JP2011149124A - 微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細繊維状セルロースを効率よくコンポジットシート化し、微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】微細繊維状セルロースを用いたコンポジット材料の製造において、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合して混合液を製造する調製工程、該混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水して水分を含んだシートを形成する抄紙工程、該水分を含んだシートを加熱乾燥する乾燥工程を備えた装置上でシート化して得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に高分子層を設けて熱圧着により成形することを特徴とする微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】微細繊維状セルロースを用いたコンポジット材料の製造において、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合して混合液を製造する調製工程、該混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水して水分を含んだシートを形成する抄紙工程、該水分を含んだシートを加熱乾燥する乾燥工程を備えた装置上でシート化して得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に高分子層を設けて熱圧着により成形することを特徴とする微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、微細繊維状セルロースと樹脂のコンポジットシートを効率よく積層する方法を提供することを目的とする。
近年、物質をナノメートルサイズの大きさにすることによりバルクや分子レベルとは異なる物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。一方で、石油資源の代替および環境意識の高まりから再生産可能な天然繊維の応用にも注目が集まっている。
天然繊維の中でもセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品として幅広く使用されている。紙に使用されるセルロース繊維の幅は10〜50μmのものがほとんどである。このようなセルロース繊維から得られる紙(シート)は不透明であり、不透明であるが故に印刷用紙として幅広く利用されている。一方、セルロース繊維をレファイナーやニーダー、サンドグラインダーなどで処理(叩解、粉砕)し、セルロース繊維を微細化(ミクロフィブリル化)すると透明紙(グラシン紙)が得られる。しかし、この透明紙の透明性は半透明レベルであり、光の透過性は高分子フィルムに比べると低く、曇り度合い(ヘーズ値)も大きい。
天然繊維の中でもセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品として幅広く使用されている。紙に使用されるセルロース繊維の幅は10〜50μmのものがほとんどである。このようなセルロース繊維から得られる紙(シート)は不透明であり、不透明であるが故に印刷用紙として幅広く利用されている。一方、セルロース繊維をレファイナーやニーダー、サンドグラインダーなどで処理(叩解、粉砕)し、セルロース繊維を微細化(ミクロフィブリル化)すると透明紙(グラシン紙)が得られる。しかし、この透明紙の透明性は半透明レベルであり、光の透過性は高分子フィルムに比べると低く、曇り度合い(ヘーズ値)も大きい。
また、セルロース繊維は弾性率が高く、熱膨張率の低いセルロース結晶の集合体であり、セルロース繊維を樹脂と複合化することによって耐熱寸法安定性が向上するため、積層板などに利用されている。ただし、通常のセルロース繊維は結晶の集合体であり、筒状で空隙のある繊維のため寸法安定性には限界がある。
セルロース繊維を機械的に粉砕し、その繊維幅を50nm以下とした微細繊維状セルロースの水分散液は透明である。他方、微細繊維状セルロースシートは空隙を含むため白く乱反射し、不透明性が高くなるが、微細繊維状セルロースシートに樹脂を含浸すると空隙が埋まるため、透明なシートが得られる。更に、微細繊維状セルロースシートの繊維はセルロース結晶の集合体で、非常に剛直であり、また、繊維幅が小さいため、通常のセルロースシート(紙)に比べると同質量において繊維の本数が飛躍的に多くなる。そのため、樹脂と複合化すると樹脂中で細い繊維がより均一かつ緻密に分散し、耐熱寸法安定性が飛躍的に高まる。また、繊維が細いため透明性が高い。このような特性を有する微細繊維状セルロースの複合体は、有機ELや液晶ディスプレイ用のフレキシブル透明基板(曲げたり折ったりすることのできる透明基板)として非常に大きな期待が寄せられている。
セルロース繊維を機械的に粉砕し、その繊維幅を50nm以下とした微細繊維状セルロースの水分散液は透明である。他方、微細繊維状セルロースシートは空隙を含むため白く乱反射し、不透明性が高くなるが、微細繊維状セルロースシートに樹脂を含浸すると空隙が埋まるため、透明なシートが得られる。更に、微細繊維状セルロースシートの繊維はセルロース結晶の集合体で、非常に剛直であり、また、繊維幅が小さいため、通常のセルロースシート(紙)に比べると同質量において繊維の本数が飛躍的に多くなる。そのため、樹脂と複合化すると樹脂中で細い繊維がより均一かつ緻密に分散し、耐熱寸法安定性が飛躍的に高まる。また、繊維が細いため透明性が高い。このような特性を有する微細繊維状セルロースの複合体は、有機ELや液晶ディスプレイ用のフレキシブル透明基板(曲げたり折ったりすることのできる透明基板)として非常に大きな期待が寄せられている。
しかし、微細繊維状セルロースの水性分散液は濃度1質量%で粘度が500〜10000mPa・秒程度であり、該分散液を脱水してシート化しようとすると、該分散液の濾水性が極めて悪いため、抄紙スピードが極めて遅くなり、巻取り(連続シート)での工業的な生産は困難である。抄紙時の生産スピードが極めて遅い理由は、微細繊維状セルロースの濾水性(脱水速度)が極めて低いためである。
微細繊維状セルロースに関する微細化技術、樹脂との複合化技術については数多く開示されているが、工業的な生産性を維持しつつ、微細繊維状セルロースを高分子樹脂との複合化シートにする技術についてはほとんど開示されていないのが現状である。
微細繊維状セルロースに関する微細化技術、樹脂との複合化技術については数多く開示されているが、工業的な生産性を維持しつつ、微細繊維状セルロースを高分子樹脂との複合化シートにする技術についてはほとんど開示されていないのが現状である。
具体的には特許文献1〜3には、セルロース繊維を微細繊維化する技術が開示されているが、微細繊維化されたセルロースをシート化する際の濾水性を向上させる技術については開示も示唆もない。
特許文献4〜10には、高分子に微細繊維状セルロースを複合化させることによって力学強度等の物性を向上させる技術等が開示されているが、複合化を易化させる技術(例えば、セルロースに樹脂が含浸し易くする技術)についてはほとんど開示されていない。
また、特許文献11〜20には、微細繊維状セルロースをシート化する技術が開示されているが、高分子との複合化方法や積層体については開示されていない。
特開昭56−100801号公報
特開2008−169497号公報
特許第3036354号公報
特許第3641690号公報
特表平9−509694号公報
特開2006−316253号公報
特開平9−216952号公報
特開平11−209401号公報
特開2008−106152号公報
特開2005−060680号公報
特開平8−188981号公報
特開2006−193858号公報
特開2008−127693号公報
特開平5−148387号公報
特開2001−279016号公報
特開2004−270064号公報
特開平8−188980号公報
特開2007−23218号公報
特開2007−23219号公報
特開平10−248872号公報
本発明は、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合し、この混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水し、乾燥する方法よって得られた微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に高分子層を形成し、熱圧着プレスして積層体を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合し、この混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水し、乾燥する方法によって水を多く含む多糖類材料を効率的にコンポジットシート化し、得られたコンポジットシートの少なくとも片面にさらに高分子層を形成し、それらシートを2枚以上積層し、熱圧着によって積層体ができるか否か種々検討し、かかる知見に基づき本発明を完成させた。
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)微細繊維状セルロースを用いたコンポジット材料の製造において、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合して混合液を製造する調製工程、該混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水して水分を含んだシートを形成する抄紙工程、該水分を含んだシートを加熱乾燥する乾燥工程を備えた装置上でシート化して得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に、高分子層を設けて熱圧着により成形する微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(1)微細繊維状セルロースを用いたコンポジット材料の製造において、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合して混合液を製造する調製工程、該混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水して水分を含んだシートを形成する抄紙工程、該水分を含んだシートを加熱乾燥する乾燥工程を備えた装置上でシート化して得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に、高分子層を設けて熱圧着により成形する微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(2)前記高分子層が高分子エマルションに含まれる高分子と同じ組成である(1)に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(3)前記高分子層が高分子エマルションを塗布、乾燥して得られる(1)または(2)に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(4)前記混合液の固形分濃度が3質量%以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(5)前記調製工程において、微細繊維状セルロースを含む混合液にセルロース凝結剤を配合する(1)〜(4)のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
(6)前記調製工程において、混合する微細繊維状セルロースの繊維幅が2〜1000nmである(1)〜(5)のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
本発明によって、微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を非常に効率よく生産できる製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における微細繊維状セルロースは通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに幅の狭いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。微細繊維状セルロースは結晶状態のセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。微細繊維状セルロースの幅は電子顕微鏡で観察して2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。繊維の幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。1000nmを超えると微細繊維とは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。また、微細繊維状セルロースのコンポジットに透明性が求められる用途であると、微細繊維の幅は50nm以下が好ましい。
本発明における微細繊維状セルロースは通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに幅の狭いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。微細繊維状セルロースは結晶状態のセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。微細繊維状セルロースの幅は電子顕微鏡で観察して2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。繊維の幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。1000nmを超えると微細繊維とは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。また、微細繊維状セルロースのコンポジットに透明性が求められる用途であると、微細繊維の幅は50nm以下が好ましい。
ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造をとっていることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。また、微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、該懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。この際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定した場合に少なくとも軸に対し、20本以上の繊維が軸と交差するような試料および観察条件(倍率等)とする。この条件を満足する観察画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維幅を目視で読み取っていく。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で観察し、各々2つの軸の交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(最低20本×2×3=120本の繊維幅)。
微細繊維状セルロースの製造方法には特に制限はないが、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナーなどの機械的作用を利用する湿式粉砕でセルロース系繊維を細くする方法が好ましい。また、TEMPO酸化、オゾン処理、酵素処理などの化学処理を施してから微細化してもかまわない。微細化するセルロース系繊維としては、植物由来のセルロース、動物由来のセルロース、バクテリア由来のセルロースなどが挙げられる。より具体的には、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材系製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻や麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも木材系製紙用パルプや非木材系パルプが入手のし易さという点で好ましい。
本発明においては、上記微細繊維状セルロースを水に懸濁させた水系懸濁液に高分子エマルションを混合して使用される。
ここで、高分子エマルションとは、天然あるいは合成高分子のエマルションであり、粒子径が0.01〜1.0μm程度の微細な高分子粒子で、水中に分散した乳白色の液体である。これらの高分子エマルションは通常乳化重合により製造されるが、高分子ラテックスと称されることもある。このような高分子エマルションとして使用可能な高分子としては特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂エマルション、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のような高分子樹脂は後乳化法によってエマルション化してもよい。
ここで、高分子エマルションとは、天然あるいは合成高分子のエマルションであり、粒子径が0.01〜1.0μm程度の微細な高分子粒子で、水中に分散した乳白色の液体である。これらの高分子エマルションは通常乳化重合により製造されるが、高分子ラテックスと称されることもある。このような高分子エマルションとして使用可能な高分子としては特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂エマルション、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のような高分子樹脂は後乳化法によってエマルション化してもよい。
高分子エマルションの製造方法について説明する。
まず、本発明において使用する高分子エマルションはラジカル重合性単量体を乳化剤により水中に乳化させ、かつこれらの単量体が重合して生成するエマルション粒子を水中で安定化させる能力を十分に有する高分子である。
該高分子の製造方法は、従来の伝統的な乳化重合法によるものである。すなわち、適当な水性媒体中で、過酸化物、アゾ化合物等の重合開始剤、チオール化合物、ジスルフィド化合物等の連鎖移動剤の存在下で、ラジカル重合性単量体をラジカル重合するものである。
まず、本発明において使用する高分子エマルションはラジカル重合性単量体を乳化剤により水中に乳化させ、かつこれらの単量体が重合して生成するエマルション粒子を水中で安定化させる能力を十分に有する高分子である。
該高分子の製造方法は、従来の伝統的な乳化重合法によるものである。すなわち、適当な水性媒体中で、過酸化物、アゾ化合物等の重合開始剤、チオール化合物、ジスルフィド化合物等の連鎖移動剤の存在下で、ラジカル重合性単量体をラジカル重合するものである。
上記の高分子エマルションは、乳化剤を全単量体に対して0.1〜6質量%の範囲で含有させて重合させることが好ましい。使用量が0.1質量%未満であると重合安定性が不十分となり、反応中に凝集物が発生してしまうおそれがある。また、6質量%を越えると、高分子エマルションの粒子径が小さくなり過ぎ、粘度が高くなるため、好ましくない。
本発明において用いる乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、トデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル等のアニオン系界面活性剤、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤を例示できる。また、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アルキルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、ステアラミドメチルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩などの第4級アンモニウム塩、ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩、トリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩などのエステル結合アミンやエーテル結合第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリンなどの複素還アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシドなどのアミン誘導体等のカチオン系界面活性剤を例示できる。さらに、乳化分散能力を有する比較的低分子量の高分子化合物、例えばポリビニルアルコール、およびその変性物、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール誘導体、ポリカルボン酸共重合体の中和物、カゼイン等を単独あるいは上記の乳化剤と併用して使用できる。
重合時の単量体の濃度は通常30〜70質量%程度、好ましくは40〜60質量%程度が適当である。また、重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などのパーオキサイド化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等のアゾ化合物等を用いることができる。
上記高分子を重合する際の水性媒体としては、水または水にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族類、ジクロロメタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メトキシエタノール等のアルコール類、酢酸エチルを配合したものを適宜選択できる。
本発明において用いられる上記高分子エマルションを構成する単量体として具体的に挙げると、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルフマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸含有単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセノールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらの少なくとも一種を使用することができる。
連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等のメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド等のスルフィド類、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、イオウ等を用いることができる。
重合禁止剤としては、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−フェニル−1−ナフチルアミン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ハイドロキノン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。
重合反応は通常40〜95℃、好ましくは60〜90℃程度の反応温度で、1〜10時間、好ましくは4〜8時間程度行えばよい。単量体の添加方法としては、一括添加法、分割添加法、連続添加法等で、単量体タップ法、単量体プレ乳化タップ法等の方法で行うことができる。好ましくは連続添加法で単量体プレ乳化タップ法である。
上記のような高分子エマルション(ラテックス)は、共重合体中のカルボキシ基等を例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第1級、第2級、第3級アミン等の適当なアルカリ性物質で中和することによって安定化し、濃度20〜65質量%、より好ましくは30〜55質量%程度に調節して使用される。
次に、後乳化法によって高分子樹脂をエマルション化する方法について説明する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を乳化剤や保護コロイド剤等の分散剤を用いて水に分散させた分散液、いわゆるエマルションを製造する方法は種々知られている。
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を乳化剤や保護コロイド剤等の分散剤を用いて水に分散させた分散液、いわゆるエマルションを製造する方法は種々知られている。
例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合は、先ず、エチレン−酢酸ビニル共重合体を加熱溶融し、次いで、上記のようなアニオン系やノニオン系の乳化剤を添加撹拌し、その後、熱水を添加して、ホモミキサー等の機械剪断力を用いて乳化することにより得られる(特開昭57−61035号公報参照)。
また、水溶性又は水性のポリウレタンエマルションも多数知られている。その一つとしては、ブロック化イソシアネート基を利用した比較的低〜中分子量域の熱反応型ポリウレタンエマルションが挙げられる。もう一つとしては、直鎖状構造を主体とする比較的高分子量域の熱可塑性ポリウレタンエマルションが挙げられる。これらはウレタン樹脂骨格中にアニオン、カチオン、ノニオン等の親水性基を導入して自己乳化若しくは分散するか、又は疎水性樹脂に上記のような乳化剤を添加して強制的に水中に分散するものである。
本発明において、歩留りや脱水性を考慮すると、高分子エマルションの粒子径は大きいほうがよく、また、大き過ぎるとシートの均一性、光学物性が低下するおそれがあるため、目的に合った適度な大きさ、0.001〜10μmが好ましい。なかでも、高分子エマルションは、表面電荷がカチオン性であることが分散安定性、歩留りなどにおいて有利である。
本発明において用いる高分子エマルションの濃度は任意に変えられるが、坪量が低くなると繊維による捕捉がなくなり、歩留りが極端に低下するおそれがある。
本発明において使用する微細繊維状セルロースを含む混合液は、微細繊維状セルロース水系懸濁液に上記高分子エマルションを攪拌しながら投入して調製する。攪拌装置としてはアジテーター、ホモミキサー、パイプラインミキサーなどの装置を用いて均一に混合攪拌する。
本発明において、調製工程で混合液にセルロース凝結剤を配合することが好ましい。該セルロース凝結剤としては、水溶性無機塩やカチオン性官能基を含む水溶性有機化合物が挙げられる。水溶性無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
カチオン性官能基を含む水溶性有機化合物としてはポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、尿素樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、第四級アンモニウム塩を含有するモノマーを重合あるいは共重合したポリマーなどが挙げられる。
また、透明性が求められる用途にはカチオン性が弱い化合物をセルロース凝結剤として使用することが好ましい。カチオン性が弱い化合物として炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸アンモニウム系化合物やギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウムなどの有機カルボン酸アンモニウム系化合物が挙げられる。これらの中でも加熱後、分解、気化してシート中から放出される炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウムが好ましい。
また、コロイド滴定法により測定されるカチオン化度が1.0〜3.0meq/gである微カチオン樹脂、例えばポリアミド化合物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物などの有機高分子も使用できる。市販品としては、SPI−203(変性アミン系樹脂、田岡化学工業社製)、SPI−106N(変性ポリアミド系樹脂、田岡化学工業社製)、SPI−102A(変性ポリアミド系樹脂、田岡化学工業社製)等が挙げられる。
また、透明性が求められる用途にはカチオン性が弱い化合物をセルロース凝結剤として使用することが好ましい。カチオン性が弱い化合物として炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸アンモニウム系化合物やギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウムなどの有機カルボン酸アンモニウム系化合物が挙げられる。これらの中でも加熱後、分解、気化してシート中から放出される炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウムが好ましい。
また、コロイド滴定法により測定されるカチオン化度が1.0〜3.0meq/gである微カチオン樹脂、例えばポリアミド化合物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物及びポリアミドアミン化合物などの有機高分子も使用できる。市販品としては、SPI−203(変性アミン系樹脂、田岡化学工業社製)、SPI−106N(変性ポリアミド系樹脂、田岡化学工業社製)、SPI−102A(変性ポリアミド系樹脂、田岡化学工業社製)等が挙げられる。
(コロイド滴定法)
カチオン化度の測定に使用されるコロイド滴定法は寺山宏・東京大学理学部教授により創案された高分子電解質の滴定法であり、その原理はポリカチオンとポリアニオンがイオン会合し、瞬時に複合体を形成することに基づくものである。また、滴定の終点検出には色素のメタクロマジー現象が利用されている。コロイド滴定法を用いたカチオン化度の測定には「コロイド滴定セット」(株式会社同仁化学研究所製)を使用することができる。
カチオン化度の測定に使用されるコロイド滴定法は寺山宏・東京大学理学部教授により創案された高分子電解質の滴定法であり、その原理はポリカチオンとポリアニオンがイオン会合し、瞬時に複合体を形成することに基づくものである。また、滴定の終点検出には色素のメタクロマジー現象が利用されている。コロイド滴定法を用いたカチオン化度の測定には「コロイド滴定セット」(株式会社同仁化学研究所製)を使用することができる。
セルロース凝結剤の配合量は水系懸濁液がゲル化する量以上に添加するのが好ましい。具体的には、微細繊維状セルロース100質量部に対して、セルロース凝結剤を0.5〜10質量部添加するのが好ましい。因みに、セルロース凝結剤の添加量が0.5質量部未満であると、水系懸濁液のゲル化が不充分となり、濾水性向上効果が乏しくなるおそれがある。添加量が10質量部を超えると、ゲル化が進み過ぎ、水系懸濁液の取扱が困難となるおそれがある。より好ましくは1〜8質量部の範囲である。ここで、本発明によるゲル化とは水系懸濁液の粘度が急激かつ大幅に上昇し、流動性を失う状態変化である。
また、カチオン性が弱い化合物については、セルロース凝結剤の添加量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して、セルロース凝結剤を10〜200質量部添加するのが好ましい。ただし、ここで得られるゲルはゼリー状であり、攪拌によって容易に破壊される。ゲル化の判断は急激に流動性を失う状態であるので目視で判断可能であるが、本発明のセルロース凝結剤を含む微細繊維状セルロースの水系懸濁液について濃度0.5質量%、温度25℃でのB型粘度(ロータNo.4、回転数60rpm)で判断する。該粘度が1000mPa・秒以上であることが好ましく、2000mPa・秒以上であることがより好ましく、3000mPa・秒以上であることが特に好ましい。因みに、B型粘度が1000mPa・秒未満であると水系懸濁液のゲル化が不充分となり、濾水性向上効果が乏しくなるおそれがある。
また、カチオン性が弱い化合物については、セルロース凝結剤の添加量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して、セルロース凝結剤を10〜200質量部添加するのが好ましい。ただし、ここで得られるゲルはゼリー状であり、攪拌によって容易に破壊される。ゲル化の判断は急激に流動性を失う状態であるので目視で判断可能であるが、本発明のセルロース凝結剤を含む微細繊維状セルロースの水系懸濁液について濃度0.5質量%、温度25℃でのB型粘度(ロータNo.4、回転数60rpm)で判断する。該粘度が1000mPa・秒以上であることが好ましく、2000mPa・秒以上であることがより好ましく、3000mPa・秒以上であることが特に好ましい。因みに、B型粘度が1000mPa・秒未満であると水系懸濁液のゲル化が不充分となり、濾水性向上効果が乏しくなるおそれがある。
本発明で使用できる脱水方法としては紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられ、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、ロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、乾燥方法としては紙の製造で用いられている方法が挙げられ、例えば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、赤外線ヒーターなどの方法が好ましい。
なお、脱水時のワイヤーとして使用できる多孔性の基材としては、一般の抄紙に使用するワイヤーが挙げられる。例えば、ステンレス、ブロンズなどの金属ワイヤーやポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンなどのプラスチックワイヤーが好ましい。また、セルロースアセテート基材などのメンブレンフィルターをワイヤーとして使用してもかまわない。ワイヤーの目開きとしては0.2μm〜200μmが好ましく、0.4μm〜100μmがさらに好ましい。目開きが0.2μm未満であると脱水速度が極端に遅くなり好ましくない。200μmを超えて大きいと微細繊維状セルロースの歩留りが低下して好ましくない。
この場合の混合液の濃度としては3質量%以下であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましく、0.2〜0.8質量%であることが特に好ましい。混合液の濃度が3質量%を超えると粘度が高すぎて取り扱いが困難となるおそれがある。該混合液の粘度は、B型の粘度で100〜5000mPa・秒程度が好適である。
本発明で得られる微細繊維状セルロースコンポジットシートの坪量は0.1〜1000g/m2が好ましく、1〜500g/m2がさらに好ましく、5〜100g/m2が特に好ましい。坪量が0.1g/m2未満になるとシート強度が極端に弱くなり、連続生産ができない。1000g/m2より超えると脱水に非常に時間がかかり、生産性が極端に低下して好ましくない。
本発明で得られる微細繊維状セルロースコンポジットシートの厚さは0.1〜1000μmが好ましく、1〜500μmがさらに好ましく、5〜100μmが特に好ましい。厚さが0.1μm未満になるとシート強度が極端に弱くなり、連続生産ができない。1000μmより超えると脱水速度に非常に時間がかかり、生産性が極端に低下して好ましくない。
コンポジットシートの積層体を得るためにコンポジットシートどうしを熱圧着して積層することが考えられるが、シート間の接着力が弱いことが判明した。接着力を上げるためにコンポジットシート中の高分子の割合を増やすことで一定の効果はあるが、割合を増やしすぎると微細繊維状セルロースの割合が低下してコンポジットとしての物性が得られなくなる。
そこで、コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して圧着する方法を検討した。塗布する高分子の種類は特に限定されないが、前記コンポジットシート中に含有させた高分子と同種の高分子を塗布することがシートの接着性の点で好ましい。
コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して、未乾燥のまま貼合して加熱乾燥したところ積層は可能であったが、シワが発生し易かった。特に、コンポジットシートの積層枚数が増えるとシワが大きくなる。
そこで、コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して、加熱乾燥した後、得られた高分子層を形成したコンポジットシートどうしを熱圧着して積層体を製造することでシワのない外観に優れた積層体が得られた。
本発明においては高分子エマルションを塗布した面どうしを熱圧着してもかまわないし、高分子エマルションを塗布した面とコンポジットシートの未塗布面とを熱圧着しても良い。また、2枚以上同時に熱圧着しても良い。
そこで、コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して圧着する方法を検討した。塗布する高分子の種類は特に限定されないが、前記コンポジットシート中に含有させた高分子と同種の高分子を塗布することがシートの接着性の点で好ましい。
コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して、未乾燥のまま貼合して加熱乾燥したところ積層は可能であったが、シワが発生し易かった。特に、コンポジットシートの積層枚数が増えるとシワが大きくなる。
そこで、コンポジットシートの少なくとも片面に高分子エマルションあるいは微細繊維状セルロースを含有する高分子エマルションを塗布して、加熱乾燥した後、得られた高分子層を形成したコンポジットシートどうしを熱圧着して積層体を製造することでシワのない外観に優れた積層体が得られた。
本発明においては高分子エマルションを塗布した面どうしを熱圧着してもかまわないし、高分子エマルションを塗布した面とコンポジットシートの未塗布面とを熱圧着しても良い。また、2枚以上同時に熱圧着しても良い。
本発明において高分子エマルションの塗布方法は特に限定されないが、バー塗工、ダイ塗工、カーテン塗工、エアナイフ塗工、ブレード塗工、ロッド塗工、グラビア塗工、スプレー塗工、サイズプレス塗工、ゲートロール塗工など通常の方法が使用される。高分子エマルションの塗布量は特に限定されないが、塗布量は0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、0.2g/m2〜5g/m2が好ましく、0.5g/m2〜3g/m2が好ましい。塗布量が0.1g/m2未満であると熱圧着性が不十分となるおそれがあり、好ましくない。塗布量が10g/m2を超えると微細繊維状セルロースの含有量が少なくなり、寸法安定性などが低下するため、好ましくない。
熱圧着の温度は高分子エマルションの高分子の融点や軟化点に依存するため、融点あるいは軟化点以上の温度が好ましい。また、セルロースは250℃を超えると劣化したり、変色し易くなるので250℃以下が好ましい。より具体的には100℃〜250℃が好ましい。
熱圧着の圧力に特に制限はないが、10N〜1000Nが好ましく、30N〜500Nがより好ましく、50N〜300Nがさらに好ましい。10N未満であると圧着性が不十分となるおそれがあり、1000Nを超えると複合体の構造が破壊され、強度低下を招くおそれがある。
熱圧着の方法には特に制限はないが、平判同士の圧着であるホットプレス法やロールとロールのニップで熱圧着するロール法が好ましい。特にロール法は連続で処理できるため好ましい実施態様である。
熱圧着の温度は高分子エマルションの高分子の融点や軟化点に依存するため、融点あるいは軟化点以上の温度が好ましい。また、セルロースは250℃を超えると劣化したり、変色し易くなるので250℃以下が好ましい。より具体的には100℃〜250℃が好ましい。
熱圧着の圧力に特に制限はないが、10N〜1000Nが好ましく、30N〜500Nがより好ましく、50N〜300Nがさらに好ましい。10N未満であると圧着性が不十分となるおそれがあり、1000Nを超えると複合体の構造が破壊され、強度低下を招くおそれがある。
熱圧着の方法には特に制限はないが、平判同士の圧着であるホットプレス法やロールとロールのニップで熱圧着するロール法が好ましい。特にロール法は連続で処理できるため好ましい実施態様である。
本発明で得られる微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体は目的の物性を得るために後工程でのサイズプレス、塗工などによって処理されてもよい。
本発明によって作製されるコンポジットシートの積層体はセルロース由来の高弾性率を持ち、かつシワのない高密度シートである。また、本来水に弱いセルロースシートに耐水性といった樹脂の持つ機能を付与することが可能となる。また、熱プレスによって易成形可能であるため、各種容器やパソコンやテレビ、携帯電話などの電化製品の筐体、自動車や自転車、電車などの構造部材に使用可能である。
以下、本発明を更に詳しく説明するために実施例を挙げるが、いうまでもなく本発明はこれらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を意味する。
<調整例1:セルロース水系懸濁液Aの作製方法>
LBKPパルプ(王子製紙社製:水分53.0%、フリーネス600mLcsf)をパルプ濃度が1〜1.5%になるように水を加えてディスインテグレーターで解繊した。
得られたパルプ懸濁液に対して石臼型分散機(増幸産業社製「スーパーマスコロイダー」)を用いて1回処理を行った。更にこれを高圧衝突型分散機(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で10回処理し、セルロース水系懸濁液を得た。最後に水系懸濁液のパルプ濃度を0.5%に調整した。
LBKPパルプ(王子製紙社製:水分53.0%、フリーネス600mLcsf)をパルプ濃度が1〜1.5%になるように水を加えてディスインテグレーターで解繊した。
得られたパルプ懸濁液に対して石臼型分散機(増幸産業社製「スーパーマスコロイダー」)を用いて1回処理を行った。更にこれを高圧衝突型分散機(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で10回処理し、セルロース水系懸濁液を得た。最後に水系懸濁液のパルプ濃度を0.5%に調整した。
<調整例2:セルロース水系懸濁液Bの作製方法>
LBKPパルプ(王子製紙社製:水分53.0%、フリーネス600mLcsf)をパルプ濃度が1〜1.5%になるように水を加えてディスインテグレーターで解繊した。
得られたパルプ懸濁液に対して石臼型分散機(増幸産業社製「スーパーマスコロイダー」)を用いて4回処理を行った。更にこれを高圧衝突型分散機(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で20回処理し、セルロース水系懸濁液を得た。最後に水系懸濁液のパルプ濃度を0.5%に調整し、20kHz超音波処理を行った。
LBKPパルプ(王子製紙社製:水分53.0%、フリーネス600mLcsf)をパルプ濃度が1〜1.5%になるように水を加えてディスインテグレーターで解繊した。
得られたパルプ懸濁液に対して石臼型分散機(増幸産業社製「スーパーマスコロイダー」)を用いて4回処理を行った。更にこれを高圧衝突型分散機(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で20回処理し、セルロース水系懸濁液を得た。最後に水系懸濁液のパルプ濃度を0.5%に調整し、20kHz超音波処理を行った。
<抄紙装置の説明>
抄紙装置は脱水および乾燥する装置があればよく、一例としてワイヤーパートおよびドライヤーパートからなる装置が考えられる。更にプレスなどの加圧脱水装置やカレンダー、サイズプレス、塗工装置などの紙加工処理装置があってもかまわない。
抄紙装置は脱水および乾燥する装置があればよく、一例としてワイヤーパートおよびドライヤーパートからなる装置が考えられる。更にプレスなどの加圧脱水装置やカレンダー、サイズプレス、塗工装置などの紙加工処理装置があってもかまわない。
<調整例3:コンポジットシートA>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートAを得た。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートAを得た。
<調整例4:コンポジットシートB>
セルロース:ポリウレタン樹脂=70:30(固形分比率)としたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートBを得た。
セルロース:ポリウレタン樹脂=70:30(固形分比率)としたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートBを得た。
<調整例5:コンポジットシートC>
セルロース:ポリウレタン樹脂=50:50(固形分比率)としたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートCを得た。
セルロース:ポリウレタン樹脂=50:50(固形分比率)としたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートCを得た。
<調整例6:コンポジットシートD>
セルロース水系懸濁液Bを用いたいこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートDを得た。
セルロース水系懸濁液Bを用いたいこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートDを得た。
<調整例7:コンポジットシートE>
ポリエチレンエマルション(「E−2213」、東邦化学工業社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートEを得た。
ポリエチレンエマルション(「E−2213」、東邦化学工業社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートEを得た。
<調整例8:コンポジットシートF>
スチレン−ブタジエンラテックス(「LX407S12」、日本ゼオン社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートFを得た。
スチレン−ブタジエンラテックス(「LX407S12」、日本ゼオン社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートFを得た。
<調整例9:コンポジットシートG>
ポリプロピレンエマルション(「P−5800」、東邦化学工業社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートGを得た。
ポリプロピレンエマルション(「P−5800」、東邦化学工業社製)を用いたこと以外は調整例3と同様にして坪量80g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートGを得た。
<実施例1>
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。別のコンポジットシートAの片面とポリウレタン樹脂層の面を重ね合わせて170℃2分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量161g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。別のコンポジットシートAの片面とポリウレタン樹脂層の面を重ね合わせて170℃2分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量161g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例2>
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように5枚重ね合わせて170℃5分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量404g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように5枚重ね合わせて170℃5分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量404g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例3>
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例4>
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように80枚重ね合わせて170℃45分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量6479g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例3で得られたコンポジットシートAの片面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように80枚重ね合わせて170℃45分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量6479g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例5>
調整例3で得られたコンポジットシートAの両面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1230g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例3で得られたコンポジットシートAの両面に10%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートAを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1230g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例6>
調整例4で得られたコンポジットシートBを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例4で得られたコンポジットシートBを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例7>
調整例5で得られたコンポジットシートCを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例5で得られたコンポジットシートCを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例8>
調整例6で得られたコンポジットシートDを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例6で得られたコンポジットシートDを用いたこと以外は実施例3と同様にして坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例9>
調整例7で得られたコンポジットシートEの片面に10%に希釈したポリエチレンエマルション(「E−2213」、東邦化学工業社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリエチレン層を形成した。このようにしてポリエチレン層を形成したコンポジットシートEを、ポリエチレン層とポリエチレン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例7で得られたコンポジットシートEの片面に10%に希釈したポリエチレンエマルション(「E−2213」、東邦化学工業社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリエチレン層を形成した。このようにしてポリエチレン層を形成したコンポジットシートEを、ポリエチレン層とポリエチレン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例10>
調整例8で得られたコンポジットシートFの片面に10%に希釈したスチレン−ブタジエンラテックス(「LX407S12」、日本ゼオン製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のスチレン−ブタジエン層を形成した。このようにしてスチレン−ブタジエン層を形成したコンポジットシートFを、スチレン−ブタジエン層とスチレン−ブタジエン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例8で得られたコンポジットシートFの片面に10%に希釈したスチレン−ブタジエンラテックス(「LX407S12」、日本ゼオン製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のスチレン−ブタジエン層を形成した。このようにしてスチレン−ブタジエン層を形成したコンポジットシートFを、スチレン−ブタジエン層とスチレン−ブタジエン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例11>
調整例8で得られたコンポジットシートGの片面に10%に希釈したポリプロピレンエマルション(「P−5800」、東邦化学工業社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリプロピレン層を形成した。このようにしてポリプロピレン層を形成したコンポジットシートFを、ポリプロピレン層とポリプロピレン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例8で得られたコンポジットシートGの片面に10%に希釈したポリプロピレンエマルション(「P−5800」、東邦化学工業社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリプロピレン層を形成した。このようにしてポリプロピレン層を形成したコンポジットシートFを、ポリプロピレン層とポリプロピレン層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
<実施例12>
調整例7で得られたコンポジットシートEの片面にポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートEを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
調整例7で得られたコンポジットシートEの片面にポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)をバーコーターで塗工して、塗工量1g/m2のポリウレタン樹脂層を形成した。このようにしてポリウレタン樹脂層を形成したコンポジットシートEを、ポリウレタン樹脂層とポリウレタン樹脂層が形成されていない面が接するように15枚重ね合わせて170℃15分間熱プレス(圧力10kg/cm2)して坪量1214g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を得た。
実施例1〜12で得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの積層体を熱プレス成形することで所定の形状に成形することができた。
<比較例1>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例1の5倍かかり、生産性が悪かった。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例1の5倍かかり、生産性が悪かった。
<比較例2>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=70:30(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例2の5倍かかり、生産性が悪かった。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=70:30(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例2の5倍かかり、生産性が悪かった。
<比較例3>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=50:50(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例2の5倍かかり生産性が悪かった。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=50:50(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量160g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが多少入っており、外観がやや悪かった。また、吸引速度が調整例2の5倍かかり生産性が悪かった。
<比較例4>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量400g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが酷く入っており、外観が極めて悪かった。また、吸引速度が調整例2の50倍かかり、生産性が極めて悪かった。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量400g/m2の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得た。得られたシートはシワが酷く入っており、外観が極めて悪かった。また、吸引速度が調整例2の50倍かかり、生産性が極めて悪かった。
<比較例5>
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量600g/m2以上の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得ようとしたが、吸引脱水が途中でできなくなり、シートを得ることができなかった。
セルロース水系懸濁液Aを濃度0.5%に希釈したポリウレタン樹脂エマルション(「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)と固形分でセルロース:ポリウレタン樹脂=90:10(固形分比率)になるように混合した後、濃度0.3%の硫酸アルミニウム水溶液を1.58部加えて1分間攪拌した。得られた混合液を508メッシュナイロンシート上で吸引脱水した後にシリンダードライヤーで乾燥し、坪量600g/m2以上の微細繊維状セルロースコンポジットシートを得ようとしたが、吸引脱水が途中でできなくなり、シートを得ることができなかった。
<評価方法>
1.引張破断強度および引張弾性率
上記実施例および比較例で得られたコンポジットシートの積層体について引張破断強度および引張弾性率をJIS P 8113:1998に準じて測定した。スパン長は100mm、引張速度は10mm/minで試験を行った。
1.引張破断強度および引張弾性率
上記実施例および比較例で得られたコンポジットシートの積層体について引張破断強度および引張弾性率をJIS P 8113:1998に準じて測定した。スパン長は100mm、引張速度は10mm/minで試験を行った。
表1から明らかなように、本発明の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法によればコンポジットシート積層体が容易に作製でき、コンポジットシート積層体の引張破断強度が強く、引張弾性率が高いものが得られる。
本発明の製造方法によれば、微細繊維状セルロースを効率よくコンポジットシート化し、さらにその少なくとも片面に高分子層を設けて熱圧着することにより積層化することができ、得られたコンポジットシート積層体も強度的に優れた特性を示すものである。
Claims (6)
- 微細繊維状セルロースを用いたコンポジット材料の製造において、微細繊維状セルロースを含む水系懸濁液に高分子エマルションを混合して混合液を製造する調製工程、該混合液を多孔性の基材上でろ過により脱水して水分を含んだシートを形成する抄紙工程、該水分を含んだシートを加熱乾燥する乾燥工程を備えた装置上でシート化して得た微細繊維状セルロースコンポジットシートの少なくとも片面に、高分子層を設けて熱圧着により成形することを特徴とする微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
- 前記高分子層が高分子エマルションに含まれる高分子と同じ組成であることを特徴とする請求項1に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
- 前記高分子層が高分子エマルションを塗布、乾燥して得られることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
- 前記混合液の固形分濃度が3質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
- 前記調製工程において、微細繊維状セルロースを含む混合液にセルロース凝結剤を配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
- 前記調製工程において、混合する微細繊維状セルロースの繊維幅が2〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースコンポジットシート積層体の製造方法。
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