JP2009155384A - セルロース繊維複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低線膨張係数かつ高透明性の繊維/樹脂複合体であって、硬化反応時の硬化収縮の問題がなく、従って、皺がなく、表面平滑性に優れたセルロース繊維複合体を提供する。
【解決手段】セルロース繊維とオキセタン樹脂及び光カチオン重合開始剤の残渣とを同一層内に含むセルロース繊維複合体。好ましくは更にエポキシ樹脂を含み、オキセタン樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部中、オキセタン樹脂が10〜90重量部である。本発明のセルロース繊維複合体は、セルロース繊維にオキセタン樹脂モノマーを含浸させた後、活性エネルギー線を照射して得られる。活性エネルギー線による硬化反応であれば、樹脂の温度上昇を抑えつつ樹脂を硬化させることができるため、硬化反応の途中においても、硬化後においても硬化収縮率を低く抑えることができ、皺のないフラットなシートを得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース繊維とオキセタン樹脂とを含むセルロース繊維複合体に関するものであり、特に、セルロース繊維にオキセタン樹脂モノマーを含浸させた後、活性エネルギー線を照射して得られる、皺のない、フラットで高透明性かつ低線膨張係数のセルロース繊維複合体に関する。
従来、光学部品にはガラスを基材とするものが多く使われてきた。特に、液晶などのフラットパネルディスプレイ用のパネルには、ガラス基板が用いられてきた。しかし、ガラス基板では厚み0.7mm程度よりも薄くすることはできず、これよりも薄い場合は特に1m角ほどの大型のものになると、割れやすく、製造工程での歩留まりが急速に低下する問題があった。そこで、近年、ガラスに代る基板材料として、軽量で機械的強度も大きく、加工成形が容易なポリカーボネートや(メタ)アクリレート系の樹脂が注目されている。しかし、ポリカーボネート系樹脂は、複屈折が大きく、液晶表示に適した光学的等方性に欠ける、耐熱性に劣る、線膨張係数が大きい、などの問題がある。
また、(メタ)アクリレート系の樹脂を光や熱で架橋することより、耐熱性を向上させる試みもなされてきている。例えば、特許文献1には、2官能の脂肪族(メタ)アクリレート化合物と3官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性組成物が、耐熱性が高く、線膨張係数が小さい樹脂硬化体を与えることが開示されている。
最近注目されている大型の液晶ディスプレイでは、大きな基板を用いるので、線膨張係数が小さいことが強く要求されている。即ち、例えば、線膨張係数が60ppm/Kで一辺の長さが300mmの基板では、温度が1℃変化すると、一辺の長さが18μmも変化するので、液晶ディスプレイの組立の際に位置合わせの精度が悪くなるという問題がある。また、液晶表示パネルの基板は、その表面に透明電極であるITOやTFTなどの無機物質層を形成する必要があり、基板の線膨張係数が大きいと基板と無機物質層との線膨張係数の差が大きくなり、基板に反りが生じたり、無機物質層にクラックが発生したりして断線するなどの問題がある。
しかしながら、線膨張係数が小さいとされている特許文献1に記載の樹脂硬化体は、線膨張係数が40ppm/K程度で、従来の(メタ)アクリレート系のものに比べれば改善されているが、ガラスの線膨張係数(10ppm/K)に比べれば、依然として大きく、更なる改良が求められている。
そこで、線膨張係数を更に低下させて、透明なシートを提供する方法として、特許文献2、特許文献3には、バクテリアが生成するナノファイバーセルロースとアクリル樹脂との複合材料が提案されている。セルロースは、その伸びきり鎖結晶により、ガラスを凌駕するほどの低線膨張係数が得られる。また、樹脂を含浸することにより、透明性も同時に得ることができ、フラットパネルディスプレイ用の基板として有力視されている。
しかし、ここで用いられる樹脂は光硬化性のアクリレート系樹脂であり、硬化収縮率が10%近くあるために、セルロース繊維と複合化した際には、樹脂の収縮により、複合シートが撓んだり、皺が入ったりする問題が生じた。
また、特許文献4には、バクテリアが生成するナノファイバーセルロースまたはコットンとエポキシ等の熱硬化性樹脂との複合材料の記載がある。エポキシ樹脂のような開環重合系樹脂を用いることにより、硬化収縮を低減することができると考えられる。しかし、特許文献4では、エポキシ樹脂を熱硬化している。熱硬化では硬化時の昇温工程により、樹脂が伸びて硬化し、その後室温に温度が下がった際に、樹脂の収縮により同様の皺が発生する問題がある。
特許文献5には、オキセタン環を有する化合物及び光カチオン重合開始剤と、好ましくは更に脂環式エポキシ化合物及び/又はビニルエーテル基含有化合物を含む紙被覆用活性エネルギー線硬化型組成物が記載されている。しかし、この活性エネルギー線硬化型組成物は、紙に塗布して被覆するためのものであり、本発明におけるようなセルロース繊維と樹脂とが混じり合った複合体とするためのものではなく、特許文献5には、セルロース繊維と樹脂とが混じり合った複合体についての記述は一切なされていない。
特許文献5のように、紙の表面に塗布されているだけでは、本発明で目的とするような透明かつ低線膨張性を達成することはできない。
特開2003−292545号公報 特開2006−241450号公報 特開2005−60680号公報 特開2006−316253号公報 特開平8−218296号公報
本発明は、低線膨張係数かつ高透明性の繊維/樹脂複合体であって、硬化反応時の硬化収縮の問題がなく、従って、皺がなく、表面平滑性に優れたセルロース繊維複合体を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のセルロース繊維複合体は、セルロース繊維と、マトリクス材料としてのオキセタン樹脂及び光カチオン重合開始剤の残渣とを同一層内に含むことを特徴とする。
請求項2のセルロース繊維複合体は、請求項1において、マトリクス材料として、更にエポキシ樹脂を含むことを特徴とする。
請求項3のセルロース繊維複合体は、請求項2において、オキセタン樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部中のオキセタン樹脂の割合が10〜90重量部であることを特徴とする。
請求項4のセルロース繊維複合体は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、マトリクス材料とセルロース繊維との含有割合が重量比で7:3〜3:7であることを特徴とする。
請求項5のセルロース繊維複合体は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、厚さが10μm以上、10cm以下であることを特徴とする。
請求項6のセルロース繊維複合体は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、全光線透過率が60%以上で、線膨張係数が50ppm/K以下であることを特徴とする。
本発明(請求項7)の基板は、このような本発明のセルロース繊維複合体を含むことを特徴とする。
本発明(請求項8)の窓材は、このような本発明のセルロース繊維複合体を含むことを特徴とする。
セルロース繊維と、マトリクス材料としてのオキセタン樹脂とを複合させてなる本発明のセルロース繊維複合体は、高透明で低線膨張性である。
本発明のセルロース繊維複合体は、セルロース繊維にオキセタン樹脂モノマーを含浸させた後、活性エネルギー線を照射して得られるが、活性エネルギー線による硬化反応であれば、樹脂の温度上昇を抑えつつ樹脂を硬化させることができるため、硬化反応の途中においても、硬化後においても硬化収縮率を低く抑えることができ、皺のないフラットなシートを得ることができる。
本発明のセルロース繊維複合体は、透明性に優れた低線膨張係数の複合体であり、かつ、表面性状にも優れるため、各種ガラス代替用途、特に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池などの基板として有用である。また、自動車用窓材、列車用窓材、建築用窓材などの窓材として有用である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
[セルロース繊維]
本発明におけるセルロース繊維は、好ましくはセルロース不織布である。
本発明におけるセルロース不織布(以下「本発明のセルロース不織布」と称する場合がある。)とは、主としてセルロースからなる不織布であり、セルロース繊維の集合体である。セルロース不織布はセルロース分散液を抄紙又は塗布によって製膜する方法、あるいはゲル状膜を乾燥する方法などによって得られる。
<厚み>
本発明のセルロース不織布の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上で、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは1cm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは250μm以下である。セルロース不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限以上で厚い方が好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限以下で薄い方がが好ましい。
<繊維径>
本発明のセルロース不織布を構成するセルロース繊維の繊維径は細いことが好ましい。具体的には1500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、さらに好ましくは1000nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、特に好ましくは500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましい。1500nm以上の繊維径のものを含んでいない不織布は、樹脂等のマトリクス材料と複合化した場合、透明性が高く、線膨張係数が低いものが得られる点において好ましい。
なお、セルロース繊維の繊維径はSEM観察により確認することができる。
また、SEMより観察される本発明のセルロース不織布中のセルロース繊維の繊維径は、平均で4〜400nmであることが好ましい。セルロース繊維の平均繊維径が400nmを超えると、可視光の波長に近づき、マトリクス材料との界面で可視光の屈折が生じ易く、透明性が低下するので好ましくない。また、繊維径が4nm以下の繊維は実質的に製造できない。透明性の観点から、セルロース繊維の平均繊維径はより好ましくは4〜200nmであり、特に好ましくは4〜100nmである。
<繊維長>
セルロース繊維の長さについては特に限定されないが、平均で100nm以上が好ましい。セルロース繊維の平均長さが100nmより短いと、強度が不十分となる恐れがある。
<色目>
本発明のセルロース不織布の色目は、白いことが好ましい。本発明のセルロース不織布は、上述のように繊維径の細いセルロース繊維で構成されるが、空隙があるために、セルロース不織布自体は実質的には透明にならず、樹脂等のマトリクス材料を含浸させて複合化した後に透明となる。その際、無色であることが好ましい。よって、不織布自体は白いことが好ましい。
セルロースの性質から、不織布は青味、赤味がつくことはほとんどなく、原料由来で黄色味がつく場合や、後の化学修飾によって黄色味が着く場合がある。特に、木質由来の原料を用いる場合、精製度合いによって黄色味が着くことがある。不織布に黄色味が着くと、マトリクス材料と複合化した際、透明であっても黄色味を示し好ましくない。
このような黄色味はJIS K7105に準拠し、イエローインデックス(以後YI)を測定することで評価できる。YI値が大きい程黄色味が強いことを示す。本発明のセルロース不織布のYI値は40以下であることが好ましく、35以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。YI値は例えば、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて測定することができる。
<原料>
本発明のセルロース不織布の原料としては、針葉樹や広葉樹等の木質、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、コットンリンターやコットンリント等のコットン、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等が挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張係数になり好ましい。バクテリアセルロースは微細な繊維径のものが得やすいものの、横方向に扁平な結晶構造であることと、分岐した繊維形態を形成するため、光の散乱を生じやすいので好ましくない。また、コットンも微細な繊維径なものが得やすい点で好ましいが、生産量が木質と比較して乏しいため経済的に好ましくない。一方、針葉樹や広葉樹等の木質はミクロフィブリルが約4nm径と非常に微細であり、分岐のない線状の繊維形態を有する。さらに、地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、性能的にも経済的にも非常に好ましい。
<空隙率>
本発明のセルロース不織布は空隙率が35vol%以上であることが好ましく、さらには35vol%以上60vol%以下であることが好ましい。セルロース不織布の空隙率が小さいと、後に示す化学修飾が進行しにくかったり、樹脂等のマトリクス材料が含浸しにくくなり、複合体にしたときに未含浸部が残るため、その界面で散乱が生じてヘーズが高くなり好ましくない。また、セルロース不織布の空隙率が高いと複合体としたとき、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張係数が大きくなるので、好ましくない。
ここでいう空隙率とは、不織布中における空隙の体積率を示し、空隙率は、セルロース不織布の面積、厚み、重量から、下記式によって求めることができる。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
また、複合体中の不織布の空隙率を求める場合、分光分析や、複合体の断面のSEM観察を画像解析することにより空隙率を求めることもできる。
<化学修飾>
本発明のセルロース繊維複合体中のセルロース繊維は、化学修飾されたセルロース繊維であることが好ましい。化学修飾とは、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して化学修飾されているものである。
(種類)
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
(修飾方法)
修飾方法としては、特に限定されるものではないが、セルロースと次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよるなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクリロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタン等が挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(化学修飾率)
ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
〈測定方法〉
セルロース不織布0.5gを精秤しこれにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。ここにフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009155384
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009155384
本発明において、セルロース繊維の化学修飾率は、セルロースの全水酸基に対して、好ましくは8mol%以上、より好ましくは15mol%以上で、通常65mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは40mol%以下である。
この化学修飾率が低すぎると、複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまうことがあり、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られるセルロース繊維複合体の線膨張係数が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。また、化学修飾率が低すぎると、不織布の親水性が高くなり、吸水率が高くなり好ましくない。特に、セルロース原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低いと複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまったり、化学修飾率が高くても化学修飾反応後に不織布が着色してしまったりするので好ましくない。
[セルロース不織布の製造方法]
本発明のセルロース不織布の製造方法は特に限定されるものではないが、化学修飾したセルロース不織布を製造する場合には、好ましくは、セルロースを不織布とした後に、化学修飾することにより、より好ましくは、セルロースを有機溶媒で洗浄した後に不織布とし、その後化学修飾することにより製造される。
不織布の製造に当たっては、セルロース原料を必要に応じて、精製や微細化した後に、そのセルロース分散液(通常はセルロースの水分散液)を濾過又は塗布によって製膜、あるいはゲル状膜を製膜し、製膜後は乾燥して不織布とするが、この乾燥を行う前にアルコール等の有機溶媒で洗浄もしくは浸漬処理することが好ましい。
化学修飾については、上記の如く、不織布に製膜してから行ってもよいし、不織布に製膜する前のセルロースに化学修飾を行ってもよいが、前者の方が好ましい。その場合、アルコール等の有機溶媒で置換したセルロースを製膜して不織布とした後、化学修飾する。化学修飾が終了した後は水でよく洗浄した後、残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換して乾燥することが好ましい。
このような不織布の製造方法について更に詳しく説明する。
<不織布の製造>
不織布の製造には微細化したセルロース繊維を用いる。
バクテリアセルロースをセルロース原料とする場合、セルロースを産生するバクテリアを培養することによりセルロース繊維を得ることができる。この産生物を培地から取り出し、それを水洗、又はアルカリ処理などしてバクテリアを除去することにより、バクテリアを含まない含水バクテリアセルロースを得ることができる。バクテリアは微細なセルロースを産生するので微細化処理を行うことなく、そのまま用いることができる。
針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットンは一般的な塩素による漂白法や、酸やアルカリ、各種有機溶剤による抽出などにより精製した後、微細化処理を行い微細化したセルロースを得る。
また、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等も微細化処理を行い、微細化したセルロースを得る。
セルロースを微細化する分散機としてはブレンダータイプの分散機や高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、対向衝突型の分散機マスコマイザーX(増幸産業)等を用いることが好ましい。特に超高圧ホモジナイザーはセルロースを均一に微細化するのに有効である。
微細化を行う際のセルロース分散液のセルロース濃度は0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であることが好ましい。セルロース濃度が低すぎると濾過や塗布するのに時間がかかりすぎる。また、セルロース濃度は10重量%以下、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下であることが好ましい。セルロース濃度が高すぎると粘度が高くなりすぎたり、均一な微細セルロースが得られなかったりするので好ましくない。
濾過によって不織布を得る場合、セルロース分散液の濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であることが好ましい。濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかるため好ましくない。また、セルロース分散液の濃度は1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下であることが好ましい。濃度が高すぎると均一な不織布が得られないため好ましくない。
また、濾過時の濾布としては、微細化したセルロースは通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなる不織布、織物、多孔膜であることが好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。
具体的には孔径0.1〜5μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜5μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
本発明のセルロース不織布はある範囲の空隙率を有することが好ましいが、このような空隙率の不織布を得る方法として、濾過による製膜工程において、不織布中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。又は、セルロース分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2-プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種又は2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
<不織布の化学修飾>
不織布の化学修飾は、上述のように、不織布を製造後、アルコール等の有機溶媒で置換した後、更に不織布を乾燥した後に行っても、乾燥せずに行っても構わないが、乾燥した後に行った方が化学修飾の反応速度が速くなるため好ましい。乾燥する場合は送風乾燥、減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱しても構わない。
不織布の化学修飾は、通常の方法をとることができる。すなわち、常法に従って、不織布のセルロースと前述の化学修飾剤とを反応させることによって化学修飾を行うことができる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を用いたり、加熱、減圧等を行ってもよい。触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
温度条件としては、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから40〜130℃が好ましい。反応時間は化学修飾剤や化学修飾率にもよるが数分から数十時間である。
このようにして化学修飾を行った後は、反応を終結させるために水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。また、水で十分に洗浄した後、さらに残留する水をアルコール等の有機溶媒で置換することが好ましい。この場合、不織布をアルコール等の有機溶媒に浸漬しておくことで容易に置換することができる。
<乾燥>
このような化学修飾後は、最後に不織布を乾燥するが、送風乾燥又は減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると不織布が着色したり、分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性があり、圧力が高すぎるとセルロース不織布がつぶれたり分解する可能性がある。
<酸洗浄>
セルロース不織布は、化学修飾を行なわないのであれば、酸で洗浄することが好ましい。即ち、セルロースの精製過程で各種薬液を用いた場合、様々な塩が残留する恐れがある。特に、アルカリ金属や塩素は光カチオン重合を阻害する恐れがあるため、十分に酸等で洗浄する必要がある。使用する洗浄液としては、塩が残留しない物であればよく、酢酸水溶液が好適に用いられる。この酢酸水溶液の酢酸濃度は好ましくは1重量%以上50重量%以下、より好ましくは5重量%以上35重量%以下である。酢酸濃度が薄い場合は洗浄効果が弱く、濃い場合はセルロース繊維が変質するなど悪影響を与える恐れがある。洗浄温度は室温から60℃程度が好ましい。洗浄温度が低いと洗浄効率が低下する。高いと洗浄液から酢酸が蒸発するなど、操作が困難になる。洗浄時間は1秒以上10時間以下が好ましい。洗浄時間が短いと洗浄効果が得られず、長いとセルロース繊維の変質を引き起こす可能性がある。この様に酢酸水溶液で洗浄した後、脱塩水にて十分に酢酸を洗浄除去する。その後、エタノールやイソプロピルアルコールのような有機溶剤に浸漬した後、上記に示したようなプレス加工(加圧乾燥)を行うことが出来る。
なお、この酸洗浄は、セルロース不織布の化学修飾を行う場合は省略することができる。
[マトリクス材料]
上述の本発明のセルロース不織布を、マトリクス材料としてのオキセタン樹脂、好ましくはオキセタン樹脂及びエポキシ樹脂と複合化することで本発明のセルロース繊維複合体が得られる。
ここで、オキセタン樹脂とは、オキセタン環を有するオキセタン化合物のモノマー、オリゴマー、ポリマーを意味する。
また、エポキシ樹脂とは、分子内にエポキシ環を有するエポキシ化合物のモノマー、オリゴマー、ポリマーを意味する。
本発明のセルロース繊維複合体は、オキセタン樹脂のモノマー(オリゴマーを含む)と光カチオン重合開始剤を含む硬化性組成物、より好ましくはオキセタン樹脂のモノマー(オリゴマーを含む)とエポキシ樹脂のモノマー(オリゴマーを含む)と光カチオン重合開始剤を含む硬化性組成物をセルロース不織布に含浸させた後、モノマー(オリゴマーを含む)を重合硬化させて得られ、従って、本発明のセルロース繊維複合体は、オキセタン樹脂と光カチオン重合開始剤の残渣、好ましくはオキセタン樹脂とエポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤の残渣を同一層内に含むものとなる。
<オキセタン樹脂>
分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル{[−3−(トリエトキシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンなどが挙げられる。
分子中に2個のオキセタン環を有する化合物としては、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4‘−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル等が挙げられる。
分子中に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、分枝状のポリアルキレンオキシ基やポリシロキシ基と3−アルキル−3−メチルオキセタンの反応物などが挙げられる。
市販のオキセタン樹脂としてはアロンオキセタン OXT-101、OXT-121、OXT-211、OXT-221、OXT-212、OXT-610、OXT-213(東亞合成(株)社製)、ETERNACOLL OXETANE EHO、OXBP、OXMA、OXTP(宇部興産(株)社製)などが挙げられる。
これらのオキセタン化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
なお、上記オキセタン樹脂としては、オキセタン化合物のモノマー以外にもこれを共重合可能なモノマーの1種又は2種以上を共重合させたものであっても良い。ここで共重合可能なモノマーとしては、例えば、分子中にエポキシ環を有する(メタ)アクリレートモノマーやアミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、メルカプト化合物などが挙げられる。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては多価フェノール化合物、あるいはそのアルキレンオキサイ付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造される、ジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応による、ジまたはポリグリシジルエーテル等があり、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル等のグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ社製のエピクロン840、840S、850、850S、860、1050、830、705、707、720、725、N−665、EXA−7015等が挙げられる。また、ナガセ化成社製のEX−201、EX−211、EX−212、EX−216、EX−252、EX−321、EX−622、EX−611、EX−216L等が挙げられる。また、坂本薬品社製のSR−16H、SR−NPG、NPG−DGE、SR−16HL、SR−16KF等が挙げられる。また、ジャパンエポキシレジン社の828、828EL、828XA、806、871、152、630、1256、4250、YX8000、YX8034、YL980、YX4000等が挙げられる。
脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個のシクロヘキセン、又はシクロペンテン等のシクロアルカンを有する化合物を、過酸化水素、過酸等の酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたは、シクロペンテンオキサイドなどが挙げられる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<オキセタン樹脂とエポキシ樹脂との割合>
本発明のセルロース繊維複合体中のオキセタン樹脂とエポキシ樹脂の比率に関しては、これらの合計100重量部の内、オキセタン樹脂が10〜90重量部であることが好ましく、より好ましくはオキセタン樹脂は30〜70重量部である。オキセタン樹脂が10重量部未満では、光硬化度が低下し、90重量部を超えると光硬化速度が低下して十分な物性の硬化物が得られない。
<光カチオン重合開始剤>
光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、次のようなものが挙げられる。
例えば、芳香族スルホニウム塩として、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロ、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩として、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホススフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボネート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩として、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩として、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩として、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI6990、UVI6979、ADEKA社製のSP−150、SP−170、SP−172、チバガイギー社製のイルガキュア261、イルガキュア250、ローディア社製のRHODORSIL PI2074、JMF−2456、三新化学工業社製のサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L、SI−100L等が挙げられる。
上記の光カチオン重合開始剤は単独もしくは複数を組み合わせて使用しても良い。
光カチオン重合開始剤の使用量は特に制限はないが、オキセタン樹脂やエポキシ樹脂モノマー等の重合性化合物の総量100重量部に対して、下限として通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上であり、上限は通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である。光カチオン重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られるセルロース繊維複合体の複屈折を大きくするだけでなく、光カチオン重合開始剤による吸収のために、活性エネルギー線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、光カチオン重合開始剤が少なすぎると活性エネルギー線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
<その他の硬化剤>
上記の光カチオン重合開始剤の他にも、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂等の重合性化合物を重合硬化させるために、その他の硬化剤を添加しても良い。その他の硬化剤としては、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、ジシアンアミド及びその誘導体等が挙げられる。
これらの硬化剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
熱潜在性カチオン重合触媒の市販品としては、アデカオプトン CP-66、CP-77((株)ADEKA社製)、サンエイド SI−15、SI−20、SI−25、SI−40、SI−45、SI−47、SI−60、SI−80、SI−100、SI−100L、SI−110L、SI−145、SI−150、SI−160、SI−180L(三新化学工業(株)社製)などが挙げられる。
<光増感剤>
更に、光増感剤を用いることもできる。光増感剤としては、具体的にはピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。市販の光増感剤としては、アデカイプトマーSP−100((株)ADEKA社製)などが挙げられる。
<その他の成分>
マトリクス材料には、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤以外の他の成分を用いても良い。例えば、このようなものとしては、熱可塑性の高分子やラジカル重合可能な化合物等が挙げられる。また、有機や無機の充填剤、染料、顔料、粘度調整剤、紫外線吸収剤、熱ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、シランカップリング剤等を添加しても良い。
これらの添加剤の量は必要な物性とのバランスで決定され、特に制限はないが、通常、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂等の重合性化合物100重量部に対して、各々0.01重量部以上、50重量部以下である。0.01重量部よりも少ないと添加効果が期待できず、50重量部を超えると、物性が悪化する。
(熱可塑性の高分子)
熱可塑性の高分子としては、オキセタン樹脂、或いはオキセタン樹脂及びエポキシ樹脂と相溶して透明になるものが良く、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂、JSR社製のアートンや日本ゼオン社製のゼオネックス、ゼオノア等のシクロオレフィンポリマーが挙げられる。これらは上記オキセタン樹脂モノマーやエポキシ樹脂モノマーに溶解させて用い、粘度の調整や硬化収縮率を低減させる効果がある。
スチレン系樹脂としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等の重合体及び共重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の重合体及び共重合体が挙げられる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。(メタ)アクリル酸エステルとは(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキルエステル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂とは、3価以上の多価フェノール類を共重合成分として含有できる1種以上のビスフェノール類と、ビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体であり、必要に応じて芳香族ポリエステルカーボネート類とするために共重合成分としてテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(例えば芳香族ジカルボン酸ジエステルや芳香族ジカルボン酸塩化物)を使用してもよいものである。
前記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールS、ビスフェノールZ(略号はアルドリッチ社試薬カタログを参照)等が例示され、中でもビスフェノールAとビスフェノールZ(中心炭素がシクロヘキサン環に参加しているもの)が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。共重合可能な3価フェノール類としては、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンやフロログルシノールなどが例示できる。
脂肪族ポリカーボネート系樹脂としては、脂肪族ジオール成分及び/又は脂環式ジオール成分とビスアルキルカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される共重合体である。脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノールやイソソルバイト等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体が挙げられる。また、ポリアリレートのように、ビスフェノールA等のジオール類とテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体も挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、上記ジオールとコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体やグリコール酸や乳酸等のヒドロキシジカルボン酸の共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィン等との二元或いは三元の共重合体等;具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂、及び4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン−エチレン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系樹脂等の樹脂、並びに、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、1−ブテンと他のα−オレフィンとの共重合体、更に、例えば1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンとの二元或いは三元の共重合体等、具体的には、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のオレフィン系ゴム等が挙げられ、これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
環状オレフィン系樹脂とは、ノルボルネンやシクロヘキサジエン等、ポリマー鎖中に環状オレフィン骨格を含む重合体もしくはこれらを含む共重合体である。例えば、ノルボルネン骨格の繰り返し単位、又はノルボルネン骨格とメチレン骨格の共重合体よりなるノルボルネン系樹脂が挙げられ、市販品としては、JSR製の「アートン」、日本ゼオン製の「ゼネックス」および「ゼオノア」、三井化学製の「アペル」、チコナ製の「トーパス」等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体も挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリット酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の共重合体であるピロメリット酸型イミド、無水塩化トリメリット酸やp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンやジイソシアネート化合物からなる共重合体であるトリメリット酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン等からなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等からなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等からなるビスマレイミド型ポリイミド等が挙げられる。
ポリアセタール系樹脂としては、オキシメチレン構造を単位構造にもつホモポリマーと、オキシエチレン単位を含む共重合体が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールA等の共重合体が挙げられる。
非晶性フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(ラジカル重合可能な化合物)
ラジカル重合可能な化合物としては、例えば、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、分子内に2個または3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、分子内に3〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、スチレン系化合物、エステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体などが挙げられる。
分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能メタクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
分子中に2個又は3個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
分子内に3〜8個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリオールの(メタ)アクリル酸エステル等が利用できる。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリテールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリテールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールセプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
エステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらのラジカル重合性モノマーを重合させるために、光ラジカル重合開始剤を添加しても良い。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の成分量は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計を100としたとき、0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.05重量部以上である。その上限は、通常10重量部以下、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる樹脂成形体の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。また、開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
(熱ラジカル重合開始剤)
熱によりラジカルを発生させる熱ラジカル重合開始剤を添加しても良い。熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が上げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、これらの熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(連鎖移動剤)
連鎖移動剤としてしては、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(β−チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオグリコレート)等の2〜6価のチオグリコール酸エステル又はチオプロピオン酸エステル;トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシ)プロピル]トリイソシアヌレート等のω−SH基含有トリイソシアヌレート;ベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4、4’−ジメルカプトジフェニルスルフィド等のα,ω−SH基含有化合物等が挙げられる。これらの中でもペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。メルカプタン化合物を入れる場合は、ラジカル重合性モノマーの合計100重量部に対して、通常30重量部以下の割合で含有させる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4、4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、その他マロン酸エステル系のホスタビンPR−25(クラリアント社)、蓚酸アニリド系のサンデュボアVSU(クラリアント社)などの化合物である。紫外線吸収剤を入れる場合は、ラジカル重合性モノマーの合計100重量部に対して、通常0.01〜1重量部の割合で含有させる。
(充填剤)
充填剤としては、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやPMMAなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
(シランカップリング剤)
また、シランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等は分子中に(メタ)アクリルないしアクリル基を有しており、(メタ)アクリレートを用いる場合には、共重合することができるので好ましい。シランカップリング剤は、マトリクス材料の合計に対して通常0.1〜50重量%となるように含有させる。好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。0.1重量%よりも少ない場合には、これを含有させる効果が十分に得られず、また50重量%よりも多い場合には、得られる複合体の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
[セルロース繊維複合体の製造方法]
セルロース不織布と、前述のマトリクス材料とを複合化して本発明のセルロース繊維複合体を製造する方法としては特に制限はないが、例えば次のような方法を採用することができる。
まず、オキセタン樹脂、好ましくはオキセタン樹脂とエポキシ樹脂等の光カチオン重合性樹脂と光カチオン重合開始剤、および必要に応じて配合される各種添加剤を予め混合して硬化性組成物を調製する。次に、セルロース不織布にこの硬化性組成物を含浸させる。
含浸の方法は一般的な方法を用いることが出来る。例えば、硬化性組成物中にセルロース不織布を浸漬する方法やセルロース不織布にダイコーター等から吐出させた硬化性組成物を塗布する方法、セルロース不織布に硬化性組成物を塗布したキッスロールを押しつけることで含浸させる方法、セルロースに硬化性組成物をスプレーする方法などが挙げられる。
この様にして硬化性組成物を含浸させたセルロース不織布を一定の厚みのスペーサーを挟んだガラス板の間に挟み、硬化性組成物を硬化させる。
この硬化方法としては、具体的には、紫外線などの活性エネルギー線を照射して光カチオン重合性樹脂を重合させる方法、および熱重合開始剤と光カチオン重合開始剤を併用して予め添加しておき、熱と活性エネルギー線を同時に付与して重合させる方法、活性エネルギー線を照射した後、熱を当てて重合を行う方法などが挙げられる。
本発明においては熱により硬化性組成物が膨張することを防ぐために光重合を行うことが好ましい。光重合終了後に後加熱を行ってもよい。この場合、硬化性組成物を含浸させたセルロース不織布を挟んだガラス板の上下から紫外線等の活性エネルギー線を照射した後、ガラス板から硬化物を取り出し、必要に応じてオーブンなどを用いて後加熱する方法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられるが、好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が250〜400nmの紫外線である。
照射する活性エネルギー線の量は、光カチオン重合開始剤がカチオンを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、用いるモノマーの組成および光重合開始剤の種類、量に合わせて、200〜450nmの波長の紫外線を、好ましくは0.1〜200J/cm、更に好ましくは1〜20J/cmの範囲で照射する。活性エネルギー線を複数回に分割して照射すると、硬化が均一になり、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/100〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。
使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極ランプ、紫外線LEDランプ等を挙げることができる。
活性エネルギー線照射後に、加熱による後硬化を行う場合、その条件は、50〜250℃で5分〜10時間程度とすることが好ましい。
[セルロース繊維複合体の物性]
次に、本発明のセルロース繊維複合体の物性について説明する。
<セルロース含有量>
本発明のセルロース繊維複合体中のセルロース繊維の含有量は通常1重量%以上99重量%以下であり、マトリクス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロース繊維の含有量が1重量%以上、マトリクス材料の含有量が99重量%以下であることが、透明性を発現するにはセルロース繊維の含有量が99重量%以下、マトリクス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロース繊維が2重量%以上90重量%以下であり、マトリクス材料が10重量%以上98重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロース繊維が5重量%以上80重量%以下であり、マトリクス材料が20重量%以上95重量%以下である。特に、本発明のセルロース繊維複合体では、セルロース繊維の含有量が70重量%以下でマトリクス材料の含有量が30重量%以上、更には、セルロース繊維の含有量が60重量%以下でマトリクス材料の含有量が40重量%以上であることが好ましい。また、セルロース繊維の含有量が10重量%以上でマトリクス材料の含有量が90重量%以下、更にはセルロース繊維の含有量が15重量%以上でマトリクス材料の含有量が85重量%以下、更にはセルロース繊維の含有量が20重量%以上でマトリクス材料の含有量が80重量%以下、特にセルロース繊維の含有量が30重量%以上でマトリクス材料の含有量が70重量%以下であることが好ましい。
セルロース繊維複合体中のセルロース繊維及びマトリクス材料の含有量は、例えば、マトリクス材料である樹脂含浸前のセルロース不織布の重量と含浸後のセルロース繊維複合体の重量より求めることができる。また、セルロース繊維複合体をマトリックス樹脂が可溶な溶媒に浸漬して樹脂のみを取り除き、残ったセルロース不織布の重量から求めることもできる。その他、樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
<厚み>
本発明のセルロース繊維複合体の厚みは、好ましくは10μm以上、10cm以下である。このような厚みのセルロース繊維複合体にすることで強度を保つことができる。セルロース繊維複合体の厚みはより好ましくは50μm以上、1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上、250μm以下である。
なお、本発明のセルロース繊維複合体は、好ましくはこのような厚みの膜状(フィルム状)又は板状であるが、平膜又は平板に限らず、曲面を有する膜状又は板状とすることもできる。また、その他の異形形状であっても良い。また、厚みは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていても良い。
<黄色度>
本発明のセルロース繊維複合体は、JIS規格K7105に準拠して測定した黄色度(YI値)が20以下であることが好ましい。この黄色度は15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
セルロース繊維複合体の黄色度は例えば、膜厚100±10μmの複合体を使用し、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて測定することができる。
本発明のセルロース繊維複合体に用いるセルロースには、原料由来の黄色味が着く場合がある。特に木質由来の原料を用いた場合、精製度合いによって黄色味が着くことがある。セルロース繊維に黄色味が着くと、複合体にも影響して黄色味を示すことから好ましくない。また、複合する樹脂に由来して複合体に黄色味が着く場合がある。
本発明では、例えば、セルロース繊維を化学修飾したり、透明性の高いマトリクス材料を用いたりすることにより、このような着色の小さいセルロース繊維複合体とする。
<ヘーズ>
本発明のセルロース繊維複合体は、可視光の波長よりも細い繊維径のセルロース繊維を用いていることから、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい複合体である。本発明のセルロース繊維複合体のヘーズ値は、JIS規格K7136に従って測定した値として、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。特にこの値は1以下であることが各種透明材料として用いる場合に好ましい。セルロース繊維複合体のヘーズは、例えば、膜厚100±10μmの複合体を使用し、スガ試験機製ヘーズメータで測定することができ、C光の値を用いる。
<吸水率>
本発明のセルロース繊維複合体は、JIS規格K7209(D法)に準拠して測定した吸水率が3%以下となる吸水率の低い複合体であることが好ましい。この吸水率は2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。吸水率が3%を超えると、加工プロセス上で脱水した複合体が空気中に放置された際、空気中の水分を吸収して伸び、寸法変形を起こすため、好ましくない。
<全光線透過率>
本発明のセルロース繊維複合体は、セルロース繊維複合体について、その厚み方向にJIS規格K7105に準拠して測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。全光線透過率は例えば、膜厚100±10μmの複合体を使用し、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光を値を用いる。
<線膨張係数>
本発明のセルロース繊維複合体は、線膨張係数(1K当りの伸び率)が50ppm/K以下の線膨張係数の低い複合体であることが好ましい。本発明のセルロース繊維複合体の線膨張係数は30ppm/K以下であることがさらに好ましく、20ppm/K以下であることが特に好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合体の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張係数差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、本発明のセルロース繊維複合体の線膨張係数は、特に5〜20ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
<曲げ強度>
本発明のセルロース繊維複合体は、曲げ強度が、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。曲げ強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
<曲げ弾性率>
本発明のセルロース繊維複合体は、曲げ弾性率が、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは、1〜50GPaである。曲げ弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
[用途]
本発明のセルロース繊維複合体は、透明性が高く、高強度、低吸水性、低着色性でヘーズの小さい複合体とすることができ、光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。
ディスプレイ用の基板として用いる場合には、酸素や水蒸気を遮断するガスバリアー膜を設けてもよい。ガスバリアー膜としてはSiOやSiOとSiNの複合膜を蒸着法やスパッター法にて製膜することができる。また、これらの無機膜の上に有機物の膜を蒸着やスパッター法により積層したり、塗布や印刷で設けたりすることもできる。有機膜と無機膜の多層膜は交互に2層から100層程度まで形成することもできる。多層膜の積層数が多いほどガスバリアー性能は向上するが、工程が増すとコストが増大するため、2〜10層程度交互に堆積するのが好ましい。また、ガスバリアー膜は本発明のセルロース繊維複合体の両面に付けても、片面のみに付けても良い。両面に付けた場合はよりガスバリアー性能が増加する。片面にガスバリアー膜を付ける場合には、素子が形成される側に付けるのがよい。これは、本発明のセルロース繊維複合体中に含まれる酸素や水分が素子を破壊することを防ぐ効果がある。また、本発明のセルロース繊維複合体にはITO等の透明導電膜を設けることもできる。透明導電膜の製膜の方法としては、一般的な蒸着法やスパッタ法、ゾルゲル法を用いることができる。
さらに、本発明のセルロース繊維複合体には、必要に応じて反射防止膜や偏光膜、配向膜等を塗布や貼り合わせで設けることができる。
本発明におけるセルロース繊維複合体は線膨張係数が低く、吸水率が小さいため、TFTのような薄膜トランジスタの形成に好適であり、TFTの形成プロセス中での熱膨張や水分の脱着による膨張収縮が小さいため、位置ずれや膨張率の違いによる反り、回路の断線などが生じにくい。また、硬化性の樹脂を用いているため、熱可塑性樹脂のように加熱によって流れてしまうこともない。
また、本発明のセルロース繊維複合体はシリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板にも好適である。また、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などに好適に使われる。窓材としての用途においては、必要に応じて防汚性のためのフッ素皮膜や光触媒作用のためのチタニア微粒子膜などの各種無機膜、ハードコート膜を本発明のセルロース繊維複合体に積層しても良い。従来の透明樹脂で作られた窓材は通常金属製の枠に填められているが、寒暖の差により収縮して枠から外れたり、膨張して変形したりする。本発明のセルロース繊維複合体は線膨張係数が小さく、金属とほぼ等しいため、膨張収縮の際に窓枠から外れたり変形したりすることがない。
また、低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして、本発明のセルロース繊維複合体は、透明材料用途以外の構造材料としても用いることができる。特に、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
なお、以下において、作製した試料の物性等は、下記の評価方法および測定方法により行った。
〔セルロース不織布の化学修飾率〕
セルロース不織布0.5gを精秤しこれにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。これをフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009155384
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009155384
〔セルロース不織布の空隙率〕
セルロース不織布の面積、厚み、重量から、下記式によって求めた。
空隙率(vol%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(Mitutoyo(株)製 IP65)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の表面性状〕
目視にて観察した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物のヘーズ〕
JIS規格K7136に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の全光線透過率〕
JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光による全光線透過率を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の黄色度〕
得られた複合体を150℃で1時間加熱した後、JIS規格K7105に準拠し、スガ試験機製カラーコンピュータを用いて黄色度を測定した。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の線膨張係数〕
得られた複合体をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長に切断した。これを、SII製TMA120を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温、180℃から25℃まで5℃/min.で降温、25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求めた。
〔セルロース繊維複合体又は樹脂硬化物の吸水率〕
JIS規格7209(D法)に準拠し、得られた複合体を50℃で24時間静置後、重量(W)を測定し、その後23℃、湿度50%の雰囲気下に重量が一定になるまで静置後、重量(W)を測定した。下記式により吸水率を算出した。
吸湿率(%)=(W−W)/W ×100
また、以下の実施例及び比較例で用いた樹脂や硬化剤の仕様は次の通りである。
Figure 2009155384
Figure 2009155384
<製造例1:セルロース不織布前駆溶液の調製>
米松木粉((株)宮下木材)を炭酸ナトリウム2重量%水溶液で80℃にて6時間脱脂した。これを脱塩水で洗浄した後、0.66重量%の亜塩素酸ナトリウム、0.14重量%の酢酸水溶液に80℃にて5時間浸漬してリグニン除去を行った。脱塩水洗浄した後、濾過し、回収した精製セルロースを脱塩水で洗浄後、5重量%の水酸化カリウム水溶液に16時間浸漬してヘミセルロース除去を行った。更に、脱塩水洗浄した後に、0.5重量%の水懸濁液とし、超高圧ホモジナイザー(アルティマイザー;スギノマシーン社製)処理を行った。処理時の圧力は245MPaで、10回行った。
<製造例2;アセチル化セルロース不織布の製造>
製造例1で得られたセルロース分散液を0.2重量%に水で希釈し、孔径1μmのPTFEを用いた90mm径の濾過器に100g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノールを投入して水と置換した。その後、120℃、0.15MPaにて5分間プレス乾燥して、セルロース不織布を得た。
得られたセルロース不織布を100mlの無水酢酸に含浸して100℃にて7時間加熱した。その後、蒸留水でよく洗浄し、最後に2−プロパノールに10分浸した後、120℃、0.15MPaにて5分間プレス乾燥して、厚み62μmのアセチル化セルロース不織布を得た。この不織布の化学修飾率は33mol%であった。また空隙率は56vol%であった。
また、SEM観察により繊維径500nm以上のものが含まれていないことを確認した。任意に抽出した20箇所の平均繊維径は14nmであった。また、繊維長は100nm以上であることを確認した。得られたアセチル化セルロース不織布の黄色度は11.4であった。
<製造例3:バクテリアセルロースシートの製造>
食材として利用されているバクテリアセルロースゲルのナタデココ(フジッコ社製、厚さ1cm、繊維含有率1体積%、水含有率99体積%)を用いた。この含水バクテリアセルロースを2−プロパノールに浸漬後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥することにより、厚さ50μm、空隙率42vol%のバクテリアセルロースシートを得た。
<実施例1>
オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)50重量部、OXT−221(東亜合成(株)社製)40重量部、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂YX8000(JER社製)10重量部と光カチオン重合開始剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよく撹拌して硬化性組成物を作った。この混合液に製造例2で得られたアセチル化セルロース不織布を浸漬した。
2枚のガラス板に0.1mm厚みのシリコーンゴム製スペーサーを介して、上記組成物含浸不織布をはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)の下を、照度400mW/cmにて、ライン速度2m/minで通過させた。紫外線の光量は0.43J/cmであった。被照射ガラス面を反転し、この操作を二度繰り返した。次いで、照度1900mW/cmにて、ライン速度2m/minで先と同様にガラス面を照射毎に反転して6回照射した。紫外線照射後のガラス面の温度は44℃であった。全紫外線量は17.5J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずした。次いで、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み100μmのセルロース繊維複合体を得た。
このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
なお、紫外線の照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
このセルロース繊維複合体の評価結果を表1に示す。
線膨張係数は、12ppm/Kと非常に低い値であった。また、全光線透過率は90%であり、十分な透明性が得られた。また、皺がなく、表面性状も良好なシートであった。
<実施例2>
硬化性組成物として、オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)20重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂828EL(JER社製)80重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよく撹拌して調製した硬化性組成物を用いた他は、実施例1と同様にして厚み100μmのセルロース繊維複合体を作製し、その評価結果を表1に示した。表1に示されるように、良好な結果が得られた。なお、このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
<実施例3>
硬化性組成物として、オキセタン樹脂OXT−221(東亜合成(株)社製)50重量部、オキセタン樹脂ETERNACOLL OXBP(宇部興産(株)社製)40重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂828EL(JER社製)10重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)5重量部を60℃でよく撹拌して調製した硬化性組成物を用いた他は、実施例1と同様にして厚み100μmのセルロース繊維複合体を作製し、その評価結果を表1に示した。表1に示されるように、良好な結果が得られた。なお、このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
<実施例4>
硬化性組成物として、オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)50重量部、OXT−221(東亜合成(株)社製)40重量部、エポキシ樹脂KL−613((株)クラレ社製)10重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)1重量部を60℃でよく撹拌して調製した硬化性組成物を用いた他は、実施例1と同様にして厚み100μmのセルロース繊維複合体を作製し、その評価結果を表1に示した。表1に示されるように、良好な結果が得られた。なお、このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
<実施例5>
硬化性組成物として、オキセタン樹脂OXT−211(東亜合成(株)社製)30重量部、オキセタン樹脂ETERNACOLL OXMA(宇部興産(株)社製)30重量部、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン20重量部、4HBAGE(日本化成(株)社製)20重量部と硬化剤SP170((株)アデカ社製)1重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.1重量部を60℃でよく撹拌して調製した硬化性組成物を用いた他は、実施例1と同様にして厚み95μmのセルロース繊維複合体を作製し、その評価結果を表1に示した。表1に示されるように、良好な結果が得られた。なお、このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
<比較例1>
製造例3で得られたバクテリアセルロース不織布を、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン96重量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオ(β−プロピオネート)6重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.05重量部、ベンゾフェノン0.05重量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下一晩静置した。これを0.1mm厚みのシリコーンゴム製スペーサーを介して2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、照度400mW/cmにて、ライン速度7m/minで通過させた。紫外線の光量は0.12J/cmであった。被照射ガラス面を反転し、この操作を二度繰り返した後、紫外線照射後のガラス面の温度を測ったところ、25℃であった。次いで、照度1900mW/cmにて、ライン速度2m/minで先と同様にガラス面を照射毎に反転して8回照射した。紫外線照射後のガラス面の温度は44℃であった。全紫外線量は24J/cmであった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずした。次いで、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み97μmのセルロース繊維複合体を得た。このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。
このセルロース繊維複合体の評価結果を表1に示す。線膨張係数は25ppm/Kと比較的小さく、全光線透過率も85%と比較的高い値を示したが、アクリレートモノマーの硬化収縮による皺が発生して、表面にうねりが生じた。
<比較例2>
実施例1と同様にして調製した硬化性組成物を、セルロース不織布に含浸せずに単独で、実施例1と同様の条件で光硬化して厚み100μmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物の評価結果を表1に示す。線膨張係数が150ppm/Kと非常に高い結果となった。
<比較例3>
ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン96重量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオ(β−プロピオネート)6重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.05重量部、ベンゾフェノン0.05重量部を混合して硬化性組成物を調製した。これを2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、照射光量400mW/cmの下を、ライン速度7m/minで0.12J/cmの紫外線を2回照射した。紫外線照射後のガラス面の温度は25℃であった。また、照射毎に被照射ガラス面を反転し、両側から紫外線が照射するように行った。次いで、照射光線量1900mW/cmの下を、2.7J/cmの紫外線をライン速度2m/minで先と同様にガラス面を照射毎に反転して8回照射した。紫外線照射後のガラス面の温度は44℃であった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、次いで、190℃の真空オーブン中で1時間加熱して厚み97μmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物の評価結果を表1に示す。線膨張係数は70ppm/Kと高い値を示す結果となった。
<比較例4>
ビスフェノール型エポキシ樹脂828EL(JER社製)100重量部と熱硬化剤CP77((株)アデカ社製)5重量部をよく撹拌して硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物に製造例2で得られたアセチル化セルロース不織布を浸漬した。2枚のガラス板に0.1mm厚みのシリコーンゴム製スペーサーを介して、この硬化性組成物含浸不織布をはさみ、熱風オーブン中で100℃にて1時間加熱した。その後、150℃で4時間加熱して厚み100μmのセルロース繊維複合体を作製した。このセルロース繊維複合体のマトリクス含有量は表1に示す通りであった。得られたセルロース繊維複合体の評価結果を表1に示す。このものは、硬化時に加熱によって伸びた後、冷却により収縮したために、皺が入った。
Figure 2009155384
表1より、本発明のセルロース繊維複合体は、高透明性、非着色性、低吸水率かつ低線膨張係数で、皺がなく、表面性状に優れることが分かる。
本発明のセルロース繊維複合体は、様々な材料に有利に利用できる。例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ、光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通使用部品、液晶基板、有機/無機EL用基板、電子ペーパー用基板、導光板、位相差板、タッチパネル等各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途、機能性フィルム・シート、反射防止膜、光学多層膜等各種光学フィルム・シート、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池用基板、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に利用できる。

Claims (8)

  1. セルロース繊維と、マトリクス材料としてのオキセタン樹脂及び光カチオン重合開始剤の残渣とを同一層内に含むセルロース繊維複合体。
  2. マトリクス材料として、更にエポキシ樹脂を含む請求項1に記載のセルロース繊維複合体。
  3. オキセタン樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部中のオキセタン樹脂の割合が10〜90重量部である請求項2に記載のセルロース繊維複合体。
  4. マトリクス材料とセルロース繊維との含有割合が重量比で7:3〜3:7である請求項1ないし3のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
  5. 厚さが10μm以上、10cm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
  6. 全光線透過率が60%以上で、線膨張係数が50ppm/K以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のセルロース繊維複合体。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のセルロース繊維複合体を含む基板。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載のセルロース繊維複合体を含む窓材。
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