JP3692909B2 - 無段変速機用ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式の無段変速機において入力側と出力側のプーリを連結するのに用いる無段変速機用ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の無段変速機用ベルトとしては、例えば図4に示すものがあった。図示のベルト100は、金属製の帯を複数枚積層して成る2本の無端リング101,101に添って多数のエレメント102を備えた構成になっている。各エレメント102は、図4(a)に示す正面において、逆さ台形状の本体部103と、本体部103の上部中央に連続する概略T形状の突片104を有し、突片104の両側に各リング101,101を通すようになっている。突片104の中央には、図4(b)に示すように、一方の面に、凸部105が設けてあると共に、他方の面に、隣接するエレメント102の凸部105が係合する凹部106が設けてある。また、各エレメント102は、本体部103が、図4(b)に示す如く上端部寄りの位置からベルト内周側の端部に至る範囲で板厚が漸次減少するテーパ状を成していて、垂直面とテーパ面との角が、隣接するエレメント102に対してベルト周方向の傾動中心となるロッキングエッジ107になっている。さらに、本体部103の両側には、ロッキングエッジ107の高さに突出部108,108を有している。
【0003】
上記ベルト100は、無段変速機において入力側および出力側の回転軸に設けたプーリを連結する。このとき、両プーリは、図4(a)に一方のプーリPを示すように、いずれも固定フランジPaと軸線方向に往復動する可動フランジPbを備えると共に、両フランジPa,Pbの対向面がテーパ状の滑動面になっている。これに対して、ベルト100は、エレメント102の両側の突出部108,108を両フランジPa,Pbの滑動面に接触させた状態にして両プーリPを連結し、入力側回転軸の回転を出力側回転軸に伝達する。また、無段変速機は、各プーリPの可動フランジPbを往復動させて両フランジPa,Pbの間隔を変化させ、これによりベルト100をプーリPの半径方向にスライドさせて変速比を無段階的に変化させる。
【0004】
このような無段変速機用ベルトは、例えば、1992年6月15日に社団法人・自動車技術会が発行した『自動車技術ハンドブック〈第4分冊〉生産・品質・整備編』の第232頁および第233頁に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような無段変速機用ベルト100では、エレメント102の高さ方向において、傾動中心となるロッキングエッジ107の位置とプーリPに接触する突出部108の位置とを合わせることにより、回転伝達時におけるエレメント102の姿勢を安定させ、これによりトルク容量の向上を実現し得るものとなっている。
【0006】
ところが、従来のベルト100にあっては、突出部108を本体部103の上端部寄りの位置に設けていたため、突出部108よりも上側ではプーリPとの接触が無く、突出部108の位置ではプーリPと強く接触して大きな摩擦力が発生し、突出部108よりも下側の位置ではプーリPと弱く接触して小さい摩擦力が発生することから、ロッキングエッジ107を中心とするモーメントを小さくすることはできても、そのモーメントを無くすことはできず、モーメントの発生によりトルク容量のさらなる向上を図ることが困難であるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、無端リングに添って多数のエレメントを備え、入力側と出力側のプーリを連結する無段変速機用のベルトにおいて、エレメントの傾動中心となるロッキングエッジ回りのモーメントの発生を抑制することができ、トルク容量のさらなる向上を実現することができる無段変速機用ベルトを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる無段変速機用ベルトは、請求項1として、無端リングに添って多数のエレメントを備え、入力側と出力側のプーリを連結する無段変速機用のベルトにおいて、エレメントの幅方向の中央に無端リングを通し、エレメントの高さ方向の中央に、隣接するエレメントに対してベルト周方向の傾動中心となるロッキングエッジを設けると共に、プーリとの接触面であるエレメントの幅方向両側の面に、ロッキングエッジの高さでプーリに接触する突出部を設けることにより、エレメントの幅方向両側の面における高さ方向の中央のみに突出部を備えた構成とし、請求項2として、ベルト外周側に開放した切欠部を有する複数のエレメントと、ベルト内周側に開放した切欠部を有する複数の押え板を備え、エレメントが、ベルト周方向の一方の面に、凸部を有すると共に、ベルト周方向の他方の面に、隣接するエレメントの凸部が係合する凹部を有し、押え板が、エレメントの間に介装した状態でエレメントの凸部を貫通させる貫通孔を有すると共に、当該押え板の切欠部とエレメントの切欠部との間で無端リングの通し部を形成する構成とし、請求項3として、エレメントの凸部および凹部と押え板の貫通孔をベルト周方向に対して左右対称位置に設けた構成とし、請求項4として、エレメントの凸部の高さおよび凹部の深さが、少なくとも押え板の板厚の2倍以上であり且つ隣接するエレメント同士がベルト周方向に傾斜している状態で互いの係合を維持する寸法である構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0009】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わる無段変速機用ベルトでは、エレメントの幅方向の中央に無端リングを通している。つまり、1本の無端リングに添って多数のエレメントを備えたものとなっている。ここで、無段変速機用ベルトは、入力側および出力側のプーリを連結した状態において、プーリに巻き付く円弧部分とプーリ間の直線部分とがあり、所定の範囲について考えると、回転伝達時には円弧状態と直線状態とを繰り返す動作をする。これに対して、当該無段変速機用ベルトは、隣接するエレメント同士がロッキングエッジを中心とする傾動を行うことで円弧状態と直線状態とに自在に変化する。
【0010】
このとき、当該無段変速機用ベルトでは、エレメントの高さ方向の中央に、エレメントの傾動中心となるロッキングエッジを設けると共に、プーリとの接触面であるエレメントの幅方向両側の面に、ロッキングエッジの高さでプーリに接触する突出部を設けているので、エレメントの高さ方向において、ロッキングエッジの位置と突出部の位置とが一致したものとなって、プーリ間での回転伝達時においてエレメントが安定し、とくに、突出部がエレメントの幅方向両側の面における高さ方向の中央のみに位置しているので、突出部よりも上側ではプーリと弱く接触して小さい摩擦力が発生し、突出部の位置ではプーリと強く接触して大きい摩擦力が発生し、突出部よりも下側では上側と同様にプーリと弱く接触して小さい摩擦力が発生する。つまり、突出部の上下においてプーリとの摩擦力が対称的に発生することとなり、これによりロッキングエッジ回りのモーメントが抑制される。
【0011】
本発明の請求項2に係わる無段変速機用ベルトでは、複数のエレメントの間に押え板を介装して、エレメントの切欠部とこれに対向する押え板の切欠部との間に通し部を形成し、この通し部に無端リングを通すことにより、エレメントの幅方向の中央に無端リングを通した状態にする。このとき、無段変速機用ベルトでは、ベルト全周にわたって隣接するエレメントの凸部と凹部とを互いに係合し、押え板を介装した部分では凸部を押え板の貫通孔に通して隣接するエレメントの凹部に係合する。これにより、当該無段変速機用ベルトでは、切欠部を有するエレメントおよび押え板、エレメントの凸部および凹部、押え板の貫通孔といった簡単な構成でありながら、エレメントと押え板と無端リングの組付け状態を確実に維持し、プーリ間で円弧状態と直線状態とを繰り返す動作に追従する。
【0012】
本発明の請求項3に係わる無段変速機用ベルトでは、エレメントの凸部および凹部と押え板の貫通孔をベルト周方向に対して左右対称位置に設けたので、とくに、エレメント同士の係合状態やエレメントと押え板の係合状態がより安定したものとなり、これにより、エレメントと押え板と無端リングの組付け状態もより確実に維持される。
【0013】
本発明の請求項4に係わる無段変速機用ベルトでは、エレメントの凸部の高さおよび凹部の深さが、少なくとも押え板の板厚の2倍以上であり且つ隣接するエレメント同士がベルト周方向に傾斜している状態で互いの係合を維持する寸法であるから、隣接するエレメントの間に押え板を介装しなくても、両エレメントの凸部と凹部との係合が維持され、隣接するエレメントの間に少なくとも2枚の押え板を介装しても、両エレメントの凸部と凹部との係合が維持される。
【0014】
ここで、無段変速機用ベルトでは、エレメント1枚あるいは押え板1枚あたりの板厚の寸法誤差が無視できるものであるとしても、複数のエレメントおよび押え板を用いることからベルト周方向の全体的な寸法誤差が大きくなり、その寸法誤差が製品毎に異なることが充分に考えられる。これに対して、当該無段変速機用ベルトでは、隣接するエレメントの間に介装する押え板の有無あるいは押え板の枚数を自在に選択することが可能であり、ベルト周方向の全体的な寸法誤差を調整し得るものとなっている。
【0015】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる無段変速機用ベルトによれば、無端リングに添って多数のエレメントを備え、入力側と出力側のプーリを連結する無段変速機用ベルトにおいて、中央に無端リングを通したエレメントの高さ方向の中央に、傾動中心となるロッキングエッジとプーリに接触する突出部を設けたことから、ロッキングエッジと突出部の位置が一致することで、プーリ間での回転伝達時においてエレメントを安定させることができるうえに、エレメントとプーリとの間において、プーリと接触する突出部の上下に、突出部で発生する摩擦力よりも弱い摩擦力を対称的に発生させることで、ロッキングエッジ回りのモーメントの発生を抑制することができ、これによりトルク容量のさらなる向上を実現することができる。
【0016】
本発明の請求項2に係わる無段変速機用ベルトによれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、切欠部、凸部および凹部を有するエレメントと、切欠部および貫通孔を有する押え板を採用したことにより、エレメントと押え板と無端リングの組立てを簡単に行うことができ、また、きわめて簡単な構成でありながら、エレメントと押え板と無端リングの組付け状態を確実に維持することができると共に、この組付け状態を維持しつつプーリ間で円弧状態と直線状態とを繰り返すベルトの動作に対応して自在に変化することができる。
【0017】
本発明の請求項3に係わる無段変速機用ベルトによれば、請求項2と同様の効果を得ることができるうえに、エレメントの凸部および凹部と押え板の貫通孔をベルト周方向に対して左右対称位置に設けたことから、エレメント同士の係合状態やエレメントと押え板の係合状態をより安定させることができると共に、エレメントと押え板と無端リングの組付け状態をより確実に維持することができ、動作の信頼性の向上やトルク容量の向上にも貢献することができる。
【0018】
本発明の請求項4に係わる無段変速機用ベルトによれば、請求項2および3と同様の効果を得ることができるうえに、エレメントの凸部の高さおよび凹部の深さを少なくとも押え板の板厚の2倍以上とし且つ隣接するエレメント同士がベルト周方向に傾斜している状態で互いの係合を維持する寸法としたことにより、隣接するエレメントの間に介装する押え板の有無あるいは押え板の枚数を自在に選択することでき、これにより各々1種類のエレメントおよび押え板を用いてベルト周方向の全体的な寸法誤差を調整することができ、また、エレメントおよび押え板の種類の単一化によりコストの大幅な削減等を実現することもできる。
【0019】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明に係わる無段変速機用ベルトの一実施例を説明する。
【0020】
図1に示す無段変速機用のベルト1は、金属製の帯を複数枚積層して成る1本の無端リング2に添って、多数のエレメント3を設けると共に、隣接するエレメント3,3の間に押え板4を介装した構成になっている。無端リング2は可撓性を有するものである。エレメント3および押え板4は、例えば金属製であるが、材料がとくに限定されるものではない。
【0021】
各エレメント3は、図1(a)に正面を示すように、概略逆さ台形状の板材であって、中央に、ベルト外周側(図1で上側)に開放した矩形状の切欠部5が形成してある。各エレメント3は、図1(b)に側面を示すように、ベルト周方向の一方の面において、上側半分が垂直面6Aであると共に、下側半分がベルト内周側に向けて板厚を漸次減少させるテーパ面6Bであって、高さ方向の中央部すなわち垂直面6Aとテーパ面6Bとの角に、隣接するエレメント3に対してベルト周方向の傾動中心となるロッキングエッジ7を形成している。
【0022】
また、各エレメント3は、ベルト幅方向の両側の面(側面)に、ロッキングエッジ7の高さでプーリPに接触する突出部8,8が形成してある。さらに、各エレメント3は、ベルト周方向の一方の面において、ベルト周方向に対して左右対称位置となる上部両側に凸部9,9を有すると共に、ベルト周方向の他方の面において、凸部9,9の裏側となる位置に、隣接するエレメント3の凸部9,9が係合する凹部10,10を有している。
【0023】
各押え板4は、エレメント3よりも高さ寸法が小さく且つ板厚も充分に小さい概略逆さ台形状の板材であって、中央に、ベルト内周側(図1で下側)に開放した矩形状の切欠部11が形成してある。また、各押え板4は、その上部両側に、エレメント3の凸部9,9に対応する貫通孔12,12を有している。
【0024】
上記の無端リング2、エレメント3および押え板4を備えたベルト1は、エレメント3の上端面と押え板4の上端面とを一致させた状態にして、隣接するエレメント3,3の間に押え板4を介装し、エレメント3の凸部9を押え板4の貫通孔12に通して隣接するエレメント3の凹部10に係合すると共に、エレメント3の切欠部5とこれに対向する押え板4の切欠部11との間に矩形状の通し部13を形成し、この通し部13に無端リング2が通してある。これにより、エレメント3の幅方向の中央に無端リング2を通した構成になっている。
【0025】
次に、上記無段変速機用ベルト1の作用を説明する。
【0026】
ベルト1は、無段変速機において入力側および出力側の回転軸に設けたプーリを連結する。両プーリは、図1(a)に一方のプーリPの一部を示すように、いずれも固定フランジPaと軸線方向に往復動する可動フランジPbを備えると共に、両フランジPa,Pbの対向面がテーパ状の滑動面になっている。これに対して、ベルト1は、エレメント3の両側の突出部8,8を両フランジPa,Pbの滑動面に接触させた状態にして両プーリPを連結し、入力側回転軸の回転を出力側回転軸に伝達する。
【0027】
このとき、ベルト1は、プーリPに巻き付く円弧部分とプーリP間の直線部分とがあり、所定の範囲について考えると、回転伝達時には円弧状態と直線状態とを繰り返す動作を行うことになるが、隣接するエレメント3同士がロッキングエッジ7を中心とする傾動を行うことで円弧状態と直線状態とに自在に変化することができる。なお、無段変速機は、各プーリPの可動フランジPbを往復動させて両フランジPa,Pbの間隔を変化させ、これによりベルト1をプーリPの半径方向にスライドさせて変速比を無段階的に変化させる。
【0028】
また、ベルト1は、全周にわたって各エレメント3の凸部9と凹部10とが互いに係合しており、しかも、無端リング2が中央に位置し且つ凸部9、凹部10および押え板4の貫通孔12が左右対称位置に設けてあるので、円弧状態と直線状態とに自在に変化しても、無端リング2とエレメント3と押え板4の組付け状態が確実に維持される。
【0029】
そしてさらに、当該無段変速機用ベルト1は、エレメント3の高さ方向の中央に、傾動中心となるロッキングエッジ7およびプーリPに接触する突出部8を設けているので、ロッキングエッジの位置と突出部の位置との一致によってプーリP間での回転伝達時においてエレメント3が安定し、とくに、突出部8をエレメント3の高さ方向の中央に設けたことから、突出部8よりも上側ではプーリPと弱く接触して小さい摩擦力が発生し、突出部8の位置ではプーリPと強く接触して大きい摩擦力が発生し、突出部8よりも下側では上側と同様にプーリPと弱く接触して小さい摩擦力が発生する。なお、図1には、エレメント3の突出部8のみがプーリPに接触している状態を示したが、実際の突出部8は図示のものよりも小さい場合があり、また、エレメント3にはベルト周方向の軸線回りの回動が発生することがあるので、突出部8以外の側面もプーリPに接触する。
【0030】
このようにして、ベルト1は、プーリP間での回転伝達時において、突出部8の上下においてプーリPとの摩擦力が対称的に発生する。これにより、当該ベルト1は、ロッキングエッジ7回りのモーメントの発生を抑制し、トルク容量のさらなる向上を実現し得るものとなる。
【0031】
ここで、上記ベルト1における各エレメント3および各押え板4は、それぞれ同一形状で且つ同一寸法に形成されたものである。そして、図1(b)に示すように、エレメント3の凸部9の高さHおよび凹部10の深さDが、少なくとも押え板4の板厚Tの2倍以上であり且つ隣接するエレメント3同士がベルト周方向に傾斜している状態で互いの係合を維持する寸法になっている。
【0032】
つまり、ベルト1は、直線状態では、エレメント3の垂直面6Aが押え板4に接触した状態となるが、円弧状態では、図1(b)に示す如くロッキングエッジ7を中心とするエレメント3の傾動によって垂直面6Aと押え板4との間が離間し、エレメント3の上部に設けた凸部9と凹部10とが離間する方向に移動するので、離間動作をしたときでも互いの係合が維持されるように凸部9の高さHおよび凹部10の深さDを設定している。
【0033】
上記の如くエレメント3の凸部9の高さHおよび凹部10の深さDを設定したのは、ベルト周方向の全体的な寸法誤差に対して、隣接するエレメント3の間に介装する押え板4の有無あるいは押え板4の枚数を自在に選択可能にするためである。すなわち、この種のベルト1では、エレメント3および押え板4の1枚あたりの板厚の寸法誤差が無視できるものであるとしても、これらを複数枚用いることからベルト周方向の全体的な寸法誤差が大きくなり、その寸法誤差が製品毎に異なることが充分に考えられる。
【0034】
そこで、当該ベルト1では、エレメント3の凸部9の高さHおよび凹部10の深さDを上述したように設定することで、図2に示すように部分的に押え板4を介装したり、あるいは図3に示すように部分的に2枚の押え板4を介装したりすることができ、これにより各々1種類のエレメント3および押え板4を用いてベルト周方向の全体的な寸法誤差を調整することができるようになり、しかも、押え板4が無い場合、押え板4を1枚介装した場合、押え板4を2枚介装した場合のいずれにおいても、円弧状態と直線状態とに自在に変化しつつエレメント3の凸部9と凹部10との係合を確実に維持し、また、無端リング2とエレメント3と押え板4の組付け状態を確実に維持し、プーリP間で良好な回転伝達を行い得るものとなっている。
【0035】
なお、凸部9の高さH、凹部10の深さDおよび押え板4の板厚Tの寸法関係によっては、2枚以上の押え板4を介装することも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる無段変速機用ベルトの一実施例を説明するベルトの正面断面図(a)および一部を断面にした側面図(b)である。
【図2】部分的に押え板を介装しない状態を説明するベルトの側面図である。
【図3】部分的に押え板を2枚介装した状態を説明するベルトの側面図である。
【図4】従来の無段変速機用ベルトを説明するベルトの正面断面図(a)および側面図(b)である。
【符号の説明】
1 無段変速機用ベルト
2 無端リング
3 エレメント
4 押え板
5 エレメントの切欠部
7 ロッキングエッジ
8 突出部
9 凸部
10 凹部
11 押え板の切欠部
12 貫通孔
13 通し部
P プーリ
Claims (4)
- 無端リングに添って多数のエレメントを備え、入力側と出力側のプーリを連結する無段変速機用のベルトにおいて、エレメントの幅方向の中央に無端リングを通し、エレメントの高さ方向の中央に、隣接するエレメントに対してベルト周方向の傾動中心となるロッキングエッジを設けると共に、プーリとの接触面であるエレメントの幅方向両側の面に、ロッキングエッジの高さでプーリに接触する突出部を設けることにより、エレメントの幅方向両側の面における高さ方向の中央のみに突出部を備えたことを特徴とする無段変速機用ベルト。
- ベルト外周側に開放した切欠部を有する複数のエレメントと、ベルト内周側に開放した切欠部を有する複数の押え板を備え、エレメントが、ベルト周方向の一方の面に、凸部を有すると共に、ベルト周方向の他方の面に、隣接するエレメントの凸部が係合する凹部を有し、押え板が、エレメントの間に介装した状態でエレメントの凸部を貫通させる貫通孔を有すると共に、当該押え板の切欠部とエレメントの切欠部との間で無端リングの通し部を形成することを特徴とする請求項1に記載の無段変速機用ベルト。
- エレメントの凸部および凹部と押え板の貫通孔をベルト周方向に対して左右対称位置に設けたことを特徴とする請求項2に記載の無段変速機用ベルト。
- エレメントの凸部の高さおよび凹部の深さが、少なくとも押え板の板厚の2倍以上であり且つ隣接するエレメント同士がベルト周方向に傾斜している状態で互いの係合を維持する寸法であることを特徴とする請求項2または3に記載の無段変速機用ベルト。
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