JP3385796B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

Info

Publication number
JP3385796B2
JP3385796B2 JP13916395A JP13916395A JP3385796B2 JP 3385796 B2 JP3385796 B2 JP 3385796B2 JP 13916395 A JP13916395 A JP 13916395A JP 13916395 A JP13916395 A JP 13916395A JP 3385796 B2 JP3385796 B2 JP 3385796B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damping force
target
control
value
target control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP13916395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08324219A (ja
Inventor
敏郎 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP13916395A priority Critical patent/JP3385796B2/ja
Publication of JPH08324219A publication Critical patent/JPH08324219A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3385796B2 publication Critical patent/JP3385796B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体の上下方向の変位
速度に基づいて減衰力可変ショックアブソーバの減衰力
を多段階に制御するようにしたサスペンション制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のサスペンション制御装置として
は、例えば特開平6−340210号公報に記載されて
いるものがある。この従来例には、ステップモータで回
転駆動制御される弁体を有して減衰力を連続的(多段
階)に変化させることが可能な減衰力可変ショックアブ
ソーバを車体側部材及び車輪側部材間に介装すると共
に、車体のサスペンション装置位置での上下加速度を上
下加速度検出手段で検出し、検出した上下加速度を積分
処理することにより、バネ上上下速度を算出し、算出し
たバネ上上下速度に基づいてスカイフック用減衰係数C
を算出し、算出した減衰係数Cをもとに予め設定された
制御マップを参照して前記ステップモータの目標ステッ
プ角(目標制御位置)を算出し、この目標ステップ角と
現在のステップ角とからステップモータの制御量を設定
し、これに基づいてステップモータを制御することによ
り、所謂セミアクティブ制御を行うようにしたサスペン
ション制御装置が記載されている。
【0003】上記従来のサスペンション制御装置にあっ
ては、バネ上上下速度に基づいて減衰力可変ショックア
ブソーバの減衰力を多段階に変化させることができ、き
め細かい制御によって車両の乗心地を最適な状態に制御
することが可能であり、この乗心地を車両の走行状態に
応じて制御することにより、より良好な乗心地を得るこ
とができる。
【0004】すなわち、例えば市街地等で比較的低車速
状態で走行しているときには、乗心地を重視するため
に、減衰力の可変範囲を狭くして減衰力を比較的小さい
範囲内に抑制することにより、車体のゆっくりした比較
的低周波数の振動は許容するようにして、一過性の突起
通過時等に発生するゴツゴツ感の発生を防止することに
より重厚な乗心地を確保し、逆に高速走行状態では、乗
心地より操縦安定性を重視するために、減衰力の可変範
囲を広くして車体への振動入力に対して大きな減衰力を
発生させて、大きな制振効果を発揮させることが望まれ
ている。
【0005】このような要望に応えるため、車両の走行
状態に応じて減衰力特性を切換えることが考えられてい
るが、この場合の減衰力特性の切換えは、一般的に減衰
力可変ショックアブソーバのステップモータを制御する
目標制御位置を算出する際に、特定の走行状態に応じて
設定した定数を乗算することにより、目標制御位置の上
限値を制限することにより行うようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、走行状態に
応じて設定された定数を乗算することにより目標制御位
置を算出する場合には、算出された目標制御位置の上限
値を制限することはできるが、これと同時に制御ゲイン
も変更されてしまうことから車両の減衰特性を所望の特
性に調整するチューニングが困難であるという未解決の
課題がある。
【0007】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、目標制御位置の制
限を制御ゲインを変更することなく容易確実に行うこと
ができるサスペンション制御装置を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、車体側部材及び車輪側部材間
に介装されて、入力される制御信号に応じて駆動される
アクチュエータによって、弁体の位置を、減衰力が伸側
及び圧側で共に小さい制御位置と伸側又は圧側の減衰力
が最大となる最大制御位置との間で制御することにより
減衰力を多段階に変化可能な減衰力可変ショックアブソ
ーバと、車体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速
度検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段
のバネ上上下速度検出値に基づいて車体の姿勢変化を抑
制する減衰力に応じた前記弁体の目標制御位置を算出
し、当該弁体を目標制御位置に移動させるように前記制
御信号を前記アクチュエータに出力するようにした制御
手段とを備えたサスペンション制御装置において、前記
制御手段は、バネ上上下速度検出値に基づいて目標制御
位置を演算する目標制御位置演算手段と、該目標制御位
置演算手段で演算した目標制御位置を所定の制限値で制
限する目標位置制限手段とを備え、前記目標位置制限手
段で制限した目標制御位置に応じた前記制御信号を前記
アクチュエータに出力するように構成され、前記目標制
御位置演算手段は、前記バネ上上下速度に基づいて当該
バネ上上下速度に対して前記弁体の制御位置を比例させ
る範囲の最大値を設定する比例範囲設定手段と、該比例
範囲設定手段で設定した比例範囲最大値に応じて不感帯
幅を設定する不感帯幅設定手段と、前記比例範囲設定手
で設定した比例範囲最大値及び不感帯幅設定手段の不
感帯幅に基づいて前記目標制御位置を算出するための
置比例係数を算出する位置比例係数算出手段と、該位置
比例係数算出手段で算出した位置比例係数をその低値側
での増加量を高値側の増加量に比較して増大させるよう
補正する補正手段と、該補正手段で補正した位置比例
係数と前記弁体の最大制御位置とを乗算して目標制御位
置を算出し、当該目標制御位置を前記目標位置制限手段
に出力する目標制御位置算出手段とを有することを特徴
としている。
【0009】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、請求項1の発明において、車両が低速走行状態
であるか高速走行状態であるかを検出する走行状態検出
手段を備え、前記目標位置制限手段は、前記走行状態検
出手段で低速走行状態を検出したとき制限値を高速
走行状態を検出したときの制限値に比較して小さい値の
制限値に設定するように構成されていることを特徴とし
ている。
【0010】
【0011】
【作用】請求項1に係るサスペンション制御装置におい
ては、車体のバネ上上下速度を検出し、これに基づいて
制御手段における目標制御位置演算手段で、減衰力可変
ショックアブソーバの減衰力を調整する弁体を駆動する
アクチュエータを制御して、車体の姿勢変化を抑制する
減衰力に応じた弁体の目標位置を算出するが、この目標
位置を目標位置制限手段で所定の制限値で制限すること
により、制限値の変更を目標位置に対する制御ゲインを
変更することなく行うことができ、車両の減衰力特性の
チューニングを良好且つ容易に行うことができる。
【0012】また、バネ上上下速度に基づいて比例範囲
設定手段でバネ上上下速度とアクチュエータの制御位置
とが比例する範囲の最大値を設定すると共に、設定され
た比例範囲最大値に基づいて不感帯幅設定手段で不感帯
幅が設定され、これによって、バネ上上下速度に基づく
最適な制御範囲が設定される。そして、比例範囲最大値
及び不感帯幅に基づいて位置比例係数算出手段で目標制
御位置を算出するための位置比例係数を算出し、算出し
た位置比例係数を補正手段でその低値側での増加量を高
値側の増加量に比較して増大させるように補正すること
により、車両に応じた減衰特性を正確に調整し、この補
正した位置比例係数と最大制御位置とを乗算して目標制
御位置を算出し、この算出した目標制御位置を目標位置
制限手段で走行状態に応じて制限する。
【0013】請求項に係るサスペンション制御装置に
おいては、走行状態検出手段で、車両が低速走行状態で
あるか高速走行状態であるかを検出し、低速走行状態で
は、制限値を高速走行状態に比較して小さく設定するこ
とにより、減衰力の設定範囲を狭めて重厚な乗心地を確
保し、高速走行状態では、逆に減衰力の設定範囲を広げ
て良好な制振効果を発揮することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
って、各車輪1FL〜1RRと車体2との間に夫々サスペン
ション装置を構成する減衰力可変ショックアブソーバ3
FL〜3RRが配設され、これら減衰力可変ショックアブソ
ーバ3FL〜3RRの減衰力を切換えるステップモータ41
FL〜41RRが後述するコントローラ4からの制御信号に
よって制御される。
【0015】減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RR
は、図3〜図7に示すように、外筒5と内筒6とで構成
されるシリンダチューブ7を有するツインチューブ式ガ
ス入りストラット型に構成され、内筒6内がこれに摺接
するピストン8によって上下圧力室9U,9Lに画成さ
れている。ピストン8は、図4〜図7で特に明らかなよ
うに、外周面に内筒6と摺接するシール部材9がモール
ドされ内周面に中心開孔10を有する円筒状の下部半体
11と、この下部半体11に内嵌された上部半体12と
で構成されている。
【0016】下部半体11には、上下に貫通して穿設さ
れた伸側油流路13と、上面側から下方にシール部材9
の下側まで延長して穿設された前記伸側油流路13より
大径の孔部14a及び円筒体11の外周面から孔部14
aの底部に連通して穿設された孔部14bで構成される
圧側油流路14と、中心開孔10の上下開口端に形成さ
れた円環状溝15U,15Lと、上面側に形成され円環
状溝15Uと前記伸側油流路13とに夫々連通する長溝
16と、下面側に形成され円環状溝15Lと連通する長
溝17とが形成され、伸側油流路13の下端側及び長溝
17が伸側ディスクバルブ18によって閉塞され、圧側
油流路14の上端側が圧側ディスクバルブ19によって
閉塞されている。
【0017】また、上部半体12は、下部半体11の中
心開孔10内に嵌挿された小径軸部21と、この軸部2
1の上端に一体に形成された内筒6の内径より小径の大
径軸部22とで構成され、これら小径軸部21及び大径
軸部22の中心位置に、小径軸部21の下端面側から大
径軸部22の中間部まで達する孔部23aと、この孔部
23aの上端側に連通してこれより小径の孔部23b
と、この孔部23bの上端側に連通するこれより大径の
孔部23cとで構成される貫通孔23が形成され、小径
軸部21の円環状溝15U及び15Lに対向する位置に
夫々半径方向に内周面側に貫通する一対の貫通孔24
a,24b及び25a,25bが穿設され、且つ大径軸
部22の孔部23aの上端側にこれと連通する弧状溝2
6が形成されていると共に、この弧状溝26と下端面と
を連通するL字状の圧側油流路27が形成され、この圧
側油流路27の下端面開口部が圧側ディスクバルブ28
によって閉塞されている。
【0018】そして、下部半体11と上部半体12と
が、下部半体11の中心開孔10内に小径軸部21を嵌
挿した状態で、小径軸部21の下部半体11より下方に
突出した下端部にナット29を螺合させてナット締めす
ることにより、一体に連結されている。さらに、上部半
体12の孔部23a内に可変絞りを構成する上端部が閉
塞された円筒状の弁体31が回動自在に配設されてい
る。この弁体31には、図4に示すように、上部半体1
2における大径軸部22の弧状溝26に対向する位置に
半径方向に内周面に達する貫通孔32が形成されている
と共に、図5〜図7に示すように上部半体12の小径軸
部21の貫通孔24a及び24b間に対応する外周面に
これらを連通する連通溝33が形成され、さらに図6に
示すように上部半体12の小径軸部21の貫通孔25a
及び25b間に対応する外周面にこれらを内周面側に連
通させる軸方向に延長する長孔34が形成されている。
そして、貫通孔32、連通溝33及び長孔34の位置関
係が、図8に示す弁体31の回転角位置(制御ポジショ
ン)即ち後述するステップモータ41FL〜41RRのステ
ップ角に対する減衰力特性が得られるように選定されて
いる。
【0019】すなわち、平面からみて例えば時計方向の
最大回転角位置である図8の位置Aでは、図4に示すよ
うに、貫通孔32のみが弧状溝26に連通しており、し
たがって、ピストン8が下降する圧側移動に対しては、
下圧力室9Lから圧側油流路14を通り、その開口端と
圧側ディスクバルブ19とで形成されるオリフィスを通
って上圧力室9Uに向かう破線図示の圧側流路C1と、
下圧力室9Lから弁体31の内周面を通り、貫通孔3
2、弧状溝26、圧側油流路27を通り、その開口端と
圧側ディスクバルブ28とで形成されるオリフィスを通
って上圧力室9Uに向かう破線図示の圧側流路C2とが
形成され、且つピストン8が上昇する伸側移動に対して
は、上圧力室9Uから長溝16、伸側流路13を通り、
その開口端と伸側ディスクバルブ18とで形成されるオ
リフィスを通って下圧力室9Lに向かう破線図示の伸側
流路T1のみが形成され、伸側に対してはピストン速度
の増加に応じて急増する高減衰力を発生させて、圧側に
対してはピストン速度の増加に応じて微増する低減衰力
を発生させる。
【0020】この位置Aから弁体31を反時計方向に回
動させることにより、図5に示すように、弁体31の連
通溝33と小径軸部21の貫通孔24a,25aとが連
通状態となり、回動角の増加に応じて連通溝33と貫通
孔24a,25aとの開口面積が徐々に増加する。この
ため、ピストン8の伸側移動に対しては、図5(a)に
示すように、流路T1と並列に長溝16、円環状溝15
U、貫通孔24a、連通溝33、貫通孔24b、円環状
溝15L、長溝17を通り、長溝17と圧側ディスクバ
ルブ18とで形成されるオリフィスを通って下圧力室9
Lに向かう流路T2が形成されことになり、減衰力の最
大値が図8に示すように、連通溝33と小径軸部21の
貫通孔24a,25aとの開口面積の増加に応じて徐々
に減少し、伸側移動に対しては、図5(b)に示すよう
に、流路C1及びC2が形成されている状態を維持する
ため、最小減衰力状態を維持する。
【0021】さらに、弁体31を平面からみて反時計方
向に回動させて位置B近傍となると、図6に示すよう
に、弁体31の貫通孔25a,25b間が長孔34によ
って連通される状態となる。このため、ピストン8の伸
側移動に対しては、図6(a)に示すように、流路T1
及びT2と並列に長溝16、円環状溝15U、貫通孔2
5a、長孔34、孔部23aを通って下圧力室9Lに向
かう流路T3が形成されることになり、伸側減衰力が最
小減衰力状態となると共に、ピストン8の圧側移動に対
しては、流路C1及びC2に加えて孔部23a、長孔3
4、貫通孔25b、円環状溝15Uを通って長溝16に
達する流路C3及び孔部23a、長孔34、貫通孔25
b、円環状溝15L、貫通孔24b、連通溝33、貫通
孔24a、円環状溝15Uを通って長溝16に達する流
路C4が形成されるが、図8に示すように、最小減衰力
状態を維持する。
【0022】さらに、弁体31を平面からみて反時計方
向に回動させると、長孔34と貫通孔24b及び25b
との間の開口面積が小さくなり、回動角θB2で長孔34
と貫通孔24b及び25bとの間が図7に示すように遮
断状態となるが、貫通孔32と弧状溝26との間の開口
面積は回動角θB2から徐々に小さくなる。このため、回
動角θB2から反時計方向の最大回動角θC 迄の間では、
ピストン8の伸側移動に対しては、流路T1及びT2が
併存することから最小減衰力状態を維持し、逆にピスト
ン8の圧側移動に対しては、貫通孔32と弧状溝26と
の間の開口面積が徐々に減少することにより、最大減衰
力が徐々に増加し、弁体31が位置Cに到達したときに
図7に示すように、貫通孔32と弧状溝26との間が遮
断状態となることにより、ピストンの圧側移動に対し
て、下圧力室9Lから上圧力室9Uに達する流路が流路
C1のみとなり、圧側高減衰力状態となる。
【0023】一方、上部半体12の孔部23cには、円
筒状のピストンロッド35が嵌着され、このピストンロ
ッド35の上端が、図3に示すように、シリンダチュー
ブ7より上方に突出され、その上端側が車体側部材36
に取付けられたブラケット37にゴムブッシュ38U及
び38Lを介してナット39によって固定されていると
共に、ピストンロッド35の上端にブラケット40を介
してステップモータ41FL〜41RRがその回転軸41a
を下方に突出した関係で固定され、この回転軸41aと
前述した弁体31とがピストンロッド35内に緩挿され
た連結杆42によって連結されている。なお、43はバ
ンパーラバーである。また、シリンダチューブ7の下端
は車輪側部材(図示せず)に連結されている。
【0024】コントローラ4には、その入力側に、図9
に示すように、各車輪位置に対応する車体側に設けられ
た上下加速度に応じて、上向きで正となり下向きで負と
なるアナログ電圧でなる上下加速度検出値XFL″〜
RR″を出力する上下加速度検出手段としての上下加速
度センサ51FL〜51RRが接続され、出力側に各減衰力
可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を制御する
ステップモータ41FL〜41RRが接続されている。
【0025】そして、コントローラ4は、入力インタフ
ェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演
算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有す
るマイクロコンピュータ56と、上下加速度センサ51
FL〜51RRの上下加速度検出値XFL″〜XRR″をディジ
タル値に変換して入力インタフェース回路56aに供給
するA/D変換器57FL〜57RRと、出力インタフェー
ス回路56bから出力される各ステップモータ41FL〜
41RRに対するステップ制御信号が入力され、これをス
テップパルスに変換して各ステップモータ41FL〜41
RRを駆動するモータ駆動回路59FL〜59RRとを備えて
いる。
【0026】ここで、マイクロコンピュータ56の演算
処理装置56cは、各上下加速度センサ51i(i=F
L,FR,RL,RR) から夫々入力される車体の上下加速度
検出値Xi ″を積分してバネ上上下速度Xi ′を算出す
ると共に、バネ上上下速度Xi′をもとにバネ上挙動比
例範囲の最大値XUi′を算出し、この比例範囲最大値X
Ui′に基づいて制御不感帯幅NSi を算出し、バネ上上
下速度Xi ′、比例範囲最大値X Ui′及び不感帯幅NS
i に基づいて位置比例係数Ri を算出し、この位置比例
係数Ri を補正関数で補正して補正比例係数FRiを算出
し、この補正比例係数FRiと基本制御最大位置PMAX
に基づいて目標位置PTiを算出し、算出した目標位置P
Tiに低車速走行状態又は高速走行状態に応じて最大値を
制限するリミッタ処理を施し、リミッタ処理後の制御目
標位置PCTi に基づいてステップモータ41iのステッ
プ量Si を算出し、このステップ量Si をモータ駆動回
路59iに出力して、各ステップモータ41iを駆動制
御する。
【0027】また、記憶装置56dは、演算処理装置5
6cの演算処理に必要なプログラムを予め記憶している
と共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を逐次
記憶し、さらに図1に示す補正用制御マップを予め記
憶している。補正用制御マップは、図1に示すよう
に、横軸に位置比例係数Ri を、縦軸に補正比例係数F
Riをとり、位置比例係数Ri が“0”から所定値RS
で増加する間は比較的急峻な直線L1 に示すように補正
比例係数FRiが急増し、所定値R1 から“1”までの間
では直線L1 より緩やかな直線L2 に示すように補正比
例係数FRiが緩やかに増加して“1”に達するように折
れ線特性に設定されている。なお、この補正用制御マッ
プは一例を示しており、実際には前後と伸び側及び圧側
とで所望とする乗心地を得るために異なる特性の補正用
制御マップが用いられる。
【0028】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ56の演算処理装置56cの処理手順の一例を示
す図10を伴って説明する。すなわち、図10の処理は
所定時間(例えば3.33msec)毎にタイマ割込処理と
して実行され、先ず、ステップS1で各上下加速度検出
値Xi ″を読込み、次いでステップS2に移行して、ス
テップS1で読込んだ上下加速度検出値Xi″を例えば
ローパスフィルタ処理することにより積分してバネ上上
下速度としてのバネ上上下速度Xi ′(n) を算出し、こ
れらを記憶装置56dに形成したバネ上上下速度記憶領
域に一時記憶する。
【0029】次いで、ステップS3に移行して、バネ上
上下速度Xi ′が負であるか否かを判定し、Xi ′≧0
であるときには、減衰力可変ショックアブソーバ3iの
ピストンロッド35が伸び側に移動るものと判断して
ステップS4に移行し、以後の処理で必要とする各種係
数を伸び側係数に設定してからステップS6に移行す
る。
【0030】すなわち、比例域算出係数αとして伸び側
比例域算出係数αT を設定し、周期判断値TD として伸
び側周期判断値TDTを設定し、制御不感帯係数KN とし
て伸び側不感帯係数KNTを設定し、バネ上挙動比例範囲
上制限値XU MAX 及び下制限値XU MIN として伸
び側上制限値XUTMAX 及び伸び側下制限値XUTMIN
を設定し、基本制御最大位置PMAX として伸び側基本制
御最大位置+PTMAXを設定し、基本制御リミット位置P
L として伸び側の基本制御リミット位置+PLTを設定す
る。
【0031】一方、ステップS3の判定結果がXi ′<
0であるときには、減衰力可変ショックアブソーバ3i
のピストンロッド35が圧側に移動るものと判断して
ステップS5に移行し、以後の処理で必要とする各種係
数を圧側係数に設定してからステップS6に移行する。
すなわち、比例域算出係数αとして圧側比例域算出係数
αC を設定し、周期判断値TD として圧側周期判断値T
DCを設定し、制御不感帯係数KN として圧側不感帯係数
NCを設定し、バネ上挙動比例範囲の上制限値XU
MAX 及び下制限値XU MIN として圧側上制限値XUC
MAX 及び圧側下制限値XUCMIN を設定し、基本制御最
大位置PMAX として圧側基本制御最大位置+PCMAXを設
定し、基本制御リミット位置PL として圧側の基本制御
リミット位置+PLCを設定する。
【0032】ステップS6では、過去のバネ上上下速度
i ′の変動状況に基づいてバネ上挙動比例範囲の最大
値XUi′を算出する比例範囲最大値算出処理を実行す
る。この最大値算出処理は、図11に示すように、先ず
ステップS6aで、バネ上上下速度Xi ′(n) が0クロ
ス状態となったか否かを判定する。この判定は、前回の
読込周期におけるバネ上上下速度Xi ′(n-1) と今回の
バネ上上下速度Xi′(n) との乗算値が0を含む負とな
るか否かによって判断し、Xi ′(n-1) ・Xi ′(n) ≦
0であるときには、0クロス状態であると判断してステ
ップS6bに移行してバネ上上下速度の周期を表す周期
カウンタのカウント値TN を“0”にクリアし、次いで
ステップS6cに移行して、現在の極値Vi を0.5周
期前における極値V1i として記憶装置56dに形成さ
れた極値記憶領域に更新記憶すると共に、この極値記憶
領域に記憶されている0.5周期前における極値V1i
を1周期前における極値V2i とし、さらに1周期前に
おける極値V2i を1.5周期前の極値V3i として順
次シフトして更新記憶し、次いでステップS6dに移行
して極値Vi を“0”にクリアしてからステップS6k
に移行する。
【0033】一方、ステップS6aの判定結果がXi
(n-1) ・Xi ′(n) >0であるときには、減衰力可変シ
ョックアブソーバ3iのピストンロッド35が伸び側又
は圧側に移動しているものと判断してステップS6eに
移行し、周期カウンタのカウント値TN を“1”だけイ
ンクリメントしてからステップS6fに移行する。この
ステップS6では、今回算出したバネ上上下速度
i ′(n) の絶対値が極値i0の絶対値より大きいか否
かを判定し、|Xi ′(n) |>|Vi0|であるときには
ステップS6gに移行して今回のバネ上上下速度Xi
(n) を極値Vi0として記憶装置56dの極値一時記憶領
域に更新記憶してからステップS6hに移行し、|
i ′(n) |≦|Vi0|であるときにはそのままステッ
プS6hに移行する。
【0034】ステップS6hでは、周期カウンタのカウ
ント値TN が予め設定された周期判断値TD を越えてい
るか否かを判定する。この周期判断値TD はバネ上上下
速度Xi ′が0クロス状態から伸び側の極大値又は圧側
の極小値に達する迄の時間に応じて予め設定されてい
る。このとき、TN <TD であるときには、未だ極値に
達していないものと判断してステップS6iに移行し、
予め設定された仮想極値V0 を極値Vi して設定し、
これを記憶装置56dの極値記憶領域に更新記憶してか
らステップS6kに移行し、TN ≧TD であるときに
は、極値近傍を越えたものと判断してステップS6jに
移行し、極値一時記憶領域に記憶されている極値Vi0
極値Vi として極値記憶領域に更新記憶してからステッ
プS6kに移行する。
【0035】ステップS6kでは、極値記憶領域に格納
された極値Vi 、V1i 、V2i 及びV3i をもとに下
記(1)式の演算を行ってバネ上挙動比例範囲の最大
Ui′を算出する。 XUi′=α・A/B …………(1) A=K1 ・Vi +K2 ・V1i +K3 ・V2i +K4
V3i B=K1 +K2 +K3 +K4 ここで、αは比例域算出係数、K1 、K2 、K3 及びK
4 は重み係数である。
【0036】次いで、ステップS6mに移行して、ステ
ップS2で算出したバネ上上下速度Xi ′の絶対値が算
出した比例範囲最大値XUi′の絶対値より大きいか否か
を判定し、|Xi ′|>|XUi′|であるときには、ス
テップS6nに移行して、バネ上上速度Xi ′を比例
範囲最大値XUi′として設定してからステップS6oに
移行し、|Xi ′|≦|XUi′|であるときには、その
ままステップS6oに移行する。
【0037】ステップS6oでは、比例範囲最大
Ui′の絶対値が予め設定された上制限値XU MAX
絶対値以上であるか否かを判定し、|XUi′|≧|
U MAX |であるときには、ステップS6pに移行し
て上制限値XU MAX 比例範囲最大値XUi′として設
定してからステップS6qに移行し、|XUi′|<|X
U MAX |であるときには、そのままステップS6qに
移行する。
【0038】ステップS6qでは、比例範囲最大
Ui′の絶対値が予め設定された下制限値XU MIN
絶対値以下であるか否かを判定し、|XUi′|≦|
U MIN |であるときには、ステップS6rに移行し
下制限値XU MIN 比例範囲最大値XUi′として設
定してからサブルーチン処理を終了して図10のステッ
プS7に移行し、|XUi′|>|XU MIN |であると
きには、そのままサブルーチン処理を終了して図10の
ステップS7に移行する。
【0039】図10のステップS7では、上記サブルー
チン処理で設定されたバネ上挙動比例範囲の最大
Ui′をもとに下記(2)式の演算を行って制御不感帯
幅NSiを算出する。 NSi =KN ・XUi′ …………(2) ここで、KN は制御不感帯係数である。
【0040】次いで、ステップS8に移行して、バネ上
上下速度Xi ′、バネ上挙動比例範囲の最大値XUi′及
び不感帯幅NSi をもとに下記(3)式の演算を行って
位置比例係数Ri を算出する。 Ri =(Xi ′−NSi )/(XUi′−NSi ) …………(3) ついで、ステップS9に移行して、位置比例係数Ri
“1”以上であるか否かを判定し、Ri ≧1であるとき
には、ステップS10に移行して位置比例係数Ri
“1”に設定してからステップS13に移行し、Ri
1であるときにはステップS11に移行する。
【0041】ステップS11では、位置比例係数Ri
0を含む負の値であるか否かを判定し、Ri ≦0である
ときには、ステップS12に移行して位置比例係数Ri
を“0”に設定してからステップS13に移行し、Ri
>0であるときにはそのままステップS13に移行す
る。ステップS13では、設定された位置比例係数Ri
をもとに図12に示す補正用制御マップを参照して補正
比例係数FRi(0≦FRi≦1)を算出する。
【0042】次いで、ステップS14に移行して、算出
した補正比例係数FRiと基本最大制御位置PMAX とをも
とに下記(4)式の演算を行って弁体31の目標制御位
置P Tiを算出し、これを記憶装置56dの目標制御位置
記憶領域に更新記憶する。 PTi=FRi・PMAX …………(4) 次いで、ステップS15に移行して、算出した目標制御
位置PTiの絶対値が基本制御リミット値PL の絶対値以
上であるか否かを判定する。この判定は、目標制御位置
Tiが基本制御リミット値PL を越えているか否かを判
定するものであり、|PTi|≧|PL |であるときに
は、目標制御位置PTi を基本制御リミット値PL に制
限してからステップS17に移行し、|PTi|<|PL
|であるときにはそのままステップS17に移行する。
【0043】ステップS17では、設定された目標制御
位置PTiから予め記憶装置56dに更新記憶されている
現在位置PA を減算してステップモータ41iの回転角
をステップ量Sとして算出してからステップS18に移
行する。このステップS18では、算出されたステップ
量Sの絶対値が予め設定された一回の演算処理で達成さ
れる最大ステップ量SMAX 以下であるか否かを判定し、
|S|≦SMAX であるときにはステップS19に移行し
てステップ量Sをそのままステップモータ41iに対す
るステップ量Sとして設定してからステップS23に移
行し、|S|>SMAX であるときにはステップS20に
移行する。
【0044】ステップS20では、ステップ量Sが正で
あるか否かを判定し、S>0であるときには、ステップ
S21に移行して正の最大値SMAX をステップモータ4
1iに対するステップ量Sとして設定してからステップ
S23に移行し、S<0であるときには負の最大値−S
MAX をステップモータ41iに対するステップ量Sとし
て設定してからステップS23に移行する。
【0045】ステップS23では、設定されたステップ
量Sをステップモータ41iへの制御信号として各モー
タ駆動回路59iに出力してからステップS24に移行
する。このステップS24では、ステップS2で算出さ
れたバネ上上下速度の今回値Xi ′(n) をバネ上上下速
度の前回値Xi ′(n-1) として記憶装置56dの所定記
憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了して所
定のメインプログラムに復帰する。
【0046】この図10の処理が制御手段に対応し、こ
こでステップS1〜ステップS14の処理が目標制御位
置演算手段に対応し、このうちステップS2の処理がバ
ネ上上下速度検出手段に対応し、ステップS6の処理が
比例範囲設定手段に対応し、ステップS7の処理が不感
帯幅算出手段に対応し、ステップS8〜S12の処理が
制御位置比例係数算出手段に対応し、ステップS13の
処理が補正比例係数算出手段に対応し、ステップS14
の処理が目標制御位置算出手段に対応し、ステップS1
5及びS16の処理が目標位置制限手段に対応してい
る。
【0047】したがって、今、車両が平坦な良路を直線
走行しているときには、車体の上下動が殆どないので、
各上下加速度センサ51FL〜51RRから出力される上下
加速度検出値X2FL ″〜X2RR ″は略零となる。したが
って、図10の処理が実行されたときに、ステップS2
で算出されるバネ上上下速度X2FL ′〜X2RR ′も略零
となり、ステップS6で算出されるバネ上挙動比例範囲
最大値XUi′は、下制限値XU MIN に設定され、こ
れに応じて不感帯幅NSi も最値に設定される。この
ため、図13で破線図示の特性線L1 で示すように、例
えば突起を通過することにより、車体に一過性のボトミ
ングが発生して、車体に不感帯幅NSi を越え、且つ減
衰力が最小減衰力から変化する位置PT1に対応する減衰
力変化開始上下速度XiS′を越えるバネ上上下速度
iA′が発生すると、このバネ上上下速度XiA′に対応
する目標制御位置PTAが算出されて、バネ上上下速度X
iA′を確実に抑制する減衰力が発生されて乗員に重厚な
感覚を与えることができる。
【0048】一方、うねり路を走行することにより車体
がバウンスして比較的大きなバネ上上下速度Xi ′が発
生する場合には、ステップS6で算出されるバネ上挙動
比例範囲の最大値XUi′が下制限値XU MIN より大き
い値となり、これに応じて不感帯幅NSi も大きい値に
設定される。このため、図13で一点鎖線図示の特性線
2 で示すように、車体に不感帯幅NSi 及び減衰力変
化開始上下速度XiS′を越えるバネ上上下速度XiB ′が
発生すると、このバネ上上下速度XiB ′に対応する目標
制御位置PTBが算出されて、バネ上上下速度XiB′を効
果的に抑制する減衰力が発生されて、車輪から車体へ入
力される路面の振動を適度に抑制しながら車体の上下動
を効果的に抑制して良好な乗心地を確保することができ
る。
【0049】さらに、オフロード等の悪路を走行するこ
とにより、車体にピッチ、ロール、バウンス等が重なっ
て発生する場合には、ステップS6で算出されるバネ上
挙動比例範囲の最大値XUi′が上制限値XU MAX とな
り、これに応じて不感帯幅NSi も最大値に設定され
る。このため、図13で線図示の特性線L3 で示すよ
うに、車体に不感帯幅NSi 及び減衰力変化開始上下速
度XiS′を越える前記うねり路走行時と同様のバネ上上
下速度XiB′が発生すると、このバネ上上下速度XiB
に対応する前述した目標制御位置PTBより小さな目標制
御位置PTCが算出されて、車体の上下動の抑制より車輪
から車体へ入力される路面の振動を抑制することができ
る。
【0050】このように、車両の走行状態によって、バ
ネ上挙動比例範囲の最大値XUi′が設定されることによ
り、走行状態に応じた減衰力特性を得ることができる
が、その減衰力制御状態を次に説明する。すなわち、良
路を走行している状態で、車輪が前上がりの段差等の一
過性の段部を通過するものとすると、この段部通過によ
って車体が上下動しないときには、バネ上上下速度
FL′〜XRR′が零を維持するので、ステップS14で
算出される目標制御位置PT が“0”の位置Bを維持す
るため、図8に示すように、減衰力可変ショックアブソ
ーバ3FL〜3RRで発生する減衰力は最小値D/FT0に設
定され、車輪が段部に乗り上げて、その突き上げ力を吸
収しきれないときに、車体も上方に変位されることにな
り、このためバネ上上下速度XFL′〜XRR′が正方向に
増加することになる。
【0051】このように、バネ上上下速度XFL′〜
FR′が正方向に増加すると、ステップS14で図8に
おける位置PT1〜PTMAXの領域の目標制御位置PT が算
出されるので、減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3
RRの弁体31が図5に示すように切換制御される。この
結果、段部乗り上げによって車体側の変位速度Xi ′に
対して車輪側の変位速度が速くてピストン8が圧側に移
動するときには、圧側の最小減衰力D/FC0を維持して
いるので、車輪側への振動入力を吸収することができ、
この状態から段部を乗り越えることにより車輪側の上昇
速度が車体側の上昇速度より小さくなるとピストン8が
伸側に移動することになる。
【0052】このときには、減衰力D/Fが大きな値と
なるので、車体の上昇を抑制する制振効果を発揮し、そ
の後車体の上昇が極大値近傍となると、バネ上上下速度
FL′〜XRR′が不感帯幅NSFL〜NSRR内となること
により、前述したようにステップモータ41FL〜41RR
が反時計方向に回動されて位置Bに復帰され、これによ
って圧側及び伸側が共に最小減衰力D/FT0及びD/F
C0に制御され、次いで車体が下降を開始すると、これに
応じてバネ上上下速度XFL′〜XRR′が負方向に増加す
ることにより、ステップ14で算出される目標制御位置
T が図8の−PC1〜−PCMAXの範囲となり、これに応
じて弁体31がさらに反時計方向に回動されて、図7に
示す回動位置に回動される。このため、車体が下降し、
且つピストン8が圧側に移動する状態では、減衰力が大
きくなることにより、大きな制振効果が発揮される。
【0053】逆に車輪が前下がりの段差を通過するとき
には、先ず車輪がリバウンドすることにより、ピストン
8が伸側に移動するが、このときには車体は上下動しな
いので、バネ上上下速度XFL′〜XRR′は零であるの
で、減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力
最小減衰力D/FT0及びD/FC0を維持し、車輪の下降
を許容し、その後、車体が下降を開始すると、バネ上上
下速度XFL′〜XRR′が負方向に増加し、目標制御位置
T が負の大きな値となって、図8の位置PC1〜PCMAX
の範囲に設定され、弁体31が図7に示す位置に回動さ
れるため、ピストン8の圧側の移動に対しては大きな減
衰力を与えて大きな制振効果を発揮することができる。
【0054】その後、バネ上上下速度XFL′〜XRR′が
小さくなることにより、目標制御位置PT が“0”に向
かうに応じて、弁体31が時計方向に回動されて位置B
側に戻り、バネ上上下速度XFL′〜XRR′が不感帯幅N
FL〜NSRR内となると、弁体31が位置Bとなって、
最小減衰力D/FT0及びD/FC0となる。その後、車体
が揺り戻しによって上昇を開始すると、バネ上上下速度
FL′〜XRR′が正方向に増加すると共に、ピストン8
が伸側に移動することにより、位置A側となる目標制御
位置PT が算出されて、弁体31が時計方向に回動され
て図5に示す位置となることにより、ピストン8の伸側
の移動に対しては大きな減衰力を与えて制振効果を発揮
することができる。
【0055】このように、バネ上上下速度Xi ′に応じ
て、これを抑制する減衰力を発生することができるもの
であるが、ステップS14で算出される目標制御位置P
Tiが予め設定された伸び側制限位置PLT又は圧側制限位
置PLCを越えている場合には、これらの伸び側制限位置
LT又は圧側制限位置PLCに制限される(ステップS1
6)。このため、図13で二点鎖線図示の直線L4 で示
すように、特性線L1〜L3 の何れが選択されている場
合でも、伸び側制限位置PLT又は圧側制限位置PLCに達
するまでは、ステップS14で算出された目標制御位置
T に弁体31が制御されるが、伸び側制限位置PLT
は圧側制限位置PLCに達した後はそれを越える目標制御
位置PT が制限される。
【0056】このとき、車両の乗心地をチューニングす
る際に、伸び側制限位置PLT又は圧側制限位置PLCを変
更しても、制限位置が変更されるだけで、従来例のよう
に制御ゲイン即ち特性線L1 〜L3 の傾きが変更される
ことはなく、チューニングによって減衰力特性が変化し
ないので、乗心地のチューニングを容易確実に行うこと
ができる。
【0057】因みに、従来例のように、目標制御位置を
算出する際に制限値を乗算するようにした場合には、制
限位置を変更するために制限値を変更すると、目標制御
位置の制御ゲインも共に変更されてしまうので、制御ゲ
インを一定に保つためには、複雑な調整が必要となり、
実質的に困難である。なお、上記実施例においては、乗
心地のチューニング時に制限位置PLT及びP LCを設定す
る場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、例えば運転席近傍又は後部座席に選択スイッチを
設け、この選択スイッチを操作することにより制限位置
LT及びPLCを変更することにより、乗心地を重視した
サスペンション制御と、車体の制振性を重視したサスペ
ンション制御とを乗員の好みに応じて選択するようにし
てもよい。
【0058】また、車速を車速センサで検出して、例え
ば80km/h未満の低車速領域では、制限位置PLT
びPLCを小さい値として、伸び側及び圧側の最大減衰力
を小さく制限して乗心地を重視したサスペンション制御
を行い、80km/hを越える高速走行状態では、制限
位置PLT及びPLCを大きい値として、伸び側及び圧側の
最大減衰力を大きくして制振性を重視したサスペンショ
ン制御を行うこともでき、走行状態に応じて制限位置を
変更して、乗心地の向上と制振性の向上との相反する要
求を共に満足することができる。
【0059】また、上記実施例においては、減衰力を制
御する弁体31をロータリ形に構成した場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、スプール形
に構成して、圧側と伸側とで異なる流路を形成するよう
にしてもよく、この場合にはステップモータ41FL〜4
1RRの回転軸41aにピニオンを連結し、このピニオン
に噛合するラックを連結杆42に取り付けるか又は電磁
ソレノイドを適用して弁体31の摺動位置を制御すれば
よい。
【0060】さらに、上記実施例においては、路面から
の振動入力による車体の姿勢変化を抑制する場合につい
て説明したが、これに限らず車両の旋回状態、制動状態
等の走行状態を検出して、これによる車体の姿勢変化を
抑制する制御を併せて行うようにしてもよい。さらにま
た、上記実施例においては、コントローラ4をマイクロ
コンピュータ56で構成する場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、積分器、関数発生器、
演算回路、比較器等の電子回路を組み合わせてコントロ
ーラを構成するようにしてもよい。
【0061】また、上記各実施例においては、車体2の
各車輪1FL〜1RR位置に上下加速度センサ51FL〜51
RRを設けた場合について説明したが、何れか1つの上下
加速度センサを省略して、省略した位置の上下加速度を
他の上下加速度センサの値から推定するようにしてもよ
い。さらにまた、上記実施例においては、ステップモー
タ41FL〜41RRをオープンループ制御する場合につい
て説明したが、これに限らずステップモータの回転角を
エンコーダ等で検出し、これをフィードバックすること
によりクローズドループ制御するようにしてもよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、車体のバネ上上下速度
を検出し、これに基づいて制御手段における目標制御位
置演算手段で、減衰力可変ショックアブソーバの減衰力
を調整する弁体を駆動するアクチュエータを制御して、
車体の姿勢変化を抑制する減衰力に応じた弁体の目標位
置を算出するが、この目標位置を目標位置制限手段で所
定の制限値で制限することにより、制限値の変更を目標
位置に対する制御ゲインを変更することなく行うことが
でき、車両の減衰力特性のチューニングを良好且つ容易
に行うことができるという効果が得られる。
【0063】しかも、バネ上上下速度に基づいて比例範
囲設定手段でバネ上上下速度とアクチュエータの制御位
置とが比例する範囲の最大値を設定すると共に、設定さ
れた比例範囲最大値に基づいて不感帯幅設定手段で不感
帯幅が設定されるので、バネ上上下速度に基づいて最適
な制御範囲を設定することができると共に、比例範囲及
び不感帯幅に基づいて位置比例係数算出手段で目標制御
位置を算出するための位置比例係数を算出し、算出した
位置比例係数を補正手段で補正することにより、車両に
応じた減衰特性を正確に調整することができ、この補正
した位置比例係数と最大制御位置とに基づいて目標制御
位置を算出し、この算出した目標制御位置を目標位置制
限手段で走行状態に応じて制限して、減衰力可変ショッ
クアブソーバの減衰力制御をきめ細かく行うことができ
るという効果が得られる。
【0064】また、請求項に係るサスペンション制御
装置によれば、走行状態検出手段で、車両が低速走行状
態であるか高速走行状態であるかを検出し、低速走行状
態では、制限値を高速走行状態に比較して小さく設定す
るので、減衰力の設定範囲を狭めて重厚な乗心地を確保
し、高速走行状態では、逆に減衰力の設定範囲を広げて
良好な制振効果を発揮することができるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】減衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一
部を断面とした正面図である。
【図4】車体上昇時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図である。
【図5】車体上昇時の中間減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図6】車体無変動時の減衰力調整機構を示す拡大断面
図であり、(a)は伸側、(b)は圧側の作動油経路を
夫々示している。
【図7】車体下降時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図8】減衰力可変ショックアブソーバのステップ角に
対する減衰力特性を示す説明図である。
【図9】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図10】コントローラの減衰力制御処理手順の一例を
示すフローチャートである。
【図11】図10におけるバネ上挙動比例範囲上限値算
出処理のサブルーチン処理を示すフローチャートであ
る。
【図12】制御位置比例係数と補正比例係数との関係を
示す制御マップである。
【図13】減衰力可変ショックアブソーバの弁体の位置
とバネ上上下速度との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2 車体 3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ 4 コントローラ 8 ピストン 31 弁体 35 ピストンロッド 41FL〜41RR ステップモータ 51FL〜51RR 上下加速度センサ 56 マイクロコンピュータ 59FL〜59RR モータ駆動回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側部材及び車輪側部材間に介装され
    て、入力される制御信号に応じて駆動されるアクチュエ
    ータによって、弁体の位置を、減衰力が伸側及び圧側で
    共に小さい制御位置と伸側又は圧側の減衰力が最大とな
    る最大制御位置との間で制御することにより減衰力を多
    段階に変化可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車
    体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速度検出手段
    と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段のバネ上上
    下速度検出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する減衰
    力に応じた前記弁体の目標制御位置を算出し、当該弁体
    を目標制御位置に移動させるように前記制御信号を前記
    アクチュエータに出力するようにした制御手段とを備え
    たサスペンション制御装置において、 前記制御手段は、バネ上上下速度検出値に基づいて目標
    制御位置を演算する目標制御位置演算手段と、該目標制
    御位置演算手段で演算した目標制御位置を所定の制限値
    で制限する目標位置制限手段とを備え、前記目標位置制
    限手段で制限した目標制御位置に応じた前記制御信号を
    前記アクチュエータに出力するように構成され、 前記目標制御位置演算手段は、前記バネ上上下速度に基
    づいて当該バネ上上下速度に対して前記弁体の制御位置
    を比例させる範囲の最大値を設定する比例範囲設定手段
    と、該比例範囲設定手段で設定した比例範囲最大値に応
    じて不感帯幅を設定する不感帯幅設定手段と、前記比例
    範囲設定手段で設定した比例範囲最大値及び不感帯幅設
    定手段の不感帯幅に基づいて前記目標制御位置を算出す
    るための位置比例係数を算出する位置比例係数算出手段
    と、該位置比例係数算出手段で算出した位置比例係数を
    その低値側での増加量を高値側の増加量に比較して増大
    させるように補正する補正手段と、該補正手段で補正し
    た位置比例係数と前記弁体の最大制御位置とを乗算して
    目標制御位置を算出し、当該目標制御位置を前記目標位
    置制限手段に出力する目標制御位置算出手段とを有する
    ことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 車両が低速走行状態であるか高速走行状
    態であるかを検出する走行状態検出手段を備え、前記目
    標位置制限手段は、前記走行状態検出手段で低速走行状
    態を検出したとき制限値を高速走行状態を検出した
    ときの制限値に比較して小さい値の制限値に設定するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1記載のサ
    スペンション制御装置。
JP13916395A 1995-06-06 1995-06-06 サスペンション制御装置 Expired - Lifetime JP3385796B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13916395A JP3385796B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 サスペンション制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13916395A JP3385796B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 サスペンション制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08324219A JPH08324219A (ja) 1996-12-10
JP3385796B2 true JP3385796B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=15239055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13916395A Expired - Lifetime JP3385796B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 サスペンション制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3385796B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08324219A (ja) 1996-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05155222A (ja) 車両のサスペンション装置
JP3084054B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3052698B2 (ja) サスペンション制御装置
JPH06278441A (ja) 車両懸架装置
JPH07117443A (ja) サスペンション制御装置
JP3385796B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3087501B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3102243B2 (ja) サスペンション制御装置
JPH07117436A (ja) サスペンション制御装置
JP3156480B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3087519B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3146852B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3060803B2 (ja) 4輪操舵車両の車両特性制御装置
JPH11151923A (ja) 車両用減衰力制御装置
JPH06106945A (ja) 減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
JPH07323714A (ja) サスペンション制御装置
JP3186452B2 (ja) サスペンション制御装置
JPH07179113A (ja) サスペンション制御装置
JP3081041B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3081040B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3055377B2 (ja) 4輪操舵車両の車両特性制御装置
JP3085060B2 (ja) 4輪操舵車両の車両特性制御装置
JPH07186657A (ja) サスペンション制御装置
JP3566434B2 (ja) サスペンション制御装置
JPH08175145A (ja) サスペンション制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090110

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100110

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110110

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120110

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130110

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130110

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140110

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term