JP2013049744A - 放射線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基材に接して有機硬化膜層を設けた場合に、ガラス基材の強度を低下させない放射線硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(D)、(F)及び(G)を含有し、
(A)ウレタンオリゴマー、
(B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物、
(D)放射線ラジカル重合開始剤、
(F)成分(D)以外の、熱又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(G)アルコキシシラン化合物、
かつ、(H)カチオン重合性成分の含有量が、組成物全量に対して5質量%以下であることを特徴とする、放射線硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス基材上に接して設けられる有機硬化物膜として好適な特性を有する放射線硬化性樹脂組成物に関する。
ガラス薄膜やガラスファイバ(以下、総括的に「ガラス基材」ともいう。)は、多様な機能を有する積層体の基材として広く用いられている。例えば、液晶表示パネルや有機ELパネル等の平面ディスプレイパネルは、ガラス薄膜の上に様々な有機硬化膜を積層して構成されており、光ファイバは、ガラスファイバの外面を放射線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜層で被覆して構成されている。これらの用途において、ガラス薄膜やガラスファイバは外部応力に対して一定の強度を要求されており、強度が低下すると、表示パネルにおいてはパネル全体の強度が低下して長期耐久性、長期信頼性を損なう場合があるほか(非特許文献1)、光ファイバにおいてはガラスファイバの光伝導効率が低下する原因の一つとなっている。
ところが、ガラス基材の表面に接して設けられた有機硬化物膜の影響によって、ガラス基材の強度が低下する場合がある。これは、有機硬化物膜に含まれる水分や塩基性成分の影響によって、ガラスの加水分解が促進されるために生じる現象と考えられている(非特許文献1)。放射線硬化性樹脂組成物から形成された有機硬化物膜である硬化層に含まれるアミン系光重合促進剤等の塩基性物質も、ガラスの加水分解を促進していると考えられる。
光ファイバは、ガラスを熱溶融紡糸して得たガラスファイバに、保護補強を目的として樹脂を被覆して製造されている。この樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層(以下、「第一次被覆層」ともいう。)を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層(以下、「第二次被覆層」ともいう。)を設けた構造が知られている。1本のガラスファイバに第一次被覆層及び第二次被覆層を設けた構造を有する光ファイバを通常、光ファイバ素線というが、光ファイバ素線は、第二次被覆層の外側に、さらに着色されたインキ層やアップジャケット層を有していてもよい。さらに、これらの樹脂被覆を施された複数の光ファイバ素線を結束材料で固めたテープ状光ファイバや光ファイバケーブルもよく知られている。
光ファイバ素線の第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をプライマリ材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をセカンダリ材、複数の光ファイバ素線の結束材料として用いられる樹脂組成物をバンドリング材と称している。また、複数のテープ状光ファイバや光ファイバケーブルをさらに結束材料でまとめる場合もあり、このとき用いられる結束材料もバンドリング材と称している。これらの樹脂被覆方法としては、放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、熱又は光、特に紫外線により硬化させる方法が広く用いられている。
これらの被覆材のうち、プライマリ材に有用な放射線硬化性樹脂組成物としては、ガソリン等の有機溶剤中での膨潤性の低い脂肪族ウレタンオリゴマーを有する組成物(特許文献1)、脂肪族ウレタンオリゴマー及び炭化水素モノマーを含有する組成物(特許文献2)、特定のシランカップリング剤を配合した組成物(特許文献3)等が知られている。プライマリ材においては、硬化物が柔軟であることが必要であり、第一次被覆層は、通常、1〜10MPaのヤング率を有している。さらにプライマリ材には、ガラスファイバに対する一次被覆であることから、樹脂液の安定性及び硬化物の耐水性に優れていることの他に、高速塗布性に優れている必要性から、特に安定した粘度特性が要求されている。
セカンダリ材においては、硬化物が剛直であることが必要であり、第二次被覆層は、通常、100〜1,000MPaのヤング率を有している。
最近、光ファイバ素線の側面に局所的に圧力がかかった場合、その部分のガラスファイバのコアが小さな曲率で曲げを生じる結果、光損失を生じることが知られており、このような曲げを生じる現象をマイクロベンディング、マイクロベンディングによる光損失をマイクロベンディング・ロスと称している。マイクロベンディング・ロスを防止する目的で、低ヤング率の緩衝層(アップジャケット層)を設ける技術(特許文献4)などが知られているが、ガラスの加水分解が進行してガラスファイバ強度が低下するとマイクロベンディング・ロスが増大し、光ファイバの耐久性が低下する。
特許文献6には、アクリレートモノマー等に光照射により酸およびラジカルを発生させるオニウムボレート錯体を配合した光ファイバコート材が記載されている。また、特許文献7には、光分岐結合器の導波部に用いられるラジカル系の硬化性組成物に熱酸発生剤や光酸発生剤を配合できることが記載されている。
Effect of Water on the Mechanical Properties of Glass: New Glass、21(3)p.41-46、2006 New Glass Forum
特開平5−306146号公報 特開平5−306147号公報 特開2001−130929号公報 特開平5−281431号公報 特開平10−158039号公報 特開2000−56152号公報
しかしながら、従来のラジカル系の硬化性組成物から形成された有機硬化膜層を、ガラス基材に接して設けた場合には、前述したとおりガラス強度が低下する現象が知られており、ガラス基材の強度を低下させないラジカル系の硬化性組成物が求められていた。
従って、本発明の目的は、ガラス基材に接して有機硬化膜層を設けた場合に、ガラス基材の強度を低下させない放射線硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記特性を有する組成物を得るべく種々検討した結果、ラジカル重合性化合物と放射線ラジカル重合開始剤を主成分とする硬化性組成物に、アルコキシシラン化合物及び熱又は放射線の照射により酸を発生する化合物を配合した放射線硬化性樹脂組成物が、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記成分(A)、(B)、(D)、(F)及び(G)を含有し、
(A)ウレタンオリゴマー、
(B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物、
(D)放射線ラジカル重合開始剤、
(F)成分(D)以外の、熱又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(G)アルコキシシラン化合物、
かつ、(H)カチオン重合性成分の含有量が、組成物全量に対して5質量%以下であることを特徴とする、放射線硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、該放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射することにより硬化して得られる硬化膜を提供するものである。
また、本発明は、ガラス基材と、該基材上に接して設けられた該硬化膜からなる層と、該硬化膜からなる層に接して設けられたヤング率が1000MPa以上の有機硬化膜層を有する積層体を提供するものである。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、高速硬化性を有するとともに、本発明の組成物を硬化して得られる硬化膜は、ガラス基材上に接して設けられたときに、ガラス基材の強度を低下させることが少ない。従って、本発明の組成物は、ガラス基材上に接して設けられる有機硬化物膜の形成用材料として好適である。特に、本発明の組成物を硬化して得られる硬化層である光ファイバ被覆層は、ガラスファイバ強度を低下させることが少なく、高いガラスファイバ強度(n値)を有している。また、プライマリ材として好適な柔軟性(低ヤング率)と、高い機械強度(破断伸び、破断強度)を有している。従って、本発明の組成物は、光ファイバ被覆材、特に、プライマリ材として有用である。
なお、本発明において、光ファイバとは、前述の光ファイバ素線又は光ファイバケーブルを意味し、光分岐結合器等の光導波路を含まない概念である。また、本発明においては、光ファイバにおけるガラス基材であるガラスファイバの強度を「ガラスファイバ強度」という。よって、「ガラス基材の強度」は、「ガラスファイバ強度」を含む概念である。
[放射線硬化性樹脂組成物]
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に用いられる成分(A)は、ウレタンオリゴマーである。ウレタンオリゴマーとは、ウレタン結合を有するオリゴマーであって、エチレン性不飽和基を有するウレタンオリゴマーであるウレタン(メタ)アクリレートや、エチレン性不飽和基を有しないウレタンオリゴマーを包含する概念である。
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、ジオールとジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物である(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物、ジオールとジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートと1価アルコール若しくはシランカップリング剤の反応物である(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物、ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物である(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を有しないウレタンオリゴマーの具体例としては、ジオールとジイソシアネートと1価アルコール若しくはシランカップリング剤の反応物等を挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、第四族金属触媒存在下で反応を行うことにより製造することができる。好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートは、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを第四族金属触媒存在下に反応させることにより製造され、さらに好ましくは、ジオール、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを第四族金属触媒存在下に反応させることにより製造される。すなわち、第四族金属触媒の存在下に、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ジオールの水酸基及び水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれ反応させることにより製造される。
この反応としては、例えば、ジオール、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;ジオール及びジイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでジオールを反応させる方法;ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでジオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。また、反応温度は、通常5〜90℃、特に10〜80℃で行うのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの好ましい態様としては、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーである。
脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーは、好ましくは、以下の成分(A3)を含んでおり、さらに好ましくは、以下の成分(A1)、(A2)および(A3)を含んでいる。成分(A1)〜(A3)は、上述した成分(A)の重合方法により混合物として合成することもできるし、別々に合成して混合することもできる。
成分(A1)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタン(メタ)アクリレートであり、好ましくは、下記式(1)で表される構造を有している。
A−(ICN−POL)n−ICN−A (1)
成分(A2)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を1個有するウレタン(メタ)アクリレートであり、好ましくは、下記式(2)で表される構造を有している。
A−(ICN−POL)n−ICN−R1 (2)
成分(A3)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を有しないウレタンオリゴマーであり、好ましくは、下記式(3)で表される構造を有している。
2−(ICN−POL)n−ICN−R2 (3)
[上記式(1)〜(3)において、Aは、(メタ)アクリロイル基を有する有機基であり、好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリレートに由来する基である。ICNは、ジイソシアネートに由来する構造単位であり、POLは、ポリエーテルジオールに由来する構造単位であり、R1及びR2は、(メタ)アクリロイル基を有しない有機基であり、nは、1.0より大きい数であり、好ましくは1.1〜3.0であり、さらに好ましくは1.3〜2.5であり、特に好ましくは1.5〜2.0である。式(1)〜(3)のPOL、ICNおよびnの値はそれぞれ独立である。式(3)に複数存在するR2は、それぞれ独立である。「−」で示される結合はウレタン結合である。]
式(1)〜(3)中、R1は、好ましくは、1価アルコール又はシランカップリング剤に由来する基であり、R2は、好ましくは、1価アルコールに由来する基である。
成分(A1)は、(メタ)アクリロイル基を2個有するため硬化物中で架橋構造を形成し、硬化物の機械強度を向上させることができる。
成分(A2)は、(メタ)アクリロイル基を1個有するため、硬化物中で架橋構造は形成しないが樹脂マトリックスに結合しており、硬化物に柔軟性を付与することができる。また、式(2)のR1がシランカップリング剤に由来する構造単位である成分(A2)を含むことにより、硬化物のガラス密着性が改善される。
成分(A3)は、(メタ)アクリロイル基を有しないため、硬化物中で共有結合を形成しておらず、硬化物に柔軟性を付与する上で特に有効である。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられるジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとして、例えば、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのうち、経済性及び安定した品質の組成物が得られる点から、芳香族ジイソシアネートがより好ましく、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートが特に好ましい。これらのジイソシアネートは単独で用いても、2種以上併用しても良い。
成分(A)のウレタンオリゴマーの製造に用いられるジオールとしては、特に限定されないが、脂肪族ポリエーテルジオールが好ましく、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール及び二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルジオールなどが好ましい。
上記イオン重合性環状化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。
二種以上の上記イオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールの具体例としては、例えば、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドなどの組み合わせより得られる二元共重合体;テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド及びエチレンオキシドの組み合わせより得られる三元重合体などを挙げることができる。
また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミンなどの環状イミン類;β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチドなどの環状ラクトン酸;あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。
上記脂肪族ポリエーテルジオールは、例えば、PTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学社製)、PPG400、PPG1000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭オーリン社製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂社製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学工業社製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B、EO/BO4000、EO/BO2000(以上、第一工業製薬社製)、Acclaim 2200、2220、3201、3205、4200、4220、8200、12000(以上、住友バイエルウレタン社製)等の市販品としても入手することができる。
これらの脂肪族ポリエーテルジオールのうち、1種又は2種以上の炭素数2〜4のイオン重合性環状化合物の開環重合体であって、平均分子量1000〜5000のジオールを用いるのが、樹脂液の高速塗布性と被覆材の柔軟性の両立の点から好ましい。このような好ましいジオール化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド及びイソブテンオキシドから選ばれる1種又は2種以上のオキシドの開環重合体であって、平均分子量1000〜4000のものが挙げられる。特に、平均分子量1000〜3000のプロピレンオキシドの開環重合体が好ましい。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基が第一級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第一水酸基含有(メタ)アクリレートという)、及び水酸基が第二級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第二水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いることが好ましい。水酸基が第三級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第三水酸基含有(メタ)アクリレートという)はイソシアネート基との反応性に劣るため好ましくない。
第一水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第二水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げられる。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられる一価アルコールとしては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールが好ましく用いられる。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられるシランカップリング剤としては、特に限定されないが、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
成分(A)の脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる、成分(A)のウレタンオリゴマーは、好ましくは、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレート及びシランカップリング剤を反応させて得られるウレタンオリゴマーであることが好ましい。このような合成法により得られたウレタンオリゴマーは、好ましくは、式(3)で表される両末端が一価アルコールで封止されたウレタンオリゴマーを含んでいる。さらに好ましくは、式(3)で表されるウレタンオリゴマーに加えて、式(2)のR1がシランカップリング剤由来であるウレタン(メタ)アクリレート、式(2)のR1が一価アルコール由来であるウレタン(メタ)アクリレート及び式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートを含んでいる。
成分(A)のウレタンオリゴマーを合成するときの脂肪族ポリエーテルジオール、ジイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート、シランカップリング剤及び一価アルコールの使用割合は、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量、シランカップリング剤の反応部位が0.01〜0.2当量、一価アルコールの水酸基が0.01〜1当量となるようにするのが好ましい。このような比率で反応させることにより、前記式(1)、(2)および(3)で表されるウレタンオリゴマーの混合物を得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成において、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等から選ばれるウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01〜1質量%を用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5〜90℃、特に10〜80℃で行うのが好ましい。
成分(A)のウレタンオリゴマーは、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、50〜90質量%、さらに35〜85質量%、特に50〜83質量%配合することが好ましい。50質量%未満では硬化物の柔軟性と機械強度がいずれも低下する場合があり、90質量%を超えると放射線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
成分(A3)は、成分(A)の全量に対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。成分(A)中に占める成分(A3)の割合は、成分(A3)を含む硬化膜をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬した場合に抽出される成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーで定量化することにより求めることができる。具体的には、成分(A3)を含む硬化膜aからのTHF抽出物の量と成分(A3)を実質的に含まない硬化膜bからのTHF抽出物の量との差異を成分(A3)の量とする。硬化膜aと硬化膜bは、成分(A)以外は同一組成の組成物を同一条件で硬化して作製する。
成分(A3)の検量線は、成分(A)として既知量の成分(A3)のみを含む組成物から作製した硬化膜からのTHF抽出物を標準品として作成することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの詳細条件は実施例に記載した方法に従う。このような方法により成分(A3)の量を測定できるのは、前記式(3)で表される両末端が一価アルコールで封止されたウレタンオリゴマーは、前記式(1)や式(2)で表されるウレタンオリゴマーと異なり(メタ)アクリロイル基を有しないため、硬化膜からTHF中に抽出されると考えられるためである。
成分(A1)、(A2)、(A3)は、それぞれ成分(A)の全量100質量%に対して、成分(A1)が30〜60質量%、成分(A2)が30〜60質量%、成分(A3)が1〜20質量%であることが好ましく、成分(A1)が40〜50質量%、成分(A2)が40〜50質量%、成分(A3)が1〜10質量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に用いられる成分(B)は、成分(A)以外の、エチレン性不飽和基を1個有する化合物であり、典型的にはエチレン性不飽和基を1個有するモノマーである。
成分(B)の具体例としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これら成分(B)の中では、脂環式構造含有(メタ)アクリレート及びビニル基含有ラクタムが、硬化物のヤング率及び硬化速度の向上の観点から好ましい。
また、上記の成分(B)の市販品として、アロニックスM−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亞合成社製);KAYARAD、TC110S、R629、R644(以上、日本化薬社製);IBXA、ビスコート3700(大阪有機化学工業社製)等が挙げられる。
成分(B)は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、5〜45質量%、特に10〜30質量%配合するのが好ましい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、成分(C)として、成分(A)以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を配合することができる。成分(C)は、典型的にはエチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーである。
成分(C)の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
また、市販品としては、例えば、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学社製);ビスコート700(大阪有機化学工業社製);KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬社製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
成分(C)は、硬化物中の架橋密度を高くする効果を有するため、硬化物の機械強度を向上させることができる。一方、成分(C)を過剰に配合すると硬化物のヤング率が過大となってプライマリ材として不適となる場合がある。このため、成分(C)の配合量は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、2質量%以下(0〜2質量%)、特に1.5質量%以下(0〜1.5質量%)にするのが好ましい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に用いる成分(D)は、放射線ラジカル重合開始剤である。
成分(D)の放射線ラジカル重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられ;市販品としては、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、DAROCUR1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LUCIRIN TPO(BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
成分(D)は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
また、本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、さらに光増感剤を添加することができる。光増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、(E)シランカップリング剤を配合することもできる。成分(E)は、本発明の組成物を硬化した硬化物とガラス基材の密着性を向上させることができる。
成分(E)としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。また、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等を用いることもできる。その市販品としては、SH6062、SZ6030(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤のうち、被覆とガラスとの密着力の観点から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらのシランカップリング剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
成分(E)は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、被覆とガラスとの密着力の維持の点から、0.01〜2質量%、さらに0.1〜1.5質量%、特に0.5〜1.5質量%配合するのが好ましい。
本発明に用いられる成分(F)は、成分(D)以外の、熱又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。以下、熱により酸を発生する化合物を熱酸発生剤、放射線の照射により酸を発生する化合物を放射線酸発生剤(「光酸発生剤」ともいう。)という。
一般に、熱酸発生剤や放射線酸発生剤は、エポキシ化合物等のカチオン重合をする化合物を含有するカチオン重合性の組成物に、カチオン重合開始剤成分として配合される。しかし、本発明の組成物は実質的にラジカル重合系の組成物であり、成分(D)のラジカル重合開始剤によって重合が開始される。本発明の放射線硬化性樹脂組成物において、成分(F)は、熱又は放射線の照射により酸を放出することによって、硬化物のpHをより酸性にして、硬化物層に隣接するガラス基材の強度低下を抑制することができる。成分(F)は、ガラス基材と成分(G)のアルコキシシラン化合物との反応を促進することにより、ガラス基材の強度低下を抑制することができるものと推定される。
ここで、放射線とは、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、γ線等を意味する。
熱酸発生剤としては、適当な熱を加えることによって酸を発生する化合物ならば特に制限されないが、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ハロゲン含有化合物、スルホン酸エステル化合物などが挙げられる。熱酸発生剤の具体例としては、ベンジルメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルメチルフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ベンジルメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(4−ヒドロキシフェニルメチル−o−メチルベンジルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート)、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、ベンゼンジアゾニウムトリフルオロメタンスルホネート、ナフタレンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ナフタレンジアゾニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
放射線酸発生剤としては、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物を挙げることができる。放射線酸発生剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(6−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド化合物などを挙げることができる。
本発明の組成物は放射線硬化性であるため、成分(F)として放射線酸発生剤を用いると、硬化工程と別個に成分(F)から酸を発生させるための加熱工程が不要であり、組成物を放射線の照射により硬化させる工程で成分(F)から酸が発生するため好ましい。
熱酸発生剤及び放射線酸発生剤は、それぞれ、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、一種又は複数種類の熱酸発生剤と放射線酸発生剤を併用することもできる。
これら成分(F)の中で、熱又は放射線の照射により発生する酸がより強い酸であることが、ガラス基材の強度低下を抑制できるため好ましい。例えば、オニウム塩である放射線酸発生剤の中で、アニオンが、テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート(B(C654 -)、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 -)等の超強酸のイオンや、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオン、トリニトロトルエンスルホン酸アニオン、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(CF3CF23PF3 -等の硫酸、リン酸等の強酸のイオンであることが好ましい。一方、酸がより弱い酸である場合にはガラス基材の強度低下を抑制する効果が限定的となり、例えば、硫酸イオンに較べて亜硫酸イオンは効果がより弱く、リン酸イオンに較べて亜リン酸イオンや次亜リン酸イオンは効果がより弱い。
一方、成分(D)の放射線ラジカル重合開始剤の中で、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドは放射線の照射によってジフェニルホスフィン酸を発生すると考えられるが、ガラス基材の強度低下を抑制する効果は見られない。
オニウム塩である放射線酸発生剤の中で、下記式(4)で表される構造を有するカチオンを含む塩である化合物が挙げられる。アニオンは、前述の超強酸のイオンや強酸のイオンが好ましい。
Figure 2013049744
成分(F)として好適に使用できる放射線酸発生剤の市販品としては、例えば、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−172(以上、旭電化工業社製)、Irgacure 261(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達社製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学社製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬社製)、CPI−101A、CPI−110A、CPI−100P、CPI−200K(以上、サンアプロ社製)等を挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−172、CD−1012、MPI−103、CPI−101A、CPI−110A、CPI−100P、CPI−200Kは、これらを含有してなる樹脂組成物に高い光硬化感度を発現させることができることから、特に好ましい。
成分(F)の酸発生剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明における成分(F)の含有量は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、通常0.01〜10質量%であり、好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。成分(F)の含有量が0.01質量%未満の場合には、ガラス基材の強度低下を抑制することが困難である。一方、10質量%を超える場合には、組成物中に溶解しにくくなり均一な組成物が得られない場合がある。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に用いる成分(G)のアルコキシシラン化合物は、エチレン性不飽和結合等のラジカル重合性の官能基を有さないものである。このため、成分(G)は、硬化物中を容易に移動してガラスの欠損部位に接近でき、また、アルコキシシラン部位を有するため、ガラスの欠損部位と化学反応により結合して修復することが可能である。
かかるアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン(正珪酸エチル、多摩化学工業社製;AY43−101、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メチルトリメトキシシラン(SZ6070、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メチルトリエトキシシラン(SZ6072、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メチルトリフェノキシシラン(Z−6721、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ジメチルジメトキシシラン(AY43−004、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、トリメチルメトキシシラン(AY43−043、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ヘキサメチルジシラザン(Z−6079、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、n−プロピルトリメトキシシラン(Z−6265、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、イソブチルトリメトキシシラン(AY43−048、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、イソブチルトリエトキシシラン(Z−6403、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、n−ヘキシルトリメトキシシラン(AY43−206M、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、n−ヘキシルトリエトキシシラン(AY43−206E、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(SZ6187、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、n−オクチルトリエトキシシラン(Z−6341、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、n−デシルトリメトキシシラン(AY43−210MC、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、1,6ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(AY43−083、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、フェニルトリメトキシシラン(AY43−040、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ジフェニルジメトキシシラン(AY43−047、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(AY43−013、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン(AY43−158E、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ジフェニルジメトキシシラン(AY43−047、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AY43−059、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(SZ6023、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン(SZ6083、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン(AY43−031、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(SH6040、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(AY43−026、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ビス[(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(Z−6920、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ビス[(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(Z−6940、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、テトラエトキシシラン縮合物(シリケート40、シリケート45、シリケート48、以上、多摩化学工業社製)、メチルトリメトキシシラン縮合物(Mシリケート51、多摩化学工業社製)、テトラプロポキシシラン(プロピルシリケート、多摩化学工業社製)、テトラブトキシシラン(ブチルシリケート、多摩化学工業社製)等が挙げられる。
成分(G)としては、一般式(5):
(R11m−Si−(OR124-m (5)
(式中、R11は炭素数1〜10のアルキル基、エポキシアルキル基、パーフルオロアルキル基又はアリール基を示し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0、1又は2を示す)
で表されるものが好ましい。特に、メトキシシリル化合物、エトキシシリル化合物が好ましく、更に、2官能以上のメトキシシリル化合物、エトキシシリル化合物が、加水分解性に優れ、立体障害も少ないためガラスの欠損部位との反応が容易になるので好ましい。
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、0.1〜10質量%、さらに0.25〜5質量%、特に0.5〜1質量%配合されるのが好ましい。この範囲内であれば、ガラス基材の強度を低下させることがない。
本発明の組成物には、必要に応じて(H)カチオン重合性成分を添加することもできる。成分(H)はカチオン重合性の化合物であれば特に制限されないが、例えば、オキシラニル基、オキセタニル基等のエポキシ基やグリシジル基を有する化合物が挙げられる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、実質的にラジカル重合系の組成物であり、(H)カチオン重合性成分の配合量は一定値以下とすることが好ましい。成分(H)の添加量は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物全量に対して、5質量%以下(0〜5質量%)、好ましくは0〜2質量%であり、成分(H)を全く含まないことが特に好ましい。
また、本発明の組成物中において、成分(H)の配合量と、成分(A)、(B)及び(C)の配合量の合計値との質量比((H)/[(A)+(B)+(C)]の値)は、好ましくは0〜1/20であり、さらに好ましくは0〜1/50であり、特に好ましくはゼロである。
また、本発明の放射専攻科生樹脂組成物は、上記成分以外に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ANTIGENE P、3C、Sumilizer GA−80、GP(住友化学工業社製)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、TINUVIN 292、144、622LD、サノールLS−770、765(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、例えば、脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、他のオリゴマー、ポリマー、その他の添加剤等を配合することができる。
他のオリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジルメタアクリレート等が挙げられる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、ハンドリング性、塗布性の点から25℃において0.1〜10Pa・s、さらに1〜8Pa・sが好ましい。
[硬化膜]
本発明の硬化膜は、前述の放射線硬化性樹脂組成物を放射線の照射によって硬化して得られる硬化物からなる。ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等であり、特に紫外線が好ましい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物を硬化する方法としては、特に限定されないが、空気中又は窒素等の不活性ガス中において放射線を10mJ/cm2〜5J/cm2で照射する方法が好ましく、20mJ/cm2〜2J/cm2で照射する方法がさらに好ましい。
本発明の硬化膜は、低いヤング率を有するので光ファイバのプライマリ材として有用である。ここで、当該硬化膜のヤング率は25℃において、0.1〜0.9MPaであることが好ましく、0.3〜0.85MPaであることがさらに好ましい。硬化膜のヤング率が上記範囲であることにより、マイクロベンディングを効果的に防止することができる。
本発明の硬化膜は、機械的強度においても優れている。当該硬化膜の破断強度は、0.9〜10MPaであることが好ましく、1.4〜10MPaであることがさらに好ましく、2.0〜10MPaであることが特に好ましい。また、当該硬化膜の破断伸びは、130〜250%であることが好ましく、150〜220%であることがさらに好ましく、180〜210%であることが特に好ましい。
[積層体]
本発明の積層体は、ガラス基材と、該基材上に接して設けられた前述の硬化膜からなる層(以下、「第1の硬化膜層」ともいう。)と、該硬化膜からなる層に接して設けられたヤング率が1000MPa以上の有機硬化膜層(以下、「第2の硬化膜層」ともいう。)を有する。
ガラス基材は、二酸化ケイ素を主成分とするガラスからなる基材であり、石英ガラス、硬質ガラス、軟質ガラスなどガラスの種類は特に限定されない。
本発明の積層体は、第1の硬化膜層がガラス基材上に接して設けられている。成分(F)から発生した酸がガラス基材の劣化を防止するためには、ガラス基材と第1の硬化膜層が接触していることが好ましい。
本発明の積層体は、第1の硬化膜層に接して設けられたヤング率が1000MPa以上の第2の硬化膜層を有している。第1の硬化膜層はヤング率が小さい軟らかい層であって、ヤング率が大きい硬い層である第2の硬化膜層を積層することによって、積層体に外部応力が加わった場合にガラス基材を効果的に保護することができる。本発明の積層体は、光ファイバ素線や平面ディスプレイパネル等の用途に好適に用いることができる。本発明の積層体は、ガラス基材、第1の硬化膜層及び第2の硬化膜層の他にも任意の層をさらに積層することができる。このような構成とすることにより、例えば、ガラスファイバの外周に第一次被覆層と第二次被覆層を設けた光ファイバ素線のさらに外周に着色されたインキ層やアップジャケット層を有していてもよい。さらに、これらの樹脂被覆を施された複数の光ファイバ素線を結束材料で固めたテープ状光ファイバや光ファイバケーブルも本発明の積層体の別の態様である。
本発明組成物を用いて形成した第一次被覆層を有する光ファイバ素線は、第一次被覆層の外側に接して、ヤング率が1,000MPa以上、好ましくは1,000〜2,000MPaである第二次被覆層を有することが好ましい。光ファイバ素線が上記構造を有することにより、より効果的にマイクロベンディングを防止することができる。光ファイバ素線は、公知の方法で製造することができるが、一般的には、溶融した石英母材を熱溶融して線引きしつつ、プライマリ材およびセカンダリ材を塗布し、放射線硬化して第一次被覆層及び第二次被覆層を形成することにより製造される。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、配合量は、特に記さない限り、質量部である。
合成例1 ウレタンオリゴマー(UA−1)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール892.16g、2,4−トリレンジイソシアネート76.46g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.23質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール1.72gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.99質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.80g、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.83g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−1とする。UA−1は、下記式(6)〜(9)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)2.1−HEA (6)
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)2.1−Me (7)
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)2.1−Sil (8)
Me−TDI−(PPG3000−TDI)2.1−Me (9)
[式(6)〜(9)中、PPG3000は、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコールに由来する構造単位であり、TDIは、2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造単位であり、 HEAは、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造単位であり、Silは、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランに由来する構造単位であり、Meは、メタノールに由来する構造単位である。結合手「−」は、全てウレタン結合である。]
合成例2 ウレタンオリゴマー(UA−2)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が2000のポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン社製、NPML−2002A)77.422部、トルエンジイソシアネート13.484部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.024部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃となるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.040部を添加した後、攪拌しながら液温度を1時間かけて40℃まで徐々に上げた。その後、液温度を45℃に上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が3.58質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.990部、ジブチル錫ジラウレート0.040部を添加し、液温度約60℃で1時間攪拌した。その後、残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタン(メタ)アクリレートを「UA−2」とする。
参考合成例1 ウレタンオリゴマー(UX−1)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール888.18g、2,4−トリレンジイソシアネート76.13g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.07g、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.56g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.08質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.02gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−1とする。UX−1の合成方法は、合成例1においてメタノールとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルアクリレートの添加順序を変更した合成方法に該当する。UX−1は、前記式(9)で表されるウレタンオリゴマーを実質的に含んでいない。
参考合成例2 ウレタンオリゴマー(UX−2)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール910.65g、2,4−トリレンジイソシアネート78.06g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール10.26gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−2とする。UX−2は、上記式(9)で表されるウレタンオリゴマーである。
実施例1〜7、比較例1〜3
撹拌機を備えた反応容器に表1に示す組成の各成分を仕込み、液温度を60℃に制御しながら2時間撹拌して、放射線硬化型液状樹脂組成物を製造し、下記の方法に従い、物性値を評価した。
[評価方法]
(1)粘度:
実施例及び比較例で得られた組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック社製)で測定した。
(2)組成物の保存安定性:
実施例および比較例で得られた樹脂組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック社製)を用いて測定した(初期粘度)。さらに、この組成物を、60℃のオーブンに7日間放置した後、再度粘度を測定した(耐久後粘度)。初期粘度と耐久後粘度の変化率を(式2)より算出して、粘度変化率が±20%以内である場合を合格「○」、±20%を越えた場合を不合格「×」と判定した。
粘度変化率(%)=100−(初期粘度/耐久後粘度)×100 (式2)
(3)硬化速度:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化速度を測定した。200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で20mJ/cm2及び1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルム二種類を得た。この硬化フィルム二種類から、それぞれ延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%にて、引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。20mJ/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率と1J/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率の比を下記式(1)より算出して、組成物の硬化速度を評価した。
硬化速度(%)=Y20/Y1000×100 (式1)
[上記式中、Y20は、20mJ/cm2で硬化させたフィルムのヤング率であり、Y1000は、1J/cm2で硬化させたフィルムのヤング率である。]
(4)ヤング率:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化後のヤング率を測定した。354μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度25℃、湿度50%の条件下で引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
(5)破断強度および破断伸び:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、これに空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。引張試験器(島津製作所社製、AGS−50G)を用い、試験片の破断強度および破断伸びを下記測定条件にて測定した。
引張速度 :50mm/分
標線間距離(測定距離):25mm
測定温度 :23℃
相対湿度 :50%
(6)ガラス密着力:
実施例及び比較例で得られた組成物のガラス密着力を測定した。354ミクロン厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射し硬化させ試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅10mm、長さ50mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%下で7日間静置後に、同温度・湿度条件下で引っ張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用いてガラス密着力試験を行った。引張速度は50mm/minで30秒後の抗張力からガラス密着力を求めた。
(7)ゲル分率:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、これに空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。硬化後、シートを温度23℃、湿度50%の恒温恒湿器内で24時間静置した。その後硬化物1.5gを切り取り円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて温度80℃で12時間抽出した。抽出後、試料をろ紙ごと取り出し温度60℃・圧力1.34kPa以下で6時間真空乾燥を行った。試料をろ紙から取り出し重量を測定した。次式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=W1/W0×100
[上記式中、W0は、抽出前の試料の重量であり、W1は、抽出後の試料の重量である。]
(8)ガラス基材の強度:
(8−1)光ファイバの製造:
光ファイバ線引き装置(吉田工業社製)を使用して、石英ガラスファイバ上に一次被覆材として、実施例又は比較例の組成物を塗布硬化させた後、二次被覆材(JSR社製、デソライトR3203)を塗布して硬化させた。光ファイバの製造条件は以下のとおりである。
光ファイバの線径は、ガラスファイバは直径125μmであったが、これに上記の一次被覆材を塗布硬化させ、直径が200μmになるように調整した。さらに形成された一次被覆材の上に、二次被覆材を塗布し、硬化した時点で250μmになるように調節して塗布した。紫外線照射装置はORC製UVランプ(SMX3.5kw)を使用した。光ファイバの線引き速度は200m/minとした。
(8−2)ガラス基材の強度:
(8−1)で得られた光ファイバの被覆を除去して、ガラス基材の強度であるガラスファイバ強度を測定した。温度23℃及び湿度50%となる環境下で、被覆除去治具(NO−NIKワイヤストリッパー)を使用して光ファイバの被覆を除去した。得られたガラスファイバが露出した光ファイバを、引張試験機(島津製作所社製、AGS−50G)を用い、TIA/EIA(ITM−13)の引張方法に準拠して引張試験を行った。引張速度は100μm/sで行い、ファイバが破断する応力を算出し、ガラスファイバ強度を求めた。光ファイバを3サンプル製造し、各々について測定したガラスファイバ強度の平均値を求めた。
(8−3)判定:
ガラスファイバ強度が1.0GPa以上である場合は合格である。
(9)成分(A3)量の測定:
実施例1に記載の組成物を用いて、ヤング率測定の場合と同様の方法で試験用フィルムを作製した。試験用フィルム2gをテトラヒドロフラン(THF)20mLに浸漬して23℃で24時間放置した後、THF中に抽出された成分量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の保持時間20〜29分の範囲内に含まれるピーク面積をP1とした。
また、成分(A3)を実質的に含まない硬化膜としては、実施例1のUA−1に替えて参考合成例1で得られたUX−1を用いた他は同一組成の組成物を用いて作製した試験用フィルムを用いた。同試験用フィルムから得たTHF抽出物を定量し、ピーク面積をP2とした。
GPCの条件は以下の通りである。
カラム:東ソー社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG3000HXLの4個のカラムの直列連結
HPLC:東ソー社製、HLC−8220
サンプル量:100μL
展開溶媒:THF
流速:1mL/min
検出方法:RI(測定波長は、ナトリウムのD線である)
一方、20mg、60mg又は100mgの成分(A3)である参考合成例2で得られたウレタンオリゴマーUX−2をそれぞれ8mLのTHFに溶解して同様の条件でGPC法を用いて分析し、同様のピーク面積を求めて成分(A3)検量線を作成した。
P1の値からP2の値を差し引いた値を上記検量線に当てはめてP1とP2の差異に相当する成分(A3)の量を定量した。
その結果、実施例1に用いた成分(A)であるウレタンオリゴマーUA−1全量に対して、その2.5質量%が成分(A3)であった。
Figure 2013049744
表中、
アロニックスM−113:ノニルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成社製)。
CPI−100P:前記式(4)をカチオン成分とし、PF6 -をアニオン成分とする塩(サンアプロ社製)。
CPI−200K:前記式(4)をカチオン成分とし、(CF3CF23PF3 -をアニオン成分とする塩(サンアプロ社製)。
Sumilizer GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(住友化学社製)。
サノールLS−765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光安定剤。
レオドール460V:花王ケミカル社製、界面活性剤(テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット)。
表1から明らかなように、本発明の組成物は、ガラス基材の強度低下を効果的に抑制することができると共に、未硬化状態での組成物の保存安定性に優れている。
一方、成分(F)を含まない比較例1では、ガラス基材の強度が低下した。比較例1に配合された成分(D)である2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドは放射線の照射によってジフェニルホスフィン酸を発生すると考えられるが、成分(F)を代替することはできなかった。また、成分(D)を配合せず、有機酸であるアクリル酸を配合した比較例2においては、ガラス基材の強度は高かったが未硬化状態での組成物の保存安定性が低下した。これは未硬化状態の組成物中に酸が継続的に存在していると、成分(B)であるビニル基含有ラクタムが2量体を形成する等の理由により保存安定性が低下したと推定される。さらに、成分(D)のラジカル重合開始剤を配合しなかった比較例3では、ラジカル重合系である組成物の硬化速度が大幅に低下し、カチオン重合開始剤でもある成分(F)では、組成物の硬化反応を開始することはできなかった。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)、(B)、(D)、(F)及び(G)を含有し、
    (A)ウレタンオリゴマー、
    (B)エチレン性不飽和基を1個有する化合物、
    (D)放射線ラジカル重合開始剤、
    (F)成分(D)以外の、熱又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
    (G)アルコキシシラン化合物、
    かつ、(H)カチオン重合性成分の含有量が、組成物全量に対して5質量%以下であることを特徴とする、放射線硬化性樹脂組成物。
  2. 成分(F)が、熱又は放射線の照射によって超強酸イオン又は強酸イオンを発生する化合物である、請求項1に記載の放射線硬化性樹脂組成物。
  3. 成分(F)が、下記(a)又は(b)をアニオンとするオニウム塩である請求項1に記載の放射線硬化性樹脂組成物。
    (a)テトラ(パーフルオロフェニル)ボレート(B(C654 -)、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)及びヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 -)からなる群から選択される超強酸のイオン、
    (b)過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオン及びトリニトロトルエンスルホン酸アニオンからなる群から選択される強酸のイオン。
  4. 更に、(C)成分(A)以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を含有する請求項1〜3のいずれか一に記載の放射線硬化性樹脂組成物。
  5. 組成物中における成分(H)の配合量と、成分(A)、(B)及び(C)の配合量の合計値との質量比((H)/[(A)+(B)+(C)]の値)が、0〜1/20である請求項4に記載の放射線硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一に記載の放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射することにより硬化して得られる硬化膜。
  7. ガラス基材と、該基材上に接して設けられた請求項6に記載の硬化膜からなる層と、該硬化膜からなる層に接して設けられたヤング率が1000MPa以上の有機硬化膜層を有する、積層体。
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