JP2013245259A - 微細繊維状セルロース及びその製造方法、不織布 - Google Patents

微細繊維状セルロース及びその製造方法、不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維原料から高収率で製造され、濾水性が高く、樹脂やゴムに配合した際の分散性が高い微細繊維状セルロースを提供する。
【解決手段】本発明は、下記式(1)で表される官能基を有し、(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gであり、重合度が50〜500であることを特徴とする微細繊維状セルロース。(1)(−COO・Xn+ (ここで、nは1〜3の自然数。Xn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、微細繊維状セルロース及びその製造方法、不織布に関する。
近年、石油資源の代替および環境意識の高まりから、再生産可能な天然繊維を利用した材料が着目されている。天然繊維の中でも、繊維径が10〜50μmのセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品としてこれまでにも幅広く使用されてきた。
また、セルロース繊維としては、繊維径が1000nm以下の微細繊維状セルロースも知られている。微細繊維状セルロースの用途については様々なものが検討されている。例えば、微細繊維状セルロースを補強剤として樹脂やゴムに配合すると、機械的物性の向上効果が大きくなると言われている。
微細繊維状セルロースの製造方法としては、セルロースを含む繊維原料をオゾンで処理した後、解繊して微細化する方法が知られている(特許文献1)。
また、微細繊維状セルロースの製造方法として、セルロースを含む繊維原料をN−オキシルおよび次亜塩素酸ナトリウム等の共酸化剤で処理した後、アルカリ溶液で処理し、解繊して微細化する方法が知られている(特許文献2及び非特許文献1)。
特開2010−254726号公報 特開2011−184825号公報
セルロース学会第17回年次大会2010 Cellulose R&D予稿集、セルロース学会、2010年7月15日
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、微細繊維状セルロースの収率が不充分であった。
特許文献2及び非特許文献1に記載の方法では、得られる微細繊維状セルロースの重合度が大きくなる傾向にあった。一般に、微細繊維状セルロースの重合度が大きくなると、繊維長が長くなり、樹脂やゴムに配合した際の分散性が低くなる傾向にある。
本発明は、繊維原料から高収率で製造され、樹脂やゴムに配合した際の分散性が高い微細繊維状セルロースを提供することを目的とする。また、樹脂やゴムに配合した際の分散性が高い微細繊維状セルロースを、繊維原料から高収率で製造できる微細繊維状セルロースの製造方法を提供することを目的とする。また、補強剤等として好適な不織布を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]下記式(1)で表される官能基を有し、(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gであり、重合度が50〜500であることを特徴とする微細繊維状セルロース。
(1)(−COO・Xn+(ここで、nは1〜3の自然数。Xn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
[2]平均繊維幅が200nm以下である、[1]に記載の微細繊維状セルロース。
[3]セルロースを含む繊維原料に少なくともオゾン処理を施して、酸化繊維を得る酸化工程と、前記酸化繊維を、下記式(2)で表されるアルカリ化合物を含むアルカリ溶液によってアルカリ処理するアルカリ処理工程とを有して、下記式(1)で表される官能基を有する微細繊維状セルロースを製造する微細繊維状セルロースの製造方法であって、酸化工程及びアルカリ処理工程では、得られる微細繊維状セルロースの(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gに、重合度が50〜500になるように、オゾン処理条件及びアルカリ溶液のアルカリ化合物濃度を調整することを特徴とする微細繊維状セルロース繊維の製造方法。
(1)(−COO・Xn+
(2) Xn+・(OH
(ここで、nは1〜3の自然数。Xn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
[4]酸化工程では、オゾン処理の後に、オゾン処理した繊維原料をオゾン以外の酸化剤によってさらに酸化処理する、[3]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[5]アルカリ処理工程後に、アルカリ処理した酸化繊維を解繊処理する解繊工程を有する、[3]または[4]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[6][1]または[2]に記載の微細繊維状セルロースを含有することを特徴とする不織布。
本発明の微細繊維状セルロースは、繊維原料から高収率で製造され、重合度がある程度小さく、樹脂やゴムに配合した際の分散性が高いものである。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法によれば、重合度がある程度小さく、樹脂やゴムに配合した際の分散性が高い微細繊維状セルロースを、繊維原料から高収率で製造できる。
本発明の不織布は、補強剤等として好適である。
<微細繊維状セルロース>
本発明の微細繊維状セルロースは、上記式(1)で表される官能基(以下、「官能基(1)」という。)を有するセルロース繊維である。
微細繊維状セルロースにおける(−COO)の含有量は0.06〜1.2mmol/gであり、0.1〜0.9mmol/gであることが好ましく、0.2〜0.8mmol/gであることがより好ましい。(−COO)の含有量が前記下限値未満であると、高収率で製造することが困難になり、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性が低くなる。一方、(−COO)の含有量が前記上限値を超えると、微細繊維状セルロースが水に溶解してしまうことがある。水に溶解する微細繊維状セルロースは小さすぎて、樹脂やゴムの補強剤としては好ましくない。
(−COO)の含有量は、セルロース1g当たりの(−COO)の含有量である。ただし、(−COO)の含有量は、官能基(1)のXをHとした状態で測定する。すなわち、カルボキシ基の含有量を測定する。カルボキシ基の含有量は下記の方法により測定することができる。
[セルロース繊維中のカルボキシ基の含有量の測定方法]
カルボキシ基の含有量は、米国TAPPIの「Test Method T237 cm-08(2008):Carboxyl Content of pulp」の方法を用いて求める。カルボキシ基の導入量をより広範囲まで測定可能にするために、前記試験方法に用いる試験液のうち、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)/塩化ナトリウム(NaCl)=0.84g/5.85gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液について、前記試験液の濃度が実質的に4倍となるように、炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム=3.36g/23.40gに変更し、さらに置換基導入前後のセルロース繊維における算出値の差を実質的な置換基導入量とする以外は、TAPPI T237 cm−08(2008)に準じる。なお、測定試料とする絶乾セルロース繊維は、加熱乾燥の際の加熱によって起こる可能性があるセルロースの変質を避けるため、凍結乾燥により得たものを使用する。
また、官能基(1)におけるXn+は、n=1のとき、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等)の陽イオンまたは多価金属(例えば、鉄、アルミニウム等)の陽イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。なお、本発明では、マグネシウムもアルカリ土類金属に含める。
前記Xn+の中でも、n=1のものが好ましく、さらには、アルカリとして物質が汎用的かつ安価であり、また微細繊維状セルロースの収率も向上することから、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンがより好ましい。
また、微細繊維状セルロースは、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細く且つ短いI型結晶構造のセルロース繊維あるいは棒状粒子である。
微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有していることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークを有することで同定することができる。
微細繊維状セルロースの、X線回折法によって求められる結晶化度は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。結晶化度が前記下限値以上であれば、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求めることができる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
また、微細繊維状セルロースは、電子顕微鏡で観察して平均繊維幅が1000nm以下のセルロースである。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができる。
一方、微細繊維状セルロールの平均繊維幅は1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が前記下限値以上であれば、セルロース分子として水に溶解しにくくなるため、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができる。
微細繊維状セルロースに透明性が求められる用途においては、平均繊維幅が30nmを超えると、可視光の波長の1/10に近づき、マトリックス材料と複合した場合には界面で可視光の屈折及び散乱が生じ易く、透明性が低下する傾向にあるため、平均繊維幅は2nm〜30nmが好ましく、より好ましくは2〜20nmである。
微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察による平均繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーを調製し、該スラリーを親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅広の繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍、20000倍、50000倍あるいは100000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線Xと垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の幅(繊維の短径)を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維幅を読み取る。このように読み取った繊維幅を平均して平均繊維幅を求める。
微細繊維状セルロースの重合度は50〜500であり、100〜400であることがより好ましく、150〜300であることがさらに好ましい。微細繊維状セルロースの重合度が前記下限値未満であると、「繊維状」とはいえず、補強剤として使用することが困難になり、前記上限値を超えると、樹脂やゴムに配合した際に分散性が低くなり、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときのスラリー粘度が高くなりすぎて分散安定性が低くなる。
微細繊維状セルロースの重合度は、以下の方法により測定する。
微細繊維状セルロース(遠心分離後の上澄み液、濃度約0.5質量%)を500メッシュのポリエステルメッシュ上で減圧してウェットシートを作製し、105℃条件にて乾燥して、ドライシートを得る。得られたドライシートを用いて、Tappi T230に従い、パルプ粘度を測定する。また、同様の方法でセルロース試料を用いずにブランクテストを行い、ブランク粘度を測定する。パルプ粘度をブランク粘度で割った数値から1を引いて比粘度(ηsp)とし、下記式を用いて、固有粘度([η])を算出する。
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
式中のcは、粘度測定時のセルロース濃度を示す。
そして、下記式から本発明における重合度(DP)を算出する。
DP=1.75×[η]
この重合度は、粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
微細繊維状セルロースの平均繊維長は、0.1〜5μmが好ましい。平均繊維長が下限値以上では、微細繊維状セルロースを樹脂に配合した際の強度向上効果が得られる。平均繊維長が上限値以下では、微細繊維状セルロースを樹脂に配合した際の分散性が良好である。繊維長は、TEMやSEM、AFMの画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースの軸比(繊維長/平均繊維幅)は10〜1000の範囲であることが好ましい。軸比が前記下限値以上であれば、樹脂やゴムの補強剤として、より好適になる。軸比が前記上限値以下であれば、スラリー化したときの粘度が低くなり、分散安定性がより高くなる。
(作用効果)
本発明の微細繊維状セルロースは、親水性が高い(−COO)の含有量が前記下限値以上であることに加えて、重合度が前記上限値以下であり、分子量が短くなっているため、水和性が高くなっている。そのため、繊維間に水分子が入り込みやすくなっており、解繊性に優れ、繊維原料から高収率で製造することができる。また、高い水和性によって、微細繊維状セルロースをスラリー化した際の分散安定性が高くなる。
また、本発明の微細繊維状セルロースは、(−COO)の含有量が前記上限値以下であることによって、水に溶解することを防ぐことができる。水に溶解するセルロースは、親水性が高すぎて、親水性が低めの樹脂やゴムに配合する用途には適さない。また、セルロースの重合度が前記下限値以上であることにより、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができ、樹脂やゴムの補強剤として好適に使用できる。
なお、本発明の微細繊維状セルロースは重合度がやや小さめ、すなわち繊維長がやや短めになっている。理論的には、繊維長が短くなると、樹脂やゴムに配合した際の補強効果が低下するが、本発明の微細繊維状セルロースは、樹脂やゴムに配合した際の分散性に優れる。また、重合度が反映される繊維長は過短ではない。よって、充分な補強効果を確保できる。
<微細繊維状セルロースの製造方法>
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の微細繊維状セルロースの製造方法は、酸化工程とアルカリ処理工程と解繊工程とを有する。
以下、各工程について詳細に説明する。
[繊維原料]
本発明において、微細繊維状セルロースの原料となる、セルロースを含む繊維原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましい。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましい。
繊維原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
(酸化工程)
酸化工程は、繊維原料に少なくともオゾン処理を施して、酸化繊維を得る工程である。具体的には、下記反応式に示すように、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位のヒドロキシ基を酸化すると共に、セルロースを分解して低分子量化する工程である。また、酸化工程では、グルコピラノース環の2位及び6位以外の部分を酸化することもある。
Figure 2013245259
酸化処理は、オゾン処理のみでも構わないが、微細繊維状セルロースの収率をより高くできることから、オゾン処理後に、オゾン処理した繊維原料をオゾン以外の酸化剤によってさらに酸化処理(以下、「追酸化処理」という。)することが好ましい。
[オゾン処理]
オゾン処理は、繊維原料をオゾンに接触させる処理である。具体的なオゾン処理方法としては、オゾンを含む気体中に繊維原料を所定時間放置する方法、オゾンを含む気体中に繊維原料を通過させる方法、オゾンを含む気体を繊維原料に当てる方法等を適用することができる。
オゾンを含む気体は、空気、酸素ガス、または酸素添加空気等の酸素含有気体をオゾン原料とし、公知のオゾン発生装置を用いて生成することができる。
オゾン処理では、得られる微細繊維状セルロースにおける(−COO)の含有量及び重合度が前記範囲になるように、オゾン処理条件(オゾンを含む気体中のオゾン濃度、繊維原料に対するオゾン添加量、オゾン処理時間、オゾン処理温度等)を調整する。
オゾンを含む気体中のオゾン濃度が高くなる程、繊維原料に対するオゾン添加量が多くなる程、オゾン処理時間が長くなる程、酸化が進んで(−COO)の含有量が多くなり、また、セルロースの低分子量化が進んで重合度が小さくなる。
また、オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜1000g/mであることが好ましく、100〜500g/mであることがより好ましい。オゾン濃度が前記下限値以上であれば、セルロースを充分に酸化でき、さらに、セルロース繊維を充分に分解・切断できるため、微細繊維状セルロースの収率をより高め、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性をより向上させることができる。一方、オゾン濃度が前記上限値以下であれば、セルロース繊維の過剰な酸化及び分解を防ぐことができ、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができる。
繊維原料に対するオゾン添加率としては、0.1〜80質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。オゾン添加率が前記下限値以上であれば、セルロースを充分に酸化でき、さらに、セルロース繊維を充分に分解・切断できるため、微細繊維状セルロースの収率をより高め、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性をより向上させることができる。一方、オゾン添加率が前記上限値以下であれば、セルロース繊維の過剰な酸化及び分解を防ぐことができ、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができる。
オゾン処理時間は、1分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。オゾン処理時間が前記下限値以上であれば、セルロースを充分に酸化でき、さらに、セルロース繊維を充分に分解・切断できるため、微細繊維状セルロースの収率をより高め、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性をより向上させることができる。
一方、オゾン処理時間は、600分以下であることが好ましく、360分以下であることがより好ましい。オゾン処理時間が前記上限値以下であれば、セルロース繊維の過剰な酸化及び分解を防ぐことができ、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を容易に得ることができる。
オゾン処理温度は、0〜100℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理温度が前記下限値以上であれば、オゾン処理する装置を簡便なものとすることができ、前記上限値以下であれば、オゾンの分解を抑制でき、繊維原料を効率的にオゾン処理できる。
[追酸化処理]
追酸化処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、酸化剤溶液中に、オゾン処理した繊維原料を浸漬する方法が挙げられる。
追酸化処理に用いるオゾン以外の酸化剤としては、公知の酸化剤(例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物)が使用される。酸化剤は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
酸化剤溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
繊維原料に対する酸化剤添加率としては、0.1〜100質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。酸化剤添加率が前記下限値以上であれば、セルロースをより酸化でき、さらに、セルロース繊維をより分解・切断できるため、微細繊維状セルロースの収率をより高め、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性をより向上させることができる。一方、酸化剤添加率が前記上限値以下であれば、セルロース繊維の過剰な酸化及び分解を防ぐことができ、微細繊維状セルロースとしての特性を容易に得ることができる。
酸化剤処理時間は、10〜360分であることが好ましく、60〜180分であることがより好ましい。酸化剤処理時間が前記下限値以上であれば、セルロースをより酸化でき、さらに、セルロース繊維をより分解・切断できるため、微細繊維状セルロースの収率をより高め、また、微細繊維状セルロースをスラリー化したときの分散安定性をより向上させることができる。一方、酸化剤処理時間が前記上限値以下であれば、セルロース繊維の過剰な酸化及び分解を防ぐことができ、微細繊維状セルロースとしての特性を容易に得ることができる。
酸化剤処理温度は、5〜90℃であることが好ましく、10〜70℃であることがより好ましい。酸化剤処理温度が前記下限値以上であれば、酸化処理を促進させることができ、前記上限値以下であれば、酸化剤の分解を抑制でき、繊維原料を効率的に酸化剤で処理できる。
(アルカリ処理工程)
アルカリ処理工程は、酸化繊維を、(2)Xn+・(OHで表されるアルカリ化合物を含むアルカリ溶液によって処理する工程である。該アルカリ処理によって、セルロースの少なくとも2位及び6位に官能基(1)が形成される。また、酸化工程にて、セルロースの少なくとも2位及び6位以外の部分も酸化された場合には、2位及び6位以外の部分にも官能基(1)が形成される。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、酸化繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ化合物におけるXn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。なお、Xn+が、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンのものは無機アルカリ化合物であり、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンのものは有機アルカリ化合物である。
上記アルカリ金属の陽イオンを含むアルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の陽イオンを含むアルカリ化合物として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
多価金属の陽イオンを含むアルカリ化合物としては、水酸化アルミニウム/水酸化ナトリウムの水溶液などが挙げられる。
アンモニウムイオンを含むアルカリ化合物としては、アンモニア水が挙げられる。
脂肪族アンモニウムイオンを含むアルカリ化合物として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
芳香族アンモニウムイオンを含むアルカリ化合物としては、フェニルアミン(アニリン)、ジフェニルアミン、およびトリフェニルアミン等の水溶液が挙げられる。
アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液およびアンモニア水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程では、酸化処理によって形成された全カルボキシ基を中和するように、アルカリ溶液のアルカリ化合物濃度を調整する
アルカリ化合物が無機アルカリ化合物である場合には、アルカリ溶液における無機アルカリ化合物の濃度を、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜3質量%とすることがより好ましい。無機アルカリ化合物の濃度を前記下限値以上とすれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上でき、前記上限値以下とすれば、pHが過度に高くなることを抑制でき、アルカリ溶液の取り扱い性が良好になる。
アルカリ化合物が有機アルカリ化合物である場合には、アルカリ溶液における有機アルカリ化合物の濃度を、0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.05〜3質量%とすることがより好ましい。有機アルカリ化合物の濃度を前記下限値以上とすれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上でき、前記上限値以下とすれば、pHが過度に高くなることを抑制でき、アルカリ溶液の取り扱い性が良好になる。
アルカリ溶液の25℃におけるpHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11〜14であることがさらに好ましい。アルカリ溶液のpHが前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率がより高くなり、pHが14以下であれば、アルカリ溶液の取り扱い性が良好になる。
(解繊工程)
解繊工程は、アルカリ処理工程後に、酸化繊維をアルカリ処理したアルカリ処理繊維を解繊処理する工程である。
解繊処理では、通常、解繊処理装置を用いる。解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。
解繊処理の際には、アルカリ処理繊維を水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましい。希釈後のアルカリ処理繊維の固形分濃度は0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。希釈後のアルカリ処理繊維の固形分濃度が前記下限値以上であれば、解繊処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できる。
(作用効果)
上記実施形態の微細繊維状セルロースの製造方法では、酸化工程及びアルカリ処理工程によってセルロースに官能基(1)を形成し、さらにオゾン処理条件及びアルカリ溶液のアルカリ化合物濃度を、(−COO)の含有量及び重合度が前記範囲になるように調整するため、繊維原料から微細繊維状セルロースを高収率で製造できる。また、得られる微細繊維状セルロースの重合度がやや小さめであり、樹脂やゴムに配合した際の分散性に優れる。さらに、スラリー化したときの分散安定性に優れる微細繊維状セルロースを容易に製造できる。
<不織布>
以下に、本発明の不織布の製造方法の一実施形態について説明する。
本発明の不織布は、上記微細繊維状セルロースを含有するものである。
本発明の不織布の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、好ましくは10cm以下、さらに好ましくは1cm以下、より好ましくは1mm以下、特に好ましくは250μm以下である。不織布の厚みは、製造の安定性、強度の点から上記下限値以上で厚い方が好ましく、生産性、均一性、樹脂の含浸性の点から上記上限値以下で薄い方が好ましい。
本発明の不織布は空隙率が35体積%以上であることが好ましく、さらには35〜60体積%であることが好ましい。不織布の空隙率が小さいと、樹脂等のマトリックス材料を配合して複合材料を得る際に樹脂が含浸しにくく、未含浸部が残るため、その界面で散乱が生じてヘーズが高くなることがある。また、不織布の空隙率が高いと、樹脂を配合した複合材料において、セルロース繊維による充分な補強効果が得られず、線熱膨張率が大きくなる傾向にある。
ここでいう空隙率とは、不織布中における空隙の体積率を示し、空隙率は、不織布の面積、厚み、質量から、下記式によって求めることができる。
空隙率(体積%)={(1−B/(M×A×t)}×100
ここで、Aは不織布の面積(cm)、t(cm)は厚み、Bは不織布の質量(g)、Mはセルロースの密度であり、本発明ではM=1.5g/cmと仮定する。不織布の膜厚は、膜厚計(PEACOK社製 PDN−20)を用いて、不織布の種々な位置について10点の測定を行い、その平均値を採用する。
また、複合材料中の不織布の空隙率を求める場合、分光分析や、複合材料の断面のSEM観察を画像解析することにより空隙率を求めることもできる。
本発明の不織布の通気度は、坪量に依存するため特に限定されないが、例えば坪量が50g/mのシートの場合には、100〜20000秒/100ccであることが好ましい。
(実施例1)
セルロースを含む繊維原料として、カルボキシ基含有量0.06mmol/g、固形分濃度30質量%(水分70質量%)、絶乾質量換算で20gの広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)を用意した。
上記LBKPを容器内に収容し、その容器にオゾン濃度200g/mのオゾン・酸素混合気体を5L導入し、25℃で2分間振とうした。このときのオゾン添加率はパルプ乾燥質量に対して5質量%であった。6時間静置した後、容器内のオゾンおよび空気を除去してオゾン酸化処理を終了した。
処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返した。その後、ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20質量%の酸化処理パルプを得た。
上記酸化処理パルプ(絶乾質量換算で20g)にイオン交換水を添加して、固形分濃度2質量%のスラリーを調製した。そのスラリーに水酸化ナトリウムを、水酸化ナトリウム濃度が0.3質量%になるよう添加し、5分間攪拌した後、室温で30分静置した。次いで、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが8以下になるまで洗浄を繰り返して、アルカリ処理パルプを含むスラリーを得た。
次いで、イオン交換水を加えて、セルロース繊維濃度0.5質量%のセルロース繊維水分散液を調製した。該セルロース繊維水分散液を解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理した。その後、遠心分離機(コクサン社製「H−200NR」)を用い、約12000Gで10分間処理し、これにより分離した上澄み液を、微細繊維状セルロースの水分散液として回収した。
(実施例2)
オゾン・酸素混合気体の導入量を15L(オゾン添加率15質量%)とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例3)
オゾン・酸素混合気体の導入量を30L(オゾン添加率30質量%)とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例4)
オゾン・酸素混合気体の導入量を60L(オゾン添加率60質量%)とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例5)
酸化処理パルプを含むスラリーに、水酸化ナトリウムを添加する代わりに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を、TMAH濃度が1.0質量%になるよう添加してアルカリ処理を施した以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例6)
実施例1と同様のLBKPを容器内に収容し、その容器にオゾン濃度200g/mのオゾン・酸素混合気体を15L導入し、25℃で2分間振とうした。このときのオゾン添加率はパルプ乾燥質量に対して15質量%であった。6時間静置した後、容器内のオゾンおよび空気を除去してオゾン酸化処理を終了した。
処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返した。その後、ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20質量%のオゾン酸化処理パルプを得た。
上記オゾン酸化パルプ100g(絶乾質量換算で20g)に対し、塩酸によりpHを4〜5に調整した0.3質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液を200g(セルロース繊維の絶乾質量に対して、亜塩素酸ナトリウムとして3質量%相当)添加し、70℃で3時間反応させて追酸化処理を施した。処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返して、酸化処理パルプを得た。
上記酸化処理パルプ(絶乾質量換算で20g)に、実施例1と同様に、水酸化ナトリウムによってアルカリ処理と解繊処理・遠心分離処理を施して、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例7)
オゾン・酸素混合気体の導入量を30Lとした以外は実施例6と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(実施例8)
酸化処理パルプを含むスラリーに、水酸化ナトリウムを添加する代わりに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を、TMAH濃度が1.0質量%になるよう添加してアルカリ処理を施した以外は実施例6と同様にして、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(比較例1)
実施例3における水酸化ナトリウムによるアルカリ処理を省略し、酸化処理パルプを解繊処理・遠心分離処理した以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロースを得た。
(比較例2)
実施例1におけるオゾン処理を省略し、LBKPをそのまま実施例1と同様にアルカリ処理と解繊処理・遠心分離処理とを施して、微細繊維状セルロースを得た。
(比較例3)
実施例7における水酸化ナトリウムによるアルカリ処理を省略し、酸化処理パルプを解繊処理・遠心分離処理した以外は実施例7と同様にして、微細繊維状セルロースを得た。
(比較例4)
実施例6におけるオゾン処理を省略し、LBKPをそのまま実施例6と同様にアルカリ処理と解繊処理・遠心分離処理とを施して、微細繊維状セルロースを得た。
(比較例5)
セルロースを含む繊維原料として、カルボキシ基含有量0.06mmol/g、固形分濃度30質量%(水分70質量%)、絶乾質量換算で20gのLBKPを用意した。
上記LBKPを、3gの臭化ナトリウム、0.48gのTEMPO触媒(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル)を溶解させたイオン交換水2500mlに分散させた。また、64.5g/Lの次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液43.25mlを、0.1M塩酸にてpH10に調整し、これをイオン交換水に分散させたLBKPに添加してTEMPO酸化処理を開始した。TEMPO酸化処理は室温で行った。TEMPO酸化処理を行うと、pHが低下するため、随時20g/L水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に保持した。TEMPO酸化処理を開始して4時間経過すると、pHが低下しなくなったため、この時点で処理終了とした。処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが8以下になるまで懸濁洗浄を繰り返した。その後、ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20質量%のTEMPO酸化パルプを得た。
上記TEMPO酸化パルプ100g(絶乾質量換算で20g)採取し、亜塩素酸ナトリウム18g、酢酸60g、イオン交換水700mlを添加し、さらに、20g/L水酸化ナトリウム水溶液によってpHを4.5に調整した。室温にて48時間保持して反応させて追酸化処理を施した。処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで懸濁洗浄を繰り返した。その後、ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20%の酸化パルプを得た。
上記酸化パルプにイオン交換水を加えて、セルロース繊維濃度0.5質量%のセルロース繊維水分散液を調製し、実施例1と同様に解繊処理・遠心分離処理を施して、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
(比較例6)
TEMPO酸化処理における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を86.5mlに変更した以外は比較例5と同様にして、微細繊維状セルロースを得た。
Figure 2013245259
各実施例及び各比較例においては、微細繊維状セルロースを含む水分散液を用いて、解繊収率を測定した。すなわち、微細繊維状セルロースを含む水分散液の遠心分離回収率を下記式より求め、その遠心分離回収率を解繊収率とした。解繊収率の結果を表1に示す。
Figure 2013245259
また、各実施例及び各比較例において、全ての酸化処理が終了した後の酸化パルプについて、上記段落[0010]に記載の方法でカルボキシ基の含有量を測定した。カルボキシ基の含有量の結果を表1に示す。
また、得られた微細繊維状セルロースの重合度を測定した。重合度の測定では、まず、微細繊維状セルロース(濃度約0.5質量%)を500メッシュのポリエステルメッシュ上で減圧してウェットシートを作製し、105℃条件にて乾燥して、ドライシートを得た。次いで、得られたドライシートを0.5Mの銅エチレンジアミン溶液に溶解させ、粘度法によって重合度を求めた。重合度の測定結果を表1に示す。
(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gに、重合度が50〜500になるように酸化処理及びアルカリ処理を施して微細繊維状セルロースを得た実施例1〜8では、解繊収率が高かった。すなわち、高い収率で微細繊維状セルロースを得ることができた。また、重合度がある程度小さくなっているため、樹脂やゴムに配合した際の分散性に優れると予測される。
これに対し、アルカリ処理を省略した比較例1,3では、解繊収率が低かった。すなわち、微細繊維状セルロースの収率が低かった。
酸化処理を施さなかった比較例2,4は、重合度が大きかった。また、TEMPO酸化処理・追酸化処理を施したが、アルカリ処理を施さなかった比較例5,6も、重合度が大きかった。これらは、樹脂やゴムに配合した際の分散性が低いと思われる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される官能基を有し、(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gであり、重合度が50〜500であることを特徴とする微細繊維状セルロース。
    (1)(−COO・Xn+
    (ここで、nは1〜3の自然数。Xn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
  2. 平均繊維幅が200nm以下である、請求項1に記載の微細繊維状セルロース。
  3. セルロースを含む繊維原料に少なくともオゾン処理を施して、酸化繊維を得る酸化工程と、前記酸化繊維を、下記式(2)で表されるアルカリ化合物を含むアルカリ溶液によってアルカリ処理するアルカリ処理工程とを有して、下記式(1)で表される官能基を有する微細繊維状セルロースを製造する微細繊維状セルロースの製造方法であって、
    酸化工程及びアルカリ処理工程では、得られる微細繊維状セルロースの(−COO)の含有量が0.06〜1.2mmol/gに、重合度が50〜500になるように、オゾン処理条件及びアルカリ溶液のアルカリ化合物濃度を調整することを特徴とする微細繊維状セルロースの製造方法。
    (1)(−COO・Xn+
    (2) Xn+・(OH
    (ここで、nは1〜3の自然数。Xn+は、n=1のとき、アルカリ金属の陽イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、n=2または3のとき、アルカリ土類金属イオンまたは多価金属イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)
  4. 酸化工程では、オゾン処理の後に、オゾン処理した繊維原料をオゾン以外の酸化剤によってさらに酸化処理する、請求項3に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  5. アルカリ処理工程後に、アルカリ処理した酸化繊維を解繊処理する解繊工程を有する、請求項3または4に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の微細繊維状セルロースを含有することを特徴とする不織布。
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