JP2010195295A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、定められた規則に基づいて制御する第1制御(S7)と、(B)モータの各相の通電端子間を相互に短絡させることで、アクチュエータ力を、モータに生じる起電力に依拠した大きさの制動力として発生させる第2制御(S10)とを選択的に実行可能に構成し、第2制御から第1制御へ切り換える際に、第1制御が実行された場合にアクチュエータが発生させるべきアクチュエータ力FAと第2制御が実行された場合にアクチュエータが発生させることになるアクチュエータ力FSとに基づき、それらの各々を重み付けを行って足し合わせることで、目標アクチュエータ力F*を決定し(S16,17)、その決定された目標アクチュエータ力F*となるようにアクチュエータ力を制御する制御切換時制御を実行可能に構成する。
【選択図】図6
Description
そのアクチュエータが有する電磁モータの各相の通電端子間を相互に導通させた端子間導通状態と、それら通電端子間を相互には導通させずに電源からその電磁モータへの電流の流れを許容する端子間非導通状態とを切り換える導通・非導通切換器と、
それらアクチュエータと導通・非導通切換器とを制御する制御装置であって、(A)前記導通・非導通切換器によって端子間非導通状態を実現するとともに、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、定められた規則に基づいて制御する第1制御と、(B)前記導通・非導通切換器によって端子間導通状態を実現することで、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、電磁モータに生じる起電力に依拠した大きさの制動力として発生させる第2制御とを、選択的に実行する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
前記第1制御と前記第2制御との一方からそれら第1制御と第2制御との他方へ切り換える際に、前記導通・非導通切換器によって端子間非導通状態を実現するとともに、前記第1制御が実行された場合に前記アクチュエータが発生させるべきアクチュエータ力である第1制御時アクチュエータ力と前記第2制御が実行された場合に前記アクチュエータが発生させることになるアクチュエータ力である第2制御時アクチュエータ力とに基づき、それらの各々を重み付けを行って足し合わせることで、前記アクチュエータに発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力を決定し、その決定された目標アクチュエータ力となるように、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御する制御切換時制御を実行することを特徴とする車両用サスペンションシステム。
(i)前記第1制御から前記第2制御に切り換える際に、時間の経過とともに、前記第1制御時アクチュエータ力の重み付けを減少させつつ、前記第2制御時アクチュエータ力の重み付けを増加させ、(ii)前記第2制御から前記第1制御に切り換える際に、時間の経過とともに、前記第1制御時アクチュエータ力の重み付けを増加させつつ、前記第2制御時アクチュエータ力の重み付けを減少させて、前記目標アクチュエータ力を決定し、その決定された目標アクチュエータ力となるように、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御するように構成された(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
前記制御切換時制御を、前記第1制御から前記第2制御に切り換える際には実行せず、前記第2制御から前記第1制御に切り換える際にのみ実行する(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
通常時に前記第1制御を実行し、ばね下部が勢いよく動作させられるような状況下において前記第2制御を実行する(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
通常時に前記第1制御を実行し、電源の残存エネルギ量が設定値より少ない状況下において前記第2制御を実行する(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、少なくとも、ばね上部の振動を減衰させるための振動減衰力として発生させる制御である(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
(a)電源の高電位側端子と前記電磁モータの1つの相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と(b)電源の低電位側端子と前記電磁モータの1つの相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁モータの総数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁モータを流れる電流を制御しつつその電磁モータを駆動する駆動回路を備えた(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
前記複数のスイッチング素子対のスイッチング素子の作動を制御することによって、前記端子間導通状態を実現して第2制御を実行する、あるいは、前記端子間非導通状態を実現するとともに前記電磁モータを流れる電流を制御することにより前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御して第1制御を実行するように構成されることで、前記駆動回路を前記導通・非導通切換器として機能させる(7)項に記載の車両用サスペンションシステム。
図1に、請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
i)標準制御(第1制御)
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20が有するアクチュエータ30の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ30のアクチュエータ力が独立して制御されて、定められた規則に基づいた第1制御としての標準制御が実行される。詳しく言えば、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある),車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が、並行して実行される制御である。上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して、アクチュエータ30に発生させるべきアクチュエータ力が決定され、アクチュエータ30がその決定された大きさのアクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御と、擬似的なグランドフックダンパ理論に基づいた制御との両者を総合して行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたばね上縦加速度センサ174によって検出されるばね上縦加速度から得られる車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上絶対速度Vsと、ロアアーム22に設けられたばね下縦加速度センサ176によって検出されるばね下縦加速度から得られる車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下絶対速度Vgとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
FV=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Cs,Cgは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ30にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ30にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ172によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
FR=K3・Gy* (K3:ゲイン)
車両の制動時等の減速時において車体のノーズダイブが生じる場合には、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車両の加速時において車体のスクワットが生じる場合には、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合のばね上ばね下間距離の変動を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ170によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
FP=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ178によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ180によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
標準制御におけるアクチュエータ30の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である標準アクチュエータ力FAに基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って標準アクチュエータ力FAが決定される。
FA=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された標準アクチュエータ力FAが目標アクチュエータ力F*とされ、その目標アクチュエータ力F*を発生させるためのモータ44の作動制御が、インバータ146によって行われる。詳しく言えば、上述の目標アクチュエータ力F*に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、インバータ146の備えるスイッチング素子の開閉が制御されて、目標アクチュエータ力F*を発生させるようにモータ44を作動させる。
例えば、バッテリ150の充電量(残存容量)が少なくなった場合、バッテリ150からアクチュエータ30の各々へそれらが必要とする電力を供給できず、4つのアクチュエータ30が目標とされる大きさのアクチュエータ力を発生し得ない虞がある。そこで、本サスペンションシステム10においては、充電量センサ182によって検出されたバッテリ150の残存エネルギ量Eが設定値E0より少なくなった場合に、先に述べた標準制御に代えて、4つのアクチュエータ30のすべてに対応するモータ44の各相の通電端子間を相互に短絡させ、アクチュエータ力を制動力として発生させる第2制御としての短絡制動制御が実行されるようになっている。つまり、本システム10においては、駆動回路としてのインバータ146が、導通・非導通切換器として機能するようになっている。
FS=C・ω (C:短絡時減衰係数)
ちなみに、モータ44の回転速度ωは、モータ44に設けられているレゾルバ192の検出結果から取得することができる。
例えば、バッテリ150の残存エネルギ量Eが設定値E0より少ない状況下となり、上述した短絡制動制御が実行されれば、アクチュエータ30による消費電力は0とされるとともに、車両に搭載される充電装置(図示省略)によってバッテリ150は充電される。そのため、バッテリ150の残存エネルギ量Eが設定値E0より少ない状況下から、正常な状態に復帰することになる。したがって、バッテリ150の残存エネルギ量Eが設定値E0以上となった場合には、標準制御に戻されるようになっている。また、ばね下部が勢いよく動作させられる状況下にあるのは、悪路を走行している場合や路面の凹凸を通過する場合など一時的であるため、その状況下になくなった場合にも、標準制御に戻されるようになっている。なお、ばね下縦加速度Gzgが設定値G0を超えて短絡制動制御が実行されている場合、設定時間Tの間、ばね下縦加速度Gzgが設定値G0以下である状態が継続した場合に、標準制御に戻される。
F*=(1−α)FS・+α・FA
なお、その重み付け係数αは、上記の条件を満たした時点からの経過時間tに対して、図5に示すように定められており、0から1に漸変するものである。つまり、制御切換時制御によって、時間の経過とともに、短絡アクチュエータ力FSに対して、標準アクチュエータ力FAの割合が漸増させられるのであり、本システム10においては、短絡制動制御から標準制御へ徐々に変更されることになる。したがって、本システム10によれば、先に述べた制御の切り換えに伴ってアクチュエータ力が急変することもなく、短絡制動制御から標準制御への切り換えがスムーズに行われるため、車両の乗り心地の悪化を抑制することが可能である。
上述したようなアクチュエータ30の制御は、図6にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔Δt(例えば、数msec〜数十msec)をおいてECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ30の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ30に対してのプログラムによる処理について説明する。
Claims (5)
- 電磁モータを有し、その電磁モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する向きの力であるアクチュエータ力を発生させるアクチュエータと、
そのアクチュエータが有する電磁モータの各相の通電端子間を相互に導通させた端子間導通状態と、それら通電端子間を相互には導通させずに電源からその電磁モータへの電流の流れを許容する端子間非導通状態とを切り換える導通・非導通切換器と、
それらアクチュエータと導通・非導通切換器とを制御する制御装置であって、(A)前記導通・非導通切換器によって端子間非導通状態を実現するとともに、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、定められた規則に基づいて制御する第1制御と、(B)前記導通・非導通切換器によって端子間導通状態を実現することで、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を、電磁モータに生じる起電力に依拠した大きさの制動力として発生させる第2制御とを、選択的に実行する制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
前記第1制御と前記第2制御との一方からそれら第1制御と第2制御との他方へ切り換える際に、前記導通・非導通切換器によって端子間非導通状態を実現するとともに、前記第1制御が実行された場合に前記アクチュエータが発生させるべきアクチュエータ力である第1制御時アクチュエータ力と前記第2制御が実行された場合に前記アクチュエータが発生させることになるアクチュエータ力である第2制御時アクチュエータ力とに基づき、それらの各々を重み付けを行って足し合わせることで、前記アクチュエータに発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力を決定し、その決定された目標アクチュエータ力となるように、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御する制御切換時制御を実行することを特徴とする車両用サスペンションシステム。 - 前記制御切換時制御が、
(i)前記第1制御から前記第2制御に切り換える際に、時間の経過とともに、前記第1制御時アクチュエータ力の重み付けを減少させつつ、前記第2制御時アクチュエータ力の重み付けを増加させ、(ii)前記第2制御から前記第1制御に切り換える際に、時間の経過とともに、前記第1制御時アクチュエータ力の重み付けを増加させつつ、前記第2制御時アクチュエータ力の重み付けを減少させて、前記目標アクチュエータ力を決定し、その決定された目標アクチュエータ力となるように、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御するように構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
前記制御切換時制御を、前記第1制御から前記第2制御に切り換える際には実行せず、前記第2制御から前記第1制御に切り換える際にのみ実行する請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
通常時に前記第1制御を実行し、ばね下部が勢いよく動作させられるような状況下において前記第2制御を実行する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
通常時に前記第1制御を実行し、電源の残存エネルギ量が設定値より少ない状況下において前記第2制御を実行する請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用サスペンションシステム。
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