JP2012224978A - 折板屋根用金属板、折板屋根および構築物 - Google Patents

折板屋根用金属板、折板屋根および構築物 Download PDF

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Abstract

【課題】折板加工時にフィルム層の剥離が起こることなく、外観・機能面に十分な折板屋根用金属板を提供すること。
【解決手段】金属板と断熱材とが積層された折板屋根用金属板であって、断熱材はフィルム層と発泡体層とが積層された構成を有し、断熱材には発泡体層とフィルム層とを貫通する複数の貫通孔が設けられ、隣り合う貫通孔同士の間隔が15mm〜45mmの範囲にある折板屋根用金属板とする。
【選択図】図1

Description

本発明は折板屋根に用いる金属板にフィルム層を少なくとも1面に有した断熱材を設けた際に折板加工時の該フィルム層の剥離を抑制できる折板屋根用金属板、折板屋根およびこれらを備えた構築物に関するものである。
折板屋根においては、金属の特性上熱を伝えやすい性質があり、室内は外気温に相当する伝熱のため夏季は温度上昇、冬季は温度降下がみられ、最適な室内温度を維持するには多くのエネルギー消費を伴う空調管理を行う必要があった。また雰囲気の湿度と外気温度によっては折板屋根の室内側に結露が発生し、場合によっては結露水の滴下による室内環境の悪化や室内の電子機器の故障などを生ずることがあった。
そのため折板屋根の室内側には断熱や防露を目的に各種の断熱材が用いられ、中でも断熱や防露特性に優れ、更に加工性にも優れたプラスチック樹脂中に気泡を有する発泡体が好適に用いられている。プラスチック樹脂の発泡体においては、断熱や防露特性に関連する厚みの回復性や加工時の適度な柔軟性を有することからポリオレフィン系樹脂発泡体が好適に用いられているが、ポリオレフィン系樹脂は太陽光に含まれる紫外線により劣化しやすく、直接または間接的に太陽光の影響を受ける部分では紫外線劣化により発泡体の気泡構造が崩壊し、長期に断熱や防露特性を維持することが困難であった。
そこで、断熱や防露特性を維持し更に紫外線劣化を防止する耐候性能を付与するため様々な対応技術が開示されてきた。例えばポリオレフィン系樹脂発泡体に耐候性を有する熱可塑性樹脂層を積層する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、同方法では折板屋根加工時に熱可塑性樹脂層が剥離する場合があり、成形性が十分とはいえなかった。
特開2010−84508号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、折板加工時にフィルム層の剥離が起こることなく、外観・機能面ともに優れた折板屋根用金属板を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。即ち、本発明は、
金属板と断熱材とが積層された折板屋根用金属板であって、断熱材はフィルム層と発泡体層とが積層された構成を有し、断熱材には発泡体層とフィルム層とを貫通する複数の貫通孔が設けられ、隣り合う貫通孔同士の間隔が15mm〜45mmの範囲にある折板屋根用金属板であることを特徴とする。
本発明の折板屋根用金属板を用いることで、成形加工時に機能性を持たせたフィルム層の剥離を抑えることが可能となり、断熱材の断熱性能によるエネルギー放出や結露防止などの効果を維持両立することが可能となる。
金属ロール(1)を用いて製造した断熱材[1]に貫通孔加工を施し、金属板と積層したときの本発明の折板屋根用金属板の一実施態様を示す概略断面図である。 図1に記載の折板屋根用金属板を断熱材側からみた概略平面図である。 金属ロール(2)を用いて製造した断熱材[2]に貫通孔加工を施し、金属板と積層したときの本発明の折板屋根用金属板の一実施態様を示す概略断面図である。 図3に記載の折板屋根用金属板を断熱材側からみた概略平面図である。 金属ロール(3)を用いて製造した断熱材[3]に貫通孔加工を施し、金属板と積層したときの本発明の折板屋根用金属板の一実施態様を示す概略断面図である。 図5に記載の折板屋根用金属板を断熱材側からみた概略平面図である。 直径Xと直径Yを示す、図5の貫通孔部分を示す概略断面図である。 貫通孔加工ロールを示す概略図である。 図8の貫通孔加工ロールの表面を拡大した概略図である。 本発明の一実施態様に係る折板屋根用金属板の折板加工形状aを示す概略図である。 本発明の一実施態様に係る折板屋根用金属板の折板加工形状bを示す概略図である。 貫通孔レイアウト例(その2) 貫通孔レイアウト例(その3) 貫通孔レイアウト例(その4)
本発明の折板屋根用金属板は、所定の形状に折り曲げ加工を行う折板屋根に好適に適用することができるものであり、金属板と断熱材とが積層された構成を有している。また、この断熱材は、フィルム層と発泡体層とが積層された構成を有している。
上記したフィルム層は、断熱材の機能を補完もしくは更に機能を付与する目的で積層されるものである。例えば効率的かつ長期に直接または間接的に太陽光に含まれる紫外線の影響を受ける場所での使用に耐えうる耐候性を付与するためには、光遮蔽剤を含んでいることが好ましく、また、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含んでいることも好ましい。このような場合には、断熱材を金属板に積層して折板屋根とする際には、フィルム層を断熱材の表面に位置する構成とし、金属板、発泡体層、フィルム層の順に積層されていることが求められるが、本例示は一例に過ぎず、場合によってはフィルム層が発泡体層と金属板の間に位置する場合も考えられる。発泡体層と金属板の間に位置するフィルム層の例示としてはホットメルトフィルムなどが考えられる。フィルム層は発泡体層の片面もしくは両表面に位置する場合があるが、両表面に位置する場合はそのフィルム層が同一でも異なっていてもよい。
本発明に用いるフィルム層に使用する素材としては熱可塑性樹脂が好適に用いられる。ここでいう熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化し冷却により固化する特性を有する樹脂であり、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ乳酸、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエステル、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂あるいは前記樹脂の共重合体等が例示される。
また、金属板に積層して折板屋根用金属板とした後に折り曲げ加工を実施して、折板屋根とする場合には、折板加工に好適な熱可塑性樹脂としてポリエチレン系樹脂や軟質塩化ビニル樹脂が例示される。
ポリエチレン系樹脂としては特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとを共重合した直鎖状のポリエチレン、高密度ポリエチレン等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。エチレンに共重合させるα−オレフィンについては特に限定されないが、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が好ましい。
上記した軟質塩化ビニル樹脂とは塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加した樹脂であり、可塑剤は特に限定されないが、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステルやアジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステルやポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル等が例示される。可塑剤は塩化ビニル樹脂100質量部に対し5〜100質量部含有せしめることが好ましい。含有量が5質量部未満であれば剛性が高く折板屋根に折り曲げ加工時に所定形状とならない場合があり、一方100質量部を超えると引張強度、引裂強度、伸度等の機械的特性が低下するため破れ、裂け、剥がれ等の外観不良が発生する場合がある。
また、本発明においてフィルム層の厚みは50〜200μmであることが好ましい。より好ましくは75〜150μmであり、さらに好ましくは85〜120μmである。50μmよりも薄い場合は折板加工を行う際にせん断力による破れが発生する場合があり、200μmよりも厚い場合は折板加工時に折り曲げることが困難となる場合がある。
フィルム層の機能として耐候性を向上せしめる目的で紫外線吸収剤や光安定剤を添加する場合は、紫外線による高分子のラジカル発生の抑制やラジカル捕捉によりフィルム層や発泡体層の紫外線による劣化を軽減する効果を発揮する。また、光遮蔽剤を添加する場合は、光遮蔽により断熱材へ紫外線や可視光線の透過を軽減する効果を発揮する。このように光遮蔽剤と共に、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含むフィルム層を断熱材の少なくとも一面に設けることで、これらの相乗効果により紫外線による劣化を効果的に軽減することが可能となり、その結果、長期耐候性能を付与することが可能となる。
前記紫外線吸収剤はベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系が好ましく、更に前記紫外線吸収剤の中で10質量%減量温度が250℃以上で且つ分子量が250以上を満たす特性のものが好ましい。10質量%減量温度が250℃未満であれば熱可塑性樹脂と溶融混練する際、一部分解し耐候性能が低下する場合や一部分解により加熱溶融加工時の分散不良、混練不良といった不具合が発生する場合がある。また、分子量が250未満であればフィルム層表面へのブリード量が多くなり、長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。なお10質量%減量温度は熱天秤を用い10℃/分の昇温速度で加熱した時、初期質量に対し10質量%減量したときの温度を示す。また分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い標準ポリスチレン換算で表した数平均分子量を示す。
上記したベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタンが例示され、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドイルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが例示され、ベンゾエート系紫外線吸収剤の具体例としては2’,4’−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが例示され、シアノアクリレート系紫外線吸収剤の具体例としては2’−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートが例示される。
前記光安定剤はヒンダードアミン系が好ましく、更に10質量%減量温度が250℃以上で且つ分子量が400以上を満たす特性のものが好ましい。10質量%減量温度が250℃未満であれば熱可塑性樹脂と溶融混練する際、一部分解し耐候性能が低下する場合や一部分解により加熱溶融加工時の分散不良、混練不良といった不具合が発生する場合がある。また、分子量が400未満であればフィルム層表面へのブリード量が多くなり長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。なお10質量%減量温度は熱天秤を用い10℃/分の昇温速度で加熱した時、初期質量に対し10質量%減量したときの温度を示す。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い標準ポリスチレン換算で表した数平均分子量を示す。
上記したヒンダードアミン系光安定剤は特に限定されないが、具体的には例えば、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}}、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物、1,6−ヘキサンジアミン,N,N’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−,ポリマーズモルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンが例示される。
前記紫外線吸収剤や光安定剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。なお、ここでいう「単独で用いても2種類以上を併用してもよい」とは、紫外線吸収剤のみを用いても、光安定剤のみを用いても、それらを共に用いてもよい、という意味の他に、紫外線吸収剤のみを用いる場合でも複数種の紫外線吸収剤を用いてもよい(光安定剤の場合も同様)という意味を含んでいる。
また単独または2種類以上併用した紫外線吸収剤および光安定剤の総含有量(単独で用いた場合はその含有量)は熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部が好ましく、更に、0.3〜2質量部が好ましい。総含有量が0.1質量部未満であれば耐候性能が劣る場合や均一分散が困難となる場合があり、一方5質量部を超えると表面へのブリード量が多くなり長期の耐候性能が低下する場合や加熱溶融加工時の分散不良、混練不良、加工機器の各所ロールへの付着による工程不安定といった不具合が発生する場合がある。
前記光遮蔽剤は効果的な光遮蔽性能を有した無機系粒子が好ましく、天然由来の鉱物や土類等を粉砕したものや人工的に合成した金属化合物が例示され、また加えてフィルム層表面に付着する霧、霜、結露水等の水粒の集合体である水滴形成を抑制する性能を有したものが好ましく、紫外線と反応し空気中の水素から親水基を作ることが可能な光触媒効果のある粒子や陰イオンとして水酸化物イオンを持つ金属化合物粒子が例示される。更に具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セリサイト、合成雲母、白雲母、金雲母およびカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記光遮蔽剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよく、該光遮蔽剤の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し2〜50質量部が好ましく、更に、5〜20質量部が好ましい。含有量が2質量部未満であれば紫外線の透過を抑制する効果が劣る場合や均一な分散が困難となる場合があり、一方50質量部を超えると引張強度、引裂強度、伸度等の機械的特性が低下する場合や加熱溶融加工等の方法で熱可塑性樹脂に添加する時に分散不良、混練不良といった工程上、品質上の不具合が発生する場合がある。また熱可塑性樹脂への分散性を向上させるため光遮蔽剤表面に種々の表面処理剤、分散剤等を用いてもよい。
紫外線吸収剤や光安定剤、光遮蔽剤をフィルム層に使用される熱可塑性樹脂に混合する方法は特に限定されないが、単軸押出機や二軸押出機等の種々の押出機やニーダーやカレンダーロール等の混合機を用い、熱可塑性樹脂が軟化する温度以上、かつ前記添加剤の10質量%減量温度以下の温度で溶融させ混合、混練する方法が好ましい。
またかかるフィルム層に鮮明な色調による意匠性を付与するため黄土、アンバー等の有色粘土を用いた土性顔料や紺青、郡青、コバルト青等の青系発色顔料、更に発色性に優れる石油化学合成から作られる有機系顔料を添加してもよい。
本発明ではフィルム層と発泡体層とを積層した構成を有する断熱材を用いるが、フィルム層は発泡体層の片面に有していても、両面に有していてもよい。また、その種類は異なっていてもよい。また、片面もしくは両面にフィルム層を有する場合であってもフィルム層の層数を特に限定するものではない。つまり、何層かのフィルムを積層した上で発泡体層に積層してもよい。
本発明における発泡体層としては、特定はしないが例えばポリオレフィン発泡体、ポリオレフィン発泡体のうち無機質(例えば水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなど)を高充填させた無機質高充填ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、板状発泡ゴムなどが挙げられる。このうち、成形性や加工の簡便、水分の保持能力などの観点から特にポリオレフィン発泡体が好適に用いられる。
ポリオレフィン発泡体とは、ポリオレフィン系樹脂とガスとの混合体であり、その製造方法は特に限定されないが、押出機内でガスあるいは気化する溶剤を溶融させ高圧下で押出しながら発泡する押出発泡法、ガスあるいは気化する溶剤を含有した樹脂粒子を予備発泡し更に金型内で発泡融着するビーズ発泡法、高圧容器内でポリオレフィン系樹脂にガスを溶解し常圧で加熱し発泡するガス含浸法といった溶剤気散法やポリオレフィン系樹脂と熱分解型化学発泡剤を溶融混錬し常圧加熱にて発泡する常圧発泡法、押出機内で熱分解型化学発泡剤を加熱分解し高圧下で押出ながら発泡する押出発泡法、プレス金型内で熱分解型化学発泡剤を加熱分解し減圧しながら発泡するプレス発泡法といった発泡剤分解法等が例示される。
ここで示すポリオレフィン系樹脂は特に限定されないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンとを共重合した直鎖状のポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。エチレンに共重合させるα−オレフィンについては特に限定されないが、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が好ましい。
前記溶剤気散法に用いるガスあるいは気化する溶剤は特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種があり、有機系物理発泡剤としてはプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、シクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロフルオロメタン、テトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が例示され、無機系物理発泡剤としては炭酸ガス、窒素、ヘリウム等が例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、発泡剤分解法に用いる熱分解型化学発泡剤とは、熱を加えることで分解しガスを放出する化学発泡剤であれば特に限定するものではなく、例えば有機、無機系の各種があり、有機系にはアゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシベンゼンスルフォニルヒドラジドなど、無機系には重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシウムアジドなどが例示され、それぞれ単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができ、必要に応じて熱分解型発泡剤の分解性を改善する尿素、脂肪酸の金属塩、亜鉛華等の発泡助剤を添加してもよい。
かかるポリオレフィン発泡体は、架橋を行っていてもよい。電離性放射線を照射し架橋させる電子線架橋法、ジクミルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機過酸化物を混練し発泡時に該有機過酸化物を分解し架橋させる化学架橋法、シラン基を持つポリオレフィン系樹脂を混合し加熱水分と接触することで架橋させるシラン架橋法などの方法を用いてもよく、必要に応じて架橋特性を改善するジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋助剤を用いてもよい。
本発明に用いる発泡体層の厚みは1〜20mmが好ましく、更には2〜6mmが好ましい。厚みが1mm未満であれば断熱性を付与することが困難な場合があり、一方、厚みが20mmを超えると折板屋根の形状に即した折り曲げ加工が困難となる場合がある。ここで示す厚みとは、JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
本発明に用いる発泡体層の見掛け密度は10〜100kg/mが好ましく、更には20〜50kg/mが好ましい。見掛け密度が10kg/mより小さい場合、圧縮特性や強伸度等の機械的特性が低下し、施工や補修時に加えた力により、厚み減少や発泡体の切断により断熱性能が補えない場合があり、一方見かけ密度が100kg/mを超える場合、適度な断熱性能を付与することが困難な場合がある。ここで示す見掛け密度とは、JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
本発明に用いる発泡体層の圧縮永久歪は15%以下が好ましく、更には10%以下が好ましい。圧縮永久歪が15%を超えると、運搬や取付け等の施工作業時に材料や人体等により局部圧縮を受けた場合、厚みが減少し適度な断熱性能を得られない場合や、取り付けフレーム等の施工構造で断熱材に接触する部分や空調配管等屋根施工後に取り付ける配管等のフレームや固定用アングル等の接合部周辺で厚みが減少し適度な断熱性能を得られない場合がある。ここで示す圧縮永久歪とは、JIS K 6767(2001年版JISハンドブック記載)準じた測定方法で測定した数値を示す。
なお、圧縮永久歪の値は小さいほど好ましく、0%が最も好ましいが、断熱性と背反する傾向があるため、現実的には2%が下限となる。ここで、圧縮永久歪を小さくする手法としては、例えば、発泡体層の見掛け密度を高くする方法、発泡体を構成する樹脂組成に非晶性樹脂を多く用いる方法、発泡時の搬送における機械的ストレスの低減等により気泡形状を均一な応力分散が可能な球体形状近傍の形状とする方法、厚さ方向に機械的に延伸させ気泡形状を厚さ方向に長い形状にする方法等を例示することができる。
本発明においてフィルム層と発泡体層とを積層する方法は特に限定されず、種々の方法を用いて積層してよい。具体的積層方法としては、予めTダイを用いた単軸押出機や二軸押出機等の押出機やカレンダーロール等で未延伸のフィルム状に成形したフィルム層を溶媒系、水系等の液状、ゲル状、固形状の接着剤や粘着テープを介してポリオレフィン系樹脂発泡体層と積層する方法や、熱風、ヒータ等の熱源による加熱、火炎処理等でポリオレフィン系樹脂発泡体の表面を溶融後、予め未延伸フィルム状に成型したフィルム層と圧着により溶着する方法、あるいはTダイを用いた押出機等を用いフィルム状に押し出したフィルム層を同時に該ポリオレフィン系樹脂発泡体層と冷却圧着し積層する方法が例示される。
また本発明における断熱材は、物品との接触面積を小さくし傷を軽減する効果や折板屋根に折り曲げ加工した時の表面皺を目立たなくする意匠性向上効果といった施工時の作業効率を向上せしめる効果、更には断熱材表面に付着する霧、霜、結露水等の水粒の集合体である水滴形成を抑制する効果を付与するため、断熱材の表面に連続した凹凸形状を設けてもよい。凹凸形状を設ける方法は特に限定されないが、前記断熱材を熱風、ヒータ等の熱源により加熱した後、断熱材側に配置したロール表面を梨地加工や規則的凹凸形状に刻印した金属ロールで加圧し、該ロールの模様を該断熱材に転写する方法、押出機等を用い溶融状態としたフィルム層を発泡体層と冷却圧着する際、フィルム層側に配置したロール表面を梨地加工や規則的凹凸形状に刻印した金属ロールで加圧し該ロールの模様を断熱材に転写する方法が例示される。
凹凸形状の例示としてはドット柄、皮シボ柄、梨地柄、水玉柄、ピラミッド柄などが挙げられる。これらを規則的に金属ロールなどに刻印し、これを転写させることにより長手方向に連続的に同一形状の規則的な凹凸を形成させることが可能となる。
本発明において用いる断熱材は、必要に応じて例えば難燃剤、難燃助剤、分散剤、顔料、離型剤、造核剤など各種添加剤をフィルム層及び/又は発泡体層に単独あるいは2種類以上を併用して用いてもよい。
本発明の折板屋根用金属板に用いる金属素材は特に限定されず、種々の素材を用いることができる。具体的には鉄、クロムとニッケル含有したオーステナイト系やクロム含有したフェライト系等のステンレス、アルミニウム合金、亜鉛合金、銅、チタニウム等に、腐食等による強度低下や形状変形等の耐久性低下を軽減するため、前記金属素材に表面処理として溶融亜鉛や溶融アルミニウム等のメッキやポリエステル樹脂やフッ素樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の塗膜を施した金属板を用いることができる。折板屋根としては重ね式折板、嵌合式折板、馳式折板等の所定の形状で所定の工法により施工するものが例示される。
本発明の折板屋根用金属板は、断熱材と金属板とが積層された構成を有するが、その積層方法は特に限定されず、種々の方法を用いて積層できる。具体的積層方法としては、溶媒系、水系等の液状、ゲル状、固形状の接着剤や粘着剤を介して積層する方法や熱風、ヒータ等の熱源による加熱、火炎処理等で折板屋根や断熱材の表面を加熱して溶融積層する方法が例示される。
また、必要に応じて前記断熱材表面の発泡体層やフィルム層の表面改質を行ってもよい。かかる表面改質の方法は特に限定されないが、高周波電源により供給される高周波・高電圧出力を放電電極を介し印加することで物理的な表面改質と極性官能基生成による化学的な表面改質の相乗効果が得られるコロナ放電処理方法、減圧下で不活性ガス等を用いグロー放電により表面改質するプラズマ処理方法、不揮発分の少ない低粘度液体からなる種々の下地処理剤を用いたプライマー処理方法、クロム酸やナトウリウム−ナフタレン溶液等を用いた化学的処理法が例示される。
本発明における前記断熱材には発泡体層とフィルム層とを貫通する複数の貫通孔が設けられている。この複数の貫通孔は、断熱材の一部に設けられていてもよいし、全面に設けられていてもよい。すなわち、折板加工を行う際に特にせん断の掛かる部分に集中的に貫通孔を設ける場合(この場合は一部に設けることになる)と、断熱材の全面に設ける場合とがあるが、その状況に応じて任意に選択できるものである。せん断の掛かる部分では断熱材に含まれる気泡から空気が洩れ、フィルム層との間に溜まりやすく、結果、フィルム層の剥離にまで進行することがある。本発明では、これを抑制するために断熱材(フィルム層及び発泡体層)に貫通孔を設け、通気を促進しようとするものである。
かかる断熱材に設ける個々の貫通孔の大きさは、表面部分に開いた貫通孔の投影面積(断熱材に平行な平面上に投影した面積)が0.05mm〜20mmであることが好ましく、更には0.2mm〜5mmが好ましい。なお、前記表面部分とは断熱材の表面をいう。貫通孔の投影面積が0.05mm未満であれば、断熱材と金属板を接するように積層する際に混入する空気を効果的に排出できない場合があり、貫通孔の投影面積が20mmを超える場合は貫通孔により透過する紫外線、水分が増加し、断熱材の劣化が進行し断熱性能が低下する場合がある。ここで示す表面部分に開いた貫通孔の投影面積の測定方法は、0.05mm〜5.0mmの範囲においては撮影機器等を用いて断熱材表面から撮影し原寸大に画像処理した貫通孔の2次元画像ときょう雑物計測図表(JIS P 8208(1998年版JISハンドブック記載))を比較し、最も大きさと形状が近似しているものをきょう雑物計測図表から選択してその面積を求た値であり、5.0mmを超える投影面積の場合はCCDカメラを用いた表面欠陥検査装置を使用し、反射光にて採取した2次元画像情報から演算にて面積を求めた値である。
本発明において貫通孔の大きさは、金属板と接する側からみた直径をXとし、他方の側からみた直径をYとした場合(図7参照)、X/Yの値が1以上であることが好ましい。更に好ましくは1.2以上であり、最も好ましくは1.5以上である。これはX/Yの値が1より小さい場合、紫外線や水分が発泡体層まで浸透しやすくなるために劣化の原因になるためである。
前記断熱材に設ける貫通孔の間隔は、隣り合う貫通孔同士の間隔が15mm〜45mmであることが重要である。好ましくは20mm〜40mmである。隣り合う貫通孔同士の間隔が15mm未満であれば、貫通孔により透過する紫外線、水分が増加し、断熱材の劣化が進行し断熱性能が低下する場合がある。また、隣り合う貫通孔同士の間隔が45mmを超える場合は前記のようなフィルム層と発泡体層間で溜まる空気を効果的に排出できない場合がある。尚、ここでいう隣り合う貫通孔とは最短距離で隣り合わせになるものをいう。また、貫通孔のレイアウトとして図9の貫通孔ロールで実現されるレイアウトの他の例示として図12〜図14に示すレイアウトを挙げるがこの限りではない。
貫通孔を設ける方法は特に限定されないが、断熱材の総厚みより長く、鋭利な先端を有する金属棒を金属ロールに配し、該ロールを回転させながら断熱材を通し連続的に貫通孔を設ける方法や、断熱材の総厚みより長く、鋭利な先端を有する金属棒を金属板に配し、該金属板を上下稼働させながら断熱材を通し連続的に貫通孔を設ける方法が例示される。
上記のような鋭利な先端を有する金属棒による方法をとる場合、断熱材の金属板と接する面から貫通孔を設けることが好ましい。これは貫通孔の大きさを規定したX/Yの値を1以上とする場合に有利であるためである。
本発明の折板屋根用金属板を所定の折板屋根形状に加工する方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。具体的には折板屋根用金属板を、油圧式折曲機、ベンダー加工機、ロールフォーミング成型機等の加工機器を介して加工する方法が挙げられる。
この際に高せん断力が掛かる部分として挙げられるのは、例えばロールフォーミング成型機の場合、ロール間で挟まれる部分であり、その幅が狭い程、高いせん断力が掛かる。そのため、この部分に位置する断熱材の隣り合う貫通孔の間隔の設定を上記した範囲とすることが重要となる。
本発明の折板屋根用金属板は、成形加工時に機能性を持たせたフィルム層の剥離を抑えることが可能となり、発泡体層の断熱性能によるエネルギー放出の抑制や結露防止などの効果を維持両立することを可能とする。そのため、種々の形状の折板屋根に使用することが可能となる。
すなわち、本発明の折板屋根用金属板を用いた折板金属屋根を好適に用いることができる。また、この折板金属屋根を備えた構築物も好ましい。構築物の具体例としては、例えば、軒下を有する建築物、車庫(カーポート)、屋外機器用雨避け構造物、駅舎、採光部を有する建築物、換気口を有する建築物がある。
以下、本発明を実施例を用いて更により詳細に説明するが、以下の実施例は一例であり、本願発明がこれら実施例により限定されるものではない。
本発明における加工方法、評価方法は次の通りである。
「金属ロール」
(1)表面を硬質クロームメッキ加工し、鏡面仕上げした金属ロール。
(2)上下面の2面が正方形で側面4面が等脚台形である凹状6面体であり、刻印底面の一辺が0.8mmの正方形、深さが1.0ミリ、ロール表面側が一辺が2.5mmの正方形を規則的な配列で金属ロール表面全体に連続的に刻印した規則的凹凸模様刻印金属ロール(四角錐形状)。
(3)表面を梨地加工した金属ロール。
「押出ラミネート方法」
フィルム層に接する金属ロールに上記金属ロール(1)〜(3)のいずれかを用い、ポリオレフィン系樹脂発泡体層に接するロール表面にシリコーン樹脂で覆ったゴムロールを配置し、ゴムロールを600kPaの圧力で圧接した2本のロール間に押出したフィルム層を形成する熱可塑性樹脂と発泡体層を同時に供給し積層した。
「接着ラミネート方法」
ドクターナイフで塗布量を調整するナチュラルロールコーターを用い、粘着剤としてBPS5375(東洋インキ製造株式会社製)100質量部とBHS8515(東洋インキ製造株式会社製)1.7質量部を混合したものをフィルム状の熱可塑性樹脂に塗布した後、30〜60℃に設定した熱風循環式乾燥機中で5〜10分間の十分な乾燥を行い、600kPaの圧力で圧接した2本のシリコーン樹脂で覆ったゴムロール間に粘着剤をフィルム層と発泡体層を同時に供給し積層した。粘着剤塗布量は乾燥後の質量で50〜70g/mの範囲で塗布した。
「断熱材の製造方法」
断熱材[1]
熱可塑性樹脂として、粉砕機を用い最大長辺を2mm以下に粉砕したMFRが8g/10分、密度が0.925g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製ニポロン−L M60)100質量部に紫外線吸収剤として2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチリフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(シプロ化成株式会社製SEESORB703)0.3質量部、光遮蔽剤として酸化チタン(石原産業株式会社製タイぺークR−980)3質量部、顔料としてC.I.ピグメントイエロー53(長瀬産業株式会社製イルガカラーYellow 10401)0.2質量部をスーパーミキサーで混合後、150〜250℃に加熱した40mmφの二軸押出機で溶融混練し、ノズルから押出すことにより直径2mmの棒状のストランドを作り、水冷後長さ3mmにカッティングして紫外線吸収剤と光遮蔽剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を作成した。該樹脂組成物を160〜230℃に加熱した65mmφの単軸押出機に投入しTダイを介してシート状に押し出した直後、電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 40040−KY00(東レ株式会社製)を共に金属ロール(1)を用いて押出ラミネートし断熱材[1]を得た。このときの発泡体層の厚みは4mm、見掛け密度25kg/m、フィルム層の厚みは100μmであった。
断熱材[2]
熱可塑性樹脂としてMFRが9.4g/10分、密度が0.922g/cmの高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLD LC720)100質量部、紫外線吸収剤は用いず光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート(旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−77Y)4.0質量部、光遮蔽剤として酸化亜鉛(住友大阪セメント株式会社製ZnO−350)20質量部用い、顔料は用いず、無機質高充填ポリオレフィン発泡体フネンエース(古河電工株式会社製)を用い、金属ロール(2)を用いて押出ラミネートしたほかは断熱材[1]と同様に断熱材[2]を得た。このときの発泡体層の厚みは4mm、見掛け密度43kg/m、フィルム層の厚みは150μmであった。
断熱材[3]
熱可塑性樹脂としてMFRが2.0g/10分、酢酸ビニル含量が6質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックEVA LV244)100質量部、紫外線吸収剤として2’,4’−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(シプロ化成株式会社製SEESORB712)0.3質量部、光安定剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−無水マレイン酸重縮合物(シプロ化成株式会社製SEESORB805)0.1質量部、光遮蔽剤として酸化セリウム(多木化学株式会社製ニードラルW−100)3質量部、顔料としてカーボンブラック(東海カーボン株式会社製トーカブラック#7360SB)1.0質量部、無架橋の長尺発泡体ミナフォーム #120(酒井化学株式会社製)、金属ロール(3)を用いて押出ラミネートしたほかは断熱材[1]と同様にして断熱材[3]を得た。このときのポリオレフィン系樹脂発泡体層の厚み2mm、見掛け密度20kg/m、熱可塑性樹脂層の厚みは1800μmに示すとおりである。
断熱材[4]
熱可塑性樹脂として塩化ビニル樹脂(ヴイテック株式会社製MT1100)70質量部、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル(株式会社ジェイ・プラス製DINA)30質量部、顔料としてカーボンブラック(東海カーボン株式会社製トーカブラック#7360SB)1.0質量部を170℃に加熱した加圧式ニーダーで溶融混練した後、金属ロール(2)を用いたカレンダー成型機でフィルム状に成形した。このフィルムを用いて接着ラミネート法で電子線架橋の長尺発泡体トーレペフ 40040−AY00(東レ株式会社製)に積層し、断熱材[4]を得た。このときの発泡体層の厚み4mm、見掛け密度25kg/m、フィルム層の厚みは120μmであった。
「貫通孔加工ロール」
鋭利な先端に加工した直径2mm、長さ30mmの金属棒を縦方向と横方向にそれぞれの間隔で金属ロールの円周に整列配置した貫通孔加工ロールを用いた。貫通孔加工ロールA〜Dの各部の形状、寸法は図8、図9、表1に示すとおりである。
Figure 2012224978
「貫通孔加工方法」
上記、貫通孔加工ロールの針穴に合う溝を掘ったロールとの間に断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施すことにより所定の間隔に貫通孔を有した断熱材を得た。
「金属板との積層方法」
ドクターナイフで塗布量を調整するナチュラルロールコーターを用い、接着剤としてサイビノールEX−8(サイデン化学株式会社製)を金属板に塗布し、40〜80℃に設定した熱風循環式乾燥機中で1〜10分間の十分な乾燥を行った後、断熱材と金属板の接着剤塗布面を合わせ、400kPaの圧力で圧接した2本のゴムロール間に供給し積層した。接着剤塗布量は乾燥後の質量で50〜70g/mの範囲で塗布した。
「折板加工形状」
評価を行った形状a、bについては、図10、11に示す通りである。
「折板加工方法」
前記折板加工形状に合わせたロールフォーミング成型機を用いて加工速度15m/分で成形加工を実施した。
本発明における物性測定方法は次の通りである。
「発泡体層の厚み、見掛け密度」
JIS K 7222(2001年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。
「発泡体層の圧縮永久歪」
JIS K 6767(2001年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。
「フィルム層の厚み」
ポリオレフィン系樹脂発泡体層との積層前に採取したフィルム層を2cmの正方形に裁断し、自動比重測定装置(メトラー・トレド株式会社製SGM−6)を用いて液浸前質量および比重を測定し、下式によりフィルム層の厚みを求めた。
フィルム層の厚み=液浸前質量/(比重×2cmの正方形に裁断した面積)
10点について上記の測定を行い、その平均値をフィルム層の厚みとした。
「メルトフローレートの測定方法」
JIS K7210(1999年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。
本発明における合否判定方法は次の通りである。
「デュロメータ(タイプC)による硬度測定と判定」
JIS K7312(1996年版JISハンドブック記載)に準じた測定方法で測定した。各形状の指定評価部分(図10、図11に記載)における結果が、HsC15以上のものを○、HsC15未満のものを×と判定した。
「フィルム層の剥離判定」
各形状の指定評価部分(図10、図11に記載)でフィルム層をの一部をカットし、カット口から鋼尺のような金属板を差し込んだときに入らない場合を○、力を加えると入る場合を△、抵抗無く入る場合を×と判定した。
「外観判定」
外観上、皺、破れがなく美観が保たれているものを○、皺、破れなどがあるが軽微なものを△、明らかに美観上問題となるものを×と判定した。
「総合判定」
上記した硬度の判定、フィルム層の剥離判定、外観判定で×判定が無いものを◎、×もしくは△判定が1つのものを○、×もしくは△判定が2つ以上のものを×判定とした。
[実施例1]
断熱材[1]を貫通孔加工ロールAを用いて針穴に合う溝を掘ったロールとの間に断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施すことにより隣り合った貫通孔との間隔が35mm、貫通孔の大きさ1mmの断熱材を得た。このとき断熱材は貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側とする。これを金属板として厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)とを積層し、折板屋根用金属板を得た。この折板屋根用金属板を形状aになるように折板加工を実施し、得られたもののデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表2に示すとおりである。
[実施例2〜5]
断熱材、貫通孔加工ロール、金属板構成を変更した以外は実施例1と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表2に示すとおりである。
Figure 2012224978
[実施例6]
断熱材[1]を貫通孔加工ロールDを用いて針穴に合う溝を掘ったロールとの間に断熱材を通し連続的に貫通孔加工を施した後に、更に貫通孔加工ロールBを用いて、折板加工形状の指定評価部分に相当する位置に貫通孔加工を施すことにより隣り合った貫通孔との間隔が、貫通孔加工ロールDのみで施した部分は100mm、貫通孔加工ロールBを通った部分は10〜25mm、貫通孔の大きさが1〜2mmとなる断熱材を得た。これを金属板として厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)とを積層し、折板屋根用金属板を得た。この折板屋根用金属板を形状aになるように折板加工を実施し、得られたもののデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表3に示すとおりである。
[実施例7〜10]
断熱材、貫通孔加工ロール、金属板構成を変更した以外は実施例6と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表3に示すとおりである。
Figure 2012224978
[実施例11]
断熱材の貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側と反対側と変更した以外は実施例1と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[実施例12]
断熱材の貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側と反対側と変更した以外は実施例2と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[実施例13]
断熱材の貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側と反対側と変更した以外は実施例3と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[実施例14]
断熱材の貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側と反対側と変更した以外は実施例4と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[実施例15]
断熱材の貫通孔加工ロールと接触する面を金属板と貼り合わせる側と反対側と変更した以外は実施例5と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
Figure 2012224978
[比較例1]
断熱材[1]を貫通孔加工を行わず、金属板として厚み0.35mmの塗装溶融亜鉛めっき鋼板(日新製鋼株式会社製月星カラー B40)とを積層し、折板屋根用金属板を得た。この折板屋根用金属板を形状aになるように折板加工を実施し、得られたもののデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[比較例2,3及び5]
断熱材、貫通孔加工ロール、金属板構成を変更した以外は実施例1と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
[比較例4]
断熱材、金属板構成を変更した以外は比較例1と同様に行った。変更点とデュロメータ(タイプC)による硬度判定とフィルム層の剥離判定、外観判定、総合判定結果については表4に示すとおりである。
Figure 2012224978
1 金属板
2 発泡体層
3 表面が鏡面であるフィルム層
4 貫通孔
5 表面に規則的凹凸模様を有するフィルム層
6 表面に梨地模様を有するフィルム層
7 針
8 貫通孔加工ロール(ロール部分)
9 断熱材
10 指定評価部分

Claims (7)

  1. 金属板と断熱材とが積層された折板屋根用金属板であって、断熱材はフィルム層と発泡体層とが積層された構成を有し、断熱材には発泡体層とフィルム層とを貫通する複数の貫通孔が設けられ、隣り合う貫通孔同士の間隔が15mm〜45mmの範囲にある折板屋根用金属板。
  2. 発泡体層がポリオレフィン発泡体を含む、請求項1に記載の折板屋根用金属板。
  3. 断熱材の表面が、連続した凹凸形状を有する、請求項1または2に記載の折板屋根用金属板。
  4. 発泡体層の厚みが1〜20mmであり、発泡体層の見掛け密度が10〜100kg/mであり、フィルム層の厚みが50〜200μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の折板屋根用金属板。
  5. 金属板と接する側からみた貫通孔の直径をXとし、他方の側からみた貫通孔の直径をYとしたとき、X/Yの値が1以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の折板屋根用金属板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の折板屋根用金属板を用いた折板金属屋根。
  7. 請求項6に記載の折板金属屋根を備えた構築物。
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