JP2020062889A - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、特許文献3及び4の複合シートにおいては、微細繊維状セルロースの多孔化により、微細繊維状セルロースの密度が低下し、複合シートの強度が十分に得られないという課題があった。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である[1]に記載の積層体(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
[3] 官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 接着層は、官能基(A)を有するポリマーと、官能基(B)を有する化合物とを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 積層体を温度85℃、相対湿度85%の条件下に240時間置いた後に、JIS K 5400に準拠したクロスカット試験を行った際の繊維層100マス中の剥離数が10以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 繊維層の密度は1.0g/cm3以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 引張弾性率が5GPa以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 全光線透過率が85%以上である[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 接着層は、重合開始剤をさらに含む[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 樹脂層は、重合開始剤をさらに含む[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 接着層は塗布接着層であり、樹脂層は塗布樹脂層である[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体。
[12] 繊維層の少なくとも一方の面上に、官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む組成物を塗布することで接着層を形成し、接着層上にアクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布することで樹脂層を形成して製造された[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体。
[13] 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する積層体の製造方法。
[14] 官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である[13]に記載の積層体の製造方法(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
[15] 官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である[13]又は[14]に記載の積層体の製造方法。
[16] 官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物は、官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む[13]〜[15]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[17] 官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物には、重合開始剤がさらに含まれる[13]〜[16]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[18] 樹脂組成物には、重合開始剤がさらに含まれる[13]〜[17]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
本発明は、繊維層と、接着層と、樹脂層とをこの順で有する積層体に関する。積層体において、繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む。接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに、水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含む。そして、樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む。
なお、JIS K 5400に準拠した密着性の評価方法は、具体的には下記の通りである。まず、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離し、剥離したマス(1mm2四方マス)の数を数える。このマスの数を100マス中の剥離数とする。
本発明では、接着層及び樹脂層を上記方法で形成することにより、接着層において、繊維層と樹脂層を連結するような一連の架橋構造が形成される。このため、積層体における層間密着性をより効果的に高めることが可能となる。
繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む。繊維層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、繊維層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
微細繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを含有するシートは高強度が得られる傾向がある。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
微細繊維状セルロースは、セルロース原料を解繊処理することによって得られる。また、本発明では、解繊処理前にセルロース原料に化学的処理を施し微細繊維状セルロースに置換基を付加することが好ましい。微細繊維状セルロースに付加される置換基は、イオン性置換基であることが好ましく、アニオン性置換基であることがより好ましい。アニオン性置換基としては、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基(単にリン酸基ということもある。)、カルボキシル基及びスルホン基から選択される少なくとも1種の置換基を挙げることができる。中でもアニオン性置換基は、リン酸基及びカルボキシル基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸基であることがより好ましい。
セルロース原料の化学的処理の方法は、微細繊維を得ることができる方法である限り特に限定されない。化学的処理としては、例えば、酸処理、オゾン処理、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル)酸化処理、酵素処理、セルロースまたは繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられる。
Biomacromolecules 2007, 8, 1353-1357.に記載されている方法を挙げることができる。具体的には、硫酸や塩酸等により微細繊維状セルロースを加水分解処理する。高濃度の酸処理により製造されるものは、非結晶領域がほとんど分解されており、繊維の短いもの(セルロースナノクリスタルとも呼ばれる)になるが、これらも微細繊維状セルロースに含まれる。
微細繊維状セルロースはアニオン性置換基を有することが好ましい。中でも、アニオン基は、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸基で及びカルボキシル基から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、リン酸基であることが特に好ましい。
アニオン性置換基の導入量は特に限定されないが、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、アニオン性置換基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。アニオン性置換基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
本発明においては、微細繊維状セルロースはリン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有していることが好ましい。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「化合物A」という。)を反応させることにより行うことができる。このような化合物Aは、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーに化合物Aの粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
リン酸基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、リン酸基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
本発明においては、微細繊維状セルロースがカルボキシル基を有するものである場合、たとえば上述したTEMPO酸化処理などの酸化処理やカルボン酸由来の基を有する化合物、その誘導体、またはその酸無水物もしくはその誘導体によって処理することで、カルボキシル基を導入することができる。
カルボキシル基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、カルボキシル基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。カルボキシル基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
本実施形態においては、イオン性置換基としてカチオン性置換基が微細繊維状セルロースに導入されていてもよい。例えば繊維原料にカチオン化剤およびアルカリ化合物を添加して反応させることにより、繊維原料にカチオン性置換基を導入することができる。
カチオン化剤としては、4級アンモニウム基を有し、かつセルロースのヒドロキシル基と反応する基を有するものを用いることができる。セルロースのヒドロキシル基と反応する基としては、エポキシ基、ハロヒドリンの構造を有する官能基、ビニル基、ハロゲン基等が挙げられる。カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
アルカリ化合物は、カチオン化反応の促進に寄与するものである。アルカリ化合物は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩またはアルカリ土類金属のリン酸塩などの無機アルカリ化合物であってもよいし、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物およびその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の有機アルカリ化合物であってもよい。カチオン性置換基の導入量の測定は、たとえば元素分析等を用いて行うことができる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、置換基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行うことができる。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
イオン性置換基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
繊維層の密度は、1.0g/cm3以上であることが好ましく、1.2g/cm3以上であることがより好ましく、1.4g/cm3以上であることがさらに好ましい。また、繊維層の密度は、2.0g/cm3以下であることが好ましい。繊維層の密度は、繊維層の坪量と厚さから、JIS P 8118に準拠して算出される。繊維層の坪量は、JIS P 8124に準拠し、算出することができる。なお、繊維層が微細繊維状セルロース以外の任意成分を含む場合は、繊維層の密度は、微細繊維状セルロース以外の任意成分を含む密度である。
また、繊維層が非多孔性であることは、空隙率が15体積%以下であることからも特徴付けられる。ここでいう繊維層の空隙率は簡易的に下記式(a)により求めるものである。
式(a):空隙率(体積%)=[1−B/(M×A×t)]×100
ここで、Aは繊維層の面積(cm2)、tは繊維層の厚み(cm)、Bは繊維層の質量(g)、Mはセルロースの密度である。
繊維層に含まれる他の成分としては、例えば親水性高分子や有機イオン等が挙げられる。親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール等)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ウレタン系共重合体などを挙げることができる。有機イオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオンやテトラアルキルホスホニウムイオンを挙げることができる。テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、テトラヘプチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルジメチルエチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルエチルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、トリブチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。テトラアルキルホスホニウムイオンとしては、例えばテトラメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラプロピルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、およびラウリルトリメチルホスホニウムイオンが挙げられる。また、テトラプロピルオニウムイオン、テトラブチルオニウムイオンとして、それぞれテトラn−プロピルオニウムイオン、テトラn−ブチルオニウムイオンなども挙げることができる。
接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含む。すなわち、接着層は、官能基(A)と、官能基(B)又は官能基(B)由来の基を含む。本発明では、接着層にこのような複数種の官能基を含有させることによって、積層体における層間密着性を高めることができる。
本発明においては、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)は、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方を有するアクリル樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方がグラフト重合したアクリル樹脂であることがより好ましく、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基の両方がグラフト重合したアクリル樹脂であることが特に好ましい。
また、官能基(B)の加水分解基は、上述した官能基が加水分解することで得られる基であり、官能基(B)由来の基である。
接着層を形成する際には、このような組成物を塗布した後に硬化させる工程を含み、この硬化工程において、各官能基が共有結合を形成する。硬化後の接着層には、共有結合に供されなかった残存の官能基(A)及び官能基(B)が検出されることとなる。なお、接着層に含まれる官能基(B)は加水分解がされやすい場合があるため、接着層からは、官能基(B)に替わって官能基(B)の加水分解基が検出されてもよい。また、各官能基が共有結合した構造を検出して、各官能基が含まれることを確認してもよい。
光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上300℃以下であることがよい。
樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む。樹脂層は、塗布により形成される塗布樹脂層であることが好ましく、樹脂層を形成する塗布液(樹脂組成物)にはアクリルモノマーが含まれることが好ましい。
本発明の積層体は、さらに無機膜(以下、無機層ともいう)を有していてもよい。無機層は、繊維層側に積層されてもよく、樹脂層側に積層されてもよい。また、無機層は、積層体の両側に積層されてもよい。
本発明は、積層体の製造方法に関するものでもある。本発明の積層体の製造工程は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する。
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程又は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含む。中でも、微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程を含むことが好ましい。
塗工工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維状セルロース含有シートを基材から剥離することにより、シート(繊維層)を得る工程である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。塗工するスラリーの濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含んでもよい。抄紙工程で抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等公知の抄紙を行ってもよい。
接着層を形成する工程では、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布する。
樹脂層を形成する工程では、アクリルモノマー及びアクリルモノマーのプレ重合体から選択される少なくともいずれかを含む樹脂組成物を塗布する。
樹脂組成物に含まれるアクリルモノマーとしては、上述したアクリルモノマーを例示することができる。中でも、アクリルモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートから選択される少なくとも1種であることが好ましい。アクリルモノマーのプレ重合体としては、上述したアクリルモノマーと、ウレタン構造やエポキシ構造が共重合された共重合体を例示することができる。
照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意である。具体的には、300nm以上450nm以下の紫外線を、10mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下の範囲で照射することが好ましい。また、放射線を2回以上に分割して照射することも好ましい。放射線照射に使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、または無電極水銀ランプ等を挙げることができる。
本発明の積層体は、光学特性に優れるため、表示素子、照明素子、太陽電池もしくは窓材、またはこれらのためのパネルもしくは基板として用いることができる。
より具体的には、積層体は、フレキシブルディスプレイ、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイ、LED素子として用いることができる。
[リン酸化試薬の調製]
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス株式会社製、水分50質量%、JIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプ懸濁液を得た。このパルプ懸濁液500gにリン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社製、DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。このときのリン酸基の導入量は、0.98mmol/gであった。
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、撹拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、撹拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12以上13以下になるまで少しずつ添加して、パルプ分散液を得た。その後、このパルプ分散液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、固形分濃度が1.0質量%のパルプ分散液とした。このパルプ分散液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製、Panda Plus 2000)を用いて処理し、セルロース分散液を得た。高圧ホモジナイザーを用いた処理においては、操作圧力1200barにてホモジナイジングチャンバーを5回通過させた。さらに、このセルロース分散液を湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)を用いて処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。湿式微粒化装置を用いた処理においては、245MPaの圧力にて処理チャンバーを5回通過させた。微細繊維状セルロース分散液に含まれる微細繊維状セルロースの平均繊維幅は4nmであった。
微細繊維状セルロース分散液の固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調整を行った。その後、微細繊維状セルロース分散液100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)の0.5質量%水溶液を20質量部添加した。次いで、シートの仕上がり坪量が45.0g/m2になるように分散液を計量して、市販のアクリル板に展開し、35℃、相対湿度15%の恒温恒湿器にて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の金枠(内寸が180mm×180mmの金枠)を配置した。以上の手順により、微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)を得た。触針式厚さ計(マール社製、ミリトロン1202D)で測定した微細繊維状セルロース含有シートの厚みは29.8μmであり、坪量を厚みで除して算出した密度は1.51g/cm3であった。
アクリロイル基がグラフト重合したアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8KX−012C)100質量部と、ポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)38質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)2質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、微細繊維状セルロース含有シートの一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で1時間加熱して硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(A)を得た。
光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5質量%含有するウレタンアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット575CB)100質量部、メチルエチルケトン100質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の積層]
ペンタエリスリトールテトラアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット710)100質量部、メチルエチルケトン100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)5質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、実施例1で得られた接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の積層]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット710)100質量部、メチルエチルケトン100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)5質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、実施例1で得られた接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層成形用ガラスセルの作成]
実施例1で得られた接着層積層シート(A)2枚を長さ120mm、幅55mmの寸法に裁断した。次いで、長さ125mm、幅60mm、厚さ2mmのシリコンゴムの中央部に、長さ95mm、幅40mm、厚さ2mmの空隙を設けてスペーサーとし、ガラス板を外周に配置し、さらに2枚の接着層積層シート(A)をシリコンゴムの内周縁に沿うように挿入した。なお、スペーサーとしたシリコンゴムと接着層積層シート(A)の側部には、空隙に後述の樹脂組成物を注入するための幅5mmの開口部を設けた。さらに、長さ125mm、幅60mm、厚さ3mmのガラス板2枚で接着層積層シート(A)2枚を上下から挟み、左右各2点、上下各1点をダブルクリップで固定して封止した。図5は、上記のように作製した樹脂層成形用ガラスセル200を上方から見た図であって、上部ガラス板を除去した状態の樹脂層成形用ガラスセルの概略図である。図5に示されているように、樹脂層成形用ガラスセル200においては、内部スペースに周りに、接着層積層シート(A)130、シリコンゴム120、ガラス板110が配設されている。
1,10−デカンジオールジアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(新中村化学工業社製、A−DOD−N)100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)3質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで、スペーサーの開口部からマイクロピペットを使用して樹脂組成物を樹脂層成形用ガラスセル200における内部スペースに注入した。さらに、開口部にシリコンゴムを挿入して封止し、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて300mJ/cm2の紫外線を20回照射して、樹脂組成物を硬化させた。その後、ガラス板およびシリコンゴムを除去し、厚さ1920μmの樹脂層の両面に接着層を介して微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)が積層された積層体を得た。
実施例1において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例1と同様にし、積層体を得た。
実施例2において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例2と同様にし、積層体を得た。
実施例3において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例3と同様にし、積層体を得た。
[接着層の積層]
ポリエステル樹脂であるUVコートアンカー剤(荒川化学工業社製、アラコートAP2510)76質量部、硬化剤(荒川化学工業社製、アラコートCL2502)10質量部及びメチルエチルケトン14質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、実施例1で得られた微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で3分間加熱して硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(B)を得た。
上記接着層積層シート(B)に実施例1と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
比較例4で得られた接着層積層シート(B)に実施例2と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
比較例4で得られた接着層積層シート(B)に実施例3と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
[接着層の積層]
シルセスキオキサン系樹脂(荒川化学工業社製、コンポセランSQ107)26質量部、硬化剤(荒川化学工業社製、HBSQ202)14質量部、イソプロピルアルコール60質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、実施例1で得られた微細繊維状セルロース含有シートの一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してイソプロピルアルコールを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射して、接着組成物を硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(C)を得た。
上記接着層積層シート(C)に実施例1と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
比較例7で得られた接着層積層シート(B)に実施例2と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
比較例7で得られた接着層積層シート(B)に実施例3と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
実施例及び比較例で得た積層体を、以下の方法にて測定した。
JIS P 8113に準拠し、引張試験機(L&W社製、Tensile Tester CODE SE−064)を用いて、温度23℃、相対湿度50%における引張弾性率を測定した。
JIS K 7361に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、全光線透過率を測定した。
JIS K 5400に準拠し、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、樹脂層と繊維層(微細繊維状セルロース含有シート)の密着性を評価した。
積層体を温度85℃、相対湿度85%とした恒温恒湿器(東京理科器械社製、KCL−2000)に入れ、240時間静置した。その後、積層体を温度23℃、相対湿度50%の環境下に1時間置いた。その後、JIS K 5400に準拠し、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、樹脂層と繊維層(微細繊維状セルロース含有シート)の密着性を評価した。
一方で、接着層を積層していない比較例1〜3では、初期密着性、および加速試験後の密着性のいずれも低い結果となった。また、接着層としてポリエステル樹脂を使用した比較例4〜6、シルセスキオキサン系樹脂を使用した比較例7〜9では、初期密着性は比較的良好であったものの、加速試験後の密着性が不十分であり、苛烈な条件下での使用が想定される用途においては実用上の問題が懸念される結果となった。
<実施例5(無機膜積層体の製造例1)>
実施例1〜4で得られた積層体を用い、下記の手順で無機膜積層体を作製できる。
積層体に対し、原子層堆積装置(Picosun社製、SUNALE R-100B)で、酸化アルミニウム成膜を行う。アルミニウム原料として、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMAの酸化にはH2Oを用いる。チャンバー温度を150℃に設定し、TMAのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とし、H2Oのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とする。このサイクルを405サイクル繰り返すことで、積層体の両面に膜厚30nmの酸化アルミニウム膜が積層された無機膜積層体が得られる。
実施例1〜4で得られた積層体を用い、下記の手順で無機膜積層体を作製できる。
積層体に対し、プラズマCVD装置(セルバック社製、ICP−CVDロールtoロール装置)でシリコン酸窒化膜を成膜する。キャリアフィルム(PETフィルム)の上面に、積層体を両面テープで貼合して真空チャンバー内に設置する。真空チャンバー内の温度は50℃に設定し、流入ガスはシラン、アンモニア、酸素、窒素とする。プラズマ放電を発生させて45分間の成膜を行い、積層体の片面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得る。さらに、反対側の面にも同様の手順で成膜を行うことで、積層体の両面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得ることもできる。
20 接着層
30 樹脂層
100 積層体
110 ガラス板
120 シリコンゴム
130 接着層積層シート(A)
150 開口部
200 樹脂層成形用ガラスセル
Claims (18)
- 繊維層と、接着層と、樹脂層とをこの順で有し、
前記繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含み、
前記接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに、水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び前記官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含み、
前記樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む積層体。 - 前記官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の積層体(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
- 前記官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記接着層は、前記官能基(A)を有するポリマーと、前記官能基(B)を有する化合物とを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 積層体を温度85℃、相対湿度85%の条件下に240時間置いた後に、JIS K 5400に準拠したクロスカット試験を行った際の前記繊維層100マス中の剥離数が10以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記繊維層の密度は1.0g/cm3以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 引張弾性率が5GPa以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 全光線透過率が85%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記接着層は、重合開始剤をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記樹脂層は、重合開始剤をさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記接着層は塗布接着層であり、前記樹脂層は塗布樹脂層である請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記繊維層の少なくとも一方の面上に、前記官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、前記官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む組成物を塗布することで前記接着層を形成し、前記接着層上にアクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布することで前記樹脂層を形成して製造された請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体。
- 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、
前記繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、
アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する積層体の製造方法。 - 前記官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、または、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である請求項13に記載の積層体の製造方法(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
- 前記官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である請求項13又は14に記載の積層体の製造方法。
- 前記官能基(A)及び前記官能基(B)を含む組成物は、前記官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、前記官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む請求項13〜15のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記官能基(A)及び前記官能基(B)を含む組成物には、重合開始剤がさらに含まれる請求項13〜16のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記樹脂組成物には、重合開始剤がさらに含まれる請求項13〜17のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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