JP2020200543A - 繊維体成形方法および繊維結着処理液 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙粉を低減することができる繊維体成形方法を提供する。【解決手段】複数の繊維を含む繊維体に、複数の繊維を結着させる熱可塑性樹脂を含む液体を塗布する工程と、前記液体が塗布された前記繊維体を加熱する工程と、を含み、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、10℃以下であり、前記熱可塑性樹脂の前記液体中における平均粒径は、30nm以下である、繊維体成形方法。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維体成形方法および繊維結着処理液に関する。
繊維と繊維とを樹脂で結着させた繊維体の成形方法が知られている。
例えば特許文献1には、平均粒子径が30〜5000nmであり、ガラス転移温度が30〜130℃の熱可塑性有機粒子を用いた塗工紙について記載されている。
特開2009−293159号公報
しかしながら、特許文献1に記載の条件では、十分に紙粉を低減することができない場合があった。
本発明に係る繊維体成形方法の一態様は、
複数の繊維を含む繊維体に、複数の繊維を結着させる熱可塑性樹脂を含む液体を塗布する工程と、
前記液体が塗布された前記繊維体を加熱する工程と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、10℃以下であり、
前記熱可塑性樹脂の前記液体中における平均粒径は、30nm以下である。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記液体の25℃における粘度は、5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であってもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記液体を塗布する工程では、
前記繊維体に対して前記熱可塑性樹脂の質量が、0.03mg/cm以上1.0mg/cm以下となるように前記液体を塗布してもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記液体における前記熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%より大きく、15質量%より小さくてもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記熱可塑性樹脂は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択されてもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記液体を塗布する工程では、インクジェット方式によって前記液体を塗布してもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
複数の繊維を堆積させて、前記繊維体を成形する工程を含んでもよい。
前記繊維体成形方法の一態様において、
前記液体は、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。
本発明に係る繊維結着処理液の一態様は、
ガラス転移点が10℃以下で、液体中における平均粒径が30nm以下である熱可塑性樹脂を含む。
前記繊維結着処理液の一態様において、
25℃における粘度は、5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であってもよい。
前記繊維結着処理液の一態様において、
前記熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%より大きく、15質量%より小さくてもよい。
前記繊維結着処理液の一態様において、
前記熱可塑性樹脂は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択されてもよい。
前記繊維結着処理液の一態様において、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。
本実施形態に係る繊維体成形方法を説明するためのフローチャート。 熱可塑性樹脂による短繊維の結着を説明するための図。 熱可塑性樹脂による短繊維の結着を説明するための図。 熱可塑性樹脂による短繊維の結着を説明するための図。 熱可塑性樹脂による短繊維の結着を説明するための図。 本実施形態に係る繊維体成形装置を模式的に示す図。 実施例1〜8および比較例1〜3の液体の成分、ならびに評価結果を示す表。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 繊維体成形方法
まず、本実施形態に係る繊維体成形方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る繊維体成形方法を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る繊維体成形方法は、図1に示すように、複数の繊維を含む繊維体に、複数の繊維を結着させる熱可塑性樹脂を含む液体を塗布する塗布工程(ステップS1)と、液体が塗布された繊維体を加熱する加熱工程(ステップS2)と、を含む。以下、順に説明する。
1.1. 塗布工程
1.1.1. 繊維体
繊維体は、複数の繊維を含む。繊維体に含まれる繊維は、例えば、セルロース繊維である。セルロース繊維としては、天然セルロース繊維、化学セルロース繊維などが挙げられる。さらに詳しくは、セルロース繊維としては、例えば、セルロース、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなるセルロース繊維が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生セルロース繊維として用いてもよい。また、セルロース繊維は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有または含浸されていてもよい。さらにセルロース繊維は、各種の表面処理が施されていてもよい。
繊維体に含まれる複数の繊維は、紙力を保つために機能する長繊維と、紙粉となり易い短繊維と、に区別される。繊維体に含まれる複数の長繊維は、独立した1本の繊維としたときに、その直径は、平均で、例えば1.0μm以上1000.0μm以下、好ましくは5.0μm以上100.0μm以下である。長繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維として、その長繊維の長手方向に沿った長さは、例えば1.0μm以上5.0mm以下である。短繊維の長手方向に沿った長さは、長繊維の長手方向に沿った長さよりも短く、例えば1.0μm未満である。
繊維体は、液体を塗布する前に、複数の繊維を結着させる熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。液体を塗布する前に含んでいてもよい熱可塑性樹脂のガラス転移点Tgは、例えば60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。Tgが60℃以上であれば、繊維体を用いて成形物を成形した場合に、十分な紙力を得やすく、シワや破れが発生し難い。Tgは、例えば200℃以下である。
繊維体は、ウェブであってもよい。「ウェブ」とは、繊維体に含まれる複数の繊維が結着剤によって結着されていない状態のものをいう。ウェブは、例えば、空気を多く含み、柔らかくふくらんだ状態のものである。繊維体がウェブの場合、繊維体に含まれる複数の繊維は、被解繊物を解繊処理することにより繊維状に解きほぐされた繊維、すなわち解繊物であってもよい。被解繊物としては、例えば、古紙、パルプシート、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マット、段ボールなどが挙げられる。
繊維体がウェブである場合、繊維体の厚さは、例えば0.5mm以上30.0mm以下、好ましくは1.0mm以上20.0mm以下である。繊維体がウェブである場合、繊維体のかさ密度は、例えば、0.01g/cm以上0.50g/cm以下、好ましくは0.02g/cm以上0.20g/cm以下である。
繊維体は、シートであってもよい。「シート」とは、繊維体に含まれる複数の繊維が結着剤によって結着されている状態のものをいう。シートとしては、例えば、古紙、パルプシート、ティッシュペーパー、キッチンペーパーが挙げられる。シートの厚さは、ウェブの厚さよりも小さい。シートのかさ密度は、ウェブのかさ密度よりも高い。
1.1.2. 液体
液体は、Tgが10℃以下の熱可塑性樹脂を含む。液体に含まれる熱可塑性樹脂は、繊
維体に含まれる複数の繊維を結着させる。ここで、「熱可塑性樹脂は、複数の繊維を結着させる」とは、繊維と繊維との間に熱可塑性樹脂が配置され、繊維と繊維とが熱可塑性樹脂を介して離れ難くなっている状態をいう。液体は、複数の繊維を結着させるための繊維結着処理液であり、熱可塑性樹脂を含む樹脂エマルジョンである。
液体に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、上述した繊維体に含まれる熱可塑性樹脂として列挙したものが挙げられるが、特に、ポリウレタンおよびポリエステルから選択されることが好ましい。ポリウレタンおよびポリエステルのSP(Solubility Parameter)値は、10.0〜11.0であり、アクリル樹脂は、9.0〜9.5であり、セルロース繊維のSP値は、15.6である。ここで、SP値は、物質の溶解性、相溶性を表すパラメーターであり、数値が近いほど相溶性、すなわち親和性が高く、数値が離れているほど親和性が低い。ポリウレタンおよびポリエステルは、アクリル樹脂に比べて、SP値がセルロース繊維に近いため、セルロース繊維との親和性が高く、複数の繊維を結着させ易い。
ここで、図2,3および後述する図4,5は、液体に含まれる熱可塑性樹脂による短繊維の結着を説明するための図である。なお、便宜上、図2〜図5では、液体を塗布する前に、繊維体に含まれてもよい熱可塑性樹脂の図示を省略している。
液体に含まれる熱可塑性樹脂のTgは、10℃以下であり、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−10℃以下である。Tgが10℃以下であれば、後述する加熱工程において、図2に示すように、熱可塑性樹脂Hが、溶融または軟化され、熱可塑性樹脂Hが大きく変形する。そのため、熱可塑性樹脂Hが繊維体表面に位置する短繊維F1と接触する可能性が高くなり、短繊維F1を結着させることができる。熱可塑性樹脂Hは、短繊維F1と短繊維F1とを結着させてもよいし、短繊維F1と長繊維F2とを結着させてもよい。
液体に含まれる熱可塑性樹脂のTgは、例えば−50℃以上であり、好ましくは−45℃以下である。Tgが−50℃以上であれば、熱可塑性樹脂が短繊維と接触した場合に、熱可塑性樹脂によって、紙粉とならない程度に短繊維を結着させることができる。
図2および図3に示す例に対し、例えば、液体に含まれる熱可塑性樹脂のTgが10℃より高いと、加熱工程において、図3に示すように、熱可塑性樹脂Hは、溶融または軟化され難く、熱可塑性樹脂Hが変形し難い。そのため、熱可塑性樹脂Hが短繊維F1と接触しない可能性が高く、結着されない短繊維F1が発生する。このような結着されない短繊維F1は、紙粉となり易い。
液体に含まれる熱可塑性樹脂の形状は、例えば、粒状である。熱可塑性樹脂の形状は、粒状であれば、球形、断面が楕円の形状、または、断面が多角形の形状であってもよい。熱可塑性樹脂の液体中における平均粒径は、30nm以下であり、好ましくは10nm以上20nm以下である。なお、「平均粒径」は、D50を意味する。
液体に含まれる熱可塑性樹脂の液体中における平均粒径が30nm以下であれば、図4に示すように、熱可塑性樹脂Hが繊維体表面に位置する短繊維F1と接触する可能性が高く、加熱工程において、短繊維F1を結着させることができる。例えば、熱可塑性樹脂Hの液体中における平均粒径が30nmより大きいと、図5に示すように、繊維体に対して単位面積当たりに塗布される熱可塑性樹脂Hの数が減少し、熱可塑性樹脂Hの被覆率が低下する。そのため、熱可塑性樹脂Hが短繊維F1と接触しない可能性が高くなり、結着されない短繊維が発生する。このような結着されない短繊維F1は、紙粉となり易い。
液体における熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、5質量%以上15質量%以下であり、好ましくは、5質量%より大きく、15質量%より小さく、より好ましくは8質量%以上12質量%以下である。液体における熱可塑性樹脂の含有量が5質量%より大きければ、繊維を結着できる程度に十分な熱可塑性樹脂の量を確保するこができる。液体における熱可塑性樹脂の含有量が15質量%より小さければ、液体の粘度が高くなり過ぎないため、インクジェット方式によって容易に液体を塗布することができる。
液体の25℃における粘度は、例えば、5.0mPa・s以上13.0mPa・s以下であり、好ましくは5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であり、より好ましくは5.1mPa・s以上8.4mPa・s以下である。液体の25℃における粘度が5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であれば、インクジェット方式によって容易に液体を塗布することができる。
液体は、熱可塑性樹脂の他、水を含む。液体は、さらに、浸透剤や保湿剤を含んでもよい。
浸透剤としては、例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、リエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレノール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。液体は、これらの浸透剤を単独で含んでいてもよいし、複数含んでもよい。
保湿剤としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。液体は、これらの保湿剤を単独で含んでいてもよいし、複数含んでもよい。
液体は、上述したTgが10℃以下の熱可塑性樹脂よりも高いTgを有する他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、「1.1.1. 繊維体」に記載した熱可塑性樹脂を適用することができる。液体が他の熱可塑性樹脂を含んでいれば、液体を塗布する前に、繊維体に熱可塑性樹脂が含まれていなくても、紙力の高い成形物を成形することができる。
1.1.3. 塗布
液体を塗布する液体塗布工程では、繊維体に対して熱可塑性樹脂の質量が、例えば、0.03mg/cm以上1.0mg/cm以下、好ましくは0.05mg/cm以上0.78mg/cm以下となるように液体を塗布する。繊維体に対して熱可塑性樹脂の質量が0.03mg/cm以上であれば、繊維体に対してまんべんなく液体を塗布することができる。さらに、繊維体に対して熱可塑性樹脂の質量が1.0mg/cm以下であれば、繊維体を用いて成形物を成形した場合に、成形物が透明になり難い。熱可塑性樹脂の量が多すぎると、成形物が透明になり易く、両面印刷したときに裏面の文字等が透けてしまう場合がある。
液体を塗布する液体塗布工程では、例えば、インクジェット方式によって液体を塗布する。これにより、繊維体に対してまんべんなく液体を塗布することができる。具体的には、インクジェットプリンターによって液体を塗布する。なお、液体を塗布する方法は、インクジェット方式に限定されず、例えば、スプレー方式によって液体を塗布してもよい。このように熱可塑性樹脂を液体に分散させて繊維体に塗布することで、混合部50で熱可塑性樹脂と繊維とを攪拌させて混合させる方式よりも、繊維が塊状(ダマ)になることを低減できる。
1.2. 加熱工程
加熱工程によって熱可塑性樹脂は、溶融または軟化し、複数の繊維は結着される。本工程によって、液体に含まれていたTgが10℃以下の熱可塑性樹脂、および「1.1.1. 繊維体」に記載したTgが60℃以上の熱可塑性樹脂の両方が溶融または軟化し、複数の繊維は結着される。特に、液体に含まれていた熱可塑性樹脂は、図2および図4に示したように、短繊維を結着させる。本工程によって、成形物としての繊維体を成形することができる。
加熱工程では、例えば、加熱ローラー、熱プレス装置、立体成形加工機などによって繊維体を加熱することができる。加熱工程における加熱温度は、例えば、熱可塑性樹脂の種類等を考慮して、適宜決定される。
なお、加熱工程は、液体を塗布する塗布工程の前に繊維体が熱可塑性樹脂を含んでいる場合は、塗布工程の前および後の両方で行われてもよい。また、加熱工程において液体が塗布された繊維体を加圧してもよい。
1.3. その他の工程
本実施形態に係る繊維体成形方法は、上述した塗布工程および加熱工程以外の工程を含んでいてもよい。
本実施形態に係る繊維体成形方法は、複数の繊維を堆積させて、繊維体を成形する堆積工程を含んでいてもよい。堆積工程は、塗布工程の前に行われ、塗布工程では、堆積工程で成形された繊維体に、液体を塗布する。堆積工程では、篩によって複数の繊維を堆積させてもよいが、その方法は特に限定されない。堆積工程では、メッシュベルト等の搬送ベルトに繊維を堆積させてもよいが、堆積される対象は、特に限定されない。
本実施形態に係る繊維体成形方法は、古紙を解繊する解繊工程を含んでいてもよい。解繊工程は、堆積工程の前に行われ、堆積工程では、解繊工程で解繊された繊維を堆積させる。解繊工程は、乾式の解繊機によって行われてもよい。
本実施形態に係る繊維体成形方法は、液体が塗布された繊維体を加圧する加圧工程を含んでいてもよい。加圧工程によってウェブである繊維体のかさ密度を高くすることができる。加圧工程は、加熱工程の前に行われてもよく、加熱工程では、加圧された繊維体を加熱してもよい。加圧工程では、例えば、カレンダーローラー、プレス装置などによって繊維体を加圧することができる。
1.4. 効果
本実施形態に係る繊維体成形方法は、例えば、以下の効果を有する。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体に含まれる熱可塑性樹脂のTgは、10℃以下であり、熱可塑性樹脂の液体中における平均粒径は、30nm以下である。そのため、上述のように、熱可塑性樹脂が繊維体表面に位置する短繊維と接触する可能性が高くな
り、短繊維を結着させることができる。これにより、後述する「3. 実施例および比較例」に示すように、紙粉を低減することができる。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体の25℃における粘度は、5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であってもよい。これにより、インクジェット方式によって容易に液体を塗布することができる。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体を塗布する塗布工程において、繊維体に対して熱可塑性樹脂の質量が、0.03mg/cm以上1.0mg/cm以下となるように液体を塗布してもよい。これにより、繊維体に対してまんべんなく液体を塗布することができ、かつ、成形物が透明になり難い。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体における熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%より大きく、15質量%より小さくてもよい。これにより、液体中の熱可塑性樹脂の量を確保しつつ、インクジェット方式によって容易に液体を塗布することができる。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、熱可塑性樹脂は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択されてもよい。これにより、熱可塑性樹脂と繊維との親和性を高くすることができ、複数の繊維を結着させ易い。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体を塗布する塗布工程において、インクジェット方式によって液体を塗布してもよい。これにより、繊維体に対してまんべんなく液体を塗布することができる。
本実施形態に係る繊維体成形方法では、液体は、熱可塑性樹脂のTgよりも高いTgを有する他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。これにより、液体を塗布する前に、繊維体に高いTgを有する熱可塑性樹脂が含まれていなくても、紙力の高い成形物を成形することができる。
2. 繊維体成形装置
次に、本実施形態に係る繊維体成形装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係る繊維体成形装置100を模式的に示す図である。本実施形態に係る繊維体成形方法は、例えば、繊維体成形装置100を用いて行われる。なお、本実施形態に係る繊維体成形方法は、図示しない他の装置を用いて行われてもよい。
繊維体成形装置100は、図6に示すように、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウェブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウェブ形成部70と、液体塗布装置78と、シート形成部80と、切断部90と、を有している。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、例えば、古紙やパルプシートなどの繊維を含むものである。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を、大気中等の気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部12は、粗砕刃14を有し、粗砕刃14によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部12としては、例えば、シュレッダーを用いる。粗砕部12によって裁断された原料は、ホッパー1で受けてから管2を介して、解繊部20に搬送される。
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。水などの液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20としては、例えば、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有している。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管3を介して、選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流を利用してもよいし、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。解繊部20によって、上述の解繊工程を行うことができる。
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有している。ドラム部41としては、例えば、篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、管7を介して、混合部50に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して、解繊部20に戻される。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
第1ウェブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、混合部50に搬送する。第1ウェブ形成部45は、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を含む。
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積し、ウェブVを成形する。メッシュベルト46、張架ローラー47、およびサクション機構48の基本的な構成は、後述する第2ウェブ形成部70のメッシュベルト72、張架ローラー74、およびサクション機構76と同様である。
ウェブVは、選別部40および第1ウェブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に成形される。メッシュベルト46に堆積されたウェブVは、管7へ投入され、混合部50へと搬送される。
回転体49は、ウェブVが混合部50に搬送される前に、ウェブVを切断することができる。図示の例では、回転体49は、基部49aと、基部49aから突出している突部49bと、を有している。突部49bは、例えば、板状の形状を有している。図示の例では、突部49bは4つ設けられ、4つの突部49bが等間隔に設けられている。基部49a
が方向Rに回転することにより、突部49bは、基部49aを軸として回転することができる。回転体49によってウェブVを切断することにより、例えば、堆積部60に供給される単位時間当たりの解繊物の量の変動を小さくすることができる。
回転体49は、第1ウェブ形成部45の近傍に設けられている。図示の例では、回転体49は、ウェブVの経路において下流側に位置する張架ローラー47aの近傍に設けられている。回転体49は、突部49bがウェブVと接触可能な位置であって、ウェブVが堆積されるメッシュベルト46と接触しない位置に設けられている。これにより、メッシュベルト46が突部49bによって磨耗することを抑制することができる。突部49bとメッシュベルト46との間の最短距離は、例えば、0.05mm以上0.5mm以下である。これは、メッシュベルト46が損傷を受けずにウェブVを切断することが可能な距離である。
混合部50は、選別部40を通過した第1選別物と、樹脂を含む添加物と、を混合する。混合部50は、添加物を供給する添加物供給部52と、第1選別物と添加物とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有している。図示の例では、添加物は、添加物供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と添加物とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
添加物供給部52としては、図6に示すようなスクリューフィーダーや、図示せぬディスクフィーダーなどを用いる。添加物供給部52から供給される添加物は、上述した「 1.1.1. 繊維体」で説明した熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂が供給された時点では、複数の繊維は結着されていない。樹脂は、シート形成部80を通過する際に溶融して、複数の繊維を結着させる。なお、図示はしないが、後述する液体塗布装置78から塗布される液体に、Tgが60℃以上の熱可塑性樹脂が含まれる場合は、添加物供給部52は、設けられていなくてもよい。
なお、添加物供給部52から供給される添加物には、繊維を結着させる熱可塑性樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤 、繊維等を燃えにくくするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物、すなわち第1選別物と添加物との混合物は、管54を介して、堆積部60に移送される。
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物、すなわち繊維をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の熱可塑性樹脂が繊維状である場合、絡み合った熱可塑性樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有している。ドラム部61としては、回転する円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維または粒子を降らせる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。堆積部60によって、上述の堆積工程を行うことができる。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい
。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、ウェブWを成形する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有している。
メッシュベルト72は、移動しながら、堆積部60の開口を通過した通過物を堆積する。メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通しにくく空気を通す構成となっている。メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト72上にウェブWが成形される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方に設けられている。サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
以上のように、堆積部60および第2ウェブ形成部70を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが成形される。メッシュベルト72に堆積されたウェブWは、シート形成部80へと搬送される。ウェブWは、上述の「1.1.1. 繊維体」で説明した繊維体である。
液体塗布装置78は、ウェブWに、上述の「1.1.2. 液体」で説明した液体を塗布する。液体塗布装置78は、例えば、インクジェットヘッドである。液体塗布装置78によって、上述した塗布工程を行うことができる。
シート形成部80は、液体が塗布されたウェブWを加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、液体が塗布されたウェブWに、熱を加えることにより、熱可塑性樹脂によって、複数の繊維を結着させることができる。
シート形成部80は、ウェブWを加圧する加圧部82と、加圧部82により加圧されたウェブWを加熱する加熱部84と、を備えている。加圧部82は、一対のカレンダーローラー85で構成され、ウェブWに対して圧力を加える。ウェブWは、加圧されることによりその厚さが小さくなり、ウェブWの密度が高められる。図示の例では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備えている。加熱部84を加熱ローラー86として構成することにより、加熱部84を板状のプレス装置として構成する場合に比べて、ウェブWを連続的に搬送しながらシートSを成形することができる。カレンダーローラー85と加熱ローラー86は、例えば、それらの回転軸が平行になるように配置される。ここで、カレンダーローラー85は、加熱ローラー86によってウェブWに印加される圧力よりも高い圧力をウェブWに印加することができる。なお、カレンダーローラー85や加熱ローラー86の数は、特に限定されない。加圧部82によって、上述の加圧工程を行うことができる。加熱部84によって、上述の加熱工程を行うことができる。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。図示の例では、切断部90は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有している。
第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。
3. 実施例および比較例
3.1. 液体の調製
実施例1〜8および比較例1〜3の液体を調整した。図7は、実施例1〜8および比較例1〜3の液体の成分を示す表である。表中の数字の単位は、質量%である。残量として水を加えて、合計100質量%とした。なお、表中の「グリセリン」および「プロピレングリコール」は、市販の試薬を用い、その他の成分は、以下のとおりである。また、表中の「塗布量」は、液体を塗布する対称である繊維体に対する樹脂の質量である。
・樹脂1 スーパーフレックス420(ポリウレタン 第一工業製薬社製)
・樹脂2 スーパーフレックス650(ポリウレタン 第一工業製薬社製)
・樹脂3 スーパーフレックス620(ポリウレタン 第一工業製薬社製)
・樹脂4 スーパーフレックス300(ポリウレタン 第一工業製薬社製)
・樹脂5 アロンメルト PES 2000A3(ポリエステル 東亜合成社製)
・樹脂6 ユーコートUWS145(ポリウレタン 三洋化成社製)
・樹脂7 スチレンアクリル樹脂(スチレン50質量部、MMA9質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル38質量部、重量平均分子量6000の共重合樹脂)
・樹脂8 SBRラテックス(T−2550K JSR社製)
・オルフィンE1010 (日信化学社製)
・アセチレノール104PD50(日信化学社製)
実施例1〜8および比較例1〜3の液体において、液体の粘度、樹脂のTg、および樹脂の平均粒径を測定した。粘度は、東機産業社製のE型粘度計「TV−25型」を用いて、温度25℃、回転数100rpmで測定した。Tgは、ティーエイインスツルメンツ社製のDSC(示差走査熱量計)「Q1000」を用いた。平均粒径は、MicrotracBEL社製の粒度分布測定機「Nanotrac Wave II−EX150」を用いて、測定値のD50値を平均粒径とした。
3.2. 評価
実施例1〜8および比較例1〜3の液体を用いて製紙し、紙粉発生量、乾燥性、およびインクジェット適性を評価した。
具体的には、トッパン・フォームズ社製のリサイクルカット版PPC(Plain Paper Copier)用紙「G80」を、自作の乾式の解繊機で解繊してウェブである繊維体を成形した。成形された繊維体に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PX-S160T 改造機)によって実施例1〜8および比較例1〜3の液体を塗布した。その後、加熱ローラーによって加熱を行い、A4サイズに製紙した。
紙粉発生量の測定は、RION社製のパーティクルカウンター「KR−12A」を用い、試料流量を2.83L/minとし、試験空気量を1Lとした。セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター「PX−049A」に、上記のように製紙したシートを5枚通紙した際のプリンター内に発生する紙粉量を測定した。
乾燥性は、製紙されたシートに、加熱ローラーで150℃、ニップ圧100kgf、ニップ幅10mm、ニップ時間1秒で加熱乾燥した後の水分量を測定することにより評価した。水分量は、エー・アンド・デイ社製の加熱乾燥式水分計「ML−50」を用いて、温
度23℃、相対湿度50%の環境下で測定した。
乾燥性の評価基準は、以下のとおりである。
A:5質量%未満
B:5質量%以上7質量%未満
インクジェット適性は、インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製PX-S160T 改造機)において、液滴体積40plの液滴を、吐出速度10m/sで安定的に連続吐出可能な吐出周波数により評価した。
インクジェット適性の評価基準は、以下のとおりである。
A:周波数20kHz以上
B:周波数5kHz以上20kHz未満
紙粉発生量、乾燥性、およびインクジェット適性の評価結果を図7に示す。
図7に示すように、実施例1〜8は、紙粉発生量が10個以下であり、比較例1〜3よりも、紙粉発生量が少なかった。したがって、液体に含まれる熱可塑性樹脂のTgが10℃以下であり、かつ熱可塑性樹脂の液体中における平均粒径が30nm以下であれば、紙粉を低減できることがわかった。
紙粉発生量が10個以下であれば、インクジェットプリンターで印刷した際に、ノズル抜けが実用上問題にならない。これにより、印字の安定性を向上させることができる。なお、「ノズル抜け」とは、紙粉がインクジェットプリンターのノズルに付着してインクが吐出されない現象のことである。
実施例4は、乾燥性が「B」であった。これは、実施例4は、他の実施例および比較例よりも液体中の樹脂の量が少ないので、シートを成形するために液体の塗布量が増加したためである。液体の塗布量が増加すると、塗布される水の量も増加する。乾燥性が低下すると、カール、コックリングが起こりやすくなる。さらに、カール等を回避しようとすると、乾燥におけるエネルギーが余計に必要となり、装置の大型化、コストの増大を招く。
実施例5は、インクジェット適性が「B」であった。これは、実施例5は、他の実施例および比較例よりも液体中の樹脂の量が少ないので、液体の粘度が高いためである。インクジェット方式で液体を塗布する場合、液体の粘度が高いと、インクジェットヘッドのノズルや流路での流体抵抗が高くなる。そのため、吐出周波数が高いと吐出不良が生じる。吐出不良を回避するためには、吐出周波数を低く設定したり、吐出液滴の大きさを小さくしたりする必要がある。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…ホッパー、2,3,7,8…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47,47a…張架ローラー、48…サクション機構、49…回転体、49a…基部、49b…突部、50…混合部、52…添加物供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、78…液体塗布装置、80…シート形成部、82…加圧部、84…加熱部、85…カレンダーローラー、86…加熱ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出部、100…繊維体成形装置

Claims (13)

  1. 複数の繊維を含む繊維体に、複数の繊維を結着させる熱可塑性樹脂を含む液体を塗布する工程と、
    前記液体が塗布された前記繊維体を加熱する工程と、
    を含み、
    前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、10℃以下であり、
    前記熱可塑性樹脂の前記液体中における平均粒径は、30nm以下である、繊維体成形方法。
  2. 請求項1において、
    前記液体の25℃における粘度は、5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下である、繊維体成形方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記液体を塗布する工程では、
    前記繊維体に対して前記熱可塑性樹脂の質量が、0.03mg/cm以上1.0mg/cm以下となるように前記液体を塗布する、繊維体成形方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記液体における前記熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%より大きく、15質量%より小さい、繊維体成形方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択される、繊維体成形方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記液体を塗布する工程では、インクジェット方式によって前記液体を塗布する、繊維体成形方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    複数の繊維を堆積させて、前記繊維体を成形する工程を含む、繊維体成形方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記液体は、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する他の熱可塑性樹脂を含む、繊維体成形方法。
  9. ガラス転移点が10℃以下で、液体中における平均粒径が30nm以下である熱可塑性樹脂を含む、繊維結着処理液。
  10. 請求項9において、
    25℃における粘度は、5.0mPa・s以上10.0mPa・s以下である、繊維結着処理液。
  11. 請求項9または10において、
    前記熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%より大きく、15質量%より小さい、繊維結着処理液。
  12. 請求項9ないし11のいずれか1項において、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択される、繊維結着処理液。
  13. 請求項9ないし12のいずれか1項において、
    前記熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する他の熱可塑性樹脂を含む、繊維結着処理液。
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