JP2008100539A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高い電磁式サスペンションシステムを提供する。
【解決手段】2つの車体側ユニット136と、車輪側ユニット134と、それらに相対移動力を付与する電磁式のアクチュエータ138とを備えたサスペンションシステムにおいて、車体側ユニット136を、車体連結部68,102とサスペンションスプリング50の車体側端を支持するスプリング支持部120とが相対移動可能とすることで伸縮可能に構成し、禁止機構132によって2つのユニットの相対移動を禁止し、かつ、液室110と連通弁116とを有する許容機構によって車体側ユニット136の伸縮を許容した状態で、アクチュエータの力によって、車体と車輪との上下方向の間隔を変更する。電磁式アクチュエータの力を利用した円滑な車高調整を、簡便な構造によって実現させることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両に搭載されるサスペンションシステム、詳しくは、電動モータの力を利用して振動を減衰させる電磁式のショックアブソーバを有するサスペンションシステムに関する。
車両の分野において近年では、電動モータが発生させる力(以下、「モータ力」という場合がある)に依拠してばね上振動等を減衰する機能を有する所謂電磁式サスペンションシステムの開発が進められている。下記特許文献に記載されているサスペンションシステムは、その電磁式サスペンションシステムの一例である。
特開2005−256922公報 特開2006−64101公報
上記特許文献に記載されているシステムは、ばね上振動等を減衰するアブソーバとしての機能に加え、モータ力に依拠して、上下方向における車体と車輪との距離(以下、「車体車輪間距離」という場合がある)を変更する機能を有しており、電磁式サスペンションシステムの中でも多機能なシステムとされている。ところが、電磁式サスペンションシステムは、未だ開発途上であり、改良の余地を多分に残すものとなっている。そのため、種々の改良を施すことによって、そのシステムの実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用サスペンションシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サスペンションシステムは、基本的構成要素として、サスペンションスプリングと、ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、ばね下部に連結され、ばね上部側ユニットと相対移動可能とされるばね下部側ユニットと、電動モータが発生させる力に依拠して、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとに対して力を付与する電磁式のアクチュエータと、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動を禁止する相対移動禁止機構と、その相対移動が禁止された状態でのアクチユエータの力によるばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の伸縮を許容する伸縮許容機構とを備えている。そして、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方が、ばね上部とばね下部との一方に連結される連結部と、サスペンションスプリングのばね上部とばね下部との一方の側の端部を支持するスプリング支持部とを有する構造とされ、伸縮許容機構が、それら連結部とスプリング支持部との間隔の変化伴う伸縮を許容する構造とされている。このような構成を基礎とし、第1の特徴を有するサスペンションシステムでは、相対移動禁止機構が、スプリング支持部と、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの他方との相対移動を禁止するように構成され、また、第2の特徴を有するサスペンションシステムでは、伸縮許容機構が、スプリング支持部と連結部との間隔の変化に応じて容積を変化可能な液室を備え、その液室への作動液の流出入を許容することで、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の伸縮を許容するように構成される。
上記第1の特徴を有する本発明のサスペンションシステムでは、スプリング支持部と、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの他方との相対移動が禁止された状態において、アクチュエータの力によって車体車輪間距離を変更することができるため、サスペンションスプリングの変形量が維持された状態での車体車輪間距離の変更が可能となる。つまり、サスペンションスプリングの復元力による急激な動作を伴わない適切な車体車輪間距離の変更が可能となる。また、上記第2の特徴を有する本発明のサスペンションシステムでは、車体車輪間距離を維持する場合におけるばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの一方の伸縮禁止状態と、車体車輪間距離を変更する際における伸縮許容状態とを、液室への作動液の流出入を禁止・許容を切り換えるという簡単な方法によって行えるため、簡便な構造のサスペンションシステムが実現されることになる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項と(2)項とを合わせたものが請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(1)項と(3)項とを合わせたものが請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項と(6)項とを合わせたものが請求項5に、(7)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)ばね上部とばね下部との間に配設されるサスペンションスプリングと、
(A)ばね上部とばね下部との一方である一方部に連結される連結部と、前記サスペンションスプリングの前記一方部側の端部を支持するスプリング支持部とを有する一方部側ユニットと、(B)ばね上部とばね下部との他方である他方部に連結され、前記一方部側ユニットと上下方向において相対移動可能とされる他方部側ユニットと、(C)電動モータを有し、その電動モータが発生させる力に依拠して、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとに対してそれらの相対移動の方向の力を付与する電磁式のアクチュエータと、
前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動を禁止する相対移動禁止機構と、
その相対移動禁止機構によって前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動が禁止された状態において、前記連結部と前記スプリング支持部との上下方向における間隔の変化を伴うところの前記アクチュエータの力による前記一方部側ユニットの伸縮を許容する伸縮許容機構と
を備えた車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、請求可能発明の前提をなす態様であり、請求可能発明の車両用サスペンションシステムの基本的構成要素を列挙した態様である。従来検討されている一般的な電磁式サスペンションシステムでは、アクチュエータの力(以下、「アクチュエータ力」という場合がある)によって、ばね上振動等を減衰させることが可能であり、また、一方部側ユニットと他方部側ユニットとを積極的に相対移動させることで、車体車輪間距離を変更することも可能である。ただし、従来のサスペンションシステムでは、アクチユエータ力によって車体車輪間距離を変更したとしても、その変更した距離を維持するために電動モータに電力を供給し続けなければならないことになる。それに対し、本項の態様のサスペンションシステムでは、2つのユニットの一方を伸縮可能に構成し、2つのユニットの相対移動を禁止した状態において、アクチュエータ力によってその一方を伸縮させることで、アクチュエータ力による車体車輪間距離を変更を可能とし、さらに、車体車輪間距離を変更した後に、伸縮可能とされた一方のユニットの伸縮を禁止することで、アクチュエータ力によらずに、その変更された車体車輪間距離を維持させることが可能とされているのである。
本項にいう「ばね上部」は、例えば、サスペンションスプリングによって支持される車体の部分を広く意味し、「ばね下部」は、例えば、サスペンションアーム等、車輪軸とともに上下動する車両の構成要素を広く意味する。「サスペンションスプリング」は、それの具体的な構造が特に限定されるものではなく、例えば、コイルスプリング,エアスプリング等を種々の構造のスプリングを採用することが可能であるが、本項の態様は、アクチュエータ力によって車体車輪間距離を変更する態様であることから、自身の能力によっては車体車輪間距離を変更することのできないスプリング、つまり、コイルスプリング等に好適な態様である。
本項に記載の「連結部と一方部との連結」、および、「他方部側ユニットと他方部との連結」は、直接的な連結であってよく、また、例えば、ダンパ等を介した連結であってもよい。アクチュエータが動力源として備える「電動モータ」は、回転モータであってもよく、リニアモータであってもよい。
(2)前記相対移動禁止機構が、前記スプリング支持部と前記他方部側ユニットとの相対移動を禁止するものである(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
一方部側ユニットと他方部側ユニットとの相対移動を禁止する態様には、例えば、一方部側ユニットの連結部と他方部側ユニットとの相対移動を禁止する態様と、一方部側ユニットのスプリング支持部と他方部側ユニットとの相対移動を禁止する態様とがある。ここで、前者の態様において、アクチュエータ力によって一方部側ユニットを伸縮させる場合について考えてみる。このような状態で一方部側ユニットを伸縮させると、その時点では、アクチュエータ力によってサスペンションスプリングの変形量(伸縮量)が変化するものの車体車輪間距離は変化せず、その後に連結部と他方部側ユニットとの相対移動の禁止を解除した時点で、変形量が変化させられたサスペンションスプリングの復元力によって、車体車輪間距離が変更させられることになる。つまり、その時点で、車体車輪間距離が一気に、言い換えれば、急激に変更されることになり、車体車輪間距離の変更動作は、円滑性に欠けるものとなるのである。それに対し、一方部側ユニットのスプリング支持部と他方部側ユニットとの相対移動を禁止する態様、すなわち、本項の態様では、アクチュエータ力によって一方部側ユニットを伸縮させても、アクチュエータ力によってはサスペンションスプリングの変形量は変化せず、一定の変形量を保ったまま、車体車輪間距離が変更されることになる。そして、車体車輪間距離が変更された後に、連結部と他方部側ユニットとの相対移動の禁止を解除しても、サスペンションスプリングの復元力による車体車輪間距離の変化は発生しないことになる。つまり、本項の態様によれば、円滑な動作による車体車輪間距離の変更が可能となるのである。
(3)前記伸縮許容機構が、内部に作動液を収容するともに前記連結部とスプリング支持部との間隔の変化に応じて容積が変化する液室を有し、その液室に対する作動液の流出入を許容することで前記一方部側ユニットの伸縮を許容する構造とされた(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、伸縮許容機構の構造を具体的に限定した態様である。一方部側ユニットの伸縮量に応じた、つまり、スプリング支持部と連結部との間隔に応じた車体車輪間距離の変更では、変更時には、一方部側ユニットの伸縮が許容され、変更した車体車輪間距離を維持する場合には、一方部側ユニットの伸縮が禁止される。したがって、スプリング支持部と連結部とを繋ぐ構造は、ばね上重量、ばね上振動等に起因して車体に作用する力等によっても、容易にはスプリング支持部と連結部との間隔が変化しない構造とする必要があり、その一方で、必要な場合には、上記間隔を容易に変化させ得る構造とする必要がある。つまり、一方部側ユニットの伸縮の充分なる禁止と容易なる許容という2つの異なる機能を、選択的に発揮させる構造とする必要があるのである。本項の態様は、例えば、容積変化可能な密閉空間である液室内に液体を充満させ、液体が実質的に体積変化しないことを利用し、その液室への液体の流入・流出の禁止と許容とを切り換えることで、上記2つの異なる機能を選択的に発揮させるように構成されており、本項の態様では、簡便な構造によって、それら2つの機能の切り換えが可能とされているのである。
本項に記載の「液室」は、それの具体的構造が特に限定されるものではなく、例えば、シリンダハウジングとそれの中に液密かつ摺動可能に嵌め入れられるピストンとによって区画された空間であってもよく、また、例えば、有底円筒状の部材と、それの内径より少し小さい外径の有底円筒状の部材とが、互いの開口面が向かい合う状態で、液密かつ摺動可能に嵌め合わされるせることによって区画される空間であってももい。
(4)前記伸縮許容機構が、作動液を貯留するリザーバと、そのリザーバと前記液室とを作動液を通過可能に繋ぐ連通路と、その連通路に設けられて前記リザーバと前記液室との間を作動液を流通させるための流通弁とを有する(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、伸縮許容機構の構造をさらに具体的に限定した態様である。本項の態様によれば、流通弁の作動を制御することで、一方部側ユニットの伸縮の禁止と許容との切り換えを容易に行うことが可能である。
(5)前記相対移動禁止機構が、
自身の変形によって前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分とを係合させる係合実現体を有し、その係合実現体によって、前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分とが係合する状態において前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの相対移動を禁止する構造とされた(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、相対移動禁止機構の構造を具体的に限定した態様である。前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分との係合状態は、特に限定されるものではない。例えば、両者の間に両者の相対移動に抗する摩擦力を発生させるような係合状態とされ、その摩擦力によって両ユニットの相対移動を禁止するような構造の相対移動禁止機構であってもよく、また、前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分との一方が他方を掛止あるいは係止するような係合状態とされ、その掛止,係止によって両ユニットの相対移動を禁止するような構造の相対移動禁止機構であってもよい。本項の態様によれば、例えば、比較的少ない部品によって一方部側ユニットと他方部側ユニットとの相対移動を禁止することが可能となり、システムの簡素化、当該システムの組付の容易化等を図ることが可能となる。なお、係合実現体が、前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分との一方とされ、係合実現体自体が、前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分との他方と係合するものであってもよい。
(6)前記係合実現体が、自身への電圧の印加によって変形する導電性高分子を含んで構成された(5)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様は、係合実現体の構造に関する限定を加えた態様である。本項にいう「導電性高分子」は、例えば、ポリアセチレン,ポリパラフェニリン等であり、自身への電圧の印加により変形する特性を有している。自分自身を変形させる力は比較的大きなものとなり得ることから、導電性高分子を含んで構成された係合体は、例えば、摩擦係合によって2つのユニットの相対移動を禁止する構造の相対移動禁止機構に、好適である。
(7)前記アクチュエータが、
互いに螺合する雄ねじ部と雌ねじ部との一方が、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの一方に設けられるとともに、それら雄ねじ部と雌ねじ部との他方が、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの他方に回転可能に設けられ、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの相対移動に伴って、前記雄ねじ部と雌ねじ部との他方が回転する構造のねじ機構を有し、前記電動モータが前記雄ねじ部と雌ねじ部との他方に回転力を付与することで、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとに対してそれらの相対移動の方向の力を付与するものとされた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの構造に関する限定を加えた態様である。本項の態様においては、ねじ機構を利用し、そのねじ機構を構成する雄ねじ部と雌ねじ部とに対して相対回転力を付与することで、アクチュエータ力を発生させており、本項の態様によれば、アクチュエータを比較的簡便な構造とすることが可能である。
(8)前記一方部側ユニットがばね上部に連結され、前記他方部側ユニットがばね下部に連結される(1)項ないし(7)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様においては、車体の一部であるばね上部に一方部側ユニットが連結され、サスペンションアーム等のばね下部に他方部側ユニットが連結される。本項の態様によれば、例えば、伸縮可能な構造の一方部側ユニットがばね上部に連結されることで、伸縮許容機構等への水はね,泥はね,石はね等を緩和することが可能となる。
(9)当該車両用サスペンションシステムが、
(a)前記アクチュエータを制御することで、そのアクチュエータの力を少なくともばね上振動に対する減衰力として発生させる振動減衰制御部と、(b)前記相対移動禁止機構による前記一方側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動の禁止と、前記伸縮許容機構による前記一方側ユニットの伸縮の許容とを実現するとともに、前記アクチュエータを制御することで、そのアクチュエータの力によってばね上部とばね下部との上下方向における距離を変更するばね上ばね下間距離変更制御部とを有する制御装置を備えた(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様によれば、例えば、多機能なサスペンションシステムを実現することが可能となる。本項に記載の「振動減衰制御」は、ばね上振動を減衰する制御、例えば、いわゆるスカイフック理論に基づく制御であってもよく、ばね上振動とばね下振動とを減衰する制御,ばね上ばね下相対振動を減衰する制御等であってもよい。
(10)当該車両用サスペンションシステムが、
前後左右の車輪に対応して、前記サスペンションスプリングと、前記一方部側ユニットと、前記他方部側ユニットと、前記アクチュエータと、前記相対移動禁止機構と、前記伸縮許容機構とのそれぞれを備えるものとされ、
前記ばね上ばね下間距離変更制御部が、各車輪に対応するばね上ばね下間距離の各々を変更して車両の車高を変更する場合に、各車輪のうちの1つの車輪に対応する前記アクチュエータと前記相対移動禁止機構と前記伸縮許容機構とを制御することで、その1つの車輪に対応するばね上ばね下間距離を変更し、その1つの車輪を順次変更することで、その1つの車輪以外の各車輪に対応するばね上ばね下間距離の各々を順次変更するものであり、
前記振動減衰制御部が、前記各車輪のうちの1つの車輪以外の車輪に対応するアクチュエータを制御するものである(9)項に記載の車両用サスペンションシステム。
一方部側ユニットと他方部側ユニットとの相対移動を禁止した状態で、ばね上ばね下間距離を変更するような場合には、サスペンションスプリングがばねとして機能しない状態となる。このことから、車両の車高を変更するような場合に、4輪同時にばね上ばね下間距離を変更すると、車両の乗り心地を大きく損なう虞がある。そこで、本項の態様においては、一輪毎にばね上ばね下間距離を変更し、他の車輪においては、ばね上振動等を減衰している。本項の態様によれば、一方部側ユニットと他方部側ユニットとの相対移動を禁止した状態で、ばね上ばね下間距離を変更しても、例えば、車両の乗り心地を大きく損なうことがなくなる。
(11)前記ばね上ばね下間距離変更制御部が、各車輪に対応する実際のばね上ばね下間距離の各々を設定されたばね上ばね下間距離に変更して、車両の車高を変更する場合に、各車輪のうちの1つの車輪に対応するばね上ばね下間距離を、実際のばね上ばね下間距離と設定されたばね上ばね下間距離との差より少ない距離変更し、その1つの車輪を順次変更することで、その1つの車輪以外の各車輪に対応するばね上ばね下間距離の各々を順次変更して、各車輪に対応する実際のばね上ばね下間距離の各々を設定されたばね上ばね下間距離に複数回に分けて変更するものである(10)項に記載の車両用サスペンションシステム。
ばね上ばね下間距離を一輪毎に変更して車両の車高を変更するような場合には、実際のばね上ばね下間距離を、一度の変更動作において、設定されたばね上ばね下間距離に変更すると、例えば、車体が大きく傾く虞がある。そこで、本項の態様においては、ばね上ばね下間距離を一輪毎に変更して車両の車高を変更する場合には、ばね上ばね下間距離を、一輪ずつ順番に複数回に分けて変更している。本項の態様によれば、例えば、ばね上ばね下間距離を一輪毎に変更して車両の車高を変更しても、車体の傾斜をある程度抑制することが可能となる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪車両用サスペンションシステムの構成≫
図1に、実施例の車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本システム10は、前後左右4つの車輪12に対応して設けられた4つのサスペンション装置20と、それらサスペンション装置20の制御を担う制御装置とを含んで構成されている。転舵輪である前輪のサスペンション装置20と非転舵輪である後輪のサスペンション装置20とは、車輪を転舵可能とする機構を除き略同様の構成とみなせるため、説明の簡略化に配慮して、後輪のサスペンション装置20を代表して説明する。
図2に示すように、サスペンション装置20は、独立懸架式のものであり、マルチリンク式サスペンション装置とされている。サスペンション装置20は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム30,第2アッパアーム32,第1ロアアーム34,第2ロアアーム36,トーコントロールアーム38を備えている。5本のアーム30,32,34,36,38のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪12を回転可能に保持するアクスルキャリア40に回動可能に連結されている。それら5本のアーム30,32,34,36,38により、アクスルキャリア40は、車体に対して一定の軌跡に沿った上下動が可能とされている。
サスペンション装置20は、サスペンションスプリングとしてのコイルスプリング50とショックアブソーバとして機能するシリンダ装置52とを備えており、それらは、それぞれ、ばね上部の一構成部分であるタイヤハウジングに設けられたマウント部54と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム36との間に、互いに並列的に配設されている。
シリンダ装置52は、図3に示すように、概して有底円筒状のアウタチューブ60と、そのアウタチューブ60に嵌入してアウタチューブ60の上端部から上方に突出するインナチューブ62と、そのインナチューブ62の上方に設けられた電動モータ64とを含んで構成されている。アウタチューブ60は、それの下端部に設けられた取付部66において第2ロアアーム36に連結されており、一方、インナチューブ62は、それの上端部において、電動モータ64を収納するモータケース68に固定的に連結されている。そのモータケース68は、それの外周部において、緩衝ゴムを介してマウント部54に連結されている。
電動モータ64は、モータケース68の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル70と、モータケース68に回転可能に保持された中空状のモータ軸72と、コイル70と向き合うようにしてモータ軸72の外周に固定して配設された永久磁石74とを含んで構成されている。電動モータ64は、コイル70がステータとして機能し、永久磁石74がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。なお、モータケース68内には、モータ軸72の回転角度、すなわち、電動モータ64の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ76が設けられている。モータ回転角センサ76は、エンコーダを主体とするものであり、それによって検出されがモータ回転角は、電動モータ64の制御に利用される。
シリンダ装置52は、ねじ溝が形成されたねじロッド80と、ベアリングボールを保持してねじロッド80と螺合するナット82とを有し、それらは、ボールねじ機構を構成している。ねじロッド80は、電動モータ64のモータ軸72を貫通する状態で、自身の上端部においてモータ軸72に固定され、上下方向に延びるようにインナチューブ62内に配設されている。一方、ナット82は、ねじロッド80と螺合させられた状態で、アウタチューブ60の内底部に立設されたナット支持筒84の上端部に固定支持されている。なお、アウタチューブ60には、その内壁面に上下方向に延びるようにして1対のガイド溝88が設けられるとともに、それらのガイド溝88の各々には、ナット支持筒84の上端部に付設された1対のキー90の各々が嵌まるようにされており、それらガイド溝88およびキー90によって、ナット支持筒84とインナチューブ62、つまり、アウタチューブ60とインナチューブ62とが、相対回転不能、かつ、上下方向に相対移動可能とされている。
シリンダ装置52は、モータケース68の外周部において、ドーナツ形状をなすハウジング100を備えており、それの内部にはドーナツ状の空間が存在している。詳しく言えば、ハウジング100は上部部材102と下部部材104とから構成されており、上部部材102は下方が開口するチャンネル形状の断面を有するリング状に形成され、下部部材104は上方が開口するチャンネル形状の断面を有するリング状に形成されている。上部部材102は、モータケース68を嵌入させた状態で、自身の上面において、緩衝ゴムを介してモータケース68とマウント部54とに連結されている。一方、下部部材104は、自身の開口が上部部材102の開口と向かい合うようにして、上部部材102に嵌入されており、下部部材104の周壁の外面と上部部材102の周壁の内面とがシール106,108を介して接している。上部部材102と下部部材104とで区画されたドーナツ状の空間には、作動液である作動油が収容されており、シリンダ装置52はドーナツ状の液室110を有するものとされている。なお、上部部材102と下部部材104は互いに摺接しつつ上下方向に相対移動可能とされており、液室110の容積は、その相対移動に伴って変化する。
また、本システム10には、作動油を貯留するリザーバ112が設けられており、そのリザーバ112と液室110とが、作動油を通過可能な連通路114によって繋がれている。この連通路114には、常閉の電磁式開閉弁である制御弁116が設けられている。この制御弁116は、消磁状態では、閉弁して連通路114を遮断状態とし、液室に対する作動油の流出入を禁止する。一方、励磁状態では、開弁して連通路114を連通状態とし、液室に対する作動油の流出入を許容する。つまり、制御弁116は、作動によって、作動油を流通させる流通弁として機能している。したがって、通常、液室110は密閉された状態とされ、上部部材102と下部部材104との上下方向への相対移動は禁止されており、制御弁116によって液室110に対する作動油の流出入が許容されると、液室110の容積変化が許容され、上部部材102と下部部材104との相対移動が許容される。
さらに、シリンダ装置52には、アウタチューブ60とインナチューブ62とを覆うようにカバーチューブ120が設けられている。カバーチューブ120は、自身の上端部において、下部部材104の下面に固着されている。また、カバーチューブ120は、アウタチューブ60を挿入させた状態とされており、シリンダ装置52内部への塵埃等の侵入を防止している。
アウタチューブ60には、その外周部に環状のリテーナ122が設けられ、コイルスプリング50は、このリテーナ122と、カバーチューブ120のフランジ部124とによって挟まれる状態で支持されている。なお、カバーチューブ120の下端部内面には環状の緩衝ゴム126が貼着されており、インナチューブ62の上端外壁面には緩衝ゴム128が貼着されている。車体と車輪12とが上下方向において接近・離間する際、それらが離間する方向(以下、「リバウンド方向」という場合がある)にある程度相対移動した場合には、アウタチューブ60のフランジ部130が緩衝ゴム126に当接し、逆に、車体と車輪12とが接近する方向(以下、「バウンド方向」という場合がある)にある程度相対移動した場合には、アウタチューブ60のフランジ部130が緩衝ゴム128に当接するようになっている。つまり、シリンダ装置52は、車輪12と車体との接近・離間に対するストッパ、いわゆるバウンドストッパ、および、リバウンドストッパを有しているのである。
また、カバーチューブ120の下端部外面には、環状の締付バンド132が嵌装されている。締付バンド132は、電圧の印加により変形する特性を有する導電性高分子を含んで構成されており、電圧が印加された状態において縮径するように変形し、カバーチューブ120の下端部を締め付けるようにされている。通常は、カバーチューブ120の下端部内面に設けられた緩衝ゴム126と、アウタチューブ60の外面との間には、僅かな隙間が存在しており、カバーチューブ120とアウタチューブ60との相対移動は許容されている。それに対し、締付バンド132に電圧が印加された状態においては、締付バンド132によって、カバーチューブ120の下端部は縮径し、緩衝ゴム126を介してアウタチューブ60を締め付けることになる。そして、締付バンド132が動作した状態では、緩衝ゴム126とアウタチューブ120との間に生じる摩擦力によって、カバーチューブ120とアウタチューブ60との相対移動が禁止された状態となる。つまり、締付バンド132は、カバーチューブ120に設けられて変形することによってアウタチューブ60の一部分とカバーチューブ120の一部分とを係合させる係合実現体として機能するものなっており、シリンダ装置52は、その締付バンド132を含んで構成される相対移動禁止機構を備えるものとされているのである。
上述のような構造から、車体と車輪12とが接近・離間する場合において、通常は、アウタチューブ60,ナット支持筒84等は、第2ロアアーム36とともに移動し、一方、インナチューブ62,モータケース68,ハウジング100,カバーチューブ120等は、車体とともに移動する。このことから、アウタチューブ60,ナット支持筒84等は、ばね下部側ユニット134を構成し、インナチューブ62,モータケース68,ハウジング100,カバーチューブ120等は、ばね上部側ユニット136を構成するものとされている。また、ばね上部側ユニット136において、モータケース68および上部部材102は、マウント部54に連結されている部分であり、それらは連結部として機能し、下部部材104およびカバーチューブ120は、コイルスプリング50の上端部を支持するスプリング支持部として機能している。なお、ばね上側ユニット134は、液室110を区画する上部部材102と下部部材104との相対移動によって、その液室110の容積変化を伴なった伸縮が可能とされている。
電動モータ64によってねじロッド80に回転力を与えれば、その回転力は、ねじロッド80とナット82との上下方向おける相対移動力に変換され、ばね上部側ユニット136とばね下部側ユニット134とに相対移動力が付与されることになる。つまり、シリンダ装置52は、電動モータ64,雄ねじ部としてのねじロッド80,雌ねじ部としてのナット82等を含んで構成される電磁式のアクチュエータ138を有するものとされており、そのアクチュエータ138は、ばね上部側ユニット136とばね下部側ユニット134とに対して、それらの相対移動の方向の力であるアクチユエータ力を付与する構造とされているのである。このアクチュエータ力は、ばね上部側ユニット136とばね下部側ユニット134との相対移動を阻止する抵抗力として作用させることが可能であり、この抵抗力を減衰力として利用することにより、ばね上振動等を減衰することが可能であり、また、その抵抗力によって、旋回時の車体のロール、加速・減速時の車体のピッチ等を抑制すも可能である。さらに、アクチュエータ力によって、車体と車輪12とを積極的に接近・離間させることも可能である。
本サスペンションシステム10では、制御弁116が開弁状態とされることで、上部部材102と下部部材104、言い換えれば、連結部とスプリング支持部との相対移動が許容され、それによって、ばね上部側ユニット136の伸縮が許容される。したがって、本サスペンションシステム10は、液室110,リザーバ112,連通路114,制御弁116等で構成される伸縮許容機構を備えるものとされている。また、締付バンド132に電圧が印加されることで、アウタチューブ60とカバーチューブ120、詳しく言えば、ばね下部側ユニット134とスプリング支持部との相対移動が禁止されることになる。そして、その相対移動が禁止された状態において、ばね上側ユニット136の伸縮を許容し、その伸縮が許容された状態において、アクチュエータ力をばね上部側ユニット136とばね下部側ユニット134とに対して付与することにより、コイルスプリング50の変形量を変化させることなく、ばね上部側ユニット136が伸縮させられることになる。つまり、本サスペンションシステム10は、アクチュエータ力によって、コイルスプリング50の変形量を変化させることなく、車体と車輪12との距離である車体車輪間距離、言い換えれば、ばね上ばね下間距離を変更することが可能とされているのである。
また、本サスペンションシステム10には、サスペンション装置20の作動、つまり、アクチュエータ138,制御弁116,締付バンド132等を制御する制御装置として、図1に示すように、サスペンション電子制御ユニット(サスペンションECU)150が設けられている。このサスペンションECU150は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ152と、各電動モータ64に対応して設けられた4つのインバータ154と、各制御弁116に対応して設けられた4つのドライバ156と、各締付バンド132に対応して設けられた4つのドライバ158とを有している(図8参照)。インバータ154の各々およびドライバ156,158の各々は、コンバータ160を介してバッテリ162に接続されており、インバータ154の各々は、対応する電動モータ64に接続され、ドライバ156の各々は、対応する制御弁116に接続され、ドライバ158の各々は、締付バンド132に接続されている。なお、電動モータ64は定電圧駆動され、電動モータ64への供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更される。供給電流量の変更は、インバータ154がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
コントローラ152には、上述したモータ回転角センサ76とともに、操舵量としてのステアリングホイールの操作角を検出するためのステアリングセンサ164,車体に実際に発生している横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ166,車体に発生している前後加速度を検出する前後加速度センサ168,車体のマウント部54に設けられてばね上縦加速度(ばね上上下加速度)を検出するばね上縦加速度センサ170,第2ロアアーム36に設けられてばね下縦加速度(ばね下上下加速度)を検出するばね下縦加速度センサ171,車輪車体間距離を検出するストロークセンサ172,運転者の操作によって車高を変更するための車高変更スイッチ174が接続されている。コントローラ152には、さらに、ブレーキシステムの制御装置であるブレーキ電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という場合がある)176が接続されている。ブレーキECU176には、4つの車輪12のそれぞれに対して設けられてそれぞれの回転速度を検出するための車輪速センサ178が接続され、ブレーキECU176は、それら車輪速センサ178の検出値に基づいて、車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)を推定する機能を有している。コントローラ152は、必要に応じ、ブレーキECU176から車速を取得するようにされている。
さらに、コントローラ152は、各インバータ174,各ドライバ156,158にも接続され、それらを制御することで、各電動モータ64,各制御弁116,各締付バンド132を制御する。なお、コントローラ152のコンピュータが備えるROMには、後に説明する各サスペンション装置20の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。なお、本システム10では、運転者の選択可能な設定車高は、設定標準車高(Mid車高),設定標準車高より高い車高として設定された設定高車高(Hi車高),設定標準車高より低い車高として設定された設定低車高(Low車高)の3つが設定されており、運転者の車高変更スイッチ174の操作によって所望の設定車高に選択的に変更される。この車高変更スイッチ174は、設定車高を段階的に高い側の設定車高あるいは低い側の設定車高にシフトさせるような指令、つまり、車高増加指令あるいは車高減少指令が発令される構造とされている。
≪車両用サスペンションシステムの制御≫
本サスペンションシステム10では、各アクチュエータ138が付与するアクチュエータ力をそれぞれ独立して制御することによって、各サスペンション装置20ごとのばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある),車体のロールを抑制する制御(以下「ロール抑制制御」という場合がある),車体のピッチを抑制する制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行可能とされている。振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、アクチュエータ力を、それぞれ、減衰力,ロール抑制力,ピッチ抑制力として作用させることによって実行される。詳しく言えば、振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御の各制御ごとのアクチュエータ力である減衰アクチュエータ力成分(減衰成分),ロール抑制アクチュエータ力成分(ロール抑制成分),ピッチ抑制アクチュエータ力成分(ピッチ抑制成分)を合計した目標アクチュエータ力を決定し、アクチュエータ138が、その目標アクチュエータ力を付与するように制御されることで一元的に実行される。また、本サスペンションシステム10では、各制御弁116,各締付バンド132を作動させるとともに、各アクチュエータ138を制御することで、車体車輪間距離を変更する車体車輪間距離変更制御が実行可能とされている。以下に、振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御の各々について、それら各々におけるアクチュエータ力成分の決定方法を中心に詳しく説明するとともに、アクチュエータ力を制御するための電動モータ64の作動制御を詳しく説明し、さらに、車体車輪間距離変更制御について、電動モータ64の作動制御とともに、制御弁116,締付バンド132の作動制御を詳しく説明する。
i)振動減衰制御
振動減衰制御では、アクチュエータ力を、ばね上絶対速度に応じた大きさのばね上振動に対する減衰力と、ばね下絶対速度に応じたばね下振動に対する減衰力とを複合させて発生させており、いわゆるスカイフックダンパ理論とグランドフックダンパ理論との両者に基づいた制御が実行される。具体的には、ばね上縦加速度センサ170によって検出されるばね上縦加速度Gsに基づいてばね上絶対速度Vsが計算されるとともに、ばね下縦加速度センサ171によって検出されるばね下加速度Ggに基づいてばね下絶対速度Vgが計算され、次式に従って、減衰成分FGが演算される。
G=Cs・Vs−Cg・Vg
ちなみに、Csはばね上減衰係数であり、Cgはばね下減衰係数である。
ii)ロール抑制制御
ロール抑制制御では、車両の旋回時において、その旋回に起因するロールモーメントに応じて、旋回内輪側のアクチュエータ138にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ138にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車両走行速度vに基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定され、
Gy*=KA・Gyc+KB・Gyr (KA,KBはゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制力成分FRが決定される。コントローラ152内には制御横加速度Gy*をパラメータとするロール抑制力成分FRのマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、ロール抑制成分FRが決定される。
iii)ピッチ抑制制御
ピッチ抑制制御では、車体の制動時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントに応じて、前輪側のアクチュエータ138にリバウンド方向のアクチュエータ力を、後輪側のアクチュエータ138にバウンド方向のアクチュエータ力をそれぞれピッチ抑制力として発生させる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントに応じて、後輪側のアクチュエータ138にリバウンド方向のアクチュエータ力を、前輪側のアクチュエータ138にバウンド方向のアクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、実測された前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
P=KC・Gx (KCはゲイン)
iv)3つの制御の一元化による電動モータの作動制御
上述のように減衰成分FG,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御を一元化すべく、次式に従って目標アクチュエータ力FAが決定される。
A=FG+FR+FP
そして、この決定された目標アクチュエータ力FAを発生させるように電動モータ64が制御される。
上記目標アクチュエータ力FAを発生させるための電動モータ64の作動制御は、インバータ154によって行われる。詳しく言えば、決定された目標アクチュエータ力FAに基づいて、モータ力の発生方向およびモータ力の大きさに応じたデューティ比についての指令が、インバータ154に発令される、インバータ154は、自身が備えるスイッチング素子を指令に基づいて切り換えることで、電動モータ64を駆動し、電動モータ64は、その発令されたモータ力方向、および、デューティ比に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させる。
v)車体車輪間距離変更制御
車体車輪間距離変更制御は、運転者の車高変更スイッチ174の操作によって選択車高が変更された場合に実行さる。また、本システム10では、車両の高速走行時における走行安定性に鑑み、Mid車高,Hi車高とされている場合において車両走行速度(以下、「車速」という場合がある)Vが設定された閾速v0以上となったときに、自動的に、車高がLow車高に変更されるようになっており、その変更の際にも実行される。さらに、乗員の乗り降り、荷物の搭降載等に起因して、ある程度の車両重量の変化が生じた場合にも実行さされる。いわゆるオートレベリング機能である。
車体車輪間距離変更制御では、アクチュエータ力による車体車輪間距離の変更に先立って、カバーチューブ120とばね下部側ユニット134との相対移動が禁止され、かつ、ばね上部側ユニット136の伸縮が許容される状態が実現される。そして、この状態において、アクチュエータ力によって、ばね上部側ユニット136が伸縮させられる。したがって、シリンダ装置52によって車体車輪間距離の変更動作が行われる際には、コイルスプリング50がばねとして機能しない状態となる。このことから、車両の乗り心地の悪化等を防ぐため、車体車輪間距離変更制御においては、4輪とも同時に車体車輪間距離を変更するのではなく、他の輪においては振動減衰制御等を実行しつつ、1輪ずつ順番に車体車輪間距離を変更するようにされている。
また、上述した車高変更スイッチ174の操作による車高変更,高速走行時の自動車高変更の場合、設定車高に対応する車体車輪間距離(以下、「選択車体車輪間距離」という場合がある)が、現在選択されている設定車高の対応する距離から、新たに選択された設定車高に対応する距離にされて、シリンダ装置52による車体車輪間距離の変更動作が行われる。このような場合、車体車輪間距離を、1輪ずつ順番に、一気に新たな選択車体車輪間距離まで変更すれば、車高を変化させる途中に、比較的大きく車体が傾斜してしまうことになる。そこで、本サスペンションシステム10では、1回の変更を比較的短い距離に制限し、1輪ずつ順番に複数回に分けて車体車輪間距離を変更するようにしている。
コントローラ152内には、選択車高に応じた選択車体車輪間距離HSが格納されており、車体車輪間距離変更制御では、その距離HSとストロークセンサ172により検出される実際の車体車輪間距離(以下、「実車体車輪間距離」という場合がある)Hとの関係に応じて、一度の変更動作において目標となる車体車輪間距離(以下、「目標車体車輪間距離」という場合がある)H*が決定される。詳しく言えば、一度の変更動作において変更を予定する距離αは、コントローラ152内に格納されており、目標車体車輪間距離H*は、実車体車輪間距離Hと選択車体車輪間距離HSとが比較に基づき、車体車輪間距離を増加させる必要があるには、次式に従って決定され、
*=H+α
実車体車輪間距離Hを減少させる必要がある場合には、次式に従って決定される。
*=H−α
このような目標車体車輪間距離H*の決定が1輪ごと順番に繰り返し行われ、車体車輪間距離が、1輪ずつ順番に、しかも、段階的に、選択車体車輪間距離HSまで変更されることになる。なお、選択車体車輪間距離HSと実車体車輪間距離Hとの差がα未満である場合には、目標車体車輪間距離H*は選択車体車輪間距離HSとされる。また、本システム10では、一度の変更動作において、基本的には、あらかじめ設定された距離αずつ変更するように目標車体車輪間距離H*を決定しているが、実車体車輪間距離Hと選択車体車輪間距離HSとの差をあらかじめ設定された回数で分割した距離ずつ変更するように目標車体車輪間距離H*を決定してもよい。
車体車輪間距離変更制御において、車体車輪間距離の変更動作を行うシリンダ装置52の順序は、予め設定されている。具体的に言えば、右前輪→左後輪→左前輪→右後輪→右前輪→・・・・という順序に設定されている。なお、実車体車輪間距離Hが選択車体車輪間距離HSと略等しくなっている場合には、その車輪のシリンダ装置52による車体車輪間距離の変更動作は実行されず、次に予定されている車輪についての車体車輪間距離変更動作が実行される。すべての車輪についての実車体車輪間距離Hが選択車体車輪間距離HSと略等しくなっている場合に、車体車輪間距離変更制御は、実質的に終了することになる。
シリンダ装置52による車体車輪間距離の変更動作は、以下のようにして行われる。まず、車体車輪間距離を増加させる場合には、ばね上重量等に抗して車体車輪間距離を穏やかに増加させるべく、ばね上重量等によって車体車輪間距離が変更させられない大きさのアクチュエータ力よりわずかに大きなアクチュエータ力(以下、「距離増加用アクチュエータ力」という場合がある)をアクチュエータ138によって発生させ、車体車輪間距離を減少させる場合には、ばね上重量等を利用して車体車輪間距離を穏やかに減少させるべく、ばね上重量等によって車体車輪間距離が変更させられない大きさのアクチュエータ力よりわずかに小さなアクチュエータ力(以下、「距離減少用アクチュエータ力」という場合がある)をアクチュエータ138によって発生させる。このアクチュエータ力の発生とともに、制御弁116を開弁し、締付バンド132を作動させることで、液室110に対して作動液を流出入させる。その結果、ばね上部側ユニット136が伸縮させられ、車体車輪間距離が穏やかに増減させられることになる。そして、実車体車輪間距離Hが目標車体車輪間距離HSとなった場合に、制御弁116を閉弁し、締付バンド132を緩め、発生させていたアクチュエータ力を解除する。
なお、車体車輪間距離変更制御は、前述した振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御と選択的に実行される。詳しく言えば、車体車輪間距離変更制御に対しては、禁止条件が設定されている。具体的に言えば、車体にロールモーメント,ピッチモーメントが作用していること、ばね上振動とばね下振動との少なくとも一方が発生していることとの少なくとも一方を充足する場合に、車体車輪間距離変更制御が禁止されるのである。そして、車体車輪間距離変更制御が実行されない場合には、上記振動減衰制御等が実行されるようになっている。言い換えれば、振動減衰制御等を優先し、それらの実行が必要ないと判断される状態において、車体車輪間距離変更制御が実行されるのである。
≪サスペンション装置制御プログラム≫
上述のような制御は、図4〜図7にフローチャートを示す3種のプログラムが、コントローラ152によって実行されることで行われる。3種のプログラムは、それぞれ、選択車体車輪間距離を決定するための選択車体車輪間距離決定プログラム,車体車輪間距離変更制御を実行する車輪を決定するための車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラム,4つのサスペンション装置20の各々を制御するためのサスペンション装置制御プログラムであり、各プログラムは、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec)をおいて繰り返し実行される。なお、それら3種のプログラムは、並行して実行される。以下に、それぞれのプログラムによる制御処理のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
i)選択車体車輪間距離決定プログラム
選択車体車輪間距離決定プログラムに従う処理では、運転者によって選択された設定車高を示すフラグである選択車高フラグGHが用いられ、そのフラグGHに基づき、選択された設定車高に対応する選択車体車輪間距離HSが決定される。そのフラグGHのフラグ値0,1,2は、それぞれLow車高,Mid車高,Hi車高に対応するものとされている。なお、説明を簡単にするため、決定される選択車体車輪間距離HSは、全ての車輪に対して同じ値に決定されることとする。
本プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、車速vが閾速v0以上となっているか否かが判断される。車速vが閾速v0以上となっていると判断される場合には、車両の走行の安定性に鑑みて車高をlow車高とすべく、S2において、目標車高フラグGHのフラグ値が0とされる。車速vが閾速v0以上となっていないと判断される場合には、S3において、車高変更スイッチ174の操作に基づく指令が発令されたか否かが判断され、発令されていると判断される場合には、S4〜S8において、車高増加指令あるいは車高減少指令であるかに応じて、選択車高フラグGHのフラグ値が変更される。選択車高フラグGHのフラグ値が決定されると、S9において、そのフラグ値に応じた選択車体車輪間距離HSが決定される。以上の一連の処理を行って、本プログラムの1回の実行が終了する。
ii)サスペンション装置制御プログラム
サスペンション装置制御プログラムは、4つのサスペンション装置20の各々の作動、詳しく言えば、電動モータ64,制御弁116,締付バンド132の作動を、サスペンション装置20ごとに制御するものであり、実際には、サスペンション装置20ごとに、4つのプログラムが並行して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのサスペンション装置20に対しての本プログラムによる処理について説明する。
本プログラムに従う処理では、まず、S11において、本プログラムに従う処理が実行されているサスペンション装置20に対応する車輪が、車体車輪間距離変更制御の実行の対象となっている車輪であるか否かが判断される。具体的には、後に説明する車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラムによって決定されている車輪と、本プログラムに従う処理が実行されているサスペンション装置20に対応する車輪とが同じか否かが判断される。同じであると判断された場合には、S12において、上述した車高変更禁止条件を充足しているか否かが判断される。充足していないと判断された場合には、S13において、実車体車輪間距離Hが取得され、S14において、実車体車輪間距離Hが選択車体車輪間距離HSとなっているか否か、厳密に言えば、選択車体車輪間距離HSに対しての僅かな誤差の範囲内に収まっているか否かが判断される。選択車体車輪間距離HSなっていないと判断された場合には、S15において、図6にフローチャートを示す車体車輪間距離変更制御サブルーチンが実行される。
車体車輪間距離変更制御サブルーチンでは、まずS31において、車体車輪間距離制御の実行の対象となる車輪が変更された否かが判断される。この判断は、後に説明する車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラムに従う処理によって発令された実行車輪変更指令に基づいて行われる。実行車輪が変更されたと判断された場合には、選択車体車輪間距離HSと実車体車輪間距離Hとが比較され、S32〜S36において、上述のように目標車体車輪間距離H*が決定される。実行車輪が変更されていない場合には、目標車体車輪間距離H*の決定処理は、スキップされる。
続いて、S38において、実車体車輪間距離Hと目標車体車輪間距離H*との大小関係が判断される。実車体車輪間距離Hが目標車体車輪間距離H*より大きいと判断された場合には、実車体車輪間距離Hを減少させるべく、S39において、上記距離減少用アクチュエータ力に対応する指令がインバータ154に発令される。また、実車体車輪間距離Hが目標車体車輪間距離H*より小さいと判断された場合は、実車体車輪間距離Hを増加させるべく、S40において、上記距離増加用アクチュエータ力に対応する指令がインバータ154に発令される。インバータ154への指令の後、S41において、制御弁116を開弁する指令がドライバ156に発令され、続いて、S42において、締付バンド132を作動させる指令がドライバ158に発令される。
また、S37において、実車体車輪間距離Hが目標車体車輪間距離H*となっていると判断された場合は、S43において、制御弁116を閉弁する指令がドライバ156に発令され、S44において、締付バンド132を解除する指令がドライバ158に発令され、続いて、S45において、電動モータ64の作動を停止する指令がインバータ154に発令され、アクチュエータ力が解除される。次に、S46において、本プログラムに従う処理が実行されているサスペンション装置20に対応する車輪の車体車輪間距離の変更が完了したことを示す距離変更完了指令が発令され、車体車輪間距離変更制御サブルーチンの実行が終了する。
メインルーチンのS12において、前述の車体車輪間距離変更制御の禁止条件(車高変更の禁止条件)を充足している場合には、S16〜S18において、車体車輪間距離の変更を停止する処理が実行された後、若しくは、S14において、実車体車輪間距離Hが選択車体車輪間距離HSとなっていると判断された場合には、S19において、上記距離変更完了指令が発令された後、S20以降の処理が実行される。また、S11において、本プログラムに従う処理が実行されているサスペンション装置20に対応する車輪が、車体車輪間距離変更制御の実行の対象でないと判断された場合にも、S20以降の処理が実行される。
S20以降の処理は、振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御を一元的に実行する処理である。その処理では、まずS20において、ばね上縦加速度Gs,ばね下縦加速度Ggから演算されるばね上絶対速度Vs,ばね下絶対速度Vgに基づいて、前述のように、振動減衰制御のための減衰成分FGが決定される。次に、S21において、制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制制御のためのロール抑制成分FRが、前述のようにして決定され、S22において、実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制制御のためのピッチ抑制成分FPが、前述のようにして決定される。続いて、S23において、減衰成分FGと、ロール抑制成分FRと、ピッチ抑制成分FPとが合計されることによって、目標アクチュエータ力FAが決定され、S24において、決定された目標アクチュエータ力FAに対応する指令が、インバータ152に発令される。以上の一連の処理の後、本プログラムの1回の実行が終了する。
iii)車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラム
車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラムに従う処理では、車体車輪間距離変更制御の実行の対象となる車輪を示す車体車輪間距離変更車輪フラグGTが用いられ、そのフラグGTに基づき車体車輪間距離変更制御が実行される。そのフラグGTのフラグ値1,2,3,4は、それぞれ右前輪,左後輪,左前輪,右後輪に対応するものとされている。
本プログラムに従う処理では、まず、S50において、前述の距離変更完了指令が発令されたか否かが判断され、指令が発令されたと判断された場合には、S51において、車体車輪間距離変更車輪フラグGTの示す車輪が右後輪であるか否かが判断される。右後輪でないと判断された場合は、S52において、車体車輪間距離変更車輪フラグGTのフラグ値に1が加算され、右後輪であると判断された場合には、S53において、そのフラグ値が1とされる。フラグ値が変更された場合には、S54において、車体車輪間距離変更制御の実行の対象となる車輪が変更された旨の指令が発令される。以上の一連の処理の後、本プログラムの1回の実行が終了する。
≪コントローラの機能構成≫
上記サスペンション装置制御プログラム実行するコントローラ152は、それの実行処理に鑑みれば、図8に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ152は、上記選択車体車輪間距離決定プログラムの処理を実行する機能部、つまり、選択車体車輪間距離HSを決定する機能部として、選択車体車輪間距離決定部180を、上記車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラムの処理を実行する機能部、つまり、車体車輪間距離変更制御を実行すべき車輪を決定する機能部として、車体車輪間距離変更制御実行車輪決定部182を、上記サスペンション装置制御プログラムの処理を実行する機能部、つまり、各サスペンション装置20の備えるアクチュエータ138,制御弁116,締付バンド132を制御する機能部として、サスペンション装置制御部184を有している。
サスペンション装置制御部184は、S16,S41,S43の処理を実行する機能部、つまり、制御弁116の作動を制御することで、ばね上部側ユニット136の伸縮を許容する機構を制御する機能部として、伸縮許容機構制御部186を、S17,S42,S44の処理を実行する機能部、つまり、締付バンド132の作動を制御することで、ばね上部側ユニット136とばね下部側ユニット134との相対移動を禁止する機構を制御する機能部として、相対移動禁止機構制御部188を、S20〜S24,S39,S40等の処理を実行する機能部、つまり、アクチュエータ138が発生させるアクチュエータ力を制御する機能部として、アクチュエータ力制御部190を有している。
アクチュエータ力制御部190は、S20,S24等の処理を実行する機能部、つまり、アクチュエータ力をばね上振動に対する減衰力として発生させる機能部として、振動減衰制御部192を、S21,S24等の処理を実行する機能部、つまり、アクチュエータ力をロール抑制力として発生させる機能部として、ロール抑制制御部194を、S22,S24等の処理を実行する機能部、つまり、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる機能部として、ピッチ抑制制御部196を、S15の処理を実行する機能部、つまり、アクチュエータ力によって車体車輪間距離、言い換えれば、ばね上ばね下間距離を変更する機能部として、ばね上ばね下間距離変更制御部198を備えている。
請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1の車両用サスペンションシステムの備えるサスペンション装置を示す模式図である。 図1の車両用サスペンションシステムの備えるサスペンション装置を構成してショックアブソーバとして機能するシリンダ装置を示す概略断面図である。 選択車体車輪間距離決定プログラムを示すフローチャートである。 サスペンション装置制御プログラムを示すフローチャートである。 サスペンション装置制御プログラムにおいて実行される車体車輪間距離変更制御サブルーチンを示すフローチャートである。 車体車輪間距離変更制御実行車輪決定プログラムを示すフローチャートである。 サスペンション装置の制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 36:第2ロアアーム(ばね下部) 50:コイルスプリング(サスペンションスプリング) 52:シリンダ装置 54:マウント部(ばね上部) 62:インナチューブ(連結部) 64:電動モータ 68:モータケース(連結部) 80:ねじロッド(ねじ機構,雄ねじ部) 82:ナット(ねじ機構,雌ねじ部) 102:上部部材(連結部) 104:下部部材(スプリング支持部) 110:液室(伸縮許容機構) 112:リザーバ(伸縮許容機構) 114:連通路(伸縮許容機構) 116:制御弁(流通弁,伸縮許容機構) 120:カバーチューブ(スプリング支持部) 132:締付バンド(係合実現体,相対移動禁止機構) 134:ばね上部側ユニット(一方部側ユニット) 136:ばね下部側ユニット(他方部側ユニット) 138:アクチュエータ 150:サスペンション電子制御ユニット(制御装置) 192:振動減衰制御部 198:ばね上ばね下間距離変更制御部

Claims (6)

  1. ばね上部とばね下部との間に配設されるサスペンションスプリングと、
    (A)ばね上部とばね下部との一方である一方部に連結される連結部と、前記サスペンションスプリングの前記一方部側の端部を支持するスプリング支持部とを有する一方部側ユニットと、(B)ばね上部とばね下部との他方である他方部に連結され、前記一方部側ユニットと上下方向において相対移動可能とされる他方部側ユニットと、(C)電動モータを有し、その電動モータが発生させる力に依拠して、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとに対してそれらの相対移動の方向の力を付与する電磁式のアクチュエータと、
    前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動を禁止する相対移動禁止機構と、
    その相対移動禁止機構によって前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動が禁止された状態において、前記連結部と前記スプリング支持部との上下方向における間隔の変化を伴うところの前記アクチュエータの力による前記一方部側ユニットの伸縮を許容する伸縮許容機構とを備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記相対移動禁止機構が、前記スプリング支持部と前記他方部側ユニットとの相対移動を禁止するものである車両用サスペンションシステム。
  2. 前記伸縮許容機構が、内部に作動液を収容するともに前記連結部とスプリング支持部との間隔の変化に応じて容積が変化する液室を有し、その液室に対する作動液の流出入を許容することで前記一方部側ユニットの伸縮を許容する構造とされた請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. ばね上部とばね下部との間に配設されるサスペンションスプリングと、
    (A)ばね上部とばね下部との一方である一方部に連結される連結部と、前記サスペンションスプリングの前記一方部側の端部を支持するスプリング支持部とを有する一方部側ユニットと、(B)ばね上部とばね下部との他方である他方部に連結され、前記一方部側ユニットと上下方向において相対移動可能とされる他方部側ユニットと、(C)電動モータを有し、その電動モータが発生させる力に依拠して、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとに対してそれらの相対移動の方向の力を付与する電磁式のアクチュエータと、
    前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動を禁止する相対移動禁止機構と、
    その相対移動禁止機構によって前記一方部側ユニットと前記他方側ユニットとの相対移動が禁止された状態において、前記連結部と前記スプリング支持部との上下方向における間隔の変化を伴うところの前記アクチュエータの力による前記一方部側ユニットの伸縮を許容する伸縮許容機構とを備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記伸縮許容機構が、内部に作動液を収容するともに前記連結部とスプリング支持部との間隔の変化に応じて容積が変化する液室を有し、その液室に対する作動液の流出入を許容することで前記一方部側ユニットの伸縮を許容する構造とされた車両用サスペンションシステム。
  4. 前記伸縮許容機構が、作動液を貯留するリザーバと、そのリザーバと前記液室とを作動液を通過可能に繋ぐ連通路と、その連通路に設けられて前記リザーバと前記液室との間を作動液を流通させるための流通弁とを有する請求項2または請求項3に記載の車両用サスペンションシステム。
  5. 前記相対移動禁止機構が、
    自身の変形によって前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分とを係合させる係合実現体を有し、その係合実現体によって、前記一方部側ユニットの少なくとも一部分と前記他方部側ユニットの少なくとも一部分とが係合する状態において前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの相対移動を禁止する構造とされ、
    前記係合実現体が、自身への電圧の印加によって変形する導電性高分子を含んで構成された請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  6. 前記アクチュエータが、
    互いに螺合する雄ねじ部と雌ねじ部との一方が、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの一方に設けられるとともに、それら雄ねじ部と雌ねじ部との他方が、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの他方に回転可能に設けられ、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとの相対移動に伴って、前記雄ねじ部と雌ねじ部との他方が回転する構造のねじ機構を有し、前記電動モータが前記雄ねじ部と雌ねじ部との他方に回転力を付与することで、前記一方部側ユニットと前記他方部側ユニットとに対してそれらの相対移動の方向の力を付与するものとされた請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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