JP2021045981A - 微細繊維を含有する基材シート層と無機層とを含む、耐湿性複合シート - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 微細繊維が、静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が導入された微細繊維である1に記載の複合シート。
[3] さらに、基材シート層の少なくとも一方の側に形成された有機層を含む、1または2に記載の複合シート。
[4] 微細繊維が、平均繊維幅2〜1000nmのセルロース微細繊維である、1〜3のいずれか1項に記載の複合シート。
[5] 置換基が、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種であり、置換基導入量が0.01〜2.0mmol/gである、1〜4のいずれか1項に記載の複合シート。
[6] 基材シート層の厚みが、0.1〜1200μmである、1〜5のいずれか1項に記載の複合シート。
[7] 無機層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウムおよび酸化窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、1〜6のいずれか1項に記載の複合シート。
[8] 有機層が、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含む、1〜7のいずれか1項に記載の複合シート。
[9] 基材シート層が:
(a)繊維原料に、置換基導入繊維を得る工程と
(b)工程(a)で得られた置換基導入繊維を機械処理して、置換基導入微細繊維を得る工程と
(c)工程(b)で得られた置換基導入微細繊維からシートを調製する工程と
(d)工程(c)で得られたシートから導入置換基の少なくとも一部を脱離させる工程
を有する製造方法により製造された、1〜8のいずれか1項に記載の複合シート。
[10] 静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が、リン酸由来の基であり、工程(a)の後であって工程(c)の前に、さらに
(e)置換基導入繊維または置換基導入微細繊維の中和度を変更する工程
を有する製造方法により製造された、9に記載の複合シート。
[11] 基材シート層の少なくとも一方の側に、
無機層、および無機層に積層された有機層が形成された、または
有機層、および有機層に積層された無機層が形成された、1〜10のいずれか1項に記載の、複合シート。
[12] 11に記載の複合シートを用いた、フレキシブルディスプレイ、太陽電池、照明素子、表示素子、タッチパネル、窓材または構造材。
[13] 1〜11に記載の複合シート、または11に記載の太陽電池、照明素子、表示素子、タッチパネル、窓材または構造材を用いた、製品。
(1)基材シート層、および
(2)基材シート層の少なくとも一方の側に形成された、無機層
を含む。
本発明の複合シートにおける基材シート層は、微細繊維を含む。微細繊維は、好ましくは、静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が導入された微細繊維である。
基材シート層のための繊維原料としては特に限定されないが、例えば、有機繊維、無機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維が挙げられる。有機繊維としては、例えば、セルロース、炭素繊維、パルプ、キチン、キトサン等の天然物由来の繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、岩石繊維、金属繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、アラミド等が挙げられるがこれらに限定されない。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられるがこれらに限定されない。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセル等が挙げられるがこれらに限定されない。
繊維原料と反応する化合物としては特に限定されない。例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、炭素数10以上のアルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。取扱いの容易さ、微細繊維との反応性からリン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物が好ましい。これらの化合物が微細繊維とエステルまたは/およびアミドを形成するのがより好ましいが、特に限定されない。
絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈する。この溶液を撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下した場合の電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を、滴定終点における滴下量とする。セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細セルロース繊維含有スラリーが含む固形分(g)である。
置換基導入微細繊維の繊維幅は特に限定されないが、例えば1〜1000nmとすることができ、好ましくは2〜1000nm、より好ましくは2〜500nm、さらに好ましくは3〜100nmである。微細繊維の繊維幅が1nm未満であると、分子が水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。一方、1000nmを超えると微細繊維とは言えず、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。本発明における繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
基材シート層の厚みは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。透明性、フレキシブル性の観点からは、基材シート層の厚みは1200μm以下とすることができ、1000μm以下としてもよく、500μm以下としてもよく、250μm以下としてもよい。
基材シートは、少なくとも以下を含む製造方法により、製造することができる:
(a)微細繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入して、置換基導入繊維を得る工程と
(b)置換基導入繊維を機械処理する工程と
(c)機械処理済置換基導入繊維からシートを調製する工程と
(d)シートから導入置換基の少なくとも一部を脱離させる工程、またはシートを多価アルコールで処理して導入置換基を脱離させる工程
を有する。
工程(a)は、繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を導入して、置換基導入繊維を得る工程である。工程(a)としては特に限定されないが、乾燥状態あるいは湿潤状態の繊維原料に、該繊維原料と反応するような化合物を混合することにより、繊維原料に上記置換基を導入することが可能である。導入時の反応を促進するため、加熱する方法が特に有効である。置換基の導入における加熱処理温度は特に限定されないが、該繊維原料の熱分解や加水分解等が起こりにくい温度帯であることが好ましい。例えば、繊維原料としてセルロースを含む繊維原料を選択した場合は熱分解温度の観点から、250℃以下であることが好ましく、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。
工程(b)は工程(a)で得られた置換基導入繊維を、解繊処理装置を用いて微細化(解繊)処理して、置換基導入微細繊維を得る工程である。
工程(c)は工程(b)で得られた置換基導入微細繊維を、基材シート層に調製する工程である。
微細繊維含有スラリーを通常の抄紙で用いられる長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機のほか、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機、さらに手抄き等公知の抄紙方法で抄紙され、一般の紙と同様の方法でシート化することが可能である。つまり、微細繊維含有スラリーをワイヤー上で濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、プレス、乾燥することでシートを得ることが可能である。スラリーの濃度は特に限定されないが、0.05〜5質量%が好ましく、濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかり、逆に濃度が高すぎると均一なシートが得られないため好ましくない。スラリーを濾過、脱水する場合、濾過時の濾布としては特に限定されないが、微細繊維は通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては特に限定されないが、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられるが、特に限定されない。
塗工法は、微細繊維含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維含有層を基材から剥離することにより、シートを得る方法である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。基材の質は、特に限定されないが、微細繊維含有スラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂板または金属板が好ましいが、特に限定されない。その中で、適当なものを単独、または積層して使用するのが好適であるが、特に限定されない。例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等の金属板、および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を用いることができる。微細繊維含有スラリーを基材上に塗工するには、上記基材に所定のスラリー量を塗工することが可能な各種コーターを使用すれば良いが、特に限定されない。例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等が使用できる。中でもダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、エアドクターコーター等の塗工方式によるものが均一な塗工には有効である。
工程(d)は、工程(c)で得られた基材シート層から、導入された置換基の全部または一部を脱離させる工程である。本発明では、前記工程で製造した置換基が導入された微細繊維をシート化した後に、このシートに含有される微細繊維に導入された置換基を脱離させる。
[工程(e)]
本発明の一の実施態様においては、繊維原料に静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基としてリン酸基が導入される。この場合、工程(a)の後であって工程(c)の前に、さらに(e)置換基導入繊維または置換基導入微細繊維の中和度を変更する工程を有していてもよい。リン酸基が繊維に導入された際には、通常、中和度2(中和度100%ともいう。)である。
本発明においては、上記工程(a)〜(d)以外に、必要に応じて、各工程の間、工程(a)の前、または工程(d)の後に、洗浄工程等の他の工程を適宜有してもよいが、特に限定されない。例えば、工程(b)より前段に異物除去工程、工程(b)より後段に遠心分離等による精製工程を採用しても良いが、特に限定されない。脱塩工程は、微細繊維の純度が高まる点で好ましい。脱塩工程を行う場合、手段は特に限定されず、濾過方式による洗浄、透析、イオン交換などが挙げられる。
本発明の複合シートは、基材シート層の少なくとも一方の側に、無機層が形成されている。無機層は、基材シート層の片側にのみ形成されていてもよく、両側に形成されていてもよい。また、基材シート層に接して形成されていてもよく、また基材シート層との間に別の層、例えば後述する有機層を挟んで形成されていてもよい。無機層は、少なくとも1層形成されていればよく、複数の層として積層されていてもよい。
無機層を構成する物質としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン;これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、もしくは酸化炭化窒化物;またはこれらの混合物が挙げられる。高い防湿性が安定に維持できるとの観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、またはこれらの混合物が好ましい。
無機層の形成方法は、特に限定されない。一般に、薄膜を形成する方法は大別して、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)と物理成膜法(Physical Vapor Deposition、PVD)とがあるが、いずれも本発明のために適用できる。CVD法としては、具体的には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。PVD法としては、具体的には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられる。
無機層の厚みは、特に限定されないが、安定な防湿性能の発現のためには、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。無機層の厚みは、透明性、フレキシブル性の観点からは、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましく、600nm以下であることがさらに好ましい。なお、本発明の複合シートの無機層に関し、厚みというときは、無機層を複数設ける場合は、特に記載した場合を除き、各々の無機層の厚みを指す。
本発明の複合シートは、基材シート層、無機層のほか、有機層を含んでいてもよい。有機層は、基材シート層の片側にのみ形成されていてもよく、両側に形成されていてもよい。また、基材シート層に接して形成されていてもよく、また基材シート層との間に別の層、例えば無機層を挟んで形成されていてもよい。有機層は、1層のみでもよく、複数の層として積層されていてもよい。
マトリクス樹脂は、特に限定されない。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂の前駆体が加熱により重合硬化した硬化物)、または光硬化性樹脂(光硬化性樹脂の前駆体が放射線(紫外線や電子線等)の照射により重合硬化した硬化物)等を用いることができる。これらは1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
また、低吸水性の複合体を得るためには、マトリクス樹脂は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、またはアミノ基などの親水性の官能基が少ないことが好ましい。
有機層の厚みは、特に限定されないが、基材シート層に耐湿性を付与するのに十分であり、かつシートの低線熱膨張である利点が損なわない程度であることが好ましい。例えば、0.1〜50μm程度とすることができ、0.1〜30μmとしてもよく、0.2〜20μmとしてもよく、0.5〜10μmとしてもよい。なお、本発明の複合シートの有機層に関し、厚みというときは、結城層を複数設ける場合は、特に記載した場合を除き、各々の有機層の厚みを指す。
マトリクス樹脂を積層する方法としては、特に制限はなく、例えば、以下の方法が挙げられる。
(a)熱可塑性樹脂シートと基材シート層を交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法。
(b)基材シートの、または基材シートに積層された無機層の片面または両面に、液状の熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上を塗布して重合硬化させる方法。
(c)基材シートの、または基材シートに積層された無機層の片面または両面に、樹脂溶液を塗布して溶媒を除去し、所望により重合硬化させる方法。ここで、樹脂溶液は、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体から選ばれる1以上の溶質を含む溶液である。
また、基材シート層に熱または光硬化性樹脂前駆体を塗布した後、さらに基材シート層を重ねるなど、多層構造にしてから、硬化させてもよい。
樹脂を溶解させる溶媒としては、樹脂の溶解性に応じて選択すればよい。
上記の熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、および光硬化性樹脂前駆体には、適宜、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、セルロース以外の充填剤、またはシランカップリング剤等を配合して、組成物(以下、「硬化性組成物」という。)としてもよい。
メルカプタン化合物としては、特に限定されない。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、またはトリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレート等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることが好ましい。
硬化性組成物に連鎖移動剤を含有させる場合、連鎖移動剤は硬化性組成物中のラジカル重合可能な化合物の合計に対して、通常30質量%以下の割合で含有させる。
硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有させる場合、紫外線吸収剤は硬化性組成物中のラジカル重合な可能化合物の合計100質量部に対して、通常0.01〜1質量部の割合で含有させる。
硬化性組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、シランカップリング剤は、硬化性組成物中のラジカル重合な可能化合物の合計に対して通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含有させる。この配合量が少な過ぎると、これを含有させる効果が充分に得られず、また、多過ぎると、硬化物の透明性などの光学特性が損なわれる恐れがある。
硬化性組成物は、公知の硬化方法で重合硬化させて、硬化物とすることができる。
硬化方法としては、例えば、熱硬化、または放射線硬化等が挙げられ、好ましくは放射線硬化である。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、または電子線等が挙げられるが、好ましくは波長1〜1000nmの電磁波である光である。より好ましくは波長が200nm〜450nm程度の電磁波であり、さらに好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
また、放射線を2回以上に分割して照射すると、さらに好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折のより小さな硬化物が得られる。
放射線照射に使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、または無電極水銀ランプ等を挙げることができる。
光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上300℃以下であることがよい。
すなわち、前記光重合開始剤の成分量の範囲は、硬化性組成物中の重合可能な化合物の合計を100質量部としたとき、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜2質量部がより好ましく、0.05〜0.1質量部がさらに好ましい。
ただし、光重合開始剤が光カチオン重合開始剤である場合には、カチオン重合性モノマーの総量100質量部に対して、0.01質量部以上である。好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
すなわち、光重合開始剤が光カチオン重合開始剤である場合には、前記光重合開始剤の成分量の範囲は、カチオン重合性モノマーの総量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。また、0.1〜5質量部がより好ましく、0.5〜1質量部がさらに好ましい。
光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相を悪化させる。例えば、光重合開始剤の濃度を5質量部とした場合、光重合開始剤の吸収により、紫外線の照射と反対側に光が到達できずに未硬化の部分が生ずる。また、黄色く着色し色相の劣化が著しい。一方、少なすぎると紫外線照射を行っても重合が充分に進行しないおそれがある。
基材シートに有機層を積層する場合には、樹脂との密着性を向上させるため、マトリクス樹脂の積層前に、基材シート層に対し、化学修飾処理を施すことができる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2−ブタン酸、又は無水ペンタン酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えば、アセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド等が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えば、メチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシロキサンとしては、例えば、ブトキシポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
シラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えば、エチルオキシラン、エチルオキセタン等が挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド、メトキシシラン又はヘキサメチルジシラザンが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化学修飾を行うことで、セルロースの分解温度が上昇し、耐熱性が高くなるが、化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊されて結晶性が低下するため、後述する複合体においては線熱膨張係数が大きくなる傾向にあり、好ましくない。
乾燥の際に加熱する場合、温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、また、250℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
すなわち、乾燥の際に加熱する場合の温度の範囲は、50〜250℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
加熱温度が低すぎると乾燥に時間がかかったり、乾燥が不充分になる可能性があり、加熱温度が高すぎると基材シート層が着色したり、分解したりする可能性がある。
また、加圧する場合、圧力(ゲージ圧)は0.01MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましく、また、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。
すなわち、加圧する場合の圧力(ゲージ圧)の範囲は、0.01〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
圧力が低すぎると乾燥が不充分になる可能性があり、圧力が高すぎると基材シート層がつぶれたり分解したりする可能性がある。
<積層化>
本発明により構成される複合シートは、静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が導入された微細繊維を含む基材シート層、および基材シート層の少なくとも一方の側に形成された、無機層を含む。複合シートは、基材シート層の少なくとも一方の側に形成された、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機層とを含むことが好ましい。無機層と有機層とを積層する場合、順番は特に限定されないが、基材シートの表面にまず有機層を積層することは、無機層を形成するための面を平滑にし、形成される無機層をより欠陥の少ないものとすることができる点で好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層、例えば、上層の接着を容易にするための易接着層を含んでいてもよい。
本発明により得られる複合シートは、光学材料としての好ましい特性である、全光線透過率、ヘーズ、黄色度、線熱膨張係数、および水蒸気透過率等を有しうる。これらの特性の測定方法と好ましい範囲を以下に説明する。
本発明に関し、全光線透過率(%)というときは、特に記載した場合を除き、JIS規格K7105に準拠し、ヘーズメータを用いてC光により測定した値をいう。
本発明に関し、ヘーズ値というときは、特に記載した場合を除き、JIS規格K7136に準拠し、ヘーズメータを用いてC光による測定した値をいう。ヘーズはシートの透明性に関する指標であり、濁度(曇度)を表す。拡散透過光の全光線透過光に対する割合から求められるもので、表面の粗さにも影響を受けうる。
本発明に関し、黄色度というときは、特に記載した場合を除き、対象となるシートをASTM規格に準拠し、E313黄色インデックス(YI)を適切な分光光度計(Spectro Eye)により求められる値をいう。黄色度は、200℃、真空下の4時間加熱の前後で測定し、それらの差により判断することができる。
本発明に関し、線熱膨張係数というときは、特に記載した場合を除き、次のように求めた値をいう。対象となるシートをレーザーカッターにより、3mm幅×30mm長に切断する。これをチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温、180℃から25℃まで5℃/min.で降温、25℃から180℃まで5℃/min.で昇温する。2度目に昇温したときの60℃から100℃の測定値から、線熱膨張係数を求める。
本発明に関し、湿度膨張係数というときは、特に記載した場合を除き、適切な湿度伸縮測定装置を用い、本明細書の実施例の項に記載した条件で求めた値をいう。
本発明に関し、水蒸気透過率(g/m2・day)というときは、特に記載した場合を除き、JIS規格K7129に準拠し、適切な水蒸気透過率測定装置を用いて、温度40℃、90%RHの雰囲気下で測定したときの値をいう。
本発明の構成の複合シートとすることにより、表面粗さ、表面硬度、屈曲試験(マンドレル法)等においても優れたシートを得ることができる。これらの試験方法は、当業者にはよく知られている。
本発明の実施態様においては、透明性、高弾性率、低潜熱膨張係数を有するという微細繊維含有シートの特性を活かしつつ、黄変が抑えられ、かつ耐湿性が向上した複合シートが得られる。このような複合シートは、光学特性に優れるため、表示素子、照明素子、太陽電池もしくは窓材、またはこれらのためのパネルもしくは基板として用いるのに適している。
<リン酸基導入セルロース繊維の作製>
未叩解針葉樹クラフトパルプ(王子ホールディングス製)を絶乾質量で1000gに、尿素、リン酸ナトリウム(リン原子とナトリウム原子のモル比Na/P=1.45)、水からなる薬液を含浸させ、圧搾し、余剰の薬液を搾り取り、薬液含浸パルプを得た。薬液含浸パルプは絶乾質量で1000gのパルプ、950gの尿素、リン原子として400gのリン酸ナトリウム、1200gの水を含んでいた。薬液含浸パルプを150℃に加熱したオーブンで乾燥、加熱処理し、パルプにリン酸基を導入した。乾燥、加熱工程を経た薬液含浸パルプに、25Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。次いで、得られた脱水シートを25Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1N水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pHが11〜13のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、再び25Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返し、リン酸変性セルロース繊維を得た。
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製:Panda Plus 2000)で、操作圧力1200barにて5回パスさせ、微細繊維状セルロース懸濁液を得た。さらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製:アルティマイザー)で245MPaの圧力にて5回パスさせ微細繊維状セルロース懸濁液(1)を得た。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、4.2nmであった。
機械処理により得られた微細繊維状セルロース懸濁液(1)に体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製:アンバージェット1024)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離し、微細繊維状セルロース懸濁液(2)を得た。微細繊維状セルロース懸濁液(1)と微細繊維状セルロース懸濁液(2)を体積比50:50で混合し、微細繊維状セルロース懸濁液(3)を得た。
微細繊維状セルロース懸濁液(3)にポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量400万)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、15質量部になるように添加した。なお、固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調製を行った。シートの仕上がり坪量が37.5g/m2になるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の板を配置し、得られるシートが四角形になるようにした。以上の手順により、シートを得た。得られたシートの厚さは25μm、密度は1.49g/cm3であった。
ステンレス板の上にスペーサーとして耐熱性ゴムシート(信越化学製:X−30−4084−U)に15cm角の穴をあけたものを載せ、穴の中にグリセリン50mLを展開した。そこに12cm四方に切り出したシートを浸漬し、その上にステンレス板を重ねて、180℃に加熱した熱プレス機(井元製作所製:手動油圧真空加熱プレス)に設置した。置換基脱離処理として、前記シートを180℃で30分間処理した後、シートを150mLのメタノールに浸漬し、洗浄を行った。洗浄を3回繰り返し、シートをガラスに貼り付け、100℃で5分加熱乾燥させ、シートを得た。
置換基脱離処理を行った前記シートを、SUNALE R-100B(Picosun社製)で、酸化アルミニウム成膜を行った。アルミニウム原料として、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMAの酸化にはH2Oを用いた。チャンバー温度を150℃に設定し、TMAのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とし、H2Oのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とした。このサイクルを405サイクル繰り返すことで、シート両面に膜厚30nmの酸化アルミニウム膜が積層されたシートを得た。
実施例1と同様にして得られた置換基脱離シートの両面に、下記の手順で樹脂層を積層した。シルセスキオキサン系樹脂(荒川化学工業社製「コンポセランSQ107」)10重量部、硬化剤(荒川化学工業社製「HBSQ202」)30重量部、イソプロピルアルコール60重量部を混合し、塗工液を得た。次いで、基材の片面に塗工液をメイヤーバーにて塗工した。その後、100℃で3分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射して、塗工液を硬化し、厚さ5μmの樹脂層を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ5μmの樹脂層を成膜した。さらに得られた樹脂積層シート上に、実施例1と同様にして、酸化アルミニウム成膜した。以上の手順により、樹脂層を堆積した両面に、酸化アルミニウム膜が積層されたシートを得た。
実施例2で得られた樹脂積層シートに、ICP−CVDロールtoロール装置(セルバック社製)でシリコン酸窒化膜を成膜した。キャリアフィルム(PETフィルム)の上面に、樹脂積層シートを両面テープで貼合して真空チャンバー内に設置した。真空チャンバー内の温度は50℃に設定し、流入ガスはシラン、アンモニア、酸素、窒素とした。プラズマ放電を発生させて45分間の成膜を行い、樹脂積層シートの片面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層されたシートを得た。さらに、反対側の面にも同様の手順で成膜を行うことで、シート両面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層されたシートを得た。
実施例3で得られた酸化アルミニウム膜積層シートの両面に、下記の手順で樹脂層を積層した。ウレタンアクリレート樹脂組成物(荒川化学工業社製「ビームセット575CB」)50重量部、及びメチルエチルケトン50重量部を混合して、硬化性樹脂前駆体溶液を得た。上記の硬化性樹脂前駆体溶液をメイヤーバーを用いてシート上に塗工した。次いで80℃で3分間乾燥した後、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製「ECS−4011GX」)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射して、硬化性樹脂前駆体溶液を硬化し、厚さ5μmの樹脂層を成膜した。さらに、反対側の面にも同様の手順で厚さ5μmの樹脂層を成膜した。以上の手順により、酸化アルミニウム膜を積層した両面に、樹脂層が積層されたシートを得た。
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を105℃で3時間乾燥させて水分3質量%以下の乾燥パルプを得た。次いで、乾燥パルプ4gと無水マレイン酸4g(乾燥パルプ100質量部に対して100質量部)をオートクレーブに充填し、150℃で2時間処理した。次いで、無水マレイン酸で処理されたパルプを500mLの水で3回洗浄した後、イオン交換水を添加して490mLのスラリーを調製した。次いで、スラリーを攪拌しながら、4Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを少しずつ添加し、スラリーのpHを12〜13として、パルプをアルカリ処理した。その後、pHが8以下になるまで、アルカリ処理後のパルプを水で洗浄した。洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製:Panda Plus 2000)で、操作圧力1200barにて5回パスさせ、微細繊維状セルロース懸濁液を得た。さらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製:アルティマイザー)で245MPaの圧力にて5回パスさせ微細繊維状セルロース懸濁液(4)を得た。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、4.5nmであった。
微細繊維状セルロース懸濁液(4)を原料として、実施例1と同様にシートを作製後、置換基脱離処理を実施し、シートを得た。得られたシートを実施例2と同様の手順で酸化アルミニウム膜、樹脂層を積層し、酸化アルミニウム膜を積層した両面に、樹脂層が積層されたシートを得た。
酸化アルミニウム成膜処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
酸化アルミニウム成膜処理、樹脂層堆積を行わない以外は、実施例5と同様にしてシートを得た。
<方法>
実施例1〜5、および比較例1、2で作製したシートについて以下の評価方法に従って評価を実施した。
JIS規格K7105に準拠し、ヘーズメータ(スガ試験機社製)を用いてC光による全光線透過率を測定した。
JIS規格K7136に準拠し、ヘーズメータ(スガ試験機社製)を用いてC光によるヘーズ値を測定した。
得られたシートを200℃、真空下で4時間加熱した後、ASTM規格に準拠し、E313黄色インデックスをGretag Macbeth社製ハンディ分光光度計(Spectro Eye)を用いて測定した。
蛍光X線分析により、シート中のリンおよびナトリウム原子濃度を測定した。すなわち、シートにX線を照射したときに、リンまたはナトリウム原子の内殻電子が励起されて生じた空孔に外殻の電子が遷移する際に放出されるリンまたはナトリウム原子の特性X線の強度を測定することによって、リンまたはナトリウム原子の濃度を得た。測定条件は以下の通りである。
・測定サンプル:直径27mmの円形サンプル
・X線管:Rh管
・対陰極:ロジウム
・分光結晶:Ge111 (リン)、PX1 (ナトリウム)
・励起光エネルギー:32kV−125mA
・測定線:リン P−Kα1、ナトリウム Na―Kα1
・2θ角ピーク:141.112(リン)、28.020(ナトリウム)
・測定時間:54秒(リン)、50秒(ナトリウム)
得られたシートをレーザーカッターにより、3mm幅×30mm長に切断した。これを、SII製TMA120を用いて引っ張りモードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温、180℃から25℃まで5℃/min.で降温、25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線熱膨張係数を求めた。
湿度伸縮試験は佐川製作所製の湿度伸縮測定装置を用い、下記の測定条件で行った。
・チャック間距離:50mm
・加重:10g
・温度:23度
・湿度:30%RH3時間→60%RH3時間
・湿度伸縮率(ppm/%RH)=(伸縮率(60%RH)−伸縮率(30%RH))/
(60%RH−30%RH)×106
・伸縮率(%RH)=((L(30)−L(0))/L(0)×100)
L(0):相対湿度50 %で所定の荷重をかけたときの試験片の長さ。
L(30):相対湿度30 %で所定の荷重をかけたときの試験片の長さ。
L(60):相対湿度60 %で所定の荷重をかけたときの試験片の長さ。
JIS規格K7129に準拠し、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製:PERMATRAN W/33)を用いて、温度40℃、90%RHの雰囲気下で測定した。
得られたシートをASME B46.12に準拠し、走査プローブ顕微鏡(Veeco社製Nanoscopel IV及びNanoscope IIIa)を用いて行った。プローブとしてSi単結晶プローブを使用し、測定モードをTappingモードとして、測定エリアを10μm×10μmとして画像の取り込みを行った。得られた画像について、走査プローブ顕微鏡に付属の解析ソフトウェアを用いて、うねりを除去するための画像処理としてFlatten処理(0次)を1回、及びPlanefit処理(XY)を1回行った後、表面粗さを算出した。
得られたシートを、JIS K 5600 5−4 引っ掻き硬度(鉛筆法) に準拠し、鉛筆の硬さにより表面硬度を評価した。
(10)各層の厚みの測定
1μm以上の有機層の膜厚は樹脂塗工前後の膜厚をMahr社製 Millitron 1202dにて測定した。1μm以下の無機層の膜厚はFilmetrics社製膜厚測定機器F70にて測定。酸化アルニミウムもしくはシリコン酸窒化膜の成膜条件と同条件でシリコンウェハに成膜を行った後、F70で測定した各値を間接的にCNFシート上に成膜された無機層の膜厚とした。
結果を表1に示した。
Claims (13)
- 微細繊維を含む、基材シート層、および基材シート層の少なくとも一方の側に形成された、無機層を含む、複合シート。
- 微細繊維が、静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が導入された微細繊維である請求項1に記載の複合シート。
- さらに、基材シート層の少なくとも一方の側に形成された有機層を含む、請求項1または2に記載の複合シート。
- 微細繊維が、平均繊維幅2〜1000nmのセルロース微細繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合シート。
- 置換基が、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種であり、置換基導入量が0.01〜2.0mmol/gである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合シート。
- 基材シート層の厚みが、0.1〜1200μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合シート。
- 無機層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウムおよび酸化窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合シート。
- 有機層が、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合シート。
- 基材シート層が:
(a)繊維原料に、置換基導入繊維を得る工程と
(b)工程(a)で得られた置換基導入繊維を機械処理して、置換基導入微細繊維を得る工程と
(c)工程(b)で得られた置換基導入微細繊維からシートを調製する工程と
(d)工程(c)で得られたシートから導入置換基の少なくとも一部を脱離させる工程
を有する製造方法により製造された、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合シート。 - 静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基が、リン酸由来の基であり、工程(a)の後であって工程(c)の前に、さらに
(e)置換基導入繊維または置換基導入微細繊維の中和度を変更する工程
を有する製造方法により製造された、請求項9に記載の複合シート。 - 基材シート層の少なくとも一方の側に、
無機層、および無機層に積層された有機層が形成された、または
有機層、および有機層に積層された無機層が形成された、請求項1〜10のいずれか1項に記載の、複合シート。 - 請求項11に記載の複合シートを用いた、フレキシブルディスプレイ、太陽電池、照明素子、表示素子、タッチパネル、窓材または構造材。
- 請求項1〜11に記載の複合シート、または請求項11に記載の太陽電池、照明素子、表示素子、タッチパネル、窓材または構造材を用いた、製品。
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