JP3146852B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP3146852B2
JP3146852B2 JP12912994A JP12912994A JP3146852B2 JP 3146852 B2 JP3146852 B2 JP 3146852B2 JP 12912994 A JP12912994 A JP 12912994A JP 12912994 A JP12912994 A JP 12912994A JP 3146852 B2 JP3146852 B2 JP 3146852B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも車体の変位
速度に基づいて減衰力可変ショックアブソーバの減衰力
を制御するようにした所謂セミ・アクティブ制御を行う
サスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のセミ・アクティブ方式のサスペン
ション制御装置としては、例えば特開平3−42319
号公報に記載されているものがある。この従来例は、制
御信号の入力により、伸延する方向(以下,単に伸側と
記す)の伸側減衰力及び圧縮する方向(以下,単に圧側
と記す)の圧側減衰力を、夫々少なくとも小さな減衰力
(以下,単に低減衰力とも記す)と大きな減衰力(以
下,単に高減衰力とも記す)とに変更可能なショックア
ブソーバと、車体側に相当するバネ上速度を計測するバ
ネ上速度計測手段と、バネ上・車輪側に相当するバネ下
間の相対速度を計測する相対速度計測手段と、バネ上速
度の符号と相対速度の符号との一致,不一致を判定する
符号判定手段と、両符号が一致し、かつ、相対速度の符
号が正である時、伸側を高減衰力、圧側を低減衰力に
し、また、両符号が一致し、かつ、相対速度の符号が負
である時、伸側を低減衰力、圧側を高減衰力にする制御
信号を出力し、一方、両符号が不一致である時、伸側・
圧側を共に低減衰力とする制御信号を出力する制御信号
出力手段とを備えた構成を有する。
【0003】但し、この従来例は,各減衰力可変ショッ
クアブソーバで伸側及び圧側に設定される高減衰力及び
低減衰力は一定値にしか設定できない。即ち、このサス
ペンション制御装置に用いられる各減衰力可変ショック
アブソーバは、具体的に伸側及び圧側に設定される高減
衰力は一定値であり、伸側をこの一定の高減衰力に設定
すると圧側が一定の低減衰力に設定され、圧側を一定の
高減衰力に設定すると伸側が一定の低減衰力に設定され
るが、伸側及び圧側を同時に一定の低減衰力に設定する
こともできる。つまり、この減衰力可変ショックアブソ
ーバでは伸側及び圧側の各減衰力を,所謂3ポジション
にしか設定できない。
【0004】一方、車体の制振効果や姿勢制御の面から
所謂スカイフックの理論が着目されている。このスカイ
フックの理論を,所謂Karnopp則等に従って車両で達成
するためには、車体に発生する挙動量,具体的には例え
ば車体側バネ上上下速度等の揺動入力に対して,各ショ
ックアブソーバの減衰力を連続的に変更設定できなけれ
ばならない。そこで、本出願人は先に例えば特願平5−
328426等に記載される減衰力可変ショックアブソ
ーバを用いたサスペンション制御装置を提案している。
これらのサスペンション制御装置に用いられる減衰力可
変ショックアブソーバについて簡潔に説明すると、各シ
ョックアブソーバに内装されているピストン及び当該ピ
ストンに内装されている弁体との間に,ディスクバルブ
やリードバルブ等によって自動的に開閉される伸側流体
路と圧側流体路とを形成し、ピストンに対して弁体をア
クチュエータによって相対的に回転又は移動させると,
伸側流体路及び圧側流体路にオリフィスとして介在して
いる各流体路のピストン−弁体間開口面積が変化するよ
うにしているため、このアクチュエータへの制御量を変
更制御することで可変オリフィスの絞り(流動抵抗)が
変化して伸側及び圧側の減衰力を個別に連続的に変更制
御することができる。
【0005】なお、伸側の減衰力を相対的に高減衰力と
したときには圧側の減衰力は低減衰力となり、圧側の減
衰力を相対的に高減衰力としたときには伸側の減衰力は
低減衰力となること自体は前記従来例と同様又はほぼ同
様であり、高減衰側に設定された伸側又は圧側の減衰力
を連続的に増減変更設定できるようにしてある。また、
前記アクチュエータとしては具体的にステップモータが
使用されており、前記制御量にはこのステップモータの
回転角,即ちステップ数(更に厳密には制御信号のパル
ス数)が用いられている。つまり、少なくとも高減衰側
の減衰力は,ステップモータの回転角とリニアな関係に
ある弁体の相対回転角,即ち回転ポジションと一意な関
係にある。
【0006】そして、このように連続的に減衰力を可変
としたショックアブソーバを用いたサスペンション制御
装置では、前記Karnopp則を端的に実現するために車体
側バネ上上下速度を算出或いは検出し、具体的にはこの
バネ上上下速度が正の領域で増加するに従って伸側の減
衰力を次第に増加させ、負の領域で減少するに従って圧
側の減衰力を次第に増加させるようにしている。なお、
具体的な車両へのチューニングに際して,特に車速が小
さい低速走行状態での滑らかな乗り心地を達成するため
に、前記バネ上上下速度の絶対値が小さい領域に低減衰
閾値を設け、当該バネ上上下速度の絶対値がこの低減衰
閾値以下の領域では,減衰力可変ショックアブソーバの
減衰力を,伸側にも圧側にもできるだけ低くするように
設定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
サスペンション制御装置にあっては、制御開始時に、ス
テップモータの制御原点校正,所謂イニシャライズを実
行することは既知であるが、制御性能をできるだけ早く
確保したり,後述する外乱によるイニシャライズ中の脱
調発生を抑制防止したりする目的のために、このイニシ
ャライズを,例えば機関(エンジン)始動直後とか発進
直後といった比較的低速走行或いは車速“0”の状態で
実行している。
【0008】しかしながら、現実問題として限られた車
格内で車室容積をできるだけ大きくするとか,或いはエ
ンジンルームやトランクルームの容積をできるだけ大き
くするといった要請から、前記ステップモータを備えた
減衰力可変ショックアブソーバを車室に接近させる必要
が発生し、このように車室に接近した減衰力可変ショッ
クアブソーバのステップモータを,前述のような低速或
いは車速“0”の状態でイニシャライズすると、その回
転及び/又は停止に伴うノイズが車室内にまで伝達され
てしまう虞れがある。
【0009】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、車室内にまで伝達されるステップモータ
の制御原点校正のノイズの影響を抑制防止すると共に,
確実な制御原点校正を可能とするサスペンション制御装
置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本件発明者は前記諸問題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得て
本発明を開発した。即ち、一般に,走行中にタイヤと路
面との間で発生する,所謂ロードノイズは、乗員,特に
運転者が当該路面状況を判断するのに重要な情報である
ために、昨今の静粛性という乗り心地重視した車両にお
いても,このロードノイズが或る程度は車室内に伝達さ
れて乗員に感知されるように設定されている。一方、エ
ンジンノイズや動力伝達系のノイズそのもの或いはその
車室内への伝達はできるだけ抑制されるように設定され
ているから、現実に前記ステップモータの制御原点校
正,即ちイニシャライズで発生するノイズそのものは小
さなものであるにも関わらず、ロードノイズが小さい低
速走行状態や車速“0”のときにイニシャライズを実行
すると,そのノイズが異音として大きくとられてしま
う。そこで、或る程度車室内に伝達されるロードノイズ
が大きくなる車速以上でイニシャライズを実行すること
で、当該イニシャライズに伴うノイズが異音としてとら
れることのないようにすればよい。
【0011】しかし、このように車速が或る程度以上大
きくなったときにイニシャライズを実行することには次
のような問題がある。即ち、車両が或る程度以上の車速
で走行しているということは,同時に路面からの入力や
車体を揺動させる入力が発生することであり、イニシャ
ライズ中での減衰力可変ショックアブソーバのピストン
速度が小さい場合,換言すれば路面入力や車体揺動入力
が小さい場合には、前記オリフィスを通過する流体速が
遅いからさほど問題はないが、ピストン速度が大きい場
合,つまり路面入力や車体揺動入力が大きい場合には、
前記オリフィスを通過する流体速が速くなり、これに応
じて当該オリフィスの絞り開度を変更しようとする流体
力が大きくなることになる。このようにオリフィスの絞
り開度を変更しようとする流体力,即ち前記弁体の回転
位置・ポジションを変更しようとする流体力が大きくな
ると、例えばステップモータのイニシャライズで当該ス
テップモータへの駆動力を断続するような場合には特に
ステップモータの駆動力をこの流体力が越え易くなり、
実質的に当該流体力がステップモータの駆動力を越えて
しまうと脱調状態となってしまう。しかし、実際に脱調
が発生したか否かは,前記オープンループ制御では分か
らない。
【0012】そこで、車両が或る車速以上で走行してい
るときに,この問題を解決する手段は大きく二つ考えら
れる。その一つは、前記路面入力や車体揺動入力が小さ
い,所謂平坦な良路を走行中であることを判定してイニ
シャライズを実行することであり、もう一つは、イニシ
ャライズ中に脱調を発生せしめるような大きな路面入力
や車体揺動入力が発生したときには,再度イニシャライ
ズを実行することである。そして、前記路面入力や車体
揺動入力の大きさは,当該減衰力可変ショックアブソー
バの近傍で車体に作用する上下加速度の大きさで判定す
ることとし、更に前者の場合には,この上下加速度の大
きさがイニシャライズ中に脱調を発生せしめるに値する
閾値以下である状態が,或る所定時間以上継続したとき
を良路走行中であると判定すればよく、後者の場合に
は,若干の脱調が発生している可能性はあるが現在のイ
ニシャライズはとりあえず最後まで実行してしまった方
が,まるでイニシャライズを実行しないとか或いはイニ
シャライズを途中で中止するよりは好ましいと考えられ
る。
【0013】而して本発明のうち請求項1に係るサスペ
ンション制御装置は、図1の基本構成図に示すように、
車体側部材及び車輪側部材間に介装されて、入力される
制御信号に応じて駆動されるステップモータによって弁
体を回転制御することにより減衰力を変化させることが
可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車体のバネ上
上下速度に関係した車体挙動を検出するバネ上上下速度
検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段で
検出されたバネ上上下速度検出値に基づいて車体の姿勢
変化を抑制する前記制御信号を前記ステップモータに出
力してオープンループ制御する制御手段とを備えたサス
ペンション制御装置において、車両の前後方向速度を検
出する車速検出手段と、前記ステップモータの制御原点
校正中のノイズレベルより車室内に伝達されるロードノ
イズレベルが大きくなる所定車速値に対し、前記車速検
出手段で検出された車速検出値が当該所定車速値以上で
あるときに前記ステップモータの制御原点校正を行う制
御原点校正手段とを備えたことを特徴とするものであ
る。
【0014】また、本発明のうち請求項2に係るサスペ
ンション制御装置は、図1の基本構成図に示すように、
車体の前記減衰力可変ショックアブソーバ近傍位置での
上下加速度を検出する上下加速度検出手段を備え、前記
制御原点校正手段は,前記上下加速度検出手段で検出さ
れた上下加速度検出値が所定上下加速度値以下である状
態が所定時間以上継続したときに前記ステップモータの
制御原点校正を行う許可を与える許可手段を備えたこと
を特徴とするものである。
【0015】また、本発明のうち請求項3に係るサスペ
ンション制御装置は、図1の基本構成図に示すように、
車体の前記減衰力可変ショックアブソーバ近傍位置での
上下加速度を検出する上下加速度検出手段を備え、前記
制御原点校正手段は,前記ステップモータの制御原点校
正中に前記上下加速度検出手段で検出された上下加速度
検出値が所定上下加速度値を越えたときに当該ステップ
モータの制御原点校正を継続させると共に当該ステップ
モータの制御原点校正終了後にステップモータの制御原
点校正を再度行うことを条件として設定する条件設定手
段を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
【作用】本発明のうち請求項1に係るサスペンション制
御装置は、図1の基本構成図に示すように、通常考えら
れる当該車速でのロードノイズがステップモータの制御
原点校正中に発生するノイズより大きくなる車速を所定
車速値に設定し、前記車速検出手段で検出された車速検
出値が当該所定車速値以上であるときに前記制御原点校
正手段がステップモータの制御原点校正を行うこととし
たために、当該所定車速値以上の車速走行中に当該ステ
ップモータの制御原点校正を実行することで、ロードノ
イズよりも小さい当該制御原点校正のノイズが異音とし
てとられるのを抑制防止することができる。
【0017】また、本発明のうち請求項2に係るサスペ
ンション制御装置は、図1の基本構成図に示すように、
前記制御原点校正手段に備えられた許可手段が、前記上
下加速度検出手段で検出された上下加速度検出値が所定
上下加速度値以下である状態が所定時間以上継続したと
きに前記ステップモータの制御原点校正を行う許可を与
えることとしたために、前記所定上下加速度値を,前記
ステップモータの制御原点校正中に脱調を発生する路面
入力や車体揺動入力の大きさに応じた値に設定し、且つ
前記所定時間を,前記所定車速値以上の車速における走
行距離に鑑みた値に設定することによって、前記ステッ
プモータの制御原点校正を行う許可が与えられたとき
は,当該車両が路面入力や車体揺動入力の小さい平坦な
良路を安定して走行しているときと判断できるから、こ
の時点で実行されるステップモータの制御原点校正中
に,前記弁体を回転させる流体力による脱調の発生が低
減される。
【0018】また、本発明のうち請求項3に係るサスペ
ンション制御装置は、図1の基本構成図に示すように、
前記制御原点校正手段に備えられた条件設定手段が、前
記ステップモータの制御原点校正中に,前記上下加速度
検出手段で検出された上下加速度検出値が所定上下加速
度値以上であるときに再度ステップモータの制御原点校
正を行うことを条件に設定することとしたために、前記
所定上下加速度値を,前記ステップモータの制御原点校
正中に脱調を発生する路面入力や車体揺動入力の大きさ
に応じた値に設定することによって、当該ステップモー
タの制御原点校正で発生する虞れのある脱調を,次回の
ステップモータの制御原点校正で校正する可能性がで
き、これを繰り返すことによって前記上下加速度検出手
段で検出された上下加速度検出値が所定上下加速度値以
下であり続けたステップモータの制御原点校正で脱調の
ない原点校正を確実に実行することができる。また、こ
の条件設定手段は前記条件設定に合わせて、前記ステッ
プモータの制御原点校正中に,前記上下加速度検出手段
で検出された上下加速度検出値が所定上下加速度値以上
となっても,当該制御原点校正を最後まで実行すること
も条件として設定することとしたために、当該ステップ
モータの制御原点校正では脱調が発生している虞れはあ
るが、しかしまるでイニシャライズを実行しないとか或
いはイニシャライズを途中で中止するよりも原点校正さ
れている可能性は高く、その分だけ,前記次回のステッ
プモータの制御原点校正までの間の制御性能が向上する
可能性が高くなる。
【0019】
【実施例】以下、本発明のサスペンション制御装置の一
実施例を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の実
施例を示す概略構成図であって、各車輪1FL〜1RRと車
体2との間に夫々サスペンション装置を構成する減衰力
可変ショックアブソーバ3FL〜3RRが配設され、これら
減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を切
換えるステップモータ41FL〜41RRが後述するコント
ローラ4からの制御信号によって制御される。
【0020】これらの各減衰力可変ショックアブソーバ
3FL〜3RRは、図3〜図7に示すように、外筒5と内筒
6とで構成されるシリンダチューブ7を有するツインチ
ューブ式ガス入りストラット型に構成され、内筒6内が
これに摺接するピストン8によって上下圧力室9U,9
Lに画成されている。また、前記ピストン8は、図4〜
図7で特に明らかなように、外周面に内筒6と摺接する
シール部材9がモールドされ且つ内周面に中心開孔10
を有する円筒状の下部半体11と、この下部半体11に
内嵌された上部半体12とで構成されている。
【0021】そして、前記下部半体11には、上下に貫
通して穿設された伸側油流路13と、上面側から下方に
シール部材9の下側まで延長して穿設された前記伸側油
流路13より大径の孔部14a及び円筒体11の外周面
から孔部14aの底部に連通して穿設された孔部14b
で構成される圧側油流路14と、中心開孔10の上下開
口端に形成された円環状溝15U,15Lと、上面側に
形成され円環状溝15Uと前記伸側油流路13とに夫々
連通する長溝16と、下面側に形成され円環状溝15L
と連通する長溝17とが形成され、伸側油流路13の下
端側及び長溝17が伸側ディスクバルブ18によって閉
塞され、圧側油流路14の上端側が圧側ディスクバルブ
19によって閉塞されている。
【0022】また、上部半体12は、下部半体11の中
心開孔10内に嵌挿された小径軸部21と、この軸部2
1の上端に一体に形成された内筒6の内径より小径の大
径軸部22とで構成され、これら小径軸部21及び大径
軸部22の中心位置に、小径軸部21の下端面側から大
径軸部22の中間部まで達する孔部23aと、この孔部
23aの上端側に連通してこれより小径の孔部23b
と、この孔部23bの上端側に連通するこれより大径の
孔部23cとで構成される貫通孔23が形成され、小径
軸部21の円環状溝15U及び15Lに対向する位置に
夫々半径方向に内周面側に貫通する一対の貫通孔24
a,24b及び25a,25bが穿設され、且つ大径軸
部22の孔部23aの上端側にこれと連通する弧状溝2
6が形成されていると共に、この弧状溝26と下端面と
を連通するL字状の圧側油流路27が形成され、この圧
側油流路27の下端面開口部が圧側ディスクバルブ28
によって閉塞されている。
【0023】そして、下部半体11と上部半体12と
が、下部半体11の中心開孔10内に小径軸部21を嵌
挿した状態で、小径軸部21の下部半体11より下方に
突出した下端部にナット29を螺合させてナット締めす
ることにより、一体に連結されている。さらに、上部半
体12の孔部23a内に可変絞りを構成する上端部が閉
塞された円筒状の弁体31が回転自在に配設されてい
る。この弁体31には、図4に示すように、上部半体1
2における大径軸部22の弧状溝26に対向する位置に
半径方向に内周面に達する貫通孔32が形成されている
と共に、図5〜図7に示すように上部半体12の小径軸
部21の貫通孔24a及び24b間に対応する外周面に
これらを連通する連通溝33が形成され、さらに図6に
示すように上部半体12の小径軸部21の貫通孔25a
及び25b間に対応する外周面にこれらを内周面側に連
通させる軸方向に延長する長孔34が形成されている。
そして、貫通孔32、連通溝33及び長孔34の位置関
係が、図8に示す弁体31の回転角即ち後述するステッ
プモータ41FL〜41RRのステップ角に対する減衰力特
性が得られるように選定されている。
【0024】すなわち、例えば時計方向の最大回転角位
置である図8のA位置では、図4に示すように、貫通孔
32のみが弧状溝26に連通しており、したがって、ピ
ストン8が下降する圧側移動に対しては、下圧力室9L
から圧側油流路14を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ19とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C1と、下圧力室9L
から弁体31の内周面を通り、貫通孔32、弧状溝2
6、圧側油流路27を通り、その開口端と圧側ディスク
バルブ28とで形成されるオリフィスを通って上圧力室
9Uに向かう破線図示の圧側流路C2とが形成され、且
つピストン8が上昇する伸側移動に対しては、上圧力室
9Uから長溝16、伸側流路13を通り、その開口端と
伸側ディスクバルブ18とで形成されるオリフィスを通
って下圧力室9Lに向かう破線図示の伸側流路T1のみ
が形成され、伸側に対してはピストン速度の増加に応じ
て急増する高減衰力を発生させて、圧側に対してはピス
トン速度の増加に応じて微増する低減衰力を発生させ
る。
【0025】このA位置から弁体31を反時計方向に回
転させることにより、図5に示すように、弁体31の連
通溝33と小径軸部21の貫通孔24a,25aとが連
通状態となり、回転角の増加に応じて連通溝33と貫通
孔24a,25aとの開口面積が徐々に増加する。この
ため、ピストン8の伸側移動に対しては、図5aに示す
ように、流路T1と並列に長溝16、円環状溝15U、
貫通孔24a、連通溝33、貫通孔24b、円環状溝1
5L、長溝17を通り、長溝17と圧側ディスクバルブ
18とで形成されるオリフィスを通って下圧力室9Lに
向かう流路T2が形成されことになり、減衰力の最大値
が図8に示すように、連通溝33と小径軸部21の貫通
孔24a,25aとの開口面積の増加に応じて徐々に減
少し、伸側移動に対しては、図5bに示すように、流路
C1及びC2が形成されている状態を維持するため、最
小減衰力状態を維持する。
【0026】さらに、弁体31を反時計方向に回転させ
て位置B近傍となると、図6に示すように、弁体31の
貫通孔25a,25b間が長孔34によって連通される
状態となる。このため、ピストン8の伸側移動に対して
は、図6aに示すように、流路T1及びT2と並列に長
溝16、円環状溝15U、貫通孔25a、長孔34、孔
部23aを通って下圧力室9Lに向かう流路T3が形成
されることになり、伸側減衰力が最小減衰力状態となる
と共に、ピストン8の圧側移動に対しては、流路C1及
びC2に加えて孔部23a、長孔34、貫通孔25a、
円環状溝15Uを通って長溝16に達する流路C3及び
孔部23a、長孔34、貫通孔25b、円環状溝15
L、貫通孔24b、連通溝33、貫通孔24a、円環状
溝15Uを通って長溝16に達する流路C4が形成され
るが、図8に示すように、最小減衰力状態を維持する。
【0027】さらに、弁体31を反時計方向に回転させ
ると、長孔34と貫通孔24b及び25bとの間の開口
面積が小さくなり、回転角θB2で長孔34と貫通孔24
b及び25bとの間が図7に示すように遮断状態となる
が、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面積は回転角
θB2から徐々に小さくなる。このため、回転角θB2から
反時計方向の最大回転角θC 迄の間では、ピストン8の
伸側移動に対しては、流路T1及びT2が併存すること
から最小減衰力状態を維持し、逆にピストン8の圧側移
動に対しては、貫通孔32と弧状溝26との間の開口面
積が徐々に減少することにより、最大減衰力が徐々に増
加し、弁体31が位置Cに到達したときに図7に示すよ
うに、貫通孔32と弧状溝26との間が遮断状態となる
ことにより、ピストンの圧側移動に対して、下圧力室9
Lから上圧力室9Uに達する流路が流路C1のみとな
り、圧側高減衰力状態となる。
【0028】従って、このステップモータの回転角をポ
ジションPとすると、伸側の減衰力が最大減衰力となる
ポジションPが伸側最大ポジションPTMAXとなり、圧側
の減衰力が最大減衰力となるポジションPが圧側最大ポ
ジションPCMAXとなるが、ここでは便宜上,前記伸側減
衰力も圧側減衰力も低減衰力に設定される範囲の中間値
に相当するポジションPを“0”とし、伸側減衰力が高
くなる方向へのポジション変化を正とし且つ圧側減衰力
が高くなる方向へのポジション変化を負とすると、前記
伸側最大ポジションPTMAXは正符号で単にPMAX と表さ
れ、圧側最大ポジションPCMAXは負符号で単に(−P
MAX )と表される。但し、これら各最大ポジションの絶
対値|PMAX |は必ずしも同じ値である必要はない。そ
して、前記負値となる圧側最大ポジション(−PMAx
から正値となる伸側最大ポジションPMAX までの全減衰
力制御範囲のうち,ポジションPが“0”を挟む正の閾
値P T1から負の閾値PC1までの範囲が,伸側低減衰力D
/FT0及び圧側低減衰力D/FC0となって,後述する演
算処理で特に低速走行状態の滑らかさを達成するsoft範
囲(以下,単にS−S範囲とも記す)となり、これより
ポジションPが正方向に大きい範囲,即ちポジションP
が前記正の閾値PT1から正値の伸側最大ポジションP
MAx までの範囲が,伸側減衰力が高く設定される伸側制
御範囲(以下,単にH−S範囲とも記す)となり、これ
よりポジションPが負方向に小さい範囲,即ちポジショ
ンPが前記負の閾値PC1から負値の圧側最大ポジション
(−PMAx)までの範囲が,圧側減衰力が高く設定され
る圧側制御範囲(以下,単にS−H範囲とも記す)とな
る。そこで、前記正の閾値PT1を正の低減衰閾値と表
し、負の閾値PC1を負の低減衰閾値と表すことにする。
【0029】一方、上部半体12の孔部23cには、円
筒状のピストンロッド35が嵌着され、このピストンロ
ッド35の上端が、図3に示すように、シリンダチュー
ブ7より上方に突出され、その上端側が車体側部材36
に取付けられたブラケット37にゴムブッシュ38U及
び38Lを介してナット39によって固定されていると
共に、ピストンロッド35の上端にブラケット40を介
してステップモータ41FL〜41RRがその回転軸41a
を下方に突出した関係で固定され、この回転軸41aと
前述した弁体31とがピストンロッド35内に緩挿され
た連結杆42によって連結されている。なお、43はバ
ンパーラバーである。また、シリンダチューブ7の下端
は車輪側部材(図示せず)に連結されている。
【0030】また、前記弁体31の上端部には図14に
示すような直方体状の突当て体44が突設されており、
ステップモータ41FL〜41RRの回転軸41aによる弁
体31の回転に伴って同期回転する。そして、前記上部
半体12のうち,この突当て体44を収容している内孔
部には,ストッパプレート45が内装されており、前記
突当て体44とストッパプレート45とがストッパ機構
46を構成している。このストッパプレート45の内孔
には二つの突当て突部45a,45bが突設されてお
り、前記ステップモータ41の回転軸41a又は弁体3
1の回転に伴って前記突当て体44が回転すると、当該
弁体31が前記ポジションA又はポジションCまで回転
したときに,当該突当て体44の二つの拘束端面44a
又は44bが前記突当て突部45a又は45bに当接
し、それ以上弁体31が回転しないようにして前記弁体
31のポジションPに,正値の伸側最大ポジションP
MAx や負値の圧側最大ポジション(−PMAx )を与え
る,所謂リミッタの作用を発揮するのであるが、同時に
後述する制御原点校正処理,所謂イニシャライズ処理に
よってステップモータ41の回転角と弁体31のポジシ
ョンとの脱調補正の作用も発現する。このストッパ機構
46の詳細な構成及び作用については,前記イニシャラ
イズ処理の説明と合わせて後段に詳述する。
【0031】コントローラ4には、その入力側に、図9
に示すように、各車輪位置に対応する車体側に設けられ
た上下加速度に応じて、上向きで正となり下向きで負と
なるアナログ電圧でなる上下加速度検出値X2FL ″〜X
2RR ″を出力する上下加速度検出手段としての上下加速
度センサ51FL〜51RRと、車速に応じた正アナログ電
圧でなる車速検出値Vを出力する車速センサ52とが接
続され、出力側に各減衰力可変ショックアブソーバ3FL
〜3RRの減衰力を制御するステップモータ41FL〜41
RRが接続されている。
【0032】そして、コントローラ4は、入力インタフ
ェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演
算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有す
るマイクロコンピュータ56と、上下加速度センサ51
FL〜51RRの上下加速度検出値X2FL ″〜X2RR ″をデ
ィジタル値に変換して入力インタフェース回路56aに
供給するA/D変換器57FL〜57RRと、車速センサ5
2の車速検出値Vをディジタル値に変換して入力インタ
フェース回路56aに供給するA/D変換器58と、出
力インタフェース回路56bから出力される各ステップ
モータ41FL〜41RRに対するステップ制御信号が入力
され、これをステップパルスに変換して各ステップモー
タ41FL〜41RRを駆動するモータ駆動回路59FL〜5
9RRとを備えている。
【0033】ここで、マイクロコンピュータ56の演算
処理装置56cは、後述する演算処理によって前記各上
下加速度検出値X2FL ″〜X2RR ″を積分して車体上下
速度X2FL ' 〜X2RR ' を算出し、各車体上下速度X
2FL ' 〜X2RR ' に応じたステップモータの目標回転
角,即ち弁体の目標ポジションPD を算出設定し、この
目標ポジションPD と現在ポジションPA との差値を算
出して、これに応じたステップ制御量をモータ駆動回路
59FL〜59RRに出力し、前記ステップモータの回転
角,即ち弁体のポジションに応じた各減衰力可変ショッ
クアブソーバ3FL〜3RRの減衰力をオープンループ制御
する。一方、この減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜
3RRの減衰力のオープンループ制御にあたって,当該ス
テップモータの回転角と弁体のポジションとの脱調を補
正するために、後述するイニシャライズ処理の実行も司
る。
【0034】また、記憶装置56dは、前記演算処理装
置56cの演算処理に必要なプログラムを予め記憶して
いると共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を
逐次記憶する。次に、本実施例で実行される前記各減衰
力可変ショックアブソーバの減衰力制御の基本原理につ
いて説明する。
【0035】まず、前記図8に示すような減衰力特性の
減衰力可変ショックアブソーバを用いたとき,車体に作
用しようとする揺動入力に対して実際に車体が揺動する
出力のゲイン特性は図10のように現れる。このうち、
比較的ゆっくりとした車体揺動,即ち低周波数帯域の車
体揺動は,乗員に重厚感を与えるものであるため、特に
加振されない限り,積極的に減衰する必要はないと考え
られる。ところが、比較的速い車体揺動,即ち中・高周
波数帯域の車体揺動は,乗員の乗り心地を損なうために
積極的に減衰したい。そこで、前記減衰力可変ショック
アブソーバを介装した車体揺動入出力系,又はその制御
系の共振周波数を前記揺動入力周波数の低周波数帯域に
設定し、この共振周波数のゲインを図10の二点鎖線の
ような状態から実線のような状態まで小さくすること
で,積極的に減衰したい揺動入力周波数の中・高周波数
帯域のゲインを負方向に更に小さくして減衰力を高める
ことができる。また、このように設定することで揺動入
力の低周波数帯域の加振力も小さくなることになろう。
従って、このゲイン特性を達成する減衰力制御を実行す
れば、小さな揺動入力に対しては滑らかさを与えること
ができ,大きな揺動入力に対しては高い減衰力による制
振効果を達成することができる。
【0036】このように設定された車体揺動入出力系,
又はその制御系では、前記Karnopp則を端的に達成する
ために,図11に二点鎖線で示すように当該揺動入力で
ある前記バネ上上下速度X2i' (i=FL〜RR)に対して
前記目標ポジションを例えば比例係数αでリニアに設定
すればよいことになる。しかしながら、車両が良好な平
坦路面を走行しているときなど,即ち減衰力を変更制御
する必要がないと考えられる走行状態などに発生する微
小な揺動入力に対してまで、例えそれが前記soft範囲
(S−S範囲)内で実質的に減衰力が変化しないとして
も,前記ステップモータを回転させる,即ち弁体のポジ
ションを変化させることはエネルギの浪費であろうし、
また実質的にステップモータの回転に伴って発生するノ
イズの問題もある。そこで、揺動入力であるバネ上上下
速度X2i' に対して正の不感帯閾値X2i0'から負の不感
帯閾値(−X2i0')までを不感帯とし、この不感帯にバ
ネ上上下速度X2i' があるときには前記目標ポジション
D を“0”とし、バネ上上下速度X2i' がこの範囲に
ないときに,当該バネ上上下速度X2i' の増加に伴って
目標ポジションPD が比例係数αでリニアに増加するも
のとする。
【0037】ここで、前記図11のバネ上上下速度−目
標ポジション相関特性を制御マップであると仮定すれ
ば、前記目標ポジションPD が伸側最大ポジションP
MAX となるとき,この目標ポジションPD に相当するバ
ネ上上下速度X2i' を伸側最大バネ上上下速度X2i'
MAX とすると、バネ上上下速度X2i' がこの伸側最大バ
ネ上上下速度X2i' MAX 以上の領域で目標ポジションP
D は伸側最大ポジションPMA X に固定される。また、目
標ポジションPD が圧側最大ポジション(−PMAX )と
なるとき,この目標ポジションPD に相当するバネ上上
下速度X2i' を圧側最大バネ上上下速度(−X2i'
MAX )とすると、バネ上上下速度X2i' がこの圧側最
大バネ上上下速度(−X2i' MAX )以下の領域で目標ポ
ジションPD は圧側最大ポジション(−PMAX )に固定
される。これは、実質的には前記ストッパ機構46によ
る機械的な拘束作用にも従っている。また、目標ポジシ
ョンPD が前記正の低減衰閾値PT1となるときのバネ上
上下速度X2i' を正の低減衰バネ上上下速度閾値
2i01' とし、負の低減衰閾値PC1となるときのバネ上
上下速度X2i'を負の低減衰バネ上上下速度閾値(−X
2i01' )とする。
【0038】さて、このように前記不感帯を除くバネ上
上下速度X2i' に対してポジションPがリニアに設定さ
れるとすると、前記図8に示す減衰力特性はバネ上上下
速度X2i' に対して図12cに示すように現れる。つま
り、図8に示すポジション−減衰力特性の縮尺と図12
cに示すバネ上上下速度−減衰力特性の縮尺とが同等で
あるとすると、図12cに示すバネ上上下速度−減衰力
特性のsoft範囲(S−S範囲)はポジションPが“0”
に維持される前記バネ上上下速度不感帯分だけ広げら
れ、前記伸側制御範囲(H−S範囲)や圧側制御範囲
(S−H範囲)はその外側に位置すると考えればよい。
このバネ上上下速度−減衰力特性に対して図12aのよ
うなバネ上上下速度X2i' が一過性振動入力として入力
された場合の作用について考察してみる。まず初期入力
として正の領域で増加するバネ上上下速度X2i' は時刻
1 で前記正の低減衰バネ上上下速度閾値X2i01' を上
回り、更に増加し続けるが、やがて振動入力としての特
性や後述する伸側減衰力増加作用によって次第にその増
加傾きが小さくなり、或る時刻で極大点を越えて正の領
域で減少し始め、やがて時刻t2 で前記正の低減衰バネ
上上下速度閾値X2i01'を下回った。これに対して、前
記S−S範囲における伸側及び圧側の減衰力を仮に
“0”とし、更に前記減衰力可変ショックアブソーバで
達成される減衰力D/FがポジションP,即ち前記不感
帯を除くバネ上上下速度X2i' とリニアな関係にあると
すると、前記時刻t1 から時刻t2 までの時間t1 〜t
2 にバネ上上下速度X2i' の増減と同期した特に伸側減
衰力D/Fが図12bに示すように発生する。逆に言え
ば、バネ上上下速度X2i' は,自己の増減に応じた減衰
力D/Fで効果的に減衰される。
【0039】更に減少を続けるバネ上上下速度X2i' は
やがて負の領域で減少し始め、時刻t3 で前記負の低減
衰バネ上上下速度閾値(−X2i01' )を下回って更に減
少し続けるが、やがて振動入力としての特性や後述する
圧側減衰力増加作用によって次第にその減少傾きが小さ
くなり、或る時刻で極小点を越えて負の領域で増加し始
め、やがて時刻t4 で前記負の低減衰バネ上上下速度閾
値(−X2i01' )を上回った。この時刻t3 から時刻t
4 までの時間t3 〜t4 に,バネ上上下速度X 2i' の増
減と同期した特に圧側減衰力D/Fが図12bに示すよ
うに発生するため、このバネ上上下速度X2i' は,自己
の増減に応じた減衰力D/Fで効果的に減衰される。な
お、前記極小点におけるバネ上上下速度の絶対値|
2i' |は,前記極大点におけるバネ上上下速度の絶対
値|X2i' |よりも小さい。
【0040】更に増加を続けるバネ上上下速度X2i' は
やがて正の領域で増加し始め、時刻t5 で前記正の低減
衰バネ上上下速度閾値X2i01' を上回って更に増加し続
けるが、やがて振動入力としての特性や後述する圧側減
衰力増加作用によって次第にその増加傾きが小さくな
り、或る時刻で極大点を越えて正の領域で減少し始め、
やがて時刻t6 で前記正の低減衰バネ上上下速度閾値X
2i01' を下回った。この時刻t5 から時刻t6 までの時
間t5 〜t6 に,バネ上上下速度X2i' の増減と同期し
た特に伸側減衰力D/Fが図12bに示すように発生す
るため、このバネ上上下速度X2i' は,自己の増減に応
じた減衰力D/Fで効果的に減衰される。なお、前記極
大点におけるバネ上上下速度の絶対値|X2i' |は,前
記極小点におけるバネ上上下速度の絶対値|X2i' |よ
りも更に小さい。
【0041】更に減少を続けるバネ上上下速度X2i' は
やがて負の領域で減少し始め、時刻t7 で前記負の低減
衰バネ上上下速度閾値(−X2i01' )を下回って更に減
少し続けるが、やがて振動入力としての特性や後述する
圧側減衰力増加作用によって次第にその減少傾きが小さ
くなり、或る時刻で極小点を越えて負の領域で増加し始
め、やがて時刻t8 で前記負の低減衰バネ上上下速度閾
値(−X2i01' )を上回った。この時刻t7 から時刻t
8 までの時間t7 〜t8 に,バネ上上下速度X 2i' の増
減と同期した特に圧側減衰力D/Fが図12bに示すよ
うに発生するため、このバネ上上下速度X2i' は,自己
の増減に応じた減衰力D/Fで効果的に減衰される。な
お、前記極小点におけるバネ上上下速度の絶対値|
2i' |は,前記極大点におけるバネ上上下速度の絶対
値|X2i' |よりも更に小さい。
【0042】やがて減衰され且つ収束する振動入力のバ
ネ上上下速度X2i' は、その後も時刻t9 で正の領域で
増加し、更に減少に転じて時刻t10で負の領域で減少
し、更に増加に転じて時刻t11で正の領域で増加した
が、この時刻t8 以後,当該バネ上上下速度X2i' が前
記正の低減衰バネ上上下速度閾値X2i01' を上回ること
も、負の低減衰バネ上上下速度閾値(−X2i01' )を下
回ることもなかったために、前記減衰力可変ショックア
ブソーバで達成される減衰力D/Fは前記低減衰力D/
T0,D/FC0(ここでは“0”となる)に維持され
た。
【0043】このように前記不感帯を含む絶対値の小さ
なバネ上上下速度X2i' が発生すると,ポジションPも
小さく変化するだけで,それが前記正の低減衰閾値PT1
から負の低減衰閾値PC1までの範囲である場合には、伸
側にも圧側にも減衰力は低く保持される。このことは、
前述のように質量の大きな車両で感じられる重厚感など
に対応する滑らかな乗り心地を達成する効果があり、達
成される減衰力可変ショックアブソーバの減衰力は,伸
側にも圧側にもできるだけ低くするように設定してい
る。
【0044】それでは次に、前記バネ上上下速度−目標
ポジション−減衰力相関特性を達成するために,前記マ
イクロコンピュータ56の演算処理装置56cで実行さ
れる減衰力制御の演算処理を図13に示す。なお、本実
施例では前記基本的に設定される目標ポジションPD
マップ検索ではなく演算式に従って算出する。即ち、図
13の処理は所定時間ΔT(例えば3.3msec)毎にタ
イマ割込処理として実行され、先ずステップS21で前
記各上下加速度センサ51FL〜51RRで検出された各バ
ネ上下加速度検出値X2i″(i=FL〜RR)を読込む。
【0045】次にステップS22に移行して、例えばプ
ログラムによって構築されたディジタルハイパスフィル
タ等によって,前記ステップS21で読込まれた各バネ
上上下加速度検出値X2i″に対してハイパスフィルタ処
理を施して、各バネ上上下加速度検出値X2i″のドリフ
ト重畳成分を除去する。なお、このディジタルハイパス
フィルタのカットオフ周波数は,既知のように当該フィ
ルタを構築するプログラムの一時変数を適宜に選定して
設定することができる。
【0046】次にステップS23に移行して、例えばプ
ログラムによって構築されたディジタルローパスフィル
タ等によって,前記ステップS22でドリフト重畳成分
の除去された各バネ上上下加速度検出値X2i″に対して
ローパスフィルタ処理を施して、その積分値として位相
合わせされた各バネ上上下速度検出値X2i' を算出す
る。なお、このディジタルローパスフィルタのカットオ
フ周波数は,既知のように当該フィルタを構築するプロ
グラムの一時変数を適宜に選定して設定することができ
る。また、各バネ上上下速度検出値X2i' の算出はロー
パスフィルタ処理でなく,既存の積分演算処理によって
算出することもできる。
【0047】次にステップS24に移行して、前記ステ
ップS23で算出設定された各バネ上上下速度検出値X
2i' が“0”より小さい,即ち負であるか否かを判定
し、当該バネ上上下速度検出値X2i' が負である場合に
はステップS25に移行し、そうでない場合にはステッ
プS26に移行する。前記ステップS25では、前記圧
側最大バネ上上下速度(−X2i' MAX )及び前記ステッ
プS23で算出設定された各バネ上上下速度検出値
2i' 及び前記負の不感帯閾値(−X2i0')を用いて下
記1式に従って圧側目標ポジション比例係数α1 を算出
してから,ステップS27に移行する。なお、前記負の
不感帯閾値の絶対値|(−X2i0')|が,前記正の不感
帯閾値の絶対値|X2i0'|と同等である場合には1式中
の二重括弧をほどいてもよい。
【0048】 α1 =(X2i' −(−X2i0'))/(−X2i' MAX ) ……… (1) 前記ステップS27では、前記ステップS25で算出さ
れた圧側目標ポジション比例係数α1 が“1”より大き
いか否かを判定し、当該圧側目標ポジション比例係数α
1 が“1”より大きい場合にはステップS28に移行
し、そうでない場合にはステップS29に移行する。
【0049】前記ステップS28では、前記圧側目標ポ
ジション比例係数α1 を“1”に設定してから前記ステ
ップS29に移行する。前記ステップS29では、前記
ステップS25又はステップS28で設定された圧側目
標ポジション比例係数α1 及び前記圧側最大ポジション
(−PMAX )を用いて下記2式に従って圧側,即ち負方
向の目標ポジションPD を算出してからステップS30
に移行する。
【0050】 PD =α1 ・(−PMAX ) ……… (2) 一方、前記ステップS28では、前記伸側最大バネ上上
下速度X2i' MAX 及び前記ステップS23で算出設定さ
れた各バネ上上下速度検出値X2i' 及び前記正の不感帯
閾値X2i0'を用いて下記3式に従って伸側目標ポジショ
ン比例係数α2を算出してから,ステップS31に移行
する。
【0051】 α2 =(X2i' +X2i0')/X2i' MAX ……… (3) 前記ステップS31では、前記ステップS26で算出さ
れた伸側目標ポジション比例係数α2 が“1”より大き
いか否かを判定し、当該伸側目標ポジション比例係数α
2 が“1”より大きい場合にはステップS32に移行
し、そうでない場合にはステップS33に移行する。
【0052】前記ステップS32では、前記伸側目標ポ
ジション比例係数α2 を“1”に設定してから前記ステ
ップS33に移行する。前記ステップS33では、前記
ステップS26又はステップS32で設定された伸側目
標ポジション比例係数α2 及び前記伸側最大ポジション
MAX を用いて下記4式に従って伸側,即ち正方向の目
標ポジションPD を算出してから前記ステップS30に
移行する。
【0053】 PD =α2 ・PMAX ……… (4) 前記ステップS30では、前記ステップS29又はステ
ップS33で算出設定された目標ポジションPD から,
予め前記記憶装置56dに更新記憶されている現在ポジ
ションPA を減じてステップモータの回転角をステップ
量Sとして算出する。
【0054】次にステップS34に移行して、前記ステ
ップS30で算出設定されたステップ量の絶対値|S|
が,予め設定された一回の演算処理で達成される最大ス
テップ量SMAX 以下であるか否かを判定し、当該ステッ
プ量の絶対値|S|が最大ステップ量SMAX 以下である
場合にはステップS35に移行し、そうでない場合には
ステップS36に移行する。
【0055】前記ステップS35では、前記ステップS
30で算出設定されたステップ量Sをそのままステップ
モータへの制御信号であるステップ量Sに設定してから
ステップS37に移行する。前記ステップS36では、
前記ステップS30で算出設定されたステップ量Sが
“0”より大きいか否か,即ち正であるか否かを判定
し、当該ステップ量Sが正である場合にはステップS3
8に移行し、そうでない場合にはステップS39に移行
する。
【0056】前記ステップS38では、ステップモータ
への制御信号であるステップ量Sを前記最大ステップ量
の正値SMAX に設定してから前記ステップS37に移行
する。前記ステップS39では、ステップモータへの制
御信号であるステップ量Sを前記最大ステップ量の負値
(−SMAX )に設定してから前記ステップS37に移行
する。
【0057】前記ステップS37では、前記ステップS
35,S38,S39の何れかで設定されたステップ量
Sをステップモータへの制御信号として前記各モータ駆
動回路59FL〜RRに向けて出力してからメインプログラ
ムに復帰する。次に前記図13の演算処理による本実施
例のサスペンション制御装置の作用について簡潔に説明
する。
【0058】前記図13の演算処理で達成されるポジシ
ョン−減衰力特性は前記図8に示すものと同等となり、
従って前記不感帯を除くバネ上上下速度X2i' と減衰力
D/Fとの相関特性は前記図12cに示すものと同様と
なる。従って、特に車両の低速走行状態では,小さなバ
ネ上上下速度X2i' に対して伸側及び圧側の減衰力D/
Fが共に低減衰力D/FT0,D/FC0に維持されるsoft
範囲(S−S範囲)が存在するために、小さな車体揺動
入力領域では車体挙動に滑らかさが与えられ、勿論,こ
れよりも大きな車体揺動入力領域ではその大きさに応じ
た減衰力によって当該揺動入力が効果的に減衰収束され
る。
【0059】それでは次に、前記コントローラ4で実行
されるイニシャライズ処理の基本原理について説明す
る。本実施例の減衰力制御では,構造の簡潔化や制御応
答性の向上化等の目的も合わせて、前述のように制御量
であるステップモータの回転角,即ちステップ量の制御
出力を所謂オープンループ制御している。そして、この
ようなオープンループ制御では,既知のようにその脱調
の有無や大きさを,通常の制御ルーチンで認識できない
ため、基本的な制御原点を所謂イニシャライズによって
初期化することで制御入出力系の脱調を補正する。
【0060】この脱調の補正,即ちイニシャライズの基
本的な目的が制御性能の確保であることから、本実施例
のような車両にあっては,可及的早期にイニシャライズ
を実行するのが望ましかろう。そのため従来は、このイ
ニシャライズを,例えばキースイッチがONになった直
後とか機関(エンジン)始動直後とか発進直後といった
比較的低速走行或いは車速“0”の状態で実行してい
る。
【0061】ここで、基本的なイニシャライズ処理の態
様について簡潔に説明する。まず、図14に示すように
前記ポジションAにおける伸側最大ポジションPMAX
ポジションCにおける圧側最大ポジション(−PMAX
との間を減衰力制御範囲とすると、前記図12の演算処
理で用いられる現在ポジションPA は,前回の演算処理
で出力された制御量,即ちステップ量Sの積算値である
ことが分かる。ところが、実際の弁体31のポジション
Pが,この現在ポジションPA に一致しているか否か
は,エンコーダ等の特別なポジション検出手段をもたな
い本実施例では判定できない。そこで、例えば、本実施
例では,前記soft範囲(S−S範囲)の中間のポジショ
ンBをポジション値“0”としたのであるから、このポ
ジション値“0”を制御原点としてイニシャライズを行
う。具体的には図14に示すように、イニシャライズ開
始時点からステップモータ41FL〜41RRを反時計回り
に段階的に回転させ、前記突当て体44の一方の端面4
4aを前記ストッパプレート45の一方の突当て突部4
5aに当接させ(同図では突当て体44の他方の端面4
4bも同時にストッパプレート45の他方の突当て突部
45bに当接する)、然る後,同図に示す回転角aに相
当する所定ステップ数Sa 分だけステップモータ41FL
〜41RRを時計回りに回転すればよい。勿論、イニシャ
ライズ開始時点からステップモータ41FL〜41RRを時
計回りに段階的に回転させ、前記突当て体44の他方の
端面44bを前記ストッパプレート45の他方の突当て
突部45bに当接させ(同図では突当て体44の一方の
端面44aも同時にストッパプレート45の一方の突当
て突部45aに当接する)、然る後,同図に示す回転角
bに相当する所定ステップ数Sb 分だけステップモータ
41FL〜41RRを反時計回りに回転させても同じであ
る。
【0062】このイニシャライズ処理を実行するため
に,前記コントローラ4の演算処理装置56cで実行さ
れる演算処理を図15に示す。即ち、この図15の演算
処理は予め設定された所定時間ΔT(例えば3.3mse
c)毎のタイマ割込処理によって実行され、まずステッ
プS41でイニシャライズフラグINTが“1”のセッ
ト状態であるか否かを判定し、当該イニシャライズフラ
グINTが“1”のセット状態である場合にはステップ
S42に移行し、そうでない場合にはそのままメインプ
ログラムに復帰する。
【0063】前記ステップS42では、図示されないテ
ーブル等を参照しながら前述のようにしてイニシャライ
ズ処理を実行する。なお、このイニシャライズ処理は,
その他のタイマ割込などによる演算処理に阻害されるこ
となく、独立して実行され続ける。次にステップS43
に移行して、イニシャライズ実行フラグSETを“1”
のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0064】ここで、前記イニシャライズフラグINT
やイニシャライズ実行フラグSETの表す意味やそのセ
ット状態のやりとりについては後段に詳述することとし
て、前記図15の演算処理のステップS42で実行され
るイニシャライズ処理の作用について説明する。例え
ば、弁体の最終ポジション(即ちイニシャライズが実行
される直前のポジション)Pが図16に示すような位置
にあるとして,前記図15の演算処理が実行されるサン
プリング時刻に前記イニシャライズフラグINTが
“1”のセット状態であるとすると、前記図15の演算
処理のステップS42では,前記ステップモータ41FL
〜41RRに対して,当該ステップモータ41FL〜41RR
を反時計回りに回転させ且つ次第に小さくなるステップ
量Sを所定時間毎に制御信号として出力し、これにより
弁体31であり,同時に突当て体44でもあるわけであ
るが、ステップモータ41FL〜41RRが反時計回りに段
階的に,且つその回転角を次第に小さくしながら回転
し、やがて前記圧側最大ポジション(−PMAX )まで回
転してストッパ機構46の突当て体44がストッパプレ
ート45の各突当て突部45a,45bに当接し、それ
以上回転しなくなる。この状態から、ステップモータ4
1FL〜41RRに対して所定ステップ量Sa を出力するこ
とにより,当該ステップモータ41FL〜41RRを回転角
aだけ時計回りに回転させて突当て体44,即ち弁体3
1のポジションPをポジション値“0”に位置出しし
て、前記イニシャライズ完了フラグSETを“1”にセ
ットする。なお、本実施例では、前記ステップモータ4
1FL〜41RRを反時計回りに且つ段階的に所定回転角だ
け回転させると、その回転位置毎に所定時間ずつホール
ドすると共にそのうちの所定時間は供給電圧をOFFと
して駆動力を“0”にする。つまり、このイニシャライ
ズ中はステップモータ41FL〜41RRの駆動力が断続さ
れることになる。また、図16に示すように,例えば最
終ポジションPから伸側最大ポジションPMAXまでの角
度をγとし,且つイニシャライズ処理によって到達され
る想定最大行き過ぎポジションPN から圧側最大ポジシ
ョン(−PMAX )までの角度をδとすると、当該角度δ
を前記角度γよりも大きく設定することにより,最終ポ
ジションPが減衰力制御範囲のどこにあっても必ず圧側
最大ポジション(−PMAX )に到達するようにしてい
る。
【0065】ところが、現実問題として前述のように限
られた車格で車室容積を大きくするとか,エンジンルー
ムやトランクルームを大きくするといった要請によっ
て、前述のようにステップモータを夫々備えた減衰力可
変ショックアブソーバを,車室近傍に配設する必要が生
じている。このように車室に接近した減衰力可変ショッ
クアブソーバのステップモータを,前述のような低速走
行状態或いは車速“0”の状態でイニシャライズする
と、その回転及び/又は停止に伴うノイズ,更に具体的
には前記突当て体44がストッパプレート45の各突当
て突部45a,45bに当接するノイズ等が車室内にま
で伝達されてしまう虞れがある。具体的に、このイニシ
ャライズに伴うノイズレベルは小さなレベルのものであ
るのだが、このように低速走行状態又は車速“0”の状
態で,車室内に必要として伝達されるロードノイズ等も
小さく、また昨今の静粛性という乗り心地を重視した車
両にあってはエンジンノイズや動力伝達系のノイズが車
室内へ伝達されるのを極力抑制する傾向から、前記イニ
シャライズに伴うノイズが異音としてとられてしまうと
考えられる。
【0066】そこで、本実施例では,車速が或る程度増
速して車室内に必要として伝達されるロードノイズが或
る程度大きくなった時点で,前記ステップモータのイニ
シャライズを行うこととする。具体的には、前記ステッ
プモータ41FL〜41RRのイニシャライズに伴って車室
内に伝達されるノイズレベルよりも,前記必要として車
室内に伝達されるロードノイズ等のノイズレベルが大き
くなる車速を所定車速値V0 とし、前記車速センサ52
で検出された車速検出値Vがこの所定車速値V 0 以上で
あるときを,各ステップモータ41FL〜41RRのイニシ
ャライズの実行を許可する。具体的には、個別の演算処
理によって前記イニシャライズフラグINTのセット・
クリアを実行させ、当該車速検出値Vが所定車速値V0
以上であるときに当該イニシャライズフラグINTを
“1”にセットする必要条件とすればよい。つまり、こ
のような車速での走行状態では、ステップモータ41FL
〜41RRのイニシャライズに伴って車室内に伝達される
ノイズが,車室内に伝達されるロードノイズによってマ
スキングされると考えればよい。そして、後述する諸問
題をクリアしてイニシャライズが完了したときには,イ
ニシャライズ完了フラグENDを“1”にセットする。
【0067】しかし、このように車速が或る程度以上大
きくなったときにイニシャライズを実行することには次
のような問題がある。即ち、車両が或る程度以上の車速
で走行しているということは,同時に路面からの入力や
車体を揺動させる入力が発生することであり、イニシャ
ライズ中に作用する路面からショックアブソーバへの入
力や車体揺動に伴うショックアブソーバへの入力が大き
い場合には,減衰力可変ショックアブソーバのピストン
速度が大きくなると考えられ、その結果,前記オリフィ
スを通過する流体速が速くなり、これに応じて当該オリ
フィスの絞り開度を変更しようとする流体力が大きくな
ることになる。このようにオリフィスの絞り開度を変更
しようとする流体力,即ち前記弁体の回転位置・ポジシ
ョンを変更しようとする流体力が大きくなると、特に本
実施例のようにステップモータのイニシャライズで当該
ステップモータへの駆動力を断続するような場合には,
この流体力がステップモータの駆動力を越え易くなり、
実質的に当該流体力がステップモータの駆動力を越えて
しまうと脱調状態となってしまう。
【0068】そこで、本実施例ではステップモータのイ
ニシャライズによって正確にポジション“0”出しを行
うために二つの手段を講ずる。その一つは、前記路面入
力や車体揺動入力が小さい,所謂平坦な良路を走行中で
あることを判定してイニシャライズを実行することであ
り、もう一つは、イニシャライズ中に脱調を発生せしめ
るような大きな路面入力や車体揺動入力が発生したとき
には,再度イニシャライズを実行することである。そし
て、前記路面入力や車体揺動入力の大きさは、前記減衰
力可変ショックアブソーバの近傍に配設された上下加速
度センサ51FL〜51RRが,当該位置で検出した車体に
作用するバネ上上下加速度検出値X2i”(i=FL〜RR)
の大きさで判定することとし、このバネ上上下加速度検
出値X2i”が,予め設定された所定上下加速度値X2i0"
以上であるときには、各ステップモータ41FL〜41RR
の回転角θ,即ち弁体31のポジションPに脱調が発生
している可能性があるものとする。
【0069】そして前者の場合には、この上下加速度検
出値Vの大きさがイニシャライズ中に脱調を発生せしめ
るに値する閾値,即ち前記所定上下加速度値X2i0"を越
えない状態が,或る所定時間T以上継続したときを良路
走行中であると判定すればよく、具体的には後述するタ
イマ割込による演算処理のサンプリング時間をΔTとし
て,ΔT・CNT0 =Tとなる所定カウント値CNT0
に対し、タイマカウンタCNTがこの所定カウント値C
NT0 以上となったときに,前記イニシャライズフラグ
INTを“1”にセットする。また、後者の場合には、
若干の脱調が発生している可能性もあるから、現在のイ
ニシャライズはとりあえず最後まで実行して、この場合
には再度イニシャライズを実行するためにイニシャライ
ズ仮完了フラグNENDを“1”にセットすることで,
前記イニシャライズ完了フラグENDが“1”にセット
されないようにする。
【0070】それでは次に、前記基本原理に従って,ス
テップモータのイニシャライズの実行を許可するため
に,前記マイクロコンピュータ56の演算処理装置56
cで実行される演算処理を図17に示す。なお、この演
算処理中,前記イニシャライズフラグINTは“1”の
セット状態で前記図15の演算処理によるイニシャライ
ズを実行してもよいという許可フラグを表し、そのリセ
ット状態は“0”とする。また、前記タイマカウンタC
NTは,前記所定カウント値CNT0 で前記所定時間T
が経過したことを表す。また、前記イニシャライズ実行
フラグSETは,“1”のセット状態で前記図15の演
算処理によるイニシャライズ処理がとりあえず実行され
たことを表し、リセット状態“0”でイニシャライズ処
理の実行が完了していないことを表す。また、前記イニ
シャライズ完了フラグENDは,“1”のセット状態で
正確なポジション“0”出しと考えられるイニシャライ
ズ処理が完了していることを表し、そのリセット状態は
“0”とする。また、前記イニシャライズ仮完了フラグ
NENDは,“1”のセット状態で、正確なポジション
“0”出しがなされていない,即ち脱調している可能性
があるイニシャライズが完了したことを表し、そのリセ
ット状態は“0”とする。そして、これらの各フラグ及
びタイマカウンタはイグニッションスイッチがONされ
ると,自動的にリセット若しくはクリアされるものとす
る。また、これらの各フラグ及びタイマカウンタのう
ち,少なくとも前記イニシャライズフラグINT及びイ
ニシャライズ実行フラグSETは、前記記憶装置56d
を介して,前記図15の演算処理と相互通信されるもの
とする。
【0071】即ち、図17の処理は所定時間ΔT(例え
ば3.3msec)毎にタイマ割込処理として実行され、先
ずステップS1で前記各上下加速度センサ51FL〜51
RRで検出された各バネ上下加速度検出値X2i″(i=FL
〜RR)及び車速センサ52で検出された車速検出値Vを
読込む。次にステップS2に移行して、前記ステップS
1で読込まれた車速検出値Vが前記所定車速値V0 以上
であるか否かを判定し、当該車速検出値Vが前記所定車
速値V0 以上である場合にはステップS3に移行し、そ
うでない場合にはステップS19に移行する。
【0072】前記ステップS3では、前記イニシャライ
ズ完了フラグENDが“1”のセット状態であるか否か
を判定し、当該イニシャライズ完了フラグENDが
“1”のセット状態である場合にはステップS5に移行
し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
前記ステップS5では、前記イニシャライズフラグIN
Tが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該イ
ニシャライズフラグINTが“1”のセット状態である
場合にはステップS6に移行し、そうでない場合にはス
テップS7に移行する。
【0073】前記ステップS7では、前記ステップS1
で読込まれたバネ上上下加速度検出値の絶対値|X2i
|が予め設定された前記所定上下加速度値X2i0" より
小さいか否かを判定し、当該バネ上上下加速度検出値の
絶対値|X2i″|が所定上下加速度値X2i0" より小さ
い場合にはステップS8に移行し、そうでない場合には
ステップS4に移行する。
【0074】前記ステップS8では、前記タイマカウン
タCNTを“1”だけインクリメントすると共にそれを
前記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してから
ステップS9に移行する。前記ステップS9では、前記
タイマカウンタCNTが前記所定カウント値CNT0
上であるか否かを判定し、当該タイマカウンタCNTが
所定カウント値CNT0 以上である場合にはステップS
10に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに
復帰する。
【0075】前記ステップS10では、前記イニシャラ
イズフラグINTを“1”にセットすると共にそれを前
記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してからス
テップS11に移行する。前記ステップS11では、前
記イニシャライズ実行フラグSETを“0”にリセット
すると共にそれを前記記憶装置56dの所定記憶領域に
更新記憶してからステップS12に移行する。
【0076】前記ステップS12では、前記タイマカウ
ンタCNTをクリアすると共にそれを前記記憶装置56
dの所定記憶領域に更新記憶してからメインプログラム
に復帰する。一方、前記ステップS6では、前記ステッ
プS1で読込まれたバネ上上下加速度検出値の絶対値|
2i″|が予め設定された前記所定上下加速度値X2i0"
以上であるか否かを判定し、当該バネ上上下加速度検
出値の絶対値|X2i″|が所定上下加速度値X2i0" 以
上である場合にはステップS13に移行し、そうでない
場合にはステップS14に移行する。
【0077】前記ステップS13では、前記イニシャラ
イズ仮完了フラグNENDを“1”にセットすると共に
それを前記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶し
てから前記ステップS14に移行する。前記ステップS
14では、前記イニシャライズ実行フラグSETが
“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該イニシ
ャライズ実行フラグSETが“1”のセット状態である
場合にはステップS15に移行し、そうでない場合には
メインプログラムに復帰する。
【0078】前記ステップS15では、前記イニシャラ
イズフラグINTを“0”にリセットすると共にそれを
前記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してから
ステップS16に移行する。前記ステップS16では、
前記イニシャライズ仮完了フラグNENDが“0”のリ
セット状態であるか否かを判定し、当該イニシャライズ
仮完了フラグNENDが“0”のリセット状態である場
合にはステップS17に移行し、そうでない場合にはス
テップS18に移行する。
【0079】前記ステップS17では、前記イニシャラ
イズ完了フラグENDを“1”にセットすると共にそれ
を前記記憶装置56dの所定記憶領域に更新記憶してか
ら前記ステップS18に移行する。前記ステップS18
では、前記イニシャライズ仮完了フラグNENDを
“0”にリセットすると共にそれを前記記憶装置56d
の所定記憶領域に更新記憶してからメインプログラムに
復帰する。
【0080】一方、前記ステップS19では、前記イニ
シャライズフラグINTが“0”のリセット状態である
か否かを判定し、当該イニシャライズフラグINTが
“0”のリセット状態である場合には前記ステップS4
に移行し、そうでない場合には前記ステップS6に移行
する。そして、前記ステップS4では、前記タイマカウ
ンタCNTをクリアすると共にそれを前記記憶装置56
dの所定記憶領域に更新記憶してからメインプログラム
に復帰する。
【0081】この図17の演算処理の作用について,前
記図15の演算処理との相関に鑑みながら説明する。ま
ず、前記車速センサ52で検出された車速検出値Vが前
記所定車速値V0 以上とならない限り、前記ステップS
2からステップS19に移行するが、このとき前記イグ
ニッションスイッチON時にリセットされたイニシャラ
イズフラグINTは“0”に維持されているから,ステ
ップS4に移行してタイマカウンタCNTがクリアされ
るだけでメインプログラムに復帰してしまうため、前記
イニシャライズフラグINTは“0”に維持される。従
って、前記図15の演算処理のステップS42によるイ
ニシャライズ処理は実行されない。
【0082】一方、車速検出値Vが前記所定車速値V0
以上となるとステップS2からステップS3に移行し、
未だイニシャライズ完了フラグENDは“0”に維持さ
れているからステップS4に移行し、次いでイニシャラ
イズフラグINTは未だ“0”に維持されているからス
テップS7に移行する。ここで、車両は比較的平坦な良
路を安定走行しているために路面入力や車体揺動入力が
小さく、そのため前記各上下加速度センサ51FL〜51
RRで検出されたバネ上上下加速度検出値X2i”が予め設
定された前記所定上下加速度値X2i0" より小さい,即
ちイニシャライズ中にも前記脱調を引き起こすような流
体力が発生しない場合には、ステップS8に移行してタ
イマカウンタCNTがインクリメントされるが、このタ
イマカウンタCNTが前記所定カウント値CNT0 より
小さい場合にはそのままメインプログラムに復帰するた
め、未だイニシャライズフラグINTは“0”に維持さ
れ、従って前記図15の演算処理のステップS42によ
るイニシャライズ処理は実行されない。
【0083】この状態,即ち比較的平坦な良路を安定走
行している状態が維持されて前記と同様のフローが繰り
返され、やがて前記ステップS8でインクリメントされ
たタイマカウンタCNTが前記所定カウント値CNT0
以上となると、イニシャライズを実行しても前記脱調を
引き起こすような流体力は発生しないとして、前記ステ
ップS9からステップS10に移行してイニシャライズ
フラグINTが“1”にセットされ、次いでステップS
11に移行してイニシャライズ実行フラグSETが
“0”にリセットされ、次いでステップS12に移行し
てタイマカウンタCNTがクリアされてメインプログラ
ムに復帰するため、次に前記図15の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間に前記ステップS42によるイニ
シャライズ処理が実行される。このように車速検出値V
が前記所定車速値V0 以上であるような或る程度以上の
車速での走行中にステップモータのイニシャライズを実
行しても、前記車室内に伝達されるロードノイズ等によ
って当該イニシャライズに伴って車室内に伝達されるノ
イズはマスキングされるため、乗員が異音を感じること
はない。また、車両が比較的平坦な良路を前記所定時間
T以上安定走行しているために、これに引き続いて実行
されるイニシャライズ中に,大きな路面入力や車体揺動
入力に伴う流体力で脱調が発生する可能性は小さい。
【0084】一方、前記状態,即ち比較的平坦な良路を
安定走行している状態が維持されて前記と同様のフロー
が繰り返されて前記ステップS8でタイマカウンタCN
Tがインクリメントされ続けたとしても、前記各上下加
速度センサ51FL〜51RRで検出されたバネ上上下加速
度検出値X2i”が予め設定された前記所定上下加速度値
2i0" 以上となると、大きな路面入力や車体揺動入力
によってイニシャライズ時に脱調を引き起こす流体力が
発生する虞れがあるとして、ステップS7からステップ
S4に移行してタイマカウンタCNTがクリアされ、そ
のままメインプログラムに復帰してしまうため、未だイ
ニシャライズフラグINTは“0”に維持され、従って
前記図15の演算処理のステップS42によるイニシャ
ライズ処理は実行されない。もし、前記所定上下加速度
値X2i0" 以上となるバネ上上下加速度検出値X2i
が,比較的平坦な良路を安定走行している途中の一過性
の路面凹凸等によるものであるとすると、次に図17の
演算処理が実行されるサンプリング時間から前記ステッ
プS8からステップS9,S10,S11,S12を経
るフローが繰り返され、再びタイマカウンタCNTの積
算処理が開始されることになろう。
【0085】また、前記状態,即ち比較的平坦な良路を
安定走行している状態が維持されて前記と同様のフロー
が繰り返されて前記ステップS8でタイマカウンタCN
Tがインクリメントされ続けたとしても、前記車速検出
値Vが前記所定車速値V0 より小さくなるとステップS
19に移行して,未だイニシャライズフラグINTは
“0”に維持されているためにステップS4に移行し、
ステップモータのイニシャライズを実行する最低要件を
満足していないとしてタイマカウンタCNTは強制的に
クリアされてメインプログラムに復帰してしまうため、
勿論イニシャライズフラグINTは“0”に維持され、
従って前記図15の演算処理のステップS42によるイ
ニシャライズ処理は実行されない。従って、再び車速検
出値Vが前記所定車速値V0 以上となるのを待って,再
び前記イニシャライズフラグINTのセットフローが繰
り返されることになろう。
【0086】さて、前記図15の演算処理のステップS
42で実行されるイニシャライズ処理が比較的時間を要
するものであって,前記図17の演算処理のステップS
10でイニシャライズフラグINTが“1”にセットさ
れた後、図17の演算処理が実行される次のサンプリン
グ時間になっても,前記図15の演算処理のステップS
43によるイニシャライズ実行フラグSETが未だ
“1”にセットされておらず、同時に車両は比較的平坦
な良路を安定走行している状態が維持されているとする
と、このサンプリング時間の図17の演算処理で,ステ
ップS2からステップS3を経てステップS5に移行す
るが、このとき前記イニシャライズフラグINTは
“1”のセット状態であるためにステップS6に移行
し、前記各上下加速度センサ51FL〜51RRで検出され
たバネ上上下加速度検出値X2i”が予め設定された前記
所定上下加速度値X2i0" より小さい,即ちイニシャラ
イズによって前記脱調を引き起こすような流体力が発生
しない場合にはステップS14に移行するが、未だイニ
シャライズ実行フラグSETが“0”のリセット状態で
あるために,そのままメインプログラムに復帰する。
【0087】更に、前記比較的良平坦な良路を安定走行
する状態が維持されて前記図17の演算処理のフローが
繰り返され、やがて前記図15の演算処理のステップS
42によるイニシャライズ処理が終了して同ステップS
43でイニシャライズ実行フラグSETが“1”にセッ
トされると、その後に,この図17の演算処理が実行さ
れる最初のサンプリング時間で前記ステップS6からス
テップS14に移行してイニシャライズ実行フラグSE
Tが“1”のセット状態であるためにステップS15に
移行し、イニシャライズフラグINTを“0”にリセッ
トしてからステップS16に移行し、未だイニシャライ
ズ仮完了フラグNENDが“0”のリセット状態である
ためにステップS17に移行し、イニシャライズ完了フ
ラグENDを“1”にセットすると共にステップS18
でイニシャライズ仮完了フラグNENDを“0”のリセ
ット状態に維持してメインプログラムに復帰する。
【0088】そして、このようにイニシャライズ完了フ
ラグENDが“1”のセット状態となると、前記車速検
出値Vが前記所定車速値V0 以上の状態で前記サンプリ
ング時間毎にこの図17の演算処理が実行されても、前
記ステップS3からメインプログラムに復帰するフロー
が繰り返されるだけで前記イニシャライズフラグINT
は“0”に維持されるため、前記図15の演算処理のス
テップS42で再びイニシャライズ処理が実行されるこ
とはない。また、前記車速検出値Vが前記所定車速値V
0 より小さくなって,図17の演算処理が実行されるサ
ンプリング時間毎にステップS2からステップS4に移
行しても、単にタイマカウンタCNTがクリアされるだ
けで前記イニシャライズフラグINTは“0”に維持さ
れるため、前記図15の演算処理のステップS42で再
びイニシャライズ処理が実行されることはない。即ち、
一度,正確なポジション“0”出しを可能とするイニシ
ャライズ処理が実行されると、前記イニシャライズ完了
フラグENDによって再びイニシャライズ処理が実行さ
れないことが条件化される。
【0089】一方、未だ前記図15の演算処理のステッ
プS42によるイニシャライズ処理中であって未だイニ
シャライズ実行フラグSETが“0”のリセット状態で
あるためにイニシャライズ完了フラグENDも“0”の
リセット状態であり,前記図17の演算処理がサンプリ
ング時間毎に実行されているとき、前記各上下加速度セ
ンサ51FL〜51RRで検出されたバネ上上下加速度検出
値X2i”が予め設定された前記所定上下加速度値X2i0"
以上である,即ちイニシャライズ中に前記脱調を引き起
こすような流体力が発生した場合には、当該図17の演
算処理のステップS5からステップS6を経てステップ
S13に移行することになるから、ここでイニシャライ
ズ仮完了フラグNENDが強制的に“1”にセットされ
る。この状態で、やがて前記図15の演算処理のステッ
プS42によるイニシャライズ処理が終了して前記イニ
シャライズ実行フラグSETが“1”にセットされる
と、その後の図17の演算処理が実行される最初のサン
プリング時間で,前記ステップS3からステップS5,
S6を経てステップS14からステップS15に移行
し、前記イニシャライズフラグINTが“0”にリセッ
トされ、次いでステップS16に移行するが,前述のよ
うにイニシャライズ仮完了フラグNENDが“1”のセ
ット状態であるためにステップS18に移行し、このイ
ニシャライズ仮完了フラグNENDを“0”にリセット
してメインプログラムに復帰する。
【0090】従って、前記図15の演算処理によるイニ
シャライズ処理は最後まで実行されるものの,前記イニ
シャライズ完了フラグENDは“1”にセットされない
ため、前述したイニシャライズ完了フラグENDの定義
から再びイニシャライズ処理を実行することが条件化さ
れることになる。つまり、前述したように駆動力が断続
される本実施例のイニシャライズ処理の場合には,前述
のような大きな流体力が発生すると、イニシャライズ中
に脱調してしまう虞れがあるため、このような場合には
再びイニシャライズを実行することを条件として設定す
るわけであるが、そのときのイニシャライズを実行しな
いとか中断してしまうよりも,当該イニシャライズを最
後まで実行してしまうほうが前記ポジション“0”出し
されている可能性は高いから、その分だけ制御性能を向
上できる可能性がある。これは、前記図16に示すイニ
シャライズ処理による効果が大きい。即ち、このイニシ
ャライズ処理では、ステップモータを段階的に且つ次第
にその回転角が小さくなるように反時計回りに回転させ
てストッパ機構によってステップモータが回転しなくな
るようにすると共に,減衰力制御範囲のどこにあっても
必ず圧側最大ポジション(−PMAX )に到達するように
してあるために、例えば一過性の大きな路面入力や車体
揺動入力によってイニシャライズ中のポジションがずれ
てしまっても、前記ストッパ機構によって,いつかは圧
側最大ポジション(−PMAX )に到達するため、ここか
ら所定回転角aだけステップモータを時計回りに回転さ
せることでポジション“0”出しが可能となる。
【0091】前記と同様の理由で,例えばイニシャライ
ズ中に車速検出値Vが前記所定車速値V0 より小さくな
ってしまった場合には,前記図17の演算処理のステッ
プS2からステップS19に移行するわけであるが、こ
のときイニシャライズフラグINTは未だ“1”のセッ
ト状態であるためにステップS6に移行し、以後,必要
に応じて前記ステップS13を含む,ステップS14〜
ステップS18のフローを実行して、現在のイニシャラ
イズ処理を最後まで実行させると共に,その時のイニシ
ャライズ処理で脱調する虞れがあったか否かの判定も行
う。即ち、このように車速検出値Vが前記所定車速値V
0 よりも小さくなることは,前記イニシャライズに伴う
ノイズが車室内に伝達されて,乗員に異音としてとられ
る可能性はあるのだが、そのときのイニシャライズを実
行しないとか中断してしまうよりも,当該イニシャライ
ズを最後まで実行してしまうほうが前記ポジション
“0”出しされている可能性は高く、その分だけ早く制
御性能を確保することができる。また、前記イニシャラ
イズのノイズが乗員に異音としてとられる可能性は、逆
に前記所定車速値V0 の値を大きくして車室内に伝達さ
れるロードノイズ等のノイズレベルを大きくすること
で、急制動などによって著しく車速が低下する場合を除
いて,或る程度回避することができる。但し、このよう
にイニシャライズを許可する最低車速値を大きくする
と,その分だけ路面入力や車体揺動入力である上下加速
度の大きさも大きくなって、脱調する可能性が大きくな
ることに留意したい。
【0092】以上より本実施例は本発明のうち請求項1
及び2及び3に係るサスペンション制御装置を実施化し
たものであると考えられ、前記各上下加速度センサ51
FL〜51RR及び図13の演算処理のステップS21〜S
23が本発明のサスペンション制御装置のバネ上上下速
度検出手段に相当し、以下同様に前記コントローラ4及
び図13の演算処理全体が制御手段に相当し、前記車速
センサ52及び図17の演算処理のステップS1が車速
検出手段に相当し、前記各上下加速度センサ51FL〜5
1RR及び図17の演算処理のステップS1がバネ上上下
加速度検出手段に相当し、前記コントローラ4及び図1
5の演算処理全体及び図17の演算処理全体が制御原点
校正手段に相当し、前記図17の演算処理のステップS
4,S7〜S10が許可手段に相当し、前記図17の演
算処理のステップS5,S6,S13〜S18が条件設
定手段に相当する。
【0093】それでは次に、前記15の演算処理による
図16のようなイニシャライズ処理及び図17の演算処
理の作用を,図18のタイミングチャートに基づいて説
明する。このタイミングチャートは、図18aに示す時
刻t0 以前にイグニッションスイッチをONし、時刻t
0 で車両を発進させて,その後,一様な加速度で車両が
加速し、時刻t1 で前記車速検出値Vが前記所定車速値
0 を上回り、更に加速した後,時刻t3.5 以後で或る
車速値V1 に車速検出値Vが保持され、同時にこの走行
に伴って車両は時刻t0 から,前記時刻t3.5 より遅い
時刻t5 まで比較的凹凸の大きい平坦な悪路を直進走行
し、この時刻t5 以後は,比較的平坦な良路を直進走行
したシミュレーションである。なお、前記時刻t5
後,比較的平坦な良路に移行したものの,それよりも遅
い時刻t7 では一過性の凹凸を乗り越えることになっ
た。そして、図18aには車速検出値Vの経時変化を,
同図bにはバネ上上下加速度検出値X2i”の経時変化
を,同図cにはタイマカウンタCNTの経時変化を,同
図dにはイニシャライズフラグINTの経時変化を,同
図eにはイニシャライズ完了フラグSETの経時変化
を,同図fにはイニシャライズ仮完了フラグNENDの
経時変化を,同図gにはイニシャライズ完了フラグEN
Dの経時変化を示す。
【0094】なお、前記図15のステップS42による
イニシャライズ処理に要する時間はT2 で一定であると
する。また、前記図17のステップS6又はステップS
7で実行されるバネ上上下加速度検出値の絶対値|
2i”|と所定上下加速度値X2i 0"との比較は、ここで
はバネ上上下加速度検出値X2i”と正負の所定上下加速
度値(±X2i0")との比較に置換して考える。また、前
記図17の演算処理でインクリメントされるタイマカウ
ンタCNTは“1”ずつ増加するために,実際には段階
的に増加することになるが、ここでは簡略化して傾き一
様に増加するものとする。
【0095】まず、前記時刻t0 から時刻t3.5 までの
時間t0 〜t3.5 では,図18bに示すようにほぼ車速
検出値Vの増加に伴ってバネ上上下加速度検出値X2i
の振幅が増大する傾向を示し、実際にバネ上上下加速度
検出値X2i”は前記時刻t1よりも遅い時刻t2 で負の
所定上下加速度値(−X2i0")を下回ったが,その後時
刻t3 で再びバネ上上下加速度検出値X2i”が負の所定
上下加速度値(−X2i 0")を上回った。この時間に、前
記時刻t1 で車速検出値Vが前記所定車速値V 0 を上回
ったために、その後,前記図17の演算処理が最初に実
行されるサンプリング時間以後,当該サンプリング時間
毎にタイマカウンタCNTが“1”ずつインクリメント
されるが、前記時刻t1 から時刻t2 までの時間t1
2 が前記所定時間Tよりも短かったために,前記図1
7の演算処理では当該時刻t2 でステップS7からステ
ップS4に移行することになり、イニシャライズフラグ
INTは“0”に維持された状態で,タイマカウンタC
NTのみがクリアされてしまった。
【0096】しかし、前記時刻t3 以後,再びバネ上上
下加速度検出値X2i”が負の所定上下加速度値(−X
2i0")を上回ったために、その後,前記図17の演算処
理が最初に実行されるサンプリング時間以後,当該サン
プリング時間毎にタイマカウンタCNTが“1”ずつイ
ンクリメントされることとなった。一方、前記時刻t5
の直前の時刻t4 で,走行中の悪路から良路への継目の
段差を乗り越えることになったため、前記時刻t3 から
当該時刻t4 までの時間t3 〜t4 では,前記バネ上上
下加速度検出値X2i”は正負の所定上下加速度値(±X
2i0")の範囲内で振幅していたが、前記時刻t4 でバネ
上上下加速度検出値X2i”が正の所定上下加速度値X
2i0"を上回り、その後,前記良路に移行する時刻t5
再びバネ上上下加速度検出値X2i”が正の所定上下加速
度値X2i0"を下回り、然る後,この良路安定走行に伴っ
て,少なくとも前記時刻t7 までの時間t6 〜t7 は,
振幅するバネ上上下加速度検出値X2i”は正負の所定上
下加速度値(±X2i0")の範囲内に納っていた。
【0097】一方、前記時刻t3 以後,インクリメント
されていたタイマカウンタCNTは、前記時刻t3 から
時刻t4 までの時間t3 〜t4 が前記所定時間Tよりも
短かったために,前記図17の演算処理では当該時刻t
2 でステップS7からステップS4に移行することにな
り、イニシャライズフラグINTは“0”に維持された
状態で,タイマカウンタCNTのみがクリアされてしま
った。しかし、前記時刻t5 以後,車両は良路安定走行
に移行してバネ上上下加速度検出値X2i”は正負の所定
上下加速度値(±X2i0")の範囲内に安定したために、
前記時刻t5 から再びインクリメントされ続けたタイマ
カウンタCNTは,当該時刻t5 から前記所定時間T後
の時刻t6 で前記所定カウント値CNT0 となり、前記
図17の演算処理ではステップS9からステップS10
に移行してイニシャライズフラグINTが“1”にセッ
トされ、同じくステップS11でイニシャライズ実行フ
ラグSETが“0”にリセットされ、ステップS12で
当該タイマカウンタCNTがクリアされた。
【0098】この“1”にセットされたイニシャライズ
フラグINTを読込んだ前記図15の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間以後,前記ステップS42による
イニシャライズ処理が実行されることになったが、前記
時刻t6 から,このイニシャライズ処理の所要時間T2
後の時刻t11よりも前記時刻t7 の方が早いために、当
該時刻t7 でバネ上上下加速度検出値X2i”が前記正の
所定上下加速度値X2i 0"を上回ると,その後の前記図1
7の演算処理が実行される最初のサンプリング時間に、
当該演算処理のステップS6からステップS13に移行
してイニシャライズ仮完了フラグNENDが“1”にセ
ットされるが、前記図15のステップS42によるイニ
シャライズ処理は中止されずに前記時刻t11で最後まで
実行され、この時刻t11でステップS43に移行して前
記イニシャライズ実行フラグSETが“1”にセットさ
れた。
【0099】一方、前記時刻t7 以後,時刻t8 でバネ
上上下加速度検出値X2i”は前記正の所定上下加速度値
2i0"を下回り、次いで減少するバネ上上下加速度検出
値X 2i”は,時刻t9 で前記負の所定上下加速度値(−
2i0")を下回り、更に増加に転じて時刻t10で当該負
の所定上下加速度値(−X2i0")を上回ることとなった
が、この時刻t10までに前記イニシャライズ実行フラグ
SETは“0”にリセットされた状態に維持されている
ために、前記図17の演算処理では、前記時刻t7
“1”にセットされたイニシャライズ仮完了フラグNE
NDは同じくセット状態に維持され、ステップS14か
らメインプログラムに復帰するフローが繰り返される。
なお、前記時刻t10以後は,バネ上上下加速度検出値X
2i”の振幅は正負の所定上下加速度値(±X2i0")間に
納まった。
【0100】次いで前記時刻T11で前記イニシャライズ
実行フラグSETが“1”にセットされると、その後,
図17の演算処理が実行される最初のサンプリング時間
でステップS14からステップS15に移行してイニシ
ャライズフラグINTが“0”にリセットされ、次いで
ステップS16からステップS18に移行して,イニシ
ャライズ完了フラグENDは“0”に維持されたまま,
イニシャライズ仮完了フラグNENDが“0”にリセッ
トされる。従って、それからサンプリング時間後に図1
7の演算処理が実行されると、前記ステップS5からス
テップS7に移行し、バネ上上下加速度検出値X2i”が
正負の所定上下加速度値(±X2i0")間であるためにス
テップS8に移行してタイマカウンタCNTをインクリ
メンとし、しかしながらこのタイマカウンタCNTは未
だ所定カウント値CNT0 より小さいためにメインプロ
グラムに復帰し、その後,図17の演算処理が実行され
るサンプリング時間毎にこのフローが繰り返される。
【0101】やがて、前記時刻t11から前記所定時間T
後の時刻t12で前記所定カウント値CNT0 となり、前
記図17の演算処理ではステップS9からステップS1
0に移行してイニシャライズフラグINTが“1”にセ
ットされ、同じくステップS11でイニシャライズ実行
フラグSETが“0”にリセットされ、ステップS12
で当該タイマカウンタCNTがクリアされた。
【0102】この“1”にセットされたイニシャライズ
フラグINTを読込んだ前記図15の演算処理が実行さ
れるサンプリング時間以後,前記ステップS42による
イニシャライズ処理が再び実行されることになったが、
前記時刻t12から,このイニシャライズ処理の所要時間
2 後の時刻t13までの間,前記バネ上上下加速度検出
値X2i”が正負の所定上下加速度値(±X2i0")間から
外れることはなかったために、図17の演算処理が実行
されるサンプリング時間毎に,前記ステップS13を経
ることなく,ステップS6からステップS14を経てメ
インプログラムに復帰するフローが繰り返され、結果的
に時刻t13までに前記イニシャライズ仮完了フラグNE
NDは“0”に保持された。そして、この時刻t13でイ
ニシャライズ処理を最後まで完了した前記図15の演算
処理では,前記ステップS43でイニシャライズ実行フ
ラグSETを“1”にセットする。この時点で完了され
たイニシャライズ処理では,その処理中に脱調を引き起
こすような路面入力や車体揺動入力が発生しなかったた
めに、当該イニシャライズ処理が完了した時点で,前記
ポジション“0”出しが達成されたと考えられる。
【0103】従って、この“1”にセットされたイニシ
ャライズ実行フラグSETを読込んだ前記図17の演算
処理が実行される最初のサンプリング時間で,前記ステ
ップS14からステップS15に移行してイニシャライ
ズフラグINTが“0”にリセットされ、次いでステッ
プS16からステップS17に移行してイニシャライズ
完了フラグENDが“1”にセットされ、次いでステッ
プS18に移行してイニシャライズ仮完了フラグNEN
Dは“0”のリセット状態に維持される。従って、この
時刻t13以後,前記図15の演算処理によるイニシャラ
イズ処理が実行されることはなく、またこれ以後,前記
減衰力可変ショックアブソーバによる制御性能が確実に
確保されたと考えられる。
【0104】このように本実施例のサスペンション制御
装置によれば、イニシャライズに伴うノイズをロードノ
イズ等のマスキングによって乗員に異音としてとられる
のを抑制防止すると共に、走行中にイニシャライズを実
行することによって発生する脱調の可能性を低減して制
御性能の確保を早め、更にイニシャライズ中に脱調が発
生した可能性がある場合には再びイニシャライズを実行
することで確実に制御性能が確保される。
【0105】なお、上記実施例においては、減衰力を制
御する弁体31をロータリ形に構成した場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、スプール形
に構成して、圧側と伸側とで異なる流路を形成するよう
にしてもよく、この場合にはステップモータ41FL〜4
1RRの回転軸41aにピニオンを連結し、このピニオン
に噛合するラックを連結杆42に取り付けるか又は電磁
ソレノイドを適用して弁体31の摺動位置を制御すれば
よい。
【0106】また、上記実施例においては、車体の上下
加速度を検出して、これに基づいて減衰力を制御するよ
うにしたスカイフック近似制御を行う場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、車体と車輪と
の間の相対変位を検出するストロークセンサを別設し、
このストロークセンサの相対変位検出値XDiを微分した
相対速度XDi′と前述した車体上下速度X2i′とに基づ
BR>いて下記7式の演算を行って減衰係数Cを算出し、
この減衰係数Cに基づいて例えば図8に対応するマップ
を参照して目標ポジションを算出して、スカイフック制
御を行うようにしてもよい。
【0107】 C=CS ・X2i′/XDi′ ……… (7) ただし、CS は予め設定されたダンパ減衰係数である。
また、上記実施例においては、路面からの振動入力によ
る車体の姿勢変化を抑制する場合について説明したが、
これに限らず車両の制動状態等の走行状態を検出して、
これによる車体の姿勢変化を抑制する制御を併せて行う
ようにしてもよい。
【0108】また、上記実施例においては、マイクロコ
ンピュータ56を適用して制御する場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、演算回路等の電
子回路を組み合わせて構成することもできる。また、上
記実施例においては、車体2の各車輪1FL〜1RR位置に
上下加速度センサ51FL〜51RRを設けた場合について
説明したが、何れか1つの上下加速度センサを省略し
て、省略した位置の上下加速度を他の上下加速度センサ
の値から推定するようにしてもよい。
【0109】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るサス
ペンション制御装置によれば、車速が或る程度増速され
て、当該車速で車室内に伝達されるロードノイズレベル
が、前記ステップモータの制御原点校正中に発生して車
室内に伝達されるノイズレベルより大きくなるときの車
速値を所定車速値とし、車速検出値が、この所定車速値
以上となったときに、当該ステップモータの制御原点校
正を行う構成としたために、当該制御原点校正のノイズ
が異音としてとられるのを抑制防止することができる。
また、路面入力や車体揺動入力である上下加速度検出値
が、脱調を引き起こさない所定上下加速度値以下である
状態が所定時間以上継続したときに前記ステップモータ
の制御原点校正を行う許可を与える構成としたために、
この時点で実行されるステップモータの制御原点校正中
の脱調の発生が低減される。また、前記ステップモータ
の制御原点校正中に、路面入力や車体揺動入力である上
下加速度検出値が、脱調を引き起こす所定上下加速度値
以上であるときに再度ステップモータの制御原点校正を
行うことを条件に設定する構成としたために、当該ステ
ップモータの制御原点校正で発生する虞れのある脱調
を、次回のステップモータの制御原点校正で構成する可
能性ができ、これを繰り返すことによって脱調のない原
点校正を確実に実行することができる。また、前記ステ
ップモータの制御原点校正中に、前記上下加速度検出値
が所定上下加速度値以上となっても、当該制御原点校正
を最後まで実行することも条件として設定する構成とし
たために、当該ステップモータの制御原点校正では脱調
が発生している虞れはあるが、しかしまるでイニシャラ
イズを実行しないとか或いはイニシャライズを途中で中
止するよちも原点校正されている可能性は高く、その分
だけ、前記次回のステップモータの制御原点校正までの
間の制御性能が向上する可能性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサスペンション制御装置の基本構成を
示す概略構成図である。
【図2】本発明のサスペンション制御装置の一例を示す
概略構成図である。
【図3】図2のサスペンション制御装置に採用された減
衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一部を断面と
した正面図である。
【図4】車体上昇時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図である。
【図5】車体上昇時の中間減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図6】車体無変動時の減衰力調整機構を示す拡大断面
図であり、(a)は伸側、(b)は圧側の作動油経路を
夫々示している。
【図7】車体下降時の最大減衰力状態での減衰力調整機
構を示す拡大断面図であり、(a)は伸側、(b)は圧
側の作動油経路を夫々示している。
【図8】減衰力可変ショックアブソーバの弁本体のポジ
ションに対する減衰力特性を示す説明図である。
【図9】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図10】減衰力可変ショックアブソーバで達成される
振動入出力のゲイン特性を示す説明図である。
【図11】減衰力可変ショクアブソーバの弁本体のポジ
ションをバネ上上下速度で設定する制御マップの説明図
である。
【図12】基本的なバネ上上下速度−減衰力特性による
減衰効果の説明図である。
【図13】本発明のサスペンション制御装置の一実施例
としてコントローラで実行される基本的な減衰力制御の
演算処理を示すフローチャートである。
【図14】図3に示す減衰力可変ショックアブソーバに
設けられたストッパ機構の説明図である。
【図15】本発明のサスペンション制御装置の一実施例
としてコントローラで実行されるイニシャライズ(制御
原点校正)の演算処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の演算処理によるイニシャライズ(制
御原点校正)の作用の説明図である。
【図17】本発明のサスペンション制御装置の一実施例
としてコントローラで実行されるイニシャライズ(制御
原点校正)許可及び条件設定制御の演算処理を示すフロ
ーチャートである。
【図18】図15及び図17の演算処理による作用を説
明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2 車体 3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ 4 コントローラ 8 ピストン 11 下部半体 12 上部半体 13 伸側油流路 14 圧側油流路 31 弁体 35 ピストンロッド 44 突当て体 45 ストッパプレート 46 ストッパ機構 T1〜T3 伸側流路 C1〜C4 圧側流路 41FL〜41RR ステップモータ 51FL〜51RR 上下加速度センサ 52 車速センサ 56 マイクロコンピュータ 59FL〜59RR モータ駆動回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側部材及び車輪側部材間に介装され
    て、入力される制御信号に応じて駆動されるステップモ
    ータによって弁体を回転制御することにより減衰力を
    化させることが可能な減衰力可変ショックアブソーバ
    と、車体のバネ上上下速度に関係した車体挙動を検出す
    るバネ上上下速度検出手段と、少なくとも前記バネ上上
    下速度検出手段で検出されたバネ上上下速度検出値に基
    づいて車体の姿勢変化を抑制する前記制御信号を前記ス
    テップモータに出力してオープンループ制御する制御手
    段とを備えたサスペンション制御装置において、車両の
    前後方向速度を検出する車速検出手段と、前記ステップ
    モータの制御原点校正中のノイズレベルより車室内に伝
    達されるロードノイズレベルが大きくなる所定車速値に
    対し、前記車速検出手段で検出された車速検出値が当該
    所定車速値以上であるときに前記ステップモータの制御
    原点校正を行う制御原点校正手段とを備えたことを特徴
    とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 車体の前記減衰力可変ショックアブソー
    バ近傍位置での上下加速度を検出する上下加速度検出手
    段を備え、前記制御原点校正手段は、前記上下加速度検
    出手段で検出された上下加速度検出値が所定上下加速度
    値以下である状態が所定時間以上継続したときに前記ス
    テップモータの制御原点校正を行う許可を与える許可手
    段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のサスペン
    ション制御装置。
  3. 【請求項3】 車体の前記減衰力可変ショックアブソー
    バ近傍位置での上下加速度を検出する上下加速度検出手
    段を備え、前記制御原点校正手段は、前記ステップモー
    タの制御原点校正中に前記上下加速度検出手段で検出さ
    れた上下加速度検出値が所定上下加速度値を越えたとき
    に当該ステップモータの制御原点校正を継続させると共
    に当該ステップモータの制御原点校正終了後にステップ
    モータの制御原点校正を再度行うことを条件として設定
    する条件設定手段を備えたことを特徴とする請求項1又
    は2に記載のサスペンション制御装置。
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