JP2009231579A - 基板処理装置及び基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理槽の内部に形成される処理液の循環領域を狭小化して処理液の置換効率を向上させるとともに、複数枚の基板の間隙に処理液を良好に流入させる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】下段ノズル14bの吐出孔141の向きを、底板11aの上面の法線Nに対して内側方向に5°以上かつ40°以下の角度θに設定する。これにより、吐出孔141から吐出された処理液の流圧が過度に低減されることはなく、また、内槽11の内部において大きな処理液の循環領域CAが形成されることもない。したがって、基板Wの間隙に処理液を良好に流入させつつ、内槽11の内部の処理液を効率よく置換できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板等の基板を処理液中に浸漬することにより、基板に対して洗浄、エッチング等の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
半導体の製造工程では、処理槽に貯留された処理液中に複数枚の基板を浸漬することにより、複数枚の基板を一括処理するいわゆるバッチ式の基板処理装置が使用されている。図19は、従来の基板処理装置の例を示した縦断面図である。図19に示したように、従来の基板処理装置100は、処理液を貯留する処理槽110と、処理槽110の内部において複数枚の基板Wを保持するリフタ120とを有する。基板処理装置100は、処理槽110の底部に配置された一対のノズル114から処理液を処理槽10内へ吐出し、処理槽110の上部から処理液をオーバーフローさせることにより、リフタ120に保持された複数枚の基板Wの表面に処理液を供給し、基板Wを処理する。
このようなバッチ式の基板処理装置については、例えば、特許文献1,2に開示されている。
特開2007−36189号公報 特開2007−266360号公報
従来の基板処理装置100では、一対のノズル114から吐出された処理液は、処理槽110の中央付近で合流し、処理槽110の上方へ向かう液流F1となる。しかしながら、液流F1を構成する処理液は、全て処理槽110の上部へ到達する訳ではなく、そのうちの一部は側方から下方へ向きを変えて再び処理槽110の底部へ向かう液流F2となる。これにより、処理槽110の内部に処理液が循環する領域(循環領域)CAが形成される。
このような循環領域CAが大きいと、処理槽110から処理液を効率よく排出することが困難となり、パーティクルや排出すべき成分が処理槽110の内部に長時間滞留してしまう恐れがあった。
一方、バッチ式の基板処理装置100では、リフタ120上に配列保持された複数枚の基板Wの間隙に、処理液を良好に流入させたいという要求もあった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、処理槽の内部に形成される処理液の循環領域を狭小化して処理液の置換効率を向上させるとともに、複数枚の基板の間隙に処理液を良好に流入させる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、処理液中に複数枚の基板を浸漬することにより、複数枚の基板を処理する基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の内部において複数枚の基板を保持する保持部と、前記処理槽の底部の近傍に配置され、前記保持手段に保持される複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から前記処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する一対のノズルと、前記処理槽の上部からオーバーフローした処理液を排出する処理液排出部と、を備え、前記複数の吐出孔の吐出の向きは、前記底板の上面の法線に対して前記処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度に設定されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記一対のノズルは、それぞれ、前記複数の吐出孔が形成された管状の部材であり、前記複数の吐出孔のそれぞれの開口径は、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、前記一対のノズルは、前記処理槽の側壁に形成された凹部に沿って配置されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記複数の吐出孔は、前記保持部に保持された複数枚の基板の間隙および両端部に配置された基板の外側に対応した位置に配置されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記保持部と複数枚の基板との当接箇所に向けて処理液を吐出する他の一対のノズルを更に備えることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、処理液中に複数枚の基板を浸漬することにより、複数枚の基板を処理する基板処理方法であって、処理槽の内部に貯留された処理液中に複数枚の基板を浸漬する第1工程と、前記処理槽の底部の近傍に複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から前記処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する第2工程と、を含み、前記第2工程では、前記底板の上面の法線に対して前記処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度で処理液を吐出することを特徴とする。
請求項1〜5に記載の発明によれば、基板処理装置は、処理液を貯留する処理槽と、処理槽の内部において複数枚の基板を保持する保持部と、処理槽の底部の近傍に配置され、保持手段に保持される複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する一対のノズルと、処理槽の上部からオーバーフローした処理液を排出する処理液排出部と、を備え、複数の吐出孔の吐出の向きは、底板の上面の法線に対して処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度に設定されている。このため、処理槽の内部に形成される処理液の循環領域が狭小化されて処理槽内において処理液の置換効率が向上し、また、複数枚の基板の間隙にも処理液が良好に流入する。
特に、請求項2に記載の発明によれば、一対のノズルは、それぞれ、複数の吐出孔が形成された管状の部材であり、複数の吐出孔のそれぞれの開口径は、0.5mm以上かつ1.5mm以下である。このため、上流側の吐出孔における処理液の吐出圧と下流側の吐出孔における処理液の吐出圧との差が過度に大きくなることはなく、また、各吐出孔において処理液の大きな圧力損失が発生することもない。
特に、請求項3に記載の発明によれば、一対のノズルは、処理槽の側壁に形成された凹部に沿って配置されている。このため、ノズルと処理槽の側壁との間に処理液が滞留してしまうことを防止できる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、複数の吐出孔は、保持部に保持された複数枚の基板の間隙および両端部に配置された基板の外側に対応した位置に配置されている。このため、複数枚の基板のそれぞれに対して、処理液を良好に供給できる。
特に、請求項5に記載の発明によれば、基板処理装置は、保持部と複数枚の基板との当接箇所に向けて処理液を吐出する他の一対のノズルを更に備える。このため、保持部と基板との当接箇所にパーティクルや排液すべき成分が滞留してしまうことを防止できる。
また、請求項6に記載の発明によれば、基板処理方法は、処理槽の内部に貯留された処理液中に複数枚の基板を浸漬する第1工程と、処理槽の底部の近傍に複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する第2工程と、を含み、第2工程では、底板の上面の法線に対して処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度で処理液を吐出する。このため、処理槽の内部に形成される処理液の循環領域が狭小化されて処理槽内において処理液の置換効率が向上し、また、複数枚の基板の間隙にも処理液が良好に流入する。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.基板処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1を、基板Wの主面と平行な平面に沿って切断した縦断面図である。図1には、基板処理装置1が備える制御系や給排液系の構成も模式的に示されている。また、図2は、基板処理装置1を、基板Wの主面と垂直な平面に沿って切断した縦断面図である。図1および図2には、装置内の各部の位置関係を明確化するために、共通のXYZ直交座標系が示されている。X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、それぞれ、基板Wの配列方向、基板Wの主面に沿った水平方向、および鉛直方向に相当する。
この基板処理装置1は、半導体ウエハである基板Wのフォトリソグラフィ工程において、基板Wの主面に形成されたフォトレジスト膜(有機膜)を剥離する処理を行うための装置である。基板処理装置1は、硫酸(H2SO4)と過酸化水素水(H22)とを含む処理液を使用し、処理液中において硫酸と過酸化水素水とが反応することにより生成されるCaro酸(H2SO5)の作用により、基板Wの主面に形成されたフォトレジスト膜を分解して除去する。
図1および図2に示したように、基板処理装置1は、主として、処理液を貯留する処理槽10と、複数枚の基板(以下、単に「基板」という。)Wを保持しつつ昇降させるリフタ20と、硫酸と過酸化水素水とを含む処理液を処理槽10に供給する処理液供給部30と、処理槽10から処理液を排出する処理液排出部40と、装置内の各部の動作を制御する制御部50とを備えている。
処理槽10は、石英あるいは耐薬性の樹脂により形成された貯留容器である。処理槽10は、その内部に貯留された処理液中に基板Wを浸漬させる内槽11と、内槽11の外縁部に形成された外槽12とを有している。内槽11は、処理液中に基板Wが浸漬された状態において基板Wの下方に位置する底板11aと、基板Wの側方に位置する側壁11b〜11eとを有し、内槽11の上部は開放されている。また、外槽12は、内槽11の側壁11b〜11eの外側の面に沿って樋状に形成されている。
内槽11の側壁11b〜11eのうち、基板Wの配列方向に対して平行な一対の側壁11b,11dは、その下端部(底板11aに接する部位)が外側へ向けて突出している。この突出により、側壁11b,11dの下端部の内側の面には、基板Wの配列方向に沿ってのびる一対の凹部13b,13dが形成されている。一対の凹部13a,13dは、それぞれ、内槽11の内側へ向けて開いた、断面視において略V字形の溝となっている。
一対の凹部13b,13dの近傍には、一対の管状のノズル(以下、「下段ノズル」という。)14b,14dが設けられている。下段ノズル14b,14dは、凹部13b,13dに沿って(すなわち、基板Wの配列方向に沿って)水平に配置され、各下段ノズル14b,14dには、基板Wの配列方向に沿って等間隔に配列された複数の吐出孔141が形成されている。
図2に示したように、下段ノズル14bに形成された複数の吐出孔141のX軸方向の位置は、リフタ20に保持される基板Wの間隙および両端に配置される基板Wの外側に対応した位置となっている。また、図2には示されていないが、他方の下段ノズル14dにおいても、複数の吐出孔141のX軸方向の位置は、リフタ20に保持される基板Wの間隙および両端に配置される基板Wの外側に対応した位置となっている。
図3および図4は、それぞれ、下段ノズル14b,14dとその近傍の様子を示した拡大縦断面図である。図3および図4に示したように、下段ノズル14b,14dに形成された吐出孔141の吐出の向きは、いずれも、下方向かつ内槽11のやや内側方向に向けられている。このため、下段ノズル14b,14dに供給された処理液は、吐出孔141から内槽11の底板11aの上面に向けて吐出される。また、底板11aの上面に向けて吐出された処理液は、底板11aの上面に沿って拡散し、その後、リフタ20に保持された基板Wへ向けて上方へ流れる。
なお、図3,図4には、それぞれ1つの吐出孔141のみが示されているが、下段ノズル14b,14dに形成された他の吐出孔141も、同じように、下方向かつ内槽11のやや内側方向に向けられている。
図1および図2に戻る。一対の下段ノズル14b,14dの上方位置には、更に一対の管状のノズル(以下、「上段ノズル」という。)15b,15dが設けられている。上段ノズル15b,15dは、基板Wの配列方向に沿った水平姿勢で一対の側壁11b,11dにそれぞれ固定されている。各上段ノズル15b,15dには、基板Wの配列方向に沿って等間隔に配列された複数の吐出孔151が形成されている。
図2に示したように、上段ノズル15bに形成された複数の吐出孔151のX軸方向の位置は、リフタ20に保持される基板Wの間隙および両端に配置される基板Wの外側に対応した位置となっている。また、図2には示されていないが、他方の上段ノズル15dに形成された複数の吐出孔151のX軸方向の位置も、リフタ20に保持される基板Wの間隙および両端に配置される基板Wの外側に対応した位置となっている。
また、図1に示したように、上段ノズル15b,15dに形成された吐出孔151の吐出の向きは、いずれも、後述するリフタ20の保持棒21と基板Wの周縁部との当接位置付近に向けられている。
リフタ20は、基板Wを保持しつつ内槽11の内部と内槽11の上方位置との間で基板Wを昇降移動させるための搬送機構である。リフタ20は、基板Wの配列方向に沿ってのびる3本の保持棒21と、3本の保持棒21が固定された背板22とを有する。リフタ20は、3本の保持棒21に刻設された複数の溝(図示省略)に基板Wの周縁部を嵌合させた状態で、3本の保持棒21上に基板Wを互いに平行に起立姿勢で保持する。
図2に示したように、リフタ20は、背板22に接続された昇降移動機構23を有する。昇降移動機構23は、例えば、モータとボールネジとを組み合わせた公知の機構を利用して実現できる。昇降移動機構23を動作させると、背板22、3本の保持棒21、および3本の保持棒21上に保持された基板Wが、一体として上下に移動する。これにより、基板Wは、内槽11の内部の浸漬位置(図1,図2の位置)と内槽11の上方の引き上げ位置との間で搬送される。
処理液供給部30は、硫酸と過酸化水素水とを含む処理液を、下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dへ供給するための給液系である。図1に示したように、処理液供給部30は、硫酸供給源31と、過酸化水素水供給源32と、配管33a〜33iと、開閉弁34,35とを有する。
硫酸供給源31および過酸化水素水供給源32は、それぞれ、配管33aおよび配管33bを介して主配管33cに流路接続されている。また、配管33aおよび配管33bには、それぞれ開閉弁34および開閉弁35が介挿されている。一方、主配管33cの下流側の端部は、配管33dと配管33eとに流路接続されている。更に、配管33dの下流側の端部は、配管33fおよび配管33gを介してそれぞれ下段ノズル14bおよび上段ノズル15bに流路接続され、配管33eの下流側の端部は、配管33hおよび配管33iを介してそれぞれ下段ノズル14dおよび上段ノズル15dに流路接続されている。
このような処理液供給部30において、開閉弁34および開閉弁35を開放すると、硫酸供給源31から供給される硫酸と、過酸化水素水供給源32から供給される過酸化水素水とが、主配管33cにおいて混合されて処理液が生成され、配管33d〜33iを通って下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dへ処理液が供給される。そして、下段ノズル14b,14dの複数の吐出孔141および上段ノズル15b,15dの複数の吐出孔151から、内槽11の内部に処理液が吐出される。
下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dから吐出された処理液は、内槽11の内部に貯留される。また、内槽11の上部まで処理液が貯留された状態で、更に下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dから処理液が吐出されると、内槽11の上部から処理液がオーバーフローし、オーバーフローした処理液が外槽12へ回収される。
なお、下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dの各ノズルに供給される処理液の供給圧は、例えば、0.05〜0.1MPa程度の値とされる。
処理液排出部40は、外槽12に貯留された処理液を、工場内の排液ラインへ排出させるための排液系である。図1に示したように、処理液排出部40は、外槽12と排液ラインとを繋ぐ配管41と、配管41に介挿された開閉弁42とを有する。開閉弁42を開放すると、外槽12から配管41を通って排液ラインへ、処理液が排出される。
制御部50は、基板処理装置1の各部の動作を制御するための情報処理部である。制御部50は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置により実現される。図1および図2に示したように、制御部50は、昇降移動機構23および開閉弁34,35,42と電気的に接続されている。制御部50は、予めインストールされたプログラムや種々の入力信号に従って上記の昇降移動機構23および開閉弁34,35,42に指令を与え、これらの動作を制御することにより、基板Wの処理を進行させる。
<2.下段ノズルの吐出孔について>
続いて、下段ノズル14b,14dに形成された複数の吐出孔141について更に詳細に説明する。
図3および図4に示したように、下段ノズル14b,14dに形成された複数の吐出孔141は、いずれも、下方向かつ内槽11のやや内側方向に向けられている。ここで、仮に、吐出孔141の吐出の向きと、底板11aの上面の法線Nとがなす角度θが小さすぎると、吐出孔141から吐出された処理液は、底板11aの上面に対して垂直に近い角度で当たることとなる。このため、処理液の流れの圧力が大きく低減し、基板Wの間隙に処理液が流入しにくくなるという問題がある。一方、吐出孔141の吐出の向きと、底板11aの上面の法線Nとがなす角度θが大きすぎると、吐出孔141から吐出された処理液は、底板11aの上面に対して平行に近い角度で当たることとなる。このため、処理液の流れの圧力があまり低減されず、内槽11の内部に比較的高速な処理液の流れが形成される。この場合には、高速な流れを構成する処理液の一部が内槽11の内部において循環し、内槽11の内部に比較的大きな処理液の循環領域CA(図8,図9参照)が形成されてしまうという問題がある。
この点について、本実施形態の基板処理装置1では、吐出孔141の向きが、底板11aの上面の法線Nに対して内側方向に5°以上かつ40°以下の角度θとなるように設定されている。このため、吐出孔141から吐出された処理液の流圧が過度に低減されることはなく、また、内槽11の内部において大きな処理液の循環領域CAが形成されることもない。したがって、本実施形態の基板処理装置1によれば、基板Wの間隙に処理液を良好に流入させつつ、内槽11の内部の処理液を効率よく置換できる。
図5〜図9は、一対の下段ノズル14b,14dの吐出孔141の角度θをそれぞれ−50°,0°,20°,50°,70°に設定したときの、内槽11の内部における処理液の流れを示した図である。これらの各図は、汎用の熱流体解析ソフトウエアを使用したシミュレーションの結果を概略化して示したものである。図5〜図9を参照すると、内槽11の内部に形成される処理液の循環領域CAは、底板11aの法線Nに対する吐出孔141の角度θを大きくするほど大きくなり、底板11aの法線Nに対する吐出孔141の角度θを小さくするほど小さくなることが分かる。特に、吐出孔141の角度θをそれぞれ50°および70°に設定した図8および図9では、内槽11の中間高さ位置よりも高い位置まで循環領域CAが及んでいるのに対し、吐出孔141の角度θを20°に設定した図7では、循環領域CAが比較的小さく抑えられていることが分かる。
本実施形態では、このようなシミュレーションの結果を踏まえ、底板11aの上面の法線Nに対する吐出孔141の角度θが40°以下に設定されている。このため、内槽11の内部に発生する処理液の循環領域CAは比較的小さく抑えられ、処理液は内槽11の上部から効率よく排出される。したがって、内槽11の内部の処理液を効率よく置換できる。なお、循環領域CAを小さくする点に関しては、吐出孔141の角度θは小さいほど望ましい。したがって、底板11aの上面の法線Nに対する吐出孔141の角度θが35°以下であればより望ましく、30°以下であれば更に望ましい。
図10〜図14は、一対の下段ノズル14b,14dの吐出孔141の角度θをそれぞれ−50°,0°,20°,50°,70°に設定したときの、内槽11の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。図10〜図14では、内槽11の内部を、その領域における処理液の流れの速さに応じて、速い方から順にA,B,Cとして区分して示した。なお、これらの各図も、図5〜図9と同じ熱流体解析ソフトウエアを使用したシミュレーションの結果に基づいて作成されたものである。
図10〜図14を参照すると、基板Wが配置される領域(図中「WA」で示された領域)を流れる処理液の速さ、すなわち、基板Wの間隙を流れる処理液の速さは、底板11aの法線Nに対する吐出孔141の角度θを小さくするほど小さくなり、吐出孔141の角度θを大きくするほど大きくなることが分かる。特に、吐出孔141の角度θをそれぞれ−50°,0°に設定した図10および図11では、基板Wの間隙を流れる処理液の速さが概ね「C」であるのに対し、吐出孔141の角度θを20°に設定した図12では、基板Wの間隙において処理液の流れの速さが「B」となる領域がある程度の範囲に及んでいる。
また、図10および図11では、基板Wが配列された領域の外側に、処理液の流れの速さが「A」となる領域が広がっている。すなわち、図10,図11のケースでは、吐出孔141から吐出された処理液の多くが基板Wの外側の領域に流れ、基板Wの間隙へ処理液が流入しにくい状態になっていると考えられる。これに対し、図12では、基板Wが配列された領域の外側において、処理液の流れの速さは「B」又は「C」である。したがって、図12のケースでは、基板Wの外側の領域への処理液の流れが抑制され、抑制された分の処理液が基板Wの間隙に流入しているものと考えられる。
本実施形態では、このようなシミュレーションの結果を踏まえ、底板11aの上面の法線Nに対する吐出孔141の角度θが5°以上に設定されている。このため、基板Wの間隙に対して処理液が良好に流入し、これにより、基板Wが効率よく処理される。なお、基板Wの間隙への処理液の流入に関しては、吐出孔141の角度θは大きいほど望ましい。したがって、底板11aの上面の法線Nに対する吐出孔141の角度θが10°以上であればより望ましく、15°以上であれば更に望ましい。
続いて、吐出孔141の開口径について説明する。図2に示したように、処理液供給部30は、下段ノズル14b,14dの一方の端部(−X側の端部)に接続されている。処理液は、下段ノズル14b,14dの端部から導入され、各下段ノズル14b,14dの内部を流れつつ、複数の吐出孔141から吐出される。このため、仮に、吐出孔141の開口径が大きすぎると、上流側の吐出孔141における処理液の吐出圧と下流側の吐出孔141における処理液の吐出圧との差が大きくなり、基板Wを均一に処理することが困難となってしまう。一方、吐出孔141の開口径が小さすぎると、各吐出孔141における処理液の圧力損失が大きくなり、内槽11の内部に所望の液流を形成し難くなる。
この点について、本実施形態の基板処理装置1では、吐出孔141の開口径(直径)が0.5mm以上かつ1.5mm以下となるように設定されている。このため、上流側の吐出孔141における処理液の吐出圧と下流側の吐出孔141における処理液の吐出圧との差が過度に大きくなることはなく、また、各吐出孔141において処理液の大きな圧力損失が発生することもない。したがって、本実施形態の基板処理装置1によれば、内槽11の内部に所望の液流を形成しつつ、基板Wを均一かつ良好に処理できる。
図15および図16は、下段ノズル14b,14dの吐出孔141の開口径を1.6mmに設定した場合と、1.2mmに設定した場合とについて、それぞれ、複数の吐出孔141から吐出される処理液の圧力を調べた結果を示した図である。図15および図16を参照すると、吐出孔141の開口径を1.6mmに設定した図15においては、複数の吐出孔141における吐出圧のばらつきが比較的大きいのに対し、吐出孔141の開口径を1.4mmに設定した図16においては、複数の吐出孔141における吐出圧のばらつきが比較的小さい。本実施形態では、このような結果を踏まえ、下段ノズル14b,14dの複数の吐出孔141の開口径が1.5mm以下に設定されている。
<3.基板処理装置の動作>
続いて、上記の基板処理装置1において基板Wを処理するときの動作について、図17のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の一連の動作は、予めインストールされたプログラムや種々の入力信号に従って制御部50が装置内の各部を動作制御することにより、進行する。
この基板処理装置1において基板Wの処理を行うときには、まず、開閉弁34,開閉弁35,および開閉弁42を開放する。これにより、硫酸と過酸化水素水とを含む処理液の供給が開始され、下段ノズル14b,14dの複数の吐出孔141および上段ノズル15b,15dの複数の吐出孔151から内槽11の内部に、処理液が吐出される(ステップS1)。吐出された処理液は、内槽11の内部に貯留され、やがて内槽11の上部から外槽12へ処理液がオーバーフローする状態となる。
次に、所定の搬送機構により他装置から搬送されてきた基板Wが、処理槽10の上方位置において待機するリフタ20に渡される。リフタ20の3本の保持棒21上に基板Wが載置されると、基板処理装置1は、昇降移動機構23を動作させて背板22および3本の保持棒21を降下させ、内槽11の内部に貯留された処理液中に基板Wを浸漬させる(ステップS2)。処理液中に基板Wが浸漬されると、基板Wの主面に形成されたフォトレジスト膜は、処理液中のCaro酸の作用により分解されて基板Wの主面から除去される。
このとき、内槽11の内部においては、下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dからの処理液の吐出が継続されている。本実施形態では、下段ノズル14b,14dは、底板11aの上面の法線Nに対して内側方向に5°以上かつ40°以下の角度θで処理液を吐出する。このため、既述の通り、吐出された処理液の流圧が過度に低減されることはなく、また、内槽11の内部において大きな処理液の循環領域CAが形成されることもない。したがって、基板Wの間隙に処理液が良好に流入するとともに、内槽11の内部の処理液が効率よく置換される。
また、本実施形態では、下段ノズル14b,14dは、0.5mm以上かつ1.5mm以下の開口径を有する複数の吐出孔141から処理液を吐出する。このため、既述の通り、上流側の吐出孔141における処理液の吐出圧と下流側の吐出孔141における処理液の吐出圧との差が過度に大きくなることはなく、また、各吐出孔141において処理液の大きな圧力損失が発生することもない。したがって、内槽11の内部に所望の液流を形成しつつ、基板Wを均一かつ良好に処理できる。
また、下段ノズル14bの吐出孔141から吐出された処理液の一部は、図18に示したように側壁11b側へ向けて拡散するが、本実施形態では、下段ノズル14bの近傍において側壁11bに凹部13bが形成されている。このため、側壁11b側へ拡散した処理液は、凹部13bに沿って処理槽11の上方へ容易に抜ける。したがって、下段ノズル14bと側壁11bとの間における処理液の滞留を防止することができる。同じように、他方の下段ノズル14dの近傍においても、側壁11dに凹部13dが形成されているので、下段ノズル14dと側壁11dとの間における処理液の滞留を防止することができる。
また、本実施形態では、上段ノズル15b,15dは、リフタ20の保持棒21と基板Wの周縁部との当接箇所付近に向けて、処理液を吐出する。このため、保持棒21と基板Wの周縁部との当接箇所にパーティクルや排液すべき成分が滞留してしまうことを防止できる。
また、本実施形態では、下段ノズル14b,14dの複数の吐出孔141および上段ノズル15b,15dの複数の吐出孔151のX軸方向の位置は、リフタ20に保持された基板Wの間隙および両端部に配置された基板Wの外側に対応した位置となっている。このため、各々の基板Wに対して、処理液を良好に供給できる。
所定時間の処理が終了すると、基板処理装置1は、昇降移動機構23を動作させて背板22および3本の保持棒21を上昇させ、内槽11の内部に貯留された処理液中から基板Wを引き上げる(ステップS3)。その後、基板Wは、リフタ20から所定の搬送装置に渡され、後続の処理を行う装置へ搬送される。また、基板処理装置1は、開閉弁34,開閉弁35,および開閉弁42を閉鎖する。これにより、下段ノズル14b,14dおよび上段ノズル15b,15dからの処理液の吐出と、処理液排出部40による処理液の排出とを停止させる(ステップS4)。以上をもって、一組の基板Wに対する一連の処理を終了する。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、基板処理装置1は、下段ノズル14b,14dと上段ノズル15b,15dとを備えていたが、上段ノズル15b,15dを備えず、下段ノズル14b,14dのみから処理液を吐出する構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、硫酸と過酸化水素水とを含む処理液を使用していたが、本発明の基板処理装置は、他の処理液を使用するものであってもよい。例えば、処理液としてフッ酸、SC−1液、SC−2液、あるいは純水を使用するものであってもよい。
また、上記の実施形態では、半導体ウエハである基板Wを処理対象としていたが、本発明の基板処理装置は、フォトマスク用ガラス基板や液晶表示装置用ガラス基板等の他の基板を処理対象とするものであってもよい。
基板処理装置を基板の主面と平行な平面に沿って切断した縦断面図である。 基板処理装置を基板の主面と垂直な平面に沿って切断した縦断面図である。 一方の下段ノズルとその近傍の様子を示した拡大縦断面図である。 他方の下段ノズルとその近傍の様子を示した拡大縦断面図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を−50°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れを示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を0°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れを示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を20°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れを示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を50°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れを示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を70°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れを示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を−50°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を0°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を20°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を50°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。 下段ノズルの吐出孔の角度を70°に設定したときの内槽の内部における処理液の流れの速さを領域ごとに示した図である。 下段ノズルの吐出孔の開口径を1.6mmに設定した場合について、複数の吐出孔から吐出される処理液の圧力を調べた結果を示した図である。 下段ノズルの吐出孔の開口径を1.2mmに設定した場合について、複数の吐出孔から吐出される処理液の圧力を調べた結果を示した図である。 基板処理装置における処理の流れを示したフローチャートである。 下段ノズルの吐出孔から吐出された処理液が、凹部に沿って上方へ抜ける様子を示した図である。 従来の基板処理装置の例を示した縦断面図である。
符号の説明
1 基板処理装置
10 処理槽
11 内槽
11a 底板
11b〜11e 側壁
12 外槽
13b,13d 凹部
14b,14d 下段ノズル
15b,15d 上段ノズル
20 リフタ
30 処理液供給部
40 処理液排出部
50 制御部
141 吐出孔
151 吐出孔
θ 角度
CA 循環領域
W 基板

Claims (6)

  1. 処理液中に複数枚の基板を浸漬することにより、複数枚の基板を処理する基板処理装置であって、
    処理液を貯留する処理槽と、
    前記処理槽の内部において複数枚の基板を保持する保持部と、
    前記処理槽の底部の近傍に配置され、前記保持手段に保持される複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から前記処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する一対のノズルと、
    前記処理槽の上部からオーバーフローした処理液を排出する処理液排出部と、
    を備え、
    前記複数の吐出孔の吐出の向きは、前記底板の上面の法線に対して前記処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度に設定されていることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記一対のノズルは、それぞれ、前記複数の吐出孔が形成された管状の部材であり、
    前記複数の吐出孔のそれぞれの開口径は、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記一対のノズルは、前記処理槽の側壁に形成された凹部に沿って配置されていることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記複数の吐出孔は、前記保持部に保持された複数枚の基板の間隙および両端部に配置された基板の外側に対応した位置に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記保持部と複数枚の基板との当接箇所に向けて処理液を吐出する他の一対のノズルを更に備えることを特徴とする基板処理装置。
  6. 処理液中に複数枚の基板を浸漬することにより、複数枚の基板を処理する基板処理方法であって、
    処理槽の内部に貯留された処理液中に複数枚の基板を浸漬する第1工程と、
    前記処理槽の底部の近傍に複数枚の基板の配列方向に沿って配列された複数の吐出孔から前記処理槽の底板の上面へ向けて処理液を吐出する第2工程と、
    を含み、
    前記第2工程では、前記底板の上面の法線に対して前記処理槽の内側方向に5°以上かつ40°以下の角度で処理液を吐出することを特徴とする基板処理方法。
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