JP5386866B2 - ナノファイバーシート - Google Patents

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Description

本発明はナノファイバーの不織布(以下「ナノファイバーシート」と称す。)及びその製造方法に係り、高弾性率、低線熱膨張係数で、光透過率の高い均質で平坦なシートを、セルロースのみで実現することができるナノファイバーシート及びその製造方法に関する。
繊維強化複合材料として最も一般的なものに、ガラス繊維に樹脂を含浸させたガラス繊維強化樹脂が知られている。通常、このガラス繊維強化樹脂は不透明なものであるが、ガラス繊維の屈折率とマトリクス樹脂の屈折率とを一致させて、透明なガラス繊維強化樹脂を得る方法が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
ところで、LEDや有機エレクトロニクスデバイスの実装に用いられる透明フレシキシブル基板には、低熱膨張性、高強度、高弾性、軽量性等が要求される。しかし、ガラス繊維強化樹脂基板では、低熱膨張性、高強度を満たすことはできても、軽量性を満たすことはできない。また、通常のガラス繊維補強では、繊維径がマイクロサイズのため、特定の雰囲気温度、特定の波長域以外では透明にならず、実用上透明性は不十分であった。さらに、雰囲気温度の変化に対して平坦性や表面の平滑性が悪化する問題があった。
このような状況において、本出願人は先に、温度や可視波長域にかかわらず、また組み合わせる樹脂材料の屈折率にさほど影響を受けることなく、優れた透明性を示し、かつ表面平滑性にも優れ、低熱膨張性で、高強度、軽量、かつフレキシブルな繊維強化複合基板材料として、平均繊維径が4〜200nmの繊維とマトリクス材料とを含有し、50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が60%以上である繊維強化複合材料を提案した(特許文献3)。
本出願人はまた、この繊維強化複合材料の吸湿性を改善すべく、繊維強化複合材料を構成するセルロース繊維の水酸基を化学修飾した繊維強化複合材料を提案した(特許文献4)。
特許文献3や特許文献4では、バクテリアにより産生されたセルロース繊維(以下「バクテリアセルロース」と称す。)、又はパルプやコットン等を解繊してミクロフィブリル化したセルロース繊維をシート化したものにマトリクス材料を含浸させている。
また、特許文献5、特許文献6には、セルロース繊維等の天然繊維を懸濁状態で2枚の回転するディスク間で解繊してなる超微細繊維が提案されている。この特許文献5、特許文献6では、機械的解繊処理を10〜20回繰り返して行うことにより繊維の微細化を行っている。
特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されるような、微細繊維のシートにマトリクス材料を含浸させて透明性の高い繊維強化複合材料を得るためには、シートを形成する繊維が十分に細繊化(ナノファイバー化)されている必要がある。また、高弾性率で低線熱膨張係数の繊維強化複合材料を実現するためには、繊維を構成する結晶セルロースが解繊により破壊されず、結晶度の高い状態を維持していることが必要とされる。
このため、特許文献6では、解繊に先立ちナノファイバー前駆体を乾燥させないように、所定の水分量を維持することで、十分に微細化されたナノファイバーシートを得ている。
特開平9−207234号公報 特開平7−156279号公報 特開2005−60680号公報 特開2007−51266号公報 特開2003−155349号公報 特開2008−24788号公報
特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている、微細繊維のシートにマトリクス材料を含浸させた複合材料では、いずれも高透明性のために、微細繊維のシートと透明樹脂よりなるマトリクス材料との複合化が必要である。しかし、透明樹脂は線熱膨張係数が高く、弾性率が低い。従って、セルロース単体のものと比較すると、これに透明樹脂を複合化した複合材料の線熱膨張係数は高くなり、また、弾性率は低くなるという問題がある。
本発明は上記従来の問題点を解決し、高透明性で高弾性率、低線熱膨張係数、かつ平坦性や平滑性の高いナノファイバーシート、特に光透過率の高い、均質で平坦なシートを、セルロースのみで実現したナノファイバーシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ナノファイバーシートの表面を平滑化することにより、光の表面散乱を抑えることができ、この結果、マトリクス材料との複合化を必要とすることなく、高透明かつ高弾性率で、低線膨張係数のナノファーバーシートとすることができることを見出した。
本発明は、このような知見に基くものであり、以下を要旨とする。
[1] 木粉、またはパルプから得られる、セルロース含有量が90重量%以上のナノファイバーの不織布(以下「ナノファイバーシート」と称す。)において、下記(1)〜(5)の物性を満たすことを特徴とするナノファイバーシート。
(1) 60μm厚での波長600nmの光の平行光線透過率が70%以上
(2) JIS K7161法によるヤング率が10GPa以上、15GPa以下
(3) ASTM D606法による線熱膨張係数が10ppm/K以下
(4) 表面粗さ(Ra)が90nm以下
(5) 表面の最大高低差が300nm以下
[2] 空隙率が10%以下である、[1]に記載のナノファイバーシート。
[3] 波長250nmでの全光線透過率が5%以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のナノファイバーシート。
] 前記ナノファイバーが木粉から得られることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載のナノファイバーシート。
] 前記セルロースの水酸基の一部が化学修飾されていることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載のナノファイバーシート。
本発明のナノファイバーシートは、物理的に表面平滑化処理するなどして、表面の平滑性、平坦性を高めることにより、シートのみで高透明性を実現したものであり、マトリクス材料との複合化が不要であることから、弾性率が高く、線熱膨張係数が低い。
即ち、シートを透明なものとするためには、シート内部の散乱を抑え、かつ、表面散乱を抑えることが必要である。本発明では、低空隙率で内部の光散乱の少ないナノファイバーシートを表面平滑化することによって、表面の光散乱も抑えて、高い透明性を得ることを可能とする。このため、マトリクス材料との複合化が不要であることから、ナノファイバーシート本来の弾性率、線熱膨張率を維持したまま高透明材料を得ることができ、また、このようなナノファイバーシートは耐熱性にも優れる。
前述のように、従来においては、高透明性を実現するためには、ナノファイバーシートとマトリクス材料との複合化が必要であったが、本発明では複合材料としなくても、ナノファイバーシートだけで透明なシート得られる。このため、複合化工程が不要となり、複合材料よりもさらに線膨張係数や弾性率の高いシートが得られる。また、樹脂による紫外光の吸収が少ないため、300nm以下の波長での全光線透過光強度が高いシートが得られる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[各材料の物性値等]
本発明において規定される各材料の物性値、その他の特性等の詳細ないし測定方法は以下の通りである。なお、測定方法については、実施例の項で具体的に記載する。
(1) 全光線透過率
ナノファイバーシートの全光線透過率は、後述の実施例の項に記載の方法に従って、作製したナノファイバーシートに対して、厚さ方向に波長600nmの光を照射した時の全光線透過率である。なお、全光線透過率は、空気をレファレンスとして、光源とディテクターを被測定基板(試料基板)を介して、かつ基板に対して垂直となるように配置し、全透過光線を測定することにより求めることができる。
比較例に記載のナノファイバーシート及び複合材の全光線透過率についても、上記と同様にして測定される。
(2) 平行光線透過率
ナノファイバーシートの平行光線透過率は、後述の実施例の項に記載の方法に従って、作製したナノファイバーシートに対して、厚さ方向に波長600nmの光を照射した時の平行光線透過率(直線光線透過率)である。なお、平行光線透過率は、空気をレファレンスとして、光源とディテクターを被測定基板(試料基板)を介して、かつ基板に対して垂直となるように配置し、平行光線(直線透過光)のみをディテクトするようにディテクターと比測定基板を十分に離して測定することにより求めることができる。
比較例に記載のナノファイバーシート及び複合材の平行光線透過率についても、上記と同様にして測定される。
なお、ナノファイバーシートの厚さが60μmではない場合、60μm厚での平行光線透過率(%)は、当該ナノファイバーシート等の試料の厚さ(Dμm)の平行光線透過率(%)から、以下の比例計算で求めることができる。全光線透過率(%)についても同様である。
60μm厚での平行光線透過率=
100×(Dμm厚での平行光線透過率/100)(60/D)
(3) ヤング率
JIS K7161法に準拠して、幅5mm、長さ50mm、厚さ50μmに成形した試料に対して、変形速度5mm/minで引張試験を行い、比例限界以下での歪み量に対する応力から求める。
(4) 線熱膨張係数
試料を20℃から150℃に昇温させた際の線熱膨張係数であり、ASTM D696に規定された条件下で測定する。
(5) 平均面粗さ(Ra)・最大高低差
走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)、DFMモードで、試料表面に対して、20μmの表面粗さをスキャンして求める。
なお、この測定で最大高低差(試料表面のうち、最も低い凹部の深さと、最も高い凸部の高さとの合計)も求められる。
(6) 化学修飾による水酸基の置換度
セルロースの水酸基の化学修飾の程度を表す置換度は、無水グルコース単位に存在する3個の水酸基に対して導入された置換基数である。例えばアセチル基置換度(DS)は次の計算式で求められる。
DS=
{(反応後のシート重量)/(反応前のシート重量)×162.14−162.14}/42
但し、各シートの重量は、リグニン、ヘミセルロースを除くセルロースシートの値として計算する。
(7) 木粉のサイズ
木粉の長径、長径/短径比は、次のようにして求められる。
長径は試料を顕微鏡観察することにより測定される。
同様に短径を測定し、その結果から、長径/短径比を計算する。
また、短径は所定の大きさのメッシュを通すことにより、測定することもできる。凝集により、木粉サイズの測定が困難な場合は、乾燥することにより対処することができる。
(8) 水分含有量
試料を必要に応じて加熱して絶乾状態とし、その前後の重量の差から水分含有量を求める。
例えば、木粉は常温では絶乾状態とはならないため、加熱する。具体的には、木粉は105℃のオーブンで1晩放置すると完全な乾燥状態となるため、その前後の重量差から水分含有量を求めることができる。
(9) リグニンの定量方法
硫酸法により、次のようにして測定した。
秤量びん及びガラスフィルターを秤量しておく(ガラスフィルター及び秤量びんの合計重量:Mg)。精秤した約1gの試料(試料重量:Mr)を100mlビーカーに移し、約20℃の72%硫酸15mlを加え、よく撹拌した後、20℃で4時間放置する。これを、1000ml三角フラスコに、蒸留水560mlを用いて洗い移し、還流冷却管をつけて、4時間沸騰させる。放冷後内容物をガラスフィルターで吸引濾過後、500ml熱水で洗浄する。ガラスフィルターを秤量びんに移し、105℃で恒量になるまで乾燥し秤量する(測定重量:Mn)。
リグニン含有量は下記式で求められる。
リグニン含有量(重量%)=(Mn−Mg)/Mr ×100
(10) ヘミセルロースの定量方法
以下の手順で行った。
精秤した試料約1gを200ml容ビーカーに入れ(試料重量:Mh)、20℃の17.5重量%水酸化ナトリウム溶液25mlを加え、試料を均一に湿潤させて4分間放置後、5分間ガラス棒で試料を押しつぶし、十分に解離させてアルカリ液の吸収を均一にする。ビーカーを時計皿で蓋をし、放置する。以上の操作は20℃の恒温水槽中で行う。
水酸化ナトリウム水溶液を加えてから30分後、ガラス棒でかき混ぜながら20℃の蒸留水を注加する。引き続き1分間かき混ぜた後、20℃の恒温水槽中に5分間放置し、秤量したガラスフィルターで吸引濾過する。濾液は元に返して再濾過(濾過処理は5分以内に完了すること)し、ガラス棒で圧搾しながら5分以内に蒸留水で洗浄する。なお、洗浄の終点はフェノールフタレイン中性とする。洗浄した残渣に10重量%酢酸40mlを注ぎ、5分間放置後に吸引し、蒸留水1Lで洗浄する。105℃で恒量になるまで乾燥し秤量する(測定値:Mz)。
ヘミセルロース含有量は下記式で求められる。
ヘミセルロース含有量(重量%)=(Mh−Mz)/Mh ×100
(11) 引張強度
厚さ50μm、幅5mm、長さ50mmの試料について、JIS K7161に規定された方法に従って変形速度5mm/minで測定する。
(12) 空隙率
下記式で算出する。
Figure 0005386866
[ナノファイバーシート]
本発明のナノファイバーシートは、下記(1)〜(3)の物性を満足するものである。なお、ナノファイバーシートに面内異方性がある場合は、2方向の平均値が下記物性を満たすことが好ましい。
(1) 60μm厚での波長600nmの光の平行光線透過率が70%以上
(2) ヤング率が10GPa以上
(3) 線熱膨張係数が10ppm/K以下
<平行光線透過率>
本発明において、ナノファイバーシートの60μm厚での波長600nmの光の平行光線透過率は70%以上であることを特徴とする。この平行光線透過率が70%未満では、本発明で目的とする透明性を得ることができない。この平行光線透過率は、好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。本発明のナノファイバーシートの平行光線透過率は高い程好ましいが、通常その上限は92%以下である。
<ヤング率>
本発明のナノファイバーシートのJIS K7161法によるヤング率は10GPa以上であることを特徴とする。このヤング率が10GPa未満では、透明材料として用いる際に、熱膨張係数不足、弾性率不足、熱伝導率不足となる。このヤング率は好ましくは12GPa以上、より好ましくは13GPa以上である。本発明のナノファイバーシートのヤング率は高い程好ましいが、通常その上限は15GPa以下である。
<線熱膨張係数>
本発明のナノファイバーシートのASTM D606法による線熱膨張係数は10ppm/K以下であることを特徴とする。この線熱膨張係数が10ppm/Kより大きいと、本発明で目的とする低線熱膨張性を得ることができない。この線熱膨張係数は好ましくは8ppm/K以下、より好ましくは5ppm/K以下である。本発明のナノファイバーシートの線熱膨張係数は低い程好ましいが、通常その下限は1ppm/K以上である。線熱膨張係数がこれより小さいと不要な歪みがナノファイバーシートにかかっている恐れがある。
<平均面粗さ(Ra)>
本発明のナノファイバーシートの平均面粗さ(Ra)は好ましくは90nm以下である。この平均面粗さ(Ra)が90nmを超えると、本発明で目的とする表面平滑性、平坦性による高透明性を得ることができない場合がある。この平均面粗さ(Ra)は好ましくは40nm以下、より好ましくは20nm以下である。本発明のナノファイバーシートの平均面粗さ(Ra)は低い程好ましいが、通常その下限は5nm以上である。
同様な理由から、本発明のナノファイバーシートの表面の最大高低差は1000nm以下、特に300nm以下であることが好ましい。最大高低差は小さい程好ましいが、通常その下限は50nm以上である。
なお、本発明において、ナノファイバーシートは、上述の平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差の上限を、その一方の面についてのみ満たすものであっても良いが、少なくとも両面の平均値が上述の平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差の上限を満たすことが好ましく、特には、ナノファイバーシートの両面が、いずれも、上述の平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差の上限を満たすことが好ましい。なお、ナノファイバーシートの両面について必ずしも同等の平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差の値を有する必要はなく、一方の面と他方の面とで異なっていても良い。
<全光線透過率>
本発明のナノファイバーシートの波長250nmでの全光線透過率は好ましくは5%以上である。この全光線透過率が5%未満では、本発明で目的とする高透明性を得ることができない場合がある。この全光線透過率は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である。本発明のナノファイバーシートの全光線透過率は高い程好ましいが、通常その上限は50%以下である。
<引張強度>
本発明のナノファイバーシートは、引張強度が、好ましくは180MPa以上であり、より好ましくは210MPa以上である。引張強度が150MPaより小さいと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。引張強度の上限については、通常400MPa程度であるが、繊維の配向を調整するなどの改良手法により、10GPa、更には15GPa程度の高い引張強度を実現することも期待される。
<空隙率>
ナノファイバーシートの空隙率が大き過ぎると、シート内部での光散乱が大きく、良好な透明性を得ることができない。ナノファイバーシートの空隙率は、10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
<ナノファイバー原料>
本発明のナノファイバーシートのナノファイバーは、木粉から得られることが好ましい。
即ち、前述の特許文献3,4に記載されるバクテリアセルロースでは、高価であること、また均一でうねりや反りのないシートを得ることが難しく、また複屈折が大きいなどの問題がある。
また、コットンでは、リグニンやヘミセルロースを含まないために機械的解繊効果が悪く、例えばグラインダー処理で解繊する場合、コットンは木粉の10倍以上の解繊処理時間を要するために、結晶セルロースが破壊されて結晶化度が低下するという問題がある。
また、パルプでも乾燥が行われるために、やはり機械的解繊効率が悪い。なお、通常パルプの水分含有量は常温で10重量%程度である。
これに対して、木粉であれば、後述の如く、適当なリグニン除去処理、及びヘミセルロース除去処理を行った後、乾燥させることなく機械的解繊を行うことにより、結晶セルロースを破壊するような過度な解繊処理を必要とすることなく、結晶化度を高く維持してナノファイバー化を達成することができる。しかも、バクテリアセルロースのような繊維の分岐もないため、均一でうねりや反りのないシートを得ることができ、複屈折を低減することが可能である。
原料となる木粉としては、木材の粉、竹材の粉などが好適に使われるが、中でも特に長径が2mm以下で、30μm以上のものが好適である。木粉の長径が大きすぎると、その後の機械的解繊工程で解繊が不十分になる可能性がある。木粉の長径が小さすぎると、粉砕時にセルロース結晶が破壊されて結晶化度が不十分になり、目的とする効果が得られない可能性がある。
木粉の長径の上限は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、最も好ましくは500μm以下である。また、木粉の長径の下限は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、最も好ましくは100μm以上である。
また、木粉の長径と短径の比は、大き過ぎるグラインダーにかかりにくくなるので好ましくない。長径/短径で好ましくは40以下、より好ましくは20以下、最も好ましくは10以下である。この比は通常1以上である。
また、ナノファイバーの原料木粉は水分含有量が3重量%以上であることが好ましい。木粉の水分含有量が3重量%未満では、セルロース繊維同士が近接してセルロース繊維間の水素結合が発達し、機械的解繊効果が悪く解繊が不十分となる。木粉の水分含有量が70重量%を超えると木粉が軟化して取扱いや、搬送が難しくなる。
木粉としては竹粉、針葉樹の木粉、広葉樹の木粉等、好適に使うことができるが、リグニン除去においては、広葉樹の木粉が簡易にリグニン除去を行える利点がある。
上記好適な物性を満たす木粉は、広葉樹、針葉樹、竹、ケナフ、ヤシなどから調達可能だが、この中では、広葉樹、針葉樹の幹や枝から調達することが好ましい。
<セルロース含有率>
本発明のナノファイバーシートはセルロース含有率が90重量%以上であることが好ましい。セルロース含有率が90重量%未満では加熱プロセスでの黄変が顕著である。
本発明のナノファイバーシートのセルロース含有率はより好ましくは93重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。
<リグニン含有量>
ナノファイバーシートのリグニン含有量が多く、後述のリグニン除去工程において、リグニンの除去が十分に行われていないと、リグニンを除去した後の空隙を機械的解繊時のトリガーとして、機械的解繊効率を高める効果を十分に得ることができない。
しかし、リグニン含有量が10重量%より多いナノファイバーシートでは、残留リグニンが180℃以上での高温処理時の変色の原因となり、好ましくない。180℃以上での高温処理は、例えば透明導電膜の製膜工程やフォトリソグラフィープロセスにおける焼付け工程あるいは塗布型の透明材料や発光材料の乾燥・硬化処理、低分子量成分や残留溶媒除去処理で通常必要とされる加熱処理温度であり、従って、180℃以上の耐熱性は有機デバイス用基板材料、透明材料として用いる場合には重要な特性である。従って、本発明において、ナノファイバーシートのリグニン含有量は好ましくは10重量%以下とする。
一方で、リグニンは、後述の機械的解繊工程において、可塑剤的な作用を奏するため、ある程度のリグニンを含むことが機械的解繊効果の向上のために必要である。リグニン含有量が10ppmより少ないと、機械的解繊によるナノファイバー化が不十分になり易いため、本発明においてナノファイバーシートのリグニン含有量は10ppm以上であることが好ましい。
ナノファイバーシートのリグニン含有量の下限は好ましくは20ppm以上、より好ましくは50ppm以上、最も好ましくは100ppm以上であり、上限は好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
<ヘミセルロース含有量>
本発明のナノファイバーシートにおいて、ヘミセルロース含有量には特に制限はないが、ヘミセルロース含有量が多いものは透明シートとした際に、熱膨張係数の低減が不足したり、弾性率が低下したり、熱伝導係数が低下したりする問題がある。逆に、ヘミセルロース含有量が少ないものはリグニンの混合ほどではないが、同様のメカニズムにより、解繊が不十分となり易いことから、ヘミセルロース含有量は10重量%以下、特に7重量%以下で100ppm以上、特に200ppm以上であることが好ましい。
<化学修飾>
本発明のナノファイバーシートを構成するセルロースは、その水酸基の一部が化学修飾されていても良く、水酸基を化学修飾することにより、耐熱性を高め、熱分解温度の向上、変色防止、線熱膨張係数の低下、吸湿性の低減を図ることができる。
この化学修飾により水酸基に導入される置換基には特に制限はないが、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基等の1種又は2種以上が挙げられる。好ましくは、アシル化である。
化学修飾の程度としては、過度に化学修飾による水酸基の置換割合が少な過ぎると化学修飾による耐熱性、吸湿性等の改善効果を十分に得ることができず、逆に多過ぎると、化学修飾のための処理工程でナノファイバーの結晶セルロースが破壊される恐れがあることから、前述の置換度として1.2以下、より好ましくは0.8以下特に0.6以下で0.05以上、より好ましくは0.2以上、特に0.4以上であることが好ましい。
[ナノファイバーシートの製造方法]
本発明のナノファイバーシートの製造方法は、前述のような本発明のナノファイバーシートを製造する方法であって、物理的な表面平滑化処理工程を含むことを特徴とする。好ましくは、木粉等のナノファイバー前駆体を機械的に解繊してナノファイバーを得る解繊工程を含むものであるが、具体的には次のような手順で実施される。このような手順において、(f)の機械的解繊工程より前の全ての工程において、ナノファイバー前駆体の水分含有量が3重量%以上である、つまり、決して3重量%未満にならないことが好ましい。ナノファイバー前駆体の水分含有量は好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。ナノファイバー前駆体中の水分含有量が少なすぎる工程を経ると、セルロース繊維同士が近接して、セルロース繊維間の水素結合が発達し、機械的解繊効果が悪く、解繊が不十分となる。
(a)脱脂工程
(b)リグニン除去工程
(c)洗浄工程
(d)ヘミセルロース除去工程
(e)水洗工程
(f)機械的解繊工程
(g)抄紙工程
(h)物理的な表面平滑化処理工程
更に、上記抄紙工程後、物理的な表面平滑化処理工程の前に、セルロースの水酸基の化学修飾のための
(x)化学修飾工程
を有していてもよい。この化学修飾工程は、機械的解繊工程の前や機械的解繊工程の後に行うこともできる。
なお、原料としては、前述の如く、木粉が好適に用いられる。
以下に、本発明のナノファイバーシートの製造方法を、その手順に従って説明する。
なお、以下においては、原料、即ちナノファイバー前駆体として木粉を用いてナノファイバーシートを製造する場合を例示して説明するが、本発明のナノファイバーシートの製造方法は、物理的な表面平滑化処理工程により、前述の物性を満たす本発明のナノファイバーシートを製造することができるのであれば、原料としては木粉以外のものも用いることができる。
<脱脂工程>
脱脂工程は、有機溶媒を用いて抽出を行う工程であることが好ましく、この有機溶媒としては、特にエタノール・ベンゼン混液が好適に用いられる。即ち、メタノール・トルエン混液は、溶出力が大きいという利点が有り、好ましい。
メタノール・トルエン混液を用いる脱脂処理は、まず、木粉を円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出器フラスコにメタノール・トルエン混液(メタノール:トルエン=1容:2容)を入れる。抽出器を組み立てて湯浴中で6時間抽出する。この操作では、溶媒が弱く沸騰して約10分間に1回の割合でサイホン管を通じて還流する程度に加熱する。抽出処理後、溶媒を湯浴上で蒸留回収し、試料を風乾させる。
この工程では木粉等に数%以下含まれる油溶性の不純物を除去することが目的である。油溶性の不純物の除去が不十分であると、高温処理時の変色、経時変化、熱膨張低減不足、弾性率低下などの問題が発生する場合がある。
<リグニン除去工程>
リグニン除去工程は、木粉を酸化剤に浸漬する工程であることが好ましく、この酸化剤としては、特に亜塩素酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。
このようなリグニン除去処理は、亜塩素酸ナトリウムと酢酸を用いるWise法が、操作が簡単で大量の木粉に対しても適応できるという利点が有り、好ましい。
Wise法によるリグニン除去は、原料木粉10gに対して蒸留水600ml、亜塩素酸ナトリウム4g、酢酸0.8gを加え、70〜80℃の湯浴中で時折撹拌しながら1時間、加温する。1時間後、冷却することなく亜塩素酸ナトリウム4g、酢酸0.8gを加えて反復処理をする。反復処理は木粉が白色になるまで繰り返し、例えばこの操作を針葉樹の場合は計4回以上、広葉樹の場合は計3回以上行う。
なお、上記の各試薬濃度や添加量、処理濃度、処理時間は一例であって、何らこれに限定されない。
その他のリグニン除去方法としては例えば、パルプ製造工程で採用される塩素処理とアルカリ抽出による多段処理や、二酸化塩素漂白、アルカリ存在下での酸素による漂白などがある。しかし、塩素処理はセルロースの重合度低下を引き起こすので避けることが望ましい。
このリグニン除去処理は、好ましくは前述のリグニン含有量のナノファイバーシートが得られるように、その処理条件を適宜調整する。
<洗浄工程>
上記リグニン除去処理後の洗浄工程は、例えば、亜塩素酸ナトリウム処理液に浸漬した木粉を吸引濾過で回収し、吸引しながら水洗を行うことにより実施される。このときの水洗に使用される水の量は木粉が中和される量であれば良く、例えば10gの木粉に対して、2Lの水が用いられる。
<ヘミセルロース除去工程>
ヘミセルロース除去工程は、木粉をアルカリに浸漬する工程であることが好ましく、このアルカリとしては、水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
ヘミセルロースの除去に用いるアルカリは強過ぎるとセルロースの結晶を溶解ないし変質させてしまい、弱すぎるとヘミセルロースの除去効果が得られないため、水酸化カリウム水溶液であれば1〜10重量%、特に2〜8重量%程度の濃度のものを用いるのが好ましい。
なお、低濃度であれば水酸化ナトリウム水溶液も使用可能であるが、水酸化ナトリウムの方が水酸化カリウムよりもセルロース結晶を変質させ易いので、好ましくは水酸化カリウム水溶液を用いる。
浸漬時間は、アルカリの濃度にもよるが、例えば2重量%の水酸化カリウム水溶液であれば、室温で1晩浸漬した後、80℃で2時間加熱することによりヘミセルロースの除去が可能である。
このヘミセルロース除去処理は、好ましくは前述のヘミセルロース含有量のナノファイバーシートが得られるように、その処理条件を適宜調整する。
<水洗工程>
ヘミセルロース除去工程後の水洗工程は、例えば、アルカリに浸漬した木粉を吸引濾過で回収し、吸引しながら水洗を行うことにより実施される。このときの水洗に使用される水の量は木粉が中和される量であれば良く、例えば10gの木粉に対して、2L以上の水が用いられる。
<機械的解繊工程>
機械的解繊工程では固型分含有量が0.1〜5重量%のナノファイバー前駆体溶液、若しくは分散液を用いることが好ましい。この固型分含有量はさらに好ましくは、0.1〜3重量%である。固型分含有量が多すぎると解繊前又は最中に流動性が悪化して、解繊不十分となる。少なすぎると、解繊効率が悪く、工業的に不適切である。
機械的解繊は、グラインダーもしくはグラインダーと他の装置との組合せにより行うことが好ましい。
グラインダーは、上下2枚のグラインダー(砥石)の間隙を原料が通過するときに発生する衝撃、遠心力、剪断力により、原料を超微粒子に粉砕する石臼式粉砕機であり、剪断、磨砕、微粒化、分散、乳化、フィブリル化を同時に行うことができるものである。グラインダー以外の手段としては、他にホモジナイザー、リファイナーなどが挙げられるが、リファイナーやホモジナイザーだけでナノレベルまで均一に解繊することは難しく、通常はグラインダー処理のみか、或いはグラインダー処理を最初に実施しその後にリファイナー、ホモジナイザー処理を実施することが好ましい。
グラインダーによる機械的解繊においては、向かい合った板状の砥石を用い、好ましくは以下のような条件で実施される。
砥石間間隙:1mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm
以下、0.001mm以上、好ましくは0.01mm以上、より好ましく
は0.05mm以上、最も好ましくは0.1以上
砥石の直径:10cm以上、100cm以下、好ましくは50cm以下
砥石の回転数:500rpm以上、好ましくは1000rpm以上、最も好ましくは
1500rpm以上、5000rpm以下、好ましくは3000rpm
以下、最も好ましくは2000rpm以下
砥石間の木粉の滞留時間:1〜30分、より好ましくは5〜25分、最も好ましくは
10〜20分
処理温度:30〜90℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃
砥石間間隙が上記値未満、直径が上記値超過、回転数が上記値超過、滞留時間が上記値超過の場合は、セルロースの結晶性が低下し、得られるナノファイバーシートの高弾性率、低熱膨張等の特性が低下するので好ましくない。
砥石間間隙が上記値超過、直径が上記値未満、回転数が上記値未満、滞留時間が上記値未満の場合は、十分なナノファイバー化を行えない。
また、解繊処理温度が上記値超過では、木粉が沸騰して解繊効率が低下したり、結晶セルロースが劣化する恐れがあり、上記値未満では解繊効率が悪い。
<抄紙工程>
上記機械的解繊後、得られた含水ナノファイバーを抄紙して、水分含有量が3重量%未満となるように水分除去を行うことによりナノファイバーシートを得ることができる。
この水分除去法としては、特に限定されないが、濾過や放置やコールドプレス等でまず水をある程度抜き、次いで、そのまま放置するか、又はホットプレス等で残存の水を完全に除去する方法、コールドプレス法の後、乾燥機にかけたり、自然乾燥させたりして水をほぼ完全に除去する方法等が挙げられる。
上記濾過とは、例えば減圧濾過装置を用いて水を除去する方法である。
上記の水をある程度抜く方法としての放置は、時間をかけて水を徐々に揮散させる方法である。
上記コールドプレスとは、熱をかけずに圧を加えて、水を抜き出す方法であり、ある程度の水を絞り出すことができる。このコールドプレスにおける圧力は、0.01〜10MPaが好ましく、0.1〜3MPaがより好ましい。圧力が0.01MPaより小さいと、水の残存量が多くなる傾向があり、10MPaより大きいと、ナノファイバーシートが破壊される場合がある。また、温度は特に限定されないが、操作の便宜上、常温が好ましい。
上記の残存の水をほぼ完全に除去する方法としての放置は、時間をかけてナノファイバーを乾燥させる方法である。
上記ホットプレスとは、熱を加えながら圧をかけることにより、水を抜き出す方法であり、残存の水をほぼ完全に除去することができる。このホットプレスにおける圧力は、0.01〜10MPaが好ましく、0.2〜3MPaがより好ましい。圧力が0.01MPaより小さいと、水を除去できなくなる場合があり、10MPaより大きいと、得られるナノファイバーが破壊される場合がある。また、温度は100〜300℃が好ましく、110〜200℃がより好ましい。温度が100℃より低いと、水の除去に時間を要し、一方、300℃より高いと、セルロース繊維の分解等が生じるおそれがある。
また、上記乾燥機による乾燥温度についても、100〜300℃が好ましく、110〜200℃がより好ましい。乾燥温度が100℃より低いと、水の除去ができなくなる場合があり、一方、300℃より高いと、セルロース繊維の分解等が生じるおそれがある。
空隙率の小さいナノファイバーシートを得る上で、プレス工程を経ることが好ましく、また、ナノファイバーシートの熱膨張係数をより低減させる目的では、ホットプレスがより好ましい。これは、繊維絡み合い部の水素結合をより強化することができる為である。
<化学修飾工程>
抄紙により得られたナノファイバーシートのセルロースの水酸基を化学修飾する工程は、ナノファイバーのセルロース繊維の水酸基を、酸、アルコール、ハロゲン化試薬、酸無水物、及びイソシアナートよりなる群から選ばれる1種又は2種以上で化学修飾することにより、疎水性官能基をエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合のいずれか1種以上により導入する工程であることが好ましい。
なお、以下において、セルロースの水酸基の一部が化学修飾されたナノファイバーシートを「誘導体化ナノファイバーシート」と称す。
本発明において、化学修飾によりセルロースの水酸基に導入する官能基としては、アセチル基、メタクリロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられ、セルロース繊維の水酸基には、これらの官能基の1種が導入されていても良く、2種以上が導入されていても良い。
これらのうち、特にエステル系官能基が好ましく、とりわけ、アセチル基等のアシル基、及び/又はメタクリロイル基が好ましい。
また、メタクリロイル基、ピバロイル基、長鎖アルキル基、長鎖アルカノイル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のように比較的嵩高い官能基を導入する場合、このような嵩高い官能基のみでセルロースの水酸基を高い置換度で化学修飾することは困難である。従って、このような嵩高い官能基を導入する場合には、嵩高い官能基を一旦導入した後、再度化学修飾を行って、残余の水酸基にアセチル基、プロパノイル基、メチル基、エチル基等の嵩の小さい官能基を導入して置換度を高めることが好ましい。
なお、上記官能基を導入するための酸、アルコール、ハロゲン化試薬、酸無水物、及びイソシアナートよりなる群から選ばれる1種又は2種以上よりなる化学修飾剤としては、具体的には次のようなものが挙げられる。
Figure 0005386866
セルロースの化学修飾は常法に従って行うことができ、例えば、前述のナノファイバーシートを化学修飾剤を含む溶液に浸漬して適当な条件で所定の時間保持する方法などを採用することができる。
この場合、化学修飾剤を含む反応溶液としては、化学修飾剤と触媒のみであっても良く、化学修飾剤の溶液であっても良い。化学修飾剤及び触媒を溶解する溶媒としては、水、一級アルコール及び二級アルコール以外では特に制限は無い。触媒としてはピリジンやN,N−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、水素ナトリウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることができる。反応速度の速さや、重合度低下の防止のためピリジン等の塩基性触媒を用いることが好ましい。化学修飾によるナノファイバーシートの着色の問題が無く、反応温度を高めて置換度を高めることができる点においては、酢酸ナトリウムが好ましい。また、化学修飾によるナノファイバーシートの着色の問題が無く、室温下、短時間かつ少量の化学修飾剤添加量の反応条件において置換度を高めることができる点においては、過塩素酸あるいは硫酸が好ましい。反応溶液を化学修飾剤溶液とする場合、反応溶液中の化学修飾剤濃度は1〜75重量%であることが好ましく、塩基性触媒存在下においては25〜75重量%であることが更に好ましく、また、酸性触媒存在下においては1〜20重量%であることが更に好ましい。
化学修飾処理に於ける温度条件としては過度に高いとセルロース繊維の黄変や重合度の低下等が懸念され、過度に低いと反応速度が低下することから塩基性条件下においては40〜100℃程度、酸性条件下においては10〜40℃が適当である。この化学修飾処理においては、1kPa程度の減圧条件下、1時間程度静置し、ナノファイバーシート内部の細部に反応溶液を内部までよく注入することでナノファイバーと化学修飾剤との接触効率を高めるようにしても良い。また、反応時間は用いる反応液及びその処理条件による反応速度に応じて適宜決定されるが、通常、塩基性条件下では24〜336時間程度、酸性条件下では0.5〜12時間程度である。
前述の機械的解繊及び抄紙により得られるナノファイバーシートは、その繊維の交差・密着構造のために、前述の化学修飾剤を含む反応液の浸透性が悪く、化学修飾の際の反応速度が遅い場合がある。
そこで、本発明では、前述の抄紙工程において、水分除去処理を行う前の水分を含むナノファイバーシートを、必要に応じてコールドプレスのみを行って、水分の一部のみを除去し、若干の水分を含む状態とし(第1の工程)、この含水ナノファイバーシート中の水を、適当な有機溶媒(第1の有機溶媒)と置換し(第2の工程)、この有機溶媒を含むナノファイバーシートを反応液に接触させることにより、含水ナノファイバーシート内に反応液を効率的に浸透させ(第3の工程)、ナノファイバーと反応液との接触効率を高めることにより化学修飾の反応速度を高めることが好ましい。
ここで、用いる第1の有機溶媒としては含水ナノファイバーシート内の水から第1の有機溶媒へ、更に化学修飾剤を含む反応液への置換を円滑に行うために水及び、化学修飾剤を含む反応液と互いに均一に混ざり、なおかつ、水及び反応液よりも低沸点であるものが好ましく、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトン等のケトン;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;酢酸等のカルボン酸;アセトニトリル等のニトリル類等、その他ピリジン等の芳香族複素環化合物等の水溶性有機溶媒が好ましく、入手の容易さ、取り扱い性等の点において、エタノール、アセトン等が好ましい。これらの有機溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
含水ナノファイバーシート中の水を第1の有機溶媒と置換する方法としては特に制限はないが、含水ナノファイバーシートを第1の有機溶媒中に浸漬して所定の時間放置することにより含水ナノファイバーシート中の水を第1の有機溶媒側へ浸出させ、浸出した水を含む第1の有機溶媒を適宜交換することによりナノファイバーシート中の水を第1の有機溶媒と置換する方法が挙げられる。この浸漬置換の温度条件は、第1の有機溶媒の揮散を防止するために、0〜60℃程度とすることが好ましく、通常は室温で行われる。
なお、この含水ナノファイバーシート中の水を第1の有機溶媒と置換するに先立ち、含水ナノファイバーシートをコールドプレスして、ナノファイバーシート中に含まれる水分の一部を除去することが、水と第1の有機溶媒との置換を効率的に行う上で好ましい。
このプレスの程度は、後述の誘導体化ナノファイバーシートへの含浸用液状物の含浸に先立つプレスとで、目的とする繊維含有率の繊維強化複合材料が得られるように設計されるが、一般的には、プレスにより、含水ナノファイバーシートの厚さがプレス前の厚さの1/2〜1/20程度となるようにすることが好ましい。このコールドプレス時の圧力、保持時間は、0.01〜100MPa(ただし、10MPa以上でプレスする場合は、ナノファイバーシートが破壊される場合があるので、プレススピードを遅くするなどしてプレスする。)、0.1〜30分間の範囲でプレスの程度に応じて適宜決定される。プレス温度は、上記の水と有機溶媒との置換時の温度条件と同様の理由から0〜60℃程度とすることが好ましいが、通常は室温で行われる。このプレス処理により厚さが薄くなった含水ナノファイバーシートは、水と第1の有機溶媒との置換を行っても、ほぼその厚さが維持される。ただし、このプレスは必ずしも必要とされず、含水ナノファイバーシートをそのまま第1の有機溶媒に浸漬して水と第1の有機溶媒との置換を行っても良い。
このようにして、ナノファイバーシート中の水を第1の有機溶媒と置換した後、有機溶媒を含むナノファイバーシートを前述の反応液中に浸漬して化学修飾を行う。この際の処理条件としては、前述の水を除去した後のナノファイバーシートの化学修飾処理の際の処理条件と同様であるが、反応速度の向上で処理時間については、塩基性条件下では12〜118時間程度、酸性条件下では0.3〜3時間程度である。
この化学修飾は、前述の置換度でセルロースの水酸基が化学修飾されるような程度となるように行われる。
<物理的な表面平滑化処理工程>
上述のようにして得られたナノファイバーシートの物理的な表面平滑化処理方法としては、特に限定されないが、研磨やプレス等が挙げられる。
上記研磨とは、サンドペーパーやエメリーペーパー等で凹凸を除去し、表面を平滑化する方法である。
また、上記プレスとは、平板やロールの間にシートを挟んで圧力をかけることにより、表面を平滑化する方法である。
研磨により表面平滑化する場合に用いるサンドペーパーとしては、具体的には#4000〜#20000(粒径3〜0.1μm)を用いることができる。また、エメリーペーパーとしては、具体的には三共理化学株式会社製#4000〜#20000(粒径3〜0.1μm)を用いることができる。
研磨によりシートの表面平滑化を行う場合、研磨前のシートの表面平滑性によっても異なるが、その研磨の程度としては、例えばシート表面の100〜1400nmの厚さの表層部分を研磨により除去するような程度であることが好ましい。なお、研磨は、ナノファイバーシートの一方の面に対してのみ行うことも可能であるが、好ましくはナノファイバーシートの両面に対して行う。
また、プレスによりシートの表面平滑化を行う場合、その際の加圧力の程度としては適宜調整することが好ましい。この加圧力が小さすぎると十分に表面平滑化することができず、大き過ぎるとシートが損傷するおそれがある。
なお、加圧時には、加熱を併用しても良く、その場合の加熱温度は40〜160℃、特に80〜120℃とすることが好ましい。この加熱温度が低過ぎると加熱による平滑化効果を十分に得ることができず、高過ぎるとシートが熱劣化するおそれがある。
この物理的な表面平滑化処理工程は、本発明のナノファイバーシートの平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差が、前述の平均面粗さ(Ra)、更には表面の最大高低差となるように行われる。
[用途]
本発明のナノファイバーシートはマトリクス材料との複合化を行うことなく高い透明性を実現することができるため、マトリクス材料と複合化することによる弾性率の低下や線熱膨張係数の増大を防止することができる上に、複合化の工程を不要として、生産効率の向上、生産コストの低減を図ることができる。
ただし、本発明のナノファイバーシートは、透明樹脂との複合材料としての用途にも用い得る。
本発明のナノファイバーシートは、その高透明性、高弾性率、更には高強度、耐熱性、低比重性により、配線基板等の基板材料や、移動体用窓材料、有機デバイス用ベースシート、特にフレキシブルOLED用シート、面発光照明シート、薄膜太陽電池用シート等に有効である。中でも紫外領域の透過光強度が高いので、太陽電池で高エネルギー波長を利用する場合の基板として有効である。また、フレキシブル光導波路基板、LCD基板にも適用でき、シート上にトランジスタや透明電極、パッシベーション膜、ガスバリア膜、金属膜等、無機材料、金属材料、精密構造を設ける用途、中でもロールツーロールプロセスで製造する用途に有効である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、ナノファイバーシート、繊維樹脂複合材料の各種物性の測定方法は次の通りである。
[全光線透過率]
<測定装置>
日立ハイテクノロジーズ社製「UV−4100形分光度計」(固体試料測定システム)を使用。
<測定条件>
・6mm×6mmの光源マスク使用
・測定サンプルを積分球開口部において測光した。サンプルをこの位置に置くことで、拡散透過光と直線透過光の両方が積分球内部の受光部に届き、全光線透過率が測定できる。
・リファレンスサンプルなし。リファレンス(試料と空気との屈折率差によって生じる反射。フレネル反射が生じる場合は、平行光線透過率100%ということはあり得ない。)がないため、フレネル反射による透過率のロスが生じている。
・光源:ヨウ素タングステンランプ
・測定波長:1000−190nm
[平行光線透過率]
<測定装置>
同上
<測定条件>
・同上
・ただし、測定サンプルを積分球開口より22cm離れた位置において測光した。サンプルをこの位置に置くことで、拡散透過光は除去され、積分球内部の受光部に平行光線透過光(直線透過光)のみが届く。
[線熱膨張係数]
セイコーインスツルメンツ製「TMA/SS6100」を用い、ASTM D 696に規定された方法に従って下記の測定条件で測定した。
〈測定条件〉
昇温速度:5℃/min
雰囲気:N2中
加熱温度:20〜150℃
荷重:3mg
測定回数:3回
試料長:3×20mm
モード:引っ張りモード
[ヤング率]
JIS K7161を参考として、幅5mm、長さ50mm、厚さ50μmの成形板について変形速度5mm/minで引張試験を行い、比例限界以下での歪み量に対する応力からヤング率を求めた。
なお、厚さはダイヤルゲージで測定した。
[引張強度]
厚さ50μm、幅5mm、長さ50mmの試料について、JIS K7161に規定された方法に従って変形速度5mm/minで測定した。
[平均面粗さ(Ra)・表面の最大高低差]
走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)、DFMモードで、各シートについて、20マイクロ四方の表面粗さをスキャンし、平均面粗さ(Ra)と最大高低差を求めた。
なお、平均面粗さ(Ra)と表面の最大高低差は、シートの一方の面について測定した値であるが、以下の実施例及び比較例で作成されたシートの平均面粗さ(Ra)と表面の最大高低差は、両面で同等の値を示す。
[セルロース含有率]
シートの製造に用いた材料から算出した。
リグニン含有量、その他の物性等については、前述の通りであり、密度は、試料の体積と重量から算出した値である。
[実施例1]
長径500μm、長径/短径比10、水分含有量5重量%のラジアータナパイン由来の木粉70gをメタノール・トルエン混液(メタノール:トルエン=1容:2容)により脱脂処理し、蒸留水2000ml、亜塩素酸ナトリウム50g、酢酸5mlの溶液中に入れ、70〜80℃の湯浴中で時折撹拌しながら1時間、加温した。1時間後、冷却することなく亜塩素酸ナトリウム50g、酢酸5mlを加えて反復処理した。この操作を5回行った。
その後、冷水約10Lで洗浄した。
次いで、この木粉を2重量%水酸化カリウム水溶液に浸漬し、室温で一晩放置した後、80℃で2時間加熱し、吸引濾過で回収した。吸引しながら、約10Lの水で中性になるまで洗浄した。
このようにしてリグニン除去及びヘミセルロース除去処理を施した木粉を、下記の条件のグラインダー処理で機械的解繊した。グラインダー処理は1回のみ行った。
<グラインダー処理>
使用機種名:(株)増幸産業「セレンディピター」型式MKCA6−3
砥石のグレード:MKG−C 80#
砥石直径:15cm
砥石間距離:砥石を十分に押し付けたところから、200μm砥石を浮かせた。砥石表
面の凹凸を平均した面間の間隔は200μmであった。
回転速度:1500rpm
1回の滞留時間:1Lで15分
温度:50〜60℃
このグラインダー処理前までの木粉の最低水分含有量は5重量%であった。
得られた含水ナノファイバーを繊維含有率0.1重量%の懸濁液に調整し、濾過して水分を除去し、シート状とした。さらに15kPaで72時間、55℃にてホットプレスして水を完全に除去し、厚さ60μm、空隙率3.8%の乾燥ナノファイバーシートとした。
得られたナノファイバーシートの両面をエメリーペーパー(超精密研磨フィルム、三共理化学株式会社製)#4,000−#20,000を使用して平均面粗さ(Ra)19nmになるまで研磨した。この研磨により、ナノファイバーシートの両面の各1μm程度の表面部が除去された。
得られたナノファイバーシートの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例1]
実施例1において、エメリーペーパーにより表面平滑化を実施する前のナノファイバーシートの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例2]
実施例1において、グラインダー処理によって得られた含水ナノファイバーを繊維含有率0.1重量%の水懸濁液に調整し、凍結乾燥によって水分を除去し、厚さ120μm、空隙率59%の乾燥ナノファイバーシートとした。このものの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例3]
実施例1において、グラインダー処理によって得られた含水ナノファイバーを繊維含有率0.1重量%の水懸濁液に調整し、濾過してシート状とした。このシートを濾過しながら上部からエタノール、メタノールなどのアルコールを加えて水をアルコールに置換した。さらに15kPaで72時間、55℃にてホットプレスして水を完全に除去し、厚さ90μm、空隙率25%の乾燥ナノファイバーシートとした。
得られたナノファイバーシートを、減圧下、光開始剤入りアクリル樹脂(TCDDMA)に浸して12時間静置した。その後、ベルトコンベアー型のUV照射装置(フュージョンシステムズ製、Fusion F300 and LC6Bベンチトップコンベアー)を用い、樹脂を含浸したナノファイバーシートに紫外線を照射して硬化させた。このときの総照射エネルギー量は20J/cmであった。その後、真空中、160℃で2時間アニール(加熱処理)し、繊維強化複合材料を得た。このものの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例4]
実施例1において、脱脂、脱リグニン、脱ヘミセルロース処理後の木粉(精製木粉)に、以下のアセチル化処理を実施した。
<アセチル化処理>
1) 精製木粉をアセトンに浸し、この木粉の内部の水を完全に除去した。
2) セパラブルフラスコに無水酢酸25mL、酢酸400mL、トルエン500mL、過塩素酸2.5mLを加えて反応溶液を調製した。
3) 1)で作製した精製木粉を2)で調製した反応溶液に浸し、1時間、室温にて反応を行った。
4) 反応終了後、得られたアセチル化木粉をメタノールで洗浄し、木粉内部の反応液を完全に除去した。
得られた木粉を、1重量%水懸濁液に調整し、実施例1と同じ条件でグラインダー処理した。このグラインダー処理前までの木粉の最低水分含有量は0重量%であった。
得られた含水ナノファイバーを繊維含有率0.1重量%の懸濁液に調整し、濾過して水分を除去し、シート状とした。さらに15kPaで72時間、55℃にてホットプレスして水を完全に除去し、厚さ100μm、空隙率25%の乾燥ナノファイバーシートとした。
得られたナノファイバーシートを、減圧下、光開始剤入りアクリル樹脂(TCDDMA)に浸して12時間静置した。その後、ベルトコンベアー型のUV照射装置(フュージョンシステムズ製、Fusion F300 and LC6Bベンチトップコンベアー)を用い、樹脂を含浸したナノファイバーシートに紫外線を照射して硬化させた。このときの総照射エネルギー量は20J/cmであった。その後、真空中、160℃で2時間アニール(加熱処理)し、繊維強化複合材料を得た。このものの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例5]
比較例1のナノファイバーシート上に、スピンコーター(ミカサ(株)、MS−A100)を用いて比較例3で用いたアクリル樹脂を塗布し、表面を平滑化した後、紫外線を照射して硬化させた。このときの総照射エネルギー量は20J/cmであった。さらに裏面に、同様に塗布、硬化を行った。その後、真空中、160℃で2時間アニール(加熱処理)し、樹脂コート(厚さ片面20μm)セルロースナノファイバー透明シートを得た。このものの各種物性の測定結果を表2に示した。
[比較例6]
比較例1のナノファイバーシートを、厚さ40μmのポリスチレンシート2枚の間に挟み、ラミネートし、120℃で2分間、2MPaで加熱プレスし、透明複合材料を得た。このものの各種物性の測定結果を表2に示した。
Figure 0005386866
表2より次のことが明らかである。
研磨による表面平滑化を行っていない比較例1のナノファイバーシートでは、平行光線透過率及び全光線透過率が低く、透明性が悪い。
研磨による表面平滑化を行っておらず、また、ホットプレスを行っていない比較例2のナノファイバーシートでは、透明性のみならず、強度やヤング率も劣る。
ナノファイバーシートのアルコール置換を行って透明樹脂と複合化した比較例3では、透明性が改善されるが、線熱膨張係数が大きく、弾性率、強度も劣る。
化学修飾を行ったナノファイバーシートに透明樹脂を複合化した比較例4のナノファイバー複合材料、比較例5の樹脂コートナノファイバーシートや、比較例6のポリスチレンラミネートナノファイバーシートでは、平行光線透過率は良いが、全光線透過率が悪く、また、線熱膨張係数、強度も劣る。
これに対して、本発明のナノファイバーシートであれば、透明樹脂との複合化を行うことなく、高い透明性と、高弾性率、高強度、低線熱膨張性を達成することができる。

Claims (5)

  1. 木粉、またはパルプから得られる、セルロース含有量が90重量%以上のナノファイバーの不織布(以下「ナノファイバーシート」と称す。)において、下記(1)〜(5)の物性を満たすことを特徴とするナノファイバーシート。
    (1) 60μm厚での波長600nmの光の平行光線透過率が70%以上
    (2) JIS K7161法によるヤング率が10GPa以上、15GPa以下
    (3) ASTM D606法による線熱膨張係数が10ppm/K以下
    (4) 表面粗さ(Ra)が90nm以下
    (5) 表面の最大高低差が300nm以下
  2. 空隙率が10%以下である、請求項1に記載のナノファイバーシート。
  3. 波長250nmでの全光線透過率が5%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノファイバーシート。
  4. 前記ナノファイバーが木粉から得られることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のナノファイバーシート。
  5. 前記セルロースの水酸基の一部が化学修飾されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のナノファイバーシート。
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