JP4894545B2 - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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本発明は、ばね上部とばね下部との相対移動に対して抵抗力を発生させる電磁式のショックアブソーバを含んで構成されるサスペンションシステムに関する。
近年では、車両用サスペンションシステムとして、電磁モータの力に依拠してばね上部とばね下部との相対移動に対する抵抗力を発生させる電磁式のショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」という場合がある)を含んで構成されるいわゆる電磁式サスペンションシステムが検討されており、例えば、下記特許文献に記載のサスペンションシステムが存在する。この電磁式サスペンションシステムは、ばね上部とばね下部との相対移動に対する推進力をも発生させ得ることから、いわゆるスカイフック理論に基づくサスペンション特性を容易に実現できる等の利点を有し、高性能なサスペンションシステムとして期待されている。
特開2005−271738号公報
上記特許文献に記載のサスペンションシステムには、高周波的な振動を減衰させることを目的として、電磁式のショックアブソーバに対して直列的に、スプリングが設けられている。ところが、このような構成のシステムにおいて、ショックアブソーバに力を発生させた場合、ばね上部とばね下部とには、スプリングを介して伝達されるため、アブソーバに発生させた力がそのまま伝達されないという問題を抱える。電磁式サスペンションシステムは、未だ開発途上にあるため、上記の問題を始めとする種々の問題を抱え、実用性を向上させるための改良の余地を多分に残すものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いサスペンションシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のサスペンションシステムは、電磁式のショックアブソーバを備えたシステムであり、ばね上部とばね下部との一方である一方部に、そのショックアブソーバの構成要素であるばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとのうち一方部に連結されるものである一方部側ユニットを弾性的に支持させる弾性支持機構を含んで構成され、少なくともばね上部の振動を減衰するための制御における目標アブソーバ力を、アブソーバ力がその弾性支持機構を介してばね上部とばね下部との間に実際に作用する力である実作用力として伝達される際の伝達特性と、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき力である必要作用力とに基づいて決定するように構成され、その伝達特性が、アブソーバ力を入力としそのアブソーバ力による一方部側ユニットの一方部に対する移動量を出力とした場合の第1の伝達関数と、その移動量を入力とし実作用力を出力とした場合の第2の伝達関数との積として設定された伝達関数として規定されていることを特徴とする。
本発明のサスペンションシステムは、アブソーバ力がばね上部とばね下部とに伝達される際のそのアブソーバ力の伝達特性を考慮して、振動減衰制御において発生させるアブソーバ力が決定されるため、ばね上部とばね下部との間に作用させる力の適切化を図ることが可能となる。したがって、そのようなばね上部とばね下部との間に作用させる力の適切化が図られた本発明のシステムによれば、実用性の高いサスペンションシステムが構築されることになる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」
という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の項において、(1)項,(3)項,(4)項を合わせたものが請求項1に相当し、請求項1に(2)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(5)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(6)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれかに(7)項に記載の技術的特徴を付加したものが請求項5に、それぞれ相当する。
(1)ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、ばね下部に連結されてばね上部とばね下部との接近・離間に応じた前記ばね上部側ユニットと相対移動可能なばね下部側ユニットと、電磁式モータとを有し、その電磁式モータの力に依拠して前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対移動に対する力であるアブソーバ力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
ばね上部とばね下部との一方である一方部と、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとのうちの前記一方部に連結されるものである一方部側ユニットとを連結するスプリングを有し、前記一方部側ユニットを前記一方部に弾性的に支持させる弾性支持機構と、
前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を制御することで、少なくともばね上部の振動を減衰するための振動減衰制御を実行する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
アブソーバ力が前記弾性支持機構を介してばね上部とばね下部との間に実際に作用する力である実作用力として伝達される際の伝達特性と、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき力である必要作用力とに基づいて、前記振動減衰制御における目標アブソーバ力を決定する目標アブソーバ力決定部を有する車両用サスペンションシステム。
電磁式のショックアブソーバ(以下、単に「電磁式アブソーバ」という場合がある)は、高周波振動、例えば、荒れた路面や連続的な凹凸のある路面を走行するような場合の振動に対して、充分に対応できるとは言い難い。そこで、電磁式アブソーバを含んで構成されるサスペンションシステムにおいては、車輪から入力されてばね上部に伝達される振動を吸収するために、スプリングを電磁式アブソーバに対して直列的に設けたシステムが検討されている。サスペンションシステムがそのような構成とされた場合、電磁式アブソーバが発生させるアブソーバ力は、スプリングを介してばね上部とばね下部とに伝達されるため、そのまま伝達されず、ばね上部とばね下部とに実際に作用する力である実作用力とアブソーバ力との間に差異が生じることになる。具体的には、例えば、スプリングを介して伝達されることによる時間的な遅れ等に起因して、アブソーバ力の値と実作用力の値との間に差が生じる場合があるのである。そして、そのような実作用力とアブソーバ力との間の差異によって、車両に発生している振動を適切に減衰できないことになる。
本項に記載の態様では、振動減衰制御における目標アブソーバ力が、アブソーバ力が上記実作用力として伝達される際の特性である伝達特性と、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき力である必要作用力とに基づいて決定されるため、ばね上部とばね下部との間に作用させる力の適切化を図ることが可能である。つまり、本項の態様のシステムによれば、減衰力の適切化が図られることとなる。そのことにより、例えば、スプリングを電磁式アブソーバに対して直列的に配設したことによる車両の乗り心地,車両の操縦性,安定性等の悪化を抑制あるいは防止することが可能である。なお、本項の態様における「目標アブソーバ力決定部」は、それの具体的な構成が特に限定されるものではない。例えば、必要作用力が入力されて目標アブソーバ力を出力するための専用のコンピュータを含んで構成されるものであってもよく、その他の制御にも用いられるような汎用性のあるコンピュータ内に必要作用力が入力されて目標アブソーバ力を出力するためのプログラムが記憶され、そのプログラムの処理を実行する部分を含んで構成されるものであってもよい。
本項の態様における「ショックアブソーバ」は、ばね上部とばね下部とを積極的に相対動作させる推進力や外部からの入力に対してばね上部とばね下部とを相対動作させないようにする力をも発生可能なものとされてもよい。その場合、本項の態様のシステムにおいて実行される「振動減衰制御」は、ばね上振動に対する減衰力を発生させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御を採用することが可能である。また、そのスカイフックダンパ理論に基づく制御と、ばね下振動に対する減衰力を発生させる制御である擬似的なグランドフック理論に基づく制御との両者を複合した制御を採用することも可能である。なお、本項の態様のシステムにおいては、車体のロールやピッチの抑制を目的とした、車体の姿勢制御を実行可能とされてもよい。そのような場合には、例えば、ショックアブソーバに発生させるアブソーバ力が、その車体の姿勢制御において発生させる力と振動減衰制御において発生させる力との和に基づいて制御されるようにされ、それら2つの制御を同時に実行するための目標アブソーバ力が、伝達特性と必要作用力とに基づいて決定されるような構成の態様を採用可能である。
また、ショックアブソーバの動力源である「電磁モータ」は、その型式等は特に限定されず、DCブラシレスモータを始めとして種々の型式のモータを採用可能であり、また、動作に関して言えば、回転モータであっても、リニアモータであってもよい。
本項の態様における「弾性支持機構」は、例えば、主として、比較的高い周波数の振動を減衰させる目的として設けることが可能である。弾性支持機構は、スプリングを主体として構成されたものであればよいが、そのスプリングを補助する目的として、後に詳しく説明する液圧式ダンパを有するものとされてもよい。なお、スプリングには、どのような構造のものをも採用可能であるが、弾性支持機構が液圧式ダンパを有する場合には、例えば、コイルスプリングを採用し、シリンダ装置とされた液圧式ダンパがコイルスプリングを貫通して(例えば、コイルスプリングの中に)配置されるように構成すれば、コンパクトなサスペンションシステムが実現する。
ちなみに、本明細書において「連結」という文言は、直接的に接続されることのみを意味するものではなく、何らかの部品,部材,ユニット等を介し、間接的に接続されることをも意味する。例えば、ばね上部側ユニット,ばね下部側ユニットがばね上部,ばね下部と連結されるとは、それらが直接的に連結される場合の他、それらの間にスプリング,液圧式ダンパ等を介して連結されるような場合も含まれる。
(2)前記目標アブソーバ力決定部が、
前記実作用力の値が、前記必要作用力と一致するアブソーバ力を前記ショックアブソーバに発生させた場合の値よりも、前記必要作用力に近い値となるように、前記目標アブソーバ力を決定するものである(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様のシステムによれば、ばね上部とばね下部との間に作用する力の適切化を担保することができ、効果的な振動減衰が可能となる。なお、本項の態様においては、実作用力の値を必要作用力と可及的に一致させることが望ましい。
(3)前記伝達特性が、アブソーバ力を入力とし、前記実作用力を出力とする伝達関数として規定されている(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
(4)前記伝達関数が、アブソーバ力を入力としそのアブソーバ力によって前記一方部側ユニットが前記一方部に対して移動する場合の移動量を出力とした第1の伝達関数と、前記移動量を入力とし前記実作用力を出力とした第2の伝達関数との積として設定された(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項に記載の態様では、例えば、入力のラプラス変換に対する出力のラプラス変換の比で定義される伝達関数を採用することが可能である。なお、後者の態様は、前者の態様における伝達関数を具体的に限定した態様である。上記2つの項の態様においては、例えば、上記アブソーバ力を入力とし実作用力を出力とした場合の伝達関数の逆数関数である伝達関数を設定し、その逆数関数である伝達関数に対して必要作用力を入力することで、目標アブソーバ力を出力することが可能である。その場合の態様は、必要作用力を入力して目標アブソーバ力が出力されることから、いわゆるフィルタ処理を実行する態様と考えることができる。具体的には、例えば、制御装置に備えさせたフィルタ回路において、上記フィルタ処理が実行されるような態様を採用可能である。
(5)前記弾性支持機構が、前記一方部と前記一方部側ユニットとの相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式ダンパを有する(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
(6)前記液圧式ダンパが、ばね下共振周波数域の振動のばね下部からばね上部への伝達を抑制するためのものである(5)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項に記載の態様は、弾性支持機構に、スプリングと並列的に液圧式ダンパが設けられた構成のものを採用した態様である。「液圧式ダンパ」は、スプリングを補助する目的として、つまり、後者の態様のように、比較的高い周波数の振動を減衰させる目的として設けることが可能である。つまり、上記2つの項の態様によれば、ばね下共振のような高周波振動をより効果的に減衰させることが可能となる。なお、液圧式ダンパは、その構造が特に限定されるものではないが、例えば、ハウジング,ピストン等を備えたシリンダ装置としての構造を有するものとすることが可能である。
(7)前記一方部が、ばね下部であり、前記一方部側ユニットがばね下部側ユニットとされた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様によれば、ばね下部とショックアブソーバのばね下部側ユニットとの間に弾性支持機構が配設されるため、車輪から入力されてショックアブソーバに伝達される衝撃の緩和,振動の減衰が可能である。つまり、本項の態様によれば、電磁モータへ伝達される振動が効果的に減衰されるため、信頼性の高いサスペンションシステムが実現することになる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪サスペンションシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
スプリング・アブソーバAssy20は、図2に示すように、車輪12を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアーム22と、車体に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部24との間に、それらを連結するようにして配設されている。スプリング・アブソーバAssy20は、大きくは、電磁式のショックアブソーバとしてのアクチュエータ30と、液圧式のダンパ32と、サスペンションスプリングとしてのエアスプリング34とに区分することができ、それらを構成要素として含んで構成されており、それらが一体化されたものとなっている。
アクチュエータ30は、ねじ溝40が形成された雄ねじ部としてのロッド42と、ベアリングボールを保持してロッド42と螺合する雌ねじ部としてのボールねじナット44とを含んで構成されるボールねじ機構と、動力源としての電磁モータ46(以下、単に「モータ46」という場合がある)と、それらボールねじ機構およびモータ46を収容するケーシング48とを備えている。そのケーシング48が、外周部において、マウント部24に連結されている。モータ46は、中空とされたモータ軸50を有しており、そのモータ軸50の下端部の内側には、ボールねじナット44が固定されている。つまり、モータ46は、ボールねじナット44に回転力を付与するものとなっている。そして、ロッド42が、ボールねじナット44と螺合させられて、モータ軸50内から下方に延び出した状態で配設される。
また、ケーシング48内には、ボールスプラインナット60が、上記ボールねじナット44と同軸的に固定されている。一方、ボールねじ機構の構成要素であるロッド42には、スプライン溝62も形成されており、ロッド42とボールスプラインナット60とが、スプライン嵌合できるように構成されている。それらロッド42とボールスプラインナット60とを含んで構成されるボールスプライン機構によって、ロッド42がケーシング48に対して相対回転不能、かつ、軸線方向に相対移動可能とされている。ロッド42は、ケーシング48から下方に延び出して、ダンパ32に連結される。
ダンパ32は、ツインチューブ式のショックアブソーバに類似する構造のものであり、2重筒とされて作動液を収容するハウジング70と、そのハウジング70にそれの内筒の内部において液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン72とを含んで構成されている。そのダンパ32は、ピストン72の移動に伴って、そのピストン72に設けられたバルブによって、ハウジング70内の2つの作動液室の間の作動液の流通に対する抵抗を付与するとともに、ベースバルブ体74によって、2重筒の間に形成されたリザーバ室とピストン72の下側の作動液室との間の作動液の流通に対する抵抗を付与するものとされている。ハウジング70は、それの下端部に設けられたブシュ76を介してロアアーム22に連結されている。一方、アクチュエータ30の上記ロッド42の下端部に固定されたピストンロッド78がハウジング70内に延び入っており、ピストン72は、そのピストンロッド78の下端部に連結されている。
ダンパ32のハウジング70には、それの外周部に環状の下部リテーナ90が設けられている。その下部リテーナ90とアクチュエータ30のケーシング48との間には、ケーシング48に上端部が固定されたアウタチューブ92と、そのアウタチューブ92に嵌入されて下端部が下部リテーナ90に固定されたインナチューブ94とを含んで構成されるシリンダ96が設けられている。一方、ロッド42とピストンロッド78との接続部には、リテーナ98が付設されている。そして、そのリテーナ98が、それに設けられたフランジ部の下面側と下部リテーナ90との間に配設された圧縮コイルスプリング100と、リテーナ98のフランジ部の上面側とインナチューブ94の上端部に形成されたフランジ部との間に配設された圧縮コイルスプリング102とによって挟持されている。
エアスプリング34は、マウント部24に連結されるチャンバシェル120と、ロアアーム22に連結されるエアピストン筒122と、それらを接続するダイヤフラム124とを含んで構成されている。チャンバシェル120は、防振ゴム126を介してマウント部24に連結されるとともに、防振ゴム128を介してアクチュエータ30のケーシング48に連結される。エアピストン筒122は、シリンダ106を内部に収容した状態で、下端部がシリンダ106のインナチューブ104の外周部に固定されている。ダイヤフラム124が、一端部がチャンバシェル120の下端部に固定され、他端部がエアピストン筒122の上端部に固定されており、それらチャンバシェル120とエアピストン筒122とダイヤフラム124とによって圧力室130が区画形成されている。その圧力室130には、流体としての圧縮エアが封入されている。このような構造から、エアスプリング24は、その圧縮エアの圧力によって、ロアアーム22とマウント部24、つまり、車輪12と車体とを相互に弾性的に支持しているのである。ちなみに、前述した圧縮コイルスプリング100,102を1つのばねと仮定した場合におけるばね定数が、エアスプリング34のばね定数よりも大きく設定されている。
上述のような構造から、アクチュエータ30は、ボールねじナット44,モータ46,ケーシング48,ボールスプラインナット60,アウタチューブ92を含んでマウント部24に連結されるばね上部側ユニットが構成されるとともに、ロッド42,ピストンロッド78,リテーナ98を含んでロアアーム22に連結されるばね下部側ユニットが構成される構造のものとなっている。また、そのばね下部側ユニットとロアアーム22とは、2つの圧縮コイルスプリング100,102およびダンパ32によって連結されており、それら圧縮コイルスプリング100,102,ダンパ32を含んで、一方部としてのばね下部に一方部側ユニットとしてのばね下部側ユニットを支持させる弾性支持機構が構成されている。なお、ダンパ32は、ばね下部側ユニットとばね下部との間の相対移動に対して抵抗力を発生させるものである。つまり、弾性支持機構は、2つの圧縮コイルスプリング100,102によって、ばね下部からばね下部側ユニットに伝達される衝撃を和らげ、ダンパ32によって、ばね下部からばね下部側ユニットに伝達される振動を減衰するものとなっている。
アクチュエータ30は、ばね上部とばね下部とが接近・離間する場合に、ロッド42とボールねじナット44とが軸線方向に相対移動可能、つまり、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとが相対移動可能とされ、その相対移動に伴って、ボールねじナット44がロッド42に対して回転する(モータ軸50も回転する)ことになる。モータ46は、ボールねじナット44に回転トルクを付与可能とされ、この回転トルクによって、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動に対して、その相対移動を阻止する方向の抵抗力を発生させることが可能である。この抵抗力をばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する減衰力、ひいては、ばね上部とばね下部との接近・離間に対する減衰力として作用させることで、アクチュエータ30は、いわゆるショックアブソーバとして機能するものとなっている。また、アクチュエータ30は、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する推進力をも発生させることが可能とされており、いわゆるスカイフックダンパ理論,擬似的なグランドフック理論等に基づく制御を実行すること、旋回時の車体のロール,加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制すること、車両の車高を調整すること等が可能とされているのである。
なお、本実施例のサスペンションシステム10における振動減衰機能に着目すれば、以下のようである。アクチュエータ30は、5Hz以下の比較的周波数の低い振動に関しては、効果的にそれらの振動減衰が可能である。しかし、10Hzを超えるような周波数の高い振動に対しては、効果的な振動減衰が難しい。本実施例においては、アクチュエータ30では効果的な減衰ができない範囲の振動に対して、圧縮コイルスプリング100,102にりその振動を和らげ、ダンパ32により10Hzを超えるような高周波振動をも効果的に減衰可能となっている。
サスペンションシステム10は、各スプリング・アブソーバAssy20が有するエアスプリング34に対して流体としてのエア(空気)を流入・流出させるための流体流入・流出装置、詳しく言えば、エアスプリング34の圧力室130に接続されて、その圧力室130にエアを供給し、圧力室130からエアを排出するエア給排装置140を備えている。詳しい説明は省略するが、本サスペンションシステム10は、エア給排装置140によって、各エアスプリング34の圧力室130内のエア量を調整することが可能とされており、エア量の調整によって、各エアスプリング34のばね長を変更し、各車輪12についてのばね上部とばね下部との間の距離(以下、「ばね上ばね下間距離」という場合がある)を変化させることが可能とされている。具体的に言えば、圧力室130のエア量を増加させてばね上ばね下間距離を増大させ、エア量を減少させてばね上ばね下間距離を減少させることが可能とされている。
本サスペンションシステム10は、制御装置としてのサスペンション電子制御ユニット200(以下、「ECU200」という場合がある)によって、スプリング・アブソーバAssy20の作動、つまり、アクチュエータ30およびエアスプリング34の制御が行われる。ECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものである。そのサスペンションECU200には、エア給排装置140の駆動回路としてのドライバ202と、各アクチュエータ30が有するモータ46に対応して設けられて、そのモータ46を制御する駆動回路としてのインバータ204とが接続されている。それらドライバ202およびインバータ204は、コンバータ206を介してバッテリ208に接続されており、エア給排装置140が有する各制御弁,ポンプモータ等、および、各アクチュエータ30のモータ46には、そのコンバータ206とバッテリ208とを含んで構成される電源から電力が供給される。なお、モータ54は定電圧駆動されることから、モータ54への供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更される。ちなみに、供給電流量は、各インバータ204がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
車両には、イグニッションスイッチ[I/G]220,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]222,各車輪12についてのばね上ばね下間距離を検出する4つのハイトセンサ[h]224,車高変更指示のために運転者によって操作される車高変更スイッチ[HSw]226,ステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ[δ]228,車体に実際に発生する前後加速度である実前後加速度を検出する前後加速度センサ[Gx]230,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ[Gy]232,各車輪12に対応する車体の各マウント部24の縦加速度(上下加速度)を検出する4つのばね上縦加速度センサ[Gzs]234,各車輪12の縦加速度を検出する4つのばね下縦加速度センサ[Gzg]236,アクセルスロットルの開度を検出するスロットルセンサ[Sr]238,ブレーキのマスタシリンダ圧を検出するブレーキ圧センサ[Br]240等が設けられており、それらはECU200のコンピュータに接続されている。ECU200は、それらのスイッチ,センサからの信号に基づいて、スプリング・アブソーバAssy20の作動の制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、ECU200のコンピュータが備えるROMには、アクチュエータ30の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
≪サスペンションシステムの制御≫
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ30のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行される。まず、上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき力である必要作用力が求められ、ばね上部とばね下部との間に実際に作用する力が必要作用力となるように、目標アクチュエータ力が決定される。そして、アクチュエータ30がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
なお、本サスペンションシステム10では、エアスプリング34によって、路面の起伏が大きい道路の走行への対処等を目的として運転者の意思に基づいて車両の車高を変更する制御(以下、「車高変更制御」という場合がある)も実行される。その車高変更制御について簡単に説明する。車高変更制御は、運転者の意図に基づく車高変更スイッチ166の操作によって実現すべき設定車高である目標設定車高が変更された場合において、実行される。その目標設定車高の各々に応じて、各車輪12についての目標となるばね上ばね下間距離が設定されており、ハイトセンサ224の検出値に基づいて、それぞれの車輪12についてのばね上ばね下間距離が目標距離になるように、エア給排装置140の作動が制御され、各車輪12のばね上ばね下間距離が目標設定車高に応じた距離に変更されるのである。さらに、この車高変更制御では、例えば、乗員数の変化,荷物の積載量の変化等による車高の変動に対処することを目的とした、いわゆるオートレベリングと呼ばれる制御も行われる。
i)振動減衰制御
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分fVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御と、擬似的なグランドフック理論に基づいた制御との両者を行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたばね上縦加速度センサ234によって検出されるばね上縦加速度から計算される車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上速度Vsと、ロアアーム22に設けられたばね下縦加速度センサ236によって検出されるばね下縦加速度から計算される車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下速度Vgとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分fVが演算される。
V=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Cs,Cgは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
ii)ロール抑制制御
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ30にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ30にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ232によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分fRが、次式に従って決定される。
R=K3・Gy* (K3:ゲイン)
iii)ピッチ抑制制御
車体の制動時等、減速時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ230によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分fPが、次式に従って決定される。
P=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ238によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ240によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
iv)必要作用力の決定
上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分fV,ロール抑制成分fR,ピッチ抑制成分fPが決定されると、それらに基づき、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき必要作用力FNが、次式に従って決定される。
N=fV+fR+fP
次いで、その必要作用力fNに基づいて、アクチュエータ30が発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力f*が決定される。本サスペンションシステム10は、アクチュエータ30に対して、圧縮コイルスプリング100,102およびダンパ32(弾性支持機構)が直列的に配設されているため、アクチュエータ力が、ばね上部とばね下部との間に弾性支持機構を介して伝達されることになる。そこで、本システム10においては、アクチュエータ力が弾性支持機構を介してばね上部とばね下部の間に実際に作用する力である実作用力として伝達される際の伝達特性と、上記必要作用力fNとに基づいて、目標アクチュエータ力f*が決定されるようになっている。
v)伝達特性
以下に、上記の伝達特性について詳しく説明する。図3は、スプリング・アブソーバAssy20をモデル化した図である。時間tをパラメータとするアクチュエータ力をfA(t)とし、そのアブソーバ力fA(t)によってばね下部側ユニットがばね下部に対して移動する場合の移動量をx(t)とした場合において、ばね下部側ユニットに対する運動方程式は、次式によって表される。
m・d2x(t)/dt2+c・dx(t)/dt+k・x(t)=fA(t) ・・・(1)
ここで、mはばね下部側ユニット(ばね下部側ユニットとともに移動する部材等を含む)の質量、cはダンパ32の減衰係数、kは2つの圧縮コイルスプリング100,102を1つのばねと仮定した場合のばね定数である。(1)式を、sをパラメータとしてラプラス変換することで、次式が求まる。
X(s)=1/(m・s2+c・s+k)・FA(s) ・・・(2)
なお、X(s),FA(s)は、それぞれx(t),fA(t)をラプラス変換した関数である。
また、ばね下部側ユニットの移動量x(t)に対して、ばね下部に実際に作用する力である実作用力をfr(t)とした場合において、ばね下部に対する運動方程式は、次式によって表される。
fr(t)=c・dx(t)/dt+k・x(t) ・・・(3)
この(3)式を、sをパラメータとしてラプラス変換した式が次式である。
Fr(t)=(c・s+k)・X(s) ・・・(4)
なお、Fr(s)は、fr(t)をラプラス変換した関数である。そして、この(4)式に(2)式を代入すれば、次式が得られる。
Fr(t)=(c・s+k)/(m・s2+c・s+k)・FA(s) ・・・(5)
したがって、アクチュエータ力が実作用力として伝達される際の伝達特性は、アクチュエータ力を入力とし実作用力を出力とする伝達関数として規定され、その伝達関数G(s)は、次式によって表されることになる。
G(s)=(c・s+k)/(m・s2+c・s+k) ・・・(6)
つまり、伝達関数G(s)は、アクチュエータ力を入力としそのアクチュエータ力によってばね下部側ユニットがばね下部に対して移動する場合の移動量を出力とした第1の伝達関数(G1(s)=1/(m・s2+c・s+k))と、その移動量を入力とし実作用力を出力とした第2の伝達関数(G2(s)=c・s+k)との積として設定されているのである。
vi)目標アクチュエータ力の決定
先にも述べたように、目標アクチュエータ力f*は、必要作用力fNと上記伝達関数G(s)とに基づいて決定される。具体的には、実作用力の値が先に求められた必要作用力の値となるように、目標アクチュエータ力f*が決定されるのであり、つまり、上記の(5)式において、実作用力が必要作用力である場合のアクチュエータ力が、目標アクチュエータ力とされるのである。詳しく言えば、上記伝達関数G(s)の逆数関数である伝達関数G'(s)=1/G(s)が設定され、その伝達関数G'(s)に対して必要作用力を入力することで、目標アクチュエータ力が出力される。つまり、いわゆるフィルタ処理が実行されるのである。本サスペンションシステム10においては、ECU200が、伝達関数が上記G'(s)に設定されたフィルタ回路250(図4参照)を有しており、前述したように決定された必要作用力fNを入力すれば、目標アクチュエータ力f*が出力されるようになっている。
上記フィルタ回路250内において実行される処理は、次のようなものである。先に述べた必要作用力fNは、ECU200のコンピュータ内に記憶されたプログラムが、イグニッションスイッチ220がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいて繰り返し実行されることによって決定され、フィルタ回路250に送信される。フィルタ回路250における処理において、まず、現時点から遡った設定時間内における必要作用力fNのデータに基づいて、s=jωをパラメータとするラプラス変換が行われる。ここで、jは複素数,ωは角周波数であり、この場合のラプラス変換は、フーリエ変換である。次いで、必要作用力のフーリエ変換FN(jω)が、伝達関数G'(jω)に入力され、目標アクチュエータ力のフーリエ変換F*(jω)が出力される。その出力された目標アクチュエータ力のフーリエ変換F*(jω)に対してフーリエ逆変換が行われ、目標アクチュエータ力f*が出力されるのである。
上述のように決定された目標アクチュエータ力f*を発生させるようにアクチュエータ30が制御される。目標アクチュエータ力f*を発生させるためのモータ46の作動制御は、インバータ204によって行われる。詳しく言えば、上述のように決定された目標アクチュエータ力f*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ204に送信される。インバータ204は、その適切なデューティ比の下、インバータ204の備えるスイッチング素子の開閉が制御されて、目標アクチュエータ力f*を発生させるようにモータ46を駆動する。
≪制御装置の機能構成≫
上述したようなアクチュエータ30の制御を実行するECU200は、それらの各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図4に示すように、ECU200は、減衰力成分fV決定する機能部として振動減衰制御部300を、ロール抑制成分fRを決定する機能部としてロール抑制制御部302を、ピッチ抑制成分FPを決定する機能部としてピッチ抑制制御部304を、それぞれ有している。また、ECU200は、先に述べたフィルタ回路250を有しており、そのフィルタ回路250は、伝達特性と必要作用力とに基づいて目標アクチュエータ力を決定する処理を実行する目標アクチュエータ力決定部として機能するものとなっている。
以上のように、本サスペンションシステム10においては、目標アクチュエータ力が、伝達特性と必要作用力とに基づいて決定されることから、弾性支持機構を介してばね上部とばね下部との間に伝達される力が適切化されることになる。つまり、本システム10によれば、弾性支持機構をアクチュエータに対して直列的に配設したことによる車両の乗り心地,車両の操縦性,安定性等の悪化を防止することが可能である。
請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1に示すスプリング・アブソーバAssyを示す正面断面図である。 図2のスプリング・アブソーバAssyをモデル化した図である。 図1に示すサスペンションシステムが有する制御装置の機能に関するブロック図である。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 20:スプリング・アブソーバAssy 22:ロアアーム(ばね下部) 24:マウント部(ばね上部) 30:アクチュエータ(ショックアブソーバ) 32:ダンパ(液圧式ダンパ) 34:エアスプリング 42:ロッド(雄ねじ部) 44:ボールねじナット(雌ねじ部) 46:電磁モータ 48:ケーシング 90:下部リテーナ 98:リテーナ 100,102:圧縮コイルスプリング 140:エア給排装置 200:サスペンション電子制御ユニット(ECU,制御装置) 204:インバータ 220:イグニッションスイッチ 222:車速センサ 224:ハイトセンサ 226:車高変更スイッチ 228:操作角センサ 230:前後加速度センサ 232:横加速度センサ 234:縦加速度センサ(ばね上) 236:縦加速度センサ(ばね下) 238:スロットルセンサ 240:ブレーキ圧センサ 250:フィルタ回路(目標アブソーバ力決定部) 300:振動減衰制御部 302:ロール抑制制御部 304:ピッチ抑制制御部

Claims (5)

  1. ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、ばね下部に連結されてばね上部とばね下部との接近・離間に応じた前記ばね上部側ユニットと相対移動可能なばね下部側ユニットと、電磁式モータとを有し、その電磁式モータの力に依拠して前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対移動に対する力であるアブソーバ力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
    ばね上部とばね下部との一方である一方部と、前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとのうちの前記一方部に連結されるものである一方部側ユニットとを連結するスプリングを有し、前記一方部側ユニットを前記一方部に弾性的に支持させる弾性支持機構と、
    前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を制御することで、少なくともばね上部の振動を減衰するための振動減衰制御を実行する制御装置と
    を備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記制御装置が、
    アブソーバ力が前記弾性支持機構を介してばね上部とばね下部との間に実際に作用する力である実作用力として伝達される際の伝達特性と、ばね上部とばね下部との間に作用させるべき力である必要作用力とに基づいて、前記振動減衰制御における目標アブソーバ力を決定する目標アブソーバ力決定部を有し、
    前記伝達特性が、
    アブソーバ力を入力としそのアブソーバ力による前記一方部側ユニットの前記一方部に対する移動量を出力とした場合の第1の伝達関数と、前記移動量を入力とし前記実作用力を出力とした場合の第2の伝達関数との積として設定された伝達関数として規定されている車両用サスペンションシステム。
  2. 前記目標アブソーバ力決定部が、
    前記実作用力の値が、前記必要作用力と一致するアブソーバ力を前記ショックアブソーバに発生させた場合の値よりも、前記必要作用力に近い値となるように、前記目標アブソーバ力を決定するものである請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記弾性支持機構が、前記一方部と前記一方部側ユニットとの相対動作に対する抵抗力を発生させる液圧式ダンパを有する請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  4. 前記液圧式ダンパが、ばね下共振周波数域の振動のばね下部からばね上部への伝達を抑制するためのものである請求項3に記載の車両用サスペンションシステム。
  5. 前記一方部が、ばね下部であり、前記一方部側ユニットがばね下部側ユニットとされた請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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