JP4404041B2 - 押圧ベルト - Google Patents

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Description

この発明は、エレメントもしくはブロックと称される板片を環状に配列するとともにリングもしくはフープと称される環状部材で結束した押圧ベルトに関し、特に溝幅が変更されるプーリーに巻き掛けられて走行することにより動力を伝達する押圧ベルトに関するものである。
この種のベルトは、各エレメントがプーリーの溝に巻き掛かり、エレメントとプーリーの表面(テーパー状のコーン面)との間の摩擦力でトルクを伝達するように構成されている。したがって、プーリーに直接接触する部材が環状に結束された多数のエレメントであって、これがいわゆる不連続体であるから、プーリーに巻き掛かる際、およびプーリーから離脱する際の挙動の変化に起因する振動もしくは騒音が不可避的に生じる。
この種の騒音が発生する原因の一つとして、ベルトを構成しているエレメントが所定の板厚を有しているのに対して、プーリーが円形をなしていることにより、ベルトはプーリーに巻き掛かっている部分で円運動を行わずに、いわゆる多角形運動を行うことが挙げられる。また、プーリーは、固定プーリーとその固定プーリーに対して接近および離隔する可動プーリーとによって構成され、これらの固定プーリーと可動プーリーとの間隔を変えて、ベルトが巻き掛かる溝の幅すなわち変速比を変更するようになっているから、駆動側のプーリーと従動側のプーリーとの溝の中心位置が、変速比によってはずれてしまう。そのため、ベルトを構成しているエレメントがプーリーに対して進入する際やプーリーから離脱する際に、エレメントがベルトの幅方向に移動し、その結果、エレメント同士の相対移動が生じ、これが要因となって振動もしくは騒音が生じることが考えられる。
このような圧縮形(もしくは押圧形)のベルトで生じる騒音は、ベルトを構成している各エレメントの厚さに関係していることが知られており、そこで特許文献1の発明では、板厚の厚いエレメントと薄いエレメントとをランダムに混在させ、かつそれらのエレメントの厚さの比および個数の比を所定範囲に特定している。
なお、無段変速機用のベルトが特許文献2に記載されており、この特許文献2の発明では、エレメント同士の相対位置を規制するための凸部(ディンプル)と凹部(ホール)とをエレメントに形成し、その凸部(ディンプル)と凹部(ホール)とのクリアランスのバラツキが、所定の範囲内に入るように構成している。
特開昭64−55447号公報 特開2002−257200号公報
上述した多数のエレメントによって構成した押圧ベルトは、各エレメントが所定の厚さを有しているから、プーリーに巻き掛かった部分の形状は多角形状になる。これが騒音もしくは振動の発生要因の一つとなっており、そのために、上記特許文献1の発明では、厚さの異なるエレメントを混在させている。
上述した多角形状を、プーリーのコーン面の形状である円形に可及的に近似させるために、エレメントを薄くすれば、ベルトがプーリーに巻き掛かる際の騒音やプーリーから離脱する際の騒音を低減できる。しかしながら、各エレメントは強度上の要求を満たす必要があるので、その厚さを薄くするとしても限度があり、そのために上記の特許文献1の発明では、厚いエレメントをも混在させている。言い換えれば、強度などの点からの要請で、騒音低下のためのエレメントの薄肉化に制限を受け、騒音もしくは振動の低減が制約される可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、騒音や振動の発生を防止もしくは抑制することのできる押圧ベルトを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、板片状の多数のエレメントが向きを揃えて対面させられた状態で環状に配列されるとともにこれら環状に配列された多数のエレメントがリング部材によって結束され、かつ各エレメントに隣接するエレメントとの面方向での相対的な移動を互いに嵌合することにより所定範囲に規制する凹部と凸部とで構成される係合部が形成された押圧ベルトにおいて、前記多数のエレメントが、相対的に厚い複数の厚肉エレメントと相対的に薄い複数の薄肉エレメントとを含むとともに、前記係合部によって規制される前記面方向での相対的な許容移動範囲が、いずれかの厚肉エレメントと該厚肉エレメントに対してその走行方向での一方側に隣接する薄肉エレメントとの間で相対的に大きく、かついずれかの薄肉エレメントと該薄肉エレメントにその走行方向での一方側に隣接する厚肉エレメントとの間で相対的に小さく設定されていることを特徴とするものである。
そして、この発明における前記相対的な許容移動範囲は、請求項2に記載してあるように、係合部としての凹部と凸部との内外の寸法差によって設定し、あるいは請求項3に記載してあるように、凸部と凹部との中心位置のズレによって設定することができる。
請求項1の発明によれば、各エレメントが向きを揃えて対面した状態に配列されているので、いずれかのエレメントをその走行方向に押圧すると、そのエレメントがこれに隣接するエレメントを押圧するので、トルクもしくは動力が押圧力として伝達される。所定のプーリーに巻き掛けることにより、このようにして動力を伝達する過程で、プーリーに対するエレメントの相対的な移動やエレメント同士の相対移動が生じるが、エレメントの厚さが相互に異なっていることに加えて、厚肉エレメントと薄肉エレメントとの面方向での相対的なズレ量が異なっているために、発生する騒音もしくは振動の周波数や発生のタイミングが不均一化される。その結果、特定の周波数あるいは強度の騒音もしくは振動が重畳するなどのことが回避されて、騒音もしくは振動を低減あるいは抑制することができる。特に、厚肉エレメントと薄肉エレメントとの許容移動範囲を上記のように特定したことにより、エレメントの板厚を異ならせたことによる厚肉エレメントと薄肉エレメントとの実質的なズレのバラツキが、より増大される。すなわち、エレメントがプーリーに対して接触し始め、あるいは離脱する際の各エレメントの接触タイミングもしくは離脱タイミングのズレのバラツキが大きくなる。その結果、騒音もしくは振動をより効果的に抑制することができる。
さらに、請求項2または3の発明によれば、エレメントの基本的な構造を変更することなく、凸部もしくは凹部の寸法あるいは位置を調整することにより、厚肉エレメントと薄肉エレメントとの相対的な移動範囲を異ならせることができ、製造性が良好になる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。図3にこの発明に係るベルト1の一部を示してあり、このベルト1は、多数のエレメント2を、それぞれの向きを揃えて、かつ互いに対面させて環状に配列し、これを二本のリング3,4で結束して構成されている。そのエレメント2は、例えば図4および図5に示すように、金属製の板片状の部材であって、その幅方向における左右の両側面5,6がエレメント2を正面から見た状態でいわゆるV字状に傾斜した面として形成された基体(本体)部分である板部7を有し、その傾斜した左右側面5,6が動力の伝達に関与する摩擦面となっている。
その板部7の幅方向における中央部に、図4での上方に延びた首部8が形成されている。その首部8の上端部には、板部7の幅方向での両側に傘状に延びた頭部9が首部8と一体に形成されている。したがって板部7の図4での上側のエッジ部分と頭部9の図4での下側のエッジ部分との間に、図4での左右方向に開いたスリット部(溝部)10,11が形成されている。このスリット部10,11は、互いに密着して環状に配列されたエレメント2を環状に結束するためのリング3,4を挿入して巻き掛けるための部分であり、したがって板部7の図4での上側のエッジ部分が、リング3,4の内周面を接触させて載せるサドル面12,13となっている。
このエレメント2は、互いにほぼ密着した状態で環状に配列され、かつリング3,4によって結束されるので、ベルト1の全体として湾曲する部分で、密着状態を維持して滑らかに湾曲するようにするために、各エレメント2の図4での下側の部分(環状に配列した状態での中心寄りの部分)が薄肉化されている。すなわち、板部7の一方の面(例えば図4における正面)における前記サドル面12,13より所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって、各エレメント2が扇形に拡がって接触する状態、言い換えると、各エレメント2が円弧状に湾曲して配列されてベルト1として湾曲する場合に、その板厚の変化する境界部分で接触する。この境界部分のエッジが、ロッキングエッジとなっている。
また、各エレメント2の頭部9には、隣接するエレメント2同士の相対的な移動範囲を規制するための凸部(ディンプル)14とその反対側の凹部(ホール)15とが形成されている。すなわち、前述した首部8の延長位置(あるいは頭部9の中央部)に凸部14が形成され、この凸部14とは反対側の面に凹部15が形成されている。これらの凸部14と凹部15とは、隣接するエレメント2同士が、所定の限界を超えて相対的に移動しないようにするためのものであるから、凹部15に凸部14が所定の隙間(クリアランス)Cをもって遊嵌するようになっている。
より具体的に説明すると、前記エレメント2は、板厚が相対的に厚いエレメント(以下、仮に厚肉エレメントと記す)2Aと、相対的に薄いエレメント(以下、仮に薄肉エレメントと記す)2Bとを含んでいる。すなわち厚さの異なる少なくとも二種類のエレメントによって構成されている。これらのエレメント2が、一本のベルト1に400個前後使用されている。
したがって、厚さの異なるエレメント2が必ずしも交互に配列されている訳ではなく、厚肉エレメント2Aが互いに隣接して連続している部分、あるいは薄肉エレメント2Bが互いに隣接して連続している部分が存在している。さらに、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとは、基本的には、ランダムに配列されている。例えば、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとを所定の割合で混合させ、その中から不作為に取り出して配列することにより、ベルト1が構成されている。そのため、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとのいずれかが連続する箇所の間隔や、その連続する個数が不均一になっている。
上記の厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとは、その厚さが異なっていることに加えて、隣接して配列された場合に、その面方向への相対的な許容移動範囲が異なるように構成されている。すなわち、各エレメント2では、係合部である前記ディンプル14とこれが遊嵌しているホール15とのクリアランスCが、面方向での許容移動範囲となっているので、そのクリアランスが厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとの間で異なっている。なお、クリアランスは、ディンプル14の外寸法またはホール15の内寸法を変えることにより異ならせることができるが、これに替えてあるいはこれと併せて、ディンプル14の中心位置とホール15の中心位置とをずらせることにより異ならせることもできる。後者の場合、クリアランスの大小に方向性が出るが、後述するようにプーリーに巻き掛けて使用する際に生じるエレメント2同士のズレを考慮して、ディンプル14の中心位置とホール15の中心位置とをずらせればよい。
厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとの相対的な移動範囲の大小の組み合わせは、以下の二種類が可能である。すなわち、図1に示すように、厚肉エレメント2Aと、その厚肉エレメント2Aに対してその走行方向での一方(前方もしくは後方)に隣接する薄肉エレメント2Bとの許容移動範囲C1を小さくし、かつ薄肉エレメント2Bと、その薄肉エレメント2Bに対してその走行方向での一方(前方もしくは後方)に隣接する厚肉エレメント2Aとの許容移動範囲C2を大きくする。このような許容移動範囲C1,C2の組み合わせの場合、厚肉エレメント2Aの図1での左上側のエッジと薄肉エレメント2Bの図1での左上側のエッジとを結んだ線の傾斜角度θ1と、薄肉エレメント2Bの図1での左上側のエッジと厚肉エレメント2Aの図1での左上側のエッジとを結んだ線の傾斜角度θ2との差が小さくなる。
これに対して図2に示す組み合わせは、厚肉エレメント2Aと、その厚肉エレメント2Aに対してその走行方向での一方(前方もしくは後方)に隣接する薄肉エレメント2Bとの許容移動範囲C1を大きくし、かつ薄肉エレメント2Bと、その薄肉エレメント2Bに対してその走行方向での一方(前方もしくは後方)に隣接する厚肉エレメント2Aとの許容移動範囲C2を小さくする。このような許容移動範囲C1,C2の組み合わせの場合、厚肉エレメント2Aの図2での左上側のエッジと薄肉エレメント2Bの図2での左上側のエッジとを結んだ線の傾斜角度θ3と、薄肉エレメント2Bの図2での左上側のエッジと厚肉エレメント2Aの図2での左上側のエッジとを結んだ線の傾斜角度θ4との差が大きくなる。
これらの角度差(θ2−θ1)、(θ4−θ3)は、プーリーに巻き掛けて動作させた場合における厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとのプーリーに接触もしくは当接するタイミングの相違として現れる。したがって、その角度差が大きければ、ベルト1が走行している際の各エレメント2A,2Bの挙動の不均一性が増大し、各エレメント2の板厚の相違と相まって、騒音もしくは振動の低減要因となる。そのため、エレメント2の板厚と許容移動範囲(ディンプル14の外寸法とホール15の内寸法との差もしくはクリアランス)との関係は、上述した図2に示す組み合わせとなるものが好ましい。
上記のベルト1が使用される無段変速機は、図6に示すように、中心軸線を互いに平行にして配置された駆動プーリー16と従動プーリー17とを備えている。これらのプーリー16,17は、軸線方向に対して固定された固定プーリー16A,17Aと、その固定プーリー16A,17Aに対して接近・離隔するように軸線方向に対して移動可能に設けられた可動プーリー16B,17Bとから構成されており、それぞれの可動プーリー16B,17Bをその背面側に設けられた油圧アクチュエータ16C,17Cによって軸線方向に移動させるようになっている。なお、一方のプーリー16,17における固定プーリー16A,17Aの半径方向で外側に、他方のプーリー17,16における可動プーリー17B,16Bが配置されている。これは、各プーリー16,17の軸線方向での中心位置が、変速比に応じてずれるいわゆる芯ズレを可及的に少なくするためである。
それぞれ対をなす固定プーリー16A,17Aと可動プーリー16B,17Bの互いに対向する側の面は、テーパー状のコーン面16D,17Dとなっており、これらのコーン面16D,17Dによって断面形状がV字状をなす溝18,19が形成されている。したがってその溝18,19の幅(各プーリー16,17の軸線方向に測った間隔)が、可動プーリー16B,17Bを軸線方向に移動させることにより変化するようになっている。
前述した各エレメント2における左右の側面5,6は、上記の溝18,19の開き角度(傾斜角度)に一致するように傾斜しており、したがってベルト1を各プーリー16,17に巻き掛けることにより、各エレメント2が溝18,19に嵌り込んでコーン面16D,17Dに面接触するように構成されている。また、その状態で、可動プーリー16B,17Bを軸線方向に押圧することにより、ベルト1の挟圧力を生じさせて、伝達トルク容量を設定するようになっている。
無段変速機での変速比は、駆動プーリー16と従動プーリー17との回転数の比であるから、駆動プーリー16の溝幅を大きくしてベルト1の巻き掛け半径を小さくするとともに、従動プーリー17の溝幅を小さくしてベルト1の巻き掛け半径を大きくすれば、変速比が大きくなる。これとは反対に、駆動プーリー16の溝幅を小さくしてベルト1の巻き掛け半径を大きくするとともに、従動プーリー17の溝幅を大きくしてベルト1の巻き掛け半径を小さくすれば、変速比が小さくなる。このようにして変速比を大小に変化させる場合、各プーリー16,17における可動プーリー16B,17Bを互いに反対方向に移動させるから、芯ズレGが生じる。その状態を図6に示してあり、この状態でベルト1が図6の矢印方向に走行しているとすると、緩み側(エレメント2同士の押圧側)にある各エレメント2は、従動プーリー17における溝19に傾いた状態で進入する。ここで、傾いているとは、エレメント2が、プーリー16,17の中心軸線を含む面に対して平行にならずに交差する方向を向いている状態である。
各プーリー16,17に巻き掛けられてベルト1が走行することによりこれらのプーリー16,17の間でトルクが伝達されている状態では、エレメント2が前記溝18,19に進入してプーリー16,17に接触し、あるいは溝18,19から抜け出てプーリー16,17から離脱する場合に、騒音もしくは振動が生じる。その原因は、エレメント2とプーリー16,17との当接による衝撃や、エレメント2を挟み付ける挟圧力の変化、互いに隣接して接触しているエレメント2同士の相対的な移動などが要因となって騒音もしくは振動が生じているものと考えられる。
この発明に係る上記のベルト1も前記の要因によって騒音もしくは振動を生じるが、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとが混在していることに加えて、これらのエレメント2A,2Bが隣接している部分での相互の移動範囲が、その走行方向での一方向での配列順序に応じて異なっているので、ベルト1の騒音もしくは振動が低減される。これは、エレメント2の板厚が異なっているとともにその配列がランダムであることによるいわゆる構造の不均一性に加えて、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとの間の面方向での相対的なズレ量が異なり、しかも上記の図2に示す組み合わせとすることにより、その厚肉エレメント2Aについてのズレ量と薄肉エレメント2Bについてのズレ量との差が大きく、それに伴ってプーリー16,17に接触し、あるいは離隔するタイミングが大きく異なるなど、挙動の不均一性が増大していることによるものと考えられる。
ここで、本発明者等が行った実験の結果を示す。先ず、比較例1として、厚肉エレメントと、薄肉エレメントとを不規則に配列してベルトを構成し、かつディンプルとホールとの間のクリアランスを大きく設定した。比較例2として、クリアランスを小さく設定し、他の構成は比較例1と同じにした。
また、本発明例1として、厚肉エレメントのディンプルの外寸法を相対的に大きくしかつそのホールの内寸法を相対的に小さくし、また、薄肉エレメントのディンプルの外寸法を相対的に小さくしかつホールの内寸法を相対的に大きくし、その他の構成は、比較例1,2と同じにした。したがって、この本発明例1では、厚肉エレメントとそのディンプルにホールを遊嵌させている薄肉エレメントとの許容移動範囲すなわち面方向の相対的なズレ量が小さくなり、これとは反対に薄肉エレメントとそのディンプルにホールを遊嵌させている厚肉エレメントとの許容移動範囲すなわち面方向の相対的なズレ量が大きくなっている。これは、前述した図1に組み合わせの例である。
さらに、本発明例2として、上述した図2に示す構成とした。すなわち、厚肉エレメントのディンプル外寸法を相対的に小さくしかつホールの内寸法を相対的に大きくし、また薄肉エレメントのディンプル外寸法を相対的に大きくしかつホールの内寸法を相対的に小さくし、その他の構成は、比較例1,2および本発明例1と同じにした。したがって、この本発明例2では、厚肉エレメントとそのディンプルにホールを遊嵌させている薄肉エレメントとの許容移動範囲すなわち面方向の相対的なズレ量が大きくなり、これとは反対に薄肉エレメントとそのディンプルにホールを遊嵌させている厚肉エレメントとの許容移動範囲すなわち面方向の相対的なズレ量が小さくなっている。
これら比較例1,2および本発明例1,2のベルトを無段変速機(トランスミッション)のプーリーに巻き掛けて走行させ、それぞれのベルトについて音圧(具体的には、トランスミッションの振動レベル)を測定した。測定結果を図7に図表として示してある。この測定結果が示すように、エレメントの板厚を異ならせるだけでなく、厚肉エレメントと薄肉エレメントとの相対的な移動範囲(面方向のズレ量)を異ならせることにより、騒音もしくは振動が低減される。特に、厚肉エレメントのディンプルにホールが遊嵌している薄肉エレメントの相対的なズレ量と、薄肉エレメントのディンプルにホールを遊嵌させている厚肉エレメントの相対的なズレ量との差が大きくなり、いわゆる不均一性が増大するので、振動レベルが低くなっている。すなわち、騒音もしくは振動の低減あるいは抑制の効果が大きくなっている。
なお、この発明に係るベルトは、厚肉エレメントと薄肉エレメントとを混在させて環状に配列して構成されるが、これらのエレメントの割合は均等ではなく、したがって厚肉エレメントと薄肉エレメントとが交互に並ぶ箇所と、いずれか一方が二つ以上連続して並ぶ箇所とが生じる。このような配列の例を図8および図9に示してある。これらの図に示す例は、図の下側で厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとが交互に配列され、これに続けて厚肉エレメント2Aが二つ連続し、さらにこれに続けて薄肉エレメント2Bが二つ連続する例である。
そして、図8に示す例では、厚肉エレメント2Aのディンプル14とこれに遊嵌する薄肉エレメント2Bのホール15とのクリアランスC1が、薄肉エレメント2Bのディンプル14とこれに遊嵌する厚肉エレメント2AのホールとのクリアランスC2に対し相対的に小さく設定されている。この例は、前述した図1の組み合わせの例である。これに対して図9に示す例は、厚肉エレメント2Aのディンプル14とこれに遊嵌する薄肉エレメント2Bのホール15とのクリアランスC1が、薄肉エレメント2Bのディンプル14とこれに遊嵌する厚肉エレメント2AのホールとのクリアランスC2に対し相対的に大きく設定されている。この例は、前述した図2の組み合わせの例である。
これら図8および図9に示す例のいずれであっても、厚肉エレメント2Aと薄肉エレメント2Bとの相対的な移動範囲すなわちズレのバラツキが要因となって、ベルト1の騒音もしくは振動を低減することができ、特に図9に示す例では、そのバラツキが大きくなり、いわゆるベルト1の全体としての不均一性が増大するので、ベルト1の騒音もしくは振動をより効果的に低減もしくは抑制することができる。
なお、この発明は、上述した具体例に限定されないのであって、この発明における係合部は、要は、各エレメント同士の面方向の相対移動を所定範囲に規制することのできる構成のものであればよく、上記のディンプル(凸部)とホール(凹部)とに限定されない。また、この発明のベルトは、無段変速機以外の巻き掛け伝動機構に使用されるものであってもよい。
厚肉エレメントと薄肉エレメントとの組み合わせの一例を示す模式図である。 厚肉エレメントと薄肉エレメントとの組み合わせの他の例を示す模式図である。 この発明に係るベルトの一部を示す斜視図である。 そのエレメントの一つを示す斜視図である。 そのエレメントの配列状態を模式的に示す図である。 この発明のベルトを使用した無段変速機の模式図である。 比較例1および2、ならびに本発明例1および2について測定した振動レベルをまとめて示す図表である。 エレメントの配列パターンの一例を示す模式図である。 エレメントの配列パターンの他の例を示す模式図である。
符号の説明
1…ベルト、 2…エレメント、 2A…厚肉エレメント、 2B…薄肉エレメント、 3,4…リング、 14…凸部(ディンプル)、 15…凹部(ホール)、 C,C1,C2…クリアランス(許容移動範囲)。

Claims (3)

  1. 板片状の多数のエレメントが向きを揃えて対面させられた状態で環状に配列されるとともにこれら環状に配列された多数のエレメントがリング部材によって結束され、かつ各エレメントに隣接するエレメントとの面方向での相対的な移動を互いに嵌合することにより所定範囲に規制する凹部と凸部とで構成される係合部が形成された押圧ベルトにおいて、
    前記多数のエレメントが、相対的に厚い複数の厚肉エレメントと相対的に薄い複数の薄肉エレメントとを含むとともに、前記係合部によって規制される前記面方向での相対的な許容移動範囲が、いずれかの厚肉エレメントと該厚肉エレメントに対してその走行方向での一方側に隣接する薄肉エレメントとの間で相対的に大きく、かついずれかの薄肉エレメントと該薄肉エレメントにその走行方向での一方側に隣接する厚肉エレメントとの間で相対的に小さく設定されていることを特徴とする押圧ベルト。
  2. 前記係合部は、前記エレメントの一方の面に形成された凸部と、他方の面に前記凸部が遊嵌する大きさに形成された凹部とからなり、前記相対的な許容移動範囲は、いずれかのエレメントにおける凹部の内寸法と該凹部に遊嵌する他のエレメントの凸部の外寸法との差によって設定されていることを特徴とする請求項1に記載の押圧ベルト。
  3. 前記係合部は、前記エレメントの一方の面に形成された凸部と、他方の面に前記凸部が遊嵌する大きさに形成された凹部とからなり、前記相対的な許容移動範囲は、いずれかのエレメントにおける凹部の中心位置と該凹部に遊嵌する他のエレメントの凸部の中心位置とのズレ量によって設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の押圧ベルト。
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