JP2009155772A - 微細セルロース繊維の製造方法 - Google Patents

微細セルロース繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】木質材料から得られたセルロース繊維を効率的に微細化して、樹脂材料と複合化した際に透明性に優れた複合材料を実現し得る微細セルロース繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】木質材料を水性媒体中で精製処理して得られるセルロース懸濁液を、100MPa以上の高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)する。噴出時の圧力差は50MPa以上であることが好ましく、セルロース懸濁液は細孔直径が50μm以上の細孔から噴出させることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、木質材料から得られたセルロース繊維を解繊(微細化)して微細セルロース繊維を製造する方法に係り、特に木質材料から得られるセルロース懸濁液を、高圧雰囲気下から噴出して減圧することにより解繊(微細化)する微細セルロース繊維の製造方法に関する。
近年、バクテリアセルロースをはじめとするセルロースの微細繊維を用いた複合材料がさかんに研究されている。セルロースは伸びきり鎖結晶を有することから、低線膨張係数、高弾性率、高強度を発現することが知られている。また、微細化することにより、その繊維の隙間をマトリクス材料で埋めることで高い透明性を有する複合材料が得られることが報告されている。
しかし、セルロース繊維を用いて、高透明性の複合材料を得るためには、セルロース繊維を十分に微細化する必要があり、従来法では、セルロース繊維の微細化、特に木質材料から得られるセルロース繊維の微細化のための手間とコストが嵩むという課題があった。
例えば、特許文献1においては、透明性に優れかつ熱膨張率が小さいセルロース含有樹脂複合体を提供することを目的に、樹脂と複合化させるセルロース原料として、酢酸菌などの微生物が産生するバクテリアセルロースや木質原料やコットンリンターなどから得られるセルロースを使用することが示されている。しかし、コットンリンターの場合には、前処理でビーター処理(叩解)2時間、高圧ホモジナイザー100MPaで操作回数20回と回数が多いことから、微細化処理に要するコストや手間が大きく実用的ではなかった。
また、特許文献2においては、針葉樹クラフトパルプを高圧ホモジナイザー処理でミクロフィブリル化し、これをグラインダー処理を操作回数30回行って得た微細セルロース繊維を用いているが、この方法も処理回数が多いことから微細化処理に要するコストや手間が大きく実用的ではなかった。
特開2006−316253号公報 特開2007−51266号公報
本発明は、木質材料から得られたセルロース繊維を効率的に微細化して、樹脂材料と複合化した際に透明性に優れた複合材料を得ることができる微細セルロース繊維を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、セルロース懸濁液を高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより、セルロース繊維を効率的に解繊(微細化)することができることを見出し、本発明に到った。
本発明(請求項1)の微細セルロース繊維の製造方法は、木質材料を水性媒体中で精製処理して得られるセルロース懸濁液を、100MPa以上の高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)することを特徴とする。
請求項2の微細セルロース繊維の製造方法は、請求項1において、噴出時の圧力差が50MPa以上であることを特徴とする。
請求項3の微細セルロース繊維の製造方法は、請求項1又は2において、セルロース懸濁液を細孔から噴出させることを特徴とする。
請求項4の微細セルロース繊維の製造方法は、請求項3において、噴出時の噴出口の細孔直径が50μm以上であることを特徴とする。
請求項5の微細セルロース繊維の製造方法は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、水性媒体が酸又は塩基の水溶液であることを特徴とする。
本発明によれば、木質材料から得られるセルロース懸濁液を、高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより、この高圧からの減圧に到る圧力差で生じるへき開現象により、セルロース繊維をより細かくかつ効率的に解繊(微細化)することができる。
このようにして得られた微細セルロース繊維は、樹脂材料と複合化した際に優れた透明性を発現するため、樹脂に対してセルロース繊維を複合化したことによる低線膨張係数、高弾性率、高強度と高透明性が要求される用途、例えば、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等に有用である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明の微細セルロース繊維の製造方法は、木質材料を水性媒体中で精製処理して得られるセルロース懸濁液を、100MPa以上の高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)して微細セルロース繊維を製造するものである。
[セルロース懸濁液の調製]
(木質材料)
本発明で製造される微細セルロース繊維は、木質材料、即ち、針葉樹または広葉樹等を原料とするものである。
微細セルロース繊維の原料としては、他にもバクテリアの産生するバクテリアセルロース、コットンリンターやコットンリント等のコットン、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等が挙げられる。この中で、特に木質材料からセルロースを得る方法は、製紙工業として古くから工業化されていることから、他の原料に比べてセルロースを容易にかつ効率的に得ることができる点において有利である。しかも、木質材料は、地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、環境および経済的な面からも優位である。
(精製処理)
本発明においては、木質材料を水性媒体中で精製処理して木質材料中のセルロース以外の物質、例えばリグニンやヘミセルロース、樹脂(ヤニ)等を除去してセルロース懸濁液を得る。
この木質材料の精製処理に用いる水性媒体としては、一般的に水が用いられるが、好ましくは酸又は塩基、その他の処理剤の水溶液が用いられ、最終的に水で洗浄処理することが可能である。
また、精製処理時には温度や圧力をかけてもよく、この原料の木質材料は、木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、破砕は精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。また、精製したセルロースに後述の化学修飾を行ってもよい。
なお、精製処理中から精製処理終了後においては、セルロースを完全に乾燥させることなく常に水に濡れた状態にしておくと、後のセルロース繊維の解繊(微細化)時に効率良く微細セルロース分散液を得ることができるので、精製処理中からその終了後において、セルロースを完全に乾燥させないことが好ましい。
<木質材料の破砕>
木質材料を精製処理前、処理中、処理後のいずれかにおいて破砕する場合は、例えば、精製処理前であれば衝撃式粉砕機やせん断式粉砕機などを用い、また精製処理中、処理後であればリファイナーなどを用いて、好ましくは粒径500μm以下、より好ましくは粒径300μm以下、更に好ましくは粒径250μm以下に粉砕する。尚、粒径の下限に特に制限はないが、現実的には粒径1μm以上である。
<処理剤>
木質材料の精製処理に使用する酸または塩基、その他の処理剤としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、硫化ナトリウム、硫化マグネシウム、水硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酢酸、シュウ酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、塩素、過塩素酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン、ハイドロサルファイト、アントラキノン、ジヒドロジヒドロキシアントラセン、テトラヒドロアントラキノン、アントラヒドロキノン、また、エタノール、メタノール、2−プロパノールなどのアルコール類およびアセトンなどの水溶性有機溶媒などが挙げられる。これらの処理剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、2種以上の処理剤を用いて、2回以上の精製処理を行うこともでき、その場合、異なる処理剤を用いた精製処理間で、水で洗浄処理してもよい。
<温度、圧力>
精製処理時の温度、圧力には特に制限はなく、温度は0℃以上100℃以下の範囲で選択され、1気圧を超える加圧下での処理の場合、温度は100℃以上200℃以下とすることが好ましい。
<含水量>
セルロースは、精製処理中から精製処理後において、完全に乾燥させることなく常に水に濡れた状態としておくことが好ましく、その含水量の程度としては、セルロース(後述の不純物等も含む)と水との合計重量に対して、水の割合が50重量%以上、特に60重量%以上、とりわけ70重量%以上、最も望ましくは80重量%以上となるような量であることが好ましい。
なお、以下において、この割合を単に「セルロースの含水量」と称す。この含水量は、JIS規格P8203に準拠した方法で求められる。具体的には、セルロース試料の乾燥前質量を測定後、105℃の乾燥器中で3時間乾燥し、青色シリカゲルのような乾燥剤を入れたデシケータ中で45分間放冷した後、乾燥後質量を測定する。この乾燥前後の質量から含水量を求めることができる。
<精製の程度>
木質材料の精製処理で得られるセルロースは、木質材料中のセルロース以外の物質が十分に除去されたものであることが好ましく、精製処理後の不純物含有量は20重量%以下、特に10重量%以下、とりわけ5重量%以下が好ましい。
尚、精製処理後の不純物含有量は、重量法、IR、UV、NMR、液体クロマトグラフィー、TG−DTAなどの公知の手法により調べることができる。
[噴出による解繊(微細化)処理]
本発明においては、上述のように木質材料を精製処理して得られたセルロース懸濁液を高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)する。
<セルロース懸濁液の濃度>
セルロース懸濁液は、木質材料の精製処理で得られたセルロースの水性媒体、好ましくは水懸濁液であり、そのセルロース濃度(固形分濃度)は、0.2重量%以上10重量%以下、特に0.3重量%以上6重量%以下であることが好ましい。
セルロース懸濁液中のセルロース濃度が低過ぎると処理するセルロース量に対してセルロース懸濁液量が多くなり過ぎ効率が悪く、セルロース濃度が高過ぎると細孔からの噴出が困難になる場合がある。
従って、精製処理により得られたセルロース懸濁液がこの濃度範囲でない場合には、適宜水を添加するなどして上記濃度範囲に調整することが好ましい。
<噴出条件>
本発明では、セルロース懸濁液を100MPa以上の高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)する。この噴出手段としては、超高圧ホモジナイザーを用いるのが好ましく、具体的にはセルロース懸濁液を増圧機で100MPa以上、好ましくは150MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは220MPa以上に加圧し、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が50MPa以上、好ましくは80MPa以上、より好ましくは90MPa以上となるように減圧する。この圧力差で生じるへき開現象により、セルロース繊維を解繊(微細化)する。ここで、高圧条件の圧力が低い場合や、高圧から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊(微細化)効率が下がり、所望の微細セルロース繊維を得るための繰り返し噴出回数が多く必要となるため好ましくない。また、セルロース懸濁液を噴出させる細孔の細孔直径が大き過ぎる場合にも、十分な解繊(微細化)効果が得られず、この場合には、噴出処理を繰り返し行っても、所望の微細セルロース繊維が得られないおそれもある。
セルロース懸濁液の噴出は、必要に応じて複数回繰り返すことにより、微細化度を上げて所望の微細セルロース繊維を得ることができる。この繰り返し回数(パス数)は、通常1回以上、好ましくは3回以上、より好ましくは5回以上、更に好ましくは10回以上で、通常100回以下、好ましくは50回以下、より好ましくは20回以下、更に好ましくは15回以下である。パス数が多い程、微細化の程度を上げることができるが、過度にパス数が多いとコスト高となるため好ましくない。
超高圧ホモジナイザーとしては特に限定はないが、具体的装置としてはスギノマシーン社製の「アルティマイザー」を用いることができる。
噴出時の高圧条件は高い程、圧力差により大きなへき開現象でより一層の微細化を図ることができるが、装置仕様の上限として、通常245MPa以下である。
同様に、高圧条件から減圧下への圧力差も大きいことが好ましいが、一般的には、増圧機による加圧条件から大気圧下に噴出することで、圧力差の上限は通常245MPa以下である。
また、セルロース懸濁液を噴出させる細孔の直径は小さければ容易に高圧状態を作り出せるが、過度に小さいと噴出効率が悪くなる。この細孔直径は50μm以上800μm以下、好ましくは100μm以上500μm以下、より好ましくは150μm以上350μm以下である。
噴出時の温度(セルロース懸濁液温度)には特に制限はないが、通常5℃以上100℃以下である。温度が高すぎると装置、具体的には送液ポンプや高圧シール部等の劣化を早める恐れがあるため好ましくない。
なお、噴出ノズルは1本でも2本でもよく、噴出させたセルロースを噴出先に設けた壁やボール、リングにぶつけてもよい。更にノズルが2本の場合には噴出先でセルロース同士を衝突させてもよい。
また、セルロース懸濁液を噴出させる前にセルロース懸濁液に超音波処理を施したり、エンドグルカナーゼなどの酵素を使用したりすることも解繊効率を上げるのに有効である。
[微細セルロース繊維]
上述の解繊(微細化)処理で得られる微細セルロース繊維の繊維径は細く、樹脂等のマトリクス材料と複合化した場合、透明性が高いものが得られる点において好ましい。
微細セルロース繊維の繊維径はSEM観察により確認することができるが、本発明の方法で得られる微細セルロース繊維の繊維径は、SEMより観察される繊維径の平均値で4〜200nmであることが好ましい。微細セルロース繊維の平均繊維径が200nmを超えると、可視光の波長に近づき、マトリクス材料との界面で可視光の屈折が生じ易く、透明性が低下するので好ましくない。また、繊維径が4nm以下の繊維は実質的に製造できない。得られる複合材料の透明性の観点から、微細セルロース繊維の平均繊維径はより好ましくは4〜100nmである。
また、微細セルロース繊維の長さについては特に限定されないが、平均で100nm以上が好ましい。セルロース繊維の平均長さが100nmより短いと、得られる複合材料の強度が不十分となる恐れがある。
[化学修飾]
本発明で製造される微細セルロース繊維は、化学修飾された微細セルロース繊維であっても良い。化学修飾とは、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して化学修飾されているものである。
なお、化学修飾は微細セルロース繊維を後述のセルロース不織布とした後に行ってもよく、化学修飾した後にセルロース不織布としてもよい。好ましくは、セルロース不織布とした後に化学修飾を行う。
(種類)
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
(修飾方法)
修飾方法としては、特に限定されるものではないが、微細セルロース繊維と次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよるなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクリロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタン等が挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(化学修飾率)
ここでいう化学修飾率とは、微細セルロース繊維中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
〈測定方法〉
後述のセルロース不織布0.5gを精秤しこれにメタノール6mL、蒸留水2mLを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mLを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。ここにフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009155772
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009155772
微細セルロース繊維の化学修飾率は、セルロースの全水酸基に対して、好ましくは8mol%以上、より好ましくは15mol%以上で、このマトリクス材料シックは65mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは40mol%以下である。
この化学修飾率が低すぎると、複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまうことがあり、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られる複合材料の線膨張係数が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。また、化学修飾率が低すぎると、後述のセルロース不織布の親水性が高くなり、吸水率が高くなり好ましくない。特に、セルロース原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低いと複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまったり、化学修飾率が高くても化学修飾反応後に不織布が着色してしまったりするので好ましくない。
[セルロース不織布]
本発明で製造される微細セルロース繊維は、樹脂との複合材料として好適に用いられる。この場合、微細セルロース繊維は不織布(以下、「本発明のセルロース不織布」と称す場合がある。)として樹脂と複合化することが好ましい。
以下、本発明で製造された微細セルロース繊維を用いたセルロース不織布について説明する。
<セルロース不織布の製造>
本発明のセルロース不織布の製造方法は特に限定されるものではないが、上述の解繊(微細化)で得られた微細セルロース繊維分散液(通常は微細セルロース繊維の水分散液)を濾過又は塗布によって製膜、あるいはゲル状膜を製膜し、製膜後は乾燥して不織布とするが、この乾燥を行う前にアルコール等の有機溶媒で洗浄もしくは浸漬処理することが好ましい。また、後述の如く、微細セルロース繊維は化学修飾を行っても良く、この場合、化学修飾は、不織布に製膜してから行ってもよいし、不織布に製膜する前の微細セルロース繊維に化学修飾を行ってもよいが、前者の方が好ましい。その場合、アルコール等の有機溶媒で置換した微細セルロース繊維を製膜して不織布とした後、化学修飾する。化学修飾が終了した後は水でよく洗浄した後、残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換して乾燥することが好ましい。
濾過によって不織布を得る場合、微細セルロース繊維分散液の濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であることが好ましい。濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかるため好ましくない。また、微細セルロース繊維分散液の濃度は1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下であることが好ましい。濃度が高すぎると均一な不織布が得られないため好ましくない。
また、濾過時の濾布としては、微細化したセルロースは通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなる不織布、織物、多孔膜であることが好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。
具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
本発明のセルロース不織布は後述するようなある範囲の空隙率を有することが好ましいが、このような空隙率の不織布を得る方法として、濾過による製膜工程において、不織布中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。又は、微細セルロース繊維分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種又は2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
不織布の乾燥には、送風乾燥又は減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると不織布が着色したり、分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性がり、圧力が高すぎるとセルロース不織布がつぶれたり分解する可能性がある。
なお、後述の不織布の化学修飾を行う場合には、好ましくは上述の如く、乾燥を行った後、化学修飾を行い、最後に、上述のような乾燥を行う。
<不織布の化学修飾>
セルロース不織布を化学修飾する場合は、上述のように、不織布を製造後、アルコール等の有機溶媒で置換した後、更に不織布を乾燥した後に行っても、乾燥せずに行っても構わないが、乾燥した後に行った方が化学修飾の反応速度が速くなるため好ましい。乾燥する場合は前述の如く、送風乾燥、減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱しても構わない。
不織布の化学修飾は、通常の方法をとることができる。すなわち、常法に従って、不織布のセルロースと前述の化学修飾剤とを反応させることによって化学修飾を行うことができる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を用いたり、加熱、減圧等を行ってもよい。触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
温度条件としては、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから40〜130℃が好ましい。反応時間は化学修飾剤や化学修飾率にもよるが数分から数十時間である。
このようにして化学修飾を行った後は、反応を終結させるために水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。また、水で十分に洗浄した後、さらに残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換することが好ましい。この場合、不織布をアルコール等の有機溶媒に浸漬しておくことで容易に置換することができる。
<セルロース不織布の厚み>
本発明のセルロース不織布の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上で、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは1cm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは250μm以下である。セルロース不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限以上で厚い方が好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限以下で薄い方が好ましい。
<セルロース不織布の空隙率>
本発明のセルロース不織布は空隙率が35vol%以上であることが好ましく、さらには35vol%以上60vol%以下であることが好ましい。セルロース不織布の空隙率が小さいと、後に示す化学修飾が進行しにくかったり、樹脂等のマトリクス材料が含浸しにくくなり、複合体にしたときに未含浸部が残るため、その界面で散乱が生じてヘーズが高くなり好ましくない。また、セルロース不織布の空隙率が高いと複合体としたとき、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率が大きくなるので、好ましくない。
ここでいう空隙率とは、不織布中における空隙の体積率を示し、空隙率は、セルロース不織布の面積、厚み、重量から、下記式によって求めることができる。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
また、複合体中の不織布の空隙率を求める場合、分光分析や、複合体の断面のSEM観察を画像解析することにより空隙率を求めることもできる。
[樹脂との複合化]
本発明のセルロース不織布はセルロース以外の樹脂材料(マトリクス材料)と複合化することで複合材料を得ることができる。この場合のセルロース以外の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等から得られる少なくとも一種の樹脂が挙げられる。以下、このマトリクス材料について説明する。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等の重合体及び共重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の重合体及び共重合体が挙げられる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。(メタ)アクリル酸エステルとは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキルエステル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、3価以上の多価フェノール類を共重合成分として含有できる1種以上のビスフェノール類と、ビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体であり、必要に応じて芳香族ポリエステルカーボネート類とするために共重合成分としてテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(例えば芳香族ジカルボン酸ジエステルや芳香族ジカルボン酸塩化物)を使用してもよいものである。
前記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ(略号はアルドリッチ社試薬カタログを参照)等が例示され、中でもビスフェノールAとビスフェノールZ(中心炭素がシクロヘキサン環に参加しているもの)が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。共重合可能な3価フェノール類としては、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンやフロログルシノールなどが例示できる。
脂肪族ポリカーボネート系樹脂としては、脂肪族ジオール成分及び/又は脂環式ジオール成分とビスアルキルカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体である。脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノールやイソソルバイト等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体が挙げられる。また、ポリアリレートのように、ビスフェノールA等のジオール類とテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体も挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、上記ジオールとコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体やグリコール酸や乳酸等のヒドロキシジカルボン酸の共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィン等との二元或いは三元の共重合体等;具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂、及び4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン−エチレン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系樹脂等の樹脂、並びに、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、1−ブテンと他のα−オレフィンとの共重合体、更に、例えば1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンとの二元或いは三元の共重合体等、具体的には、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のオレフィン系ゴム等が挙げられ、これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
環状オレフィン系樹脂とは、ノルボルネンやシクロヘキサジエン等、ポリマー鎖中に環状オレフィン骨格を含む重合体もしくはこれらを含む共重合体である。例えば、ノルボルネン骨格の繰り返し単位、又はノルボルネン骨格とメチレン骨格の共重合体よりなるノルボルネン系樹脂が挙げられ、市販品としては、JSR製の「アートン」、日本ゼオン製の「ゼネックス」および「ゼオノア」、三井化学製の「アペル」、チコナ製の「トーパス」等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体も挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリット酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の共重合体であるピロメリット酸型イミド、無水塩化トリメリット酸やp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンやジイソシアネート化合物からなる共重合体であるトリメリット酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン等からなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等からなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等からなるビスマレイミド型ポリイミド等が挙げられる。
ポリアセタール系樹脂としては、オキシメチレン構造を単位構造にもつホモポリマーと、オキシエチレン単位を含む共重合体が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールA等の共重合体が挙げられる。
非晶性フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
<硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂、光線硬化性樹脂とは、硬化する前の前駆体もしくは硬化してなる樹脂硬化物のことを意味する。ここで前駆体は、常温では液状、半固体状または固形状等であって常温下または加熱下で流動性を示す物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱または光の作用によって重合反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成してなる不溶不融の樹脂となり得る。また、樹脂硬化物とは、上記熱硬化性樹脂前駆体または光硬化性樹脂前駆体が硬化してなる樹脂を意味する。
<<熱硬化性樹脂>>
本発明における熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。
上記エポキシ樹脂前駆体としては、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂前駆体中のエポキシ基の数としては、1分子あたり1個以上7個以下であることが好ましく、1分子あたり2個以上であることがより好ましい。ここで、前駆体1分子あたりのエポキシ基の数は、エポキシ樹脂前駆体中のエポキシ基の総数をエポキシ樹脂中の分子の総数で除算することにより求められる。上記エポキシ樹脂前駆体としては特に限定されず、例えば、以下に示したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独でも2種以上併用されてもよい。これらエポキシ樹脂は硬化剤を用いて熱硬化性樹脂前躯体を硬化することにより得られる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の、ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂及びこれらの水添化物や臭素化物等の前駆体が挙げられる。また、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチルアジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等の脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。また、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2〜9(好ましくは2〜4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。また、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。また、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体のグリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらの水添化物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のラジカル重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。また、エポキシ化ポリブタジエン等の共役ジエン化合物を主体とする重合体またはその部分水添物の重合体における不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。また、エポキシ化SBS等のような、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックまたはその部分水添化物の重合体ブロックとを同一分子内にもつブロック共重合体における共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したもの等が挙げられる。また1分子あたり1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。また、上記エポキシ樹脂の構造中にウレタン結合やポリカプロラクトン結合を導入した、ウレタン変成エポキシ樹脂やポリカプロラクトン変成エポキシ樹脂等が挙げられる。上記変成エポキシ樹脂としては、例えば、上記エポキシ樹脂にNBR、CTBN、ポリブタジエン、アクリルゴム等のゴム成分を含有させたゴム変成エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、エポキシ樹脂以外に、少なくとも1つのオキシラン環を有する樹脂またはオリゴマーが添加されてもよい。また、フルオレン含有エポキシ樹脂、フルオレン基を含有する熱硬化性樹脂および組成物、またはその硬化物も挙げられる。これらフルオレン含有エポキシ樹脂は、高耐熱であるため好適に用いられる。上記エポキシ樹脂前駆体の硬化反応に用いられる硬化剤としては、特に限定されず、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
アクリル樹脂前駆体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、分子内に2個または3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、スチレン系化合物、アクリル酸誘導体、分子内に4〜8個の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に、脂環骨格を有するモノ(メタ)アクリレートは、耐熱性が高くなるので、好適に利用することができる。脂環骨格モノ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば(ヒドロキシ−アクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシ−メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシ−アクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシ−メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシメチル−アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシメチル−アクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシエチル−アクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(ヒドロキシエチル−アクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(ヒドロキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等が挙げられる。また、これらの混合物等を挙げることが出来る。
分子中に2個又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]シクロヘキサン等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
エステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの中でも、含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート化合物が好適に用いられる。
例えばビス(アクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等、及びこれらの混合物等を挙げることが出来る。
これらのうち、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンから選ばれるものが好ましい。これらのビス(メタ)アクリレートは、いくつか併用することもできる。
分子内に4〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリオールの(メタ)アクリル酸エステル等が利用できる。具体的には、ペンタエリスリテールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリテールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールセプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
次にエポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ基を有する化合物、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加型の末端グリシジルエーテル、フルオレンエポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸との反応物を挙げることができる。具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジプロピレンオキサイドジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエーテル=ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル=トリ(メタ)アクリレート、2−ヒドリキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアミノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートとしては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜10個(好ましくは2〜5個)有するウレタンオリゴマー等が挙げられる。例えば、ジオール類及びジイソシアネー類を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、ヒドロキシ基含有の(メタ)アクリレートを反応させて製造される(メタ)アクリロイル基含有ウレタンオリゴマーがある。
ここで用いるジオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオール等が挙げられる。イオン重合性環状化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン性重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテンオキシドとエチレンオキシド等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
ここまでに述べたこれらのポリエーテルジオールは、例えばPTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、PPG1000、EXCENOL2020、1020(以上、旭オーリン(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂(株)製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)等の市販品としても入手することができる。
上記のポリエーテルジオールの他にポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられ、これらのジオールをポリエーテルジオールと併用して用いることもできる。これらの構造単位の重合様式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。ここで用いるポリエステルジオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。市販品としてはクラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、(株)クラレ製)等が入手できる。
また、ポリカーボネートジオールとしては、例えば1,6−ヘキサンポリカーボネート等が挙げられ、市販品としてはDN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン(株)製)、PC−8000(米国PPG(株)製)等が挙げられる。
さらにポリカプロラクトンジオールとしては、ε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等の2価のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらのジオールは、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル(株)製)等が市販品として入手することができる。
上記以外のジオールも数多く使用することができる。このようなジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのブチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのブチレンオキサイド付加ジオール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
また上記したようなジオールを併用する以外にも、ポリオキシアルキレン構造を有するジオールとともにジアミンを併用することも可能であり、このようなジアミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
好ましいジオールとしては1,4−ブタンジオールの重合体であるポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。このジオールの好ましい分子量は数平均分子量で通常50〜15,000であり、特に500〜3,000である。
一方、ジイソシアネート類としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル ジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは一種でも、二種以上を併用して用いてもよい。中でもイソホロンジイソシアネートやノルボルナンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル ジイソシアネートなどの脂環骨格を有するジイソシアネートが好適に用いられる。
また、反応に用いるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、さらにアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げることができる。これらのうち、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
市販のウレタンオリゴマーとしては、EB2ECRYL220(ダイセル・サイテック)、アートレジンUN-3320HA(根上工業)、アートレジンUN-3320HB(根上工業)、アートレジンUN-3320HC(根上工業)、アートレジンUN-330(根上工業)及びアートレジンUN-901T(根上工業)、NK-オリゴU-4HA(新中村化学)、NK-オリゴU-6HA(新中村化学)、NK-オリゴU-324A(新中村化学)、NK-オリゴU-15HA(新中村化学)、NK-オリゴU-108A(新中村化学)、NK-オリゴU-200AX(新中村化学)、NK-オリゴU-122P(新中村化学)、NK-オリゴU-5201(新中村化学)、NK-オリゴU-340AX(新中村化学)、NK-オリゴU-511(新中村化学)、NK-オリゴU-512(新中村化学)、NK-オリゴU-311(新中村化学)、NK-オリゴUA-W1(新中村化学)、NK-オリゴUA-W2(新中村化学)、NK-オリゴUA-W3(新中村化学)、NK-オリゴUA-W4(新中村化学)、NK-オリゴUA-4000(新中村化学)、NK-オリゴUA-100(新中村化学)、紫光UV-1400B(日本合成化学工業)、紫光UV-1700B(日本合成化学工業)、紫光UV-6300B(日本合成化学工業)、紫光UV-7550B(日本合成化学工業)、紫光UV-7600B(日本合成化学工業)、紫光UV-7605B(日本合成化学工業)、紫光UV-7610B(日本合成化学工業)、紫光UV-7620EA(日本合成化学工業)、紫光UV-7630B(日本合成化学工業)、紫光UV-7640B(日本合成化学工業)、紫光UV-6630B(日本合成化学工業)、紫光UV-7000B(日本合成化学工業)、紫光UV-7510B(日本合成化学工業)、紫光UV-7461TE(日本合成化学工業)、紫光UV-3000B(日本合成化学工業)、紫光UV-3200B(日本合成化学工業)、紫光UV-3210EA(日本合成化学工業)、紫光UV-3310B(日本合成化学工業)、紫光UV-3500BA(日本合成化学工業)、紫光UV-3520TL(日本合成化学工業)、紫光UV-3700B(日本合成化学工業)、紫光UV-6100B(日本合成化学工業)、紫光UV-6640B(日本合成化学工業)等が使用できる。
分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートの数平均分子量は1,000〜100,000が好ましく、更に好ましくは2,000〜10,000である。中でもメチレンジシクロヘキシル ジイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコールを有するウレタンアクリレートは透明性、低複屈折性、柔軟性等の点により優れており、好適に利用することができる。
オキセタン樹脂前駆体としては、少なくとも1個のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。上記オキセタン樹脂前駆体中のオキセタン環の数は、1分子あたり1個以上、4個以下が好ましい。分子中に1個のオキセタンを有する化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル{[−3−(トリエトキシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンなどが挙げられる。分子中に2個のオキセタンを有する化合物としては、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4‘−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル等が挙げられる。3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、分枝状のポリアルキレンオキシ基やポリシロキシ基と3−アルキル−3−メチルオキセタンの反応物などが挙げられる。
フェノール樹脂前駆体としては、フェノール、クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒド等を反応させノボラック等を合成し、これをヘキサメチレンテトラミン等で硬化させたもの等が挙げられる。
ユリア樹脂前駆体としては、尿素等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
メラミン樹脂前駆体としては、メラミン等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和多塩基酸等と多価アルコール等より得られる不飽和ポリエステルを、これと重合する単量体に溶解し硬化した樹脂等が挙げられる。
珪素樹脂前駆体としては、オルガノポリシロキサン類を主骨格とするものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂前駆体としては、グリコール等のジオール類と、ジイソシアネートからなる重合反応物等が挙げられる。
ジアリルフタレート樹脂前駆体としては、ジアリルフタレートモノマー類とジアリルフタレートプレポリマー類からなる反応物が挙げられる。
これら熱硬化性樹脂の硬化剤、硬化触媒としては特に限定はないが、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として使用することができる。
<<光硬化性樹脂>>
本発明における光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の熱硬化性樹脂の説明において例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
これら光硬化性樹脂の硬化剤としては特に限定はないが、例えばジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
今まで述べた熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した硬化性組成物として用いられる。
反応を均一に進行させる目的等で硬化性組成物は連鎖移動剤を含んでも良い。例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(β−チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオグリコレート)等の2〜6価のチオグリコール酸エステル又はチオプロピオン酸エステル;トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート等のω−SH基含有トリイソシアヌレート;ベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4、4’−ジメルカプトジフェニルスルフィド等のα,ω−SH基含有化合物等が挙げられる。これらの中でもペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。メルカプタン化合物を入れる場合は、ラジカル重合可能化合物の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
着色防止目的で硬化性組成物は紫外線吸収剤を含んでも良い。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4、4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、その他マロン酸エステル系のホスタビンPR−25(クラリアント社)、蓚酸アニリド系のサンデュボアVSU(クラリアント社)などの化合物である。紫外線吸収剤を入れる場合は、ラジカル重合可能化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜1重量部の割合で含有させる。
また、セルロース以外の充填剤を含んでも良い。例えば、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやPMMAなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
また、シランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等は分子中に(メタ)アクリルないしアクリル基を有しており、本発明に係る硬化性組成物中の他のモノマーと共重合することができるので好ましい。シランカップリング剤は、ラジカル重合可能化合物の合計100に対して通常0.1重量部以上50重量部以下となるように含有させる。好ましくは1重量部以上20重量部以下、特に好ましくは1重量部以上20重量部以下である。0.1重量部よりも少ない場合には、これを含有させる効果が十分に得られず、また50重量部よりも多い場合には、硬化体の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
セルロース不織布に樹脂を複合化させるための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させて、硬化体とすることができる。
例えば、熱硬化、又は放射線硬化等が挙げられる。好ましくは放射線硬化である。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
具体的には、予め硬化性組成物に加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を添加しておき、加熱して重合させる方法(以下「熱重合」という場合がある)、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある)等、および熱重合開始剤と光重合開始自在を併用して予め添加しておき、熱と光の組み合わせにより重合させる方法が挙げられ、本発明においては光重合がより好ましい。
光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤が用いられる。光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の成分量は、硬化性組成物中の光硬化性樹脂の合計を100重量部としたとき、0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上である。その上限は、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。例えば、開始剤の濃度を5重量部とした場合、開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
また、熱重合開始剤を同時に含んでも良い。例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、これらの熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<セルロース不織布とマトリクス材料との複合化方法>
本発明のセルロース不織布に樹脂を複合化して複合材料を得る方法としては、特に制限はないが、前述の本発明のセルロース不織布にマトリクス材料の樹脂のモノマーを含浸させて重合させる方法;本発明のセルロース不織布に熱硬化性樹脂前駆体または光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法;マトリクス材料の樹脂の溶液を本発明のセルロース不織布に含浸させて乾燥後、加熱プレス等で密着させる方法;本発明のセルロース不織布にマトリクス材料の熱可塑性樹脂の溶融液を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法等が挙げられる。
セルロース不織布に、モノマーを含浸させて重合させる方法としては、熱可塑性樹脂のモノマーと必要に応じて重合触媒や開始剤をセルロース不織布に含浸させ、加熱等で重合させて複合材料を得る方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂前駆体または光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂前駆体またはアクリル樹脂等の光硬化性樹脂前駆体と硬化剤の混合物を、セルロース不織布に含浸させ、熱または光等により上記熱硬化性樹脂前駆体または光硬化性樹脂前駆体を硬化させることにより複合材料を得る方法が挙げられる。この場合、照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成および光重合開始剤の種類、量に合わせて、波長300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲で照射する。更に好ましくは1J/cm以上20J/cmの範囲で照射する。放射線を複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ等を挙げることができる。
重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に硬化性組成物を30℃以上300℃以下の範囲で加熱して硬化を行う。この場合、硬化性組成物には、重合を完結するために熱重合開始剤を添加してもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらすので、熱重合開始剤は、モノマー量の合計100重量部に対して通常0.1重量部以上2重量部以下、より好ましくは0.3重量部以上1重量部以下となるように用いる。
樹脂溶液を含浸させて乾燥後、加熱プレス等で密着させる方法としては、樹脂をその樹脂が溶解する溶媒に溶解させ、その溶液をセルロース不織布に含浸させ、乾燥させることで複合材料を得る方法が挙げられる。この場合、乾燥後、加熱プレス等で溶媒が乾燥した空隙を密着させることでより高性能な複合材料を得ることができる。
熱可塑性樹脂の溶融液を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法等としては、熱可塑性樹脂をそのガラス温度または融点以上の温度で溶融させ、セルロース不織布に含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法を挙げることができる。
このようにして製造される複合材料は複数枚重ねて積層体とすることができる。この積層体に加熱プレス処理を加えることで厚膜化することができる。このようにして得られる厚膜の複合材料は、グレージングや構造材料として用いることができる。
[複合材料の物性]
次に、本発明で製造された微細セルロース繊維を、樹脂等のマトリクス材料と複合してなる複合材料(以下「本発明の複合材料」と称す場合がある。)の好適物性について説明する。
<セルロース含有量>
本発明の複合材料中の微細セルロース繊維の含有量は通常1重量%以上99重量%以下であり、マトリクス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、微細セルロース繊維の含有量が1重量%以上、マトリクス材料の含有量が99重量%以下であることが、透明性を発現するには微細セルロース繊維の含有量が99重量%以下、マトリクス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲は微細セルロース繊維が2重量%以上90重量%以下であり、マトリクス材料が10重量%以上98重量%以下であり、さらに好ましい範囲は微細セルロース繊維が5重量%以上80重量%以下であり、マトリクス材料が20重量%以上95重量%以下である。特に、微細セルロース繊維の含有量が70重量%以下でマトリクス材料の含有量が30重量%以上、更には、微細セルロース繊維の含有量が60重量%以下でマトリクス材料の含有量が40重量%以上であることが好ましい。また、微細セルロース繊維の含有量が10重量%以上でマトリクス材料の含有量が90重量%以下、更には微細セルロース繊維の含有量が15重量%以上でマトリクス材料の含有量が85重量%以下、更には微細セルロース繊維の含有量が20重量%以上でマトリクス材料の含有量が80重量%以下であることが好ましい。
複合材料中の微細セルロース繊維及びマトリクス材料の含有量は、例えば、マトリクス材料である樹脂含浸前のセルロース不織布の重量と含浸後の複合材料の重量より求めることができる。また、複合材料をマトリックス樹脂が可溶な溶媒に浸漬して樹脂のみを取り除き、残ったセルロース不織布の重量から求めることもできる。その他、樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
<厚さ>
本発明の複合材料の厚さは、好ましくは20μm以上、10mm以下である。複合材料の厚さはより好ましくは25μm以上、8mm以下であり、さらに好ましくは30μm以上、5mm以下である。
なお、本発明の複合材料は、好ましくはこのような厚さの膜状(フィルム状)又は板状であるが、平膜又は平板に限らず、曲面を有する膜状又は板状とすることもできる。また、その他の異形形状であっても良い。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていても良い。
<ヘーズ>
本発明の複合材料は、微細セルロース繊維を用いていることから、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい複合材料とすることができる。この複合材料のヘーズ値は、JIS規格K7136に従って測定した値として、10以下であり、特にこの値は5以下、とりわけ2以下であることが各種透明材料として用いる場合に好ましい。ヘーズは、例えば厚み70±10μmの複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータで測定することができ、C光の値を用いる。
<全光線透過率>
本発明の複合材料は、JIS規格K7105に準拠して測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ89%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。全光線透過率は例えば、厚み70±10μmの複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
<線膨張係数>
本発明の複合材料は、線膨張係数の低い微細セルロース繊維を用いることにより線膨張係数の低い複合材料とすることができる。この複合材料の線膨張係数は0.5〜50ppm/Kであることが好ましく、30ppm/K以下であることがより好ましく、20ppm/K以下であることが特に好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合材料の線膨張係数が50ppm/K以上を超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、複合材料の線膨張係数は、特に1〜20ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
[用途]
本発明で製造された微細セルロース繊維と樹脂とを複合化した複合材料は、セルロースの伸びきり鎖結晶のために低線膨張率であり、高弾性、高強度を発現する。また、セルロース繊維を微細化することで透明樹脂と複合化した際、透明性が高く、着色、ヘーズの小さい複合材料を得ることができる。このように光学特性に優れるため、本発明の複合材料液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。これらの用途においては、フレキシブルな材料としてガラス代替が可能であり、軽量化、柔軟性、成形性、意匠性等の向上効果が得られる。
また、低線膨張率、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造材料としても用いることができる。特に、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
<製造例1:セルロース懸濁液の調製>
原料として、ベイマツ木粉((株)宮下木材/粒径50〜250μm(平均粒径138μm))を用意した。次に、セルロースの精製処理を以下に記す工程で実施した。
木粉原料に2重量%に調整した炭酸ナトリウム水溶液を加え、液温78〜82℃で常時攪拌しながら6時間加熱した。この処理後に液を濾別し、残った木粉を水で洗浄し、濾別した。次に、残った木粉に酢酸0.27重量%、亜塩素酸ナトリウム1.33重量%に調整した水溶液を加え、液温78〜82℃で5時間加熱した。この処理後に液を濾別し、残った木粉を水で洗浄し、濾別した。次に残った木粉に5重量%に調整した水酸化ナトリウム水溶液を加え、常温〜30℃で16時間静置した。最後に残った木粉を水で洗浄し、濾別することによりセルロースを得た。尚、この精製処理実施時には濾別する際も含めてセルロースを完全に乾燥させることなく常に水に含水量80重量%以上の濡れた状態にした。この得られたセルロースに水を添加し、セルロースの固形分濃度として0.5重量%に調整したセルロース懸濁液を作製した。
<製造例2:セルロース複合材料の作製>
以下の実施例及び比較例で作製した微細セルロース分散液を次の方法を用いてセルロース複合材料とした。
まず、各々作製した微細セルロース分散液を、0.2重量%濃度に水で希釈し、孔径1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いた90mm径の濾過器に150g投入して濾過を開始した。直後に2−プロパノールを50mL投入し続けて濾過した。濾過終了後、温度120℃、プレス圧力2MPaで5分間プレス乾燥してセルロース不織布を得た。
このセルロース不織布を、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン96重量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオ(β−プロピオネート)6重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.05重量部、およびベンゾフェノン0.05重量部を混合した溶液に含浸させた。
これを2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、照射光量400mW/cmの下を、ライン速度7m/minで照射した。このときの光量は0.12J/cmであった。この操作をガラス面を反転して計2回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は25℃であった。次いで、照射光量1900mW/cmの下を、ライン速度2m/minで照射した。このときの光量は2.7J/cmであった。この操作をガラス面を反転して計8回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は40℃であった。以上より、硬化物を得るために照射した光量は計21.8J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずしセルロース複合材料を得た。
尚、紫外線の照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
<実施例1>
製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザー(アルティマイザー「シングルノズルタイプ/細孔直径150μm」スギノマシン社製(以下の実施例2〜6及び比較例1についても同様である。))を使用し、245MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数3回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<実施例2>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザーを使用し、245MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数5回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<実施例3>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザーを使用し、245MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数10回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<実施例4>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザーを使用し、150MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数5回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<実施例5>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザーを使用し、150MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数10回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<実施例6>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液を超高圧ホモジナイザーを使用し、100MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数10回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<比較例1>
実施例1と同様に、製造例1で得られたセルロース懸濁液をグラインダー(セレンディピター/増幸産業社製)を使用し、回転数1,500rpm、パス数10回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
<比較例2>
製造例1で得られたセルロース懸濁液を高圧ホモジナイザー(ガウリン社製)を使用し、35MPaに加圧して、常圧下に噴出し、パス数20回の処理で微細セルロース分散液を得た。この微細セルロース分散液を用いて製造例2の方法で処理してセルロース複合材料を得た。
実施例1〜5及び比較例1,2で得られたセルロース複合材料について、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
〔セルロース複合材料のヘーズ〕
JIS規格K7136に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
〔セルロース複合材料の全光線透過率〕
JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光による全光線透過率を測定した。
〔セルロース複合材料の厚さ〕
膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、セルロース複合材料の厚さを3ヶ所で測定しその平均値を厚さとした。
Figure 2009155772
表1より次のことが明らかである。
比較例1ではグラインダーで木質材料から得たセルロース分散液を解繊した後、樹脂材料と複合化したが、ヘーズが高く透明性は不十分であった。
比較例2では一般的な高圧ホモジナイザーで木質材料から得たセルロース分散液を解繊した後、樹脂材料と複合化したがヘーズが高く透明性は不十分であった。
これに対して、実施例1〜6に示すように、本発明によれば、木質材料から、樹脂材料と複合化した際に優れた透明性を発現する、微細セルロース繊維を効率的に製造することができた。

Claims (5)

  1. 木質材料を水性媒体中で精製処理して得られるセルロース懸濁液を、100MPa以上の高圧雰囲気下から噴出させて減圧することにより解繊(微細化)する微細セルロース繊維の製造方法。
  2. 噴出時の圧力差が50MPa以上である請求項1に記載の微細セルロース繊維の製造方法。
  3. セルロース懸濁液を細孔から噴出させる請求項1又は2に記載の微細セルロース繊維の製造方法。
  4. 噴出時の噴出口の細孔直径が50μm以上である請求項3に記載の微細セルロース繊維の製造方法。
  5. 水性媒体が酸又は塩基の水溶液である請求項1ないし4のいずれかに記載の微細セルロース繊維の製造方法。
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