JP2008028280A - 基板処理装置及び処理液置換方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の面内における薬液処理の均一性を向上させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の基板処理装置は、処理槽内の純水を薬液に置換するときには、処理槽内に供給する処理液中の薬液成分の濃度を段階的又は連続的に上昇させる。また、処理槽内の薬液を純水に置換するときには、処理槽内に供給する処理液中の薬液成分の濃度を段階的または連続的に低下させる。このため、処理槽内において一度に発生する薬液成分の濃度のばらつきが緩和され、基板の面内における薬液処理の均一性が向上する。
【選択図】図4

Description

本発明は、一つの処理槽内で基板に対し薬液処理及び水洗処理を行う基板処理装置に関する。
従来より、一つの処理槽内にて基板に対して、フッ酸水溶液等の薬液を利用したエッチング処理などの薬液処理と、純水による水洗処理とを行う基板処理装置が知られている。このような基板処理装置では、同一の処理槽内に処理液として薬液と純水との双方が供給される。処理対象となる基板は、まず、処理槽内に貯留された薬液に浸漬され、薬液処理が施される。そして、基板を浸漬した状態を維持したまま、処理槽内の下方から純水が供給されることにより処理槽の上部から薬液が排出され、処理槽内の処理液全体が純水に置換される。これにより、基板に水洗処理が施されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−340177号公報
しかしながら、従来の基板処理装置の処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、一定濃度の薬液または純水を処理槽内に供給することにより処理液の置換を進行させていた。例えば、処理槽内の薬液を純水に置換するときには、処理槽の下方から純水を供給するとともに処理槽の上部から薬液を排出することにより、処理液を置換していた。また、処理槽内の純水を所定濃度の薬液に置換するときには、処理槽の下方から当該所定濃度の薬液を供給するとともに処理槽の上部から純水を排出することにより、処理液を置換していた。このため、処理液の置換を行うときには、処理槽内において薬液濃度のばらつきが発生し、これが基板の面内における薬液処理の均一性を低下させる要因の一つとなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、基板の面内における薬液処理の均一性を向上させることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、処理液として薬液と純水とを置換して用いることにより、一つの処理槽内で基板に対して薬液処理及び水洗処理を行う基板処理装置であって、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を調整する濃度調整手段と、前記濃度調整手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を連続的に変化させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度の変化率の絶対値を徐々に増加させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する薬液成分供給手段とを有し、前記濃度調整手段は、前記薬液成分供給手段の供給量を調節する流量調節手段を有することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する複数の薬液成分供給手段とを有し、前記濃度調整手段は、前記複数の薬液成分供給手段のそれぞれにおいて薬液成分の供給と停止とを切り替える複数のバルブ有することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理槽内において処理液中の薬液成分の濃度を計測する計測手段を更に備え、前記制御手段は、前記計測手段の計測値に基づいて前記処理槽内における薬液と純水との置換動作を停止することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、一つの処理槽内で基板に対して薬液処理及び水洗処理を行う基板処理装置において、処理液としての薬液と純水とを置換する処理液置換方法であって、前記処理槽内への処理液の供給と前記処理槽からの処理液の排出とを行いつつ、前記処理槽内に供給する処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させることを特徴とする。
請求項1〜6に記載の発明によれば、基板処理装置は、処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を調整する濃度調整手段と、濃度調整手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させるように、濃度調整手段を制御する。このため、処理槽内において一度に発生する処理液中の薬液成分濃度のばらつきが緩和され、基板の面内における薬液処理の均一性が向上する。
特に、請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を連続的に変化させるように、濃度調整手段を制御する。このため、処理槽内において処理液中の薬液成分の濃度はより緩やかに変化し、基板の面内における薬液処理の均一性が更に向上する。
特に、請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度の変化率の絶対値を徐々に増加させるように、濃度調整手段を制御する。このため、最も濃度のばらつきが問題となる置換開始直後において、薬液成分の濃度がより緩やかに変化する。したがって、基板の面内における薬液処理の均一性が更に向上する。
特に、請求項4に記載の発明によれば、処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する薬液成分供給手段とを有し、濃度調整手段は、薬液成分供給手段の供給量を調節する流量調節手段を有する。このため、薬液成分の濃度を容易かつ正確に調整できる。
特に、請求項5に記載の発明によれば、処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する複数の薬液成分供給手段とを有し、濃度調整手段は、複数の薬液成分供給手段のそれぞれにおいて薬液成分の供給と停止とを切り替える複数のバルブ有する。このため、単なるバルブの開閉のみで薬液成分の濃度を簡便に調整できる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、処理槽内において処理液中の薬液成分の濃度を計測する計測手段を更に備え、制御手段は、計測手段の計測値に基づいて処理槽内における薬液と純水との置換動作を停止する。このため、濃度の実測値に基づいて置換動作を正確に停止できる。
また、請求項7に記載の発明によれば、処理液置換方法は、処理槽内への処理液の供給と処理槽からの処理液の排出とを行いつつ、処理槽内に供給する処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させる。このため、処理槽内において一度に発生する薬液成分濃度のばらつきが緩和され、基板の面内における薬液処理の均一性が向上する。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.基板処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置10aの概略構成を示す図である。図1は、基板処理装置10aを、その処理対象となる基板Wの主面と平行な面で切断した縦断面図に相当する。
この基板処理装置10aは、一つの処理槽内にて基板Wに対して薬液を利用した薬液処理と純水による水洗処理との双方を行うことが可能なバッチ式の基板処理装置である。なお以下では、薬液と純水とを総称して「処理液」という。本実施の形態の基板処理装置10aでは、「薬液」としてフッ酸水溶液が利用され、「薬液処理」としてエッチング処理がなされる。
図1に示すように、基板処理装置10aは主に、処理液を貯留する処理槽11と、基板Wの搬送機構であるリフタ5とを備えている。
処理槽11は、処理液を貯留することが可能な容器であり、その処理液中に基板Wを浸漬することによって基板Wの主面の処理を行う。この処理槽11に貯留する処理液としては、薬液と純水とが交互に置換されて用いられる。処理液として薬液を用いた場合はエッチング処理が行われ、処理液として純水を用いた場合は水洗処理が行われる。
処理槽11の上部は開口しており、この上部から処理液を溢れ出させることが可能となっている。処理槽11の上端周辺部には回収槽12が設けられ、処理槽11の上部から溢れ出た処理液はこの回収槽12に流れ込んで収容される。また、処理槽11の上部には、処理槽11に貯留された処理液中の薬液成分の濃度(すなわち、フッ酸の濃度)を検出する濃度センサ6も設けられている。
処理槽11における基板Wの搬入搬出は、リフタ5によって行われる。リフタ5は、一つのロットに相当する複数の基板Wを起立姿勢で保持する保持棒51と、リフタアーム52と、駆動部(図示省略)とを備え、基板Wを上下方向に搬送する。駆動部を動作させるとリフタアーム52と保持棒51とが一体的に上下に移動する。これにより基板Wはロットごとに、起立姿勢を維持したまま、処理槽11内に浸漬される位置と、処理槽11から引き上げられた位置との間で移動される。
また、処理槽11の回収槽12は、処理液を排出する排液機構7に接続されている。図に示すように排液機構7は、回収槽12に接続された配管71と、配管71に介挿されたバルブ72と、配管71に接続された排液ドレイン73とを備えている。バルブ72を開放すると、処理槽11の上部から溢れ出て回収槽12に流れ込んだ処理液が、配管71を介して排液ドレイン73へと排出される。
また、基板処理装置10aは、処理槽11内に処理液を供給する供給機構として、処理液の供給源となる処理液供給源2、並びに、処理液供給源2の処理液を処理槽11内に導く高速供給系統3及び低速供給系統4を備えている。
処理液供給源2は、薬液成分たるフッ酸(HF)を供給するフッ酸供給源22と、純水を供給する純水供給源24と、処理液を導く供給配管21とを備えている。フッ酸供給源22はバルブ23を介して供給配管21に接続され、純水供給源24はバルブ25を介して供給配管21に接続される。
バルブ25のみを開放した場合は、処理液供給源2から供給配管21を介して純水が供給される。また、バルブ23とバルブ25との双方を開放した場合は、純水と薬液成分のフッ酸とが所定の割合で混合されてエッチング処理用の薬液(フッ酸水溶液)が生成される。そして、この薬液が、処理液供給源2から供給配管21を介して供給される。薬液生成の際の混合割合は、例えば、純水30リットルに対し、フッ酸300ミリリットルとされる。従って、この薬液(フッ酸水溶液)における薬液成分(フッ酸)の濃度は約1%となる。
フッ酸供給源22と供給配管21との間に介挿されたバルブ23は、その介挿位置を流れるフッ酸の量を調整可能な流量調整バルブで構成されている。このため、フッ酸供給源22から供給されるフッ酸の量は、バルブ23の開度を調節することにより変更可能となっている。純水供給源24から供給される純水の量を一定とし、フッ酸供給源22から供給されるフッ酸の量をバルブ23により変更すると、処理液供給源2から供給される薬液(フッ酸水溶液)中の薬液成分(フッ酸)の濃度が調整される。
処理液供給源2の供給配管21の下流端は2つに分岐しており、それぞれ高速供給系統3の配管35、及び、低速供給系統4の配管45に接続される。また、高速供給系統3の配管35及び低速供給系統4の配管45のそれぞれの上流端の付近には、バルブ36及びバルブ46がそれぞれ介挿されている。これらのバルブ36,46の開閉により、高速供給系統3及び低速供給系統4のいずれかの供給系統が選択され、選択された供給系統を介して処理液供給源2から供給された処理液が処理槽11内に供給される。具体的には、バルブ36を開放すれば高速供給系統3により処理液が供給され、バルブ46を開放すれば低速供給系統4により処理液が供給される。
高速供給系統3は、処理液を吐出して処理槽11内に処理液を供給する4つの供給ノズル31〜34を、処理槽11内に備えている。高速供給系統3の配管35は、配管35aと配管35bとに2つに分岐される。さらに、配管35a及び配管35bはそれぞれ2つに分岐され、それらの4つの下流端にそれぞれ供給ノズル31〜34が接続される。
4つの供給ノズル31〜34は、処理槽11の相対する二つの壁面11a,11bに沿って設けられている。以下では説明の便宜上、図中左側の壁面11aを「左壁面」と称し、図中右側の壁面11bを「右壁面」と称する。4つの供給ノズル31〜34のうち、供給ノズル31は左壁面11aの上方、供給ノズル32は左壁面11aの下方、供給ノズル33は右壁面11bの上方、供給ノズル34は右壁面11bの下方にそれぞれ設けられる。
一方、低速供給系統4は、処理液を吐出して処理槽11内に処理液を供給する2つの供給ノズル41,42を、処理槽11内に備えている。低速供給系統4の配管45は、配管45aと配管45bとに分岐され、それらの2つの下流端にそれぞれ供給ノズル41,42が接続される。これら2つの供給ノズル41,42のうち、供給ノズル41は左壁面11aの下方、供給ノズル41は右壁面11bの下方に設けられる。
供給ノズル31,32,33,34,41,42は全て円筒形状(管状)を有しており、それらの外周面にはそれぞれ開口部である吐出孔31a,32a,33a,34a,41a,42aが設けられている。このような吐出孔は、円筒形状である供給ノズルの長手方向に沿って複数形成される。供給ノズルの内部に供給された処理液は、この複数の吐出孔を介して処理槽11内に吐出される。
高速供給系統3の供給ノズル31〜34に形成される吐出孔31a,32a,33a,34aの孔径と、低速供給系統4の供給ノズル41,42に形成される吐出孔41a,42aの孔径とを比較すると、高速供給系統3の吐出孔31a,32a,33a,34aの方が比較的小さく、低速供給系統4の吐出孔41a,42aの方が比較的大きくなっている。例えば、高速供給系統3の吐出孔31a,32a,33a,34aの孔径は約0.85mmとされ、低速供給系統4の吐出孔41a,42aの孔径は約2.00mmとされている。
したがって、同一量の処理液を、高速供給系統3と低速供給系統4とからそれぞれ供給させた場合を比較すると、高速供給系統3から供給された処理液の流速は比較的高速となり、低速供給系統4から供給された処理液の流速は比較的低速となる。
これらの供給ノズルが処理液を吐出する方向は、供給ノズルの外周面における吐出孔の形成位置によって規定される。本実施の形態では、高速供給系統3の供給ノズル31〜34は浸漬された基板Wの主面の略中心に向けて処理液を吐出し、低速供給系統4の供給ノズル41,42は処理槽11の下面に沿って処理液を吐出する。
また、基板処理装置10aは、装置の動作を統括的に制御するためのマイクロコンピュータなどで構成される制御部9を備えている。制御部9は、濃度センサ6及びリフタ5に電気的に接続される。これにより、濃度センサ6で検出された薬液成分の濃度は制御部9に入力されるとともに、リフタ5の動作は制御部9により制御される。また、制御部9は、基板処理装置10aが備える各バルブにも接続され、これらのバルブの開閉制御が可能となっている。したがって、処理液供給源2から処理液として純水と薬液とのいずれを供給するかの選択、及び、高速供給系統3と低速供給系統4とのいずれを介して処理液を供給させるかの選択等の制御が制御部9によって行われる。また、制御部9は、バルブ23の開度を制御することにより、処理液供給源から供給される処理液中の薬液成分の濃度を調整する。
<2.基板処理装置の動作>
次に、基板処理装置10aの動作について説明する。図2は基板処理装置10aの動作の流れを示す図であり、また、図3はこの動作中における処理槽11の状態の遷移を示す図である。基板処理装置10aでは、図2に示す動作が一つのロットごとになされる。この動作の開始時点では、処理槽11に純水が貯留されている。
まず、リフタ5により処理槽11に基板Wが搬送される。これにより、処理槽11に貯留された純水に対して基板Wが浸漬される(図2:ステップS11)(図3:ステートST1)。
次に、処理槽11内の処理液を純水から薬液に置換するために、制御部9の制御により、高速供給系統3を介して処理槽11内に薬液が供給される。具体的には、処理液供給源2のバルブ23及びバルブ25、及び、高速供給系統3のバルブ36が開放される。これにより、処理液供給源2から薬液が供給され、この薬液が高速供給系統3の供給ノズル31〜34から処理槽11内に吐出される。この薬液の供給によって処理槽11の上部から溢れ出た純水は回収槽12に収容され、その後、排液機構7を介して排出される(図2:ステップS12)(図3:ステートST2)。
ステップS12では、制御部9はバルブ23の開度を調節し、処理槽11内に供給される薬液中の薬液成分の濃度を段階的に上昇させる。図4は、ステップS12において処理液供給源2から供給される薬液中の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。図4の横軸は薬液供給開始後の経過時間を示しており、図4の縦軸は処理液供給源2から供給される薬液中の薬液成分濃度を示している。また、図4では、エッチング処理に適した薬液処理濃度(例えば、約1%)をD1で示し、水洗処理に適した水洗処理濃度(例えば、約0%)をD0で示している(後述する図5〜図9でも同様。)。
図4に示すように、まず、薬液処理濃度D1よりも薬液成分の濃度の低い薬液(以下、「低濃度薬液」という。)が処理液供給源2から供給される。具体的には、処理液供給源2においてバルブ25が開放されるとともにバルブ23の開放状態が調整され、純水とフッ酸とが、例えば、純水30リットルに対しフッ酸150ミリリットルの割合で混合される。これにより、薬液処理濃度D1の約半分の濃度(約0.5%)の低濃度薬液が生成される。生成された低濃度薬液は、高速供給系統3を介して処理槽11内に供給される。
そして、低濃度薬液の投入開始から所定時間t1が経過すると、薬液処理濃度D1の薬液が処理液供給源2から供給される。具体的には、処理液供給源2においてバルブ25が開放されるとともにバルブ23の開放状態が調整され、純水とフッ酸とが、例えば、純水30リットルに対しフッ酸300ミリリットルの割合で混合される。これにより、薬液処理濃度D1(約1%)の薬液が生成され、生成された薬液が高速供給系統3を介して処理槽11内に供給される。つまり、供給される薬液中の薬液成分の濃度が、処理槽11内の処理液を純水から薬液に置換した後に目標とする薬液処理濃度D1に向けて、段階的に変化される。
このように、ステップS12では、供給する薬液の薬液成分の濃度を薬液処理濃度D1に向けて段階的に変化させる。このため、薬液処理濃度D1の薬液を直ちに供給した場合と比較して、処理槽11に供給された薬液と既に貯留されていた純水とにおける薬液成分の濃度差を緩和することができる。その結果、薬液成分の濃度は処理槽11全体でより均一化され、基板Wの主面の全体でエッチング処理をより均一に進行させることができる。
また、ステップS12では、高速供給系統3から供給される処理液の流速は比較的高速となるため、処理槽11内の処理液は大きく攪拌される。したがって、供給された薬液と既に貯留されていた純水とが全体的に混合され、処理槽11内の処理液中の薬液成分(フッ酸)の濃度差は減少し、薬液成分の濃度は処理槽11全体で均一化される。その結果、基板Wの主面の全体でエッチング処理をより均一に進行させることができる。
また、高速供給系統3の供給ノズル31〜34は、浸漬された基板Wの周辺におおよそ均等に配置され、それぞれ基板Wの主面の略中心に向かって処理液を供給する。したがって、供給ノズル31〜34から吐出された処理液は基板Wの主面の中心付近で互いに干渉することから、特に基板Wの主面の中心付近での処理液の攪拌作用、つまり、薬液成分の濃度の均一化作用が大きく向上することになる。
このような薬液の供給を継続すると、処理槽11内の処理液中の薬液成分の濃度は徐々に上昇する。そして、濃度センサ6によって検出される処理液中の薬液成分の濃度が、エッチング処理に適した薬液処理濃度(例えば約1%)となると(図2:ステップS13にてYes)、制御部9の制御により処理槽11内への薬液の供給が停止される(図2:ステップS14)。薬液の供給の停止後、処理槽11では所定時間そのままの状態が維持され、それにより基板Wに対するエッチング処理が進行する(図3:ステートST3)。
薬液の供給の停止から所定時間が経過すると、次に、処理槽11内の処理液を薬液から純水に置換するために、制御部9の制御により、高速供給系統3を介して処理槽11内に低濃度薬液が供給され、その後、純水が供給される。具体的には、処理液供給源2のバルブ25及び高速供給系統3のバルブ36が開放され、処理液供給源2のバルブ23は半開状態とされた後、閉鎖される。これにより、高速供給系統の3の供給ノズル31〜34から低濃度薬液が供給され、その後、純水が供給される。すなわち、供給ノズル31〜34から供給される処理液中の薬液成分の濃度が段階的に下降するように、処理液の供給が行われる。この低濃度薬液および純水の供給によって処理槽11の上部から溢れ出た薬液は回収槽12に収容され、その後、排液機構7を介して排出される(図2:ステップS15)(図3:ステートST4)。
図5は、ステップS15において処理液供給源2から供給される処理液中の薬液成分の濃度の時間的変化を示した図である。図5の横軸は処理液供給開始後の経過時間を示しており、図5の縦軸は処理液供給源2から供給される処理液中の薬液成分の濃度を示している。図5に示すように、まず、低濃度薬液が処理液供給源2から供給される。具体的には、処理液供給源2においてバルブ25が開放されるとともにバルブ23の開放状態が調整され、純水とフッ酸とが、例えば、純水30リットルに対しフッ酸150ミリリットルの割合で混合される。これにより、薬液処理濃度D1の約半分の濃度(約0.5%)の低濃度薬液が生成される。生成された低濃度薬液は、高速供給系統3を介して処理槽11内に供給される。
そして、低濃度薬液の投入開始から所定時間t2が経過すると、バルブ23が閉鎖されて純水(水洗処理濃度D0の処理液)が処理槽11内に供給される。つまり、この場合も、供給される処理液中の薬液成分の濃度が、処理槽11内の処理液の置換後に目標とする水洗処理濃度D0に向けて、段階的に変化される。
このように、ステップS15では、供給する処理液中の薬液成分の濃度を水洗処理濃度D0に向けて段階的に変化させる。このため、純水(水洗処理濃度D0の処理液)を直ちに供給した場合と比較して、処理槽11に供給された処理液と既に貯留されていた薬液とにおける薬液成分の濃度差を緩和することができる。その結果、薬液成分の濃度は処理槽11全体でより均一化され、基板Wの主面の全体でエッチング処理をより均一に進行させることができる。
また、ステップS15では、高速供給系統3から供給される処理液の流速は比較的高速となるため、処理槽11内の処理液は大きく攪拌される。したがって、供給された処理液と既に貯留されていた薬液とが全体的に混合され、処理槽11内の処理液中の薬液成分(フッ酸)の濃度差は減少し、薬液成分の濃度は処理槽11全体で均一化される。その結果、基板Wの主面の全体でエッチング処理を均一に進行させることができる。
また、高速供給系統3の供給ノズル31〜34は、浸漬された基板Wの周辺におおよそ均等に配置され、それぞれ基板Wの主面の略中心に向かって処理液を供給する。したがって、供給ノズル31〜34から吐出された処理液は基板Wの主面の中心付近で互いに干渉することから、特に基板Wの主面の中心付近での処理液の攪拌作用、つまり、薬液成分の濃度の均一化作用が大きく向上することになる。
このような低濃度薬液および純水の供給を継続すると、処理槽11内の処理液中の薬液成分の濃度は徐々に減少する。そして、処理液中の薬液成分の濃度がある程度低くなると、処理槽11内ではエッチング処理が実質的に進行しない状態となる。このため、純水の供給中においては、濃度センサ6によって検出される処理液中の薬液成分の濃度が、エッチング処理が実質的に進行しない濃度に相当する所定の閾値以下となるか否かが制御部9により判定される。つまり、薬液成分の濃度と所定の閾値との比較により、エッチング処理の進行下か否かが判断されることになる。この閾値は、予め計測等によって定められ、制御部9のメモリ内に記憶されている(図2:ステップS16)。
そして、薬液成分の濃度が閾値以下となった場合は(図2:ステップS16にてYes)、制御部9の制御により、純水を供給する供給系統が高速供給系統3から低速供給系統4に切り換えられる。具体的には、高速供給系統3のバルブ36が閉鎖されるとともに、低速供給系統4のバルブ46が開放される。これにより、低速供給系統4の供給ノズル41,42から処理槽11内に純水が吐出される(図2:ステップS17)(図3:ステートST5)。
前述のように、低速供給系統4から供給される処理液の流速は比較的低速となるため、処理槽11内の処理液の攪拌作用は低下する。したがって、このような純水の供給を継続すると、処理槽11内の下方に純水の層が形成され、この純水の層の厚みが徐々に大きくなっていく。そして、この純水の層によって、その上方に存在する薬液の層が処理槽11の上部から押し出されて排出される。これにより、処理槽11内の処理液が、薬液から純水に効率よく置換されることになる。
この薬液の排出によって、濃度センサ6によって検出される処理液中の薬液成分の濃度が水洗処理に適する所定の濃度(例えば約0%)となると(図2:ステップS18にてYes)、制御部9の制御により処理槽11内への純水の供給が停止される(図2:ステップS19)(図3:ステートST6)。その後、処理槽11では基板Wに対する水洗処理が所定時間施され、水洗処理が完了するとリフタ5により基板Wが処理槽11から引き上げられることになる(図2:ステップS20)。
以上のように、本実施形態の基板処理装置10aは、処理槽11内の処理液中における薬液成分の置換前の濃度から、置換後に目標とする目標濃度までの範囲内(D0〜D1)で、供給する処理液中の薬液成分の濃度を目標濃度に向けて段階的に変化させる。すなわち、処理槽11内の処理液を純水から薬液に置換する際には、水洗処理濃度D0(置換前の濃度)から薬液処理濃度D1(置換後に目標とする目標濃度)の範囲で、薬液処理濃度D1に向けて供給する処理液中の薬液成分の濃度を段階的に変化させる。一方、処理槽11内の処理液を薬液から純水に置換する際には、薬液処理濃度D1(置換前の濃度)から水洗処理濃度D0(置換後に目標とする目標濃度)の範囲で、水洗処理濃度D0に向けて供給する処理液中の薬液成分の濃度を変化させる。このため、処理槽11内において一度に発生する薬液成分の濃度のばらつきが緩和され、基板Wの面内におけるエッチング処理の均一性が向上する。
また、本実施の形態の基板処理装置10aでは、比較的小さい開口部を介して処理液を吐出して処理槽11内に処理液を供給する高速供給系統3と、比較的大きい開口部を介して処理液を吐出して処理槽11内に処理液を供給する低速供給系統4とが設けられている。そして、処理槽11内において薬液と純水との置換を行うときには、高速供給系統3から処理液が供給される。これにより、供給される処理液の流速が比較的高速となり処理液の攪拌作用が向上するため、処理槽11内の処理液中の薬液成分の濃度差が減少し、エッチング処理の均一性が更に向上する。
<3.実施例>
図6(a),(b)は、上記の基板処理装置10aにおいて基板Wを処理する際に、処理槽11内の複数箇所で薬液成分の濃度を計測し、その最大値と最小値との差分(最大濃度差)の時間的変化を調べた結果を示した図である。図6(a)および図6(b)において、横軸は処理開始後の時間を示しており、縦軸は上記の最大濃度差を示している。
図6(a)は、処理槽11内に貯留された純水中に基板Wを浸漬した後、処理槽11内に一定濃度の薬液(純水30リットル/分,フッ酸300ミリリットル/分)を供給して処理槽11内を純水から薬液に置換し、その後、処理槽11内に純水(純水30リットル/分)を供給して処理槽11内を薬液から純水に置換したときの結果(比較例)を示している。
一方、図6(b)は、処理槽11内に貯留された純水中に基板Wを浸漬した後、処理槽11内に低濃度薬液(純水30リットル/分,フッ酸150ミリリットル/分)を所定時間t1供給した後、薬液処理濃度の薬液(純水30リットル/分,フッ酸300ミリリットル/分)を供給して処理槽11内を純水から薬液に置換する。そして基板Wの薬液処理の後、処理槽11内に低濃度薬液(純水30リットル/分,フッ酸150ミリリットル/分)を所定時間t2供給した後、純水(純水30リットル/分)を供給して処理槽11内を薬液から純水に置換したときの結果を示している。すなわち、図6(b)は、処理槽11内の処理液を置換するときに、処理槽11に供給する処理液の濃度を2段階に変化させた場合の結果を示している。
図6(a)の結果と図6(b)の結果とを比較すると、図6(a)の結果では、処理液中の薬液成分の濃度差は最大R1であったところ、図6(b)の結果では、処理液中の薬液成分の濃度差は最大R2(<R1)となっており、図6(b)の方では薬液成分の濃度のばらつきが緩和されていることが分かる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、処理槽11内の処理液を置換するときに、供給される処理液中の薬液成分の濃度を2段階に変化させたが、薬液成分の濃度は3段階以上に変化させてもよい。図7および図8は、薬液成分の濃度を5段階に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。このように、薬液成分の濃度を多段階に変化させれば、処理槽11内の処理液中に発生する濃度のばらつきはより緩和され、基板Wの面内におけるエッチング処理の均一性が更に向上する。
また、処理槽11内の処理液を置換するときに、供給される処理液中の薬液成分の濃度は連続的に変化させてもよい。図9および図10は、薬液成分の濃度を連続的に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。このように、薬液成分の濃度を連続的に変化させれば、処理槽11内の処理液中における薬液成分の濃度はより緩やかに変化し、基板Wの面内におけるエッチング処理の均一性は更に向上する。
特に、図9および図10の例では、薬液成分濃度の変化率の絶対値が徐々に増加するように、薬液成分濃度を連続的に変化させている。このため、最も濃度のばらつきが問題となる処理液の置換開始直後において、薬液成分の濃度がより緩やかに変化する。したがって、基板Wの面内における薬液処理の均一性が更に向上する。
また、上記の実施形態では、バルブ23の開度を調節することにより、処理液供給源2から供給される処理液中の薬液成分の濃度を調整したが、他の方法により薬液成分の濃度を調整してもよい。例えば、図11に示したように、フッ酸供給源22と単なる開閉を行うバルブ23との組み合わせを複数設け、各バルブ23の開閉を切り替えることにより、薬液成分の濃度を調整してもよい。図11の例では、低濃度薬液を供給する場合には一方のバルブ23のみを開放し、薬液処理濃度D1の薬液を供給する場合には、双方のバルブ23を開放する。このようにすれば、単なるバルブ23の開閉のみで薬液成分の濃度を簡便に調整できる。
また、上記の実施形態では、濃度センサ6の計測結果に基づいて処理液の置換動作を停止させていたが、置換動作開始後の経過時間に基づいて処理液の置換動作を停止させるようにしてもよい。ただし、濃度センサ6の計測結果を利用すれば、濃度の実測値に基づいて置換動作を正確に停止できる。
また、上記の基板処理装置10aは、高速供給系統3の4つの供給ノズル31〜34と、低速供給系統4の2つの供給ノズル41,42とを備えていたが、本発明の基板処理装置は、上記のようなノズル構成に限定されるものではない。例えば、処理槽11の底部に配置された2つの供給ノズルのみから処理液を吐出する構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、薬液成分としてフッ酸を用いていたが、本発明における薬液成分はアンモニア、APM(アンモニア過酸化水素混合液)、BHF(バファードフッ酸)などであってもよい。また、上記の基板処理装置10aは、薬液処理としてエッチング処理を行うものであったが、本発明の基板処理装置は、汚染物質の除去処理やレジスト膜の剥離処理などの処理を薬液処理として行う装置であってもよい。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示した図である。 基板処理装置の動作の流れを示したフローチャートである。 基板処理装置の動作中における処理槽の状態の遷移を示した図である。 薬液成分の濃度を2段階に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 薬液成分の濃度を2段階に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 処理槽内の複数箇所で薬液成分の濃度を計測し、その最大値と最小値との差分の時間的変化を調べた結果を示した図である。 薬液成分の濃度を5段階に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 薬液成分の濃度を5段階に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 薬液成分の濃度を連続的に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 薬液成分の濃度を連続的に変化させた場合の薬液成分濃度の時間的変化を示した図である。 変形例に係る基板処理装置の概略構成を示した図である。
符号の説明
2 処理液供給源
3 高速供給系統
4 低速供給系統
5 リフタ
6 濃度センサ
9 制御部
10a 基板処理装置
11 処理槽
12 回収槽
22 フッ酸供給源
23,25,36,46 バルブ
24 純水供給源
31 供給ノズル
31,32,33,34,41,42 供給ノズル
W 基板

Claims (7)

  1. 処理液として薬液と純水とを置換して用いることにより、一つの処理槽内で基板に対して薬液処理及び水洗処理を行う基板処理装置であって、
    前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、
    前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を調整する濃度調整手段と、
    前記濃度調整手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度を連続的に変化させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項2に記載の基板処理装置であって、
    前記制御手段は、前記処理槽内において薬液と純水とを置換するときには、前記処理液供給手段から供給される処理液中の薬液成分の濃度の変化率の絶対値を徐々に増加させるように、前記濃度調整手段を制御することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する薬液成分供給手段とを有し、
    前記濃度調整手段は、前記薬液成分供給手段の供給量を調節する流量調節手段を有することを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記処理液供給手段は、純水を供給する純水供給手段と、薬液成分を供給する複数の薬液成分供給手段とを有し、
    前記濃度調整手段は、前記複数の薬液成分供給手段のそれぞれにおいて薬液成分の供給と停止とを切り替える複数のバルブ有することを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記処理槽内において処理液中の薬液成分の濃度を計測する計測手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記計測手段の計測値に基づいて前記処理槽内における薬液と純水との置換動作を停止することを特徴とする基板処理装置。
  7. 一つの処理槽内で基板に対して薬液処理及び水洗処理を行う基板処理装置において、処理液としての薬液と純水とを置換する処理液置換方法であって、
    前記処理槽内への処理液の供給と前記処理槽からの処理液の排出とを行いつつ、
    前記処理槽内に供給する処理液中の薬液成分の濃度を2以上の段階に分けて変化させることを特徴とする処理液置換方法。
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