JP7266235B2 - セルロースナノファイバー及びハロイサイトナノチューブを含む組成物、それを含むフィルム及び複合体 - Google Patents

セルロースナノファイバー及びハロイサイトナノチューブを含む組成物、それを含むフィルム及び複合体 Download PDF

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Description

[0001]本発明は、セルロースナノファイバー及びハロイサイトナノチューブを含む組成物に関する。
[0002]ハロイサイトナノチューブは、豊富で安価なナノスケールの天然材料である。従来は、ハロイサイトナノチューブは合成ポリマー複合体のためのフィラーとして用いられていた。
[0003]一方、文化財に関して、出土遺跡木材(waterlogged archaeological wood)の出土品の保存は、復元技術者及び科学者の両方にとって重要な課題である。それらを保存するための方法は、一般に、体積の70~90%程度の大きな割合を構成する可能性がある木材の空孔に、水を除去することによる木材の収縮及び変形を回避するために加えるポリマーのような補強材を充填することを含む。
[0004]ハロイサイトナノチューブは天然材料であるので、環境への影響を低減することにおいて有効である、所謂、環境に優しい材料を与えることができる。しかしながら、ハロイサイトナノチューブは剛性の固体粒子であるので、その実用性は限られている。而して、本発明の目的は、種々の用途に適しているハロイサイトナノチューブを含む新規な材料を提供することである。
[0005]本発明者らは、セルロースナノファイバーとハロイサイトナノチューブの組合せがこの問題を解決することを見出した。
フィルムの引張測定結果 CM-CNF/HNTに関するSEM画像 CM-CNF/HNTに関する光学画像 乾燥前及び乾燥後の木材試料の写真
[0006]本発明は、種々の用途に適しているハロイサイトナノチューブを含む新規な材料を提供することを可能にする。
[0007]下記において本発明を詳細に説明する。本発明において、「A~B」とはA及びBの両方を含む範囲を意味する。
[0008]1.組成物
本発明の組成物は、ハロイサイトナノチューブ(「HNT]とも呼ぶ)及びセルロースナノファイバー(「CNF」とも呼ぶ)を含む。
[0009](1)ハロイサイトナノチューブ(HNT)
HNTは、中空の管状構造を有するアルミノシリケートであり、式:AlSi(OH)・2HOによって表される。HNTの内径は通常は約10~150nmであり、HNTの長さは通常は0.1~15μm、好ましくは0.1~1μmである。
[0010](2)セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバーとは、約4~500nmの平均繊維幅及び100以上の平均アスペクト比を有する微細繊維を指す。本発明においては、これらは、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ばれる)、カルボキシメチル化セルロース、リン酸エステル基含有セルロースなどのようなアニオン変性セルロースを解繊することによって得られるものであることが好ましい。したがって、本発明においては、セルロースナノファイバーは、好ましくはアニオン変性セルロースナノファイバー(アニオン変性CNF)である。更に、HNTの内孔は正帯電しているので、アニオン変性CNFは内孔中に浸透することができ、それによってHNTとアニオン変性CNFとの間の親和力が向上する。
[0011]CNFを製造するためのセルロース原料物質としては、例えば、植物性材料、例えば木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹未漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹未漂白サルファイトパルプ、針葉樹漂白亜サルファイトパルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物性材料(例えばホヤ網)、藻類、微生物(例えば酢酸バクテリア(アセトバクター))、微生物産生生成物などから誘導されるものが挙げられ、これらの任意のものを用いることができる。植物又は微生物から誘導されるセルロース繊維、より好ましくは植物から誘導されるセルロース繊維が好ましく用いられる。
[0012](i)カルボキシメチル化
本発明においてアニオン変性セルロースとしてカルボキシメチル化セルロースを用いる場合、カルボキシメチル化セルロースは、上記に挙げたセルロース原料のいずれかを公知の方法によってカルボキシメチル化することによって得ることができ、或いは商業的に入手できる。いずれの場合においても、セルロースにおけるカルボキシメチル置換度は、好ましくは無水グルコース単位あたり0.01~0.50である。かかるカルボキシメチル化セルロースを製造する方法の一例は下記の通りである。発底原料として、セルロースを、当該原料の重量の3~20倍の量の水又は低級アルコールから構成される溶媒中で用いる。具体的には、溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールなどの単独、或いはこれらの2以上の溶媒混合物が挙げられる。低級アルコールを含む溶媒混合物を用いる場合には、低級アルコールの割合は60~95重量%である。アルカリ金属水酸化物、具体的には水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどから構成されマーセル化剤を、発底原料の無水グルコース単位あたり0.5~20モル当量の量で用いる。発底原料、溶媒、及びマーセル化剤を混合し、0~70℃、好ましくは10~60℃の反応温度において、15分~8時間、好ましくは30分~7時間の反応時間の間、マーセル化プロセスを行う。次に、カルボキシメチル化剤を、グルコース単位あたり0.05~10.0モル当量の量で加えて、30~90℃、好ましくは40~80℃の反応温度において、30分~10時間、好ましくは1時間~4時間の反応時間の間、エーテル化反応を行う。
[0013]アニオン変性CNFを製造するために用いる「カルボキシメチル化セルロース」とは、それを水中に分散させた場合であっても、その繊維状形態を少なくとも部分的に保持するものを指す。したがって、これは一種の水溶性ポリマーである従来のカルボキシメチルセルロースとは区別される。「カルボキシメチル化セルロース」の水性分散液を電子顕微鏡法によって分析すると、繊維状の物質を観察することができる。しかしながら、一種の水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロースの水性分散液中には、繊維状物質は観察されない。更に、「カルボキシメチル化セルロース」においてはX線回折によってセルロースI型の結晶構造を観察することができるが、水溶性ポリマーとして用いられるカルボキシメチルセルロースにおいてはセルロースI型の結晶構造は見ることができない。
[0014](ii)カルボキシル化
本発明においてアニオン変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)セルロースを用いる場合には、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、任意のセルロース原料を公知の方法によってカルボキシル化(酸化)することによって得ることができる。カルボキシル化中においては、カルボキシル基の含量は、好ましくは、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾重量を基準として0.6~2.0mmol/g、より好ましくは1.0mmol/g~2.0mmol/g(しかしながら特にこれらに限定されない)に調節する。
[0015]カルボキシル化(酸化)方法の一例は、セルロース原料を、酸化剤を用いて、水中において、N-オキシル化合物、臭化物、ヨウ化物、又はこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化することを含む。この酸化反応によって、セルロースの表面上のグルコピラノース環のC6位における第1級ヒドロキシル基を選択的に酸化して、その表面上にアルデヒド基及びカルボキシル基(-COOH)又はカルボキシレート基(-COO)を有するセルロース繊維を与えることができる。反応中において、セルロースの濃度は特に限定されないが、好ましくは5重量%以下である。
[0016]「N-オキシル化合物」とは、ニトロキシルラジカルを生成させることができる化合物を指す。それらが所期の酸化反応を促進する限りにおいて、任意のN-オキシル化合物を用いることができる。例えば、これらとしては2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(TEMPO)及びその誘導体(例えば4-ヒドロキシ-TEMPO)が挙げられる。
[0017]用いるN-オキシル化合物の量は、それが原料として用いるセルロースを酸化するのに十分な触媒量である限りにおいては特に限定されない。例えば、これは、絶乾セルロース1gあたり、好ましくは0.01~10mmol、より好ましくは0.01~1mmol、更により好ましくは0.05~0.5mmolである。また、これは好ましくは反応系に対して約0.1~4mmol/Lである。
[0018]「臭化物」とは臭素を含む化合物を指し、その例としては水中で解離させることによってイオン化することができるアルカリ金属臭化物が挙げられる。同様に、「ヨウ化物」とはヨウ素を含む化合物を指し、その例としてはアルカリ金属ヨウ化物が挙げられる。用いる臭化物又はヨウ化物の量は、酸化反応を促進することができる範囲内で選択することができる。臭化物及びヨウ化物の合計量は、好ましくは、絶乾セルロース1gあたり、例えば0.1~100mmol、より好ましくは0.1~10mmol、更により好ましくは0.5~5mmolである。
[0019]例えばハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸(perhalic acids)、又はこれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸などを含む任意の公知の酸化剤を用いることができる。中でも、次亜塩素酸ナトリウムは、安価であり環境への影響が小さいので好ましい。用いる酸化剤の好適な量は、例えば絶乾セルロース1gあたり、好ましくは0.5~500mmol、より好ましくは0.5~50mmol、更により好ましくは1~25mmol、最も好ましくは3~10mmolである。これはまた好ましくは、例えばN-オキシル化合物1molあたり1~40molである。
[0020]セルロースの酸化プロセス中においては、反応は比較的温和な条件下においても効率的に進行する。而して、反応温度は好ましくは4~40℃であり、或いは約15~30℃の室温であってよい。反応が進行するにつれて、セルロース中にカルボキシル基が生成するので、反応溶液のpHは低下する。酸化反応が効率的に進行することを確保するために、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ性溶液を加えて、反応溶液のpHを8~12、好ましくは10~11に維持する。反応媒体は、容易な取扱い性、低い副反応の可能性などの理由から、好ましくは水である。
[0021]酸化反応における反応時間は、酸化を進行させる程度に応じて、通常は0.5~6時間、例えば0.5~4時間で適切に選択することができる。
[0022]更に、酸化反応は2段階で行うことができる。例えば、第1段階反応の終了後に濾過によって得られる酸化セルロースを、同じか又は異なる反応条件下で再び酸化することができ、これにより第1段階反応中に副生成物として生成する塩化ナトリウムによって反応が抑止されることを防ぎながら効率的な酸化を達成することができる。
[0023]カルボキシル化(酸化)方法の他の例には、セルロース原料をオゾン含有ガスと接触させることが含まれる。この酸化反応によって、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位のヒドロキシル基を酸化して、セルロース鎖を開裂することができる。オゾン含有ガス中のオゾン濃度は、好ましくは50~250g/m、より好ましくは50~220g/mである。セルロース原料に加えるオゾンの量は、セルロース原料の固形含有物100重量部あたり、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは5~30重量部である。オゾン処理温度は、好ましくは0~50℃、より好ましくは20~50℃である。オゾン処理時間は特に限定されないが、1~360分、好ましくは30~360分である。オゾン処理条件がこれらの範囲内である場合には、セルロースが過度に酸化されて開裂するのを阻止することができ、酸化セルロースを良好な収率で得ることができる。オゾン処理の後に、酸化剤を用いる後酸化を行うことができる。後酸化のために用いる酸化剤は特に限定されないが、二酸化塩素及び亜塩素酸ナトリウムのような塩素化合物;並びに酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などを挙げることができる。例えば、後酸化は、これらの酸化剤の1つを水又はアルコールのような極性有機溶媒中に溶解して酸化剤の溶液を形成し、セルロース原料をこの溶液中に浸漬することによって行うことができる。
[0024]酸化セルロースのカルボキシル基含量は、上記に記載した加える酸化剤の量、反応時間などのような反応条件を制御することによって調節することができる。
[0025](iii)解繊
アニオン変性セルロースを解繊するために用いることができる装置としては、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。解繊中においては、好ましくはアニオン変性セルロースの水性分散液に高い剪断力を加える。特に効率的な解繊のためには、好ましくは50MPa以上の圧力及び高い剪断力を水性分散液に加えることができる湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーを用いる。圧力は、より好ましくは100MPa以上、更により好ましくは140MPa以上である。所望の場合には、高圧ホモジナイザー内での解繊及び分散プロセスの前に、高速剪断ミキサーのような公知の混合、撹拌、乳化、又は分散装置を用いることによって、水性分散液を予備処理することができる。
[0026](3)組成比
組成物において、CNF:HNTの量比は、好ましくは1:0.1~1:25、より好ましくは1:1~1:10である。HNTの量がこの下限よりも少ないと、組成物によって製造されるフィルムの機械特性が低下する可能性がある。HNTの量がこの上限よりも多いと、組成物によって製造されるフィルムの可撓性が低下する可能性がある。組成物には液体媒体を含ませることができる。この場合には、組成物はスラリー又は分散液の形態である。媒体としては、水、及びアルコールのような水溶性有機溶媒が挙げられる。組成物の安定性を考慮すると、組成物は好ましくは水を含む。液体媒体を含む組成物においては、固体成分の量は、好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~5重量%である。
[0027](4)添加剤
組成物には通常の添加剤を含ませることができる。添加剤としては、アセチレングリコール及びケイ素化合物のような表面調整剤、並びにカルボキシメチルセルロースのような水溶性ポリマーが挙げられる。表面調整剤はレベリング性及び消泡性を向上させる。水溶性ポリマーは組成物の安定性を向上させる。
[0028](5)組成物の製造
組成物を製造する方法は制限されない。しかしながら、組成物は、CNF及びHNTを上述の液体媒体中で混合することによって製造することが好ましい。混合は、通常の装置を用いて行う。装置としては、ミキサー、撹拌機、及びホモジナイザーが挙げられるが、これらに限定されない。混合のための温度は限定されないが、好ましくは20~50℃の範囲である。
[0029](6)用途
本組成物はフィルム又はコーティングのための材料として用いられる。かかる用途のためには、スラリー又は分散液の形態の組成物が用いられる。更に、本組成物は、木材又はポリマーフォームのような多孔質材料の補強材に使用され、特に出土遺跡木材に用いられる。この用途のためには、スラリー又は分散液の形態の組成物が補強材として用いられる。スラリー又は分散液中のHNTの濃度は、好ましくは2重量%以下である。
[0030]3.フィルム
本組成物によって製造されるフィルムは、通常は0.1~500μm、好ましくは0.5~100μmの厚さを有する。フィルムは、キャスティングのような公知の方法によって製造することができる。本発明のフィルムは良好な機械特性を有する。
[0031]4.複合体
本発明において、「複合体」という用語は複合材料を意味する。本発明の複合体は多孔質材料及び本発明の組成物を含み、組成物は材料の空孔内に含まれる。多孔質材料は限定されないが、木材、並びにプラスチックフォーム及び熱硬化性フォームのようなポリマーフォームが挙げられる。空孔内に含まれる本組成物によって、複合体の機械特性、及び貯蔵又は乾燥中における複合体の寸法安定性が向上する。複合体は、多孔質材料を組成物のスラリー又は分散液中に浸漬することによって製造される。
[0032](1)CNFの製造
カルボキシメチル化CNF(CM-CNF)の製造:
パルプを混合することができる撹拌装置内に、乾燥重量基準で200gの日本製紙株式会社製のパルプ(針葉樹漂白クラフトパルプ)、及び乾燥重量基準で111gの水酸化ナトリウムを加え、パルプが20%(w/v)の固形分含量を有するような量の水を加えた。次に、混合物を30℃において30分間撹拌し、次に216g(活性重量基準)のモノクロロ酢酸ナトリウムを加えた。混合物を30分間撹拌し、次に70℃に加温して1時間撹拌した。次に、反応混合物を取り出し、中和し、洗浄してカルボキシメチル化パルプを得た。カルボキシメチル置換度は、グルコース単位あたり0.25であった。次に、カルボキシメチル化パルプを水で1%の固形分含量に調節し、20℃、150MPaにて高圧ホモジナイザーで5回処理サイクルによって解繊して、カルボキシメチル化セルロース繊維を得た。得られた繊維は、50nmの平均繊維径及び120のアスペクト比を有していた。
[0033]カルボキシメチル置換度の測定方法
カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)をH型カルボキシメチル化セルロースとした。H型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定した。カルボキシメチル置換度(DS)を、下式によって算出した。
A=[(100×F’-(0.1N-HSO)(mL)×F)×0.1]/(水素置換CMセルロースの絶乾重量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:1gの水素置換CMセルロースを中和するために必要な1N-NaOHの量(mL)
F’:0.1N-HSOのファクター
F:0.1N-NaOHのファクター
[0034]平均繊維径及びアスペクト比の測定方法
電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、ランダムに選択したアニオン変性CNFの200本の繊維を、それらの平均繊維径及び平均繊維長に関して分析した。アスペクト比は下記の等式によって算出したことを留意すべきである。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
[0035]カルボキシル化CNF(TM-CNF)の製造
780mgのTEMPO(Sigma Aldrich製)及びその中に溶解した75.5gの臭化ナトリウムの水溶液500mLに、500g(絶乾)の非叩解針葉樹漂白クラフトパルプ(白色度=85%)を加え、パルプが均一に分散されるまで混合物を撹拌した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gの量で反応系に加えて、酸化反応を開始した。反応中においては、系におけるpHは低下し、反応系をpH10に調節するために、3Mの水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加した。次亜塩素酸ナトリウムが消費されて、系におけるpHが変化を示さなくなった時点で反応を終了した。反応の後、ガラスフィルターを通して混合物を濾過してパルプを分離し、パルプを水で十分に洗浄して酸化パルプ(カルボキシル化セルロース)を与えた。パルプの収率は90%であり、酸化反応のために必要な時間は90分であり、カルボキシル基含量は1.6mmol/gであった。
[0036]上記に記載のプロセスで得られた酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調節し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3サイクル処理して、アニオン変性セルロースナノファイバー分散液を得た。得られた繊維は、40nmの平均繊維径及び150のアスペクト比を有していた。
[0037]カルボキシル基含量の測定方法
カルボキシル化セルロースの0.5重量%のスラリー(水性分散液)60mLを調製し、0.1Mの塩酸水溶液を加えることによってpH2.5に調節し、次にpHが11に達するまで電気伝導度を測定しながら0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴加し、下記の等式によって、電気伝導度におけるゆっくりとした変化によって特徴付けられる弱酸の中和段階中に消費された水酸化ナトリウムの量(a)から、カルボキシル基含量を算出した。
カルボキシル基含量[mmol/g-カルボキシル化セルロース]=a[mL]×0.05/カルボキシル化セルロースの重量[g]
[0038](2)測定
走査型電子顕微鏡
顕微鏡ESEM-FEI-QUANTA 200Fを用いて複合材料の形態を観察した。それぞれの実験の前に、電子ビーム下での帯電を防止するために、試料の表面をアルゴン中においてEdwardsスパッタコーターS150Aを用いて金で蒸着した。試料の損傷を防止するように最小電子線量条件を設定した(10kV)。
[0039] 動的粘弾性測定
実験中の相対湿度(RH)を制御するための動的粘弾性測定-相対湿度(DMA-RH)アクセサリーを装備したDMA-Q800装置(TA Instruments製)を用いて機械特性を求めた。全ての機械的測定に関して、試料は長方形(6.00×4.00×0.06mm)のフィルムであり、一方で温度は25.0±0.5℃に設定した。フィルム、繊維、及び低弾性材料に関して理想的な「引張用クランプ」を用いて引張試験を行った。1MPa・m-1の応力増加及びRH=40%とした。弾性率、引張強さ(材料が破断する時点での引張応力として規定)、及び破断点伸びの値を求めた。それぞれのフィルムを5回測定し、平均値を報告する。
木材試料に関しては、「3点曲げクランプ」を用いた。もっとも基本的な変形モードを考慮して、試料を両方の端部において支持し、中央部に力を加えた。
[0040]接触角の測定
高解像度CCDカメラ及び高性能デジタル化アダプターを有するビデオ測定システムを装備した光学接触角装置(OCA 20、Data Physics Instruments)を用いて接触角の検討を行った。データ取得のためにSCA 20ソフトウエア(Data Physics Instruments)を用いた。フィルムを平らな固体支持材の上に固定し、分析中において平らに保持した。液滴法によって、6±0.5μLの液滴をフィルムの表面上にそっと配置することによって、空気中における水の接触角を測定した。温度は、支持材に関して25.0±0.1℃に設定し、注入シリンジに関しても同様であった。液滴の配置から開始して60秒までの間、1秒あたり25回画像を集めた。それぞれのフィルム試料に関して最小で5つの液滴を調べた。
[0041](3)組成物及びフィルム
実施例1
水、CNF、及びHNT(Applied Minerals, Inc.又はImerys Ceramics製)を25℃においてミキサーによって混合して、表1に示す水性分散液の組成物を得た。そして、ゼータ電位測定装置(ZETASIZER NAMO ZS, Malvern Instruments製)を用いて組成物のZ電位を測定した。表1に示すように、組成物のZ電位の絶対値は、TM-CNF、CM-CNF、及びHNTのものよりも高い。本発明の組成物の水性分散液は安定であることが確認された。
Figure 0007266235000001
[0042]
[0043]実施例2
表1に記載した水性分散液の形態の組成物No.2を用いてフィルムを製造した。この組成物を基材上にキャストして湿潤フィルムを形成し、次に湿潤フィルムをオーブン内において80℃以下の温度で乾燥した。
[0044]乾燥したフィルムを分離して水接触角測定にかけた。下記の等式を用いることによって、接触角(θ)vs時間(t)の曲線がうまくフィッティングされた。
Figure 0007266235000002
式中、θはt=0における接触角であり、
Figure 0007266235000003
はプロセス速度を測定したものであり、nは、吸収及び広がりの寄与に起因する小数値であり、それぞれ純粋な吸収及び純粋な広がりに関してn=0及び1である。フィルムは均一であり、表2に示すように、両方の面が水接触角及び水の広がり/吸収に関する動的パラメーターに関して同等の値を示した。
Figure 0007266235000004
[0045]
[0046]実施例3
実施例2と同じようにして、CM-CNF及びHNTを表3に示す異なる重量比で含むフィルムを製造した。フィルムの引張測定を行って、結果を表3に報告した。結果は、興味深い機械的性能を有する材料を得ることが可能であることを明白に示している。更に、表4及び図1に示すように、湿度は強い可塑化効果を果たした。即ち、高湿度条件においては、フィルムは非常に可塑性で変形可能になる。
Figure 0007266235000005
[0047]
Figure 0007266235000006
[0048]
[0049]フィルムNo.Bについて走査型電子顕微鏡観察を行った。図2に示されるように、フィルムは非常に均一であった。このフィルムに関する光学画像を図4に報告する。
[0050]実施例4
プロバンスの沿岸で発見されたChretienne C船(紀元前2世紀)からの出土遺跡木材を準備した。この実験における木材試料はひどく劣化していて、約80%の空隙率を有していた。更に、100重量部の水、0.2重量部のCM-CNF、及び2重量部のHNTをミキサーによって混合して、水性分散液の形態の組成物を調製した。この分散液を補強材として用いた。
[0051]湿潤状態の木材を補強材中に浸漬してそれを48時間保持することによって、木材含浸を単一工程(複数の処理は必要なかった)で行った。含浸の後、試料を25℃で乾燥した。
[0052]比較例1
処理をしていない出土遺跡木材を25℃で乾燥した。
[0053]比較例2及び3
実施例4におけるものに代えて表4に記載する異なる補強材を用いた他は実施例4と同じようにして試料を調製した。
[0054]図4に示すように、未処理の出土遺跡木材試料は乾燥によって大きな曲げを起こしたのに対して、CNF/HNT組成物で処理した試料は木材の変形が大きく減少したことが明らかであった。更に、図4に示すように、CNF/HNT組成物によって処理することにより試料の機械特性が向上した。更に、急速含浸(1~2時間以下)はこの処理のためには十分でなかった。

Claims (3)

  1. アニオン変性セルロースナノファイバー及びハロイサイトナノチューブを含む組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物によって形成されるフィルム。
  3. 多孔質材料及び請求項1に記載の組成物を含み、組成物が材料の空孔内に含まれている複合体。
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