JP2009274600A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ショックアブソーバとして機能する電磁式アクチュエータAを備え、そのアクチュエータのばね下部側ユニットMIをスプリングK2によってばね下部MLに浮動支持させた構造の車両用サスペンションシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】 ばね上部MUの動作速度に基づく減衰力(CS)をアクチュエータ力として発生させるスカイフック制御に加え、上記スプリングに起因するばね下部側ユニットとばね下部との相対振動を抑制する制御を実行する。具体的には、ばね上部とばね下部との一方とばね下部側ユニットとの相対動作速度に基づいて、その相対振動に対する減衰力(CR1若しくはCR2)をアクチュエータ力として発生させる。上記スプリングに起因するばね下部側ユニットの相対振動、特に、共振周波数域の振動を効果的に抑制することで、車両の乗り心地,車両の操縦安定性等が改善される。
【選択図】 図5

Description

本発明は車両に搭載されるサスペンションシステム関し、詳しくは、振動減衰を行うための電磁式アクチュエータを備えた車両用サスペンションシステムに関する。
ショックアブソーバとして機能する電磁式アクチュエータを備えたサスペンションシステム、いわゆる電磁式サスペンションシステムは、例えば、下記特許文献1に記載されたようなものである。電磁式サスペンションシステムは、スカイフックダンパ理論に基づくばね上部の振動減衰を効果的に実現できる等の利点を有しており、車両の分野において、精力的に開発が進められている。現時点では、アクチュエータの制御に関して各種の提案がなされており、例えば、特許文献2に記載の電磁式サスペンションシステムでは、アクチュエータの内部慣性力を補償する制御が検討されるに到っている。
国際公開第02/08001号パンフレット 特開2004−237825号公報
電磁式サスペンションに装備されている電磁式アクチュエータは、例えば、(A)ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、(B)ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との接近離間に伴ってばね上部側ユニットと相対動作するばね下部側ユニットと、(C)互いに螺合するねじロッドおよびナットを有し、それらねじロッドとナットとの一方がばね上部側ユニットに設けられ他方がばね下部側ユニットに設けられて、それらねじロッドとナットとがばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に応じて相対回転するように構成されたねじ機構と、(D)ねじロッドとナットとの一方にそれらの相対回転に対する力を付与する電磁モータとを有しており、その電磁モータの力に依拠して、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する力であるアクチュエータ力を発生させるように構成されている。
また、上記構成に加え、例えば、ばね下部からアクチュエータに加わる衝撃を緩和する等の目的で、特別な構造の連結機構を備える場合がある。その連結機構は、例えば、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方をそれが連結されるばね上部とばね下部との一方に支持させるための支持スプリングを有し、そのばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、そのばね上部とばね下部との一方との相対動作を許容しつつ、それらを上記支持スプリングの弾性力を利用して連結するように構成される。つまり、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方をスプリングによって浮動支持するための構造を有している。
しかし、上記連結機構を有する電磁式サスペンションシステムでは、上記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方が有する慣性力と、その一方が弾性的に支持されていることとに起因して、その一方が振動することになる。その振動は、例えば、車両の乗り心地を悪化させたり、車両の操縦安定性を阻害する可能性がある。したがって、その振動を抑制することが、電磁式サスペンションシステムの実用性を向上させることに繋がるのである。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、上記連結機構を備えた電磁式サスペンションシステムの実用性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サスペンションシステムは、電磁式アクチュエータの有するばね上部側ユニットとばね下部側のユニットの一方がばね上部とばね下部との一方に弾性的に支持された構造のシステムであって、そのアクチュエータの制御において、弾性的に支持されたことによって生じるばね上部側ユニットとばね下部側のユニットの一方の振動を減衰するための制御を実行可能に構成される。
本発明の車両用サスペンションシステムによれば、上記ばね上部側ユニットとばね下部側のユニットの一方の振動が効果的に抑制されるため、車両の乗り心地,車両の操縦安定性等が改善される。したがって、支持スプリングによってアクチュエータがばね上部とばね下部との一方に支持される構造のサスペンションシステムは、本発明によって、実用性が向上させられることになる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、下記態様において、(1)項が請求項1に相当する。また、(6)項が請求項2に、(9)項が請求項3に、(10)項と(11)項とを合わせたものが請求項4に、(12)項と(13)項とを合わせたものが請求項5に、(14)項が請求項6に、(15)項が請求項7に、(16)項ないし(18)項を合わせたものが請求項8に、それぞれ相当する。
(1)(A)ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、(B)ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との接近離間に伴って前記ばね上部側ユニットと相対動作するばね下部側ユニットと、(C)互いに螺合するねじロッドおよびナットを有し、それらねじロッドとナットとの一方が前記ばね上部側ユニットに設けられ他方が前記ばね下部側ユニットに設けられて、それらねじロッドとナットとが前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作に応じて相対回転するように構成されたねじ機構と、(D)前記ねじロッドと前記ナットとの一方にそれらの相対回転に対する力を付与する電磁モータとを有し、その電磁モータの力に依拠して、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作に対する力であるアクチュエータ力を発生させる電磁式のアクチュエータと、
前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの一方をそれが連結されるばね上部とばね下部との一方に支持させるための支持スプリングを有し、そのばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、そのばね上部とばね下部との一方との相対動作を許容しつつ、それらを前記支持スプリングの弾性力を利用して連結する連結機構と、
前記電磁モータの作動を制御することで、前記アクチュエータのアクチュエータ力を制御する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
ばね上部の振動を減衰すべく、ばね上部の動作速度に応じた大きさの力を、アクチュエータ力の一成分として発生させるばね上部振動減衰制御を実行するばね上部振動減衰制御部と、
前記支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動を減衰すべく、(a)前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度と、(b)前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作速度との一方に応じた大きさの力を、アクチュエータ力の一成分として発生させる相対振動減衰制御を実行する相対振動減衰制御部と
を有する車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様のサスペンションシステムは、先に説明した構造、つまり、電磁式アクチュエータの有するばね上部側ユニットとばね下部側のユニットの一方がばね上部とばね下部との一方に弾性的に支持された構造のシステムであって、アクチュエータの制御において、弾性的に支持されたことによって生じるばね上部側ユニットとばね下部側のユニットの一方の振動を減衰するための制御を実行可能に構成されている。本項の態様によれば、上記ばね上部側ユニットとばね下部側のユニットとの一方の上記振動が効果的に抑制されるため、車両の乗り心地,車両の操縦安定性等が改善される。つまり、支持スプリングによってアクチュエータがばね上部とばね下部との一方に支持される構造のサスペンションシステムは、実用性が向上させられることになる。
本項の態様における「電磁式のアクチュエータ」は、いわゆる電磁式のショックアブソーバとして機能することが可能なものであればよく、それ自体の構造が特に限定されるものではない。ねじ機構を採用した既に公知の構造を有する電磁式のアクチュエータを広く採用することが可能である。「ねじ機構」は、ねじロッドとナットとのいずれが回転可能とされてもよく、アクチュエータは、その回転可能とされたものに電磁モータが回転力を付与するように構成すればよい。また、ばね上部側ユニット,ばね下部側ユニットは、それぞれ、ねじロッドとナットとのうちの自身に設けられたものを自身の構成要素として含むように構成することができる。
本項の態様は、アクチュエータの上記「ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方」が、上記支持スプリングを有する連結機構によって、「ばね上部とばね下部との一方」に浮動支持された態様である。したがって、明細書の簡略化のため、そのばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方を、以下、「浮動ユニット」と呼ぶ場合があり、また、他方を、その一方と対比すべく、「固定ユニット」と呼ぶ場合があることとする。さらに、浮動ユニットが連結されるばね上部とばね下部との一方を、「ユニット浮動支持部」と呼び、固定ユニットが連結されるばね上部とばね下部との他方を、「ユニット固定部」と呼ぶことがあることとする。
制御装置が有する「ばね上部振動減衰制御部」は、上記「ばね上部振動減衰制御」を実行する制御装置の機能部であり、その制御は、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御である。ばね上部振動減衰制御部は、具体的には、アクチュエータ力が、実現させようとするフックダンパの減衰係数に相当する制御ゲインと、ばね上部の動作速度、つまり、ばね上絶対速度とを乗じた力となるように、電磁モータを制御するように構成すればよい。なお、特に、ばね上共振周波数およびその近傍の周波数の振動を減衰の主たる対象とするばね上部振動減衰制御を実行すれば、車両の乗り心地は、特に良好なものとなる。
浮動ユニットは、慣性質量を有し、かつ、ユニット浮動支持部に、連結機構が有する支持スプリングによって弾性的に浮動支持されていることから、ユニット浮動支持部に対して振動する。つまり、浮動ユニットとユニット浮動支持部とが相対振動する。その振動は、大まかには、浮動ユニットのユニット固定部に対する振動、つまり、浮動ユニットと固定ユニットとの相対振動とも考えることができる。このような浮動ユニットの振動が、ばね上部に伝達されれば、車両の運転者がその振動を体感することになり、その振動は、車両の乗り心地を悪化させる一因となる。また、その振動は、ばね下部の振動となって車輪の接地荷重の変動をひき起こし、車両の操縦安定性を悪化させる一因となる。本項の態様は、そのような現象を抑制するため、支持スプリングに起因する浮動ユニットの振動の減衰を図るようにしているのである。
なお、アクチュエータにおいては、回転可能に設けられたねじロッドとナットとの一方,電磁モータのロータ,そのモータの回転軸等によって、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に応じて回転する回転体が構成される。したがって、上述した浮動ユニットの慣性質量は、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対動作に対する慣性質量、つまり、狭義の慣性質量のみならず、それら回転体の慣性モーメント、厳密には、その慣性モーメントを上記相対動作に対する慣性質量に換算した換算質量をも含む概念である。なお、アクチュエータの構成によっては、慣性モーメントの換算質量が、狭義の慣性質量を上回る場合もあり得る。
上述した浮動ユニットの振動を減衰するための制御装置の機能部が、上記「相対振動減衰制御部」である。その相対振動減衰制御部が行う「相対振動減衰制御」は、上述した浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対振動、若しくは、浮動ユニットと固定ユニットとの相対振動を減衰させることで、支持スプリングに起因する浮動ユニットの振動を減衰させるための制御である。つまり、浮動ユニットとユニット浮動支持部との間、若しくは、浮動ユニットと固定ユニットとの間に、適切な減衰係数を有するダンパを配設した理論モデルに従った制御を行えばよい。詳しく言えば、アクチュエータがそのダンパが発生させる力を発生させるように、アクチュエータを制御すればよいのである。具体的には、相対振動減衰制御部は、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対動作速度、若しくは、浮動ユニットと固定ユニットと相対動作速度と、上記ダンパの減衰係数に相当する制御ゲインとを乗じたアクチュエータ力を発生させるべく、電磁モータを制御するように構成することができる。
(2)前記相対振動減衰制御部が、相対振動減衰制御として、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作速度に応じた大きさの力を発生させる制御を実行する(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対振動を減衰させることで、浮動ユニットの振動を減衰させる態様である。支持スプリングは、浮動ユニットとユニット浮動支持部との間に配設されていることから、本項の態様によれば、支持スプリングによる浮動ユニットの振動を効果的に減衰させることができる。
(3)前記相対振動減衰制御部が、前記電磁モータの回転速度と、ばね上部とばね下部との相対動作速度とに基づいて、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作速度に応じた大きさの力を発生させるように構成された(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対振動を減衰させるためのさらに具体的な態様である。浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対動作速度を直接的に用いるのではなく、浮動ユニットと固定ユニットとの相対動作速度と、ユニット浮動支持部とユニット固定部との相対動作速度とを用い、間接的に、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対動作速度に基づく制御を行う態様の一態様である。
電磁モータの回転量は、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作量に対応しており、通常、電磁モータの制御においては、それの回転量を検出することが行われる。また、電磁式サスペンションシステムでは、多くのものにおいて、ばね上部とばね下部との離間距離(以下、「ばね上ばね下間距離」という場合がある)を測定するセンサ、つまり、ストロークセンサが装備されている。したがって、本項の態様によれば、新たなセンサ等を設けることなく、簡便に、相対振動減衰制御を行うことが可能となる。
(4)前記相対振動減衰制御部が、相対振動減衰制御として、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度に応じた大きさの力を発生させる制御を実行する(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、浮動ユニットと固定ユニットとの相対振動を減衰させることで、浮動ユニットの振動を減衰させる態様である。支持スプリングは、浮動ユニットとユニット浮動支持部との間に配設されているものの、支持スプリングによる浮動ユニットの振動は、概ね、浮動ユニットと固定ユニットとの相対振動と擬制することができることから、本項の態様によれば、浮動ユニットの振動を簡便に減衰させることができる。
(5)前記相対振動減衰制御部が、前記電磁モータの回転速度に基づいて、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度に応じた大きさの力を発生させるように構成された(4)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、浮動ユニットと固定ユニットとの相対振動を減衰させるためのさらに具体的な態様である。先に説明したように、通常、電磁モータの制御においては、それの回転量を検出することが行われる。したがって、本項の態様によれば、何ら新たなセンサを設けることなく、単に電磁モータの回転速度を得ることによって、極めて簡便に、相対振動減衰制御を行うことが可能となる。
(6)前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御として、前記連結機構の支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の共振現象を抑制するための制御を実行するように構成された(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
慣性質量体がスプリングによって支持されている場合、その慣性質量体の慣性質量とスプリングのばね定数とに依存した固有の周波数の振動に対して、共振現象が生じる。共振現象を生じる周波数およびその近傍の周波数の振動は、先に説明した車両の乗り心地,車両の操縦安定性を阻害する程度が特に高い。したがって、少なくともその共振現象を抑制することが望ましい。逆に言えば、その共振現象を抑制することにより、車両の乗り心地、車両の操縦安定性を効果的に改善することができるのである。本項の態様は、そのことに鑑みて、制御の目的を相対振動減衰制御を浮動ユニットの共振現象の抑制に特化した態様である。本項の態様では、先に説明した理論モデルにおいて、ダンパの減衰係数を共振現象を抑制するための適切な値に設定すればよい。つまり、相対振動抑制制御部を、その適切な減衰係数に相当する制御ゲインと、浮動ユニットとユニット浮動支持部との相対動作速度、若しくは、浮動ユニットと固定ユニットと相対動作速度とを乗じたアクチュエータ力を発生させるべく、電磁モータを制御するように構成すればよい。
(7)前記制御装置が、さらに、
ばね下部の振動を減衰すべく、ばね下部の動作速度に応じた大きさの力を、アクチュエータ力の一成分として発生させるばね下部振動減衰制御を実行するばね下部振動減衰制御部を有する(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、アクチュエータの基本的な制御である上記ばね上部振動減衰制御に加え、「ばね下部振動減衰制御」を実行可能な態様である。特に、ばね下共振周波数およびその近傍の周波数のばね下部の振動に対処することが望ましく、その振動のばね上部への伝達を抑制すれば、車両の乗り心地が良好なものになり、また、その振動の抑制により車両の操縦安定性も向上することになる。
(8)前記制御装置が、さらに、
車体のピッチとロールとの少なくとも一方を抑制すべく、それらピッチとロールとの少なくとも一方の原因として車体に作用する力に応じた大きさのその力への対抗力を、アクチュエータ力の一成分として発生させる車体姿勢変化抑制制御を実行する車体姿勢変化抑制制御部を有する(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、サスペンションシステムに、例えば、車両の旋回に起因する車体のロール,車両の加減速に起因する車体のピッチ等を抑制する機能を備えさせた態様である。「車体姿勢変化抑制制御」により、車体のロールとピッチとの少なくとも一方を抑制すれば、車両の乗り心地が、さらに良好になる。
(9)前記支持スプリングが、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方としてのばね下部側ユニットを、前記ばね上部とばね下部との一方としてのばね上部に支持させるものであり、前記連結機構が、前記ばね下部側ユニットとばね下部との相対動作を許容しつつそれらを前記支持スプリングの弾性力を利用して連結するものであり、かつ、
前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御として、前記ばね下部側ユニットの振動を減衰すべく、(a)前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度と、(b)前記ばね下部側ユニットとばね下部との相対動作速度との一方に応じた大きさの力を発生させる制御を実行するように構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、上述の浮動ユニットをばね部下側ユニットとし、ユニット浮動支持部をばね下部とした態様である。本項の態様によれば、ばね下部とアクチュエータとの間に連結機構が設けられているため、ばね下部からアクチュエータに加わる衝撃、特に、電磁モータに加わる衝撃を、連結機構によって効果的に緩和することが可能となる。
(10)当該車両用サスペンションシステムが、ばね上部とばね下部とを自身の弾性力を利用して連結するメインスプリングを備えた(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(11)当該車両用サスペンションシステムが、
前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの他方が連結されるばね上部とばね下部との他方とを、自身の弾性力を利用して連結する連結スプリングを有する(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項の態様は、ばね上部とばね下部とを連結するスプリング、すなわち、いわゆるサスペンションスプリングに関する限定を加えたものである。2つの態様うちの前者では、メインスプリングがサスペンションスプリングとして機能する。前者の態様では、連結機構の支持スプリングは、メインスプリングに並列的に配置される。それに対し、後者では、連結スプリングと支持スプリングとが直列的に配置され、それら2つのスプリングが、互いに協働して、サスペンションスプリングとして機能することになる。
ちなみに、上記2つ態様のうちの後者は、浮動ユニットが、連結スプリングによって、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの他方にも浮動支持された態様と考えることができる。つまり、後者の態様では、浮動ユニットの上記振動は、連結スプリングの弾性力の影響を受けた状態で生じることになる。
(12)当該車両用サスペンションシステムが、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式のダンパを備えた(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(13)前記連結機構が、
前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式のダンパを備えた(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項の態様は、いずれも、液圧式のダンパが追加的に配設された態様である。2つの態様のうちの前者では、コンベンショナルな液圧式のショックアブソーバと同様の位置に、液圧式ダンパが配設される。それに対し、後者では、上記支持スプリングと並列的に液圧式ダンパが配設されることになる。
上述したばね上部振動減衰制御が実行されてばね上部の振動が減衰可能とされているため、2つの態様の各々の液圧式ダンパは、例えば、それの機能をばね下部の振動への対処に特化させることができ、ばね下部の振動のばね上部への伝達、あるいは、ばね下部の振動の抑制等に適した減衰係数を有するように構成することが可能である。特に、ばね下共振周波数およびそれの近傍の周波数の振動に対処するためのダンパとして機能させることにより、車両の乗り心地性能,操縦安定性等の特性を効果的に改善することが可能である。ちなみに、前者の態様における液圧式ダンパは、例えば、アクチュエータが失陥したような場合であっても、ばね上部とばね下部との相対振動に対して何某かの減衰力を発生させることができる。したがって、前者の態様は、フェールセーフの観点において優れることになる。
支持スプリングによってアクチュエータが浮動支持されている場合、アクチュエータ力は、支持スプリングを介して、ばね上部とばね下部とに作用することになる。そのため、ある大きさのアクチュエータ力を発生するように指令が発せられた時点から、そのアクチュエータ力が実際にばね上部とばね下部に作用するまでには、ある程度の時間的がずれが生じる。つまり、支持スプリングの存在は、アクチュエータの制御における応答性を、ある程度ではあるが、悪化させることになる。上述の2つの態様の後者において設けられている液圧式のダンパは、上記応答性を改善する目的で配設することも可能である。
(14)前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御を、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動の強度の、特定周波数についての成分が、設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行するように構成された(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(15)前記相対振動減衰制御部が、
前記相対振動減衰制御として、前記連結機構の支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の共振現象を抑制するための制御を実行するように構成されており、かつ、その共振現象における共振周波数を特定周波数として、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動の強度の、その共振周波数についての成分が、設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行するように構成された(14)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項の態様は、簡単に言えば、浮動ユニットの振動の周波数に関連させて、相対振動減衰制御の実行を限定する態様である。つまり、特定周波数域の浮動ユニットの振動が発生する、あるいは、顕著になる状況下においてのみ、相対振動減衰制御を実行するようにすれば、制御に関する負担を軽減することが可能である。例えば、車両の乗り心地,操縦安定性等に比較的大きな悪影響を与える状況下においてのみ、相対振動減衰制御を実行する態様が、上記2つの項の態様の一態様となる。そして、2つの態様の後者は、相対振動減衰制御を共振周波数域の浮動ユニットの振動の減衰に特化させるようにして、その制御の実行を限定する態様である。その態様のように、共振周波数域の振動が発生する、あるいは、顕著になる状況下においてのみ、相対振動減衰制御を実行するようにしても、車両の乗り心地,車両の操縦安定性は、充分に担保されることになる。
浮動ユニットの振動強度の特定周波数成分が設定閾値より高くなる状況は、何らかの振動の振幅,速度等によって判断することができる。具体的には、例えば、浮動ユニットの絶対振動,浮動ユニットとユニット浮動支持部若しくはユニット固定部との相対振動等を対象として判断することができる。また、ばね上部若しくはばね下部の振動,ばね上部とばね下部の相対振動,ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対振動等の強度、つまり、それらの振動の振幅,速度等によっても判断することができる。したがって、それら種々の振動のいずれかを、相対振動減衰制御の実行の可否を判断するための対象として選定すればよい。さらに、浮動ユニットの振動の強度の特定周波数成分が設定閾値より高くなるか否かは、判断対象として選定した振動の強度の特定周波数成分そのものによって判断されてもよく、また、その周波数の近傍の周波数をも含む所定の周波数域についての振動強度の成分をもって判断されてもよい。例えば、ユニット浮動支持部若しくは固定ユニットに対する浮動ユニットの動作速度,電磁モータの回転速度,ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作速度等、振動の様子を指標するパラメータを連続的に検出し、その検出結果をフィルタ処理する等して、振動強度の特定周波数域についての成分の値を取得若しくは推定するようにすればよい。そして、その取得若しくは推定された値に基づいて、相対振動減衰制御の実行の有無を決定すればよいのである。
(16)当該車両用サスペンションシステムが、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位を制限する相対変位制限機構を備えた(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
浮動ユニットのユニット浮動支持部に対しての可動範囲を大きくすれば、例えば、連結機構が大型化する。詳しく言えば、ばね上部とばね下部とを結ぶ方向における連結機構の長さが長くなり、サスペンションシステムがコンパクトなものとはならなくなる虞がある。また、支持スプリングのばね定数を小さくして可動範囲を大きくする場合には、アクチュエータ力が、ばね上部とばね下部に対して応答性よく作用しない可能性もある。したがって、そのような観点からすれば、浮動ユニットの可動範囲は、ある程度に制限することが望まれる。本項の態様は、そのような要望に基づく態様である。「相対変位制限機構」の具体的な構造は特に限定されるものではなく、例えば、浮動ユニットの一部分を当接させてそれの動作を禁止するストッパを設けることにより、相対変位制限機構を実現させることができる。
(17)前記相対振動減衰制御部が、前記アクチュエータが前記相対振動減衰制御において発生させる力についての制御ゲインを、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位量が設定閾量を超えた場合に、超えない場合に比較して大きくするように構成された(16)項に記載の車両用サスペンションシステム。
(18)前記相対振動減衰制御部が、前記アクチュエータが前記相対振動減衰制御において発生させる力についての制御ゲインを、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位量が大きくなるにつれて大きくするように構成された(16)項または(17)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上述した相対変位制限機構を設けた場合には、浮動ユニットの可動範囲の終端において、浮動ユニットの動作が禁止されることになる。例えば、相対変位制限機構が上述のストッパを含んで構成されるような場合、可動範囲の終端においてストッパが機能することによる衝撃が、少なからず発生することなる。その衝撃を、運転者が振動として体感し、あるいは、衝撃音として認識すれば、運転の快適性を損なうことになる。このように、相対変位制限機構を設けたことによる弊害が存在する可能性もあるのである。
上記2つの項に記載の態様は、相対変位制限機構を設けることによる弊害を少なくするためのの態様である。2つの態様のうちの前者は、例えば、浮動ユニットの可動範囲の終端にある程度近づいた場合に、相対振動減衰制御によって発生させるアクチュエータ力を大きくして、浮動ユニットが可動範囲の終端へ向かう動作に比較的大きな抵抗力を与えるような態様が含まれる。そのような態様によれば、浮動ユニットの終端への到達を回避させ、あるいは、その到達において発生する上述の衝撃を小さくすることが可能となる。また、後者は、例えば、浮動ユニットが可動範囲の終端に近づけば近づくほど、相対振動減衰制御によって発生させるアクチュエータ力をより大きくするような態様とすることができる。そのような態様によれば、前者の態様と同様、浮動ユニットの終端への到達を回避させ、あるいは、その到達において発生する上述の衝撃を小さくすることが可能となる。
なお、上記2つの態様を組み合わせることもできる。つまり、浮動ユニットのユニット浮動部に対する相対変位量が設定閾量を超えたときに、相対振動減衰制御によるアクチュエータ力を大きくし、かつ、その大きくする度合を、可動範囲の終端に近づくつれて大きくするといった態様とすることもできるのである。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪第1実施例≫
(A)サスペンションシステムの構成
第1実施例の車両用サスペンションシステムは、図1に示すように、前後左右4つの車輪12に対応して設けられた4つのサスペンション装置20と、それらサスペンション装置20の制御を担う制御システムとを含んで構成されている。転舵輪である前輪のサスペンション装置20と非転舵輪である後輪のサスペンション装置20とは、車輪を転舵可能とする機構を除き略同様の構成とみなせるため、サスペンション装置20の構成の説明は、後輪のサスペンション装置20を代表して説明する。
i)サスペンション装置の構成
図2に示すように、サスペンション装置20は、独立懸架式のものであり、マルチリンク式サスペンション装置とされている。サスペンション装置20は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム30,第2アッパアーム32,第1ロアアーム34,第2ロアアーム36,トーコントロールアーム38を備えている。5本のアーム30,32,34,36,38のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪12を回転可能に保持するアクスルキャリア40に回動可能に連結されている。それら5本のアーム30,32,34,36,38により、アクスルキャリア40は、車体に対して一定の軌跡に沿った上下動が許容されている。
サスペンション装置20は、直列に配置された2つの圧縮コイルスプリング46,48と、電磁式のアクチュエータ50と、液圧式のダンパ52とを備えている。それら2つのコイルスプリング46,48は、互いに協働して、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングとして機能する。また、アクチュエータ50は、ショックアブソーバとして機能するものであり、ばね上部の一構成部分であるタイヤハウジングに設けられたマウント部54と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム36との間に配設されている。
ii)電磁式アクチュエータの構成
各サスペンション装置20が備えるアクチュエータ50は、図3に示すように、アウタチューブ60と、そのアウタチューブ60に嵌入してアウタチューブの上端部から上方に突出するインナチューブ62とを含んで構成されている。後に詳しく説明するが、アウタチューブ60は、圧縮コイルスプリング48を構成要素として有する連結機構64を介して、第2ロアアーム52に連結され、また、インナチューブ62は、それの上端部において、マウント部54に連結されている。
アウタチューブ60には、それの内面において、アクチュエータ50の軸方向に延びる1対のガイド溝66が設けられおり、その一方で、インナチューブ62には、それの下端部に、1対のキー68が付設されている。それら1対のキーが1対のガイド溝66にそれぞれ嵌められており、それらキー68およびガイド溝66によって、アウタチューブ60とインナチューブ62とは、相対回転不能、かつ、軸方向に相対動作可能とされている。ちなみに、アウタチューブ60の上端部には、ダストシール70が設けられ、外部からの塵埃,泥等の侵入を防止するようにされている。
また、アクチュエータ50は、雄ねじが形成された中空のねじロッド72と、ベアリングボールを保持してねじロッド72と螺合するナット74と、電磁モータ76(以下、単に「モータ76」という場合がある)とを有している。
モータ76は、モータケース78に固定して収容され、そのモータケース78の鍔部がマウント部54の上面に固定されることでマウント部54に対して固定される。なお、モータケース78の鍔部には、鍔状に形成されたアウターチューブ60の上端部も固定されており、そのような構造によって、アウターチューブ60が、マウント部54に固定的に連結される。
モータ76の回転軸であるモータ軸80は、中空軸とされ、ねじロッド72の上端部と一体的に接続されている。つまり、ねじロッド72は、モータ軸80を延長する状態でインナチューブ32内に配設され、モータ76によって回転力が付与される。一方、アウタチューブ60の底部には、支持筒82が、ねじロッド72を内部に収容する状態で固定されており、ナット74は、支持筒82の上端部に固定されている。ねじロッド72は、支持筒82に固定された状態のナット74と螺合させられており、それらねじロッド72とナット74とによってねじ機構84が構成されている。
以上のような構造から、アクチュエータ50は、インナチューブ62,モータケース78,モータ76,ねじロッド72等を含んで構成されるばね上部側ユニット86と、アウタチューブ60,支持筒82,ナット74等を含んで構成されるばね下部側ユニット88とを備えるものとされている。アクチュエータ50は、ばね上部とばね下部との相対動作に伴って、ばね上部側ユニット86とばね下部側ユニット88とが相対動作し、ねじロッド72およびモータ76が回転するようにされている。さらに、アクチュエータ50は、モータ76がねじロッド72に回転力を付与することでばね上部側ユニット86とばね下部側ユニット88との相対動作に対する力であるアクチュエータ力を発生させるようになっている。ちなみに、このアクチュエータ力は、圧縮コイルスプリング48を介して、ばね上部とばね下部とに作用することになる。
iii)液圧式ダンパの構成
各サスペンション装置20が備えるダンパ52は、シリンダ装置として構成されており、アクチュエータ50と第2ロアアーム36との間に配置されている。ダンパ52は、概して円筒状のハウジング90を有している。このハウジング90は、それの下端部に固定的に設けられた連結部92において、第2ロアアーム36に連結されており、内部に作動液を収容している。ハウジング90の内部には、ピストン94が配設されており、そのピストン94は、ハウジング90の内部を、2つの液室である上液室96と下液室98とに区画するとともに、ハウジング90に対して摺動可能とされている。
また、ダンパ52は、ピストンロッド100を有しており、そのピストンロッド100は、下端部においてピストン94に連結されるとともに、ハウジング90の蓋部から延び出している。ピストンロッド100は、アウタチューブ60の底部に設けられた穴を貫通し、かつ、ねじロッド72およびモータ軸80をも貫通しており、上端部においてモータケース78に固定されている。
ダンパ52は、ツインチューブ式のショックアブソーバに類似する構造を有している。図4を参照しつつさらに詳しく説明すれば、ハウジング90は、外筒102と内筒104と有する二重構造とされており、外筒102と内筒104との間には、バッファ室106が形成されている。また、ハウジング90内の底部付近には、仕切壁108が設けられ、連通穴110を介してバッファ室106と通じる補助液室112が形成されている。つまり、下液室98とバッファ室106とは、補助液室112を介して連通している。
ピストン94には、それを軸方向に貫通し、上液室96と下液室98とを連通させる複数の連通路114,116(図4にはそれぞれ2つ図示されている)が設けられている。また、ピストン94には、それの下面および上面のそれぞれに、弾性材製の円板状をなす弁部材118,120が設けられており、弁部材118によって連通路114の下液室98側の開口が塞がれ、弁部材120によって連通路116の上液室96側の開口が塞がれている。
また、仕切壁108には、ピストン94と同様に、下液室98と補助液室112とを連通させる複数の連通路122,124(図4にはそれぞれ2つ図示されている)が設けられている。また、仕切壁108には、それの下面および上面のそれぞれに、弾性材料製の円板状をなす弁部材126,128が設けられており、弁部材126によって連通路122の補助液室112側の開口が塞がれ、弁部材128によって連通路124の下液室98側の開口が塞がれている。
例えば、ピストン94がハウジング90内を上方に移動させられる場合には、上液室96内の作動液の一部が連通路114を通って下液室98へ流れるとともに、バッファ室106の作動液の一部が液通路124を通って下液室98に流入する。その際、作動液が弁部材118,弁部材128を撓ませて下液室98内へ流入することとによって、ピストン94の上方への移動に対して抵抗が付与される。一方、ピストン94がハウジング90内を下方に移動させられる場合には、下液室96内の作動液の一部が連通路116を通って上液室96へ流れるとともに、液通路122を通ってバッファ室106に流出する。その際、作動液が弁部材120,弁部材126を撓ませて下液室98から流出することとによって、ピストン94の下方への移動に対して抵抗が付与される。
上述のような構造から、ダンパ52は、ハウジング90に対するピストン94の上下動に伴って、上液室96と下液室98との間、および、下液室98とバッファ室106との間の作動液の流通を許容するとともに、その流通に対しての抵抗を付与する流通抵抗付与機構を備えるものとされている。つまり、ダンパ52は、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力、つまり、その相対動作に対する減衰力を発生させるものとされているのである。
iv)サスペンションスプリングおよび連結機構の構成
ハウジング90には、それの外周部において、下部スプリング座140が鍔状に付設されている。一方、アウタチューブ60には、それの外周部において、中間スプリング座142が鍔状に付設されている。圧縮コイルスプリング48は、それら下部スプリング座140と中間スプリング座142とに挟まれるようにして、圧縮状態で配設されている。さらに、マウント部54の下面には、防振ゴム144を介して、上部スプリング座146が付設されている。圧縮コイルスプリング46は、中間スプリング座142と上部スプリング座146とに挟まれるようにして、圧縮状態で配設されている。
このような構造から、圧縮コイルスプリング46は、ばね上部とばね下部側ユニット88とを弾性的に連結する連結スプリングとして機能するものとなっており、圧縮コイルスプリング48は、ばね下部側ユニット88をばね下部に弾性的に支持させる支持スプリングとして機能するものとなっている。したがって、圧縮コイルスプリング46と圧縮コイルスプリング48とは、それらが協働することで、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングとして機能し、また、圧縮コイルスプリング48は、ばね下部とばね下部側ユニット88を弾性的に連結する連結機構64の構成要素とされている。
つまり、本サスペンション装置20においては、アクチュエータ50のばね上部側ユニット86は、固定ユニットとして、ユニット固定部であるばね上部に固定的に連結され、その一方で、ばね下部側ユニット88は、浮動ユニットとして、ユニット浮動支持部であるばね下部に浮動支持されているのである。ちなみに、本サスペンション装置20では、ばね下部側ユニット88は、圧縮コイルスプリング46によって、ばね上部に対しても浮動支持されている。
連結機構64は、ばね下部側ユニット88のばね下部に対する相対動作を許容するものとされているが、その相対動作におけるばね下部側ユニット88とばね下部との相対変位は、連結機構64が有する相対変位制限機構150によって制限されている。相対変位制限機構150は、アウタチューブ60の底部,ダンパ52のハウジング90の上端部,アウタチューブ60の底部に付設された筒状のスカート152,ハウジング90の外周部に付設された係止環154等によって構成されている。
具体的に言えば、ばね下部側ユニット88がばね下部に接近する場合には、アウタチューブ60の底部がダンパ52のハウジング90の上端部に、緩衝ゴム156を介して当接することで、その接近が制限される。一方、ばね下部側ユニット88がばね下部から離間する場合には、上記スカート152の内鍔状に形成された下端部が、上記係止環154に、緩衝ゴム158を介して当接することで、その離間が制限される。
相対変位制限機構150によって制限される相対変位の範囲、言い換えれば、ばね下部側ユニット88のばね下部に対する相対動作が許容されている範囲(以下、「相対動作許容範囲」という場合がある)は、図3において、ΔWと示されている。ちなみに、ばね上部とばね下部との接近動作および離間動作(以下、総称して「ストローク動作」という場合がある)は、それぞれ、図示を省略するバウンドストッパ,リバウンドストッパによって第2ロアアーム36の回動範囲が制限されることによって、制限される。ストローク動作が許容される範囲であるスローク範囲に対して、上記相対動作許容範囲は、狭くされている。
v)制御システムの構成
本実施例のサスペンションシステムでは、図1に示すように、4つのアクチュエータ50の作動を、詳しくは、各アクチュエータ50のアクチュエータ力を制御するための制御装置である電子制御ユニット170(以下、「ECU170」と省略する場合がある)が設けられている。ECU170は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものである。そのECU170には、それぞれが各アクチュエータ50が有するモータ76の駆動回路である4つのインバータ172が接続されている。インバータ172の各々は、コンバータ174を介して、電源であるバッテリ176に接続されており、対応するアクチュエータ50のモータ76に接続されている。各モータ76は、DCブラシレスモータであり、定電圧駆動される。各アクチュエータ50のアクチュエータ力の制御は、各モータ76に流れる電流を制御することによって行われる。その電流の制御は、PWM(Pulse Width Modulation)におけるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。ちなみに、各モータ76の回転角θは、モータ回転角センサ178によって検出されており、インバータ172は、その検出されたモータ回転角θに基づいてモータ76の作動を制御する。
ECU170には、上記4つのモータ回転角センサ178が接続されている。また、ECU172には、操舵量としてのステアリングホイールの操作角δを検出するためのステアリングセンサ180,車体に実際に発生している横加速度である実横加速度GYRを検出する横加速度センサ182,車体に発生している前後加速度GXを検出する前後加速度センサ184が接続されている。さらには、4つのサスペンション装置20に対応して設けられた各種のセンサ、詳しくは、ばね上部の縦加速度であるばね上加速度GUを検出するばね上縦加速度センサ186,ばね下部の縦加速度であるばね下加速度GLを検出するばね下縦加速度センサ188,ばね上ばね下間距離に相当するストローク量Sを検出するためのストロークセンサ190等が、接続されている。
ECU170には、さらに、ブレーキシステムの制御装置であるブレーキ電子制御ユニット192(以下、「ブレーキECU192」という場合がある)が接続されている。ブレーキECU192には、4つの車輪に対応して設けられてそれぞれが対応する車輪の回転速度を検出するための4つの車輪速センサ194が接続され、ブレーキECU192は、それら車輪速センサ194の検出値に基づいて車両の走行速度v(以下、「車速v」という場合がある)を推定する機能を有している。ECU170は、必要に応じ、ブレーキECU192から車速を取得するようにされている。
本実施例のサスペンションシステムが有する制御システムにおいて、ECU170は、上記各種のセンサ等からの信号に基づいて、各アクチュエータ50が有するモータ76の作動の制御を行う。なお、制御システムには、後に説明する相対振動減衰制御における2つの制御の切換のために、運転者によって操作される制御切換スイッチ196が設けられており、その制御切換スイッチ196も、ECU170に接続されている。また、ECU170のコンピュータが備えるROMには、後に説明するアクチュエータ50の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
(B)電磁式アクチュエータの制御
本実施例のサスペンションシステムでは、アクチュエータ50が制御されることによって、以下の3つの制御が実行される。詳しく言えば、ばね上部の振動を減衰するためのばね上部振動減衰制御,車体のピッチおよびロールを抑制するための車体姿勢変化抑制制御、圧縮コイルスプリング46,48に起因して生じるばね下部側ユニット88の振動、つまり、ばね下部側ユニット88のばね下部に対する相対振動を減衰するための相対振動減衰制御が実行される。
i)ばね上部振動減衰制御
上記サスペンション装置20の実際の装置構成に基づく振動モデル(以下、「実装置モデル」という場合がある)は、図5(a)に示すものとなる。この振動モデルは、ばね上部の慣性質量であるばね上質量MUと、ばね下部の慣性質量であるばね下質量MLとの他に、アクチュエータ50のばね下部側ユニット88の動作についての慣性質量(後述する)となる中間質量MIを含むモデルである。このモデルでは、ばね上質量MUとばね下質量MLとの間に、ダンパ52に相当するダンパ、すなわち、減衰係数がC1のダンパC1が、配設されている。また、ばね上質量MUと中間質量MIとの間に、圧縮コイルスプリング46に相当するばね、すなわち、ばね定数がK1のばねK1、および、アクチュエータ50に相当するアクチュエータAが、互いに並列的に配設されている。さらに、中間質量MIとばね下質量MLとの間に、圧縮コイルスプリング48に相当するばね、すなわち、ばね定数がK2のばねK2が配設され、また、ばね下質量MLと路面との間に、タイヤに相当するばね、すなわち、ばね定数がK3のばねK3が配設されている。
一方、アクチュエータ50の制御のための理論モデルである制御モデルは、図5(b),図5(c)に示すものであり、それらのモデルでは、ばね上質量MUが、減衰係数がCSのスカイフックダンパCSによって懸垂されたモデルになっている。つまり、それらの制御モデルは、いずれも、スカイフックダンパ理論に基づくモデルである。ちなみに、図5(b)に示す第1制御モデルと、図5(c)に示す第2制御モデルとの相違については後述する。
ばね上部振動減衰制御は、4つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に対して、独立して行われる。ばね上部振動減衰制御では、スカイフックダンパCSを配設した上記2つの制御モデルに従って、実装置モデルにおけるアクチュエータAの発生させるアクチュエータ力が、制御モデルにおけるスカイフックダンパCSが発生させる減衰力に相当する力となるように、アクチュエータ50が制御される。より具体的に言えば、ばね上縦加速度センサ186によって検出されたばね上部の縦加速度GU(以下、「ばね上加速度GU」という場合がある)に基づいて、ばね上部の動作速度(絶対速度)であるばね上速度VUが算定され、次式に従ったアクチュエータ力、つまり、そのばね上速度VUに応じた大きさのアクチュエータ力を、ばね上部振動減衰成分FUとして発生させるように、モータ76の作動が制御されるのである。
U=CS・VU
ちなみに、減衰係数CSは、制御ゲインと考えることのできるものであり、ばね上共振周波数およびその近傍の周波数の振動を効果的に減衰させるのに適した値に設定されている。なお、本実施例のサスペンションシステムでは、ばね下部の共振現象への対処は、ダンパ52によって行われる。つまり、上記実装置モデルおよび制御モデルにおけるダンパC1の減衰係数C1、つまり、ダンパ52の減衰係数は、ばね下共振周波数およびその近傍の周波数の振動を効果的に減衰させるのに適した値に設定されている。
ii)車体姿勢変化抑制制御
本実施例のサスペンションシステムでは、ばね上部振動減衰制御に加えて、車両の旋回に起因して生じる車体のロール、および、車両の加減速に起因して生じる車体のピッチを緩和すべく、車体姿勢変化抑制制御が実行される。その車体姿勢変化抑制制御では、車体のロールを生じさせる原因として車体に作用するロールモーメントに対抗する力、および、車体のピッチを生じさせる原因として車体に作用するピッチモーメントに対抗する力を、アクチュエータ50によって発生させる。
さらに詳しく言えば、車体のロールに対しては、上記ロールモーメントに応じて、旋回内輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、ばね上部とばね下部が接近する方向(以下、「バウンド方向」という場合がある)のアブソーバ力を、一方、旋回外輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、ばね上部とばね下部とが離間する方向(以下、「リバウンド方向」という場合がある)のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制成分FR(姿勢変化抑制成分の一種である)として発生させるのである。
具体的に言えば、ステアリングセンサ180によって検出されたステアリングホイールの操舵角δとブレーキECU192によって得られた車速vとに基づいて推定された推定横加速度GYCと、横加速度センサ182によって検出された実横加速度GYRとに基づいて、制御に利用される横加速度GYが、次式に従って、決定される。
Y=αC・GYC+αR・GYR (αC,αR:ゲイン)
そのように決定された横加速度GYは、車体に作用するロールモーメントを指標するロールモーメント指標量であり、その横加速度GYに基づいて、次式に従って、ロール抑制成分FRが決定される。
R=β・GY (β:制御ゲイン)
車体のピッチについて詳しく言えば、車体の制動時に発生する車体のノーズダイブに対しては、ピッチモーメントに応じて、前輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、リバウンド方向のアクチュエータ力を、その一方で、後輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、バウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれピッチ抑制成分FPとして発生させる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、ピッチモーメントに応じて、後輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、リバウンド方向のアクチュエータ力を、その一方で、前輪側の2つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に、バウンド方向のアブソーバ力をピッチ抑制成分FP(姿勢変化抑制成分)として発生させる。
具体的には、ピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標量として、前後加速度センサ182によって検出された前後加速度GXが採用され、その実前後加速度GXに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
P=γ・GX (γ:制御ゲイン)
iii)相対振動減衰制御
a)意義
アクチュエータ50のばね下部側ユニット88は、ばね下部に対して浮動支持されている。したがって、浮動ユニットであるばね下部側ユニット88は、ユニット浮動支持部であるばね下部に対して振動する。このばね下部側ユニット88のばね下部に対する振動、つまり、ばね下部側ユニット88の相対振動が、ばね上部に伝達すれば、車両の運転者がその振動を体感することになり、その振動は、車両の乗り心地を悪化させる一因となる。また、その振動は、ばね下部の振動となって車輪の接地荷重の変動をひき起こし、車両の操縦安定性を悪化させる一因となる。ばね下部側ユニット88は、図5の振動モデルに示すように、固有の中間質量MIを有しているため、固有の周波数の振動に対して共振現象が発生する。ばね下部側ユニット88の相対振動において共振現象が生じた場合、車両の乗り心地、操縦安定性の悪化は顕著になる。
ちなみに、ばね下部側ユニット88のばね上部側ユニット86に対する動作に伴って、ばねロッド72およびモータ76が回転する。そのため、ばね下部側ユニット88の振動に対しては、それらばねロッド72およびモータ76の回転部分等を1つの回転体とみなした場合のその回転体が有する慣性モーメントの作用を除外すべきではない。つまり、その回転体の慣性モーメントをばね下部側ユニット88の上下動おける慣性質量に換算した換算質量も、ばね下部側ユニット88の慣性質量の一部とみなすことが望ましいのである。そこで、図5に示す振動モデルでは、中間質量MIは、その換算質量を含んだものとして扱っている。
b)2つの相対振動減衰制御
本実施例のサスペンションシステムでは、上述したばね下部側ユニット88の相対振動に対処すべく、相対振動減衰制御が行われる。相対振動減衰制御は、ばね上部振動減衰制御と同様、4つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50に対して、独立して行われる。なお、本実施例のサスペンションシステムでは、相対振動減衰制御として、2つの互いに異なる制御が設定されており、それら2つの制御のうちの1つが、選択的に実行される。
2つの制御のうちの一方である第1相対振動減衰制御は、図5(b)に示す第1制御モデルに従うものである。この制御モデルでは、中間質量MIとばね下質量MLとの間に、ばね下部側ユニット88の相対振動を減衰させるためのダンパとして、減衰係数がCR1の相対振動減衰ダンパCR1が配設されている。第1相対振動減衰制御では、図5(a)に示す実装置モデルにおけるアクチュエータAの発生させるアクチュエータ力が、ダンパCR1が発生させる減衰力に相当する力となるように、アクチュエータ50が制御される。詳しく言えば、ばね下部側ユニット88とばね下部との相対動作速度VILに基づき、次式に従ったアクチュエータ力、つまり、その相対動作速度VILに応じた大きさのアクチュエータ力を、相対振動減衰成分FIとして発生させるように、モータ76の作動が制御される。
I=CR1・VIL
具体的には、モータ回転角センサ178によって検出されたモータ回転角θに基づいて、ばね上部側ユニット86とばね下部側ユニット88との相対動作位置、つまり、アクチュエータ長Lが算定され、そして、そのアクチュエータ長Lと、ストロークセンサ190によって検出されたストローク量Sとの差分に基づいて、アクチュエータばね下部間距離(L−S)が算定される。次いで、その距離(L−S)の変化速度に基づいて、ばね下部側ユニット88とばね下部との相対動作速度VILが算定され、その相対動作速度VILに基づいて、相対振動減衰成分FIが決定される。
2つの制御のうちのもう一方である第2相対振動減衰制御は、図5(c)に示す第2制御モデルに従うものである。この制御モデルでは、中間質量MIとばね上質量MUとの間に、ばね下部側ユニット88の相対振動を減衰させるためのダンパとして、減衰係数がCR2の相対振動減衰ダンパCR2が配設されている。第2相対振動減衰制御では、図5(a)に示す実装置モデルにおけるアクチュエータAの発生させるアクチュエータ力が、相対振動減衰ダンパCR2が発生させる減衰力に相当する力となるように、アクチュエータ50が制御される。詳しく言えば、ばね下部側ユニット88とばね上部側ユニット86との相対動作速度VIUに基づき、次式に従ったアクチュエータ力、つまり、その相対動作速度VIUに応じた大きさのアクチュエータ力を、相対振動減衰成分FIとして発生させるように、モータ76の作動が制御される。
I=CR2・VIU
具体的には、モータ回転角センサ178によって検出されたモータ回転角θに基づいて、アクチュエータ長Lが算定され、そのアクチュエータ長Lの変化速度に基づいて、ばね下部側ユニット88とばね上部側ユニット86との相対動作速度VIUが算定され、その相対動作速度VIUに基づいて、相対振動減衰成分FIが決定される。
上記第1,第2相対振動減衰制御は、運転者による制御切換スイッチ196の操作によって切換られる。いずれの制御を行っても、ばね下部側ユニット88の相対振動が効果的に抑制される。ちなみに、上記制御モデルにおける相対振動減衰ダンパCR1,CR2の上記減衰係数CR1,CR2は、共振周波数およびその近傍の周波数のばね下部側ユニット88の相対振動を効果的に減衰させるのに適した値に設定されている。なお、相対振動減衰ダンパCR1,CR2、および減衰係数CR1,CR2は、以下、総称して「相対振動減衰ダンパCR」、「減衰係数CR」という場合があることとする。
c)相対振動減衰制御の効果
ばね下部に路面から振動入力があった場合に、その振動がばね上部にどのような強度で伝達されるかを、図6に示す。つまり、図6は、振動周波数に対する振動伝達特性を示すグラフであり、縦軸が振動強度、横軸が振動周波数とされている。グラフにおける点線が、上記相対振動減衰制御を行わない場合の特性であり、実線が、上記相対振動減衰制御を行った場合の特性である。
図から解るように、相対振動減衰制御を行わない場合には、6Hzあたりの振動に対して、振動伝達強度のピークが存在している。つまり、その周波数を共振周波数とする共振現象が生じている。これが、ばね下部側ユニット88がばね下部に弾性的に支持されたことに起因する共振現象である。それに対し、相対振動減衰制御を行った場合には、上記ピークは存在せず、ばね下部側ユニット88の共振現象が効果的に抑制されている。したがって、上記相対振動減衰制御により、本サスペンションシステムが搭載された車両は、それの乗り心地および操縦安定性が改善されることになる。
d)相対振動減衰制御の実行条件
相対振動減衰制御は、ばね下部側ユニット88の相対振動の強度の特定周波数成分が設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行される。図7に示すように、上記共振周波数fRおよびその近傍の周波数の帯域(本サスペンションシステムでは、共振周波数±3Hzの帯域)を、共振周波数域ΔfRと設定し、その共振周波数域ΔfRにおけるばね下部側ユニット88の相対振動の強度である共振周波数域振動強度成分IRが、モニタされている。そして、その成分IRが、設定閾強度I0を超えた場合に、相対振動減衰制御が実行されるのである。つまり、本サスペンションシステムにおける相対振動減衰制御が、ばね下部側ユニットの共振現象を抑制することを主目的とするため、当該周波数域の相対振動強度成分に基づいて、相対振動減衰制御を実行するように構成されているのである。
具体的には、第1相対振動減衰制御においては、ばね下部側ユニット88とばね下部との相対振動が直接的な判断対象とされ、ばね下部側ユニットとばね下部との相対動作速度VILに対してフィルタ処理が施されて、共振周波数域ΔfRのばね下部側ユニット88の相対振動成分が認定され、その成分の振幅値に基づいて、共振周波数域振動強度成分IRが認定される。一方、第2相対振動減衰制御においては、ばね下部側ユニット88とばね上部側ユニット86との相対振動が直接的な判断対象とされ、ばね下部側ユニット88とばね上部側ユニット86との相対動作速度VIUに対してフィルタ処理が施されて、共振周波数域ΔfRのばね下部側ユニット88の相対振動成分が認定され、その成分の振幅値に基づいて、共振周波数域振動強度成分IRが認定される。
e)相対振動減衰成分の補正
先に説明したように、連結機構64によって、ばね下部側ユニット88のばね下部に対する相対動作が許容されている。ところが、その相対動作は、相対変位制限機構150によって、相対動作許容範囲ΔW内に制限されている。したがって、ばね下部側ユニット88の相対振動が激しい場合、ばね下部側ユニット88がばね下部に接近するときには、アウタチューブ60の底部がダンパ52のハウジング90の上端部に当接する可能性が高くなり、一方、ばね下部側ユニット88がばね下部から離間するときには、アウタチューブ60に付設されたスカート152の内鍔状の下端部が、ハウジング90に付設された係止環154に当接する可能性が高くなる。それらの当接は、時には衝撃を伴い、その衝撃を、運転者が振動として体感し、あるいは、衝撃音として認識すれば、運転の快適性を損なうことになる。そこで、本実施例のサスペンションシステムでは、その衝撃を防止あるいは緩和すべく、相対振動減衰成分FIの補正が行われる。
図3は、ばね下部側ユニット88がばね下部に対して中立位置にある状態を示している。この中立位置は、車両が平坦かつ水平な路面上に静止している状態における位置である。相対動作許容範囲ΔWは、中立位置を中心にして、ばね下部側ユニット88がばね下部から離れる方向の許容変位量と、接近する方向の許容変位量とが等しくなるように設定されている。つまり、それら許容変位量はΔW/2とされているのである。
相対振動減衰成分FIの補正は、ばね下部側ユニット88の中立位置を基準とした相対変位量Wが、許容変位量ΔW/2より小さい値に設定された設定閾変位量W0を超えたときに、その相対振動減衰成分FIが大きくなるように行われる。つまり、ばね下部側ユニット88が、相対動作許容範囲ΔWの終端にある程度近づいた場合に、その終端へのさらなる接近に対して大きな抵抗が与えられるように、相対振動減衰成分FIが大きくされるのである。具体的には、補正後の相対振動減衰成分FIAは、次式に従って決定される。
IA=ε・FI (ε:補正ゲイン)
ちなみに、ばね下部側ユニット88の相対変位量Wは、上述のアクチュエータばね下部間距離(L−S)に基づいて算定される。
補正ゲインεは、図8に示すように設定されており、マップデータとして、ECU170のROMに格納されている。補正後の相対振動減衰成分FIAの決定の際、補正ゲインεは、そのマップデータ参照されて、ばね下部側ユニット88の相対変位量Wに応じた値として取得される。図から解るように、補正ゲインε、ばね下部側ユニット88の相対変位量Wが設定閾変位量W0を超えるまでは“1”とされており、設定閾変位量W0を超えた場合に、相対変位量がWが大きくなるにつれて、大きくなるようにされている。
iv)各制御の総合
上述したばね上部振動減衰制御,車体姿勢変化抑制制御,相対振動減衰制御は、総合的に行われ、それらの制御におけるばね上部振動減衰成分FU,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FP,相対振動減衰成分FI(詳しくは、補正後相対振動減衰成分FIAである)は、一元的に扱われる。具体的には、それらの成分FU,FR,FP,FIAが、次式に従って合計され、アクチュエータ50の発生させるべき総合的なアクチュエータ力Fが決定される。
F=FU+FR+FP+FIA
なお、相対振動減衰制御が行われない場合には、相対振動減衰成分FIは、“0”とされることで、補正後相対振動減衰成分FIAも、“0”とされる。
各成分FU,FR,FP,FIAが総合されたアクチュエータ力Fは、4つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ50が発生させるべきアクチュエータ力であり、そのアクチュエータ力を発生させるべく、各アクチュエータ50が有するモータ76の作動が制御される。具体的には、各アクエータ50の発生させるべきアクチュエータ力Fに基づき、各アクチュエータ50のモータ76についてのデューティ比Dが決定され、その決定されたデューティ比Dに関する指令が、対応するインバータ172に送信される。各インバータ172は、そのデューティ比Dに基づいて、対応するアクチュエータ50のモータ76の作動制御を実行する。
v)制御プログラム
アクチュエータ50の制御は、図9にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムがECU170において実行されることによって行われる。このプログラムは、車両のイグニッションスイッチがON状態とされている間中、短い時間間隔(例えば数m〜数十msec)をおいて、繰り返し実行される。このプログラムに従う処理は、4つのアクチュエータ50の各々について行われるが、それらの処理はどのアクチュエータ50についても同様に行われるため、ここでは、1つのアクチュエータについてのみ説明する。
アクチュエータ制御プログラムによる処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略し、他のステップも同様とする)において、図10にフローチャートを示すばね上部振動減衰成分決定サブルーチンが実行され、続いて、S2において、図11にフローチャートを示す姿勢変化抑制成分決定サブルーチンが実行される。次のS3では、相対振動減衰制御として、第1相対振動減衰制御と第2相対振動減衰制御とのいずれが選択されているかが判断される。第1相対振動減衰制御が選択されている場合には、図12にフローチャートを示す第1相対振動減衰成分決定サブルーチンが実行され、第2相対振動減衰制御が選択されている場合には、図13にフローチャートを示す第2相対振動減衰成分決定サブルーチンが実行される。
上記各サブルーチンによる処理では、先に詳しく説明した手法に従って、それぞれ、アクチュエータ力のばね上部振動減衰成分FU、ロール抑制成分FRおよびピッチ抑制成分FP、補正後の相対振動減衰成分FIである補正後相対振動減衰成分FIAが決定される。
それらの成分FU,FR,FP,FIAが決定された後、S7において、それらの成分FU,FR,FP,FIAが合計されて、総合的なアクチュエータ力Fが決定される。次いで、S8において、その決定されたアクチュエータ力Fに基づいて、インバータ172に、デューティ比Dについての指令が発令される。S8の処理が終了した後、本アクチュエータ制御プログラムの1回の実行が終了する。本プログラムおよび各サブルーチンを構成する各ステップの処理は、先の説明を参照することにより容易に理解可能であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
(C)制御装置の機能構成
本実施例のサスペンションシステムにおけるECU170は、電磁式のアクチュエータ50が発生させるアクチュエータ力を制御するための制御装置としての役割を果たしている。このECU170の機能に関して言えば、ECU170は、図14に示すような機能構成を有していると考えることができる。
図に示すように、ECU170は、それぞれがアクチュエータ力の成分を決定する3つの成分決定部200,202,204を有している。具体的には、ばね上部振動減衰成分FUを決定するばね上部振動減衰成分決定部200と、ロール抑制成分FRおよびピッチ抑制成分FPを決定する姿勢変化抑制成分決定部202と、相対振動減衰成分FI(厳密には、補正後相対振動減衰成分FIAである)を決定する相対振動減衰成分決定部204とを有している。
具体的には、上記ばね上部振動減衰成分決定部200は、アクチュエータ制御プログラムにおけるS1の処理、つまり、ばね上部振動減衰成分決定サブルーチンに従う処理を実行するECU170の部分であり、上記姿勢変化抑制成分決定部202は、S2の処理、つまり、姿勢変化抑制成分決定サブルーチンに従う処理を実行する部分である。また、上記相対振動減衰成分決定部204は、S3〜S5の処理、つまり、制御切換スイッチ196の選択に応じて、第1相対振動減衰成分決定サブルーチンと第2相対振動減衰成分決定サブルーチンとの一方に従う処理を実行する部分である。
また、ECU170は、S6の処理を実行する部分、つまり、上記各成分FU,FR,FP,FI(FIA)を総合して、各アクチュエータ50が発生させるべきアクチュエータ力Fを決定する部分として、アクチュエータ力決定部206を有している。さらに、S7の処理を実行する部分、つまり、そのアクチュエータ力Fに基づいて、各アクチュエータ50に対応するインバータ172にデューティ比Dについての指令を発する部分として、デューティ比指令部208を有している。
以上のような機能構成から、ECU170は、3つの制御を実行する制御部を有するものと考えることができる。その3つの制御部のうちの1つは、ばね上部振動減衰成分決定部200を含んで構成され、上述のばね上部振動減衰制御を実行する「ばね上部振動減衰制御部」である。また、別の1つは、姿勢変化抑制成分決定部202を含んで構成され、上述の車体姿勢変化抑制制御を実行する「車体姿勢変化抑制制御部」である。そして、さらに別の1つは、相対振動減衰成分決定部204を含んで構成され、上述の相対振動減衰制御を実行する「相対振動減衰制御部」である。
≪第2実施例≫
(A)サスペンションシステムの構成
i)全体構成
第2実施例の車両用サスペンションシステムは、第1実施例の車両用サスペンションシステムと同様に、4つのサスペンション装置を有している。ただし、各サスペンション装置は、前述の第1実施例の車両サスペンションシステムのサスペンション装置20と異なる構成のものとなっている。
具体的に言えば、各サスペンション装置において、第1実施例のサスペンションシステムで採用された2つの圧縮コイルスプリング46,48、アクチュエータ50、ダンパ52、連結機構64に代えて、図15に示すスプリング・アクチュエータAssy250が採用されている。このスプリング・アクチュエータAssy250は、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するメインスプリング、つまり、サスペンションスプリングと、電磁式のアクチュエータとが一体化されたものである。ちなみに、メインスプリングは、エア圧を利用したエアスプリング(流体スプリングの一種)である。
制御システムも、上記メインスプリングを制御するための機能を除き、第1実施例における制御システムと略同様の機能を有している。言い換えれば、電磁式のアクチュエータを制御するための構成は、第1実施例のサスペンションシステムにおいて採用されていた制御システムと略同じ構成である。
したがって、第2実施例のサスペンションシステムの構成の説明では、第1実施例のサスペンションシステムと異なる部分を中心に行い、同様若しくは類似する構成要素については、第1実施例における符号と同じ符号を用いるとともに、できるだけ説明を省略することとする。
ii)スプリング・アクチュエータAssy250の構成および機能
スプリング・アクチュエータAssy250は、図15に示すように、ばね上部の一構成部分であるマウント部54と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム36との間に配設されている。スプリング・アクチュエータAssy250は、大まかに言えば、電磁式ショックアブソーバとして機能する電磁式のアクチュエータ252と、そのアクチュエータ252と第2ロアアーム36とを連結するための連結機構254と、エアスプリング256とを含んで構成されており、それらが一体化されたものとなっている。
a)アクチュエータの構成
アクチュエータ252は、ねじ溝260が形成された雄ねじ部としてのねじロッド262と、ベアリングボールを保持してねじロッド262と螺合する雌ねじ部としてのナット264とを含んで構成されるボールねじ機構266と、動力源としての電磁モータ268(以下、単に「モータ268」という場合がある)と、それらボールねじ機構266およびモータ268を収容するケーシング270とを備えている。そのケーシング270が、外周部において、マウント部54に連結されている。モータ268(DCブラシレスモータである)は、中空とされたモータ軸272を有しており、そのモータ軸272の下端部の内側には、ナット264が固定されている。つまり、モータ268は、ナット264に回転力を付与するものとなっている。そして、ねじロッド262が、ナット264と螺合させられて、モータ軸272内から下方に延び出した状態で配設される。なお、本アクチュエータ252においては、モータ回転角センサ178は、モータ軸272の回転角を検出するものとして、ケーシング270の内部に設けられている。
また、ケーシング270内には、ロッドホルダ274が、上記ナット264と同軸的に固定されている。ボールねじ機構266の構成要素であるねじロッド262には、ねじ溝に加えスプライン溝276も形成されており、ねじロッド262とロッドホルダ274とが、スプライン嵌合させられている。それらねじロッド262とロッドホルダ274とを含んで構成されるボールスプライン機構278によって、ねじロッド262がケーシング270に対して相対回転不能、かつ、軸線方向に相対移動可能とされている。
ねじロッド262は、ケーシング270から下方に延び出している。ねじロッド262の下端部には、下方に開口するカップ形状を有するばね受部材280が設けられている。アクチュエータ252は、そのばね受部材280において、後に詳しく説明する連結機構254を介して第2ロアアーム36に連結されている。
上述の構造から、アクチュエータ252は、ばね上部に固定的に連結されるばね上部側ユニット282と、連結機構254を介してばね下部に連結されたばね下部側ユニット284とを備えている。ばね上部側ユニット282は、ケーシング270,モータ268,ナット262,ロッドホルダ274を含んで構成され、また、ばね下部側ユニット284は、ねじロッド262,ばね受部材280を含んで構成されている。
b)連結機構の構成
連結機構254は、液圧式のダンパ290を有している。そのダンパ290は、前述の第1実施例におけるダンパ52と概ね同じ構造のものである。簡単に説明すれば、2重筒とされて作動液を収容するハウジング292と、そのハウジング292の内筒の内部を2つの液室に区画するともに、摺動可能に内筒に嵌合されたピストン294とを含んで構成されている。そのダンパ290は、ピストン294の移動に伴って、そのピストン294に設けられた弁によって、ハウジング292内の2つの液室の間の作動液の流通に対する抵抗を付与するとともに、仕切壁296に設けられた弁によって、バッファ室と下液室との間の作動液の流通、つまり、仕切壁296の下部に形成された補助液室を介して行われる作動液の流通に対する抵抗を付与するものとされている。
ハウジング292は、それの下端部に設けられたブシュ298を介して第2ロアアーム36に連結されている。一方、上記ねじロッド262の下端部に固定的に接続されたピストンロッド300が、ハウジング292内に延び入っており、ピストン294は、そのピストンロッド300の下端部に連結されている。そのような構造により、ねじロッド262は、すなわち、ばね下部側ユニット284は、ダンパ290を介して第2ロアアーム36に連結されているのである。
ダンパ290のハウジング292には、それの外周部において、環状の下部スプリング座302が付設されている。この下部スプリング座302には、支持筒304がハウジング292を自身の内部に収容する状態で固定されている。この支持筒304の上端部には、内鍔状に形成された上部スプリング座306が設けられている。一方、先に説明したばね受部材280は、ねじロッド262とピストンロッド290とが接続されている箇所において、それらに固定されている。ばね受部材280は、支持筒304の内部に収容されるとともに、ハウジング292の上端部を自身の内部に収容するようにして、設けられている。このばね受部材280の下端部付近には、外鍔状に形成された中間スプリング座308が設けられている。
上部スプリング座306と中間スプリング座308と間には、圧縮コイルスプリング310が、中間スプリング座308と下部スプリング座302との間には、圧縮コイルスプリング312が、それぞれ、圧縮状態で配設されている。これら2つの圧縮コイルスプリング310,312は、互いに協働し、それらの弾性力によって、ばね受部材280を、すなわち、ばね下部側ユニット284を、ばね下部に浮動支持させる支持スプリングとしての機能を有しているのである。
上記構造から、連結機構254は、ばね下部側ユニット284のばね下部に対する相対動作を許容するものとされているが、その相対動作におけるばね下部側ユニット284とばね下部との相対変位は、連結機構254が有する相対変位制限機構314によって制限されている。具体的に言えば、ばね下部側ユニット284とばね下部とが離間する方向に相対移動する場合には、ピストン294に設けられた緩衝ゴム316がダンパ290のハウジング292の内蓋の下面に当接して、その相対移動が制限される。その一方で、ばね下部側ユニット284とばね下部とが接近する方向に相対移動する場合には、ばね受部材280の内部に付設された緩衝ゴム318が、ハウジング292の外蓋の上面に当接して、その相対移動が制限される。つまり、ハウジング292の内蓋および外蓋、2つの緩衝ゴム316,318を含んで相対変位制限機構314が構成されているのである。相対変位制限機構314による相対移動許容範囲は、第1実施例の場合と同様、図においてΔWで示されている。
なお、本サスペンション装置20では、ばね上部とばね下部のストローク動作に対するバウンドストッパ機構,リバウンドストッパ機構は、スプリング・アクチュエータAssy250に設けられている。ばね上部とばね下部との接近動作は、支持筒304の上端に付設されたストッパ板320がばね上部側ユニット282のケーシング270に設けられた緩衝ゴム322に当接するか、あるいは、ケーシング270のロッドホルダ274が配設されている部分の下端面がばね受部材280の上面に設けられた緩衝ゴム324に当接することによって制限される。一方、ばね上部とばね下部との離間動作は、ケーシング270に付設されたスカート326の下端の内鍔部に設けられた緩衝ゴム328にストッパ板320が当接することによって制限される。ちなみに、上記相対移動許容範囲ΔWは、ストローク動作の許容範囲より狭くされている。
c)エアスプリングの構成
エアスプリング256は、マウント部54に連結されるチャンバシェル340と、ダンパ290のハウジング292に固定されたことで第2ロアアーム36に連結されるエアピストン筒342と、チャンバシェル340とエアピストン筒342とを繋ぐダイヤフラム344とを含んで構成されている。
チャンバシェル340は、蓋部346を有し、その蓋部346が、防振ゴムを有するスプリングサポート348を介してアクチュエータ252のケーシング270に連結されている。また、蓋部346は、防振ゴムを有するアッパーサポート350を介してマウント部に54に連結されている。また、エアピストン筒342は、連結機構254の支持筒304の上部と、ケーシング270に付設されたスカート326とを内部に収容した状態で、下端部において、支持筒304の外周部に固定されている。
ダイヤフラム344は、一端部において、チャンバシェル340の下端部に固着され、他端部において、エアピストン筒342の上端部に固着されている。それらチャンバシェル340,エアピストン筒342,ダイヤフラム344によって、圧力室352が区画形成されている。その圧力室352には、流体としての圧縮エアが封入されている。
上述の構造から、エアスプリング256は、その圧縮エアの圧力によって、第2ロアアーム36とマウント部54とを、つまり、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結しているのである。ちなみに、前述した圧縮コイルスプリング310,312を1つのばねと仮定した場合におけるばね定数が、エアスプリング256のばね定数よりも大きく設定されている。
d)スプリング・アクチュエータAssy250の機能
本サスペンション装置20においては、アクチュエータ252のばね上部側ユニット282は、固定ユニットとして、ユニット固定部であるばね上部に固定的に連結され、その一方で、ばね下部側ユニット284は、浮動ユニットとして、ユニット浮動支持部であるばね下部に浮動支持されている。
ばね上部とばね下部とが接近・離間する場合、ばね上部とばね下部とのストローク動作に伴って、ばね上部側ユニット282とばね下部側ユニット284とが相対動作する。その相対動作により、ねじロッド262とナット264とが軸線方向に相対移動しつつ、ナット264がモータ軸272とともに回転する。モータ268は、ナット264に回転力を付与可能であり、モータ268による回転力の付与によって、アクチュエータ252は、ばね上部側ユニット282とばね下部側ユニット284との相対動作に対する抵抗力あるいは推進力となるアクチュエータ力を発生させる。
アクチュエータ力は、連結機構254を介して、ばね上部とばね下部とに作用する。連結機構254は、圧縮コイルスプリング310,312がばね下部とばね下部側ユニット284との間に介装された構造をなしている。つまり、本サスペンション装置20では、ばね下部側ユニット284が、圧縮コイルスプリング310,312によって、ばね下部に浮動支持されている。そのため、アクチュエータ力は、遅れを伴って、ばね上部とばね下部とに作用することになる。そこで、本スプリング・アクチュエータAssy250では、連結機構254において、ばね下部とばね下部側ユニット284との間にダンパ290を設け、アクチュエータ力の応答性を改善している。
エアスプリング256は、通常のサスペンションスプリングとしての機能の他に、圧力室352内にエアを流入させ、あるいは、圧力室352内からエアを流出させることで、ばね上ばね下間距離を変更する機能を有している。この機能を利用し、本実施例のサスペンションシステムは、車体と路面との距離、すなわち、車高を変更,調整することが可能とされている。この車高の変更,調整に関する構成および制御の説明は、省略する。
(B)電磁式アクチュエータの制御
本実施例のサスペンションシステムでは、第1実施例のサスペンションシステムにおけるばね上部振動減衰制御,車体姿勢変化抑制制御と同様の制御が実行される。また、相対振動減衰制御に関して言えば、第1実施例のサスペンションシステムにおいて実行されていた第1相対振動減衰制御は実行されず、第2相対振動減衰制御と同様の制御だけが実行される。本実施例のサスペンションシステムでは、それらの制御に加えて、後述するばね下部振動減衰制御が実行される。以下、各制御について順次説明するが、第1実施例における説明と同様となる説明については、できるだけ省略する。
i)ばね上部振動減衰制御
本実施例のサスペンションシステムが有するサスペンション装置20の実装置モデルは、図16(a)に示すものとなる。この振動モデルは、第1実施例に関して説明した実装置モデルと同様、ばね上質量MUと、ばね下質量MLと、中間質量MIとを含んだモデルである。ちなみに、中間質量MIは、ナット264,モータ軸272等のモータ268の回転部分等を1つの回転体の換算質量、詳しく言えば、その回転体の慣性モーメントをばね下部側ユニット284の上下動における慣性質量に換算した換算質量も含まれている。
本実装置モデルは、第1実施例における実装置モデルと同様、ばね上質量MUと中間質量MIとの間に、アクチュエータ252に相当するアクチュエータAが配設されている。また、ばね下質量MLと路面との間に、タイヤに相当するばね、すなわち、ばね定数がK3のばねK3が配設されている。
一方、第1実施例における実装置モデルと異なり、本実装置モデルでは、ばね上質量MUとばね下質量MLとの間に、エアスプリング256に相当するメインスプリング、すなわち、ばね定数がK4のばねK4が配設されている。また、中間質量MIとばね下質量MLとの間には、圧縮コイルスプリング310,312によって構成される支持スプリングに相当するスプリング、すなわち、ばね定数がK5のばねK5が配設されており、さらに、そのばねK5と並列に、ダンパ252に相当するダンパ、すなわち、減衰係数がC2のダンパC2が配設されている。なお、ダンパC2は、先に説明したように、アクチュエータ力の応答性の向上を目的とするダンパであるため、減衰係数C2は、その目的に適う適切な大きさに設定されている。
一方、アクチュエータ252の制御のための理論モデルである制御モデルは、図16(b)に示すものであり、その制御モデルでは、第1実施例における制御モデルと同様、ばね上質量MUが、減衰係数がCSのスカイフックダンパCSによって懸垂されている。
ばね上部振動減衰制御は、第1実施例の場合と同様、4つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ252に対して独立して行われ、各アクチュエータ252において、ばね上速度VUに基づき、アクチュエータ力を次式に従ったばね上部振動減衰成分FUとして発生させるように、モータ268の作動が制御される。
U=CS・VU
ばね上部振動減衰制御の具体的な手法は、第1実施例の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ii)ばね下部振動減衰制御
ばね下部振動減衰制御は、いわゆる擬似的なグランドフックダンパ理論に基づく制御であり、4つのサスペンション装置20の各々のアクチュエータ252に対して、独立して行われる。図16(b)に示す制御モデルでは、ばね下質量MLが、仮想的な路面線(グランドライン)に、減衰係数がCGのダンパCG(擬似的なグランドフックモデル理論に基づくダンパであるため、以下、「グランドフックダンパCG」と呼ぶ)を介して支持されている。
ばね下部振動減衰制御は、実装置モデルにおけるアクチュエータAの発生させるアクチュエータ力が、制御モデルにおけるグランドフックダンパCGが発生させる減衰力に相当する力となるように、アクチュエータ252が制御される。より具体的に言えば、ばね下縦加速度センサ188によって検出されたばね下部の縦加速度GL(以下、「ばね下加速度GL」という場合がある)に基づいて、ばね下部の動作速度(絶対速度)であるばね下速度VLが算定され、次式に従ったアクチュエータ力、つまり、そのばね下速度VLに応じた大きさのアクチュエータ力を、ばね下部振動減衰成分FLとして発生させるように、モータ268の作動が制御されるのである。
L=−CG・VL
減衰係数CGは、制御ゲインと考えることのできるものであり、ばね下共振周波数およびその近傍の周波数の振動を効果的に減衰させるのに適した値に設定されている。
iii)車体姿勢変化抑制制御
車体姿勢変化抑制制御は、車体のロールおよびピッチを抑制するための制御であり、第1実施例における制御と同様の手法によって行われる。詳しい説明は省略するが、前述の横加速度GYに基づいて、ロール抑制成分FRが次式に従って決定され、
R=β・GY (β:制御ゲイン)
実前後加速度GXに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
P=γ・GX (γ:制御ゲイン)
iv)相対振動減衰制御
本実施例のサスペンションシステムの各サスペンション装置20においても、アクチュエータ252のばね下部側ユニット284は、ばね下部に対して浮動支持されている。したがって、浮動ユニットであるばね下部側ユニット284は、ユニット浮動支持部であるばね下部に対して相対振動する。相対振動減衰制御は、第1実施例における相対振動制御と同様、その相対振動に対処することを目的とする制御である。
図16(b)に示す制御モデルでは、中間質量MIとばね上質量MUとの間に、ばね下部側ユニット284の相対振動を減衰させるためのダンパとして、減衰係数がCRの相対振動減衰ダンパCRが配設されている。本実施例の相対振動減衰制御は、その制御モデルに従う制御であり、第1実施例における第2相対振動減衰制御と同様の制御である。当該相対減衰制御においては、実装置モデルにおけるアクチュエータAの発生させるアクチュエータ力が、相対振動減衰ダンパCRが発生させる減衰力に相当する力となるように、各アクチュエータ252が制御される。
具体的な制御手法は、先の第2相対振動減衰制御と同様であり、ばね下部側ユニット284とばね上部側ユニット282との相対動作速度VIUに基づき、次式に従って、アクチュエータ力を、相対振動減衰成分FIとして発生させるように、モータ268の作動が制御される。
I=CR・VIU
ちなみに、相対振動減衰ダンパCRの減衰係数CRは、共振周波数およびその近傍の周波数のばね下部側ユニット284の相対振動を効果的に減衰させるのに適した値に設定されている。
本実施例における相対振動減衰制御も、第1実施例における相対振動減衰制御と同様の実行条件に従って、ばね下部側ユニット282の相対振動の強度の特定周波数成分が設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行される。また、相対変位制限機構314を備えることによる衝撃を防止あるいは緩和するため、第1実施例における制御と同様に、相対振動減衰成分FIの補正が行われる。それら、実行条件に基づく制御の実行,相対振動減衰成分FIの補正についての具体的な手法は、第1実施例における手法と同様である。
v)各制御の総合
上述したばね上部振動減衰制御,ばね下部振動減衰制御,車体姿勢変化抑制制御,相対振動減衰制御は、総合的に行われ、それらの制御におけるばね上部振動減衰成分FU,ばね下部振動減衰成分FL,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FP,相対振動減衰成分FI(詳しくは、補正後相対振動減衰成分FIAである)は、一元的に扱われる。具体的には、それらの成分FU,FL,FR,FP,FIAが、次式に従って合計され、各アクチュエータ252の発生させるべき総合的なアクチュエータ力Fが決定される。
F=FU+FL+FR+FP+FIA
第1実施例の場合と同様、各アクチュエータ252についての総合的アクチュエータ力Fに基づき、各アクチュエータ252のモータ268についてのデューティ比Dが決定され、その決定されたデューティ比Dに関する指令が、対応するインバータ172に送信される。各インバータ172は、そのデューティ比Dに基づいて、対応するアクチュエータ252のモータ268の作動制御を実行する。
v)制御プログラム
アクチュエータ252の制御は、図17にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムがECU170おいて実行されることによって行われる。このプログラムは、第1実施例におけるアクチュエータ制御プログラムと同様に、4つのアクチュエータ252の各々について行われ、車両のイグニッションスイッチがON状態とされている間中、短い時間間隔(例えば数m〜数十msec)をおいて、繰り返し実行される。
本アクチュエータ制御プログラムによる処理では、S101において、図10にフローチャートを示すばね上部振動減衰成分決定サブルーチンが実行され、続いて、S102において、図18にフローチャートを示すばね下部振動減衰成分決定サブルーチンが実行される。次に、S103において、図11にフローチャートを示す姿勢変化抑制成分決定サブルーチンが実行される。本サスペンションシステムでは、第1実施例のサスペンションシステムと異なり、相対振動減衰制御が1つしか設定されていない。そこで、S103の後、S104において、設定されている相対振動減衰制御に従う相対振動減衰成分FIAが決定される。このS104では、図13にフローチャートを示す第2相対振動減衰成分決定サブルーチンと略同じサブルーチンが実行される。
上記各サブルーチンによる処理では、先に詳しく説明した手法に従って、それぞれ、アクチュエータ力のばね上部振動減衰成分FU、ばね下部振動減衰成分FL、ロール抑制成分FRおよびピッチ抑制成分FP、補正後の相対振動減衰成分FIである補正後相対振動減衰成分FIAが決定される。
それらの成分FU,FL,FR,FP,FIAが決定された後、S105において、それらの成分FU,FL,FR,FP,FIAが合計されて、総合的なアクチュエータ力Fが決定され、次いで、S106において、その決定されたアクチュエータ力Fに基づいて、インバータ172に、デューティ比Dについての指令が発令される。S106の処理が終了した後、本アクチュエータ制御プログラムの1回の実行が終了する。第1実施例の場合と同様、本プログラムおよび各サブルーチンを構成する各ステップの処理は、先の説明を参照することにより容易に理解可能であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
(C)制御装置の機能構成
本実施例のサスペンションシステムにおけるECU170は、電磁式のアクチュエータ252が発生させるアクチュエータ力を制御するための制御装置としての役割を果たしている。このECU170の機能に関して言えば、ECU170は、図19に示すような機能構成を有していると考えることができる。
図に示すように、ECU170は、第1実施例におけるECU170と同様、ばね上部振動減衰成分決定部200、姿勢変化抑制成分決定部202と、相対振動減衰成分決定部204を有している。さらに、本ECU170では、ばね下部振動減衰成分FLを決定するための機能部として、ばね下部振動減衰決定部370を有している。それら上記ばね上部振動減衰成分決定部200,ばね下振動減衰成分決定部370,姿勢変化抑制成分決定部202,相対振動減衰成分決定部204は、それぞれ、アクチュエータ制御プログラムにおけるS101,S102,S103,S104の処理を実行するECU170の部分である。
また、ECU170は、S105の処理を実行する部分、つまり、第1実施例におけるECU170と同様、上記各成分FU,FL,FR,FP,FI(FIA)を総合して、各アクチュエータ252が発生させるべきアクチュエータ力Fを決定する部分として、アクチュエータ力決定部206を有している。さらに、S106の処理を実行する部分、つまり、そのアクチュエータ力Fに基づいて、各アクチュエータ252に対応するインバータ172にデューティ比Dについての指令を発する部分として、デューティ比指令部208を有している。
以上のような機能構成から、本実施例のECU170は、4つの制御を実行する制御部を有するものと考えることができる。その4つの制御部のうちの1つは、ばね上部振動減衰成分決定部200を含んで構成され、上述のばね上部振動減衰制御を実行する「ばね上部振動減衰制御部」であり、別の1つは、ばね下部振動減衰制御部370を含んで構成され、上述のばね下部振動減衰制御を実行する「ばね下振動減衰制御部」である。また、もう1つは、姿勢変化抑制成分決定部202を含んで構成され、上述の車体姿勢変化抑制制御を実行する「車体姿勢変化抑制制御部」であり、さらに別の1つは、相対振動減衰成分決定部204を含んで構成され、上述の相対振動減衰制御を実行する「相対振動減衰制御部」である。
≪その他の実施例≫
上述の第2実施例のサスペンションシステムは、相対振動減衰制御として第2相対振動減衰制御のみが実行可能に構成されているが、第2相対振動減衰制御に代えて、あるいは、それと選択的に、第1実施例のサスペンションシステムで採用されている第1相対振動減衰制御を実行するように構成してもよい。一方、第1実施例のサスペンションシステムは、第1,第2相対振動減衰制御のうちの一方のみを実行可能に構成されてもよい。
また、上記2つの実施例のサスペンションシステムにおいて、相対振動減衰制御は、特定周波数域の振動強度成分がある程度大きくなった場合にのみ実行されるようにされていたが、常に実行されるようにされてもよい。また、相対変位量Wに基づく相対振動減衰成分FIの補正を行っていたが、そのような補正を行わないように、相対振動減衰制御を構成してもよい。
上記第1実施例のサスペンションシステムは、ばね下部振動減衰制御が実行されないように構成されているが、当該制御を実行するように構成してもよい。逆に、上記第2実施例のサスペンションシステムは、ばね下部振動減衰制御が実行されるように構成されているが、当該制御が実行されないように構成してもよい。
上記2つの実施例のサスペンションシステムは、車両姿勢変化抑制制御において、車体のロールとピッチとの両者を抑制するように構成されていた。そのような構成に代え、車体のロールとピッチとの一方のみを抑制するように構成してもよい。また、車両姿勢変化抑制制御を実行しないように構成してもよい。
また、上記第1実施例のサスペンションシステムでは、液圧式のダンパ52に代えて若しくは加えて、ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式ダンパ、つまり、第2実施例のサスペンションシステムにおいて設けられたダンパ290と同様のダンパを設けてもよい。逆に、上記第2実施例のサスペンションシステムでは、液圧式のダンパ290に代えて若しくは加えて、ばね下部側ユニット284とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式のダンパ、つまり、第1実施例のサスペンションシステムにおいて設けられたダンパ52と同様のダンパを設けてもよい。
上記第1実施例,第2実施例のいずれのサスペンションシステムも、ばね下部側ユニットを浮動ユニットとして構成されているが、請求可能発明に従うサスペンションシステムは、ばね上部側ユニットを浮動ユニットとして構成したサスペンションシステムであってもよい。
第1実施例の車両用サスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1のサスペンションシステムにおいて後輪に対して設けられたサスペンション装置を示す正面図である。 図2のサスペンション装置を構成するサスペンションスプリング,電磁式アクチュエータ,液圧式ダンパを示す断面図である。 図3に示されている液圧式ダンパの拡大断面図である。 図2のサスペンション装置についての振動モデルを示す概念図である。 図2のサスペンション装置の振動伝達特性を示すグラフである。 図3に示されている電磁式アクチュエータが有するばね下部側ユニットの相対振動の強度の特定周波数域における成分を模式的に示すグラフである。 図3に示されている電磁式アクチュエータが有するばね下部側ユニットとばね下部との相対振動を減衰するためのアクチュエータ力の補正ゲインを示すグラフである。 図3に示されている電磁式アクチュエータを制御するためのアクチュエータ制御プログラムのフローチャートである。 図9のプログラムにおいて実行されるばね上部振動減衰成分決定サブルーチンのフローチャートである。 図9のプログラムにおいて実行される姿勢変化抑制成分決定サブルーチンのフローチャートである。 図9のプログラムにおいて実行される第1相対振動減衰成分決定サブルーチンのフローチャートである。 図9のプログラムにおいて実行される第2相対振動減衰成分決定サブルーチンのフローチャートである。 図1のサスペンションシステムが有する制御装置の機能構成を示すブロック図である。 第2実施例の車両用サスペンションシステムのサスペンション装置において採用されているスプリング・アクチュエータAssyを示す断面図である。 第2実施例の車両用サスペンションシステムが備えるサスペンション装置についての振動モデルを示す概念図である。 図15に示すスプリング・アクチュエータAssyが有する電磁式アクチュエータを制御するためのアクチュエータ制御プログラムのフローチャートである。 図17のプログラムにおいて実行されるばね下部振動減衰成分決定サブルーチンのフローチャートである。 図15のサスペンションシステムが有する制御装置の機能構成を示すブロック図である。
符号の説明
20:サスペンション装置 36:第2ロアアーム(ばね下部) 46:圧縮コイルスプリング(連結スプリング) 48:圧縮コイルスプリング(支持スプリング) 50:アクチュエータ 52:ダンパ 54:マウント部(ばね上部) 64:連結機構 72:ねじロッド 74:ナット 76:電磁モータ 84:ねじ機構 86:ばね上部側ユニット 88:ばね下部側ユニット 150:相対変位制限機構 170:電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 200:ばね上部振動減衰成分決定部(ばね上部振動減衰制御部) 202:姿勢変化抑制成分決定部(車体姿勢変化抑制制御部) 204:相対振動減衰成分決定部(相対振動減衰制御部) 250:スプリング・アクチュエータAssy 252:アクチュエータ 254:連結機構 256:エアスプリング(メインスプリング) 262:ねじロッド 264:ナット 266:ボールねじ機構 268:電磁モータ 282:ばね上部側ユニット 284:ばね下部側ユニット 290:ダンパ 310:圧縮コイルスプリング(支持スプリング) 312:圧縮コイルスプリング(支持スプリング) 314:相対変位制限機構 370:ばね下部振動減衰成分決定部(ばね下部振動減衰制御部)
U:ばね上質量 ML:ばね下質量 MI:中間質量 C1:ダンパ(減衰係数) C2:ダンパ(減衰係数) CS:スカイフックダンパ(減衰係数) CG:グランドフックダンパ(減衰係数) CR:相対振動減衰ダンパ(減衰係数) CR1:相対振動減衰ダンパ(減衰係数) CR2:相対振動減衰ダンパ(減衰係数) K1:ばね(ばね定数) K2:ばね(ばね定数) K3:ばね(ばね定数) K4:ばね(ばね定数) K5:ばね(ばね定数) VU:ばね上速度 VIL:相対動作速度(ばね下部側ユニット−ばね下部) VIU:相対動作速度(ばね上部側ユニット−ばね下部側ユニット) S:ストローク量(ばね上ばね下間距離) θ:モータ回転角 IR:共振周波数域振動強度成分 I0:設定閾強度 fR:共振周波数 ΔfR:共振周波数域 W:相対変位量 W0:設定閾変位量 ΔW:相対動作許容範囲 F:アクチュエータ力(総合的アクチュエータ力) FU:ばね上部振動減衰成分 FL:ばね下部振動減衰成分 FR:ロール抑制成分(姿勢変化抑制成分) FP:ピッチ抑制成分(姿勢変化抑制成分) FI:相対振動減衰成分 FIA:補正後相対振動減衰成分 ε:補正ゲイン

Claims (8)

  1. (A)ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、(B)ばね下部に連結され、ばね上部とばね下部との接近離間に伴って前記ばね上部側ユニットと相対動作するばね下部側ユニットと、(C)互いに螺合するねじロッドおよびナットを有し、それらねじロッドとナットとの一方が前記ばね上部側ユニットに設けられ他方が前記ばね下部側ユニットに設けられて、それらねじロッドとナットとが前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作に応じて相対回転するように構成されたねじ機構と、(D)前記ねじロッドと前記ナットとの一方にそれらの相対回転に対する力を付与する電磁モータとを有し、その電磁モータの力に依拠して、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作に対する力であるアクチュエータ力を発生させる電磁式のアクチュエータと、
    前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの一方をそれが連結されるばね上部とばね下部との一方に支持させるための支持スプリングを有し、そのばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、そのばね上部とばね下部との一方との相対動作を許容しつつ、それらを前記支持スプリングの弾性力を利用して連結する連結機構と、
    前記電磁モータの作動を制御することで、前記アクチュエータのアクチュエータ力を制御する制御装置と
    を備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記制御装置が、
    ばね上部の振動を減衰すべく、ばね上部の動作速度に応じた大きさの力を、アクチュエータ力の一成分として発生させるばね上部振動減衰制御を実行するばね上部振動減衰制御部と、
    前記支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動を減衰すべく、(a)前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度と、(b)前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作速度との一方に応じた大きさの力を、アクチュエータ力の一成分として発生させる相対振動減衰制御を実行する相対振動減衰制御部と
    を有する車両用サスペンションシステム。
  2. 前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御として、前記連結機構の支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の共振現象を抑制するための制御を実行するように構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記支持スプリングが、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方としてのばね下部側ユニットを、前記ばね上部とばね下部との一方としてのばね上部に支持させるものであり、前記連結機構が、前記ばね下部側ユニットとばね下部との相対動作を許容しつつそれらを前記支持スプリングの弾性力を利用して連結するものであり、かつ、
    前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御として、前記ばね下部側ユニットの振動を減衰すべく、(a)前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対動作速度と、(b)前記ばね下部側ユニットとばね下部との相対動作速度との一方に応じた大きさの力を発生させる制御を実行するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  4. 当該車両用サスペンションシステムが、
    ばね上部とばね下部とを自身の弾性力を利用して連結するメインスプリングと、
    前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの他方が連結されるばね上部とばね下部との他方とを、自身の弾性力を利用して連結する連結スプリングと
    の一方を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
  5. 当該車両用サスペンションシステムが、
    ばね上部とばね下部との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式のダンパと、
    前記連結機構において設けられ、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と、前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式のダンパと
    の少なくとも一方を備えた請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
  6. 前記相対振動減衰制御部が、前記相対振動減衰制御を、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動の強度の、特定周波数についての成分が、設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
  7. 前記相対振動減衰制御部が、
    前記相対振動減衰制御として、前記連結機構の支持スプリングに起因して生じる前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の共振現象を抑制するための制御を実行するように構成されており、かつ、
    前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の振動の強度の、前記共振原書における共振周波数についての成分が、設定閾値より高くなる状況下においてのみ実行するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
  8. 当該車両用サスペンションシステムが、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位を制限する相対変位制限機構を備え、
    前記相対振動減衰制御部が、
    前記アクチュエータが前記相対振動減衰制御において発生させる力についての制御ゲインを、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位量が設定閾量を超えた場合に、超えない場合に比較して大きくすることと、
    前記アクチュエータが前記相対振動減衰制御において発生させる力についての制御ゲインを、前記ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方と前記ばね上部とばね下部との一方との相対動作におけるそれらの相対変位量が大きくなるにつれて大きくすることと
    の少なくとも一方を行うように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
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