JP4356635B2 - 伝動ベルト - Google Patents

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Description

この発明は、二つの回転部材の間に巻き掛けられてその間で動力を伝達する、環状の帯状体とエレメントとからなる伝動ベルトに関するものである。
一般に、二つの回転部材同士の間で動力の伝達をおこなう場合に用いる変速機として、有段変速機と無段変速機とがあり、無段変速機としてはベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機などが知られている。このうち、ベルト式無段変速機は、伝動ベルトと、駆動側プーリおよび従動側プーリの二組のプーリとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。また、そのようなベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトとしては、例えばエレメントあるいはブロックと称される多数の板片をその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらの板片をフープあるいはリングなどと称される環状の帯状体で環状に結束することによって、無端環状に形成されたベルトが知られている。
このような伝動ベルトが、駆動側および従動側の二組のプーリに巻き掛けられ、駆動側プーリが駆動されると、エレメントには、エレメントと駆動側プーリとの接触部分の摩擦力、および、駆動側プーリのトルクに応じて駆動側プーリからエレメントに対して加えられるエレメントの積層方向すなわちエレメントの厚さ方向の圧縮力が作用する。そして、駆動側プーリに接触しているエレメントに伝達された圧縮力は、プーリに巻き掛けられていない直線状態の各エレメントを経由して、従動側プーリに接触しているエレメントに伝達される。この従動側プーリに接触しているエレメントに圧縮力が伝達されると、そのエレメントと従動側プーリとの接触部分の摩擦力、および伝達された圧縮力に応じて従動側プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動側プーリと従動側プーリとの間で、伝動ベルトを介して動力伝達がおこなわれる。
上記のような伝動ベルトおよびその伝動ベルトを構成するエレメントの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている高負荷伝動用ベルトに用いられるブロック体(エレメント)は、ブロック体の上下方向および左右方向の動き、あるいはブロック体同士の揺動を規制することを目的として、そのヘッド(頭部)に上突起部が設けられ、また本体部のテーパ開始ライン(ロッキングエッジ)より下方側に離れた位置に下突起部が設けられているとともに、それらの上下突起部が設けられている一方の面とは反対の他方の面におけるそれら上下突起部に対応した位置に、段状の上下棚部が設けられている。そして、上突起部が上棚部に、下突起部が下棚部にそれぞれ設置されることにより、ブロック体が互いに係合するように形成されている。
そのため、ブロック体がプーリに巻き掛かる際に、各ブロック体の上下方向および左右方向の動きが規制され、さらにブロック体が上突起部を軸として揺動することも規制され、その結果ブロック体の局部的な疲労および摩耗を抑制することができる、とされている。
また、特許文献2には、ベルト式無段変速機構の駆動装置に用いられるブロック片(エレメント)として、一方の側面に複数の凸部が形成されるとともに、他方の側面にそれら複数の凸部にそれぞれ嵌合することのできる複数の凹部が形成されたブロック片が記載されている。すなわち、この特許文献2に記載されているブロック片は、互いに隣接するブロック片同士が、凹凸嵌合部を支点とした上下の揺動を抑制することを目的として、上記の特許文献1に記載されているブロック体と同様に、ブロック片の頭部と本体部とに、互いに係合する凹凸部がそれぞれ設けられている。
さらに、非特許文献1には、ブロック間の上下位置がずれることにより、ブロック整列用のディンプルとホールとに上下方向の干渉が起きてブロックに生じる応力が大きくなったり、ブロック間の相対角度がずれることにより、フープおよびブロックに生じる応力が大きくなることの防止を目的として、ブロックの頭部に、隣接するブロックに対向する対向面の一方にディンプルが、他方にホールが形成されるとともに、それらのディンプルおよびホールとは別に、ブロックの本体部に、互いに係合する凹凸部が形成されているブロックが記載されている。そしてこの非特許文献1に記載されているブロックは、ディンプルとホールとによる係合部ではブロックの上下方向への移動は許容され、ディンプルおよびホールとは別の凹凸部による係合部でブロック間の相対回転が規制されるように構成されている。
特開平3−255247号公報 実開昭61−97646号公報 発明協会公開技報公技番号2001−765号
上記の各文献に記載されているような伝動ベルトが二組のプーリに巻き掛けられると、伝動ベルトの状態は、エレメントが前記プーリに巻き掛からずに直線状に配列されるベルト直線状態の部分と、エレメントがプーリに巻き掛かって円弧状に湾曲して配列されるベルト湾曲状態の部分とに分けられる。このうち、ベルト直線状態では、伝動ベルトの走行中に、隣接するエレメント同士の相対位置が上下方向あるいは左右方向へずれると、伝動ベルトが大きく波打ったり、蛇行したりする場合がある。そのため、従来のエレメントには、通常、エレメントの頭部に、ベルト直線状態で互いに係合するディンプル(凸部)とホール(凹部)とが設けられている。
一方、ベルト湾曲状態では、プーリに巻き掛かったエレメントは、プーリの固定シーブと可動シーブとに挟み込まれるため、上下方向あるいは左右方向への移動は規制されるものの、プーリ間の芯ずれなどの影響により、エレメントがプーリの径方向を軸として回転した状態、すなわちいわゆるエレメントのヨーイングが発生する場合がある。エレメントがプーリに巻き掛かった状態でエレメントのヨーイングが発生すると、エレメントとプーリとが片当たりし、すなわちエレメントの左右側面のコーナーエッジ部とプーリのベルト巻き掛け溝とが線接触し、それらの接触部分が偏摩耗して伝動ベルトおよびプーリの耐久性を低下させてしまう。そこで、上記の各文献に記載されているエレメントでは、エレメントの頭部に設けられたベルト直線状態で互いに係合するディンプルおよびホールとは別に、エレメントの本体部に、ベルト湾曲状態で互いに係合する凹部と凸部とを設けることにより、エレメントの上下・左右方向の移動、あるいはヨーイング方向の移動を規制し、エレメントとプーリとの間の偏摩耗の防止を図っている。
しかしながら、上記の各文献に記載されているエレメントでは、エレメント頭部のディンプルおよびホールとは別に設けられたベルト湾曲状態で互いに係合するエレメント本体部の凹・凸部が、ベルト直線状態においても互いに係合する構成となっている。そのため、伝動ベルトがベルト直線状態で走行している際、あるいはベルト直線状態からエレメントがプーリに巻き掛かかる際に、エレメントの頭部と本体部との二カ所に設けられた凹・凸部が、互いに干渉しながら係合することによって、エレメントの移動の自由が制限される。その結果、それら凹・凸部間における干渉部分で大きな応力が発生し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性が低下してしまうおそれがあった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントがプーリに巻き掛からないベルト直線状態におけるエレメントの移動の自由度を確保しつつ、エレメントがプーリに巻き掛かるベルト湾曲状態におけるエレメントのヨーイングを抑制することで、エレメントとプーリとの片当たりを防止もしくは抑制し、それらの接触部分における摩耗を低減して、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を向上させることを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、環状の帯状体によりその周方向に積層して配列されて環状に結束される多数のエレメントに、各エレメントの配列方向での一方の面に、各エレメントがプーリに巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されるベルト湾曲状態となった場合に隣接するエレメントと接触するロッキングエッジが形成され、前記エレメントの頭部に、隣接するエレメントの間で互いに係合する第1の凹・凸部が形成され、前記エレメントの本体部の前記ロッキングエッジよりも前記プーリの中心に近い部分に、隣接するエレメントの間で互いに係合する第2の凹・凸部が形成された伝動ベルトにおいて、前記エレメントが前記プーリに巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態となった場合に、前記第1の凹・凸部が係合状態となるとともに、前記第2の凹・凸部が非係合状態となり、前記エレメントが前記ベルト湾曲状態となった場合に、前記第2の凹・凸部が係合状態となるように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記エレメントが前記ベルト直線状態となった場合に、前記第2の凹部が形成された前記エレメントにおける隣接する他のエレメントとの接触面が、該隣接する他のエレメントに形成された前記第2の凸部の先端よりもベルト進行方向で前方に位置することによりそれら前記第2の凹・凸部が非係合状態となることを特徴とするものである。
そして、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記第1の凹・凸部間のクリアランスよりも、前記第2の凹・凸部間のクリアランスが小さくなるように構成されていることを特徴とするものである。
請求項1および2の発明によれば、エレメントがプーリに巻き掛からずに直線状に配列されるベルト直線状態では、エレメント頭部に形成された第1の凹・凸部が、隣接するエレメント同士の間で互いに係合されて係合状態となり、エレメント本体部のロッキングエッジよりもプーリの中心に近い位置に形成された第2の凹・凸部が、隣接するエレメント同士の間で互いに係合されない非係合状態となる。そして、エレメントがプーリに巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されるベルト湾曲状態では、第2の凹・凸部が係合状態となる。そのため、ベルト直線状態の伝動ベルトにおいて、隣接する各エレメントは、第1の凹・凸部が互いに嵌合することによって、エレメント同士の上下方向および左右方向の相対位置が決められるとともに、第2の凹・凸部は嵌合されないため、エレメントが第1の凹・凸部の嵌合部分を支点として移動しても、第1の凹・凸部および第2の凹の嵌合部分で互いに干渉を起こし、大きな応力が生じてしまうことを回避できる。そして、ベルト湾曲状態の伝動ベルトにおいては、隣接する各エレメントは、第2の凹・凸部が互いに嵌合することによって、プーリ内でのエレメントのヨーイングの発生を防止し、もしくは抑制することができ、エレメントの左右側面とプーリのベルト巻き掛け溝とが片当たりして、それらの接触部分で偏摩耗が生じてしまうことを防止もしくは抑制することができる。その結果、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を向上させることができる。
また、請求項3の発明によれば、ベルト湾曲状態の伝動ベルトにおいて、隣接する各エレメントは、第1の凹・凸部間のクリアランスよりも小さなクリアランスに設定されている第2の凹・凸部が互いに嵌合することによって、プーリ内でのエレメントのヨーイングの発生をより確実に防止し、もしくは抑制することができ、エレメントの左右側面とプーリのベルト巻き掛け溝とが片当たりして、それらの接触部分で偏摩耗が生じてしまうことをより確実に防止もしくは抑制することができる。その結果、伝動ベルトおよびプーリの耐久性をより一層向上させることができる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。図1、図2にこの発明に係る伝動ベルトを構成するエレメントの構成例を示してある。ここでの伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例を示している。図1において、エレメント1は、例えば金属製の板片状の部材からなり、その幅方向(図1のx方向)における左右の両側面2,3が、テーパ状の傾斜した面として形成された基体(本体)部分である板部4を有し、そのテーパ状に傾斜した左右側面2,3が、ベルト式無段変速機の駆動側プーリあるいは従動側プーリであるプーリ5のベルト巻き掛け溝(V形溝)5aに摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面2,3とされている。
その板部4の幅方向(図1のx方向)における中央部に、図1での上方に延びた首部6が形成されている。その首部6の上端部には、板部4の幅方向での両側に傘状に延びた頭部7が首部6と一体に形成されている。したがって板部4の図1,2での上側のエッジ部分と頭部7の図1,2での下側のエッジ部分との間に、図1での左右方向に開いたスリット部(溝部)8,9が形成されている。このスリット部8,9は、互いに密着して環状に配列されたエレメント1を環状に結束するための、例えば金属製の環状の帯状体であるフープ10を挿入して巻き掛けるための部分であり、したがって板部4の図1,2での上側のエッジ部分が、フープ10の内周面を接触させて載せるサドル面11,12となっている。
このエレメント1は、環状に配列された状態でフープ10によって結束され、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ5に巻き掛けられる。したがってプーリ5に巻き掛けられた状態では、各エレメント1が、プーリ5の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、各エレメント1の図1,2での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。すなわち、板部4の一方の面(例えば図2における左側の面)における前記サドル面11,12より所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって、各エレメント1が扇形に拡がって接触する状態、言い換えると、各エレメント1がプーリ5に巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されてベルトが湾曲するベルト湾曲状態の場合に、その板厚の変化する境界部分で接触する。この境界部分のエッジが、ロッキングエッジ13となっている。
また、各エレメント1の頭部7には、各エレメント1がプーリ5に巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態の場合に、エレメント1の相対的な位置を決めるための凸部14と凹部15とが形成されている。すなわち、前述した首部6の延長位置(あるいは頭部7の中央部)には、この発明における第1の凸部に相当する凸部14として、一方の面側(図2の例では、前記ロッキングエッジ13のある面側)に凸となる円錐台形のディンプル14が形成されている。そしてこのディンプル14とは反対側の面に、この発明における第1の凹部に相当する凹部15として、隣接するエレメント1におけるディンプル14を緩く嵌合(挿入)させる有底円筒状のホール15が形成されている。このように、伝動ベルトVのベルト直線状態でこれらのディンプル14とホール15とが嵌合することによって、その状態におけるエレメント1同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めることができる。
なお、このような構成のエレメント1では、ディンプル14とホール15とによって図1,2での上下方向の位置が規制され、これに対してフープ10の張力によってサドル面11,12に図1,2での下向きの荷重が作用する。そのため、ディンプル14あるいはホール15とサドル面11,12との間の寸法にばらつきがあった場合には、首部6を引っ張る方向の荷重が作用する。その場合、サドル面11,12が首部6の基端部から直角方向(図1,2でのy方向)に延びているから、首部6とサドル面11,12との間に曲げモーメントが作用する。その曲げモーメントは、首部6とサドル面11,12との境界部となっているコーナー部で最大となるから、この部分での応力集中を防止するために、図1に示すように、そのコーナー部を円弧状に窪ませていわゆるR部16が形成されている。
そして、この発明における伝動ベルトVを構成する各エレメント1の板部4には、伝動ベルトVがベルト湾曲状態の場合に、エレメント1のヨーイングを抑制するための凸部17と凹部18とが形成されている。すなわち、エレメント1がプーリ5に巻き掛けられている状態で、板部4のロッキングエッジ13よりも図1,2での下側の部分、言い換えると、板部4のロッキングエッジ13よりもプーリ5のプーリ軸心に近い側の部分に設けられた平坦部4aに、この発明における第2の凸部に相当する凸部17として、一方の面側(図2の例では、前記ロッキングエッジ13のある面側)に凸となる円錐台形のディンプル17が形成されている。そしてこのディンプル17とは反対側の面に、この発明における第2の凹部に相当する凹部18として、隣接するエレメント1におけるディンプル17を嵌合(挿入)させる有底円筒状のホール18が形成されている。このように、伝動ベルトVのベルト湾曲状態でこれらのディンプル17とホール18とが嵌合することによって、図1に示す状態のエレメント1の断面A−A方向を見た図7に示すように、その状態におけるエレメント1のヨーイング方向(図7において矢印Yで示す方向)における移動を規制することができる。
図3、図4は、上述のような、ディンプル14とホール15と、およびディンプル17とホール18とが嵌合して係合する状態を説明するための図であって、図3は、ベルト直線状態におけるディンプル14とホール15と、およびディンプル17とホール18との係合・解放状態を示している。すなわち、伝動ベルトVがベルト直線状態となった場合は、隣接するエレメント1のディンプル14とホール15とが嵌合して係合する。そして隣接するエレメント1のディンプル17とホール18とは係合しない。言い換えると、伝動ベルトVがベルト直線状態となった場合は、隣接するエレメント1のディンプル14とホール15と、すなわち第1の凹・凸部14,15が係合状態となるとともに、隣接するエレメント1のディンプル17とホール18と、すなわち第2の凹・凸部17,18が非係合状態となる。
一方、図4は、ベルト湾曲状態におけるディンプル14とホール15と、およびディンプル17とホール18との係合・解放状態を示している。すなわち、伝動ベルトVがベルト湾曲状態となった場合は、隣接するエレメント1のディンプル14とホール15とは係合しない。そして隣接するエレメント1のディンプル17とホール18とが嵌合して係合する。言い換えると、伝動ベルトVがベルト湾曲状態となった場合は、隣接するエレメント1のディンプル14とホール15と、すなわち第1の凹・凸部14,15は非係合状態となり、隣接するエレメント1のディンプル17とホール18と、すなわち第2の凹・凸部17,18が係合状態となる。
また、図5、図6は、上述のような、ディンプル14とホール15との嵌合部、およびディンプル17とホール18との嵌合部におけるクリアランスの大小関係を説明するための図である。そのうち図5は、前述の図1に示す状態のエレメント1における断面A−Aを見た図であって、ベルト直線状態でディンプル14とホール15とが嵌合して係合している場合のそれらの嵌合部のクリアランスを示している。すなわち、ベルト直線状態でディンプル14とホール15とが嵌合している状態において、ディンプル14とホール15との平均的な間隙であるクリアランスC1は、その平均的な間隙部分(図5の直線L1で示す部分)におけるディンプル14の直径Dd1とホール15の直径Dh1との差によって表すことができる。
一方、図6は、図1に示す状態のエレメント1における断面B−Bを見た図であって、ベルト湾曲状態でディンプル17とホール18とが嵌合して係合している場合のそれらの嵌合部のクリアランスを示している。すなわち、ベルト湾曲状態でディンプル17とホール18とが嵌合している状態において、ディンプル17とホール18との平均的な間隙であるクリアランスC2は、その平均的な間隙部分(図6の直線L2で示す部分)におけるディンプル17の直径Dd2とホール18の直径Dh2との差によって表すことができる。
そしてこれらのクリアランスC1,C2は、クリアランスC1に対してクリアランスC2が小さくなるように、各ディンプル14,17および各ホール15,18の各直径Dd1,Dd2,Dh1,Dh2が設定されている。すなわち、ディンプル14とホール15との間のクリアランスC1よりも、ディンプル17とホール18との間のクリアランスC2が小さな値に設定されている。
ベルト直線状態では、その状態における各エレメント1の位置決めをするためディンプル14とホール15とが嵌合する必要があるが、走行中の伝動ベルトVの上下方向および左右方向の動きに各エレメント1が追従するために、ディンプル14とホール15との嵌合部には所定の自由度が必要とされる。そのため、ディンプル14とホール15との間のクリアランスC1は相対的に大きな値に設定される。一方、ベルト湾曲状態では、前述のように、その状態においてエレメント1にヨーイングが生じると、エレメント1の左右側面2,3とプーリー5のベルト巻き掛け溝5aの接触部分において偏摩耗が発生する場合がある。そのためベルト湾曲状態におけるエレメント1のヨーイング方向における移動を規制するために、ディンプル17とホール18との間のクリアランスC2はできるだけ小さな値に設定されるのが望ましい。また、ベルト湾曲状態におけるエレメント1は、プーリ5の固定シーブと可動シーブとに挟み込まれることによって、自ずと調芯されて位置決めされるため、クリアランスC1のように相対的に大きなクリアランスは必要とされない。そのため、ディンプル17とホール18との間のクリアランスC2は相対的に小さな値に設定される。
このように、ベルト直線状態で係合状態となるディンプル14とホール15との間のクリアランスC1が相対的に大きく設定され、ベルト湾曲状態で係合状態となるディンプル17とホール18との間のクリアランスC2が相対的に小さく設定されることによって、ベルト直線状態におけるエレメント1の移動の自由度を確保しつつ、ベルト湾曲状態におけるエレメント1のヨーイングを抑制することができる。
以上のように構成されたエレメント1によって構成されるこの発明に係る伝動ベルトVによれば、ベルト直線状態では、エレメント1の頭部7に形成されたディンプル14とホール15と(すなわち第1の凹・凸部14,15)が、隣接するエレメント1同士の間で互いに係合されて係合状態となり、エレメント1のロッキングエッジ13よりもプーリ5の軸心に近い位置に形成されたディンプル17とホール18と(すなわち第1の凹・凸部17,18)が、隣接するエレメント1同士の間で互いに係合されない非係合状態となる。そして、ベルト湾曲状態では、ディンプル17とホール18とが係合状態となる。
そのため、ベルト直線状態の伝動ベルトVにおいて、隣接する各エレメント1は、ディンプル14とホール15とが互いに嵌合することによって、エレメント1同士の上下方向および左右方向の相対位置が決められるとともに、ディンプル17とホール18とは嵌合されないため、エレメント1がディンプル14とホール15との嵌合部分を支点として上下方向および左右方向に移動しても、ディンプル14とホール15との嵌合部およびディンプル17とホール18との嵌合部分で互いに干渉を起こし、大きな応力が生じてしまうことを回避できる。そして、ベルト湾曲状態の伝動ベルトVにおいては、隣接する各エレメント1は、ディンプル17とホール18とが互いに嵌合することによって、プーリ5内でのエレメント1のヨーイングの発生を防止し、もしくは抑制することができ、エレメント1の左右側面2,3とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとが片当たりして、それらの接触部分で偏摩耗が生じてしまうことを防止もしくは抑制することができる。その結果、伝動ベルトVおよびプーリ5の耐久性を向上させることができる。
また、ベルト湾曲状態の伝動ベルトVにおいて、隣接する各エレメント1は、ディンプル14とホール15との間のクリアランスC1よりも小さなクリアランスC2に設定されているディンプル17とホール18とが互いに嵌合することによって、プーリ5内でのエレメント1のヨーイングの発生をより確実に防止し、もしくは抑制することができ、その結果、伝動ベルトおよびプーリの耐久性をより一層向上させることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。すなわち。具体例では、この発明の伝動ベルトがベルト式無段変速機に使用されている例を示しているが、この発明の伝動ベルトは、ベルト式無段変速機に限らず、ベルトとプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置の伝動ベルトにも適用することができる。
また、具体例では、この発明の第1の凹・凸部および第2の凹・凸部が、円錐台形のディンプルとホールである例を示しているが、それら凹・凸部の形状は円錐台形に限定されるものではなく、他の任意の形状であってもよい。
さらに、具体例では、エレメントの本体部のロッキングエッジよりも下側の部分の中央付近に、一対の第2の凹・凸部が形成されている例を示しているが、エレメントの本体部のロッキングエッジよりも下側の部分の任意の位置に、複数対の第2の凹・凸部が形成される構成であってもよい。
この発明に係る伝動ベルトを構成するエレメントの構成例を示すものであって、そのエレメントの正面図である。 この発明に係る伝動ベルトを構成するエレメントの構成例を示すものであって、そのエレメントの一部断面した側面図である。 ベルト直線状態におけるディンプル14とホール15との係合・解放状態およびディンプル17とホール18との係合・解放状態を説明するための模式図である。 ベルト湾曲状態におけるディンプル14とホール15との係合・解放状態およびディンプル17とホール18との係合・解放状態を説明するための模式図である。 ディンプル14とホール15との間のクリアランスを説明するための模式図であって、図1に示す状態のエレメントの断面A−A方向からみた図である。 ディンプル17とホール18との間のクリアランスを説明するための模式図であって、図1に示す状態のエレメントの断面B−B方向からみた図である。 ベルト湾曲状態でエレメントがヨーイングした際にディンプル17とホール18とがそのヨーイングを抑制する状態を説明するための模式図であって、図1に示す状態のエレメントの断面A−A方向からみた図である。
符号の説明
1…エレメント、 2,3…左右側面、 4…板部(本体部)、 5…プーリ、 7…頭部、 10…フープ、 13…ロッキングエッジ、 14…ディンプル(第1の凸部)、 15…ホール(第1の凹部)、 17…ディンプル(第2の凸部)、 18…ホール(第2の凹部)、 V…伝動ベルト。

Claims (3)

  1. 環状の帯状体によりその周方向に積層して配列されて環状に結束される多数のエレメントに、前記エレメントの配列方向での一方の面に、前記エレメントがプーリに巻き掛かり円弧状に湾曲して配列されるベルト湾曲状態となった場合に隣接するエレメントと接触するロッキングエッジが形成され、前記エレメントの頭部に、隣接するエレメントの間で互いに係合する第1の凹・凸部が形成され、前記エレメントの本体部の前記ロッキングエッジよりも前記プーリの中心に近い部分に、隣接するエレメントの間で互いに係合する第2の凹・凸部が形成された伝動ベルトにおいて、
    前記エレメントが前記プーリに巻き掛からず直線状に配列されるベルト直線状態となった場合に、前記第1の凹・凸部が係合状態となるとともに、前記第2の凹・凸部が非係合状態となり、前記エレメントが前記ベルト湾曲状態となった場合に、前記第2の凹・凸部が係合状態となるように構成されていることを特徴とする伝動ベルト。
  2. 記エレメントが前記ベルト直線状態となった場合に、前記第2の凹部が形成された前記エレメントにおける隣接する他のエレメントとの接触面が、該隣接する他のエレメントに形成された前記第2の凸部の先端よりもベルト進行方向で前方に位置することによりそれら前記第2の凹・凸部が非係合状態となることを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト。
  3. 前記第1の凹・凸部間のクリアランスよりも、前記第2の凹・凸部間のクリアランスが小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動ベルト。
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