JP2009167397A - 繊維複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高透明性、低吸水率かつ低線膨張率の繊維複合体を提供する。
【解決手段】平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を含む繊維複合体であって、厚み100μmにおける該繊維複合体のJIS規格K7136によるヘーズが5以下であることを特徴とする繊維複合体。繊維を、100MPa以上の圧力から噴出させて減圧する超高圧ホモジナイザー及び/又は周波数が15kHz以上1MHz以下で、実効出力密度が1W/cm以上の超音波で解繊し、平均繊維径が30nm以下である繊維を得る工程と、平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を複合化する工程とを含むことを特徴とする該繊維複合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維とマトリクス材料とを含む繊維複合体に関するものであり、特に可視光の波長よりも細い繊維径の繊維を用いると共に、好ましくはこの繊維を化学修飾することにより、高透明性、低吸水率かつ低線膨張率の繊維複合体を実現する技術に関する。
本発明の繊維複合体は、高透明性、低吸水性で、線膨張率も小さいことから、こうした特性を生かして各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等として産業上有用である。
一般に、液晶や有機EL等のディスプレイ用基板には、ガラス板が広く用いられている。しかし、ガラス板は比重が大きく軽量化が困難で、割れやすい、曲げられない、厚みが必要などの欠点があることから、近年、ガラス板に代わるプラスチック基板が検討されている。具体的には、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等を用いたディスプレイ用基板が使用されている。
しかしながら、これら従来のガラス代替用プラスチック材料は、ガラス板に比べて線膨張率が大きいため、基板上に薄膜トランジスタ等のデバイス層を高温で蒸着させるプロセスの際に、反りや蒸着膜の割れ、半導体の断線などの問題が生じ易く、実用は困難であった。
即ち、これらの用途には、高透明性、高耐熱性、低吸水性かつ低線膨張率のプラスチック材料が求められている。
近年、バクテリアセルロースをはじめとするセルロースの微細繊維を用いた複合材料がさかんに研究されている。セルロースは伸びきり鎖結晶を有することから、低線膨張率、高弾性率、高強度を発現することが知られている。また、微細化することにより太さが数nmから200nmの範囲にある微小かつ高結晶性のセルロースナノファイバーが得られ、その繊維の隙間をマトリクス材料で埋めることで高い透明性と低線膨張率を有する複合体が得られることが報告されている。
特許文献1には、バクテリアセルロースと光硬化性樹脂との複合体に関する記載があるが、本発明者らの検討によれば、バクテリアセルロースは平均繊維径が50nm程度であり、繊維径が太いため、光の散乱現象が生ずる。このため、JIS K7136で求められるヘーズが10程度であることが判明した。また、木質を原料として得られる繊維径50nm未満のナノファイバーセルロース繊維(以下「NFCe」と略記する)と光硬化性樹脂との複合体に関する記載があるが、植物由来の不純物がNFCe中に含有されており、複合体を加熱した際に、着色するという問題点があった。
特許文献2には、化学処理したNFCeと光硬化性樹脂との複合体に関する記載があるが、本発明者らの検討によれば、NFCeの空隙率が低く、複合化の際に、マトリクス材料が不織布の繊維間に十分に含浸しないために、得られる複合材料の透明性が低下するといった問題点があった。
特許文献3には、バクテリアセルロース又はコットンと熱硬化性樹脂との複合体に関する記載がある。ここで記載されるセルロースシートと樹脂シートを重ねてプレスした材料の平行光線透過率は最大で81.3%であり、同一サンプルのヘーズの記載はないので不
明であるが、最も光線透過率の高いサンプルの全光線透過率が88.6%と仮定すると、ヘーズは8.2%と計算され、高い値を示す。
特許文献4には、化学修飾セルロースとセルロースエステルとの複合体に関する記載があり、化学修飾セルロースの粒子にセルロースエステルを混合して複合材料を得ているが、本発明者らの検討によれば、特許文献1の実施例14のような高圧ホモジナイザー処理や、特許文献2の実施例6のようなグラインダー処理、特許文献4の実施例2の40W、20分程度の超音波処理では、セルロース繊維の解繊が不十分であると考えられる。又、特許文献4では、解繊後のセルロース繊維を乾燥させた後、酢酸セルロースとの複合体としているが、一旦乾燥させたセルロース繊維は凝集するため、複合体中では、セルロース繊維は凝集体として分散し、凝集した繊維径が大きいことにより、ヘーズも高くなると考えられる。
特開2006−241450 特開2007−51266 特開2006−316253 特表平11−513425
本発明は、高透明性、低吸水率かつ低線膨張率の繊維複合体を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のセルロース繊維複合体は、平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を含む繊維複合体であって、厚み100μmにおける該繊維複合体のJIS規格K7136によるヘーズが5以下であることを特徴とする。
請求項2の繊維複合体は、請求項1において、繊維がセルロース繊維であることを特徴とする。
請求項3の繊維複合体は、請求項1又は2において、繊維が化学修飾されていることを特徴とする。
請求項4の繊維複合体は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、厚み100μmにおける該繊維複合体を190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱した後のJIS規格K7105による黄色度が20以下であることを特徴とする。
請求項5の繊維複合体は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、厚み100μmにおける該繊維複合体のJIS規格K7209(D法)による吸水率が1%以下であることを特徴とする。
請求項6の繊維複合体は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、線膨張率が1ppm/K以上、50ppm/K以下である。
請求項7の繊維複合体は、請求項1ないし6のいずれかにおいて、マトリクス材料が高分子材料である。
請求項8の繊維複合体は、請求項1ないし7のいずれかにおいて、厚さが10μm以上、10cm以下である。
本発明(請求項9)の製造方法は、このような本発明の繊維複合体を製造する方法であって、繊維を、100MPa以上の圧力から噴出させて減圧する超高圧ホモジナイザー及び/又は周波数が15kHz以上1MHz以下で、実効出力密度が1W/cm以上の超音波で解繊し、平均繊維径が30nm以下である繊維を得る工程と、平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を複合化する工程とを含むことを特徴とする。
本発明(請求項10)の基板は、このような本発明の繊維複合体を含むことを特徴とする。
本発明(請求項11)の窓材は、このような本発明の繊維複合体を含むことを特徴とする。
本発明(請求項12)の構造材は、請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含むことを特徴とする。
本発明(請求項13)の車体は、請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高透明性、低吸水性で、低線膨張率の繊維複合体が提供される。本発明の繊維複合体は、各種産業分野におけるガラス代替用プラスチック材料として有用であり、特に、高透明性、低吸水率かつ低線膨張率といった優れた特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等に有用である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明の繊維複合体は、平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を含み、厚み100μmにおける繊維複合体のJIS規格K7136によるヘーズが5以下であることを特徴とするものであり、高透明性、低吸水性、かつ低線膨張率であり、各種ディスプレイ用の基板等に有用である。
即ち、ディスプレイ用基板用途においては、高い透明性、低い線膨張率と、必要十分な適度な弾性率が要求される。基板の透明性が低いと、暗く、コントラストが低い画像しか得ることができない。また、基板の線膨張率が高いと、ディスプレイの製造プロセスにおいて、加熱した際、基板の上に載せたトランジスタと基板との膨張率が異なることにより、トランジスタの破壊や基板の反りや曲がりが生じてしまう。また、基板の弾性率が低いと基板は自重で曲がってしまい、平滑な面を形成することが難しくなる。そのため、トランジスタやその他の素子を精度よく形成することができなくなる。逆に、弾性率が高すぎると硬く脆くなり、基板自体が割れるなど不都合が生じる。
また、本発明の繊維複合体のように、繊維を含む複合体の場合、複合体中の繊維の繊維径が大きいと、繊維が複合体基板の表面に表出したとき、表面の凹凸が大きくなる。表面の平滑性が悪いと、有機EL素子用途の場合、ダークスポットの原因になる。このような点から、繊維複合体を構成する繊維の平均繊維径は30nm以下であることが必要になる。
また、透明性の中でも平行光線透過率が重要である。平行光線透過率が低い、即ち散乱光が大きい、つまりヘーズが大きいと、画素が不明瞭になり、色がぼやけたりにじんだりする。繊維を含む複合体の場合は、繊維径が光の波長に対して十分に小さくないと、光の散乱が生じてしまうという点から、厚み100μmにおける繊維複合体のJIS規格K7136によるヘーズは5以下であることが必要になる。繊維の平均繊維径が大きかったり、ヘーズが大きかったりすると、表面平滑性の悪化、平行光線透過率の低下という点で問題である。
[繊維]
本発明で用いられる繊維(以下「本発明の繊維」と称する場合がある。)としては、天然の繊維や合成繊維、無機の繊維などが挙げられる。
天然の繊維としては、植物やホヤ、バクテリアが製造するセルロース繊維や酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、エビやかになどの甲殻類に含まれるキチンやキトサンなどのキチン誘導体、毛髪や羊毛、絹、蜘蛛の糸等のタンパク質繊維、DNA等の核酸、ポリイソプレン等の天然ゴム繊維が挙げられる。合成繊維としてはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル等の付加重合型高分子繊維、ナイロンなどのポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、フェノール樹脂繊維やメラミン樹脂繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維等、各種高分子繊維が挙げられる。無機の繊維としては、ガラス繊維や、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン等の金属の酸化物、純金属や合金、金属を含む化合物の針状結晶、カーボンナノチューブやカーボン繊維等が挙げられる。
中でも、セルロース繊維は結晶の直径が数nm程度であり、好適に用いることができる。
<セルロース繊維>
セルロース繊維は、セルロース不織布として用いることが好ましい。
本発明におけるセルロース不織布(以下「本発明のセルロース不織布」と称する場合がある。)とは、主としてセルロースからなる不織布であり、セルロース繊維の集合体である。セルロース不織布はセルロース懸濁液を抄紙又は塗布によって製膜する方法、あるいはゲル状膜を乾燥する方法などによって得られる。
<セルロース不織布の厚み>
本発明のセルロース不織布の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上で、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは1cm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは250μm以下である。セルロース不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限以上で厚い方が好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限以下で薄い方が好ましい。
<繊維径>
本発明の繊維の繊維径は細いことが好ましい。具体的には1500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、さらに好ましくは1000nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、特に好ましくは500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましい。1500nm以上の繊維径のものを含んでいないものであれば、樹脂等のマトリクス材料と複合化した場合、透明性が高く、線膨張率が低いものが得られる点において好ましい。
なお、繊維の繊維径はSEM観察により確認することができる。
また、SEMより観察される本発明の繊維の繊維径は、平均で30nm以下であり、好ましくは、4〜30nmである。繊維の平均繊維径が30nmを超えると、可視光の波長の1/10に近づき、マトリクス材料との界面で可視光の屈折及び散乱が生じ易く、透明性が低下するので好ましくない。また、繊維径が4nm未満の繊維は実質的に製造できない。透明性の観点から、繊維の平均繊維径はより好ましくは4〜20nmである。
ここで、繊維径は、SEM等の顕微鏡により測定できる。具体的には、繊維不織布の表面や断面をSEMやTEM等で観察し、ランダムに抽出した12点のうち最大と最小を除く10点の測定値の平均を求める。尚、複合体中の繊維径は、複合体をそのまま破断したり、必要に応じて液体窒素などで冷却してから破断したりして、破断面を出し、その破断面をSEMやTEM等で観察し、ランダムに抽出した12点のうち最大と最小を除く10点の測定値を平均することで求めることが出来る
<繊維長>
繊維の長さについては特に限定されないが、平均で100nm以上が好ましい。繊維の平均長さが100nmより短いと、強度が不十分となる恐れがある。
<黄色度>
本発明の繊維、好ましくはセルロース不織布の色目は、白いことが好ましい。
本発明のセルロース不織布は、上述のように繊維径の細いセルロース繊維で構成されるが、空隙があるために、セルロース不織布自体は実質的には透明にならず、樹脂等のマトリクス材料を含浸させて複合化した後に透明となる。その際、無色であることが好ましい。よって、不織布自体は白いことが好ましい。
セルロースの性質から、不織布は青味、赤味がつくことはほとんどなく、原料由来で黄色味がつく場合や、後の化学修飾によって黄色味が着く場合がある。特に、木質由来の原料を用いる場合、精製度合いによって黄色味が着くことがある。繊維及び不織布に黄色味が着くと、マトリクス材料と複合化した際、透明であっても黄色味を示し好ましくない。
このような黄色味はJIS K7105に準拠し、イエローインデックス(以後YI)を測定することで評価できる。YI値が大きい程黄色味が強いことを示す。本発明の繊維及びセルロース不織布のYI値は15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。YI値は例えば、スガ試験機製カラーコンピューター等の計測機器を用いてJIS規格K7105に従って測定することができる。
<セルロース不織布の原料>
本発明のセルロース不織布の原料としては、植物由来の原料を挙げることができる。具体的には、針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットン、ケナフや麻、ラミーなどが挙げられる。植物由来の原料は、バクテリアセルロースなどの非植物由来のセルロースに比べて生産性やコスト面で実用性が非常に高い点で経済的に好ましい。植物由来の原料の中でも針葉樹や広葉樹などの木質はミクロフィブリルが約4nmと非常に微細であり、分岐のない線状の繊維形態を有することから、光の散乱を生じにくい。さらに、地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、性能的にも経済的にも非常に好ましい。
複合体中の不織布が植物由来のセルロース繊維よりなることは、SEM観察により繊維形態を確認する方法や、植物由来のセルロースにのみ存在するリグニンなどの成分を定性することにより確認することができる。
<セルロース不織布の空隙率>
本発明のセルロース不織布は空隙率が35vol%以上であることが好ましく、さらには35vol%以上60vol%以下であることが好ましい。セルロース不織布の空隙率が小さいと、後に示す化学修飾が進行しにくかったり、樹脂等のマトリクス材料が含浸しにくくなり、複合体にしたときに未含浸部が残るため、その界面で散乱が生じてヘーズが高くなり好ましくない。また、セルロース不織布の空隙率が高いと複合体としたとき、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率が大きくなるので、好ましくない。
ここでいう空隙率とは、不織布中における空隙の体積率を示し、空隙率は、セルロース不織布の面積、厚み、重量から、下記式によって求めることができる。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(PEACOK社製 PDN−20)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
また、複合体中の不織布の空隙率を求める場合、分光分析や、複合体の断面のSEM観察を画像解析することにより空隙率を求めることもできる。
<化学修飾>
本発明の繊維複合体中の繊維は、化学修飾された繊維であることが好ましい。化学修飾とは、繊維の表面が化学修飾剤と反応して化学修飾されたものであり、繊維がセルロース繊維の場合、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して化学修飾されているものである。以下、繊維がセルロースである場合を代表例として繊維の化学修飾を説明するが、これに限定されるものではない。
(種類)
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
(修飾方法)
修飾方法としては、特に限定されるものではないが、セルロースと次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよるなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクリロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタン等が挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(化学修飾率)
ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
〈測定方法〉
セルロース不織布0.05gを精秤しこれにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。ここにフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009167397
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009167397
本発明において、セルロース繊維の化学修飾率は、セルロースの全水酸基に対して、好ましくは0mol%以上、より好ましくは8mol%以上、さらに好ましくは15mol%以上である。また、化学修飾率はセルロースの全水酸基に対して65mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは40mol%以下である。
この化学修飾率が低すぎると、複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまうことがあり、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られるセルロース繊維複合体の線膨張率が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。また、化学修飾率が低すぎると、不織布の親水性が高くなり、吸水率が高くなり好ましくない。特に、セルロース原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低いと複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまったり、化学修飾率が高くても化学修飾反応後に不織布が着色してしまったりするので好ましくない。
[セルロース不織布の製造方法]
本発明のセルロース不織布の製造方法は特に限定されるものではないが、化学修飾したセルロース不織布を製造する場合には、好ましくは、セルロースを不織布とした後に、化学修飾することにより、より好ましくは、セルロースを有機溶媒で洗浄した後に不織布とし、その後化学修飾することにより製造される。
不織布の製造に当たっては、セルロース原料を必要に応じて、精製や微細化した後に、そのセルロース懸濁液(通常はセルロースの水分散液)を濾過又は塗布によって製膜、あるいはゲル状膜を製膜し、製膜後は乾燥して不織布とするが、この乾燥を行う前にアルコール等の有機溶媒で洗浄もしくは浸漬処理することが好ましい。
化学修飾については、上記の如く、不織布に製膜してから行ってもよいし、不織布に製膜する前のセルロースに化学修飾を行ってもよいが、前者の方が好ましい。その場合、アルコール等の有機溶媒で置換したセルロースを製膜して不織布とした後、化学修飾する。
化学修飾が終了した後は水でよく洗浄した後、残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換して乾燥することが好ましい。
このような不織布の製造方法について更に詳しく説明する。
<不織布の製造>
不織布の製造には微細化したセルロース繊維を用いる。
針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットンは一般的な塩素による漂白法や、酸やアルカリ、各種有機溶剤による抽出などにより精製した後、微細化処理を行い微細化したセルロースを得る。
セルロースを微細化する分散機としては、回転刃を有するミキサーなどのブレンダータイプの分散機や、高速で刃やスクリューを回転させ、スリットから吐出する際に剪断を受けるエムテクニック社製のクレアミックスなどの高速回転式ホモジナイザー、細孔から高圧で吐出されるときに剪断力を受ける高圧ホモジナイザー、更に高圧で圧縮し、圧力を開放するタイプのスギノマシン社製のアルティマイザーなどの超高圧ホモジナイザー、マスコマイザーX(増幸産業社製)のような対向衝突型の分散機などが挙げられる。また、ボールミルやビーズミルなどのように、セラミックス製ビーズと一緒にセルロース繊維を容器に入れ、ビーズの衝突によるエネルギーで解繊する方法や、エネルギー密度の高いホーン型などの超音波ホモジナイザー等を用いることが好ましい。
特に、100MPa以上の高圧雰囲気下から細孔を通して噴出させて減圧する超高圧ホモジナイザーは、セルロース繊維を均一に微細化するのに有効である。
具体的には、セルロース懸濁液を増圧機で100MPa以上、好ましくは150MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは220MPa以上に加圧し、細孔直径50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、また800μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは350μm以下のノズルから噴出させ、圧力差が50MPa以上、好ましくは80MPa以上、より好ましくは90MPa以上となるように減圧する。この圧力差で生じるへき開現象により、セルロース繊維は微細に解繊される。この噴出動作は必要に応じて複数回繰り返すことができる。通常1回以上、好ましくは3回以上、より好ましくは5回以上、更に好ましくは10回以上である。また、通常100回以下であり、好ましくは50回以下、より好ましくは20回以下、更に好ましくは15回以下である。繰り返し数が多いほど微細化の程度を上げることができる。しかし、過度に多いとコスト高やエネルギー消費量が多くなり好ましくない。
この他に、15kHz以上1MHz以下の周波数で、実効出力密度が1W/cm以上である超音波ホモジナイザーもセルロース繊維を微細化するのに有効である。
具体的には、セルロース繊維の懸濁液に15kHz以上、好ましくは20kHz以上の周波数であり、1MHz以下、好ましくは500kHz以下、より好ましくは100kHz以下の周波数で超音波を照射する。超音波の周波数が小さすぎるとキャビテーションの発生が生じにくく、大きすぎると物理的な作用を発生させにくい。また、超音波の出力としては、実効出力密度が1W/cm以上、好ましくは10W/cm以上、より好ましくは20W/cm以上、更に好ましくは50W/cm以上である。超音波の出力が小さいと微細化効率が極端に低下し、十分な微細化を行うためには長時間の照射が必要となり実用的ではない。また、超音波の実効出力密度は500W/cm以下が振動子やホーンの耐久性から好適である。
なお、超音波の実効出力密度は水500mLの温度上昇から計算することができる。即ち、容器に水を500mL量り入れ、超音波を照射した時の上昇した温度を測定し、下記式に従って計算することで求められる。
P=(G/s)×4.18×500/m
ここで、Pは超音波の実効出力密度(W/cm)、Gは上昇温度(℃)、sは超音波の照射時間(秒)、mは超音波の振動面の面積(cm)であり、ホーンタイプの場合はその端面の面積、節状に振動面がある場合はその面積である。浴槽式などの場合は振動子の取り付けてある面が振動するためその面積に相当する。
超音波の照射方法は各種の方法が利用できる。例えば、超音波振動子の振動を伝えるホーンを直接上記のセルロース懸濁液に挿入することにより、直接セルロース繊維を解繊する方法や、セルロース懸濁液を入れた容器の床や壁の一部に振動子設置してセルロースを解繊する方法や、超音波振動子を装着した容器に水等の液体を入れ、その中にセルロース懸濁液を入れた容器を漬すことにより、水等の液体を介して間接的に超音波振動をセルロース懸濁液に与えて解繊する方法が利用できる。中でも、ホーンを直接セルロース懸濁液に挿入する方法は直接超音波エネルギーを伝達することできるので効率がよく、好適に利用される。セルロース懸濁液は一定の量を一定時間超音波処理した後、全量を入れ替えるバッチ式の処理方法で解繊処理をしても良く、また、ホーンの近傍や、床や壁に超音波振動子を設置した処理容器に一定量のセルロース懸濁液を流通させて、連続的に超音波を当てる方法も利用できる。一つの処理容器の中に超音波振動子を複数設置しても良いし、一つの処理容器に一つの振動子を設置した処理容器を複数個繋げて用いても良い。特に連続的にセルロース懸濁液を流して処理する場合、振動子を有する処理容器を直列に繋ぐ方法は、効率の面から好適である。その際に、複数の振動子は同一の周波数でも良いし、周波数を変化させても良い。
超音波処理を行うと、与えたエネルギーが熱に変換されてセルロース懸濁液の温度が上昇する。従って、一定の処理条件で解繊処理を行うために、冷却もしくは加熱などにより、セルロース懸濁液の温度を一定にすることが好ましい。超音波処理時の温度は1℃〜80℃が好ましく、より好ましくは10℃〜60℃、更に好ましくは15℃〜40℃である。この温度が低過ぎると水を分散媒に用いた場合、凍結してしまう。固体の氷ではキャビテーションの発生が困難であり、また、水と氷が混在している場合には、氷の表面でキャビテーションが発生してエネルギーを消費するため、セルロース繊維の解繊効率が低下する。温度が高過ぎると、超音波振動子面に微小な水蒸気が発生し、エネルギー効率が低下するため問題である。
超音波は連続的に照射しても良く、所定の間隔で間欠的に照射しても良い。例えば0.1〜0.9秒間の超音波照射と0.9〜0.1秒間の休止運転とを交互に繰り返し行う方法であっても良い。
超音波照射の処理時間は、セルロース懸濁液中のセルロース繊維が所望の微細化度に微細化されるような時間であれば良く、用いた超音波の出力や周波数、超音波照射前のセルロース繊維の繊維径等により適宜設定される。
なお、上述の微細化処理は、1種のみを行っても良く、2種以上を組み合わせて行っても良い。
微細化を行う際のセルロース懸濁液のセルロース濃度は0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であることが好ましい。セルロース懸濁液のセルロース濃度が低すぎると濾過や塗布するのに時間がかかりすぎる。また、セルロース濃度は10重量%以下、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下であることが好ましい。セルロース懸濁液のセルロース濃度が高すぎると粘度が高くなりすぎたり、均一な微細セルロース繊維が得られなかったりするので好ましくない。
濾過によって不織布を得る場合、濾過に供するセルロース懸濁液のセルロース濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であることが好ましい。セルロース濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかるため好ましくない。また、セルロース懸濁液のセルロース濃度は1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下であることが好ましい。セルロース懸濁液のセルロース濃度が高すぎると均一な不織布が得られないため好ましくない。
また、濾過時の濾布としては、微細化したセルロース繊維は通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなる不織布、織物、多孔膜であることが好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。
具体的には孔径0.1〜5μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜5μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
本発明のセルロース不織布はある範囲の空隙率を有することが好ましいが、このような空隙率の不織布を得る方法として、濾過による製膜工程において、不織布中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。又は、セルロース懸濁液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種又は2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
<化学修飾>
化学修飾については、不織布に製膜する前のセルロースに行ってもよいし、不織布に製膜してから化学修飾を行ってもよい。
不織布に製膜する前のセルロースに化学修飾する場合、原料の粗セルロースを化学修飾してもよいし、精製後のセルロースに化学修飾してもよいし、微細セルロースに化学修飾してもよいが、化学修飾剤を効率的に反応できる点で、精製後のセルロースに化学修飾することが好ましい。
この場合、化学修飾は通常の方法をとることができるが、通常精製後のセルロースは含水状態であるので、この水を反応溶媒等と置換して、化学修飾剤と水との反応を極力抑制することが重要である。また、ここで水を除去するために乾燥すると、後の微細化が進行しにくくなるため乾燥工程を入れることは好ましくない。
化学修飾は、通常の方法をとることができる。すなわち、常法に従って、セルロースと化学修飾剤とを反応させることによって化学修飾を行うことができる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を用いたり、加熱、減圧等を行ってもよい。触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
温度条件としては、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから10〜130℃が好ましい。反応時間は化学修飾剤や化学修飾率にもよるが数分から数十時間である。
このようにして化学修飾を行った後は、反応を終結させるために水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。
この後、化学修飾されたセルロースが、精製前の粗セルロースであれば、この化学修飾後に精製を行い、さらに微細化して製膜して不織布とする。精製後のセルロースに化学修飾を行った場合は、この化学修飾後に微細化して製膜して不織布とする。また、微細セルロースに化学修飾を行った場合は、化学修飾後に製膜して不織布とする。不織布とするとする際、例えば、微細セルロース懸濁液を濾過することにより不織布とする場合は、濾過による製膜工程において、セルロース中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する。
セルロースの化学修飾を、セルロースを不織布に製膜した後に行う場合は、上述のように、不織布を製造後、アルコール等の有機溶媒で置換した後、更に不織布を乾燥した後に化学修飾を行っても、乾燥せずに化学修飾を行っても構わないが、乾燥した後に行った方が化学修飾の反応速度が速くなるため好ましい。乾燥する場合は送風乾燥、減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱しても構わない。
不織布の化学修飾も、通常の方法をとることができ、具体的には、上述の不織布とする前のセルロースに化学修飾を行う場合と同様である。
不織布に化学修飾を行った場合も、化学修飾後は、反応を終結させるために水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。また、水で十分に洗浄した後、さらに残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換することが好ましい。この場合、不織布をアルコール等の有機溶媒に浸漬しておくことで容易に置換することができる。
<乾燥>
不織布に製膜する前に化学修飾を行った場合も、不織布に製膜してから化学修飾を行った場合も、最後に不織布を乾燥するが、この乾燥には送風乾燥又は減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると不織布が着色したり、分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性があり、圧力が高すぎるとセルロース不織布がつぶれたり分解する可能性がある。
[マトリクス材料]
上述の本発明の繊維は、マトリクス材料と複合化されて、本発明の繊維複合体となる。
例えば、上述の本発明のセルロース不織布はマトリクス材料と複合化されて、本発明の繊維複合体となる。
本発明において、マトリクス材料とは、本発明の繊維、好ましくは本発明のセルロース不織布の空隙を埋める材料であり、好ましくは高分子材料である。
本発明において、マトリクス材料として好適な高分子材料は、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、加熱により重合する熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂等から得られる少なくとも1種の樹脂である。以下に具体的なマトリクス材料を例示するが、本発明で用いるマトリクス材料は何ら以下のものに限定されるものではない。また、本発明における熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂は2種以上混合して用いることができる。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等の重合体及び共重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の重合体及び共重合体が挙げられる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。(メタ)アクリル酸エステルとは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキルエステル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、3価以上の多価フェノール類を共重合成分として含有できる1種以上のビスフェノール類と、ビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体であり、必要に応じて芳香族ポリエステルカーボネート類とするために共重合成分としてテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(例えば芳香族ジカルボン酸ジエステルや芳香族ジカルボン酸塩化物)を使用してもよいものである。
前記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ(略号はアルドリッチ社試薬カタログを参照)等が例示され、中でもビスフェノールAとビスフェノールZが好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。共重合可能な3価フェノール類としては、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンやフロログルシノールなどが例示できる。
脂肪族ポリカーボネート系樹脂としては、脂肪族ジオール成分及び/又は脂環式ジオール成分とビスアルキルカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体である。脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノールやイソソルバイト等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体が挙げられる。また、ポリアリレートのように、ビスフェノールA等のジオール類とテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体も挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、上記ジオールとコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体やグリコール酸や乳酸等のヒドロキシジカルボン酸の共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィン等との二元或いは三元の共重合体等;具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂、及び4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン−エチレン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系樹脂等の樹脂、並びに、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、1−ブテンと他のα−オレフィンとの共重合体、更に、例えば1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンとの二元或いは三元の共重合体等、具体的には、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のオレフィン系ゴム等が挙げられ、これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
環状オレフィン系樹脂とは、ノルボルネンやシクロヘキサジエン等、ポリマー鎖中に環状オレフィン骨格を含む重合体もしくはこれらを含む共重合体である。例えば、ノルボルネン骨格の繰り返し単位、又はノルボルネン骨格とメチレン骨格の共重合体よりなるノルボルネン系樹脂が挙げられ、市販品としては、JSR製の「アートン」、日本ゼオン製の「ゼネックス」及び「ゼオノア」、三井化学製の「アペル」、チコナ製の「トーパス」等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体も挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリット酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の共重合体であるピロメリット酸型イミド、無水塩化トリメリット酸やp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンやジイソシアネート化合物からなる共重合体であるトリメリット酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン等からなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等からなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等からなるビスマレイミド型ポリイミド等が挙げられる。
ポリアセタール系樹脂としては、オキシメチレン構造を単位構造にもつホモポリマーと、オキシエチレン単位を含む共重合体が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールA等の共重合体が挙げられる。
非晶性フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
<硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂とは、硬化する前の前駆体もしくは硬化してなる樹脂硬化物のことを意味する。ここで前駆体は、常温では液状、半固体状又は固形状等であって常温下又は加熱下で流動性を示す物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱又は活性エネルギー線の作用によって重合反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成してなる不溶不融の樹脂となり得る。また、樹脂硬化物とは、上記熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体が硬化してなる樹脂を意味する。
<<熱硬化性樹脂>>
本発明における熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。
上記エポキシ樹脂前駆体としては、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂前駆体中のエポキシ基の数としては、1分子あたり1個以上7個以下であることが好ましく、1分子あたり2個以上であることがより好ましい。ここで、前駆体1分子あたりのエポキシ基の数は、エポキシ樹脂前駆体中のエポキシ基の総数をエポキシ樹脂中の分子の総数で除算することにより求められる。上記エポキシ樹脂前駆体としては特に限定されず、例えば、以下に示したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独でも2種以上併用されてもよい。これらエポキシ樹脂は硬化剤を用いてエポキシ樹脂前躯体を硬化することにより得られる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の、ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂及びこれらの水添化物や臭素化物等の前駆体が挙げられる。また、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチルアジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等の脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。また、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。また、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。また、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体又はその部分水添物の重合体における不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。また、エポキシ化SBS等のような、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック又はその部分水添化物の重合体ブロックとを同一分子内にもつブロック共重合体における共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。また1分子あたり1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。また、上記エポキシ樹脂の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入した、ウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂等が挙げられる。上記変成エポキシ樹脂としては、例えば、上記エポキシ樹脂にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、エポキシ樹脂以外に、少なくとも1つのオキシラン環を有する樹脂又はオリゴマーが添加されてもよい。また、フルオレン含有エポキシ樹脂、フルオレン基を含有する熱硬化性樹脂及び組成物、又はその硬化物も挙げられる。これらフルオレン含有エポキシ樹脂は、高耐熱であるため好適に用いられる。
上記オキセタン樹脂としては、少なくとも1個のオキセタン環を有する前駆体が重合してなる有機化合物をいう。上記オキセタン樹脂前駆体中のオキセタン環の数としては、1分子あたり1個以上7個以下であることが好ましく、1分子あたり2個以上であることがより好ましい。ここで、前駆体1分子あたりのオキセタン環の数は、オキセタン樹脂前駆体中のオキセタン環の総数をオキセタン樹脂中の分子の総数で除算することにより求められる。上記オキセタン樹脂前駆体としては特に限定されず、例えば、以下に示したオキセタン樹脂等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用されてもよい。
分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル{[−3−(トリエトキシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンなどが挙げられる。
分子中に2個のオキセタン環を有する化合物としては、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル等が挙げられる。
分子中に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、分枝状のポリアルキレンオキシ基やポリシロキシ基と3−アルキル−3−メチルオキセタンの反応物などが挙げられる。
市販のオキセタン樹脂としてはアロンオキセタン OXT-101、OXT-121、OXT-211、OXT-221、OXT-212、OXT-610、OXT-213(東亞合成(株)社製)ETERNACOLL OXETANEEHO、OXBP、OXMA、OXTP(宇部興産(株)社製)などが挙げられる。
上記オキセタン樹脂としては、オキセタンモノマー以外にも、これらに共重合可能なモノマーを共重合させたものであっても良い。ここで、共重合可能なモノマーとしては、例えば、分子中にオキセタン環もしくはエポキシ環を有する(メタ)アクリレートモノマーやアミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、メルカプト化合物などが挙げられる。
また、オキセタン樹脂は、エポキシ樹脂と複合して用いても良く、その場合、オキセタン樹脂とエポキシ樹脂の比率に関しては、これら混合物の100重量部の内、オキセタン樹脂が5〜95重量部であることが好ましく、より好ましくはオキセタン樹脂の割合が20〜90重量部である。オキセタン樹脂が少な過ぎると、光硬化度が低下し、多過ぎると光硬化速度が低下して十分な物性の硬化物が得られない。
アクリル樹脂前駆体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、分子内に2個又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、スチレン系化合物、アクリル酸誘導体、分子内に4〜8個の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、脂環骨格を有するモノ(メタ)アクリレートは、耐熱性が高くなるので、好適に利用することができる。脂環骨格モノ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば(ヒドロキシ−アクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシ−メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシ−アクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシ−メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシメチル−アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシメチル−アクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシエチル−アクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシエチル−アクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等が挙げられる。また、これらの混合物等を挙げることが出来る。
分子中に2個又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]シクロヘキサン等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
エステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの中でも、含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート化合物が好適に用いられる。
例えばビス(アクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等、及びこれらの混合物等を挙げることが出来る。
これらのうち、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンから選ばれるものが好ましい。これらのビス(メタ)アクリレートは、いくつか併用することもできる。
分子内に4〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリオールの(メタ)アクリル酸エステル等が利用できる。具体的には、ペンタエリスリテールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリテールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールセプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
次にエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ基を有する化合物、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加型の末端グリシジルエーテル、フルオレンエポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる。具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジプロピレンオキサイドジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル=トリ(メタ)アクリレート、2−ヒドリキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアミノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートとしては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜10個(好ましくは2〜5個)有するウレタンオリゴマー等が挙げられる。例えば、ジオール類及びジイソシアネー類を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレートを反応させて製造される(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマーがある。
ここで用いるジオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオール等が挙げられる。イオン重合性環状化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン性重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテンオキシドとエチレンオキシド等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
ここまでに述べたこれらのポリエーテルジオールは、例えばPTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、PPG1000、EXCENOL2020、1020(以上、旭オーリン(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂(株)製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)等の市販品としても入手することができる。
上記のポリエーテルジオールの他にポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられ、これらのジオールをポリエーテルジオールと併用して用いることもできる。これらの構造単位の重合様式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。ここで用いるポリエステルジオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。市販品としてはクラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、(株)クラレ製)等が入手できる。
また、ポリカーボネートジオールとしては、例えば1,6−ヘキサンポリカーボネート等が挙げられ、市販品としてはDN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン(株)製)、PC−8000(米国PPG(株)製)等が挙げられる。
さらにポリカプロラクトンジオールとしては、ε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等の2価のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらのジオールは、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル(株)製)等が市販品として入手することができる。
上記以外のジオールも数多く使用することができる。このようなジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
また上記したようなジオールを併用する以外にも、ポリオキシアルキレン構造を有するジオールとともにジアミンを併用することも可能であり、このようなジアミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
好ましいジオールとしては1,4−ブタンジオールの重合体であるポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。このジオールの好ましい分子量は数平均分子量で通常50〜15,000であり、特に500〜3,000である。
一方、ジイソシアネート類としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル ジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは一種でも、二種以上を併用して用いてもよい。中でもイソホロンジイソシアネートやノルボルナンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル ジイソシアネートなどの脂環骨格を有するジイソシアネートが好適に用いられる。
また、反応に用いるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、さらにアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げることができる。これらのうち、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
市販のウレタンオリゴマーとしては、EB2ECRYL220(ダイセル・サイテック)、アートレジンUN-3320HA(根上工業)、アートレジンUN-3320HB(根上工業)、アートレジンUN-3320HC(根上工業)、アートレジンUN-330(根上工業)及びアートレジンUN-901T(根上工業)、NK-オリゴU-4HA(新中村化学)、NK-オリゴU-6HA(新中村化学)、NK-オリゴU-324A(新中村化学)、NK-オリゴU-15HA(新中村化学)、NK-オリゴU-108A(新中村化学)、NK-オリゴU-200AX(新中村化学)、NK-オリゴU-122P(新中村化学)、NK-オリゴU-5201(新中村化学)、NK-オリゴU-340AX(新中村化学)、NK-オリゴU-511(新中村化学)、NK-オリゴU-512(新中村化学)、NK-オリゴU-311(新中村化学)、NK-オリゴUA-W1(新中村化学)、NK-オリゴUA-W2(新中村化学)、NK-オリゴUA-W3(新中村化学)、NK-オリゴUA-W4(新中村化学)、NK-オリゴUA-4000(新中村化学)、NK-オリゴUA-100(新中村化学)、紫光UV-1400B(日本合成化学工業)、紫光UV-1700B(日本合成化学工業)、紫光UV-6300B(日本合成化学工業)、紫光UV-7550B(日本合成化学工業)、紫光UV-7600B(日本合成化学工業)、紫光UV-7605B(日本合成化学工業)、紫光UV-7610B(日本合成化学工業)、紫光UV-7620EA(日本合成化学工業)、紫光UV-7630B(日本合成化学工業)、紫光UV-7640B(日本合成化学工業)、紫光UV-6630B(日本合成化学工業)、紫光UV-7000B(日本合成化学工業)、紫光UV-7510B(日本合成化学工業)、紫光UV-7461TE(日本合成化学工業)、紫光UV-3000B(日本合成化学工業)、紫光UV-3200B(日本合成化学工業)、紫光UV-3210EA(日本合成化学工業)、紫光UV-3310B(日本合成化学工業)、紫光UV-3500BA(日本合成化学工業)、紫光UV-3520TL(日本合成化学工業)、紫光UV-3700B(日本合成化学工業)、紫光UV-6100B(日本合成化学工業)、紫光UV-6640B(日本合成化学工業)等が使用できる。
分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートの数平均分子量は1,000〜100,000が好ましく、更に好ましくは2,000〜10,000である。中でもメチレンジシクロヘキシルジイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコールを有するウレタンアクリレートは透明性、低複屈折性、柔軟性等の点により優れており、好適に利用することができる。
フェノール樹脂前駆体としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒド等を反応させノボラック等を合成し、これをヘキサメチレンテトラミン等で硬化させたもの等が挙げられる。
ユリア樹脂前駆体としては、尿素等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
メラミン樹脂前駆体としては、メラミン等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和多塩基酸等と多価アルコール等より得られる不飽和ポリエステルを、これと重合する単量体に溶解し硬化した樹脂等が挙げられる。
珪素樹脂前駆体としては、オルガノポリシロキサン類を主骨格とするものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂前駆体としては、グリコール等のジオール類と、ジイソシアネートからなる重合反応物等が挙げられる。
ジアリルフタレート樹脂前駆体としては、ジアリルフタレートモノマー類とジアリルフタレートプレポリマー類からなる反応物が挙げられる。
これら熱硬化性樹脂の硬化剤、硬化触媒としては特に限定はないが、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明における光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、前述のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
また、上述の硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した硬化性組成物として用いられる。
上記連鎖移動剤としては、連鎖移動剤として、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(β−チオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオグリコレート)等の2〜6価のチオグリコール酸エステル又はチオプロピオン酸エステル;トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート等のω−SH基含有トリイソシアヌレート;ベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4、4’−ジメルカプトジフェニルスルフィド等のα,ω−SH基含有化合物等が挙げられる。これらの中でもペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。メルカプタン化合物を入れる場合は、マトリクス材料の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4、4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、その他マロン酸エステル系のホスタビンPR-25(クラリアント社)、蓚酸アニリド系のサンデュボアVSU(クラリアント社)などの化合物である。紫外線吸収剤を入れる場合は、マトリクス材料の合計に対して、通常0.01〜1重量%以下の割合で含有させる。
充填剤としては、セルロース繊維のほかに、無機粒子や有機高分子などを添加しても良い。例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやPMMAなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
また、シランカップリング剤を添加しても良い。例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等は分子中に(メタ)アクリル基を有しており、(メタ)アクリレートを用いる場合には、共重合することができるので好ましい。シランカップリング剤は、マトリクス材料の合計重量に対して通常0.1〜50重量%となるように含有させる。好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。0.1重量%よりも少ない場合には、これを含有させる効果が十分に得られず、また50重量%よりも多い場合には、硬化体の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
セルロース不織布に樹脂を複合化させるための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させて、硬化体とすることができる。
例えば、熱硬化、又は放射線硬化等が挙げられ、好ましくは放射線硬化である。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
具体的には、予め硬化性組成物に加熱によりラジカルや酸を発生する熱重合開始剤を添加しておき、加熱して重合させる方法(以下「熱重合」という場合がある)、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルや酸を発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある)等、及び熱重合開始剤と光重合開始剤を併用して予め添加しておき、熱と光の組み合わせにより重合させる方法が挙げられ、本発明においては光重合がより好ましい。
光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤又は光カチオン重合開始剤が用いられる。光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。
光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、次のようなものが挙げられる。
例えば、芳香族スルホニウム塩として、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロ、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI6990、UVI6979、ADEKA社製のSP−150、SP−170、SP−172、チバガイギー社製のイルガキュア261、イルガキュア250、ローディア社製のRHODORSIL PI2074、JMF−2456、三新化学工業社製のサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L、SI−100L等が挙げられる。
上記の光カチオン重合開始剤は単独もしくは複数を組み合わせて使用しても良い。使用量は特に制限はないが、オキセタン樹脂やエポキシ樹脂モノマーの総量100重量部に対して、0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上である。その上限は、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である。光カチオン重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる繊維複合体の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。また、開始剤の吸収により、光の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると光照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
さらに、光カチオン重合開始剤の他にも、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂を硬化させるための硬化剤を添加しても良い。硬化剤としては、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、熱潜在性カチオン重合触媒としては、アデカオプトン CP-66、CP-77((株)ADEKA社製)、サンエイド SI−15、SI−20、SI−25、SI−40、SI−45、SI−47、SI−60、SI−80、SI−100、SI−100L、SI−110L、SI−145、SI−150、SI−160、SI−180L(三新化学工業(株)社製)などが挙げられる。
また、光増感剤を添加することも出来る。具体的にはピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びベンゾフラビン等が挙げられる。市販の光増感剤としては、アデカイプトマーSP-100((株)ADEKA社製)などが挙げられる。
光重合開始剤の成分量は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計を100重量部としたとき、0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上である。その上限は、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる樹脂成形体の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。例えば、開始剤の濃度を5重量部とした場合、開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が上げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、これらの熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成及び光重合開始剤の種類、量に合わせて、300〜450nmの紫外線を好ましくは0.1〜200J/cmの範囲で照射する。更に好ましくは1〜20J/cmの範囲で照射する。放射線を複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、無電極水銀ランプ等を挙げることができる。
重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に硬化性組成物を30〜300℃の範囲で加熱して硬化を行う。この場合、硬化性組成物には、重合を完結するために熱重合開始剤を添加してもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらすので、熱重合開始剤は、硬化樹脂モノマー成分の合計に対して0.1〜2重量%、より好ましくは0.3〜1重量%となるように用いられる。
<物性>
本発明においては、このようなマトリクス材料のうち特に非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子が、透明性に優れた高耐久性のセルロース繊維複合体を得る上で好ましく、このうち非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。また、低吸水性の複合体を得るためには、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などの親水性の官能基が少ないマトリクス材料を選定することが好ましい。
なお、マトリクス材料のTgはDSC法による測定で求められ、結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができる。
[繊維とマトリクス材料との複合化方法]
本発明の繊維複合体を得る方法としては、特に制限はないが、例えば前述の本発明のセルロース不織布を用いる場合、セルロース不織布に対し、
(a)モノマーを含浸させて重合する方法
(b)熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法
(c)樹脂溶液を含浸させ乾燥後、加熱プレス等で密着させる方法
(d)熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
等が挙げられる。
(a)モノマーを含浸させて重合する方法としては、重合可能なモノマーやオリゴマーをセルロース不織布に含浸させ、熱処理等により上記モノマーを重合させることにより、セルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。この場合、一般的には、モノマーの重合に用いられる重合触媒を重合開始剤として用いることができる。
(b)熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法としては、エポキシ樹脂モノマー等の熱硬化性樹脂前駆体、又はアクリル樹脂モノマー等の光硬化性樹脂前駆体と硬化剤の混合物を、セルロース不織布に含浸させ、熱又は活性エネルギー線等により上記熱硬化性樹脂前躯体又は光硬化性樹脂前躯体を硬化させることによりセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。
(c)樹脂溶液を含浸させ乾燥後、加熱プレス等で密着させる方法としては、樹脂をこれが溶解する溶媒に溶解させ、その溶液をセルロース不織布に含浸させ、乾燥させることで複合体を得る方法が挙げられる。この場合、乾燥後加熱プレス等で溶媒が乾燥した空隙を密着させることでより高性能な複合体を得る方法が挙げられる。
(d)熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法としては、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上又は融点以上で熱処理することにより溶融させ、この融液をセルロース不織布に含浸し、加熱プレス等で密着することによりセルロース繊維複合体を得る方法が挙げられる。この場合、熱処理は加圧下で行うことが望ましく、真空加熱プレス機能を有する設備の使用が有効である。
本発明では、複合体を複数枚重ねて積層体を得ることができる。その際に、セルロース繊維を含む複合体と含まない樹脂シートを積層してもよい。積層体に加熱プレス処理を加えることで厚膜化することができる。厚膜の複合材料を用いてグレージングや構造材料として用いることができる。
[繊維複合体の物性]
次に、本発明の繊維複合体の物性について説明する。
<繊維含有量>
本発明の繊維複合体中のセルロース繊維等の繊維の含有量は通常1重量%以上99重量%以下であり、マトリクス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロース繊維等の繊維の含有量が1重量%以上、マトリクス材料の含有量が99重量%以下であることが、透明性を発現するにはセルロース繊維等の繊維の含有量が99重量%以下、マトリクス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロース繊維等の繊維が2重量%以上90重量%以下であり、マトリクス材料が10重量%以上98重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロース繊維等の繊維が5重量%以上80重量%以下であり、マトリクス材料が20重量%以上95重量%以下である。特に、本発明の繊維複合体では、セルロース繊維等の繊維の含有量が70重量%以下でマトリクス材料の含有量が30重量%以上、更には、セルロース繊維等の繊維の含有量が60重量%以下でマトリクス材料の含有量が40重量%以上であることが好ましい。また、セルロース繊維等の繊維の含有量が10重量%以上でマトリクス材料の含有量が90重量%以下、更にはセルロース繊維等の繊維の含有量が15重量%以上でマトリクス材料の含有量が85重量%以下、更にはセルロース繊維等の繊維の含有量が20重量%以上でマトリクス材料の含有量が80重量%以下であることが好ましい。
繊維複合体中のセルロース繊維等の繊維及びマトリクス材料の含有量は、例えば、マトリクス材料である樹脂含浸前のセルロース不織布の重量と含浸後のセルロース繊維複合体の重量より求めることができる。また、繊維複合体をマトリックス樹脂が可溶な溶媒に浸漬して樹脂のみを取り除き、残った繊維の重量から求めることもできる。その他、樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロース等の繊維由来の官能基を定量して求めることもできる。
<厚み>
本発明の繊維複合体の厚みは、好ましくは10μm以上、10cm以下である。このような厚みの繊維複合体にすることで強度を保つことができる。繊維複合体の厚みはより好ましくは50μm以上、1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上、250μm以下である。
なお、本発明の繊維複合体は、好ましくはこのような厚みの膜状(フィルム状)又は板状であるが、平膜又は平板に限らず、曲面を有する膜状又は板状とすることもできる。また、その他の異形形状であっても良い。また、厚みは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていても良い。
<黄色度>
本発明の繊維複合体は、厚み100μmの繊維複合体について、190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱した後に、JIS規格K7105に準拠して測定した黄色度(YI値)が20以下であることが好ましい。この黄色度は10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
繊維複合体の黄色度は例えば、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて測定することができる。
本発明の繊維複合体において、繊維としてセルロース繊維を用いた場合、セルロース繊維には、原料由来の黄色味が着く場合がある。特に木質由来の原料を用いた場合、精製度合いによって黄色味が着くことがある。セルロース繊維に黄色味が着くと、複合体にも影響して黄色味を示すことから好ましくない。また、複合する樹脂に由来して複合体に黄色味が着く場合がある。
本発明では、例えば、セルロース繊維を化学修飾したり、透明性の高いマトリクス材料を用いたりすることにより、このような着色の小さいセルロース繊維複合体とする。
<ヘーズ>
本発明の繊維複合体は、可視光の波長よりも細い繊維径の繊維を用いていることから、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい複合体である。本発明の繊維複合体のヘーズ値は、厚み100μmの繊維複合体について、JIS規格K7136に従って測定した値として、5以下であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特にこの値は1以下であることが各種透明材料として用いる場合に好ましい。繊維複合体のヘーズは、例えばスガ試験機製ヘーズメータで測定することができ、C光の値を用いる。
<吸水率>
本発明の繊維複合体は、厚み100μmの繊維複合体について、JIS規格K7209(D法)に準拠して測定した吸水率が好ましくは1%以下となる吸水率の低い複合体である。この吸水率は0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。吸水率が1%を超えると、加工プロセス上で脱水した複合体が空気中に放置された際、空気中の水分を吸収して伸び、寸法変形を起こすため、好ましくない。
<全光線透過率>
本発明の繊維複合体は、厚み50μmの繊維複合体について、その厚み方向にJIS規格K7105に準拠して測定された全光線透過率が好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは82%以上、より好ましくは84%以上、更に好ましくは86%以上、特に好ましくは88%以上、とりわけ好ましくは90%以上である。この全光線透過率が60%未満であると半透明又は不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。全光線透過率は例えば、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
<平行光線透過率>
本発明の繊維複合体は、厚み50μmの繊維複合体について、その厚み方向にJIS規格K7105に準拠して測定された平行光線透過率が57%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ89%以上であることが好ましい。この平行光線透過率が57%未満であると散乱光が多く、ヘーズが大きくなり、例えば有機EL素子用途等において、画素が不明瞭となり、色がぼやけたりにじんだりする。平行光線透過率は例えば、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
<線膨張率>
本発明の繊維複合体は、線膨張率が1〜50ppm/Kの線膨張率の低い複合体であることが好ましい。本発明の繊維複合体の線膨張率は30ppm/K以下であることがさらに好ましく、20ppm/K以下であることが特に好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張率が15ppm/K程度であるため、繊維複合体の線膨張率が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、本発明の繊維複合体の線膨張率は、特に5〜20ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張率は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
<マトリクス材料充填部の体積割合>
本発明の繊維複合体においては、用いた繊維、例えばセルロース不織布の空隙には、複合体とした際にマトリクス材料充填されているが、基本的には不織布を作成した際の空隙が保たれている。よって、本発明の繊維複合体の繊維部分の空隙率、即ちマトリクス材料充填部の体積割合は35vol%以上であることが好ましく、さらには35vol%以上60vol%以下であることが好ましい。
前述の如く、繊維複合体の繊維部分の空隙率、例えばセルロース不織布の空隙率は、例えば分光分析、複合体断面のSEM観察やTEM観察の画像解析によって測定することができる。
<引張強度>
本発明の繊維複合体は、引張強度が、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
<引張弾性率>
本発明の繊維複合体は、引張弾性率が、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは、1〜50GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
特に、ディスプレイ用基板用途において、基板の引張弾性率には好適範囲が存在し、基板の引張弾性率が低いと基板は自重で曲がってしまい、平滑な面を形成することが難しくなる。そのため、トランジスタやその他の素子を精度よく形成することができなくなる。逆に引張弾性率が高すぎると硬く脆くなり、基板自体が割れるなど不都合が生じる。
[用途]
本発明の繊維複合体は、透明性が高く、高強度、低吸水性でヘーズの小さい複合体とすることができ、光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としての用途において、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。また、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などに好適に使われる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層してもよい。
また、低線膨張率、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造材としても用いることができる。特に、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
なお、以下において、作製した試料の物性等は、下記の評価方法及び測定方法により行った。
〔セルロース不織布の化学修飾率〕
セルロース不織布0.05gを精秤しこれにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。これをフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009167397
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009167397
〔セルロース不織布の空隙率〕
セルロース不織布の面積、厚み、重量から、下記式によって求めた。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用した。
〔セルロース繊維複合体中の繊維径〕
セルロース繊維複合体中のセルロース繊維の繊維径は、複合体をそのまま破断したり、必要に応じて液体窒素などで冷却してから破断したりして、破断面を出し、その破断面をSEMで観察し、ランダムに抽出した10点の測定値を平均することで求めた。
平均の求め方としては、観察されたSEM写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点の平均値を算出して平均繊維径とした。
なお、製造例2や実施例6,7等におけるセルロース懸濁液中のセルロース繊維の平均繊維径の算出も同様である。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物のヘーズ〕
JIS規格K7136に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の全光線透過率〕
JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光による全光線透過率を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の平行光線透過率〕
JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光による平行光線透過率を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の黄色度〕
得られた複合体を190℃で真空下(酸素分圧0.004MPa)で1時間加熱した後、JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて黄色度を測定した。
〔セルロース繊維複合体の引張弾性率とセルロース繊維複合体又は樹脂硬化物のガラス転移温度〕
得られた複合体をレーザーカッターにより、10mm幅×40mm長に切断した。これを、SII社製DMS6100を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、周波数10Hz、2℃/min.で−100℃から250℃まで測定し、23℃における貯蔵弾性率E’(単位:GPa)より引張弾性率を測定し、tanδよりガラス転移温度(Tg)を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の線膨張率〕
得られた複合体をレーザーカッターにより、3mm幅×30mm長に切断した。これを、SII製TMA120を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温、180℃から25℃まで5℃/min.で降温、25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張率を求めた。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の吸水率〕
JIS規格7209(D法)に準拠し、得られた複合体を50℃で24時間静置後、重量(W)を測定し、その後23℃、湿度50%の雰囲気下に重量が一定になるまで静置後、重量(W)を測定した。下記式により吸水率を算出した。
吸湿率(%)=(W−W)/W ×100
なお、セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の全光線透過率及び平行光線透過率は、厚み50μmのセルロース繊維複合体又は樹脂硬化物についての値であり、黄色度、ヘーズ、吸水率は厚み100μmのセルロース繊維複合体又は樹脂硬化物についての値である。
従って、以下の実施例及び比較例で製造されたセルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の厚みが50μm又は100μmでない場合は、比例計算により、それぞれの値を換算して求めた。
<製造例1:セルロース分散液の調製>
米松木粉((株)宮下木材)を炭酸ナトリウム2重量%水溶液で80℃にて6時間脱脂した。これを脱塩水で洗浄した後、0.66重量%の亜塩素酸ナトリウム、0.14重量%の酢酸水溶液に80℃にて5時間浸漬してリグニン除去を行った。脱塩水洗浄した後、濾過し、回収した精製セルロースを脱塩水で洗浄後、5重量%の水酸化カリウム水溶液に16時間浸漬してヘミセルロース除去を行った。その後、脱塩水洗浄を行った。
<製造例2:高圧ホモジナイザー処理>
製造例1で得られたセルロース分散液を、0.5重量%の水懸濁液に調整し、超高圧ホモジナイザー(アルティマイザー;スギノマシン社製)処理を行った。処理時の圧力は245MPa、噴出口の孔径は150μmで、10回行った。この処理後のセルロース懸濁液中のセルロースの平均繊維径は、TEM観察より15nmであった。さらに、この懸濁液中のセルロースは、広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造であることが確認された。
<製造例3:セルロース不織布の製造>
製造例2で得られたセルロース懸濁液をセルロース濃度0.127重量%になるように水で希釈して、150mlに調整し、上部から30mlのイソプロピルアルコールを静かに加えて減圧濾過を行った。濾過器としてはアドバンテック社製KG−90を用い、ガラスフィルターの上に同アドバンテック社製の1.0μm孔径のPTFE製メンブランフィルターを載せた。有効濾過面積は48cmであった。減圧度−0.09MPa(絶対真空度10kPa)にて減圧濾過したところ、PTFE製メンブランフィルターの上にセルロース繊維の堆積物が得られた。このセルロース堆積物を120℃に加熱したプレス機にて0.15MPaの圧力で5分間プレス乾燥してセルロース不織布を得た。
<製造例4:アセチル化セルロース不織布の製造>
製造例3で得られたセルロース不織布を100mlの無水酢酸に含浸して100℃にて7時間加熱した。その後、蒸留水でよく洗浄し、最後に2−プロパノールに10分浸した後、120℃、2MPaにて5分間プレス乾燥して、厚み62μmのアセチル化セルロース不織布を得た。
この不織布の化学修飾率は33mol%であった。また空隙率は56vol%であった。
また、SEM観察により繊維径500nm以上のものが含まれていないことを確認した。平均繊維径は15nmであった。また、繊維長は100nm以上であることを確認した。得られたアセチル化セルロース不織布の黄色度は11.4であった。
<製造例5:アセチル化セルロース不織布の製造>
製造例3で得られたセルロース不織布を100mlの無水酢酸:酢酸=9:1の溶液に含浸し、室温で5日間静置した。その後、蒸留水でよく洗浄し、最後に2−プロパノールに10分浸した後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して厚み38μmのアセチル化セルロース不織布を得た。この不織布の化学修飾率は7mol%であった。また空隙率は28vol%であった。
<製造例6:バクテリアセルロースシートの製造>
食材として利用されているバクテリアセルロースゲルのナタデココ(フジッコ社製、厚さ1cm、繊維含有率1体積%、水含有率99体積%)を用いた。この含水バクテリアセルロースを2−プロパノールに浸漬後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥することにより、厚さ50μm、空隙率42vol%のバクテリアセルロースシートを得た。
<実施例1>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布を、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン96重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)4重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.05重量部、及びベンゾフェノン0.05重量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下一晩静置した。これを2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、放射照度400mW/cmの下を、ライン速度7m/minで通過させて光照射した。このときの放射照射量は0.12J/cmであった。この操作をガラス面を反転して2回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は25℃であった。次いで、放射照度1900mW/cmの下をライン速度2m/minで照射した。このときの放射照射量は2.7J/cmであった。この操作をガラス面を反転して8回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は44℃であった。全放射照射量は21.8J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み96μmのセルロース繊維複合体を得た。得られた複合体の23℃における引張弾性率は8.1GPaであった。
なお、紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
<実施例2>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布を、光硬化性樹脂前駆体のエポキシ化合物である水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂YX8000(JER社製)100重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)1重量部との混合液に含浸させ、減圧下一晩静置した。これを2枚のガラス板にはさみ、実施例1と同様のランプを用いて放射照度1900mW/cmの下を、ライン速度2m/minで照射した。このときの放射照射量は2.7J/cmであった。この操作をガラス面を反転して12回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は55℃であった。全放射照射量は32.4J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み106μmのセルロース繊維複合体を得た。
<実施例3>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布を、光硬化性樹脂前駆体のエポキシ化合物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂828EL(JER社製)100重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)1重量部との混合液に含浸させ、減圧下一晩静置した。これを2枚のガラス板にはさみ、実施例1と同様のランプを用いて放射照度1900mW/cmの下を、ライン速度2m/minで照射した。このときの放射照射量は2.7J/cmであった。この操作をガラス面を反転して16回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は60℃であった。全放射照射量は43.2J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み103μmのセルロース繊維複合体を得た。
<実施例4>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布を、熱硬化性樹脂前駆体の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂YX8000(JER社製)100重量部と硬化剤CP−77((株)アデカ社製)5重量部との混合液に含浸させ、減圧下一晩静置した。これをガラス板2枚にはさみ、100℃のオーブンの中に3時間静置して熱硬化した。硬化後、ガラス板よりはずし、厚み98μmのセルロース繊維複合体を得た。
<実施例5>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布の代わりに、製造例3で得られたセルロース不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で厚み105μmのセルロース繊維複合体を得た。
<実施例6>
超高圧ホモジナイザー処理数を5回にするほかは、製造例2と同様の方法でセルロース懸濁液を調製した。この液にSMT社製超音波ホモジナイザーUH−600S(周波数20kHz、実効出力密度22W/cm)を用いて超音波処理を行った。超音波処理の条件は、36mmφのストレート型チップ(チタン合金製)を用い、アウトプットボリウム8でチューニングを行い、最適なチューニング位置で60分間、50%の間欠運転にて超音波処理を行った。50%の間欠運転とは0.5秒間超音波を発振した後0.5秒間休止を行う運転である。
セルロース懸濁液は処理容器の外側から5℃の冷水で冷却し、懸濁液温度15℃±5℃に保ちながら処理を行った。また、マグネティックスターラーにて撹拌しながら処理を行った。
その後、日立工機株式会社製の遠心分離機(himacCR22G)を用い、アングルローターとしてR20A2を用いて遠心分離処理を行った。50ml遠沈管8本を、回転軸から34度の角度で設置した。1本の遠沈管に入れるセルロース懸濁液の量は30mlとして、18000rpmにて10分間遠心分離作業を行った。この時、本ローターでの遠心力は計算により38900Gと求められた。沈殿物を除去した上澄みの懸濁液中に含まれるセルロース繊維の平均繊維径は、TEM観察より10nmであった。この懸濁液中のセルロースは、広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造であることが確認された。
このセルロース懸濁液を用いて、製造例3と同様の方法で抄紙してセルロース不織布を製造し、その表面をSEMで観察したところ、繊維径が10nm以下のナノファイバーセルロースが観察された。
また、このセルロース不織布の厚みは66μmで、空隙率を前記式にて計算したところ58vol%あった。
セルロース不織布としてこのセルロース不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性樹脂組成液を含浸させ、同様に光硬化してセルロース繊維複合体を製造した。
<実施例7>
製造例1で得られたセルロース分散液を用い、この分散液をセルロース濃度0.1重量%に調整した後、実施例6と同様の条件で超音波処理を4時間行った。その後、実施例6と同様の条件で遠心分離処理を行った。遠心分離処理により沈殿物を除去した上澄みの懸濁液中に含まれるセルロース繊維の平均繊維径は、SEM観察より20nmであった。このセルロース懸濁液中のセルロースは、広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造であることが確認された。
このセルロース懸濁液を用いて、製造例3と同様の方法でセルロース不織布を製造した。得られたセルロース不織布の厚みは47μmで、空隙率は46vol%であった。
セルロース不織布としてこのセルロース不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性樹脂組成液を含浸させ、同様に光硬化してセルロース繊維複合体を製造した。
<実施例8>
製造例1で得られたセルロース分散液を酢酸中に分散して濾過する工程を3度行い、水を酢酸に置換した。別に、セルロース1gに対して、トルエン50ml、酢酸40ml、60重量%過塩素酸水溶液0.2mlを混合しておき、そこに酢酸置換したセルロースを添加した後無水酢酸1mlを添加し攪拌しながら1時間アセチル化反応させた。反応後、反応液を濾過して、メタノール、脱塩水の順で洗浄した。これを0.5重量%の水懸濁液とし、増幸産業株式会社の石臼式摩砕機スーパーマスコロイダーMKCA6−2を用い、GC6−80の石臼を用いて、ギャップ間を80μmにして回転数1500rpmにて、原料投入口から投入する操作を2回行った。さらに、超高圧ホモジナイザー(スギノマシン製アルティマイザー)にて、150MPaで2回、245MPaで10回通した(噴出口の孔径は150μm)。
得られたセルロース懸濁液をセルロース濃度が0.25重量%になるように希釈した後、SMT社製超音波ホモジナイザーUH−600S(周波数20kHz、実効出力密度22W/cm)を用いて超音波処理を行った。超音波処理は、36mmφのストレート型チップ(チタン合金製)を用い、アウトプットボリウム8でチューニングを行い、最適なチューニング位置で60分間、50%の間欠運転にて行った。50%の間欠運転とは0.5秒間超音波を発振した後0.5秒間休止を行う運転をさす。
この超音波処理中、セルロース懸濁液は処理容器の外側から5℃の冷水で冷却し、懸濁液温度15℃±5℃に保ちながら処理を行った。また、マグネティックスターラーにて撹拌しながら処理を行った。
超音波処理後のセルロース懸濁液をさらに0.13重量%に希釈した後、遠心分離処理を行った。遠心分離機として日立工機株式会社製のhimacCR22Gを用い、アングルローターとしてR20A2を用いた。50ml遠沈管8本を、回転軸から34度の角度で設置した。1本の遠沈管に入れるセルロース分散液の量は30mlとした。18000rpmにて30分間遠心分離作業を行いその上澄み液を採取した。これを製造例3と同様に抄紙して、白色のアセチル化セルロース不織布を得た。この不織布の厚さは44μm、化学修飾率は9.0mol%であった。また空隙率は46vol%であった。
セルロース不織布としてこのセルロース不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性樹脂組成液を含浸させ、同様に光硬化してセルロース繊維複合体を製造した。
[実施例9]
製造例2で得られたセルロース懸濁液を0.2重量%に水で希釈し、孔径1μmのPTFE製フィルターを用いた90mm径の濾過器に100g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノールを投入して水を置換した。その後、120℃にて0.15MPaで5分間プレス乾燥してセルロース不織布を得た。
このセルロース不織布を100mlの無水酢酸に含浸して100℃にて7時間加熱した。その後、蒸留水でよく洗浄し、最後に2-プロパノールに10分浸した後、120℃にて0.15MPaで5分間プレス乾燥して、厚さ62μmのアセチル化セルロース不織布を得た。この不織布の化学修飾率は33mol%であった。また空隙率は56vol%であった。
オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)50重量部、OXT−221(東亜合成(株)社製)40重量部、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂YX8000(JER社製)10重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよくかき混ぜて組成物を作った。この混合液に上記のアセチル化セルロース不織布を浸漬して組成物を含浸させた。2枚のガラス板に0.1mm厚みのシリコーンゴム製スペーサーを介して、上記組成物含浸不織布をはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)の下を、照度400mW/cmにて、ライン速度2m/minで通過させた。紫外線の光量は0.43J/cmであった。被照射ガラス面を反転し、この操作を2度繰り返した。次いで、照度1900mW/cmにて、ライン速度2m/minで先と同様にガラス面を照射毎に反転して6回照射した。紫外線照射後のガラス面の温度は44℃であった。全紫外線照射量は17.5J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずした。次いで、190℃の真空オーブン中で1時間加熱してセルロース繊維複合体を得た。
なお、紫外線の照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
このサンプルを上記の方法にて線膨張率を測定したところ、12ppm/Kと非常に低い値であった。また、上記の方法で全光線透過率を測定した。90%であり、十分な透明性が得られた。結果を表1に示す。表面性状も皺がなく、良好な複合シートを得ることができた。
[実施例10]
オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)20重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂828EL(JER社製)80重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよくかき混ぜて組成物を調製し、この組成物を用いた他は、実施例9と同様の方法でセルロース繊維複合体を作製した。
[実施例11]
オキセタン樹脂OXT−221(東亜合成(株)社製)50重量部、オキセタン樹脂ETERNACOLL OXBP(宇部興産(株)社製)40重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂828EL(JER社製)10重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよくかき混ぜて組成物を調製し、この組成物を用いた他は、実施例9と同様の方法でセルロース繊維複合体を作製した。
[実施例12]
オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)50重量部、OXT−221(東亜合成(株)社製)40重量部、エポキシ樹脂KL−613((株)クラレ社製)10重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)1重量部を60℃でよくかき混ぜて組成物を調製し、この組成物を用いた他は、実施例9と同様の方法でセルロース繊維複合体を作製した。
[実施例13]
超高圧ホモジナイザー処理数を5回にするほかは、製造例2記載の方法でセルロース懸濁液を調製した。この懸濁液をセルロース濃度0.5重量%に調整して、日本シイベルヘグナー社製UIP2000(周波数20kHz、実行出力密度90W/cm2、直径50mmφのチタン合金製ホーンチップ)を直列に2台繋げた装置に毎分3リットルで全量5リットルを循環させながら、60分間超音波を連続に照射した。このとき、6℃の水で配管や超音波処理容器の外側から冷却した。この懸濁液を、日立工機社製の遠心分離機(himacCR22G)を用いて、アングルローターとしてR18Cを用いて、懸濁液を毎分100mlで供給しながら連続で遠心分離を行った。ローターの回転数は18,000rpmであった。
このセルロース懸濁液を製造例3の方法で抄紙した。セルロース繊維の平均繊維径は10nmであった。
このセルロース不織布の厚みは60μmであった。空隙率は47.0重量%であった。
この不織布に、実施例1記載の方法で光硬化性樹脂組成液を含浸させ、実施例1記載の方法で光硬化してセルロース繊維複合体を得た。得られたセルロース繊維複合体中のセルロース含量は35重量%であり、厚みは100μmであった。このセルロース繊維複合体のヘーズは1.1、全光線透過率は90%、平行光線透過率は89%、線膨張率は19ppm/Kであった。
<比較例1(特開2007−51266 実施例6の追試)>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布の代わりに、製造例5で得られたアセチル化セルロース不織布を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で厚み92μmのセルロース繊維複合体を得た。
<比較例2>
製造例4で得られたアセチル化セルロース不織布の代わりに、製造例6で得られたバクテリアセルロースシートを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で厚み96μmのセルロース繊維複合体を得た。
<比較例3>
実施例1において、アセチル化セルロース不織布を用いず、光硬化性樹脂のみを同様の条件で硬化させて、厚み83μmの樹脂単独の硬化物を作製した。
<比較例4>
超高圧ホモジナイザー処理数を1回にする他は製造例2と同様の方法でセルロース懸濁液を調製した。このセルロース懸濁液のセルロース濃度は0.487重量%であった。このセルロース懸濁液中のセルロース繊維の平均繊維径は、SEM観察より1μmであった。さらに、この分散液中のセルロースは、広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造であることが確認された。
このセルロース懸濁液を用いて、製造例3と同様の方法でセルロース不織布を製造した。得られたセルロース不織布の厚みは77μmで、空隙率は63vol%であった。
セルロース不織布としてこのセルロース不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性樹脂組成液を含浸させ、同様に光硬化してセルロース繊維複合体を製造した。
<比較例5>
製造例1と同様にしてセルロース分散液を調製した。このときのセルロース濃度は0.484重量%であった。このセルロース分散液は、不均一であり、セルロースが自重で沈降した。このセルロース分散液中のセルロース繊維の平均繊維径は、SEM観察より130μmであった。さらに、この分散液中のセルロースは、広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造であることが確認された。
このセルロース分散液を用いて、製造例3と同様の方法でセルロース不織布を製造した。このセルロース不織布は非常に脆く、抄きムラも大きかった。
実施例1〜12及び比較例1,2,4で得られたセルロース繊維複合体及び比較例3で得られた樹脂硬化物の物性を表1にまとめて示す。表1には、セルロース繊維複合体のセルロール繊維含有率を併記した。
なお、実施例1〜12及び比較例1,2,4で得られたセルロース繊維複合体は、いずれも、用いた不織布の空隙部分に樹脂が充填されたものであり、不織布の空隙率とセルロース繊維複合体の樹脂充填部の体積割合はほぼ等しいものであった。
Figure 2009167397
表1より、本発明の繊維複合体は、高透明性、低吸水率かつ低線膨張率であることが分かる。

Claims (13)

  1. 平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を含む繊維複合体であって、厚み100μmにおける該繊維複合体のJIS規格K7136によるヘーズが5以下であることを特徴とする繊維複合体。
  2. 繊維がセルロース繊維である請求項1に記載の繊維複合体。
  3. 繊維が化学修飾されている請求項1又は2に記載の繊維複合体。
  4. 厚み100μmにおける該繊維複合体を190℃で酸素分圧0.006MPa以下で1時間加熱した後のJIS規格K7105による黄色度が20以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維複合体。
  5. 厚み100μmにおける該繊維複合体のJIS規格K7209(D法)による吸水率が1%以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の繊維複合体。
  6. 線膨張率が1ppm/K以上、50ppm/K以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の繊維複合体。
  7. マトリクス材料が高分子材料である請求項1ないし6のいずれかに記載の繊維複合体。
  8. 厚さが10μm以上、10cm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の繊維複合体。
  9. 繊維を、100MPa以上の圧力から噴出させて減圧する超高圧ホモジナイザー及び/又は周波数が15kHz以上1MHz以下で、実効出力密度が1W/cm以上の超音波で解繊し、平均繊維径が30nm以下である繊維を得る工程と、平均繊維径が30nm以下である繊維とマトリクス材料を複合化する工程とを含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体の製造方法。
  10. 請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含む基板。
  11. 請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含む窓材。
  12. 請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含む構造材。
  13. 請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維複合体を含む車体。
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