JPH0858333A - 減衰力可変ショックアブソーバ制御装置 - Google Patents

減衰力可変ショックアブソーバ制御装置

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JPH0858333A
JPH0858333A JP19990194A JP19990194A JPH0858333A JP H0858333 A JPH0858333 A JP H0858333A JP 19990194 A JP19990194 A JP 19990194A JP 19990194 A JP19990194 A JP 19990194A JP H0858333 A JPH0858333 A JP H0858333A
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JP
Japan
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damping force
mode
shock absorber
vehicle
speed
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Application number
JP19990194A
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English (en)
Inventor
Eiji Teramura
英司 寺村
Toshiyasu Sahashi
利康 佐橋
Takashi Suzuki
隆 鈴木
Keiji Matsuoka
圭司 松岡
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スカイフックダンパを実現するショックアブ
ソーバ制御装置において、減衰力特性を車両の走行条件
に応じて設定できるようにする。 【構成】 ショックアブソーバの動作モードを、ばね上
速度がしきい値以下であるとき、伸び側及び縮み側減衰
力が共に中程度の第3のモードに、ばね上速度がしきい
値を超え且つ上方向であるとき、伸び側減衰力が大きく
縮み側減衰力が小さい第1のモードに、ばね上速度がし
きい値を超え且つ下方向であるとき、伸び側減衰力が小
さく縮み側減衰力が大きい第2のモードに切り替え、ス
カイフックダンパを実現する装置において、車速等の走
行条件に応じて、制御モードをスポーツ,ノーマル,ラ
グジュアリーの何れかに切り替え、第1及び第3のモー
ドでの伸び側減衰力を変化させる。この結果、減衰力特
性を車両の走行条件に応じて変化させて、車両の操縦安
定性と乗り心地とを両立できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減衰力を切り替え可能
なショックアブソーバの減衰力を車両のばね上速度に応
じて切り替える減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、道路の不整によって車体が振
動するのを防止して、車両の乗り心地と操縦安定性を向
上させる理想のダンパ(スカイフックダンパ)を実現す
るためには、例えば図10,図11に示すように、ショ
ックアブソーバの減衰力が車体に対し制振作用をする、
ばね上速度dX2とばね上ばね下間の相対速度dX2−
dX1の正負が等しいとき(即ち車体と車輪とが反対方
向に移動するとき)と、車体と車輪とが同一方向に移動
しかつ車体の移動速度が車輪の移動速度よりも速いとき
に、ショックアブソーバの減衰力を大きくし、逆に、シ
ョックアブソーバの減衰力が車体に対し励振作用をす
る、前記2つの速度の正負が異なるとき(即ち車体と車
輪とが同一方向に移動しかつ車輪の移動速度が車体の移
動速度よりも速いときにとき)に、ショックアブソーバ
の減衰力を小さくする、いわゆるスカイフック制御を行
なえばよいことが知られている。また、この時の減衰力
の大きさは、一意的に決められた値とする方法とばね上
速度dX2に比例した値とする方法とがある。
【0003】そして、こうしたスカイフックダンパを実
現する装置として、例えば特開平5−131819号公
報に開示されている如く、伸び側の減衰係数を変更可能
で圧側(縮み側)が低減衰係数に固定された伸び側ハー
ド特性と、縮み側の減衰係数を変更可能で伸び側が低減
衰係数に固定された圧側ハード特性とに特性変更可能な
ショックアブソーバを備え、車体のばね上速度の絶対値
が予め設定されたしきい値以下のときには、ショックア
ブソーバの減衰係数を、しきい値とばね上速度との比率
をα乗した値に比例した減衰係数に制御し、ばね上速度
の絶対値がしきい値を越えたときには、その後ばね上速
度のピーク値を検出するまではショックアブソーバの減
衰係数を最大減衰係数に固定し、その後、ピーク値を検
出したら、ショックアブソーバの減衰係数をピーク値を
基準にばね上速度に比例した減衰係数に制御することに
より、車体振動を抑制(制振)するようにした装置が提
案されている。
【0004】また、この提案の装置においては、車両の
急操舵時、急制動時、急加速時等の操縦安定性を確保す
るため、こうした走行条件下では、上記しきい値もしく
はピーク値に対するばね上速度の比率を上記αよりも小
さな値βによりβ乗した値に比例して減衰係数を設定す
る制御を行なうことにより、ショックアブソーバを通常
より高減衰に制御するようにしている。
【0005】つまり、この提案の装置では、基本的に、
ショックアブソーバの減衰係数をばね上速度に比例さ
せ、しかも、車両の急操舵時等には、ショックアブソー
バの減衰係数を通常より大きくして、車両の操縦安定性
を確保するようにしているのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来
の装置においては、車両の操縦安定性を向上するため
に、車両の急操舵時、急制動時、急加速時等には、ショ
ックアブソーバの減衰係数が通常より大きくなるように
制御しているのであるが、基本的にはショックアブソー
バの減衰係数をばね上速度に比例させるものであるた
め、ばね上速度の零付近では、どのような走行条件下で
も減衰係数が、最小値付近の略一定値となってしまう。
この結果、上記従来装置では、車両の高速走行時にばね
上速度が零付近にある場合に、車体が極低周波でゆらゆ
らと揺れて、車両乗員に漂い感を与えてしまう。それを
対策するために、減衰係数の最小値を高めに設定してお
くと、逆に車両の低速走行時にばね上速度が零付近にあ
る場合に、路面の微小な凹凸による車体振動が発生し
て、車両乗員にゴツゴツ感を与えてしまう、といった問
題が発生する。
【0007】つまり、上記従来装置では、ばね上速度が
大きい場合のショックアブソーバの減衰係数を車両の走
行条件に応じて変化させることはできるものの、例えば
車体振動の少ない良路走行時等、ばね上速度が零付近に
ある場合には、ショックアブソーバの減衰係数は略一定
値となり、こうした走行条件下では車両の乗り心地を良
好に制御することができないのである。
【0008】また、上記従来装置では、ばね上速度の絶
対値がしきい値を越えるまでは、ショックアブソーバの
減衰係数をばね上速度に比例させるが、ばね上速度の絶
対値がしきい値を越えると、ショックアブソーバの減衰
係数を、最大減衰係数に固定するようにしているため、
ばね上速度がしきい値を越えてからは、ショックアブソ
ーバの減衰係数が、車両の走行条件にかかわらず一定値
に固定されることになる。このため、従来装置によれ
ば、車両に大きな振動が発生してばね上速度がしきい値
を越えた場合の制振特性を車両の走行条件に応じて変化
させることができず、車両の乗り心地と車両の操縦安定
性とを良好に制御することができないといった問題もあ
る。
【0009】つまり、例えば、ばね上速度がしきい値を
越えるような大きな振動が発生した場合、車両の高速走
行時には、車両の操縦安定性を確保するために、ショッ
クアブソーバの減衰係数をできるだけ大きくする必要が
あるが、車両の低速走行時には、減衰係数を大きくしす
ぎると乗り心地が悪化するため、ショックアブソーバの
減衰係数を低めに設定することが望ましい。しかし、上
記従来装置では、ばね上速度がしきい値を越えた場合に
は、ショックアブソーバの減衰係数を常に一定の減衰係
数に固定するようにされているため、このような制御を
実現できず、車両の乗り心地と操縦安定性とを良好に制
御することができないのである。
【0010】なお、上記従来装置は、ショックアブソー
バの減衰係数を、ばね上速度に比例して制御する装置で
あり、上記スカイフックダンパを実現する装置として
は、上記従来装置以外にも、ショックアブソーバの減衰
力を、ばね上速度に基づき一意的に決められた値に制御
する装置も知れられている。しかし、この種の装置にお
いては、ショックアブソーバの減衰係数をばね上速度に
比例させない分、上記従来装置に比べて、スカイフック
ダンパを簡単な構成で実現できるという利点はあるもの
の、ショックアブソーバの減衰係数が一意的に設定され
るため、車両の走行条件に応じてその減衰係数を変化さ
せることができず、上記従来装置と同様の問題が生じ
る。
【0011】つまり、上記スカイフックダンパを実現す
るための装置として、従来より、伸び側減衰力が大きく
縮み側減衰力が小さい第1のモード(以下、H−Sモー
ドともいう。)と、伸び側減衰力が小さく縮み側減衰力
が大きい第2のモード(以下、S−Hモードともい
う。)と、伸び側及び縮み側減衰力が共に中〜小の第3
のモード(以下、M−Mモードともいう。)とに切替可
能なショックアブソーバを備え、車両のばね上速度の絶
対値が所定値以下であるとき、つまり車両のばね上速度
が上下方向共に所定値以下であるときには、ショックア
ブソーバをM−Mモードに制御し、車両のばね上速度の
絶対値が所定値を越えると、その変位方向に応じてショ
ックアブソーバをH−Sモード又はS−Hモードに切り
替えるようにした減衰力可変ショックアブソーバ制御装
置も知られている(例えば特表平1−502972号公
報)が、この種の装置においても、各モードにおけるシ
ョックアブソーバの減衰係数は車両の走行条件に関係な
く一意的に決定されるため、上記従来装置と同様の問題
が生じるのである。
【0012】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、ショックアブソーバの減衰特性を車両の走行条件
に応じて設定して、車両の操縦安定性と乗り心地とを極
めて良好に制御することのできる減衰力可変ショックア
ブソーバ制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、車両のばね上と
ばね下との間に設けられ、伸び側減衰力が大きく縮み側
減衰力が小さい第1のモード、伸び側減衰力が小さく縮
み側減衰力が大きい第2のモード、及び、伸び側及び縮
み側減衰力が共に上記第1のモード及び第2モードのと
きに大きい値として設定される減衰力よりも小さい第3
のモード、のいずれかに切替可能なショックアブソーバ
と、車両のばね上の上下方向の加速度を検出する加速度
検出手段と、該加速度検出手段からの検出信号に基づい
てばね上の上下方向の速度を演算するばね上速度演算手
段と、該ばね上速度演算手段により算出されたばね上速
度の絶対値が所定の判定速度以下であるとき、上記ショ
ックアブソーバを上記第3のモードに制御し、上記ばね
上速度の絶対値が該判定速度を越えると、該ばね上速度
を抑制すべく上記ショックアブソーバを上記第1又は第
2のモードに制御する減衰力制御手段と、を備えた減衰
力可変ショックアブソーバ制御装置において、車両の所
定の走行条件を検出する走行条件検出手段と、該走行条
件検出手段による検出結果に基づき、上記ショックアブ
ソーバにおける上記第1のモード及び上記第3のモード
の伸び側減衰力特性の少なくとも一方を変化させる減衰
力特性可変手段と、を設けたことを特徴としている。
【0014】また請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置におい
て、上記ショックアブソーバは、作動流体が蓄えられた
シリンダと、該シリンダ内に摺動自在に設けられ、該シ
リンダの内部を上部室と下部室とに区分するピストン部
材と、該ピストン部材により区分された上部室と下部室
との間で上記作動流体の流通を許容する連通路と、該連
通路に設けられ、該連通路の流路面積を変更するバルブ
手段と、からなり、上記減衰力制御手段は、上記バルブ
手段を駆動して上記連通路の流路面積を段階的に切り換
えることにより、上記ショックアブソーバを上記第1〜
第3のモードの何れかに制御し、上記減衰力特性可変手
段は、該減衰力制御手段による上記バルブ手段の駆動量
を補正して、上記第1のモード及び上記第3のモードの
少なくとも一方の伸び側減衰力特性を変化させることを
特徴としている。
【0015】また更に、請求項3に記載の発明は、請求
項2に記載の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置に
おいて、上記走行条件検出手段は、車両の走行条件とし
て、車両乗員により操作されるマニュアルスイッチの操
作状態、車両の走行速度、操舵角度、及び、ばね上高周
波振動成分の少なくとも一つを検出することを特徴とし
ている。
【0016】
【作用及び発明の効果】上記のように構成された請求項
1に記載の減衰力可変ショックアブソーバ制御装置にお
いては、まず、加速度検出手段が、車両のばね上の上下
方向の加速度を検出し、ばね上速度演算手段が、加速度
検出手段からの検出信号に基づいて、ばね上の上下方向
の速度(ばね上速度)を演算する。
【0017】そして、減衰力制御手段が、その算出され
たばね上速度の絶対値が所定の判定速度を越えると、シ
ョックアブソーバを、伸び側減衰力が大きく縮み側減衰
力が小さい第1のモード及び伸び側減衰力が小さく縮み
側減衰力が大きい第2のモードのいずれかに制御してば
ね上速度を抑制し、逆に、ばね上速度の絶対値が所定の
判定速度以下であれば、ショックアブソーバを、伸び側
及び縮み側減衰力が共に第1のモード及び第2モードの
ときに大きい値として設定される減衰力よりも小さい第
3のモードに制御する。
【0018】また本発明では、走行条件検出手段が、車
両の所定の走行条件を検出し、減衰力特性可変手段が、
この検出された車両の走行条件に応じて、ショックアブ
ソーバの第1のモード及び第3のモードの伸び側減衰力
特性の少なくとも一方を変化させる。
【0019】つまり、本発明では、ばね上速度の絶対値
が所定の判定速度を越えたときにショックアブソーバを
第1のモード又は第2のモードに制御することにより、
ばね上速度、延いてはばね上振動を抑制して、車両の操
縦安定性を確保し、ばね上速度の絶対値が所定の判定速
度以下であれば、ショックアブソーバを第3のモードに
制御することにより、車両の乗り心地を向上し、更に、
車両の走行条件に応じて第1のモード及び第3のモード
のショックアブソーバの伸び側減衰力の少なくとも一方
を変化させることにより、ばね上振動が大きい場合やば
ね上速度が零付近にある場合の車体の振動特性を車両の
走行条件に応じて設定できるようにしているのである。
【0020】この結果、本発明によれば、例えば、車体
振動が大きい場合に、車速等の車両の走行条件に応じ
て、ショックアブソーバによる制振特性を変化させ、高
速走行時の操縦安定性と低速走行時の乗り心地とを両立
させるとか、車体振動の少ない良路走行時に、車速等の
走行条件に応じて、ショックアブソーバの減衰力特性を
変化させ、高速走行時の漂い感や低速走行時のゴツゴツ
感を低減する、といったことができるようになる。
【0021】次に、請求項2に記載の減衰力可変ショッ
クアブソーバ制御装置においては、ショックアブソーバ
が、作動流体が蓄えられたシリンダと、該シリンダ内に
摺動自在に設けられ、該シリンダの内部を上部室と下部
室とに区分するピストン部材と、該ピストン部材により
区分された上部室と下部室との間で上記作動流体の流通
を許容する連通路と、該連通路に設けられ、該連通路の
流路面積を変更するバルブ手段とから構成されている。
つまり、ショックアブソーバは、バルブ手段を駆動して
連通路の流路面積を変化させることにより、減衰力を調
整できるようにされている。
【0022】そして、減衰力制御手段は、このバルブ手
段を駆動して、連通路の流路面積を段階的に切り換える
ことにより、ショックアブソーバを第1〜第3のモード
の何れかに制御し、減衰力特性可変手段は、減衰力制御
手段によるバルブ手段の駆動量を補正することにより、
第1のモード及び第3のモードの少なくとも一方の伸び
側減衰力特性を変化させる。
【0023】このため、本発明によれば、減衰力特性可
変手段によりショックアブソーバの減衰力特性を調整す
るに当たって、ショックアブソーバに特別な減衰力調整
機構を設ける必要がなく、本発明の減衰力制御を、簡単
な構成で実現することができる。
【0024】なお、走行条件検出手段としては、車両の
走行条件として、請求項3に記載のように、車両乗員に
より操作されるマニュアルスイッチの操作状態、車両の
走行速度、操舵角度、ばね上高周波振動成分等を検出す
るようにすればよい。そして、例えば、走行条件検出手
段がマニュアルスイッチの操作状態を検出する場合に
は、ショックアブソーバの減衰力特性を車両乗員が任意
に設定することができるようになり、車両の走行速度を
検出する場合には、上記のようにショックアブソーバの
減衰力特性を走行速度に応じて変化させて、車両の操縦
安定性と乗り心地とを両立させることが可能になる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。まず、図1は本実施例の減衰力可変ショックアブソ
ーバ制御装置(以下、単に制御装置ともいう。)の全体
構成を表わすブロック図である。
【0026】本実施例の制御装置10は、自動車の各車
輪位置に設けられたショックアブソーバ1毎に減衰力を
個々に制御するものであり、図1に示す如く、車両の上
下方向の加速度を検出する加速度検出手段としての公知
の歪ゲージ式の加速度センサ11と、ショックアブソー
バ1に内蔵された後述の制御バルブ60を回転駆動する
ステップモータからなるアクチュエータ17と、加速度
センサ11からの検出信号に基づきばね上速度を求め、
このばね上速度に応じてアクチュエータ17を駆動制御
する制御回路15と、制御回路15による減衰力の制御
モードを車両乗員により操作されるマニュアルスイッチ
や車速センサ等からの入力信号に基づき切り替える制御
モード切替回路19とから構成されている。
【0027】また、この加速度センサ11からの検出信
号を受ける制御回路15は、加速度センサ11からの検
出信号を積分することによりばね上の速度dX2を表す
信号を生成する上速度演算手段としての積分回路15a
と、この積分回路15aにて得られたばね上速度dX2
と予め設定されたしきい値Vref とを大小比較すること
により、ショックアブソーバの減衰力特性を第1モード
〜第3モードの何れに制御するかを判定する比較回路1
5bと、この比較回路15bによる判定結果に従い、ア
クチュエータ17を駆動する駆動回路15cとから構成
されている。
【0028】なお、比較回路15bは、積分回路15a
にて得られたばね上速度dX2の絶対値がしきい値Vre
f を越えたか否かを判定すると共に、しきい値Vref を
越えていれば、ばね上速度dX2の正負(つまり車体の
振動方向)を判定し、その判定結果に応じて、ショック
アブソーバ1の減衰力特性を、伸び側減衰力が大きく縮
み側減衰力が小さい第1のモード(H−Sモード)、伸
び側減衰力が小さく縮み側減衰力が大きい第2のモード
(S−Hモード)、及び伸び側及び縮み側減衰力が共に
中〜小の第3のモード(M−Mモード)のうちのいずれ
かの状態に切り替えるための信号を駆動回路15cに出
力し、制御モード切替回路19は、駆動回路15cによ
るアクチュエータ17の駆動量を補正することにより、
制御モードを切り替えるが、こうした制御動作について
は、後に詳しく説明する。
【0029】次に、上記のように構成された本実施例の
制御装置10は、自動車の各車輪位置に設けられたショ
ックアブソーバ1毎に、ショックアブソーバ1の車体側
に取り付けられている。すなわち、ショックアブソーバ
1は、外部に突出されたピストンロッドの先端部分8を
バンプラバー2を介してアッパーサポート3に挿入し、
ピストンロッドの先端部分8に形成されたねじ部とナッ
ト7とを、アッパーサポート3とブラケット6とを挟ん
で締め付けることにより、アッパーサポート3に固定さ
れ、更に、このアッパーサポート3をスタッドボルト3
aとナット5との締結により車体4に固定することによ
り、車体4に固定されている。そして、本実施例の制御
装置10は、アクチュエータユニットとして、ボルト9
によって、ブラケット6のねじ孔部に圧着固定される。
なお、この固定時には、ブラケット6にて、制御装置1
0とピストンロッドとの中心軸の位置決めがなされる。
【0030】次に、本実施例のショックアブソーバ1の
構造及びその動作を図3〜図6を用いて説明する。まず
図3はショックアブソーバ1の縦断面図である。図3に
示すように、ショックアブソーバ1のシリンダ20の中
空間は、メインピストン25により上下に区画されて、
各々上部室20a,下部室20bとなっている。このメ
インピストン25は、ナット37により、スペーサ等を
介してメインピストン25の中心を貫通するピストンロ
ッドC36に固定され、ピストンロッドC36は、ピス
トンロッドA30下端円筒部のねじ部によって、ピスト
ンロッドB35を挟むようにピストンロッドA30に螺
着固定されている。
【0031】ピストンロッドA30とピストンロッドB
35との間には、2個のOリング90を介して油密的に
形成された連通室56bがあり、更に、スプリング54
と板状逆止弁58とが配設されている。このピストンロ
ッドA30及びピストンロッドB35には、各々、複数
の連通孔56a-1,56a-2,56cが設けてあり、連
通室56bとともに比較的流路面積の大きな縮み側専用
流路56を形成している。
【0032】また、スプリング54の上端はピストンロ
ッドA30に当接し、下端は板状逆止弁58に当接し、
スプリング54は板状逆止弁58を下方に付勢してい
る。従って、縮み側専用流路56は、制御バルブ60方
向から上部室20aへの流出のみを許容する板状逆止弁
58によって開閉される。
【0033】次に、ピストンロッドB35とピストンロ
ッドC36との間には、3個のOリング90を介して油
密的に形成され、スプリング55と板状逆止弁59とを
収納するスプリング室57bが設けてある。このピスト
ンロッドC36及びピストンロッドA30には、各々複
数の連通孔57a,57cが設けてあり、スプリング室
57bとともに比較的流路面積の大きな伸び側専用流路
57を形成している。
【0034】また、スプリング55の上端はピストンロ
ッドB35に当接し、下端は板状逆止弁59に当接し、
スプリング55は板状逆止弁59を下方に付勢してい
る。従って、伸び側専用流路57は、上部室20aから
制御バルブ60方向への流入のみを許容する板状逆止弁
59によって開閉される。
【0035】一方、メインピストン25には、上部室2
0aと下部室20bとを連通する比較的流路面積の小さ
な縮み側主流路41と伸び側主流路42とが形成されて
いる。この縮み側主流路41は、メインピストン25の
上面に設けた板状逆止弁48によって開閉され、伸び側
主流路42は、メインピストン25の下面に設けた板状
逆止弁49によって開閉される。
【0036】前記ピストンロッドC36内には、上部室
20aと下部室20bとの間で作動油の流通を可能とす
る副流路50が形成されている。また、前記ピストンロ
ッドA30の下端部は筒状に形成され、筒内に制御バル
ブ60が油密的にかつ、回動自在に嵌合されている。
【0037】そして、制御バルブ60の上部は中実細径
の棒状となっており、その上端部はアクチュエータに接
続されている。また、ブッシュ31,32はピストンロ
ッドA30に圧入固定されており、その内径部は制御バ
ルブ60の細径部と回動自在に嵌合されている。尚、ブ
ッシュ31の下に配設されるOリング90は、外部との
油密性を保つものである。
【0038】従って、制御バルブ60は、アクチュエー
タ17を駆動することにより、ピストンロッドA30の
中心軸に対し回動可能となっている。次に、この制御バ
ルブ60の構造及び機能について説明する。図4は制御
バルブ60の縦断面図であり、図5(a−1)〜図5
(a−3)は図3のX−X断面、図5(b−1)〜図5
(b−3)は図3のY−Y断面であり、図5(c−1)
〜図5(c−3)は図3のZ−Z断面図であり、図6は
制御バルブ60の連通面積Sとその回転角θとの関係を
示すグラフである。
【0039】図4に示すように、制御バルブ60の下端
部は、中空構造になっており、副流路50の一部を形成
している。また、図5に示すように、制御バルブ60に
は、連通孔56a-1,56a-2に対応して、夫々、1対
の縮み側専用孔66-1,66-2が形成されており、制御
バルブ60の回動によって、副流路50と縮み側専用流
路56とを連通或は遮断することができる。更に、この
制御バルブ60には、連通孔57aに対応して、1対の
伸び側専用孔67が形成されており、制御バルブ60の
回動によって、副流路50と伸び側専用流路57とを連
通或は遮断することができる。
【0040】そして、連通孔56a-1と縮み側専用孔6
6-1,連通孔56a-2と縮み側専用孔66-2,連通孔5
7aと伸び側専用孔67は、各々対向して形成されてお
り、制御バルブ60の回転角θの変化に基づいて、図6
に示すように、連通面積を変えることができる。 この
図6において、連通面積SNは伸び側最大面積を表し、
伸び側の最小減衰力を決定するものである。また、連通
面積STは縮み側最大連通面積を表し、縮み側の最小減
衰力を決定するものである。
【0041】なお、本実施例では、アクチュエータ17
により、制御バルブ60を、回転角0degから回転角
120degの間で回動できるようにされている。そし
て、制御バルブ60に穿設された縮み側専用孔66-1,
66-2と連通孔56a-1,56-2とは、制御バルブ60
の回転角0degでは、図5(a−3),図5(b−
3)に示すように共に連通してその連通面積が最大面積
STとなり、ショックアブソーバ1の縮み側減衰力が最
小となる。また、制御バルブ60の回転角120deg
では、縮み側専用孔66-1,66-2と連通孔56a-1,
56-2とが、図5(a−2),図5(b−2)に示すよ
うに共に非連通状態となって、その連通面積が略0とな
り、ショックアブソーバ1の縮み側減衰力が最大とな
る。また更に、制御バルブ60の回転角60degで
は、図5(a−1),図5(b−1)に示すように、縮
み側専用孔66-1と連通孔56a-1とが非連通状態に、
縮み側専用孔66-2と連通孔56a-2とが連通状態にな
って、その連通面積が最大面積STの約半分となって、
ショックアブソーバ1の縮み側減衰力が最大から最小の
中間の値となる。
【0042】そして、図6に示す如く、制御バルブ60
の回転角0degから30degまでの間は、回転角0
degと略同様の縮み側減衰力となり、制御バルブ60
の回転角45degから75degまでの間は回転角6
0degと略同様の縮み側減衰力となり、制御バルブ6
0の回転角90degから120degまでの間は回転
角120degと略同様の縮み側減衰力となるように、
換言すれば、制御バルブ60の回転角に対して縮み側減
衰力が大・中・小の3段階に変化するように、連通孔5
6a-1,56-2が、縮み側専用孔66-1,66-2より大
きく形成されている。
【0043】一方、制御バルブ60に穿設された伸び側
専用孔67と連通孔57aとは、制御バルブ60の回転
角0degでは、図5(c−3)に示すように共に非連
通状態となってその連通面積が最小となり、ショックア
ブソーバ1の伸び側減衰力が最大となる。また、制御バ
ルブ60の回転角120degでは、伸び側専用孔67
と連通孔57aとが、図5(c−2)に示すように伸び
側専用孔67の幅の広い端部側にて連通して、その連通
面積が最大となり、ショックアブソーバ1の伸び側減衰
力が最小となる。また更に、制御バルブ60の回転角6
0degでは、図5(c−1)に示すように、伸び側専
用孔67と連通孔57aとが、図5(c−2)に示すよ
うに伸び側専用孔67の中間部分にて連通して、その連
通面積が中間となり、ショックアブソーバ1の伸び側減
衰力が中程度となる。
【0044】そして、本実施例では、図6に示す如く、
制御バルブ60の回転角0degから90degまでの
間は、その回転角が0degから増加するに従い伸び側
専用孔67と連通孔57aとの連通面積が除々に増加し
て、ショックアブソーバ1の伸び側減衰力が、回転角0
degのときの最大値から最小値に向って徐々に増加
し、回転角90degから120degまでの間は、伸
び側専用孔67と連通孔57aとの連通面積が最大とな
って、ショックアブソーバ1の伸び側減衰力が最小値と
なるように、連通孔57aが伸び側専用孔67よりも小
さく、しかも伸び側専用孔67が制御バルブ60の回転
方向に沿って楔状に形成されている。
【0045】このように構成された本実施例のショック
アブソーバ1においては、制御バルブ60の回転角、延
いてはステップモータからなるアクチュエータ17の回
転角を制御することにより、その動作モードを、伸び側
の減衰力が大きく、縮み側の減衰力が小さい、第1のモ
ード(H−Sモード)と、伸び側の減衰力は小さく、縮
み側の減衰力が大きい、第2のモード(S−Hモード)
と、伸び側及び縮み側共に減衰力が中間の第3のモード
(M−Mモード)とに切り替えることができるようにな
る。
【0046】そして本実施例では、制御回路15におい
て、比較回路15bが、積分回路15aにて得られたば
ね上速度dX2としきい値Vref とを比較し、ばね上速
度dX2の絶対値がしきい値Vref を越えていなけれ
ば、ショックアブソーバ1の動作モードとして、伸び側
及び縮み側の減衰力がともに中間の値となる第3のモー
ド(M−Mモード)を設定し、駆動回路15cを介して
アクチュエータ17(換言すれば制御バルブ60)の回
転角を60degに制御するための指令信号を出力す
る。
【0047】また、比較回路15bは、ばね上速度dX
2が正の値(ばね上が上向きに変位している状態)で、
その絶対値がしきい値Vref よりも大きいときには、シ
ョックアブソーバ1の動作モードとして、伸び側の減衰
力が大きく縮み側の減衰力が小さい第1のモード(H−
Sモード)を設定し、駆動回路15cを介してアクチュ
エータ17(換言すれば制御バルブ60)の回転角を1
5degに制御するための指令信号を出力し、逆に、ば
ね上速度dX2が負の値(ばね上が下向きに変位してい
る状態)で、その絶対値がしきい値Vref よりも大きい
ときには、ショックアブソーバ1の動作モードとして、
伸び側の減衰力が小さく縮み側の減衰力が大きい第2の
モード(S−Hモード)を設定し、駆動回路15cを介
してアクチュエータ17(換言すれば制御バルブ60)
の回転角を105degに制御するための指令信号を出
力する。
【0048】この結果、車両のばね上速度dX2と、ば
ね上ばね下間の相対速度dX2−dX1と、ショックア
ブソーバ1の減衰力との関係は、図7に示すようになっ
て、ショックアブソーバ1の減衰力が車体の運動に対し
制振作用をする時には減衰力を大きく、逆にショックア
ブソーバ1の減衰力が車体の運動に対し励振作用をする
時には減衰力を小さくすることができ、上述のスカイフ
ックダンパが実現されることになる。
【0049】このように、制御回路15においては、比
較回路15bの動作によって、制御バルブ60の回転角
を、15deg,60deg,105degの3段階に
切り替えることにより、ショックアブソーバの動作モー
ドを、第1のモード(HーSモード)、第3のモード
(M−Mモード),第2のモード(SーHモード)の何
れかに設定するようにされているのであるが、制御モー
ド切替回路19は、こうした比較回路15bによる回転
角の切替パターンを、回転角15deg分シフトさせる
ことにより、減衰力の制御モードを切り替える。
【0050】すなわち、駆動回路15cは、通常、図8
に示す如く、比較回路15bからの指令信号に従い、シ
ョックアブソーバ1の減衰力特性を、アクチュエータ1
7(延いては制御バルブ60)の回転角が15degと
なるB点、アクチュエータ17(延いては制御バルブ6
0)の回転角が60degとなるE点、アクチュエータ
17(延いては制御バルブ60)の回転角が105de
gとなるH点の特性の何れかに切り替えるが、制御モー
ド切替回路19は、マニュアルスイッチや車速センサ等
からの入力信号に従い、駆動回路15cによるアクチュ
エータ17(延いては制御バルブ60)の駆動量を、回
転角15deg分シフトさせることにより、第1のモー
ド(H−Sモード)におけるアクチュエータ17の回転
角を15degから0deg又は30degに、第3の
モード(M−Mモード)におけるアクチュエータ17の
回転角を60degから45deg又は75degに、
第2のモード(S−Hモード)におけるアクチュエータ
17の回転角を105degから90deg又は120
degに、夫々切り替えるようにされている。
【0051】この結果、ショックアブソーバ1の制御モ
ードは、上記B点,E点、H点のモード切替により実現
されるノーマル制御モードと、アクチュエータ17の回
転角が0degとなるA点、同じく回転角が45deg
となるD点、同じく回転角が90degとなるG点のモ
ード切替により実現されるスポーツ制御モードと、アク
チュエータ17の回転角が30degとなるC点、同じ
く回転角が75degとなるF点、同じく回転角が12
0degとなるI点のモード切替により実現されるラグ
ジュアリー制御モードとの何れかに設定されることにな
る。
【0052】なお、上記B点,E点、H点のモード切替
により実現されるノーマル制御モードは、駆動回路15
cが比較回路15bからの指令信号のみによってアクチ
ュエータ17を駆動することにより実現される制御モー
ドであり、ばね上速度dX2がゼロ近傍のときに設定さ
れる第3のモードでは、伸び側及び縮み側の減衰力が共
に中程度に制御され、ばね上速度dX2が上向きに発生
し、その大きさがしきい値Vref を越えたときに設定さ
れる第1のモードでは、伸び側減衰力が大きく、縮み側
減衰力が小さくなるように制御されて、ショックアブソ
ーバ1の伸び側の振動を大きな減衰力で制振し、ばね上
速度dX2が下向きに発生し、その大きさがしきい値V
ref を越えたときに設定される第2のモードでは、縮み
側減衰力が大きく、伸び側減衰力が小さくなるように制
御されて、ショックアブソーバ1の縮み側の振動を大き
な減衰力で制振する。
【0053】また、上記A点、D点、G点のモード切替
により実現されるスポーツ制御モードは、制御モード切
替回路19が、比較回路15bから駆動回路15cに入
力された指令信号を、回転角15deg分小さい値にシ
フトさせることにより実現される制御モードであり、ば
ね上速度dX2がゼロ近傍のときに設定される第3のモ
ードでは、縮み側減衰力がノーマル制御モードと略同じ
中程度に制御され、伸び側減衰力がノーマル制御モード
よりも大きな値に制御され、ばね上速度dX2が上向き
に発生し、その大きさがしきい値Vref を越えたときに
設定される第1のモードでは、伸び側減衰力がノーマル
制御モードよりも大きな値に制御され、縮み側減衰力が
ノーマル制御モードと略同じ小さい値に制御され、ばね
上速度dX2が下向きに発生し、その大きさがしきい値
Vref を越えたときに設定される第2のモードでは、縮
み側及び縮み側共に、ノーマル制御モードと略同じ減衰
力に制御される。この結果、スポーツ制御モードでは、
ノーマル制御モードに比べて、ショックアブソーバ1の
伸び側の減衰力が大きくなり、ショックアブソーバ1の
伸び側の車両振動が大きな減衰力で制振されて、車両の
安定性が向上することになる。
【0054】一方、上記C点、F点、I点のモード切替
により実現されるラグジュアリー制御モードは、制御モ
ード切替回路19が、比較回路15bから駆動回路15
cに入力された指令信号を、回転角15deg分大きな
値にシフトさせることにより実現される制御モードであ
り、ばね上速度dX2がゼロ近傍のときに設定される第
3のモードでは、縮み側減衰力がノーマル制御モードと
略同じ中程度に制御され、伸び側減衰力がノーマル制御
モードよりも小さな値に制御され、ばね上速度dX2が
上向きに発生し、その大きさがしきい値Vref を越えた
ときに設定される第1のモードでは、伸び側減衰力がノ
ーマル制御モードよりも小さな値に制御され、縮み側減
衰力がノーマル制御モードと略同じ小さい値に制御さ
れ、ばね上速度dX2が下向きに発生し、その大きさが
しきい値Vref を越えたときに設定される第2のモード
では、縮み側及び縮み側共に、ノーマル制御モードと略
同じ減衰力に制御される。この結果、ラグジュアリー制
御モードでは、ノーマル制御モードに比べて、ショック
アブソーバ1の伸び側の減衰力が小さくなり、ショック
アブソーバ1の伸び側の車両振動を大きな減衰力にて制
振するのを防止して、車両の乗り心地を向上できるよう
になる。
【0055】次に、このように、制御モードを切り替え
る制御モード切替回路19は、車両乗員により操作され
るマニュアルスイッチが、制御モードを自動で制御する
「オート」側に切り替えられている場合には、制御モー
ドを車速センサにて検出された車速に応じて制御し、マ
ニュアルスイッチが、制御モードを手動で設定するため
に、「スポーツ」,「ノーマル」,及び「ラグジュアリ
ー」の何れかに切り替えられている場合には、その切り
替え位置に応じて、制御モードを、上記スポーツ制御モ
ード、ノーマル制御モード、ラグジュアリー制御モード
の何れかに制御する。
【0056】そして、マニュアルスイッチが「オート」
側に切り替えられている場合、制御モード切替回路19
は、車速が所定速度V1以上の高速である場合には、制
御モードを上記スポーツ制御モードに切り替え、車速が
所定速度V1未満で且つ所定速度V2(V2<V1)以
上の中速である場合には、制御モードをノーマル制御モ
ードに切り替え、車速が所定速度V2未満の低速である
場合には、制御モードを上記ラグジュアリー制御モード
に切り替える。この結果、マニュアルスイッチが「オー
ト」側に切り替えられて、制御モード切替回路19が、
制御モードの自動切替を行なう場合には、車両高速時
に、ばね上速度dX2が0付近にある場合に生じる漂い
感を防止すると共に、車両高速時にばね上速度dX2が
上向きに発生し、且つその大きさがしきい値Vref を越
えるときの制振特性を向上して、車両の安定性を向上さ
せることができるようになる。また、車両の低速走行時
には、第1のモード及び第3のモードにおけるショック
アブソーバ1の伸び側減衰力が小さい値に設定されるた
め、車両低速走行時に路面から受けるゴツゴツ感を防止
し、車両の乗り心地を向上することができるようにな
る。
【0057】以上説明したように、本実施例の減衰力可
変ショックアブソーバ制御装置10によれば、スカイフ
ックダンパを実現するために、車両のばね上速度及びそ
の方向に応じて、ショックアブソーバ1の動作モード
を、伸び側減衰力が大きく縮み側減衰力が小さい第1の
モードと、伸び側減衰力が小さく縮み側減衰力が大きい
第2のモードと、伸び側及び縮み側減衰力が共に中程度
の第3のモードとの何れかに切り替えるようにするだけ
でなく、更に、車両乗員により操作されるマニュアルス
イッチの操作状態、或は車速に応じて、制御モードを、
スポーツ制御モード、ノーマル制御モード、ラグジュア
リー制御モードの何れかに切り替えることにより、第1
のモード及び第3のモードにおける伸び側減衰力を、3
段階に変更できるようにされている。
【0058】このため、ショックアブソーバの減衰力特
性、延いては、車両の乗り心地や安定性を、車両乗員の
好みに応じて設定することができると共に、自動切り替
えを行なう場合には、高速走行時に車両の安定性を優先
させ、低速走行時に乗り心地を優先させる、といったこ
とができるようになる。
【0059】また、こうした制御モードの切り替えは、
駆動回路15cによるアクチュエータ17の駆動量を補
正することにより、アクチュエータ17,延いては制御
バルブ60の回転角を15deg分だけシフトさせれば
よく、特別な制御回路を設ける必要はないので、容易に
実現することができる。
【0060】なお、本実施例では、制御モードの自動切
替を行なうに当たって、車速センサにより検出される車
速を用いたが、車速に代えて、ステアリングの操舵角度
や、ばね上の高周波振動成分を検出し、この検出結果に
基づき制御モードを切り替えるようにしてもよく、また
これら各走行条件の組み合せにより、制御モードを切り
替えるようにしてもよい。
【0061】例えば、操舵角度が大きい場合には、操縦
安定性を確保するために、車体振動を速やかに抑制する
必要があり、ばね上が高周波で振動しているような場合
には、乗り心地を改善するために、車体振動を速やかに
抑制する必要があることから、操舵角度が大きい程、或
はばね上の高周波振動成分が大きいほど、ショックアブ
ソーバ1の伸び側減衰力が大きくなるように、制御モー
ドを切り替えるようにしてもよい。
【0062】また、上記実施例では、制御モードを、ス
ポーツ制御モードと、ノーマル制御モードと、ラグジュ
アリー制御モードとの3段階に切り替えるように構成し
たが、車速等の車両の走行状態に応じて、ショックアブ
ソーバ1の減衰力特性を更にきめ細かく制御するため
に、図9に示す、第2のスポーツ制御モード(スポーツ
制御モード2)と、第2のノーマル制御モード(ノーマ
ル制御モード2)と、第2のラグジュアリー制御モード
(ラグジュアリー制御モード2)との、3つの制御モー
ドを更に追加してもよい。
【0063】これら各第2の制御モードは、第3のモー
ドにおけるアクチュエータ17(換言すれば制御バルブ
60)の回転角は、夫々、対応する制御モードと同じで
あるが、第3のモードから第1のモード、或は第3のモ
ードから第2のモードへの切替時のアクチュエータの回
転角を、図8に示した各制御モードのときの回転角45
degから、30degに変更されている。
【0064】従って、上記実施例の装置において、これ
ら各第2の制御モードを追加すれば、制御モードを、伸
び側減衰力が最も大きいスポーツ制御モード,スポーツ
制御モードよりも伸び側減衰力が小さく、スポーツ制御
モードに比べて緩やかな制振特性が得られる第2のスポ
ーツ制御モード,ノーマル制御モード,ノーマル制御モ
ードよりも伸び側減衰力が小さく、ノーマル制御モード
に比べて緩やかな制振特性が得られる第2のノーマル制
御モード,ラグジュアリー制御モード,ラグジュアリー
制御モードよりも更に伸び側減衰力が小さく、ラグジュ
アリー制御モードに比べて緩やかな制振特性が得られる
第2のラグジュアリー制御モードの、6段階に切り替え
ることができるようになり、ショックアブソーバ1の減
衰力特性を車両の走行条件に応じてより細かく制御し
て、減衰力可変ショックアブソーバ制御装置の制御精度
を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の減衰力可変ショックアブソーバ制御装
置の全体構成を表わすブロック図である。
【図2】実施例のショックアブソーバの車体への取付部
分の構成を説明する説明図である。
【図3】実施例のショックアブソーバの内部構造を表わ
す縦断面図である。
【図4】実施例のショックアブソーバに設けられた制御
バルブの縦断面図である。
【図5】 実施例の制御バルブに穿設された縮み側及び
伸び側専用孔とこれに対応した連通孔との位置関係を表
わす断面図である。
【図6】実施例の制御バルブの回転角と連通面積との関
係を表わす特性図である。
【図7】実施例の制御回路の動作によって実現されるば
ね上速度とばね上ばね下間の相対速度と減衰力の関係を
表わす特性図である。
【図8】実施例の制御モード切替回路による制御モード
の切替動作及びその切替により実現される減衰力特性の
変化を表わす説明図である。
【図9】実施例の制御モード切替回路により切り替えら
れる制御モードを更に追加する場合の制御モードの一例
を表わす説明図である。
【図10】スカイフックダンパを実現する基本的な制御
方法を表わす説明図である。
【図11】図10に示した制御によるばね上絶対速度と
ばね上ばね下間の相対速度と減衰力との関係を表わす特
性図である。
【符号の説明】
1…ショックアブソーバ 4…車体 10…制御装置(減衰力可変ショックアブソーバ制御装
置) 11…加速度センサ 15…制御回路 15a…積
分回路 15b…比較回路 15c…駆動回路 17…アク
チュエータ 19…制御モード切替回路 20…シリンダ 20
a…上部室 20b…下部室 56…縮み側専用流路 56a-1,56a-2…連通孔 57…伸び側専用流路
57a…連通孔 60…制御バルブ 66-1,66-2…縮み側専用孔
67…伸び側専用孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 圭司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上とばね下との間に設けら
    れ、伸び側減衰力が大きく縮み側減衰力が小さい第1の
    モード、伸び側減衰力が小さく縮み側減衰力が大きい第
    2のモード、及び、伸び側及び縮み側減衰力が共に上記
    第1のモード及び第2モードのときに大きい値として設
    定される減衰力よりも小さい第3のモード、のいずれか
    に切替可能なショックアブソーバと、 車両のばね上の上下方向の加速度を検出する加速度検出
    手段と、 該加速度検出手段からの検出信号に基づいてばね上の上
    下方向の速度を演算するばね上速度演算手段と、 該ばね上速度演算手段により算出されたばね上速度の絶
    対値が所定の判定速度以下であるとき、上記ショックア
    ブソーバを上記第3のモードに制御し、上記ばね上速度
    の絶対値が該判定速度を越えると、該ばね上速度を抑制
    すべく上記ショックアブソーバを上記第1又は第2のモ
    ードに制御する減衰力制御手段と、 を備えた減衰力可変ショックアブソーバ制御装置におい
    て、 車両の所定の走行条件を検出する走行条件検出手段と、 該走行条件検出手段による検出結果に基づき、上記ショ
    ックアブソーバにおける上記第1のモード及び上記第3
    のモードの伸び側減衰力特性の少なくとも一方を変化さ
    せる減衰力特性可変手段と、 を設けたことを特徴とする減衰力可変ショックアブソー
    バ制御装置。
  2. 【請求項2】 上記ショックアブソーバは、作動流体が
    蓄えられたシリンダと、該シリンダ内に摺動自在に設け
    られ、該シリンダの内部を上部室と下部室とに区分する
    ピストン部材と、該ピストン部材により区分された上部
    室と下部室との間で上記作動流体の流通を許容する連通
    路と、該連通路に設けられ、該連通路の流路面積を変更
    するバルブ手段とからなり、 上記減衰力制御手段は、上記バルブ手段を駆動して上記
    連通路の流路面積を段階的に切り換えることにより、上
    記ショックアブソーバを上記第1〜第3のモードの何れ
    かに制御し、 上記減衰力特性可変手段は、該減衰力制御手段による上
    記バルブ手段の駆動量を補正して、上記第1のモード及
    び上記第3のモードの少なくとも一方の伸び側減衰力特
    性を変化させることを特徴とする請求項1に記載の減衰
    力可変ショックアブソーバ。
  3. 【請求項3】上記走行条件検出手段は、車両の走行条件
    として、車両乗員により操作されるマニュアルスイッチ
    の操作状態、車両の走行速度、操舵角度、及び、ばね上
    高周波振動成分の少なくとも一つを検出することを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の減衰力可変ショッ
    クアブソーバ制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6092011A (en) * 1997-04-08 2000-07-18 Unisia Jecs Corporation Apparatus and method for controlling damping force characteristic of vehicular shock absorber
JP2009143472A (ja) * 2007-12-17 2009-07-02 Toyota Motor Corp 車両用サスペンションシステム

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US6092011A (en) * 1997-04-08 2000-07-18 Unisia Jecs Corporation Apparatus and method for controlling damping force characteristic of vehicular shock absorber
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