JP5211674B2 - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Description
記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項,(5)項,(6)項を合わせるとともにばね下加速度依拠抵抗制御において発生させるアクチュエータ力の大きさに限定を加えたものが請求項1に相当し、(2)項ないし(4)項の各々が、請求項2ないし請求項4の各々に、(7)項,(8)項の各々が、請求項5,請求項6の各々に、それぞれ
相当する。
車両の走行中、前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、定められた規則に基づいて制御する標準制御を実行可能とされた制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、路面の凸所あるいは凹所を車輪が通過する際のばね下加速度に基づき、前記標準制御に代えて、あるいは、標準制御に加えて、ばね下部の動作に対する抵抗力となるアブソーバ力を発生させるばね下加速度依拠抵抗制御を実行可能に構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
ばね下加速度が設定された大きさ以上となった場合に、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
ばね下加速度の変化速度が設定された大きさ以上となった場合に、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
ばね下加速度に基づき、ばね下部に設定された大きさ以上の力が加わると推定されるときに、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
ばね上部とばね下部とのバウンド方向の相対動作とリバウンド方向の相対動作とのそれぞれを制限するバウンドストッパとリバウンドストッパとの少なくとも一方を備えた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(a)ばね上部とばね下部と一方に支持され、雄ねじが形成されたねじロッドと、(b)ばね上部とばね下部との他方に支持され、雌ねじが形成されて前記ねじロッドと螺合するナットとを含んで構成され、ばね上部とばね下部との接近離間動作に伴って前記ねじロッドと前記ナットとが相対回転する構造のねじ機構を有し、かつ、前記電磁モータが、その相対回転に対する力を発生させることで、アブソーバ力を発生させるように構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
<サスペンションシステムの構成>
図1に、請求可能発明の第1実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
i)アクチュエータの標準制御の概要
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20が有するアクチュエータ30の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ30のアクチュエータ力が独立して制御されて、定められた規則に基づいた標準制御が実行される。詳しく言えば、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある),車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が、並行して実行される制御である。上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ30がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御と、擬似的なグランドフックダンパ理論に基づいた制御との両者を総合して行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたばね上縦加速度センサ174によって検出されるばね上縦加速度から得られる車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上絶対速度Vsと、ロアアーム22に設けられたばね下縦加速度センサ176によって検出されるばね下縦加速度から得られる車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下絶対速度Vgとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
FV=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Cs,Cgは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ30にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ30にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ172によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
FR=K3・Gy* (K3:ゲイン)
車両の制動時等の減速時において車体のノーズダイブが生じる場合には、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車両の加速時において車体のスクワットが生じる場合には、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合のばね上ばね下間距離の変動を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ170によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
FP=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ178によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ180によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
アクチュエータ30の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って制御目標値である目標アクチュエータ力F*が決定される。
F*=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*を発生させるためのモータ44の作動制御が、インバータ146によって行われる。詳しく言えば、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、インバータ146の備えるスイッチング素子の開閉が制御されて、目標アクチュエータ力F*を発生させるようにモータ44を作動させる。
次に、本システム10において上記標準制御が実行されている状態で、路面の凸所あるいは凹所を車輪が通過する場合、つまり、路面が急に高くなる箇所,急に低くなる箇所を車輪が通過する場合を考える。例えば、路面が急に高くなる箇所では、ばね下部が勢いよく上方に動作させられて、ばね上部とばね下部とが接近する、つまり、アクチュエータ30が収縮することになる。そして、アクチュエータ30がバウンド側のストロークエンドに達した際、つまり、バウンドストッパが機能した際の衝撃は、比較的大きなものとなり、車両の乗員が感じる衝撃も大きい。
F*=−KG・Gzg (KG:ゲイン)
なお、ばね下縦加速度Gzgが、閾加速度G0より小さい状態が一定時間t0以上となった場合に、標準制御に戻されるようになっている。
前述のようなアクチュエータ30の制御は、図4にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ30の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ30に対してのプログラムによる処理について説明する。
第2実施例の車両用サスペンションシステムは、そのハード構成が、第1実施例のシステムと同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のシステムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するものとする。本実施例のシステムは、第1実施例のシステムとはECU140による制御が、さらに詳しく言えば、ばね下加速度依拠抵抗制御が、第1実施例のシステムとは異なるものとされている。本実施例のシステムにおける制御を、図5にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムを参照しつつ、説明する。
FJ=−KJ・J (KJ:ゲイン)
ただし、本プログラムにおいても、第1実施例のばね下加速度依拠抵抗制御と同様に、その制御の1回の実行を通じて、ばね下ジャーク依拠抵抗力成分FJの最大となる値が、目標アクチュエータ力F*とされる(S35〜S37)。また、ばね下加速度依拠抵抗制御は、ばね下ジャークJの大きさが閾値J0より小さい状態が一定時間t0以上となった場合に、標準制御に戻されるようになっている(S25〜S27)。
Claims (6)
- ばね上部とばね下部との間に配設され、電磁モータを有してその電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力であるアブソーバ力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
車両の走行中、前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、定められた規則に基づいて制御する標準制御を実行可能とされた制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、路面の凸所あるいは凹所を車輪が通過する際のばね下加速度に基づき、前記標準制御に代えて、ばね下部の動作に対する抵抗力となるアブソーバ力として、ばね下加速度に比例した大きさのアブソーバ力のみ、あるいは、ばね下加速度の変化速度に比例した大きさのアブソーバ力のみを発生させるばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
ばね下加速度が設定された大きさ以上となった場合に、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
ばね下加速度の変化速度が設定された大きさ以上となった場合に、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
ばね下加速度に基づき、ばね下部に設定された大きさ以上の力が加わると推定されるときに、前記ばね下加速度依拠抵抗制御を実行するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記標準制御が、少なくとも、ばね上速度に応じた大きさのアブソーバ力を発生させる制御である請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
- 当該車両用サスペンションシステムが、
ばね上部とばね下部とのバウンド方向の相対動作とリバウンド方向の相対動作とのそれぞれを制限するバウンドストッパとリバウンドストッパとの少なくとも一方を備えた請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
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