JP4935712B2 - 伝動ベルトおよび伝動ベルトの組み付け方法 - Google Patents

伝動ベルトおよび伝動ベルトの組み付け方法 Download PDF

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Description

この発明は、板片状の多数のエレメントを互いに対面させて環状に配置し、それらのエレメントをリングに組み付けることにより無端環状に結束して構成した伝動ベルトおよびその組み付け方法に関するものである。
一般に、複数の回転部材同士の間で動力の伝達を行う場合に用いる変速機として、変速比を段階的に変化させることができる有段変速機と、変速比を連続してすなわち無段階に変化させることができる無段変速機とがあり、後者の無段変速機としてはベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機などが知られている。このうち、ベルト式無段変速機は、駆動側プーリおよび従動側プーリの2組のプーリと、それらのプーリに巻き掛けられる伝動ベルトとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。そのようなベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトとして、例えば、エレメントあるいはブロックなどと称される多数の板片をその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらの板片をリングあるいはバンドあるいはキャリアなどと称される環状の帯状体で環状に結束することにより、無端環状に形成されたベルトが知られている。
このような伝動ベルトが、駆動側および従動側の2組のプーリに巻き掛けられた状態で駆動側プーリが駆動されると、エレメントには、エレメントと駆動側プーリとの接触部分の摩擦力、および、駆動側プーリのトルクに応じて駆動側プーリからエレメントに対して加えられるエレメントの積層方向すなわちエレメントの厚さ方向の圧縮力が作用する。そして、駆動側プーリに接触しているエレメントに伝達された圧縮力は、プーリに巻き掛けられていないエレメントを経由して、従動側プーリに接触しているエレメントに伝達される。この従動側プーリに接触しているエレメントに圧縮力が伝達されると、そのエレメントと従動側プーリとの接触部分の摩擦力、および伝達された圧縮力に応じて従動側プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動側プーリと従動側プーリとの間で、伝動ベルトを介して動力伝達が行われる。
上記のような伝動ベルトの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている高負荷伝動ベルトは、センターベルトと耐側圧を補強するブロックとからなる伝動ベルトであって、具体的には、上端に係止部を有している2本のベルト側部およびそれらを下端で連結する連結部材により形成されたブロック(エレメント)と、そのエレメントの両係止部の間に開口している嵌合溝(エレメントの開口凹部)に両係止部によってエレメントから外れないように嵌め込まれている2列の無端キャリア(リング)とによって構成されている。そして、エレメントの2本のベルト側部の前後面には、それぞれ凸部と凹部とが設けられていて、前後のエレメント同士の間でそれら凸部と凹部とが嵌り合うことにより、エレメントがベルト走行中でも整列するようになっている。
特開2000−249195号公報
上記の特許文献1に記載されている伝動ベルトは、エレメントの両端のベルト側部にリングとエレメントとを係止する係止部が形成されていて、両ベルト側部上方の平面部分に、隣接するエレメント同士で互いに嵌合する嵌合用の凹凸部が形成されている。すなわちこの嵌合用の凹凸部は、エレメントの両側に左右対称に2箇所設けられている。そして、両ベルト側部の間に形成された開口凹部に2列のリングを嵌め込み、係止部で係止されるように組み付けることにより、伝動ベルトが構成されている。
このような伝動ベルトにおいては、リングにエレメントを組み付ける場合、あるいはリングに組み付けられたエレメントをリングから外す場合に、2列に並列されているリングの一部を互いに重ね合わせた状態にする必要がある。すなわち2列のリングに対してエレメントを組み付けたり、外したりする場合には、それら2列のリングにねじりを加えて互いに重ね合わせることにより、2列のリングの幅をエレメントの両係止部間の開口幅よりも狭い状態にする必要がある。
2列のリングにねじりを加えて互いに重ね合わせた状態にするためには、隣接しているエレメント同士を、それぞれの対向面内で相対回転、すなわちローリングさせる必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されている伝動ベルトは、隣接するエレメント同士で互いに嵌合する凹凸部が、エレメントの左右両側に2箇所設けられているため、エレメント同士のローリング方向の動作が規制されてしまう。その結果、2列のリングを互いに重なり合わせた状態にすることが困難になり、伝動ベルトを組み付けることができなくなる可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントとリングとを容易にかつ確実に組み付けることができる伝動ベルトおよび伝動ベルトの組み付け方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、帯状材により形成されて可撓性を有するリングを径方向に複数層重ねた積層リングと、該積層リングを収容する凹部が形成されるとともに該凹部における左右の内壁面の開口部側に該積層リングを係合させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数のエレメントとから構成され、環状に配列させた前記エレメントの列における前記両抜け止め部と前記凹部内の前記両内壁面を繋ぐ底面との間に前記積層リングを嵌め込んで組み付けた伝動ベルトにおいて、前記積層リングの連続する少なくとも2層は、それぞれ、最も幅が広い幅広リングと該幅広リングよりも幅が狭い少なくとも1種類の幅狭リングとを幅方向にそれぞれ並列させた並列リングにより構成されているとともに、前記各並列リングは、前記幅広リングと前記幅狭リングとが前記径方向に交互に積層されていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、1層の前記並列リングを構成する前記幅広リングおよび前記幅狭リングの幅の総和が前記開口部の開口幅よりも小さく、前記幅広リングの幅の2倍が前記開口幅よりも大きいことを特徴とする伝動ベルトである。
一方、請求項3の発明は、帯状材により形成されて可撓性を有するリングを径方向に複数層重ねた積層リングと、該積層リングを収容する凹部が形成されるとともに該凹部における左右の内壁面の開口部側に前記積層リングを係合させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数のエレメントとから構成され、環状に配列された前記エレメントの列における前記両抜け止め部と前記凹部内の前記左右両内壁面を繋ぐ底面との間に前記積層リングを嵌め込んで組み付ける伝動ベルトの組み付け方法において、前記積層リングの連続する少なくとも2層は、それぞれ、最も幅が広い幅広リングと該幅広リングよりも幅が狭い少なくとも1種類の幅狭リングとを幅方向にそれぞれ並列させた並列リングにより構成されるとともに、前記各並列リングは、前記幅広リングと前記幅狭リングとが前記径方向に交互に積層されていて、前記幅方向で互に対向する前記各幅広リングの少なくとも一部を互いに重ね合わせることにより前記積層リングの幅を狭くした状態で該積層リングを前記凹部に嵌め込み、その後、前記互いに重ね合わせた各幅広リングを前記幅方向で互いに離隔することにより前記積層リングを前記両抜け止め部と前記底面との間に係合させることを特徴とする伝動ベルトの組み付け方法である。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、1層の前記並列リングを構成する前記幅広リングおよび前記幅狭リングの幅の総和が前記開口部の開口幅よりも小さく、前記互いに重ね合わせた各幅広リングを前記幅方向で互いに離隔した状態にすることにより前記積層リングの幅を前記開口幅よりも広くすることを特徴とする伝動ベルトの組み付け方法である。
したがって、請求項1の発明によれば、エレメントの凹部に嵌め込んで係合させる積層リングの少なくとも2層が、幅広リングと幅狭リングとの複数種類のリングが並列する並列リングにより構成される。そのため、積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んで組み付ける際に、各並列リングのそれぞれの幅広リングと幅狭リングとを幅方向で互いに当接させて並列させることにより、並列リングの各種類のリングが互いに当接せずに並列した場合と比較して、積層リングを幅が狭い状態にすることができる。その結果、積層リングを、エレメントの凹部の開口幅部分を通過させて抜け止め部と底面との間に嵌め込むことが容易になり、伝動ベルトの組み付け性を向上することができる
また、積層リングの少なくとも連続する2層を構成する並列リングが、それら各並列リングが積層した状態で、それぞれの幅広リングと幅狭リングとが交互に積層するように構成される。そのため、積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んだ際に凹部の左右方向で互いに相対する側に位置する幅広リングを、一旦その幅方向で互いに離隔させると、それら離隔させた幅広リングの互いに対向する端面同士が干渉もしくは当接して、各並列リングのそれぞれの幅広リングと幅狭リングとが再び幅方向で互いに当接して並列した状態に戻り難くなる。すなわち、積層リングの幅を一旦凹部の開口幅よりも広い状態にすると、積層リングの幅は再び凹部の開口幅よりも狭い状態に戻り難く、言い換えると、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも広くした状態を維持し易くなる。その結果、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に容易に嵌め込むことができるとともに、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に確実に係合させることができる。
また、請求項2の発明によれば、幅広リングと幅狭リングとの複数種類のリングの幅の合計が、エレメントの凹部の開口幅よりも小さくなるように並列リングが構成される。言い換えると、各幅広リングと各幅狭リングとをそれぞれ幅方向で互いに当接させて並列させた状態での並列リングの幅が、エレメントの凹部の開口幅よりも小さくなるように並列リングが構成される。そして、エレメントの凹部内に嵌め込まれた際にその凹部の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リングの幅の合計が、エレメントの凹部の開口幅よりも大きくなるように並列リングが構成される。言い換えると、幅広リングの幅の2倍がエレメントの凹部の開口幅よりも大きくなるように並列リングが構成される。そのため、幅広リングと幅狭リングとを幅方向で互いに当接させて並列させることにより、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも狭い状態にすることができ、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に容易に嵌め込むことができる。そして、上記のようにして幅の狭い状態にした積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んだ後に、凹部の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リングをその幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも広い状態にすることができ、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に確実に係合させることができる。
一方、請求項3の発明によれば、エレメントの凹部に積層リングを嵌め込んで係合させて伝動ベルトを組み付ける場合、少なくとも連続する2層が、幅広リングと幅狭リングとの複数種類のリングが並列する並列リングにより構成された積層リングが用いられる。そして、その積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んで組み付ける場合、先ず、エレメントの凹部に嵌め込まれた際に互いにその凹部の左右方向における反対側に位置する各幅広リングの少なくとも一部が、互いに重ね合わせられる。すなわち、積層リングの各並列リングにおけるそれぞれの幅広リングと幅狭リングとを幅方向で互いに当接するように並列させることにより、上記の各幅広リングの幅方向で互いに対向する側の一部が互いに重なり合い、並列リングの各種類のリングが互いに当接せずに並列させられた場合と比較して、積層リングが幅の狭い状態にされる。その状態で積層リングがエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に容易に嵌め込まれ、そしてその後、一部が互いに重ね合わせられていた各幅広リングを、その幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングの幅が凹部の開口幅よりも広くされて、積層リングがエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に確実に係合させられる。そのため、積層リングとエレメントとを容易にかつ確実に組み付けることができ、伝動ベルトの組み付け性を向上することができる
また、エレメントの凹部に積層リングを嵌め込んで係合させて伝動ベルトを組み付ける場合、互いに積層した状態でそれぞれの幅広リングと幅狭リングとが交互に積層するように構成された各並列リングによって、少なくとも連続する2層が構成された積層リングが用いられる。そのため、積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んだ際に凹部の左右方向で互いに相対する側に位置する幅広リングを、一旦その幅方向で互いに離隔させることにより、それら離隔させた幅広リングの互いに対向する側の側面同士が干渉もしくは当接して、各並列リングのそれぞれの幅広リングと幅狭リングとが再び幅方向で互いに当接して並列した状態に戻り難くい状態にすることができる。すなわち、積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んだ後に、一旦、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも広い状態にすることにより、積層リングの幅を再び凹部の開口幅よりも狭い状態に戻り難くい状態にすることができる。言い換えると、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも広くした状態を容易に維持することができる。その結果、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に容易に嵌め込むことができるとともに、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に確実に係合させることができる。
また、請求項4の発明によれば、エレメントの凹部に積層リングを嵌め込んで係合させて伝動ベルトを組み付ける場合、幅広リングと幅狭リングとの複数種類のリングの幅の合計が、エレメントの凹部の開口幅よりも小さくなるように構成され、かつ、凹部内に積層リングが嵌め込まれた際にその凹部の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リングの幅の合計が、凹部の開口幅よりも大きくなるように構成された並列リングによって、少なくとも連続する2層が構成された積層リングが用いられる。そのため、組み付け前の段階で、各幅広リングと各幅狭リングとをそれぞれ幅方向で互いに当接させて並列させておくことにより、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも狭くして、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に容易に嵌め込むことができる。そして、上記のようにして幅の狭い状態にした積層リングをエレメントの凹部に嵌め込んだ後に、凹部の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リングをその幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングの幅を凹部の開口幅よりも広くして、積層リングをエレメントの凹部の抜け止め部と底面との間に確実に係合させることができる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。初めに、この発明の実施例として、この発明に係る伝動ベルトの構成例を説明し、ついで、この発明に係る伝動ベルトの組み付け方法による組み付け例を、以下に順次説明する。
(第1実施例)
先ず、この発明の第1実施例における伝動ベルトを構成するエレメントおよびリングの構成を、図1,図2に基づいて説明する。図1,図2において、伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例を示している。そして、この発明における多数のエレメントEは、例えば金属製の板片状の部材からなり、その幅方向(図1のx軸方向)における左右の側面1,2が、テーパ状の傾斜した面として形成された本体(基体)部3を有し、そのテーパ状に傾斜した両側面1,2が、ベルト式無段変速機の駆動側プーリあるいは従動側プーリであるプーリ4のベルト巻き掛け溝(V形溝)4aに摩擦接触してトルクを伝達するようになっている。
本体部3の幅方向(図1のx軸方向)における左右の両端部分に、本体部3の一部であって、エレメントEの上下方向(図1,図2のy軸方向)での上方に延びた左右の柱部5,6がそれぞれ形成されている。したがって、本体部3の図1,図2での上側のエッジ部分である上端面3aと、両柱部5,6の本体部3の幅方向における中央を向いた左右の内壁面5a,6aとによって、エレメントEの上側(図1のy軸方向での上側)すなわち伝動ベルトVの外周側に開口した凹部7が形成されている。言い換えると、左右の内壁面5a,6aと、それら左右両内壁面5a,6aを繋ぐとともに本体部3の図1,図2での上側のエッジ部分でもある底面3aとにより、凹部7が形成されている。
凹部7は、互いに密着して環状に配列されたエレメントEを環状に結束するための無端環状のリングRを、挿入して収容するための部分であり、したがって上端面3aが、リングRの内周面を接触させて載せるサドル面3aとなっている。なお、この発明におけるリングRは、例えば、金属製の環状の帯状体を径方向に複数層に重ねたいわゆる積層リングRとなっている。その積層リングRの詳細な構成に関しては後述する。
左右の柱部5,6の上端部分には、左右の先端面8a,9aがそれぞれ本体部3の幅方向における中央に向かって延びた左右の抜け止め部8,9が、それぞれ両柱部5,6と一体に形成されている。言い換えると、凹部7の開口端(凹部7における伝動ベルトVの外周側の端部)側の両内壁面5a,6aに、凹部7の幅方向(図1のx軸方向)における中心側に向けた抜け止め部8,9がそれぞれ形成されている。そのため、凹部7の開口幅Wが、凹部7の開口端側で対向する両先端面8a,9aの間の距離Wによって決定されている。そして、凹部7の底面7a(すなわちサドル面(上端面)3a)側では、両先端面8a,9a間の距離(開口幅)Wよりも広い内幅Wとなっている。
この伝動ベルトVを構成する多数のエレメントEは、環状に配列された状態で積層リングRによって結束され、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ4に巻き掛けられる。したがってプーリ4に巻き掛けられた状態では、各エレメントEが、プーリ4の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、各エレメントEの図1,図2での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。
すなわち、本体部3の一方の面(例えば図2における左側の面)での、エレメントEの上下方向におけるサドル面3aの位置から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって、各エレメントEが扇形に拡がって接触する状態、言い換えると、各エレメントEがプーリ4に巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されて伝動ベルトVが湾曲するベルト湾曲状態で、その板厚の変化する境界部分で接触する。この境界部分のエッジが、いわゆるロッキングエッジ10となっている。
この種のエレメントEのサドル面3aは、多数のエレメントEを結束しているリングRが接触しているので、伝動ベルトVがトルクを伝達している状態では、その接触圧が大きくなるのに対して、エレメントEが直線状に配列されている状態からプーリ4に巻き掛かって扇状に開く場合には、リングRとサドル面3aとの間に滑りによる摺動が生じ、それに伴って大きい摩擦力が生じる。このとき、エレメントEの上下方向における上記のサドル面3aとロッキングエッジ10との間の距離が長いと、リングRとサドル面3aとの間の摩擦力によるモーメントが大きくなり、リングRとサドル面3aとの間で一層滑りによる摺動が生じやすくなる。その結果、伝動ベルトVの運転時における摩擦損失が増大して伝動ベルトVの伝動効率が低下してしまうおそれがある。
そこで、上記のように、エレメントEの上下方向におけるサドル面3aの位置と同じ位置もしくはほぼ同じ位置に、すなわちエレメントEの上下方向におけるサドル面3aの位置からオフセットせずに、ロッキングエッジ10を形成することによって、リングRとサドル面3aとの間の摩擦力によるモーメントを可及的に小さくすることができ、その結果、伝動ベルトVの運転時における摩擦損失を低減して伝動ベルトVの伝動効率を向上することができる。
エレメントEの本体部3の幅方向における中央部分には、各エレメントEがプーリ4に巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態において各エレメントEの相対的な位置を決めるためのディンプル11とホール12とが形成されている。具体的には、本体部3の一方の面側(図2の例では、ロッキングエッジ10のある面側)に凸となる円錐台形のディンプル11が形成されている。そして、このディンプル11とは反対側の面に、隣接するエレメントEにおけるディンプル11を緩く嵌合(遊嵌)させる有底円筒状のホール12が形成されている。
したがって、ベルト直線状態でこれらのディンプル11とホール12とが嵌合することによって、その状態におけるエレメントE同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めることができ、例えばベルト式無段変速機が運転される場合に、伝動ベルトVのがたつきを防止して伝動ベルトVを安定して走行させることができる。
前述したように、この発明における伝動ベルトVは、エレメントEとリングRとを容易にかつ確実に組み付けることができ、その組み付け性を向上することを目的としていて、そのために、リングRが、例えば金属製で環状の薄い帯状体(単層リング)を径方向に複数層に重ねたいわゆる積層リングRとなっている。そして、その積層リングRの連続する少なくとも2層が、それぞれ、最も幅が広い幅広リング(幅広の単層リング)と、その幅広リングよりも幅が狭い少なくとも1種類の幅狭リング(幅狭の単層リング)とを幅方向にそれぞれ並列させたいわゆる並列リング(もしくは分割リング)により構成されている。
なお、この積層リングRにおける各単層リング同士の重ね合わせ状態もしくは積層状態は、各単層リングの張力によって保持されていて、それらの重ね合わせ面同士は、接着や溶接等の接合はされていない。したがって、積層リングRの各層は、互いに摺動することが可能であり、そのため、積層リングRの積層状態をずらしたり、あるいは所定の層のリングを積層部分から外したりすることが可能な構成となっている。
積層リングRについてより具体的に説明する。図3に、この積層リングRをその周長方向に直角な平面で切断した断面を示してある。この図3に示すように、積層リングRは、幅寸法がLで相対的に幅が広い幅広リング13w,〜18wと、幅寸法がLで相対的に幅が狭い幅狭リング13n,〜18nとをそれぞれ幅方向に並列させた各並列リング(分割リング)13,〜18を、それらの径方向(もしくは厚さ方向)にそれぞれ積層させることにより構成されている。言い換えると、積層リングRの各層は、最も幅が広い幅広リング13w,〜18wと、その幅広リング13w,〜18wよりも幅が狭い幅狭リング13n,〜18nとを幅方向にそれぞれ並列させた各並列リング13,〜18により構成されている。
各並列リング13,〜18をそれぞれ構成する各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとは、各並列リング13,〜18がそれぞれ積層した状態で、それぞれ交互に積層されている。すなわち、この図3に示す例では、積層リングRの外周側(図3の上側)から、幅狭リング13n、幅広リング14w、幅狭リング15n、幅広リング16w、幅狭リング17n、幅広リング18wの順に、および、幅広リング13w、幅狭リング14n、幅広リング15w、幅狭リング16n、幅広リング17w、幅狭リング18nの順に、各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとが、それぞれ交互に積層されている。
また、各並列リング13,〜18をそれぞれ構成する各幅広リング13w,〜18w、および各幅狭リング13n,〜18nのそれぞれの幅の総和L(すなわち「L=L+L」)が、前述のエレメントEの凹部7の開口幅Wよりも小さくなるように、各幅広リング13w,〜18w、および各幅狭リング13n,〜18n、あるいはエレメントEの各部の形状・寸法が設定されて形成されている。すなわち、この図3に示すような各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させて並列させた状態、すなわち積層リングRとしての幅Dが最小の幅寸法Dになる状態では、その幅寸法Dと上記の各幅の総和Lとがほぼ等しくなる。
したがって、図3に示す状態のように、各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させて並列させて、別の言い方をすれば、積層リングRがエレメントEの凹部7に嵌め込まれた際に互いに凹部7の左右方向での反対側に位置する各幅広リング13w,〜18wの一部を互いに重ね合わせて、積層リングRの幅Dを最小(すなわち幅寸法D)にすることにより、積層リングRを、凹部7の開口部分の先端面9aと先端面9bとの間を容易に通過させて凹部7に嵌め込むことができる。
そして、各幅広リング13w,〜18wのうち、積層リングRがエレメントEの凹部7に嵌め込まれた際に互いに凹部7の左右方向での反対側に位置するいずれか2つの幅広リングの幅の和L(図3に示す例では、各幅広リング13w,〜18wの幅寸法がいずれもLである例を示しているので、「L=2×L」となる)が、前述のエレメントEの凹部7の開口幅Wよりも大きくなるように、各幅広リング13w,〜18w、あるいはエレメントEの各部の形状・寸法が設定されて形成されている。すなわち、例えば前述の図1に示すように、各幅広リング13w,〜18wをいずれもその幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングRとしての幅Dが凹部7の開口幅Wよりも広くなる。
したがって、図1に示す状態のように、積層リングRを凹部7に嵌め込んだ後に、各幅広リング13w,〜18wいずれもその幅方向で互いに離隔させて、積層リングRの幅Dを凹部7の開口幅Wよりも広くすることにより、積層リングRを、凹部7の左右の凹部7の抜け止め部8,9と底面3aとの間に係合させることができ、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ組み付け状態を保持することができる。
また、積層リングRは、上記のように、各並列リング13,〜18の各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとが、それぞれ交互に積層されていることにより、積層リングRを凹部7に嵌め込んだ後に、各幅広リング13w,〜18wいずれもその幅方向で互いに離隔させて、積層リングRを凹部7の左右の抜け止め部8,9と底面3aとの間に係合させた際に、一旦離隔させた各幅広リング13w,〜18wが、図3に示したような互いに積層した状態に再び戻ることが困難になる。
すなわち、積層リングRは、図1に示した状態のように各幅広リング13w,〜18wを互いに一旦離隔した後は、それら幅広リング13w,〜18wの幅方向で互いに対向する側の側面同士が互いに当接したり干渉し合ったりするので、それら幅広リング13w,〜18wが図3に示したような互いに積層した当初の状態に戻り難くなる。したがって、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ組み付け状態をより確実に保持することができる。
つぎに、この第1実施例における構成の伝動ベルトVの組み付け例を、図面に基づいて説明する。この発明による伝動ベルトVを組み付ける場合、先ず、図3に示すように、積層リングRが、その幅Dが幅寸法Dで最小になる幅狭状態にされる。すなわち、積層リングRの各層を構成する各並列リング13,〜18が、それぞれ、各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させ、なおかつ当接しない側の各側面が面一になるように揃えて並列させた状態にされて、その結果、積層リングRとしての幅Dが最小の幅寸法Dになる。
前述したように、積層リングRを幅狭状態にすることより、積層リングRの幅D(=D)はエレメントEの開口幅Wよりも狭くなり、図4に示すように、エレメントEの凹部7に、積層リングRを容易に嵌め込むことができる。すなわち、例えば従来技術によるベルトのように、エレメントとリングとを組み付ける際に、2列のリングを互いに重ね合わせたり、あるいはエレメントをローリングさせたりすることなく、積層リングRを、エレメントEの凹部7の開口幅Wの部分を容易に通過させて、エレメントEの凹部7内に容易に嵌め込むことができる。
そして、上記のように幅狭状態にされた積層リングRとエレメントEとを組み付ける作業が順次繰り返し行われる。それらの組み付けの際には、上記のようにリングRを2列に分割してそれらを互いに重ね合わせたり、あるいはエレメントEをローリングさせたりする必要がないので、積層リングRの全周長に対して組み付けられるエレメントEの枚数が比較的少ない組み付け初期段階から、積層リングRの全周長に対して組み付けられたエレメントEの枚数が比較的多数となった組み付け最終段階まで、さらに組み付けを所望する最後の1枚のエレメントEと積層リングRとを組み付ける際にも、上記に示した内容と同様の作業を行うことによって、それらエレメントEと積層リングRとを容易に組み付けることができる。
組み付けを所望する最後の1枚のエレメントEと積層リングRとが組み付けられると、すなわち、所望する全てのエレメントEの凹部7に幅Dが最小の幅寸法Dとなる幅狭状態にされた積層リングRが嵌め込まれると、図5に示す状態のように、積層リングRの最も外層側(図5のy軸方向での上側)に重ね合わせられている並列リング13の幅広リング13wと幅狭リング13nとが、リングの幅方向で互いに離隔される。具体的には、並列リング13の幅広リング13wと幅狭リング13nとがリングの幅方向で互いに離隔されて、それら幅広リング13wの積層リングRの右側面側(図5のx軸方向での右側)の端部13a、および幅狭リング13nの積層リングRの左側面側(図5のx軸方向での左側)の端部13bが、それぞれ、エレメントEの抜け止め部9と底面3aとの間、および抜け止め部8と底面3aとの間に係合される、もしくは積層リングRが凹部7から離脱しようとする際にエレメントEの凹部7の抜け止め部8,9と底面3aとの間に係止する状態にされる。
このようにして、全てのエレメントEの凹部7に積層リングRが嵌め込まれ、積層リングRの最外層の並列リング13におけ幅広リング13wと幅狭リング13nとがリングの幅方向で互いに離隔されると、それらの端部13a,13bがエレメントEの両抜け止め部9,8にそれぞれ係合もしくは係止する。その結果、全てのエレメントEと積層リングRとの組み付け状態が維持されることになり、すなわち、伝動ベルトVの組み付けが完了する。
そして、上記のようにしてエレメントEと積層リングRとを組み付けた図5に示す伝動ベルトVの組み付け完了状態で、伝動ベルトVのハンドリングが行われる。例えば、伝動ベルトVの搬送や品質検査、あるいはプーリ4への巻き掛け作業等が行われる。そしてその後、伝動ベルトVとしてトルクを伝達する運転が行われると、伝動ベルトVの積層リングRに作用する力により、積層リングRの各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとが、前述の図1に示した状態のように、エレメントEの凹部7内で左右に分かれた状態になる。したがって、伝動ベルトVの運転時に、このように積層リングRの各幅広リング13w,〜18wと各幅狭リング13n,〜18nとが幅方向で互いに離隔した状態になることにより、その後は、それら幅広リング13w,〜18wの幅方向で互いに対向する側の側面同士が互いに当接したり干渉し合ったりするので、ほぼ積層リングRが前述の図3に示した幅狭状態に再び戻ることがない。そのため、伝動ベルトVの運転時においても、エレメントEと積層リングRとの組み付け状態が維持されて、伝動ベルトVによるトルクの伝達を確実に行うことができる。
(第2実施例)
図6,図7は、この発明の第2実施例における伝動ベルトVを構成するエレメントEおよび積層リングRの構成を示す図である。上記の第1実施例が、積層リングRの各層(図1ないし図5の例では6層)全てが並列リング13,〜18により構成された例を示しているのに対し、この第2実施例では、積層リングRが、第1実施例における並列リング13,〜18と同様、幅広リングと幅狭リングとが並列された並列リングと、幅方向に分割されない単列リングとから構成された例を示している。したがって、これら並列リングと単列リングとから構成される積層リングR以外の、前述の図1ないし図5に示す第1実施例と同じ構成の部分については、図6,図7に、図1ないし図5と同じ参照符号を付けて、その詳細な説明は省略する。
図6において、この第2実施例における伝動ベルトVは、エレメントEと、並列リング(もしくは分割リング)21,22,23および単列リング24からなる積層リングRとにより構成されている。すなわち、この第2実施例におけるエレメントEは、前述の第1実施例におけるエレメントEの構成と同じである。一方、この第2実施例における積層リングRは、前述の第1実施例における積層リングRが、全ての層が並列リング13,〜18により構成されているのに対して、外層側(図6のy軸方向での上側)の3層が並列リング21,22,23により構成され、それらの内層側(図6のy軸方向での下側)の複数層が単列(もしくは一条)の積層リングである単列リング24により構成されている。
積層リングRについてより具体的に説明する。図7に、この積層リングRをその周長方向に直角な平面で切断した断面を示してある。この図7に示すように、積層リングRは、幅寸法がLで相対的に幅が広い幅広リング21w,22w,23wと、幅寸法がLで相対的に幅が狭い幅狭リング21n,22n,23nとをそれぞれ幅方向に並列させた各並列リング(分割リング)21,22,23と、幅寸法がDである複数層の単列リング(もしくは一条リング)24を、それらの径方向(もしくは厚さ方向)にそれぞれ積層させることにより構成されている。言い換えると、積層リングRの連続する少なくとも2層(図6,図7に示す例では3層)は、最も幅が広い幅広リング21w,22w,23wと、その幅広リング21w,22w,23wよりも幅が狭い幅狭リング21n,22n,23nとを幅方向にそれぞれ並列させた各並列リング21,22,23により構成されている。
各並列リング21,22,23をそれぞれ構成する各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとは、各並列リング21,22,23がそれぞれ積層した状態で、それぞれ交互に積層されている。すなわち、この図7に示す例では、積層リングRの外周側(図7の上側)から、幅狭リング21n、幅広リング22w、幅狭リング23nの順に、および、幅広リング21w、幅狭リング22n、幅広リング23wの順に、各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとが、それぞれ交互に積層されている。
また、各並列リング21,22,23をそれぞれ構成する各幅広リング21w,22w,23w、および各幅狭リング21n,22n,23nのそれぞれの幅の総和L(すなわち「L=L+L」)、および単列リング24の幅寸法Dが、前述のエレメントEの凹部7の開口幅Wよりも小さくなるように、各幅広リング21w,22w,23w、および各幅狭リング21n,22n,23n、あるいはエレメントEの各部の形状・寸法が設定されて形成されている。すなわち、この図7に示すような各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させて並列させた状態、すなわち積層リングRとしての幅Dが最小の幅寸法Dになる状態では、その幅寸法Dと上記の各幅の総和Lとがほぼ等しくなる。
したがって、図7に示す状態のように、各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させて並列させて、別の言い方をすれば、積層リングRがエレメントEの凹部7に嵌め込まれた際に互いに凹部7の左右方向での反対側に位置する各幅広リング21w,22w,23wの一部を互いに重ね合わせて、積層リングRの幅Dを最小(すなわち幅寸法D)にすることにより、積層リングRを、凹部7の開口部分の先端面9aと先端面9bとの間を容易に通過させて凹部7に嵌め込むことができる。
そして、各幅広リング21w,22w,23wのうち、積層リングRがエレメントEの凹部7に嵌め込まれた際に互いに凹部7の左右方向での反対側に位置するいずれか2つの幅広リングの幅の和L(図7に示す例では、各幅広リング21w,22w,23wの幅寸法がいずれもLである例を示しているので、「L=2×L」となる)が、前述のエレメントEの凹部7の開口幅Wよりも大きくなるように、各幅広リング21w,22w,23w、あるいはエレメントEの各部の形状・寸法が設定されて形成されている。すなわち、例えば前述の図6に示すように、各幅広リング21w,22w,23wをいずれもその幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングRとしての幅Dが凹部7の開口幅Wよりも広くなる。
したがって、図6に示す状態のように、積層リングRを凹部7に嵌め込んだ後に、各幅広リング21w,22w,23wいずれもその幅方向で互いに離隔させて、積層リングRの幅Dを凹部7の開口幅Wよりも広くすることにより、積層リングRを、凹部7の左右の抜け止め部8,9と底面3aとの間に係合させることができ、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ組み付け状態を保持することができる。
また、積層リングRは、上記のように、各並列リング21,22,23の各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとが、それぞれ交互に積層されていることにより、積層リングRを凹部7に嵌め込んだ後に、各幅広リング21w,22w,23wいずれもその幅方向で互いに離隔させて、積層リングRを凹部7の左右の抜け止め部8,9と底面3aとの間に係合させた際に、一旦離隔させた各幅広リング21w,22w,23wが、図7に示したような互いに積層した状態に再び戻ることが困難になる。
すなわち、積層リングRは、図6に示した状態のように各幅広リング21w,22w,23wを互いに一旦離隔した後は、それら幅広リング21w,22w,23wの幅方向で互いに対向する側の側面同士が互いに当接したり干渉し合ったりするので、それら幅広リング21w,22w,23wが図7に示したような互いに積層した当初の状態に戻り難くなる。したがって、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ組み付け状態をより確実に保持することができる。
つぎに、この第2実施例における構成の伝動ベルトVの組み付け例を、図面に基づいて説明する。この第2実施例の伝動ベルトVにおいても、前述の第2実施例における伝動ベルトVと同様に組み付けを行うことができる。すなわち、先ず、図7に示すように、積層リングRが、その幅Dが幅寸法Dで最小になる幅狭状態にされる。すなわち、積層リングRの各層を構成する各並列リング21,22,23が、それぞれ、各幅広リング21w,22w,23wと各幅狭リング21n,22n,23nとの幅方向における互いの対向面同士をそれぞれ当接させ、なおかつ当接しない側の各側面が面一になるように揃えて並列させた状態にされて、その結果、積層リングRとしての幅Dが最小の幅寸法Dになる。
したがって、積層リングRを幅狭状態にすることより、積層リングRの幅D(=D)はエレメントEの開口幅Wよりも狭くなり、図8に示すように、エレメントEの凹部7に、積層リングRを容易に嵌め込むことができる。すなわち、例えば従来技術によるベルトのように、エレメントとリングとを組み付ける際に、2列のリングを互いに重ね合わせたり、あるいはエレメントをローリングさせたりすることなく、積層リングRを、エレメントEの凹部7の開口幅Wの部分を容易に通過させて、エレメントEの凹部7内に容易に嵌め込むことができる。
このようにして、全てのエレメントEの凹部7に積層リングRが嵌め込まれ、積層リングRの最外層の並列リング21における幅広リング21wと幅狭リング21nとがリングの幅方向で互いに離隔されると、それらの端部がエレメントEの両抜け止め部9,8にそれぞれ係合もしくは係止する。その結果、全てのエレメントEと積層リングRとの組み付け状態が維持されることになり、すなわち、伝動ベルトVの組み付けが完了する。
以上のように、この発明による伝動ベルトVおよびその組み付け方法によれば、エレメントEの凹部7に嵌め込んで係合させる積層リングRの少なくとも2層が、幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)との複数種類のリングが並列する並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)により構成される。そのため、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んで組み付ける際に、各並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)のそれぞれの幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)とを幅方向で互いに当接させて並列させることにより、並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)の各種類のリングが互いに当接せずに並列した場合と比較して、積層リングRを幅が狭い幅狭状態にすることができる。その結果、積層リングRを、エレメントEの凹部7の開口幅Wの部分を通過させて抜け止め部8,9と底面3aとの間に嵌め込むことが容易になり、伝動ベルトVの組み付け性を向上することができる。
また、幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)との複数種類のリングの幅の合計Lが、エレメントEの凹部7の開口幅Wよりも小さくなるように並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)が構成される。言い換えると、各幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と各幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)とをそれぞれ幅方向で互いに当接させて並列させた状態での並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)の幅Dが、エレメントEの凹部7の開口幅Wよりも小さくなるように並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)が構成される。そして、エレメントEの凹部7内に嵌め込まれた際にその凹部7の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)の幅の合計Lが、エレメントEの凹部7の開口幅Wよりも大きくなるように並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)が構成される。
そのため、幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)とを幅方向で互いに当接させて並列させることにより、積層リングRの幅Dを凹部7の開口幅Wよりも狭い幅狭状態にすることができ、積層リングRをエレメントEの凹部7の抜け止め部8,9と底面3aとの間に容易に嵌め込むことができる。そして、上記のようにして幅狭状態にした積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ後に、凹部7の左右方向で互いに相対する側に位置するいずれか2つの幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)をその幅方向で互いに離隔させることにより、積層リングRの幅Dを凹部7の開口幅Wよりも広い状態にすることができ、積層リングRをエレメントEの凹部7の抜け止め部と底面3aとの間に確実に係合させることができる。
そして、積層リングRの少なくとも連続する2層を構成する並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)が、それら各並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)が積層した状態で、それぞれの幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)とが交互に積層するように構成される。
そのため、積層リングRをエレメントEの凹部7に嵌め込んだ際に凹部7の左右方向で互いに相対する側に位置する幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)を、一旦その幅方向で互いに離隔させると、それら離隔させた幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)の互いに対向する側面同士が干渉もしくは当接して、各並列リング13,〜18(もしくは21,22,23)のそれぞれの幅広リング13w,〜18w(もしくは21w,22w,23w)と幅狭リング13n,〜18n(もしくは21n,22n,23n)とが再び幅方向で互いに当接して並列した状態に戻り難くなる。すなわち、積層リングRの幅を一旦凹部の開口幅Wよりも広い状態にすると、積層リングRの幅Dは再び凹部7の開口幅Wよりも狭い状態に戻り難く、言い換えると、積層リングRの幅Dを凹部7の開口幅Wよりも広くした状態を維持し易くなる。その結果、積層リングRをエレメントEの凹部7の抜け止め部8,9と底面3aとの間に容易に嵌め込むことができるとともに、積層リングRをエレメントEの凹部7の抜け止め部8,9と底面3aとの間に確実に係合させることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。すなわち、上述した具体例では、エレメントEと共にこの発明の伝動ベルトVを構成する積層リングRとして、図面上では6層の全ての層が幅方向で幅広リングと幅狭リングとに分割された(もしくは幅方向に幅広リングと幅狭リングが並列した)いわゆる並列リングにより構成された例、あるいは外層側の3層が並列リングにより構成されその内層側の4層が単列(一条)の積層リングによって構成された例を示しているが、この発明における積層リングRは、6層,7層以外の複数層の積層リングRであってもよく、例えば9層全てが並列リングにより構成されたものでもよい。あるいは、例えば外層側の4層が並列リングにより構成されその内層側の5層が単列(一条)の積層リングによって構成されたものなどであってもよい。
また、上述した具体例では、この発明の伝動ベルトVがベルト式無段変速機に使用されている例を示しているが、この発明の伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機に限らず、ベルトとプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置の伝動ベルトにも適用することができる。
この発明に係る伝動ベルトの第1実施例における構成を示す模式図であって、その伝動ベルトの正面図である。 この発明に係る伝動ベルトの第1実施例における構成を示す模式図であって、その伝動ベルトの一部側断面図である。 第1実施例における積層リングの詳細な構成を説明するための模式図である。 この発明に係る伝動ベルトの第1実施例におけるエレメントと積層リングとの組み付け状態を説明するための模式図である。 この発明に係る伝動ベルトの第1実施例におけるエレメントと積層リングとの組み付け状態を説明するための模式図であって、特にエレメントと積層リングを組み付けた後の初期状態を示す図である。 この発明に係る伝動ベルトの第2実施例における構成を示す模式図であって、その伝動ベルトの正面図である。 第2実施例における積層リングの詳細な構成を説明するための模式図である。 この発明に係る伝動ベルトの第2実施例におけるエレメントと積層リングとの組み付け状態を説明するための模式図である。
符号の説明
E…エレメント、 R…積層リング、 V…伝動ベルト 4…プーリ、 5a,6a…内壁面、 7…凹部、 8,9…抜け止め部、 10…ロッキングエッジ、 13,14,15,16,17,18,21,22,23…並列リング、 13w,14w,15w,16w,17w,18w,21w,22w,23w…幅広リング、 13n,14n,15n,16n,17n,18n,21n,22n,23n…幅狭リング、 24…単列リング。

Claims (4)

  1. 帯状材により形成されて可撓性を有するリングを径方向に複数層重ねた積層リングと、該積層リングを収容する凹部が形成されるとともに該凹部における左右の内壁面の開口部側に該積層リングを係合させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数のエレメントとから構成され、環状に配列させた前記エレメントの列における前記両抜け止め部と前記凹部内の前記両内壁面を繋ぐ底面との間に前記積層リングを嵌め込んで組み付けた伝動ベルトにおいて、
    前記積層リングの連続する少なくとも2層は、それぞれ、最も幅が広い幅広リングと該幅広リングよりも幅が狭い少なくとも1種類の幅狭リングとを幅方向にそれぞれ並列させた並列リングにより構成されているとともに、
    前記各並列リングは、前記幅広リングと前記幅狭リングとが前記径方向に交互に積層されている
    とを特徴とする伝動ベルト。
  2. 1層の前記並列リングを構成する前記幅広リングおよび前記幅狭リングの幅の総和が前記開口部の開口幅よりも小さく、
    記幅広リングの幅の2倍が前記開口幅よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト。
  3. 帯状材により形成されて可撓性を有するリングを径方向に複数層重ねた積層リングと、該積層リングを収容する凹部が形成されるとともに該凹部における左右の内壁面の開口部側に前記積層リングを係合させてその離脱を防止する抜け止め部が形成された多数のエレメントとから構成され、環状に配列された前記エレメントの列における前記両抜け止め部と前記凹部内の前記左右両内壁面を繋ぐ底面との間に前記積層リングを嵌め込んで組み付ける伝動ベルトの組み付け方法において、
    前記積層リングの連続する少なくとも2層は、それぞれ、最も幅が広い幅広リングと該幅広リングよりも幅が狭い少なくとも1種類の幅狭リングとを幅方向にそれぞれ並列させた並列リングにより構成されるとともに、前記各並列リングは、前記幅広リングと前記幅狭リングとが前記径方向に交互に積層されていて、
    前記幅方向で互いに対向する前記各幅広リングの少なくとも一部を互いに重ね合わせることにより前記積層リングの幅を狭くした状態で該積層リングを前記凹部に嵌め込み、その後、前記互いに重ね合わせた各幅広リングを前記幅方向で互いに離隔することにより前記積層リングを前記両抜け止め部と前記底面との間に係合させることを特徴とする伝動ベルトの組み付け方法。
  4. 1層の前記並列リングを構成する前記幅広リングおよび前記幅狭リングの幅の総和が前記開口部の開口幅よりも小さく、
    前記互いに重ね合わせた各幅広リングを前記幅方向で互いに離隔した状態にすることにより前記積層リングの幅を前記開口幅よりも広くする
    ことを特徴とする請求項3に記載の伝動ベルトの組み付け方法。
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