JP2013538239A - 光酸コーティングを有する光ファイバ - Google Patents

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Abstract

1つ以上のアクリレート含有化合物を含む光硬化性基材組成物、適する波長の光に露光されると光硬化性基材組成物の重合化を促進する光重合開始剤及び適する波長の光への露光後に酸基を遊離する光酸発生化合物を含む組成物が開示される。この組成物の硬化生成物を有する光ファイバは、短時間の非常に小さな曲げの印加において、強められた耐疲労性及び長い寿命を示す。これらの光ファイバを含む光ファイバリボンも開示される。

Description

関連出願の説明
本出願は2010年6月7日に出願された、名称を「ファイバの耐疲労性を強化するコーティングを有する光ファイバ(Optical Fiber Having Coating That Enhance Fiber Fatigue Resistance)」とする、米国仮特許出願第61/352124号の恩典と、その優先権を主張する。本明細書は上記特許出願の明細書の内容に依存し、上記特許出願の明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含められる。
本発明は全般に光ファイバ及び、短時間の非常に小さい曲げの下での適用時間の間のファイバの耐疲労性を強化することができる、光酸発生体を含む光ファイバコーティング配合物に関する。
光ファイバの用途はコンピュータ内部のコンポーネント間及びコンピュータ周辺装置間の通信に拡がり、光ファイバの布置は一層困難になっている。コンピュータ内部の限られた空間のために、光ファイバは急角度に曲げられて小さな半径をなすことがあり得るし、発生される曲げ応力は非常に高くなり得る。特に、民生エレクトロニクス用途において、ファイバは短時間の極めて窮屈な(半径≦3mmの)曲げに耐えることが期待されるであろう。そのような極端な応力条件下では、優れたガラス強度分布だけでなく、ファイバの高められた耐疲労性に依存することが有益である。
光ファイバ強度の劣化、というよりむしろ、そのような劣化に対する光ファイバの耐性は、応力下の光ファイバの寿命を推定するための重要なパラメータの1つである。測定は、米国電子工業会/米国電子通信工業会(EIA/TIA)FOTP-28または国際電気標準会議(IEC)IEC60793-1-33高速引張強度試験法にしたがう、2点曲げ試験または0.5m引張試験により、実施される。試験は長期経時変化を模擬するように設計された様々なストレス条件(例えば高温及び高湿)において複数の伸張速度で行うことができる。これらの試験により、動的疲労パラメータnの計算が可能になる。nの変化は、曲げ半径が大きくなれば長期信頼性にほとんど影響しないが、短時間の非常に小さな(半径≦3mmの)曲げを受けているファイバに対しては、高められた耐疲労性により、数分から数日のように、ファイバの寿命をかなり延ばすことができる。多くの市販光ファイバは一般に約18から約20のn値を特徴としている。n値を高めるための一手法は、約25から約30の間のn値を有するコーニング社(Corning Incorporated)Titan(登録商標)ファイバによって例証されるように、チタニア(二酸化チタン)薄層をガラスクラッド層上に用いることである。
ファイバのn値を高め、非常に小さい(≦3mmの)半径の短時間曲げに耐えることができるようにガラスを補強することができる新規なコーティング添加剤を見定めることが望ましいであろう。
本開示の第1の態様は、1つ以上のアクリレート含有化合物を含む光硬化性基材組成物、適する波長の光に露光すると光硬化性基材組成物の重合化を開始させる光重合開始剤及び適する波長の光への露光後に酸基を遊離する光酸発生化合物を含む組成物に関する。
本開示の第2の態様は、ガラスファイバ及び本発明の第1の態様にしたがう組成物で形成されたコーティングを有し、コーティングがガラスファイバを実質的に封入している、光ファイバに関する。
本開示の第3の態様は、複数本の、本発明の第2の態様にしたがう光ファイバを有する光ファイバリボンに関する。
本開示の第4の態様は本発明にしたがう光ファイバの製造方法に関する。これらの方法は、本発明の第1の態様にしたがう組成物の硬化生成物であるコーティングでガラスファイバを封入する工程及び、次いで、被覆されたガラスファイバを1つ以上の別の被覆で封入する工程を含む。
添付される実施例に実証されるように、本明細書に開示される光ファイバは高められた耐疲労性nを特徴とする。本明細書に用いられるように、高められた耐疲労性は、より高い動的疲労パラメータ(n)を有する光ファイバを指す。動的疲労パラメータnは、IEC2点曲げ試験法にしたがい、1000μm/秒、100μm/秒、10μm/秒及び1μm/秒の、4つの伸張速度においてファイバ強度を測定することによって決定される。半数疲労応力は伸張速度とともに変わるであろう。動的疲労パラメータは、対数スケールにおいて伸張速度に対して強度をプロットした直線の勾配から計算することができる。
さらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を、また添付図面も、含む本明細書に説明されるように本開示を実施することにより認められるであろう。
上記の全般的説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示に過ぎず、特許請求されるような本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面はさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は本開示の様々な実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
図1は、本明細書に開示される一実施形態にしたがう、光ファイバの断面図である。ファイバはガラスファイバを封入するコーティングを有し、また従来の2層被覆系に用いられる一次被覆及び二次被覆の目的のためにはたらく2つの別の被覆も有する。 図2は、リボン母材によって封入された合計12本の光ファイバを有する、光ファイバリボンの断面図である。12本の光ファイバが示されるが、リボンは任意の複数本の光ファイバを有することができる。 図3は本明細書に開示されるような光ファイバの製造方法を説明する略図である。
本開示は、新規なコーティング組成物及びそのコーティング組成物を有する光ファイバに関し、またそのような光ファイバの製造方法並びに光ファイバリボン/ケーブル及び遠距離通信システム内での使用にも関する。
コーティング組成物は、1つ以上のアクリレート含有化合物を含む光硬化性基材組成物、適する波長の光に露光すると光硬化性基材組成物の重合化を開始させる光重合開始剤及び適する波長の光への露光後に酸基を遊離する光酸発生(PAG)化合物を含む。
光硬化性基材組成物は一般に光で開始される硬化プロセス中に架橋される。以下でさらに詳細に論じられるように、これらにコーティングは、1つ以上のオリゴマーまたはポリマー、1つ以上のモノマー、及び1つ以上の、必要に応じて用いられる、添加剤で形成することができる。
光硬化性基材組成物は、PAG化合物からの不安定酸基によって架橋が触媒され得る、エポキシ基またはビニルエーテル基のような、官能基を実質的に含んでいないことが重要である。「実質的に含んでいない」は、光硬化性基材組成物が含有するPAG化合物からの不安定酸基によって架橋が触媒され得る官能基が、5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満であるか、さらには全く存在しないことを意味している。
アクリレート官能基が好ましいが、光硬化性基材組成物は必要に応じて1つ以上のウレタン、アクリルアミド、N−ビニルアミド、スチレン、ビニルエステルまたはこれらの組合せを含むことができる。
本明細書に用いられるように、特定の化合物の重量%は、いずれの添加剤も除く、バルク光硬化性基材組成物に組み入れられる量を指す。本発明の配合物を作製するためにバルク組成物に組み入れられる添加剤の量は(重量%に基づく)100分の1単位(pph)で示される。例えば、オリゴマー、モノマー及び光重合開始剤は、これらの成分の合計重量%が100%に等しくなるように組み合わされて、バルク組成物を形成する。このバルク組成物に、ある量、例えば1pphの特定の添加剤がバルク組成物の100重量%をこえて組み入れられる。
オリゴマー成分は、存在するならば、エチレン不飽和オリゴマーであることが好ましく、(メタ)アクリレートオリゴマーであることがさらに好ましい。術語(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートのいずれも、またこれらの組合せも、包含する目的で用いられる。そのようなオリゴマーにおける(メタ)アクリレート末端基は、既知の態様で、一水酸基ポリ(メタ)アクリレートキャッピング成分により、または2-ヒドロキシエチルアクリレートのようなモノ(メタ)アクリレートキャッピング成分により、与えることができる。
ウレタンオリゴマーは従来、脂肪族ジイソシアネートまたは芳香族ジイソシアネートを二価ポリエーテルまたは二価ポリエステル、最も一般的には、ポリエチレングリコールのようなポリオキシアルキレングリコールと反応させることによって得られる。そのようなオリゴマーは一般に4〜10のウレタン基を有し、その分子量は、高く、例えば2000〜8000になり得る。しかし、分子量が500〜2000の範囲の、低分子量オリゴマーも用いることができる。コーディ(Coady)他の米国特許第4608409号の明細書及びビショップ(Bishop)等の米国特許第4609718号の明細書にそのような合成が詳細に説明されている。これらの明細書のそれぞれは本明細書に参照として含められる。
防水性オリゴマーの使用が望ましい場合、そのようなオリゴマーは、極性ポリエステルグリコールまたは極性ポリエステルグリコールが避けられ、ほとんど飽和し、ほとんど非極性の、脂肪族ジオールが選ばれることを除いて、類似の態様で合成することができる。そのようなジオールには、例えば、2〜250の炭素原子を含み、好ましくはエーテル基またはエステル基を実質的に含んでいない、アルケンジオールまたはアルキレンジオールがある、この系で得られるオリゴマーの粘度及び分子量の範囲は不飽和/極性オリゴマー系で得られる粘度及び分子量と同様であり、よってそれらの粘度及びコーティング特性は実質的に不変のままであり得る。これらのコーティングの低減された酸素含有量は、塗布されているガラスファイバの表面へのコーティングの密着特性を許容できないほどは低下させないことが分かっている。
周知のように、合成過程において単にジオールまたはポリオールをジアミンまたはポリアミンで置き換えることにより、上記方法で作製されるオリゴマーにポリユリア成分を組み入れることができる。本コーティング系内の小比率のポリユリア成分の存在は、合成に用いられるジアミンまたはポリアミンが系の防水性を危うくすることを回避するに十分に非極性であり、飽和していれば、コーティング性能に有害であるとは見なされない。
適するエチレン不飽和オリゴマーには、ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(米国ペンシルバニア州ウエストチェスター(West Chester)のSartomer Company, Inc.から入手できるCN986、及び米国コネチカット州ウィンステッド(Winstead)のBomar Specialty Co.から入手できるBR3731, BR3741及びSTC3-149)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートをベースとするアクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレート化アクリルオリゴマー、ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー(Sartomer Company, Inc.から入手できるCN966及びCN973、及びBomar Specialty Co.から入手できるBR7432)、ポリユリアウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、ツィマーマン(Zimmerman)等の米国特許第469502号及び第4798852号の明細書、ビショップの米国特許第4609718号の明細書及びビショップ等の米国特許第4629287号の明細書に開示されるオリゴマー。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる)、ポリエーテルアクリレートオリゴマー(スイス国チューリッヒ(Zurich)のRahn AGから入手できるGenomer 3456)、ポリエステルアクリレートオリゴマー(米国ジョージア州アトランタ(Arlanta)のCytec Industries Inc.から入手できるEbecryl 80, 584及び657)、ポリユリアアクリレート(例えば、ツィマーマン等の米国特許第469502号及び第4798852号の明細書、ビショップの米国特許第4609718号の明細書及びビショップ等の米国特許第4629287号の明細書に開示されるオリゴマー。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる)、水素化ポリブタジエンオリゴマー(米国ミズリー州ヴァーサイュ(Versailles)のEcho Resins and Laboratoryから入手できるEcho Resin MBNX)、及びこれらの組合せがある。
あるいは、オリゴマー成分には、シゼル(Schissel)等の米国特許出願公開第2007/0100039号の明細書に説明されるような、非反応性オリゴマーを含めることもできる。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。これらの非反応性オリゴマー成分は、脆すぎることのない、高弾性率コーティングを達成するために用いることができる。これらの非反応性オリゴマー材料は高弾性率コーティングに特に好ましい。
オリゴマー成分は一般に重量で約0%から約90%、さらに好ましくは重量で約25%から約75%の間、最も好ましくは重量で約40%から約65%の間の量で、コーティング組成物に存在する。
コーティング組成物は、オリゴマー成分の代わりとして、またはオリゴマー成分と組み合わせて、1つ以上のポリマー成分を含むこともできる。ポリマー成分の使用は、例えばフュークス(Fewkes)等の米国特許第6869981号の明細書に説明されている。この明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
ポリマーは少なくとも1つのハードブロック及び少なくとも1つのソフトブロックを含むブロックコポリマーとすることができ、ハードブロックはソフトブロックのTより高いTを有する。ソフトブロックの主鎖は脂肪族であることが好ましい。適する脂肪族主鎖には、ポリ(ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリエチレン/ブチレン、ポリエチレン/プロピレン及びジオールブロックがある。ブロックコポリマーの一例はA-Bの一般構造を有する二ブロックコポリマーである。適するコポリマーの別の例は一般構造A-B-Aを有する三ブロックコポリマーである。中間のブロックは、好ましくは少なくとも約10000の、さらに好ましくは約20000より大きく、さらに一層好ましくは50000より大きく、最も好ましくは約100000より大きい、分子量を有する。三ブロックコポリマー(A-B-A)の場合、中間ブロック(本明細書で定められるSBSコポリマーにおけるブタジエンのような、B)は約20℃より低いTを有する。3つより多くのブロックを有する多ブロックコポリマーの例には熱可塑性ポリウレタン(TPU)がある。TPUの供給元には、BASF,B.F.グッドリッチ及びバイエルがある。ブロックコポリマーは任意の数の多数のブロックを有することができる。
ポリマー成分は硬化するときに架橋してもしなくても差し支えない。ポリマーは熱可塑性エラストマーポリマーであることが好ましい。ポリマー成分は少なくとも2つの熱可塑性末端ブロックを有し、2つの末端ブロックの間に、スチレンブロックコポリマーのような、エラストマー主鎖を有することが好ましい。適する熱可塑性末端ブロック材料には、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレートがある。適する中間ブロックには、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)及びエチレンプロピレンゴムがある。エラストマー中間ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン/ブチレン及びポリエチレン/プロピレンとすることができる。
市販のスチレンブロックコポリマーの例は、KRATON(商標)(米国テキサス州ヒューストン(Houston)のKraton Polymers)、CALPRENE(商標)(スペイン国のRepsol Quimica S.A. Corporation)、SOLPRENE(商標)(Philips Petroleum Co.)、STEREON(商標)(米国オハイオ州アクロン(Akron)のFirestone Tire & Rubber Co.)、スチレン-ブタジエン直鎖状ブロックコポリマーのKRATON(商標)D1101(Kraton Polymers)、スチレン-イソプレン直鎖状ブロックコポリマーのKRATON(商標)D1193(Kraton Polymers)、約2重量%の無水マレイン酸でグラフト重合されたスチレン-エチレン-ブチレンコポリマーのKRATON(商標)FG1901X(Kraton Polymers)、スチレン-イソプレン直鎖状ブロックコポリマーのKRATON(商標)D1107(Kraton Polymers)及び液体ポリイソプレンのHARDMAN ISOLENE(商標)400(米国ニュージャージー州ベルヴィル(Belleville)のElementis Performance Polymers)である。
用いられる場合に、(1つまたは複数の)ポリマー成分は一般に重量で約5%から約90%、好ましくは重量で約10%から約30%まで、最も好ましくは重量で約12%から約20%までの量でコーティング組成物に存在する。
1つ以上のモノマー成分はエチレン不飽和であることが好ましい。本発明にしたがって用いられるエチレン不飽和モノマーに適する官能基には、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン及び及び(多官能価モノマーに対して)これらの組合せがあるが、これらには限定されない。これらの中では、(メタ)アクリレートが通常好まれる。
一般に、通常の液体コーティング装置でコーティング組成物を塗布するに必要な流動性を与えるため、低分子量(すなわち分子量が約120〜600の)液体(メタ)アクリレート官能基モノマーが配合物に加えられる。そのような系において一般的な液体アクリレート官能基には、一官能価アクリレート及び多官能価アクリレート(すなわち2つ以上のアクリレート官能基を有するモノマー)がある。そのような多官能価アクリレートの例は、官能基を2つ有する二官能基アクリレート、官能基を3つ有する三官能基アクリレート、及び官能基を4つ有する四官能基アクリレートである。一官能価メタクリレートと多官能価メタクリレートは一緒に用いることができる。
防水性成分の使用が望ましい場合、モノマー成分は選ばれた防水性オリゴマーとの適合性に基づいて選ばれるであろう。そのようなオリゴマーは高度に非極性であるため、そのような液体モノマーの耐水性オリゴマーとの混合及び共重合化が成功するとは限らない。満足できるコーティング適性と防水性のためには、ほとんど飽和し、脂肪族モノアクリレートモノマーまたはジアクリレートモノマーあるいはアルコキシアクリレートモノマーを含む液体アクリレートモノマー成分を用いることが好ましい。
適する多官能価エチレン不飽和モノマーには、エトキシラート化度が2以上、好ましくは2から約30の範囲の、エトキシラート化ビスフェノールAジアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR349及びSR601、及び米国ペンシルバニア州アンブラー(Ambler)のCognis Corp.から入手できるPhotomer 4025及びPhotomer 4028)、及びプロポキシラート化度が2以上、好ましくは2から約30の範囲の、プロポキシラート化ビスフェノールAジアクリレートのような,アルコキシラート化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシラート化度が3以上、好ましくは3から約30の範囲の、エトキシラート化トリメチロールプロパントリアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4149、及びSartomer Company, Inc.から入手できるSR499)、プロポキシラート化度が3以上、好ましくは3から約30の範囲の、プロポキシラート化トリメチロールプロパントリアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4072、及びSartomer Company, Inc.から入手できるSR492)、及びジトリメチロールプロパントリアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4355)のような、アルコキシラート化されているかまたはされていない、メチロールプロパンポリアクリレート、プロポキシラート化度が3以上のプロポキシラート化グリセリルトリアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4096、及びSartomer Company, Inc.から入手できるSR9020)のような、アルコキシラート化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR295)、エトキシラート化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR494)及びジペンタエリトリトールペンタアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4399、及びSartomer Company, Inc.から入手できるSR399)のような、アルコキシラート化されているかまたはされていない、エリトリトールポリアクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR368)、及びトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートのような、適切な官能性イソシアヌレートをアクリル酸または塩化アクリロイルと反応させることで形成されたイソシアヌレートポリアクリレート、トリクロロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるCD406)及びエトキシララート化度が2以上、好ましくは約2から30の、エトキシラート化ポリエチレングリコールジアクリレートのような、アルコキシラート化されているかまたはされていない、アルコールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等にアクリレートを加えることで形成されたエポキシアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 3016)、及びジシクロペンタジエンジアクリレートのような、単環または多環の環式芳香族ポリアクリレートまたは非芳香族ポリアクリレート、があるが、これらには限定されない。
硬化生成物の水吸収度、他のコーティング材料への密着度またはストレス下での挙動に影響を与えるために組み入れることができる、いくらかの量の一官能価エチレン不飽和モノマーを用いることも望ましいことがあり得る。一官能価エチレン不飽和モノマーの例には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート及び2-ヒドロキシブチルアクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR440、及び米国ニュージャージー州オールドブリッジ(Old Bridge)のCPS Chemical Co.から入手できるAgeflex FA8)、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR395、及びCPS Chemical Co.から入手できるAgeflex FA10)、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR489)、ラウリルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR335、CPS Chemical Co.から入手できるAgeflex FA12、及びCognis Corp.から入手できるPhotomer 4812)、オクタデシルアクリレート及びステアリルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR257)のような、長鎖アルキルアクリレートまたは短鎖アルキルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及び7-アミノ-3,7-ジメチルオクチルアクリレートのような、アミノアルキルアクリレート、ブトキシルエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR
339、CPS Chemical Co.から入手できるAgeflex PEA、及びCognis Corp.から入手できるPhotomer 4035)、フェノキシグリシジルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるCN131)、ラウリルオキシグリシジルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるCN130)及びエトキシエトキシエチルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR256)のような、アルコキシアルキルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR423及びSR506、及びCPS Chemical Co.から入手できるAgeflex IBOA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR285)、カプロラクトンアクリレート(Sartomer Company, Inc.から入手できるSR495、及び米国ミシガン州ミッドランド(Midland)のDow Chemicalから入手できるTone M100)及びアクリロイルモルフォリンのような、単環または多環の環式芳香族アクリレートまたは非芳香族アクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、及びエトキシラート化(4)ノニルフェノールアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4003、及びSartomer Company, Inc.から入手できるSR504)及びプロポキシラート化ノニルフェノールアクリレート(Cognis Corp.から入手できるPhotomer 4960)のような様々なアルコキシラート化アルキルフェノールアクリレートのような、アルコールベースアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N'-ジメチル-アミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド及びt-オクチルアクリルアミドのような、アクリルアミド、N-ビニルピロリジノン及びN-ビニルカプロラクタム(いずれも米国ニュージャージー州ウエイン(Wayne)のInternational Specialty Productsから入手できる)のような、ビニル化合物、並びに、マレイン酸エステル及びフマール酸エステルのような、酸エステル、があるが、これらには限定されない。
(1つないし複数の)モノマー成分は一般に、重量で約10%から約90%、さらに好ましくは重量で約20%から約60%、最も好ましくは重量で約25%から約50%の量でコーティング組成物内に存在する。
光硬化性基材組成物のための光重合開始剤は既知のケトン系光重合開始剤及び/またはホスフィンオキシド系光重合開始剤の内の1つ以上であることが好ましい。本発明の組成物に用いられる場合、光重合開始剤は高速紫外線硬化を提供するに十分な量で存在する。一般に、十分な量とは、重量で約0.5%から約10.0%の間、さらに好ましくは重量で約1.5%から約7.5%の間の量を含む。低度の硬化が望ましいか、または硬化が不要な場合、特定の組成物に用いられる光重合開始剤の量は重量で0.5%未満とすることができる。
小量であるが光硬化を促進するに有効な量で用いられる場合、光重合開始剤は、コーティング組成物の早期ゲル化をおこさずに、妥当な硬化速度を与えるべきである。望ましい硬化速度はコーティング材料の実質的な硬化をおこさせるに十分ないずれかの速度である。照射線量対弾性率曲線で測定すると、約25〜35μmのコーティング厚に対する硬化速度は、例えば1.0J/cm未満,好ましくは0.5J/cm未満である。
適する光重合開始剤には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(米国ニューヨーク州ホーソーン(Hawthorne)のBASFから入手できるIragacure 184)、(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(BASFから入手できる市販ブレンドのIragacure 1800, 1850及び1700)、2,2-ジメトキシル-2-フェニルアセトフェノン(BASFから入手できるIragacure 819)、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(独国ミュンヘン(Munich)のBASFから入手できるLucerin TPO)、エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFから入手できるLucerin TPO-L)、及びこれらの組合せがあるが、これらには限定されない。
光酸発生化合物は、組成物の硬化に用いられる光に露光されると開裂して酸性化合物を遊離する、化合物である。光酸発生化合物は、開裂前後に、光硬化性基材組成物の重合生成物と反応して架橋することのない化合物であることが好ましい。
PAG化合物の適する一類は、エポキシ含有化合物の架橋を促進するために用いられる、従来のカチオン性光重合開始剤である。これらのPAG化合物が本発明の光硬化性基材組成物に存在するアクリレート含有化合物の架橋を促進できないことが重要である。
本発明における使用に適するカチオン系光重合開始剤には、二価から七価の金属または非金属、例えば、Sb,Sn,Fe,Bi,Al,Ga,In,Ti,Zr,Sc,Cr,Hf及びCuの、またB,P及びAsの、ハロゲン錯アニオンを含む塩のような、オニウム塩がある。適するオニウム塩の例は、ジアリール-ジアゾニウム塩及び周期表のVa族及びVb族、Ia及びIb族、及びIのオニウム塩、例えば、ハロニウム塩、第四アンモニウム塩、第四ホスホニウム塩及び第四アルソニウム塩、芳香族スルホニウム塩、スルホオキソニウム塩及びセレニウム塩がある。オニウム塩は、米国特許第4442197号、第4603101号及び第4624912号の明細書のような文献に説明されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。
オニウム塩は、HFまたはフッ化物を遊離する塩、またはHFまたはフッ化物を遊離しない塩とすることができる。HFまたはフッ化物を遊離しないオニウム塩の例には、ヨードニウムメチド、ヨードニウム-C(SOCF),ヨードニウム-B(C)及びヨードニウム-N(SOCF)があるが、これらには限定されない。
本発明に用いられるオニウム塩のアニオン部分として特に有用な材料の一類は一般に、ウォーカーII(Walker, Jr.)等の米国特許第6895156号の明細書に開示されているタイプの、(高度フッ素化及び過フッ素化を含む)フッ素化トリスアルキルスルホニルメチドまたはトリスアリールスルホニルメチド及び対応するビスアルキルスルホニルイミドまたはトリスアリールスルホニルイミドとして,分類することができる。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。本発明の実施に有用なアニオンの特定の例には、(CSO),(CSO),(C17SO),(CFSO),(CSO),(CFSO)(CSO)C,(CFSO)(CSO)N,[(CF)N]CSO,[(CF)N]CSO,(SOCF)(3,5-ビス(CF)C)SO,SOCF,等があるが、これらには限定されない。このタイプのアニオン及びそのようなアニオンを作製するための方法は、米国特許第4505997号、第5021308号、第4387225号、第5072040号、第5162177号及び第5273840号の明細書、並びに、ツロウスキー(Turowsky)等,Inorg, Chem,,1988年,第27号,p.2135〜2137に説明されている。これらの明細書及び文献のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。ツロウスキー等は、CFSOFに基づくと20%(CHMgClに基づくと19%)の収率でのCFSOF及びCHMgClからの(CFSO)Cアニオンの直接合成を説明している。米国特許第5554664号明細書はヨードニウムメチドの合成に対する改善された方法を説明している。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
上述したアニオンの塩は放射線によって活性化され得る。本発明の組成物におけるPAGとしての使用に適するそのような非求核性アニオンを有する塩は、波長が約200〜800nmの十分な電磁放射を印加すると酸基を有する化合物を発生するであろうような塩である。
好ましいカチオン性PAGの1つは、Irgacure 250 (BASF)の商品名で市販されている、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムPFである。
別の適するタイプのPAG化合物は非イオン性光酸発生体である。非イオン性PAGの類の例には、イミドスルホネート類、オキシムスルホネート類、N-オキシイミドスルホネート類、α,α-メチレンジスルホン及びジスルホンヒドラジンを含むジスルホン類、ジアゾスルホン類、N-スルホニルオキシイミド類、ニトロベンジル化合物、及びハロゲン化化合物があるが、これらには限定されない。
N-スルホニルオキシイミド類のPAGの例には、国際公開第94/10608号パンフレットに開示されているPAGがある。このパンフレットはその全体が本明細書に参照として含められる。
ニトロベンゾイルベースPAGの例には、欧州特許出願公開第0717319A1号明細書に開示されているPAGがある。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
ジスルホン類のPAGの例には、米国特許出願公開第2008/0220597号明細書に開示されているPAGがある。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
オキシムスルホネート類及びN-オキシイミドスルホネート類のPAGの例には、米国特許第6482567号明細書に開示されているPAGがある。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
ジアゾスルホン類のPAGの例には、欧州特許出願公開第0708368A1号明細書及び米国特許第5558976号明細書に開示されているPAGがある。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。
好ましい非イオン性PAG化合物の1つは、PAG121(BASF)の商品名で市販されている、8-[2,2,3,3,4,4,5,5-フルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)-ペンチル]-フルオランテンである。
PAGのまた別の類には鉄アレーン錯体がある。放射線で照射されると、鉄アレーン錯体はデフラグメントして、ルイス酸の特徴を有する配位的不飽和鉄含有中間体になる。好ましい鉄アレーン錯体の1つは、Irgacure 261 (BASF)の商品名で市販されている、η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル[(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン]-鉄(+)-ヘキサフルオロホスフェートである。
PAG化合物は、約0.1pphから約10pphまで、さらに好ましくは約0.5pphから約8pph、最も好ましくは約1pphから約7pphの量で存在する。
光硬化性基材組成物は必要に応じて1つ以上の別の添加剤を含むことができる。これらの添加剤には、触媒、キャリア、界面活性剤、粘着付与剤、定着剤、酸化防止剤、光増感剤、安定剤、反応性希釈剤、滑剤、蛍光増白剤及び低分子量非架橋樹脂があるが、これらには限定されない。いくつかの添加剤、例えば、触媒、反応性界面活性剤及び蛍光増白剤は重合過程を制御するようにはたらくことができ、よってコーティング組成物から形成された重合生成物の物理特性(例えば、弾性率、ガラス転移温度)に影響を与えることができる。他の添加剤は、コーティング組成物の重合生成物の完全性に影響を与える(例えば、解重合または酸化による劣化を防ぐ)ことができる。
触媒の例は、いくつかのオリゴマー成分においてウレタン結合の形成を触媒するために用いられる、スズ触媒である。触媒がオリゴマー成分の添加剤として残っているか、あるいは本発明の組成物に別途にある量の触媒が組み入れられるかにかかわらず、触媒の存在は組成物内のオリゴマー線分を安定化するためにはたらくことができる。
適するキャリア、さらに詳しくは反応性界面活性剤として機能するキャリアには、ポリアルコキシポリシロキサンがある。好ましいキャリアは、TEGORAD 2200及びTEGORAD 2700(アクリレート化シロキサン)の商品名で(米国バージニア州ホープウエル(Hopewell)の)Goldschmidt Chemical Co.から入手できる。これらの反応性界面活性剤は、好ましくは約0.01から約5pphの間、さらに好ましくは約0.25から約3pphの間の量で存在することができる。
他の類の適するキャリアはポリオール及び非反応性界面活性剤である。適するポリオール及び非反応性界面活性剤の例には、(米国ペンシルバニア州ニュータウンスクェア(Newtowne Square)の)(以前はArco Chemicalsとして知られていた)Loyndelから入手できる、ポリオール, Aclain 3201(poly(酸化エチレン-コ−酸化プロピレン))、及びGoldschmidt Chemical Co.から入手できる非反応性界面活性剤, Tegoglide 435(ポリアルコキシ-ポリシロキサン)がある。ポリオールまたは非反応性界面活性剤は、好ましくは約0.01pphから約10pphの間、さらに好ましくは約0.05pphから約5pphの間、最も好ましくは約0.1pphから約2.5pphの間の量で存在することができる。
適するキャリアは両親媒性分子でもあり得る。両親媒成分視は親水性セグメント及び疎水性セグメントのいずれをも有する分子である。疎水性セグメントは代わりに親油性(油脂を好む)セグメントと称することもできる。粘着付与剤はそのような両親媒性分子の一例である。粘着付与剤はポリマー品の時間に敏感な流動学的特性を改変できる分子である。一般に、粘着付与添加剤は、高伸張速度または高剪断速度ではポリマー品を高剛性であるように振る舞わせ、低伸張速度及び低剪断速度ではポリマー品を軟質にするであろう。粘着付与剤は接着剤業界で普通に用いられる添加剤であり、コーティングがその上に施される物体との結合を形成できるコーティングの能力を強めることが知られている。
好ましい粘着付与剤は(米国ニューヨーク州パーチェイス(Purchase))のInternational Paper Co.から入手できるUni-tac(登録商標)R-40(以降‘R-40’と称する)である。R-40は、ポリオールセグメントを含む、アビエチン酸エステルの化学的一族からの、タル油ロジンである。粘着付与剤は、好ましくは約0.01pphから約10pphの間の量で、さらに好ましくは約約0.05pphから約5pphの量で組成物内に存在する。適する別の粘着付与剤はExxonから入手できるEscorezシリーズの炭化水素である。Escorez粘着付与剤に関するさらなる情報については、マオ(Mao)の米国特許第5242963の明細書を見よ。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。上述したキャリアは組み合わせて用いることもできる。
適するいずれの定着剤も用いることができる。適する定着剤の例には、有機官能性シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩及びこれらの混合物がある。定着剤は、ポリ(アルコキシ)シランであることが好ましく、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼンであることがさらに好ましい。適する別の定着剤には、(米国ペンシルバニア州ブリストル(Bristol)の)United Chemical Technologiesから入手でき、(米国ペンシルバニア州モリスビル(Morrisville)の)Gelestからも入手できる、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(3-MPTMS)、(Gelestから入手できる)3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、(Gelestから入手できる)3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び(Gelestから入手できる)ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼンがある。その他の適する定着剤は、リー(Lee)等の米国特許第4921880号及び第5188864号の明細書に説明されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。定着剤は、存在する場合、約0.1pphから約10pphの間、さらに好ましくは約0.25pphから約3pphの間の量で用いられる。
適するいずれの酸化防止剤も用いることができる。好ましい酸化防止剤には、ビスヒンダードフェノールスルフィドまたはチオジエチレン-ビス(3,5-ジ-タート-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(BASFから入手できるIrganox 1035)があるが、これらには限定されない。酸化防止剤は、存在する場合、約0.1pphから約3pph、さらに好ましくは約0.25pphから約2pphの間の量で用いられる。
PAGの活性を増進するため、適するいずれの光増感剤も用いることができる。光増感剤によって、広い波長の範囲の光重合開始光エネルギーのさらに効率の良い使用が可能になる。光増感剤は、(1つまたは複数の)選ばれた光重合開始剤に対して用いられる(1つまたは複数の)波長において光を吸収し、次いでエネルギーをPAGに転送して酸性化合物の発生を誘起することができるべきである。光増感剤は、約0.05pphから約0.5pph、好ましくは約0.1pphから約0.5pphの量で用いることができる。
用いることができる光増感剤の一類は、Darocur(登録商標)ITX(BASF)の商品名で市販されているイソプロピルチオキサントン(ITX)のような、遊離基光増感剤である。
適するいずれの安定剤も用いることができる。好ましい安定剤の1つは四官能基チオール、例えば(米国ミズリー州セントルイス(St. Louis)の)Sigma-Aldrichからのペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)である。安定剤は、存在すれば、約0.01pphから約1pph、さらに好ましくは約0.01pphから約0.2pphの量で用いられる。
適するいずれの蛍光増白剤も用いることができる。蛍光増白剤の例には、2,5-チオフェンジイルビス(5−タート−ブチル-1,3-ベンズオキサゾール)である、Uvitex OB(BASF)、Bayerから入手できるBlankophor KPA、ビスベンズオキサゾール化合物、フェニルクマリン化合物及びビス(スチリル)ビフェニル化合物があるが、これらには限定されない。蛍光増白剤は、約0.003pphから約0.5pph、さらに好ましくは約0.005pphから約0.3pphの濃度で組成物内に存在することが望ましい。
光硬化性組成物は、ガラスファイバを実質的に封入するように組成物をファイバに塗布し、次いで組成物を硬化させることによって、直接光ファイバコア/クラッド層上で用いることが意図されている。ここで図1を参照すれば、本発明の一実施形態にしたがう光ファイバ10はファイバ及び、ファイバを封入する、本発明のコーティング16を有する。光ファイバは、必要に応じて、1つ以上の被覆をさらに有することができる。図1に示されるように、光ファイバは中間被覆18及び外装被覆20を有する。
ファイバは一般にガラス、主に石英ガラスで形成され、好ましくはガラスコア12及び、クラッド層14として知られる、ガラス被覆を有する。ガラスファイバは技術上既知の多くのプロセスにしたがって形成することができる。多くの用途において、ガラスコアとクラッド層は(図1に示されるように)明確なコア−クラッド境界を有する。あるいは、コアとクラッド層は明瞭な境界をもたない。そのようなガラスファイバの1つはステップインデックスファイバである。ステップインデックスファイバの例はチャン(Chang)の米国特許第4300930号及びダオ4402570号の明細書に説明されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。別のそのようなファイバは、屈折率がファイバ中心からの距離にしたがって変化するコアを有する、分布屈折率ファイバである。分布屈折率ファイバは基本的にガラスコアとクラッド層を相互に拡散させることによって形成される。分布屈折率ファイバの例は、ガリト(Garito)等の米国特許第5729645号の明細書、ジョーマン(Joormann)等の米国特許第4439008号の明細書、マーカティリ(Marcatili)等の米国特許第4176911号の明細書及びディマルチェロ(DiMarcello)等の米国特許第4076380号の明細書に説明されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。ガラスファイバは注目する波長、例えば1310nmまたは1550nmにおいて、単一モードまたは多モードとすることもできる。本発明の光ファイバは、上記の構成を、あるいは現在知られているかまたは今後開発されるその他の適するいかなるコア−クラッド層構成も含むことができる。
好ましい一実施形態において、クラッド層14は少なくとも約8重量%、好ましくは約10重量%より多く、さらに好ましくは約12重量%より多い、チタニア(二酸化チタン)がドープされた外周クラッド層を有する。チタニアドープクラッド層の厚さは、1μmより大きく、5μmより小さいことが好ましい。チタニア外周クラッドファイバの例はバッカー(Backer)等の米国特許第5140665号の明細書に説明されている。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
(コアとクラッド層が組み合わされた)ガラスファイバは一般に約70μmから約200μmの間、好ましくは約80μmから約200μmの間、さらに好ましくは約100μmと約145μmの間の総径を有する。
コーティング16は最内層被覆であり、上述したようにIEC動的疲労試験法によって測定することができるnの値で定量化されるように、ファイバの耐疲労性を強化する機能を担う。本発明の光ファイバは、コーティング16は無いが他の点では同等なファイバに対して高められたn値を有する。
コーティング16の厚さは、約20μmより薄く、約12.5μmより薄く、さらには10μmより薄いことが好ましい。さらに好ましくは、コーティング16の厚さは、約2μmと約20μmの間、約3μmと約15μmの間、または約5μmと約12.5μmの間である。
コーティング16は、約900MPaより大きく、好ましくは約1200MPaより大きく、さらに好ましくは約1500MPaより大きい、ヤング率を有することが好ましい。本明細書に用いられるように、コーティング16の材料のヤング率、破断点伸び及び引張強さは、直径が約0.0225インチ(571.5μm)の円柱形ロッドとして整形された材料の試料に引張試験機(例えば、Sintech MTS引張テスタまたはInstron万能材料試験システム)を用いて、5.1cmのゲージ長及び2.5cm/分の試験速度で測定される。降伏応力は、ヤング率、破断点伸び及び引張強さと同時にロッド試料について測定することができる。
コーティング16は少なくとも約0.7MPa・m1/2,さらに好ましくは少なくとも約0.8MPa・m1/2,最も好ましくは少なくとも約0.9MPa・m1/2の破壊靱性(K1C)も有する。破壊靱性は、不安定な破局的クラック成長に対する耐性を指す、コーティング材料の特性である。材料の破壊靱性は材料内のクラックの伝搬に必要なエネルギーの量に関係する。本明細書に用いられるように、破壊靱性K1Cは膜試料で測定され、
Figure 2013538239
として定められる。ここで、Yは形状因子、σは膜試料の(破壊点)引張強さ、zはノッチ長の1/2である。破壊靱性は、例えばファビアン(Fabian)等の米国特許第7715675号の明細書に説明されているように、中央切込みノッチ形状を有する膜で測定される。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。膜試料の(破壊点)引張強さσは、上述したように、引張試験機(例えば、Sintech MTS引張テスタまたはInstron万能材料試験システム)を用いて測定される。引張強さは破壊点における印加荷重を試料の元来の断面積で割ることで計算することができる。引張強さの計算のための見本の公式もファビアン等の米国特許第7715675号の明細書に挙げられている。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
コーティング16は、少なくとも約270μm、さらに好ましくは少なくとも約300μm、最も好ましくは少なくとも約350μmの延性も有する。ハンドリング及び欠陥形成に対するコーティングの感度は延性に反映される。延性は式:
Figure 2013538239
で定められる。大きな延性はコーティングの欠陥に対する感度が低いことを示す。当業者にはよく知られているように、歪軟化を示す試料について降伏応力は応力対歪曲線の最初の極大値によって計算される。より一般的には、降伏応力は、本明細書に参照として含められる、ASTM D638-02に与えられる方法を用いて決定することができる。ヤング率、破壊点伸び、引張強さ及び降伏応力のような物理特性は少なくとも5つの試料の平均として決定される。
コーティング16の配合物の例は、約10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(Bomer Specialty Co,からのKWS4131)、約72重量%〜約82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(CognisからのPhotomer 4028)、約5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(CognisからのPhotomer 3016)、必要に応じて約10重量%までのジアクリレートモノマー(CognisからのPhotomer 4002)またはN-ビニルカプロラクタム、約3重量%までの光重合開始剤(BASFからのIrgacure 184またはBASFからのLucirin(登録商標) TPO、またはこれらの組合せ)を含み、これに約0.5pphの酸化防止剤(BASFからのIrgacure 1035)が加えられる。
コーティング16に好ましいコーティング配合物の1つは、10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(KWS4131)、82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(Photomer 4028)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomer 3016)、1.5重量%のIrgacure 184、1.5重量%のLucirin TPO、1.0pphのIrgacure 256、0.5pphのIrganox 1035、0.2pphのITX、1.0pphの(3-アクリルオキシプロピル)-トリメトキシシラン(Gelest)を含む。
コーティング16に好ましい別のコーティング配合物は、10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(KWS4131)、82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(Photomer 4028)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomer 3016)、1.5重量%のIrgacure 184、1.5重量%のLucirin TPO、1.0pphのPAG121(BASF)、0.5pphのIrganox 1035、0.2pphのITX、1.0pphの(3-アクリルオキシプロピル)-トリメトキシシラン(Gelest)を含む。
これらの好ましい組成物によって、約1658.32(±46.41)MPaのヤング率、41.03(±0.70)MPaの降伏応力、約0.8150(±0.0853)MPa・m1/2の破壊靱性、約395マイクロメートルの延性及び約55〜58℃のTを特徴とする、コーティングが得られる。
コーティング18は中間被覆であり、通常はガラスファイバに直接に施される、従来の「一次」被覆の役割を担う。コーティング18は、低(例えば、25℃で約05MPaより小さい)ヤング率及び低(例えば、約−10℃より低い)Tを有する軟質架橋ポリマー材料から形成されることが好ましい。ヤング率は、好ましくは約3MPaより小さく、さらに好ましくは約0.1MPaと約1.0MPaの間にあり、最も好ましくは約0.1MPaと約0.5MPaの間にある。Tは、好ましくは約−100℃と約−25℃の間にあり、さらに好ましくは約−100℃と約−40℃の間にあり、最も好ましくは約−100℃と約−50℃の間にある。
コーティング18は、好ましくは約40μmより薄く、さらに好ましくは約20μmと約40μmの間にあり、最も好ましくは約20μmと約30μmの間の厚さを有する。以降でさらに詳細に説明されるように、中間被覆18は一般に、既に(先に硬化されていてもいなくても差し支えない)コーティングが施されたファイバに施され、次いで硬化される。中間被覆の1つ以上の特性を強める、上述したタイプの、酸化防止剤、定着剤、PAG化合物、光増感剤、キャリア界面活性剤、粘着付与剤、触媒、安定剤、表面活性剤及び蛍光増白剤を含む、様々な添加剤が存在することができる。
多くの適する中間被覆組成物が、例えば、「一次被覆」として、チェン(Chen)等の米国特許第6326416号の明細書、ウィニンガム(Winningham)等の米国特許第6531522号の明細書、フュークス(Fewles)多の米国特許第6539152号の明細書、ウィニンガムの米国特許第6563996号の明細書、フュークス等の米国特許第6869981号の明細書、ベイカー(Baker)等の米国特許第7010206号及び第7221842号の明細書、及びウィニンガムの米国特許第7423105号の明細書に開示されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。
適する中間被覆組成物は、約25重量%から75重量%の1つ以上のウレタンアクリレートオリゴマー、約25重量&から約65重量%の1つ以上の一官能価エチレン不飽和モノマー、約0重量%から約10重量%の1つ以上の多官能価エチレン不飽和モノマー、約1重量%から約5重量%の1つ以上の光重合開始剤、約0.5pphから約1.5pphの1つ以上の酸化防止剤、必要に応じて約0.1pphから約10pphのPAG化合物、及び約0.01pphから約0.5pphの1つ以上の安定剤を含むが、これらには限定されない。
中間被覆組成物の好ましい類の1つは、約52重量%のポリエーテルウレタンアクリレート(Bomar Specialties CompanyからのBR3741)、約40重量%から約45重量%の間の多官能価アクリレートモノマー、(CognisからのPhotomer 4003またはPhotomer 4960)、0重量%から約5重量%の間の一官能価アクリレートモノマー(カプロラクトンアクリレートまたはN−ビニルカプロラクトン)、約1.5重量%までの光重合開始剤(BASFからのIrgacure 819またはIrgacure 184、BASFからのLUCIRIN TPO、またはこれらの組合せ)を含み、これに約1pphの酸化防止剤(BASFからのIRGanox 1035)、必要に応じて約0.05pphの蛍光増白剤(BASFからのUvitex OB)、及び必要に応じて約0.03pphまでの安定剤(Sigma-Aldrichから入手できるペンタエリトリトール(3-メルカプトプロプリオネート))が加えられる。
中間被覆組成物の例は、5重量%のカプロラクトンアクリレート(Tone M100)、41.5重量%のエトキシラート化(4)ノニルフェノールアクリレート(Photomer 4003)、52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3741)、1.5重量%のIrgacure 819、1.0pphのIrganox 1035、1.0pphの(3-アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及び0.032pphのペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を含む。得られた硬化生成品は、0.49(±0.07)MPaの引張強さ及び0.69(±0.05)MPaの23℃におけるヤング率を特徴とする。
コーティング20は外装被覆であり、従来の「二次被覆」の目的を担う。外装被覆20の材料は一般に、重合すると分子が高度に架橋するウレタンアクリレート液を含む、コーティング組成物の重合生成品である。外装被覆20は(例えば25℃において0.08GPaより大きい)高ヤング率及び(例えば約50℃より高い)高Tを有する。ヤング率は、好ましくは約0.1GPaと約8GPaの間、さらに好ましくは約0.5GPaと約5GPaの間、最も好ましくは約0.5GPaと約3GPaの間にある。Tは、好ましくは約50℃と約120℃の間、さらに好ましくは約50℃と約100℃の間にある。コーティング20の厚さは、約40μmより薄く、さらに好ましくは約20μmから約40μmの間、最も好ましくは約20μmと約30μmの間にある。
外装被覆材料における使用に適する他の材料は、またそれらの材料の選択の関する要件も、技術上周知であり、チェイピン(Chapin)の米国特許第4962992号及び第5104433号の明細書に説明されている、これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に含められる。これらの代替として、高弾性率被覆は、ボテロ(Botelho)等の米国特許第6775451号の明細書及びチョウ(Chou)等の米国特許第6689463号の明細書に説明されているような、低オリゴマー含有量/低ウレタン含有量被覆系を用いても得られている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。さらに、シゼル(Schissel)等の米国特許出願公開第2007/0100039号の明細書に説明されているように、非反応性オリゴマー成分を用いて高弾性率被覆が達成されている。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。外装被覆は一般に、以下でさらに詳細に説明されるように、既に(先に硬化されていてもいなくても差し支えない)コーティングが施されたファイバに施され、次いで硬化される。被覆の1つ以上の特性を強める、酸化防止剤、PAG化合物、光増感剤、触媒、滑剤、低分子量非架橋樹脂、安定剤、界面活性剤、表面活性剤、スリップ剤、ワックス、超微粉ポリテトラフルオロエチレン、等を含む、様々な添加剤も存在することができる。
適する外装被覆組成物は、限定ではなく、約0重量%から約20重量%の1つ以上のウレタンアクリレートオリゴマー、約75重量%から約95重量%の1つ以上の一官能価エチレン不飽和モノマー、約0重量%から約10重量%の1つ以上の多官能価エチレン不飽和モノマー、約1重量%から約5重量%の1つ以上の光重合開始剤及び約0.5pphから約1.5pphの1つ以上の酸化防止剤を含む。
他の適する外装被覆組成物は、限定ではなく、約10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(Bomar Specialties CompanyからのKWS4131)、約72重量%から約82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(CognisからのPhotomer 4028)、約5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(CognisからのPhotomer 4028)、必要に応じて約10重量%までのジアクリレートモノマー(CognisからのPhotomer 4002)またはN-ビニルカプロラクタム、約3重量%までの光重合開始剤(BASFからのIrgacure 184、またはBASFからのLucirin TPO、またはこれらの組合せ)を含み、これに約0.5pphの酸化防止剤(BASFからのIRGanox 1035)が加えられる。
コーティング20に好ましいコーティング配合物の1つは、10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(KWS4131)、82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(Photomer 4028)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomer 3016)、1.5重量%のIrgacure 184、1.5重量%のLucirin TPO、及び0.5pphのIrganox 1035を含む。
上述した特徴の組合せにより、本発明の光ファイバは、コーティング16が無いことを除き他の点では同等の光ファイバの対応するn値を上回るn値を特徴とする。
一実施形態にしたがえば、本発明の光ファイバは、23℃及び湿度50%において測定したときに少なくとも約25のn値を有する。
一実施形態にしたがえば、本発明の光ファイバは、35℃及び湿度90%において測定したときに少なくとも約20,さらに好ましくは少なくとも約25のn値を有する。
本発明の光ファイバはガラスファイバ及びその被覆の作製のための従来の線引きタワー技術を用いて作製することができる。簡潔に言えば、本発明にしたがう被覆光ファイバを作製するための方法は、所望の構成を有するコア及びクラッド層を有する光ファイバを作製する工程、(コーティング16のための)最初のコーティング組成物(コーティング18のための)中間被覆組成物及び(コーティング20のための)外装被覆組成物でガラスファイバをコーティングする工程、及び、次いで、全てのコーティングを同時に硬化させる工程を含む。これはウエットオンウエットプロセスとして知られる。必要に応じて、順次に塗布されるコーティング組成物のそれぞれは、下層のコーティングの重合の前後に、被覆ファイバに塗布することができる。続いて塗布されるコーティングの塗布に先立つ下層コーティングの重合化は、ウエットオンドライプロセスとして知られる。ウエットオンドライプロセスを用いる場合、さらなる重合化工程が用いられなければならない。
例えば約2000℃の温度で、局所的に、対称に加熱された、特製円柱型プリフォームからのガラスファイバの線引きは周知である。プリフォームを炉に送込み、炉を通過させることによるように、プリフォームが加熱されている間、溶融材料からガラスファイバが線引きされる。ガラスファイバがプリフォームから線引きされた後、好ましくは冷却直後に、一次被覆、中間被覆及び二次被覆の組成物がガラスファイバに塗布される。被覆組成物は次いで硬化されて、被覆光ファイバが形成される。硬化方法は、ガラスファイバ上の未硬化被覆組成物を紫外光または電子ビームにさらすことで実施されることが好ましい。線引きプロセスに続いていくつかの被覆組成物を順次に塗布することが有利であることが多い。移動しているガラスファイバに2つの被覆組成物層を塗布する方法は、テイラー(Taylor)の米国特許第4474830号の明細書及びレネル(Rennell)等の米国特許第4851165号の明細書に開示されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。
さらに本発明にしたがう被覆光ファイバを作製するための一実施形態が、全体として参照数字40で表されて、図3に示される。図示されるように、(部分プリフォームとして示される)焼結プリフォーム42が線引きされた光ファイバ44にされる。ファイバ44は、技術上知られているように1つの被覆組成物または複数の被覆組成物の塗布を可能にする1つまたは複数のダイを備えることができる。コーティング要素46及び48を通過する。ダイは所望の寸法へのコーティング厚の調節も行う。コーティング16は要素46においてファイバ44に塗布され、コーティング18及び20は要素48においてファイバ44に塗布されることが好ましい。硬化要素50が要素46の下流に配され。硬化要素52が要素48の下流に配されて、ファイバ44に塗布されたコーティングを硬化させる。あるいは、要素46において塗布されたコーティングはファイバ44の要素48通過に続いて硬化させることができる。被覆光ファイバ54を、要素52を通して引っ張るため、牽引機56が用いられる。
当業者には当然であろうように、図3のシステムは、既知のウエットオンウエットプロセスまたはウエットオンライプロセスのいずれかの組合せによって、コーティングの塗布及び硬化を個別にまたは同時に与えるように改変することができる。一手法にしたがえば、一次被覆組成物及び中間被覆組成物の一方をまたはいずれも、外装被覆組成物の塗布に先立って硬化させることができる。あるいは、3つの被覆組成物の全てをファイバに塗布し、次いで、単一の重合化工程において順次に硬化させることができる。
本発明の光ファイバは、母材で封入された、実質的に揃えられ、実質的に同一平面にある、複数本の光ファイバを含む光ファイバリボンの形にすることもできる。リボンの構成の一例が図2に示され、図2には母材32で封入された12本の光ファイバ10を有するリボン30が示されている。母材は単一層または複合層構成でつくることができる。適する母材にはポリ塩化ビニルまたはその他の熱可塑性材料があり、(上で概述した)二次被覆材料として有用であることが知られている材料もある。一実施形態において、母材は外装被覆を形成するために用いられる組成物の重合生成物とすることができる。
本発明にしたがう光ファイバまたはファイバリボンが作製されれば、これらの材料はデータ信号の伝送のために遠距離通信システムに組み込むことができる。
本発明は、本発明の例示が目的とされる、以下の実施例によってさらに明確になるであろう。
実施例1−コーティング組成物の作製
約1658.32(±46.41)MPaのヤング率、41.03(±0.70)の降伏応力、約0.8150(±0.0853)MPa・m1/2の破壊靱性、約395μmの延性、及び約55〜58℃のTを特徴とする、二次被覆組成として有用であることが既に知られていた基材配合物を用いて、2つの異なるコーティング組成物を作製した。
これらの組成物のそれぞれに対する基本配合物は、10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(KWS4131)、82重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(Photomer 4028)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomer 3016)、1.5重量%のIrgacure 184、及び1.5重量%のLucirin TPOを含む。この基本配合物に、1.0pphのIrgacure 250(組成物1)または1.0pphのPAG121(BASF)(組成物2)を加えた。これらのコーティング組成物のいずれにも、0.5pphのIrganoxe 1035、0.2pphのITX、及び1.0pphの(3-アクリルオキシプロピル)-トリメトキシシラン(Gelest)も加えた。
市販の混合機を用いて組成物を作製した。オリゴマー成分及びモノマー成分の重さを量り、次いで熱した重合がまに入れて約50℃から65℃の範囲内の温度で混ぜ合わせた。均質な混合物が得られるまで混合し続けた。次いで、光重合開始剤の重さを個別に量り、混合しながら均質溶液に別々に加えた。再び均質な溶液が得られるまで混合し続けた。
個々の成分の重量%は、基材組成物を形成する、モノマー、オリゴマー及び光重合開始剤の合計重量に基づく。上に示したように、いずれの添加剤も100分の1単位(pph)で測定して基本組成物に続いて導入した。
実施例2−多モード光ファイバの作製及び試験
この実験に用いたガラスファイバは、コア径が70μmより大きく、NAが0.24より大きく、全モード励振伝送帯域が850nmにおいて500MHz-kmより大きい、多モードファイバである。これらのファイバを組成物1または組成物2で、それぞれの厚さを約12.5μmに調節し、少なくとも5m/秒の線引き速度を用いながら、(米国メリーランド州ゲイサースバーグ(Gaithersberg)のFusion UV Systemsの)Fusion紫外線ランプを1〜3個用いて硬化させて、被覆した。。
得られた被覆ファイバを次いで中間被覆組成物及び外装被覆組成物で被覆した。中間被覆組成物は、5重量%のカプロラクトンアクリレート(Tone M100)、41.5重量%のエトキシラート化(4)ノニルフェノールアクリレート(Photomeru 4003)、52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3741)、1.5重量%のIrgacure 819、1.0pphのIrganox 1035、1.0pphの(3-アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及び0.032pphのペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を含む。外装被覆組成物は、10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(KWS4131)、85重量%のエトキシラート化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(Photomeru 4028)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomeru 3016)、1.5重量%のIrgacure 814、1.5重量%のLucirin TPO、及び0.5pphのIrganox 1035を含む。中間被覆組成物及び外装被覆組成物は厚さをそれぞれ32.5μm及び26μmに調節し、少なくとも5m/秒の線引き速度を用いながら、(Fusion UV Systemsの)Fusion紫外線ランプを1〜3個用いて硬化させた。この結果、(組成物1の硬化生成物を含む)光ファイバ1及び(組成物2の硬化生成物を含む)光ファイバ2を得た。
光ファイバ1及び2を、湿度50%から湿度90%まで及び室温(〜23℃)から35℃ないし65℃の高温までの範囲にわたる様々な条件の下で少なくとも7日間エージングした。光ファイバ1及び2を、1000μm/秒、100μm/秒、10μm/秒及び1μm/秒の4つの伸張速度を用い、2点曲げ疲労試験のためのIEC法にかけた。これらの光ファイバに対するnパラメータを上述したエージング条件下のそれぞれの光ファイバに対する曲線の勾配から計算した。得られた結果を下の表1に示す。
実施例3
被覆する光ファイバに〜8重量%チタニア外層クラッド(3μm)単一モードファイバを用い、実施例1及び2に用いたものと同じ被覆組成物を用いて光ファイバを作製した。
Figure 2013538239
好ましい実施形態を本明細書に図示し、詳細に説明したが、当業者には本発明の精神を逸脱することなく様々な改変、付加、置換等がなされ得ることが明らかであろう。、したがって、そのような改変、付加、置換等は添付される特許請求の範囲に定められるような本発明の範囲内にあると見なされる。
10 光ファイバ
12 コア
14 クラッド層
16 コーティング
18 中間被覆
20 外装被覆
30 光ファイバリボン
32 リボン母材
40 被覆光ファイバ作製システム
42 プリフォーム
44 光ファイバ
46,48 コーティング要素
50、52 硬化要素
54 被覆光ファイバ
56 牽引機

Claims (5)

  1. 組成物において、
    1つ以上のアクリレート含有化合物を含む光硬化性基材組成物、
    適する波長の光に露光されると前記光硬化性基材組成物の重合化を促進する光重合開始剤、及び
    前記適する波長の前記光への露光後に酸基を遊離する光酸発生化合物、
    を含むことを特徴とする組成物。
  2. 前記光重合開始剤が、ケトン系光重合開始剤またはホスフィンオキシド系光重合開始剤、あるいはこれらの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記光酸発生化合物が、オニウム塩、鉄アレーン錯体またはフルオランテン錯体であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  4. 前記光酸発生化合物が、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムPF、8-[2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)-ペンチル]-フルオランテン、またはη-2,4-シクロペンタジエン-1-イル[(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン]-鉄(+)-ヘキサフルオロホスフェートであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  5. ガラスファイバ及び前記ガラスファイバを実質的に封入する請求項1に記載の組成物で形成されたコーティングを有することを特徴とする光ファイバ。
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