JP2010084508A - 金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材、金属屋根および建築物 - Google Patents

金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材、金属屋根および建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】直接または間接的に太陽光に含まれる紫外線の影響を受ける場所で長期に渡り使用しても紫外線劣化による亀裂、欠落、気泡崩壊等の変化がなく、断熱や防露特性の維持が可能な優れた高品位の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材、それを用いた金属屋根および建築物を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とが積層された金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材であって、前記熱可塑性樹脂層は、光遮蔽剤を含み、かつ紫外線吸収剤および/または光安定剤を含んでいる金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は金属屋根に用いるポリオレフィン系樹脂発泡体に耐候性を有した熱可塑性樹脂層を設けた金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材、それを用いた金属屋根および建築物に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は断熱性、緩衝性、圧縮回復性に優れ、その特性から施工性が良く、冷暖房機器の配管用断熱材、水道管凍結防止用断熱材、金属屋根断熱材など保温、保冷、断熱、防露の分野で広く使用されている。
金属屋根においては、金属の特性上熱を伝えやすい性質があり、室内は外気温に相当する伝熱のため夏季は温度上昇、冬季は温度降下がみられ、最適な室内温度を維持するには多くのエネルギー消費を伴う空調管理を行う必要があった。また雰囲気の湿度と外気温度によっては金属屋根の室内側に結露が発生し、場合によっては結露水の滴下による室内環境の悪化や室内の電子機器の故障などを生ずることがあった。
そのため金属屋根の室内側には断熱や防露を目的に各種の断熱材が用いられ、中でも断熱や防露特性に優れ、更に加工性にも優れたプラスチック樹脂中に気泡を有する発泡体が好適に用いられている。プラスチック樹脂の発泡体においては、断熱や防露特性に関連する厚みの回復性や加工時の適度な柔軟性を有することからポリオレフィン系樹脂発泡体が好適に用いられているが、ポリオレフィン系樹脂は太陽光に含まれる紫外線により劣化しやすく、直接または間接的に太陽光の影響を受ける部分では紫外線劣化により発泡体の気泡構造が崩壊し、長期に断熱や防露特性を維持することが困難であった。
そこで、断熱や防露特性を維持し更に紫外線劣化を防止する耐候性能を付与するため様々な対応技術が開示されてきた。
例えばポリウレタン樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層の面に、ポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付等により設け、更にこの補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性の表面層を、塗布又は吹付等により設けた屋根の施工構造が開示されているが(特許文献1参照)、吹付け施工のポリウレタン樹脂は柔軟性に劣り、運搬や取付け等の施工作業時に材料や人体等による局部的圧縮を受けた場合、厚み回復がなく、当該部は断熱性能が低下する問題があった。
また合成樹脂発泡体の少なくとも一方表面上にケイソウ土を含有する無機質層を設けてなる耐火・耐候性断熱材が開示されているが(特許文献2参照)、無機質を主体とする層では衝撃による割れ、亀裂が発生しやすく、薄膜の無機質層では運搬等の施工作業時に割れ、亀裂が発生しやすく、厚膜の無機質層では重量が増加し運搬等の施工作業性が低下する問題があった。
特開2008−169688号公報 特開平1−208125号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、直接または間接的に太陽光に含まれる紫外線の影響を受ける場所で長期に渡り使用しても紫外線劣化による亀裂、欠落、気泡崩壊等の変化がなく、断熱や防露特性の維持が可能な優れた高品位の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材、それを用いた金属屋根および建築物を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。即ち、本発明は、
ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とが積層された金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材であって、前記熱可塑性樹脂層は、光遮蔽剤を含み、かつ紫外線吸収剤および/または光安定剤を含んでいる金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材を特徴としている。
本発明の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材を用いることで、直接または間接的に太陽光に含まれる紫外線の影響を受ける場所で効率的かつ長期に紫外線劣化による亀裂、欠落、気泡崩壊等の表面状態変化のないに優れた断熱材とすることが可能であり、また前記太陽光を受ける部位の断熱材に施工した塗装、被覆カバー材等の遮光施工が不要となるため施工時のトータルコストダウンにも有効である。
本発明の金属屋根(折り曲げ加工済み)の概略断面図である。 金属ロール(1)を用いて製造した本発明の金属屋根(用部材)の概略断面図である。 図2に記載の金属屋根用部材を熱可塑性樹脂層形成側からみた概略平面図である。 金属ロール(2)を用いて製造した本発明の金属屋根(用部材)の概略断面図である。 図4に記載の金属屋根用部材を熱可塑性樹脂層形成側からみた概略平面図である。 金属ロール(3)を用いて製造した本発明の金属屋根(用部材)の概略断面図である。 図6に記載の金属屋根用部材を熱可塑性樹脂層形成側からみた概略平面図である。 本発明の金属屋根(折り曲げ加工済み)を用いた屋外機器用雨避け構造物の概略図である。 図8に記載の金属屋根付近を示す概略断面図である。 金属ロール(2)を用い、貫通孔加工した製造した本発明の金属屋根(用部材)の概略断面図である。 金属ロール(2)を用い、貫通孔加工した製造した本発明の金属屋根(用部材)の概略平面図である。
本発明の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材(以下、単に金属屋根用断熱材ということがある)とは、所定の形状に折り曲げ加工した金属屋根に好適に適用しうる断熱材であり、ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とが積層された構成を有している。
この熱可塑性樹脂層には、該ポリオレフィン系樹脂発泡体に効率的かつ長期に直接または間接的に太陽光に含まれる紫外線の影響を受ける場所での使用に耐えうる耐候性を付与するため、光遮蔽剤を含んでおり、かつ、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含んでいる。従って、本発明の金属屋根用断熱材を金属板に積層して金属屋根とする場合は、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が金属板と接するように積層し、熱可塑性樹脂層が表面層となるように構成する。
かかる紫外線吸収剤や光安定剤は、紫外線による高分子のラジカル発生の抑制やラジカル捕捉により熱可塑性樹脂層やポリオレフィン系樹脂発泡体層の紫外線による劣化を軽減する効果を発揮するもので、光遮蔽剤は、光遮蔽によりポリオレフィン系樹脂発泡体層へ紫外線や可視光線の透過を軽減する効果を発揮する。このように光遮蔽剤と共に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含む熱可塑性樹脂層をポリオレフィン系樹脂発泡体層に設けることで、これらの相乗効果により紫外線による劣化を効果的に軽減することが可能となり、その結果、長期耐候性能を付与することが可能となる。
本発明に用いる紫外線吸収剤はベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系が好ましく、更に前記紫外線吸収剤の中で10質量%減量温度が250℃以上で且つ分子量が250以上を満たす特性のものが好ましい。10質量%減量温度が250℃未満であれば熱可塑性樹脂と溶融混練する際、一部分解し耐候性能が低下する場合や一部分解により加熱溶融加工時の分散不良、混練不良といった不具合が発生する場合がある。また、分子量が250未満であれば熱可塑性樹脂層表面へのブリード量が多くなり、長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。なお10質量%減量温度は熱天秤を用い10℃/分の昇温速度で加熱した時、初期質量に対し10質量%減量したときの温度を示す。また分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い標準ポリスチレン換算で表した数平均分子量を示す。
かかるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタンが例示され、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドイルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが例示され、ベンゾエート系紫外線吸収剤の具体例としては2’,4’−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが例示され、シアノアクリレート系紫外線吸収剤の具体例としては2’−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが例示される。
本発明に用いる光安定剤はヒンダードアミン系が好ましく、更に10質量%減量温度が250℃以上で且つ分子量が400以上を満たす特性のものが好ましい。10質量%減量温度が250℃未満であれば熱可塑性樹脂と溶融混練する際、一部分解し耐候性能が低下する場合や一部分解により加熱溶融加工時の分散不良、混練不良といった不具合が発生する場合がある。また、分子量が400未満であれば熱可塑性樹脂層表面へのブリード量が多くなり長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。なお10質量%減量温度は熱天秤を用い10℃/分の昇温速度で加熱した時、初期質量に対し10質量%減量したときの温度を示す。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い標準ポリスチレン換算で表した数平均分子量を示す。
かかるヒンダードアミン系光安定剤は特に限定されないが、具体的には例えば、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物、1,6−ヘキサンジアミン,N,N’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−,ポリマーズモルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンが例示される。
前記紫外線吸収剤や光安定剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。なお、ここでいう「単独で用いても2種類以上を併用してもよい」とは、紫外線吸収剤のみを用いても、光安定剤のみを用いても、それらを共に用いてもよい、という意味の他に、紫外線吸収剤のみを用いる場合でも複数種の紫外線吸収剤を用いてもよい(光安定剤の場合も同様)という意味を含んでいる。
また単独または2種類以上併用した紫外線吸収剤および光安定剤の総含有量(単独で用いた場合はその含有量)は熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部が好ましく、更に、0.3〜2質量部が好ましい。総含有量が0.1質量部未満であれば耐候性能が劣る場合や均一分散が困難となる場合があり、一方5質量部を超えると表面へのブリード量が多くなり長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。
本発明に用いる光遮蔽剤は効果的な光遮蔽性能を有した無機系粒子が好ましく、天然由来の鉱物や土類等を粉砕したものや人工的に合成した金属化合物が例示され、また加えて熱可塑性樹脂層表面に付着する霧、霜、結露水等の水粒の集合体である水滴形成を抑制する性能を有したものが好ましく、紫外線と反応し空気中の水素から親水基を作ることが可能な光触媒効果のある粒子や陰イオンとして水酸化物イオンを持つ金属化合物粒子が例示される。更に具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セリサイト、合成雲母、白雲母、金雲母およびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記光遮蔽剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよく、該光遮蔽剤の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し2〜50質量部が好ましく、更に、5〜20質量部が好ましい。含有量が2質量部未満であれば紫外線の透過を抑制する効果が劣る場合や均一な分散が困難となる場合があり、一方50質量部を超えると引張強度、引裂強度、伸度等の機械的特性が著しく低下する場合や加熱溶融加工等の方法で熱可塑性樹脂に添加する時に分散不良、混練不良といった工程上、品質上の不具合が発生する場合がある。また熱可塑性樹脂への分散性を向上させるため光遮蔽剤表面に種々の表面処理剤、分散剤等を用いてもよい。
本発明に用いる熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化し冷却により固化する特性を有する樹脂で、熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えばポリエチレン、 ポリエチレンテレフタラート、 ポリ塩化ビニル、 ポリ塩化ビニリデン、 ポリ乳酸、 ポリプロピレン、 ポリアミド、 ポリカーボネート、 ポリテトラフルオロエチレン、 ポリウレタン、 ポリスチレン、 ポリエステル、ABS樹脂、 アクリル樹脂、 ポリアセタール樹脂あるいは前記樹脂の共重合体等が例示される。
更には、金属板に適用して金属屋根とする場合は、主に強度維持を目的に各種の方法で金属板に所定の形状に折り曲げ加工を行うが、折り曲げ加工に好適な熱可塑性樹脂としてポリエチレン系樹脂や軟質塩化ビニル樹脂が例示される。
かかるポリエチレン系樹脂としては特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとを共重合した直鎖状のポリエチレン、高密度ポリエチレン等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。エチレンに共重合させるα−オレフィンについては特に限定されないが、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が好ましい。
かかる軟質塩化ビニル樹脂とは塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加した樹脂で、可塑剤は特に限定されないが、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステルやアジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステルやポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル等が例示される。可塑剤は塩化ビニル樹脂100質量部に対し5〜100質量部含有せしめることが好ましい。含有量が5質量部未満であれば剛性が高く金属屋根に折り曲げ加工時に所定形状とならない場合があり、一方100質量部を超えると引張強度、引裂強度、伸度等の機械的特性が著しく低下するため破れ、裂け、剥がれ等の外観不良が発生する場合がある。
紫外線吸収剤や光安定剤、光遮蔽剤を熱可塑性樹脂に混合する方法は特に限定されないが、単軸押出機や二軸押出機等の種々の押出機やニーダーやカレンダーロール等の混合機を用い、熱可塑性樹脂が軟化する温度以上、かつ前記添加剤の10質量%減量温度以下の温度で溶融させ混合、混練する方法が好ましい。
またかかる熱可塑性樹脂層に鮮明な色調による意匠性を付与するため黄土、アンバー等の有色粘土を用いた土性顔料や紺青、郡青、コバルト青等の青系発色顔料、更に発色性に優れる石油化学合成から作られる有機系顔料を添加してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体層を構成するポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂とガスとの混合体であり、その製造方法は特に限定されないが、押出機内でガスあるいは気化する溶剤を溶融させ高圧下で押出しながら発泡する押出発泡法、ガスあるいは気化する溶剤を含有した樹脂粒子を予備発泡し更に金型内で発泡融着するビーズ発泡法、高圧容器内でポリオレフィン系樹脂にガスを溶解し常圧で加熱し発泡するガス含浸法といった溶剤気散法やポリオレフィン系樹脂と熱分解型化学発泡剤を溶融混錬し常圧加熱にて発泡する常圧発泡法、押出機内で熱分解型化学発泡剤を加熱分解し高圧下で押出ながら発泡する押出発泡法、プレス金型内で熱分解型化学発泡剤を加熱分解し減圧しながら発泡するプレス発泡法といった発泡剤分解法等が例示される。
ここで示すポリオレフィン系樹脂は特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとを共重合した直鎖状のポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。エチレンに共重合させるα−オレフィンについては特に限定されないが、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が好ましい。
前記溶剤気散法に用いるガスあるいは気化する溶剤は特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種があり、有機系物理発泡剤としてはプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、シクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロフルオロメタン、テトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示され、無機系物理発泡剤としては炭酸ガス、窒素、ヘリウム等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、発泡剤分解法に用いる熱分解型化学発泡剤とは、熱を加えることで分解しガスを放出する化学発泡剤であれば特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種があり、有機系にはアゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシベンゼンスルフォニルヒドラジドなど、無機系には重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシウムアジドなどが例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができ、必要に応じて熱分解型発泡剤の分解性を改善する尿素、脂肪酸の金属塩、亜鉛華等の発泡助剤を添加してもよい。
かかるポリオレフィン系樹脂発泡体は、電離性放射線を照射し架橋させる電子線架橋法、ジクミルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機過酸化物を混練し発泡時に該有機過酸化物を分解し架橋させる化学架橋法、シラン基を持つポリオレフィン系樹脂を混合し加熱水分と接触することで架橋させるシラン架橋法などの方法を用いポリオレフィン系樹脂架橋発泡体としてもよく、必要に応じて架橋特性を改善するジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋助剤を用いてもよい。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚みは1〜20mmが好ましく、更には2〜5mmが好ましい。厚みが1mm未満であれば断熱性を付与することが困難な場合があり、一方、厚みが20mmを超えると金属屋根の形状に即した折り曲げ加工が困難となる場合がある。ここで示す厚みとは、JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂発泡体層の見掛け密度は10〜100kg/mが好ましく、更には20〜50kg/mが好ましい。見掛け密度が10kg/mより小さい場合、圧縮特性や強伸度等の機械的特性が低下し、施工や補修時に加えた力により、厚み減少や発泡体の切断により断熱性能が補えない場合があり、一方見かけ密度が100kg/mを超える場合、適度な断熱性能を付与することが困難な場合がある。ここで示す見掛け密度とは、JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂発泡体層の圧縮永久歪は15%以下が好ましく、更には10%以下が好ましい。圧縮永久歪が15%を超えると、運搬や取付け等の施工作業時に材料や人体等により局部圧縮を受けた場合、厚みが減少し適度な断熱性能を得られない場合や、取り付けフレーム等の施工構造で断熱材に接触する部分や空調配管等屋根施工後に取り付ける配管等のフレームや固定用アングル等の接合部周辺で厚みが減少し適度な断熱性能を得られない場合がある。ここで示す圧縮永久歪とは、JIS K 6767(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
なお、圧縮永久歪の値は小さいほど好ましく、0%が最も好ましい。ここで、圧縮永久歪を小さくする手法としては、例えば、発泡体の密度を高くする方法、発泡体を構成する樹脂組成に非晶性樹脂を多く用いる方法、発泡時の搬送における機械的ストレスの低減等により気泡形状を均一な応力分散が可能な球体形状近傍の形状とする方法、厚さ方向に機械的に延伸させ気泡形状を厚さ方向に長い形状にする方法等を例示することができ、これにより圧縮永久歪を少なくとも2%にまで小さくすることが可能となる。
本発明の金属屋根用断熱材の熱可塑性樹脂層とポリオレフィン系樹脂発泡体層とを積層する方法は特に限定されず、種々の方法を用いて積層してよい。具体的積層方法としては、予めTダイを用いた単軸押出機や二軸押出機等の押出機やカレンダーロール等で未延伸のフィルム状に成形した熱可塑性樹脂層を溶媒系、水系等の液状、ゲル状、固形状の接着剤や粘着テープを介してポリオレフィン系樹脂発泡体層と積層する方法や、熱風、ヒータ等の熱源による加熱、火炎処理等でポリオレフィン系樹脂発泡体の表面を溶融後、予め未延伸フィルム状に成型した該樹脂層と圧着により溶着する方法、あるいはTダイを用いた押出機等を用いフィルム状に押し出した該樹脂層を同時に該ポリオレフィン系樹脂発泡体層と冷却圧着し積層する方法が例示される。
かかる熱可塑性樹脂層の厚みは0.05〜2mmの範囲であることが好ましく、更に0.1〜1mmが好ましい。厚みが0.05mm未満であれば紫外線の透過を抑制する効果が劣り紫外線劣化による崩壊が発生する場合や金属屋根に折り曲げ加工時に該樹脂層が破れる場合があり、一方2mmを超えると剛性が強くなりポリオレフィン系樹脂発泡体層や金属屋根に加工する金属板との積層する際に剥がれ、シワ等の外観不良が発生する場合や、金属屋根に折り曲げ加工する際に曲げ不良、剥がれ等の外観不良が発生する場合がある。ここで示す厚みとは一辺が2cmの正方形に裁断した熱可塑性樹脂層を自動比重測定装置を用いて液浸前質量と液浸法による比重を測定し、液浸前質量を液浸法による比重で除した数値を求め、この数値を更に裁断した面積で除して求めた値である。厚みを測定する該樹脂層はポリオレフィン系樹脂発泡体層と積層する前に採取したものが好ましいが、積層した樹脂層を剥してキシレンやテトラリン等のポリオレフィン系樹脂が溶解する溶剤を用いて剥した積層面の樹脂層以外を極力溶解除去したものを用いてもよい。
また本発明の金属屋根用断熱材は、物品との接触面積を小さくし傷を軽減する効果や金属屋根に折り曲げ加工した時の表面皺を目立たなくする意匠性向上効果といった施工時の作業効率を向上せしめる効果、更には熱可塑性樹脂層表面に付着する霧、霜、結露水等の水粒の集合体である水滴形成を抑制する効果を付与するため、熱可塑性樹脂層に各種模様を設けてもよい。各種模様を設ける方法は特に限定されないが、上記方法で作成した金属屋根用断熱材の熱可塑性樹脂層側を熱風、ヒータ等の熱源により加熱した後、該樹脂層側に配置したロール表面を梨地加工や規則的凹凸形状に刻印した金属ロールで加圧し、該ロールの模様を該樹脂層に転写する方法、押出機等を用い溶融状態とした熱可塑性樹脂層をポリオレフィン系樹脂発泡体層と冷却圧着する際、熱可塑性樹脂層側に配置したロール表面を梨地加工や規則的凹凸形状に刻印した金属ロールで加圧し該ロールの模様を熱可塑性樹脂層に転写する方法が例示される。
本発明の金属屋根用断熱材は、必要に応じて例えば難燃剤、難燃助剤、分散剤、顔料、離型剤、造核剤など各種添加剤を熱可塑性樹脂層及び/又はポリオレフィン系樹脂発泡体層に単独あるいは2種類以上を併用して用いてもよい。
本発明の金属屋根用断熱材を適用可能な金属屋根(金属板)は特に限定されず、種々の金属屋根を用いることができる。具体的な金属屋根としては、金属素材が鉄、クロムとニッケル含有したオーステナイト系やクロム含有したフェライト系等のステンレス、アルミニウム合金、亜鉛合金、銅、チタニウム等に、腐食等による強度低下や形状変形等の耐久性低下を軽減するため、前記金属素材に表面処理として溶融亜鉛や溶融アルミニウム等のメッキやポリエステル樹脂やフッ素樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の塗膜を施した金属屋根材料を、折板、瓦棒葺き、立平葺、平葺、フラットルーフ、縦葺、横葺、金属瓦等の所定の形状で所定の工法により施工するものが例示される。
本発明の金属屋根用断熱材は、そのポリオレフィン系樹脂発泡体層が金属板に接するように積層され金属屋根が形成されるが、その積層方法は特に限定されず、種々の方法を用いて積層できる。具体的積層方法としては、溶媒系、水系等の液状、ゲル状、固形状の接着剤や粘着剤を介して積層する方法や熱風、ヒータ等の熱源による加熱、火炎処理等で金属屋根やポリオレフィン系樹脂発泡体の表面を加熱して溶融積層する方法が例示される。
また、必要に応じて前記ポリオレフィン系樹脂発泡体層の表面改質を行ってもよい。かかる表面改質の方法は特に限定されないが、高周波電源により供給される高周波・高電圧出力を放電電極を介し印加することで物理的な表面改質と極性官能基生成による化学的な表面改質の相乗効果が得られるコロナ放電処理方法、減圧下で不活性ガス等を用いグロー放電により表面改質するプラズマ処理方法、不揮発分の少ない低粘度液体からなる種々の下地処理剤を用いたプライマー処理方法、クロム酸やナトウリウム−ナフタレン溶液等を用いた化学的処理法が例示される。
本発明の金属屋根用断熱材と金属板を接するように積層する際、混入する空気の残存を軽減し接触面積を安定的に維持する方法として、ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とを貫通する貫通孔を有した金属屋根用断熱材とすることが好ましい。
かかる金属屋根用断熱材に設ける個々の貫通孔の大きさは、熱可塑性樹脂層表面部分に開いた貫通孔の投影面積が0.05mm〜20mmが好ましく、更には0.2mm〜5mmが好ましい。貫通孔の投影面積が0.05mm未満であれば、金属屋根用断熱材と金属板を接するように積層する際に混入する空気を効果的に排出できない場合があり、貫通孔の投影面積が20mmを超える場合は貫通孔により透過する紫外線が増加しポリオレフィン系樹脂発泡体の紫外線劣化による物性低下で金属屋根用断熱材が剥がれ落ちる場合や、部分的に断熱材がない貫通孔部の断熱性能が著しく低下する場合がある。ここで示す熱可塑性樹脂層部分に開いた貫通孔の投影面積の測定方法は、0.05mm〜5.0mmの範囲においては撮影機器等を用いて熱可塑性樹脂層側から撮影し原寸大に画像処理した貫通孔の2次元画像ときょう雑物計測図表(JIS P 8208(1998年版JISハンドブック記載))を比較し、最も大きさと形状が近似しているものをきょう雑物計測図表から選択してその面積を求た値であり、5.0mmを超える細孔はCCDカメラを用いた表面欠陥検査装置を使用し、反射光にて採取した2次元画像情報から演算にて面積を求めた値である。
また金属屋根用断熱材に設ける貫通孔の間隔は、隣り合う貫通孔同士の間隔が1cm〜20cmが好ましく、更には3cm〜10cmが好ましい。隣り合う貫通孔同士の間隔が1cm未満であれば、貫通孔により透過する紫外線が増加しポリオレフィン系樹脂発泡体の紫外線劣化による物性低下で金属屋根用断熱材が剥がれ落ちる場合や、部分的に断熱材がない貫通孔部の断熱性能が著しく低下する場合がある。また、隣り合う貫通孔同士の間隔が20cmを超える場合は金属屋根用断熱材と金属板を接するように積層する際に混入する空気を効果的に排出できない場合がある。
貫通孔を設ける方法は特に限定されないが、金属屋根用断熱材の総厚みより長く、鋭利な先端を有する金属棒を金属ロールに配し、該ロールを回転させながら金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔を設ける方法や、金属屋根用断熱材の総厚みより長く、鋭利な先端を有する金属棒を金属板に配し、該金属板を上下稼働させながら金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔を設ける方法が例示される。
本発明の金属屋根用断熱材やこれを用いた金属屋根を所定の形状に加工する方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。具体的には金属屋根用断熱材を積層した金属板(金属屋根用部材)を、油圧式折曲機、ベンダー加工機、ロールフォーミング成型機等の加工機器を介して加工する方法や、前記加工機器を介して予め金属屋根の形状に加工した金属板に金属屋根用断熱材を積層する方法が例示される。また、予め金属屋根の形状に加工した金属板に金属屋根用断熱材を積層する場合は、該断熱材を真空成型機、圧縮成型機等の成型機器を介して該金属板(金属屋根)の形状に即した形状に成型してから積層してもよい。
本発明の金属屋根用断熱材はポリオレフィン系樹脂発泡体層の表面や断面が露出しないように被覆することが望ましい。
かかる発泡体層を被覆する方法は特に限定されないが、例えば予めTダイを用いた単軸押出機や二軸押出機等の押出機やカレンダーロール等で未延伸のフィルム状に成形した上記の熱可塑性樹脂層を溶媒系、水系等の液状、ゲル状、固形状の接着剤や粘着テープを介して、該発泡体層の表面や断面が露出した部分を被覆する方法、ヒータ等の熱源による加熱、火炎処理等で該発泡体層の表面や断面を溶融後、予め未延伸フィルム状に成型した上記の熱可塑性樹脂層を圧着により溶着する方法が例示される。
また、該発泡体層の表面や断面が露出した部分を加熱し、成型等で圧縮成型し表面近傍に存在する気泡を潰しておく方法も好ましい。
本発明の金属屋根用断熱材は、熱可塑性樹脂層面から波長範囲が295〜450nmの紫外線を2,016MJ/m照射した後においても該樹脂層表面に亀裂、欠落、剥がれ等の表面状態変化がないことが好ましい。具体的な試験方法は、水冷式メタルハライドランプを光源とした波長範囲が295〜450nmの紫外線を照射する超促進耐候試験機(アイスーパーUVテスターSUV−W151:岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線強度を1,000W/m、照射時間4時間と結露時間4時間の繰返し試験とし、照射条件として温度63℃、相対湿度50%に設定した促進試験において、2,016MJ/mの紫外線照射量に相当する総試験時間1,120時間の繰返し暴露試験を行い紫外線を照射した後、該樹脂層表面の状態変化を目視観察する方法を用いることが好ましい。
本発明の金属屋根用断熱材は、断熱性や緩衝性、圧縮回復性等が良好であることに加え、紫外線劣化を軽減する特性を有し、施工時の取り扱いが容易で作業効率も向上するという効果を奏する。そして特に、間接的(場合によっては直接的)に太陽光が到達する軒下等の部分に好適に使用可能であり、また、車庫、屋外機器用雨避け構造物、駅舎等、壁面部がなく金属屋根の裏面から太陽光の影響を受けやすい建築物や、通常の壁面部が存在する建築物であっても、窓等の採光部からの影響を受ける部分が存在する場合や、換気口等の存在により屋内であっても太陽光の影響を受ける場合であっても好適に使用可能である。
すなわち、本発明の金属屋根用断熱材を用いた金属屋根を好適に用いることができる建築物として、例えば、軒下を有する建築物、車庫(カーポート)、屋外機器用雨避け構造物、駅舎、採光部を有する建築物、換気口を有する建築物がある。
以下、本発明を実施例を用いて更により詳細に説明するが、以下の実施例は一例であり、本願発明がこれら実施例により限定されるものではない。
本発明における加工方法、評価方法は次の通りである。
「金属ロール」
(1)表面を硬質クロームメッキ加工し、鏡面仕上げした金属ロール。
(2)上下面の2面が正方形で側面4面が等脚台形である凹状6面体であり、刻印底面の一辺が0.8mmの正方形、深さが1.0ミリ、ロール表面側が一辺が2.5mmの正方形を規則的な配列で金属ロール表面全体に連続的に刻印した規則的凹凸模様刻印金属ロール(四角錐形状)。
(3)表面を梨地加工した金属ロール。
「押出ラミネート方法」
熱可塑性樹脂層に接する金属ロールに上記金属ロール(1)〜(3)のいずれかを用い、ポリオレフィン系樹脂発泡体層に接するロール表面にシリコーン樹脂で覆ったゴムロールを配置し、ゴムロールを600kPaの圧力で圧接した2本のロール間に押出した熱可塑性樹脂とポリオレフィン系樹脂発泡体を同時に供給し積層した。
「接着ラミネート方法」
ポリオレフィン系樹脂発泡体にドクターナイフで塗布量を調整するナチュラルロールコーターを用い、粘着剤としてBPS5375(東洋インキ製造株式会社製)100質量部とBHS8515(東洋インキ製造株式会社製)1.7質量部を混合したものをフィルム状の熱可塑性樹脂に塗布した後、30〜60℃に設定した熱風循環式乾燥機中で5〜10分間の十分な乾燥を行い、600kPaの圧力で圧接した2本のシリコーン樹脂で覆ったゴムロール間に粘着剤を塗布した熱可塑性樹脂とポリオレフィン系樹脂発泡体を同時に供給し積層した。粘着剤塗布量は乾燥後の質量で50〜70g/mの範囲で塗布した。
「金属板との積層方法」
ドクターナイフで塗布量を調整するナチュラルロールコーターを用い、接着剤としてサイビノールEX−8(サイデン化学株式会社製)を金属板に塗布し、40〜80℃に設定した熱風循環式乾燥機中で1〜10分間の十分な乾燥を行った後、押出ラミネートしたオレフィン系樹脂発泡体の発泡体面と金属板の接着剤塗布面を合わせ、400kPaの圧力で圧接した2本のゴムロール間に供給し積層した。接着剤塗布量は乾燥後の質量で50〜70g/mの範囲で塗布した。
本発明における物性測定方法は次の通りである。
「ポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度」
JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。
「ポリオレフィン系樹脂発泡体層の圧縮永久歪」
JIS K 6767(2001年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。
「熱可塑性樹脂層の厚み」
ポリオレフィン系樹脂発泡体層との積層前に採取した熱可塑性樹脂層を2cmの正方形に裁断し、自動比重測定装置(メトラー・トレド株式会社製SGM−6)を用いて液浸前質量および比重を測定し、下式により熱可塑性樹脂層の厚みを求めた。
熱可塑性樹脂層の厚み=液浸前質量/(比重×2cmの正方形に裁断した面積)
10点について上記の測定を行い、その平均値を熱可塑性樹脂層の厚みとした。
「90°折曲げ試験後の外観性」
一辺が80mmで厚みが6mmであるJIS G3192(2005年版JISハンドブック記載)の等辺山形鋼を長さ10cmに切断した台座に、幅5cm、長さ12cmに切断した平板状の金属板と積層した試験片を置き、先端を曲率半径6mmに加工した厚み6mmで幅10cmの金属板を試験片の中心に当て、ハンマー等で力を加え試験片を概ね90°に曲げた。試験は両方向の面で行い金属板と反対する側の表面を肉眼で観察した。表面状態に変化が見られなかったものを良好と判断し、表面に亀裂、割れ等があったものを不良と判定した。
「暴露試験」
平板状の金属板に金属屋根用断熱材を積層した試験片を超促進耐候試験機(アイスーパーUVテスターSUV−W151:岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線強度を1,000W/m、照射時間4時間と結露時間4時間の繰返し試験とし、照射条件として温度63℃、相対湿度50%とした促進試験において、2,016MJ/mの紫外線照射量に相当する総試験時間1,120時間の繰返し暴露試験を行い紫外線を照射した。試験片の照射面は金属板と反対する面に行い、試料台への固定は端面のポリオレフィン系樹脂発泡体層の露出部分を無くすため外周を後述する実施例2に示す熱可塑性樹脂層の片面に粘着剤としてバインゾールR−8900(一方社油脂工業株式会社製)100質量部に対し架橋剤B−45(一方社油脂工業株式会社製)1.7質量部混合したものを乾燥質量で50〜70g/mとなるよう塗布し熱風循環式乾燥機中で充分に乾燥させたテープを用いて被覆した。
「暴露試験後の外観性」
暴露試験後の試験片について照射面側の表面を肉眼およびマイクロスコープで100倍まで拡大して観察した。表面状態やポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡状態に変化が見られなかったものを良好と判断し、表面に亀裂、欠落等の変化や上記発泡体の気泡減少や消滅があったものを不良と判定した。なお、彩色した樹脂層の色調変化については判断基準外とした。
「圧縮回復率」
厚みを測定した暴露試験後の試験片に直径2cmの金属製丸棒を用い面加重3kg/cmとなる荷重を照射面側に30秒間加え、無荷重で10分間放置後を用いて厚みを測定し、加重後の厚みを加重前厚みで除した数値を百分率で表示したものを圧縮回復率とした。この時の厚みはダイヤルシックネスゲージG−2(株式会社尾崎製作所社製)を用いて測定した。
「総合判定」
90°折曲げ試験後の外観性、暴露試験後の外観性が共に良好、かつ圧縮回復率が60%以上のものを合格と判断した。90°折曲げ試験後の外観性、暴露試験後の外観性のいずれかが不良または圧縮回復率が50%未満のものを不合格と判断した。
[実施例1]
熱可塑性樹脂として、粉砕機を用い最大長辺を2mm以下に粉砕したMFRが8g/10分、密度が0.925g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製ニポロン−L M60)100質量部に紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.3質量部、光遮蔽剤として酸化チタン(石原産業株式会社製タイぺークR−980)3質量部、顔料としてC.I.ピグメントイエロー53(長瀬産業株式会社製イルガカラーYellow 10401)0.2質量部をスーパーミキサーで混合後、150〜250℃に加熱した40mmφの二軸押出機で溶融混練し、ノズルから押出すことにより直径2mmの棒状のストランドを作り、水冷後長さ3mmにカッティングして紫外線吸収剤と光遮蔽剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を作成した。該樹脂組成物を160〜230℃に加熱した65mmφの単軸押出機に投入しTダイを介してシート状に押し出した直後、電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 40040−KY00(東レ株式会社製)を共に金属ロール(1)を用いて押出ラミネートし熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡体(金属屋根用断熱材)を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表1に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表1に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例2]
紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.6質量部、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート(旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−77Y)0.6質量部、光遮蔽剤として酸化チタン(石原産業株式会社製タイぺークR−980)10質量部、顔料としてピグメントブルー−15(長瀬産業株式会社製イルガライトBlue BSP)0.2質量部、金属ロール(2)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表1に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表1に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例3]
熱可塑性樹脂としてMFRが9.4g/10分、密度が0.922g/cmの高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLD LC720)100質量部、紫外線吸収剤は用いず光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート(旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−77Y)4.0質量部、光遮蔽剤として酸化亜鉛(住友大阪セメント株式会社製ZnO−350)20質量部用い、顔料は用いず、電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 40080−AY00(東レ株式会社製)を用い、金属ロール(3)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様に金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表1に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表1に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例4]
熱可塑性樹脂としてMFRが2.0g/10分、酢酸ビニル含量が6質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックEVA LV244)100質量部、紫外線吸収剤として2’,4’−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成株式会社製SEESORB712)0.3質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.1質量部、光遮蔽剤として酸化セリウム(多木化学株式会社製ニードラルW−100)3質量部、顔料としてカーボンブラック(東海カーボン株式会社製トーカブラック#7360SB)1.0質量部、無架橋の長尺発泡体ミナフォーム #120(酒井化学株式会社製)、金属ロール(2)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表1に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み1.2mmの溶融アルミニウムめっき鋼板(日新製鋼株式会社製耐候用アルスターカラー T502)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表1に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例5]
熱可塑性樹脂としてMFRが3.5g/10分、密度が0.898g/cmのメタロセンプラストマー(日本ポリエチレン株式会社製カーネル KF360T)100質量部、紫外線吸収剤は用いず、光安定剤としてポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製キマソーブ944LD)0.2質量部、光遮蔽剤として酸化マグネシウム(神島化学工業株式会社製スターマグU)15質量部、顔料としてピグメントレッド−57−1(長瀬産業株式会社製イルガライトRubine 4BP)0.2質量部、電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 13060−AM00(東レ株式会社製)、金属ロール(3)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表2に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.5mmの塗装溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星GLカラー N50GL)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表2に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例6]
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(ヴイテック株式会社製MT1100)70質量部、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル(株式会社ジェイ・プラス製DINA)30質量部、紫外線吸収剤として4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(シプロ化成株式会社製SEESORB103)2.0質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.1質量部、光遮蔽材としてカオリン(竹原化学工業株式会社製サテントン5)10質量部、顔料としてカーボンブラック(東海カーボン株式会社製トーカブラック#7360SB)1.0質量部を170℃に加熱した加圧式ニーダーで溶融混練した後、金属ロール(1)を用いたカレンダー成型機でフィルム状に成形した。このフィルムを用いて接着ラミネート法で電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 15030−AG00(東レ株式会社製)に積層し、金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表2に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表2に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例7]
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(ヴイテック株式会社製MT1100)60質量部、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(株式会社ジェイ・プラス製DINP)40質量部、紫外線吸収剤として2’−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(シプロ化成株式会社製SEESORB502)1.0質量部、光遮蔽剤として白雲母(山口雲母工業所社製SYA−21R)10質量部、光安定剤と顔料は用いず、化学架橋の長尺発泡体ハイエチレンスーパー(日立化成株式会社製)用いて接着ラミネートしたほかは実施例6と同様にして金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表2に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.3mmの塗装ステンレス鋼板(日新製鋼株式会社製カラーソフテン F1A1)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表2に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例8]
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(ヴイテック株式会社製MT1100)80質量部、可塑剤としてアジピン酸系ポリエステル(株式会社ジェイ・プラス製D643)20質量部、光安定剤としてポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製キマソーブ944LD)1.0質量部、光遮蔽剤としてセリサイト(岩瀬コスファ株式会社製ソフトセリサイトT−6)15質量部、紫外線吸収剤と顔料は用いず、電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 30040−AS60(東レ株式会社製)用いて接着ラミネートしたほかは実施例6と同様にして金属屋根用断熱材を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表2に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.4mmの溶融亜鉛めっきステンレス鋼板(日新製鋼株式会社製タフテンZ)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表2に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例9]
実施例1に記載した方法で作成した幅87cm、長さ10mの金属屋根用断熱材と、幅90cm、長さ150cm、厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を作成した。この部材を頂点間間隔が76mmの大波形状に丸波成型機を用いて折り曲げ加工を行い金属屋根を得た。この金属屋根のポリオレフィン系樹脂発泡体の断面が露出する部分は、実施例2に示す熱可塑性樹脂層の片面に粘着剤としてバインゾールR−8900(一方社油脂工業株式会社製)100質量部に対し架橋剤B−45(一方社油脂工業株式会社製)1.7質量部混合したものを乾燥質量で50〜70g/mとなるよう塗布し熱風循環式乾燥機中で充分に乾燥させたテープを用いて被覆した。
上記方法で作成した金属屋根を、幅1.4m、奥行き0.9m、高さ1.6mの屋外機器用雨避け構造物の屋根材として用いた。屋外機器用雨避け構造物の概要図を図8に示す。金属屋根の取り付けは屋外機器用雨避け構造物の天井に配置した支柱に水平方向に固定した円柱状の金属パイプにシーリングパッキン付パイプボルトで固定した。金属屋根の取り付け概要図を図9に示す。
[実施例10]
金属ロール(2)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材得た。鋭利な先端に加工した直径2mm、長さ30mmの金属棒を縦方向と横方向にそれぞれ5cm間隔で金属ロールの円周に整列配置した貫通孔加工ロールへ前記の金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施した金属屋根用断熱材を得た。個々の貫通孔の投影面積は鋼尺と共に撮影した貫通孔を、撮影した鋼尺目盛と現物の鋼尺目盛が合致するよう画像処理した貫通孔画像ときょう雑物計測図表を比較し、最も大きさと形状が近似しているものを選択して求めた結果、いずれも2.5mmであった。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表3に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表3に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例11]
紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.6質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.6質量部、光遮蔽剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業株式会社製マグシーズN−3)10質量部としたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。鋭利な先端に加工した直径1mm、長さ20mmの金属棒を縦方向と横方向にそれぞれ10cm間隔で金属ロールの円周に整列配置した貫通孔加工ロールへ前記の金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施した金属屋根用断熱材を得た。個々の貫通孔の投影面積は鋼尺と共に撮影した貫通孔を、撮影した鋼尺目盛と現物の鋼尺目盛が合致するよう画像処理した貫通孔画像ときょう雑物計測図表を比較し、最も大きさと形状が近似しているものを選択して求めた結果、0.5〜0.7mmの範囲であった。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表3に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表3に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例12]
紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.6質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.6質量部、光遮蔽剤として酸化鉄(神島化学工業株式会社製マグシーズN−3)5質量部と白雲母(山口雲母工業所社製SYA−21R)5質量部、顔料は用いず、金属ロール(3)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。鋭利な先端に加工した直径3.5mm、長さ40mmの金属棒を縦方向と横方向にそれぞれ15cm間隔で金属ロールの円周に整列配置した貫通孔加工ロールへ前記の金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施した金属屋根用断熱材を得た。個々の貫通孔の投影面積を表面欠陥検査装置(株式会社アヤハエンジニアリング製FITS−Ct)を用い測定した結果、7.5〜8.3mmの範囲であった。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表3に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表3に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
[実施例13]
熱可塑性樹脂としてMFRが2.5g/10分、酢酸ビニル含量が46質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製エバフレックスEV45LX)100質量部、紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.6質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.6質量部、光遮蔽剤として酸化チタン(石原産業株式会社製タイぺークR−980)10質量部と水酸化マグネシウム(神島化学工業株式会社製マグシーズN−3)40質量部、顔料は用いず、添加剤として臭素系難燃剤エチレンビスペンタブロモベンゼン(株式会社鈴裕化学製ファイアカットP−801)10質量部、化学架橋の長尺発泡体ハイエチレンスーパー(日立化成株式会社製)用い、金属ロール(2)を用いて押出ラミネートしたほかは実施例1と同様にして金属屋根用断熱材を得た。鋭利な先端に加工した直径2mm、長さ30mmの金属棒を縦方向と横方向それぞれに5cm間隔で金属ロールの円周に整列配置した貫通孔加工ロールへ前記の金属屋根用断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施した金属屋根用断熱材を得た。個々の貫通孔の投影面積は鋼尺と共に撮影した貫通孔を、撮影した鋼尺目盛と現物の鋼尺目盛が合致するよう画像処理した貫通孔画像ときょう雑物計測図表を比較し、最も大きさと形状が近似しているものを選択して求めた結果、いずれも2.5mmであった。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み、見掛け密度、圧縮永久歪、熱可塑性樹脂層の厚みは表3に示すとおりである。
上記方法で得た金属屋根用断熱材と厚み0.6mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)を、ポリオレフィン系樹脂発泡体層が該鋼板と接するように積層し、折り曲げ加工を行う前の平板状の金属屋根用部材を得た。評価結果は表3に示す通りであり、上記方法で得た金属屋根用部材は総合判定で合格であった。
Figure 2010084508
Figure 2010084508
Figure 2010084508
[比較例1]
熱可塑性樹脂を押出ラミネートしない以外は実施例1と同様にして金属屋根用積層体を得た。評価結果は表4に示す通りであり、暴露試験の外観性でポリオレフィン系樹脂発泡体層表面に無数の亀裂が生じ、部分的に黄変し極端に厚みが薄く気泡が崩壊・消滅し不良判定であった。圧縮回復率は紫外線劣化した上記発泡体層の弾性が失われ回復率は38%であった。これらの結果から総合判定は不合格であった。
[比較例2]
紫外線吸収剤を用いない以外は実施例1と同様にして金属屋根用積層体を得た。評価結果は表4に示す通りであり、暴露試験の外観性で熱可塑性樹脂層の欠落が散発しポリオレフィン系樹脂発泡体層の露出が見られ、この発泡体露出部では発泡体が黄変し極端に厚みが薄く気泡が崩壊・消滅していた。また熱可塑性樹脂層には無数の亀裂もあり不良判定であった。圧縮回復率は紫外線劣化した上記発泡体層の弾性が失われ回復率は43%であった。これらの結果から総合判定は不合格であった。
[比較例3]
光遮蔽剤を用いない以外は実施例1と同様にして金属屋根用積層体を得た。評価結果は表4に示す通りであり、暴露試験の外観性でポリオレフィン系樹脂発泡体層が黄変し極端に厚みが薄く気泡が崩壊・消滅した部分があり不良判定であった。圧縮回復率は紫外線劣化した上記発泡体層の弾性が失われ回復率は49%であった。これらの結果から総合判定は不合格であった。
[比較例4]
発泡体層として吹付け発泡ウレタン(ヘンケルジャパン株式会社製シスタM5230)を厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)に発泡体層厚みが約4mmとなるよう吹付け30分放置した。熱可塑性樹脂層としてA液とB液とを同量に混合したウレタン樹脂(日新レジン株式会社製ホビーキャストNX透明)100質量部に紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.3質量部、光遮蔽剤として酸化チタン(石原産業株式会社製タイぺークR−980)3質量部、顔料としてC.I.ピグメントイエロー53(長瀬産業株式会社製イルガカラーYellow 10401)0.2質量部を攪拌混合し、刷毛を用いて吹付け発泡ウレタンに薄膜となるよう塗布し、金属屋根用発泡断熱材を得た。評価結果は表4に示す通りであり、90°折曲げ試験後の外観性で熱可塑性樹脂層に多数の割れや亀裂が発生し、また上記発泡断熱材にも部分的に割れが発生したため不良判定であった。圧縮回復率は上記発泡断熱材に弾性がなく回復率は35%であった。これらの結果から総合判定は不合格であった。
Figure 2010084508
1 金属板
2 ポリオレフィン系樹脂発泡体層
3 表面が鏡面である熱可塑性樹脂層
4 表面に規則的凹凸模様を有する熱可塑性樹脂層
5 表面に梨地模様を有する熱可塑性樹脂層
6 屋外機器用雨避け構造物
7 金属屋根
8 片面に粘着剤を塗布した熱可塑性樹脂層テープ
9 円柱状の金属パイプ
10 パイプボルト
11 曲座
12 シーリングパッキン
13 貫通孔

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とが積層された金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材であって、前記熱可塑性樹脂層は、光遮蔽剤を含み、かつ紫外線吸収剤および/または光安定剤を含んでいる金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材。
  2. 紫外線吸収剤および光安定剤の総含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部であり、光遮蔽剤の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し2〜50質量部である、請求項1に記載の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材。
  3. 熱可塑性樹脂層の厚みが0.05〜2mmの範囲である、請求項1または2に記載の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材。
  4. ポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚みが1〜20mmの範囲にあり、見かけ密度が10〜100kg/mの範囲にあり、かつ圧縮永久歪が15%以下の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材。
  5. ポリオレフィン系樹脂発泡体層と熱可塑性樹脂層とを貫通する貫通孔を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の金属屋根用熱可塑性樹脂積層ポリオレフィン系発泡断熱材のポリオレフィン系樹脂発泡体層が金属板に接するように積層された金属屋根。
  7. 請求項6に記載の金属屋根を用いた建築物。
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