JP5414662B2 - ダイナモメータの特性マップ作成方法及びダイナモメータ - Google Patents
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この技術では、予め、モータの制御電流と出力トルクとの関係を求めておき、出力トルクが目標トルクと一致する制御電流をモータに出力することにより、モータの出力トルクのフィードフォワード制御を実現している。
すなわち、たとえば、同じ制御電流に対する出力トルクが回転速度に応じて変化するモータの制御電流と出力トルクと回転速度とのデータを実測し、実測したデータを解析して出力特性を算出する場合には、当該データにダイナモメータの共振成分やリップルなどの不要成分が含まれるため、出力特性を適正に算出することができない。一方で、データの実測時に、適当なフィルタを用いて平滑化を行って共振成分やリップルを除去するものとすると、当該平滑化は、出力特性とは無関係の時間軸方向について行われるため、算出される出力特性を歪ませてしまうこととなる。
したがって、本発明によれば、計測データから、容易に、電流指令値とモータの出力トルクと回転速度と関係を表す出力特性を適正に算出できるようになる。
ここで、このような特性マップ作成方法は、前記特性曲線生成ステップにおいて、前記n次元近似曲線上に、複数の代表点を設定し、設定した代表点を直線で結んだ曲線を、前記特性曲線として保存するように構成することも、特性マップ利用時の処理の容易性や高速性を担保する上で好ましい。
ここで、このようなダイナモメータは、前記モータに連結された、自動車のタイヤが載置されるローラを備えたシャシーダイナモメータであってもよい。または、当該ダイナモメータは、前記モータに自動車のエンジンまたはパワーユニットの出力軸が連結されるエンジンダイナモメータであってもよい。
図1に、本実施形態に係るシャシーダイナモメータの構成を模式的に示す。
ここで、図1aはシャシーダイナモメータの上面模式図を、図1bはシャシーダイナモメータの側面模式図を示している。
図示するように、このシャシーダイナモメータは、自動車用のシャシーダイナモメータであり、ピット1と、ピット1内に配置されたダイナモメータ2と、制御装置3とを備えている。
ここで、ダイナモメータ2は、図2に示すように、インバータ20、ベース21、左右一対の円筒形状のローラ22、ベース21に固定されたモータ23を有している。そして、各ローラ22の中心軸24は、ベース21に固定された二つの支柱25によって回動可能に支持されている。また、左側のローラ22の中心軸24の右端は、左軸トルク計26を介在して、モータ23のモータ軸27の左端に連結し、右側のローラ22の中心軸24の左端は、右軸トルク計28を介在して、モータ23のモータ軸27の右端に連結している。また、モータ23には、モータ軸27の回転速度を検出し、検出した回転速度を回転速度Rvとして制御装置3に出力する回転速度計29が設けられている。
そして、フィードバック制御系32は、減算器321、フィードバック制御部322とを備えている。また、フィードフォワード制御系33は、フィードフォワード制御部331と、特性マップ332とを備えている。
目標トルク設定部31は、予め定義された目標トルクの付与スケジュールや、回転速度と目標トルクとの対応などに従って、回転速度計29の出力する回転速度Rvなどの必要に応じて参照しつつ、現時点の目標トルクFtrg(N)を出力する。
フィードバック制御系32において、減算器321は、目標トルクFtrg(N)と出力トルクFo(N)の差分ΔF(N)を算出し、フィードバック制御部322は、差分ΔF(N)に基づいてPID制御を行って、差分ΔF(N)を0とするための第1電流指令値ACR(%)を出力する。
以下、このように制御装置3において用いられる特性マップ332の作成の詳細について説明する。
特性マップ332の作成は、計測データの取得と、計測データに基づき特性マップ332を作成する特性マップ作成処理の実行によって行われる。
まず、計測データの取得について説明する。
計測データの測定は、次のように行う。
すなわち、まず、図3に示すように、右軸トルク計28、左軸トルク計26を介してモータ23のモータ軸27に任意の負荷トルクを加える負荷装置201を設ける。
そして、計測データを蓄積するデータ記録部41とデータ計測を制御する測定制御部42とインバータ20に電流指令値ACR(%)を出力するACR制御部43とを備えたデータ計測装置4を、ダイナモメータ2と負荷装置201に接続する。
そして、測定制御部42は、予め定めておいた電流指令値ACR(%)の複数の計測ポイントであるACR計測ポイントの各々について以下の処理を行う。
すなわち、ACR制御部43を制御して、インバータ20に出力する電流指令値ACR(%)を、ACR計測ポイントと同じ値とする。そして、ACR計測ポイントと等しい電流指令値ACR(%)をインバータ20に出力している期間中に、負荷装置201を制御してモータ軸27に与える負荷を所定の負荷範囲において漸次的に変化させならが、各時点における電流指令値ACR(%)の値(ACR計測ポイント)と、ダイナモメータ2から出力される回転速度Rvと出力トルクFo(N)とを取得し、データ記録部41に計測データとして記録する。
次に、計測データに基づき特性マップ332を作成する特性マップ作成処理について説明する。
特性マップ作成処理は、図3に示すようにデータ計測装置4に接続した特性マップ作成装置6で実行される処理であり、特性マップ作成装置6は、特性マップ作成処理において、データ計測装置4のデータ記録部41に蓄積された計測データを用いて、特性マップ332を作成する。
図示するように、この処理では、上述した電流指令値ACR(%)のq個のACR計測ポイントの各々を着目ACR計測ポイント(i番目のACR計測ポイント)として(ステップ402、412、414)、以下の処理を行う。なお、ACR計測ポイントの数qは、上述のように、-100%、-90%、-80%、...-20%、-10%、10%、20%、...80%、90%、100%をACR計測ポイントとした場合は20となる。
すなわち、まず、着目ACR計測ポイントの電流指令値ACR(%)を含む計測データの全てを計測データ記録部から抽出する(ステップ404)。
そして、抽出した計測データから最小二乗法により、y=Fo、x=Rvとして式1に示すn次元近似曲線y=H(x)を算出する(ステップ406)。次元数nは、必要とする精度に応じて適当な値を設定する。
ここで、回転速度Rv複数のサンプルポイントRvjは、n次元近似曲線の形状の変化が滑らかな回転速度Rvの範囲では間隔を大きく定間隔に、n次元近似曲線の形状の変化が大きい回転速度Rvの範囲では間隔を小さくとるようにするのがよい。
そして、代表点Pjを直線で結んだ曲線を求め、求めた曲線を着目ACR計測ポイント(i番目のACR計測ポイント)の特性曲線とする(ステップ410)。ここで、代表点Pjを直線で結んだ曲線、すなわち、特性曲線は、n次元近似曲線を近似した曲線となる。
そして、各ACR計測ポイントの各々について以上の処理を行ったならば(ステップ412)、各ACR計測ポイントの各々について求めた特性曲線の集合を特性マップ332として保存し(ステップ416)、特性マップ作成処理を終了する。
以上、特性マップ作成処理の手順について説明した。
ここで、このような特性マップ作成処理の処理例を図5に示す。
図5aは、同じACR計測ポイントの計測データに対応するFo-Rv空間上の各ポイントを回転速度Rvの小さいものより順に結んだ曲線によって、Fo-Rv空間上の計測データの分布を示したものであり、各曲線は、下のものより順次、-100%、-90%、-80%、...-20%、-10%、10%、20%、...80%、90%、100%のACR計測ポイントに対応する曲線である。
そして、図5cは各ACR計測ポイントについて求めた代表点Pjを表し、図5dは各ACR計測ポイントについて求めた代表点Pjを直線で結んだ各ACR計測ポイントの特性曲線を表している。ここで、図5dの各特性曲線は、下のものより順次、-100%、-90%、-80%、...-20%、-10%、10%、20%、...80%、90%、100%のACR計測ポイントに対応する特性曲線である。
ここで、前述した制御装置3のフィードフォワード制御部331における、特性マップ332を用いた電流指令値ACR(%)は、より具体的には、たとえば、次のように行う。
すなわち、目標トルクFtrg(N)と回転速度計29の出力している現在の回転速度Rvの座標(Ftrg(N)、Rv)がいずれかの特性曲線上にあれば、その特性曲線に対応するACR計測ポイントを、電流指令値ACR(%)として算出する。
一方、座標(Ftrg(N)、Rv)がいずれかの特性曲線上に無い場合には、特性曲線からの補間によって電流指令値ACR(%)を算出する。すなわち、たとえば、座標(Ftrg(N)、Rv)がACR計測ポイントAの特性曲線LAとACR計測ポイントBの特性曲線Bの間にあり、座標(Ftrg(N)、Rv)からFo方向の特性曲線LAまでの距離をa、座標(Ftrg(N)、Rv)からFo方向の特性曲線LBまでの距離をbとして、
(b×A+a×B)/(a+b)を、電流指令値ACR(%)として算出するようにする。
なお、以上で示したシャシーダイナモメータの制御装置3は、四輪駆動車や自動二輪車用のシャシーダイナモメータにも同様に適用することができる。
また、以上のシャシーダイナモメータでは、ダイナモメータ2として軸トルク計でトルクを測定するタイプのダイナモメータを用いたが、ダイナモメータ2としては、軸周りに揺動可能に設けたモータ23と、モータ23の揺動に伴いモータ23に固定したアームから加わる荷重をトルクとして計測するロードセルとを備えた、揺動式のダイナモメータ2を用いるようにしてもよい。
Claims (5)
- モータと、電流指令値に従って前記モータをACR制御するインバータとを備えたダイナモメータにおいて、目標トルクと前記モータの回転速度に基づいて前記モータの出力トルクを前記目標トルクとするための前記電流指令値を算出するために用いられる、前記電流指令値と前記モータの回転速度と前記モータの出力トルクとの関係を表す特性マップを作成する特性マップ作成方法であって、
前記ダイナモメータの、前記電流指令値と前記回転速度と前記出力トルクとの組み合わせの実績値の各々を計測データとして取得する計測データ取得ステップと、
各電流指令値毎に、当該電流指令値における、前記回転速度と前記出力トルクとの関係を表す曲線を、当該電流指令値に対応する特性曲線として算出する特性曲線算出ステップと、
前記算出された各電流指令値に対応する特性曲線より表される特性マップを生成して保存する特性マップ生成ステップとを有し、
前記特性曲線算出ステップは、
前記特性曲線を作成する電流指令値を、対象電流指令値として、当該対象電流指令値に一致する電流指令値を含む計測データを、対象計測データとして抽出する対象計測データ抽出ステップと、
対象計測データを用いた最小二乗法によって、前記回転速度と前記出力トルクとの関係を表すn次元近似曲線を作成するn次元近似曲線作成ステップと、
前記n次元近似曲線、もしくは、当該n次元近似曲線を近似した曲線を、当該対象電流指令値に対応する特性曲線として保存する特性曲線生成ステップとを有することを特徴とする特性マップ作成方法。 - 請求項1記載の特性マップ作成方法であって、
前記特性曲線生成ステップにおいて、前記n次元近似曲線上に、複数の代表点を設定し、設定した代表点を直線で結んだ曲線を、前記特性曲線として保存することを特徴とする特性マップ作成方法。 - 請求項1または2記載の特性マップ作成方法で保存された特性マップと、
前記モータと、
前記インバータと、
前記モータの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記目標トルクと前記回転速度検出手段が検出したモータの回転速度に基づいて、前記特性マップを用いて前記電流指令値を算出することにより、前記モータの出力トルクを制御する制御手段とを有することを特徴とするダイナモメータ。 - 請求項3記載のダイナモメータであって、
当該ダイナモメータは、前記モータに連結された、自動車のタイヤが載置されるローラを備えたシャシーダイナモメータであることを特徴とするダイナモメータ。 - 請求項3記載のダイナモメータであって、
当該ダイナモメータは、前記モータに自動車のエンジンまたはパワーユニットの出力軸が連結されるエンジンダイナモメータであることを特徴とするダイナモメータ。
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