JPH05155222A - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

車両のサスペンション装置

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JPH05155222A
JPH05155222A JP3324190A JP32419091A JPH05155222A JP H05155222 A JPH05155222 A JP H05155222A JP 3324190 A JP3324190 A JP 3324190A JP 32419091 A JP32419091 A JP 32419091A JP H05155222 A JPH05155222 A JP H05155222A
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vehicle
damping
damping coefficient
damping force
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透 吉岡
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    • F16F9/00Springs, vibration-dampers, shock-absorbers, or similarly-constructed movement-dampers using a fluid or the equivalent as damping medium
    • F16F9/32Details
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね上の上下変化と共にばね下の振動をも加
味して目標の減衰力を設定し、車輪の接地性を高めて走
行安定性の向上を図る。 【構成】 ばね上とばね下との間に、減衰係数が複数段
に変更可能なショックアブソーバを配設し、該ショック
アブソーバの実際に発生する減衰力が、目標の減衰力と
なるようショックアブソーバの減衰係数を変更制御す
る。上記目標の減衰力Fa を、ばね上の上下方向の変位
速度Xs 及びばね下の上下方向の変位速度Xu の関数と
して、下記の式 Fa =−Xs ・gs −Xu ・gu により算出する。但し、gs ,gu は共に係数で、gs
>0,gu ≧0である。好ましくは、上記係数gu を、
車両の走行状態に応じて変わる変数となし、車両の旋回
走行時又は低車速走行時にgu を零に、又は車両が走行
する路面の摩擦係数が低い程gu を大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のサスペンション
装置に関し、特に、ばね上とばね下との間に、減衰係数
が複数段に変更可能な減衰係数可変式のショックアブソ
ーバを備えるものの改良に係わる。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両のサスペンション装置にお
いては、車体側としてのばね上と、車輪側としてのばね
下との間に、車輪の上下振動を減衰させるためのショッ
クアブソーバが装備されている。このショックアブソー
バには、減衰係数可変式のものとして、減衰係数が大小
2段に変更可能なもの、減衰係数が多段又は無段連続的
に変更可能なもの等種々のものがある。
【0003】そして、このような減衰係数可変式のショ
ックアブソーバの制御方法は、従来、ショックアブソー
バの実際に発生する減衰力が、ばね上が上下変化をしな
い目標の減衰力いわゆるスカイフックダンパー力となる
ようショックアブソーバの減衰係数を変更制御するもの
である。その具体的な制御方法として、例えば特開昭6
0−248419号公報には、ばね上とばね下との間の
相対変位の符号とその微分値であるばね上ばね下間の相
対速度の符号とが一致するか否かを調べ、一致するとき
にはショックアブソーバの減衰係数を大きくして該ショ
ックアブソーバが発生する減衰力を大きくし、不一致の
ときにはショックアブソーバの減衰係数を小さくして該
ショックアブソーバが発生する減衰力を小さくすること
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
制御方法では、ばね上が上下変化をしないよう目標の減
衰力を設定しているが、ばね下共振点付近の振動周波数
ではばね下である車輪が路面から離れ易くなり、走行安
定性が低下するという問題がある。
【0005】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記の如くショックア
ブソーバの減衰係数を可変制御するに当り、ばね上の上
下変化と共にばね下の振動をも加味して目標の減衰力を
設定して、車輪の接地性を高め、走行安定性の向上を図
り得る車両のサスペンション装置を提供せんとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、ばね上とばね下との間に配
設され、減衰係数が複数段に変更可能なショックアブソ
ーバと、該ショックアブソーバの実際に発生する減衰力
が、目標の減衰力となるようショックアブソーバの減衰
係数を変更制御する制御手段とを備えた車両のサスペン
ション装置において、上記目標の減衰力Fa を、ばね上
の上下方向の変位速度Xs 及びばね下の上下方向の変位
速度Xu の関数として、下記の式 Fa =−Xs ・gs −Xu ・gu 但し、gs ,gu は共に係数で、gs >0,gu ≧0 により算出するように構成するものである。
【0007】請求項2記載の発明は、上記係数gu を、
車両の走行状態に応じて変わる変数とし、請求項3〜5
記載の発明は、これをより具体的に示す。すなわち、請
求項3記載の発明は、車両の旋回走行時に係数gu を零
にし、請求項4記載の発明は、車両の低車速走行時に係
数gu を零にする。また、請求項5記載の発明は、車両
が走行する路面の摩擦係数が低い程係数guを大きくす
る。
【0008】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明では、
目標の減衰力Fa が、ばね上の上下変化の項(Xs ・g
s )に、ばね下の上下変化の項(Xu ・gu )を加味し
て算出され、ショックアブソーバの実際に発生する減衰
力がこの目標の減衰力となるよう制御手段よってショッ
クアブソーバの減衰係数が変更制御されるようになる。
これにより、ばね上の上下変化が抑制されるとともに、
車輪の接地性が高められる。
【0009】請求項3記載の発明では、車両の旋回走行
時に係数gu が零となり、目標の減衰力Fa は、ばね上
の上下変化の項のみとなり、ばね上の上下変化の抑制を
重視した制御が行われる。また、請求項4記載の発明で
は、ばね下共振が発生することがない車両の定車速走行
時に係数gu が零となり、目標の減衰力Fa は、ばね上
の上下変化の項のみとなり、ばね上の上下変化の抑制を
重視した制御が行われる。
【0010】さらに、請求項5記載の発明では、車両が
走行する路面の摩擦係数が低い程係数gu が大きくな
り、ばね下の上下変化の抑制を重視した制御が行われ
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0012】図1は本発明の一実施例に係わるサスペン
ション装置を装備する車両の部品レイアウトを示す。
【0013】図1において、1,2,3及び4は左右の
前輪5(左側の前輪のみ図示する)及び後輪6(左側の
後輪のみ図示する)に各々対応して設けられた四つのシ
ョックアブソーバであって、各車輪の上下動を減衰させ
るものである。該各ショックアブソーバ1〜4は、内蔵
するアクチュエータ(図2及び図3参照)により減衰係
数が相互に異なった10段に変更可能に設けられてお
り、また、実際に発生する減衰力の大きさを検出する圧
力センサ(図示せず)を内蔵している。7は上記各ショ
ックアブソーバ1〜4の上部外周に配設されたコイルス
プリング、8は上記各ショックアブソーバ1〜4内のア
クチュエータに対して制御信号を出力してその減衰係数
を変更制御するコントロールユニットであり、該コント
ロールユニット8に向けて上記各ショックアブソーバ1
〜4内の圧力センサから検出信号が出力される。
【0014】また、11a,11b,11c及び11d
は各車輪毎のばね上の上下方向の加速度を検出する四つ
のばね上加速度センサ、13a,13b,13c及び1
3dは各車輪毎のばね下の上下方向の加速度を検出する
四つのばね下加速度センサ、15は従動輪たる前輪5の
回転速度から車速を検出する車速センサ、16はステア
リングシャフトの回転から前輪5の舵角を検出する舵角
センサ、17はドライバーがショックアブソーバ1〜4
の減衰係数についてハードモード、ソフトモードまたは
コントロールモードのいずれかに切り換えるモード選択
スイッチであり、該モード選択スイッチ17により、ハ
ードモードが選択されたときは、大きな減衰係数が選択
され、減衰力がハードなものになる。また、ソフトモー
ドが選択されたときは、小さな減衰係数が選択され、減
衰力がソフトなものになる。さらに、コントロールモー
ドが選択されたときは、予めコントロールユニット8内
に記憶されたマップあるいはテーブルに基づいて、ショ
ックアブソーバ1〜4の減衰係数の変更制御が行われ
る。この変更制御については、後に詳述する。
【0015】図2は上記ショックアブソーバ1〜4の構
造を示す。但し、この図では、ショックアブソーバ1〜
4に内蔵される圧力センサは、便宜上省略している。
【0016】図2において、21はシリンダであって、
該シリンダ21内には、ピストンとピストンロッドとを
一体的に成形してなるピストンユニット22が摺動自在
に嵌装されている。上記シリンダ21及びピストンユニ
ット22は、それぞれ別々に設けられた結合構造を介し
てばね下及びばね上に結合されている。
【0017】上記ピストンユニット22には、二つのの
オリフィス23、24が形成されている。そのうちの一
方のオリフィス23は常に開いており、他方のオリフィ
ス24は、その通路面積(絞り)がアクチュエータ25
により10段階に変更可能に設けられている。上記アク
チュエータ25は、図3にも示すように、ピストンユニ
ット22内に固定して配置されたスリーブ26と、該ス
リーブ26内を貫通しかつ回転自在に設けられたシャフ
ト27と、該シャフト27を所定の角度毎に回転させる
ステップモータ28と、上記シャフト27の下端に回転
一体に連結され、円周方向に所定の間隔毎に形成された
九つの円形孔29,29,…を有する第1オリフィスプ
レート30と、上記スリーブ26の下端に取付けられ、
円周方向に沿って円弧状に形成された長孔31を有する
第2オリフィスプレート32とを備えている。そして、
ステップモータ28が作動して第1オリフィスプレート
30が回動することにより、該第1オリフィスプレート
30の円形孔29が第2オリフィスプレート32の長孔
31と対向したりしなくなったりし、また、その対向す
る円形孔29の個数も零から九つまで順次変わるように
なっている。
【0018】上記シリンダ21内の上室33、下室34
及びこの両室33,34に通じるピストンユニット22
内の空洞は、適度の粘性を有する流体で満たされてい
る。この流体は、上記オリフィス23,24のいずれか
を通って上室33と下室34との間を移動するようにな
っている。
【0019】図4はサスペンション装置の振動モデルを
示し、msはばね上質量、muはばね下質量、zs はば
ね上変位、zu はばね下変位、ks はコイルスプリング
7のばね定数、kt はタイヤのばね定数、Dk はショッ
クアブソーバ1〜4の減衰係数である。
【0020】図5はショックアブソーバ1〜4の減衰係
数を示す図であり、D1 〜D10は、それぞれショックア
ブソーバ1〜4の減衰係数を示している。図5におい
て、縦軸はショックアブソーバ1〜4の発生する減衰力
を、横軸はばね上の変位速度Xs (dzs /dt)とば
ね下の変位速度Xu (dzu /dt)との差、すなわ
ち、ばね上とばね下との間の相対変位速度(Xs −Xu
)を示している。減衰係数D1 〜D10は、各ショック
アブソーバ1〜4で10段階に変更可能なものであっ
て、D1 は最もソフトな減衰力を発生させる減衰係数を
示し、D10は最もハードな減衰力を発生させる減衰係数
を示す。ここで、減衰係数Dk (k =1〜10)は、第
1オリフィスプレート30に形成された九つの円形孔2
9,29,…のうち、(10−k )個の円形孔29が、
第2オリフィスプレート32に形成された長孔31と連
通することで選択されるようになっている。従って、減
衰係数D1は、第1オリフィスプレート30の九つの円
形孔29,29,…全てが第2オリフィスプレート32
の長孔31と連通することで選択され、減衰係数D10
は、第1オリフィスプレート30の九つの円形孔29,
29,…のいずれもが第2オリフィスプレート32の長
孔31と連通しないことで選択されることになる。
【0021】図6及び図7は上記ステップモータ28の
構造を示す。すなわち、ステップモータ28は、筒状体
40と、該筒状体40内に収容されたロータ41及びス
テータ42と、上記筒状体40に取付けられる蓋43と
を有する。上記ロータ41の外周部には複数の矩形状の
歯41a,41a,…が形成されているとともに、上記
ステータ42の内周部には、これと対応して複数の矩形
状の歯42a,42a,…が形成されており、また、ス
テータ42には、ソレノイド44が巻回されている。ロ
ータ41には、2本のストッパピン45,46が形成さ
れている。一方、上記蓋43の裏面には、図8に示すよ
うに、上記両ストッパピン45,46に対応する位置の
円周方向に二つの溝47,48が形成されている。その
うち、溝47は、ストッパピン45と係合してステップ
モータ28の可動範囲を制限するものであり、他方、溝
48はストッパピン46と係合するものである。そし
て、上記両ストッパピン45,46をそれぞれ溝47,
48と係合させることによって、蓋43を被せたときに
ロータ41の重心が回転中心と一致するようになってい
る。従って、蓋43の中心から溝47,48の両端部を
見た円周角は、溝48の方が溝47より大きく設定され
ており、専ら溝47によって、ステップモータ28の可
動範囲が決定されるようになっている。また、上記ロー
タ41が、図7で時計回りに回転すると、ショックアブ
ソーバ1〜4の減衰係数Dk がより大きくなって減衰力
はよりハードになり、他方反時計回りに回転すると、減
衰係数Dk がより小さくなって減衰力はよりソフトにな
るようになっており、さらに、ロータ41の矩形状の歯
41aがステータ42の隣接する矩形状の歯42aに対
向する位置に移動させられたとき、つまり、ステップモ
ータ28が一段回転したとき、減衰係数Dk が1つだけ
変化するようになっている。従って、ストッパピン45
が図8で溝47の左端部である第1基準位置に位置して
いるとき、減衰係数Dk はD10となり、ショックアブソ
ーバ1〜4が最もハードな減衰力を発生し、他方、スト
ッパピン45が図8で溝47の右端部である第2基準位
置に位置しているとき、減衰係数Dk はD1 となり、シ
ョックアブソーバ1〜4が最もソフトな減衰力を発生す
るようになっている。
【0022】図9はサスペンション装置の制御系のブロ
ック構成を示す。図9中、第1の圧力センサ51、ばね
上加速度センサ11a,ばね下加速度センサ13a及び
アクチュエータ25aは車体左側の前輪5に、第2の圧
力センサ52、ばね上加速度センサ11b,ばね下加速
度センサ13b及びアクチュエータ25bは車体右側の
前輪5に、第3の圧力センサ53、ばね上加速度センサ
11c,ばね下加速度センサ13c及びアクチュエータ
25cは車体左側の後輪6に、第4の圧力センサ54、
ばね上加速度センサ11d,ばね下加速度センサ13d
及びアクチュエータ25dは車体右側の後輪6にそれぞ
れ対応して設けられたものである。尚、アクチュエータ
25a〜25dは、図2中のアクチュエータ25と同じ
ものであり、圧力センサ51〜54は、ショックアブソ
ーバ1〜4にそれぞれ内蔵されたものである。
【0023】また、15,16及び17はそれぞれ前述
した車速センサ、舵角センサ及びモード選択スイッチ、
55は車両の走行路面の摩擦係数(μ)を検出する路面
μセンサであって、該路面μセンサ55は、従来公知の
方法、例えば車速とその微分値である車体加速度とから
摩擦係数を検出するようになっている。これらセンサ・
スイッチ類の検出信号は全てコントロールユニット8に
入力されており、該コントロールユニット8からは制御
信号がそれぞれ第1〜第4のアクチュエータ25a〜2
5dに対して出力され、この制御信号に基づいたアクチ
ュエータ25a〜25dの作動により、各ショックアブ
ソーバ1〜4の減衰係数Dkiが変更制御される。尚、減
衰係数Dkiの前側の添字kは、切換え段を意味し、1〜
10の値をとる。後側の添字iは、アクチュエータ25
a〜25dないしそれを内蔵するショックアブソーバ1
〜4の番号を意味し、1〜4の値をとる。
【0024】次に、上記コントロールユニット8による
ショックアブソーバ1〜4の減衰係数Dkiの変更制御を
説明する。この変更制御は、図10〜図12にそれぞれ
示すフローチャートに従って行われる。図10は、ショ
ックアブソーバ1〜4の減衰係数Dkiを10段のうち、
限定した範囲の複数段の間で変更するようにするための
減衰係数限定ルーチンのフローチャートであり、図11
及び図12は、モード選択スイッチ16によりコントロ
ールモードが選択された場合に実行される減衰係数Dki
の変更制御の基本ルーチンのフローチャートである。
【0025】図10において、スタートした後、先ず始
めに、ステップS1 で車速センサ15により検出された
車速V、及び第1〜第4ばね上加速度センサ11a〜1
1dにより検出されたばね上の上下方向の加速度asiの
各信号を入力する。
【0026】続いて、ステップS2 で車速Vが極低車速
値である第1の所定車速V1 (例えば3km/h)以上であ
るか否かを判定し、その判定がNOのときは、ステップ
S3に進み、車速Vが極めて低速であるから、スコット
や制動ダイブを防止するために、ショックアブソーバ1
〜4の減衰係数Dkiがハードになるように該減衰係数D
kiをD8iに固定する。この場合、減衰係数DkiはD8iに
固定されるので、図11及び図12に示された減衰係数
の変更制御の基本ルーチンは行われない。
【0027】一方、車速Vが第1の所定車速V1 を越え
ているYESのときには、ステップS4 に進み、ばね上
の上下方向の加速度asiの絶対値が所定値asi0 以上の
悪路走行中であるか否かを判定する。この判定がYES
の悪路走行中のときには、ステップS5 に進んで車速V
が第3の所定車速V3 (例えば50km/h)以上であるか
否かを判定する。
【0028】上記ステップS5 の判定がYESのときに
は、ステップS6 で走行安定性の向上を重視して減衰係
数Dkiを比較的ハードな範囲内で変更制御するために、
減衰係数DkiをD5i〜D7iの範囲に設定する。その結
果、図11及び図12に示された減衰係数の変更制御の
基本ルーチンにおいて、減衰係数Dkiは、D5iが下限値
になり、たとえさらにソフトに変更すべき条件が成立し
ても、減衰係数Dkiは、D5iに保持され、他方、D7iが
上限値になり、たとえよりハードに変更すべき条件が成
立しても、減衰係数Dkiは、D7iに保持されることにな
る。
【0029】これに対して、上記ステップS5 の判定が
NOのときには、ステップS7 に進み、走行安定性と乗
り心地の向上の両立を図ることが必要であるから、ショ
ックアブソーバ1〜4の減衰係数Dkiを比較的ソフトな
状態からハードな状態の範囲内で変更制御することを可
能にするために、該減衰係数Dkiを、D3i〜D7iの範囲
に設定する。従って、図11及び図12に示された減衰
係数の変更制御の基本ルーチンにおいて、減衰係数Dki
は、D3iが下限値になり、たとえさらにソフトに変更す
べき条件が成立しても、減衰係数DkiはD3iに保持さ
れ、他方、D7iが上限値になり、たとえよりハードに変
更すべき条件が成立しても、減衰係数DkiはD7iに保持
されることになる。
【0030】一方、上記ステップS4 の判定がNOのと
きには、つまり悪路ではなく通常の道路を走行中である
と考えられるときには、ステップS8 で、さらに車速V
が第2の所定車速V2 (例えば30km/h)以下であるか
否かを判定する。この判定がYESのときには、ステッ
プS9 において、乗り心地の向上を重視するために、シ
ョックアブソーバ1〜4の減衰係数Dkiが比較的ソフト
な範囲内で変更制御されるように、該減衰係数DkiをD
1i〜D3iの範囲に設定する。従って、図11及び図12
に示された減衰係数の変更制御の基本ルーチンにおい
て、減衰係数DkiがD1iのときは、たとえさらにソフト
に変更すべき条件が成立した場合でも減衰係数DkiはD
1iに保持され、他方、D3iが上限値になり、たとえより
ハードに変更すべき条件が成立しても減衰係数DkiはD
3iに保持されることになる。
【0031】上記ステップS8 の判定がNOのときに
は、ステップS10でさらに車速Vが第4の所定車速V4
(例えば60km/h)以下であるか否かを判定する。その
判定がYESのときには、ステップS11に進み、走行安
定性と乗り心地の向上という2つ要請の両立を図ること
が必要であるから、ショックアブソーバ1〜4の減衰係
数Dkiを比較的ソフトな状態からハードな状態の範囲内
で変更制御することを可能とするために、該減衰係数D
kiをD2i〜D6iの範囲に設定する。従って、図11及び
図12に示された減衰係数の変更制御の基本ルーチンに
おいて、減衰係数DkiはD2iが下限値になり、たとえよ
りソフトに変更すべき条件が成立しても減衰係数Dkiは
D2iに保持され、他方、D6iが上限値になり、たとえさ
らにハードに変更すべき条件が成立しても減衰係数Dki
はD6iに保持されることになる。
【0032】これに対して、上記ステップS10の判定が
NOのときには、ステップS12に進み、さらに車速Vが
第5の所定車速V5 (例えば80km/h)以下であるか否
かを判定する。この判定がYESのときには、ステップ
S13に進み、走行安定性と乗り心地の向上という2つの
要請の両立を図りつつ、ややハードにショックアブソー
バ1〜4の減衰係数Dkiを変更制御するために、該減衰
係数Dkiを、D4i〜D8iの範囲に設定する。従って、図
11及び図12に示された減衰係数の変更制御の基本ル
ーチンにおいて、減衰係数DkiはD4iが下限値になり、
たとえさらにソフトに変更すべき条件が成立しても減衰
係数DkiはD4iに保持され、他方、D8iが上限値にな
り、たとえさらにハードに変更すべき条件が成立して
も、減衰係数Dkiは、D8iに保持されることになる。
【0033】上記ステップS12の判定がNOの高速走行
状態にあるときには、ステップS14に進み、走行安定性
の向上を重視して、ショックアブソーバ1〜4の減衰係
数Dkiがハードな範囲内で変更制御されるように、該減
衰係数DkiをD7i〜D10i の範囲に設定する。従って、
図11及び図12に示された減衰係数の変更制御の基本
ルーチンにおいて、減衰係数DkiはD7iが下限値にな
り、たとえさらにソフトに変更すべき条件が成立しても
減衰係数DkiはD7iに保持され、他方、たとえさらにハ
ードに変更すべき条件が成立しても減衰係数DkiはD10
i に保持されることになる。
【0034】以上のルーチンによって、図11及び図1
2に示された減衰係数の変更制御の基本ルーチンにおい
て選択されるショックアブソーバ1〜4の減衰係数Dki
の上限値及び下限値を車速等の走行状態に応じて設定し
て、選択されるショックアブソーバ1〜4の減衰係数D
kiの範囲を限定する限定手段61が構成されている。
【0035】一方、図11及び図12に示された減衰係
数の変更制御の基本ルーチンにおいては、スタートした
後、先ず始めに、ステップS21において、舵角センサ1
6、車速センサ15及び路面μセンサ55で各々検出さ
れた舵角θH 、車速V及び路面摩擦係数μの各信号を入
力する。続いて、ステップS22で舵角θが所定の舵角θ
H0以上の旋回走行時であるか否かを判定するとともに、
ステップS23で車速が所定の車速V0 以下の低車速走行
時であるか否かを判定する。
【0036】そして、上記ステップS22及びS23の判定
が共にNOのときには、更にステップS24で路面摩擦係
数μが所定値μ0 以下の低μ路であるか否かを判定し、
この判定がNOの低μ路でないときには、ステップS25
で係数gu をgu1に設定する一方、判定がYESの低μ
路であるときには、ステップS26で係数gu をgu2に設
定する。また、上記ステップS22及びS23のいずれか一
方の判定がYESのときには、同じくステップS27で路
面摩擦係数μが所定値μ0以下の低μ路であるか否かを
判定し、この判定がNOの低μ路でないときには、ステ
ップS28で係数gu を零に設定する一方、判定がYES
の低μ路であるときには、ステップS26で係数gu をg
u3に設定する。ここで、gu1,gu2,gu3は、いずれも
正の値であって、gu1<gu2<gu3の大小関係がある。
【0037】上記係数gu の設定後、ステップS30にお
いて、第1〜第4ばね上加速度センサ11a〜11d、
第1〜第4ばね下加速度センサ13a〜13d及び第1
〜第4圧力センサ51〜54で各々検出されたばね上の
上下方向の加速度asi、ばね下の上下方向の加速度aui
及びショックアブソーバ1〜4の実際に発生する減衰力
Fsiの各信号を入力する。続いて、ステップS31で上記
ばね上加速度asi及びばね下加速度auiをそれぞれ積分
してばね上の上下方向の変位速度Xsi(=Σasi)及び
ばね下の上下方向の変位速度Xui(=Σaui)を算出
し、ステップS32でこの両変位速度Xsi,Xuiの関数と
して、目標の減衰力Faiを、下記の式 Fai=−Xsi・gs −Xui・gu ・・・・・・・・・・・・・ により算出する。但し、gs は、gu と同じく正の係数
である。
【0038】続いて、ステップS33において、下記の式
hαi =Fsi・(Fai−α・Fsi)・・・・・・・・・・・・・ に従って、hαi を算出する。
【0039】しかる後、ステップS34でhαi が正であ
るか否かを判定し、hαi が正であるYESのときに
は、ステップS39において、ショックアブソーバ1〜4
のアクチュエータ25a〜25dに制御信号を出力し
て、該アクチュエータ25a〜25dのステップモータ
28を図7の時計方向に一段だけ回転させ、減衰係数D
kiを、前回の減衰係数Dkiより一段大きいD(K+1)iに、
つまりよりハードになるように変更する。一方、hαi
が正でないNOのときは、ステップS35に進み、下記の
式に従って、 hβi =Fsi・(Fai−β・Fsi)・・・・・・・・・・・・・ hβi を算出する。
【0040】しかる後、ステップS36でhβi が負であ
るか否かを判定し、hβi が負であるYESのときは、
ステップS38において、hβi が負であるショックアブ
ソーバ1〜4のアクチュエータ25a〜25dに制御信
号を出力して、該アクチュエータ25a〜25dのステ
ップモータ28を図7の反時計方向に一段だけ回転さ
せ、減衰係数Dkiが前回の減衰係数Dkiより一段小さい
D(k-1)iになるように、つまりよりソフトになるように
変更する。一方、hβi が負でないNOのときには、ス
テップS37において、ステップモータ28を回転させる
ことなく、すなわち減衰係数Dkiを前回の減衰係数Dki
のまま変更することなく保持して、次のサイクルに移行
する。
【0041】ここで、α、βは、減衰係数Dkiの変更が
あまりに頻繁に行われるのを防止するためのしきい値で
あって、通常、α>1、0<β<1に設定される。
【0042】すなわち、FsiとFaiとが同符号の場合に
は、上記式の(Fai−α・Fsi)は、α>1であるの
で、Fsiにαが乗ぜられていない場合に比して、Fsiと
異符号になり易く、その結果、hαi は負になり易いか
ら、減衰係数Dkiのハード側への変更が行われ難くな
る。また、上記式の(Fai−β・Fsi)は、0<β<
1であるので、Fsiにβが乗ぜられていない場合に比し
て、Fsiと同符号になり易く、その結果、hβi は正に
なり易いから、減衰係数Dkiのソフト側への変更も行わ
れ難くなる。
【0043】これに対して、FsiとFaiとが異符号の場
合には、実際の減衰力Fsiを、理想的な減衰力であるス
カイフックダンパー力Faiと一致させることは不可能で
あり、減衰係数Dkiを零に近い値にすること、すなわち
よりソフトになるように変更することが、FsiをFaiに
より近づける上で望ましい。そこで、本実施例において
は、FsiとFaiとが異符号のときには、hαi 及びhβ
i が共に負の値となり、その結果、コントロールユニッ
ト8により、減衰係数Dkiは、前回の減衰係数Dkiより
一段小さいD(k-1)iに、つまりよりソフトになるように
変更されるから、かかる要請を満足することができるよ
うになっている。
【0044】図11及び図12に示された減衰係数の変
更制御の基本ルーチンのうち、ステップS21〜S32によ
り、ショックアブソーバ1〜4の減衰係数Dkiを可変制
御する際の目標の減衰力Faiを算出する目標減衰力算出
手段62が構成されている。また、ステップS33〜S39
により、ショックアブソーバ1〜4の実際に発生する減
衰力Fsiが、上記目標の減衰力Faiとなるようショック
アブソーバ1〜4の減衰係数Dkiを変更制御する制御手
段63が構成され、特に、ステップS33〜S37により、
ショックアブソーバ1〜4の実際の減衰力Fsiと目標の
減衰力Faiとの差が所定の範囲(つまり不感帯領域)内
のとき上記制御手段63に対し、ショックアブソーバ1
〜4の減衰係数Dkiの変更を禁止する禁止手段64が構
成されている。
【0045】したがって、このような減衰係数の変更制
御においては、目標の減衰力Faiが、式に基づいて、
ばね上の上下変化の項(Xsi・gs )に、ばね下の上下
変化の項(Xui・gu )を加味して算出され、ショック
アブソーバ1〜4の実際に発生する減衰力Fsiが、この
目標の減衰力Faiとなるようショックアブソーバ1〜4
の減衰係数Dkiが変更制御されるので、ばね上の上下変
化を抑制することができるとともに、ばね下の共振点付
近でも車輪の接地性を高めることができ、よって、車両
の走行安定性を著しく高めることができる。
【0046】その上、上記ばね下の上下変化の項の係数
gu は、車両の走行状態に応じて変わる変数であって、
舵角θH が所定舵角θH0以上の車両の旋回走行時に零と
なるため、車両の旋回走行時には、目標の減衰力Faiが
ばね上の上下変化の項のみとなり、ばね上の上下変化の
抑制を重視した制御が行われ、車両のローリングを確実
に防止して走行安定性を確保することができる。また、
ばね下共振が発生することがない車両の低車速走行時に
も、ばね下の上下変化の項の係数gu は零となり、目標
の減衰力Faiがばね上の上下変化の項のみとなるので、
ばね上の上下変化を確実に防止することができる。
【0047】さらに、上記ばね下の上下変化の項の係数
gu は、車両が走行する路面の摩擦係数μが所定値μ0
より低いときには高いときに比べて大きくなり、ばね下
の上下変化の抑制を重視した制御が行われるので、車輪
の滑り易さに応じて車輪の接地性を高めることができ、
走行安定性の向上をより図ることができる。
【0048】図13及び図14は、それぞればね上加速
度及びタイヤ(車輪)の上下変位の振動周波数に対する
変化特性を示す。これらの図では、本発明例は実線Aで
示し、従来例は破線Bで示す。これらの図からも分かる
ように、本発明例では、ばね上共振点ω1 付近でばね上
加速度が従来例に比して若干増加するものの、ばね下共
振点ω2 でその共振が抑制されることから、タイヤの上
下変位及びばね上の加速度は共に著しく低減される。
【0049】
【発明の効果】以上の如く、本発明における車両のサス
ペンション装置によれば、ばね上の上下変化の項にばね
下の上下変化の項を加味して目標の減衰力Faが算出さ
れ、ショックアブソーバの実際に発生する減衰力が、こ
の目標の減衰力となるようショックアブソーバの減衰係
数が変更制御されるので、ばね上の上下変化を抑制する
ことができるとともに、車輪の接地性を高めることがで
き、走行安定性の向上を図ることができる。
【0050】特に、請求項2記載の発明では、目標の減
衰力に対するばね下の上下変化の項の占める割合が車両
の走行状態に応じて変化し、ばね上の上下変化の抑制を
重視した制御とばね下の上下変化の抑制を重視した制御
とが適切に行われる。例えば、請求項3記載の発明の場
合、車両の旋回走行時にばね上の上下変化の抑制を重視
した制御が行われることにより、旋回走行を円滑にかつ
安全性よく行うことができる。また、請求項4記載の発
明の場合、ばね下共振が発生することがない車両の低車
速走行時にばね上の上下変化の抑制を重視した制御が行
われることにより、ばね上及びばね下の上下変化を共に
効果的に抑制することができる。さらに、請求項5記載
の発明では、車両が走行する路面の摩擦係数が低い程ば
ね下の上下変化の抑制を重視した制御が行われ、走行安
定性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるサスペンション装置を
備える車両の部品レイアウトを示す斜視図である。
【図2】ショックアブソーバの主要部を示す縦断面図で
ある。
【図3】アクチュエータの分解斜視図である。
【図4】サスペンション装置の振動モデルを示す模式図
である。
【図5】ショックアブソーバの減衰係数を示す図であ
る。
【図6】ステップモータの斜視図である。
【図7】ステップモータのロータおよびステータの平面
図である。
【図8】ステップモータの蓋の底面図である。
【図9】サスペンション装置の制御系のブロック構成図
である。
【図10】減衰係数限定のルーチンを示すフローチャー
ト図である。
【図11】減衰係数の変更制御の基本ルーチンを示すフ
ローチャート図である。
【図12】図11と同じフローチャート図である。
【図13】ばね上加速度の振動周波数に対する変化特性
を示す図である。
【図14】タイヤ変位の振動周波数に対する変化特性を
示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,4 ショックアブソーバ 63 制御手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ばね上とばね下との間に配設され、減衰
    係数が複数段に変更可能なショックアブソーバと、該シ
    ョックアブソーバの実際に発生する減衰力が、目標の減
    衰力となるようショックアブソーバの減衰係数を変更制
    御する制御手段とを備えた車両のサスペンション装置に
    おいて、 上記目標の減衰力Fa は、ばね上の上下方向の変位速度
    Xs 及びばね下の上下方向の変位速度Xu の関数とし
    て、下記の式 Fa =−Xs ・gs −Xu ・gu 但し、gs ,gu は共に係数で、gs >0,gu ≧0 により算出されるようになっていることを特徴とする車
    両のサスペンション装置。
  2. 【請求項2】 上記係数gu は、車両の走行状態に応じ
    て変わる変数である請求項1記載の車両のサスペンショ
    ン装置。
  3. 【請求項3】 上記係数gu は、車両の旋回走行時に零
    になる請求項2記載の車両のサスペンション装置。
  4. 【請求項4】 上記係数gu は、車両の低車速走行時に
    零になる請求項2記載の車両のサスペンション装置。
  5. 【請求項5】 上記係数gu は、車両が走行する路面の
    摩擦係数が低い程大きくなる請求項2記載の車両のサス
    ペンション装置。
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