JP2009150425A - ベルト用エレメントおよび伝動ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】リングとの組み付け性が良好であり、かつ耐久性の低下を回避することができるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトを提供すること。
【解決手段】凹部7内の左右の内壁面5a,6aの開口端側にリングRを係止させる抜け止め部8,9が形成された多数の板状のエレメントEであって、環状に配列されたエレメントEの列における抜け止め部8,9の内周側にリングRを嵌め込んで組み付けて伝動ベルトVを構成するベルト用エレメントEにおいて、抜け止め部8,9の内周面8b,9bに、リングRを係止する際にリングRの外周面13a,14aと面接触する係止平面15,16が形成され、係止平面15,16と内壁面5a,6aとのコーナに、それぞれ係止平面15,16の位置よりも内周側でかつ各内壁面5a,6aよりも本体内部側に窪ませた逃げ部19,20が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】凹部7内の左右の内壁面5a,6aの開口端側にリングRを係止させる抜け止め部8,9が形成された多数の板状のエレメントEであって、環状に配列されたエレメントEの列における抜け止め部8,9の内周側にリングRを嵌め込んで組み付けて伝動ベルトVを構成するベルト用エレメントEにおいて、抜け止め部8,9の内周面8b,9bに、リングRを係止する際にリングRの外周面13a,14aと面接触する係止平面15,16が形成され、係止平面15,16と内壁面5a,6aとのコーナに、それぞれ係止平面15,16の位置よりも内周側でかつ各内壁面5a,6aよりも本体内部側に窪ませた逃げ部19,20が形成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、無端環状のリングに組み付けて環状に結束されることによりベルトを構成するベルト用エレメントおよびそのエレメントを用いた伝動ベルトに関するものである。
一般に、複数の回転部材同士の間で動力の伝達を行う場合に用いる変速機として、変速比を段階的に変化させることができる有段変速機と、変速比を連続してすなわち無段階に変化させることができる無段変速機とがあり、後者の無段変速機としてはベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機などが知られている。このうち、ベルト式無段変速機は、駆動側プーリおよび従動側プーリの2組のプーリと、それらのプーリに巻き掛けられる伝動ベルトとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。そのようなベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトとして、例えば、エレメントあるいはブロックなどと称される多数の板片をその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらの板片をリングあるいはバンドあるいはキャリアなどと称される環状の帯状体で環状に結束することにより、無端環状に形成されたベルトが知られている。
そのようなベルトが、駆動側および従動側の2組のプーリに巻き掛けられた状態で駆動側プーリが駆動されると、エレメントには、エレメントと駆動側プーリとの接触部分の摩擦力、および、駆動側プーリのトルクに応じて駆動側プーリからエレメントに対して加えられるエレメントの積層方向、すなわちエレメントの厚さ方向の圧縮力が作用する。そして、駆動側プーリに接触しているエレメントに伝達された圧縮力は、プーリに巻き掛けられていないエレメントを経由して、従動側プーリに接触しているエレメントに伝達される。この従動側プーリに接触しているエレメントに圧縮力が伝達されると、そのエレメントと従動側プーリとの接触部分の摩擦力、および伝達された圧縮力に応じて従動側プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動側プーリと従動側プーリとの間で、ベルトを介して動力伝達が行われる。
上記のようなベルトの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている高負荷伝動ベルトは、センターベルトと耐側圧を補強するブロックとからなる伝動ベルトであって、具体的には、上端に係止部(抜け止め部)を有している2本のベルト側部およびそれらを下端で連結する連結部材により形成されたブロック(エレメント)と、そのエレメントの両係止部の間に開口している嵌合溝(凹部)に左右の抜け止め部によってエレメントから外れないように嵌め込まれている2本の無端キャリア(リング)とによって構成されている。そして、エレメントの2本のベルト側部の前後面には、それぞれ嵌合用の凸部(ディンプル)と凹部(ホール)とが設けられていて、前後のエレメント同士の間でそれらディンプルとホールとが嵌り合うことにより、エレメントがベルト走行中でも整列するようになっている。
また、特許文献2には、無端状の2本の積層キャリヤ(リング)と、それら2本のリングを収容するスリットが両肩部に形成された多数の金属製エレメントとから構成される無段変速機用Vベルトであって、エレメントのイヤー部(頭部)の板厚がショルダー部(基体部)のピッチライン線(ロッキングエッジ)上における板厚よりも厚くなるように形成されたVベルトが記載されている。そしてこの特許文献2には、図7に示すような、エレメント101のスリット102内の上内側面102aおよび下内側面102bと先端面102cとがそれぞれ交わる各コーナ部分の上下に、具体的には各コーナ部分における上下の各内側面102a,102b側の部分に、それら各コーナ部分とリングの側端面のエッジ部分との干渉を防ぐための逃げ部103が形成された構成が記載されている。
上記の特許文献1に記載されている伝動ベルトのエレメントは、その両端のベルト側部にリングとエレメントとを係止する抜け止め部が形成されていて、両ベルト側部上方の平面部分に、隣接するエレメント同士で互いに嵌合するディンプルおよびホールが形成されている。すなわちこれらディンプルおよびホールは、エレメントの両側に左右対称に2箇所設けられている。そして、両ベルト側部の間に形成された凹部に2列のリングを嵌め込み、抜け止め部で係止されるように組み付けることにより、伝動ベルトを構成するようになっている。
このようなリングを収容する凹部が形成されたエレメントと2列のリングとを組み付けて伝動ベルトを構成する場合、あるいはリングに組み付けられたエレメントをリングから外す場合には、2列に並列されていたリングの一部を互いに重ね合わせた状態を実現させる必要がある。すなわち2列のリングに対してエレメントを組み付けたり、外したりする場合には、2列のリングにねじりを加えて互いに重ね合わせることにより、2列のリングの幅をエレメントの両抜け止め部間の開口幅よりも狭い状態にする必要がある。
2列のリングにねじりを加えて互いに重ね合わせた状態にするためには、既にリングに組み付けられて互いに隣接しているエレメント同士を、それぞれの対向面内で相対回転させる、すなわちローリングさせる必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されているエレメントは、隣接するエレメント同士で互いに嵌合するディンプルおよびホールがその左右両側に2箇所設けられているため、それらエレメント同士のローリング方向の動作が規制されてしまう。その結果、2列のリングを互いに重なり合わせた状態にすることが困難になり、エレメントと2列のリングとを組み付けることができなくなる可能性があった。
また、上記の特許文献1に記載されているような外周側に開口する凹部が形成されたいわゆる凹型エレメントにおいては、凹型エレメントの凹部における左右の抜け止め部の内周側に2列のリングをそれぞれ嵌め込んで係止させる場合、凹部内の各コーナ部分、すなわち凹部の左右の内壁面と左右の抜け止め部の内周面とが交わるコーナ部分および凹部の左右の内壁面と凹部の底面(すなわちサドル面)とが交わるコーナ部分と、リングの側端面のエッジ部分とが当接し干渉すると、凹部内の各コーナ部分が損傷を受けて凹型エレメントの耐久性が低下してしまう可能性がある。そのため、例えば上記の特許文献2に記載されているリングを収容するスリット内の各コーナ部分の上下に逃げ部が形成されたエレメントのように、凹型エレメントの凹部内の各コーナ部分に逃げ部を形成して、それら各コーナ部分とリングのエッジ部分との干渉を防止する必要がある。
そこで、上記の特許文献1に記載されているような凹型エレメントに、特許文献2に記載されているようなスリット内の各コーナ部分の上下に逃げ部を形成した技術を適用することにより、例えば図8に示す凹型エレメント201のように、凹部202の開口端部分に形成された左右の抜け止め部203の内周面203aおよび凹部202の底面(すなわちサドル面)202aと、凹部202内の左右の内壁面202bとがそれぞれ交わる各コーナ部分の上下に、具体的には各コーナ部分における上下の各内周面203a側およびサドル面202a側の部分に、それら各コーナ部分とリング205の側端面のエッジ部分との干渉を防ぐための逃げ部204が形成された構成の凹型エレメントを得ることができる。
上記のような凹型エレメント201においては、リング205との組み付け性を向上させる観点から、抜け止め部203の突出長さL0は可及的に短い方が好ましい。しかしながら、その突出長さL0は、リング205の外周面との接触面積を確保するために最小限必要な長さL1と、逃げ部分の長さL2(逃げ部204のR形状の半径をr0とすると、L2=2×r0)とによって決まり、不可避的に必要な長さL1に対して逃げ部分の長さL2だけ延長されることになる。したがって、凹型エレメントに対して上記のようにして凹部の各コーナ部分の上下に逃げ部を設けた場合、その逃げ部分の長さ分だけ抜け止め部の突出長さが長くなり、その分だけ凹型エレメントとリングとを組み付ける際の組み付け性が低下してしまう。
このように、リングを収容する凹部が外周側に開口するように形成されたいわゆる凹型エレメントに対して、凹部内のコーナ部分とリングのエッジ部分とが干渉してしまうことによる耐久性の低下を回避し、かつリングとの組み付けを容易にするためには、そして伝動ベルトの組み付け性を向上させるためには、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、リングとの組み付け性が良好であり、かつ耐久性の低下を回避することができるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、無端環状のリングを収容する凹部が形成されるとともに、その凹部内の幅方向における左右の内壁面の開口端側に前記リングを係止させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数の板状のエレメントであって、前記開口端側が外周側となるように環状に配列し、その環状に配列されたエレメントの列における前記抜け止め部の内周側に前記リングを嵌め込んで組み付けることによりベルトを構成するベルト用エレメントにおいて、前記抜け止め部の内周面に、前記凹部に前記リングが収容された状態で前記リングの外周面に対向して前記リングを係止する際に該リングの外周面と面接触する係止平面が形成されていて、前記係止平面と前記各内壁面とがそれぞれ交わる部分に、それぞれ、高さ方向における前記係止平面の位置よりも内周側でかつ前記各内壁面よりも本体内部側に窪ませた逃げ部が形成されていることを特徴とするベルト用エレメントである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記係止平面に対して、該係止平面よりも内周側に凸となる湾曲面が更に形成されていることを特徴とするベルト用エレメントである。
そして、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、その請求項1または2に記載の前記ベルト用エレメントと、前記凹部内に並列して収容される2列の前記リングとを用いて環状に構成されていることを特徴とするベルト用エレメントである。
したがって、請求項1の発明によれば、ベルト用エレメントの凹部内のコーナ部分に、リングの側端面のエッジ部分との干渉を防止するための逃げ部が形成される。特に、左右の抜け止め部の内周面に形成された係止平面と凹部の左右の内壁面とがそれぞれ接続するコーナ部分、すなわち凹部における左右の抜け止め部の付け根部分の逃げ部が、ベルト用エレメントの高さ方向における係止平面の位置よりも内周側でかつ左右の内壁面よりもベルト用エレメント本体の内部側に凹となるように、言い換えると、左右の内壁面よりもベルト用エレメントの幅方向における中心側でかつ係止平面よりも左右の付け根部分の内部側に窪まないよう形成される。そのため、ベルト用エレメントの凹部のコーナ部分とリングの側端面のエッジ部分との干渉を防止して、その干渉による耐久性の低下を回避することができる。また、凹部の開口部分における抜け止め部の突出長さを可及的に短くして、ベルト用エレメントのリングとの組み付け性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、前記の請求項1の発明により得られるベルト用エレメントの係止平面に、その係止平面よりも外側に膨らむ湾曲面が形成される。そのため、前記の請求項1の発明によるベルト用エレメントと同様の作用・効果が得られるとともに、抜け止め部の内周面すなわち湾曲面とリングの外周面とが当接する際に、リングの外周面に対する抜け止め部の片当たりやエッジ当たりを防止もしくは抑制することができる。
そして、請求項3の発明によれば、前記の請求項1または2の発明によるベルト用エレメントと2列に分割されたリングとを用いて、すなわち、環状に配列された多数の前記ベルト用エレメントの凹部内に2列のリングを並列させて収容した状態にして、それら前記ベルト用エレメントと2列のリングとを組み付けることにより伝動ベルトが構成される。そのため、組み付け性および耐久性が良好な伝動ベルトを得ることができる。
(第1の構成例)
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。初めに、この発明によるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトの第1の構成例を、図1ないし図3に基づいて説明する。図1,図2において、伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例を示している。そしてこの伝動ベルトVは、無端環状のリングRと、板状に成形された多数のベルト用エレメントEとから構成されている。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。初めに、この発明によるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトの第1の構成例を、図1ないし図3に基づいて説明する。図1,図2において、伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例を示している。そしてこの伝動ベルトVは、無端環状のリングRと、板状に成形された多数のベルト用エレメントEとから構成されている。
先ず、エレメントEは、例えば金属製の板片状の部材からなり、その幅方向(図1のx軸方向)における左右の側面1,2が、テーパ状の傾斜した面として形成された本体(基体)部3を有し、そのテーパ状に傾斜した両側面1,2が、ベルト式無段変速機の駆動側プーリあるいは従動側プーリであるプーリ4のベルト巻き掛け溝(V形溝)4aに摩擦接触してトルクを伝達するようになっている。
本体部3の幅方向(図1のx軸方向)における左右の両端部分に、本体部3の一部であって、エレメントEの上下方向(図1,図2のy軸方向)での上方に延びた左右の柱部5,6がそれぞれ形成されている。したがって、本体部3の図1,図2での上側のエッジ部分である上端面3aと、両柱部5,6の本体部3の幅方向における中央を向いた左右の内壁面5a,6aとによって、エレメントEの上側(図1での上側)すなわち伝動ベルトVの外周側に開口した凹部7が形成されている。
凹部7は、互いに密着して環状に配列されたエレメントEを環状に結束するための無端環状のリングRを、挿入して収容するための部分であり、したがって上端面3aが、リングRの内周面を接触させて載せるサドル面3aとなっている。
凹部7の左右の内壁面5a,6aの開口端(凹部7における伝動ベルトVの外周側の端部)部分、すなわち左右の柱部5,6の上端部分には、それぞれ、左右の先端面8a,9aがそれぞれ凹部7の幅方向(図1のx軸方向)における中央に向かって延びた左右の抜け止め部8,9が形成されている。そのため、凹部7の開口幅が、凹部7の開口端側では、対向する両先端面8a,9aの間の距離W1によって規定されている。そして、凹部7の底面7a(すなわちサドル面(上端面)3a)側では、両先端面8a,9a間の距離(開口幅)W1よりも広い開口幅W2となっている。
ここで、このエレメントEと共に伝動ベルトVを構成するリングRは、例えば金属製の環状の帯状体を径方向に複数枚積層させて形成した、いわゆる積層リングであって、エレメントEにおける凹部7の内部で、2列に並列される2本の分割リング13と分割リング14とによって構成されている。これら各分割リング13,14は、例えば形状・寸法、材質、強度が等しい2本の金属製の積層リングにより形成されている。そして、リングRの幅寸法(図1のx軸方向の寸法)D1、すなわち各分割リング13,14が並列した状態での合計の幅寸法D1が、エレメントEの凹部7の開口幅W1よりも長く、開口幅W2よりも短い範囲内の値となるように各部の形状・寸法が設定されて形成されている。
したがって、エレメントEの凹部7の内部にリングRが収容された状態では、左右の抜け止め部8,9がリングRを係止することにより、エレメントEの凹部7からのリングRの離脱が防止される。具体的には、凹部7内に収容されたリングRが凹部7から離脱しようとすると、リングRの外周面13a,14aと凹部7に形成された抜け止め部8,9の内周面8b,9bとがそれぞれ当接し、凹部7からのリングRの離脱が阻止される。
そして、この構成例における上記の抜け止め部8,9の内周面8b,9bは、凹部7の底面7aと平行な平面となるように形成されていて、リングRの外周面13a,14aと当接する場合に互いに面接触するようになっている。言い換えると、抜け止め部8,9の内周面8b,9bは、エレメントEの凹部7にリングRが収容された状態でリングRの外周面13a,14aに対向するとともに、凹部7から離脱する方向に移動したリングRを係止する際にそのリングRの外周面13a,14aと面接触するように形成されている。すなわち、これら左右の抜け止め部8,9の内周面8b,9bが、この発明における係止平面15,16を構成している。
さらに、エレメントEは、環状に配列された状態で上記のような2列に分割されたリングRによって結束されることにより伝動ベルトVを構成し、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ4に巻き掛けられる。したがってプーリ4に巻き掛けられた状態では、各エレメントEが、プーリ4の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、各エレメントEの図1,図2での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。
具体的には、本体部3の一方の面(例えば図2における左側の面)における所定の位置から下側の部分、この構成例ではサドル面3aから下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって、各エレメントEが環状に配列されて扇形に拡がって接触する状態になると、その板厚の変化する境界部分で隣り合う他のエレメントEと接触する。言い換えると、上記のように板厚の変化する境界部分が、各エレメントEがリングRと共に伝動ベルトVを構成してプーリ4に巻き掛けられた状態でプーリ4の中心に対して扇状に拡がる際に支点となる。すなわち、この境界部分のエッジがいわゆるロッキングエッジ10となっている。
また、エレメントEの本体部3の幅方向における中央部分には、各エレメントEの相対的な位置を決めるためのディンプル11とホール12とが形成されている。具体的には、本体部3の一方の面側(図2の例では、ロッキングエッジ10のある面側)に凸となる円錐台形のディンプル11が形成されている。そして、このディンプル11とは反対側の面に、隣接するエレメントEにおけるディンプル11を緩く嵌合(遊嵌)させる有底円筒状のホール12が形成されている。
したがって、エレメントEが板厚方向に積層して配列された際に、隣接するエレメントEのそれぞれのディンプル11とホール12とが嵌合することによって、その状態におけるエレメントE同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めることができる。例えば、このエレメントEが用いられて構成された伝動ベルトVがプーリに巻き掛けられて運転される場合に、伝動ベルトVのがたつきを防止して伝動ベルトVを安定して走行させることができる。
また、本体部3の幅方向における中央部分であって、エレメントEの前後の両側面に、それぞれディンプル11およびそのディンプル11に遊嵌するホール12が形成され、それらディンプル11とホール12とによる嵌合部が1箇所だけ設けられていることにより、各エレメントEが環状に配列されて連結された際に互いに隣接するエレメントE同士を、それぞれの対向面の面内で相対回転させること、すなわち、互いに隣接するエレメントE同士の間でローリングさせることができる。
そして、このエレメントEは、エレメントEと2列のリングRとを組み付けてエレメントEの凹部7にリングRを収容した際に、リングRの側端面のエッジ部分と凹部7内のコーナ部分とが干渉してしまうことを防止するために、凹部7内の各コーナ部分に、それぞれ、逃げ部17,18,19,20が形成されている。
具体的には、凹部7の底面7aと内壁面5aとが交わるコーナ部分に逃げ部17が形成され、底面7aと内壁面6aとが交わるコーナ部分に逃げ部18が形成されている。また、抜け止め部8の係止平面15と凹部7の内壁面5aとが交わるコーナ部分に逃げ部19が形成され、抜け止め部9の係止平面16と凹部7の内壁面6aとが交わるコーナ部分に逃げ部20が形成されている。
これらの各逃げ部17,18,19,20のうち、凹部7の底面7aと内壁面5a,6aとがそれぞれ交わるコーナ部分の逃げ部17,18は、底面7aと内壁面5a,6aとがそれぞれ交わるコーナ部分における底面7a側、すなわち基体部3側にくり抜かれた形状になっている。言い換えると、底面7aと内壁面5a,6aとがそれぞれ交わるコーナ部分に、それぞれ底面7a側すなわち基体部3側に窪ませた逃げ部17,18が形成されている。
一方、凹部7の内壁面5a,6aと抜け止め部の係止平面15,16とがそれぞれ交わるコーナ部分の逃げ部19,20は、内壁面5a,6aと係止平面15,16とがそれぞれ交わるコーナ部分における内壁面5a,6a側、すなわち柱部5,6側にくり抜かれた形状になっている。言い換えると、内壁面5a,6aと係止平面15,16とがそれぞれ交わるコーナ部分に、それぞれ内壁面5a,6a側すなわち柱部5,6側に窪ませた逃げ部19,20が形成されている。
より具体的には、図3に示すように、各逃げ部19,20は、内壁面5a,6aに対して、エレメントEの板厚方向に垂直な平面(図3での紙面に平行な平面)による断面の形状が、例えば半径r1の円弧状の窪みとなるようにくり抜かれている。そしてその窪みの外形が、エレメントEの高さ方向(図3のy軸方向)における係止平面15,16の位置Yよりも内径側(図3での下側)で、かつ内壁面5a,6aの本体内部側(図3の逃げ部19の例では図3での左側)に位置するように、各逃げ部19,20が形成されている。すなわち、これら各逃げ部19,20が、この発明における逃げ部に相当するものであって、それぞれ、係止平面15,16と内壁面5a,6aとがそれぞれ交わる部分に、エレメントEの高さ方向における係止平面15,16の位置Yよりも内周側でかつ内壁面5a,6aよりも本体内部側に窪ませた形状に形成されている。
図3に示す第1の構成例では、逃げ部19,20を形成する凹曲面19a,20aと係止平面15,16とが接続する接点PのエレメントEの幅方向(図3のx軸方向)における位置が、エレメントEの幅方向における内壁面5a,6aの位置Xよりも距離δだけ本体内部側(図3の逃げ部19の例では図3での左側)にずらされている。したがって、図3の(b)に示す状態のように、リングRの側面13b(もしくは14b)が凹部7の内壁面5a(もしくは6a)に当接し、かつリングRの外周面13a(もしくは14a)が抜け止め部8(もしくは9)の係止平面15(もしくは16)に当接した状態となった場合に、リングRのエッジ部分と逃げ部19(もしくは20)とが、すなわちリングRのエッジ部分とエレメントEとが干渉することがない。そのため、リングRのエッジ部分がエレメントEに当接して損傷を与えてしまうことに起因するエレメントEの耐久性の低下を回避することができる。
なお、上記のエレメントEの高さ方向における係止平面15,16の位置Yは、エレメントEに組み付けられるリングRの形状や、抜け止め部8,9がリングRを係止するのに必要な強度などを考慮して設計的に設定される。例えば、抜け止め部8,9の厚さ寸法Tが、それら抜け止め部8,9に要求される強度を満たすために必要で、かつ可及的に小さな寸法となるように設定される。
また、前述したように、抜け止め部8,9の突出長さL0、すなわちリングRの側面13b,14bが当接する内壁面5a,6aと、抜け止め部8,9の先端面8a,9aとの間の距離L0が長くなると、エレメントEの凹部7における抜け止め部8,9の内周側にリングRを嵌め込むことが困難になり、エレメントEとリングRとの組み付け性が低下してしまう。そのため、エレメントEとリングRとの組み付け性の観点から、突出長さL0は短い方が好ましい。
一方、抜け止め部8,9の係止平面15,16とリングRの外周面13a,14aとが接触する際の接触面積が小さくなると、すなわち抜け止め部8,9の突出長さL0が短くなると、リングRの外周面13a,14aに応力集中が発生し易くなり、リングRの耐久性すなわち伝動ベルトVの耐久性が低下してしまう。そのため、伝動ベルトVの耐久性の観点からは、突出長さL0は、抜け止め部8,9の係止平面15,16とリングRの外周面13a,14aとが接触する際に応力集中が生じない程度の所定の接触面積を確保できる最小長さL1以上に設定する必要がある。
すなわち、抜け止め部8,9の突出長さL0は、最小長さL1以上で可及的に短い長さにする必要がある。それに対して、この発明のエレメントEでは、抜け止め部8,9の係止平面15,16と内壁面5a,6aとが交わるコーナ部分に設けられる逃げ部19,20が、それぞれ、上記のように係止平面15,16の位置よりも内周側でかつ内壁面5a,6aよりも本体内部側に窪ませられて形成されている。そのため、抜け止め部8,9の突出長さL0を最小長さL1とすることができ、すなわち突出長さL0を最小長さL1以上で可及的に短い長さに設定することができる。例えば、前述の図8で示した凹型エレメント201のように凹部202の各コーナ部分の上下に逃げ部204が形成された構成と比較して、逃げ部分の長さL2(=2×r0)の寸法分だけ突出長さL0を短くすることができる。その結果、リングRとの組み付け性が良好で、かつ伝動ベルトVとしての耐久性も良好なエレメントEを得ることができる。
そして、上記のように構成されたエレメントEと、2列に分割されたリングRとを組み付けることにより、伝動ベルトVが構成される。すなわち、環状に配列された状態の多数のエレメントEの凹部7に、具体的には凹部7の両抜け止め部8,9の内周側に、2列のリングRが嵌め込まれることによりエレメントEとリングRとが組み付けられて、無端環状の伝動ベルトVが構成される。
この場合のエレメントEと2列のリングRとの組み付けを具体的に説明する。先ず、図4に示すように、並列された各分割リング13,14のリング周長方向における所定の部分を、互いに重ね合わせてリングRの重ね合わせ状態を設定する。重ね合わせ状態を設定することにより、リングRでは、重ね合わせ状態(図4のA部で示す状態)と並列状態(図4のB部で示す状態)とが同時に設定される。リングRの重ね合わせ状態の部分では、リングRの幅がエレメントEの開口幅W1よりも狭くなるため、この重ね合わせ状態の部分から、1枚もしくは予め配列された所定枚数のエレメントEの凹部7に、リングRが嵌め込まれる。
続いて、凹部7にリングRの重ね合わせ状態の部分が嵌め込まれた1枚もしくは複数枚のエレメントEが、リングRの周長方向に、リングRの並列状態の部分まで移動させられる。リングRの並列状態の部分では、リングRの幅L1が、エレメントEの開口幅W2よりも狭く、かつエレメントEの開口幅W1よりも広くなるため、凹部7にリングRが嵌め込まれたエレメントEがリングRの並列状態の部分まで移動させられると、その並列状態の部分では、リングRが凹部7の両抜け止め部8,9により係止されて凹部7に係合される。すなわち、エレメントEとリングRとが組み付けられる。
そして、上記のような、所定枚数のエレメントEの凹部7に、リングRの重ね合わせ状態の部分を嵌め込み、その所定枚数のエレメントEをリングRの並列状態の部分まで移動させる作業が順次繰り返される。
上記のようなエレメントEとリングRとの組み付け作業において、それらエレメントEとリングRとの組み付け初期段階では、各分割リング13,14をそれぞれ自由に動作させることができ、比較的容易にリングRの重ね合わせ状態を設定することができる。これに対して、リングRと比較的多数のエレメントEとが組み付けられた段階、すなわち組み付け最終段階では、ディンプル11とホール12とが嵌合されて連結された各エレメントEの列により各分割リング13,14の動作が規制され、重ね合わせ状態を設定することが困難になることが考えられる。そこで、この発明の伝動ベルトVにおけるエレメントEは、上記のように、環状に配列されて連結された際に互いに隣接するエレメントE同士の間でローリングさせることができるように構成されている。そのため、リングRに比較的多数のエレメントEが組み付けられた状態であっても、エレメントEをローリングさせることによって、リングRにねじりを作用させ、容易に重ね合わせ状態を設定することができる。
そして、並列状態の部分におけるリングRの幅(すなわち、分割リング13の幅と分割リング14の幅との合計)D1が、前述の開口幅W1よりも広くなるとともに、かつ開口幅W2よりも狭くなるように、各分割リング13,14の形状・寸法等が設定されている。そして、リングRを重ね合わせ状態にすることにより、リングRの幅を開口幅W1よりも狭くすることができるように、各分割リング13,14の形状・寸法等が設定されている。
すなわち、凹部7の開口幅W1が、リングRの幅D1よりも狭く、かつ開口幅W2が、リングRの幅L1よりも広くなるように、エレメントEおよびリングRが構成されている。したがって、リングRを重ね合わせ状態にすることにより、その重ね合わせ状態の部分を、左右の抜け止め部8,9の先端面8a,9aの間を通過させて凹部7に嵌め込むことができる。
そして、リングRの重ね合わせ状態の部分を、先端面8a,9aの間を通過させて凹部7に嵌め込んだ後に、エレメントEをリングRの並列状態の部分まで移動させること、もしくは凹部7が嵌め込まれた部分を並列状態に戻すことによって、凹部7内でリングRを両抜け止め部8,9で係止し、凹部7からのリングRの離脱を防止すること、すなわちリングRを凹部7に嵌め込んで係合させることができる。その結果、エレメントEとリングRとを容易に、かつ確実に組み付けることができる。
(第2の構成例)
つぎに、この発明によるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトの第2の構成例を、図5,図6に基づいて説明する。この第2の構成例では、上記の第1の構成例におけるエレメントEの左右の係止平面15,16に対して、それら係止平面15,16よりも内周側に凸となる湾曲面が形成された構成を示してある。したがって、その湾曲面に関連する部分以外の、前述の図1ないし図3に示す第1の構成例と同じ構成の部分については、図5,図6に、図1ないし図3と同じ参照符号を付けて、その詳細な説明は省略する。
つぎに、この発明によるベルト用エレメントおよびそのベルト用エレメントを用いた伝動ベルトの第2の構成例を、図5,図6に基づいて説明する。この第2の構成例では、上記の第1の構成例におけるエレメントEの左右の係止平面15,16に対して、それら係止平面15,16よりも内周側に凸となる湾曲面が形成された構成を示してある。したがって、その湾曲面に関連する部分以外の、前述の図1ないし図3に示す第1の構成例と同じ構成の部分については、図5,図6に、図1ないし図3と同じ参照符号を付けて、その詳細な説明は省略する。
図5,図6において、この第2の構成例におけるエレメントEは、左右の抜け止め部8,9の内周面8b,9bに、それぞれ、湾曲面21,22が形成されている。例えば、図6に示すように、左右の抜け止め部8,9の内周面8b,9bに、それぞれ、エレメントEの板厚方向に垂直な平面(図6での紙面に平行な平面)による断面の形状が、前述の第1の構成例のエレメントEにおいて係止平面15,16が形成されていた位置Yから内周側(図6での下側)に半径r2の円弧状に膨らむ(凸となる)湾曲面21,22が形成されている。
そして、それら湾曲面21,22は、一方の先端面8a,9a側(図6の湾曲面21の例では図6での右側)の端部21a,22aが、それぞれ先端面8a,9aに接続するように形成され、他方の柱部5,6側(図6の湾曲面21の例では図6での左側)の端部21b,22bが、それぞれ逃げ部19,20の凹曲面19a,20aに接続するように形成されている。
そのため、エレメントEの抜け止め部8,9の内周面8b,9bすなわち湾曲面21,22とリングRの外周面13a,14aとが当接する際に、例えばエレメントEがローリングするなどして、リングRの幅方向(図5,図6でのx軸方向)に対してエレメントEが傾いた姿勢でそれらエレメントEの湾曲面21,22とリングRの外周面13a,14aとが当接した場合であっても、リングRの外周面13a,14aに対する抜け止め部8,9の片当たりやエッジ当たりを防止もしくは抑制することができる。
また、この図6に示す第2の構成例では、逃げ部19,20の凹曲面19a,20aと湾曲面21,22の端部21b,22bとが接続する接点PのエレメントEの幅方向(図6のx軸方向)における位置が、エレメントEの幅方向における内壁面5a,6aの位置Xとほぼ一致させられている。具体的には、接点PのエレメントEの幅方向における位置が、エレメントEの幅方向における内壁面5a,6aの位置Xよりも、その位置Xを含む本体外部側(図6の逃げ部19の例では図6での右側)に入らない範囲でほぼ位置Xと一致する位置に設定されて、逃げ部19,20の凹曲面19a,20aと湾曲面21,22の端部21b,22bとが接続させられている。
したがって、この第2の構成例におけるエレメントEにおいても、図6の(b)に示す状態のように、前述の第1の構成例におけるエレメントEと同様、リングRの側面13b(もしくは14b)が凹部7の内壁面5a(もしくは6a)に当接し、かつリングRの外周面13a(もしくは14a)が抜け止め部8(もしくは9)の湾曲面21(もしくは22)に当接した状態となった場合に、リングRのエッジ部分と逃げ部19(もしくは20)とが、すなわちリングRのエッジ部分とエレメントEとが干渉することがない。そのため、リングRのエッジ部分がエレメントEに当接して損傷を与えてしまうことに起因するエレメントEの耐久性の低下を回避することができる。
以上のように、この発明によるベルト用エレメントEおよびそのエレメントEを用いた伝動ベルトVによれば、ベルト用エレメントEの凹部7内のコーナ部分に、リングRの側端面のエッジ部分との干渉を防止するための逃げ部、18,19,20が形成される。特に、左右の抜け止め部8,9の内周面8b,9bに形成された係止平面15,16と凹部7の左右の内壁面5a,6aとがそれぞれ接続するコーナ部分、すなわち凹部における左右の抜け止め部の付け根部分の逃げ部19,20が、ベルト用エレメントEの高さ方向における係止平面15,16の位置よりも内周側でかつ左右の内壁面5a,6aよりもベルト用エレメントE本体の内部側に凹となるように、言い換えると、左右の内壁面5a,6aよりもベルト用エレメントEの幅方向における中心側でかつ係止平面15,16よりも左右の付け根部分の内部側に欠肉しないよう形成される。
そのため、ベルト用エレメントEの凹部7のコーナ部分とリングRの側端面のエッジ部分との干渉を防止して、その干渉による耐久性の低下を回避することができる。また、凹部7の開口部分における抜け止め部8,9の突出長さL0を可及的に短くして、ベルト用エレメントEのリングRとの組み付け性を向上させることができる。
そして、上記のように構成されたベルト用エレメントEと、分割リング13,14による2列に分割されて並列されるリングRとを用いて、すなわち、環状に配列された多数のベルト用エレメントEの凹部7内に2列のリングRを並列させて収容した状態にして、それらベルト用エレメントEと2列のリングRとを組み付けることにより伝動ベルトVが構成される。そのため、組み付け性および耐久性が良好な伝動ベルトVを得ることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。すなわち、上述した具体例では、ベルト用エレメントの抜け止め部の内周面の係止平面のさらに内周側に凸となる用に形成される湾曲面が、ベルト用エレメントの板厚方向に垂直な平面による断面の形状が円弧状である例を示し、湾曲面のベルト用エレメントの幅方向に垂直な平面による断面の形状については特に言及していないが、その湾曲面のベルト用エレメントの幅方向に垂直な平面による断面の形状は、例えば矩形状であってもよく、あるいは円弧状(この場合の湾曲面は係止平面から内周側に凸となる球座状の形状)であってもよい。
また、この発明のベルト用エレメントEを用いた伝動ベルトが、ベルト式無段変速機に使用されている例を示しているが、この発明の伝動ベルトは、ベルト式無段変速機に限らず、ベルトとプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置の伝動ベルトにも適用することができる。
E…エレメント、 R…リング、 V…伝動ベルト、 3…本体部(基体部)、 4…プーリ、 5a,6a…内壁面、 7…凹部、 8,9…抜け止め部、 8b,9b…内周面、 10…ロッキングエッジ、 13,14…分割リング、 13a,14a…外周面、 15,16…係止平面、 19,20…逃げ部、 21,22…湾曲面。
Claims (3)
- 無端環状のリングを収容する凹部が形成されるとともに、その凹部内の幅方向における左右の内壁面の開口端側に前記リングを係止させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数の板状のエレメントであって、前記開口端側が外周側となるように環状に配列し、その環状に配列されたエレメントの列における前記抜け止め部の内周側に前記リングを嵌め込んで組み付けることによりベルトを構成するベルト用エレメントにおいて、
前記抜け止め部の内周面に、前記凹部に前記リングが収容された状態で前記リングの外周面に対向して前記リングを係止する際に該リングの外周面と面接触する係止平面が形成されていて、
前記係止平面と前記各内壁面とがそれぞれ交わる部分に、それぞれ、高さ方向における前記係止平面の位置よりも内周側でかつ前記各内壁面よりも本体内部側に窪ませた逃げ部が形成されていることを特徴とするベルト用エレメント。 - 前記係止平面に対して、該係止平面よりも内周側に凸となる湾曲面が更に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト用エレメント。
- 請求項1または2に記載の前記ベルト用エレメントと、前記凹部内に並列して収容される2列の前記リングとを用いて環状に構成されていることを特徴とする伝動ベルト。
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