JP3566434B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G17/00Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load
    • B60G17/015Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の上下方向の変位速度に基づいて減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を多段階に制御するようにしたセミ・アクティブ方式のサスペンション制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセミ・アクティブ方式のサスペンション制御装置としては、例えば特開平6−340210公報に記載されているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のサスペンション制御装置では、例えば市街地等で比較的低速で走行しているときには、乗心地を重視するために、減衰力の可変範囲を狭くして減衰力を比較的小さい範囲内に抑制することにより、車体のゆっくりした比較的低周波数の振動は許容するようにして、一過性の突起通過時等に発生するゴツゴツ感の発生を防止したり、サスペンション特性が固いと感じられないようにしたりして、より重厚な乗心地を確保し、逆に高速走行状態では、乗心地より操縦安定性を重視するために、減衰力の可変範囲を広くすることにより、車体への振動入力に対して大きな減衰力を発生可能とし、大きな制振効果を発揮させると共に乗員に車体が路面にしっかり追従しているという,所謂しっかり感を与えることが望まれている。具体的には、この種のサスペンション制御装置の制御入力であるバネ上上下速度に応じて、それを抑制する減衰力を求め、この減衰力を達成するために減衰力可変ショックアブソーバの弁体の目標制御位置を算出する。この目標制御位置は、必要な減衰力の大きさと同様に大きく算出されたり、小さく算出されたりするのであるが、これに対して低速では比較的小さく且つ高速では比較的大きい制限値を設定し、前記算出された目標制御位置が、当該制限値より大きい場合には、最終的な目標制御位置を当該制限値で制限してしまうようにしている。この結果、低速では発生可能な減衰力の上限値が小さくなり、従って若干大きなバネ上上下速度(低速では同じ路面状態でも車体に入力されるバネ上上下速度はさほど大きくならない)に対しても車体はゆっくりと振動して重厚な乗心地が確保され、高速では発生可能な減衰力の上限値が大きくなるために、大きなバネ上上下速度には大きな制振効果が発揮されてしっかり感が与えられる。
【0004】
しかしながら、このように減衰力可変ショックアブソーバの弁体の目標制御位置を低速で小さな制限値に制限する、つまり低速で発生可能な減衰力の上限値を小さく制限してしまうと、低速からの制動時等で車両の減速状態が大きくなると、特に車体慣性による前のめりのピッチ運動,所謂ノーズダイブが大きくなり、乗心地等が損なわれるという問題が発生する。この問題は、車体重心位置が高い,所謂1ボックスカー等でより顕著なものとなる。このような問題を解決するためには、制動時等,車両の減速状態が大きいとき或いは減速状態が大きくなると推定されるときに、制御入力であるバネ上上下速度に対する減衰力のゲイン(利得)を大きくすることが考えられるが、このようにゲインを大きくして目標とする減衰力の立上りを早め、その結果、前記目標制御位置が大きく算出されるようにしても、前記制限値そのものが変わらなければ、最終的に発現する減衰力も小さくなってしまって、根本的な解決にはならない。
【0005】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、低速からの制動時等でも車両の減速状態が大きい場合には十分な減衰力が発現されて、十分な制振効果やしっかり感を与えることができるサスペンション制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係るサスペンション制御装置は、車体側部材及び車輪側部材間に介装されて、入力される制御信号に応じて駆動されるアクチュエータによって弁体の位置を制御することにより減衰力を多段階に設定可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速度検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段で検出されたバネ上上下速度算出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する減衰力に応じた前記弁体の目標制御位置を設定し、当該弁体を目標制御位置に移動させるように前記制御信号を前記アクチュエータに出力する制御手段と、車両の前後方向速度を検出する車速検出手段とを備え、前記制御手段は、バネ上上下速度算出値に基づいて目標制御位置を算出する目標制御位置算出手段と、前記車速検出手段で検出された車速検出値に基づき当該車速検出値の増加に伴って制限値を大きく設定する制限値設定手段と、前記目標制御位置算出手段で算出された目標制御位置を前記制限値設定手段で設定された制限値で制限する目標制御位置制限手段とを備えたサスペンション制御装置において、少なくとも車体に発生する減速状態を検出する減速状態検出手段を備え、前記制限値設定手段は、低速走行時にあって、前記減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、前記制限値を、より大きな所定値に所定時間切替える制限値切替手段を備えると共に、前記バネ上上下速度検出手段は、車体の姿勢変化に起因する運動状態を検出する車体運動状態検出手段を備え、この車体運動状態検出手段で検出された車体運動状態検出値に所定のゲインを乗じて車体のバネ上上下速度を算出するものであり、前記車体運動状態検出手段は、少なくとも車体に発生するピッチ運動を検出するピッチ運動検出手段を備え、前記バネ上上下速度算出手段は、前記減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、当該ピッチ運動状態検出値に乗じられるゲインを大きな所定値に所定時間切替えるゲイン切替手段を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のうち請求項に係るサスペンション制御装置は、前記所定時間は、制動時に発生するピッチ運動が減衰されるに足る時間に設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
而して、本発明のうち請求項1に係るサスペンション制御装置では、単純にバネ上上下速度のみを制御入力として、それを抑制するための減衰力を前記減衰力可変ショックアブソーバに発現させるものも想定している。ここで、前記減速状態検出手段としては、例えば前後加速度センサ等で車体の減速方向への前後加減速度を直接検出するとか車速センサ等で検出された車速の変化量又は変化率から車体の減速状態を検出するものが挙げられる。そして、前記制限値設定手段に備えられた制限値切替手段は、低速走行時にあって、このような減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、前記弁体の目標制御位置に対する制限値を、より大きな所定値に所定時間切替えることにより、この所定時間内においては、低速からの制動時等,減速状態が大きくなっても、各減衰力可変ショックアブソーバは十分な減衰力を発現することが可能となり、制御入力であるバネ上上下速度が実際に大きくなれば、それを抑制するに足る減衰力が発現されるから、特に車体の前のめりのピッチ運動,ノーズダイブは効果的に抑制され、十分な制振効果やしっかり感が与えられる。
【0010】
また、本発明のサスペンション制御装置では、前記制御入力となるバネ上上下速度が、少なくとも車体に発生するピッチ運動を含んで、車体の姿勢変化に起因する運動状態検出値、例えばロール運動やバウンス運動等の検出値に所定のゲインを乗じて算出されるものであることを想定しており、前記バネ上上下速度算出手段に備えられたゲイン切替手段は、前述のように減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、前記ピッチ運動状態検出値に乗じられるゲインを大きな所定値に所定時間切替えることにより、各減衰力可変ショックアブソーバで発現する減衰力の立上りが早くなり、その分だけ、減速時の車体の前のめりのピッチ運動、ノーズダイブは速やかに抑制され、制振効果やしっかり感が高まる。
【0011】
また、このような減速時の車体の前のめりのピッチ運動、ノーズダイブは、ブレーキの踏込みによる制動時が最も大きくなると考えられ、同時にその揺り返し、所謂テールスカットとの繰り返しも大きく且つ長くなる。従って、本発明のうち請求項に係るサスペンション制御装置では、前記所定時間を、この制動時に発生するピッチ運動が減衰されるに足る時間に設定することにより、当該制動時の大きなピッチ運動を確実に抑制して、制振効果やしっかり感を確実なものとすることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明のサスペンション制御装置の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例のサスペンション制御装置では、車体姿勢変化抑制制御としてバウンス抑制制御とピッチ抑制制御とロール抑制制御とを並列して実行する。
図1は、本発明の実施例を示す概略構成図であって、各車輪1FL〜1RRと車体2との間に夫々サスペンション装置を構成する減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRが配設され、これら減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を切換えるステップモータ41FL〜41RRが後述するコントローラ4からの制御信号によって制御される。
【0013】
これらの各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRは、図2に示すように、外筒5と内筒6とで構成されるシリンダチューブ7を有するツインチューブ式ガス入りストラット型に構成され、内筒6内がこれに摺接するピストン8によって上下圧力室9U,9Lに画成されている。また、前記ピストン8は、外周面に内筒6と摺接するシール部材9がモールドされ且つ内周面に中心開孔10を有する円筒状の下部半体11と、この下部半体11に内嵌された上部半体12とで構成されている。この減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの基本的な構成及び作用は、本出願人が先に提案した特開平7−186662号公報に記載されるものと同様又はほぼ同様であるために、その詳細な内容については当該公報を参照されるものとして、ここではその詳細な説明を省略する。なお、図2中の符号13は伸側油流路、14は孔部、27圧側油流路は、31は弁体、35はピストンロッド、36は車体側部材、37はブラケット、38U,38Lはゴムブッシュ、39はナット、40はブラケット、41aは回転軸、42は連結杆、43はバンパーラバーである。
【0014】
この減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力特性は、弁体31とピストン8との間に形成される各オリフィスの開口面積によって設定されることになり、この弁体31をピストン8に対して相対回転させるステップモータの回転角は、当該オリフィスの絞りによって決定される流動抵抗,即ち減衰係数を選択設定するための制御量となり、この減衰係数に前記ピストン速度を乗じた積の形で各弁体位置における減衰力が表される。従って、後段に詳述するように、本実施例の制御量は厳密には減衰係数であるが、ここからは単に減衰力を制御量と考えてゆく。
【0015】
従って、このステップモータの回転角を位置Pとすると、図3に示すように、伸側の減衰力が最大減衰力となる位置Pが伸側最大位置PTMAXとなり、圧側の減衰力が最大減衰力となる位置Pが圧側最大位置PCMAXとなるが、ここでは便宜上、前記伸側減衰力も圧側減衰力も低減衰力に設定される範囲の中間値に相当する位置Pを“0”とし、伸側減衰力が高くなる方向への位置変化を正とし且つ圧側減衰力が高くなる方向への位置変化を負とすると、前記伸側最大位置PTMAXは正符号で単にPMAX と表され、圧側最大位置PCMAXは負符号で単に(−PMAX )と表される。但し、これら各最大位置の絶対値|PMAX |は必ずしも同じ値である必要はない。そして、前記負値となる圧側最大位置(−PMAx )から正値となる伸側最大位置PMAX までの全減衰力制御範囲のうち、位置Pが“0”を挟む正の閾値PT1から負の閾値PC1までの範囲が、伸側低減衰力D/FT0及び圧側低減衰力D/FC0となって、特に低速走行状態の滑らかさを達成するsoft範囲(以下、単にS−S範囲とも記す)となり、これより位置Pが正方向に大きい範囲,即ち位置Pが前記正の閾値PT1から正値の伸側最大位置PMAx までの範囲が、伸側減衰力が高く設定される伸側制御範囲(以下、単にH−S範囲とも記す)となり、これより位置Pが負方向に小さい範囲,即ち位置Pが前記負の閾値PC1から負値の圧側最大位置(−PMAx )までの範囲が、圧側減衰力が高く設定される圧側制御範囲(以下、単にS−H範囲とも記す)となる。なお、同図3で前記位置P“0”と伸側最大位置PMAX とを結ぶ二点鎖線及び前記位置P“0”と圧側最大位置(−PMAx )とを結ぶ二点鎖線については後段に詳述する。また、図3の減衰力特性(減衰係数特性)によれば、この同等の絶対値を有する所定伸側減衰係数と所定圧側減衰とを達成する各所定位置値では、所定伸側位置値の絶対値の方が所定圧側位置値の絶対値よりも若干小さい。
【0016】
一方、車両には図1に示すように、車両の前後方向車速を検出する車速検出手段としての車速センサ52や、車体の減速状態を推定するための減速状態推定手段としてのブレーキスイッチ53や、前右輪1FR近傍位置,後左右輪1RL,1RR位置に対応する車体側に設けられて車体に発生するバネ上上下速度を検出するためのバネ上上下速度検出手段の一部を構成する上下加速度センサ51FR〜51RRが取付けられている。このうち、前記車速センサ52の出力信号Vは、実車速値に応じたディジタル値からなる。また、前記ブレーキスイッチ52の出力信号SBRK は、ブレーキペダルの踏込み時に論理値“1”となり、そうでないときに論理値“0”となるディジタル値からなる。また、前記各上下加速度センサ51FR〜51RRは、各取付位置において車体に作用する上下加速度に応じて、上向きで正となり且つ下向きで負となるアナログ電圧でなるバネ上上下加速度検出値(以下、単にバネ上上下加速度とも記す)XFR” 〜XRR” を出力するものであり、夫々の取付位置については後段に詳述する。
【0017】
そして、前記コントローラ4には、その入力側に、図4に示すように、前記上下加速度センサ51FR〜51RR及び車速センサ52及びブレーキスイッチ53が接続され、出力側に前記各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を制御するステップモータ41FL〜41RRが接続されている。このコントローラ4は、入力インタフェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有するマイクロコンピュータ56と、上下加速度センサ51FR〜51RRのバネ上上下加速度XFR” 〜XRR” をディジタル値に変換して入力インタフェース回路56aに供給するA/D変換器57FR〜57RRと、出力インタフェース回路56bから出力される各ステップモータ41FL〜41RRに対するステップ制御信号が入力され、これをステップパルスに変換して各ステップモータ41FL〜41RRを駆動するモータ駆動回路59FL〜59RRとを備えている。
【0018】
ここで、マイクロコンピュータ56の演算処理装置56cは、後述する演算処理によって前記各バネ上上下加速度XFL” 〜XRR” から車体重心軸回りに作用する車体運動状態量としてバウンス加速度X” 及びその積分値,バウンス速度X’ 、ピッチ加速度X” 及びその積分値,ピッチ速度X’ 、ロール加速度X” 及びその積分値,ロール速度X’ を算出し、これらに所定のゲインC,C,Cを乗じて各運動状態の入力U,U,Uを算出し、更にこれを各車輪部位に分散して当該車輪部位における車体の上下速度(バネ上上下速度とも記す)XFL’ 〜XRR’ を算出し、これらのバネ上上下速度X’ (i=FL〜RR)をもとにバネ上挙動比例範囲の上限値XUi’ を算出し、この上限値XUi’ に基づいて制御不感帯閾値Xi0’ を算出し、このバネ上上下速度X’ ,バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ ,不感帯閾値Xi0’ に基づいて位置比例係数Rを算出し、この位置比例係数Rを補正関数で補正して補正比例係数FRiを算出し、この補正比例係数FRiと基本制御最大位置PMAX とに基づいて目標制御位置PTiを算出し、算出した目標制御位置PTiに低速走行状態又は高速走行状態等に応じて最大値を制限するリミッタ処理を施し、リミッタ処理後の目標制御位置PTiに基づいてステップモータ41iのステップ量Sを算出し、このステップ量Sをモータ駆動回路59iに出力して、各ステップモータ41iを駆動制御する。
【0019】
また、記憶装置56dは、前記演算処理装置56cの演算処理に必要なプログラムや制御マップ等を予め記憶していると共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を逐次記憶する。
次に、バウンス運動抑制制御,ピッチ運動抑制制御,ロール運動抑制制御等を同時に可能な車体姿勢変化抑制制御のために、前記マイクロコンピュータ56の演算処理装置56cで実行される減衰力制御の演算処理を図5〜図13に示す。なお、この演算処理は,後述するように所定サンプリング時間毎のタイマ割込によって実行されるが、ここで算出される目標制御位置PTiや当該目標制御位置PTiにおける減衰力D/Fを達成するためのステップ量S等の算出は、例えば前左輪の減衰力可変ショックアブソーバ3FL,前右輪の減衰力可変ショックアブソーバ3FR,後左輪の減衰力可変ショックアブソーバ3RL,後右輪の減衰力可変ショックアブソーバ3RRといったように,毎演算処理内に所定の順序で行われるものとする。また、各演算処理毎に前記記憶装置56dに更新記憶されている現在ポジションP等の必要なデータや情報は,格別な入出力処理ステップがなくとも,当該演算処理毎に演算処理装置56cのバッファ等に随時読込まれるものとする。
【0020】
このうち、この減衰力制御のメインルーチンとなる図5の処理は所定時間ΔT(例えば3.3msec)毎にタイマ割込処理として実行され、先ずステップS1で前記ブレーキスイッチ53からのブレーキ信号SBRK ,車速センサ52からの車速の今回値VC(n)を読込む。
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読込まれた車速の今回値VC(n)とその前回値VC(n−1)とから下記1式に従って車体加減速度V’ を算出する。
【0021】
’ =(VC(n)−VC(n−1))/ΔT ……… (1)
次にステップS3に移行して、前記ステップS1で読込まれたブレーキ信号SBRK が論理値“1”のON状態であるか否か、即ちブレーキペダルが踏み込まれてこれから車両の減速状態が大きくなるであろうか否かを判定し、当該ブレーキ信号SBRK が“1”である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS5に移行する。
【0022】
前記ステップS4では、前記ステップS2で算出された車体加減速度V’ が予め設定された負の所定値VC0’ 以下であるか否か、即ち車体の減速状態が或る程度以上に大きいか否かを判定し、当該車体加減速度V’ が負の所定値VC0’ 以下である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合には前記ステップS5に移行する。
【0023】
前記ステップS5では、減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態である場合にはステップS7に移行し、そうでない場合にはステップS8に移行する。
前記ステップS7では、減速タイマTBRK が所定値TBRK0以上であるか否かを判定し、当該減速タイマTBRK が所定値TBRK0以上である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合には前記ステップS6に移行する。
【0024】
そして、前記ステップS6では、減速タイマTBRK をインクリメントし、次いでステップS10に移行して減速制御フラグFBRK を“1”のセット状態としてから前記ステップS8に移行する。
また、前記ステップS9では、減速タイマTBRK をクリアし、次いでステップS11に移行して減速制御フラグFBRK を“0”のリセット状態としてから前記ステップS8に移行する。
【0025】
前記ステップS8では、前記各上下加速度センサ51FR〜51RRで検出された各バネ上下加速度検出値X” (j=FR〜RR)を読込む。
次にステップS12に移行して、減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
【0026】
前記ステップS13では、ピッチゲインCを減速時所定値CPBRKに設定してからステップS15に移行する。
また、前記ステップS14では、ピッチゲインCを通常時所定値CP0に設定してから前記ステップS15に移行する。ちなみに、前記減速時所定値CPBRKの方が通常時所定値CP0より大きい。
【0027】
そして、前記ステップS15では、後段に詳述する図8の演算処理に従って車体重心軸に作用するバウンス速度X’ ,ピッチ速度X’ ,ロール速度X’ を算出する。
次にステップS16に移行して、前記ステップS15で算出されたバウンス速度X’ ,ピッチ速度X’ ,ロール速度X’ 及び前記ステップS13又はステップS14で設定されたピッチゲインC及び予め設定されたバウンスゲインC,ロールゲインCを用いて、下記2〜4式に従ってバウンス入力U,ピッチ入力U,ロール入力Uを算出する。なお、これらの各車体運動状態量U,U,Uが、後述する各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を制御するための制御入力であるバネ上上下速度X’ の基準値となるから、それらの総和が全減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの総減衰力を越えないように、夫々の車体運動状態量の大きさに応じて各ゲインを調整できるようにしてもよい。
【0028】
=C・X’ ……… (2)
=C・X’ ……… (3)
=C・X’ ……… (4)
次にステップS17に移行して、後段に詳述する図10の演算処理に従って、各車輪位置における車体の制御用バネ上上下速度X’ を算出する。
【0029】
次にステップS18に移行して、後段に詳述する図11の演算処理に従って各制御用所定値、ここでは比例範囲算出係数α,制御不感帯係数K,周期判断値T,バネ上挙動比例範囲の最大値XUMAX’ 及び最小値XUMIN’ ,基本制御最大位置PMAX を設定する。
次にステップS19に移行して、後段に詳述する図12の演算処理に従ってバネ上挙動比例範囲の上限値XUi’ を算出する。
【0030】
次にステップS20に移行して、減速制御フラグFBRK が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該減速制御フラグFBRK が“0”のリセット状態である場合にはステップS21に移行し、そうでない場合にはステップS22に移行する。
前記ステップS21では、前記ステップS17で算出されたバネ上上下速度の絶対値|X’ |が、前記ステップS19で算出されたバネ上挙動比例範囲の上限値の絶対値|XUi’ |以上であるか否かを判定し、バネ上上下速度の絶対値|X’ |がバネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |以上である場合にはステップS23に移行し、そうでない場合には前記ステップS22に移行する。
【0031】
前記ステップS23では、前記バネ上上下速度X’ をバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ に設定し直してから前記ステップS22に移行する。
そして、前記ステップS22では、前記バネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |がバネ上挙動比例範囲の最大値の絶対値|XUMAX’ |以上であるか否かを判定し、前者が後者以上である場合にはステップS24に移行して、当該バネ上挙動比例範囲の最大値XUMAX’ をバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ に設定し、次いでステップS25に移行して、前記バネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |がバネ上挙動比例範囲の最小値の絶対値|XUMIN’ |以下であるか否かを判定し、前者が後者以下である場合にはステップS26に移行して、当該バネ上挙動比例範囲の最小値XUMAX’ をバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ に設定する。
【0032】
次にステップS27に移行して、前記バネ上比例範囲上限値XUi’ 及び前記ステップS18で設定された制御不感帯係数Kを用いて、下記5式に従って不感帯閾値Xi0’ を算出する。ちなみに、制御不感帯係数Kは、圧側及び伸側共に“1”より小さい所定値である。
i0’ =K・XUi’ ……… (5)
次にステップS28に移行して、前記バネ上比例範囲上限値XUi’ 及び不感帯閾値Xi0’ 及び比例範囲算出係数αを用いて、下記6式に従って制御位置比例係数Rを算出する。
【0033】
=α・(X’ −Xi0’ )/(XUi’ −Xi0’ ) ……… (6)
次にステップS29に移行して、前記制御位置比例係数Rが“1”以上であるか否かを判定し、当該制御位置比例係数Rが“1”以上である場合にはステップS30に移行して、当該制御位置比例係数Rを“1”に設定してからステップS33に移行する。
【0034】
一方、前記制御位置比例係数Rが“1”より小さい場合にはステップS31に移行して当該制御位置比例係数Rが“0”以下であるか否かを判定し、ここで当該制御位置比例係数Rが“0”以下である場合にはステップS32に移行して、当該制御位置比例係数Rを“0”に設定してから前記ステップS33に移行する。
【0035】
前記ステップS33では、後段に詳述する図6の制御マップを用いて、前記制御位置比例係数Rから補正比例係数FRiを算出設定する。
次にステップS34に移行して、前記補正比例係数FRi及び基本制御最大位置PMAX を用いて、下記7式に従って目標制御位置PTiを算出する。
Ti=FRi・PMAX ……… (7)
次にステップS35に移行して、減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該減速制御フラグFBRK が“1”のセット状態である場合にはステップS36に移行し、そうでない場合にはステップS37に移行する。
【0036】
前記ステップS36では、前記制御用バネ上上下速度X’ が“0”以上であるか否かを判定し、当該制御用バネ上上下速度X’ が“0”以上である場合にはステップS38に移行し、そうでない場合にはステップS39に移行する。
また、前記ステップS37でも、前記制御用バネ上上下速度X’ が“0”以上であるか否かを判定し、当該制御用バネ上上下速度X’ が“0”以上である場合にはステップS40に移行し、そうでない場合にはステップS41に移行する。
【0037】
そして、前記ステップS38では基本制御リミット位置Pを減速時伸側所定リミット値PLTBRK に設定し、また前記ステップS39では基本制御リミット位置Pを減速時圧側所定リミット値(−PLCBRK )に設定し、一方、前記ステップS40では基本制御リミット位置Pを、後段に詳述する図7aの制御マップに従って車速Vに応じた通常時伸側リミット値PLT(VC)に設定し、前記ステップS41では基本制御リミット位置Pを、同じく後段に詳述する図7bの制御マップに従って車速Vに応じた通常時圧側リミット値(−PLC(VC))に設定し、夫々ステップS42に移行する。ここで、各リミット値について簡潔に説明しておくと、通常時伸側リミット位置PLT(VC)も通常時圧側リミット位置(−PLC(VC))も、車速Vが小さい低速時には絶対値が小さく、車速Vが大きくなるにつれて絶対値が大きくなり、車速Vが大きい高速時には、前記基本制御最大位置PMAX 近傍まで絶対値が大きくなるが、これに対して、減速時伸側所定リミット値PLTBRK や減速時圧側所定リミット値(−PLCBRK )は、少なくとも前記低速時の通常時伸側リミット位置PLT(VC)や通常時圧側リミット位置(−PLC(VC))よりも絶対値として大きい。
【0038】
前記ステップS42では、前記目標制御位置の絶対値|PTi|が前記基本制御リミット位置の絶対値|P|以上であるか否かを判定し、当該目標制御位置の絶対値|PTi|が基本制御リミット位置の絶対値|P|以上である場合にはステップS43に移行して、目標制御位置PTiを基本制御リミット位置Pに設定してからステップS44に移行する。
【0039】
前記ステップS44では、後段に詳述する図13の演算処理に従って、ステップモータ41FL〜41RRのステップ量Sを算出・出力する。
次にステップS45に移行して、前記バネ上上下速度の今回値Xi(n)を前回値Xi(n−1)として、また前記車速の今回値VC(n)を前回値VC(n−1)として、前記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してから、マイクロコンピュータ56の動作を統括制御している図示されないメインプログラムに復帰する。
【0040】
次に、前記図5の演算処理のステップS15で実行されるマイナプログラム(サブルーチン)としての図8の演算処理について説明する。ここでは、前述の車体運動状態量としてバウンス速度X’ ,ピッチ速度X’ ,ロール速度X’ の算出が行われるが、その前提として、前記各上下加速度センサ51FR〜51RRの取付位置について図9を用いて簡潔に説明する。このうち、前右上下加速度センサ51FRは車体重心点から距離cだけ右方で且つ距離aだけ前方(本実施例では前車軸よりも後方)に取付けられ、後左右上下加速度センサ51RL,51RRは、夫々車体重心点から距離cだけ左方又は右方で且つ距離bだけ後方(本実施例では後車軸位置に相当)に取付けられている。従って、以下のようにして、バウンス速度X’ が積分算出される前のバウンス加速度X” は車体重心点を通る左右軸から単位長さだけ離れた水平面位置における上下方向への垂直力として、またピッチ速度X’ ,ロール速度X’ が積分算出される前のピッチ加速度X” ,ロール加速度X” は、夫々車体重心点を通る左右軸又は前後軸から単位長さだけ離れた水平面位置における偶力として算出される。
【0041】
即ち、この演算処理のステップS151では、下記8式に従ってバウンス加速度X” を算出し、次のステップS152でこれにローパスフィルタ処理を施してバウンス速度Xを積分算出する。但し、ここでは上方向(車体バウンス方向)を正値とする。
” =(b・XFR” +a・XRR” )/(a+b) ……… (8)
次にステップS153に移行して、下記9式に従ってピッチ加速度X” を算出し、次のステップS154でこれにローパスフィルタ処理を施してピッチ速度X’ を積分算出する。但し、ここでは車体左右軸回りで後回り方向(スカット方向)を正値とする。
【0042】
” =(XRR” −XFR” )/(a+b) ……… (9)
次にステップS155に移行して、下記10式に従ってロール加速度X” を算出し、次のステップS156でこれにローパスフィルタ処理を施してロール速度X’ を積分算出してから、前記図5の演算処理に復帰する。但し、ここでは車体前後軸回りで右回り方向を正値とする。
【0043】
” =(XRL” −XRR” )/2c ………(10)
ちなみに、前記ローパスフィルタ処理には、例えばプログラムによって構築されたディジタルローパスフィルタ等を用いることができ、このディジタルローパスフィルタのカットオフ周波数は,既知のように当該フィルタを構築するプログラムの一時変数を適宜に選定して設定することができる。また、各車体運動状態量の算出はローパスフィルタ処理でなく,既存の積分演算処理によって算出することもできる。
【0044】
次に、前記図5の演算処理のステップS17で実行されるマイナプログラム(サブルーチン)としての図10の演算処理について説明する。なお、この演算処理の各ステップで用いられる演算式のうち、Lは前後車軸間距離(ホイールベース),Lは車体重心から前車軸までの水平距離,Lは車体重心から後車軸までの水平距離,tは左右車輪の接地点間距離(トレッド)であり、また各演算式は単純な物理式であるから、その詳細な説明は割愛する。
【0045】
そして、この演算処理では、まずステップS171で下記11式に従って前左制御用バネ上速度XFL’ を算出する。
FL’ =L・U/2L−U/2L+U/2t ………(11)
次にステップS172に移行して、下記12式に従って前右制御用バネ上速度XFR’ を算出する。
【0046】
FR’ =L・U/2L−U/2L−U/2t ………(12)
次にステップS173に移行して、下記13式に従って後左制御用バネ上速度XRL’ を算出する。
RL’ =L・U/2L+U/2L+U/2t ………(13)
次にステップS173に移行して、下記14式に従って後右制御用バネ上速度XRR’ を算出してから、前記図5の演算処理に復帰する。
【0047】
RR’ =L・U/2L+U/2L−U/2t ………(14)
次に、前記図5の演算処理のステップS18で実行されるマイナプログラム(サブルーチン)としての図11の演算処理について説明する。
この演算処理では、まずステップS1811で、バネ上上下速度X’ が“0”以上であるか否かを判定し、バネ上上下速度X’ が“0”以上である場合には各減衰力可変ショックアブソーバ3iのピストンロッド35が伸側に移動しているものと判断してステップS182に移行し、そうでない場合には当該減衰力可変ショックアブソーバ3iのピストンロッド35が圧側に移動しているものと判断してステップS183に移行する。
【0048】
従って前記ステップS182では、比例範囲算出係数αとして伸側比例範囲算出係数αを設定し、周期判断値Tとして伸側周期判断値TDTを設定し、制御不感帯係数Kとして伸側不感帯係数KNTを設定し、バネ上挙動比例範囲の最大値XUMAX’ 及び最小値XUMIN’ として夫々伸側最大値XUTMAX ’ 及び伸側最小値XUTMIN ’ を設定し、基本制御最大位置PMAX として伸側基本制御最大位置PMAX を設定してから、前記図5の演算処理に復帰する。
【0049】
また、前記ステップS183では、比例範囲算出係数αとして圧側比例範囲算出係数αを設定し、周期判断値Tとして圧側周期判断値TDCを設定し、制御不感帯係数Kとして圧側不感帯係数KNCを設定し、バネ上挙動比例範囲の最大値XUMAX’ 及び最小値XUMIN’ として夫々圧側最大値(−XUCMAX ’ )及び圧側最小値(−XUCMIN ’ )を設定し、基本制御最大位置PMAX として圧側基本制御最大位置(−PMAX )を設定してから、前記図5の演算処理に復帰する。
【0050】
次に、前記図5の演算処理のステップS19で実行されるマイナプログラム(サブルーチン)としての図12の演算処理について説明する。ここで、この演算処理中に表れる文言について、簡潔に説明する。この演算処理は、車体,即ちバネ上が上下方向(演算処理上は正負方向)に均等又はほぼ均等に揺動している状態を想定し、ここに表れるバネ上の正弦曲線又は近似正弦曲線(演算処理上は正負方向に均等な正弦曲線である必要はないが、ここではそのように考えると理解し易い)を振動として捉え、その周期と振幅とから減衰力の制御すべき範囲を設定することで、乗心地としっかり感とを両立しようとするものである(その詳細については後段に説明する)。従って、演算処理中に表れる周期とは、前記バネ上振動の正弦曲線の周期であり、極値とはその振幅を意味する。
【0051】
従って、この演算処理では、ステップS191でバネ上上下速度の今回値X(n) と前回値X(n−1) との積値が負値であるか否か、即ちバネ上上下速度X’ が前回と今回との間でゼロクロスしているか否かを判定し、その積値が負値である場合にはバネ上上下速度X’ がゼロクロスしたとしてステップS192に移行し、そうでない場合にはステップS193に移行する。
【0052】
前記ステップS192では、周期カウンタのカウント値Tを“0”にリセットし、次いでステップS194に移行して、前記記憶装置56dの極値記憶領域に記憶され且つ前記正弦曲線で考えたバネ上上下振動の1周期前の極値V2を、同じく1.5周期前,即ち1周期半前の極値V3として更新記憶し、同じく0.5周期前,即ち半周期前の極値V1を1周期前の極値V2として更新記憶し、同じく最新の,即ち現在の極値Vを半周期前の極値V1として更新記憶するように、各極値V〜V3をレジスタ内でシフトし、次いでステップS195に移行して、現在の極値Vを“0”にクリアしてからステップS196に移行する。
【0053】
一方、前記ステップS193では、バネ上上下速度X’ がゼロクロスしていない、つまりバネ上上下速度X’ は、演算処理上の正値の領域か或いは負値の領域で増減していると判断して、前記周期カウンタのカウント値Tをインクリメントし、次いでステップS197に移行して、前記バネ上上下速度の今回値の絶対値|X(n) |が、前記記憶装置56dやバッファ等に更新記憶されている一時的極値Vi0より大きいか否かを判定し、当該バネ上上下速度の今回値の絶対値|X(n) |が一時的極値Vi0より大きい場合にはステップS198に移行し、そうでない場合にはステップS199に移行する。
【0054】
前記ステップS198では、前記バネ上上下速度の今回値の絶対値|X(n) |を新たな一時的極値Vi0として更新記憶した後、前記ステップS199に移行し、このステップS199では、前記周期カウンタのカウント値Tが、前記図5の演算処理のステップS18,即ち前記図11の演算処理で設定された周期判断値T以上であるか否かを判定し、当該周期カウンタのカウント値Tが周期判断値T以上である場合にはステップS200に移行し、そうでない場合にはステップS201に移行する。ちなみに、前記周期判断値Tは、前記減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの伸側と圧側との夫々で、前記正弦曲線で考えたバネ上上下振動の極値が表れるに足る時間,つまり(T・ΔT)に設定してある。
【0055】
そして、前記ステップS200では、前記周期カウンタのカウント値Tが周期判断値Tを越え、従ってバネ上上下振動に極値が表れていると判断して、そのときの前記一時的極値Vi0を前記現在の極値Vに更新記憶してから前記ステップS196に移行する。また、前記ステップS201では、前述のようにバネ上上下振動には未だ極値が表れていないであろうから、予め設定された所定値からなる仮想極値Vを現在の極値Vに設定してから前記ステップS196に移行する。
【0056】
このステップS196では、前記図5の演算処理のステップS18,即ち前記図11の演算処理で設定された比例範囲算出係数α及び各極値V,V1,V2及びV3を用いて、下記15式に従ってバネ上挙動比例範囲の上限値XUi’ を算出してから、前記図5の演算処理に復帰する。なお、式中のK,K,K及びKは予め設定された重み係数である。
【0057】
Ui’ =α・A/B ………(15)
A=K・V+K・V1+K・V2+K・V3
B=K+K+K+K
次に、前記図5の演算処理のステップS44で実行されるマイナプログラム(サブルーチン)としての図13の演算処理について説明する。
【0058】
この演算処理では、まずステップS441で、前記図5の演算処理のステップS43までに算出設定される目標制御位置PTiと現在の位置PAiとを用いて、下記16式に従ってステップ量Sを算出する。
=PTi−PAi ………(16)
次にステップS442に移行して、前記ステップ量の絶対値|S|が、1回の図5の演算処理によって制御可能な或いは制御するに適応した最大ステップ量SMAX 以下であるか否かを判定し、当該ステップ量の絶対値|S|が最大ステップ量SMAX 以下である場合にはステップS443に移行し、そうでない場合にはステップS444に移行する。
【0059】
前記ステップS444では、前記ステップ量Sが“0”より大きい,即ち正値であるか否かを判定し、当該ステップ量Sが正値である場合にはステップS445に移行し、そうでない場合にはステップS446に移行する。
そして、前記ステップS443では前記算出されたステップ量Sを制御出力であるステップ量Sに設定してからステップS447に移行し、また前記ステップS445では、正値の最大ステップ量SMAX を制御出力としてのステップ量Sに設定してから前記ステップS447に移行し、また前記ステップS446では負値の最大ステップ量(−SMAX )を制御出力としてのステップ量Sに設定してから前記ステップS447に移行し、前記ステップS447では、これらのステップ量Sを制御出力として前記各モータ駆動回路59FL〜59RRに向けて出力してからメインプログラムに復帰する。
【0060】
次に、前記図5〜図13の演算処理の作用について説明する。但し、これらの演算処理のメインルーチンとなる図5の演算処理は、車体挙動を抑制する煩雑な制御を統括しており、バウンス入力,ピッチ入力,ロール入力等の或る特定の車体挙動入力に対して、当該図5の演算処理の作用を個別に説明するのは極めて複雑で難解であるため、ここでは当該図5の演算処理の各ステップを幾つかずつまとめてセクションに分割し、そのセクションがどのような作用をなすのかについて説明し、最終的に本発明に対応する制御態様が、どのような状況でどのように車体の挙動を抑制するのかという手法を用いて説明することとする。
【0061】
まず、図5の演算処理のステップS12〜ステップS14によって設定されるピッチゲインCが常に通常時所定値CP0であると考え、同ステップS8で読込まれた3箇所のバネ上上下加速度X” から、同ステップS15〜ステップS18で制御用バネ上上下速度X’ を算出するセクションの作用は、周知の自動車工学及び物理学に照らしても理解し易く、またその詳細は、本出願人が先に提案した特開平7−285311号公報に記載されているために、その詳細な説明を割愛する。なお、当該公報に記載される内容は、最終的にバネ上上下速度X’ を算出するものではなく、所謂能動型サスペンションへの制御力Uを算出するものであるが、後述するように前記減衰力可変ショックアブソーバを用いた本実施例の車両でも、制御入力であるバネ上上下速度X’ から制御出力である減衰力D/Fをリニアに設定しようとするものであるから、前記公報における制御力Uを単にバネ上上下速度X’ に置換されればよい。
【0062】
次に、図5の演算処理のステップS28〜ステップS34のセクションで設定される制御位置比例係数R,補正比例係数FRi,目標制御位置PTiの関係について説明する。
前述のように、前記図3の減衰力特性(厳密には減衰係数特性である)を有する本実施例の減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRは、例えば横軸にバネ下−バネ上間相対上下速度をとり且つ縦軸にバネ上上下速度をとったスカイフック原理の減衰力特性に対して、当該図3を裏面から見て且つ90°時計回り方向に正回転(右回転)させると、バネ上上下速度だけを制御入力として、当該スカイフック原理で所望される減衰力特性とよい一致を見ることができる。そして、更に好ましくは、バネ上上下速度X’ に対して減衰係数cをリニアに設定することにより、両者の積値で表れる減衰力D/Fによって、バネ上上下加速度X” と質量Mとの積値で表れる加振力を有効に制振できるようにしたい。
【0063】
そこで、前記バネ上挙動比例範囲の上限値XUi’ が前記バネ上挙動比例範囲の最大値XUMAX’ 一定で、且つ制御不感帯閾値Xi0’ が一定値であるとしたとき、この制御不感帯閾値Xi0’ を差し引いたバネ上挙動比例範囲の上限値XUi’ に対して、ステップモータ41の最大位置PMAX において減衰力可変ショックアブソーバ3の最大減衰係数cMAX が発揮されるとして、制御入力であるバネ上上下速度X’ に対してリニアな減衰係数cを算出するための算出係数が、前記ステップS28の6式で制御位置比例係数Rとして算出される。勿論、この算出係数である制御位置比例係数Rは、“0”以上“1”以下である必要があるから、図5の演算処理のステップS29〜ステップS32では、当該制御位置比例係数Rに対して上下限値のリミッタ(制限処理)が施される。
【0064】
ところで、前記図3に示す減衰力可変ショックアブソーバ3の弁体位置Pに対する減衰力D/F(ここでは減衰係数cと等価と考える)はリニアではない。これは、弁体31の位置Pに対して前記オリフィスの開口面積をリニアに設定できない又は設定困難であることから、現段階では両者をリニアに設定することは困難である。従って、本実施例では前記弁体位置Pに対する減衰力D/F(=減衰係数c)を、図3に二点鎖線で示すような曲線で近似し、更にその逆比となる補正曲線を設定し、この補正曲線に従って弁体位置Pを設定すれば所望する減衰力D/F(=減衰係数c)がバネ上上下速度X’ に対してリニアに設定されるようにする。この補正曲線が、前記図6に示す補正比例係数FRi算出曲線であり、従って前述のようにバネ上上下速度X’ に対してリニアに設定された制御位置比例係数Rに対して、補正比例係数FRiを算出設定する。従って、前記図5の演算処理のステップS34で前記7式に従って、この補正比例係数FRiに最大位置PMAX を乗じて得られる目標制御位置PTiは、バネ上上下速度X’ に対してリニアな減衰力D/F(=減衰係数c)を発揮することになる。そして、図5の演算処理のステップS45では、このようにして設定された目標制御位置PTiと現在位置PAiとの偏差に応じた制御出力として、各ステップモータ41iの回転角を制御するステップ量Sが出力される。
【0065】
次に、前記減速制御フラグFBRK が“0”のリセット状態で、図5の演算処理のステップS35からステップS37,ステップS40又はステップS41に移行し、次いでステップS42,ステップS43で前記目標制御位置PTiにリミッタ(制限処理)を施すセクションについて説明する。
前述のように、前記ステップS37でバネ上上下速度X’ の正負の判定の後、同ステップS40において図7aの制御マップに従って設定される通常時伸側リミット値PLT(VC)又は同ステップS41において図7bの制御マップに従って設定される通常時圧側リミット値(−PLC(VC))は、何れも車速Vが小さい低速時に値が小さく、高速時に値が大きい。
【0066】
そこで、便宜上、前記減衰力特性曲線におけるS−S範囲の減衰力を“0”とし且つ前記不感帯閾値Xi0を無視して前述のように減衰力D/Fはバネ上上下速度X’ とリニアに変換されるものとし、今、低速走行中に、図14aに示すような正弦曲線状のバネ上上下速度X’ が発生すると、図5の演算処理のステップS40又はステップS41で設定される通常時伸側リミット値PLT(VC)又は通常時圧側リミット値(−PLC(VC))が何れも小さな値であるため、正の領域で増加する,即ち伸側に増加するバネ上上下速度X’ に対しても、負の領域で減少する,即ち圧側に増加するバネ上上下速度X’ に対しても、同演算処理のステップS42,ステップS43で弁体位置P(目標制御位置PTi)は前記小さな値の各リミット値PLT(VC),(−PLC(VC))で制限され、各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRで発現可能な減衰力D/Fは小さく抑制されてしまう。ここで、このような低速走行中であれば、例えば同等の車体挙動入力に対してもバネ上に作用する加振力は小さいと考えられ、むしろ一過性の突起通過時等に発生するこのような小さな加振力に対して減衰力D/Fを大きくすると、乗員にはゴツゴツ感や突き上げ感があって,サスペンション特性が固いと感じられる。しかしながら、本実施例では前述のように各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRで発現可能な減衰力D/Fは小さく抑制することにより、路面からの入力に対して、バネ上,即ち車体はゆったりと動くことになり、乗心地が確保される。
【0067】
一方、高速走行中には、図5の演算処理のステップS40又はステップS41で設定される通常時伸側リミット値PLT(VC)又は通常時圧側リミット値(−PLC(VC))が何れも大きな値であるため、図14bに示すような同等の制限曲線状のバネ上上下速度X’ に対して、伸側に増加するバネ上上下速度X’ に対しても、圧側に増加するバネ上上下速度X’ に対しても、同演算処理のステップS42,ステップS43で制限される弁体位置P(目標制御位置PTi)は大きくなり、各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRで発現可能な減衰力D/Fは大きくなる。従って、大きな加振力に対してバネ上,即ち車体には大きな制振効果が作用し、ふわつき感がなくなり、当該車体が路面(車輪)に追従しているというしっかり感が得られる。
【0068】
次に、前記減速制御フラグFBRK が“0”のリセット状態で、図5の演算処理のステップS30からステップS21,ステップS23に移行するセクションについて説明する。
ここでも、便宜上、前記減衰力特性曲線におけるS−S範囲の減衰力を“0”とし且つ前記不感帯閾値Xi0を無視して前述のように減衰力D/Fはバネ上上下速度X’ とリニアに変換されるものとし、また初期のバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は、前記車速に応じた基本制御リミット位置P,即ち前記各リミット値PLT(VC),(−PLC(VC))を満足する値に常に設定されるものとしたとき、今、図15aに実線で示すような正弦曲線状のバネ上上下速度X’ が発生すると、前記通常時伸側リミット値PLT(VC)又は通常時圧側リミット値(−PLC(VC))の作用により、このセクションを経ないそのままの減衰力D/Fは、同図15bの実線と破線とを連続したものとなろう。
【0069】
ここで、実際の車両に発生するバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )に着目すると、例えば路面突起からの入力は、サスペンションのフリクションやバネ特性或いはタイヤの変形に介在するヒステリシス等から、未だサスペンションが圧縮状態にあるとき、つまりバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )が負値であるときに、バネ上上下速度X’ は正値として表れ始め、バネ上上下速度X’ が減少し始めても、バネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )は未だ減少し始めていない,つまりリバウンドしていないといったように、バネ上上下速度X’ に対してバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )の遅れが発生する。これは、車体が沈み込む場合にも同様に表れるから、このバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )は図15aに破線で示すようにバネ上上下速度X’ から遅れて表れることになる。これに対して、スカイフック理論による減衰力D/FS.H (正確には減衰係数cS.H である)は、このバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )を考慮した下記17式で与えられるから、図15bに二点鎖線で示すように、実際にバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )が同方向に立ち上がるタイミングで急速に大きくなり、その後、一旦、大きく減少してから緩やかに減少する。
【0070】
D/FS.H (∝cS.H )=a・X’ /(X’ −XGi’ ) ………(17)
aは比例係数
このスカイフック理論による減衰力D/FS.H では、例えば図15aにおけるバネ上−バネ下間でリバウンド又はバウンドが開始する時には、既に十分に減衰力が小さくなっており、正に理想的な減衰力特性となり得る。しかしながら、前述の同図15bに破線で示す減衰力D/Fでは、バネ上−バネ下間のリバウンドやバウンドの開始時に、未だ減衰力が大きく設定され過ぎており、実際には逆方向に移動しようとしているバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )に対して不要な減衰力が作用し、結果的にバネ上の挙動を制し切れなくなってしまうという問題が発生する。
【0071】
そこで、本実施例では、前記バネ上上下速度X’ とリニアに変換される減衰力D/Fが、当該バネ上上下速度X’ のピーク近傍で前記スカイフック理論による減衰力D/FS.H に一致することに着目した。即ち、前記減速制御フラグFBRK は“0”にリセットされており、且つバネ上上下速度X’ がピークを迎えるまでの間で当該バネ上上下速度の絶対値|X’ |が初期のバネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |より小さい場合には、図5の演算処理のステップS23を経ないで、前記ステップS28の6式に従って制御位置比例係数Rを算出することにより、前述のように当該バネ上上下速度X’ とリニアな減衰力D/Fが設定されるようにする(ここでは初期のバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ が前記各リミット値PLT(VC),(−PLC(VC))を満足する値に設定されているために、前記バネ上上下速度の絶対値|X’ |がこのバネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |を越えるまでの間には、当該リミット値PLT(VC),(−PLC(VC))によるリミッタは施されない)。しかしながら、同じくバネ上上下速度X’ がピークを迎えるまでの間で当該バネ上上下速度の絶対値|X’ |が初期のバネ上挙動比例範囲上限値の絶対値|XUi’ |以上となった場合には、図5の演算処理のステップS21からステップS23に移行して、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ を、そのときのバネ上上下速度X’ にすげ替えてしまい、結果的に同演算処理のステップS28で算出される制御位置比例係数Rが強制的に“1”になるようにしてしまう。
【0072】
従って、バネ上上下速度X’ の値がピークを越えて減少を始めると、それまでにバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ にすげ替えられたピーク値に相当するバネ上上下速度X’ よりも、その時点でのバネ上上下速度X’ の値の方が小さいから、同演算処理のステップS28で算出される制御位置比例係数Rは、当該ピーク値に相当するバネ上上下速度X’ と現在のバネ上上下速度X’ との偏差に応じた(実際には不感帯閾値Xi0’ が介在する)分だけ小さくなり、バネ上上下速度X’ が“0”になると当該制御位置比例係数Rも“0”になる。このように補正された制御位置比例係数Rに応じた各減衰力可変ショックアブソーバ3iの減衰力D/Fは、図15bに実線で示すように表れ、特にバネ上上下速度X’ のピーク以後は前記スカイフック理論により減衰力D/FS.H に近似するため、前述のように実際には逆方向に移動しようとしているバネ上−バネ下間相対上下速度(X’ −XGi’ )に対して不要な減衰力が作用するのを抑制防止することができる。
【0073】
次に、前記図5の演算処理のステップS19,即ち前記図12の演算処理で構成されるセクションについて説明する。ここでも、便宜上、前記減衰力特性曲線におけるS−S範囲の減衰力を“0”とし且つ前記不感帯閾値Xi0を無視して前述のように減衰力D/Fはバネ上上下速度X’ とリニアに変換されるものとする。
【0074】
まず、図16aには、今まで説明したようなうねり路等で発生する比較的大きな正弦曲線状の加振力,つまりバネ上上下速度X’ を示し、そのときに発生する減衰力D/Fを同図16cに実線で示した。一方、前述のようにバネ上上下速度X’ に対してリニアな減衰力D/Fを発現しようとする本実施例では、例えば平坦な良路等で発生する図16bに示すような小さな加振力,即ちバネ上上下速度X’ に対しては、同図16cに破線で示すような小さな減衰力D/Fが設定される。しかしながら、前記スカイフック理論による減衰力D/FS.H は、必ずしも一該にそうであるとは断言できないものの、加振力の大小に係わらず、凡そ図16cに二点鎖線で示すように表れる。これは、当該スカイフック理論が、前述のようにバネ上−バネ下間相対上下速度をも考慮して、車体の挙動を極力抑制しようとするためであり、従って乗心地のみならずしっかり感との両立も可能となる。また、一方で、本実施例のように、大きな加振力,つまりバネ上上下速度X’ に対しては大きな減衰力D/Fを設定してしっかり感を与え、小さなバネ上上下速度X’ に対しては小さな減衰量D/Fを設定して乗心地が損なわれないようにしようとする制御態様も間違いではない。しかしながら、高速走行状態でも、前述のように小さい加振力に対して減衰力が小さいままだと、車体がふわふわとふわついた感じがしてしまって、当該高速走行状態で所望されるしっかり感が得られない。この問題は、前述の走行速度に応じたリミット値の問題とは個別のものである。むしろ、高速でも低速でも、車体挙動に表れない程度の小さな加振力に対しては、或る程度まで減衰力を高めて路面追従性を得た方が乗員に安心感を与えることになろう。
【0075】
そこで、このような小さい加振力,バネ上上下速度X’ が継続するときには、前記ステップS28の6式に使用されるバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ (合わせて制御不感帯閾値Xi0’ も)小さくし、この小さなバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fの比例範囲を狭めることで、同等のバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインを上げればよい。この関係を図17aに示す。ここでは、前記車速に応じた基本制御リミット位置Pを無視して、バネ上上下速度X’ に対して発現される減衰力D/F(∝弁体位置P)が前記基本制御最大位置PMAX に相当する値までリニアに増加すると考えると、このバネ上上下速度X’ の比例範囲の上限値XUi’ と前記基本制御最大位置PMAX に相当する減衰力D/Fとの座標点と、原点とを結ぶ直線の傾きがゲインに相当すると考えられる。そして、比較的大きな加振力,即ちバネ上上下速度X’ が継続するような場合には、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ を前記最大値XUMAX’ 側に寄せてバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインを小さくし、これにより乗心地を確保し、比較的小さな加振力,即ちバネ上上下速度X’ が継続するような場合には、当該バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ を前記最小値XUMIN’ に寄せてバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインを大きくし、これによりしっかり感が確保されるようにすればよい。
【0076】
そのため、本セクションでは、前記図12の演算処理のステップS191でバネ上上下速度X’ のゼロクロスを検出した後、同ステップS197及びステップS198で、同方向に増減するバネ上上下速度X’ の一時的極値Vi0を次々に更新記憶し、同ステップS193で前記バネ上上下速度X’ のゼロクロスからインクリメントされる周期カウンタのカウント値Tが、前述のように正弦曲線上で考えたバネ上上下速度X’ の極大値又は極小値が発生するに足る周期判断値T未満の場合には、同ステップS199からステップS201に移行して、予め設定された想定可能な仮想極値Vを現在の極値Vに設定し、前記周期カウンタのカウント値Tが周期判断値T以上となったならば、既にバネ上上下速度X’ の極大値又は極小値が発生しているものとして、それまでの更新記憶されている最大の一時的極値Vi0を現在の極値Vに設定する。そして、前記ステップS191でバネ上上下速度X’ のゼロクロスを検出する度に、ステップS192で周期カウンタをリセットし、合わせて同ステップS194で、前記極値Vを、前記正弦曲線上で考えた半周期毎に更新記憶し、続くステップS196で、現在から1周期半前までの各極値V〜V3を重み付け平均して、その間の極値Vの平均値から前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ を算出設定する。
【0077】
従って、図17bのように極値Vの大きなバネ上上下速度X’ が凡そ2周期に渡って継続すると、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最大値XUMAX’ 寄りに設定され、合わせて図5の演算処理のステップS27で算出される制御不感帯閾値Xi0’ が大きく設定され、従って同演算処理のステップS28の6式で算出される制御位置比例係数R及びそれに応じた各減衰力可変ショックアブソーバ3iの減衰力D/Fは、バネ上上下速度X’ に対してゲインの小さなものとなる。一方、図17bのように極値Vの小さなバネ上上下速度X’ が継続すると、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最小値XUMIN’ 寄りに設定され、合わせて制御不感帯閾値Xi0’ が小さく設定され、従って制御位置比例係数R及びそれに応じた各減衰力可変ショックアブソーバ3iの減衰力D/Fは、バネ上上下速度X’ に対してゲインの大きなものとなる。このように小加振力が継続すると、バネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインが大きくなる、即ち減衰力D/Fの立上りが早くなるから、図16cに矢印で示すように、それまで破線のように小さく表れていた減衰力D/Fは、実線で示すように速やかに立上がって大きな値となり、前記スカイフック理論による減衰力D/FS.H に近づいて、理想的な減衰力特性を得ることができる。
【0078】
ちなみに、このようにバネ上の振動について考察してゆくと、前記極値Vで表れる振幅が同等であっても、例えば長いうねりが連続する場合のように図18aに示すような周期の長いものと、細かい凹凸が連続する場合のように図18bに示すような周期の短いものとが考えられる。このうち、周期の長い,つまり周波数の小さな低周波数のバネ上上下速度X’ では減衰力D/Fを高めてしっかり感を確保したいし、周期の短い,つまり周波数の大きな高周波数のバネ上上下速度X’ では減衰力D/Fを小さくして乗心地を確保したい。つまり、図18cに示すように周波数が大きい高周波数では、前記バネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインを小さくするために前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最大値XUMAX’ 寄りに設定し、周波数が小さい低周波数では、当該バネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインを大きくするために前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最小値XUMIN’ 寄りに設定することも考えられる。そこで、本実施例では実施していないが、例えば前記図12の演算処理でバネ上上下速度X’ のゼロクロス間の時間をゼロクロスカウンタT0Xでカウントする。このゼロクロスカウンタT0Xのカウント値は、前記バネ上上下速度X’ の振動の半周期に相当すると考えると、それは当該振動周波数の逆比であるから、例えばこのゼロクロスカウンタT0Xの値に基づいて、前記図12の演算処理のステップS196の15式で用いられる比例範囲算出係数αを、図19に示すように当該ゼロクロスカウンタT0Xの値と反比例するように設定すれば、周波数が大きい高周波数では、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最大値XUMAX’ 寄りに設定され、その結果、前記バネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインが小さくなって乗心地が確保され、一方、周波数が小さい低周波数では、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ は最小値XUMIN’ 寄りに設定され、その結果、当該バネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fのゲインが大きくなってしっかり感が確保される。
【0079】
なお、図5の演算処理のステップS22〜ステップS26のセクションは、前述のように設定されたバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ が大き過ぎない或いは小さ過ぎないためのリミッタ処理である。
次に、前記図5の演算処理のステップS1〜ステップS14及びステップS20〜ステップS23及びステップS35〜ステップS39の各セクションについて説明する。ここでも、便宜上、前記減衰力特性曲線におけるS−S範囲の減衰力を“0”とし且つ前記不感帯閾値Xi0を無視して前述のように減衰力D/Fはバネ上上下速度X’ とリニアに変換されるものとする。
【0080】
前述のように、低速では車速Vに応じた基本制御リミット位置Pが小さな値に設定されて、各減衰力可変ショックアブソーバ3iで発現可能な減衰力D/Fがこの基本制御リミット位置Pで制限されてしまうので、この低速時からの制動時等による減速時にはノーズダイブが大きくなってしまう。その様子を図20aに示す。ここでは、特にノーズダイブを誘発する車体前部,即ち前左右輪に相当する位置のバネ上上下速度X’ (=XFL’ orXFR’ )と、それらの各減衰力可変ショックアブソーバ3FL,3FRの減衰力D/F(FLorFR)とを表した。このように、負値の領域で減少し続けるバネ上上下速度X’ に対して、減衰力D/Fは、低速時の小さな値の通常時圧側リミット値(−PLC(VC))からなる基本制御リミット位置Pで制限されてしまい、ノーズダイブに抗する減衰力が絶対的に不足してしまう。この現象は、例えば或る程度の高速走行状態から、制動等により減速する場合でも、前記車速Vの低下に伴って基本制御リミット位置Pがどんどん小さな値に設定されてしまうと、それにつれて減衰力D/Fが小さくなってしまって、結果的には同様にノーズダイブを抑制し切れなくなる虞れもある。また、これに対して、このような減速時に、特にノーズダイブは車体のピッチ運動であるから、例えば前記図5の演算処理に使用されるピッチゲインCを一時的に大きくし、減衰力D/Fの立上りを大きくすることも考えられるが、その結果、発現する減衰力は、せいぜい図20aに破線で示す程度であり、減衰力の絶対的な不足を根本的に解決することにはならない。
【0081】
そこで、前記各セクションのうち、図5の演算処理のうちのステップS8を除くステップS1〜ステップS11では、ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態であり,即ちブレーキペダルが踏込まれており、且つ車体加減速度V’ が負値の所定値VC0’ 以下であるとき,即ち車体の減速度が或る程度以上大きいときに、同ステップS3及びステップS4からステップS6に移行して減速タイマTBRK をインクリメントすると共に、次のステップS10で減速制御フラグFBRK を“1”にセットし、この減速制御フラグFBRK は、前記ステップS6でインクリメントされる減速タイマTBRK が、同ステップS7で予め設定された所定値TBRK0以上となるまで継続される。ちなみに、この所定値TBRK0は、それに前記演算処理サンプリング時間ΔTを乗じた時間で、後述する減速時リミット値PLTBRK 又は(−PLCBRK )による減衰力D/Fが、最も大きいと考えられる急ブレーキ時の車体のノーズダイブ及びテールスカットを十分に減衰可能な値に設定してある。また、前記ステップS7で減速タイマTBRK が所定値TBRK0以上であると判定されると、同ステップS9で当該減速タイマTBRK がクリアされ、同ステップS11で減速制御フラグFBRK がリセットされる。
【0082】
このように減速制御フラグFBRK が“1”にセットされると、図5の演算処理のステップS37を除くステップS35〜ステップS39のセクションにおいて、同ステップS35からステップS36に移行してバネ上上下速度X’ の正負判定が行われ、当該バネ上上下速度X’ が正値である場合にはステップS38で減速時伸側リミット値PLTBRK が基本制御リミット位置Pに設定され、バネ上上下速度X’ が正値である場合にはステップS39で減速時圧側リミット値(−PLCBRK )が基本制御リミット位置Pに設定されるから、次続くステップS42,ステップS43では、この基本制御リミット位置Pに応じたリミッタが施される。ここで前述のように、前記減速時の各リミット値PLTBRK ,(−PLCBRK )は、少なくとも低速走行における通常時の各リミット値PLT(VC),(−PLC(VC))よりも大きな値に設定されている。
【0083】
また、これに合わせて図5の演算処理のステップS22を除くステップS20〜ステップS23のセクションでは、前記減速制御フラグFBRK が“1”にセットされている間はステップS23に移行しないから、前記バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ のすげ替えを行わない。従って、当該バネ上挙動比例範囲上限値XUi’ が前記最大値XUiMAX ’ と同等で、あらゆるバネ上上下速度X’ に対して減衰力D/Fがリニアに設定されるとすると、前記と同様の前左右輪位置におけるバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fは、図20bに実線で示すように表れる。即ち、例えば時刻tでブレーキペダルを踏込んで前記ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態となり、次いでその状態のまま、時刻tで車体加減速度V’ が前記所定値VC0’ 以下になったとすると、この時刻tから、前記減速タイマの所定値TBRK0とサンプリング時間ΔTとの積値で表れる時間(TBRK0・ΔT)は減速制御フラグFBRK が“1”にセットされ、それに伴って前記基本制御リミット位置Pは前記減速時の各リミット値PLTBRK ,(−PLCBRK )に設定され且つバネ上挙動比例範囲上限値XUi’ のすげ替えを行わないから、当該リミット値PLTBRK ,(−PLCBRK )に相当するバネ上上下速度X’ に対する減衰力D/Fは、当該リミット値PLTBRK ,(−PLCBRK )に相当する減衰力D/Fに保持される。この大きな減衰力D/Fにより、減速時のノーズダイブ及びその揺り返しによるテールスカットは、それが急ブレーキによる最も大きなものであっても、前記時間(TBRK0・ΔT)内に十分に制振される。
【0084】
更に、本実施例では、図5の演算処理のステップS12〜ステップS14のセクションで、前記減速時制御フラグFBRK が“1”のセット状態にあるとき、前記ピッチゲインCを大きな値の減速時所定値CPBRKに設定するため、実際の減衰力D/Fは、図20bに破線で示すように速やかに立上り、従って特にこの立上り部位の減衰力D/Fが、正に沈み込もうとする車体前部のバネ上上下速度X’ を効果的に減衰し、前記ノーズダイブやテールスカットはより確実に制振される。
【0085】
以上より、上下加速度センサ51FR〜51RR及び図5の演算処理のステップS8,ステップS15〜ステップS17及び図8の演算処理及び図10の演算処理は、本発明のサスペンション制御装置のバネ上上下速度検出手段に相当し、以下同様に、図5の演算処理のステップS18〜ステップS45が制御手段に相当し、車速センサ52及び図5の演算処理のステップS1が車速検出手段に相当し、図5の演算処理のステップS18〜ステップS34が目標制御位置算出手段に相当し、図5の演算処理のステップS42,ステップS43が目標制御位置制限手段に相当し、ブレーキスイッチ53及び車速センサ52及び図5の演算処理のステップS1〜ステップS4が減速状態検出手段に相当し、図5の演算処理のステップS8を除くステップS3〜ステップS11及び同ステップS37を除くステップS35〜ステップS39が制限値切替手段に相当する。また、図8の演算処理のステップS153及びステップS154が本発明のサスペンション制御装置のピッチ運動検出手段に相当し、以下同様に、同図5の演算処理のステップS15及び図8の演算処理が車体運動状態検出手段に相当し、図5の演算処理のステップS8を除くステップS3〜ステップS11及びステップS12〜ステップS14がゲイン切替手段に相当する。
【0086】
なお、車体の減速状態検出手段としては、例えば前後加速度センサ等を取付けて、車体の加減速度を直接検出するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施例においては、減衰力を制御する弁体31をロータリ形に構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、スプール形に構成して、圧側と伸側とで異なる流路を形成するようにしてもよく、この場合にはステップモータ41FL〜41RRの回転軸41aにピニオンを連結し、このピニオンに噛合するラックを連結杆42に取り付けるか又は電磁ソレノイドを適用して弁体31の摺動位置を制御すればよい。
【0088】
また、上記実施例においては、マイクロコンピュータ56を適用して制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
また、上記実施例においては、ステップモータ41FL〜41RRをオープンループ制御する場合について説明したが、これに限らずステップモータの回転角をエンコーダ等で検出し、これをフィードバックすることによりクローズドループ制御するようにしてもよい。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係るサスペンション制御装置によれば、低速走行時にあって、車体の減速状態が大きいときに、弁体の目標制御位置に対する制限値を、より大きな所定値に所定時間切替えることにより、この所定時間内においては各減衰力可変ショックアブソーバは十分な減衰力を発現することが可能となり、制御入力であるバネ上上下速度が実際に大きくなれば、それを抑制するに足る減衰力が発現されるから、特に車体の前のめりのピッチ運動,ノーズダイブは効果的に抑制され、十分な制振効果やしっかり感が与えられる。
【0090】
また、車体の減速状態が大きいときに、ピッチ運動状態検出値に乗じられるゲインを大きな所定値に所定時間切替えることにより、各減衰力可変ショックアブソーバで発現する減衰力の立上りが早くなり、その分だけ、減速時の車体の前のめりのピッチ運動、ノーズダイブは速やかに抑制され、制振効果やしっかり感が高まる。
【0091】
また、本発明のうち請求項に係るサスペンション制御装置によれば、前記所定時間を、この制動時に発生するピッチ運動が減衰されるに足る時間に設定することにより、当該制動時の大きなピッチ運動を確実に抑制して、制振効果やしっかり感を確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサスペンション制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1のサスペンション制御装置に採用された減衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一部を断面とした正面図である。
【図3】減衰力可変ショックアブソーバの弁本体のポジションに対する減衰力特性を示す説明図である。
【図4】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図5】本発明のサスペンション制御装置のコントローラで実行される車体姿勢変化抑制制御の演算処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】図5の演算処理で用いられる制御位置比例係数−補正比例係数の制御マップである。
【図7】図5の演算処理で用いられる車速−基本制御リミット位置の制御マップである。
【図8】図5の演算処理でマイナプログラムとして実行される車体運動状態検出のフローチャートである。
【図9】図8の演算処理で用いられる演算式の説明図である。
【図10】図5の演算処理でマイナプログラムとして実行されるバネ上上下速度算出のフローチャートである。
【図11】図5の演算処理でマイナプログラムとして実行される制御用所定値設定のフローチャートである。
【図12】図5の演算処理でマイナプログラムとして実行されるバネ上比例範囲上限値算出のフローチャートである。
【図13】図5の演算処理でマイナプログラムとして実行されるステップ量算出・出力のフローチャートである。
【図14】図5の演算処理による減衰力特性の説明図である。
【図15】図5の演算処理による減衰力特性の説明図である。
【図16】図5の演算処理による減衰力特性の説明図である。
【図17】図5の演算処理で用いられるバネ上比例範囲上限値の説明図である。
【図18】図5の演算処理で考えられるバネ上比例範囲上限値の他の説明図である。
【図19】図18のバネ上比例範囲上限値算出で用いられる比例範囲算出係数の説明図である。
【図20】図5の演算処理による減衰力特性の説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2 車体
3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ
4 コントローラ
8 ピストン
11 下部半体
12 上部半体
13 伸側油流路
14 圧側油流路
31 弁体
35 ピストンロッド
41FL〜41RR ステップモータ
51FR〜51RR 上下加速度センサ
52 車速センサ
53 ブレーキスイッチ
56 マイクロコンピュータ
59FL〜59RR モータ駆動回路

Claims (2)

  1. 車体側部材及び車輪側部材間に介装されて、入力される制御信号に応じて駆動されるアクチュエータによって弁体の位置を制御することにより減衰力を多段階に設定可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速度検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段で検出されたバネ上上下速度算出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する減衰力に応じた前記弁体の目標制御位置を設定し、当該弁体を目標制御位置に移動させるように前記制御信号を前記アクチュエータに出力する制御手段と、車両の前後方向速度を検出する車速検出手段とを備え、前記制御手段は、バネ上上下速度算出値に基づいて目標制御位置を算出する目標制御位置算出手段と、前記車速検出手段で検出された車速検出値に基づき当該車速検出値の増加に伴って制限値を大きく設定する制限値設定手段と、前記目標制御位置算出手段で算出された目標制御位置を前記制限値設定手段で設定された制限値で制限する目標制御位置制限手段とを備えたサスペンション制御装置において、少なくとも車体に発生する減速状態を検出する減速状態検出手段を備え、前記制限値設定手段は、低速走行時にあって、前記減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、前記制限値を、より大きな所定値に所定時間切替える制限値切替手段を備えると共に、前記バネ上上下速度検出手段は、車体の姿勢変化に起因する運動状態を検出する車体運動状態検出手段を備え、この車体運動状態検出手段で検出された車体運動状態検出値に所定のゲインを乗じて車体のバネ上上下速度を算出するものであり、前記車体運動状態検出手段は、少なくとも車体に発生するピッチ運動を検出するピッチ運動検出手段を備え、前記バネ上上下速度算出手段は、前記減速状態検出手段で検出された減速状態検出値が所定値以上であるときに、当該ピッチ運動状態検出値に乗じられるゲインを大きな所定値に所定時間切替えるゲイン切替手段を備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記所定時間は、制動時に発生するピッチ運動が減衰されるに足る時間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション制御装置。
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