JP2015086266A - 繊維樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細セルロース繊維と樹脂との複合体を高い生産性で製造する。【解決手段】セルロース繊維を含有する分散液中でセルロース繊維を解繊処理して微細セルロース繊維を得た後、該微細セルロース繊維と樹脂とを複合化する繊維樹脂複合体の製造方法であって、微細セルロース繊維の含有量が80%以上となるよう解繊処理し、得られた微細セルロース繊維の含有量が80%以上である微細セルロース繊維分散液を用いて、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化することを特徴とする繊維樹脂複合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は微細セルロース繊維と樹脂とを複合化する繊維樹脂複合体の製造方法に関する。
近年、工業製品、構造材料、化粧品、食品、ガスバリア材料等において、生分解性があり、微細なセルロース繊維の分散液を製造することが検討されている。セルロースはその伸びきり鎖結晶が故に、低線膨張係数と高弾性率と高強度とを発現することが知られている。また、微細化することにより、樹脂と複合化し複合体とした際、高透明性を示す材料としても注目されている。このような高透明性、低線膨張係数を有する微細セルロース繊維の複合体(繊維樹脂複合体)の用途の例としては、フラットパネルディスプレイや有機LED照明、太陽光発電パネルなどに代表される電気・電子デバイス向けの基板材料が挙げられている。
従来、このような微細セルロース繊維を得るために、例えば、特許文献1では、木粉を高圧ホモジナイザー、高速回転式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどで湿式解繊する方法が提案されている。また、特許文献2では、超高圧ホモジナイザーと媒体ミルを併用することにより、セルロース系素材から微細セルロース繊維を得ている。この方法では、解繊性を高めるためには大きなエネルギーが必要である。また、所望の微細セルロース繊維を得るためには、解繊処理して得られる解繊液を使って遠心分離操作を行っている。
また、これらの機械的処理による解繊方法に化学的処理を併用することで解繊性を高める方法や微細セルロース繊維を製造する方法もまた報告されている。
例えば、特許文献3、4には、N−オキシル化合物によるセルロースの表面酸化反応を利用して、セルロース繊維にカルボキシ基を導入し、水中での分散性を高めた解繊性に優れたセルロース繊維を提供する技術が開示されている。
特許文献5には、N−オキシル化合物によるセルロースの表面酸化反応を利用して、セルロース繊維にカルボキシ基を導入し、得られた酸化セルロース繊維を機械的処理し、平均繊維径が200nm以下の酸化セルロース繊維分散液を製造する方法が開示されている。
しかしながら、上記の文献に記載されている方法では、未変性セルロース繊維又は変性セルロース繊維に、機械的処理、化学的処理、生物学的処理のいずれか1以上の処理を施すことによって、微細セルロース繊維を得ているが、解繊処理前のセルロース繊維と比べて、解繊処理後どれくらいの微細セルロース繊維が得られ、どれくらいの解繊不良のセルロース繊維(例えば、粗大セルロース繊維等)が残っているのかを詳細に検討することは行われていない。
特開2009―167397号公報 特許3262917号公報 特開2010−242063号公報 特開2008−1728号公報 特許第5108587号公報
セルロース繊維を含有する分散液を所定時間解繊処理して得られる解繊液中には、多少の解繊不良のセルロース繊維が含まれている。そこで、解繊不良のセルロース繊維を取り除くためには、解繊処理工程を増やして解繊処理を繰り返し行うことや解繊時間を延ばすこと、また遠心分離操作などの濾過方法等により解繊不良のセルロース繊維を取り除くことなどが行われており、このような処理を行うことで、分散液中のセルロース繊維がすべて所望の微細セルロース繊維(100%微細セルロース繊維)である微細セルロース繊維分散液を得ることができる。
しかし、このような方法では、長時間の解繊工程や多大なエネルギーを要し、また、遠心分離工程を含むことで製造プロセスが煩雑となりコストが上がり、結果として、繊維樹脂複合体の生産性が低くなるという問題点があった。
そこで、本発明では、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化させるに際し、特定の微細セルロース繊維の分散液を用いることにより、生産性高く、繊維樹脂複合体を製造することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、解繊処理して得られる解繊液中の微細セルロース繊維割合を特定の範囲に制御することにより、生産性高く、繊維樹脂複合体を製造できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、セルロース繊維を含有する分散液中でセルロース繊維を解繊処理して微細セルロース繊維を得た後、該微細セルロース繊維と樹脂とを複合化する繊維樹脂複合体の製造方法であって、下記の(1)〜(8)の方法で測定、算出される微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の含有量が80%以上となるよう解繊処理し、得られた微細セルロース繊維の含有量が80%以上である微細セルロース繊維分散液を用いて、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化することを特徴とする、繊維樹脂複合体の製造方法、に存する。
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
(7) 遠沈管の質量はWとする。
(8) 以下の式により微細セルロース繊維の含有量を算出する。
Figure 2015086266
本発明によれば、微細セルロース繊維と樹脂との複合体を高い生産性で製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の繊維樹脂複合体の製造方法は、セルロース繊維を含有する分散液中でセルロース繊維を解繊処理して微細セルロース繊維を得た後、該微細セルロース繊維と樹脂とを複合化する繊維樹脂複合体の製造方法であって、下記の(1)〜(8)の方法で測定、算出される微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の含有量が80%以上となるよう解繊処理し、得られた微細セルロース繊維の含有量が80%以上である微細セルロース繊維分散液を用いて、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化することを特徴とする。
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度(セルロース繊維濃度)0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
(7) 遠沈管の質量はWとする。
(8) 以下の式により微細セルロース繊維の含有量を算出する。
Figure 2015086266
以下、分散液中で解繊処理を施すセルロース繊維を「セルロース繊維原料」と称し、本発明の繊維樹脂複合体の製造方法において、樹脂との複合化に用いられる「微細セルロース繊維分散液」、「微細セルロース繊維」を、それぞれ「本発明の微細セルロース繊維分散液」、「本発明の微細セルロース繊維」と称す場合がある。また、本発明の繊維樹脂複合体の製造方法により製造される繊維樹脂複合体を「本発明の繊維樹脂複合体」と称す場合がある。
従来、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化して繊維樹脂複合体を得るためには、例えば、未変性セルロース繊維原料及び/又は変性セルロース繊維原料を出発物質として、セルロース繊維原料の解繊処理を十分に行ない、更に解繊処理後の解繊液中に含まれている解繊不良のセルロース繊維等を取り除くために、遠心分離機で遠心処理を行なって、解繊不良のセルロース繊維を除き、微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液を用いて繊維樹脂複合体を得ている。
しかし、この製造プロセスでは、
(1) セルロース繊維原料から微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液を得るために、所定の解繊処理時間をさらに延ばすといった処置が必要になり、更なる投入エネルギー量が必要になる(例えば、後掲の実施例1の投入エネルギー量1600wh/gよりもさらに大きな投入エネルギー量が必要となる。)
(2) 解繊処理後の解繊不良のセルロース繊維を取り除くための遠心分離工程が必要になり、解繊処理に加え、遠心分離処理に要する投入エネルギー量もかかることとなり(後掲の参考例1の投入エネルギー量は3040wh/gであり、実施例1の投入エネルギー量の約2倍)、また、遠心分離工程を含む製造プロセスが必要になり、処理工程が煩雑となる上に、製造コストが上がり、結果として、繊維樹脂複合体の生産性が低くなる
という問題点がある。
これに対して、本発明では、微細セルロース繊維含有量80%以上となるように解繊処理を行えばよく、微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液を得る場合のような長時間の解繊処理を必要とせず、投入エネルギー量を低減することができ、また、解繊不良のセルロース繊維を取り除くための遠心分離工程も不要とすることができるため、低コストで、生産性良く、繊維樹脂複合体を製造することができる。
[セルロース繊維]
まず、セルロース繊維について説明する。
<セルロース繊維原料>
本発明において、セルロース繊維原料は、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものであることが好ましい。
(セルロース含有物)
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース含有物が好ましい。
(セルロース含有物の精製方法)
本発明に用いられるセルロース繊維原料は好ましくは上記のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。
この精製方法としては、例えば、セルロース含有物をベンゼン−エタノール混合溶媒や炭酸ナトリウム水溶液で脱脂した後、亜塩素酸塩で脱リグニン処理を行い(ワイズ法)、アルカリで脱ヘミセルロース処理をする方法が挙げられる。また、ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸と過硫酸を併用する過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)、塩素・モノエタノールアミン法なども精製方法として利用される。また、適宜、更に漂白処理等を行ってもよい。
セルロース含有物は、一般的な化学パルプの製造方法、例えばクラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法に従って精製処理することもでき、また、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行うことで精製処理することもできる。
すなわち、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどのパルプを用いてもよい。
尚、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の精製度合いに特に定めはないが、油脂、リグニンが少なく、セルロース成分の含有率が高い方がセルロース繊維原料の着色が少なく好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料のセルロース成分の含有率は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
また、セルロース成分は結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分に分類できる。結晶性のα−セルロースの比率が高い方が、複合体とした際に低線膨張係数、高弾性率、高強度の効果が得られやすいため好ましい。セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分との比率(重量比率)は好ましくは70対30以上、より好ましくは75対25以上、さらに好ましくは80対20以上で、結晶性のα−セルロース成分の比率が高いことが好ましい。
(セルロース繊維原料の繊維径)
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものの数平均繊維径は50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、数平均繊維径50μm程度にすることが好ましい。
(化学修飾処理・酸化処理)
本発明に用いられるセルロース繊維原料もしくは解繊処理後の微細セルロース繊維は、化学修飾によって誘導化されたもの(化学修飾されたセルロース繊維)や酸化処理によりカルボキシ基が導入されたものであってもよい。化学修飾とは、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して化学修飾された(他の置換基が導入された)ものである。
これらの処理は、前述した精製処理の前に行っても、後に行ってもよく、また、解繊処理によってセルロース繊維を解繊した後に行ってもよく、解繊処理後に行ってもよい。
これら化学修飾処理・酸化処理によってセルロースの水酸基に導入される基は特に制限されず、例えば、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基、リン酸基、カルボキシ基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素原子が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されたものであっても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。
化学修飾方法としては、特に限定されるものではないが、セルロースと次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクリロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタン等が挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
本発明において、セルロース繊維の化学修飾率は、セルロースの全水酸基に対して、好ましくは0mol%以上、さらに好ましくは8mol%以上である。また、化学修飾率はセルロースの全水酸基に対して65mol%以下、より好ましくは50mol%以下、さらに好ましくは40mol%以下である。
この化学修飾率が高い方が、得られる繊維樹脂複合体における加熱による着色の抑制効果に優れる傾向があり、また、化学修飾率が高い方が、セルロース繊維の親水性が低くなって、吸水率を低減する効果があるが、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され、結晶性が低下するため、得られる繊維樹脂複合体の線膨張率が大きくなってしまうという問題があり好ましくない。特に、セルロース繊維原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低くても高くても加熱による着色の問題があるので、化学修飾を適宜調整することが好ましい。
なお、ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
乾燥させたセルロース繊維又は乾燥させた後述のセルロース繊維シート0.05gを精秤し、これにエタノール1.5ml、蒸留水0.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、フェノールフタレインを指示薬として0.2M塩酸標準溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.2M塩酸水溶液の量Z(ml)、及びブランクサンプル(=乾燥セルロースなしのサンプル)の滴定に要した0.2N塩酸水溶液の量Z(ml)から、下記式によって化学修飾により導入された置換基の量Q(mol)が求められる。
Q(mol)=(Z−Z)×0.2/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは化学修飾により導入された置換基の分子量である。
Figure 2015086266
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2015086266
<カチオン性基>
本発明に用いられるセルロース繊維原料もしくは解繊処理後の微細セルロース繊維は、カチオン性基が導入されたものであってもよい。解繊処理を施す前のセルロース繊維原料にカチオン性基が導入されていると、セルロース繊維原料の解繊処理効率が向上し、低い投入エネルギーでの微細化が可能となるため、カチオン性基は解繊処理前のセルロース繊維原料に導入することが好ましい。ただし、解繊処理後のセルロース繊維にカチオン性基を導入してもよい。
カチオン性基は、セルロース繊維を構成するセルロースの水酸基の一部をカチオン性基で置換することにより導入される。
カチオン性基とは、その基内に、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムなどのオニウムを有する基であって、通常は、分子量が1000以下程度の基である。カチオン性基として具体的には、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基が挙げられる。本発明において、カチオン性基としては、アンモニウムを有する基が好ましく、特に、四級アンモニウムを含む基が好ましい。
本発明において、カチオン性基は、その1種のみがセルロース繊維原料に導入されていてもよく、2種以上が導入されていてもよい。
これらのカチオン性基は、カチオン性基を有する化合物をセルロース繊維原料に反応させることにより導入することができる。
即ち、カチオン性基は、上記のアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムなどのカチオン性基と、セルロースの水酸基と反応する基とを有する化合物を、セルロース繊維原料に反応させることにより導入することが好ましく、ここで、セルロースの水酸基と反応する基としては、その水酸基と反応して共有結合を形成する反応基であれば特に限定はなく、例えば、エポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基、活性ハロゲン基、活性ビニル基、メチロール基等が挙げられる。これらの内、反応性の点からエポキシ基又はそれを形成し得るハロヒドリン基が好ましい。
セルロース繊維原料にカチオン性基を導入するために用いられる、カチオン性基と、セルロースの水酸基と反応する基を有する化合物(以下、「カチオン性基を有する化合物」と称す場合がある。)としては、例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等のグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性基を有する化合物とセルロース繊維原料との反応方法(以下、「カチオン化反応」と称す場合がある。)としては、例えば、グリシジルトリアルキルアンモニウムハライドを用いる場合、反応溶媒中で、セルロース繊維原料にグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドと触媒である水酸化アルカリ金属塩を作用させることにより反応させる方法が挙げられる。
反応溶媒としては、水、或いは一般的な有機溶剤が用いられるが、特に水、或いは低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等の炭素数1〜4程度の低級アルコールの1種又は2種以上、或いはこれらの低級アルコールと水との混合溶媒を使用することができ、その使用量は、セルロース繊維原料に対し1〜30重量倍程度とすることが好ましい。
触媒の水酸化アルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の1種又は2種以上が使用できる。
カチオン化反応は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、通常90℃以下、好ましくは80℃以下で、通常30分以上、好ましくは1時間以上、通常10時間以下、好ましくは4時間以下行う。
尚、カチオン性基を有する化合物と触媒の使用量は、用いるセルロース繊維原料、反応系の溶媒組成、反応器の機械的条件、その他の要因によって適宜調整する。
反応終了後、残存する水酸化アルカリ金属塩を鉱酸、或いは有機酸により中和した後、常法により洗浄、精製してカチオン性基を有するセルロース繊維原料を得ることができる。
カチオン性基の導入量としては、セルロース繊維原料のセルロースに対する、カチオン性基の置換度として、0.05〜3.0mmol/gであり、0.14mmol/g以上が好ましく、0.21mmol/g以上がより好ましく、2.14mmol/g以下が好ましく、2.07mmol/g以下がより好ましい。カチオン性基の導入量がこの範囲であることによって、セルロース繊維原料間に静電反発力が作用して解繊処理効率が向上し、生産性高く微細セルロース繊維を製造することができる。
カチオン性基の置換度は、元素分析によりカチオン性基に含まれる窒素等の元素を定量したり、また固体NMRによってカチオン性基に特有な分子構造のピークを定量することによって求めることができる。
<セルロース繊維原料の解繊処理>
セルロース繊維原料の解繊処理は通常セルロース繊維原料の分散液(セルロース繊維原料分散液)中で行う。このセルロース繊維原料分散液は、セルロース繊維原料としての固形分濃度が0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下のセルロース繊維原料分散液であることが好ましい。この解繊処理に供するセルロース繊維原料分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するセルロース量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するセルロース繊維原料分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整することが好ましい。
なお、分散媒としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用することができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノ−t−ブチルエーテル等のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、その他水溶性の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。分散媒は、有機溶媒と水との混合液又は水であることが好ましく、特に水であることが好ましい。
セルロース繊維原料の解繊処理の具体的な方法としては、特に制限はないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース繊維原料分散液に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与え、セルロース繊維原料を解繊する方法、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、セルロース繊維原料分散液を通して剪断力を働かせて解繊する方法(高速回転式ホモジナイザー法)や、高圧から急に減圧することによって、セルロース繊維間に剪断力を発生させて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法)、「マスコマイザーX」のような対向衝突型の分散機(増幸産業)等を用いる方法などが挙げられる。特に、高速回転式ホモジナイザーや高圧ホモジナイザー処理は、解繊の効率が向上する。なお、上記のような処理の後に、超音波処理を組み合わせた微細化処理を行ってもよい。
解繊処理後には、遠心分離を行って、解繊不良のセルロース繊維を分離、除去してもよい。遠心分離を行うことで、より均一で細かいセルロース繊維の上澄み液が得られる。遠心分離の条件については、適用した解繊処理及び要求される微細化の程度によるので特に限定されるものではないが、例えば3000G以上、好ましくは10000G以上の遠心力をかけることが好ましい。また、処理時間としては、例えば1分以上、好ましくは5分以上遠心力をかけることが好ましい。遠心力が小さすぎたり、処理時間が短すぎたりすると、解繊不良のセルロース繊維の分離・除去が不十分になり、好ましくない。
また、遠心分離を行う際、遠心力をかけるセルロース繊維を含む分散液の粘度が高いと、分離効率が落ちるため好ましくない。この分散液の粘度としては、25℃において測定されるずり速度10s−1における粘度が500mPa・s以下、特に100mPa・s以下であることが好ましい。
このような解繊処理、更には必要に応じて遠心分離を施すことにより、微細なセルロース繊維を含有する微細セルロース繊維分散液を得ることができる。
本発明では、解繊処理を行って微細セルロース繊維含有量80%以上の微細セルロース繊維分散液を得、これを繊維樹脂複合体の製造に用いることを特徴とする。
この微細セルロース繊維含有量は、80%以上であればよく、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。もちろん微細セルロース繊維含有量100%が好ましいが、本発明では、微細セルロース繊維含有量が80%程度の低いものであっても、樹脂との複合化において、微細セルロース繊維含有量100%のものを用いた場合と同様に、高い効果が得られることを見出したことに基いて達成されたものであり、微細セルロース繊維含有量80%という下限値に発明の特徴を有するものである。微細セルロース繊維含有量が高い微細セルロース繊維分散液を得るためには、前述のように解繊処理コストが高くつき、また遠心分離工程を必要とするなど、工業的な生産性の点で好ましくない。投入エネルギー量と得られる繊維樹脂複合体の物性とのバランスにおいて、解繊処理後の微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維含有量は、98%以下、特に95%以下であることが好ましい。
ここで、本発明で規定する微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の含有量は以下の方法で測定、算出されたものである。
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度(セルロース繊維濃度)0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
(7) 遠沈管の質量はWとする。
(8) 以下の式により微細セルロース繊維の含有量を算出する。
Figure 2015086266
上記の(5)の上澄み中に含まれるセルロース繊維は、主として繊維径200nm以下の微細セルロース繊維であるため、上記の測定、算出で、微細セルロース繊維分散液中の全セルロース繊維中に占める繊維径200nm以下の微細セルロース繊維の割合を微細セルロース繊維含有量として求めることができる。
解繊処理により微細セルロース繊維含有量が80%以上の微細セルロース繊維分散液を得るには、高速回転式ホモジナイザー及び/又は高圧ホモジナイザーを使って処理する方法などが挙げられ、特に、高速回転式ホモジナイザーと高圧ホモジナイザーの組み合わせを使って解繊処理を施すことが有効である。
また、本発明において、解繊処理で得られる微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の含有量は80%以上であればよく、過度に微細セルロース繊維含有量を高くする必要はないため、遠心分離のような高コストな処理を省略することができる。
<微細セルロース繊維>
上記解繊処理及び必要に応じて解繊処理後の遠心分離により得られる本発明の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、通常200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であり、通常2nm以上である。微細セルロース繊維の数平均繊維径がこの範囲であることにより、ファイバー径がナノサイズであり、光の散乱が小さいため、高い透明性を示すという効果が得られる。また、樹脂と複合化した際に高強度、高弾性率、低線膨張係数が得られる。
また、本発明のセルロース繊維の数平均繊維長は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。微細セルロース繊維の数平均繊維長が上記上限以下であることにより、微細セルロース繊維同士の絡みがなくなり、繊維同士による塊が少なくなるという効果が得られる。
微細セルロース繊維の繊維径、繊維長は、本発明の微細セルロース繊維分散液の溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の各種顕微鏡等で観察することにより計測して求めることができる。
[セルロース繊維集合体]
次に、本発明の微細セルロース繊維を用いたセルロース繊維集合体(以下、「本発明のセルロース繊維集合体」と称す場合がある。)について説明する。
<セルロース繊維集合体の製造>
本発明のセルロース繊維集合体は、本発明の微細セルロース繊維を含むものである。通常、本発明のセルロース繊維集合体は、後述の乾燥後は、本発明の微細セルロース繊維のみからなるが、他の繊維や粒子を含有するものであってもよい。
本発明のセルロース繊維集合体は、解繊処理により微細化された本発明の微細セルロース繊維分散液を用いて製造される。ここで、本発明において、セルロース繊維集合体とは、通常、本発明の微細セルロース繊維分散液を濾過することにより、あるいは、適当な基材に該分散液を塗布したものから分散媒を揮発させるなどの方法で除去させて得られる、セルロース繊維の集合物を言い、例えばシート、粒子、ゲルなどを言う。
なお、このセルロース繊維集合体の製造に際して、解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を遠心分離処理して、極微細なセルロース繊維のみを含む上澄み液を得、この上澄み液をセルロース繊維集合体の製造に用いると、得られたセルロース繊維集合体から高透明な繊維樹脂複合体を得ることができる。
(シート)
本発明の微細セルロース繊維を用いて、本発明の微細セルロース繊維を含有するセルロース繊維シートとすることができる。セルロース繊維シートとすることで、樹脂を含浸させて繊維樹脂複合体としたり、樹脂シートではさんで繊維樹脂複合体とすることができる。セルロース繊維シートは、具体的には、前述の解繊処理を施した、本発明の微細セルロース繊維分散液を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することにより製造される。
セルロース繊維シートを、微細セルロース繊維分散液を濾過することによって製造する場合、濾過に供される微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度は、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であることが好ましい。微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度が低すぎると濾過に膨大な時間を要するようになり非効率である。また、濾過に供される微細セルロース繊維分散液の微細セルロース繊維濃度は1.5重量%以下、好ましくは1.2重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下であることが好ましい。微細セルロース繊維濃度が高すぎると均一なシートが得られない場合がある。
微細セルロース繊維分散液を濾過する場合、濾過時の濾布としては、微細化したセルロース繊維は通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。
具体的には孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば0.5〜1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
セルロース繊維シートはその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。
セルロース繊維シートに樹脂を含浸させて繊維樹脂複合体を得る場合には、セルロース繊維シートの空隙率が小さいと樹脂が含浸されにくくなるため、ある程度の空隙率があることが好ましい。この場合の空隙率は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上である。ただし、セルロース繊維シートの空隙率が過度に高いと、繊維樹脂複合体とした際に、セルロース繊維による十分な補強効果が得られず、線膨張率や弾性率が不足する場合があるので、80体積%以下であることが好ましい。
ここでいうセルロース繊維シートの空隙率は簡易的に下記式により求めるものである。
空隙率(体積%)={1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aはセルロース繊維シートの面積(cm)、tは膜厚(cm)、Bはシートの重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。
セルロース繊維シートの膜厚は、膜厚計(PEACOK製のPDN−20)を用いて、シートの種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
空隙率の大きなセルロース繊維シートを得る方法としては、濾過による製膜工程において、セルロース繊維シート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。
これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。または、微細セルロース繊維の分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にセルロース繊維シート中の水をアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類の他、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種または2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
このようにして空隙率を制御することによりセルロース繊維シートの膜厚も制御するこ
とができる。
また、空隙率を制御する方法として、上記のアルコール等より沸点の高い溶媒を微細セルロース繊維の分散液に混合し、その溶媒の沸点より低い温度で乾燥させる方法が挙げられる。この場合は、必要に応じて、乾燥後に残っている高い沸点の溶媒を、他の溶媒に置換した後に、樹脂に含浸させて繊維樹脂複合体とすることができる。濾過によって溶媒を除去したセルロース繊維シートは、その後、乾燥を行うが、場合によっては乾燥を行わずに次の工程に進んでも構わない。
すなわち、加熱処理した微細セルロース繊維分散液を濾過して、次に樹脂に含浸する場合、乾燥工程を経ずそのまま樹脂に含浸することもできる。
また、微細セルロース繊維分散液を濾過して、そのシートを加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
ただし、空隙率、膜厚の制御、シートの構造をより強固にする意味でも乾燥を行った方が好ましい。
この乾燥は、送風乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよく、また、加圧乾燥であってもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎるとセルロース繊維シートが着色したり、セルロースが分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性があり、圧力が高すぎるとセルロース繊維シートがつぶれたりセルロースが分解する可能性がある。
セルロース繊維シートの厚みには特に限定はないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは250μm以下である。
(粒子)
本発明の微細セルロース繊維分散液を用いて、セルロース繊維粒子とすることができる。
セルロース繊維粒子は特に熱可塑性樹脂との混練によって複合化する際に好適に用いられ、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
本発明の微細セルロース繊維を粒子化する方法としては、本発明の微細セルロース繊維分散液を、例えば公知のスプレードライ装置を用いて、スプレーノズル等から噴射することにより、分散媒を除去して造粒する方法が挙げられる。この噴射方法としては、具体的には回転円盤による方法、加圧ノズルによる方法、2流体ノズルによる方法などがある。スプレードライして得られた粒子を更に他の乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。この場合の熱エネルギー源としては、赤外線やマイクロ波を用いることもできる。
また、本発明の微細セルロース繊維分散液を凍結乾燥し、粉砕することによってもセルロース繊維粒子を得ることができる。この場合、具体的には、本発明の微細セルロース繊維分散液を液体窒素などで冷却した後、グラインダーや回転刃などで粉砕する方法が挙げられる。
セルロース繊維粒子の粒径には特に制限はないが、通常1μm以上で1mm以下が好ましい。この粒径は更に好ましくは5μm以上、100μm以下であり、特に好ましくは5μm以上、50μm以下である。セルロース繊維粒子の粒径が大き過ぎると樹脂と複合化した際、分散不良を起こし、小さ過ぎるとふわふわと舞って取り扱いが困難である。
(ゲル)
本発明の微細セルロース繊維分散液は、セルロース以外の高分子樹脂と複合化させることにより、繊維樹脂複合体(繊維樹脂複合体)を得ることができる。このセルロース以外の高分子樹脂との複合化は、本発明の微細セルロース繊維分散液から分散媒を除去することなく分散媒中で行ってもよく、複合化させた後に分散媒を除去することで繊維樹脂複合体を得ることもできる。本発明の微細セルロース繊維分散液の分散媒は、水から他の有機溶媒に、あるいは有機溶媒から水へと、セルロース以外の高分子樹脂と複合化するのに適した分散媒種へ置換を行ってから複合化を行うとより好ましい。
この複合化における分散媒の除去ないし置換の過程において、本発明の微細セルロース繊維分散液はセルロース繊維ゲルの状態をとる場合がある。
セルロース繊維ゲルは、セルロース繊維が3次元網目状構造を作り、それが分散媒によって湿潤または膨潤したものであり、網目構造は化学架橋や物理架橋により形成される。ゲルが所定量の分散媒を含有することによって、ゲル中の微細セルロース繊維の3次元網目状構造が保持される。
セルロース繊維のゲル中の分散媒の含有量は、通常10重量%以上であり、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。ゲル中の分散媒の含有量が10重量%未満であると、得られる繊維樹脂複合体の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。また、上限としては、通常99重量%以下であり、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましい。ゲル中の分散媒の含有量が99重量%を超えると、ゲルのハンドリング性が悪くなると共に、生産性が低下する。
また、セルロース繊維ゲル中における微細セルロース繊維の含有量は、通常90重量%以下であり、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。ゲル中における微細セルロース繊維の含有量が90重量%を超えると、得られる繊維樹脂複合体の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。また、下限としては、通常1重量%以上であり、3重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。ゲル中における微細セルロース繊維の含有量が1重量%未満であると、ゲルのハンドリング性が悪くなると共に、生産性が低下する。
セルロース繊維ゲル中における分散媒と微細セルロース繊維との重量比(微細セルロース繊維/分散媒)は、9/1〜1/99が好ましく、より好ましくは1/1〜3/97であり、さらに好ましくは3/7〜5/95である。この割合が9/1を超えると、得られる繊維樹脂複合体の光学的等方性および表面平滑性が損なわれる。この割合が1/99未満であると、セルロース繊維ゲルの形状を保てず、取扱いが非常に困難となる。
セルロース繊維ゲルに含まれる分散媒は、通常、本発明の微細セルロース繊維分散液の分散媒であり、一般的には水であるが、有機溶媒の1種または2種以上の混合分散媒であってもよい。また、水と有機溶媒との混合分散媒であってもよい。
セルロース繊維ゲルに含まれる分散媒は、上記分散媒含有量が上記範囲内である限り、必要に応じて他の種類の分散媒に置換することができる。つまり、ゲル製造工程後、必要に応じて、セルロース繊維ゲル中の分散媒(第一の分散媒)を、他の分散媒(第二の分散媒)に置換する分散媒置換工程を実施してもよい。
置換する方法としては、例えば、上記の濾過法により分散液中に含まれる所定量の分散媒を除去した後、アルコールなどの有機溶媒を加えることにより、アルコール等の有機溶媒が含まれるゲルを製造することができる。より具体的には、第一の分散媒が水で、第二の分散媒が有機溶媒である場合が挙げられる。
なお、上記第二の分散媒の種類は特に限定されず、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素などの1種または2種以上の有機溶媒が挙げられる。
セルロース繊維ゲルの形状は、特に限定されず、シートまたはフィルム状(例えば、厚み10μm以上10cm以下)、粒子状など適宜制御することができる。
[繊維樹脂複合体]
本発明の繊維樹脂複合体の製造方法では、上述のセルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体を樹脂と複合化することで本発明の繊維樹脂複合体を得ることができる。なお、本発明の繊維樹脂複合体の製造方法では、本発明の微細セルロース繊維分散液からセルロース繊維集合体を経ることなく直接樹脂と複合化して繊維樹脂複合体を製造することもできる。
本発明の繊維樹脂複合体は、その高透明性、低線膨張率、非着色性といった特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等に有用であり、また、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
<複合化方法>
以下、セルロース繊維集合体またはセルロース繊維分散液を樹脂と複合化して繊維樹脂複合体を製造する方法について説明する。
本発明の繊維樹脂複合体の製造方法では、上述の方法で得られたセルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル等のセルロース繊維集合体、或いは微細セルロース繊維分散液と、セルロース以外の高分子(樹脂)樹脂とを複合化させて繊維樹脂複合体を得る。
ここで樹脂とは、セルロース繊維シートと貼り合わせたり、空隙を埋めたり、造粒したセルロース繊維粒子を混練する高分子材料またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。
この樹脂として好適なものは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、「光硬化性樹脂」という場合がある)等から得られる少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体である。
なお、本発明において高分子材料の前駆体とは、いわゆるモノマー、オリゴマーであり、例えば、熱可塑性樹脂の項に重合または共重合成分として後述する各単量体など(以後、「熱可塑性樹脂前駆体」と称することがある)、光硬化性樹脂の項に後述する各前駆体などが挙げられる。
セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲル、或いは微細セルロース繊維分散液と樹脂との複合化の方法としては、次の(a)〜(j)の方法が挙げられる。尚、硬化性樹脂の重合硬化工程については<重合硬化工程>の項に詳述する。
(a) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合させる方法
(b) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化させる方法
(d) セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子またはセルロース繊維ゲルに熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートとセルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルとを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) セルロース繊維シートまたはセルロース繊維ゲルの片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化させる方法
(h) セルロース繊維粒子と熱可塑性樹脂を溶融混練した後、シート状や目的の形状に成形する方法
(i) 微細セルロース繊維分散液とモノマー溶液または分散液(熱可塑性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質または分散質を含む溶液または分散液)とを混合した後、溶媒除去、重合硬化させる方法。
(j) 微細セルロース繊維分散液と高分子溶液または分散液(熱可塑性樹脂溶液または分散液)を混合した後、溶媒を除去する方法。
中でもセルロース繊維シートに対しては(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の方法が好ましく、セルロース繊維粒子に対しては(h)の方法が好ましい。
<樹脂>
本発明において、セルロース繊維シート、セルロース繊維粒子、セルロース繊維ゲルまたは微細セルロース繊維分散液に複合化させる樹脂であるセルロース以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることで、透明性の高い繊維樹脂複合体を得ることができる。例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合、硬化時間が長いため、その過程で透明性が低下する場合がある。
本発明において、熱可塑性樹脂とは、加熱によって軟化して成形できるようになり、それを冷却すれば固化する特性(これには可逆性もある)を有する樹脂を示す。
また、本発明において、活性エネルギー線(光)硬化性樹脂とは、活性エネルギー線(光エネルギー)の作用で液状から固体に変化し(光硬化)、硬化する樹脂を示す。
本発明においては、以下の樹脂(高分子材料またはその前駆体)のうち、高分子材料、または前駆体の場合にはその重合体が、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子であるものが、透明性に優れた高耐久性の繊維樹脂複合体を得る上で好ましく、このうち非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。また、低吸水性の繊維樹脂複合体を得るためには、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アミノ基などの親水性の官能基が少ない高分子材料を選定することが好ましい。なお、高分子材料のTgは一般的な方法で求めることができる。例えば、DSC法による測定で求められる。高分子の結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができ、また、動的粘弾性測定により、弾性率と粘性率の比であるtanδから算出することもできる。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
光硬化性樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂の具体例は、特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
(その他の成分)
熱可塑性樹脂および活性エネルギー線硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した組成物(以下、硬化性組成物とよぶ)として用いられる。
<連鎖移動剤>
反応を均一に進行させる目的等で硬化性組成物は連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤としては、例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種または2種以上を用いるのが好ましい。硬化性組成物にメルカプタン化合物を含有させる場合、連鎖移動剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
<紫外線吸収剤>
着色防止目的で硬化性組成物は紫外線吸収剤を含んでもよい。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれるものであり、その紫外線吸収剤は1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有させる場合、紫外線吸収剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計100重量部に対して、通常0.01〜1重量部の割合で含有させる。
<セルロース以外の充填剤>
硬化性組成物は、セルロース繊維以外の充填剤を含んでもよい。充填剤としては、例えば、無機粒子や有機高分子などが挙げられる。具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、ゼオネックス(日本ゼオン社)やアートン(JSR社)などの透明シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートやポリメチルメタアクリレートなどの汎用熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。中でも、ナノサイズのシリカ粒子を用いると透明性を維持することができ好適である。また、紫外線硬化性モノマーと構造の似たポリマーを用いると高濃度までポリマーを溶解させることが可能であり、好適である。
<シランカップリング剤>
硬化性組成物には、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−((メタ)アクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、これらは分子中に(メタ)アクリル基を有しており、他のモノマーと共重合することができるので好ましい。硬化性組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%となるように含有させる。この配合量が少な過ぎると、これを含有させる効果が十分に得られず、また、多過ぎると、硬化物の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
<重合硬化工程>
本発明の繊維樹脂複合体を形成するための硬化性組成物は、公知の方法で重合硬化させることができる。
硬化方法としては、放射線硬化等が挙げられる。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が250〜400nmの紫外線である。
具体的には、予め硬化性組成物に紫外線等の放射線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加しておき、放射線を照射して重合させる方法(以下「光重合」という場合がある)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、通常、光ラジカル発生剤が用いられる。光ラジカル発生剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の配合量は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計を100重量部としたとき、0.001重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上である。その上限は、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下である。光重合開始剤の配合量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化する。例えば、開始剤の量を5重量部とした場合、開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が十分に進行しないおそれがある。
また、硬化性組成物は、熱重合開始剤を同時に含んでもよい。熱重合開始剤として例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等が挙げられる。具体的にはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、これらの熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上であることがよい。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化に際して照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全となるため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成および光重合開始剤の種類、量に合わせて、波長300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1J/cm以上200J/cm以下の範囲で照射する。更に好ましくは1J/cm以上20J/cmの範囲で照射する。放射線を複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、無電極水銀灯ランプ等を挙げることができる。
重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に硬化性組成物を30℃以上300℃以下の範囲で加熱して硬化を行う。この場合、硬化性組成物には、重合を完結するために熱重合開始剤を添加してもよいが、大量に添加すると硬化物の複屈折の増大と色相の悪化をもたらすので、熱重合開始剤は、硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して通常0.1重量%以上2重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上1重量%以下となるように用いる。
<積層構造体>
本発明の繊維樹脂複合体の製造方法により製造される繊維樹脂複合体は、前述のセルロース繊維シートの層と、前述したセルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、前述のセルロース繊維シートの層と、本発明の繊維樹脂複合体の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
また、前述のセルロース繊維シートないし板状の本発明の繊維樹脂複合体を複数枚重ねて積層体とすることもできる。その際に、本発明の繊維樹脂複合体とセルロース繊維を含まない樹脂シートとを積層してもよい。この場合、繊維樹脂複合体同士や樹脂シートと繊維樹脂複合体を接着させるために、接着剤を塗布したり接着シートを介在させてもよい。また、積層体に加熱プレス処理を加えて一体化することもできる。
<無機膜>
本発明の繊維樹脂複合体は、その用途に応じて、繊維樹脂複合体層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
ここで用いられる無機膜は、繊維樹脂複合体の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
<繊維樹脂複合体の特性ないし物性>
以下に本発明の繊維樹脂複合体の好適な特性ないし物性について説明する。
(セルロース含有量)
本発明の繊維樹脂複合体中のセルロースの含有量(本発明の微細セルロース繊維の含有量)は通常0.1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外の樹脂の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外の樹脂の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外の樹脂の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが1重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外の樹脂が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外の樹脂が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外の樹脂の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
繊維樹脂複合体中のセルロースおよびセルロース以外の樹脂の含有量は、例えば、複合化前のセルロース繊維の重量と複合化後の繊維樹脂複合体の重量より求めることができる。また、樹脂が可溶な溶媒に繊維樹脂複合体を浸漬して樹脂のみを取り除き、残った微細セルロース繊維の重量から求めることもできる。その他、樹脂である樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
<用途>
本発明の繊維樹脂複合体は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色でヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。特に、本発明の繊維樹脂複合体は加熱処理を施しても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐え得るものである。
また、本発明の繊維樹脂複合体は、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などにも好適に用いることができる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層して用いてもよい。
また、本発明の繊維樹脂複合体は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造体としても用いることができる。特に、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他、工業用資材等として好適に用いられる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[製造例1]
2−プロパノール250gに、セルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製、固形分30重量%)32.4gを添加し、次いで1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.83gと、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドの80重量%水溶液(カチオマスターG(登録商標)、四日市合成社製)4.86gを添加し、3時間室温で撹拌した後、50℃で90分間反応させた。反応後、濾別したケーキを脱塩水600mLに分散させ、10重量%酢酸水溶液で中和した後、再度濾別した。次いで濾液の電気伝導度が50μS/cm未満になるまで脱塩水で洗浄し、カチオン性基を導入したカチオン化セルロース繊維原料を得た。
得られたカチオン化セルロース繊維原料のカチオン性基の導入量を、窒素測定装置(TN−10、三菱化学アナリテック社製)を用いて、JIS−K2609に準じて測定したところ、0.50mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維原料を用い、固形分濃度0.5重量%に調整した水分散液を調製した。
次に、この水分散液を、高速回転式分散機(クレアミックス−2.2S、エム・テクニック社製)を用いて、20000rpmで18時間、カチオン化セルロース繊維原料の解繊処理を行った。
更に、12時間解繊処理した後の分散液を、脱塩水を用いて固形分0.2重量%に希釈して均一に分散させ、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用いて12000Gで10分間の条件で遠心分離処理して上澄み液を得た(微細セルロース繊維の含有量100%)。
高速回転式分散機による解繊処理中に経時的に解繊液中の微細セルロース繊維含有量を、以下の(1)〜(8)の方法で測定、算出した。また、用いた高速回転式分散機及び遠心分離機の使用電力量から、各解繊液のサンプリング時までに要した投入エネルギー量(セルロース1gの解繊処理に要したエネルギー量)を求め、その結果を表1に示した。
(1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度(セルロース繊維濃度)0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
(2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
(3) 遠沈管に(1)の分散液を秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
(4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
(5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
(6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
(7) 遠沈管の質量はWとする。
(8) 以下の式により微細セルロース繊維の含有量を算出する。
Figure 2015086266
Figure 2015086266
以下において、高速回転式分散機による解繊処理を3時間行って得られた解繊液を「解繊液I」と称し、同6時間行って得られた解繊液を「解繊液II」と称し、同18時間行って得られた解繊液を「解繊液III」と称す。また、高速回転式分散機による解繊処理を12時間行った後遠心分離処理して得られた上澄み液を「解繊液IV」と称す。
[実施例1]
ポリ容器1000mLに、ポリブチレン・サクシネート・アジペート(PBSA)(三菱化学社製 GS Pla 商品名「AD92W」)をエマルジョン化した分散体(AD92Wの水分散体、固形分濃度:40重量%、固形分中のAD92W割合:95重量%)と、解繊液III(微細セルロース繊維含有量:91%)を入れて、セルロース濃度が0.12重量%(セルロース固形分量0.5g)になるように脱塩水で調製し、高速回転式ホモジナイザー(IKA製バッチ式ホモジナイザー)で11000rpmにて15分間処理した。
処理後の液を、バットに入れ、110℃のオーブン中にて乾燥固化し、繊維樹脂複合体を作製した。
得られた繊維樹脂複合体について、以下の方法でプレス成形を行い、成形品の評価を行った。
繊維樹脂複合体をハサミで細かく切り取り、12cm×12cm×20μmのスペーサーを用いて3.5g仕込みでプレス成形を行なった。
プレス機の温度は200℃であり、繊維樹脂複合体の入ったスペーサーをプレス機内で5分間予熱させ、圧力10kGを40回、圧力20kGを20回、圧力50kGを10回、圧力100kGを4回で加圧処理し、最後に圧力150kGの状態でスペーサーをプレス機内で5分間静止し、5分後にプレス機からスペーサーを取り出し、冷却器に移して圧力150kGで1分間静止した。
その後、以下の条件で、引張試験(4点)を行ない、最大点応力と弾性率を測定し、結果を表2に示した。表2には、用いた解繊液の微細セルロース繊維含有量と投入エネルギー量を併記した。
・JIS6251−3ダンベル(L=10cm)
・つかみしろ1.5cm、チャック7cm、標線間2.5cm
・引張速度50mm/min
[比較例1]
実施例1で用いたものと同じポリブチレン・サクシネート・アジペート(PBSA)をエマルジョン化した分散体(AD92W分散体)をバットに入れ、110℃のオーブン中にて乾燥固化し、樹脂成形体を作製し、同様にプレス成形及び評価を行って、結果を表2に示した。
[比較例2]
解繊液IIIの代りに解繊液I(微細セルロース繊維含有量:58%)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合体を作製し、同様にプレス成形及び評価を行って、結果を表2に示した。
[比較例3]
解繊液IIIの代りに解繊液II(微細セルロース繊維含有量:74%)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合体を作製し、同様にプレス成形及び評価を行って、結果を表2に示した。
[参考例1]
解繊液IIIの代わりに解繊液IVを用いた以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合体を作製し、同様にプレス成形及び評価を行って、結果を表2に示した。
Figure 2015086266
表2より次のことが分かる。
実施例1の成形品の最大点応力の値は15.2MPa、弾性率は700.0MPaであり、参考例1の成形品の最大点応力値は15.1MPa、弾性率は708.2MPaである。即ち、微細セルロース繊維含有量91%の微細セルロース繊維分散液を用いた実施例1の繊維樹脂複合体は、遠心分離処理した微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液を用いた参考例1の繊維樹脂複合体と同等の物性を示した。従って、遠心分離処理した微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液を調製せずとも、本発明で特定する程度の微細セルロース繊維含有量の微細セルロース繊維分散液を用いれば、十分に高い効果を示す繊維樹脂複合体を得られることが分かる。
投入エネルギー量を比較すると、参考例1の3040wh/gに対して実施例1は1600wh/gであり、本発明によれば、高度な解繊処理で処理コストを高騰させることなく、約1/2の投入エネルギー量で性能面では同等の繊維樹脂複合体を得ることができることが分かる。
微細セルロース繊維含有量が58%又は74%の微細セルロース繊維分散液を用いた比較例2,3では高い物性を示さなかった。
このことから、微細セルロース繊維含有量80%以上の微細セルロース繊維分散液であれば、微細セルロース繊維含有量100%の微細セルロース繊維分散液とほぼ同等の繊維樹脂複合体を得ることができ、微細セルロース繊維含有量80%に明確な臨界性があることが分かる。

Claims (1)

  1. セルロース繊維を含有する分散液中でセルロース繊維を解繊処理して微細セルロース繊維を得た後、該微細セルロース繊維と樹脂とを複合化する繊維樹脂複合体の製造方法であって、
    下記の(1)〜(8)の方法で測定、算出される微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の含有量が80%以上となるよう解繊処理し、得られた微細セルロース繊維の含有量が80%以上である微細セルロース繊維分散液を用いて、微細セルロース繊維と樹脂とを複合化することを特徴とする、繊維樹脂複合体の製造方法。
    (1) 解繊処理後の微細セルロース繊維分散液を固形分濃度0.2重量%に希釈して均一に分散させる。
    (2) 希釈した微細セルロース繊維分散液をアルミ皿にとり、105℃で2時間以上乾燥させて秤量することにより、(1)の分散液の固形分濃度(C)を求める。
    (3) 遠沈管に(1)の分散液を秤り取り、遠心分離機(日立工機社製CR23)を用い、12000Gで10分間遠心分離処理する。
    (4) 遠沈管ごと秤量する(W)。
    (5) 沈殿物が入らないように注意して上澄みを取り分け、(2)と同様に固形分濃度を求める(C)。
    (6) 沈殿物が残った遠沈管を秤量する(W)。
    (7) 遠沈管の質量はWとする。
    (8) 以下の式により微細セルロース繊維の含有量を算出する。
    Figure 2015086266
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JP2019206153A (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 旭化成株式会社 樹脂を含む多層構造体

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