JP2009102550A - 重合性組成物およびその硬化物 - Google Patents

重合性組成物およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に取り扱いが容易で作業性に優れた重合性組成物、および、高屈折率であるその硬化物の提供。
【解決手段】少なくとも成分Aおよび成分Bを含み、成分Aと成分Bの質量比が2:8〜8:2である重合性組成物。成分A:(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物
Figure 2009102550

成分B:(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物
Figure 2009102550

【選択図】なし

Description

本発明は重合性組成物およびその硬化物に関する。より詳しくは、コーティング、レンズ等の光学用途に使用可能であり、かつ実用上取り扱いの容易で高屈折率である重合性組成物およびその硬化物に関する。
従来、光学部品にはガラスを基材とするものが多く使われてきた。各種レンズにはガラス製レンズが用いられてきたが、比重が大きく、各種用途において要望されている軽量、薄型化に十分対応できないこと、成形性、加工性にも問題があることから、軽量で機械的強度が高く、加工成型が容易な樹脂系レンズが注目されている。しかしながら、樹脂は屈折率が低いためレンズの厚みを薄くすることが困難であった。また、これまで樹脂そのものの屈折率を高めようとする検討がなされてきたが、屈折率(n)が1.6を超えるものを得ることは難しかった。
特許文献1には、屈折率1.6以上の硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物が例示されている。この硫黄含有(メタ)アクリレート化合物に種々のモノマーを加えて重合することで、共重合体が得られることは知られている。
また、特許文献2では前記硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物よりもさらに高屈折率(1.689)な硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物が例示されている。しかし、この化合物は室温で固体であり、液状で取り扱うには融点以上の高温に保つ必要があり、工業的に成形等を行う際に取り扱いが困難であった。
以上のように、屈折率1.6以上の高屈折率樹脂も見出されてきてはいるが、室温で固体であったり、粘調な液体である場合が多く、工業的に取り扱いが困難であり、作業性が悪いという欠点があった。
また、樹脂の屈折率を上げる手法として、粒径1〜100nm程度の無機ナノ粒子を樹脂に添加し、高屈折率なコンポジットを得る手法も知られている(特許文献3)。このような手法を取る場合でも、元の樹脂の屈折率が高い方が、より屈折率の高いコンポジットが得られるが、ナノ粒子を添加すると粘度が大きく増大するため、高屈折率の樹脂にナノ粒子を添加しても、工業的に取り扱うことは困難であった。
特開2002−97224号公報 特開平2−160762号公報 特表2002−521305号公報
本発明は、工業的に取り扱いが容易で作業性に優れ、高屈折率である重合性組成物、および、高屈折率であるその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の液状硫黄含有(メタ)アクリレート化合物(成分A)に特定の固体硫黄含有(メタ)アクリロイル化合物(成分B)を混合すると、高屈折率であり、かつ、低粘度である重合性組成物が得られることを見出し、以下の本発明に到達した。
第1の本発明は、少なくとも以下の成分A、および成分Bを含み、成分Aと成分Bの質量比が2:8〜8:2である重合性組成物である。
成分A:下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物
Figure 2009102550
(式(I)中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
成分B:下記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物
Figure 2009102550
(式(II)中、R21およびR22はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。)
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルの総称である。
第1の本発明において、成分Aおよび成分Bの総質量は、重合性組成物全体を100質量%として、30質量%以上であることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物の屈折率(n25 )は1.62以上であることが好ましい。
第1の本発明において、成分Aは4,4′−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンであることが好ましい。
第1の本発明において、成分Bはビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィドであることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物は、平均粒径が100nm以下の粒子を含んでいてもよい。該粒子は表面処理剤で被覆されていることが好ましい。また、該粒子の含有量は、重合性組成物全体を基準(100質量%)として、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。また、該粒子は金属酸化物であることが好ましく、金属酸化物は酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸塩類、酸化亜鉛、および、酸化セリウムからなる群から選ばれる一種以上の化合物であることが好ましい。
第1の本発明の重合性組成物は、ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。また、第1の本発明の重合性組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。
第2の本発明は、上記第1の本発明の重合性組成物を硬化させてなる硬化物である。
第2の本発明は、光学部材として好適に用いることができる。
本発明の重合性組成物は工業的に取り扱い易く、高屈折率である。また、その硬化物は高屈折率であるので、レンズ、フィルム、コーティング剤等の光学材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
<重合性組成物>
本発明に係る重合性組成物は、少なくとも成分Aおよび成分Bを特定の質量比で含有してなるものである。
(成分A)
本発明に用いられる成分Aは下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物である。
Figure 2009102550
上記(I)式において、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基」を表す。R13およびR14で表される「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基」としては、−(CH)−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CHOCH−、−CHSCH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−CHCH(SH)CH−、−CHCH(CHSC)−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。これらの中でも、R13、R14は−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−から選ばれる構造を有する場合が好ましく、特に−(CH−、−(CHS(CH−が好ましい。
上記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、4,4′−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンが挙げられる。
(成分B)
本発明に用いられる成分Bは前記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物である。
Figure 2009102550
式(II)中、R21およびR22はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基」を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。ZおよびZとしては、Z=Zであるのが好ましく、硫黄原子であるのが屈折率向上の点から好ましい。R23、R24で表される「酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基」としては、−(CH)−、−(CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−(CH−、−(CH−、−CHOCH−、−CHSCH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、−CHCH(SH)CH−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。これらの中でも、R23、R24は−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−から選ばれる構造を有する場合が好ましく、特に−(CH−、−(CHS(CH−が好ましい。
前記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物の具体例としては、ビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド(a=b=0、c=1)が挙げられる。
(成分A、成分Bの組成比)
本発明の重合性組成物中の成分Aおよび成分Bの質量比は、通常「8:2」〜「2:8」、好ましくは「7:3」〜「3:7」、さらに好ましくは「7:3」〜「4:6」である。成分Aの量が成分Aおよび成分Bの質量比「8:2」より多くなると、十分高い屈折率が得られず、成分Bの量が成分Aおよび成分Bの質量比「2:8」より多くなると、析出物が生じやすくなり、取り扱いが困難となる。
本発明の重合性組成物中の成分Aおよび成分Bの総質量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、少なくとも30質量%以上である。
(粒子)
本発明の重合組成物は、平均粒径100nm以下の粒子(無機物)を含有していても良い。成分Aおよび成分Bを主体とした樹脂成分に、高屈折率な無機粒子を含有させることで、屈折率が向上する。また、樹脂成分に無機粒子を添加すると、線膨張率の低下、ガラス転移点の上昇等の効果が期待できる。
本発明に用いられる粒子の種類としては、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、CdO、PbO、HfO、Sb等の酸化物;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム等のチタン酸塩類;CdS、CdSe、ZnSe、CdTe、ZnS、HgS、HgSe、PdS、SbSe等の硫化物、セレン化物、テルル化物;GaN等の窒化物等が挙げられる。これらを1種類、または2種以上を混合して用いることができる。また、1種類の粒子に他の物質を被覆した、いわゆるコアーシェル型粒子を使用することもできる。
上記の粒子の中でも、金属酸化物を用いることが好ましく、また、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸塩類、酸化亜鉛、および、酸化セリウムからなる群から選ばれる一種以上の化合物を用いることが好ましい。また、より好ましいのは、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸塩類であり、特に好ましいのは酸化チタン、酸化ジルコニウムである。
本発明に用いる粒子はそれぞれの化合物について種々製造法があるが、例えば、酸化チタン(TiO)の場合、ジャーナル・オブ・ケミカルエンジニアリング・オブ・ジャパン(Journal of Chemical Engineering of Japan)第1巻1号21〜28頁(1998年)や、硫化亜鉛(ZnS)の場合は、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティ、ファラデイトランザクションズ(Journal of the Chemical Society,Faraday Transactions)第92巻13号2401〜2411頁(1996年)に記載された公知の方法を用いることができる。
例えば、これらの方法に従えば、粒径10nm以下の酸化チタンは、Ti(OiPr)(チタンテトライソプロポキシド)やTiClを原料として適当な溶媒中で加水分解させることにより容易に製造することができる。また粒径5nm以下の硫化亜鉛は過塩素酸亜鉛と硫化水素を有機溶媒中、低温で反応させることにより製造することができる。
本発明に用いられる粒子は、平均粒径を100nm以下に抑えることにより、透明性の優れた重合性組成物及びその硬化物を調製することができる。粒子の平均粒径としては100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。ここで平均粒径はXRD(粉末X線解析)や透過型電子顕微鏡などで測定される。
平均粒径が100nm以下の粒子は、通常表面処理剤で被覆されている。表面処理剤は、粒子に対して吸着性および/または反応性を有する部分、被覆粒子に成分Aおよび成分B等に対する相溶性を付与する部分を含むものである。本発明で用いられる表面処理剤としては、有機酸、有機塩基、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、チオール化合物、ホスフィンオキシド化合物等が挙げられる。この中でも、有機酸、シランカップリング剤が好ましく用いられる。
表面処理剤で粒子表面を被覆する方法としては、溶媒混合法が通常用いられる。具体的には、粒子の溶媒分散液と表面処理剤の溶液を用意しておき、それらを混合すること、または、粒子の溶媒分散液に表面処理剤を添加すること等で、表面処理されたナノ粒子を得ることができる。
粒子と表面処理剤の質量比は、「1:0.01」〜「1:10」(「粒子:表面処理剤」、以下、本段落において同様。)の間で任意に選択することができる。表面処理剤を多く使用すると屈折率が低下するため、好ましくは「1:0.01」〜「1:2」の範囲程度、より好ましくは「1:0.01」〜「1:1」である。
上記した表面処理剤被覆粒子を含有する重合性組成物は、成分Aおよび成分B等に表面処理剤被覆粒子を混合することによって得られる。例えば、(1)成分Aおよび成分B等が溶解した溶液に表面処理剤被覆粒子分散液を混合した後、溶媒を除去する方法、(2)表面処理剤被覆粒子分散液に成分Aおよび成分B等を加えた後に、溶媒を除去する方法、(3)粒子分散液に表面処理剤を添加する際同時に成分Aおよび成分B等を添加し、溶媒を除去する方法等が挙げられる。溶媒の除去にはエバポレーションが好適に用いられる。この際、ナノ粒子に凝集がある場合は、適時分散処理をかけても良い。
重合性組成物中の粒子の量は、重合性組成物全体の質量を基準(100質量%)として、10質量%以上60質量%以下、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下である。ナノ粒子の量が10質量%より低いと屈折率の上がり幅が小さくなる。また、添加量が60質量%を超えると重合性組成物の流動性が低くなり、成型時等の取り扱いが困難になる。粒子の量は、仕込み比から計算するか、若しくは、得られた重合性組成物をTG−DTAなどの方法で有機分を除去すること(熱重量分析)や元素分析により得ることができる。
(重合開始剤)
本発明の重合性組成物は、重合開始剤を含有していても良い。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、紫外線、可視光線などの活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤が挙げられる。通常は、光重合開始剤を用いるか、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用する。
光重合開始剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、重合性組成物中のラジカル重合可能な化合物(成分Aおよび成分Bを含む)の合計を100質量部としたとき、通常0.001質量部以上、好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上である。その上限は、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し、硬化体の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化するおそれがある。一方、少なすぎると組成物が十分に重合しないおそれがある。
熱重合開始剤としては、この用途に用い得ることが知られている公知の化合物を用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の一方の水素原子が炭化水素基で置換されているハイドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
中でも、ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は、重合性組成物中のラジカル重合可能な化合物(成分Aおよび成分Bを含む)の合計を100質量部としたとき、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上である。その上限は、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。熱重合開始剤が多すぎると、成形型内で重合性組成物を光重合させた後、脱型して熱重合させるに際し重合が急激に進行し、得られる硬化物の複屈折を大きくするだけでなく色相も悪化させるおそれがある。一方、少なすぎると熱重合が十分に進行しないおそれがある。
光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用する場合、その質量比は、通常「100:1」〜「1:100」、好ましくは「10:1」〜「1:10」である。熱重合開始剤が少なすぎると重合が不十分となる場合があり、多すぎると着色のおそれがある。
(その他の添加剤)
本発明に用いる重合性組成物には、本発明の要旨を損なわない範囲で、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、成分Aまたは成分B以外のラジカル重合可能な化合物、連鎖移動剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、染顔料、充填剤、離型剤等が挙げられる。また、残溶媒や水を若干含んでいる場合もある。
ラジカル重合可能な化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6―ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
(重合性組成物の物性)
本発明の重合性組成物の25℃、ナトリウムD線(波長589nm)で測定した屈折率(n25 )は、1.62以上、好ましくは1.63以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、通常2.00以下程度である。
重合性組成物の粘度は、粒子を含有しない場合、通常、60℃で20mPa.s以上1000mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以上500mPa・s以下である。粒子を含有する場合、60℃で100mPa.s以上10000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以上5000mPa・s以下である。粘度が高いと、成型時に型に流し込むことが困難になる。また粘度が低すぎると、型のすき間へ組成物が入り込み、以降の工程に支障をきたす可能性があるため問題となる。
<硬化物>
(硬化物の製造方法)
本発明の重合性組成物から硬化物を製造する方法としては、光硬化、熱硬化等の手法が挙げられる。
(光硬化)
本発明の硬化物は、前述の重合性組成物を少なくとも一面が紫外線、可視光等の光を透過しうる材料で構成された成形型内に注入し、光照射して硬化させた後、脱型することにより得ることができる。光を透過しうる材料としては、透明性のよい樹脂を用いることもできるが、通常は光の照射を受けても劣化したり、変形したりしないようにガラスを用いるのが好ましい。成形型のキャビティの深さ(=製造する硬化物の厚さ)は通常10mm以下、好ましくは5mm以下であり、通常50μm以上、好ましくは200μm以上である。薄すぎると、硬化物の機械的強度が小さく、本発明の方法によっても成形するのが難しい。厚すぎると成形時において硬化物に歪みが発生するため、等方的な硬化物が得られない。
照射する光の波長としては、光重合開始剤の吸収波長等にもよるが、100nm以上800nm以下、好ましくは200nm以上600nm以下、さらに好ましくは200nm以上500nm以下である。特に、波長200〜400nmの紫外線(UV)が好ましく用いられる。光の波長が短すぎると樹脂の劣化を促進する場合があり、光の波長が長すぎると、光重合開始剤が光を吸収しない場合がある。
照射する光の照射量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意であるが、紫外線等の光の照射量が少なすぎると重合が不十分で得られる硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、一方、多すぎると得られる硬化物が黄変する等、光による劣化を生じるので、照度:10mW/cm以上5000mW/cm以下、時間:0.1秒間以上30分間以下、照射量:0.01J/cm以上10,000J/cm以下で照射するのが好ましい。
紫外線等の光照射を複数回に分割して行うと、複屈折が小さい硬化物を得ることができる。紫外線等の光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極水銀ランプ、LED等が挙げられる。重合をすみやかに完了させる目的で、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。
光照射により得られた硬化物は、さらに加熱してもよい。これにより重合反応を完結させ、さらに、重合時に発生した内部歪みを低減することが可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、通常、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度で行われ、好ましくは50℃以上250℃以下である。また、加熱時間は、1分間以上1週間以下、好ましくは30分間以上3日間以下、さらに好ましくは1時間以上1日間以下である。加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎると得られる硬化物に色相悪化をもたらすおそれがある。加熱時の雰囲気は、空気中、窒素やアルゴン等の不活性ガス中、真空中等で行うことができる。加熱は脱型後に行うことが好ましい。
(硬化物の物性)
本発明の硬化物の23℃、波長587.6nm光(d線)で測定した屈折率(n23 )は、1.65以上、好ましくは1.66以上、さらに好ましくは1.67以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、通常2.00以下程度である。
厚さ1.0mmの硬化物の全光線透過率は、70%以上、特に75%以上である。また、厚さ2.0mmの硬化物の、700nmでの光線透過率は、80%以上、好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。全光線透過率または光線透過率が小さすぎると、透明性が低いために、光学部材として用いることが困難となる。
(光学部材)
本発明の硬化物は、光学用コーティング剤、ハードコート剤、光学部材として使用することが可能であるが、中でも光学部材として使用することが好ましい。光学部材としては、光学レンズ、光学フィルム、光学フィルター、光学シート、光学薄膜、導光板、光導波路等が挙げられる。
次に合成例、実施例、比較例により本発明をさらに説明する。
(重合性組成物の屈折率の測定方法)
重合性組成物の屈折率は、25℃となるように恒温槽の水を循環させたアタゴ社製アッベ屈折率計DR−M2を用いて、ナトリウムD線の波長(波長589nm)光の屈折率(n25 )を測定することで求めた。
(重合性組成物の粘度の測定方法)
重合性組成物の粘度は、60℃に設定した恒温槽の水を循環させた東京計器社製、E型回転粘度計(VISCONIC、EHD型)により測定した。
(硬化物の屈折率の測定方法)
硬化物の屈折率は、23℃となるように恒温槽の水を循環させたカルニュー社製、精密屈折計KPR−2000を用いて、波長587.6nm光(d線)の屈折率(n23 )を測定することで求めた。
(熱重量分析(TG)による重合性組成物中の粒子量の測定法)
セイコー電子工業(現社名:エスアイアイ・ナノテクノロジー)社製、TG−DTA320を用い、200mL/分の空気気流下、白金製皿上で測定を行った。加熱条件は、昇温速度を10℃/分と設定し、室温から700℃(サンプル直下の実測温度は695℃前後)まで昇温するという条件で行った。初期の量から、減量分を引いた量を粒子量とし、重合性組成物中の粒子の質量%を算出した。
(粉末X線回折(XRD)パターンの測定・粒径(結晶子サイズ)の算出)
粉末X線回折パターンは、オランダPANalytical(旧Philips)社製、PW1700を用いて測定した。測定条件は、X線出力(CuKα):40kV,30mA、走査軸:θ/2θ、走査範囲(2θ):5.0−80.0°、測定モード:Continuous、読込幅:0.05°、走査速度:3.0°/min、スリットDS:1°、SS:1°、RS:0.2mmとした。
結晶子サイズ(D)は下記式(1)で表されるScherrer式に基づき算出した。なお、Scherrer定数(K)=0.9、X線(CuKα1)波長(λ)=1.54056Åとし、CuKα1線由来のブラッグ角(θ)およびCuKα1線由来の半価幅(β0)はMDI社製のJADE5.0+を用いて、プロファイルフィッティング法(Peason−VII関数)により算出した。また、計算に用いた試料由来のCuKα1線由来の半価幅(β)はあらかじめ標準Siにより求めておいたCuKα1線由来の回折角(2θ)とCuKα1線由来の装置由来半価幅の回帰曲線からβiを算出し、式(2)を用いて補正した。
Scherrer式
D=K・λ/β・cosθ 式(1)
半価幅補正式
β=(β0−βi1/2 式(2)
<合成例1>
(4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンの合成)
撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた釜に、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン(30kg)、N,N−ジメチルホルムアミド(45kg)、炭酸カリウム(17.4kg)を添加し、系内を窒素置換した。次に、メルカプトエタノール(18kg)を、系内温度が110℃〜120℃で滴下した。滴下終了後、115℃〜120℃で4時間30分撹拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド9.5kg、水180kgを投入し、晶析を行った。その後、再結晶を2回行った後、乾燥させて4,4′−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン得た。
次に、撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた釜に、4,4′−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(30kg)、トルエン(120kg)を仕込み、撹拌しながら110℃で共沸脱水を行った。その後冷却し、メタクリル酸メチル(81kg)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(41g)、ジエチルヒドロキシルアミン(410g)、テトラブチルチタネート(829g)を加えた。その後昇温し、100℃〜120℃で29時間、メタノールを留去させながら反応を行った。反応後、過剰のメタクリル酸メチルを除去した。この溶液にトルエン87.5kg、5%塩酸水溶液41kgを加え、70℃で洗浄した。続いて、ヘプタン37.5kgを加え、25%水酸化ナトリウム水溶液41.2kgでの洗浄を2回行った。さらに中性になるまで水41kgでの洗浄を3回行った。
その後、この溶液にハイドロキノンモノメチルエーテル41g、ジエチルヒドロキシルアミン410gを加え、濾液を減圧下で留去した。その後、メタノール123kg投入して、冷却して結晶化させた。その白色固体を濾取し、メタノール123kgで洗浄し、再び濾取して粗生成物を得た。これに、ハイドロキノンモノメチルエーテル24.46gを添加し、減圧下で溶剤を除いた後、濾過を行った。さらにこの生成物10kgにアセトン6kg、メタノール6kgを投入し、溶解させた。これにメタノール8kgを投入後、45℃以上まで加温した後、冷却を行い、濾過を行った。回収液を減圧下で溶剤を留去した後、熱時濾過を行って目的物を得た(LC面積比から求めた純度は94%であった。)。
<合成例2>
(2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸の合成)
撹拌器、温度計、冷却管および分離器を備え付けた2リットルの四ツ口フラスコに、ベンジルクロライド(500g)、メルカプトエタノール(370g)、メタノール(1000ml)に、30%水酸化ナトリウム水(705g)を60℃で滴下した。滴下後、60℃で1時間撹拌した後、水(500g)で中性になるまで洗浄した。その後、減圧下、脱溶剤を行い、2−(ベンジルチオ)エタノールを得た。
続いて、2−(ベンジルチオ)エタノール(150g)をフラスコ内に入れ、アセトン(純正化学社製:150g)に溶けた無水コハク酸(東京化成社製:89.15g)、トリエチルアミン(純正化学社製:9g)を加えて混合し、60℃で3時間撹拌した。その後、5%塩酸水溶液500g1回、水500gで3回洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで水分を除去した後、減圧乾燥を行い、下記(V)式で表される2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸を得た。
Figure 2009102550
<合成例3>
(酸化ジルコニウム粒子の合成)
30分間窒素バブリングした2100gのベンジルアルコール(純正化学社製)に、窒素バブリングしたまま70重量%のジルコニウムプロポキシドの1−プロパノール溶液(アルドリッチ社製)490.14gを加え、30分間撹拌し、ここにオレイルアミン(東京化成工業社製)560.58gを添加してさらに30分撹拌した。調製した溶液をオートクレーブ(金属製の釜)に入れ、30分間窒素バブリングした後、密閉して、210℃に加熱した。24時間後加熱を止めて放冷し、乳白色スラリー状の酸化ジルコニウム粒子含有溶液を得た。
得られた酸化ジルコニウム粒子をフェニルチオ酢酸で表面処理して得られた固体のXRDパターンを測定した結果、主に正方晶(空間群P42/nmc(空間群No.137)に属するZrO由来(ICCDより発行されているPDFの番号89−7710を参照))の酸化ジルコニウムのパターンが得られ、一部単斜晶を含んでいることを示唆するパターンが得られた。また、正方晶系の空間群P42/nmc(空間群No.137)に属するZrO由来の101ピークについて、プロファイルフィッティングを行い、結晶子サイズを計算したところ23Åであった。
<合成例4>
(酸化ジルコニウム粒子の2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸、フェニルプロピオン酸による表面処理)
合成例3で得られた酸化ジルコニウム粒子含有溶液20gに合成例2で得られた2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸を0.2g加え、室温で1時間撹拌した。ここへフェニルプロピオン酸(東京化成工業社製)を1g加え、さらに4時間半撹拌した。その後、エタノール80mLを加え、15分間撹拌した。この溶液を遠心分離(2500g×3分)すると白色沈殿が得られ、上澄みをデカンテーションにより除去した。白色沈殿をエタノールで洗浄後、室温で真空乾燥することで、2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸およびフェニルプロピオン酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子を得た。
実施例1
合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(成分A)16gにビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(住友精化社製、以下「MPSMA」と略記)(成分B)4gを加え、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。また、この重合性組成物5gをねじ口瓶(10mL)に入れ、65℃で3時間加熱後、室温(25〜26℃)に保管したところ、1日経っても透明な溶液の状態であった。
得られた重合性組成物10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製、ルシリンTPO)10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を50℃に加温し、2.0mmのスペーサーを介した2枚のガラス板からなる成形型内に注入し、上下に3本ずつ計6本のメタルハライドランプを備えたオーク製作所社製、コンベア搬送式UV照射装置(型式QRM−2232−A−00)を用いて、ライン速度0.3m/minで上下両面から積算光量20J/cmの光を照射した。2枚のガラス板を外して硬化サンプルを取り出し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例2
合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン10gにMPSMA10gを加え、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。また、この重合性組成物5gをねじ口瓶(10mL)に入れ、65℃で3時間加熱後、室温(25〜26℃)に保管したところ、1日経っても透明な溶液の状態であった。
得られた重合性組成物10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例3
合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン6gにMPSMA14gを加え、65℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。また、この重合性組成物5gをねじ口瓶(10mL)に入れ、65℃で3時間加熱後、室温(25〜26℃)に保管したところ、1日経っても透明な溶液の状態であった。
得られた重合性組成物10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物および成形型をそれぞれ60℃に加温して用いた以外は実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
実施例4
合成例4で得られた2−(ベンジルチオ)エチルコハク酸およびフェニルプロピオン酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子0.75g、合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンとMPSMAを質量比55:45で混合した組成物2.25gをTHF25mLに溶解し、孔径0.45μmのPTFE製メンブレンフィルターユニット(ADVANTEC社製:DISMIC−25HP045AN)で濾過した後にエバポレーションにより、溶媒を留去し、透明な酸化ジルコニウム粒子含有重合性組成物を得た。得られた酸化ジルコニウム粒子含有重合性組成物の屈折率(n25 )は1.65であった。また、TG−DTAから求めた粒子量は22質量%であった。
この酸化ジルコニウム粒子含有重合性組成物2.5gにビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Ciba Specialty Chemicals K.K.製、Irgacure819)を2.5mg加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を60℃に加温し、2.0mmのスペーサーを介した2枚のガラス板からなる成形型内に注入し、室温まで冷ました後に、照射強度50mW/cm(オーク製作所社製、紫外線照度計UV−M02、受光器UV−42(330〜490nm)により測定)となるように距離・位置を調整した拡散板(Edmund Optics社製;ホログラフィックディフューザー、厚さ0.76mm、拡散角度30度)を装備したLED(UV PROCESS SUPPLY,INC.製;LED CURE−ALL 415 SPOT;ピーク波長415nm)により上下から10秒間光を照射した。さらに、スペーサーを外し、短波長カットフィルター(朝日分光社製、UV350nm、カットオン波長350nm)を光の行路に入れた光照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS社製;UV LIGHT SOUCE UL750)により上下から310秒間光を照射(155mW/cm、ウシオ電機社製、紫外線積算光量計UIT−250、受光器UVD−S365(310〜390nm)により測定)することで、硬化した。脱型後、120℃のオーブン中で2時間加熱して、透明な酸化ジルコニウム粒子含有硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率(n23 )は1.68であった。酸化ジルコニウム粒子を含まない4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンとMPSMAを質量比55:45で混合した重合性組成物から同様にして得られる硬化物の屈折率(n23 )が1.66であったことから、酸化ジルコニウム粒子を添加することで、屈折率が上昇していることが確認された。
比較例1
合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例2
合成例1で得られた4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン2gにMPSMA18gを加え、65℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率(n25 )を測定しようとしたが、すぐに結晶化が始まり、はっきりと正確な値を読み取ることができなかった。また、この重合性組成物5gをねじ口瓶(10mL)に入れ、65℃で3時間加熱後、室温(25〜26℃)に保管したところ、2時間で固体となった。実施例3と同様にして硬化を行うことは可能であったが、結晶化し易く、取り扱いは非常に困難であった。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
比較例3
合成例1で合成した4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン18gにMPSMA2gを加え、55℃で均一になるまで撹拌し、透明な重合性組成物を得た。この組成物の屈折率、粘度を表1に示す。
得られた重合性組成物10gに、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド10mgを加え、60℃で均一になるまで撹拌した。この重合性組成物を実施例1と同様にして硬化し、100℃のオーブン中で3時間加熱し、透明な硬化物を得た。得られた硬化物の屈折率を表1に示す。
Figure 2009102550
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う重合性組成物およびその硬化物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (14)

  1. 少なくとも以下の成分A、および成分Bを含み、成分Aと成分Bの質量比が2:8〜8:2である重合性組成物。
    成分A:下記(I)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリレート化合物
    Figure 2009102550
    (式(I)中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R13およびR14はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
    成分B:下記(II)式で表される硫黄含有ビス(メタ)アクリロイル化合物
    Figure 2009102550
    (式(II)中、R21およびR22はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、ZおよびZはそれぞれ独立して酸素原子または硫黄原子を表し、aおよびbは0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す。)
  2. 前記成分Aおよび前記成分Bの総質量が、重合性組成物全体を100質量%として、30質量%以上である、請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 屈折率(n25 )が1.62以上である、請求項1または2に記載の重合性組成物。
  4. 前記成分Aが4,4′−ビス(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  5. 前記成分Bがビス(4−(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  6. 平均粒径が100nm以下の粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  7. 前記粒子が表面処理剤で被覆されている、請求項6に記載の重合性組成物。
  8. 前記粒子の含有量が、重合性組成物全体を100質量%として、10質量%以上60質量%以下である、請求項6または7に記載の重合性組成物。
  9. 前記粒子が金属酸化物である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  10. 前記金属酸化物が酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸塩類、酸化亜鉛、および、酸化セリウムからなる群から選ばれる一種以上の化合物である、請求項9に記載の重合性組成物。
  11. ラジカル重合開始剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  12. 光重合開始剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の重合性組成物を硬化させてなる硬化物。
  14. 請求項13に記載の硬化物からなる光学部材。
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