存的減少を示す。
図41は、6.12B細胞における、MapK14 LNP97及びLNP98処方siNAによるMapK14RNAの用量依存的減少を示す。
図42は、NIH 3T3細胞における、MapK14 LNP98処方siNAによるMapK14RNAの用量依存的減少を示す。
図43は、OVAチャレンジ媒介気道過敏性のマウスモデルにおける、IL−4Rを標的とするLNP−51処方siNAを用いる治療による気道過敏性の低下の非限定的例を示す。活性な処方siNAを0.01、0.1、及び1.0mg/kgで試験し、LNPビヒクル単独及び未処置(ナイーブ)動物と比較した。
図44は、LNP処方siNAにより媒介されるインビボでのハンチントン(htt)遺伝子発現の阻害の非限定的例を示す。Alzet浸透圧ポンプを用いて、LNP中に封入したsiNAを0.1〜1mg/mlの範囲の濃度でマウス側方心室又は線条体にそれぞれ7又は14日間注入した(総投与量は8.4〜84μgの範囲である)。LNP−098又はLNP−061で処方した活性なsiNAで処置した動物を、LNP−061で処方したミスマッチ対照siNA及び未処置動物対照と比較した。ハンチントン(htt)遺伝子発現レベルはQPCRにより測定した。
発明の詳細な記載
本発明の核酸分子の作用のメカニズム
アプタマー:核酸アプタマーは、対象となる特定のリガンドに特異的に結合するよう選択することができる(例えば、Gold et al.,米国特許第5,567,588号明細書及び米国特許第5,475,096号明細書,Gold et al.,1995,Annu.Rev.Biochem.,64,763;Brody and Gold,2000,J Biotechnol.,74,5;Sun,2000,Curr.Opin.Mol.Ther.,2,100;Kusser,2000,J.Biotechnol.,74,27;Hermann and Patel,2000,Science,287,820;及びJayasena,1999,Clinical Chemistry,45,1628を参照)。例えば、インビトロ選択を適用して、CylAに対する結合特異性を有する核酸アプタマーを導き出すことができる。核酸アプタマーは、本明細書に記載される化学的修飾及びリンカーを含むことができる。本発明の核酸アプタマーは、二本鎖であっても一本鎖であってもよく、1つの区別しうる核酸配列を含んでいてもよく、互いに複合体化された2以上の核酸配列を含んでいてもよい。CylAに結合する本発明のアプタマー分子は、CylAのプロテアーゼ活性を調節し、続いて細胞溶解素を活性化することができ、したがって、腸球菌感染に伴う急性毒性を調節することができる。
アンチセンス:アンチセンス分子は、修飾された又は修飾されていないRNA、DNA、又は混合ポリマーオリゴヌクレオチドであることができ、主として、対合する配列に特異的に結合することにより機能し、ペプチド合成を調節する(Wu−Pong,Nov 1994,Bio Pharm,20−33)。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAにワトソン・クリック塩基対形成により結合し、立体的障害により又はRNaseH酵素を活性化することにより、結合した配列のリボソーム翻訳を防止することによって遺伝子発現を妨害する。アンチセンス分子はまた、RNAのプロセシング又は核から細胞質への輸送を妨害することにより蛋白質合成を変化させることができる(Mukhopadhyay & Roth,1996,Crit.Rev. in Oncogenesis 7,151−190)。
さらに、一本鎖DNAのRNAへの結合により、ヘテロ二本鎖がヌクレアーゼ分解されうる(Wu−Pong,(上掲),Crooke,(上掲))。これまでのところ、RNaseHの基質として作用しうる、主鎖を修飾したDNA化学は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート及びボロントリフルオリデートのみである。最近、2’−アラビノ及び2’−フルオロアラビノ含有オリゴもまた、RNaseH活性を活性化することが報告された。
化学的に修飾されたヌクレオチドの新規なコンフィギュレーション、二次構造、及び/又はRNaseH基質ドメインを利用する多数のアンチセンス分子が記載されている(Woolf et al;米国特許第5,989,912号明細書;Thompson et al.,米国特許出願第60/082,404号明細書(1998年4月20日出願);Hartmann et al.,米国特許出願第60/101,174号明細書(1998年9月21日出願))(これらはその全体を参照することにより本明細書の一部となす)。
アンチセンスDNAを用いて、DNA−RNA相互作用によりRNAを標的化して、このことにより、二本鎖中の標的RNAを消化するRNaseHを活性化することができる。アンチセンスDNAは、化学的に合成することができ、又は一本鎖DNAの細胞内発現ベクター若しくはその同等物を用いて発現させることができる。
三重鎖形成性オリゴヌクレオチド(TFO):配列特異的な様式でゲノムDNAに結合するように一本鎖オリゴヌクレオチドを設計することができる。TFOは、フーグスティーン塩基対形成を介してDNAらせんに結合するピリミジンが豊富なオリゴヌクレオチドから構成されうる(Wu−Pong、(上掲))。さらに、TFOは、標的DNA配列に対する結合親和性を高めるために、化学的に修飾することができる。得られるDNAセンス、DNAアンチセンス、及びTFOからなる三重らせんは、RNAポリメラーゼによるRNA合成を妨害する。結合が不可逆的でありうるため、TFOメカニズムにより遺伝子発現又は細胞死が生じうる(Mukhopadhyay & Roth、(上掲))。
2’−5’オリゴアデニレート:2−5Aシステムは、高等脊椎動物において見つけられたRNA分解のインターフェロン媒介性メカニズムである(Mitra et al,1996,Proc Nat Acad Sci USA 93,6780−6785)。RNA切断には、2種類の酵素、2−5Aシンセターゼ及びRNase Lが必要である。2−5Aシンセターゼは、2’−5’オリゴアデニレート(2−5A)を形成するのに二本鎖RNAを必要とする。次に、2−5Aは、一本鎖RNAを切断する能力を有するRNase Lを利用するためのアロステリックエフェクターとして作用する。二本鎖RNAとともに2−5A構造を形成する能力のため、このシステムはウイルス複製の調節に特に有用である。
(2’−5’)オリゴアデニレート構造は、アンチセンス分子に共有結合で結合して、RNA切断が可能なキメラオリゴヌクレオチドを形成することができる(Torrence、(上掲))。これらの分子は、2−5A依存性RNaseに結合してこれを活性化すると推定され、次にオリゴヌクレオチド/酵素複合体が標的RNA分子に結合し、これは次にRNase酵素により切断されることができる。2’−5’オリゴアデニレート構造の共有結合は、アンチセンス用途に限定されず、本発明の核酸分子への結合を含むようにさらに構成することができる。
酵素的核酸:現在、天然の酵素的RNAのいくつかの変種が知られている(Doherty and Doudna,2001,Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.,30,457−475;Symons,1994,Curr.Opin.Struct.Biol.,4,322−30)。さらに、いくつかのインビトロ選択(発展)戦略(Orgel,1979,Proc.R.Soc.London,B205,435)を用いて、ホスホジエステル結合の切断及びライゲーションを触媒しうる新たな核酸触媒が発展してきた(Joyce,1989,Gene,82,83−87;Beaudry et al.,1992,Science 257,635−641;Joyce,1992,Scientific American 267,90−97;Breaker et al.,1994,TIBTECH 12,268;Bartel et al.,1993,Science 261:1411−1418;Szostak,1993,TIBS 17,89−93;Kumar et al.,1995,FASEB J.,9,1183;Breaker,1996,Curr.Op.Biotech.,7,442;Santoro et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.,94,4262;Tang et al.,1997,RNA 3,914;Nakamaye & Eckstein,1994,(上掲);Long & Uhlenbeck,1994,(上掲);Ishizaka et al.,1995,(上掲);Vaish et al.,1997,Biochemisty 36,6495)。それぞれは、生理学的条件下で、ホスホジエステル結合をトランスで加水分解することを含む一連の反応を触媒することができる(したがって、他のRNA分子を切断することができる)。
酵素的核酸の酵素的性質は、治療的処置に影響を与えるのに必要な核酸の濃度が低いなどの大きな利点を有する。この利点は、酵素的核酸分子が酵素的に作用する能力を反映している。すなわち、1つの酵素的核酸分子が多くの標的RNA分子を切断することができる。さらに、酵素的核酸分子は、高度に特異的な調節剤であり、その調節の特異性は、標的RNAへの結合の塩基対形成メカニズムのみならず、標的RNA切断のメカニズムにも依存する。切断部位の近くに1つのミスマッチ又は塩基置換を選択することにより、酵素的核酸分子の触媒活性を完全になくすことができる。
エンドヌクレアーゼ酵素活性を有する核酸分子は、ヌクレオチド塩基配列に特異的な様式で他の別のRNA分子を繰り返し切断することができる。適切な設計及び構築により、そのような酵素的核酸分子は、任意のRNA転写産物を標的とすることができ、インビトロで有効な切断を達成することができる(Zaug et al.,324,Nature 429 1986;Uhlenbeck,1987 Nature 328,596;Kim et al.,84 Proc.Natl.Acad.Sci. USA 8788,1987;Dreyfus,1988,Einstein Quart.J.Bio.Med.,6,92;Haseloff and Gerlach,334 Nature 585,1988;Cech,260 JAMA 3030,1988;Jefferies et al.,17 Nucleic Acids Research 1371,1989;Chartrand et al.,1995,Nucleic Acids Research 23,4092;Santoro et al.,1997,PNAS 94,4262)。
その配列特異性のため、トランス切断性酵素的核酸分子は、ヒトの疾患の治療剤として有望である(Usman & McSwiggen,1995 Ann.Rep.Med.Chem.30,285−294;Christoffersen and Marr,1995 J.Med.Chem.38,2023−2037)。酵素的核酸分子は、細胞性RNAのバックグラウンド中で特定のRNA標的を切断するように設計することができる。そのような切断事象は、RNAを非機能性にし、そのRNAからの蛋白質発現を無効にする。このようにして、疾患状態に関連する蛋白質の合成を選択的に調節することができる(Warashina et al.,1999,Chemistry and Biology,6,237−250)。
本発明はまた、本発明の核酸デコイ及び/又はアプタマーを含むセンサードメインを有する核酸センサー分子又はアロザイムを特徴とする。核酸センサー分子のセンサードメインと分子標的との相互作用は、標的−シグナル伝達分子の存在下で核酸センサー分子の活性が調節されるように、核酸センサー分子の酵素的核酸ドメインを活性化又は不活性化することができる。核酸センサー分子は、標的分子の存在下で活性であるように設計してもよく、或いは、分子標的の存在下で不活性であるように設計してもよい。例えば、核酸センサー分子は、リガンドに対して結合特異性を有するアプタマーを含むセンサードメインを有するように設計する。非限定的例においては、リガンドと核酸センサー分子のセンサードメインとの相互作用により、センサー分子が反応、例えば、リガンドをコードするRNAの切断を触媒するように、核酸センサー分子の酵素的核酸ドメインを活性化することができる。この例においては、核酸センサー分子は、リガンドの存在下で活性化され、リガンドに関連する疾患又は状態を治療する治療剤として用いることができる。或いは、反応は、標識された核酸レポーター分子の切断又はライゲーションを含むことができ、ある系におけるリガンドの存在を検出する有用な診断試薬を提供する。
RNA干渉:以下の考察は、現在知られている低分子干渉RNAにより媒介されるRNA干渉の提唱されるメカニズムを記載するが、限定を意味するものではなく、先行技術であると認めるものではない。本出願人は、本明細書において、化学的に修飾された低分子干渉核酸が、siRNA分子と類似の又は改良されたRNAi媒介能力を有し、インビボで改良された安定性及び活性を有すると予測されることを示す。したがって、この考察は、siRNAのみに限定されることを意味するものではなく、siNA全体に適用することができる。「RNAiを媒介する改良された能力」又は「改良されたRNAi活性」とは、インビトロ及び/又はインビボで測定されたRNAi活性を含むことを意味し、ここで、RNAi活性は、siNAがRNAiを媒介する能力と本発明のsiNAの安定性との両方を反映する。本発明においては、これらの活性の積を、全RNA siRNA又は複数のリボヌクレオチドを含むsiNAと比較して、インビトロ及び/又はインビボで増加させることができる。場合によっては、siNA分子の活性又は安定性は低下するかもしれないが(すなわち、10分の1以下に)、siNA分子の全体的活性はインビトロ及び/又はインビボで増大される。
RNA干渉とは、動物において低分子干渉RNA(siRNA)により媒介される配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを表す(Fire et al.,1998,Nature,391,806)。植物における対応するプロセスは、一般に転写後遺伝子サイレンシング又はRNAサイレンシングと称され、真菌においてはクエリング(quelling)とも称される。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するために用いられる進化的に保存された細胞防御メカニズムであると考えられており、異なる叢及び門が共通して有している(Fire et al.,1999,Trends Genet.,15,358)。そのような外来遺伝子発現からの防御は、相同的一本鎖RNA又はウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介して、ウイルス感染又は宿主ゲノム中へのトランスポゾン因子のランダムインテグレーションから生ずる二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応答して進化してきたのであろう。細胞におけるdsRNAの存在は、まだ完全には特性決定されていないメカニズムによるRNAi応答を引き起こす。このメカニズムは、蛋白質キナーゼPKR及び2’,5’−オリゴアデニレートシンセターゼのdsRNA媒介性活性化の結果、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断が生ずるインターフェロン応答とは異なると思われる。
細胞に長いdsRNAが存在すると、ダイサーと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性が刺激される。ダイサーは、dsRNAを低分子干渉RNA(siRNA)として知られる短い断片のdsRNAへとプロセシングすることに関与している(Berstein et al.,2001,Nature,409,363)。ダイサー活性により得られる低分子干渉RNAは、典型的には約21〜23ヌクレオチドの長さであり、約19塩基対の二本鎖を含む。ダイサーはまた、翻訳制御における関与が示唆されている保存された構造の前駆体RNAから21及び22ヌクレオチドの小さな一時的RNA(stRNA)を切り出すことに関与することが示唆されている(Hutvagner et al.,2001,Science,293,834)。RNAi応答はまた、一般にRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)と称される、siRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体を特徴とし、これはsiRNAと相同な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のガイド配列に相補的な領域の中央部で生ずる(Elbashir et al.,2001,Genes Dev.,15,188)。さらに、RNA干渉には、小さいRNA(例えば、マイクロRNA、すなわち、miRNA)に媒介される遺伝子サイレンシングが関与する場合もある。これはおそらくは、クロマチン構造を制御する細胞性メカニズムによるが、このことにより標的遺伝子配列の転写が妨害される(例えば、Allshire,2002,Science,297,1818−1819;Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837;Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218;及びHall et al.,2002,Science,297,2232−2237を参照)。このように、本発明のsiNA分子は、RNA転写産物との相互作用を介して、或いは特定の遺伝子配列との相互作用により、遺伝子サイレンシングを媒介するために用いることができ、そのような相互作用により転写レベル又は転写後レベルのいずれかで遺伝子サイレンシングが生ずる。
RNAiは種々の系で研究されてきた。Fireら(1998,Nature,391,806)は、C.elegansにおいてRNAiを観察した最初のものであった。Wianny及びGoetz(1999,Nature Cell Biol.,2,70)は、マウス胚においてdsRNAにより媒介されるRNAiを記載する。Hammondら(2000,Nature,404,293)は、dsRNAでトランスフェクトしたショウジョウバエ細胞におけるRNAiを記載する。Elbashirら(2001,Nature,411,494)は、培養哺乳動物細胞、例えばヒト胚性腎臓細胞及びHeLa細胞において、合成の21ヌクレオチドRNAの二本鎖を導入することにより誘導されるRNAiを記載する。ショウジョウバエ胚溶解物における最近の研究は、効率的なRNAi活性を媒介するために必須であるsiRNAの長さ、構造、化学組成、及び配列についての特定の条件を明らかにした。これらの研究は、21ヌクレオチドのsiRNA二本鎖が、2つの2ヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む場合に、最も活性であることを示した。さらに、一方又は両方のsiRNA鎖を2’−デオキシ又は2’−O−メチルヌクレオチドで置換するとRNAi活性が破壊されるが、3’末端siRNAヌクレオチドをデオキシヌクレオチドで置換することは許容されうることが示された。siRNA二本鎖の中心におけるミスマッチ配列もまた、RNAi活性を破壊することが示された。さらに、これらの研究はまた、標的RNAにおける切断部位の位置は、siRNAガイド配列の3’末端ではなくガイド配列の5’末端により規定されることを示した(Elbashir et al.,2001,EMBO J.,20,6877)。他の研究により、siRNA二本鎖の標的相補鎖の5’−リン酸がsiRNA活性に必要であり、siRNAの5’−リン酸部分を維持するためにATPが用いられることが示されている(Nykanen et al.,2001,Cell,107,309)。しかし、5’−リン酸を欠失したsiRNA分子は、外的に導入したときに活性であり、このことは、インビボでsiRNA構築物の5’−リン酸化が生じているかもしれないことを示唆する。
核酸分子の合成
100ヌクレオチドを越える長さの核酸の合成は、自動化方法を用いては困難であり、そのような分子による治療コストは非常に高くなる。本発明においては、好ましくは、小さい核酸モチーフ(「小さい」とは、100ヌクレオチド以下の長さ、好ましくは80ヌクレオチド以下の長さ、最も好ましくは50ヌクレオチド以下の長さの核酸モチーフ、例えば、個々のsiNAオリゴヌクレオチド配列又はタンデムで合成されたsiNA配列を表す)が外的送達に用いられる。これらの分子は構造が簡単であるため、核酸が蛋白質及び/又はRNA構造の標的領域に進入する能力が高い。本発明の例示的分子は化学的に合成するが、他の分子も同様に合成することができる。
オリゴヌクレオチド(例えば、ある種の修飾オリゴヌクレオチド又はリボヌクレオチドを欠失しているオリゴヌクレオチドの一部)は、例えば、Caruthers et al.,1992,Methods in Enzymology 211,3−19,Thompson et al.,国際公開第99/54459号パンフレット,Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Res.23,2677−2684,Wincott et al.,1997,Methods Mol.Bio.,74,59,Brennan et al.,1998,Biotechnol Bioeng.,61,33−45,及びBrennan,米国特許第6,001,311号明細書に記載されるような、当該技術分野において知られるプロトコールを用いて合成する(これらの文献はすべて参照することにより本明細書の一部となす)。オリゴヌクレオチドの合成は、一般の核酸保護基及びカップリング基、例えば5’末端にジメトキシトリチル、及び3’末端にホスホルアミダイトを利用する。非限定的例においては、394 Applied Biosystems,Inc.合成装置で、0.2μmolスケールのプロトコールで、2’−O−メチル化ヌクレオチドについては2.5分間のカップリング工程、及び2’−デオキシヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドについては45秒間のカップリング工程で、小スケールの合成を行う。表IIは、合成サイクルで用いる試薬の量及び接触時間の概要を示す。或いは、0.2μmolスケールでの合成は、96ウェルプレート合成装置、例えば、Protogene(Palo Alto,CA)により製造される装置で、サイクルに最少の改変を加えて行うことができる。2’−O−メチル残基の各カップリングサイクルにおいては、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに対して33倍過剰(60μLの0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホルアミダイト及び105倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μLの0.25M=15μmol)を用いることができる。デオキシ残基の各カップリングサイクルにおいては、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに対して22倍過剰(40μLの0.11M=4.4μmol)のデオキシホスホルアミダイト及び70倍過剰のS−エチルテトラゾール(40μLの0.25M=10μmol)を用いることができる。394 Applied Biosystems,Inc.合成装置における平均カップリング収率は、トリチル画分の比色定量により決定して、典型的には97.5〜99%である。394 Applied Biosystems,Inc.合成装置で用いる他のオリゴヌクレオチド合成試薬は以下のとおりである:脱トリチル化溶液は塩化メチレン中3%TCA(ABI)であり;キャッピングは、THF中16%N−メチルイミダゾール(ABI)及びTHF中10%無水酢酸/10%2,6−ルチジン(ABI)中で行い;酸化溶液は、THF中16.9mM I2、49mMピリジン、9%水(PerSeptive Biosystems,Inc.)である。Burdick&Jackson合成等級アセトニトリルは試薬瓶から直接用いる。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中0.25M)は、American International Chemical,Inc.から入手した固体から作製する。或いは、ホスホロチオエート結合の導入のためには、ボーケージ試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン 1,1−ジオキシド、アセトニトリル中0.05M)を用いる。
DNA系オリゴヌクレオチドの脱保護は以下のように行う:ポリマー結合トリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLのガラスねじ蓋バイアルに移し、40%水性メチルアミン(1mL)の溶液中で65℃にて10分間懸濁する。−20℃に冷却した後、上清をポリマー支持体から取り出す。支持体を1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄し、ボルテックスし、次に上清を最初の上清に加える。オリゴリボヌクレオチドを含む、合わせた上清を乾燥して、白色粉末を得る。
本発明のある種のsiNA分子を含むRNAについて用いられる合成方法は、Usmanら(1987 J.Am.Chem.Soc.,109,7845)、Scaringeら(1990,Nucleic Acids Res.,18,5433)及びWincottら(1995 Nucleic Acids Res.23,2677−2684)、Wincottら(1997,Methods Mol.Bio.,74,59)に記載の方法にしたがい、一般の核酸保護基及びカップリング基、例えば、5’末端にジメトキシトリチル、及び3’末端にホスホルアミダイトを利用する。非限定的例においては、小スケールの合成は、394 Applied Biosystems,Inc.合成装置で、0.2μmolスケールのプロトコールを用いて、アルキルシリル保護ヌクレオチドについては7.5分間のカップリング工程を、2’−O−メチル化ヌクレオチドについては2.5分間のカップリング工程を行う。表IIは、合成サイクルにおいて用いる試薬の量及び接触時間の概要を示す。或いは、0.2μmolスケールでの合成は、96ウェルプレート合成装置、例えば、Protogene(Palo Alto,CA)により製造された装置で、サイクルに最少の改変を加えて行うことができる。2’−O−メチル残基の各カップリングサイクルにおいては、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに対して33倍過剰(60μLの0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホルアミダイト及び75倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μLの0.25M=15μmol)を用いることができる。リボ残基の各カップリングサイクルにおいては、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに対して66倍過剰(120μLの0.11M=13.2μmol)のアルキルシリル(リボ)保護ホスホルアミダイト及び150倍過剰のS−エチルテトラゾール(120μLの0.25M=30μmol)を用いることができる。394 Applied Biosystems,Inc.合成装置における平均カップリング収率は、トリチル画分の比色定量により決定して、典型的には97.5〜99%である。394 Applied Biosystems,Inc.合成装置で用いる他のオリゴヌクレオチド合成試薬は以下のとおりである:脱トリチル化溶液は塩化メチレン中3%TCA(ABI)であり;キャッピングは、THF中16%N−メチルイミダゾール(ABI)及びTHF中10%無水酢酸/10%2,6−ルチジン(ABI)中で行い;酸化溶液は、THF中16.9mM I2、49mMピリジン、9%水(PerSeptive Biosystems,Inc.)である。Burdick&Jackson合成等級アセトニトリルは試薬瓶から直接用いる。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中0.25M)は、American International Chemical,Inc.から入手した固体から作製する。或いは、ホスホロチオエート結合の導入のためには、ボーケージ試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン 1,1−ジオキシド、アセトニトリル中0.05M)を用いる。
RNAの脱保護は、2ポットプロトコール又は1ポットプロトコールのいずれかを用いて行う。2ポットプロトコールについては、ポリマー結合トリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLのガラスねじ蓋バイアルに移し、40%水性メチルアミン(1mL)の溶液中で65℃にて10分間懸濁する。−20℃に冷却した後、上清をポリマー支持体から取り出す。支持体を1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄し、ボルテックスし、次に上清を最初の上清に加える。オリゴリボヌクレオチドを含む、合わせた上清を乾燥して、白色粉末を得る。塩基脱保護オリゴリボヌクレオチドを無水TEA/HF/NMP溶液(1.5mL N−メチルピロリジノン、750μL TEA及び1.0mL TEA・3HFの溶液300μL、HF濃度1.4M)に再懸濁し、65℃に加熱する。1.5時間後、オリゴマーを1.5M NH4HCO3で反応停止させる。
或いは、1ポットプロトコールのためには、ポリマー結合トリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLのガラスねじ蓋バイアルに移し、33%エタノール性メチルアミン/DMSO:1/1(0.8mL)の溶液中で、65℃にて15分間懸濁する。バイアルを室温にする。TEA・3HF(0.1mL)を加え、バイアルを65℃で15分間加熱する。試料を−20℃に冷却し、次に1.5M NH4HCO3で反応を停止させる。
トリチルオンオリゴマーの精製のためには、反応を停止させたNH4HCO3溶液を、アセトニトリル、続いて50mM TEAAで予備洗浄したC−18含有カートリッジに供する。供されたカートリッジを水で洗浄した後、RNAを0.5%TFAで13分間脱トリチル化する。次にカートリッジを水で再び洗浄し、1M NaClで塩交換し、再び水で洗浄する。次に、30%アセトニトリルでオリゴヌクレオチドを溶出する。
平均的な段階的カップリングの収率は、典型的には>98%である(Wincott et al.,1995 Nucleic Acids Res.23,2677−2684)。当業者は、合成規模は、上述の例より大きく又は小さく、例えば、限定されないが、96ウェルのフォーマットに適合させることができることを認識するであろう。
或いは、本発明の核酸分子は、別々に合成して、合成後に例えばライゲーションにより(Moore et al.,1992,Science 256,9923;Draper et al.,国際公開第93/23569号パンフレット;Shabarova et al.,1991,Nucleic Acids Research 19,4247;Bellon et al.,1997,Nucleosides & Nucleotides,16,951;Bellon et al.,1997,Bioconjugate Chem.8,204)、又は合成及び/又は脱保護の後にハイブリダイゼーションにより、連結させてもよい。
本発明のsiNA分子はまた、本明細書の実施例1に記載されるようにタンデム合成法により合成することができる。この方法では、両方のsiNA鎖を、切断可能なリンカーにより分離された単一の連続するオリゴヌクレオチド断片又は鎖として合成し、次にこれを切断して別々のsiNA断片又は鎖を生成し、これらはハイブリダイズしてsiNA二本鎖の精製を可能とする。リンカーはポリヌクレオチドリンカーであっても非ヌクレオチドリンカーであってもよい。本明細書に記載されるsiNAのタンデム合成は、マルチウェル/マルチプレート合成プラットフォーム、例えば96ウェル又は同様のより大きなマルチウェルプラットフォームのいずれにも容易に適合させることができる。本明細書に記載されるsiNAのタンデム合成はまた、バッチリアクター、合成カラムなどを用いる大規模合成プラットフォームにも容易に適合させることができる。
siNA分子はまた、一方の断片がRNA分子のセンス領域を含み、第2の断片がアンチセンス領域を含む2つの別々の核酸鎖又は断片から組み立てることができる。
本発明の核酸分子は、広範囲に修飾して、ヌクレアーゼ耐性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−Hによる修飾により安定性を高めることができる(概説として、Usman and Cedergren,1992,TIBS 17,34;Usman et al.,1994,Nucleic Acids Symp.Ser.31,163を参照)。siNA構築物は、一般的な方法を用いてゲル電気泳動により精製するか、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC;Wincott et al.、(上掲)を参照、その全体を参照することにより本明細書の一部となす)により精製し、水に再懸濁することができる。
本発明の別の側面においては、本発明のsiNA分子は、DNA又はRNAベクター中に挿入された転写ユニットから発現される。組換えベクターは、DNAプラスミドであっても、ウイルスベクターであってもよい。siNAを発現するウイルスベクターは、限定されないが、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。siNA分子を発現しうる組換えベクターを、本明細書に記載されるように送達し、標的細胞中に残留させることができる。或いは、siNA分子の一過性発現をもたらすウイルスベクターを用いてもよい。
脂質ナノ粒子(LNP)組成物の調製
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の脂質ナノ粒子組成物の製造方法を特徴とする。この工程は、通常、本発明の生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、siRNA、又はRNAi阻害物質)を含む水性溶液を第1のリザーバーに提供する工程(この第1のリザーバーは第2のリザーバー中の有機脂質溶液と液体連結している)と、この水性溶液を有機脂質溶液と混合する工程、次いで、インキュベーション工程、膜分離工程、及び最終濃縮工程を含む。1つの実施態様においては、水性溶液、例えば、バッファーは、工程の結果として脂質ナノ粒子中に封入されるように、生物学的に活性な分子を含む。
別の実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子を含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物を製造するための装置を特徴とする。この装置は、通常、水性溶液を保持するための第1のリザーバーと、有機脂質溶液を保持するための第2のリザーバーを含み、ここで、水性溶液は、生物学的に活性な分子を含む。この装置はまた、通常、水性及び有機脂質溶液を実質的に同じ流速で混合領域又は混合チャンバにポンプで送るように構成されたポンプ機構を含む。1つの実施態様においては、混合領域又は混合チャンバは、T型結合部又はその均等物を含み、それらは、水性及び有機液体の流れが注入物として合わさりTコネクターに送られ、得られた合わさった水性及び有機液体がTコネクターから回収リザーバー又はその均等物中へと排出されることを可能にする。操作時、有機脂質溶液は、混合領域で水性溶液と混合して、インキュベーション、膜分離、及び濃縮の後、所望の脂質ナノ粒子組成物が生成する。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の脂質ナノ粒子組成物を合成するための方法を特徴とし、この方法は、(a)本発明の生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、siRNA、又はRNAi阻害物質)を含む水性溶液を提供し;(b)本発明のLNP成分(例えば、表IVに示されるLNP成分を参照)を含む有機溶液を提供し;(c)水性溶液と有機溶液を混合し;(d)得られた合わせた水性及び有機溶液を、(e)希釈前に、インキュベートし;(f)限外濾過;及び、(g)脂質ナノ粒子組成物を製造するために適当な条件下で最終濃縮することを含む。1つの実施態様においては、生物学的に活性な分子は、工程の結果として脂質ナノ粒子中に封入される。
1つの実施態様においては、本発明は、生物学的に活性な分子を含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物の調製方法を提供し、この方法は、(a)適当なバッファー中で、対象となる生物学的に活性な分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質)の溶液を調製し;(b)適当なバッファー中で、脂質成分(例えば、CLinDMA、DSPC、コレステロール、PEG−DMG、及び/又は、リノレイルアルコール)の溶液を調製し;(c)粒子形成のために適当な条件下で、脂質成分溶液と生物学的に活性な分子の溶液を混合し;(d)得られた混合物を、(e)希釈前に、適当なバッファーと共にインキュベートし;(f)限外濾過;及び、(g)LNP組成物の最終濃縮を含む(例えば、本明細書中の表VI及び実施例17を参照)。
1つの実施態様においては、(a)のバッファーは、クエン酸バッファー等の水性バッファーである。別の実施態様においては、(b)のバッファーは、エタノール等の有機アルコールを含む。1つの実施態様においては、(c)の混合工程は、(a)の第1の液体の流れと(b)の第2の液体の流れを実質的に同じ流速で合わせて脂質ナノ粒子組成物を形成させるポンプ装置の利用を含む。別の実施態様においては、(d)のインキュベーションは、(c)の得られた工程中の溶液を、室温付近で、場合により、光から保護された状態で、約12〜約100時間(好ましくは、約12〜約24時間)、容器中で静置することを含む。1つの実施態様においては、希釈(e)は、ポンプシステム(例えば、隔膜ポンプ)を用いた水性バッファー(例えば、クエン酸バッファー)による希釈を伴う。1つの実施態様においては、限外濾過(f)は、希釈LNP溶液の濃縮後の、例えば、適当な限外濾過膜(例えば、GE NP UFP−100−C−35A又はその均等物)と連結させた適当なポンプシステム(例えば、Quatroflowポンプ又はその均等物等のポンプ装置)を用いた膜分離を含む。
別の群の実施態様においては、本発明は脂質ナノ粒子(LNP)を製造する方法を提供し、この方法は、(a)有機溶媒中にカチオン性脂質及び非カチオン性脂質を含む混合物を調製し;(b)対象となる分子の水性溶液を工程(a)の混合物と接触させて、清澄な単相とし;そして(c)有機溶媒を除去して分子−脂質粒子の懸濁液を得ることを含み、ここで、対象となる分子は脂質二重層中に封入され、粒子は血清中で安定であり、約50〜約150nm、或いは、50〜約600nmのサイズを有する。
有機溶媒の選択は、典型的には、溶媒極性及び粒子形成の後の段階で溶媒を除去することの容易性を考慮することを含む。溶解剤としても用いられる有機溶媒は、生物学的に活性な分子と脂質との清澄な単相混合物を与えるのに十分な量である。適当な溶媒としては、限定されないが、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、又は他の脂肪族アルコール、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールが挙げられる。2つ又はそれ以上の溶媒の組み合わせも本発明において用いることができる。
対象となる分子とカチオン性及び中性脂質の有機溶液との接触は、対象となる分子の第1の溶液(典型的には水性溶液)と、脂質の第2の有機溶液を一緒に混合することにより行う。当業者は、この混合は多くの方法のいずれかにより、例えばボルテックスミキサーを用いるなどの機械的手段により、行うことができることを理解するであろう。
対象となる分子を脂質の有機溶液と接触させた後、有機溶媒を除去し、これにより血清安定分子−脂質粒子の水性懸濁液が形成される。有機溶媒を除去するために用いられる方法は、減圧下で蒸発させるか又は混合物に不活性ガス(例えば、窒素又はアルゴン)を吹き込むことを含む。
このようにして形成された処方分子組成物は、典型的には約50nm〜150nm、或いは、約50nm〜600nmのサイズにされる。さらに粒子のサイズを減少させるか又はサイズを均一化するためには、上述したようにサイズ化することができる。
別の実施態様においては、本発明の方法はさらに、非脂質ポリカチオンを加えることを含み、これは本発明の組成物を用いて細胞を形質転換するのに有用である。適当な非脂質ポリカチオンの例としては、限定されないが、臭化ヘキサジメトリン(商品名POLYBRENE(登録商標)として市販(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wis.,USA))又はヘキサジメトリンの他の塩が挙げられる。他の適当なポリカチオンとしては、例えば、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミンの塩が挙げられる。
ある実施態様においては、脂質ナノ粒子(LNP)の生成は、単相系(例えば、BlighとDyerの単相又は水性溶媒と有機溶媒との同様の混合物)又は二相系で、適切に混合しながら行うことができる。
脂質ナノ粒子(LNP)の生成を単相系で行う場合、カチオン性脂質及び対象となる分子をそれぞれ一定量の単相混合物中に溶解する。2つの溶液を組み合わせると、単一の混合物が得られ、その中で複合体が形成される。或いは、複合体は、カチオン性脂質が分子に結合しており(これは水相に存在する)、これを有機相中に「引っ張る」二相混合物中で形成させることができる。
別の実施態様においては、本発明は、脂質ナノ粒子(LNP)組成物を製造する方法を提供し、この方法は、(a)対象となる分子を非カチオン性脂質及び界面活性剤を含む溶液と接触させて分子−脂質混合物を生成し;(b)カチオン性脂質を分子−脂質混合物と接触させて、対象となる分子の負電荷の一部を中和して、分子及び脂質の電荷中和混合物を生成し;そして(c)界面活性剤を電荷中和混合物から除去して脂質ナノ粒子(LNP)組成物を得る、ことを含む。
一群の実施態様においては、中性脂質及び界面活性剤の溶液は水性溶液である。対象となる分子と中性脂質及び界面活性剤の溶液との接触は、典型的には、対象となる分子の第1の溶液と、脂質及び界面活性剤の第2の溶液を一緒に混合することにより行う。当業者は、この混合は多くの方法のいずれかにより、例えばボルテックスミキサーを用いるなどの機械的手段により、行うことができることを理解するであろう。好ましくは、分子溶液はまた界面活性剤溶液である。本発明の方法において用いられる中性脂質の量は、典型的には、用いられるカチオン性脂質の量に基づいて決定され、典型的には、カチオン性脂質の量の約0.2〜5倍、好ましくは用いられるカチオン性脂質の量の約0.5〜約2倍である。
このようにして生成される分子−脂質混合物をカチオン性脂質と接触させて、存在する対象となる分子(又は他のポリアニオン性物質)に伴う負電荷の一部を中和する。用いられるカチオン性脂質の量は、典型的には、対象となる分子の負電荷の少なくとも50%を中和するのに十分な量である。好ましくは、負電荷は、少なくとも70%中和され、より好ましくは少なくとも90%中和される。本発明において有用なカチオン性脂質としては、例えば、式CLI−CLXXIX、DODAC、DOTMA、DDAB、DOTAP、DC−Chol、DMOBA、CLinDMA、及びDMRIEのいずれかを有する化合物が挙げられる。これらの脂質及び関連する類似体は、米国特許出願第08/316,399号明細書;米国特許第5,208,036号明細書、同5,264,618号明細書、同5,279,833号明細書、及び同5,283,185号明細書(これらの開示はその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。さらに、多数の市販のカチオン性脂質の製剤が入手可能であり、本発明において使用することができる。これらには、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA及びDOPEを含む市販のカチオン性リポソーム(GIBCO/BRL,Grand Island,N.Y.,USA));LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA及びDOPEを含む市販のカチオン性リポソーム(GIBCO/BRL));及びTRANSFECTAM(登録商標)(エタノール中にDOGSを含む市販のカチオン性脂質(Promega Corp.,Madison,Wisconsin,USA))が含まれる。
カチオン性脂質と分子−脂質混合物との接触は、多くの手法のいずれによって行ってもよく、好ましくはカチオン性脂質の溶液と分子−脂質混合物を含む溶液とを一緒に混合する。2つの溶液を混合すると(又は他のいずれかの方法により接触させると)、対象となる分子に伴う負電荷の一部が中和される。
カチオン性脂質を分子−脂質混合物と接触させた後、界面活性剤(又は界面活性剤と有機溶媒との組み合わせ)を除去し、このことにより処方分子組成物を生成する。界面活性剤を除去するために用いられる方法は、典型的には透析を含む。有機溶媒が存在する場合には、除去は、典型的には、減圧下で蒸発させるか又は混合物に活性ガス(例えば、窒素又はアルゴン)を吹き込むことにより行う。
このようにして生成された脂質ナノ粒子(LNP)組成物は、典型的には、約50nmから数ミクロンのサイズである。粒子のさらなるサイズ減少又はサイズの均一化を行うためには、脂質ナノ粒子(LNP)組成物粒子を超音波処理するか、濾過するか、又はリポソーム製剤において用いられ当業者に知られる他のサイズ化(sizing)技法に供することができる。
別の実施態様においては、本発明の方法はさらに、非脂質ポリカチオンを加えることを含み、これは本発明の組成物を用いて細胞をリポフェクションするのに有用である。適当な非脂質ポリカチオンの例としては、臭化ヘキサジメトリン(商品名POLYBRENE(登録商標)として販売されている(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wisconsin,USA))又は他のヘキサジメトリンの塩が挙げられる。他の適当なポリカチオンとしては、例えば、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミンの塩が挙げられる。これらの塩の付加は、好ましくは、粒子が形成された後に行う。
別の態様においては、本発明は、処方siNA組成物を製造する方法を提供し、この方法は、(a)溶液中で一定量のカチオン性脂質をsiNAと接触させて疎水性脂質−siNA複合体を与え、ここで溶液は、約15〜35%の水及び約65〜85%の有機溶媒を含み、カチオン性脂質の量は約0.85〜約2.0の+/−電荷比を得るのに十分な量であり;(b)溶液中の疎水性、脂質−siNA複合体を中性脂質と接触させて、siNA−脂質混合物を与え;そして(c)脂質−siNA混合物から有機溶媒を除去して処方siNA組成物粒子を得る、ことを含む。
本発明のこの側面において有用なsiNA、中性脂質、カチオン性脂質及び有機溶媒は、界面活性剤を用いる方法について上述したものと同じである。ある群の実施態様においては、工程(a)の溶液は単相である。別の群の実施態様においては、工程(a)の溶液は二相である。
1つの実施態様においては、本発明の製剤において用いられるカチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX、CLXXXX、CLXXXXI、CLXXXXII及びDODAC、DDAB、DOTMA、DODAP、DOCDAP、DLINDAP、DOSPA、DMRIE、DOGS、DMOBA、CLinDMA、及びこれらの組み合わせを有する化合物から選択される。1つの実施態様においては、非カチオン性脂質は、ESM、DOPE、DOPC、DSPC、ポリエチレングリコール系ポリマー(例えば、PEG2000、PEG5000又はPEG−修飾ジアシルグリセロール)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、及びこれらの組み合わせから選択される。1つの実施態様においては、有機溶媒は、メタノール、クロロホルム、塩化メチレン、エタノール、ジエチルエーテル及びこれらの組み合わせから選択される。
1つの実施態様においては、カチオン性脂質は、式CLI、CLII、CLIII、CLIV、CLV、CLVI、CLVII、CLVIII、CLIX、CLX、CLXI、CLXII、CLXIII、CLXIV、CLXV、CLXVI、CLXVII、CLXVIII、CLXVII、CLXVIII、CLXIX、CLXX、CLXXI、CLXXII、CLXXIII、CLXXIV、CLXXV、CLXXVI、CLXXVII、CLXXVIII、CLXXIX、CLXXX、CLXXXI、CLXXXII、CLXXXIII、CLXXXIV、CLXXXV、CLXXXVI、CLXXXVII、CLXXXVIII、CLXXXIX又はDODAC、DOTAP、DODAP、DOCDAP、DLINDAP、DDAB、DOTMA、DOSPA、DMRIE、DOGS、又はこれらの組み合わせを有する化合物であり;非カチオン性脂質は、ESM、DOPE、DAG−PEG、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、又はこれらの組み合わせ(例えば、DSPC及びDAG−PEG)であり;有機溶媒は、メタノール、クロロホルム、塩化メチレン、エタノール、ジエチルエーテル、又はこれらの組み合わせである。
上述したように、siNAとカチオン性脂質との接触は、典型的には、siNAの第1の溶液と脂質の第2の溶液を、好ましくは機械的手段、例えばボルテックスミキサーを用いて一緒に混合することにより行う。得られる混合物は上述の複合体を含む。次に、中性脂質を加え、有機溶媒を除去することにより、これらの複合体を粒子に変換する。中性脂質の添加は、典型的には単に中性脂質の溶液を、複合体を含む混合物に加えることにより行う。また、逆付加(reverse addition)を用いてもよい。続く有機溶媒の除去は、当業者に知られ、本明細書にも記載される方法により行うことができる。
本発明のこの態様において用いられる中性脂質の量は、典型的には、カチオン性脂質の量の約0.2〜約15倍(モル基準)の量であり、これを用いて、電荷中和脂質−核酸複合体を得る。好ましくは、この量は、用いられるカチオン性脂質の量の約0.5〜約9倍である。
さらに別の態様においては、本発明は、上述の方法により製造される処方siNA組成物を提供する。これらの実施態様においては、処方siNA組成物は、正味電荷が中性であるか、又はより高いリポフェクション活性を有する処方siNA組成物を与える総電荷を有する。1つの実施態様においては、非カチオン性脂質は卵スフィンゴミエリンであり、カチオン性脂質はDODACである。1つの実施態様においては、非カチオン性脂質はDSPC及びコレステロールの混合物であり、カチオン性脂質はDOTMAである。別の実施態様においては、非カチオン性脂質はさらにコレステロールを含むことができる。
核酸製剤を製造する方法の非限定的例は、米国特許第5,976,567号明細書、米国特許第5,981,501号明細書及び国際公開第96/40964号パンフレット(これらの教示はすべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に開示されている。本発明において有用なカチオン性脂質は、選択されたpH、例えば生理学的pH、で正味正電荷をもつ多数の脂質種のうちのいずれであってもよい。適当なカチオン性脂質としては、例えば、限定されないが、式CLI−CLXXXXIIのいずれかを有する化合物、DODAC、DOTMA、DDAB、DOTAP、DODAP、DOCDAP、DLINDAP、DOSPA、DOGS、DC−Chol、及びDMRIE、並びに本明細書に記載される他のカチオン性脂質、又はこれらの組み合わせが挙げられる。多数のこれらのカチオン性脂質及び関連する類似体もまた本発明において有用であり、これらは米国特許出願第08/316,399号明細書;米国特許第5,208,036号明細書、同5,264,618号明細書、同5,279,833号明細書、及び同5,283,185号明細書(その開示を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。さらに、多数の市販のカチオン性脂質の製剤が入手可能であり、本発明において用いることができる。これらには、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA及びDOPEを含む市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL,Grand Island,N.Y.,USA);LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA及びDOPEを含む市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL);及びTRANSFECTAM(登録商標)(DOGSを含む市販のカチオン性リポソーム、Promega Corp.,Madison,Wis.,USA)が含まれる。
本発明において用いられる非カチオン性脂質は、安定な複合体を生成しうる種々の中性の荷電していない、両性イオン性又はアニオン性脂質のいずれであってもよい。これらは、好ましくは中性であるが、或いは正又は負に荷電していてもよい。本発明において有用な非カチオン性脂質の例としては、リン脂質関連物質、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リソレシチン、リソホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン 4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)が挙げられる。非カチオン性脂質又はステロール類、例えばコレステロールが存在していてもよい。別の非リン含有脂質は、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリル酸ポリマー、トリエタノールアミン−ラウリル硫酸、アルキル−アリール硫酸ポリエチルオキシル化脂肪酸アミド、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム等、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドである。他の脂質、例えば、リソホスファチジルコリン及びリソホスファチジルエタノールアミンが存在していてもよい。また、非カチオン性脂質には、ポリエチレングリコール系ポリマー、例えば、PEG2000、PEG5000、及び同時係属中の米国特許出願第08/316,429号明細書(参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるようなリン脂質又はセラミドにコンジュゲートさせたポリエチレングリコール(PEG−Cerと称される)が含まれる。
1つの実施態様においては、非カチオン性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン(例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン又はジリノレオイルホスファチジルコリン)、ジアシルホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン及びパルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、セラミド又はスフィンゴミエリンである。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、約C10〜約C24の炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基である。1つの実施態様においては、アシル基は、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はオレオイルである。別の実施態様においては、非カチオン性脂質は、コレステロール、1,2−sn−ジオレオイルホスファチジルエタノール−アミン、又は卵スフィンゴミエリン(ESM)を含む。
カチオン性及び中性脂質に加えて、本発明の処方分子組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲートを含む。PEGコンジュゲートは、ジアシルグリセロール−ポリエチレングリコールコンジュゲート、すなわち、DAG−PEGコンジュゲートを含むことができる。用語「ジアシルグリセロール」は、2つの脂肪アシル鎖、R1及びR2を有する化合物を表し、これらは両方とも、独立して、グリセロールの1位及び2位にエステル結合により結合している2〜30個の炭素を有する。アシル基は、飽和していてもよく、種々の程度の不飽和を含んでいてもよい。ジアシルグリセロールは、下記の一般式VIII:
[式中、R1及びR2は、それぞれ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、脂質、又はリガンドである]
を有する。1つの実施態様においては、R1及びR2は、それぞれ独立して、C2−C30のアルキル基である。
1つの実施態様においては、DAG−PEGコンジュゲートは、ジラウリルグリセロール(C12)−PEGコンジュゲート、ジミリスチルグリセロール(C14)−PEGコンジュゲート、ジパルミトイルグリセロール(C16)−PEGコンジュゲート、ジステリルグリセロール(C18)−PEGコンジュゲート、PEG−ジラウリルグリカミドコンジュゲート(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミドコンジュゲート(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミドコンジュゲート(C16)、又はPEG−ジステリルグリカミド(C18)である。当業者は、本発明のDAG−PEGコンジュゲートにおいて他のジアシルグリセロールを使用しうることを容易に理解するであろう。
或いは、PEGコンジュゲートは、DAG−PEGコンジュゲート以外のコンジュゲート、例えばPEG−コレステロールコンジュゲート又はPEG−DMBコンジュゲートを含むことができる。
上述の成分に加えて、本発明の処方分子組成物又はLNPは、さらに脂質二重層中に挿入して正電荷を付与するよう設計されているカチオン性ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質、すなわちCPLを含むことができる(例えば、Chen,et al.,2000,Bioconj.Chem.11,433−437を参照)。本発明において使用するのに適した製剤、及びそのような製剤を製造及び使用する方法は、例えば、米国特許出願第09/553,639号明細書(2000年4月20日出願)、及び国際出願CA00/00451号明細書(2000年4月20日出願、2000年10月26日に国際公開第00/62813号として公開)(これらのそれぞれの教示はその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に開示されている。
本発明の処方分子組成物、すなわち、DAG−PEGコンジュゲートを含む処方分子組成物又はLNPは、多数の種々の方法のいずれを用いても製造することができる。例えば、脂質−核酸粒子は、疎水性siNA−脂質中間複合体から製造することができる。複合体は、好ましくは電荷が中和されている。これらの複合体を界面活性剤又は有機溶媒に基づく系で操作することにより、その中に核酸が保護されている粒子を生成させることができる。
本発明は、生物学的に活性な分子が脂質二重層中に封入されており、分解から保護されている血清安定処方分子組成物(又は脂質ナノ粒子LNP)、例えば、pH依存的相転移を起こす製剤を製造する方法を提供する。さらに、本発明において生成される処方粒子は、好ましくは生理学的pHで中性であるか又は負に荷電している。インビボ用途のためには、中性の粒子が有利であるが、インビトロ用途のためには、粒子はより好ましくは負に荷電している。このことにより、生物学的に活性な分子をカチオン性脂質中に封入することができる正に荷電したリポソーム製剤上での凝集を低下させるというさらなる利点が得られる。
本発明の方法により製造される処方粒子及びLNPは、約50〜約600nm又はそれ以上のサイズを有し、粒子のあるものは約65〜85nmである。粒子は、有機溶媒を用いて成分の混合時に単一の相を与える界面活性剤透析法又は改変逆相法により形成することができる。いかなる特定の形成メカニズムにも束縛されることを意図するものではないが、生物学的に活性な分子をカチオン性脂質の界面活性剤溶液と接触させて、コーティングされた分子複合体を形成する。これらのコーティングされた分子は凝集して沈殿することができる。しかし、界面活性剤の存在により、凝集は低下し、コーティングされた分子が過剰の脂質(典型的には、非カチオン性脂質)と反応して、生物学的に活性な分子が脂質二重層中に封入されている粒子を形成することが可能となる。以下に記載される、有機溶媒を用いて処方分子組成物を生成するための方法は同様のスキームに従う。
ある実施態様においては、粒子は界面活性剤透析を用いて生成される。すなわち、本発明は、血清安定処方分子組成物(pH依存的相転移を起こす製剤を含む)を製造する方法を提供し、この方法は、(a)界面活性剤溶液中で対象となる分子とカチオン性脂質を混合して、コーティングされた分子−脂質複合体を生成し;(b)非カチオン性脂質をコーティングされた分子−脂質複合体と接触させて、分子−脂質複合体及び非カチオン性脂質を含む界面活性剤溶液を生成し;そして(c)工程(b)の界面活性剤溶液を透析して、血清安定分子−脂質粒子の溶液を得ることを含み、ここで、対象となる分子は脂質二重層中に封入され、粒子は約50〜約600nmのサイズを有する。1つの実施態様においては、粒子は約50〜約150nmのサイズを有する。
コーティングされた分子−脂質複合体の最初の溶液は、例えば、対象となる分子を、界面活性剤溶液中でカチオン性脂質と混合することにより生成する。
これらの実施態様においては、界面活性剤溶液は、好ましくは、15〜300mM、より好ましくは、20〜50mMの臨界ミセル濃度を有する中性界面活性剤の水性溶液である。適当な界面活性剤の例としては、例えば、N,N’−((オクタノイルイミノ)−ビス−(トリメチレン))−ビス−(D−グルコンアミド)(BIGCHAP);BRIJ35;デオキシ−BIGCHAP;ドデシルポリ(エチレングリコール)エーテル;Tween20;Tween40;Tween60;Tween80;Tween85;Mega8;Mega9;Zwittergent(登録商標)3−08;Zwittergent(登録商標)3−10;Triton X−405;ヘキシル−、ヘプチル−、オクチル−及びノニル−ベータ−D−グルコピラノシド;及びヘプチルチオグルコピラノシドが挙げられる。1つの実施態様においては、界面活性剤は、オクチルβ−D−グルコピラノシド又はTween−20である。界面活性剤溶液中の界面活性剤の濃度は、典型的には、約100mM〜約2M、好ましくは、約200mM〜約1.5Mである。
封入されるカチオン性脂質及び分子は、典型的には、約1:1〜約20:1の電荷比(+/−)、好ましくは約1:1〜約12:1の比、より好ましくは約2:1〜約6:1の比となるように混合する。さらに、溶液中の対象となる分子の全体の濃度は、典型的には、約25μg/mL〜約1mg/mL、好ましくは約25μg/mL〜約500μg/mL、より好ましくは約100μg/mL〜約250μg/mLである。界面活性剤溶液中で分子とカチオン性脂質の混合物を、典型的には室温で、コーティングされた複合体が生成するのに十分な時間保持する。或いは、分子及びカチオン性脂質を界面活性剤溶液中で混合し、約37℃までの温度に暖める。温度に特に感受性の高い分子については、コーティングした複合体をより低い温度、典型的には約4℃程度の低温で生成させることができる。
1つの実施態様においては、生成された処方分子組成物中の分子と脂質の比率(質量/質量比)は、約0.01〜約0.08の範囲である。精製工程は典型的には封入されていない分子並びに空のリポソームを除くため、出発物質の比率もこの範囲内に入る。別の実施態様においては、処方分子組成物の製剤は、10mgの総脂質あたり約400μgのsiNAを使用し、又は、分子対脂質の比率は、約0.01〜約0.08、より好ましくは、約0.04であり、これは50μgのsiNAあたり1.25mgの総脂質に相当する。
次に、コーティングされた分子−脂質複合体の界面活性剤溶液を中性脂質と接触させて、分子−脂質複合体及び中性脂質の界面活性剤溶液を得る。この工程において有用な中性脂質としては、特に、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、及びセレブロシドが挙げられる。好ましい実施態様においては、中性脂質は、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、又はスフィンゴミエリンである。これらの脂質のアシル基は、好ましくは、C10−C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基である。より好ましくは、アシル基は、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はオレオイルである。好ましい実施態様においては、中性脂質は、1,2−sn−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール、又はこれらの混合物である。最も好ましい実施態様においては、siNA−脂質粒子は、インビボで増強された特性を有する融合性粒子であり、中性脂質はDSPC又はDOPEである。上記で説明したように、本発明のsiNA−脂質粒子はさらにPEGコンジュゲート、例えば、DAG−PEGコンジュゲート、PEG−コレステロールコンジュゲート、及びPEG−DMBコンジュゲートを含むことができる。さらに、本発明のsiNA−脂質粒子は、コレステロールをさらに含むことができる。
本発明の方法において用いられる中性脂質の量は、典型的には、対象となる分子50μgあたり約0.5〜約10mgの総脂質である。好ましくは総脂質の量は、対象となる分子50μgあたり約1〜約5mgである。
分子−脂質複合体と中性脂質の界面活性剤溶液を生成した後、界面活性剤を好ましくは透析により除去する。界面活性剤を除去することにより、脂質二重層が形成され、これは対象となる分子を囲んで、約50nm〜約150nm又は50nm〜約600nmのサイズを有する血清安定分子−脂質粒子を与える。このようにして生成された粒子は、凝集せず、任意にサイズ化され、均一な粒子サイズとすることができる。
血清安定分子−脂質粒子は、当該技術分野において知られるリポソームを定寸するのに利用可能な任意の方法を用いて定寸することができる。定寸は、所望のサイズ範囲及び比較的狭い粒子サイズ分布を得るために行うことができる。
粒子を所望のサイズとする定寸のためには、いくつかの手法が利用可能である。リポソームについて用いられ本発明の粒子にも同様に適用しうる1つの定寸方法は、米国特許第4,737,323号明細書(参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。浴又はプローブによる超音波処理のいずれかにより粒子懸濁液を超音波処理すると、約50nmより小さいサイズの粒子まで漸次サイズを小さくすることができる。ホモジナイゼーションは、より大きい粒子をより小さい粒子に断片化するために剪断エネルギーを利用する別法である。典型的なホモジナイゼーション工程においては、粒子は、選択された粒子サイズ、典型的には約60〜80nmが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーを通して再循環させる。いずれの方法においても、粒子サイズ分布は、慣用のレーザービーム粒子サイズ識別装置又はQELSによりモニタリングすることができる。
小孔ポリカーボネート膜又は非対称セラミック膜を通して粒子を押し出すことも、粒子サイズを比較的よく規定されたサイズ分布に低下させるための有効な方法である。典型的には、所望の粒子サイズ分布が得られるまで、懸濁液を1回又はそれ以上の回数繰り返して膜を通す。より小さい孔の膜を順番に用いて粒子を押し出して、サイズを徐々に低下させることができる。
処方siNA組成物−CPL(CPL含有処方siNA組成物)を製造する種々の一般的方法を以下に説明する。2つの一般的な手法には、「挿入後(post−insertion)」手法、すなわち、予め生成した処方siNA組成物中にCPLを挿入する方法と、「標準的」手法、すなわち、例えば、処方siNA組成物生成工程時にCPLを脂質混合物中に含ませる方法が挙げられる。挿入後手法によれば、主として処方siNA組成物二重層膜の外側面にCPLを有する処方siNA組成物が得られ、一方、標準的手法では、内側面及び外側面の両方にCPLを有する処方siNA組成物が得られる。
特に、「挿入後」手法は、処方siNA組成物を作製し(任意の方法により)、予め作製された処方siNA組成物をCPLの存在下で適当な条件下で(好ましくは60℃で2〜3時間)インキュベートすることを含む。60〜80%のCPLを受容ベシクルの外側のリーフレット中に挿入することができ、約5〜10mol%(総脂質に対して)までの最終濃度が得られる。この方法は、リン脂質(これはコレステロールを含むことができる)から製造されるベシクル、及びPEG−脂質(例えばPEG−DAG)を含むベシクルに対して特に有用である。
「標準的」手法の一例においては、本発明のCPL−処方siNA組成物は、押し出しにより作製することができる。この実施態様においては、CPLを含むすべての脂質をクロロホルムに共溶解し、次にこれを窒素下で、次に高真空下で除去する。脂質混合物を適当なバッファーで水和し、孔サイズ100nmの2つのポリカーボネートフィルターを通して押し出す。得られる処方siNA組成物は、内側及び外側の表面の両方にCPLを含む。さらに別の標準的手法においては、CPL−処方siNA組成物の生成は、界面活性剤透析法又はエタノール透析法を用いて、例えば、米国特許第5,976,567号明細書及び同5,981,501号明細書(いずれもその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるようにして行うことができる。
本発明の処方siNA組成物は、単独で、又は投与経路及び標準的薬学のプラクティスにしたがって選択される生理学的に許容されうる担体(例えば、生理食塩水又はリン酸バッファー)と組み合わせて、投与することができる。一般に、生理食塩水を薬学的に許容されうる担体として用いる。他の適当な担体としては、例えば、水、バッファー、0.4%食塩水、0.3%グリシン等が挙げられ、安定性の向上のために、アルブミン、リポ蛋白質、グロブリンなどの糖蛋白質を含んでいてもよい。
薬学的担体は、一般に、処方siNA組成物を作製した後に加える。すなわち、処方siNA組成物を作製した後、処方siNA組成物を薬学的に許容されうる担体、例えば生理食塩水中で希釈することができる。
薬学的製剤中の処方siNA組成物の濃度は、ばらつきが大きく、例えば、約0.05%未満から、通常は少なくとも約2〜5重量%から10〜30重量%程度であり、選択された特定の投与様式にしたがって、主として液体容量、粘度等により選択される。例えば、濃度を増加させて、治療に伴う液体の負荷量を減少させることができる。これはアテローム性動脈硬化症に伴ううっ血性心不全又は重症高血圧症を有する患者には特に望ましい。或いは、刺激性脂質から構成される処方siNA組成物は、低濃度に希釈して、投与部位における炎症を少なくすることができる。
上述したように、本発明の処方siNA組成物は、DAG−PEGコンジュゲートを含む。DAG−PEGコンジュゲートと同様の様式で作用し、粒子凝集を防止し、循環寿命を増加させる手段を提供し、処方siNA組成物の標的組織への送達を増加させる他の成分を含めることがしばしば望ましい。そのような成分としては、限定されないが、粒子に対する、PEG−脂質コンジュゲート、例えば、PEG−セラミド又はPEG−リン脂質(例えばPEG−PE)、ガングリオシドGM1−修飾脂質又はATTA−脂質が挙げられる。典型的には、粒子中の成分の濃度は、約1〜20%、より好ましくは約3〜10%である。
本発明の薬学的組成物は、慣用のよく知られる滅菌手法により滅菌することができる。水性溶液は使用のために包装するか、無菌条件下で濾過して凍結乾燥し、凍結乾燥した製剤を投与前に滅菌水性溶液と混合することができる。組成物は、生理学的条件を近似する必要に応じて、薬学的に許容されうる助剤、例えばpH調節剤及び緩衝剤、等張性調節剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムを含むことができる。さらに、粒子懸濁液は、保存時に脂質をフリーラジカル及び脂質の過酸化による被害から保護する脂質保護剤を含むことができる。親油性フリーラジカルクエンチャー、例えば、アルファトコフェロール及び水溶性鉄特異的キレーター、例えば、フェリオキサミンが適当である。
それらの用途の別の例においては、処方分子組成物は、広範な局所用投与形態、例えば、限定されないが、ゲル、オイル、乳剤等の中に取り込ませることができる。例えば、処方分子組成物を含有する懸濁液は、局所用クリーム、ペースト、軟膏、ゲル、ローション等として処方及び投与することができる。
本発明の処方分子組成物は、一旦作製されると、生物学的に活性な分子を細胞内に導入するのに有用である。したがって、本発明はまた、生物学的に活性な分子を細胞内に導入する方法を提供する。この方法は、まず上述するように処方分子組成物を作製し、次に処方分子組成物をトランスフェクションが生ずるのに十分な時間、細胞と接触させることにより、インビトロ又はインビボで行われる。
本発明の処方分子組成物は、これと混合又は接触したほぼすべての細胞タイプにより吸着されうる。一旦吸着されると、製剤は、細胞の一部にエンドサイトーシスされるか、細胞膜と脂質を交換するか、又は細胞と融合することができる。製剤の生物学的に活性な分子の部分の移動又は取り込みは、これらの経路のいずれかにより行われうる。特に、融合が起こる場合、粒子膜は細胞膜と一体化され、粒子内容物、すなわち生物学的に活性な分子は、細胞内液体、例えば細胞質と混合する。pH依存的相転移を起こす血清安定処方分子組成物は、初期エンドソームのpH(すなわち、約pH5.5〜6.5)で細胞融合の増加を示し、このことにより粒子内容物、すなわち生物学的に活性な分子の細胞への効率的な送達がもたらされる。
本発明のエンドソーム放出パラメータ(ERP)アッセイを用いて、処方分子組成物又は他の脂質系担体システムのトランスフェクション効率を最適化することができる。より詳細には、ERPアッセイの目的は、結合/取り込み又はエンドソーム膜との融合/エンドソーム膜の不安定化に及ぼすこれらの相対的効果に基づいて、処方分子組成物の種々のカチオン性脂質及びヘルパー脂質成分の効果を識別することである。このアッセイにより、処方分子組成物又は他の脂質系担体システムの各成分がどのようにトランスフェクション効率に影響を及ぼすかを定量的に決定することができ、これにより処方分子組成物又は他の脂質系担体システムを最適化することができる。本明細書に説明されるように、エンドソーム放出パラメータ(ERP)は、以下のように定義される:レポーター遺伝子の発現/細胞を処方分子組成物の取り込み/細胞で割ったもの。
当業者には、任意のレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光蛋白質等)をアッセイにおいて用いうることは明らかであろう。さらに、脂質成分(或いは、処方分子組成物の任意の成分)は、細胞への取り込みを阻害又は妨害しないという条件で、任意の検出可能な標識で標識することができる。本発明のERPアッセイを用いて、当業者は、細胞への取り込み及びトランスフェクション効率に及ぼす種々の脂質成分(例えば、カチオン性脂質、中性脂質、PEG−脂質誘導体、PEG−DAGコンジュゲート、ATTA−脂質誘導体、カルシウム、CPL、コレステロール等)の影響を評価することができ、このことにより、処方siNA組成物を最適化することができる。種々の処方分子組成物のそれぞれについてERPを比較することにより、最適化されたシステム、例えば最大の細胞取り込みと最大のトランスフェクション効率を合わせもつ処方分子組成物を容易に決定することができる。
本発明のERPアッセイを実施するのに適した標識としては、限定されないが、分光標識、例えば、蛍光色素(例えば、フルオレセイン及び誘導体、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)及びOregon Green 9;ローダミン及び誘導体、例えば、テキサスレッド、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)等、ジゴキシゲニン、ビオチン、フィコエリスリン、AMCA、CyDyes等;放射性標識、例えば、3H、125I、35S、14C、32P、33P等;酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等.;分光比色分析標識、例えば金コロイド又は着色ガラス又はプラスチックビーズ、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等が挙げられる。標識は、当該技術分野においてよく知られる方法を用いて、処方分子組成物の成分に直接的に又は間接的に結合させることができる。上述したように、広範な標識を用いることができ、必要とされる感度、処方siNA組成物とのコンジュゲートの容易性、安定性要件、及び利用可能な装置及び廃棄規定などにしたがって標識を選択することができる。
さらに、処方分子組成物又は他の脂質系担体システムのトランスフェクション効率は、血清中における組成物の安定性を測定するか、及び/又は処方分子組成物のpH依存性相転移を測定することにより判定することができ、ここで、処方分子組成物が血清中で安定であると判定されること、及び処方分子組成物が約pH5.5〜6.5で相転移を起こすと判定されることは、処方分子組成物のトランスフェクション効率が高いであろうことを示す。処方分子組成物の血清安定性は、例えば、血清中における組成物の相対濁度を測定して、血清中における組成物の相対濁度が経時的に一定であるか否かを判定するアッセイを用いて、測定することができる。処方分子組成物のpH依存性相転移は、異なるpHで組成物の相対濁度の経時変化を測定して、pHが生理学的pHと異なる場合に濁度が変化するか否かを判定するアッセイを用いて測定することができる。
本発明の核酸分子の活性の最適化
修飾(塩基、糖及び/又はリン酸)を有する化学的に合成した核酸分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)は、血清リボヌクレアーゼによる分解を防止することができ、このことによりその効力を高めることができる(例えば、Eckstein et al.,国際公開第92/07065号パンフレット;Perrault et al.,1990 Nature 344,565;Pieken et al.,1991 Science 253,314;Usman and Cedergren,1992,Trends in Biochem.Sci.17,334;Usman et al.,国際公開第93/15187号パンフレット;Rossi et al.,国際公開第91/03162号パンフレット;Sproat,米国特許第5,334,711号明細書;Gold et al.,米国特許第6,300,074号明細書;及びBurgin et al.,(上掲)を参照(これらはすべて参照することにより本明細書の一部となす)。上述の参考文献はすべて、本明細書に記載される核酸分子の塩基、リン酸及び/又は糖部分に行いうる種々の化学修飾を記載する。細胞中におけるそれらの効力を増大させるように修飾し、オリゴヌクレオチド合成時間を短縮し化学物質の必要性を減少するために核酸分子から塩基を除去することが望ましい。
当該技術分野には、それらのヌクレアーゼの安定性及び効力を有意に増強する、核酸分子中に導入することができる糖、塩基及びリン酸修飾を記述するいくつかの例がある。例えば、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−H等のヌクレオチド塩基修飾によって修飾することにより、安定性を高め、及び/又は生物学的活性を増強するために修飾される(総説については、Usman and Cedergren,1992,TIBS 17,34;Usman et al.,1994,Nucleic Acids Symp.Ser.31,163;Burgin et al.,1996,Biochemisty 35,14090を参照)。核酸分子の糖修飾は、当該技術分野において広く記載されている(Eckstein et al.,国際公開第92/07065号パンフレット;Perrault et al.Nature,1990,344,565−568;Pieken et al.Science,1991,253,314−317;Usman and Cedergren,Trends in Biochem.Sci.,1992,17,334−339;Usman et al.国際公開第93/15187号パンフレット;Sproat,米国特許第5,334,711号明細書及びBeigelman et al.,1995,J.Biol.Chem.,270,25702;Beigelman et al.,国際公開第97/26270号パンフレット;Beigelman et al.,米国特許第5,716,824号明細書;Usman et al.,米国特許第5,627,053号明細書;Woolf et al.,国際公開第98/13526号パンフレット;Thompson et al.,米国特許出願第60/082,404号明細書(1998年4月20日出願);Karpeisky et al.,1998,Tetrahedron Lett.,39,1131;Earnshaw and Gait,1998,Biopolymers(Nucleic Acid Sciences),48,39−55;Verma and Eckstein,1998,Annu.Rev.Biochem.,67,99−134;及びBurlina et al.,1997,Bioorg.Med.Chem.,5,1999−2010を参照、これらの参考文献はすべて、その全体を参照することにより本明細書の一部となす)。これらの刊行物は、触媒作用を調節することなく、糖、塩基及び/又はリン酸修飾等を核酸分子中に組み込む位置を決定する一般的方法及び戦略を記載しており、参照することにより本明細書の一部となす。このような教示の観点から、細胞中のRNAiを促進するsiNAの能力が有意に阻害されない限り、本明細書に記載されるように、同様の修飾を用いて本発明のsiNA核酸分子を修飾することができる。
ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、及び/又は5’−メチルホスホネート結合によるオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合の化学修飾は安定性を向上させるが、過剰な修飾はある種の毒性又は活性の低下をもたらしうる。したがって、核酸分子を設計する場合、これらのヌクレオチド間結合の量は最小にすべきである。これらの結合の濃度を減少させると、毒性が低下し、これらの分子の効力が増加し特異性が高くなるはずである。
活性を維持又は増強する化学的修飾を有するポリヌクレオチド(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)が提供される。そのような核酸はまた、一般に非修飾核酸よりもヌクレアーゼに対する耐性が高い。したがって、インビトロ及び/又はインビボで活性は顕著に低下しないはずである。調節が目的である場合には、外的に送達される治療用核酸分子は、最適には、望ましくない蛋白質のレベルが低下するのに充分長い時間、標的RNAの翻訳が調節されるまで細胞内で安定である必要がある。この時間は、疾患の状態により数時間から数日まで様々である。RNA及びDNAの化学合成における進歩(Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Res.23,2677;Caruthers et al.,1992,Methods in Enzymology 211,3−19(参照することにより本明細書の一部となす))により、上述のようにヌクレオチド修飾を導入してそのヌクレアーゼ安定性を高めることにより、核酸分子を改変する可能性が拡大した。
1つの実施態様においては、本発明の核酸分子は、1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上)のGクランプヌクレオチドを含む。Gクランプヌクレオチドは、修飾シトシン類似体であり、ここで、修飾は、二本鎖中の相補的グアニンのワトソン・クリック及びフーグスティーン面の両方に水素結合能力を与える。例えば、Lin and Matteucci,1998,J.Am.Chem.Soc.,120,8531−8532を参照。オリゴヌクレオチド中の単一のGクランプ類似体置換により、相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたときのらせん熱安定性及びミスマッチ識別性を実質的に増強することができる。そのようなヌクレオチドを本発明の核酸分子中に取り込ませることにより、核酸標的、相補的配列、又はテンプレート鎖に対する親和性及び特異性の両方が増強される。別の実施態様においては、本発明の核酸分子は1個又はそれ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上)のLNA(「ロック核酸」)ヌクレオチド、例えば、2’、4’−Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む(例えば、Wengel et al.,国際公開WO00/66604及びWO99/14226を参照)。
別の実施態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子のコンジュゲート及び/又は複合体を特徴とする。そのようなコンジュゲート及び/又は複合体は、生物学的システム、例えば細胞へのsiNA分子の送達を容易にするために用いることができる。本発明により提供されるコンジュゲート及び複合体は、細胞膜を超えて治療用化合物を輸送し、薬物動態を変更し、及び/又は、本発明の核酸分子の局在化を調節することにより、治療活性を付与することができる。本発明は、分子、例えば、限定されないが、小分子、脂質、コレステロール、リン脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、抗体、トキシン、負に荷電したポリマー及び他のポリマー、例えば、蛋白質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、ポリエチレングリコール、又はポリアミンを、細胞膜を超えて送達するための、新規コンジュゲート及び複合体の設計及び合成を包含する。一般に、記載されるトランスポーターは、個々に又は多成分系の一部として、分解性リンカー付きで又は無しで用いるように設計される。これらの化合物は、血清の存在下又は非存在下で、本発明の核酸分子を異なる組織に由来する多数の細胞タイプへの送達及び/又は局在化を改良すると予測される(Sullenger and Cech、米国特許第5,854,038号明細書を参照)。本明細書に記載される分子のコンジュゲートは、生物分解性のリンカー、例えば、生物分解性核酸リンカー分子を介して、生物学的に活性な分子に結合させることができる。
本明細書において用いる場合、用語「生物分解性リンカー」は、1つの分子を別の分子に、例えば、生物学的に活性な分子を本発明のsiNA分子に、又は本発明のsiNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖に連結するための生物分解性リンカーとして設計される核酸又は非核酸リンカー分子を表す。生物分解性リンカーは、特定の目的、例えば特定の組織又は細胞タイプへの送達のためにその安定性を調節することができるように設計する。核酸に基づく生物分解性リンカー分子の安定性は、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、及び化学的に修飾されたヌクレオチド、例えば、2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、及び他の2’−修飾又は塩基修飾ヌクレオチドの種々の組み合わせを用いることにより調節することができる。生物分解性核酸リンカー分子は、ダイマー、トリマー、テトラマー、又はより長い核酸分子、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであってもよく、又はリン酸に基づく結合、例えば、ホスホルアミデート又はホスホジエステル結合を有する単一のヌクレオチドを含んでもよい。生物分解性核酸リンカー分子はまた、核酸骨格、核酸糖、又は核酸塩基の修飾を含むことができる。
本明細書において用いる場合、用語「生物分解性」とは、生物学的システムにおける分解、例えば、酵素的分解又は化学的分解を表す。
本明細書において用いる場合、用語「リン脂質」とは、少なくとも1つのリン基を含む疎水性分子を表す。例えば、リン脂質は、リン含有基及び飽和又は不飽和アルキル基を含むことができ、これは、OH、COOH、オキソ、アミン、又は置換若しくは非置換アリール基で任意に置換されていてもよい。
外的に送達された治療用核酸分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)は、最適には、RNA転写産物のレベルが低下するのに充分長い時間、RNAの逆転写が調節されるまで細胞内で安定である必要がある。核酸分子は、有効な細胞内治療用薬剤として機能するためには、ヌクレアーゼに耐性である。本発明において及び当該技術分野において記載される核酸分子の化学合成の進歩により、上述のようにヌクレオチド修飾を導入してそのヌクレアーゼ安定性を高めることにより、核酸分子を改変する可能性が拡大した。
さらに別の実施態様においては、RNAiに関与する蛋白質の酵素活性を維持するか又は増強させる化学的修飾を有するsiNA分子が提供される。そのような核酸はまた、一般に非修飾核酸よりもヌクレアーゼに対して耐性が高い。したがって、インビトロ及び/又はインビボで活性は顕著に低下しないはずである。
本発明の核酸系分子の使用は、併用療法の可能性を提供することにより(例えば、異なる遺伝子を標的とする複数のsiNA分子、既知の小分子調節剤と結合させた核酸分子、又は、異なるモチーフを含む分子及び/又は他の化学的若しくは生物学的分子の組み合わせによる間欠的治療)、よりよい治療につながるであろう。
別の態様においては、本発明のポリヌクレオチド分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)は、1つ又はそれ以上の5’及び/又は3’−キャップ構造を、例えば、センスsiNA鎖のみに、アンチセンスsiNA鎖のみに、又は両方のsiNA鎖に含む。
「キャップ構造」とは、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれている化学的修飾を意味する(例えば、Adamic et al.、米国特許第5,998,203号明細書(参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。これらの末端修飾は、核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内の送達及び/又は局在化を助けうる。キャップは5’末端(5’−キャップ)に存在してもよく、又は3’末端(3’−キャップ)に存在してもよく、又は両方の末端に存在してもよい。非限定的例においては、5’−キャップには、限定されないが、グリセリル、逆位デオキシ脱塩基残基(部分);4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド;炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3’,4’−セコヌクレオチド;非環状3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環状3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆位ヌクレオチド部分;3’−3’−逆位脱塩基部分;3’−2’−逆位ヌクレオチド部分;3’−2’−逆位脱塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸;3’−ホスホルアミデート;ヘキシルリン酸;アミノヘキシルリン酸;3’−リン酸;3’−ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;又は、架橋若しくは非架橋メチルホスホネート部分が挙げられる。
3’−キャップの非限定的例としては、限定されないが、例えば、グリセリル、逆位デオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸;1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸;3−アミノプロピルリン酸;6−アミノヘキシルリン酸、1,2−アミノドデシルリン酸;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分;5’−5’−逆位脱塩基部分;5’−ホスホルアミデート;5’−ホスホロチオエート;1,4−ブタンジオールリン酸;5’−アミノ;架橋及び/又は非架橋5’−ホスホルアミデート、ホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート、架橋又は非架橋メチルホスホネート及び5’−メルカプト部分が挙げられる(より詳細には、Beaucage and Iyer,1993,Tetrahedron 49,1925(参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。
用語「非ヌクレオチド」は、1個又はそれ以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖中に組み込ませることができ、糖及び/又はリン酸置換のいずれかを含み、残りの塩基がその酵素活性を示すことが可能な任意の基又は化合物を意味する。基又は化合物は、一般に認識されているヌクレオチド塩基、例えば、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル、又はチミンを含まず、したがって1’位の塩基を欠失しているという点で、脱塩基である。
「アルキル」基とは、飽和脂肪族炭化水素を表し、直鎖状、分枝鎖状、及び環状のアルキル基を含む。好ましくは、又は明示的にそうでないことが示されない限り、アルキル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキル基は1〜7個の炭素、より好ましくは1〜4個の炭素を有する低級アルキルである。アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2又はN(CH3)2、アミノ、又はSHである。この用語はまた、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素基であるアルケニル基を含み、直鎖状、分枝鎖状、及び環状の基を含む。好ましくは、アルケニル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルケニル基は1〜7個の炭素、より好ましくは1〜4個の炭素を有する低級アルケニルである。アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、N(CH3)2、アミノ、又はSHである。用語「アルキル」はまた、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む不飽和の炭化水素基を有するアルキニル基を含み、直鎖状、分枝鎖状、及び環状の基を含む。好ましくは、アルキニル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキニル基は1〜7個の炭素、より好ましくは1〜4個の炭素を有する低級アルキニルである。アルキニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2又はN(CH3)2、アミノ又はSHである。
そのようなアルキル基はまた、アリール、アルキルアリール、炭素環式アリール、複素環式アリール、アミド、及びエステル基を含むことができる。「アリール」基とは、共役したパイ電子系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族基を表し、炭素環式アリール、複素環式アリール及びビアリール基が含まれる。これらはすべて任意に置換されていてもよい。アリール基の好ましい置換基は、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアミノ基である。「アルキルアリール」基とは、アルキル基(上述)が共有結合したアリール基(上述)を表す。炭素環式アリール基とは、芳香族環の環原子がすべて炭素原子である基である。炭素原子は任意に置換されていてもよい。複素環式アリール基とは、芳香族環中の環原子として1〜3個のヘテロ原子を有し、環原子の残りが炭素原子である基である。適当なヘテロ原子には、酸素、イオウ、及び窒素が含まれ、例えば、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル等が挙げられる。これらはすべて任意に置換されていてもよい。「アミド」とは、−C(O)−NH−R(式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、又は水素のいずれかである)を表す。「エステル」とは、−C(O)−OR’(式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール、又は水素のいずれかである)を表す。
本明細書において用いる場合、「ヌクレオチド」は、当該技術分野においては、天然塩基(標準)及び当該技術分野においてよく知られる修飾塩基を含むと認識されている。そのような塩基は、一般にヌクレオチド糖部分の1’位に位置する。ヌクレオチドは一般に、塩基、糖及びリン酸基を含む。ヌクレオチドは、糖、リン酸及び/又は塩基部分において修飾されていなくても修飾されていてもよい(互換的に、ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準的ヌクレオチド等とも称される。例えば、Usman and McSwiggen(上掲);Eckstein et al.、国際公開第92/07065号パンフレット;Usman et al.、国際公開第93/15187号パンフレット;Uhlman & Peyman(上掲)(すべて参照することにより本明細書の一部となす)を参照)。Limbach et al.,1994,Nucleic Acids Res.22,2183にまとめられているように、当該技術分野において知られる修飾核酸塩基のいくつかの例がある。核酸分子中に導入することができる塩基修飾のいくつかの非限定的例としては、例えば、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、プソイドウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えばリボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば5−ブロモウリジン)又は6−アザピリミジン又は6−アルキルピリミジン(例えば6−メチルウリジン)、プロピン、及びその他のものが挙げられる(Burgin et al.,1996,Biochemistry,35,14090;Uhlman & Peyman,上掲)。この側面において、「修飾塩基」とは、1’位におけるアデニン、グアニン、シトシン及びウラシル以外のヌクレオチド塩基又はそれらの同等物を意味する。
1つの実施態様においては、本発明はリン酸骨格修飾を有する修飾されたポリヌクレオチド分子(例えば、siNA、miRNA、RNAi阻害物質、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、2−5A、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、又は他の核酸分子)を特徴とし、これは1つ又はそれ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミデート カルバメート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、及び/又はアルキルシリル置換を含む。オリゴヌクレオチド骨格修飾の概説については、Hunziker and Leumann,1995,Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties,Modern Synthetic Methods,VCH,331−417、及びMesmaeker et al.,1994,Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides,Carbohydrate Modifications in Antisense Research,ACS,24−39を参照されたい。
「脱塩基」とは、1’位において塩基を欠失しているか、又は塩基の代わりに他の化学基を有する糖部分を意味する(例えば、Adamic et al.、米国特許第5,998,203号明細書を参照)。
「非修飾ヌクレオシド」とは、β−D−リボ−フラノースの1’炭素に結合した塩基アデニン、シトシン、グアニン、チミン、又はウラシルのいずれかを意味する。
「修飾ヌクレオシド」とは、非修飾ヌクレオチドの塩基、糖及び/又はリン酸の化学構造中に修飾を含む任意のヌクレオチド塩基を意味する。修飾ヌクレオチドの非限定的例は、式I−VIIに示されるか、及び/又は本明細書に記載される他の修飾である。
本発明において記載される2’−修飾ヌクレオチドに関して、「アミノ」とは、2’−NH2又は2’−O−NH2を意味し、これは修飾されていても修飾されていなくてもよい。そのような修飾基は、例えば、Eckstein et al.、米国特許第5,672,695号明細書及びMatulic−Adamic et al.、米国特許第6,248,878号明細書(いずれもその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。
核酸siNA構造に対する種々の修飾を施すことにより、これらの分子の有用性を高めることができる。このような修飾は、製品寿命、インビトロでの半減期、安定性、及びそのようなオリゴヌクレオチドを標的部位に導入する容易性を高め、例えば、細胞膜の透過性を高め、標的とする細胞を認識し結合する能力を与えるであろう。
「コレステロール誘導体」とは、コレステロール構造から本質的に構成される任意の化合物を意味し、コレステロール構造に対する付加、置換及び/又は欠失も含まれる。本明細書において、用語コレステロール誘導体とはまた、当該技術分野において一般に認識されているように、ステロイドホルモン及び胆汁酸を含む。
処方siNA組成物の投与
本発明の処方分子組成物は、単独で又は他の療法との組み合わせで、細胞又は組織における標的遺伝子の発現レベルに関連するか又はこれに応答する任意の形質、疾患、又は状態を予防、阻害、又は軽減するのに使用するために適合させることができる。
1つの実施態様においては、処方分子組成物は、当業者に知られる様々な方法により細胞に投与することができ、これには、例えば、限定されないが、注射によるもの、イオントフォレシスによるもの、又は他のビヒクル、例えば、生物分解性ポリマー、ハイドロゲル、シクロデキストリンへ組み込ませることによるものが挙げられる(例えば、Gonzalez et al.,1999,Bioconjugate Chem.,10,1068−1074;Wang et al.、国際公開第03/47518号パンフレット及び同第03/46185号パンフレットを参照)。1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物を、膜破壊剤、例えば、米国特許公開第20010007666号明細書(図面を含めその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるものと複合体化する。別の実施態様においては、膜破壊剤及び生物学的に活性な分子はまた、カチオン性脂質又はヘルパー脂質分子、例えば、米国特許第6,235,310号明細書(図面を含めその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載される脂質と複合体化する。
1つの実施態様においては、本発明の送達システムには、例えば、水性及び非水性ゲル、クリーム、多重エマルジョン、マイクロエマルジョン、軟膏、水性及び非水性溶液、ローション、エアロゾル、炭化水素基材及び粉体が含まれ、可溶化剤、透過促進剤(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、及びアミノ酸)、及び親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィル及びポリビニルピロリドン)等の賦形剤を含むことができる。1つの実施態様においては、薬学的に許容されうる担体は経皮吸収促進剤である。
1つの実施態様においては、本発明の送達システムには、パッチ、錠剤、坐薬、ペッサリー、ゲル及びクリームが含まれ、可溶化剤及び促進剤(例えば、プロピレングリコール、胆汁酸及びアミノ酸)等の賦形剤、及び他のビヒクル(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル及び誘導体、及び親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒアルロン酸)を含むことができる。
1つの実施態様においては、本発明は、本発明の1つ又はそれ以上の処方siNA組成物を許容されうる担体、例えば、安定化剤、バッファー等の中に含む薬学的組成物を特徴とする。本発明の処方分子組成物は、安定化剤、バッファー等とともに又は無しで薬学的組成物を生成して、任意の標準的手段により患者に投与し導入することができる。本発明の組成物はまた、クリーム、ゲル、スプレー、オイル、及び当該技術分野において知られる局所、皮膚、又は経皮投与用の他の適当な組成物として処方し使用することができる。
1つの実施態様においては、本発明はまた、記載される化合物の薬学的に許容されうる製剤を含む。これらの製剤には、上記化合物の塩、例えば、酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、酢酸、及びベンゼンスルホン酸の塩)が含まれる。
医薬組成物又は製剤とは、細胞又は患者(例えばヒト)への投与(例えば、全身又は局所投与)に適当な形態の組成物又は製剤を表す。適当な形態は、部分的には、用途又は進入経路(例えば経口、経皮、又は注射)に依存する。そのような形態は、組成物又は製剤が標的細胞(すなわち、siNAが送達されることが望まれる細胞)に到達することを妨害してはならない。例えば、血流中に注入される医薬組成物は可溶性でなければならない。他の因子が当該技術分野において知られており、例えば、毒性、及び組成物又は製剤がその効果を発揮することを妨害する形態等を考慮することが含まれる。
1つの実施態様においては、本発明の処方分子組成物は、薬学的に許容されうる組成物又は製剤に含まれ全身投与により患者に投与される。「全身投与」とは、インビボでの全身吸収又は血流中における薬剤の蓄積の後に全身に分布することを意味する。全身的吸収をもたらす投与経路には、限定されないが、静脈内、皮下、腹腔内、吸入、経口、肺内、及び筋肉内が含まれる。これらの投与経路のそれぞれは、本発明のsiNA分子を接近可能な疾患組織に曝露する。薬剤の循環中への進入速度は、分子量又はサイズの関数であることが示されている。
「薬学的に許容されうる製剤」又は「薬学的に許容されうる組成物」とは、本発明の処方分子組成物をその所望の活性に最も適した身体的位置に有効に分布させることが可能な組成物又は製剤を意味する。本発明の処方分子組成物とともに処方するのに適した薬剤の非限定的例としては、P−糖蛋白質阻害剤(例えば、Pluronic P85);生物分解性ポリマー、例えば、徐放送達用のポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)ミクロスフェア(Emerich,DF et al,1999,Cell Transplant,8,47−58);及び、負荷されたナノ粒子、例えば、ポリブチルシアノアクリレートから作製されたもの等が挙げられる。本発明の核酸分子の送達戦略の他の非限定的例には、Boado et al.,1998,J.Pharm.Sci.,87,1308−1315;Tyler et al.,1999,FEBS Lett.,421,280−284;Pardridge et al.,1995,PNAS USA.,92,5592−5596;Boado,1995,Adv.Drug Delivery Rev.,15,73−107;Aldrian−Herrada et al.,1998,Nucleic Acids Res.,26,4910−4916;及びTyler et al.,1999,PNAS USA.,96,7053−7058に記載される物質が含まれる。
本発明はまた、薬学的に有効量の所望の化合物を薬学的に許容されうる担体又は希釈剤中に含む、保存又は投与用に調製される組成物を含む。治療用途に用いるための許容されうる担体又は希釈剤は、医薬の技術分野においてよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)(参照することにより本明細書の一部となす)に記載されている。例えば、保存剤、安定化剤、染料、及び香味剤が提供されうる。これらには、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。さらに、抗酸化剤及び懸濁化剤を用いてもよい。
薬学的に有効な用量とは、疾患状態の予防、発症の阻害、又は治療(症状をある程度緩和し、好ましくはすべての症状を緩和する)に必要な用量である。薬学的に有効な用量は、疾患の種類、使用する組成物、投与経路、治療する哺乳動物の種類、検討中の特定の哺乳動物の身体的特性、同時に投与される薬剤、及び医学の分野の当業者が認識しうる他の因子に依存する。一般に、処方siNA組成物の効力に依存して、0.1mg/kg〜100mg/kg体重/日の量の活性成分を投与する。
本発明の処方分子組成物は、慣用の非毒性の薬学的に許容されうる担体、アジュバント及び/又はビヒクルを含む用量単位製剤に含まれて、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入又はスプレーにより、又は直腸に投与することができる。本明細書において用いる場合、非経口的という用語には、経皮、皮下、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、又は髄腔内注射又は注入手法等が含まれる。さらに、本発明の処方分子組成物及び薬学的に許容されうる担体を含む薬学的製剤が提供される。本発明の1つ又はそれ以上の処方分子組成物は、1つ又はそれ以上の非毒性の薬学的に許容されうる担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバント、並びに所望の場合には他の活性成分とともに存在することができる。本発明の処方分子組成物を含有する薬学的組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性の粉体若しくは顆粒、乳剤、硬カプセル若しくは軟カプセル、又はシロップ又はエリキシル剤の形態でありうる。
経口での使用が意図される組成物は、薬学的組成物の製造について当該技術分野において知られる任意の方法にしたがって製造することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練された口に合う製品を提供するために、1つ又はそれ以上のそのような甘味剤、香味剤、着色剤又は保存剤を含んでいてもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に許容されうる賦形剤と混合して活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアラビアゴム;及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクでありうる。錠剤はコーティングしなくてもよく、既知の手法によりコーティングしてもよい。場合によっては、既知の手法によりそのようなコーティングを調製して、消化管における崩壊及び吸収を遅延させることにより、より長期間にわたる持続的作用をもたらすことができる。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート等の時間遅延用素材を用いることができる。
経口使用するための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分が水又は油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、又はオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然のホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁液はまた、1つ又はそれ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピル p−ヒドロキシベンゾエート、1つ又はそれ以上の着色剤、1つ又はそれ以上の香味剤、及び1つ又はそれ以上の甘味剤、例えばショ糖又はサッカリンを含んでいてもよい。
油性懸濁液は、活性成分を植物性油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はココナッツ油、又はミネラルオイル、例えば液体パラフィン中に懸濁させることにより処方することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ロウ、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含んでもよい。甘味剤及び香味剤を加えて、口に合う経口製品を得ることができる。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を加えることにより保存することができる。
水を加えることによる水性懸濁液を調製するのに適した分散性の粉体及び顆粒は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1つ又はそれ以上の保存剤との混合物中で与える。適当な分散剤又は湿潤剤又は懸濁化剤は、上記したものにより例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤、及び着色剤が存在していてもよい。
本発明の薬学的組成物はまた、水中油エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物性油又はミネラルオイル又はこれらの混合物であってもよい。適当な乳化剤としては、天然のゴム、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴム、天然のホスファチド類、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、無水物、例えば、ソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エマルジョンは、甘味剤及び香味剤を含んでいてもよい。
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース、又はショ糖を用いて処方することができる。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤及び香味剤及び着色料を含んでいてもよい。薬学的組成物は、滅菌した注射可能な水性又は油性の懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述した適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、当該技術分野において知られるように処方することができる。滅菌した注射可能な製剤はまた、無毒性の非経口的に許容されうる希釈剤又は溶媒中の滅菌された注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用することができる許容されうるビヒクル及び溶媒は、特に、水、リンゲル溶液及び等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油を通常、溶媒又は懸濁媒体として用いることができる。この目的のためには、任意の無刺激性の不揮発性油、例えば、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを用いることができる。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は注射可能な薬剤の調製において用途を見いだす。
本発明の処方分子組成物はまた、例えば、薬剤の直腸投与用に、坐剤の形態で投与することができる。これらの組成物は、薬剤を、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で溶けて薬剤を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料としては、カカオバター及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の処方分子組成物は、滅菌媒体中に含まれた状態で、非経口的に投与することができる。薬剤は、使用するビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁されていてもよく、溶解されていてもよい。アジュバント、例えば局所麻酔剤、保存剤、及び緩衝剤をビヒクル中に溶解することも有利である。
上述した健康状態の治療には、1日あたり体重1キログラムあたり約0.1mg〜約140mgのオーダーの投与量レベルが有用である(1日あたり患者あたり約0.5mg〜約7g)。担体物質と組み合わせて単回投与剤形を作りだすことができる活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて様々である。単回投与剤形は、一般に、約1mg〜約500mgの活性成分を含む。
任意の特定の患者に対する具体的な投与量レベルは、種々の因子、例えば、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、及び排出速度、薬剤の組み合わせ、及び治療中の特定の疾患の重篤性に依存することが理解される。
ヒト以外の動物に投与するためには、組成物を動物飼料又は飲料水に加えてもよい。動物が治療上適当な量の組成物を飼料とともに摂取できるように、動物飼料及び飲料水組成物を処方することが便利であろう。飼料又は飲料水に加えるように組成物をプレミックスとして提供することも便利であろう。
本発明の処方分子組成物はまた、他の治療用化合物と組み合わせて患者に投与して、全体的治療効果を高めることができる。ある適応症の治療に複数の化合物を用いることにより、副作用の存在を低下させながら有益な効果を高めることができる。
以下は、本発明の核酸の選択、単離、合成及び活性を示す非限定的例である。
実施例1:任意のRNA配列中の潜在的siNA標的部位の同定
対象となるRNA標的、例えばウイルス又はヒトmRNA転写産物の配列を、例えばコンピュータ折り畳みアルゴリズムを用いることにより、標的部位についてスクリーニングする。非限定的例においては、Genbank等のデータベースから得られる遺伝子又はRNA遺伝子転写産物の配列を用いて、標的に対して相補性を有するsiNA標的を作成する。そのような配列は、データベースから得ることができ、又は当該技術分野において知られるようにして実験的に決定することができる。既知の標的部位、例えば、リボザイム又はアンチセンス等の他の核酸分子を用いた研究に基づいて有効な標的部位であることが判定されている標的部位、又は疾患又は状態と関連していることが知られている標的、例えば変異又は欠失を含む部位を用いて、これらの部位を標的とするsiNA分子を設計することができる。種々のパラメータを用いて、標的RNA配列中でどの部位が最も適当な標的部位であるかを判定することができる。これらのパラメータには、限定されないが、二次又は三次RNA構造、標的配列のヌクレオチド塩基組成、標的配列の種々の領域間のホモロジーの程度、又はRNA転写産物中の標的配列の相対的位置が含まれる。これらの判定に基づいて、RNA転写産物中の任意の数の標的部位を選択して、例えば、インビトロRNA切断アッセイ、細胞培養、又は動物モデルを用いることにより、効力についてsiNA分子をスクリーニングすることができる。非限定的例においては、用いるべきsiNA構築物のサイズに基づいて、転写産物中の1〜1000個の標的部位のいずれかの位置を選択する。当該技術分野において知られる方法、例えば標的遺伝子発現の有効な減少を判定するマルチウェル又はマルチプレートアッセイを用いて、siNA分子をスクリーニングするためのハイスループットスクリーニングアッセイを開発することができる。これらの方法はまた、例えば、本発明のアンチセンス、リボザイム、2−5−A、三重鎖、及びデコイ核酸分子の標的部位を決定するためにも用いることができる。
実施例2:RNA中のsiNA分子標的部位の選択
以下の非限定的工程を用いて、所定の遺伝子配列又は転写産物を標的とするsiNAの選択を行うことができる。
1.標的配列をインシリコで解析して、標的配列中に含まれる特定の長さの、例えば23ヌクレオチドの断片のすべての断片又はサブ配列のリストを作成する。この工程は、典型的にはあつらえのPerlスクリプトを用いて行うが、市販の配列分析プログラム、例えば、Oligo、MacVector、又はGCG Wisconsin Packageも同様に用いることができる。
2.場合によっては、siNAは2以上の標的配列に対応する。これは、例えば、同じ遺伝子の異なる転写産物を標的とする場合、2以上の遺伝子の異なる転写産物を標的とする場合、又は、ヒト遺伝子と動物ホモログとの両方を標的とする場合に生じうる。この場合には、それぞれの標的について特定の長さのサブ配列リストを作成し、次にリストを比較して、各リスト中でマッチング配列を見いだす。次に、サブ配列を、所定のサブ配列を含む標的配列の数にしたがってランク付けする。この目的は、標的配列のほとんど又はすべてに存在するサブ配列を見いだすことである。或いは、ランク付けにより、標的配列にユニークなサブ配列、例えば変異体標的配列を同定することができる。このような方法により、変異体配列を特異的に標的とし、正常な配列の発現に影響を及ぼさないsiNAの使用が可能となるであろう。
3.場合によっては、siNAのサブ配列は、1つ又はそれ以上の配列中に存在しないが、所望の標的配列中に存在する。これは、siNAが、標的とされない状態でいるパラロガスファミリーメンバーを有する遺伝子を標的とする場合に生じうる。上述のケース2におけるように、それぞれの標的について特定の長さのサブ配列のリストを作成し、次にリストを比較して、標的遺伝子中に存在するが標的ではないパラログ中には存在しない配列を見いだす。
4.ランク付けされたsiNAサブ配列をさらに分析して、GC含量にしたがってランク付けすることができる。30〜70%のGCを含有する部位が好ましく、40〜60%のGCを含有する部位がさらに好ましい。
5.ランク付けされたsiNAサブ配列をさらに分析して、自己折り畳み及び内部ヘアピンにしたがってランク付けすることができる。内部折り畳みがより弱いことが好ましく、強いヘアピン構造は回避すべきである。
6.ランク付けされたsiNAサブ配列をさらに分析して、配列中にGGG又はCCCの連続を有するか否かにしたがってランク付けすることができる。いずれかの鎖にGGG(又はさらに多いG)が存在すると、オリゴヌクレオチド合成に問題が生じることがあり、RNAi活性を妨害する可能性がある。したがって、よりよい配列が利用可能である場合には、これを回避する。CCCはアンチセンス鎖にGGGを配置するため、標的鎖中で検索する。
7.ランク付けされたsiNAサブ配列をさらに分析して、配列の3’末端にジヌクレオチドUU(ウリジンジヌクレオチド)を、及び/又は配列の5’末端にAA(アンチセンス配列に3’UUを生ずる)を有するか否かにしたがってランク付けする。これらの配列により、末端TTチミジンジヌクレオチドを有するsiNA分子を設計することが可能となる。
8.上述のようにランク付けされたサブ配列のリストから、4つ又は5つの標的部位を選択する。次に、例えば、23ヌクレオチドを有するサブ配列において、それぞれの選択された23−merサブ配列の右側21ヌクレオチドを、siNA二本鎖の上側(センス)鎖用に設計して合成し、一方、それぞれの選択された23−merサブ配列の左側21ヌクレオチドの逆相補鎖をsiNA二本鎖の下側(アンチセンス)鎖用に設計して合成する。末端TT残基が配列にとって望ましい場合には(パラグラフ7に記載されるように)、オリゴを合成する前にセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の2つの3’末端ヌクレオチドをTTで置き換える。
9.siNA分子をインビトロ、細胞培養又は動物モデル系においてスクリーニングして、最も活性なsiNA分子又は標的RNA配列中の最も好ましい標的部位を同定する。
10.標的核酸配列を選択する場合、他の設計上の配慮を行うことができる。例えば、Reynolds et al.,2004,Nature Biotechnology Advanced Online Publication,2004年2月1日、doi:10.1038/nbt936及びUi−Tei et al.,2004,Nucleic Acids Research,32,doi:10.1093/nar/gkh247を参照。
実施例3:siNAの設計
標的RNAの標的配列を分析し、任意に、折り畳みに基づいて標的部位の優先順位をつけることにより(所定の配列の構造を分析して、siNAの標的へのアクセス可能性を判定する)、siNA分子のライブラリを用いることにより、或いは本明細書に記載されるようにしてインビトロsiNAシステムを用いることにより、siNA標的部位を選択した。siNA分子は、各標的に結合することができるように設計し、任意に、コンピュータ折り畳みにより個々に分析して、siNA分子が標的配列と相互作用しうるか否かを評価した。種々の長さのsiNA分子を選択して活性を最適化することができる。一般に、標的RNAに結合するか、さもなければこれと相互作用するのに十分な数の相補的ヌクレオチド塩基が選択されるが、相補性の程度は、siNA二本鎖又は種々の長さ又は塩基組成と適合するように調節することができる。このような方法を用いることにより、任意の既知のRNA配列、例えば、任意の所定の遺伝子転写産物に対応するRNA配列中の部位を標的とするようにsiNA分子を設計することができる。
化学的に修飾されたsiNA構築物は、RNAi活性を媒介する能力を保持しながらインビボでの全身投与におけるヌクレアーゼ安定性及び/又は改良された体内動態、局在化及び送達特性を与えるように設計する。本明細書に記載される化学修飾は、本明細書に記載されるか当該技術分野において一般的に知られる合成方法を用いて合成的に導入する。次に、合成siNA構築物を、血清及び/又は細胞/組織抽出物(例えば、肝臓抽出物)中におけるヌクレアーゼ安定性についてアッセイする。合成siNA構築物は、平行して、適当なアッセイ、例えば本明細書に記載されるルシフェラーゼレポーターアッセイ又はRNAi活性を定量することができる別の適当なアッセイを用いてRNAi活性についても試験する。ヌクレアーゼ安定性とRNAi活性との両方を有する合成siNA構築物をさらに改変して、安定性及び活性のアッセイにおいて再評価することができる。次に、安定化された活性siNA構築物の化学修飾を、任意の選択されたRNAを標的とする任意のsiNA配列に適用し、例えば、標的スクリーニングアッセイにおいて用いて、治療薬開発のためのリードsiNA化合物を選択することができる。
実施例4:siNAの化学合成及び精製
siNA分子は、RNAメッセージ中の種々の部位、例えば、本明細書に記載されるRNA配列中の標的配列と相互作用するように設計することができる。siNA分子の一方の鎖の配列は、上述した標的部位配列に相補的である。siNA分子は、本明細書に記載される方法を用いて化学的に合成することができる。対照配列として用いられる不活性siNA分子は、siNA分子の配列を標的配列に相補的ではないようにスクランブル化することにより、合成することができる。一般に、siNA構築物は、本明細書に記載されるように、固相オリゴヌクレオチド合成方法を用いて合成することができる(例えば、Usman et al.、米国特許第5,804,683号明細書;同5,831,071号明細書;同5,998,203号明細書;同6,117,657号明細書;同6,353,098号明細書;同6,362,323号明細書;同6,437,117号明細書;同6,469,158号明細書;Scaringe et al.、米国特許第6,111,086号明細書;同6,008,400号明細書;同6,111,086号明細書を参照(いずれもその全体を参照することにより本明細書の一部となす))。
非限定的例においては、RNAオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において知られるように、ホスホルアミダイト化学を用いて段階的様式にて合成する。標準的ホスホルアミダイト化学においては、5’−O−ジメトキシトリチル、2’−O−tert−ブチルジメチルシリル、3’−O−2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト基、及び環外アミン保護基(例えば、N6−ベンゾイルアデノシン、N4−アセチルシチジン、及びN2−イソブチリルグアノシン)のいずれかを含むヌクレオシドの使用を伴う。或いは、Scaringe(上掲)により記載されるように、RNA合成において2’−O−シリルエーテルを酸不安定性2’−O−オルトエステル保護基と組み合わせて用いてもよい。異なる2’化学は、異なる保護基を必要とし、例えば、Usman et al.、米国特許第5,631,360号明細書(その全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されるように、2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドにはN−フタロイル保護を用いることができる。
固相合成の間に、各ヌクレオチドを順番に(3’−から5’−方向に)固体支持体結合オリゴヌクレオチドに付加する。鎖の3’末端の最初のヌクレオシドを、種々のリンカーを用いて固体支持体(例えば、制御された多孔ガラス又はポリスチレン)に共有結合させる。ヌクレオチド前駆体、リボヌクレオシドホスホルアミダイト、及び活性剤を混合して、第1のヌクレオシドの5’末端上に第2のヌクレオシドホスホルアミダイトをカップリングさせる。次に、支持体を洗浄し、任意の未反応5’−ヒドロキシル基を無水酢酸等のキャッピング試薬を用いてキャッピングして、不活性な5’−アセチル部分を得る。次に3価リン結合を酸化してより安定なリン酸結合とする。ヌクレオチド付加サイクルの最後に、適当な条件下で(例えば、トリチル系の基については酸性条件下で、シリル系の基についてはフッ化物条件下で)、5’−O−保護基を切断する。それぞれの次のヌクレオチドに対してこのサイクルを繰り返す。
合成条件を改変して、例えば、合成すべきsiNAの特定の化学組成に応じて、異なるカップリング時間、異なる試薬/ホスホルアミダイト濃度、異なる接触時間、異なる固体支持体及び固体支持体リンカー化学を用いることにより、カップリング効率を最適化することができる。siNAの脱保護及び精製は、一般に、Usman et al.、米国特許第5,831,071号明細書、米国特許第6,353,098号明細書、米国特許第6,437,117号明細書、及びBellon et al.、米国特許第6,054,576号明細書、米国特許第6,162,909号明細書、米国特許第6,303,773号明細書又はScaringe(上掲)(これらはすべてその全体を参照することにより本明細書の一部となす)に記載されているようにして行うことができる。さらに、脱保護条件を改変して、可能な限り最大の収量及び精製度のsiNA構築物を得ることができる。例えば、本出願人は、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは不適切な脱保護条件下で分解しうることを見いだした。そのようなオリゴヌクレオチドは、水性メチルアミンを用いて約35℃にて30分間脱保護する。2’−デオキシ−2’−フルオロ含有オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチドも含む場合には、水性メチルアミンで約35℃にて30分間脱保護した後、TEA−HFを加え、反応をさらに15分間、約65℃に維持する。次に脱保護し、精製し、及び/又はアニーリングさせたsiNA分子を、本明細書に記載されるようにして処方する。
実施例5:siNA活性を評価するためのRNAiインビトロアッセイ
RNAiを無細胞系において再現するインビトロアッセイを用いて、RNA標的を標的とするsiNA構築物を評価する。アッセイは、Tuschlら(1999,Genes and Development,13,3191−3197)及びZamoreら(2000,Cell,101,25−33)に記載され、標的RNA用に適合させた系を含む。合胞体胞胚に由来するショウジョウバエ抽出物を用いて、インビトロでRNAi活性を再構成する。標的RNAは、適当なヘアレスを発現するプラスミドからT7RNAポリメラーゼを用いてインビトロで転写させることにより、又は本明細書に記載されるように化学合成により作製する。センス及びアンチセンスsiNA鎖(例えば各20μM)は、バッファー(例えば、100mM 酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM 酢酸マグネシウム)中で、90℃にて1分間、次に37℃にて1時間インキュベートすることによりアニーリングさせ、次に溶解バッファー(例えば、100mM 酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH(pH7.4)、2mM酢酸マグネシウム)で希釈する。アニーリングは、アガロースゲルを用いてTBEバッファーでゲル電気泳動し、臭化エチジウムで染色することによりモニターすることができる。ショウジョウバエの溶解物は、Oregon Rハエからの0〜2時間齢の胚を用いて調製し、酵母糖液寒天上で回収し、絨毛膜を除去し溶解する。溶解物を遠心分離し、上清を単離する。アッセイは、50%溶解物[vol/vol]、RNA(10〜50pMの最終濃度)、及びsiNA(10nMの最終濃度)を含む10%[vol/vol]溶解バッファーを含有する反応混合物を含む。反応混合物はまた、10mMのクレアチンリン酸、10μg/mlのクレアチンホスホキナーゼ、100μMのGTP、100μMのUTP、100μMのCTP、500μMのATP、5mMのDTT、0.1U/μLのRNasin(Promega)、及び100μMの各アミノ酸を含む。酢酸カリウムの最終濃度は100mMに調整する。反応は氷上で予め構築し、25℃で10分間プレインキュベートした後にRNAを加え、次に、25℃でさらに60分間インキュベートする。4倍容量の1.25 x Passive Lysis Buffer(Promega)で反応を停止させる。標的RNAの切断は、RT−PCR分析又は当該技術分野において知られる他の方法によりアッセイし、反応からsiNAが除かれている対照反応と比較する。
或いは、アッセイ用に内部標識した標的RNAを[アルファ−32P]CTPの存在下でインビトロ転写により調製し、スピンクロマトグラフィーによりG50セファデックスカラムを通し、さらに精製することなく標的RNAとして用いる。任意に、標的RNAはT4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて5’−32P末端標識してもよい。アッセイは上述のようにして行い、標的RNA及びRNAiにより生成する特異的RNA切断産物を、ゲルのオートラジオグラフィーで可視化する。切断のパーセンテージは、無傷の対照RNA又はsiNAを含まない対照反応からのRNA、及びアッセイにより生成する切断産物を表すバンドをPHOSPHOR IMAGER(登録商標)(オートラジオグラフィー)で定量することにより決定する。
1つの実施態様においては、このアッセイを用いてsiNA媒介性RNAi切断のRNA標的の標的部位を決定する。ここでは、複数のsiNA構築物を、例えば、標識した標的RNAの電気泳動により、又はノーザンブロッティングにより、並びに当該技術分野においてよく知られる他の方法により、アッセイ反応を分析することによって、RNA標的のRNAi媒介性切断についてスクリーニングする。
実施例6:標的RNAの核酸阻害
ヒト標的RNAを標的とするsiNA分子を、上述したように設計し合成する。これらの核酸分子は、例えば以下の方法を用いて、インビボにおける切断活性について試験することができる。
2つのフォーマットを用いて、標的をターゲティングするsiNAの効力を試験する。最初に、細胞培養で試薬を試験して、RNA及び蛋白質阻害の程度を測定する。siNA試薬は、本明細書に記載される標的に対して選択する。適当なトランスフェクション剤によりこれらの試薬を細胞に送達した後にRNA阻害を測定する。増幅のリアルタイムPCRモニタリングにより(例えば、ABI 7700 TAQMAN(登録商標))、標的RNAの相対量をアクチンに対して測定する。無関係な標的に対して作製したオリゴヌクレオチド配列の混合物、又は同じ全体長及び化学を有するが、各位置においてランダムに置換されているランダム化siNA対照と比較する。標的に対して第1及び第2のリード試薬を選択し、最適化を行う。最適なトランスフェクション剤濃度を選択した後、リードsiNA分子を用いてRNAの阻害の経時変化を調べる。さらに、細胞播種フォーマットを用いてRNA阻害を測定することができる。
siNAの細胞への送達
トランスフェクションの前日に、細胞を、6ウェルディッシュにEGM−2(BioWhittaker)中で、例えば1x105細胞/ウェルで播種する。ポリスチレンチューブ中で処方siNA組成物をEGM基本培地(BioWhittaker)中で37℃にて30分間複合体化する。ボルテックスした後、複合体化した処方siNA組成物を各ウェルに加え、示された時間インキュベートする。最初の最適化実験のために、細胞を例えば1x103個、96ウェルプレートに播種し、siNA複合体を示されるように加える。siNAの細胞への送達効率は、脂質と複合体化した蛍光siNAを用いて決定する。6ウェルディッシュ中の細胞をsiNAとともに24時間インキュベートし、PBSですすぎ、2%パラホルムアルデヒド中で室温にて15分間固定する。siNAの取り込みは、蛍光顕微鏡で可視化する。
TAQMAN(登録商標)(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)及び光サイクラーによるmRNAの定量
siNAの送達後、例えば、6ウェル用にはQiagenRNA精製キット又は96ウェルアッセイ用にはRneasy抽出キットを用いて、細胞から総RNAを調製する。TAQMAN(登録商標)分析(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)のためには、5’末端に共有結合させたレポーター色素(FAM又はJOE)及び3’末端にコンジュゲートさせたクエンチャー色素TAMRAを有する二重標識プローブを合成する。1段階RT−PCR増幅は、例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detectorで、10μlの総RNA、100nMのフォワードプライマー、900nMのリバースプライマー、100nMのプローブ、1XTaqMan PCR反応バッファー(PE−Applied Biosystems)、5.5mMのMgCl2、300μMの各dATP、dCTP、dGTP、及びdTTP、10UのRNase阻害剤(Promega)、1.25UのAMPLITAQ GOLD(登録商標)(DNAポリメラーゼ)(PE−Applied Biosystems)及び10UのM−MLV逆転写酵素(Promega)からなる50μlの反応液を用いて行う。熱サイクル条件は、48℃で30分間、95℃で10分間、次に95℃で15秒間及び60℃で1分間を40サイクルからなるものでありうる。mRNAレベルの定量は、連続希釈した総細胞RNA(300、100、33、11ng/rxn)から生成した標準に対して行い、平行して行うTAQMAN(登録商標)反応(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)におけるβ−アクチン又はGAPDH mRNAに対して標準化する。対象となる各遺伝子について、上側プライマー及び下側プライマー、及び蛍光標識したプローブを設計する。特定のPCR産物中へのSYBR Green Iのリアルタイム取り込みは、ガラスキャピラリー管で光サイクラーを用いて測定することができる。対照cRNAを用いて、各プライマー対について標準曲線を作成する。値は、各サンプルにおけるGAPDHに対する相対的発現として表される。
ウエスタンブロッティング
核抽出物は、標準的なマイクロ調製手法(例えば、Andrews and Faller,1991,Nucleic Acids Research,19,2499を参照)を用いて調製することができる。例えば、TCA沈殿を用いて、上清から蛋白質抽出物を調製する。等量の20%TCAを細胞上清に加え、氷上で1時間インキュベートし、5分間の遠心分離によりペレット化する。ペレットをアセトンで洗浄し、乾燥し、水に再懸濁する。細胞蛋白質抽出物を10%ビス−Tris NuPage(核抽出物)又は4〜12%Tris−グリシン(上清抽出物)ポリアクリルアミドゲルに流し、ニトロセルロース膜に移す。非特異的結合は、例えば、5%脱脂乳とともに1時間インキュベートすることによりブロッキングすることができ、次に一次抗体で4℃にて16時間反応させる。洗浄後、二次抗体、例えば(1:10,000希釈)を室温にて1時間適用し、SuperSignal試薬(Pierce)でシグナルを検出する。
実施例7:処方siNA組成物の血清安定性の評価
本明細書において記載されているように、処方脂質組成物のトランスフェクション又は送達効率を判定する1つの方法は、処方組成物の血清における安定性をインビトロで測定することである。相対濁度測定を用いて、処方siNA組成物のインビトロ血清安定性を判定することができる。
濁度測定を用いて、脂質粒子製剤L065、F2、L051、及びL073の血清安定性をモニタリングした(脂質製剤L051及びL073については図8及び9を参照)。L065の脂質製剤は、カチオン性脂質CpLinDMA、中性脂質DSPC、コレステロール、及び2kPEG−DMGを含む。脂質製剤F2はDODAPを含む。SpectraMax(登録商標)Plus384マイクロプレート分光光度計(Molecular Devices(Sunnyvale,CA))を用いて、50%血清の存在下及び非存在下における処方siNA組成物(0.1mg/ml)の吸光度を、対応する量の血清単独を参照として用いて、500nmで測定した。製剤を37℃でインキュベートし、2分、5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7時間、及び24時間の時点で分析した。相対濁度は、サンプル濁度を、処方siNA組成物を50%血清中で2分間インキュベートしたときの濁度で割ることにより測定した。相対濁度が経時的に1.0付近で一定のままであれば、処方分子組成物は血清中で安定である。図11に示されるように、処方siNA組成物L065、L051、及びL073は、血清安定脂質ナノ粒子組成物である。図33に示されるように、処方siNA組成物L077、L080、L082及びL083は、血清安定脂質ナノ粒子組成物である。
実施例8:処方siNA組成物のpH依存的相転移の評価
さらに、処方脂質組成物のトランスフェクション又は送達効率は、処方組成物のインビトロでのpH依存的相転移を測定することにより判定することができる。相対濁度測定を用いて、処方siNA組成物のインビトロでのpH依存的相転移を測定することができる。
濁度測定を用いて、処方siNA組成物L065、L051、F2、L073、及びL069の相転移をモニタリングした。pH3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、及び9.0の0.1M リン酸バッファー中における脂質粒子製剤(0.1mg/ml)の吸光度を、SpectraMax(登録商標)Plus384マイクロプレート分光光度計(Molecular Devices(Sunnyvale,CA))を用いて、対応する量のバッファー単独を参照として用いて350nmで測定した。このアッセイは、種々のpHにおける製剤の相対的光散乱を測定する。比較的大きい粒子サイズを有するラメラ構造(すなわち、血清安定構造)は、対応する逆位六角形構造より多くの光を散乱させると予測される。サンプルを37℃でインキュベートし、2分、5分、10分、30分、及び2時間の時点で分析した。相対濁度は、サンプル濁度を、処方siNA組成物をリン酸バッファー(pH7.5)中で2分間インキュベートしたときの濁度で割ることにより決定した。pH7.5〜pH5.0の間で測定したときに相対濁度の変化があれば、処方分子組成物はpH依存的相転移を起こしている。図12に示されるように、処方siNA組成物L051及びL073は、pH6.5〜pH5.0でpH依存的相転移を起こす。図13に示されるように、処方siNA組成物L069は、pH6.5〜pH5.0でpH依存的相転移を起こす。図34に示されるように、処方siNA組成物L077、L080、L082、及びL083は、pH6.5〜pH5.0でpH依存的相転移を起こす。
実施例9:慢性HBV感染モデルにおける処方siNA組成物の評価
siNAナノ粒子活性のインビトロ分析
HepG2細胞を、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム(90%)、及び10%ウシ胎仔血清(HyCloneCat#SH30070.03)を含むEMEM(CellgroCat#10−010−CV)中で成長させた。psHBV−1ベクターからHBVゲノム配列を切り出し再ライゲーションさせることにより複製可能なcDNAを作製した。HepG2細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに播種(3x104細胞/ウェル)し、一晩インキュベートした。成長培地中にカチオン性脂質(11〜15μg/mL)及び再ライゲーションさせたpsHBV−1(4.5μg/mL)(最終濃度)を含むカチオン性脂質/DNA複合体を生成した。37℃で15分間インキュベートした後、20μLの複合体を、抗生物質を含まない80μLの成長培地中に播種したHepG2細胞に加えた。37℃で7.5時間後、培地を除去し、細胞を培地で1回すすぎ、100μLの新鮮な培地を各ウェルに加えた。50μLのsiNAナノ粒子製剤(製剤の詳細については実施例9を参照)(培地中に3倍の濃度で希釈)を、1つの濃度につき3連で、各ウェルに加えた。細胞を4日間インキュベートし、培地を除去し、HBsAgレベルについてアッセイした。図15は、処方された(製剤L051、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図16は、処方された(製剤L053及びL054、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図17は、処方された(製剤L051、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図30は、処方された(製剤L083及びL084、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図31は、処方された(製剤L077、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図32は、処方された(製剤L080、表IV)活性なsiNAで処置した細胞からのHBsAgのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。これらの実験においては、ナノ粒子製剤L051、L053、及びL054を用いて活性な処方siNAで処置した細胞ではHBsAgレベルの用量依存的低下が認められたが、陰性対照処置細胞では低下が認められなかった。この結果は、処方siNA組成物が細胞に入ることができ、細胞性RNAi機構を有効に作用させてウイルス遺伝子発現を阻害しうることを示す。
HBV複製のマウスモデルにおける処方siRNAの活性の分析
化学的に安定化させたsiNAナノ粒子(製剤の詳細については実施例9を参照)組成物のHBVに対する活性を評価するために、マウスNOD.CB17−Prkdcscid/J(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)株に、HBVベクターを水圧注入(HDI)した後に、処方siNA組成物(製剤L051、表IV)を全身投与した。実験時、雌マウスは5〜6週齢であり、約20グラムであった。用いたHBVベクターpWTDは、完全HBVゲノムの頭部−尾部ダイマーである。20グラムのマウスに対して、pWTDを食塩水中に含む合計1.6mlを、尾静脈に5秒間で注入した。マウス1匹あたり合計0.3μgのHBVベクターを注入した。肝臓をHDIによる失調から回復させるために、処方siNA組成物の投与はHDIの6日後に始めた。封入された活性及び陰性対照siRNAを、標準的なIV注入により3mg/kg/dayで3日間投与した。各群(N=5)の動物を最終投与の3及び7日後に犠牲死させ、血清HBV DNA及びHBsAgのレベルを測定した。HBV DNA力価は、定量的リアルタイムPCRにより測定し、平均log10コピー/ml(±SEM)で表した。血清HBsAgレベルは、ELISAによりアッセイし、平均log10pg/ml(±SEM)で表した。活性な処方siNA組成物で処置した群では、PBS群及び陰性対照群の両方と比較して、3日及び7日の時点の両方で血清HBV DNA(図18及び29)及びHBsAg(図19、30、31、及び32)の有意な低下が認められた。
材料及び方法
オリゴヌクレオチド合成及び特性決定
すべてのRNAは、本明細書に記載されるようにして合成した。相補鎖をPBS中でアニーリングさせ、脱塩し、凍結乾燥した。263 HBV siNAの活性部位の配列を図14に示す。インビボで用いた修飾siNAは、HBV263M及びHBV1583Mと称し、修飾されていないリボヌクレオチド及び逆位脱塩基末端キャップを含むものはHBV263R及びHBV1583Rと称する。2つの別の部位を標的とするsiNA、HBV1580M及びHBV1580Rを用いていくつかの薬物動態学的研究を行った。
HCVと関係のない対照のsiNA配列は以下のとおりである:
センス鎖:5’B−cuGAuAGGGuGcuuGcGAGTT−B3’(配列番号1)
アンチセンス鎖:5’CUCGcAAGcAcccuAucAGTsT3’(配列番号2)
(配列中、小文字=2’−デオキシ−2’−フルオロ;大文字イタリック=2’−デオキシ;大文字下線付=2’−O−メチル;大文字太字=リボヌクレオチド;T=チミジン;B=逆位デオキシ脱塩基;及び、s=ホスホロチオエート)。
逆位対照配列は5’−3’の逆位である。
HBsAg ELISAアッセイ
HBsAgレベルは、Genetic Systems/Bio−Rad(Richmond,VA)HBsAg ELISAキットを用いて、製造元の説明書にしたがって測定した。HBVベクターでトランスフェクションしていない細胞の吸収をアッセイのバックグラウンドとして用い、実験サンプルの値から差し引いた。
HBV DNA分析
50μLのマウス血清からQIAmp96DNA Bloodキット(Qiagen,Valencia,CA)を用いて、製造元の説明書にしたがってウイルスDNAを抽出した。ABI Prism 7000配列検出装置(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、HBV DNAレベルを分析した。以下のプライマー及びプローブ配列を用いて定量的リアルタイムPCRを行った:フォワードプライマー 5’−CCTGTATTCCCATCCCATCGT(配列番号3、HBVヌクレオチド2006−2026)、リバースプライマー 5’−TGAGCCAAGAGAAACGGACTG(配列番号4、HBVヌクレオチド2063−2083)及びプローブ FAM 5’−TTCGCAAAATACCTATGGGAGTGGGCC(配列番号5、HBVヌクレオチド2035−2062)。全長HBVゲノムを含むpsHBV−1ベクターを標準曲線として用いて、血清1mLあたりのHBVコピー数を計算した。
実施例10:HCV感染のインビトロHCVレプリコンモデルにおける処方siNA組成物の評価
HCVレプリコン系を用いて、HCVRNAを標的とするsiNAの有効性を調べた。試薬を、Huh7細胞(例えば、Randall et al.,2003,PNAS USA,100,235−240を参照)を用いて細胞培養中で試験して、RNA阻害の程度を測定した。siNAは、本明細書に記載されるように、HCV標的に対して選択した。HCV部位304に対して活性なsiNA配列は以下のとおりである:センス鎖:(配列番号1);アンチセンス鎖:(配列番号2)(これらは上述の実施例8において不活性な配列として用いた)。この実験で用いたsiNA不活性対照配列は、HBV部位263を標的とし、以下のとおりである:センス鎖:(配列番号6);アンチセンス鎖:(配列番号7)、(これらは上述の実施例8において活性な配列として用いた)。活性及び不活性siNAsを、上述の実施例9に記載されるようにして、製剤L051、L053、又はL054として処方した。安定してトランスフェクトされたClone A HCVサブゲノムレプリコン(Apath,LLC,St.Louis,MO)を含むHuh7細胞を、5mlの100X(10mM)非必須アミノ酸(Invitrogenカタログ#11140−050)、5μLの200mMグルタミン(Cellgroカタログ#25−005−C1)、50μLの熱不活性化ウシ胎仔血清(Invitrogenカタログ#26140−079)及び1mg/mLのG418(Invitrogenカタログ#11811−023)を含むDMEM(Invitrogenカタログ#11965−118)で成長させた。siNA製剤でトランスフェクションするために、細胞を、9,800細胞/ウェルで、NEAA及び10%FBS、(抗生物質なし)を含むDMEMを用いて、96ウェルCoStar組織培養プレートに播種した。20〜24時間後、細胞を最終濃度1〜25nMの処方siNAでトランスフェクトした。3日間インキュベートした後、細胞を溶解し、RNaqueous−96キット(AmbionCat#1920)を用いて製造元の説明書にしたがってRNAを抽出した。図20は、処方された活性なsiNA(製剤L051、表IV)で処置した細胞からのHCV RNAのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。図21は、処方された活性なsiNA(製剤L053及びL054、表IV)で処置した細胞からのHCV RNAのレベルを、未処置又は陰性対照処置細胞と比較して示す。これらの実験においては、製剤L051、L053、及びL054を用いた、活性な処方siNAで処置した細胞では、HCV RNAレベルの用量依存的減少が認められたが、陰性対照処置細胞では減少は認められなかった。この結果は、処方siNA組成物が細胞中に入り、有効にウイルス遺伝子発現を阻害しうることを示す。
実施例11:非処方及び処方siNAの気管内投与後の肺での分布
siNA分子の肺への送達効率を測定するため、非処方siRNA(裸)、コレステロールコンジュゲート化siNA、又は処方分子組成物(T018.1及びT019.1)中のsiRNAを、気管を介してマウスの肺に投与した。非処方siNAは裸の核酸を含む。コレステロールコンジュゲート化siNAは、コレステロールと結合させたsiNAを含む。処方分子組成物T018.1及びT019.1は、それぞれ、DOcarbDAP、DSPC、コレステロール及びPEG−DMG、並びに、DODMA、DSPC、コレステロール及びPEG−DMGと共に処方されたsiNAを含む。3匹の雌C57Bl/6マウスの群を、ケタミン及びキシラジンを用いた麻酔下に置いた。濾過された投与用溶液を、1.0mg/kgの二本鎖化したsiRNAの状態で、Penncenturyモデル#1A−1Cマイクロスプレーヤー及びPenncenturyモデル#FMJ250シリンジを用いてsiRNA(TGFβ部位1264、安定化化学7/8)をエアロゾル化し、気管を介して肺に直接投与した。動物には、非処方siNA、コレステロールコンジュゲート化siNA又は処方分子組成物中のsiNAを投与した。投与の1、24又は72時間後に、動物を安楽死させ、放血させ、滅菌済みの獣医学的等級食塩水で心臓を通して潅流した。肺を取り出し、予め秤量したホモジナイゼーションチューブに入れ、ドライアイス上で凍結させた。チューブに入った肺を秤量した後に、差し引くことにより、肺の重量を決定した。肺組織におけるsiNAレベルを、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて測定した。図22は、(i)非処方siNA、(ii)コレステロールコンジュゲート化siNA又は(iii)処方分子組成物T018.1又はT019.1中のsiNAを直接投与した後の、肺組織におけるsiNAのレベルを示す。肺組織中での曝露の半減期は、非処方siNAでは3〜4時間、コレステロールコンジュゲート化siNAでは9時間、処方分子組成物T018.1又はT019.1中のsiNAでは37〜39時間であった。
実施例12:本発明のsiNA LNP製剤を用いる種々の細胞株の効率的なトランスフェクション
本発明のLNP製剤のトランスフェクション効率を種々の細胞株、例えば、6.12脾臓、Raw264.7腫瘍、MM14Lu、NIH 3T3、D10.G4.1 Th2ヘルパー、及び肺初代マクロファージ細胞において、内因性MAPキナーゼ14(p38)遺伝子発現を標的とすることにより測定した。Lipofectamine2000(LF2K)を送達剤として用いるインビトロスクリーニングにより、MapK14(p38a)に対する有力なリードsiNAを選択した。このsiNAのセンス鎖配列は、5’−BcuGGuAcAGAccAuAuuGATTB−3’(配列番号6)から構成され、アンチセンス鎖配列は、5’−UCAAuAuGGucuGuAccAGTsT−3’(配列番号7)から構成された(配列中、小文字=2’−デオキシ−2’−フルオロ;大文字イタリック=2’−デオキシ;大文字下線=2’−O−メチル;大文字太字=リボヌクレオチド;T=チミジン;B=逆位デオキシ脱塩基;及びs=ホスホロチオエートである)。
MapK14を標的とする独自のLNPをスクリーニングし、培養細胞中で、LF2K及び不活性なsiNAを含有するLNP対照と比較した。さらに、リードLNPを用量応答法で試験してIC50値を決定した。結果を表Vにまとめる。図35は、RAW264.7マウスマクロファージ細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP58及びLNP98製剤の効力のデータを示す。図36は、MM14.Lu正常マウス肺細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP98製剤の効力のデータを示す。図37は、6.12Bリンパ球細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP54、LNP97、及びLNP98製剤の効力のデータを示す。図38は、NIH 3T3細胞における、MapK14部位1033を標的とするLNP98製剤の効力のデータを示す。図39は、RAW264.7細胞における、MapK14 LNP54及びLNP98処方siNAによるMapK14 RNAの用量依存的減少を示す。図40は、MM14.Lu細胞における、MapK14 LNP98処方siNAによるMapK14 RNAの用量依存的減少を示す。図41は、6.12B細胞における、MapK14 LNP97及びLNP98処方siNAによるMapK14 RNAの用量依存的減少を示す。図42は、NIH 3T3細胞における、MapK14 LNP98処方siNAによるMapK14 RNAの用量依存的減少を示す。
LF2Kトランスフェクション方法:
以下の方法を用いて、LF2Kトランスフェクションを行った。20〜24時間後、0.25又は0.35μL/ウェルのLipofectamine2000及び0.15又は0.25μL/ウェルのLipofectamine2000を、25nMのsiNAと複合体化させて、細胞をトランスフェクトした。Lipofectamine2000をOptiMEMと混合し、少なくとも5分間静置した。0.25μLのトランスフェクション用には、各複合体について1μLのLF2Kを、99μLのOptiMEMと混合した。0.35μLのトランスフェクション用には、各複合体について1.4μLのLF2Kを98.6μLのOptiMEMと混合した。0.15μLのトランスフェクション用には、各複合体について0.60μLのSilentFectを99.4μLのOptiMEMと混合した。0.30μLのトランスフェクション用には、各複合体について1.2μLのSilentFectを98.2μLのOptiMEMと混合した。siNAをマイクロタイターチューブ(BioRad#223−9395)に加え、次にOptiMEMを加えて合計100μLの総容量として、4つのウェルで用いた。100μLのLipofectamine2000/OptiMEM混合物を加え、チューブを中速で10秒間ボルテックスし、室温で20分間静置した。チューブを速やかにボルテックスし、100μLの培地を含むウェルあたり50μLを加えた。24、48、72、96時間の時点で、処置した細胞からRNAを単離した。
LNPトランスフェクション方法:
以下の方法を用いて、LF2Kトランスフェクションを行った。細胞を96ウェルプレートの100μLの完全成長培地中に、5,000〜30,000細胞/ウェルの範囲の所望の濃度で播種した。24時間後、5X濃度のLNPを完全成長培地中で希釈し、細胞に加えることにより細胞をトランスフェクトした(25μLの5Xから1Xの最終濃度が得られる)。24、48、72、及び96時間の時点で、処置した細胞からRNAを単離した。
実施例13:ぜん息のマウスモデルにおける気道過敏性の低下
OVA誘発性気道過敏性モデルを用いて、インターロイキン4R(IL−4Rアルファ)を標的とするLNP処方siNA分子が気道過敏性を低下させる効力を評価した。この実験で用いたIL−4Rアルファを標的とする活性なsiNAのセンス鎖配列は、5’−BucAGcAuuAccAAGAuuAATTB−3’(配列番号8)から構成され、アンチセンス鎖配列は、5’−UUAAucuuGGuAAuGcuGATsT−3’(配列番号9)から構成された(配列中、小文字=2’−デオキシ−2’−フルオロ;大文字イタリック=2’−デオキシ;大文字下線=2’−O−メチル;大文字太字=リボヌクレオチド;T=チミジン;B=逆位デオキシ脱塩基;及びs=ホスホロチオエート)。第0日及び第7日に、0.4mg/mLのOVA/生理食塩水溶液を等量のImject Alumと混合して0.2mg/mL(100μL/マウス)の最終注射溶液としたものを、動物に腹腔内注射することにより免疫した。PBS(Ca2+、Mg2+なし)中で調製したLNP−51処方IL−4R−アルファ部位1111 siNA(米国特許出願11/001,347(参照することにより本明細書の一部となす)を参照)又は無関係な対照を、気管内投与により毎日(1日に1回)、第17日から始めて第26日に終了するまで合計10回送達した。第24、25及び26日に、Pari LCエアロゾルネブライザーを用いてマウスをOVA(生理食塩水中1.5%)で30分間エアロゾルチャレンジした。動物を24時間休息させた後、気道機能分析を行った。第28日に、Buxco Whole Body Plethysmographを用いてエアロゾル化したメタコリンでチャレンジした後に、気道応答性を評価した。メタコリンチャレンジの後、動物を安楽死させた。気管切開を行い、肺を0.5mLの生理食塩水で2回洗浄した。動物の胸部をマッサージしながら肺の洗浄を行い、すべての洗浄液を回収し、氷上に置いた。サイトスピン調製を行い、BAL液から細胞を回収し、差異細胞計数を行った。結果を図43に示すが、LNPビヒクル単独及び未処置(ナイーブ)動物と比較して処方siNAの用量応答的(0.01、0.1、及び1mg/kg)な活性が明確に示されている。
実施例14:LNP処方siNAを用いるインビボでのヒトハンチントン(htt)遺伝子発現の有効な低下
ハンチントン病(HD)は、ハンチントン(htt)蛋白質のポリグルタミン(polyQ)トラクトの拡大により引き起こされる主要な神経変性性疾患である。httにおけるPolyQ拡大は、皮質及び線条体神経細胞の減少及び脳細胞中におけるhtt含有凝集体の形成を誘導する。HD患者は、進行する精神病理学的、認識及び運動機能障害及び早期死亡を示す。マウスモデルにおける初期の研究は、疾病表現型の発症後の変異蛋白質の減少が運動機能障害を改善させ、htt凝集体による負荷を低減しうることを示している。すなわち、患者脳における変異体httの減少は、疾患を改善させうる。
最近の研究は、HDのマウスモデルにおいて低分子干渉RNA(siRNA)を発現するウイルスベクターを用いて変異体httを減少させると、動物が疾患の挙動的及び神経病理学的特徴の発症から保護されることを示している(Harper et al.,2005,PNAS USA,102:5820−5を参照)。この研究を利用して、非ウイルス的方法により合成siNAを脳へ直接送達することが同様に有効であるか否かを判定した。この方法は、投与計画を改変することが可能であるなどの多くの利点を有する。この実験では、脂質ナノ粒子(LNP)製剤LNP−061、LNP−098、及びLNP−101(表IVを参照)中に封入された化学的に修飾されたsiNA、すなわち、配列5’−BAccGuGuGAAucAuuGucuTTB−3’(配列番号10)を有するセンス鎖及びアンチセンス鎖5’−AGAcAAuGAuucAcAcGGuTsT−3’(配列番号11)を用いた。これらの配列において、小文字は2’−デオキシ−2’−フルオロを表し、大文字はリボヌクレオチドを表し、下線大文字は2’−O−メチルヌクレオチドを表し、Tはチミジンであり、sはホスホロチオエートであり、Bは逆位デオキシ脱塩基である。種々のLNP製剤中に封入されたsiNA二本鎖を、全長httをインビトロでサイレンシングする能力についてスクリーニングし、次にインビボで試験した。Alzet浸透圧ポンプを用いて、LNP中に封入したsiNAを、0.1〜1mg/mlの範囲の濃度(総投与量は8.4〜84μgの範囲)で側方心室又は線条体にそれぞれ7又は14日間注入した。LNP−061及びLNP−098処方siNAで処置した動物では、QPCRで測定して、スクランブル化対照配列、又は未処置脳と比較して、httmRNAレベルの印象的な80%の低下が認められた。結果は図44に示す。
実施例14:本発明のカチオン性脂質の調製(合成スキームについては、図23A及び23Bを参照)
コレスタ−5−エン−3β−トシレート(2)
コレステロール(1、25.0g、64.7mmol)を秤量して撹拌棒を備えた1L丸底フラスコに入れた。フラスコにピリジン(250mL)を加え、隔膜で密封し、アルゴンでフラッシングした。塩化トルエンスルホニル(25.0g、131mmol)を秤量して100mL丸底フラスコに入れ、次にこれを密封し、ピリジンを加えた。次に塩化トルエンスルホニル溶液を、シリンジを介して、撹拌しながらコレステロール溶液に加え、これを一晩撹拌した。大部分のピリジンを真空下で除去し、得られた固体をメタノール(300mL)に懸濁し、固体が分割されて均一な懸濁液となるまで3時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、固体をアセトニトリルで洗浄し、高真空下で乾燥して、31.8g(91%)の白色粉体を得た(例えば、Davis,S.C.;Szoka,F.C.,Jr.Bioconjugate Chem.1998,9,783を参照)。
コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オール(3a)
コレスタ−5−エン−3β−トシレート(20.0g、37.0mmol)を秤量して撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコにジオキサン(300mL)及び1,4−ブタンジオール(65.7mL、20当量)を加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、混合物を一晩還流した。反応液を冷却し、真空下で濃縮した。反応混合物を水(400mL)に懸濁した。溶液を塩化メチレン(3x200mL)で抽出した。有機相を合わせ、水(2x200)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。得られた油状物/ワックスをカラムクロマトグラフィー(15%アセトン/ヘキサン)でさらに精製して、13.41g(79%)の無色ワックスを得た。
コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−オール(3b)
この化合物は、コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オールと同様に調製した。コレスタ−5−エン−3β−トシレート(5.0g、9.2mmol)を秤量して撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコにジオキサン(150mL)及びジエチレングリコール(22mL、25当量)を加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、混合物を一晩還流した。反応液を冷却し、濃縮した。反応混合物を水(500mL)に懸濁した。溶液を塩化メチレン(3x200mL)で抽出した。有機相を合わせ、水(2x200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。得られた油状物/ワックスをカラムクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)でさらに精製して、3.60g(82%)の無色油状物を得た(例えば、Davis,S.C.;Szoka,F.C.,Jr.Bioconjugate Chem.1998,9,783を参照)。
コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−メシレート(4a)
コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オール(12.45g、27.14mmol)を秤量し、撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、塩化メチレン(100mL)及びトリエチルアミン(5.67mL、1.5当量)を加え、0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(3.15mL、1.5当量)をPPシリンジで計り、撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、このとき、TLC分析(7.5%EtOAc/ヘキサン)は反応の完了を示した。反応混合物を塩化メチレン(100mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x200mL)及び飽和食塩水(1x100mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、14.45g(99%)の無色ワックスを得て、これをさらに精製することなく用いた。
コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−メシレート(4b)
この化合物は、コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−メシレートと同様に調製した。コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−オール(3.60g、7.58mmol)を秤量し、撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、塩化メチレン(30mL)及びトリエチルアミン(1.60mL、1.5当量)を加え、0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(0.89mL、1.5当量)をPPシリンジで計り、撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、このとき、TLC分析(10%EtOAc/ヘキサン)は反応の完了を示した。反応混合物を塩化メチレン(150mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x100mL)及び飽和食塩水(1x100mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、4.15g(99%)の無色ワックスを得て、これをさらに精製することなく用いた。
1−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)−3−ジメチルアミノ−2−プロパノール(5)
3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(6.0g、50mmol)を秤量し、撹拌棒を備えた1L丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、ピリジンを加え、0℃に冷却した。塩化4,4’−ジメトキシトリチル(17.9g、1.05当量)を秤量して100mL丸底フラスコに入れ、密封し、次にピリジン(80mL)に溶解した。塩化4,4’−ジメトキシトリチル溶液を、撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加え、追加の新たなピリジン(20mL)を用いて、残存している塩化4,4’−ジメトキシトリチルを移した。反応液を一晩撹拌しながら室温にした。反応液を真空下で濃縮し、ジクロロメタン(300mL)に再溶解した。有機相を飽和重炭酸塩(2x200mL)及び飽和食塩水(1x200mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥させることにより、22.19gの黄色ゴム状物を得て、これをさらに精製することなく用いた。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−プロパノール(6a)
1−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)−3−ジメチルアミノ−2−プロパノール(7.50g、17.8mmol)を秤量して、200mL丸底フラスコに入れ、無水トルエン(2x50mL)と共に蒸発させた。撹拌棒をフラスコに入れ、これを隔膜で密封し、アルゴンでフラッシングし、トルエン(60mL)を加えた。水素化ナトリウム(1.71g、4当量)を一度に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−メシレートを無水トルエン(20mL)に溶解し、反応混合物にシリンジを介して加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、アルゴンを連続して流し、反応液を一晩還流するために加熱した。反応混合物を水浴中で室温に冷却し、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x300mL)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、500mL丸底フラスコ中に油状物を得た。
フラスコに撹拌棒を入れ、密封し、アルゴンでパージし、ジクロロ酢酸溶液(DCM中3%、200mL)を加えた。トリエチルシラン(14.2mL、89mmol)を混合物に加え、反応液を一晩撹拌した。反応混合物をDCM(300mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x200mL)で洗浄した。水相を合わせ、DCM(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、油状物を得て、これをエタノール(150mL)に再溶解した。フッ化カリウム(10.3g、178mmol)を溶液に加え、次にこれを1時間還流した。混合物を冷却し、真空下で濃縮し、DCM(200mL)に再溶解し、濾過し、濃縮することにより、油状物/結晶混合物を得た。混合物を最少量のDCMに再溶解し、予め平衡化したシリカゲルカラムに負荷し、3%TEAを含む25%EtOAc/ヘキサンで溶出して、4.89g(49%)の無色ワックスを得た。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−オキシ)−1−プロパノール(6b)
この化合物は、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−プロパノールと同様に調製した。1−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)−3−ジメチルアミノ−2−プロパノール(2.65g、6.31mmol)を秤量して200mL丸底フラスコに入れ、無水トルエン(2x20mL)と共に蒸発させた。撹拌棒をフラスコに入れ、これを隔膜で密封し、アルゴンでフラッシングし、トルエン(50mL)を加えた。水素化ナトリウム(0.61g、4当量)を一度に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−メシレート(4.15g、7.6mmol)を無水トルエン(10mL)に溶解し、反応混合物にシリンジを介して加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、アルゴンを連続して流し、反応液を一晩還流するために加熱した。反応混合物を水浴中で室温に冷却し、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x200mL)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、500mL丸底フラスコ中に油状物を得た。
フラスコに撹拌棒を入れ、密封し、アルゴンでパージし、ジクロロ酢酸溶液(DCM中3%、150mL)を加えた。トリエチルシラン(4.03mL、25.2mmol)を混合物に加え、反応液を4時間撹拌した。反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x200mL)で洗浄した。水相を合わせ、DCM(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、油状物を得て、これをエタノール(100mL)に再溶解した。フッ化カリウム(3.6g、63mmol)を溶液に加え、次にこれを1時間還流した。混合物を冷却し、真空下で濃縮し、DCM(200mL)に再溶解し、濾過し、濃縮することにより、油状物/結晶混合物を得た。混合物を最少量のDCMに再溶解し、予め平衡化したシリカゲルカラムに負荷し、3%TEAを含む25%アセトン/ヘキサンで溶出して、2.70g(74%)の無色ワックスを得た。
リノレイルメシレート(7)
リノレイルアルコール(10.0g、37.5mmol)を秤量して、撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、DCM(100mL)及びトリエチルアミン(7.84mL、1.5当量)を加え、0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(4.35mL、1.5当量)をPPシリンジで計り、撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加えた。TLC分析(7.5%EtOAc/ヘキサン)は、反応が1時間以内に完了したことを示した。反応液をDCM(100mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x200mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、12.53g(97%)の無色油状物を得て、これをさらに精製することなく用いた。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(8a)(CLinDMA)
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−プロパノール(2.6g、4.6mmol)を秤量して200mL丸底フラスコに入れ、無水トルエン(2x20mL)と共に蒸発させた。撹拌棒をフラスコに入れ、次にこれを密封し、アルゴンでフラッシングし、無水トルエン(100mL)を加えた。水素化ナトリウム(0.7g、6当量)を一度に加え、混合物をアルゴン下で20分間撹拌した。リノレイルメシレート(4.6g、2.3当量)をPPシリンジで計り、反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、装置をアルゴンでフラッシングした。反応混合物を油浴中で加熱し、一晩撹拌還流した。次に反応混合物を水浴中で室温に冷却し、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x200mL)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン、3%TEA)で精製して、3.0g(81%)の無色油状物を得た。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(DEGCLinDMA)(8b)
この化合物は、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパンと同様に調製した。3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシペンタ−3−オキサ−アン−5−オキシ)−1−プロパノール(0.73g、1.3mmol)を秤量して100mL丸底フラスコに入れ、無水トルエンと共に蒸発させた。撹拌棒をフラスコに入れ、次にこれを密封し、アルゴンでフラッシングし、無水トルエンを加えた。水素化ナトリウム(121mg、4当量)を一度に加え、混合物をアルゴン下で20分間撹拌した。リノレイルメシレート(0.873g、2当量)をPPシリンジで計り、反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、装置をアルゴンでフラッシングした。反応混合物を油浴中で加熱し、一晩撹拌還流した。次に反応混合物を水浴中で室温に冷却し、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x100mL)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x50mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン、3%TEA)で精製して、0.70g(67%)の無色油状物を得た。
CLinDMAの代替的合成経路(図23B)
l−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−ジメチルアミノ−2−プロパノール(6)
3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール(5)(50.1g、420.4mmol)を秤量して、撹拌棒を備えた2L丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、N,N−ジメチルホルムアミド(750mL)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(111mL、630.7mmol)を加え、0℃に冷却した。t−ブチルジメチルクロロシラン(67.0g、1.05当量)を秤量して500mL丸底フラスコに入れ、密封し、次に、N,N−ジメチルホルムアミド(250mL)に溶解した。t−ブチルジメチルクロロシラン溶液を均圧滴下漏斗に移し、撹拌しながら反応混合物に20分間かけてゆっくりと加えた。反応液を3時間撹拌しながら室温にした。反応液を真空下で濃縮した。飽和重炭酸塩(1500mL)を残留物に加え、混合物を4L分液漏斗に移した。水相を酢酸エチル(3x500mL)で抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、高真空下で乾燥することにより、97.81g(99.7%)の清澄な無色の油状物を得て、これをさらに精製することなく用いた。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−l−プロパノール(7)
l−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−ジメチルアミノ−2−プロパノール(6)(25.52g、109.3mmol)を秤量して、撹拌棒を含む二頸の1L丸底フラスコに入れた。フラスコに還流冷却器及びすりガラス製ストッパーを取り付け、アルゴンでフラッシングし、トルエン(250mL)を入れた。水素化ナトリウム(10.50g、4当量)を一度に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−メシレート(4、上記のようにして調製した)を無水トルエン(100mL)に溶解し、反応混合物中に一度で加えた。トルエン(30mL)によってさらに洗浄することにより、残存しているメシレートの反応混合物中への移動を容易にした。フラスコに連続してアルゴンを流し、反応液を加熱して8時間還流させた。反応混合物を水浴中で0℃に冷却し、酢酸エチル(350mL)を加え、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物をさらなる酢酸エチル(350mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x1L)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x500mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、2L丸底フラスコ中に油状物を得た。
フラスコに撹拌棒を取り付け、残留物を、ジオキサン(300mL)、エタノール(200mL)及び水(6mL)の混合物中に溶解した。濃塩酸(11.3mL、139.2mmoL)を溶液に加え、次に、これを室温で2時間撹拌した。10%炭酸ナトリウム溶液(2L)を、4L分液漏斗中で反応混合物に加えた。水相を酢酸エチル(3x750mL)で抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、油状物を得た。油状物の精製は、ヘキサン中3%TEAで予め平衡化した4.5’’シリカゲルカラムで行った。溶出を、1Lのヘキサン、次に、3%TEAを含む3Lの25%EtOAc/ヘキサンで行うことにより、28.01g(50.0%)の無色ワックスを得た。
リノレイルメシレート(8)
リノレイルアルコール(10.0g、37.5mmol)を秤量して、撹拌棒を備えた500mL丸底フラスコに入れた。フラスコを密封し、アルゴンでフラッシングし、DCM(100mL)及びトリエチルアミン(7.84mL、1.5当量)を加え、0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(4.35mL)、1.5当量)をPPシリンジで計り、撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加えた。TLC分析(7.5%EtOAc/ヘキサン)は、反応が1時間以内に完了したことを示した。反応液をDCM(100mL)で希釈し、飽和重炭酸塩溶液(2x200mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮することにより、12.53g(97%)の無色油状物を得て、これをさらに精製することなく用いた。
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)(9)
3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3β−オキシブタン−4−オキシ)−1−プロパノール(7)(2.6g、4.6mmol)を秤量して200mL丸底フラスコに入れ、無水トルエン(2x20mL)と共に蒸発させた。撹拌棒をフラスコに入れ、次にこれを密封し、アルゴンでフラッシングし、無水トルエン(100mL)を加えた。水素化ナトリウム(0.7g、6当量)を一度に加え、混合物をアルゴン下で20分間撹拌した。リノレイルメシレート(4.6g、2.3当量)をPPシリンジで計り、反応混合物にゆっくりと加えた。フラスコに還流冷却器を取り付け、装置をアルゴンでフラッシングした。反応混合物を油浴中で加熱し、一晩撹拌還流した。次に反応混合物を水浴中で室温に冷却し、ガス発生が止まるまでエタノールを滴加した。反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水性10%炭酸ナトリウム(2x200mL)で洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチル(2x100mL)で逆抽出した。有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン、3%TEA)で精製して、3.0g(81%)の無色油状物を得た。
実施例15:本発明の芳香族脂質の調製(図23Cを参照)
ジオレイルオキシベンズアルデヒド,3a
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(2.76g、20.0mmol)を秤量して、撹拌棒を備えた200mL丸底フラスコに入れた。フラスコにジグリム(100mL)を加え、隔膜で密封し、アルゴンでフラッシングした。炭酸セシウム(19.5g、60.0mmol)を溶液にゆっくりと少しずつ加えた。オレイルメシレート(15.2g、44.0mmol)を、シリンジを介して加えた。反応混合物をアルゴンのわずかな加圧下で100℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。固体を1,2−ジクロロエタンで洗浄した。合わせた濾液及び洗浄液を濃縮し、次に高真空下で65℃にて乾燥して、残留ジグリムを除去した。得られた黄色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5%酢酸エチル)で精製して、11.4g(89%)の黄色油状物を得て、これを室温に放置することにより黄色ワックスとなった。
ジリノレイルベンズアルデヒド,3b
3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(2.76g、20.0mmol)を秤量して、撹拌棒を備えた200mL丸底フラスコに入れた。フラスコにジグリム(100mL)を加え、隔膜で密封し、アルゴンでフラッシングした。炭酸セシウム(19.5g、60.0mmol)を溶液にゆっくりと少しずつ加えた。リノレイルメシレート(15.2g、44.0mmol)を、シリンジを介して加えた。反応混合物をアルゴンのわずかな加圧下で100℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。固体を1,2−ジクロロエタンで洗浄した。合わせた濾液及び洗浄液を濃縮し、次に高真空下で65℃にて乾燥して、残留ジグリムを除去した。得られた黄色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5%酢酸エチル)で精製して、11.9g(94%)の褐色油状物を得た。
N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン,4a
エタノール(20mL)中のトリエチルアミンアミン(2.0mL、14mmol)の溶液に、ジメチルアミン塩酸塩(1.63g、20mmol)、チタンテトライソプロポキシド(5.96mL、20mmol)及び3,4−ジオレイルオキシベンズアルデヒド(6.39g、10mmol)を加えた。混合物をアルゴン下で室温にて10時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.57g、15mmol)を反応混合物に加え、次に室温で一晩撹拌した。濃アンモニア水(4mL)を反応混合物にゆっくりと加えた。反応混合物を濾過し、固体をジクロロメタンで洗浄した。濾液をK2CO3で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2〜10%アセトン、0.5%TEA勾配)で精製して、5.81g(87−+%)の黄色油状物を得た。
N,N−ジメチル−3,4−ジリノレイルオキシベンジルアミン,4b
エタノール(20mL)中のトリエチルアミンアミン(2.0mL、14mmol)の溶液に、ジメチルアミン塩酸塩(1.63g、20mmol)、チタンテトライソプロポキシド(5.96mL、20mmol)及び3,4−ジリノレイルオキシベンズアルデヒド(6.35g、10mmol)を加えた。混合物をアルゴン下で室温にて10時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.57g、15mmol)を反応混合物に加え、次にこれを室温で一晩撹拌した。6Nアンモニア水(30mL)を反応混合物にゆっくりと加え、次にジクロロメタンを加えた。反応混合物を濾過した。濾液をK2CO3で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2〜10%アセトン、0.5%TEA勾配)で精製して、4.94g(74%)の黄色油状物を得た。
実施例16:本発明のPEG−コンジュゲートの調製(図24A及び24Bを参照)
PEG−DMB(図24A)
1−[8’−(コレスタ−5−エン−3β−オキシ)カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(PEG−コレステロール)
20mLの無水THF中の2.0g(0.89mmol)の1−[8’−アミノ−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)、22mg(0.18mmol)の4−ジメチルアミノピリジン、及び0.93mL(5.3mmol)のジイソプロピルエチルアミンの溶液を入れた200mL丸底フラスコに、撹拌しながら20mLの無水THF中の1.20g(2.67mmol)のコレステロールクロロギ酸の溶液を加えた。得られた反応混合物を一晩穏やかに加熱還流した。冷却した後、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去し、得られた残留物をシリカゲルカラムに付して精製した(メタノール/ジクロロメタン 5:95〜10:90)。クロマトグラフィーにより、2.43g(91%)の白色固体生成物を得た。
3,4−ジテトラデコキシルベンジル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)エーテル(PEG−DMB)
20mLの1,4−ジオキサン中の2.67g(5.00mmol)のジテトラデコキシルベンジルアルコールの溶液を入れた100mL丸底フラスコに、20mLの1,4−ジオキサン中4.0M HCl溶液を加えた。次にフラスコに還流冷却器を取り付け、重炭酸ナトリウム溶液と連結させて、発生する塩化水素ガスを吸収させた。反応混合物を80℃で6時間加熱した後、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒としてジクロロメタン)は反応の完了を示した。ロータリーエバポレーションにより溶媒及び過剰の試薬を真空下で完全に除去し、2.69g(97%)の塩化3,4−ジテトラデコキシルベンジルを灰色固体として得た。この粗物質をさらに精製することなく次の工程の反応に直接用いた。
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(2.00g、1.00mmol)を、トルエン(2x20mL)と真空下で共に蒸発させることにより乾燥した。使用したPEGは、PEG2000であり、典型的には約〜1500ないし〜約3000Da(すなわち、PEG(n)が約33〜約67、又は平均約〜45)でありうる多分散系物質である。30mLの無水トルエン中の乾燥ポリ(エチレングリコール)の溶液に、撹拌しながら、0.17g(7.2mmol)の水素化ナトリウムを少しずつ加えた。ただちにガスが発生した。得られた混合物を60℃で2時間撹拌を続けて、オキシドの完全な生成を確実にした。次に、10mLの無水トルエン中の0.668g(1.20mmol)の塩化3,4−ジテトラデコキシルベンジルの溶液を、上述の混合物に滴加した。反応混合物を80℃で一晩撹拌した。冷却した後、10mLの飽和塩化アンモニウム溶液を加えることにより反応を停止した。次に、得られた混合物を300mLのジクロロメタン中に取り入れ、飽和塩化アンモニウム(3x100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン 2:98〜5:95)により精製して、1.24g(49%)の所望の生成物を灰色固体として得た。
PEG−DMG(図24B)
1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール(DMG−OH)(1)(10.0g)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(2)(3.32g、1.05当量)を、磁気撹拌棒及びゴム製隔膜を備えた250mLの乾燥した丸底フラスコにアルゴン下で入れた。フラスコに50mLの無水THFを入れ、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。撹拌棒を取り除き、反応混合物を、350mLの酢酸エチルを含む1L分液漏斗に移した。反応混合物を200mLの脱イオン水で洗浄した。水相を除去して、洗浄を2回繰り返し、有機相を回収して、撹拌しながら、10gの硫酸マグネシウムで乾燥した。焼結ガラス上での濾過後、真空下で蒸発させることにより、1,2−ジミリストイル−3−プロパンオキシ−カルボキシイミダゾール(DMG−CDI)(3)(11.68g、99%)を得た。撹拌棒及びゴム製隔膜を備えた200mL丸底フラスコ中のメトキシ−PEG−NH2 2K(PEG−アミン)(4)(2.36g)、1,2−ジミリストイル−3−プロパンオキシ−カルボキシイミダゾール(DMG−CDI)(3)(1.91g、3.0当量)、及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(0.025g、0.2当量)の混合物に、アルゴン下で、THF(20mL)及びジイソプロピルエチルアミン(DiPEA)(1.10mL、6.0当量)を加えた。使用したPEGは、PEG2000であり、典型的には約〜1500ないし〜約3000Da(すなわち、PEG(n)が約33〜約67、又は平均約〜45)でありうる多分散系物質である。溶液を17時間還流撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、撹拌棒を除去して、真空下で反応液を濃縮することにより、粗1−[8’−(1,2−ジミリストイル−3−プロパンオキシ)−カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(PEG−DMG)(5)(4.31g)を得た。
実施例17:ナノ粒子封入siNA製剤の調製
一般LNPの調製
siNAナノ粒子溶液は、siNAを25mMクエン酸バッファー(pH4.0)に0.9mg/mLの濃度で溶解することにより調製した。脂質溶液は、カチオン性脂質(例えば、CLinDMA又はDOBMA、製剤の構造及び比率については表IVを参照)、DSPC、コレステロール、及びPEG−DMG(比率は表IVに示される)の混合物を約15mg/mLの濃度で無水エタノールに溶解することにより調製した。窒素対リン酸の比率は約3:1であった。
2つのFPLCポンプを同じ流速で用いて、等容量のsiNA及び脂質溶液を混合Tコネクターに移した。背圧バルブを用いて、所望の粒子サイズに調節した。得られた乳状混合物を無菌ガラス瓶中に回収した。次にこの混合物を等量のクエン酸バッファーでゆっくりと希釈し、イオン交換膜を通して濾過して、混合物中の遊離siNAを除去した。クエン酸バッファー(pH4.0)に対する限外濾過を行ってエタノール(ALCOscreenからの試験スティック)を除去し、PBS(pH7.4)に対してバッファー交換を行った。所望の容量まで濃縮し、0.2μmフィルターで滅菌濾過することにより、最終的なLNPを得た。得られたLNPを、粒子サイズ、ゼータ電位、アルコール含量、総脂質含量、封入された核酸、及び総核酸濃度について特性決定した。
LNPの製造工程
非限定的例において、LNP−086siNA製剤を以下の通りバルクとして調製する。本工程のための作業工程図を表VIに示すが、これは、siNAカクテル(2つのsiNA二本鎖が示される)のために、又は単一のsiNA二本鎖のために適合させることができる。工程は、(1)脂質溶液の調製;(2)siNA溶液の調製;(3)混合/粒子形成;(4)インキュベーション;(5)希釈;(6)限外濾過及び濃縮から構成される。
1.脂質溶液の調製
概要:濃縮器を取り付けた三口の丸底フラスコに、CLinDMA、DSPC、コレステロール、PEG−DMG、及びリノレイルアルコールの混合物を加えた。次に、エタノールを加えた。懸濁液をアルゴン下で撹拌棒を用いて撹拌し、工程制御装置で制御された加熱マントルを用いて30℃に加熱した。懸濁液が清澄になった後、溶液を室温まで冷却した。
8LバッチのLNPを処方するための詳細な手順
1.三頸の2L丸底フラスコ、濃縮器、メスシリンダー、及び2つの10L円錐形ガラス容器に対して発熱物質除去を行う。
2.脂質を室温まで加温する。丸底フラスコの風袋重量を測る。ピペット補助具を用いてピペットで、CLinDMA(50.44g)を三頸の丸底フラスコに移す。
3.薬包紙を用いて、DSPC(43.32g)、コレステロール(5.32g)及びPEG−DMG(6.96g)を順番に秤量して、丸底フラスコに入れる。
4.リノレイルアルコール(2.64g)を別々のガラス製バイアル(発熱物質除去済)中に入れて秤量した。バイアルの風袋重量を初めに測り、次に、ピペットを用いてバイアル中へ化合物を移す。
5.丸底フラスコとその中の脂質の合計重量を測定し、風袋重量を差し引く。誤差は通常±1.0%よりもずっと小さかった。
6.脂質溶液のために必要であるエタノール(1L)の1/8を丸底フラスコ中に移す。
7.丸底フラスコをJ−CHEM工程制御装置に連結させた加熱マントル中に配置した。脂質懸濁液をアルゴン下で撹拌棒及び上部の濃縮器を用いて撹拌した。熱電対プローブを、密封アダプターによって丸底フラスコの一つの口を通して懸濁液に入れた。
8.懸濁液を清澄になるまで30℃で加熱した。溶液を室温まで冷却して、円錐形ガラス製容器に移し、キャップで密封した。
2.siNA溶液の調製
概要:siNA溶液は単一のsiNA二本鎖を含んでもよく、或いは、2つ又はそれ以上のsiNA二本鎖のカクテルを含んでもよい。単一のsiNA二本鎖の場合、siNAを25mMクエン酸バッファー(pH4.0、100mMのNaCl)に溶解し、最終濃度0.9mg/mLを得る。2つのsiNA分子のカクテルの場合、25mMクエン酸バッファー(pH4.0、100mMのNaCl)の合計予想容量の50%中に各siNA分子を溶解させることにより、siNA溶液を調製して、最終濃度0.9mg/mLを得る。この手順は、他のsNA分子についても繰り返される。2つの0.9mg/mL siNA溶液を合わせて、2つのsiNA分子を含む合計容量で0.9mg/mLの溶液を得る。
siNAカクテルを含む8LバッチのLNPを処方するための詳細な手順
1.水補正係数(約1.2)のsiNA−1粉末を何回かに分けて3.6gを秤量して、Corning保存用ボトル等の無菌容器に入れる。
2.siNAを、発熱物質除去した5Lガラス容器に移す。秤量容器をクエン酸バッファー(25mM、pH4.0、及び100mM NaCl)で3回すすぎ、すすいだ液を5L容器中に入れ、クエン酸バッファーでQSを4Lとする。
3.UV分光光度計を用いて、siNA溶液の濃度を測定する。通常、溶液から20μLを取り、50倍に希釈して1000μLとして、クエン酸バッファーでブランク測定した後に、260nmにおける吸光度のUV測定値を記録する。サンプルは二連で作製し、測定する。2つのサンプルの測定値が一致する場合、平均をとり、siNAの消失係数に基づいて濃度を計算する。最終濃度が0.90±0.01mg/mLの範囲から外れる場合、さらにsiNA粉末を加えるか、又はさらにクエン酸バッファーを加えることにより、濃度を調整する。
4.siNA−2に対して繰り返す。
5.10l発熱物質除去済の10Lガラス容器に、4Lの各0.9mg/mLのsiNA溶液を移す。
無菌濾過
本工程は脂質/エタノール溶液を無菌濾過するための手順を記載する。封入工程のために無菌の出発物質を提供することが目的である。濾過工程は、20cm2の膜面積で80mLの規模で行った。流速は280mL/分である。この工程は、チューブの直径及び濾過面積を増大させることにより、規模を拡大することができる。
1.材料
a.オートクレーブ済Nalgene 50シリコーンチューブ PN 8060−0040
b.Master Flex蠕動ポンプ モデル7520−40
i.Master flexポンプヘッド モデル7518−00
c.Pall Acropak 20 0.8/0.2μm無菌フィルター PN12203
d.発熱物質除去済10Lガラス容器
e.ガラス容器用オートクレーブ済蓋。
2.手順
a.ポンプヘッドにチューブを入れる。全体のポンプ速度を50%にポンプを設定し、メスシリンダーを用いて1分間流速を測定する。
b.ポンプの設定を調整し、280mL/分となるように流速を測定する。
c.留め具でしっかりと結合させたフィルターをチューブに設定する。
d.ポンプを設定し、チューブをポンプヘッド中に配置する。
e.チューブの供給部端部を、濾過すべき物質中に入れる。
f.フィルターの側部の濾過物を、充填用ベルを用いて発熱物質除去済ガラス容器に入れる。
g.すべての物質が濾過するまで、ポンプで材料をフィルターに通す。
AKTAポンプの設定
1.材料
a.AKTA P900ポンプ
b.Teflonチューブ 2mm(内径)x3mm(外径)2、それぞれ長さ20.5cm Upchurch PN1677
c.Teflonチューブ 1mm(内径)x3mm(外径)、長さ6.5cm Upchurch PN1675
d.Peek Tee 1mm(内径)1、それぞれUpchurch PN P−714
e.1/4−28Fから10−32M 2、それぞれUpchurch PN P−652
f.3.0mm(外径)用チューブ6のためのETFE Ferrule、それぞれUpchurch PN P−343x
g.Flangless Nut 6、それぞれUpchurch PN P−345x
h.1/4−28平底用のためのETFEキャップ、フィッティング1、それぞれUpchurch PN P−755
i.アルゴン圧縮ガス
j.レギュレーター0〜60psi
k.Teflonチューブ
1.ピークYフィッティング
m.発熱物質除去済円錐形ガラス容器、2/ポンプ
n.オートクレーブ済蓋
o.圧力蓋。
2.ポンプの設定
a.ポンプのスイッチを入れる。
b.ポンプの自己試験を行う。
c.チューブと連結するキャップ又は圧力調節装置が存在しないことを確認する(このことにより、ポンプが過剰な圧力をかけることになる)。
d.ポンプを同調させるために「OK」を押す。
e.ノブを4クリック時計回りに回して「設定」に合わし、「OK」を押す。
f.ノブを5クリック時計回りに回して「段階的モード設定」に合わし、「OK」を押す。
g.ノブを1クリック時計回りに回して「D」に合わし、「OK」を押す。
h.「Esc」を2回押す。
3.ポンプの清浄
a.1000mLの1N NaOHを1Lガラス容器に入れる。
b.圧力蓋をポンプに取り付ける。
c.1000mLの70%エタノールを1Lガラス容器に入れる。
d.圧力蓋をポンプに取り付ける。
e.ポンプ排出部に2000mLガラス容器を置く。
f.ノブを1クリック時計回りに回して「流速設定」に合わし、「OK」を押す。
g.流速が40mL/分まで増大するようにノブを時計回りに回して;低下するように反時計回りに回して;所望の流速に設定された時、「OK」を押す。
h.40分間に設定する。
i.10psiのアルゴンガスを入れる。
j.ノブを2クリック反時計回りに回して「実行」に合わし、「OK」を押し、タイマーを開始する。
k.ノブを1クリック反時計回りに回して「終了・保持・一時停止」に合わす。
l.タイマー音が鳴ったら、ポンプの「OK」を押す。
m.ガスを止める。
n.使用時まで清浄用溶液中にポンプを保存する(一晩?)。
4.ポンプの流れのチェック
a.200mLのエタノールを、発熱物質除去済500mLガラスボトルに入れる。
b.圧力キャップをポンプに取り付ける。
c.200mLの無菌クエン酸バッファーを、500mLの発熱物質除去済ガラスボトルに入れる。
d.圧力キャップをポンプに取り付ける。
e.ポンプ排出部に100mLメスシリンダーを置く。
f.ノブを1クリック時計回りに回して「流速設定」に合わし、「OK」を押す。
g.流速が40mL/分まで増大するようにノブを時計回りに回して;低下するように反時計回りに回して;所望の流速に設定された時、「OK」を押す。
h.1分間に設定する。
i.10psiのアルゴンガスを入れる。
j.ノブを2クリック反時計回りに回して「実行」に合わし、「OK」を押し、タイマーを開始する。
k.ノブを1クリック反時計回りに回して「終了・保持・一時停止」に合わす。
1.タイマー音が鳴ったら、ポンプの「OK」を押す。
m.ガスを止める。
n.40mLのエタノール/クエン酸溶液が送達されたことを検証する。
3.粒子形成−混合工程
o.無菌脂質/エタノール溶液を、AKTAポンプに取り付ける。
p.無菌siNA又はsiNAカクテル/クエン酸バッファーを、AKTAポンプに取り付ける。
q.発熱物質除去済収納容器(2xバッチサイズ)に蓋を取り付ける。
r.混合時間を計算して、時間を設定する。
s.アルゴンガスを入れ、5〜10psiの間で圧力を維持する。
t.ノブを2クリック反時計回りに回して「実行」に合わし、「OK」を押し、タイマーを開始する。
u.ノブを1クリック反時計回りに回して「終了・保持・一時停止」に合わす。
v.タイマー音が鳴ったら、ポンプの「OK」を押す。
w.ガスを止める。
4.インキュベーション
混合後に、溶液を22±2時間のインキュベーションのために保持する。インキュベーションは、室温(20〜25℃)においてであり、工程中の溶液は光から保護する。
5.希釈
脂質siNA溶液を、等量のクエン酸バッファーで希釈する。溶液は、同じ長さのチューブとTeeコネクターを備えた、デュアルヘッド蠕動ポンプを用いて希釈する。流速は、360mL/分である。
1.材料
h.オートクレーブ済Nalgene 50シリコーンチューブ PN 8060−0040
i.Tee 1/4‘ID
j.Master Flex蠕動ポンプ モデル7520−40
i.Master flexポンプヘッド モデル7518−00
ii.Master flexポンプヘッド モデル7518−00
k.発熱物質除去済2x20Lガラス容器
l.ガラス容器用オートクレーブ済蓋。
2.手順
a.2つの同じ長さのチューブをTeeコネクターに取り付ける。チューブは約1メートルの長さのものであるべきである。約50cmの三番目のチューブをTeeコネクターの排出部端部に取り付ける。
b.チューブ装置をデュアルポンプヘッド中に配置する。
c.チューブ装置の一方の供給端部をエタノール溶液中に入れる。もう一方の供給端部を等量のクエン酸バッファー中に入れる。
d.ポンプ速度コントロールを50%に設定する。時間を1分間に設定する。
e.チューブ装置の排出部端部を500mLメスシリンダー中に配置する。
f.ポンプのスイッチを入れ、タイマーを開始させる。
g.タイマーが鳴ったら、ポンプを止め、送達容量を測定する。
h.ポンプの流速を360mL/分に調整する。
i.流速が設定されたら、チューブから排出させる。
j.チューブ装置の一方の供給端部を脂質/siNA溶液中に入れる。もう一方の供給端部を等量のクエン酸バッファー(16L)中に入れる。
k.チューブ装置の排出部端部を、最初の2x20L発熱物質除去済ガラス容器に入れる。
l.タイマーを90分間に設定し、ポンプを始動させる。希釈を可視的にモニタリングすることにより、流速が同じであることを確実なこととする。
m.収納容器の中が16リットルになった時点で、次の容器に変更して、16Lを回収する。
n.すべての物質が移送したら、ポンプを止める。
6.限外濾過及び濃縮
概要:限外濾過工程は時間を要する工程であり、流速を注意深くモニタリングする必要がある。膜面積は、バッチ容量に基づいて決定される。これは2つの工程からなり;第1の工程は、32リットルの希釈されている物質を3600mLにし、約2mg/mLの濃度とする濃縮工程である。濃縮工程は4時間±15分である。第2の工程は、エタノールクエン酸バッファーをリン酸バッファーに交換する膜分離工程である。膜分離工程は3時間であり、さらに、流速を注意深くモニタリングする必要がある。この工程の間、エタノール濃度をヘッドスペースGCによりモニタリングする。3時間(20膜分離容量)後、2回目の濃縮を行い、溶液を約6mg/mL又は1.2リットルの容量に濃縮する。この物質を、発熱物質除去済ガラス容器に回収する。この系を、400mLのPBSを用いて早い流速ですすぎ、透過境界線を閉じる。この物質を回収し、最初の回収物に加える。この時点で予想される濃度は、4.5mg/mLである。濃度及び容量を測定する。
1.材料
x.Quatroflowポンプ
y.オートクレーブ済5Lリザーバーを有するFlexstandシステム
z.限外濾過膜 GE PN UFP−100−C−35A
aa.孔径0.05μmで濾過したPBS 100L
bb.0.5Nの水酸化ナトリウム
cc.WFI
dd.オートクレーブ済Nalgene 50シリコーンチューブ PN 8060−0040
ee.Master Flex蠕動ポンプ モデル7520−40
i.Master flexポンプヘッド モデル7518−00
ff.透過物回収容器 100L容量
gg.発熱物質除去済メスシリンダー2L、11、500mL。
2.手順
a.系の調製
i.膜に対して適当なサイズの衛生器具を用いて、膜をFlexstandホルダーに設置する。Flexstandをquatroflowポンプに取り付ける。チューブを残留物と透過物の連結部に取り付け、これらを適当な廃棄容器中に設置する。
ii.系が保持する容量を測定する。
1.1リットルのWFIをリザーバー中に入れる。
2.透過境界線を閉じる。
3.Quatroflowポンプを始動させ、泡が残留境界線に現れなくなるまで循環させる。ポンプを止める。
4.リザーバーに印を付け、1リットルの表示を記録する。
5.200mLのWFIをリザーバーに加え、1200mLのレベルに印を付ける。
iii.3リットルの0.5N水酸化ナトリウムをリザーバーに加え、残留物にフラッシングして廃棄する。3リットルの0.5N水酸化ナトリウムをリザーバーに加え、残留境界線を循環させ、透過物にフラッシングして廃棄する。第3の3リットルの0.5N水酸化ナトリウムをリザーバーに加え、透過境界線を通してリザーバーに30分間循環させる。使用前に、系を、0.5N水酸化ナトリウム中に一晩保存する。
iv.水酸化ナトリウムをフラッシングして廃棄する。
v.3LのWFIをリザーバーに加え、pHが中性になるまで、残留境界線にフラッシングして廃棄し、必要に応じてWFIを交換する。残留境界線をリザーバーに戻す。
vi.3LのWFIをリザーバーに加え、pHが中性になるまで、透過境界線にフラッシングして廃棄し、必要に応じてWFIを交換する。系を排出させる。
vii.3Lのクエン酸バッファーをリザーバーに加える。pHが<5になるまで、透過境界線にフラッシングする。必要に応じてクエン酸バッファーを加える。
viii.系を排出させる。
b.LNPの濃縮
i.適当な長さのチューブを蠕動ポンプヘッド中に配置する。
ii.供給用端部を希釈LNP溶液中に入れ;もう一方の端部をリザーバー中に入れる。
iii.希釈LNP溶液を、4リットルの印の所までリザーバーにポンプで移す。
iv.透過境界線を清浄な廃棄容器中に配置する。
v.quatroflowポンプを始動させ、透過流速が300mL/分となるようにポンプ速度を調整する。
vi.液体レベルがリザーバー中で4Lと一定になるように、蠕動ポンプを300mL/分となるように調整する。
vii.すべての希釈LNP溶液がリザーバーに移ったら、蠕動ポンプを停止する。
viii.ポンプ速度を必要に応じて調整することにより、希釈LNP溶液を240分間で3600mLに濃縮する。
ix.透過流速、ポンプの設定並びに供給及び残留圧力をモニタリングする。
c.LNPの膜分離
i.蠕動ポンプの供給用チューブを、72LのPBS(濾過済、0.05μm)を含む容器中に入れる。
ii.蠕動ポンプを始動させ、リザーバー中に3600mLの一定容量を維持するように流速を調整する。
iii.Quatroflowポンプの流速を400mL/分に増大させる。
iv.透過流速、ポンプの設定並びに供給及び残留圧力をモニタリングする。
v.GCによりエタノール濃度をモニタリングする。
vi.LNP溶液を、PBS(20倍容量)を用いて180分間膜分離する。
vii.蠕動ポンプを停止する。リザーバーからチューブを取り出す。
d.最終濃縮
i.LNP溶液を1.2リットルの印の所まで濃縮する。
ii.LNP溶液を、発熱物質除去済2Lメスシリンダー中に回収する。
iii.400mLのPBSをリザーバーに加える。
iv.ポンプを始動させ、2分間循環させる。
v.すすいだ液を回収し、回収したLNP溶液にメスシリンダー中で加える。
vi.LNP溶液の容量を記録する。
vii.2Lの発熱物質除去済ガラス容器に移す。
viii.ラベルを付けて、冷蔵する。
e.系の洗浄
i.1LのWFIをリザーバーに加える。
ii.透過を閉じて、5分間循環させる。
iii.系を排出させる。
iv.2Lの0.5N水酸化ナトリウムをリザーバーに加える。
v.5分間循環させる。
vi.系を排出させる。
vii.2Lの0.5N水酸化ナトリウムをリザーバーに加える。
viii.5分間循環させて、ポンプを停止する。
ix.系をWFIで中和する。
x.系を排出させて、膜を廃棄する。
得られたLNPを、粒子サイズ、ゼータ電位、アルコール含量、総脂質含量、封入された核酸、及び総核酸濃度について特性決定した。
本明細書において言及されるすべての特許及び刊行物とは、本発明に関係する技術分野の当業者のレベルを示す。本明細書において引用されるすべての参考文献は、それぞれの参考文献は個々にその全体を参照することにより本明細書の一部となすのと同じ程度に、参照することにより本明細書の一部となす。
当業者は、本発明が、その目的を実施し、記載される結果及び利点、並びに本発明に固有のものを得るためによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載される方法及び組成物は、現在のところ好ましい実施態様の代表的なものであり、例示的なものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は、特許請求の範囲で定義される本発明の精神の中に包含される変更及び他の用途をなすであろう。
当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示される発明に対して種々の置換及び改変をなすことが可能であることを容易に理解するであろう。すなわち、そのようなさらなる実施態様は、本発明及び特許請求の範囲の範囲内である。本発明は、RNAi活性を媒介する改良された活性を有する核酸構築物を得るために、本明細書に記載される化学的修飾の種々の組み合わせ及び/又は置換を試験することを当業者に教示する。そのような改良された活性は、改良された安定性、改良された生物学的利用性、及び/又はRNAiを媒介する細胞応答の改良された活性化を含みうる。したがって、本明細書に記載される特定の実施態様は限定的なものではなく、当業者は、改良されたRNAi活性を有するsiNA分子を同定するために、過度の実験を行うことなく本明細書に記載される修飾の特定の組み合わせを試験しうることを容易に理解することができる。
本明細書に例示的に記載されている発明は、本明細書に特定して開示されていない任意の要素又は限定が無くても適切に実施することができる。使用される用語及び表現は、説明のための言語として用いるものであり、限定のためのものではない。そのような用語及び表現の使用においては、示されかつ記載されている特徴又はその一部の均等物を排除することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載される発明の範囲において種々の変更が可能であることが理解される。すなわち、好ましい実施態様、あらゆる特徴により本発明を特定して開示してきたが本明細書に記載される概念の改変及び変更が当業者によって行われてもよく、そのような改変及び変更も明細書及び特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられうることを理解すべきである。
さらに、発明の特徴又は側面がマーカッシュグループ又は他の選択肢グループの用語で記載されている場合、当業者は、本発明が、マーカッシュグループ又は他のグループの個々のメンバー又はサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。
CAP=任意の末端キャップ、例えば、図10参照。
全てのStab00−34化学は、3’−末端チミジン(TT)残基を含むことができる。
全てのStab00−34化学は、典型的には、約21ヌクレオチドを含むが、本明細書に記載されるように異なることができる。
全てのStab00−36化学はまた、アンチセンス又はガイド鎖の5’−末端から決定して二本鎖の核酸二本鎖の11番目の塩基対の位置のセンス又はパッセンジャー鎖中に単一のリボヌクレオチドを含むことができる(図6C参照)。
S=センス鎖。
AS=アンチセンス鎖。
*Stab23は、3’−CAPに隣接した単一のリボヌクレオチドを有する。
*Stab24及びStab28は、5’−末端に単一のリボヌクレオチドを有する。
*Stab25、Stab26、Stab27、Stab35及びStab36は、5’−末端に3個のリボヌクレオチドを有する。
*Stab29、Stab30、Stab31、Stab33、及びStab34は、リボヌクレオチドである5’−末端から最初の3個のヌクレオチドの位置に任意のプリンを有する。
p=ホスホロチオエート結合。
† Stab35は、3’−オーバーハングの位置に2’−O−メチルUと、5’−末端に3個のリボヌクレオチドを有する。
† Stab36は、標的配列(天然のオーバーハング)に相補的である2’−O−メチルオーバーハングと、5’−末端に3個のリボヌクレオチドを有する。
・待ち時間は、送達時の接触時間を含まない。
・タンデム合成は、リンカー分子のダブルカップリングを利用する。
使用された2KPEGは、PEG2000であり、典型的には約〜1500ないし約〜3000Da(すなわち、PEG(n)が約33〜約67、又は平均約〜45)でありうる多分散系物質である。
CLinDMAの構造
pCLinDMAの構造
eCLinDMAの構造
DEGCLinDMAの構造
LinCDMAの構造
DMOBAの構造
DMLBAの構造
DOBAの構造
DSPCの構造
コレステロールの構造
2KPEG−コレステロールの構造
2KPEG−DMGの構造
COIMの構造
5−CLIM及び2−CLIMの構造