JP2009120832A - 重合性組成物、硬化物、および光学部材 - Google Patents

重合性組成物、硬化物、および光学部材 Download PDF

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猛 大津
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Abstract

【課題】工業的に取り扱いが容易で作業性に優れ、高屈折率である重合性組成物、高屈折率であるその硬化物、および、該硬化物からなる光学部材を提供する。
【解決手段】少なくとも以下の成分A、および成分Bを含む重合性組成物であって、成分Aと成分Bの質量比が95:5〜60:40である重合性組成物。成分A:下記(I)に、必要に応じて下記(I)が更にフェニルチオエーテル基を有する化合物を含むもの。
Figure 2009120832

成分B:下記(III)式で表されるモノ(メタ)アクリレート化合物。
Figure 2009120832

【選択図】なし

Description

本発明は重合性組成物、硬化物、および光学部材に関する。より詳しくはコーティング、レンズ等の光学用途に使用可能であり、かつ実用上取り扱いの容易な高屈折率の重合性組成物およびその硬化物、ならびに、該硬化物からなる光学部材に関する。
従来、光学部品にはガラスを基材とするものが多く使われてきた。各種レンズにはガラス製レンズが用いられてきたが、比重が大きく、各種用途において要望されている軽量、薄型化に十分対応できないこと、成形性、加工性にも問題があることから、軽量で機械的強度が高く、加工成型が容易な樹脂系レンズが注目されている。しかしながら、樹脂は屈折率が低いためレンズの厚みを薄くすることが困難であった。また、これまで樹脂そのものの屈折率を高めようとする検討がなされてきたが、屈折率(n)が1.6を超えるものを得ることは難しかった。
特許文献1には、硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物と種々のモノマーを混合して、屈折率1.6以上の硬化物を得られることが例示されている。しかし、該モノマーは粘度が高く、実際に成形を行う際には加温を行う等により粘度を下げて使用する必要があった。
一方、特許文献2には、高屈折率であるが、室温で固体である硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物と種々のモノマーを混合したものを重合して、屈折率1.6以上の共重合体が得られることが例示されている。しかし、ここで使用されているモノマーは屈折率が低いものであったり、スチレンのような(メタ)アクリレート化合物とは重合速度が異なるような化合物であった。
また、特許文献3には、ウレタン(メタ)アクリレートといったオリゴマーをフェニルチオエチル(メタ)アクリレートと混合することで、樹脂基材への密着性に優れ、高屈折率な組成物が例示されている。しかし、ここで得られた硬化物は屈折率が1.565以下であり、高屈折率な硬化物は得られていなかった。
特開2002−97217号公報 特開平2−113005号公報 特開2002−187920号公報
本発明は、工業的に取り扱いが容易で作業性に優れ、高屈折率である重合性組成物、高屈折率であるその硬化物、および、該硬化物からなる光学部材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物に、必要に応じて硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物を含むものに、特定のモノ(メタ)アクリレート化合物を混合することで、粘度が低く、高屈折率な重合性組成物が得られ、その硬化物が高屈折率であることを見出し、本発明に到達した。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの総称である。
第1の本発明は、少なくとも以下の成分A、および成分Bを含む重合性組成物であって、成分Aと成分Bの質量比が95:5〜60:40である重合性組成物である。
成分A:下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物に、必要に応じて下記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物を含むもの
Figure 2009120832
(式(I)中、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
Figure 2009120832
(式(II)中、R21およびR22は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。)
成分B:下記(III)式で表されるモノ(メタ)アクリレート化合物
Figure 2009120832
(式(III)中、R31は水素原子またはメチル基を表し、R32は酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
第1の本発明において、成分Aと成分Bの総質量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、30質量%以上であることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物の40℃における粘度は2000mPa・s以下であることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物を重合させて形成した硬化物の屈折率(n23 )は、1.61以上であることが好ましい。
第1の本発明において、成分Bは下記(IV)式で表される硫黄含有モノ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
Figure 2009120832
(式(IV)中、R41は水素原子またはメチル基を表し、dは0〜3の整数を表し、eは1〜6の整数を表す。)
第1の本発明において、成分Bは、2−ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート、または、2−フェニルチオエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
第1の本発明において、(I)式で表される化合物は、4,4´−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンであることが好ましい。
第1の本発明において、(II)式で表される化合物は、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィドであることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物は、ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
第1の本発明の重合性組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。
第2の本発明は、第1の本発明の重合性組成物を硬化させてなる硬化物である。
第2の本発明の硬化物は、光学部材として好適に用いることができる。
本発明の重合性組成物は工業的に取り扱い易く、高屈折率である。また、その硬化物は高屈折率であるので、レンズ、フィルム、コーティング剤等の光学材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
本発明に係る重合性組成物は、少なくとも成分Aおよび成分Bを、特定の質量比で含有してなるものである。
(成分A)
成分Aは下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物に、必要に応じて下記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物を含むものである。
Figure 2009120832
(式(I)中、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
Figure 2009120832
(式(II)中、R21およびR22は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。)
上記(I)式において、R13、R14で表される「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基」としては、−(CH)−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CHOCH−、−CHSCH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−CHCH(SH)CH−、−CHCH(CHSC)−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。これらの中でも、R13、R14が−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CHS(CH−から選ばれる構造を有する場合が好ましく、特に−(CH−、−(CHS(CH−が好ましい。
前記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、4,4´−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(R13=R14=−(CH−)などが挙げられる。
(II)式において、R23、R24で表される「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基」としては、−(CH)−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−、−CHOCH−、−CHSCH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−CHCH(SH)CH−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。これらの中でも、R23、R24は−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−から選ばれる構造を有する場合が好ましく、特に−(CH−、−(CHS(CH−が好ましい。ZおよびZとしては、Z=Zであるのが好ましく、硫黄原子であるのが屈折率向上の点から好ましい。
前記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物の具体例としては、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド(a=b=0、c=1)が挙げられる。
成分Aにおいて、(I)式および(II)式で表される化合物は、質量比で「100:0」〜「20:80」(「(I)式の化合物:(II)式の化合物」、以下、本段落において同様)の範囲であれば、任意の割合で混合されていても良い。また、粘度や取り扱いの点から、その割合は、好ましくは「100:0」〜「30:70」である。
(成分B)
成分Bは下記(III)式で表されるモノ(メタ)アクリレート化合物である。
Figure 2009120832
(式(III)中、R31は水素原子またはメチル基を表し、R32は酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
(III)式において、R32で表される「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基」としては、−(CH)−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CHOCH−、−CHSCH−、−CHS(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−S(CH−、−CHCH(SH)CH−、−CHCH(CHSC)−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。
この中でも、R32としては、−CHSCH−、−CHS(CH−、−(CHS(CH−、−S(CH−等の以下の式(IV)で表されるものが好ましい。
成分Bとしては、前記(III)式の中でも、下記(IV)式で表される硫黄含有モノ(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
Figure 2009120832
(式(IV)中、R41は水素原子またはメチル基を表し、dは0〜3の整数を表し、eは1〜6の整数を表す。)
上記(IV)式で表される硫黄含有モノ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2−ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート(d=1、e=2)、2−フェニルチオエチル(メタ)アクリレート(d=0、e=2)が挙げられる。
(成分Aおよび成分Bの組成比)
本発明の重合性組成物中の成分Aおよび成分Bの質量比は、通常「95:5」〜「60:40」(「成分A:成分B」、以下、本段落において同様)、好ましくは「95:5」〜「70:30」、さらに好ましくは「95:5」〜「80:20」である。成分Aの量が成分Aおよび成分Bの質量比「95:5」より多くなると、粘度が高かったり、室温で固体となったりして、取り扱いが困難となる。成分Bの量が成分Aおよび成分Bの質量比「60:40」より多くなると、屈折率が低くなったり、線膨張率が大きくなったりするといった問題が生じる。
本発明の重合性組成物中の成分Aおよび成分Bの総質量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、少なくとも30質量%以上である。また、重合性組成物が以下において説明する粒子を含まない場合においては、成分Aおよび成分Bの総質量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
(粒子)
本発明の重合性組成物は、平均粒径100nm以下の粒子(無機物)を含有していても良い。前記成分Aおよび成分Bを主体とした樹脂成分に、高屈折率な無機粒子を含有させることで、屈折率が向上する。また、樹脂成分に無機粒子を添加すると、線膨張率の低下、弾性率の増加、ガラス転移点の上昇等の効果が期待される。
本発明に用いられる粒子の種類としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、CdO、PbO、HfO、Sb等の酸化物;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム等のチタン酸塩類;CdS、CdSe、ZnSe、CdTe、ZnS、HgS、HgSe、PdS、SbSe等の硫化物、セレン化物、テルル化物;GaN等の窒化物等が挙げられる。これらを1種類、または2種以上を混合して用いることができる。また、1種類の粒子に他の物質を被覆した、いわゆるコア−シェル型粒子を使用することもできる。これらの粒子の中で、好ましいのは、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸塩類、特に好ましいのは酸化チタン、酸化ジルコニウムである。
本発明に用いる粒子はそれぞれの化合物について種々製造法があるが、例えば、酸化チタン(TiO)の場合、ジャーナル・オブ・ケミカルエンジニアリング・オブ・ジャパン(Journal of Chemical Engineering of Japan)第1巻1号21〜28頁(1998年)や、硫化亜鉛(ZnS)の場合は、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティ、ファラデイトランザクションズ(Journal of the Chemical Society,Faraday Transactions)第92巻13号2401〜2411頁(1996年)に記載された公知の方法を用いることができる。
例えば、これらの方法に従えば、粒径10nm以下の酸化チタンは、Ti(OiPr)(チタンテトライソプロポキシド)やTiClを原料として適当な溶媒中で加水分解させることにより容易に製造することができる。また、粒径5nm以下の硫化亜鉛は過塩素酸亜鉛と硫化水素を有機溶媒中、低温で反応させることにより製造することができる。
本発明に用いられる粒子は、平均粒径を100nm以下に抑えることにより、透明性の優れた重合性組成物およびその硬化物を調製することができる。粒子の平均粒径としては100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。ここで平均粒径はXRD(粉末X線解析)や透過型電子顕微鏡等で測定される。
平均粒径100nm以下の粒子は、通常表面処理剤で被覆されている。表面処理剤は、粒子に対して吸着性および/または反応性を有する部分、被覆粒子に成分Aおよび成分B等に対する相溶性を付与する部分を含むものである。本発明で用いられる表面処理剤としては、有機酸、有機塩基、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、チオール化合物、フォスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。この中でも、有機酸、シランカップリング剤が好ましく用いられる。
表面処理剤で粒子表面を被覆する方法としては、溶媒混合法が通常用いられる。具体的には、粒子の溶媒分散液と表面処理剤の溶液を用意しておき、それらを混合すること、粒子の溶媒分散液に表面処理剤を添加すること等で表面処理されたナノ粒子を得ることができる。
粒子と表面処理剤の質量比は、「1:0.01」〜「1:10」(「粒子:表面処理剤」、以下、本段落において同様)の間で任意に選択することができる。表面処理剤を多く使用すると屈折率が低下するため、好ましくは「1:0.01」〜「1:2」の範囲程度、より好ましくは「1:0.01」〜「1:1」である。
上記した表面処理剤被覆粒子を含有する重合性組成物は、成分Aおよび成分B等に表面処理剤被覆粒子を混合することによって得られる。例えば、(1)成分Aおよび成分B等が溶解した溶液に表面処理剤被覆粒子分散液を混合した後、溶媒を除去する方法、(2)表面処理剤被覆粒子分散液に成分Aおよび成分B等を加えた後に、溶媒を除去する方法、(3)粒子分散液に表面処理剤を添加する際同時に成分Aおよび成分B等を添加し、溶媒を除去する方法等が挙げられる。溶媒の除去にはエバポレーションが好適に用いられる。この際、ナノ粒子に凝集がある場合は、適時分散処理をかけても良い。
重合性組成物中の粒子の量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、好ましくは10質量%以上60質量%以下、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下である。粒子の量が10質量%より低いと屈折率の上がり幅が小さくなる。また、粒子の添加量が60質量%を超えると重合性組成物の流動性が低くなり、成型時等の取り扱いが困難になる。粒子の量は、仕込み比から計算するか、若しくは得られた重合性組成物をTG−DTAなどの方法で有機分を除去すること(熱重量分析)や元素分析により得ることができる。
(重合開始剤)
本発明の重合性組成物は、重合開始剤を含有していても良い。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤が挙げられる。通常は光重合開始剤を用いるか、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用する。
光重合開始剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、重合性組成物中のラジカル重合可能な化合物(成分Aおよび成分Bを含む)の合計を100質量部としたとき、通常0.001質量部以上、好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上である。その上限は、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、硬化体の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化するおそれがある。一方、少なすぎると重合性組成物が十分に重合しないおそれがある。
熱重合開始剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の一方の水素原子が炭化水素基で置換されているハイドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
中でも、ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が好ましい形態として挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は、重合性組成物中のラジカル重合可能な化合物(成分Aおよび成分Bを含む)の合計を100質量部としたとき、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上である。その上限は、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。熱重合開始剤が多すぎると、成形型内で重合性組成物を光重合させた後、脱型して熱重合させるに際し重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化するおそれがある。一方、少なすぎると熱重合が十分に進行しないおそれがある。
光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用する場合、その質量比は、通常「100:1」〜「1:100」(「光重合開始剤:熱重合開始剤」、以下、本段落において同様。)、好ましくは「10:1」〜「1:10」である。熱重合開始剤が少なすぎると重合が不十分となる場合があり、多すぎると着色のおそれがある。
(その他の添加剤)
本発明に用いる重合性組成物には、本発明の要旨を損なわない範囲で、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、成分Aまたは成分B以外のラジカル重合可能な化合物、連鎖移動剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、染顔料、充填剤、離型剤等が挙げられる。また、残溶媒や水を若干含んでいる場合もある。
ラジカル重合可能な化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
(重合性組成物の物性)
本発明の重合性組成物の25℃、ナトリウムD線(波長589nm)で測定した屈折率(n25 )は、好ましくは1.58以上、より好ましくは1.59以上、特に好ましくは1.60以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、通常2.00以下程度である。
重合性組成物の粘度は、好ましくは40℃で50mPa.s以上2000mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以上1000mPa・s以下である。粘度が高いと、成型時に型に流し込むことが困難になる。また粘度が低すぎると、型のすき間へ組成物が入り込み、以降の工程に支障をきたす可能性があるため低すぎることも問題となる。
(硬化物の製造方法)
本発明の重合性組成物から硬化物を製造する方法としては、光硬化、熱硬化等の手法が挙げられる。
(光硬化)
本発明の硬化物は、前述の重合性組成物を少なくとも一面が紫外線、可視光等の光を透過しうる材料で構成された成形型内に注入し、光照射して硬化させた後、脱型することにより得ることができる。光を透過しうる材料としては、透明性のよい樹脂を用いることもできるが、通常は光の照射を受けても劣化したり、変形したりしないようにガラスを用いるのが好ましい。成形型のキャビティの深さ(=製造する硬化物の厚さ)は通常10mm以下、好ましくは5mm以下であり、通常50μm以上、好ましくは200μm以上である。薄すぎると硬化物の機械的強度が小さく、本発明の方法によっても成形するのが難しい。厚すぎると成形時に硬化物に歪みが発生するため、等方的な硬化物が得られない。
照射する光の波長としては、光重合開始剤の吸収波長等にもよるが、100nm以上800nm以下、好ましくは200nm以上600nm以下、さらに好ましくは200nm以上500nm以下である。特に、波長200nm以上400nm以下の紫外線(UV)が好ましく用いられる。波長が短すぎると樹脂の劣化が促進する場合があり、長すぎると光重合開始剤が光を吸収しない場合がある。
照射する光の照射量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、紫外線等の光の照射量が少なすぎると重合が不十分で得られる硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、一方、多すぎると得られる硬化物が黄変する等、光による劣化を生じるので、照度:10mW/cm以上5000mW/cm以下、時間:0.1秒間以上30分間以下、照射量:0.01J/cm以上10,000J/cm以下で照射するのが好ましい。
紫外線等の光照射を複数回に分割して行うと、複屈折が小さい硬化物を得ることができる。紫外線等の光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極水銀ランプ、LED等が挙げられる。重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。
光照射により得られた硬化物は、さらに加熱してもよい。これにより重合反応を完結させ、さらに、重合時に発生した内部歪みを低減することが可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、通常、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度で行われ、好ましくは50℃以上250℃以下である。また、加熱時間は、1分間以上1週間以下、好ましくは30分間以上3日間以下、さらに好ましくは1時間以上1日間以下である。加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると得られる硬化物の色相が悪化するおそれがある。加熱時の雰囲気は、空気中、窒素やアルゴン等の不活性ガス中、真空中等で行うことができる。加熱は脱型後に行うことが好ましい。
(硬化物の物性)
本発明の硬化物の23℃、波長587.6nm光(d線)で測定した屈折率(n23 )は、好ましくは1.61以上、より好ましくは1.62以上、特に好ましくは1.63以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、通常2.00以下程度である。
厚さ1.0mmの硬化物の全光線透過率は、好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上である。また、厚さ2.0mmにおける硬化物の、700nmでの光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは83%以上、特に好ましくは85%以上である。全光線透過率または700nmでの光線透過率が小さすぎると、透明性が低いために、光学部材として用いることが困難という問題点がある。
(光学部材)
本発明の硬化物は、光学用コーティング剤、ハードコート剤、光学部材として使用することが可能であるが、中でも光学部材として使用することが好ましい。光学部材としては、光学レンズ、光学フィルム、光学フィルター、光学シート、光学薄膜、導光板、光導波路等が挙げられる。
次に合成例、実施例、比較例により本発明をさらに説明する。
(重合性組成物の屈折率の測定法)
重合性組成物の屈折率は、25℃となるように恒温槽の水を循環させたアタゴ社製、アッベ屈折率計DR−M2を用いて、ナトリウムD線の波長(波長589nm)光の屈折率(n25 )を測定することで求めた。
(重合性組成物の粘度の測定法)
重合性組成物の粘度は、40℃に設定した恒温槽の水を循環させた東京計器社製、E型粘度計(VISCONIC、EHD型)により測定した。
(硬化物の屈折率の測定方法)
硬化物の屈折率は、23℃となるように恒温槽の水を循環させたカルニュー社製、精密屈折計KPR−2000を用いて、波長587.6nm光(d線)の屈折率(n23 )を測定することで求めた。
<合成例1>
(4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンの合成)
撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた釜に、4,4´−ジクロロジフェニルスルフォン(30kg)、N,N−ジメチルホルムアミド(45kg)、炭酸カリウム(17.4kg)を添加し、系内を窒素置換した。次に、2−メルカプトエタノール(18kg)を、系内温度が110℃〜120℃で滴下した。滴下終了後、115℃〜120℃で4時間30分撹拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(9.5kg)、水(180kg)を投入し、晶析を行った。その後、再結晶を2回行った後、乾燥させて4,4´−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン得た。
次に、撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた釜に、4,4´−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(30kg)、トルエン(120kg)を仕込み、撹拌しながら110℃で共沸脱水を行った。その後冷却し、メタクリル酸メチル(81kg)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(41g)、ジエチルヒドロキシルアミン(410g)、テトラブチルチタネート(829g)を加えた。その後昇温し、100℃〜120℃で29時間、メタノールを留去させながら反応を行った。反応後、過剰のメタクリル酸メチルを除去した。この溶液にトルエン(87.5kg)、5%塩酸水溶液(41kg)を加え、70℃で洗浄した。続いて、ヘプタン(37.5kg)を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液(41.2kg)での洗浄を2回行った。さらに中性になるまで水(41kg)での洗浄を3回行った。
その後、この溶液にハイドロキノンモノメチルエーテル(41g)、ジエチルヒドロキシルアミン(410g)を加え、濾液を減圧下で留去した。その後、メタノール(123kg)投入して、冷却して結晶化させた。その白色固体を濾取し、メタノール(123kg)で洗浄し、再び濾取して粗生成物を得た。これに、ハイドロキノンモノメチルエーテル(24.46g)を添加し、減圧下で溶剤を除いた後、濾過を行った。さらに、この生成物(10kg)にアセトン(6kg)、メタノール(6kg)を投入し、溶解させた。これにメタノール(8kg)を投入後、45℃以上まで加温した後、冷却を行い、濾過を行った。回収液を減圧下で溶剤を留去した後、熱時濾過を行って目的物を得た(LC面積比から求めた純度94%)。
<合成例2>
(2−ベンジルチオエチルメタクリレートの合成)
撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた2リットルの四ツ口フラスコに、ベンジルクロライド(500g)、2−メルカプトエタノール(370g)、メタノール(1000ml)に、30%水酸化ナトリウム水(705g)を60℃で滴下した。滴下後、60℃で1時間撹拌した後、水(500g)で中性になるまで洗浄した。その後、減圧下、脱溶剤を行い、2−ベンジルチオエタノールを得た。
次に、撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた釜に、2−ベンジルチオエタノール(100g)、トルエン(100g)を仕込み、撹拌しながら110℃で共沸脱水を行った。その後冷却し、メタクリル酸メチル(595g)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(0.140g)、ジエチルヒドロキシルアミン(1.405g)、テトラブチルチタネート(6.068g)を加えた。その後昇温し、100℃〜120℃で10時間、メタノールを留去させながら反応を行った。反応後、過剰のメタクリル酸メチルを除去した。この溶液にトルエン(292g)、5%塩酸水溶液(137g)を加え、70℃で洗浄した。続いて、ヘプタン(125g)を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液(137g)での洗浄を2回行った。さらに中性になるまで水(137g)での洗浄を3回行った。その後、この溶液にハイドロキノンモノメチルエーテル(0.140g)、ジエチルヒドロキシルアミン(1.405g)を加え、濾過した後、濾液を減圧下で留去し、2−ベンジルチオエチルメタクリレートを得た。
実施例1
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(成分A)18g、合成例2で得られた2−ベンジルチオエチルメタクリレート(成分B)2gを、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、ルシリンTPO)10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を室温で、2.0mmのスペーサーを介した2枚のガラス板からなる成形型内に注入し、上下に3本ずつ計6本のメタルハライドランプを備えたオーク製作所社製、コンベア搬送式UV照射装置(型式QRM−2232−A−00)を用いて、ライン速度0.3m/minで上下両面から積算光量20J/cmの光を照射した。2枚のガラス板を外して硬化サンプルを取り出し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例2
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(14g)、合成例2で得られた2−ベンジルチオエチルメタクリレート(6g)を、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例3
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(19g)、ベンジルメタクリレート(和光純薬工業社製、以下同様)(成分B)1gを、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例4
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(16g)、ベンジルメタクリレート(4g)を、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例5
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(8g)、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(住友精化社製、以下「MPSMA」と略記)(成分A)8g、合成例2で得られた2−ベンジルチオエチルメタクリレート(4g)を、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例6
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(9g)、MPSMA(9g)、ベンジルメタクリレート(2g)を、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例1
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(10g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を50℃に加温して用いた以外は実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例2
合成例1で得られた4,4´−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(10g)、ベンジルメタクリレート(10g)を55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例3
MPSMA(10g)に2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、65℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。得られた重合性組成物および成形型をそれぞれ70℃に加温して用いた以外は実施例1と同様にして硬化した。MPSMA単独で硬化する場合には、温度が下がるとすぐに析出してしまうため、高温で取り扱う必要があった。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例4
MPSMA(14g)、合成例2で得られた2−ベンジルチオエチルメタクリレート(6g)を、65℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物(10g)に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(10mg)を加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を50℃に加温して用いた以外は実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
Figure 2009120832
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う重合性組成物、硬化物、および、光学部材もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (12)

  1. 少なくとも以下の成分A、および成分Bを含む重合性組成物であって、成分Aと成分Bの質量比が95:5〜60:40である重合性組成物。
    成分A:下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物に、必要に応じて下記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物を含むもの
    Figure 2009120832
    (式(I)中、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
    Figure 2009120832
    (式(II)中、R21およびR22は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。)
    成分B:下記(III)式で表されるモノ(メタ)アクリレート化合物
    Figure 2009120832
    (式(III)中、R31は水素原子またはメチル基を表し、R32は酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
  2. 前記成分Aと前記成分Bの総質量が、重合性組成物全体を100質量%として、30質量%以上である、請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 40℃における粘度が2000mPa・s以下である、請求項1または2に記載の重合性組成物。
  4. 重合性組成物を重合させて形成した硬化物の屈折率(n23 )が1.61以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  5. 前記成分Bが下記(IV)式で表される硫黄含有モノ(メタ)アクリレート化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性組成物。
    Figure 2009120832
    (式(IV)中、R41は水素原子またはメチル基を表し、dは0〜3の整数を表し、eは1〜6の整数を表す。)
  6. 前記成分Bが、2−ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート、または、2−フェニルチオエチル(メタ)アクリレートである請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  7. 前記(I)式で表される化合物が、4,4´−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  8. 前記(II)式で表される化合物が、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィドである請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  9. ラジカル重合開始剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  10. 光重合開始剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合性組成物を硬化させてなる硬化物。
  12. 請求項11に記載の硬化物からなる光学部材。
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