JP5234775B2 - 車両挙動試験装置 - Google Patents
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なお、拘束力算出部105のパラメータCcはダビング、Kcはバネ剛性、sはラプラス演算子である。
(1)試験車両の質量と駆動側から見た質量を一致させるために、制御によりローラの慣性を等価的に変更している。このため、制御応答が悪いと過渡的に設定した質量での試験が出来ない。
(2)車体を拘束する装置と車体の剛性が低いと、過渡的に車で発生したエネルギーの一部が拘束装置と車体に蓄えられるため、試験が正確に実施できない。これによって、図12で示すよう、実路上の駆動力とシャシーダイナモ上の駆動力に差異が発生する。すなわち、図12(a)で示すようにアクセル開度を全開としたとき、(b)図で示すように実線で示す実路と点線で示すシャシーダイナモ上で駆動力の差異が生じる。
前記ASR部をコントローラ設計手法に基づいて設計すると共に、前記電気慣性制御回路に拘束装置と車両剛性の特性を伝達関数で同定した特性モデルを設け、この特性モデルに車両側から検出された駆動力検出信号を入力し、この特性モデルの出力信号から走行抵抗指令と機械損失指令を減算して慣性部に入力して設定電気慣性信号を演算し、求めた設定電気慣性信号と前記角速度検出信号との差信号を前記ASR部に出力するよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の請求項3は、前記特性モデルの入力は、駆動力演算部により演算された演算駆動力信号であることを特徴としたものである。
前記トルクメータ特性モデルを介して生成されたトルク検出信号と重み付された軸トルク検出誤差信号の和を軸トルク検出信号とし、且つ前記エンコーダ特性モデルを介して検出された動力計角速度信号と重みつけされた動力計角速度信号との和と、重みつけされた角速度指令との差信号を動力計角速度の検出信号としてそれぞれコントローラへの観測信号として入力し、このコントローラからの出力をインバータへのトルク電流指令をコントローラからの出力信号とするよう構成
したことを特徴とするものである。
特性モデル11は、拘束装置と車両剛性の特性を任意の伝達関数に同定したものである。減算部16では、走行抵抗指令と機械損失指令との減算処理が実行され、その差分が減算部12において特性モデル11の出力信号から差分の演算がされて慣性部13に入力される。慣性部13では、入力信号に基づいて設定電気慣性EICーJを所望の値に設定し積分する。積分された出力信号と角速度検出信号との差演算が減算部14で実行されて設定電気慣性信号が生成され、コントローラ設計手法に基づいて設計されたASR(速度制御)部15を介して速度制御することで駆動力信号と拘束装置の特性を考慮した車両の過渡的な挙動試験を可能としたものである。
拘束装置と車両剛性の特性パラメータを把握するために、被試験車両が変更された場合や、変更がなくとも車両に搭載される積荷が満載か空かなどのように重量変更がある場合の車両重量Mcarを設定し、スロットル、若しくはアクセル開度全開(WOT)時のデータを複数回収集して拘束装置と車両剛性の特性パラメータCc、Kcを把握する。
[G]=(Cc・s+Kc)/(Mcar・s2+Cc・s+Kc)…… (1)
求められた伝達関数[G]は、駆動力信号から拘束力信号の伝達関数であり、S13でローパスフィルタ処理を実行後に伝達関数[G]を用いてS15で最小二乗法により同定し、S16では同定パラメータを微調整し、この微調整した特性パラメータCc、Kcを用いて伝達関数[Gfit]を求める。S18では、先に抽出した拘束力[Fout]と今回算出した伝達関数[Gfit]による拘束力[Ffit-out]との差分を誤差評価値としてシミュレーションを実行する。この過程をS11で分割した数回分繰返して誤差評価値を求め、確からしい評価となったときに駆動力から拘束力までの伝達関数の各パラメータが出力される。
駆動力Fxに対する車両速度Vの応答を、実路上とシャシーダイナモメータ上とで一致させるようにダイナモメータを制御するとき、実路上の特性は(1)式となり、シャシーダイナモメータ上の特性は(2)式となる。
(1)式、(2)式よりGdynamoは(3)式となる。
Gdynamo特性はVEIC-ωref/Fxとなり(ただし、VEIC-ωrefは電気慣性角速度指令)、図1に示す慣性部13の1/EIC-Jsは(5)式の1/Mcar・sに相当する。
したがって、特性モデル11で(5)式の特性を補正することでGdynamoと等しくし、駆動力信号Fxに対する車両速度Vの応答を、実路上とシャシーダイナモメータ上で一致させることができ、車両の挙動試験が精度よく実施可能となる。
外乱としてローラ表面駆動力w1、インバータトルク制御誤差w2、角速度指令w3、軸トルク観測ノイズw4、及び動力計角速度観測ノイズw5が入力され、観測量A',B'が検出されてコントローラ40に入力される。外乱信号は、実際にシャシーダイナモメータシステムが駆動されていることを想定し、その時の制御ループに発生するノイズが外乱信号となり、ここではw1〜w5の5つになっている。コントローラ40では、電気慣性の状態方程式のパラメータを設定し、ゲインが小さくなるようアルゴリズムに基づいてパラメータを決定する。また、このASRの一般化プラントモデルでは、制御量としてz1〜z4が生成される。
手段37(Gtm(s))は軸トルクを検出するトルクメータ特性生成手段(トルクメータ特性モデル)で、機械モデル50からの結合シャフトの軸トルクK12.Tを入力して所定のトルクメータ特性として加算手段39に出力する。加算手段39では、重み付けされた軸トルクの検出誤差信号とトルクメータ特性を加算して軸トルク検出値を生成して観測量A'としてコントローラ40に入力される。手段38(Genc(s))はエンコーダ特性生成手段(エンコーダ特性モデル)で、機械モデル50からの動力計角速度J2.wを入力して所定のエンコーダ特性を生成し、加算部42に出力する。加算部42では、重み付けされた動力計角速度検出誤差信号とエンコーダ特性を加算し、この加算信号は減算手段41において角速度指令と差演算が実行されて動力計角速度制御の偏差信号を生成し、観測量B'としてコントローラ40と手段48に出力する。手段48では動力計角速度制御の偏差信号に積分特性を持つ重み関数が付加され、手段46を介して動力計角速度制御信号z3として出力される。
コントローラ40では、入力された軸トルク検出値A'と動力計角速度検出値B'とを基に電気慣性の状態方程式のパラメータを設定し、ゲインが小さくなるようアルゴリズムに基づいてパラメータを決定するための所定の演算を実行し、手段44を介してトルク電流指令z1として出力すると共に、手段36に出力する。
手段36はインバータのトルク指令に対して実際に発生するトルク出力の応答特性を表すインバータ特性生成手段(インバータ特性モデル)で、応答特性としては、ある定数、または、高域でゲインが低くなるような特性にされ、そのトルク指令は加算手段43において重み付インバータのトルク制御誤差と加算された後、機械系モデル50へ動力計トルク信号J2.Tとして出力される。
同図において、21はローラ慣性モーメント要素で、その出力はローラ角速度J1.wとして一般化プラントへ出力すると共に、減算手段26に出力する。22はばね剛性要素で、減算手段26により演算された動力計角速度とローラ角速度の差信号が入力されてシャフト捩れトルクK12.T信号として一般化プラントへ出力すると共に、加算手段24と減算手段25に出力する。加算手段24では、ローラ表面にかかる車両駆動力によるローラの回転モーメントJ1.Tとシャフト捩れトルクK12.Tが加算されてローラ慣性モーメント要素21に入力される。また、減算手段25では、入力された動力計トルク信号J2.Tとシャフト捩れトルクK12.Tの差信号が求められて動力計慣性モーメント要素23に出力され、この動力計慣性モーメント要素23において動力計角速度J2.wを演算して一般化プラントへ出力すると共に、減算手段26に出力される。
図10において、拘束装置によって拘束されている車体の特性Vcarを(6)式とし、
13… 慣性部
15… ASR部
17… ローラ慣性トルク演算部
101… 駆動系モデル
102… シャシーダイナモメータモデル部
103… タイヤモデル
104… 速度演算部
105… 拘束力演算部
10…
Claims (6)
- ローラ上に載置した被試験車両を拘束装置で拘束し、設定電気慣性信号を生成する慣性部とASR部を有する電気慣性制御回路に、走行抵抗指令、機械損失指令、角速度検出信号及び軸トルク検出信号を入力してトルク電流指令を演算し、求めたトルク電流指令によりインバータを介して電気慣性制御を行うシャシーダイナモメータシステムにおいて、
前記ASR部をコントローラ設計手法に基づいて設計すると共に、前記電気慣性制御回路に拘束装置と車両剛性の特性を伝達関数で同定した特性モデルを設け、この特性モデルに車両側から検出された駆動力検出信号を入力し、この特性モデルの出力信号から走行抵抗指令と機械損失指令を減算して慣性部に入力して設定電気慣性信号を演算し、求めた設定電気慣性信号と前記角速度検出信号との差信号を前記ASR部に出力するよう構成したことを特徴とした車両挙動試験装置。 - 前記特性モデルは、被試験車両重量をMcar、ダンピングをCc、バネ剛性をKcとしたとき、(Cc・s+Kc)/(Mcar・s2+Cc・s+Kc)の演算を実行するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両挙動試験装置。
ただし、sはラプラス演算子 - 前記特性モデルの入力は、駆動力演算部により演算された演算駆動力信号であることを特徴とした請求項1又は2記載の車両挙動試験装置。
- 前記駆動力演算部は、1次のローパスフィルタを1/Td・s+1、ローパスフィルタの時定数Tdとし、シャシーダイナモメータシステムのローラ慣性Jrollerに角加速度dt/dωを乗算し、この乗算値と前記軸トルク検出値との差信号を出力するよう構成したことを特徴とした請求項3記載の車両挙動試験装置。
- 前記特性モデルは、拘束装置の拘束力検出信号を入力し、この拘束力検出信号から駆動力を推定するために、(Mcar・s2+Cc・s+Kc)/(Td・Cc・s2+Td・Kc・Cc・s+Kc)の演算を実行するよう構成したことを特徴とした請求項1記載の車両挙動試験装置。
- 前記コントローラ設計手法により設計されたASR部の一般化プラントは、重みつけされたローラ表面駆動力信号と動力計トルク信号を入力してローラ角速度とシャフトの軸トルク及び動力計角速度を演算する機械系モデル、この機械系モデルからの軸トルク信号を入力して軸トルクの検出特性を表すトルクメータ特性モデル、機械系モデルからの動力計角速度を入力して動力計角速度を検出するエンコーダ特性モデル及びコントローラの出力信号に基づくインバータトルク電流制御特性を表すインバータ特性モデルを有し、
前記トルクメータ特性モデルを介して生成されたトルク検出信号と重み付された軸トルク検出誤差信号の和を軸トルク検出信号とし、且つ前記エンコーダ特性モデルを介して検出された動力計角速度信号と重みつけされた動力計角速度信号との和と、重みつけされた角速度指令との差信号を動力計角速度の検出信号としてそれぞれコントローラへの観測信号として入力し、このコントローラからの出力をインバータへのトルク電流指令をコントローラからの出力信号とするよう構成したことを特徴とした請求項1又は2記載の車両挙動試験装置。
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