JP2011089588A - 動力伝達用ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成によってエレメントの噛み込みの周波数を分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができる安価な動力伝達用ベルトを提供すること。
【解決手段】動力伝達用ベルトのエレメントを、積層リングの周方向に対して前後方向に隣接するエレメント30、45に当接する当接面を有し、この当接面の間の板厚に対して側面46、47の板厚tが小さく形成されたエレメント45と、エレメント45の側面46、47よりも大きい板厚tに形成される側面31、32を有するエレメント30とから構成する。
【選択図】図10

Description

本発明は、動力伝達用ベルトに関し、特に、積層リングの周方向に隣接して環状に結束された複数のエレメントを備えた動力伝達用ベルトに関する。
一般に、複数の回転部材同士の間で動力の伝達を行う場合に用いる変速機として、変速比を段階的に変化させることができる有段変速機と、変速比を連続して、すなわち、無段階に変化させることができる無段変速機とがあり、後者の無段変速機としてはベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機等が知られている。
このうち、ベルト式無段変速機(ベルト式CVT:Continuously Variable Transmission)は、間隔が変更自在な一対のシーブ面をそれぞれ有する駆動プーリおよび従動プーリの2組のプーリと、駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられる動力伝達用ベルトとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。
このようなベルト式無段変速機に用いられる動力伝達用ベルトとして、エレメントをその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらのエレメントを金属製の環状のフープを径方向に複数枚積層させてなる積層リングで環状に結束することにより、無端環状に形成されたベルトが知られている。
このような従来の動力伝達用ベルトとしては、図21に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図21において、動力伝達用ベルト1は、それぞれが無端環状のフープを積層してなり、並列に配列される一対の積層リング2、3と、一対の積層リング2、3の周方向に隣接して環状に結束される複数のエレメント4(図示1個)とから構成されている。
このような構成を有する動力伝達用ベルト1にあっては、エレメント4の幅方向の側面4a、4bが、駆動プーリおよび従動プーリのシーブ面に挟持されるようにして、駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられた状態で駆動プーリが駆動されると、エレメント4には、エレメント4と駆動プーリのシーブ面の摩擦力および駆動プーリのトルクに応じて駆動プーリからエレメント4に対して加えられるエレメントの積層方向、すなわち、エレメント4の板厚方向の圧縮力(エレメントの押し出し力)が作用する。
そして、駆動プーリのシーブ面に接触しているエレメント4に伝達された圧縮力は、駆動プーリに巻き掛けられていないエレメント4を経由して、従動プーリのシーブ面に接触しているエレメント4に伝達される。
この従動プーリのシーブ面に接触しているエレメント4に圧縮力が伝達されると、そのエレメント4と従動プーリのシーブ面との接触部分の摩擦力および伝達された圧縮力に応じて従動プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動プーリと従動プーリとの間で動力伝達用ベルト1を介して動力伝達が行われる。
ところで、このような動力伝達用ベルト1にあっては、複数のエレメント4が次々にプーリのシーブ面に噛み込まれ、この噛み込みの周期で加振力が発生して、この周期に音圧ピークを有する騒音等が発生してしまうことがある。
この噛み込みの周期に音圧ピークを有する騒音が発生する理由としては、積層リング2、3に支持されたエレメント4のピッチが一定であるため、エレメント4がプーリのシーブ面に噛み込まれる(衝突する)単位時間当たりの回数である噛み込みの周波数が一定となって、この噛み込みの周波数に音圧ピークを有する騒音が発生するからである。
このような不具合を解消するものとしては、図22に示すように、板厚t10、t11の異なる2種類のエレメント4A、4Bを用いることで、噛み込みの周波数を分散させ、音圧ピークを低減している(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−51325号公報 特許第2532253号公報
しかしながら、このような従来の動力伝達用ベルト1にあっては、噛み込みの周波数を分散させて音圧ピークを低減するために、板厚の異なる2種類のエレメント4A、4Bを用いているので、2種類の素材のエレメント4A、4Bが必要となってしまった。
すなわち、それぞれのエレメント4A、4Bは、エレメント4A、4Bの幅方向に亘ってそれぞれの板厚t10、t11が同一であるが、それぞれの板厚t10、t11に差を有する2種類のエレメント4A、4Bが必要となってしまうため、エレメント4A、4Bの素材が全く異なる2種類のエレメント4A、4Bを製造する必要があり、エレメント4A、4Bの材料費が増大してしまうという問題があった。
また、積層リング2、3の強度を確保する観点から、エレメント4A、4Bの板厚を変更することは、エレメント4A、4Bの製造の難易度が高くなってしまい、周波数の分散を効果的に行うことが困難である。
具体的には、エレメント4の板厚を大きくした場合には、駆動プーリと従動プーリにエレメントが巻き掛かる際に、積層リング2、3の曲げ応力が増加してしまい、積層リング2、3の強度の低下を招いてしまう。また、エレメント4の板厚を小さくした場合には、エレメント4単体の強度が低下してしまう。
この点を鑑みて、一方のエレメント4Aの板厚を、積層リング2、3およびエレメント4A単体の強度を低下させないような板厚に設定した場合には、他方のエレメント4Bの板厚を大きくすると、駆動プーリと従動プーリにエレメント4Bが巻き掛かる際に、積層リング2、3の曲げ応力が増加してしまい、積層リング2、3の強度の低下を招いてしまう。また、一方のエレメント4Aに対して、他方のエレメント4Bの板厚を小さくすると、エレメント4B単体の強度が低下してしまう。このように、一方のエレメント4Aの板厚に合わせて他方のエレメント4Bの板厚を設定することが困難となってしまう。
したがって、積層リング2、3およびエレメント4A、4B単体の強度を低下させることなしに、エレメント4A、4Bの板厚がそれぞれ最適な板厚になるように変更することは、エレメント4A、4Bの製造の難易度が高くなってしまうのである。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、簡単な構成によってエレメントの噛み込みの周波数を分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができる安価な動力伝達用ベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る動力伝達用ベルトは、上記目的を達成するため、(1)無端環状のフープを積層してなる積層リングと、前記積層リングの周方向に隣接して環状に結束された複数のエレメントとを含んで構成され、前記エレメントの幅方向両側面が、間隔を変更自在に対向する一対のシーブ面を有するプーリの前記シーブ面に挟持される動力伝達用ベルトであって、前記エレメントが、前記積層リングの周方向に対して前後方向に隣接するエレメントに当接する当接面を有し、前記当接面の間の板厚に対して前記幅方向両側面の板厚が小さく形成された第1のエレメントと、前記第1のエレメントの幅方向両側面に対して異なる大きさの板厚に形成される幅方向両側面を有する第2のエレメントとを備えたものから構成されている。
この構成により、幅方向両側面の板厚が小さい第1のエレメントを第2のエレメントと組み合わせて積層リングに組み付けることで、プーリのシーブ面に噛み込まれる個々のエレメントの噛み込みのタイミングをずらすことができる。このため、エレメントの噛み込みの周波数を分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができる。
また、エレメントの板厚を幅方向に亘って小さくするのではなく、第1のエレメントの幅方向両側面の板厚のみを小さくすることにより、第1のエレメントおよび第2のエレメントの噛み込みの周波数を分散させることができるため、エレメントの幅方向に亘って板厚の異なる複数種類のエレメントを製造するのを不要にして第1のエレメントと第2のエレメントの製造を容易に行うことができ、第1のエレメントと第2のエレメントの製造コストが増大するのを防止することができる。
上記(1)に記載の動力伝達用ベルトにおいて、(2)前記第1のエレメントは、前記第1のエレメントの一方の前記当接面から前記幅方向両側面に向かって他方の前記当接面側に傾斜するテーパ面を有するものから構成されている。
この構成により、第1のエレメントに、第1のエレメントの一方の当接面から幅方向両側面に向かって他方の当接面側に傾斜するテーパ面を形成することにより、第1のエレメントの幅方向両側面の板厚を小さくしているので、第1のエレメントを金型によって樹脂成形する場合や、金属製の第1のエレメントにテーパ面を切削加工する場合等に、テーパ面の任意の個所に応力が集中するのを防止することができ、第1のエレメントの強度が低下してしまうのを防止することができる。
上記(1)または(2)に記載の動力伝達用ベルトにおいて、(3)前記第2のエレメントが、前記積層リングの周方向に対して前後方向に隣接するエレメントに当接する当接面を有し、前記当接面の間の板厚が、前記第2のエレメントの幅方向に亘って同一であるものから構成されている。
この構成により、第2のエレメントの幅方向両側面の板厚を小さくすることにより、第1のエレメントを製造することができるため、同一の素材のエレメントを使って第1のエレメントと第2のエレメントを得ることができる。
このため、幅方向に亘って異なる同一の板厚を有する複数種類のエレメントを製造する必要がなく、第1のエレメントおよび第2のエレメントの製造の難易度が高くなるのを防止することができる。この結果、第1のエレメントおよび第2のエレメントの製造作業の作業性を向上させて第1のエレメントおよび第2のエレメントの製造コストが増大するのを防止することができる。
上記(1)ないし(3)に記載の動力伝達用ベルトにおいて、(4)前記第1のエレメントが、前記第1のエレメントの幅方向両側面の板厚が異なる少なくとも1種類以上のエレメントから構成されている。
この構成により、幅方向両側面の板厚が小さく、かつ、幅方向両側面の板厚が異なる少なくとも1種類以上の第1のエレメントを第2のエレメントと組み合わせて積層リングに組み付けることで、プーリのシーブ面に噛み込まれる個々のエレメントの噛み込みのタイミングをより一層ずらすことができる。このため、エレメントの噛み込みの周波数をより一層分散させて音圧のピークをより一層低減することができ、騒音が発生するのをより一層抑制することができる。
本発明によれば、複数のエレメントを積層リングに容易に組み付けることができ、動力伝達用ベルトの組み付け作業の作業性を向上させることができる動力伝達用ベルトを提供することができる。
本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、動力伝達用ベルトを備えるベルト式無段変速機の概略構成図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、動力伝達用ベルト、駆動プーリおよび従動プーリの構成図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第1のエレメント側から見たの動力伝達用ベルトの正面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、積層リングの斜視図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第1のエレメントの一部を断面で示す動力伝達用ベルトの要部側面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第1のエレメントの斜視図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第2のエレメント側から見た動力伝達用ベルトの正面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第2のエレメントの斜視図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、第2のエレメントの一部を断面で示す動力伝達用ベルトの要部側面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、2種類のエレメントを無作為に組み付けた状態のエレメントの上面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、エレメントがシーブ面に噛み込まれるときの噛み込み力と噛み込みのタイミングを表す図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、エレメントがシーブ面に噛み込まれるときの噛み込み周波数と音圧の関係を示す図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図であり、3種類のエレメントを無作為に組み付けた状態のエレメントの上面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、動力伝達用ベルト、駆動プーリおよび従動プーリの構成図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第1のエレメント側から見た動力伝達用ベルトの正面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第1のエレメントの一部を断面で示す動力伝達用ベルトの要部側面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第1のエレメントの斜視図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第2のエレメント側から見た動力伝達用ベルトの正面図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第2のエレメントの斜視図である。 本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、2種類のエレメントを無作為に組み付けた状態のエレメントの上面図である。 従来のエレメントの正面図である。 従来の板厚の異なるエレメントを組み付けた状態のエレメントの上面図である。
以下、本発明に係る動力伝達用ベルトの実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図13は、本発明に係る動力伝達用ベルトの第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1、図2において、ベルト式無段変速機(ベルト式CVT:Continuously Variable Transmission)は、入力軸21に取付けられたプーリとしての駆動プーリ22および出力軸23に取付けられたプーリとしての従動プーリ24に動力伝達用ベルト25が巻き掛けられて使用されている。
駆動プーリ22および従動プーリ24は、V溝の幅を無段階に変えられる1対のシーブ26、27をそれぞれ備えており、1対のシーブ26、27によって構成されるV溝の幅を変えることによって動力伝達用ベルト25の駆動プーリ22および従動プーリ24に対する巻付け半径が可変することにより、入力軸21と出力軸23との間の回転数比、すなわち、変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
シーブ26は、入力軸21に平行な方向に移動可能な可動シーブ28と、入力軸21に固定された固定シーブ29とを含んで構成されており、可動シーブ28に形成されたシーブ面28aと固定シーブ29に形成されたシーブ面29aとの間に動力伝達用ベルト25が挟持されている。
可動シーブ28のシーブ面28aおよび固定シーブ29のシーブ面29aは、シーブ面28a、29a同士の間隔が駆動プーリ22の径方向内側ほど狭くなるとともに、駆動プーリ22の径方向外側ほど広くなるように、駆動プーリ22の径方向に対して傾斜している。
また、従動プーリ24のシーブ27は、駆動プーリ22のシーブ26と同様に、シーブ面34aを有する可動シーブ34およびシーブ面35aを有する固定シーブ35から構成されている。
可動シーブ28には、可動シーブ28に供給される油圧力によって入力軸21に平行な方向の推力が作用するようになっており、この推力によって、可動シーブ28が入力軸21に平行な方向に移動することで、対向するシーブ面28aとシーブ面29aの間隔が変化するとともに、動力伝達用ベルト25がシーブ面28a、29aに対して駆動プーリ22の径方向に摺動する。
この動力伝達用ベルト25の駆動プーリ22の径方向の摺動によって、動力伝達用ベルト25の駆動プーリ22および従動プーリ24への掛かり径が連続的に変化することで、ベルト式無段変速機の変速比が連続的に変化する。
図2に示すように、動力伝達用ベルト25は、多数のエレメントを備えており、本実施の形態では、エレメントが2種類設けられている。すなわち、エレメントは、第2のエレメントを構成するエレメント30と第1のエレメントを構成するエレメント45とから構成されており、エレメント30、45は、例えば、金属製の板片状の部材から構成されている。なお、図2においては、エレメント30、45の一部のみを図示している。
まず、エレメント30の構成を説明する。
図3に示すように、エレメント30は、幅方向(図3のX方向)における左右の側面31、32(幅方向両側面)がテーパ状の傾斜した面として形成された本体33を有し、このテーパ状に傾斜した側面31、32が可動シーブ28および固定シーブ29のシーブ面28a、29aおよび図3に図示しない従動プーリ24の可動シーブ34および固定シーブ35のシーブ面34a、35aに摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面を構成している。
また、本体33の幅方向(図3のX方向)における中央部には本体33の上端面33aから上方に突出する首部36が形成されており、首部36の突出方向先端部には本体33の幅方向外方に傘状に突出し、突出方向先端部に積層リング37、38(図4参照)の径方向外周面37b、38bと一定の隙間を介して離隔する頭部39が形成されている。
このため、本体33の上端面33aと頭部39の内周面39aの間には、本体33の幅方向に開いたスリット部40、41が形成されることになり、このスリット部40、41に積層リング37、38が並列に配列されている。
そして、この積層リング37、38は、頭部39に係合することによってスリット部40、41、すなわち、本体33の上端面33aから脱落しないようにスリット部40、41に収容される。このため、本体33の上端面33aが積層リング37、38の径方向内周面37a、38aを載置するサドル面を構成する。
積層リング37、38は、例えば、金属製の環状のフープを径方向に複数枚積層させて形成したものから構成されており、積層リング37、38は、互いに材質、強度および周長(具体的には最内周面の周長)が等しいものから構成されている。本実施の形態では、エレメント30、45および積層リング37、38が動力伝達用ベルト25を構成している。
また、エレメント30は、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント(エレメント30またはエレメント45)に当接する当接面30a、30bを有し(図5参照)、当接面30a、30bの間の板厚は、エレメント30の幅方向に亘って同一となっている(図6参照)。なお、当接面30aが一方の当接面を構成し、当接面30bが他方の当接面を構成する。
また、エレメント30は、環状に配列された状態で積層リング37、38に結束され、この状態で駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられるようになっているため、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた状態では、エレメント30が、駆動プーリ22および従動プーリ24のそれぞれの中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、エレメント30の図5に示す下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。
すなわち、本体33の一方の面(例えば、図5における当接面30a)における本体33の上端面33aより所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。
したがって、エレメント30が扇形に拡がって接触する状態、言い換えると、エレメント30が駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されて動力伝達用ベルト25が湾曲する状態の場合に、エレメント30の板厚の変化する境界部分で接触する。
この境界分のエッジが、ロッキングエッジ42となっており、エレメント30が円弧状に湾曲した配列状態となった場合に、ロッキングエッジ42が隣接する他のエレメント30、45に接触する。
すなわち、動力伝達用ベルト25は、図2に示すように、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた巻き掛け部M1と、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられていない直線状の弦部N1とから構成されており、エレメント30が巻き掛け部M1に巻き掛けられたときに、ロッキングエッジ42が隣接する他のエレメント30、45に接触するようになっている。
また、エレメント30の頭部39には、エレメント30が駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態においてエレメント30の相対的な位置を決めるためのディンプル43とホール44とが形成されている(図5参照)。
具体的には、エレメント30の一方の面である頭部39の一方の面側(図5では、ロッキングエッジ42のある面側)に凸となる円錐台形のディンプル43が形成されており、エレメント30の他方の面である頭部39の他方の面(図5では、ロッキングエッジ42が形成されていない面)には、隣接するエレメント30におけるディンプル43を遊嵌させる有底円筒状のホール44が形成されている。
したがって、動力伝達用ベルト25の直線状態でディンプル43をホール44に遊嵌することによって、その状態におけるエレメント30同士の図3における左右方向および上下方向の相対位置を決めてエレメント30、45を積層方向に整列させることができ、例えば、ベルト式無段変速機が運転される場合に、動力伝達用ベルト25のがたつきを防止して動力伝達用ベルト25を安定して走行させることができる。
図7〜図9に示すように、エレメント45は、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント(エレメント30またはエレメント45)に当接する当接面45a、45bを備えており、(図7のX方向)における左右の側面46、47(幅方向両側面)の板厚が当接面45a、45bの間の板厚に対して小さく形成されている。
具体的には、エレメント45は、当接面45aから側面46、47に向かって当接面45b側に傾斜するテーパ面48、49を有しているため、当接面45a、45bの間の板厚に対して側面46、47の板厚が小さく形成されている。
なお、エレメント45は、テーパ面48、49以外の構成は、エレメント30と同一であるため、エレメント30と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。また、エレメント30の側面31、32は、エレメント45の側面46、47に対して異なる大きさの板厚に形成されている。
次に、作用を説明する。
本実施の形態では、図10に示すように、板厚tの側面31、32を有するエレメント30と板厚tよりも小さい板厚tの側面46、47を有するエレメント45を無作為に組み合わせて積層リング37、38に取付けることにより、動力伝達用ベルト25を構成している。
このような構成を有する動力伝達用ベルト25は、図2に示すように、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた状態で駆動プーリ22が駆動されると、動力伝達用ベルト25は、シーブ26、27による挟圧力により径方向での外側に荷重が作用するが、エレメント30、45が積層リング37、38によって結束されているので、積層リング37、38の張力により径方向での外側への移動が規制される。
エレメント30、45は、当接面30a、30b、45a、45bを介して当接しているため、エレメント30、45には、エレメント30、45と駆動プーリ22との接触部分の摩擦力および駆動プーリ22のトルクに応じて駆動プーリ22からエレメント30、45に対して加えられるエレメント30、45の積層方向、すなわち、エレメント30、45の板厚方向の圧縮力(エレメント30、45の押し出し力)が作用する。
そして、駆動プーリ22に接触しているエレメント30、45に伝達された圧縮力は、駆動プーリ22に巻き掛けられていないエレメント30、45を経由して、従動プーリ24に接触しているエレメント30、45に伝達される。
図2に示すように、動力伝達用ベルト25は、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた巻き掛け部M1と、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられていない直線状の弦部N1とから構成されており、従動プーリ24に接触しているエレメント30、45に圧縮力が伝達されると、エレメント30、45と従動プーリ24との接触部分の摩擦力および伝達された圧縮力に応じて従動プーリ24を回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動プーリ22と従動プーリ24との間で動力伝達用ベルト25を介して動力伝達が行われる。
一方、エレメント30、45が、例えば、駆動プーリ22のシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる場合には、エレメント30、45のそれぞれの側面31、32、46、47がシーブ26のシーブ面28a、29aに突き当てられることにより、シーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
図11は、エレメント30、45がシーブ26のシーブ面28a、29aにそれぞれ噛み込まれる時期と噛み込み力を表した図であり、噛み込み力が発生するタイミングは、エレメント30、45の側面31、32、46、47がシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる瞬間である。
図10、図11においては、最初に、進行方向前方のエレメント30の側面31、32がシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる。このエレメント30の後方には板厚tの側面46、47を有するエレメント45が隣接しており、エレメント45のテーパ面48、49と前方のエレメント30の間に一定の隙間が形成されるため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。なお、図10、図11において、T1>T3>T2となっている。
エレメント45の後方にはエレメント45の側面46、47の板厚tよりも大きい板厚tの側面31、32を有するエレメント30が隣接しているため、エレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT2秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント30の後方にはエレメント30の側面31、32の板厚tと同じ板厚tの側面31、32を有するエレメント30が隣接しているため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント30の後方には、エレメント45が隣接しており、エレメント45のテーパ面48、49と前方のエレメント30の間に一定の隙間が形成されるため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント45の後方にはエレメント30が隣接しているため、エレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT2秒経過後にエレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
また、エレメント30の後方にはエレメント30が隣接しているため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
このようにしてシーブ面28a、29aに噛み込まれる個々のエレメント30、45の噛み込みのタイミングをずらしながら、個々のエレメント30、45を駆動プーリ22のシーブ26のシーブ面28a、29aに順次噛み込ませていく。なお、エレメント30、45が従動プーリ24のシーブ27のシーブ面34a、35aに噛み込まれるときのタイミングも駆動プーリ22側と同様である。
このように本実施の形態では、動力伝達用ベルト25のエレメントを、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント30、45に当接する当接面45a、45bを有し、この当接面45a、45bの間の板厚に対して側面46、47の板厚tが小さく形成されたエレメント45と、エレメント45の側面46、47よりも大きい板厚tに形成される側面31、32を有するエレメント30とから構成したので、エレメント30およびエレメント45を組み合わせて積層リング37、38に組み付けることで、シーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる個々のエレメント30、45の噛み込みのタイミングをずらすことができる。
このため、図12の破線で示すように、エレメント30、45の噛み込みの周波数を周波数fから分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができる。図12において、実線は、従来のように一定の板厚を有するエレメントを組み合わせた場合の噛み込み周波数であり、噛み込みの周波数fに大きな音圧ピークを有している。
本実施の形態では、エレメント30、45の噛み込みの周波数を3つ(T1、T2、T3にそれぞれ応じた周波数)に分散させることができるため、従来の動力伝達用ベルトに比べて音圧ピークを大幅に低減することができ、騒音を大幅に低減することができる。
また、本実施の形態では、エレメント45の板厚を幅方向に亘って小さくするのではなく、エレメント45の側面46、47の板厚を小さくすることにより、エレメント30、45の噛み込みの周波数を分散させることができるため、エレメント45の幅方向に亘って板厚の異なる複数種類のエレメントを製造するのを不要にして、エレメント30とエレメント45の製造を容易に行うことができ、エレメント30とエレメント45の製造コストが増大するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、エレメント45に、当接面45aから側面46、47に向かって当接面45b側に傾斜するテーパ面48、49を設けることにより、エレメント30の側面31、32の板厚を小さくしているので、金属製のエレメント45にテーパ面48、49を切削加工する場合に、テーパ面48、49の任意の個所に応力が集中するのを防止することができ、エレメント45の強度が低下してしまうのを防止することができる。
なお、エレメント45は、金属製でなく、樹脂製であってもよく、エレメント45を金型によって樹脂成形する場合には、テーパ面48、49の任意の個所に応力が集中するのを防止することができ、エレメント45の強度が低下してしまうのを防止することができる。
また、本実施の形態では、エレメント30の当接面30a、30bの間の板厚が、エレメント30の幅方向に亘って同一に形成されているので、エレメント30の側面31、32の板厚を小さくすることにより、エレメント45を製造することができ、同一の素材のエレメントを使ってエレメント30、45を得ることができる。
このため、幅方向に亘って異なる同一の板厚を有する複数種類のエレメントを製造する必要がなく、エレメント30、45の製造の難易度が高くなるのを防止することができ、エレメント30、45の製造作業の作業性を向上させてエレメント30、45の製造コストが増大するのを防止することができる。
なお、本実施の形態では、側面31、32、46、47の板厚が異なる2種類のエレメント30、45を設けているが、図13に示すように、エレメント45の側面46、47の板厚tよりも小さい板厚tの側面51、52を有するエレメント50を、エレメント30、45に無作為に組み合わせて動力伝達用ベルト25を構成してもよい。
この場合には、最初に、進行方向前方のエレメント30の側面31、32がシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる。エレメント30の後方にはエレメント30の側面31、32の板厚tよりも小さい板厚tの側面51、52を有するエレメント50が隣接しており、エレメント50のテーパ面53、54とエレメント30の間に一定の隙間が形成されるため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント50の側面51、52がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。なお、図14において、T1>T4>T2>T3>T5となっている。
エレメント50の後方にはエレメント50の側面51、52の板厚tよりも大きい板厚tの側面46、47を有するエレメント45が隣接しているため、エレメント50の側面51、52がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT2秒経過後にエレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント45の後方にはエレメント30が隣接しているため、エレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント30の後方には板厚tの側面46、47を有するエレメント45が隣接しているため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT4秒経過後にエレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント45の後方には板厚tの側面31、32を有するエレメント30が隣接しているため、エレメント45の側面46、47がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント30の後方には板厚tの側面51、52を有するエレメント50が隣接しているため、エレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント50の側面51、52がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント50の後方には板厚tの側面31、32を有するエレメント30が隣接しているため、エレメント50の側面51、52がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT5秒経過後にエレメント30の側面31、32がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
このようにして駆動プーリ22のシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる個々のエレメント30、45、50の噛み込みのタイミングをずらしながら、個々のエレメント30、45、50をシーブ26のシーブ面28a、29aに順次噛み込ませていく。
このようにした場合には、エレメント30、45、50の噛み込みの周波数をより分散させて音圧のピークをより低減することができ、騒音が発生するのをより一層抑制することができる。
なお、このように幅方向に一定の板厚を有するエレメント30に対して、側面46、47、51、52の幅が異なるエレメント45、50を2種類設けているが、幅方向両側面の板厚が異なるエレメントを3種類以上設けてもよい。
このようにすれば、エレメント30、45、50の噛み込みの周波数をさらに分散させて音圧のピークをさらに低減することができ、騒音が発生するのをより一層抑制することができる。
(第2の実施の形態)
図14〜図20は、本発明に係る動力伝達用ベルトの第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図14に示すように、動力伝達用ベルト61は、多数のエレメントを備えており、このエレメントは、例えば、金属製の板片状の部材から構成されている。本実施の形態では、エレメントが2種類設けられており、第2のエレメントを構成するエレメント62と第1のエレメントを構成するエレメント81とから構成されている。
まず、エレメント62の構成を説明する。
図15〜図17において、このエレメント62は、エレメント62の幅方向(図15のX軸方向)の左右の側面63、64がテーパ状の傾斜した面として形成された本体65を有し、そのテーパ状に傾斜した側面63、64がベルト式無段変速機のシーブ26のシーブ面28a、29aあるいはシーブ27のシーブ面34a、35aに摩擦接触することにより、駆動プーリ22から従動プーリ24にトルクを伝達するようになっている。
エレメント62の本体65の幅方向(図15のX軸方向)における左右の両端部分にはエレメント62の上下方向(図15のY軸方向)で本体65の上端面65aから上方に突出する左右の柱部66、67がそれぞれ形成されており、本体65の上端面65aと、柱部66、67の本体65の幅方向における中央を向いた左右の内側面66a、67aとによってエレメント62の上側(図15のY軸方向での上側)、すなわち、動力伝達用ベルト61の外周側に開口した凹部68が形成されている。このため、内側面66a、67aは凹部68の内側面を構成している。
凹部68は、互いに密着して環状に配列されたエレメント62を環状に結束するための無端環状の積層リング37、38(図4参照)を並列に配列して収容するようになっており、上端面65aが、積層リング37、38の径方向内周面(すなわち、積層リング37、38の径方向内周側に位置するリング)37a、38aを接触させて載置するためのサドル面を構成している。本実施の形態では、エレメント62、81および積層リング37、38が動力伝達用ベルト61を構成している。
柱部66、67の突出方向先端部には柱部66、67から本体65の幅方向内方に向かって突出し、突出方向先端部に積層リング37、38の径方向外周面37b、38bと一定の隙間を介して離隔する抜け止め部69、70が形成されており、この抜け止め部69、70の突出方向先端面69a、70aによって凹部68の開口が形成されている。したがって、凹部68の開口は、積層リング37、38の幅の総和よりも小さい開口幅となっている。
また、エレメント62は、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント(エレメント62またはエレメント81)に当接する当接面62a、62bを有し、側面63、64の間の板厚は、エレメント62の幅方向に亘って同一となっている。
この動力伝達用ベルト61を構成する多数のエレメント62は、互いに対向して環状に配列された状態で積層リング37、38によって結束され、その状態で駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられる。
したがって、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた状態では、エレメント62が、駆動プーリ22および従動プーリ24の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、エレメント62の図16中、下方部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。
すなわち、本体65の一方の面(例えば、図16における当接面62a)における上端面65aより所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。
したがって、エレメント62が扇形に拡がって接触する状態、言い換えると、エレメント62が駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されて動力伝達用ベルト61が湾曲する状態で、その板厚の変化する境界部分で接触する。
この境界部分のエッジが、所謂、ロッキングエッジ71となっており、エレメント62が円弧状に湾曲した配列状態となった場合に(図14参照)、ロッキングエッジ71が隣接する他のエレメント62またはエレメント81に接触する。
また、エレメント62の当接面62a、62bには、エレメント62が駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態においてエレメント62の相対的な位置を決めるためのディンプル72とホール73とが形成されている。
したがって、動力伝達用ベルト61の直線状態でディンプル72をホール73に遊嵌することによって、その状態におけるエレメント62同士の図15での左右方向および上下方向の相対位置を決めてエレメント62を積層方向に整列させることができ、例えば、ベルト式無段変速機が運転される場合に、動力伝達用ベルト61のがたつきを防止して動力伝達用ベルト61を安定して走行させることができる。
図18、図19に示すように、エレメント81は、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント(エレメント62またはエレメント81)に当接する当接面81a、81bを備えており、(図18のX方向)における左右の側面82、83(幅方向両側面)の板厚が当接面81a、81bの間の板厚に対して小さく形成されている。
具体的には、エレメント81は、一方の当接面81aから側面82、83に向かって他方の当接面81b側に傾斜するテーパ面84、85を有しているため、当接面81a、81bの間の板厚に対して側面82、83の板厚が小さく形成されている。
なお、エレメント81は、テーパ面84、85以外の構成は、エレメント62と同一であるため、エレメント62と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。また、エレメント62の側面63、64は、エレメント81の側面82、83に対して異なる大きさの板厚に形成されている。
このような構成を有する動力伝達用ベルト61は、図14に示すように、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた状態で駆動プーリ22が駆動されると、動力伝達用ベルト61は、シーブ26、27による挟圧力により径方向での外側に荷重が作用するが、エレメント62、81が積層リング37、38によって結束されているので、積層リング37、38の張力により径方向での外側への移動が規制される。
エレメント62、81は、当接面62a、62b、81a、81bを介して当接しているため、エレメント62、81には、エレメント62、81と駆動プーリ22との接触部分の摩擦力および駆動プーリ22のトルクに応じて駆動プーリ22からエレメント62、81に対して加えられるエレメント62、81の積層方向、すなわち、エレメント62、81の板厚方向の圧縮力(エレメント62、81の押し出し力)が作用する。
そして、駆動プーリ22に接触しているエレメント62、81に伝達された圧縮力は、駆動プーリ22に巻き掛けられていないエレメント62、81を経由して、従動プーリ24に接触しているエレメント62、81に伝達される。
図14に示すように、動力伝達用ベルト61は、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられた巻き掛け部M1と、駆動プーリ22および従動プーリ24に巻き掛けられていない直線状の弦部N1とから構成されており、従動プーリ24に接触しているエレメント62、81に圧縮力が伝達されると、エレメント62、81と従動プーリ24との接触部分の摩擦力および伝達された圧縮力に応じて従動プーリ24を回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動プーリ22と従動プーリ24との間で動力伝達用ベルト61を介して動力伝達が行われる。
本実施の形態では、図20に示すように、板厚tの側面63、64を有するエレメント62と板厚tよりも小さい板厚tの側面82、83を有するエレメント81を無作為に組み合わせて積層リング37、38に取付けることにより、動力伝達用ベルト61を構成している。
図20において、最初に、進行方向前方のエレメント62の側面63、64がシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる。エレメント62の後方にはエレメント62の側面63、64の板厚tよりも小さい板厚tの側面82、83を有するエレメント81が隣接しており、エレメント81のテーパ面84、85とエレメント62の間に一定の隙間が形成されるため、エレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント81の側面82、83がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。なお、図20において、T1>T3>T2となっている。
エレメント81の後方には板厚tの側面63、64を有するエレメント62が隣接しているため、エレメント81の側面82、83がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT2秒経過後にエレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント62の後方には板厚tと同じ板厚tの側面63、64を有するエレメント62が隣接しているため、エレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント62の後方には板厚tの側面82、83を有するエレメント81が隣接しているため、エレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT1秒経過後にエレメント81の側面82、83がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント81の後方には板厚tの側面63、64を有するエレメント62が隣接しているため、エレメント81の側面82、83がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT2秒経過後にエレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
エレメント62の後方には板厚tの側面63、64を有するエレメント62が隣接しているため、エレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれてからT3秒経過後にエレメント62の側面63、64がシーブ面28a、29aに噛み込まれる。
このようにしてシーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる個々のエレメント62、81の噛み込みのタイミングをずらしながら、個々のエレメント62、81をシーブ面28a、29aに順次噛み込ませていく。
本実施の形態では、動力伝達用ベルト61のエレメントを、積層リング37、38の周方向に対して前後方向に隣接するエレメント62、81に当接する当接面81a、81bを有し、この当接面81a、81bの間の板厚に対して側面82、83の板厚tが小さく形成されたエレメント81と、エレメント81の側面82、83よりも大きい板厚tに形成される側面63、64を有するエレメント62とから構成したので、エレメント62およびエレメント81を組み合わせて積層リング37、38に組み付けることで、シーブ26のシーブ面28a、29aに噛み込まれる個々のエレメント30、45の噛み込みのタイミングをずらすことができる。
このため、図12の破線で示すように、第1の実施の形態と同様にエレメント62、81の噛み込みの周波数を分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができる。
また、本実施の形態にあっても、幅方向に一定の板厚を有するエレメント62に対して、側面の幅が異なるエレメントを2種類以上設けてもよい。このようにすれば、エレメントの噛み込みの周波数をさらに分散させて音圧のピークをさらに低減することができ、騒音が発生するのをより一層抑制することができる。
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る動力伝達用ベルトは、安価で簡単な構成によってエレメントの噛み込みの周波数を分散させて音圧のピークを低減することができ、騒音が発生するのを抑制することができるという効果を有し、積層リングの周方向に隣接して環状に結束された複数のエレメントを備えた動力伝達用ベルト等として有用である。
22 駆動プーリ(プーリ)
24 従動プーリ(プーリ)
25、61 動力伝達用ベルト
28a、29a、34a、35a シーブ面
30、45、50、62、81 エレメント
30a、30b、45a、45b、62a、62b、81a、81b 当接面
31、32、46、47、51、52、63、64、82、83 側面
37、38 積層リング
48、49、53、54 テーパ面

Claims (4)

  1. 無端環状のフープを積層してなる積層リングと、前記積層リングの周方向に隣接して環状に結束された複数のエレメントとを含んで構成され、前記エレメントの幅方向両側面が、間隔を変更自在に対向する一対のシーブ面を有するプーリの前記シーブ面に挟持される動力伝達用ベルトであって、
    前記エレメントが、前記積層リングの周方向に対して前後方向に隣接するエレメントに当接する当接面を有し、前記当接面の間の板厚に対して前記幅方向両側面の板厚が小さく形成された第1のエレメントと、前記第1のエレメントの幅方向両側面に対して異なる大きさの板厚に形成される幅方向両側面を有する第2のエレメントとを備えたことを特徴とする動力伝達用ベルト。
  2. 前記第1のエレメントは、前記第1のエレメントの一方の前記当接面から前記幅方向両側面に向かって他方の前記当接面側に傾斜するテーパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達用ベルト。
  3. 前記第2のエレメントが、前記積層リングの周方向に対して前後方向に隣接するエレメントに当接する当接面を有し、前記当接面の間の板厚が、前記第2のエレメントの幅方向に亘って同一であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達用ベルト。
  4. 前記第1のエレメントが、前記第1のエレメントの幅方向両側面の板厚が異なる少なくとも1種類以上のエレメントから構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の動力伝達用ベルト。
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