JP4821766B2 - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式のショックアブソーバを含んで構成されるサスペンションシステムに関する。
近年では、車両用のサスペンションシステムとして、電磁モータの力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する方向の力を発生させる電磁式のショックアブソーバを含んで構成される電磁式サスペンションシステムが検討されており、例えば、下記特許文献に記載のシステムが存在する。この電磁式サスペンションシステムは、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく振動減衰特性を容易に実現できる等の利点から、高性能なシステムとして期待されている。
特開2007−168611号公報 特開2005−88834号公報
電磁式ショックアブソーバは、走行中において常時作動させられるため、サスペンションシステムへの負担、例えば、サスペンションシステムの大きな電力消費や動力源としての電磁モータの発熱等は、電磁式サスペンションシステムの抱える重大な問題となっている。上記特許文献1に記載されているシステムでは、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制する制御において、旋回状態が長く続いて、例えば、ショックアブソーバの指令値の累積量が設定値に達した場合に、ショックアブソーバの指令値を漸減させていくことで、上記の問題に対処している。このように、何らかの対処手段によって、電磁式ショックアブソーバによる消費電力を低減することおよび電磁モータの発熱に対して対処することにより、電磁式サスペンションシステムの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、電磁式ショックアブソーバを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のサスペンションシステムは、電磁式ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、少なくともばね上部の振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる振動減衰制御において、通常状態に、第2設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除くように構成され、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、第2設定周波数より高い値に設定された第1設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除くように構成される。
路面勾配が変化する場所、例えば、坂路から平坦路となる場所,平坦路から坂路となる場所等を車両が走行する場合、その路面勾配の変化によって、車体にピッチを生じさせるような力が加わり、その力によって車体が振動することになる。その場合の車両の振動は、比較的振幅が大きく、比較的周波数の低い振動となる。本発明のサスペンションシステムによれば、その路面勾配が変化する場所を走行する場合に生じる車両の上記振動に対して、アブソーバ力を発生させないようにすることが可能である。したがって、本発明のサスペンションシステムは、システムへの負担が軽減されるため、実用性の高いシステムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、下記(1)項は、請求可能発明ではなく、請求可能発明の前提となる構成を示した項であり、(1)項を引用する(2)項以下の各項が請求可能発明に相当する。種々の態様とされた請求可能発明のうち、(1)項ないし(4)項を合わせたものが請求項1に相当し、請求項1に(6)項の技術的特徴による限定を加えたものが請求項2に、請求項1または請求項2に(11)項の技術的特徴による限定を加えたものが請求項3に、それぞれ相当する。
(1)ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングと、
そのサスペンションスプリングと並設され、電磁モータを有してその電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力であるアブソーバ力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
そのショックアブソーバを制御する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステム。
先に説明したように、本項は、請求可能発明の前提となる構成を示した項である。つまり、本項に記載の態様は、請求可能発明の車両用サスペンションシステムの基本的構成要素を列挙した態様であり、従来検討されている一般的な電磁式サスペンションシステムを広く採用することができる。
本項に記載の「アブソーバ力」は、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力であるが、この力は、その接近離間動作に対する抵抗力のみならず接近離間動作に対する推進力をも意味し、電磁式の「ショックアブソーバ」には、そのような力を発生可能なものを採用可能である。そのショックアブソーバは、それの具体的な構造が限定されるものではなく、既に検討されている各種の電磁式ショックアブソーバを広く採用することが可能である。また、機能に関しても特に限定されず、例えば、車両に発生している振動を減衰させる機能,車体の姿勢を制御する機能等を有するものを採用可能である。そのショックアブソーバが有する「電磁モータ」も、その型式等は特に限定されず、ブラシレスDCモータを始めとして種々の型式のモータを採用可能であり、また、動作に関して言えば、回転モータであっても、リニアモータであってもよい。
本項の態様における「サスペンションスプリング」は、コイルスプリング,リーフスプリング等の各種のばねを採用することが可能であり、エアスプリング等の流体スプリングを採用することも可能である。なお、本項にいう「ばね上部」は、簡単に言えば、サスペンションシステムによって懸架される車体の一部であり、具体的には例えば、ショックアブソーバ,サスペンションスプリング等が取り付けられるマウント部等を含んで構成される。また、「ばね下部」は、簡単に言えば、車体に対して車輪とともに相対動作する車両の構成要素を広く意味し、具体的には例えば、サスペンションアーム,アクスルキャリア等を含んで構成される。
(2)前記制御装置が、
前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、少なくともばね上部の振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる振動減衰制御部を有し、
その振動減衰制御部が、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除く制御である勾配変化時減衰制御を実行可能とされた(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の「路面勾配が変化する場所」とは、路面の勾配が緩くなる場所、あるいは、急になる場所をいう。より具体的に言えば、路面の勾配が緩くなる場所とは、例えば、急な坂路から緩やかな坂路や平坦路になる場所をいい、路面の勾配が急になる場所とは、緩やかな坂路や平坦路から急な坂路になる場所をいう。また、路面勾配が変化する地点のみをいうのではなく、少なくともその地点から後のある設定された区間を含む区間を意味し、路面勾配が変化する場所を事前に認識できる場合には、路面勾配が変化する地点より前の区間を含んでもよい。例えば、平坦路から上り坂になる場所を走行する場合を考えれば、路面勾配が変化する地点に車両が差し掛かると、まず、前輪が上方に動作させられ、それに伴って車体の前輪側が上方に動作させられる。つまり、路面勾配の変化によって、車体にピッチを生じさせるような力が入力されることになり、その入力により車体は振動することになる。その際のばね上部の振動は、時間的に比較的長い振動、つまり、比較的周波数の低い振動であり、振幅も比較的大きいものとなる。また、その路面勾配の変化によって生じる車体の振動は、乗り心地にあまり影響を与えるものではない。そこで、本項の態様のサスペンションシステムは、その路面勾配の変化によって車両に生じる振動を、振動減衰制御において減衰させる対象から除き、その振動に対する振動減衰力をショックアブソーバに発生させないようにされている。したがって、本項の態様のシステムによれば、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合の電磁モータが発生させる力を低減することができ、電磁モータの発熱を抑制可能であることから、本項の態様のシステムは、システムへの負担が軽減された実用性の高いものとなっている。なお、本項の態様は、勾配変化時減衰制御が、路面勾配が僅かにでも変化する場所において常に実行される態様に限定されるわけではなく、路面勾配の変化する角度、換言すれば、勾配角の差が、ある設定された角度を超えて変化する場合にのみ実行される態様であってもよい。
なお、勾配変化時減衰制御は、設定周波数より低い振動に対して完全に振動減衰力を発生させない制御に限定されるのではなく、後に詳しく説明するように、設定周波数より低い周波数の振動に対する振動減衰力を不可避的に発生させてしまうような制御であってもよい。ちなみに、本項に記載の「設定周波数」は、必要な場合にのみ勾配変化時減衰制御が実行されるように、例えば、路面勾配の変化する角度,車速等を考慮して、適切な値に設定することが可能である。
本項に記載の「振動減衰制御部」は、少なくともばね上振動を減衰させるための制御を実行するものであることから、例えば、ばね上絶対速度に基づく制御、つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御を実行可能なものとすることが可能である。また、振動減衰制御部は、ばね上部の振動とばね下部の振動とに対する減衰力を総合的に発生させる制御を実行可能なものであってもよい。具体的には、上記スカイフックダンパ理論に基づく制御とばね下絶対速度に基づいてばね下振動に対する減衰力を発生させる制御である擬似的なグランドフック理論に基づく制御との両者を複合した制御を実行可能なものであってもよい。さらに、ばね上ばね下相対速度に基づいてばね上ばね下相対振動に対する減衰力を発生させる制御、つまり、コンベンショナルな油圧式ショックアブソーバ(「油圧式ダンパ」と呼ぶこともできる)による減衰力と同様の減衰力を発生させる制御を実行可能なものであってもよい。なお、上記のスカイフックダンパ理論に基づく制御とグランドフック理論に基づく制御とを複合した制御が実行される場合には、勾配変化時減衰制御が、ばね上振動に対してだけでなく、ばね下振動に対しても実行される態様を採用することが可能である。また、ばね上ばね下相対振動に対する減衰力を発生させる制御が実行される場合には、勾配変化時減衰制御が、ばね上ばね下相対振動に対して実行される態様を採用可能である。
(3)当該車両用サスペンションシステムが、
少なくともばね上部の振動の激しさの程度を指標する振動指標を検出する振動指標センサと、その振動指標センサによって検出された振動指標から任意の周波数より低い周波数の成分を取り除くフィルタとを備え、
前記振動減衰制御部が、前記振動指標センサによって検出された振動指標に基づいて振動減衰力を発生させるように構成され、
前記勾配変化時減衰制御が、前記フィルタによって前記設定周波数より低い周波数の成分が取り除かれた振動指標に基づいた振動減衰力を発生させることで、前記設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除くように構成された(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、ローカットフィルタ(換言すれば、ハイパスフィルタ)を備えた態様である。本項に記載の「フィルタ」は、それの具体的な構成が特に限定されるものではない。例えば、センサ等により検出された振動指標が入力されてカットオフ周波数より低い周波数の成分を取り除いた振動指標を出力するための専用のコンピュータや回路を含んで構成されるものであってもよく、その他の制御にも用いられるような汎用性のあるコンピュータ内にセンサ等により検出された振動指標が入力されてカットオフ周波数より低い周波数の成分を取り除いた振動指標を出力するためのプログラムが記憶され、そのプログラムの処理を実行する部分を含んで構成されるものであってもよい。
本項に記載の「振動指標」は、例えば、ばね上部の上下方向の絶対速度であるばね上速度,ばね上部の上下方向の加速度等を広く意味する文言である。つまり、本項の態様は、振動指標センサで検出された結果が、直接フィルタ処理される態様に限定されず、振動指標センサの検出結果から得られるものをフィルタ処理する態様も含まれる。具体的には、振動指標センサとして、ばね上部に設けられた縦加速度センサを採用し、その縦加速度センサから検出されたばね上縦加速度を積分処理して得られるばね上速度をフィルタ処理する態様等を採用可能である。
なお、一般的に用いられるローカットフィルタを利用した場合、設定周波数より低い周波数の成分の増幅率を0にすることは困難である。そのため、フィルタ処理を実行した後であっても、その設定周波数より低い周波数の成分がある程度残ることになり、設定周波数より低い周波数の振動に対する振動減衰力を不可避的に発生させることになるが、そのような態様も本項の態様に含まれる。
(4)前記振動減衰制御部が、
前記勾配変化時減衰制御を実行しない場合に、前記設定周波数である第1設定周波数より低い周波数に設定されたもう1つの設定周波数である第2設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除き、前記勾配変化時減衰制御において、前記第1設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除くように構成された(2)項または(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、常時ローカットフィルタによる処理が実行される態様であり、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、カットオフ周波数を、通常状態における周波数より高い周波数に変更する態様と考えることもできる。
(5)当該車両用サスペンションシステムが、
少なくともばね上部の振動の激しさの程度を指標する振動指標を検出する振動指標センサと、その振動指標センサによって検出された振動指標から任意の周波数より低い周波数の成分を取り除くフィルタとを備え、
前記振動減衰制御部が、
前記振動指標センサによって検出された振動指標に基づいて振動減衰力を発生させるように構成され、かつ、
前記勾配変化時減衰制御を実行しない場合に、前記フィルタによって前記第2設定周波数より低い周波数の成分が取り除かれた振動指標に基づいた振動減衰力を発生させ、前記勾配変化時減衰制御において、前記フィルタによって前記第1設定周波数より低い周波数の成分が取り除かれた振動指標に基づいた振動減衰力を発生させるように構成された(4)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、フィルタを備えた態様において、設定周波数を変更する態様である。本項の態様には、例えば、フィルタが、先に述べたフィルタ処理を行うプログラムを実行する部分を含んで構成されるものである場合には、そのローカットフィルタのカットオフ周波数を変更する態様を採用可能である。また、フィルタが、カットオフ周波数が互いに異なる2つのフィルタを含んで構成され、使用するフィルタを切り換えるように構成された態様を採用可能である。
(6)前記振動減衰制御部が、車両が搭載するカーナビゲーションシステムが有する情報に基づいて路面勾配が変化する場所を認識し、その場所を車両が走行する場合に、前記勾配変化時減衰制御を実行するように構成された(2)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
カーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」という場合がある)の情報に基づけば、路面勾配が変化する場所を事前に認識することが容易であることから、本項に記載の態様は、勾配変化時減衰制御を実行するのに有効な態様である。本項の態様は、例えば、カーナビに、勾配が変化する地点やその変化角度等を記憶させておき、それに基づいて勾配変化時減衰制御が実行されるような態様であってもよく、また、各地点の高度から現在走行している路面の勾配と進行方向側にある路面の勾配とから勾配が変化する地点やその変化角度等を推定して、勾配変化時減衰制御が実行されるような態様であってもよい。さらに、カーナビが学習機能を有する場合には、路面勾配の変化によって比較的大きな振動が生じた場所を記憶しておき、その場所を走行する場合に勾配変化時減衰制御が実行されるような態様であってもよい。
(7)前記振動減衰制御部が、少なくともばね上部の振動の激しさの程度を指標する振動指標としてのばね上速度に基づいて振動減衰力を発生させるように構成された(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、振動減衰制御部が実行する制御ついて限定を加えた態様であり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御を実行可能とされた態様である。
(11)前記制御装置が、
前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、車体のロールとピッチとの少なくとも一方を抑制するための姿勢制御力として発生させる車体姿勢制御部を有し、
その車体姿勢制御部が、車両の旋回頻度が高い場合に、それが低い場合に比較して、姿勢制御力を低減するように構成された(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の「車両の旋回頻度」とは、設定走行距離あるいは設定時間あたりの旋回回数を意味する。つまり、旋回頻度が高くなるほど、車両の旋回に起因して車体がローリングする回数、および、旋回に伴う加減速に起因して車体がピッチングする回数等が増加し、姿勢制御力を発生させる頻度が高くなることとなる。そのような場合、電磁モータの発熱量が増加するとともに、姿勢制御力が専ら電源からの電力の供給を受けて発生させられるものであるため、システムの消費電力が増加することになる。また、システムの消費電力が増加することにより、ショックアブソーバが発生できるアブソーバ力が低下する虞がある。本項の態様によれば、車両の旋回頻度が高い区間を走行する場合における姿勢制御力を低減させることで、モータの発熱の抑制およびシステムの消費電力の低減、つまり、システムへの負担の軽減に加えて、旋回頻度が高い区間の走行中に、発生可能なアブソーバ力が低下してしまう事態を回避することが可能である。なお、本項の態様は、旋回頻度がある設定された閾旋回頻度を超えた場合に、姿勢制御力を低減させる態様とすることができる。また、旋回頻度が高くなるほど姿勢制御力を、連続的にあるいは段階的に低減させる態様とすることができる。
(12)前記車体姿勢制御部が、車両が搭載するカーナビゲーションシステムが有する情報に基づいて旋回頻度を推定し、その推定された旋回頻度に基づいて姿勢制御力を低減するように構成された(11)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、カーナビの情報に基づいて、旋回頻度が高くなる場所を推定するため、姿勢制御力を低減させる制御を実行するのに有効な態様である。本項の態様には、例えば、乗員によってカーナビの目的地が設定された場合において、その目的地までの間に走行距離あたりの旋回回数が規定回数以上となる場所がある場合に、その場所を走行する際の姿勢制御力を低減する態様を採用可能である。また、上記のように目的地が設定されていない場合には、次の交差点までにあるカーブの回数が規定回数以上である場合に、姿勢制御力を低減する態様を採用可能である。後者の態様によれば、山道等を走行する場合に、先に述べたアブソーバ力の低下を回避することが可能である。
(13)前記車体姿勢制御部が、
前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、少なくとも車体のロールを抑制するための姿勢制御力として発生させるように構成され、
車両の旋回に起因して車体に作用するロールモーメントを指標するロールモーメント指標とそのロールモーメント指標に対応する制御ゲインであるロール抑制ゲインとに基づいて姿勢制御力を決定するとともに、そのロールゲインを低減することで姿勢制御力を低減するように構成された(11)項または(12)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、車体のロールを抑制する制御を具体的に限定するとともに、姿勢制御力を低減する方法を具体化した態様である。本項の態様は、例えば、フィードフォワード制御によって車体のロールを抑制する態様で実施することができ、本項に記載の「ロールモーメント指標」としては、例えば、車体に発生する横加速度,ヨーレート等を採用することができる。
(14)前記車体姿勢制御部が、
前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、少なくとも車体のピッチを抑制するための姿勢制御力として発生させるように構成され、
車両の加減速に起因して車体に作用するピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標とそのピッチモーメント指標に対応する制御ゲインであるピッチ抑制ゲインとに基づいて姿勢制御力を決定するとともに、そのピッチゲインを低減することで姿勢制御力を低減するように構成された(11)項ないし(13)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、車体のピッチを抑制する制御を具体的に限定するとともに、姿勢制御力を低減する方法を具体化した態様である。本項の態様は、例えば、フィードフォワード制御によって車体のピッチを抑制する態様で実施することができ、本項に記載の「ピッチモーメント指標」としては、例えば、車体に発生する前後加速度等を採用することができる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<サスペンションシステムの構成>
図1に、請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
スプリング・アブソーバAssy20は、図2に示すように、車輪12を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアーム22と、車体に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部24との間に、それらを連結するようにして配設された電磁式のアクチュエータ26と、それと並列的に設けられたサスペンションスプリングとしてのエアスプリング28とを備えている。
アクチュエータ26は、アウタチューブ30と、そのアウタチューブ30に嵌入してアウタチューブ30の上端部から上方に突出するインナチューブ32とを含んで構成されている。アウタチューブ30は、それの下端部に設けられた取付部材34を介してロアアーム22に連結され、一方、インナチューブ32は、それの上端部に形成されたフランジ部36においてマウント部24に連結されている。アウタチューブ30には、その内壁面にアクチュエータ26の軸線の延びる方向(以下、「軸線方向」という場合がある)に延びるようにして1対のガイド溝38が設けられるとともに、それらのガイド溝38の各々には、インナチューブ32の下端部に付設された1対のキー40の各々が嵌まるようにされており、それらガイド溝38およびキー40によって、アウタチューブ30とインナチューブ32とが、相対回転不能、軸線方向に相対移動可能とされている。ちなみに、アウタチューブ30の上端部には、シール42が付設されており、後に説明する圧力室44からのエアの漏れが防止されている。
また、アクチュエータ26は、ねじ溝が形成された雄ねじ部としてのねじロッド50と、ベアリングボールを保持してそのねじロッド50と螺合する雌ねじ部としてのナット52とを含んで構成されたボールねじ機構と、動力源としての電磁モータ54(以下、単に「モータ54」という場合がある)とを備えている。モータ54はモータケース56に固定して収容されるとともに、そのモータケース56の鍔部がマウント部24の上面側に固定されており、モータケース56の鍔部にインナチューブ32のフランジ部36が固定されていることで、インナチューブ32は、モータケース56を介してマウント部24に連結されている。モータ54の回転軸であるモータ軸58は、ねじロッド50の上端部と一体的に接続されている。つまり、ねじロッド50は、モータ軸58を延長する状態でインナチューブ32内に配設され、モータ54によって回転させられる。一方、ナット52は、ねじロッド50と螺合させられた状態で、アウタチューブ30の内底部に付設されたナット支持筒60の上端部に固定支持されている。
エアスプリング28は、マウント部24に固定されたハウジング70と、アクチュエータ26のアウタチューブ30に固定されたエアピストン72と、それらを接続するダイヤフラム74とを備えている。ハウジング70は、概して有蓋円筒状をなし、蓋部76に形成された穴にアクチュエータ26のインナチューブ32を貫通させた状態で、蓋部76の上面側においてマウント部24の下面側に固定されている。エアピストン72は、概して円筒状をなし、アウタチューブ30を嵌入させた状態で、アウタチューブ30の上部に固定されている。それらハウジング70とエアピストン72とは、ダイヤフラム74によって気密性を保ったまま接続されており、それらハウジング70とエアピストン72とダイヤフラム74とによって圧力室44が形成されている。その圧力室44には、流体としての圧縮エアが封入されている。このような構造から、エアスプリング28は、その圧縮エアの圧力によって、ロアアーム22とマウント部24、つまり、車輪12と車体とを相互に弾性的に支持しているのである。
上述のような構造から、ばね上部とばね下部とが接近・離間する場合、アウタチューブ30とインナチューブ32とは、軸線方向に相対移動が可能とされている。その相対移動に伴って、ねじロッド50とナット52とが軸線方向に相対移動するとともに、ねじロッド50がナット52に対して回転する。モータ54は、ねじロッド50に回転トルクを付与可能とされ、この回転トルクによって、ばね上部とばね下部との相対動作(ストローク動作)に対して、そのストローク動作を阻止する抵抗力を発生させることが可能とされている。この抵抗力をばね上部とばね下部とのストローク動作に対する減衰力として作用させることで、アクチュエータ26は、いわゆるショックアブソーバとして機能するものとなっている。また、アクチュエータ26は、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動に対する推進力をも発生させることが可能とされており、いわゆるスカイフックダンパ理論,擬似的なグランドフック理論等に基づく制御を実行することが可能とされている。アクチュエータ26が、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動に対して抵抗力および推進力を発生させることから、上記のような減衰力を発生させることに加えて、さらに、ばね上部とばね下部との離間距離、つまり、ばね上ばね下間距離を任意の距離に維持することが可能であり、車両旋回時の車体のロール,車両加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制することや、車両の高さいわゆる車高を調整すること等が可能とされているのである。
サスペンションシステム10は、図1に示すように、各スプリング・アブソーバAssy20が有するエアスプリング28に対して流体としてのエア(空気)を流入・流出させるための流体流入・流出装置、詳しく言えば、エアスプリング28の圧力室44に接続されて、その圧力室44にエアを供給し、圧力室44からエアを排出するエア給排装置80を備えている。詳しい説明は省略するが、本サスペンションシステム10は、エア給排装置80によって、各エアスプリング28の圧力室44内のエア量を調整することが可能とされており、エア量の調整によって、各エアスプリング28のばね長を変更し、各車輪12についてのばね上ばね下間距離を変化させることが可能とされている。具体的に言えば、圧力室44のエア量を増加させてばね上ばね下間距離を増大させ、エア量を減少させてばね上ばね下間距離を減少させることが可能とされている。つまり、本システム10は、いわゆる車高調整が可能とされているのである。
本サスペンションシステム10は、制御装置としてのサスペンション電子制御ユニット140(以下、「サスペンションECU140」という場合がある)によって、スプリング・アブソーバAssy20の作動、つまり、アクチュエータ26およびエアスプリング28の制御が行われる。サスペンションECU140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたものである。そのサスペンションECU140には、エア給排装置80の駆動回路としてのドライバ144と、各アクチュエータ26が有するモータ54に対応して設けられて、そのモータ54を制御する駆動回路としてのインバータ146とが接続されている。サスペンションECU140は、ドライバ144を制御することによってエアスプリング28を制御し、4つのインバータ146を制御することによってアクチュエータ26が発生させるアクチュエータ力を制御する。それらドライバ144およびインバータ146は、コンバータ[CONV]148を介してバッテリ[BAT]150に接続されており、エア給排装置80が有する各制御弁,ポンプモータ等、および、各アクチュエータ26のモータ54には、そのコンバータ148とバッテリ150とを含んで構成される電源から電力が供給される。また、インバータ146は、起電力によってモータ54にて発電された電力を電源に回生可能な構造とされており、モータ54は、供給電流に依存したモータ力だけでなく、起電力に依拠したモータ力を発生可能となっている。そして、インバータ146は、電源からの供給電流であるか、起電力によって生じる発電電流であるかに拘わらず、モータ54を流れる電流、つまり、モータ54の通電電流を調整して、モータ力を制御する構造とされている。なお、通電電流は、各インバータ146がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって調整される。
車両には、イグニッションスイッチ[I/G]160,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]162,各車輪12についてのばね上ばね下間距離を検出する4つのハイトセンサ[h]164,車高変更指示のために運転者によって操作される車高変更スイッチ[HSw]166,ステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ[δ]170,車体に実際に発生する前後加速度である実前後加速度を検出する前後加速度センサ[Gx]172,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ[Gy]174,各車輪12に対応する車体の各マウント部24の縦加速度(上下加速度)を検出する4つのばね上縦加速度センサ[Gzs]176,アクセルスロットルの開度を検出するスロットルセンサ[Sr]180,ブレーキのマスタシリンダ圧を検出するブレーキ圧センサ[Br]182等が設けられており、それらはサスペンションECU140に接続されている。サスペンションECU140は、それらのスイッチ,センサからの信号に基づいて、スプリング・アブソーバAssy20の作動の制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、サスペンションECU140のコンピュータが備えるROMには、後に説明するところのアクチュエータ26の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
<カーナビゲーションシステムの構成>
本サスペンションシステム10を備えた車両には、図1に示すように、カーナビゲーションシステム200(以下、「カーナビ200」という場合がある)も搭載されている。そのカーナビ200は、GPSレシーバ[GPS]202によって受信したGPS衛生からの信号,ジャイロセンサ[ω]204によって検出された車体の角速度,前後加速度センサ172によって検出された車体の前後加速度,車速センサ162によって検出された車速等を利用して、自車位置,進行方向,走行距離等を算出するとともに、カーナビ200が備えたハードディスクドライブ206[HDD]内に記憶された地図情報データおよび自車位置等をディスプレイパネルに表示して、車両の乗員に対して現在位置や目的地までの経路案内等を行うものである。カーナビ200は、コンピュータを主体として構成されたナビゲーションコントローラ208によって制御が行われる。そのナビゲーションコントローラ208と、前述のサスペンションECU140とは、相互に通信可能に接続されている。
<サスペンションシステムの制御>
i)アクチュエータの制御の概要
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体の振動、つまり、ばね上振動を減衰する力である振動減衰力を発生させるための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回時や車両の加減速時における車体の姿勢変動を抑制する力である姿勢制御力を発生させるための制御 (以下、「車体姿勢制御」という場合がある)が実行される。その車体姿勢制御は、具体的に言えば、車両の旋回に起因して車体に作用するロールモーメントに応じたアクチュエータ力を発生させるための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある)と、車両の加減速に起因して車体に作用するピッチモーメントに応じたアクチュエータ力を発生させるための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)とを併せた制御である。
上記振動減衰制御,車体姿勢制御のロール抑制制御およびピッチ抑制制御は、総合的に行われるが、その前提として、それぞれの制御毎に必要なアクチュエータ力が求められる。そして、それらのアクチュエータ力が、それぞれ、振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分とされ、それらが合計されて、目標アクチュエータ力が決定される。アクチュエータ26は、その目標アクチュエータ力を発生させるように制御され、その結果、上記振動減衰制御,車体姿勢制御のロール抑制制御およびピッチ抑制制御が、総合的に実行されるのである。
ii)振動減衰制御
振動減衰制御では、車体の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたばね上縦加速度センサ176によって検出されるばね上縦加速度から得られる車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上絶対速度に基づいて、振動減衰成分FVが決定される。ただし、ばね上縦加速度センサ176の検出結果から得られるばね上絶対速度Vsrは、通常、カットオフ周波数fc(例えば、0.05Hz)とされたローカットフィルタによる処理が行われる。つまり、振動減衰制御では、通常、カットオフ周波数fcより低い周波数の成分が取り除かれたばね上絶対速度Vsに基づいて次式に従って演算される。
V=Cs・Vs
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Csは、いわゆるばね上絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。なお、本システム10においては、ばね上縦加速度センサ176が、振動指標センサとして機能するものとなっており、その検出結果であるばね上縦加速度,および、そのばね上縦加速度から得られるばね上絶対速度が、車体の振動の激しさの程度を指標する振動指標となっている。
iii)ロール抑制制御
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標として横加速度が採用され、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ174によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*と、それに対応する制御ゲインであるロール抑制ゲインKRとに基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
R=KR・Gy*
iv)ピッチ抑制制御
車両の制動時等の減速時において車体のノーズダイブが生じる場合には、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車両の加速時において車体のスクワットが生じる場合には、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合のばね上ばね下間距離の変動を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標として前後加速度が採用され、前後加速度センサ172によって実測された実前後加速度Gxと、それに対応する制御ゲインであるピッチ抑制ゲインKPとに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
P=KP・Gx
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ180によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ182によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
v)目標アクチュエータ力とモータの作動制御
アクチュエータ26の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って制御目標値である目標アクチュエータ力F*が決定される。
*=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*を発生させるためのモータ54作動制御が、インバータ146によって行われる。詳しく言えば、上述のように決定された目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、インバータ146の備えるスイッチング素子の開閉が制御されて、目標アクチュエータ力F*を発生させるようにモータ54を作動させる。
vi)車高変更制御
なお、本サスペンションシステム10では、エアスプリング28によって、路面に凹凸がある道路、いわゆる悪路の走行への対処、車両の操縦安定性の向上等を目的として運転者の意思に基づいて車両の車高を変更する制御(以下、「車高変更制御」という場合がある)が実行される。簡単に説明すれば、車高変更制御は、運転者の意図に基づく車高変更スイッチ166の操作によって実現すべき設定車高である目標設定車高が変更された場合において、実行される。その目標設定車高の各々に応じて、各車輪12についての目標となるばね上ばね下間距離が設定されており、ハイトセンサ164の検出値に基づいて、それぞれの車輪12についてのばね上ばね下間距離が目標距離になるように、エア給排装置80の作動が制御され、各車輪12のばね上ばね下間距離が目標設定車高に応じた距離に変更されるのである。さらに、この車高変更制御では、例えば、乗員数の変化,荷物の積載量の変化等による車高の変動に対処することを目的とした、いわゆるオートレベリングと呼ばれる制御も行われる。
vii)負担軽減制御
本サスペンションシステム10において、アクチュエータ26は、上述した振動減衰制御,車体姿勢制御によって、走行中において常時作動させられる。そのため、アクチュエータ26によるシステム10の消費電力を低減することや、モータ54の発熱を抑制することが望ましく、本システム10においては、上述した振動減衰制御と車体姿勢制御との各々を、通常の制御から、システムへの負担を軽減するための制御に切り換え可能とされている。具体的には、システムへの負担を軽減するための振動減衰制御として、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除く制御である勾配変化時減衰制御が実行される。また、システムへの負担を軽減するための車体姿勢制御として、車両の旋回頻度が高い場合に、姿勢制御力を低減させる制御である高旋回頻度姿勢制御が実行される。以下に、それら勾配変化時減衰制御と高旋回頻度姿勢制御とを、詳しく説明する。
a)勾配変化時減衰制御
路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合、例えば、図3に示すように、路面勾配が急になる場所、詳しくは、緩やかな上り坂から急な上り坂になる場所を走行する場合を考える。路面の勾配が変化している地点に車両が差し掛かると、まず、前輪が上方に動作させられ、それに伴って車体の前輪側が上方に動作させられることになる。つまり、路面勾配の変化によって、車体にピッチを生じさせるような力が入力されることになり、その入力により車体は振動することになる。その際のばね上部の振動は、時間的に比較的長い振動、換言すれば、比較的周波数の低い振動であり、振幅も比較的大きいものとなる。
また、先に述べたように、振動減衰制御は、センサの検出結果から得られたばね上絶対速度Vsrにローカットフィルタによるフィルタ処理を行うことで、カットオフ周波数fcより低い周波数の振動を減衰の対処としないようにされている。しかし、そのローカットフィルタのカットオフ周波数fcは、上記の路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に車体に生じる振動の周波数域より、さらに低い周波数に設定されているため、その勾配変化時の振動も減衰の対象となる。ところが、その勾配変化時の振動は、比較的周波数が低く、振幅が比較的大きい振動であるため、振動減衰制御によって、比較的大きなアクチュエータ力をある程度長い時間出力しなければならない状態となる。そこで、本システム10の振動減衰制御においては、路面勾配の変化角度θが閾角度θ0より大きい場所を車両が走行する場合に、ローカットフィルタのカットオフ周波数が、通常のカットオフ周波数であるfcより高い周波数fc’(例えば、0.5Hz)に変更されるようになっている。つまり、勾配変化時減衰制御では、カットオフ周波数fc’より低い周波数の成分が取り除かれたばね上絶対速度Vs’に基づいて、振動減衰成分FVが決定される。したがって、本システム10の振動減衰制御は、勾配変化時減衰制御の実行時に、第1設定周波数であるfc’より低い周波数の振動を減衰の対象から除き、その勾配変化時減衰制御が実行されない通常状態においては、その第1設定周波数fc’より低い周波数に設定された第2設定周波数fcより低い周波数の振動を減衰の対象から除く制御となっている。
振動減衰制御におけるローカットフィルタは、一般的に用いられているフィルタであるため詳しい説明は省略するが、演算によって実現されるフィルタである。つまり、規定のアルゴリズムに従って作られたプログラムが、サスペンションECU140のコンピュータが備えるROMに記憶されており、そのプログラムによって、ばね上縦加速度センサ176の検出結果から得られたばね上絶対速度Vsrの入力に対して、カットオフ周波数より低い周波数の成分が取り除かれたばね上絶対速度が出力されるようになっている。厳密に言えば、図4に示すローカットフィルタの周波数特性から分かるように、カットオフ周波数より低い周波数域においては、成分を完全に取り除くことができない周波数域が存在し、その周波数域の成分がある程度残ることになる。なお、図4には、カットオフ周波数fcであるローカットフィルタの特性を一点鎖線で示し、カットオフ周波数fc’であるローカットフィルタの特性を実線で示している。
本勾配変化時減衰制御では、路面勾配の変化角度θが閾角度θ0より大きい場所を、カーナビ200が有する情報に基づいて認識するようになっている。具体的には、まず、カーナビ200が有するハードディスク206には、設定された間隔で路面の高度に関するデータが記憶されており、そのデータに基づいて、車両が現在走行している場所から、設定距離だけ走行する方向に路面勾配が変化する地点があるか否かが判定される。次いで、路面勾配が変化する地点がある場合には、現在走行している場所の路面勾配と、進行方向側の路面の路面勾配とから、その変化角度θが求められ、閾角度θ0より大きいか否かが判定される。路面勾配の変化角度θが閾角度θ0より大きい場合には、通常の減衰制御から勾配変化時減衰制御に切り換えられる。つまり、ローカットフィルタのカットオフ周波数が、fcからfc’に変更されるのである。そして、路面勾配が変化している地点から設定距離だけ走行する間、その勾配変化時減衰制御が継続されるようになっている。
この勾配変化時減衰制御によって、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、車両に生じる比較的周波数の低い振動が減衰の対象とならないため、その振動に対する振動減衰力が抑制される。図5は、路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合の振動減衰成分FVを示すものであり、勾配変化時減衰制御を実行可能とされた本システム10のものを実線で、従来のシステムのものを一点鎖線で、それぞれ示している。ちなみに、破線で示すものは、理想的なローカットフィルタによりカットオフ周波数より低い周波数の成分が完全に取り除かれたものである。ただし、本システム10において用いられているフィルタでは、先にも説明したように、完全に取り除くことができない周波数域が存在するため、実線で示したように、カットオフ周波数よりfc’より低い周波数の振動に対する力を不可避的に発生させることになる。この図からも分かるように、従来のシステムにおいて、比較的大きな振動減衰成分を含むアクチュエータ力をある程度長い時間出力しなければならなかったのに対して、本システム10では、振動減衰成分FVが抑制されることになる。したがって、本システム10は、モータ54の発熱が抑制され、システムへの負担が軽減されるのである。
b)高旋回頻度姿勢制御
また、車体姿勢制御においては、車両の旋回頻度が高くなるほど、車両の旋回に起因して車体がローリングする回数、および、旋回に伴う加減速に起因して車体がピッチングする回数等が増加するため、姿勢制御力を発生させる頻度が高くなる。そのような場合、モータ54の発熱量が増加するとともに、システムの消費電力が増加することになる。また、システムの消費電力が増加すると、電源の電圧が低下してアクチュエータ26が発生できるアクチュエータ力が急激に低下する虞がある。そこで、本システム10の車体姿勢制御では、車両の旋回頻度がある設定された頻度より高いと判定された場合に、姿勢制御力が低減されるようになっている。
本システム10において、車両の旋回頻度として、設定走行距離あたりの旋回回数を採用する。高旋回頻度姿勢制御では、車両の旋回頻度を、カーナビ200が有する情報に基づいて認識するようになっている。具体的には、カーナビ200において目的地が設定されている場合、設定距離あたりの旋回回数が閾回数以上となる区間があれば、その区間を走行する場合に、高旋回頻度姿勢制御が実行されるようになっている。また、目的地が設定されていない場合には、現在走行している地点から次の交差点までの間で、設定距離あたりのカーブの回数が閾回数以上となる区間があれば、その区間を走行する場合に、高旋回頻度姿勢制御が実行されるようになっている。なお、高旋回頻度姿勢制御では、先に説明したロール抑制ゲインKRとピッチ抑制ゲインKPとが、図6に示すように、設定距離あたりの旋回回数に応じて低減されることで、姿勢制御力が低減される。詳しくは、次式に示すように、ロール抑制ゲインKRとピッチ抑制ゲインKPとに、設定距離あたりの旋回回数が多くなるほど小さな値とされるゲイン低減係数CNを乗じて、低減後のロール抑制ゲインKR’とピッチ抑制ゲインKP’とが決定されるのである。
R’=CN・KR
P’=CN・KP
そして、それら低減後のロール抑制ゲインKR’,ピッチ抑制ゲインKP’に基づいて、ロール抑制成分FRとピッチ抑制成分FPが決定され、姿勢制御力が低減される。この高旋回頻度姿勢制御によって、車両の旋回頻度が高い区間を走行する場合における姿勢制御力が低減され、モータ54の発熱の抑制およびシステム10の消費電力の低減に加えて、旋回頻度が高い区間の走行中に、電源電圧の低下等により発生可能なアクチュエータ力が低下してしまう事態が回避されることになる。
<制御プログラム>
上述したアクチュエータ26の制御は、図7にフローチャートを示す振動減衰制御切換処理プログラムと、図8にフローチャートを示す車体姿勢制御切換処理プログラムと、図9にフローチャートを示すアクチュエータ力制御プログラムとが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ力制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対してのプログラムによる処理について説明する。
振動減衰制御切換処理プログラムにおいては、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、カーナビ200が有する情報に基づいて、現在地から設定距離L1までの間に、路面勾配が変化する地点があるか否かが判定される。路面勾配が変化する場合には、S2において、路面勾配の変化角度θが求められ、S3において、その変化角度θが閾角度θ0以上であるか否かが判定される。変化角度θが閾角度θ0以上であると判定された場合には、先に述べたように、通常の振動減衰制御から勾配変化時減衰制御に変更される。つまり、S4において、ローカットフィルタのカットオフ周波数がfc’に設定されるのである。また、その場合、S5において切換フラグFが1とされる。
車両が路面勾配が変化する地点を通過した場合、S1において路面勾配が変化しないと判定される場合があるが、S6,S7において、切換フラグFが1で、かつ、路面勾配が変化した地点から設定された距離走行していると判定された場合は、S4以下の処理が行われる。そして、車両が路面勾配が変化した地点から設定された距離走行した場合には、S8以下の処理が行われ、ローカットフィルタのカットオフ周波数がfcに設定されるとともに、切換フラグFが0とされる。つまり、勾配変化時減衰制御は、路面勾配が変化した地点から設定された距離走行する間、継続して実行されるようになっている。
また、車体姿勢制御切換処理プログラムにおいては、まず、S11において、カーナビ200で目的地が設定されているか否かが判定される。目的地が設定されている場合には、S12において、現在地から設定距離L2先までのカーブおよび曲がる交差点の合計である旋回回数Nが、カーナビ200の情報から取得される。また、目的地が設定されていない場合には、S13において、現在地から次の交差点までの情報から、設定距離L2あたりの旋回回数Nが取得される。具体的には、設定距離L2あたりの旋回回数Nは、現在地から次の交差点までが設定距離L2を超える場合には、現在地から設定距離L2先までのカーブ回数が用いられ、現在地から次の交差点までが設定距離L2以下である場合には、現在地から次の交差点までのカーブ回数を設定距離L2あたりのカーブの回数に換算したものが用いられる。
次いで、S14において、設定距離L2あたりの旋回回数Nが、閾回数N0以上であるか否かが判定される。閾回数N0以上である場合には、通常の車体姿勢制御から、高旋回頻度姿勢制御に変更される。つまり、S15以下において、設定距離L2あたりの旋回回数Nに基づいてゲイン低減係数CNが決定され、そのゲイン低減係数CNを、通常時の制御に用いられるロール抑制ゲインKR0およびピッチ抑制ゲインKP0に乗じることで、ロール抑制ゲインKRおよびピッチ抑制ゲインKPが低減されるようになっている。
さらに、アクチュエータ力制御プログラムにおいては、まず、S21において、ばね上縦加速度センサ176の検出結果を積分処理することにより、ばね上絶対速度Vsrが取得される。そのばね上絶対速度Vsrが、S22において、フィルタ処理される。そのフィルタ処理を行うサブルーチンは、一般的なアルゴリズムに従ったローカットフィルタであり、先に説明した振動減衰制御切換処理プログラムによって、カットオフ周波数が、勾配変化時減衰制御に用いられる第1設定周波数fc’と、通常の振動減衰制御に用いられる第2設定周波数fcとの間で変更されるようになっている。そして、S23において、フィルタ処理によってカットオフ周波数より低い周波数の成分が取り除かれたばね上絶対速度に基づいて、振動減衰成分FVが決定される。
次いで、S24において、先に説明した車体姿勢制御切換処理プログラムにおいて決定されたロール抑制ゲインKRおよびピッチ抑制ゲインKPが取得され、S25,S26において、ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定される。続いて、S27において、振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPを足し合わせて目標アクチュエータ力F*が決定される。そして、S28において、その目標アクチュエータ力に基づいて、モータ54の制御を行うためのデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。このプログラムの処理により、アクチュエータ26のモータ54の作動が制御されることで、アクチュエータ26は、必要とされるアクチュエータ力を発生させることになる。
<制御装置の機能構成>
上述したようなアクチュエータ26の制御を実行するECU140は、それらの各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図10に示すように、サスペンションECU140は、ばね上部の振動を減衰させるための制御を実行する機能部として振動減衰制御250を、車体のロールとピッチとを抑制するための制御を実行する機能部として車体姿勢制御部252を、それぞれ有している。また、ECU200は、振動指標としてのばね上絶対速度から任意の周波数より低い周波数の成分を取り除くローカットフィルタ(図1において[LCF]と表す)254を有しており、アクチュエータ力制御プログラムのS22の処理を実行する部分が相当する。
上記振動減衰制御部250は、振動指標としてのばね上絶対速度に基づいて振動減衰成分FVを決定する機能部である振動減衰成分決定部260と、通常の振動減衰制御と勾配変化時減衰制御とを切り換える減衰制御切換部262とを含んで構成されている。その減衰制御切換部262は、振動減衰制御切換処理プログラムの処理を実行する部分が相当する。また、車体姿勢制御部252は、ロールモーメント指標としての横加速度とそれに対応するロール抑制ゲインとに基づいてロール抑制成分FRを決定するロール抑制成分決定部270と、ピッチモーメント指標としての前後加速度とそれに対応するピッチ抑制ゲインとに基づいてピッチ抑制成分FPを決定するピッチ抑制成分決定部272と、通常の車体姿勢制御と高旋回頻度姿勢制御とを切り換える姿勢制御切換部274とを含んで構成されている。なお、その姿勢制御切換部274は、車体姿勢制御切換処理プログラムの処理を実行する部分が相当する。
請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1に示すスプリング・アブソーバAssyを示す正面断面図である。 勾配変化時減衰制御の概略を説明するための図である。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットが有するローカットフィルタの周波数特性を示す図である。 路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合の振動減衰成分の発生の様子を示す図である。 設定距離あたりの旋回回数とロール抑制ゲインおよびピッチ抑制ゲインとの関係を示す図である。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行される振動減衰制御切換処理プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行される車体姿勢制御切換処理プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ力制御プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すサスペンションシステムが有する制御装置の機能に関するブロック図である。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 20:スプリング・アブソーバAssy 22:ロアアーム(ばね下部) 24:マウント部(ばね上部) 26:アクチュエータ(ショックアブソーバ) 28:エアスプリング(サスペンションスプリング) 54:電磁モータ 140:サスペンション電子制御ユニット(制御装置)
176:ばね上縦加速度センサ(振動指標センサ) 200:カーナビゲーションシステム 206:ハードディスクドライブ 208:ナビゲーションコントローラ 250:振動減衰制御部 252:車体姿勢制御部 254:ローカットフィルタ 260:振動減衰成分決定部 262:減衰制御切換部 270:ロール抑制成分決定部 272:ピッチ抑制成分決定部 274:姿勢制御切換部

Claims (3)

  1. ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングと、
    そのサスペンションスプリングと並設され、電磁モータを有してその電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力であるアブソーバ力を発生させる電磁式のショックアブソーバと、
    そのショックアブソーバを制御する制御装置と
    少なくともばね上部の振動の激しさの程度を指標する振動指標を検出する振動指標センサと、
    その振動指標センサによって検出された振動指標から任意周波数より低い周波数の成分を取り除くフィルタと
    を備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記振動指標センサによって検出された振動指標に基づいて、前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、少なくともばね上部の振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる振動減衰制御部を有し、
    その振動減衰制御部が、
    路面勾配が変化する場所を車両が走行する場合に、前記フィルタによって第1設定周波数より低い周波数の成分が取り除かれた振動指標に基づいた振動減衰力を発生させることで、その第1設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除く勾配変化時減衰制御を実行可能とされ
    その勾配変化時減衰制御を実行しない場合に、前記フィルタによって前記第1設定周波数より低い周波数に設定されたもう1つの設定周波数である第2設定周波数より低い周波数の成分が取り除かれた振動指標に基づいた振動減衰力を発生させることで、その第2設定周波数より低い周波数の振動を減衰の対象から除くように構成された車両用サスペンションシステム。
  2. 前記振動減衰制御部が、車両が搭載するカーナビゲーションシステムが有する情報に基づいて路面勾配が変化する場所を認識し、その場所を車両が走行する場合に、前記勾配変化時減衰制御を実行するように構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記制御装置が、
    前記ショックアブソーバが発生させるアブソーバ力を、車体のロールとピッチとの少なくとも一方を抑制するための姿勢制御力として発生させる車体姿勢制御部を有し、
    その車体姿勢制御部が、車両の旋回頻度が高い場合に、それが低い場合に比較して、姿勢制御力を低減するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
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