JP3222258B2 - 生分解性セルロースアセテート繊維シート - Google Patents

生分解性セルロースアセテート繊維シート

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JP3222258B2 JP08721393A JP8721393A JP3222258B2 JP 3222258 B2 JP3222258 B2 JP 3222258B2 JP 08721393 A JP08721393 A JP 08721393A JP 8721393 A JP8721393 A JP 8721393A JP 3222258 B2 JP3222258 B2 JP 3222258B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロースアセテート
繊維シートに関するものであり、さらに詳しくは、使用
後速やかに生分解が起こるように酢化度が調整されたセ
ルロースアセテート繊維シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境破壊は、極めて深刻な問題と
なっており、合成樹脂、合成繊維などの分解し難い合成
品がそのまま残存し、環境を汚染していることが大きな
問題となっている。これに対して、木綿、レーヨン等の
セルロース繊維は、非常に生分解性に優れているため、
地球環境に優しい素材として注目を集め、各種の用途開
発が行なわれている。
【0003】しかし、セルロースは、生分解速度があま
りにも高すぎて、用途によっては使用できないことがあ
る。例えば、レーヨン不織布を芝生育成用基布として用
いる場合、芝の根付きが完全に終わる前に、レーヨン不
織布が分解してしまい、芝生育成用基布としての役割を
果たすことができない。
【0004】一方、セルロースをアセチル化して得られ
るセルロースジアセテートは、長年月の間には生分解す
るといわれているが、セルロースに比べて分解速度が低
すぎて実用に供することは難しい。
【0005】そこで、本発明者らは特願平4−2888
76号公報において、セルロースアセテートを脱アセチ
ル化し、酢化度を変更することによって生分解性を調整
する方法を提案したが、該方法では繊維表層部の酢化度
が繊維内部の酢化度より低くなり、繊維表層部が容易に
分解してしまうという問題があった。
【0006】一方、特開昭52−72900号公報に
は、セルロース繊維を不均一系でアセチル化することに
より、平均酢化度を10〜50%とした繊維状セルロー
スアセテートからなるたばこフィルターが開示されてい
る。
【0007】しかしながら該方法は、たばこ本来の香喫
味を損なうことなくろ過効率の優れたたばこフィルター
を経済的に製造することを目的とするものであり、生分
解性シートに対する認識は全くなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生分
解性素材として好適な、使用後速やかに生分解が起こる
ように酢化度が調整されたセルロースアセテート繊維シ
ートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等が種々検討を
重ねた結果、セルロース繊維を不均一系でアセチル化し
所望の酢化度に調節したセルロースアセテート繊維を用
いるとき、上記目的が達成できることを究明し本発明を
完成するに至った。
【0010】即ち本発明によれば、セルロース繊維をア
セチル化することにより得られる平均酢化度が5〜50
%のセルロースアセテート繊維からなるシートであっ
て、該アセチル化を不均一系で行なうことにより、該繊
維表層部から中心部へ向かうに従い酢化度が低下してい
ることを特徴とする生分解性セルロースアセテート繊維
シートが提供される。
【0011】本発明で用いるセルロース繊維とは、木
綿、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等のセ
ルロースを主成分とする繊維をいい、フィラメント、ス
テープル、あるいは綿などの任意の形態で用いることが
できる。
【0012】また、本発明の繊維シートを構成するセル
ロースアセテート繊維は、酢化度が5〜50%であるこ
とが必要である。セルロースアセテート繊維の生分解速
度は、土壌の種類、季節、湿度等の環境条件により影響
を受け易いが、これらの環境条件及び使用目的に応じ
て、酢化度が5〜50%のセルロースアセテート繊維を
用いれば、所望の生分解速度を得ることができる。
【0013】酢化度が5%未満では、生分解速度が実質
的にセルロースと同等になり、生分解速度が高すぎて実
用的でない。また、酢化度が50%を越えると、生分解
速度が急激に低下し、生分解性素材として実用に供する
ことができない。
【0014】さらに、本発明の繊維シートを構成するセ
ルロースアセテート繊維は、繊維表層部から中心部へ向
かうに従い酢化度が低下していることが肝要である。
【0015】酢化度に上記のような分布を持たせること
により、該繊維からなるシートを土壌中などで用いた場
合、ある一定期間は生分解が非常にゆっくり進行し、そ
の後繊維の中心部の酢化度の低い部分が露出するにつれ
て急激に生分解が起こり、本発明の目的が達せられるの
である。
【0016】酢化度の分布の程度には特に制限はなく、
所望の生分解速度に応じて適宜調整すればよい。分布の
程度は後述のアセチル化条件を変更することにより調整
できる。
【0017】本発明で用いるセルロースアセテート繊維
は、セルロース繊維を液相法または気相法により、不均
一系でアセチル化することにより得られる。
【0018】液相法は、例えばトリクロロエチレン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等のセルロースアセテート
の非溶剤を反応溶媒とし、無水酢酸でアセチル化を行な
う。触媒としては硫酸、スルホ硫酸、塩化亜鉛、酢酸ナ
トリウムなどが用いられる。
【0019】気相法は、セルロース繊維を触媒水溶液に
浸漬、圧搾、乾燥した後、これに無水酢酸の蒸気を反応
させアセチル化を行なう。
【0020】ここで不均一系とは、アセチル化反応の終
了時まで被反応物(セルロース繊維またはセルロース繊
維シート)の形状が保持され、反応生成物が均一液相で
はなく繊維状またはシート状のまま得られる反応系をい
う。
【0021】即ち、不均一系においては、無水酢酸は繊
維状のセルロースと反応するため繊維内部への浸透が起
こりにくく、繊維表層部がより多くアセチル化されるの
である。
【0022】この他にも酸クロリドを用いる方法等、不
均一系であればどのような方法を用いても良い。
【0023】アセチル化処理は、処理条件さえ適切に選
べば、バッチ処理であっても、連続処理であってもよ
い。いずれの処理においても、適切な無水酢酸濃度、処
理温度、処理時間を選択することが必要であり、これを
誤ると、所望の酢化度、酢化度分布を有するセルロース
アセテート繊維を得ることができない。
【0024】一般には無水酢酸濃度は0.5〜10重量
%、処理温度は30〜120℃、処理時間は20〜12
0分が好適である。
【0025】本発明に用いるセルロースアセテート繊維
は、その使用目的に応じて適度な強伸度を有しているこ
とが要求され、通常、強度が1.3g/de以上、伸度
が15%以上であることが好ましいが、高温度の反応溶
媒中で、長時間アセチル化処理を行なった場合などに、
繊維強度の低下が認められることがある。
【0026】従って、高温度での長時間処理は避けるの
が望ましいが、繊維に張力を加えながらアセチル化処理
を行なうか、あるいはアセチル化処理後、繊維に張力を
加えるか若しくは延伸することにより、繊維強度の低下
を防ぐことができる。
【0027】この場合、繊維の伸度が低くなり過ぎる
と、繊維の靭性が失われ、実用に供し難くなるので、伸
度が低下し過ぎないように注意することが肝要である。
【0028】本発明において、アセチル化処理に使用す
る溶媒には、処理後の繊維の構造や物性の改良を目的と
して各種の添加剤を加えることができる。
【0029】次いで、得られたセルロースアセテート繊
維は、織編物や不織布、その他任意の方法でシート状に
成形される。
【0030】また、予め前記の方法でシート状に成形さ
れたセルロース繊維シートをアセチル化処理し、セルロ
ースアセテート繊維シートとしてもよい。
【0031】
【作用】本発明は、セルロースアセテート繊維の酢化度
とその生分解速度とが密接に関連していることを利用し
たものであり、セルロースのアセチル化反応を制御する
ことで、所望の酢化度即ち生分解速度を有するセルロー
スアセテート繊維シートを作り、それにより、用途に応
じて要求される所望の生分解速度を実現できるようにし
たものである。
【0032】さらに、本発明のセルロースアセテート繊
維シートを構成するセルロースアセテート繊維は、繊維
表層部から中心部へ向かうに従い酢化度が低下している
ので、該シートを土壌中などで用いた場合、ある一定期
間は生分解が非常にゆっくり進行して繊維の形状が保持
され、その後中心部の酢化度の低い部分が露出するにつ
れて生分解速度が高まり、急激に分解が起こる。
【0033】従って、平均酢化度を調整して設定した分
解時間の近くまで当初の繊維シート形状が保たれるの
で、各種用途に好適に使用できる。
【0034】これに対して前述のセルロースアセテート
繊維を脱アセチル化した繊維では、まず繊維表層部の分
解が起こり、以後繊維内部の分解が進行していくため、
繊維の形状は時間の経過とともに変化し、繊維強度が漸
減する。
【0035】以下に実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明は、これらの実施例により何ら制限されるも
のではない。
【0036】なお、実施例中の平均酢化度の値は、セル
ロースアセテート繊維を苛性ソーダを用いてケン化し、
消費アルカリの逆滴定により求めた。
【0037】
【実施例1】レーヨンのタフタ織物100gを、無水酢
酸120gおよび硫酸2.5gを2500gのトルエン
中に溶解させた溶液中に浸し、60℃で60分間反応さ
せた後、水洗、乾燥した。
【0038】得られた織物を構成するセルロースアセテ
ート繊維の平均酢化度は30.7%であった。
【0039】該セルロースアセテート繊維をアセトンで
溶解したところ、繊維の表層部のみが溶解して内部は溶
解せずに残り、表層部と内部の酢化度が異なることが確
認された。
【0040】前記タフタ織物を大阪府茨木市耳原3丁目
4番1号の帝人株式会社大阪研究センター内で採取した
土の中に埋め、温度を30℃に保ちながら十分な湿度下
に一定期間保持して生分解の程度を測定した。
【0041】該織物の強力は、土中に埋めてから8ヶ月
までは初期強力の80%以上を保持し、以後2ヶ月でほ
ぼ完全に分解した。
【0042】
【比較例1】酢化度56%の市販のセルロースジアセテ
ート繊維を実施例1と同様のタフタ織物とした後、0.
02モル/lの炭酸ナトリウム水溶液中で100℃、6
0分間脱アセチル化して平均酢化度30.1%のセルロ
ースアセテート繊維からなる織物を得た。
【0043】該織物の生分解の程度を実施例1と同様の
方法で測定したところ、織物が完全に分解するまでに要
した期間は約10ヶ月で実施例1と同様であったが、こ
の間織物の強力は時間の経過とともに漸減した。
【0044】即ち、本発明のセルロースアセテート繊維
からなる織物は8ヶ月経過後も初期強力の70%を保持
していたのに対し、比較例の織物は8ヶ月経過後の強力
が初期強力の20%にまで低下していた。
【0045】
【発明の効果】本発明のセルロースアセテート繊維シー
トは、該繊維シートを構成するセルロースアセテート繊
維の酢化度を制御することにより生分解性が調節可能で
あり、しかもある一定期間経過した後速やかに生分解が
起こる。
【0046】従って、本発明のセルロースアセテート繊
維シートは、農業資材、水産用資材、包装用材料、建築
用資材などに好適に用いることができる。また、天然物
を原料としているので、分解後も有害物質を生ずること
がなく、環境保全上極めて有用である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 2/28 - 2/30 D06M 13/188

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維をアセチル化することに
    より得られる平均酢化度が5〜50%のセルロースアセ
    テート繊維からなるシートであって、該アセチル化を不
    均一系で行なうことにより、該繊維表層部から中心部へ
    向かうに従い酢化度が低下していることを特徴とする生
    分解性セルロースアセテート繊維シート。
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