JP6617576B2 - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、より優れた密着性を有する微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)と樹脂層の積層体を提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 樹脂層は、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも一方を含む[1]に記載の積層体。
[3] 樹脂層の繊維層側の面は親水性基を有する[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 樹脂層の繊維層側の面は有機ケイ素化合物を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 樹脂層の繊維層側の面は微細凹凸構造を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 繊維層の密度は1.0g/cm3以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 樹脂層の少なくとも一方の面を、蒸留水滴下30秒後の水接触角が60°以下となるように親水化処理する工程と、樹脂層の親水化処理を行った面上に繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を塗工する工程と、を含む積層体の製造方法。
[8] 親水化処理工程の前に微細凹凸構造を形成する工程をさらに含む[7]に記載の積層体の製造方法。
本発明は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロース(以下、微細繊維状セルロースともいう)を含む繊維層と、繊維層の一方の面に接する樹脂層と、を少なくとも1層ずつ有する積層体に関する。本発明の積層体において、樹脂層の繊維層側の面の蒸留水滴下30秒後の水接触角は60°以下である。
本発明の積層体は、上記構成を有するため、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層と樹脂層の密着性に優れたものである。
なお、樹脂層の繊維層側の面の蒸留水滴下30秒後の水接触角は、繊維層と積層する前後において同程度である。すなわち、樹脂層を繊維層と積層した後に上記手順ではく離し、樹脂層の繊維層側の面の水接触角を測定した結果と、樹脂層を繊維層に積層する前に樹脂層の繊維層側に配される面の水接触角を測定した結果は同程度である。
繊維層は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む。繊維層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、繊維層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
また、繊維層が非多孔性であることは、空隙率が15体積%以下であることからも特徴付けられる。ここでいう繊維層の空隙率は簡易的に下記式(a)により求めるものである。
式(a):空隙率(体積%)=[1−B/(M×A×t)]×100
ここで、Aは繊維層の面積(cm2)、tは繊維層の厚み(cm)、Bは繊維層の質量(g)、Mはセルロースの密度である。
微細繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを含有する繊維層は高強度が得られる傾向がある。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このようなリン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーにリン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
繊維層には、微細繊維状セルロース以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、例えば、親水性高分子や有機イオン等が挙げられる。親水性高分子は、親水性の含酸素有機化合物(但し、上記セルロース繊維は除く)であることが好ましい。含酸素有機化合物は非繊維状であることが好ましく、このような非繊維状の含酸素有機化合物には、微細繊維状セルロースや熱可塑性樹脂繊維は含まれない。
樹脂層は、天然樹脂や合成樹脂等の樹脂を主成分とする層である。ここで、主成分とは、樹脂層の全質量に対して、50質量%以上含まれている成分を指す。樹脂の含有量は、樹脂層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。なお、樹脂の含有量は、100質量%とすることもでき、95質量%以下であってもよい。
樹脂層の繊維層側の面が微細凹凸構造を有する場合、このような構造を形成する工程としては、上述した工程を挙げることができる。
本発明は、樹脂層の少なくとも一方の面を、蒸留水滴下30秒後の水接触角が60°以下となるように親水化処理する工程と、樹脂層の親水化処理を行った面上に繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を塗工する工程と、を含む積層体の製造方法に関するものでもある。
親水性基供与剤を付与する工程においては、樹脂層の少なくとも一方の面に親水性基供与剤を塗工もしくは噴霧してもよい。また、親水性基供与剤を付与する工程においては、樹脂層を親水性基供与剤に含浸させてもよい。本発明においては、樹脂層を有機ケイ素化合物含有溶液に含浸させることが好ましい。樹脂層を有機ケイ素化合物含有溶液に含浸させる場合は、有機ケイ素化合物含有溶液の濃度は0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、有機ケイ素化合物含有溶液の濃度は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。有機ケイ素化合物含有溶液の濃度を上記範囲内とすることにより、繊維層と樹脂層の密着性をより効果的に高めることができる。
本発明の積層体は、さらに無機膜(以下、無機層ともいう)を有していてもよい。無機層は、繊維層側に積層されてもよく、樹脂層側に積層されてもよい。また、無機層は、積層体の両側に積層されてもよい。
本発明の積層体の好ましい実施形態は、透明で機械的強度が高く、ヘーズの小さい積層体である。優れた光学特性を活かす観点から、各種のディスプレイ装置、各種の太陽電池、等の光透過性基板の用途に適している。また、電子機器の基板、家電の部材、各種の乗り物や建物の窓材、内装材、外装材、包装用資材等の用途にも適している。
[リン酸化]
針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙社製のパルプ(固形分93%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を使用した。上記針葉樹クラフトパルプ(絶乾質量)100質量部に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を含浸し、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素200質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒間乾燥・加熱処理し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入した。このときのリン酸基の導入量は、0.98mmol/gであった。
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、撹拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、撹拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12以上13以下になるまで少しずつ添加して、パルプ分散液を得た。その後、このパルプ分散液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、固形分濃度が1.0質量%のパルプ分散液とした。このパルプ分散液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製、Panda Plus 2000)を用いて処理し、セルロース分散液を得た。高圧ホモジナイザーを用いた処理においては、操作圧力1200barにてホモジナイジングチャンバーを5回通過させた。さらに、このセルロース分散液を湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)を用いて処理し、微細繊維状セルロース分散液(A)を得た。湿式微粒化装置を用いた処理においては、245MPaの圧力にて処理チャンバーを5回通過させた。微細繊維状セルロース分散液(A)に含まれる微細繊維状セルロースの平均繊維幅は4nmであった。
ポリカーボネート(PC)フィルム(帝人社製、パンライトPC−2151:厚み300μm)を寸法210mm×297mmに切り出し、コロナ表面改質装置(春日電機社製、TEC−4AX)に静置した。次いで、処理出力60W、処理速度1m/分にてコロナ放電処理を行った。上記のコロナ放電処理を20回繰り返して行い、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(a)を得た。
微細繊維状セルロース分散液(A)の固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調整を行った。その後、微細繊維状セルロース分散液(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)の0.5質量%水溶液を20質量部添加し、微細繊維状セルロース分散液(B)を得た。次いで、セルロース繊維層(微細繊維状セルロース分散液(B)の固形分から構成される層)の仕上がり坪量が50g/m2になるように微細繊維状セルロース分散液(B)を計量して、表面処理ポリカーボネートフィルム(a)上に塗工した。さらに、70℃の送風乾燥機にて18時間乾燥した。なお、所定の坪量となるよう表面処理ポリカーボネートフィルム(a)上には堰止用の金枠(内寸が直径100mmの円形の金枠)を配置した。以上の手順により、繊維層(セルロース繊維含有層)と樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の親水化処理]
ポリカーボネートフィルム(帝人社製、パンライトPC−2151:厚み300μm)を寸法150mm×150mmに切り出し、サンドブラスト加工機に静置した。次いで、80メッシュのコランダム微粉末をジェット気流と共に表面を走査した。次いで、上記サンドブラスト加工後のポリカーボネートフィルムを、真空プラズマ処理装置(魁半導体社製、RIE.S−200A)に静置した。処理出力を300W、投入ガスを酸素、ガス流量を10mL/分、チャンバー内圧力を100Pa、処理時間を5分とし、プラズマ放電処理を行った。上記の処理により、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(b)を得た。
樹脂層として表面処理ポリカーボネートフィルム(a)の代わりに表面処理ポリカーボネートフィルム(b)を用いた以外は実施例1の積層化と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の親水化処理]
有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)としてメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、SILQUEST A−174 SILANE)を、濃度が0.5質量%となるようにエタノールで希釈し、シランカップリング剤希釈溶液を得た。次いで、ポリカーボネートフィルム(帝人社製、パンライトPC−2151:厚み300μm)を寸法210mm×297mmに切り出し、上記シランカップリング剤希釈溶液に浸漬させた。次いで、ポリカーボネートフィルムを引き上げ、上端をダブルクリップで挟んで恒温乾燥機内に吊るし、100℃で15分間の加熱処理を行った。さらに、120℃で3時間の加熱処理を行った。上記の処理により、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(c)を得た。
樹脂層として表面処理ポリカーボネートフィルム(a)の代わりに表面処理ポリカーボネートフィルム(c)を用いた以外は実施例1の積層化と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の親水化処理]
実施例3の樹脂層の親水化処理において、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの濃度を5.0質量%にした以外は実施例3と同様にし、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(d)を得た。
樹脂層として表面処理ポリカーボネートフィルム(a)の代わりに表面処理ポリカーボネートフィルム(d)を用いた以外は実施例1の積層化と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の親水化処理]
実施例4の樹脂層の親水化処理において、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりにメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、SILQUEST Y−9936 SILANE)を用いた以外は実施例4と同様にし、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(e)を得た。
樹脂層として表面処理ポリカーボネートフィルム(a)の代わりに表面処理ポリカーボネートフィルム(e)を用いた以外は実施例1の積層化と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
[樹脂層の親水化処理]
実施例4の樹脂層の親水化処理において、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりに1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを用いた以外は実施例4と同様にし、表面が親水化された、表面処理ポリカーボネートフィルム(f)を得た。
樹脂層として表面処理ポリカーボネートフィルム(a)の代わりに表面処理ポリカーボネートフィルム(f)を用いた以外は実施例1の積層化と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
実施例1において、樹脂層の親水化処理を行わなかった以外、その他の手順は実施例1と同様にし、繊維層と樹脂層が積層された積層体を得た。
実施例及び比較例で得た積層体を以下の方法にて測定した。
積層体の厚みを触針式厚さ計(マール社製、ミリトロン1202D)で測定した。
積層化を行う前の樹脂層の厚みを触針式厚さ計(マール社製、ミリトロン1202D)で測定し、積層体中の樹脂層の厚みとした。
積層体の厚みから、樹脂層の厚みを減じ、繊維層(セルロース繊維含有層)の厚みとした。
繊維層の坪量(50g/m2)を繊維層の厚みで除し、繊維層の密度とした。
積層体をイオン交換水中に24時間浸漬した後、樹脂層から繊維層をはく離した。次いで、樹脂層の繊維層側に配されていた面(親水化処理を行った面)の水接触角を測定した。測定はJIS R 3257に準拠して行い、動的水接触角試験機(Fibro社製、1100DAT)を用いて樹脂層表面に蒸留水を4μL滴下し、滴下後30秒後の水接触角を測定値とした。
実施例及び比較例で得た積層体を以下の方法にて評価した。
JIS K 5400に準拠し、積層体の繊維層に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、繊維層と樹脂層の密着性を評価した。
JIS K 7361に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて積層体の全光線透過率を評価した。
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて積層体のヘーズを評価した。
下記の手順で、繊維層の両面に樹脂層が積層された多層積層体が得られる。
実施例1〜6のいずれかで得られた積層体を2枚用意し、各々の繊維層に、バーコーターにて水を塗工する。次いで、2枚の積層体の繊維層面を貼り合わせ、一方の積層体の樹脂層側からゴムローラーを押し当てて加圧する。さらに、貼り合わせた積層体を恒温乾燥機にて100℃で1時間乾燥することで、繊維層の両面に樹脂層が積層された多層積層体が得られる。
実施例1〜6のいずれかで得られた積層体を2枚用意し、各々の繊維層に、UV硬化型アクリル接着剤(アイカ工業社製、Z−587)をバーコーターにて塗工する。次いで、2枚の積層体の繊維層面をUV硬化型アクリル接着剤を介して貼り合わせ、一方の積層体の樹脂層側からゴムローラーを押し当てて加圧する。さらに、貼り合わせた積層体の樹脂層側から、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を3回照射して、UV硬化型アクリル接着剤を硬化することで、繊維層の両面に樹脂層が積層された多層積層体が得られる。
実施例1〜6のいずれかで得られた積層体を用い、下記の手順で両面に樹脂層が積層された多層積層体が得られる。
まず、アクリロイル基がグラフト重合したアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8KX−012C)100質量部と、ポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)38質量部を混合して樹脂組成物を得る。次いで上記樹脂組成物を、積層体のセルロース繊維含有層に、バーコーターにて塗布する。さらに、100℃で1時間加熱して硬化させることで、セルロース繊維含有層の両面に樹脂層が積層された多層積層体が得られる。
実施例1〜6のいずれかで得られた積層体又は実施例7〜9のいずれかで得られた多層積層体に対し、原子層堆積装置(Picosun社製、SUNALE R-100B)で、酸化アルミニウム成膜を行う。アルミニウム原料として、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMAの酸化にはH2Oを用いる。チャンバー温度を150℃に設定し、TMAのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とし、H2Oのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とする。このサイクルを405サイクル繰り返すことで、積層体の両面に膜厚30nmの酸化アルミニウム膜が積層された無機膜積層体が得られる。
実施例1〜6のいずれかで得られた積層体又は実施例7〜9のいずれかで得られた多層積層体に対し、プラズマCVD装置(セルバック社製、ICP−CVDロールtoロール装置)でシリコン酸窒化膜を成膜する。具体的には、キャリアフィルム(PETフィルム)の上面に、積層体を両面テープで貼合して真空チャンバー内に設置する。真空チャンバー内の温度は50℃に設定し、流入ガスはシラン、アンモニア、酸素、窒素とする。プラズマ放電を発生させて45分間の成膜を行い、積層体の片面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得る。さらに、反対側の面にも同様の手順で成膜を行うことで、積層体の両面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得ることもできる。
6 樹脂層
10 積層体
Claims (6)
- 繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層と、
前記繊維層の一方の面に接する樹脂層と、を少なくとも1層ずつ有し、
前記樹脂層は、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも一方を含み、
前記樹脂層の繊維層側の面は有機ケイ素化合物を含み、
前記樹脂層の繊維層側の面の蒸留水滴下30秒後の水接触角が60°以下である積層体。 - 前記樹脂層の繊維層側の面は親水性基を有する請求項1に記載の積層体。
- 前記樹脂層の繊維層側の面は微細凹凸構造を有する請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記繊維層の密度は1.0g/cm3以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも一方を含む樹脂層の少なくとも一方の面を、蒸留水滴下30秒後の水接触角が60°以下となるように親水化処理する工程と、
前記樹脂層の親水化処理を行った面上に繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を塗工する工程と、を含む積層体の製造方法であって、
前記樹脂層の親水化処理を行った面は有機ケイ素化合物を含む、積層体の製造方法。 - 前記親水化処理工程の前に微細凹凸構造を形成する工程をさらに含む請求項5に記載の積層体の製造方法。
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