JPWO2013058244A1 - 化学修飾セルロース不織布の製造方法および化学修飾セルロース不織布、並びに、これを用いたセルロース繊維樹脂複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、セルロースの化学修飾を工業的に有利な方法で行って、複合材料とした際の着色や強度低下の問題のない化学修飾セルロース不織布を生産性よく製造する方法を提供することを目的とする。本発明は、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する化学修飾セルロース不織布の製造方法である。この製造方法により、反応時間が短縮し、触媒、溶媒および希釈剤などの余分な薬剤を使用せずに生産性よく化学修飾セルロース不織布を製造することができる。
Description
本発明は、化学修飾されたセルロース不織布の製造方法および該化学修飾セルロース不織布を用いたセルロース繊維複合材料に関するものであり、より詳細には、数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維の不織布に対して反応性ガスを接触させることにより、このセルロース不織布のセルロースを気相中で化学修飾する技術に関する。また、該化学修飾セルロース不織布を用いて、セルロース繊維複合材料とした際の、高強度、高透明、非着色性、低線膨張係数化を実現する技術に関する。
近年、バクテリアセルロースをはじめとするセルロースの微細繊維を用いた複合材料が盛んに研究されている。セルロースは伸びきり鎖結晶を有することから、低線膨張率、高弾性率、高強度を発現することが知られている。また、微細化することにより太さが数nmから200nmの範囲にある微小かつ高結晶性のセルロースナノファイバーが得られ、その繊維の隙間をマトリックス材料で埋めることで、高い透明性と低線膨張率を有する複合材料が得られることが報告されている。
しかしながら、セルロースはこのような優れた特性をもつ反面、加熱によって重合度が低下し、それに伴う着色や寸法変化が生じたり、耐水・耐湿性が他の材料よりも劣ったりするといった欠点を有する。このようなセルロースの欠点を補うため、セルロースを変性または改質する検討が試みられている。
例えば、特許文献1では、セルロース不織布を酢酸/無水酢酸溶液中に浸漬し、室温でアセチル化反応させてセルロースを化学修飾する方法が開示されている。しかしながら、この手法でセルロース不織布を化学修飾すると、化学修飾の反応率が非常に低く、この不織布を用いて得られる複合材料は加熱した際に着色してしまうという問題があった。
また、特許文献2には、セルロース不織布を無水酢酸溶液中に浸漬し、110℃で7時間アセチル化反応させて所望の化学修飾率のセルロース不織布を得ており、それを複合材料にした際の、高透明性、非着色性を実現している。しかしながら、この手法では、化学修飾する際に、セルロース不織布を浸漬させるために大量の薬剤が必要であることや、反応後に余剰の薬剤を除去、洗浄する工程が必要となるという問題がある。また、反応時間が長いことから、反応中にセルロースの重合度が低下し、複合材料にした際に強度が低下するといった問題点もあった。
従来のセルロース不織布の化学修飾方法は、反応時間が長い、大量の薬剤が必要、工程が複雑である等の理由により、生産性が悪く、商業的な規模で実施することが困難であったり、また、得られたセルロース不織布を用いて製造されるセルロース繊維複合材料が、加熱した際に着色してしまったりという問題や、セルロースの重合度の低下で複合材料の強度が低下するという問題があった。
本発明は、上記従来の実状を鑑みて、セルロースの化学修飾を、工業的に有利な方法で行って、複合材料とした際の着色や強度低下の問題のない化学修飾セルロース不織布を生産性よく製造する方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、該製造方法によって得られた化学修飾セルロース不織布を用いて、高強度、高透明、非着色性、低線膨張係数のセルロース繊維複合材料を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、該製造方法によって得られた化学修飾セルロース不織布を用いて、高強度、高透明、非着色性、低線膨張係数のセルロース繊維複合材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、反応性ガスを用いてセルロース不織布のセルロースを気相中で化学修飾することにより、反応時間を短縮することができ、また、触媒、溶媒および希釈剤などの余分な薬剤を使用せずに、生産性よく化学修飾セルロース不織布を製造することができる上に、さらにセルロースの重合度の低下が抑えられることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾することを特徴とする化学修飾セルロース不織布の製造方法と、該製造方法により製造された化学修飾セルロース不織布と樹脂などのマトリックス材料とを含有するセルロース繊維樹脂複合材料に存する。
本発明は、下記(1)〜(9)を特徴としている。
(1)化学修飾セルロース不織布の製造方法であって、
数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布を用い、
反応性ガスを用いて、前記セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する、製造方法。
(2)前記反応性ガスは、気体状態の酸または酸無水物である、上記(1)に記載のセルロース不織布の製造方法。
(3)ロール状のセルロース不織布に対し、前記反応性ガスを接触させる、上記(1)または(2)に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(4)前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応系内の温度が250℃以下である、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(5)前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応時間が3時間以下である、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(6)得られる化学修飾セルロース不織布の化学修飾率が5〜65mol%である、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、化学修飾セルロース不織布。
(8)上記(7)に記載の化学修飾セルロース不織布と樹脂とを含有する、セルロース繊維樹脂複合材料。
(9)反応性ガスを用いて、数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布中のセルロースを化学修飾した後、
化学修飾されたセルロース不織布と樹脂とを複合化させる、セルロース繊維樹脂複合材料の製造方法。
(1)化学修飾セルロース不織布の製造方法であって、
数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布を用い、
反応性ガスを用いて、前記セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する、製造方法。
(2)前記反応性ガスは、気体状態の酸または酸無水物である、上記(1)に記載のセルロース不織布の製造方法。
(3)ロール状のセルロース不織布に対し、前記反応性ガスを接触させる、上記(1)または(2)に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(4)前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応系内の温度が250℃以下である、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(5)前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応時間が3時間以下である、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(6)得られる化学修飾セルロース不織布の化学修飾率が5〜65mol%である、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、化学修飾セルロース不織布。
(8)上記(7)に記載の化学修飾セルロース不織布と樹脂とを含有する、セルロース繊維樹脂複合材料。
(9)反応性ガスを用いて、数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布中のセルロースを化学修飾した後、
化学修飾されたセルロース不織布と樹脂とを複合化させる、セルロース繊維樹脂複合材料の製造方法。
本発明によれば、セルロース不織布の化学修飾において、従来法と比べて反応時間を短縮することができ、また、余分な薬剤量を削減できると共に、洗浄工程などのプロセスの簡略化が可能になり、生産性よく化学修飾セルロース不織布を製造することができる。また、反応時間が短縮できることから、化学修飾反応中のセルロースの重合度の低下を抑制し、複合材料にした際の強度低下を抑制することができる。さらに、気相中で反応を行うことから、液相で反応させるよりも反応溶剤の拡散が速くなり、反応の均一性が向上し、より均一な化学修飾セルロース不織布を提供することが可能となる。
このように、本発明によれば、反応性ガスと接触させることにより、工程が簡略化されるのみならず、反応効率の向上により反応時間が短縮され、反応時間の短縮でセルロースの重合度の低下及びそれによる強度低下が抑制され、また、均一に化学修飾された化学修飾セルロース不織布を提供することができ、この化学修飾セルロース不織布を用いて、高強度、高透明、非着色性、低線膨張係数のセルロース繊維複合材料を提供することができる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
〔セルロース不織布の製造方法〕
本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法は、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾することを特徴とする。
本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法は、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾することを特徴とする。
[セルロース不織布]
まず、本発明において、化学修飾を行うセルロース不織布について説明する。
まず、本発明において、化学修飾を行うセルロース不織布について説明する。
本発明におけるセルロース不織布は、微細なセルロース繊維をシート状としたものであり、通常は、セルロース繊維を含有する分散液を濾過や適当な基材に塗布することによって製造される、セルロース繊維のシート状物である。
{セルロース繊維}
最初に、セルロース不織布に用いられるセルロース繊維について説明する。
セルロース繊維としては、数平均繊維径が2〜400nmであれば、以下に詳述するセルロース含有物、セルロース含有物を精製したセルロース繊維原料、セルロース繊維原料を解繊した微細セルロース繊維のいずれでもよい。下記詳述する用途に適用させるためには、微細セルロース繊維をセルロース不織布に用いることが好ましい。
最初に、セルロース不織布に用いられるセルロース繊維について説明する。
セルロース繊維としては、数平均繊維径が2〜400nmであれば、以下に詳述するセルロース含有物、セルロース含有物を精製したセルロース繊維原料、セルロース繊維原料を解繊した微細セルロース繊維のいずれでもよい。下記詳述する用途に適用させるためには、微細セルロース繊維をセルロース不織布に用いることが好ましい。
セルロース繊維としては、セルロースそのもののみを使用してもよいし、不純物を一部含むセルロースを使用してもよい。
<セルロース含有物>
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース繊維が好ましい。
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース繊維が好ましい。
バクテリアセルロースは微細な繊維径のものが得やすい点で好ましい。また、コットンも微細な繊維径なものが得やすい点で好ましく、さらに原料が得やすい点で好ましい。
さらには針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源であることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。木質を本発明のセルロース繊維として使用する場合は、木材チップや木粉などの状態に破砕して用いることが好ましい。
さらには針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源であることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。木質を本発明のセルロース繊維として使用する場合は、木材チップや木粉などの状態に破砕して用いることが好ましい。
<セルロース繊維原料>
セルロース繊維原料は上記セルロース含有物を通常の方法で精製処理して得られる。
例えば、上記セルロース含有物をベンゼン−エタノールや炭酸ナトリウム水溶液で脱脂した後、亜塩素酸塩で脱リグニン処理を行い(ワイズ法)、アルカリで脱ヘミセルロース処理をすることにより得られる。また、ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)なども精製方法として利用される。また、適宜、更に漂白処理等を行ってもよい。この破砕は、後述する精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース繊維原料は上記セルロース含有物を通常の方法で精製処理して得られる。
例えば、上記セルロース含有物をベンゼン−エタノールや炭酸ナトリウム水溶液で脱脂した後、亜塩素酸塩で脱リグニン処理を行い(ワイズ法)、アルカリで脱ヘミセルロース処理をすることにより得られる。また、ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)なども精製方法として利用される。また、適宜、更に漂白処理等を行ってもよい。この破砕は、後述する精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
精製処理に用いる分散媒としては、一般的に水が用いられるが、酸または塩基、その他の処理剤の水溶液であってもよく、この場合には、最終的に水で洗浄処理してもよい。
セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の精製度合いは特に定めはないが、油脂、リグニンが少なく、セルロース成分の含有率が高い方がセルロース繊維原料の着色が少なく好ましい。また、セルロース繊維原料は、一般的な化学パルプの製造方法、例えばクラフトパルプ、サリファイドパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法によって得られるものであってもよい。
すなわち、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどを用いてもよい。
すなわち、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどを用いてもよい。
セルロース繊維原料中のセルロース成分の含有率は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
セルロース繊維原料のセルロース成分は、結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分に分類できる。結晶性のα−セルロース含有率が多い方が、セルロース繊維複合材料とした際に低線膨張係数、高弾性率、高強度の効果が得られやすいため好ましい。このため、セルロース繊維原料のα−セルロース含有率は好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上である。
セルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではないが、通常、数平均繊維径として1μmから1mmである。
なお、一般的な精製を経たセルロース繊維原料の数平均繊維径は通常50μm程度である。
なお、一般的な精製を経たセルロース繊維原料の数平均繊維径は通常50μm程度である。
<微細セルロース繊維>
微細セルロース繊維は、通常、セルロース繊維原料を解繊処理することにより得られるものであり、その数平均繊維径は400nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、80nm以下であることが特に好ましく、50nm以下であることが最も好ましく、さらには30nm以下であることが好ましい。微細セルロース繊維の数平均繊維径は、小さい程好ましいが、低線膨張係数、高弾性率を発現するためには、セルロースの結晶性を維持することが重要であり、通常2nm以上、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上である。
微細セルロース繊維は、通常、セルロース繊維原料を解繊処理することにより得られるものであり、その数平均繊維径は400nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、80nm以下であることが特に好ましく、50nm以下であることが最も好ましく、さらには30nm以下であることが好ましい。微細セルロース繊維の数平均繊維径は、小さい程好ましいが、低線膨張係数、高弾性率を発現するためには、セルロースの結晶性を維持することが重要であり、通常2nm以上、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上である。
尚、微細セルロース繊維の繊維径は、以下詳述する微細セルロース繊維分散液中の分散媒を乾燥除去して得られるセルロース不織布を、SEMやTEM等で観察することにより計測して求めることができる。具体的には、通常、SEMやTEM等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点を測定して、平均した値を数平均繊維径とする。
セルロース繊維原料の解繊処理は通常セルロース繊維原料の分散液(セルロース繊維原料分散液)中で行う。該分散液中において、セルロース繊維原料としての固形分濃度が0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下のセルロース繊維原料分散液であることが好ましい。この解繊工程に供するセルロース繊維原料分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するセルロース量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するセルロース繊維原料分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整することが好ましい。
なお、分散媒としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用することができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノ−t−ブチルエーテル等のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、その他水溶性の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。分散媒は、有機溶媒と水との混合液又は水であることが好ましく、特に水であることが好ましい。
セルロース繊維原料の解繊処理の具体的な方法としては、特に制限はないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース繊維原料分散液に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与えセルロース繊維原料を解繊する方法、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、セルロース繊維原料分散液を通して剪断力を働かせて解繊する方法(高速回転式ホモジナイザー法)や、高圧から急に減圧することによって、セルロース繊維間に剪断力を発生させて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法)、「マスコマイザーX」のような対向衝突型の分散機(増幸産業)等を用いる方法などが挙げられる。特に、高速回転式ホモジナイザーや高圧ホモジナイザー処理は、解繊の効率が向上する。
なお、上記のような処理の後に、超音波処理を組み合わせた微細化処理を行ってもよい。
この場合、超音波の周波数は15kHz〜1MHz、好ましくは20kHz〜500kHz、更に好ましくは20kHz〜100kHzである。照射する超音波の周波数が小さ過ぎると後述のキャビテーションが発生しにくく、大き過ぎると発生したキャビテーションが物理的な作用を発生させるまでに大きく成長することなく消滅してしまうため、微細化効果が得られない。また、超音波の出力としては、実行出力密度として1W/cm2以上であり、好ましくは10W/cm2以上、更に好ましくは20W/cm2以上である。超音波の出力が小さ過ぎると微細化効率が低下して、十分な微細化を行うために長時間の照射が必要であり、実用的ではない。なお、超音波の実行出力密度の上限は振動子やホーン等の耐久性の点から500W/cm2以下である。
超音波の照射方法には特に制限はなく、各種の方法が利用できる。例えば、超音波振動子の振動を伝えるホーンを直接上記のセルロース繊維原料分散液に挿入することにより、直接セルロース繊維を微細化する方法や、セルロース繊維原料分散液を入れた容器の床や壁の一部に超音波振動子を設置してセルロース繊維を微細化する方法や、超音波振動子を装着した容器に水等の液体を入れ、その中にセルロース繊維原料分散液を入れた容器を漬すことにより、水等の液体を介して間接的に超音波振動をセルロース繊維原料分散液に与えて微細化する方法が採用できる。
また、超音波は連続的に照射してもよく、所定の間隔で間欠的に照射してもよい。
なお、解繊処理した後は、遠心分離を用いて微細セルロース繊維分散液中の解繊不良のセルロース繊維を分離、除去することが好ましい。遠心分離後することで、より均一で細かい微細セルロース繊維分散液の上澄み液が得られる。遠心分離の条件については、用いる微細化処理によるので特に限定されるものではないが、例えば3000G以上、好ましくは10000G以上の遠心力をかけることが好ましい。また、時間は例えば1分以上、好ましくは5分以上かけることが好ましい。遠心力が小さすぎたり、時間が短すぎたりすると、解繊不良のセルロース繊維の分離・除去が不十分になり、好ましくない。
また、遠心分離を行う際、微細セルロース繊維分散液の粘度が高いと、分離効率が落ちるため好ましくない。微細セルロース繊維分散液の粘度としては、25℃において測定されるずり速度10s−1における粘度が500mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下であることが好ましい。
{セルロース不織布の製造方法}
セルロース不織布は、通常、上述のようにして得られた微細セルロース繊維を用いて製造される。セルロース不織布は、解繊前のセルロース繊維原料を用いるよりも、微細セルロース繊維を用いて製造したものの方が、高透明性、低線膨張係数、高弾性率のものが得られる。具体的には、セルロース不織布は、前述の解繊処理を施すことにより得られる微細セルロース繊維を含む分散液(微細セルロース繊維分散液)を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することによりシート状物として製造される。
セルロース不織布は、通常、上述のようにして得られた微細セルロース繊維を用いて製造される。セルロース不織布は、解繊前のセルロース繊維原料を用いるよりも、微細セルロース繊維を用いて製造したものの方が、高透明性、低線膨張係数、高弾性率のものが得られる。具体的には、セルロース不織布は、前述の解繊処理を施すことにより得られる微細セルロース繊維を含む分散液(微細セルロース繊維分散液)を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することによりシート状物として製造される。
セルロース不織布を、微細セルロース繊維分散液を濾過することによって製造する場合、濾過に供される分散液の微細セルロース繊維濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。微細セルロース繊維の濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかるため好ましくない。また、微細セルロース繊維の濃度は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下、特に好ましくは1.2重量%以下、最も好ましくは1.0重量%以下である。微細セルロース繊維の濃度が高すぎると均一なシートが得られないため好ましくない。
微細セルロース繊維分散液を濾過する場合、濾過時の濾布としては、微細セルロース繊維は通過せずかつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。より具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。また、天然繊維であるセルロースからなる紙基材をろ過材として用いることができる。紙基材は幅広や長尺物のものが簡単に製造できる上に、原料であるパルプの種類やパルプの叩解度を変えることなどで、紙の通水量を制御できるため非常に好ましい。また耐水化剤や疎水化剤などで容易に基剤に耐水性を付与することも可能である。
上記濾過によって得られたセルロース不織布は、その後、乾燥を行うが、場合によっては乾燥を行わずに次の工程に進んでも構わない。
すなわち、例えば、加熱処理した微細セルロース繊維分散液を濾過した場合、乾燥工程を経ずそのまま次工程に供することもできる。
また、微細セルロース繊維分散液を濾過して、得られたセルロース不織布を加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
しかし、空隙率、膜厚の制御、不織布の構造をより強固にする意味でも、乾燥を行った方が好ましい。この乾燥は、送風乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよく、また、加圧乾燥、凍結乾燥であってもよい。
また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎるとセルロース不織布が着色したり、セルロースが分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性がり、圧力が高すぎるとセルロース不織布がつぶれたりセルロースが分解したりする可能性がある。
また、セルロース不織布を、微細セルロース繊維分散液を適当な基材に塗布することによりシート状物として製造してもよい。この場合、通常、上記分散液を所定の基板上に塗布して、分散媒を特定量まで蒸発させて除去する。塗布の方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スリットコート法などが挙げられる。特に、均一な膜厚の薄膜が得られる点で、スピンコート法が好ましい。
なお、基板としては、特に限定されず、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。
すなわち、例えば、加熱処理した微細セルロース繊維分散液を濾過した場合、乾燥工程を経ずそのまま次工程に供することもできる。
また、微細セルロース繊維分散液を濾過して、得られたセルロース不織布を加熱処理する場合にも、乾燥工程を経ずに行うこともできる。
しかし、空隙率、膜厚の制御、不織布の構造をより強固にする意味でも、乾燥を行った方が好ましい。この乾燥は、送風乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよく、また、加圧乾燥、凍結乾燥であってもよい。
また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎるとセルロース不織布が着色したり、セルロースが分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性がり、圧力が高すぎるとセルロース不織布がつぶれたりセルロースが分解したりする可能性がある。
また、セルロース不織布を、微細セルロース繊維分散液を適当な基材に塗布することによりシート状物として製造してもよい。この場合、通常、上記分散液を所定の基板上に塗布して、分散媒を特定量まで蒸発させて除去する。塗布の方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スリットコート法などが挙げられる。特に、均一な膜厚の薄膜が得られる点で、スピンコート法が好ましい。
なお、基板としては、特に限定されず、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。
{セルロース不織布の物性}
<空隙率>
セルロース不織布はその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。
<空隙率>
セルロース不織布はその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。
セルロース不織布に樹脂を含浸させてセルロース繊維複合材料を得る場合には、セルロース不織布の空隙率が小さいと樹脂が含浸されにくくなるため、ある程度の空隙率があることが好ましい。この場合の空隙率は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上である。ただし、空隙率が過度に大きいとセルロース繊維複合材料としたときに線膨張係数が大きくなるので好ましくないことから、セルロース不織布の空隙率は60体積%以下であることが好ましい。
ここでいうセルロース不織布の空隙率は簡易的に下記式により求めることができる。
空隙率(体積%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aはセルロース不織布の面積(cm2)、tは厚み(cm)、Bはセルロース不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(PEACOK製のPDN−20)を用いて、セルロース不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
空隙率(体積%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aはセルロース不織布の面積(cm2)、tは厚み(cm)、Bはセルロース不織布の重量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cm3と仮定する。セルロース不織布の膜厚は、膜厚計(PEACOK製のPDN−20)を用いて、セルロース不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
空隙率の大きなセルロース不織布を得る方法としては、濾過による製膜工程において、セルロース不織布中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。又は、微細セルロース繊維分散液を濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
ここで用いるアルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノ−t−ブチルエーテル等のアルコール類の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、四塩化炭素等の1種又は2種以上の有機溶媒が挙げられる。非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
また、空隙率を制御する方法として、上記のアルコール等より沸点の高い溶媒を混合し、その溶媒の沸点より低い温度で乾燥させる方法が挙げられる。この場合は、必要に応じて、乾燥後に残っている高い沸点の溶媒を、他の溶媒に浸漬して置換させた後に乾燥させる。
<膜厚>
セルロース不織布の厚みには特に限定はないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは250μm以下である。セルロース不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限以上であることが好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限以下であることが好ましい。なお、前述の方法でセルロース不織布の空隙率を制御することで膜厚も制御することもできる。
セルロース不織布の厚みには特に限定はないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは250μm以下である。セルロース不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限以上であることが好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限以下であることが好ましい。なお、前述の方法でセルロース不織布の空隙率を制御することで膜厚も制御することもできる。
<結晶構造>
セルロース不織布中のセルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造のものより結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数のセルロース不織布となり、好ましい。
セルロース不織布中のセルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造のものより結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数のセルロース不織布となり、好ましい。
セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
<数平均繊維径>
セルロース不織布中のセルロース繊維の繊維径は、数平均繊維径で400nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、80nm以下であることが特に好ましく、50nm以下であることが最も好ましく、さらには30nm以下であることが好ましい。通常2nm以上、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上である。上限を超えると、セルロース繊維複合材料にした際に透明性が低下するので好ましくない。
この数平均繊維径は、前述の如く、通常、SEMやTEM等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点を測定し、測定値を平均した値で求められる。
セルロース不織布中のセルロース繊維の繊維径は、数平均繊維径で400nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、80nm以下であることが特に好ましく、50nm以下であることが最も好ましく、さらには30nm以下であることが好ましい。通常2nm以上、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上である。上限を超えると、セルロース繊維複合材料にした際に透明性が低下するので好ましくない。
この数平均繊維径は、前述の如く、通常、SEMやTEM等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点を測定し、測定値を平均した値で求められる。
<粘度平均重合度(重合度)>
一般的に、セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は大きいほど高弾性率、高強度のセルロース不織布となり、強度物性の点で好ましい。セルロース繊維の重合度は用いる原料によるが、300以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上である。
セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、後述の実施例の項に示されるように、TAPPI T230に記載の粘度法により測定して、算出することができる。
一般的に、セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は大きいほど高弾性率、高強度のセルロース不織布となり、強度物性の点で好ましい。セルロース繊維の重合度は用いる原料によるが、300以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上である。
セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、後述の実施例の項に示されるように、TAPPI T230に記載の粘度法により測定して、算出することができる。
[化学修飾セルロース不織布の製造方法]
本発明においては、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する。
本発明においては、反応性ガスを用いて、セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する。
<反応性ガス>
本発明における反応性ガスとは、セルロース不織布中の水酸基と反応して化学修飾させる気体状態の化学修飾剤である。
したがって、化学修飾させる反応温度において気体状態であれば常温において固体、液体、気体のいずれであってもよい。
本発明における反応性ガスとは、セルロース不織布中の水酸基と反応して化学修飾させる気体状態の化学修飾剤である。
したがって、化学修飾させる反応温度において気体状態であれば常温において固体、液体、気体のいずれであってもよい。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)などの環状エーテルなどが挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸、無水安息香酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フマル酸、無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド、塩化ベンジル等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタンが挙げられる。
これらの中では、酸または酸無水物が好ましく、特に反応性と工業的に適用しやすい点で、無水酢酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水マレイン酸等の酸無水物が好ましく用いられる。
これらの化学修飾剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して反応に供してもよいし、必要に応じて溶媒などで希釈してもよい。
<前処理>
セルロース不織布の化学修飾に先立ち、必要に応じてセルロース不織布を予め前処理した後に反応性ガスを用いて化学修飾を行うこともできる。前処理の方法としては、触媒や溶媒などに含浸、浸漬させる方法や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ中に浸漬し、セルロースの水酸基を金属塩にする方法などが挙げられる。
セルロース不織布の化学修飾に先立ち、必要に応じてセルロース不織布を予め前処理した後に反応性ガスを用いて化学修飾を行うこともできる。前処理の方法としては、触媒や溶媒などに含浸、浸漬させる方法や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ中に浸漬し、セルロースの水酸基を金属塩にする方法などが挙げられる。
<処理条件>
化学修飾の際の反応温度は、セルロースの熱分解温度の点から、250℃以下であることが好ましい。反応温度が高すぎると黄変や重合度の低下などが懸念され、低すぎると反応速度が低下する恐れがある。
特に、200℃以下であることが好ましく、170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、通常10℃以上、好ましくは80℃以上である。
本発明のように、数平均繊維径の小さい繊維に対しては、反応温度を制御することが所望の化学修飾率を得て、なおかつセルロースの重合度低下を抑えることにおいて非常に重要である。
ここで反応温度とは、反応系内の温度である。
化学修飾の際の反応温度は、セルロースの熱分解温度の点から、250℃以下であることが好ましい。反応温度が高すぎると黄変や重合度の低下などが懸念され、低すぎると反応速度が低下する恐れがある。
特に、200℃以下であることが好ましく、170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、通常10℃以上、好ましくは80℃以上である。
本発明のように、数平均繊維径の小さい繊維に対しては、反応温度を制御することが所望の化学修飾率を得て、なおかつセルロースの重合度低下を抑えることにおいて非常に重要である。
ここで反応温度とは、反応系内の温度である。
反応圧力は、特に制限されず、反応させる温度において化学修飾剤がガス化可能な蒸気圧に達していればよい。経済性の点からは常圧であることが好ましいが、例えば化学修飾剤の沸点が反応温度以上である場合には、化学修飾剤をガス化するために減圧したり、また蒸気量を制御するため等で適宜加圧・減圧したりすることができる。
反応時間は、通常は1秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、3時間以下、好ましくは2時間以下、より好ましくは90分以下、さらに好ましくは1時間以下である。使用する化学修飾剤(反応性ガス)の種類や要求される化学修飾率によって適宜変更することができる。
ここで、反応時間とは、反応系内の温度が必要な反応温度に達している状態でガス化した化学修飾剤がセルロース不織布に接触している時間を言う。
ここで、反応時間とは、反応系内の温度が必要な反応温度に達している状態でガス化した化学修飾剤がセルロース不織布に接触している時間を言う。
このようにして化学修飾を行った後は、通常水または温水でセルロース不織布に付着した未反応の化学修飾剤を洗浄した後に、不織布を乾燥させる。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。
本発明においては、反応性ガスを用いて気相中でセルロース不織布中のセルロースを化学修飾するため、従来の液相中での化学修飾法と比べ、化学修飾剤の使用量を大幅に低減することができる。そのため、セルロース不織布中に残留する化学修飾剤の量も少量となり、洗浄に要する水の量を削減することができる。また、残留する化学修飾剤が少量であることから、水洗などの工程を経ずに、直接化学修飾セルロース不織布を乾燥させ、化学修飾剤の除去と不織布の乾燥を同時に行うことも可能である。
乾燥方法は、特に制限されないが、送風乾燥又は減圧乾燥してもよいし、加圧乾燥してもよい。また、加熱乾燥しても構わない。加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかり、乾燥が不十分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると化学修飾セルロース不織布が着色したり、分解したりする可能性がある。また、加圧する場合は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。圧力が低すぎると乾燥が不十分になる可能性があり、圧力が高すぎると化学修飾セルロース不織布がつぶれて分解する可能性がある。
<処理装置>
セルロース不織布の化学修飾に用いる処理装置としては、工業的な生産性の観点からは、セルロース不織布中のセルロースの化学修飾を連続的または大量に実施出来るものであることが好ましい。
セルロース不織布の化学修飾に用いる処理装置としては、工業的な生産性の観点からは、セルロース不織布中のセルロースの化学修飾を連続的または大量に実施出来るものであることが好ましい。
以下に、図面を参照して、連続的または大量にセルロース不織布中のセルロースの化学修飾を実施し得る装置について説明する。ただし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の変性装置を用いるものに何ら限定されるものではない。
図1に示す連続セルロース変性装置100では、まず反応装置102内に配管106a、106bより所定の温度にコントロールされた反応性ガスが供給される。反応装置102内においても反応性ガスは所定の温度にコントロールされる。次にセルロース不織布101が供給ローラー103a、103bによって反応装置102内に供給される。更に、セルロース不織布101は、反応装置102内を搬送ローラー104に沿って搬送され、その間にセルロース不織布101中のセルロースが反応性ガスにより化学修飾される。その後、排出ローラー105a、105bより排出された化学修飾セルロース不織布はヒーター108によって加熱され、残存反応性ガスが除去される。尚、ヒーター108を過熱水蒸気発生装置として、反応性ガスの沸点以上の温度の過熱水蒸気で化学修飾セルロース不織布を処理することにより、残存反応性ガスを除去してもよい。反応装置102内の余剰な反応性ガスは配管107より排出され、冷却、回収、分離されて、反応性ガスとしてリサイクルされる。
図2に示す連続変性装置200では、まず反応装置202内に配管206aより所定の温度にコントロールされた反応性ガスが供給される。反応装置202内においても反応性ガスは所定の温度にコントロールされる。次にセルロース不織布201が供給ローラー203a、203bによって反応装置202内に供給される。更にセルロース不織布201は反応装置202内を搬送ローラー204に沿って搬送され、その間にセルロース不織布201中のセルロースが反応性ガスにより化学修飾される。その後、排出ローラー205a、205bより排出された化学修飾セルロース不織布はヒーター208によって加熱され、残存反応性ガスが除去される。尚、ヒーター208を過熱水蒸気発生装置として、反応性ガスの沸点以上の温度の過熱水蒸気で化学修飾セルロース不織布を処理することにより、残存反応性ガスを除去してもよい。反応装置202内の余剰な反応性ガスは配管207より排出され、冷却、回収、分離されて、反応性ガスとしてリサイクルされる。
図3に示すバッチ式大量変性装置300では、まずロール状のセルロール不織布301を反応装置302内に入れ、次に反応装置302内に配管303より所定の温度にコントロールされた反応性ガスを供給する。反応性ガスは反応装置302内においても所定の温度にコントロールされる。所定温度にコントロールされた反応性ガスによって所定時間、ロール状のセルロール不織布301を処理することにより、セルロース不織布301中のセルロースが化学修飾される。尚、反応装置302内の余剰な反応性ガスは配管304より排出され、冷却、回収、分離されて、反応性ガスとしてリサイクルされる。
[化学修飾セルロース不織布の特徴]
上記方法によって得られた本発明の化学修飾セルロース不織布の特徴について説明する。
上記方法によって得られた本発明の化学修飾セルロース不織布の特徴について説明する。
<置換基の種類>
化学修飾によってセルロースに導入される官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
化学修飾によってセルロースに導入される官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
<化学修飾率>
化学修飾セルロース不織布の化学修飾率は、5mol%以上であることが好ましく、9mol%以上であることがより好ましく、10mol%以上であることがさらに好ましく、20mol%以上であることが特に好ましく、65mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることがより好ましく、40mol%以下であることがさらに好ましく、30mol%以下であることが特に好ましい。
セルロースを化学修飾することにより、セルロースの分解温度が上昇し、耐熱性が高くなるが、本発明のように、数平均繊維径の小さい繊維の不織布においては、この化学修飾率が低すぎると、耐熱性の改善効果が不足し、複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまうことがあり、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られる複合材料の線膨張係数が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。また、化学修飾率が低すぎると、不織布の親水性が高くなり、含水率が高くなり好ましくない。特に、セルロース繊維原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低いと複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまったり、化学修飾率が高くても化学修飾反応後に不織布が着色してしまったりするので好ましくない。
化学修飾セルロース不織布の化学修飾率は、5mol%以上であることが好ましく、9mol%以上であることがより好ましく、10mol%以上であることがさらに好ましく、20mol%以上であることが特に好ましく、65mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることがより好ましく、40mol%以下であることがさらに好ましく、30mol%以下であることが特に好ましい。
セルロースを化学修飾することにより、セルロースの分解温度が上昇し、耐熱性が高くなるが、本発明のように、数平均繊維径の小さい繊維の不織布においては、この化学修飾率が低すぎると、耐熱性の改善効果が不足し、複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまうことがあり、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られる複合材料の線膨張係数が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。また、化学修飾率が低すぎると、不織布の親水性が高くなり、含水率が高くなり好ましくない。特に、セルロース繊維原料として木質を用いる場合、化学修飾率が低いと複合化の後処理で加熱した際に、着色してしまったり、化学修飾率が高くても化学修飾反応後に不織布が着色してしまったりするので好ましくない。
ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
〈測定方法〉
化学修飾セルロース不織布0.05gを精秤し、これに蒸留水0.5ml、エタノール1.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、自動滴定装置(三菱化学社製:GT−100)を用いて、0.1M塩酸標準溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.1M塩酸水溶液の量Z(ml)から、下記式によって、化学修飾により導入された置換基のモル数Q(mol)が求められる。
Q(mol)=0.5(N)×2(ml)/1000
−0.1(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C6O5H10)n=(162.14)n,繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
化学修飾セルロース不織布0.05gを精秤し、これに蒸留水0.5ml、エタノール1.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、自動滴定装置(三菱化学社製:GT−100)を用いて、0.1M塩酸標準溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.1M塩酸水溶液の量Z(ml)から、下記式によって、化学修飾により導入された置換基のモル数Q(mol)が求められる。
Q(mol)=0.5(N)×2(ml)/1000
−0.1(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C6O5H10)n=(162.14)n,繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
これを解いていくと、以下の通りとなる。
<結晶構造>
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造より結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数であり好ましい。
セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造より結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数であり好ましい。
セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
<粘度平均重合度(重合度)>
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、大きいほど高弾性率、高強度となり、強度物性の点で好ましい。重合度は用いる原料によるが、300以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上である。
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、大きいほど高弾性率、高強度となり、強度物性の点で好ましい。重合度は用いる原料によるが、300以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上である。
後掲の実施例にも示されるように、本発明によれば、化学修飾前のセルロース不織布中のセルロースの重合度に対する化学修飾後の化学修飾セルロース不織布中のセルロースの重合度の低下率は、10%以下に抑えることができる。
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、後述の実施例の項に示されるように、TAPPI T230に記載の粘度法により測定して、算出することができる。
化学修飾セルロース不織布中のセルロース繊維の重合度は、後述の実施例の項に示されるように、TAPPI T230に記載の粘度法により測定して、算出することができる。
<用途>
上記の様にして製造された化学修飾セルロース不織布は、下記詳述するようにマトリックス材料と複合化させる他、化学修飾セルロース不織布そのもののみでも使用することができる。例えば、蓄電デバイス用セパレータ、医療用分離膜、包装材料、各種フィルターなどが挙げられる。
上記の様にして製造された化学修飾セルロース不織布は、下記詳述するようにマトリックス材料と複合化させる他、化学修飾セルロース不織布そのもののみでも使用することができる。例えば、蓄電デバイス用セパレータ、医療用分離膜、包装材料、各種フィルターなどが挙げられる。
〔セルロース繊維複合材料〕
本発明のセルロース繊維複合材料は、上記本発明の製造方法により得られた化学修飾セルロース不織布とマトリックス材料とを含有する。該セルロース繊維複合材料は、その高透明性、低線膨張率、非着色性といった特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等の用途に有用であり、また、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
本発明のセルロース繊維複合材料は、上記本発明の製造方法により得られた化学修飾セルロース不織布とマトリックス材料とを含有する。該セルロース繊維複合材料は、その高透明性、低線膨張率、非着色性といった特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等の用途に有用であり、また、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
ここでマトリクス材料とは、化学修飾セルロース不織布と貼り合わせたり、空隙を埋めたりする高分子材料またはその前駆体(例えばモノマー)のことをいう。
このマトリクス材料として好適なものは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、加熱により重合する熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂等から選ばれる少なくとも1種の樹脂(高分子材料)またはその前駆体である。本発明において、化学修飾セルロースと樹脂とを複合化させてセルロース繊維樹脂複合材料を得ることができる。
なお、本発明において樹脂(高分子材料)の前駆体とは、いわゆるモノマー、オリゴマーである。
なお、本発明において樹脂(高分子材料)の前駆体とは、いわゆるモノマー、オリゴマーである。
本発明のセルロース繊維複合材料は、上記本発明の製造方法により得られた化学修飾セルロース不織布とマトリックス材料とを複合化することにより通常得られるが、複合化方法としては以下の方法が挙げられる。
(a) 化学修飾セルロース不織布に、液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合する方法
(b) 化学修飾セルロース不織布に、熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) 化学修飾セルロース不織布に、樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化する方法
(d) 化学修飾セルロース不織布に、熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートと化学修飾セルロース不織布とを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) 化学修飾セルロース不織布の片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体や熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) 化学修飾セルロース不織布の片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化することにより複合化する方法
(a) 化学修飾セルロース不織布に、液状の熱可塑性樹脂前駆体を含浸させて重合する方法
(b) 化学修飾セルロース不織布に、熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて重合硬化させる方法
(c) 化学修飾セルロース不織布に、樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させ、必要に応じて重合硬化する方法
(d) 化学修飾セルロース不織布に、熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートと化学修飾セルロース不織布とを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) 化学修飾セルロース不織布の片面もしくは両面に液状の熱可塑性樹脂前駆体や熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して重合硬化させる方法
(g) 化学修飾セルロース不織布の片面もしくは両面に樹脂溶液(熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液)を塗布して、溶媒を除去後、必要に応じて重合硬化することにより複合化する方法
セルロース以外のマトリックス材料を以下に例示するが、本発明で用いるマトリックス材料は何ら以下のものに限定されるものではない。また、本発明における熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光(活性エネルギー線)硬化性樹脂は2種以上混合して用いることができる。
本発明においては、以下のマトリックス材料(高分子材料またはその前駆体)のうち、高分子材料、または前駆体の場合にはその重合体が、非晶質でガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子であるものが、透明性に優れた高耐久性のセルロース繊維複合材料を得る上で好ましく、このうち非晶質の程度としては、結晶化度で10%以下、特に5%以下であるものが好ましく、また、Tgは110℃以上、特に120℃以上、とりわけ130℃以上のものが好ましい。Tgが低いと例えば熱水等に触れた際に変形する恐れがあり、実用上問題が生じる。また、低吸水性のセルロース繊維複合材料を得るためには、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などの親水性の官能基が少ない高分子材料を選定することが好ましい。なお、高分子のTgは一般的な方法で求めることができる。例えば、DSC法による測定で求められる。高分子の結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から算定することができ、また、動的粘弾性測定により、弾性率と粘性率の比であるtanδから算出することもできる。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
<熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。
<光硬化性樹脂>
光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の熱硬化性樹脂の説明において例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の熱硬化性樹脂の説明において例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂の具体例は、日本国特開2009−299043号公報に記載のものが挙げられる。
<その他の成分>
熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した硬化性組成物として用いられる。
熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂は、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤等と配合した硬化性組成物として用いられる。
<積層構造体>
本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の化学修飾セルロース不織布の層と、セルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、本発明の化学修飾セルロース不織布の層と、本発明のセルロース繊維複合材料の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
本発明のセルロース繊維複合材料は、本発明の化学修飾セルロース不織布の層と、セルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であってもよく、また、本発明の化学修飾セルロース不織布の層と、本発明のセルロース繊維複合材料の層との積層構造であってもよく、その積層数や積層構成には特に制限はない。
<無機膜>
本発明のセルロース繊維複合材料は、その用途に応じて、セルロース繊維複合材料層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
ここで用いられる無機膜は、セルロース繊維複合材料の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO2、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
本発明のセルロース繊維複合材料は、その用途に応じて、セルロース繊維複合材料層に更に無機膜が積層されたものであってもよく、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであってもよい。
ここで用いられる無機膜は、セルロース繊維複合材料の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO2、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
<セルロース繊維複合材料の特性ないし物性>
以下に本発明のセルロース繊維複合材料の好適な特性ないし物性について説明する。
以下に本発明のセルロース繊維複合材料の好適な特性ないし物性について説明する。
(セルロース含有量)
本発明のセルロース繊維複合材料中のセルロースの含有量(セルロース繊維の含有量)は通常1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが5重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
本発明のセルロース繊維複合材料中のセルロースの含有量(セルロース繊維の含有量)は通常1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが5重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外のマトリックス材料が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外のマトリックス材料の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
セルロース繊維複合材料中のセルロースおよびセルロース以外のマトリックス材料の含有量は、例えば、複合化前のセルロース不織布の重量と複合化後のセルロース繊維複合材料の重量より求めることができる。また、マトリックス材料が可溶な溶媒にセルロース繊維複合材料を浸漬してマトリックス材料のみを取り除き、残ったセルロース繊維の重量から求めることもできる。その他、マトリックス材料である樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロースの官能基を定量して求めることもできる。
(厚み)
本発明のセルロース繊維複合材料の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。セルロース繊維複合材料の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、このような厚さの膜状(フィルム状)または板状であるが、平膜または平板に限らず、曲面を有する膜状または板状とすることもできる。また、その他の異形形状であってもよい。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
本発明のセルロース繊維複合材料の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。セルロース繊維複合材料の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
なお、本発明のセルロース繊維複合材料は、例えば、このような厚さの膜状(フィルム状)または板状であるが、平膜または平板に限らず、曲面を有する膜状または板状とすることもできる。また、その他の異形形状であってもよい。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていてもよい。
(着色)
本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱による着色が小さいことを特徴とする。
セルロースは、特に木質由来の原料を用いることで黄色味がつく場合がある。これは、セルロース自体の着色の場合と、精製度合いによって残ったセルロース以外の物質が着色する場合がある。本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱の工程が入っても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐えうるものである。
各種透明材料として本発明のセルロース繊維複合材料を用いる場合、セルロース繊維の着色の程度は、後述の実施例の項で測定されるセルロース繊維複合材料のYIとして好ましくは15以下、より好ましくは10以下であり、加熱処理後もこのYIの上昇がないことが好ましく、加熱後もまた、YIが15以下、特に10以下を維持することが好ましい。
本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱による着色が小さいことを特徴とする。
セルロースは、特に木質由来の原料を用いることで黄色味がつく場合がある。これは、セルロース自体の着色の場合と、精製度合いによって残ったセルロース以外の物質が着色する場合がある。本発明のセルロース繊維複合材料は、加熱の工程が入っても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐えうるものである。
各種透明材料として本発明のセルロース繊維複合材料を用いる場合、セルロース繊維の着色の程度は、後述の実施例の項で測定されるセルロース繊維複合材料のYIとして好ましくは15以下、より好ましくは10以下であり、加熱処理後もこのYIの上昇がないことが好ましく、加熱後もまた、YIが15以下、特に10以下を維持することが好ましい。
(ヘーズ)
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。
各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料のヘーズは、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下であり、特にこの値は2.0以下であることが好ましい。ヘーズが5.0より大きくなると実質的に各種デバイスの透明基板等に適用することは困難となる。
ヘーズは例えば厚み10〜100μmのセルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。
各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料のヘーズは、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下であり、特にこの値は2.0以下であることが好ましい。ヘーズが5.0より大きくなると実質的に各種デバイスの透明基板等に適用することは困難となる。
ヘーズは例えば厚み10〜100μmのセルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
(全光線透過率)
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料は、JIS規格K7105に準拠してその厚み方向に測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。
全光線透過率は例えば、厚み10〜100μmのセルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さいセルロース繊維複合材料とすることができる。各種透明材料として用いる場合、このセルロース繊維複合材料は、JIS規格K7105に準拠してその厚み方向に測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明または不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。
全光線透過率は例えば、厚み10〜100μmのセルロース繊維複合材料について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
(線膨張係数)
本発明のセルロース繊維複合材料は、線膨張係数(1Kあたりの伸び率)の低いセルロースを用いることにより線膨張係数の低いセルロース繊維複合材料とすることができる。このセルロース繊維複合材料の線膨張係数は、マトリックス材料の種類やセルロース繊維の含有率によるが、1〜50ppm/Kであることが好ましく、1〜40ppm/Kであることがより好ましく、1〜30ppm/Kであることが特に好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合材料の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、セルロース繊維複合材料の線膨張係数は、特に1〜30ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
本発明のセルロース繊維複合材料は、線膨張係数(1Kあたりの伸び率)の低いセルロースを用いることにより線膨張係数の低いセルロース繊維複合材料とすることができる。このセルロース繊維複合材料の線膨張係数は、マトリックス材料の種類やセルロース繊維の含有率によるが、1〜50ppm/Kであることが好ましく、1〜40ppm/Kであることがより好ましく、1〜30ppm/Kであることが特に好ましい。
即ち、例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、セルロース繊維複合材料の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張率差が大きくなり、クラック等が発生する。従って、セルロース繊維複合材料の線膨張係数は、特に1〜30ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
(引張強度)
本発明のセルロース繊維複合材料の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明のセルロース繊維複合材料の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
(引張弾性率)
本発明のセルロース繊維複合材料の引張弾性率は、複合化させるマトリックス材料の種類や用途によるが、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは1〜50GPa、さらに好ましくは5.0〜30GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
特に、本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法によれば、化学修飾の反応時間の短縮で、反応中のセルロースの重合度の低下を防止して、得られる化学修飾セルロース不織布及びセルロース繊維複合材料の引張弾性率を高く維持することができる。
本発明のセルロース繊維複合材料の引張弾性率は、複合化させるマトリックス材料の種類や用途によるが、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは1〜50GPa、さらに好ましくは5.0〜30GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
特に、本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法によれば、化学修飾の反応時間の短縮で、反応中のセルロースの重合度の低下を防止して、得られる化学修飾セルロース不織布及びセルロース繊維複合材料の引張弾性率を高く維持することができる。
<用途>
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色でヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等の各種表示デバイス用の基板、パネル、偏光フィルムや反射防止フィルム、ハードコートフィルム、位相差フィルムなどの光学部材として好適に用いられる。また、有機EL照明などの照明用基材としても好適である。
また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。特に、本発明のセルロース繊維複合材料は加熱によっても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐え得るものである。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などにも好適に用いることができる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層して用いてもよい。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造体としても用いることができる。特に、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他、工業用資材等として好適に用いられる。
本発明のセルロース繊維複合材料は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色でヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等の各種表示デバイス用の基板、パネル、偏光フィルムや反射防止フィルム、ハードコートフィルム、位相差フィルムなどの光学部材として好適に用いられる。また、有機EL照明などの照明用基材としても好適である。
また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。特に、本発明のセルロース繊維複合材料は加熱によっても着色が小さく、各種デバイスの透明基板等の実際のデバイス化工程における、加熱処理に耐え得るものである。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などにも好適に用いることができる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層して用いてもよい。
また、本発明のセルロース繊維複合材料は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして透明材料用途以外の構造体としても用いることができる。特に、内装材、外板、バンパー等の自動車材料やパソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他、工業用資材等として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
本発明の化学修飾セルロース不織布の化学修飾率、重合度、化学修飾セルロース不織布を用いた複合材料のセルロース含有量、ヘーズ、全光線透過率、YI及び線膨張係数の測定方法は以下の通りである。
本発明の化学修飾セルロース不織布の化学修飾率、重合度、化学修飾セルロース不織布を用いた複合材料のセルロース含有量、ヘーズ、全光線透過率、YI及び線膨張係数の測定方法は以下の通りである。
<化学修飾率>
上記詳述した方法により、測定した。
上記詳述した方法により、測定した。
<重合度および重合度低下率>
TAPPI T230に記載の粘度法により重合度を測定した。
セルロース不織布0.04gを精秤し、これに水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLを加え、5分間程攪拌してセルロースを溶解する。溶解させた溶液をウベローデ型粘度管に入れ、25℃下で流下速度を測定する。水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液の混合液をブランクとし、固有粘度[η]を求める。これを用い、木質科学実験マニュアルに記載の以下の式に従って粘度平均重合度を算出した。
粘度平均重合度=175×[η]
また、化学修飾前のセルロース不織布の重合度と化学修飾後のセルロース不織布の重合度を測定し、化学修飾前に対する化学修飾後の重合度低下率は以下の式に従って算出した。
TAPPI T230に記載の粘度法により重合度を測定した。
セルロース不織布0.04gを精秤し、これに水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液10mLを加え、5分間程攪拌してセルロースを溶解する。溶解させた溶液をウベローデ型粘度管に入れ、25℃下で流下速度を測定する。水10mLと1M銅エチレンジアミン水溶液の混合液をブランクとし、固有粘度[η]を求める。これを用い、木質科学実験マニュアルに記載の以下の式に従って粘度平均重合度を算出した。
粘度平均重合度=175×[η]
また、化学修飾前のセルロース不織布の重合度と化学修飾後のセルロース不織布の重合度を測定し、化学修飾前に対する化学修飾後の重合度低下率は以下の式に従って算出した。
<化学修飾セルロース不織布の引張弾性率>
複合材料を8mm幅×40mm長にカットした。これを、オリエンテック社製STA−1225を用いてチャック間距離15mm、試験速度2mm/minにて引張試験を行い、引張弾性率を求めた。
複合材料を8mm幅×40mm長にカットした。これを、オリエンテック社製STA−1225を用いてチャック間距離15mm、試験速度2mm/minにて引張試験を行い、引張弾性率を求めた。
<セルロース繊維複合材料中のセルロース含有量>
複合化に用いた化学修飾セルロース不織布の重量と、得られたセルロース繊維複合材料の重量からセルロース含有量(重量%)を求めた。
複合化に用いた化学修飾セルロース不織布の重量と、得られたセルロース繊維複合材料の重量からセルロース含有量(重量%)を求めた。
<セルロース繊維複合材料のヘーズ>
スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
<セルロース繊維複合材料のYI値>
スガ試験機製カラーコンピュータを用いてYI値を測定した。
スガ試験機製カラーコンピュータを用いてYI値を測定した。
<セルロース繊維複合材料の線膨張係数>
複合材料をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長にカットした。これをSII製TMA6100を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温し、次いで180℃から25℃まで5℃/min.で降温し、更に25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求めた。
複合材料をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長にカットした。これをSII製TMA6100を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温し、次いで180℃から25℃まで5℃/min.で降温し、更に25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求めた。
<セルロース繊維複合材料の引張弾性率>
複合材料をレーザーカッターにより、10mm幅×40mm長にカットした。これを、SII社製DMS6100を用いて引張モードでDMA(動的粘弾性)測定を行い、周波数10Hz、23℃における貯蔵弾性率E’(単位;GPa)を測定した。
複合材料をレーザーカッターにより、10mm幅×40mm長にカットした。これを、SII社製DMS6100を用いて引張モードでDMA(動的粘弾性)測定を行い、周波数10Hz、23℃における貯蔵弾性率E’(単位;GPa)を測定した。
<製造例1:セルロース繊維原料1の製造>
木粉(宮下木材社製、米松)を2重量%炭酸ナトリウム水溶液中で攪拌しながら90℃で5時間脱脂処理した。これを脱塩水で洗浄した後、無水酢酸と30重量%過酸化水素水を液量で1:1に混合した過酸水溶液を加え、90℃で1時間脱リグニン処理した。脱塩水洗浄した後にさらに5重量%水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬して脱ヘミセルロースし、脱塩水で洗浄してセルロース繊維原料1を得た。
木粉(宮下木材社製、米松)を2重量%炭酸ナトリウム水溶液中で攪拌しながら90℃で5時間脱脂処理した。これを脱塩水で洗浄した後、無水酢酸と30重量%過酸化水素水を液量で1:1に混合した過酸水溶液を加え、90℃で1時間脱リグニン処理した。脱塩水洗浄した後にさらに5重量%水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬して脱ヘミセルロースし、脱塩水で洗浄してセルロース繊維原料1を得た。
<製造例2:セルロース繊維原料2の製造>
木粉(宮下木材社製、米松)を2重量%炭酸ナトリウム水溶液で80℃にて6時間脱脂した。これを脱塩水で洗浄した後、亜塩素酸ナトリウムを用いて酢酸酸性下、80℃にて5.5時間脱リグニン処理した。脱塩水洗浄した後にさらに5重量%水酸化カリウム水溶液に16時間浸漬して脱ヘミセルロースし、脱塩水で洗浄してセルロース繊維原料2を得た。
木粉(宮下木材社製、米松)を2重量%炭酸ナトリウム水溶液で80℃にて6時間脱脂した。これを脱塩水で洗浄した後、亜塩素酸ナトリウムを用いて酢酸酸性下、80℃にて5.5時間脱リグニン処理した。脱塩水洗浄した後にさらに5重量%水酸化カリウム水溶液に16時間浸漬して脱ヘミセルロースし、脱塩水で洗浄してセルロース繊維原料2を得た。
<製造例3:セルロース不織布1の製造>
製造例1で得られたセルロース繊維原料1を0.5重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM0.8S)を用いて、回転数2000rpm、60分間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.13重量%濃度に水で希釈し、孔径1μmのPTFEを用いた90mm径の濾過器に150g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノール30mlを投入して置換した。その後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して白色のセルロース不織布1を得た。このセルロース不織布1のセルロース繊維の数平均繊維径は18nmであった。
製造例1で得られたセルロース繊維原料1を0.5重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM0.8S)を用いて、回転数2000rpm、60分間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.13重量%濃度に水で希釈し、孔径1μmのPTFEを用いた90mm径の濾過器に150g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノール30mlを投入して置換した。その後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して白色のセルロース不織布1を得た。このセルロース不織布1のセルロース繊維の数平均繊維径は18nmであった。
<製造例4:セルロース不織布2の製造>
製造例1で得られたセルロース繊維原料1を0.5重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM0.8S)を用いて、回転数2000rpm、60分間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
更に超音波ホモジナイザー(SMT社製:UH−600S、周波数20kHz、実効出力密度22W/cm2)を用いて超音波処理を行った。36mmφのストレート型チップ(チタン合金製)を用い、アウトプットボリウム8でチューニングを行い、最適なチューニング位置で30分間超音波処理を行った。セルロース繊維原料分散液は処理容器の外側から5℃の冷水で冷却し、また、マグネティックスターラーにて撹拌しながら処理を行った。
この超音波処理したセルロース繊維原料分散液の遠心分離を行い、上澄みを得た。遠心分離機(日立工機社製:himacCR22G)を用い、アングルローターとしてR20A2を用いた。50ml遠沈管8本を、回転軸から34度の角度で設置した。1本の遠沈管に入れるセルロース繊維原料分散液の量は30mlとした。18000rpmにて30分間遠心分離作業を行いその上澄み液を採取した。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.13重量%濃度に水で希釈し、孔径1μmのPTFEを用いた90mm径の濾過器に150g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノール30mlを投入して置換した。その後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して白色のセルロース不織布2を得た。このセルロース不織布2のセルロース繊維の数平均繊維径は14nmであった。
製造例1で得られたセルロース繊維原料1を0.5重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM0.8S)を用いて、回転数2000rpm、60分間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
更に超音波ホモジナイザー(SMT社製:UH−600S、周波数20kHz、実効出力密度22W/cm2)を用いて超音波処理を行った。36mmφのストレート型チップ(チタン合金製)を用い、アウトプットボリウム8でチューニングを行い、最適なチューニング位置で30分間超音波処理を行った。セルロース繊維原料分散液は処理容器の外側から5℃の冷水で冷却し、また、マグネティックスターラーにて撹拌しながら処理を行った。
この超音波処理したセルロース繊維原料分散液の遠心分離を行い、上澄みを得た。遠心分離機(日立工機社製:himacCR22G)を用い、アングルローターとしてR20A2を用いた。50ml遠沈管8本を、回転軸から34度の角度で設置した。1本の遠沈管に入れるセルロース繊維原料分散液の量は30mlとした。18000rpmにて30分間遠心分離作業を行いその上澄み液を採取した。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.13重量%濃度に水で希釈し、孔径1μmのPTFEを用いた90mm径の濾過器に150g投入し、固形分が約5重量%になったところで2−プロパノール30mlを投入して置換した。その後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して白色のセルロース不織布2を得た。このセルロース不織布2のセルロース繊維の数平均繊維径は14nmであった。
<製造例5:セルロース不織布3の製造>
製造例3において、セルロース繊維原料1の代りに製造例2で得られたセルロース繊維原料2を用いたこと以外は同様の処理を行い、セルロース不織布3を得た。このセルロース不織布3のセルロース繊維の数平均繊維径は18nmであった。
製造例3において、セルロース繊維原料1の代りに製造例2で得られたセルロース繊維原料2を用いたこと以外は同様の処理を行い、セルロース不織布3を得た。このセルロース不織布3のセルロース繊維の数平均繊維径は18nmであった。
<実施例1>
100mLの無水酢酸を入れた容器にセルロース不織布1を液と接触しないように設置し、密閉した。容器を135℃に加熱し、容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃まで昇温させ、無水酢酸蒸気をセルロース不織布に10分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、セルロース不織布を取り出し、蒸留水でよく洗浄し、アセトンに10分浸漬した後、120℃、0.14MPaにて3分間プレス乾燥してアセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は20.0mol%であった。
100mLの無水酢酸を入れた容器にセルロース不織布1を液と接触しないように設置し、密閉した。容器を135℃に加熱し、容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃まで昇温させ、無水酢酸蒸気をセルロース不織布に10分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、セルロース不織布を取り出し、蒸留水でよく洗浄し、アセトンに10分浸漬した後、120℃、0.14MPaにて3分間プレス乾燥してアセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は20.0mol%であった。
<実施例2>
セルロース不織布1を化学修飾させる際の反応時間(処理時間)を30分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は44.3mol%であった。
セルロース不織布1を化学修飾させる際の反応時間(処理時間)を30分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は44.3mol%であった。
<実施例3>
セルロース不織布1を化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を140℃、反応時間(処理時間)を10分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は38.7mol%であった。
セルロース不織布1を化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を140℃、反応時間(処理時間)を10分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は38.7mol%であった。
<実施例4>
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布2を用い、化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を20分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は28.7mol%であった。
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布2を用い、化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を20分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は28.7mol%であった。
<実施例5>
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布3を用い、化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を20分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は33.0mol%であった。
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布3を用い、化学修飾させる際の容器内の蒸気温度(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を20分間にすること以外は実施例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は33.0mol%であった。
<比較例1>
700mLの無水酢酸を入れた容器にセルロース不織布1を浸漬し、密閉した。容器を135℃に加熱し、容器内の液温(反応系内温度)が130℃にて30分間(処理時間)反応させた。反応後、セルロース不織布を取り出し、2−プロパノールでよく洗浄し、余剰の無水酢酸を除去した。その後、蒸留水でよく洗浄し、2−プロパノールに10分浸漬した後、120℃、0.14MPaにて5分間プレス乾燥してアセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は4.3mol%であった。
700mLの無水酢酸を入れた容器にセルロース不織布1を浸漬し、密閉した。容器を135℃に加熱し、容器内の液温(反応系内温度)が130℃にて30分間(処理時間)反応させた。反応後、セルロース不織布を取り出し、2−プロパノールでよく洗浄し、余剰の無水酢酸を除去した。その後、蒸留水でよく洗浄し、2−プロパノールに10分浸漬した後、120℃、0.14MPaにて5分間プレス乾燥してアセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は4.3mol%であった。
<比較例2>
セルロース不織布1を化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を110℃、反応時間(処理時間)を420分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は24.3mol%であった。
セルロース不織布1を化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を110℃、反応時間(処理時間)を420分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は24.3mol%であった。
<比較例3>
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布2を用い、化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を110℃、反応時間(処理時間)を420分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は27.3mol%であった。
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布2を用い、化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を110℃、反応時間(処理時間)を420分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は27.3mol%であった。
<比較例4>
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布3を用い、化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を120分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は27.0mol%であった。
セルロース不織布1の代りにセルロース不織布3を用い、化学修飾させる際の容器内の液温(反応系内温度)を130℃、反応時間(処理時間)を120分間にすること以外は比較例1と同様にして、アセチル化セルロース不織布を得た。得られた不織布の化学修飾率は27.0mol%であった。
上記実施例1〜5、比較例1〜4により得られた結果を表1にまとめて示す。
表1より明らかなように、反応性ガスによる本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法によれば、反応液に浸漬させる従来の反応方法よりも、化学修飾する際の反応時間が短縮される。また、反応後に余剰の反応液を除去する洗浄工程を省略でき、工程が簡略化できるだけでなく、使用する溶剤量を削減できる。
<実施例6>
実施例4で得られた化学修飾セルロース不織布の重合度、重合度低下率および引張弾性率を測定した。重合度は1097で、重合度低下率は6.1%、引張弾性率は3.0GPaであった。
次に、この化学修飾セルロース不織布を用いてセルロース繊維複合材料を作製した。
化学修飾セルロース不織布を、1,10−デカンジオールジアクリレート100重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.2重量部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製Irgacure184)0.1重量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下に1時間おいた。これを2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、放射照度400mW/cm2の下を、ライン速度7m/minで照射した。このときの放射照射量は0.12J/cm2であった。この操作を、ガラス面を反転して2回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は25℃であった。次いで、放射照度1900mW/cm2の下をライン速度2m/minで照射した。このときの放射照射量は2.7J/cm2であった。この操作をガラス面を反転して4回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は50℃であった。放射照射量は21.8J/cm2であった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、200℃のオーブン(窒素ガス雰囲気)中で4時間加熱して複合材料を得た。なお、紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
得られた複合材料のセルロース含有量は53.0重量%で、厚みは90μm、ヘーズは3.1、全光線透過率は89.2%、YIは7.7、線膨張係数は20.4ppm/K、引張弾性率は4.6GPaであった。
実施例4で得られた化学修飾セルロース不織布の重合度、重合度低下率および引張弾性率を測定した。重合度は1097で、重合度低下率は6.1%、引張弾性率は3.0GPaであった。
次に、この化学修飾セルロース不織布を用いてセルロース繊維複合材料を作製した。
化学修飾セルロース不織布を、1,10−デカンジオールジアクリレート100重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製ルシリンTPO)0.2重量部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製Irgacure184)0.1重量部を混合した溶液に含浸させ、減圧下に1時間おいた。これを2枚のガラス板にはさみ、無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製「Dバルブ」)を用いて、放射照度400mW/cm2の下を、ライン速度7m/minで照射した。このときの放射照射量は0.12J/cm2であった。この操作を、ガラス面を反転して2回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は25℃であった。次いで、放射照度1900mW/cm2の下をライン速度2m/minで照射した。このときの放射照射量は2.7J/cm2であった。この操作をガラス面を反転して4回行った。紫外線照射後のガラス面の温度は50℃であった。放射照射量は21.8J/cm2であった。紫外線照射終了後、ガラス板よりはずし、200℃のオーブン(窒素ガス雰囲気)中で4時間加熱して複合材料を得た。なお、紫外線の放射照度は、オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて、320〜390nmの紫外線の照度を23℃で測定した。
得られた複合材料のセルロース含有量は53.0重量%で、厚みは90μm、ヘーズは3.1、全光線透過率は89.2%、YIは7.7、線膨張係数は20.4ppm/K、引張弾性率は4.6GPaであった。
<比較例5>
比較例3で得られた化学修飾セルロース不織布の重合度、重合度低下率および引張弾性率を測定した。重合度は930で、重合度低下率は20.4%、引張弾性率は2.2GPaであった。
次に、この化学修飾セルロース不織布を用いて実施例6と同様にして、セルロース繊維複合材料を作製した。得られた複合材料のセルロース含有量は45.1重量%で、厚みは96μm、ヘーズは3.1、全光線透過率は90.6%、YIは5.4、線膨張係数は24.2ppm/K、引張弾性率は2.8GPaであった。
比較例3で得られた化学修飾セルロース不織布の重合度、重合度低下率および引張弾性率を測定した。重合度は930で、重合度低下率は20.4%、引張弾性率は2.2GPaであった。
次に、この化学修飾セルロース不織布を用いて実施例6と同様にして、セルロース繊維複合材料を作製した。得られた複合材料のセルロース含有量は45.1重量%で、厚みは96μm、ヘーズは3.1、全光線透過率は90.6%、YIは5.4、線膨張係数は24.2ppm/K、引張弾性率は2.8GPaであった。
上記実施例6および比較例5により得られた結果を表2にまとめて示す。
表2より、反応性ガスを用いる本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法により得られる化学修飾セルロース不織布の物性は、従来の反応液に浸漬させる反応方法により得られる化学修飾セルロース不織布よりも、重合度の低下を抑制でき、その結果、引張弾性率が高い化学修飾セルロース不織布が得られる。また、セルロース繊維複合材料の物性においては、従来と同様に透明性、非着色性、低線膨張係数、引張弾性率に優れた複合材料が得られた。引張弾性率については、従来法によるものよりも向上し、また、線膨張係数についても従来法によるものよりも低下した。すなわち、本発明によれば、高透明、非着色性、高耐熱性、低線膨張係数、高強度の複合材料を高い生産性で製造することが分かる。
<製造例6:セルロース不織布4の製造>
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製)を、ディスクリファイナー(熊谷理化工業製)を用い叩解した。叩解した上記パルプを2重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM11S)を用いて、回転数6500rpm、2時間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.2重量%濃度に水で希釈したものと、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(乾燥状態の微細セルロース繊維(g)に対して24倍量)をそれぞれA4サイズ抄紙装置(王子製紙製)に投入し抄紙し、120℃に加熱したシリンダードライヤーで乾燥させ、坪量35g/m2、A4サイズのセルロース不織布4を得た。このセルロース不織布4のセルロース繊維の数平均繊維径は28nmであった。
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製)を、ディスクリファイナー(熊谷理化工業製)を用い叩解した。叩解した上記パルプを2重量%濃度に水で希釈し、高速回転式ホモジナイザー(エム・テクニック社製:CLM11S)を用いて、回転数6500rpm、2時間解繊処理を行い、微細セルロース繊維分散液を得た。
得られた微細セルロース繊維分散液を0.2重量%濃度に水で希釈したものと、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(乾燥状態の微細セルロース繊維(g)に対して24倍量)をそれぞれA4サイズ抄紙装置(王子製紙製)に投入し抄紙し、120℃に加熱したシリンダードライヤーで乾燥させ、坪量35g/m2、A4サイズのセルロース不織布4を得た。このセルロース不織布4のセルロース繊維の数平均繊維径は28nmであった。
<実施例7>
20mLの無水酢酸を入れた容器に、製造例6で得られたセルロース不織布4を12枚重ねで丸めて筒状にして、液と接触しないように容器の中に設置し密閉した。容器を145℃に加熱し、容器内の温度を140℃まで昇温させ、無水酢酸の蒸気をセルロース不織布4に60分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、残留ガスを除去した。得られたセルロース不織布の化学修飾率は、筒状に丸めた一番外側のセルロース不織布で9.7mol%、一番内側のセルロース不織布で10.0mol%あった。
20mLの無水酢酸を入れた容器に、製造例6で得られたセルロース不織布4を12枚重ねで丸めて筒状にして、液と接触しないように容器の中に設置し密閉した。容器を145℃に加熱し、容器内の温度を140℃まで昇温させ、無水酢酸の蒸気をセルロース不織布4に60分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、残留ガスを除去した。得られたセルロース不織布の化学修飾率は、筒状に丸めた一番外側のセルロース不織布で9.7mol%、一番内側のセルロース不織布で10.0mol%あった。
<実施例8>
製造例6で得られたA4サイズのセルロース不織布4を4cm×4cmの大きさに裁断したものを93枚用意し、図4に示すように、このセルロース不織布401(製造例6で得たセルロース不織布4)を重ねて周囲にカプトンテープ402を巻き、ブロック状のセルロース不織布405を得た。これは図5に示すように、セルロース不織布401を30mのロール状に巻いたものの一部を再現したものである。
尚、セルロース不織布401の厚みが70μm程度で、巻き芯の外径が96.2mmとしたとき、セルロース不織布401を30mのロール状に巻くと、紙厚Dは6.5mmとなる。
20mLの無水酢酸を入れた容器に、このブロック状のセルロース不織布を、液と接触しないように容器内に設置し密閉した。容器を145℃に加熱し、容器内の温度を140℃まで昇温させ、無水酢酸蒸気をブロック状のセルロース不織布に90分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、残留ガスを除去した。得られたセルロース不織布の化学修飾率は、0m相当部(最上部)で11.7mol%、10m相当部で11.3mol%、15m相当部で10.3mol%、20m相当部で10.0mol%、30m相当部(最下部)で11.3mol%であった。
製造例6で得られたA4サイズのセルロース不織布4を4cm×4cmの大きさに裁断したものを93枚用意し、図4に示すように、このセルロース不織布401(製造例6で得たセルロース不織布4)を重ねて周囲にカプトンテープ402を巻き、ブロック状のセルロース不織布405を得た。これは図5に示すように、セルロース不織布401を30mのロール状に巻いたものの一部を再現したものである。
尚、セルロース不織布401の厚みが70μm程度で、巻き芯の外径が96.2mmとしたとき、セルロース不織布401を30mのロール状に巻くと、紙厚Dは6.5mmとなる。
20mLの無水酢酸を入れた容器に、このブロック状のセルロース不織布を、液と接触しないように容器内に設置し密閉した。容器を145℃に加熱し、容器内の温度を140℃まで昇温させ、無水酢酸蒸気をブロック状のセルロース不織布に90分間(処理時間)接触させ、反応を行った。反応後、140℃の熱風乾燥機で乾燥させ、残留ガスを除去した。得られたセルロース不織布の化学修飾率は、0m相当部(最上部)で11.7mol%、10m相当部で11.3mol%、15m相当部で10.3mol%、20m相当部で10.0mol%、30m相当部(最下部)で11.3mol%であった。
以上の結果から、本発明の化学修飾セルロース不織布の製造方法によれば、セルロース不織布をロール状にして化学修飾を行っても、不織布全体にわたり、均一に所望の化学修飾率を有するセルロース不織布を得られることがわかった。
これにより、生産性よく、化学修飾セルロース不織布を製造することが可能になる。
これにより、生産性よく、化学修飾セルロース不織布を製造することが可能になる。
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2011年10月17日出願の日本特許出願(特願2011−228102)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
100,200,300 変性装置
101,201,301,401 セルロース不織布
102,202,302 反応装置
108,208 ヒーター
402 カプトンテープ
405 ブロック状のセルロース不織布
D 紙厚
101,201,301,401 セルロース不織布
102,202,302 反応装置
108,208 ヒーター
402 カプトンテープ
405 ブロック状のセルロース不織布
D 紙厚
Claims (9)
- 化学修飾セルロース不織布の製造方法であって、
数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布を用い、
反応性ガスを用いて、前記セルロース不織布中のセルロースを化学修飾する、製造方法。 - 前記反応性ガスは、気体状態の酸または酸無水物である、請求項1に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
- ロール状のセルロース不織布に対し、前記反応性ガスを接触させる、請求項1または請求項2に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
- 前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応系内の温度が250℃以下である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
- 前記反応性ガスを用いて化学修飾する際の、反応時間が3時間以下である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
- 得られる化学修飾セルロース不織布の化学修飾率が5〜65mol%である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の化学修飾セルロース不織布の製造方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、化学修飾セルロース不織布。
- 請求項7に記載の化学修飾セルロース不織布と樹脂とを含有する、セルロース繊維樹脂複合材料。
- 反応性ガスを用いて、数平均繊維径が2〜400nmのセルロース繊維のセルロース不織布中のセルロースを化学修飾した後、
化学修飾されたセルロース不織布と樹脂とを複合化させる、セルロース繊維樹脂複合材料の製造方法。
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