JP2006273709A - 高屈折率を有するナノ粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面処理剤で被覆されたナノ粒子であって、屈折率が1.8以上である被覆ナノ粒子。好ましくは、表面処理剤が、ナノ粒子に対して吸着性または反応性を有する部分(A)、表面処理剤で被覆されたナノ粒子に(メタ)アクリルモノマーに対する相溶性を付与する部分(B)、および高屈折率を有する部分(C)を有する。
Description
実施例中では作製した混合物を使用して20ミクロンの薄膜を作製し、ヘイズを測定し高透明性をうたっているが、レンズなどの厚膜の作製例は存在しない。実際にはこの混合物で厚膜を作成した場合、濁りが生じる問題がある。またこの混合物は安定性に劣り、経時的に濁りを生じるといった不都合がある。
ロイドの例が例示されているが、ここで使用される表面処理剤(分散助剤)は、低屈折率のものであるため、被覆されたナノ粒子全体での屈折率は低い問題点があった。
表面処理剤をナノ粒子の表面処理に用いると、高い屈折率を維持しかつ(メタ)アクリルモノマーに対する相溶性に優れたナノ粒子を得ることが出来ることを見出し、かかる知見に基づいて本発明に到達した。
即ち、本発明の第一の要旨は、表面処理剤で被覆されたナノ粒子であって屈折率が1.8以上である被覆ナノ粒子である(第一発明)。
本発明の第三の要旨は、部分(A)が、(i)イオン結合性基、(ii)ナノ粒子と反応して共有結合を形成する基、あるいは(iii)水素結合または配位結合基のいずれかであることを特徴とする第二発明に記載のナノ粒子である(第三発明)。
本発明の第四の要旨は、イオン結合性基が、(i)酸性基またはその塩、(ii)塩基性基またはその塩のいずれかである第三発明に記載のナノ粒子である。
)3、−Ti(OR2)3、イソシアネート基、エポキシ基、エピスルフィド基、のいずれ
かであることを特徴とする第三発明に記載のナノ粒子である(ただし、式中、R1および
R2は水素原子または炭素数1〜25の炭化水素基、または芳香族基を表す)。
本発明の第六の要旨は、水素結合または配位結合基が水酸基、チオール基、ホスフィンオキサイドのいずれかであることを特徴とする第三発明に記載のナノ粒子である。
本発明の第七の要旨は、部分(B)が、(メタ)アクリル基、ポリアルキレングリコール基(ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基)、芳香族基のいずれかであることを特徴とする第二発明に記載のナノ粒子である。
芳香環から構成され、かつ表面処理剤自体の屈折率1.52以上であることを特徴とする第二発明に記載のナノ粒子である。
本発明の第九の要旨は、ナノ粒子を溶媒に分散させた後に、表面処理剤を含有する溶液と混合し、上記分散溶媒を除去することによって表面被覆ナノ粒子を得ることを特徴とする、表面処理ナノ粒子の製造方法である。
(ナノ粒子)
本発明に用いられるナノ粒子の種類としては、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化セリウム、酸化イットリウム、CdO、PbO、HfO2、Sb2O5等の酸化物ナノ粒子;チタン酸バリウム、チタン酸スト
ロンチウムなどのチタン酸塩類;CdS、CdSe、ZnSe、CdTe、ZnS、HgS、HgSe、PdS、SbSe等の硫化物、セレン化物、テルル化物ナノ粒子等が挙げられる。これらを1種類、または2種以上を混合して用いることが出来る。
また、1種類の粒子に他の物質を被覆した、いわゆるコアーシェル型ナノ粒子を使用することも出来る。
本発明に用いるナノ粒子はそれぞれの化合物について種々製造法があるが、たとえば、TiO2の場合、ジャーナル・オブ・ケミカルエンジニアリング・オブ・ジャパン第1巻
1号21〜28頁(1998年)や、ZnSの場合は、ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリー第100巻468〜471頁(1996年)に記載された公知の方法を用いることができる。
本発明のナノ粒子の屈折率は、有機溶媒透明分散液を調整し、ナトリウムD線の波長(波長589.3nm)光の屈折率を測定した測定値を、ナノ粒子と溶媒の比重から計算して100vol%に外挿して算出する。
本発明に用いられる表面修飾材の種類としては、ナノ粒子に対して吸着性または反応性を有する部分(A)、表面処理剤で被覆されたナノ粒子に(メタ)アクリルモノマーに対して相溶性を付与する部分(B)、および高屈折率を有する部分(C)を有するものである。
下記は、(A)〜(C)の順列の例示である。
2) (A)−(C)−(B)
3) (B)−(A)−(C)
表面処理剤で被覆されたナノ粒子に(メタ)アクリルモノマーに対して相溶性を付与する部分(B)(以下、相溶性基(B)と称する場合がある)と高屈折率部分(C)は、一つの構造が(B)と(C)の二つの機能を併せ持っていても良い。このような構造としては以下に示す構造が例示できる。
例1
吸着性とは、処理後のナノ粒子との共有結合ではなく、イオン結合、配位結合あるいは水素結合で結び付けられる基を指す。一方、反応性を有する基とは処理後のナノ粒子と共有結合を形成する事の出来る基を指す。
また、(メタ)アクリルモノマーと相溶性のある部分(B)は、(メタ)アクリル基、ポリアルキレングリコール基、フェニル基のいずれかを用いることが出来る。具体的にはポリアルキレングリコール基としてはポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基を用いることが出来る。
(高屈折率部分の例示)
部分(C)として以下に示す構造を例示することができる。
例2
例3
例4
またはハロゲン原子を示す。mは1〜4の整数である。)
例5
例6
(表面処理剤の例示)
上述した部分(A)〜(C)を組み合わせた具体的化合物としては、以下に示す化合物を例示することができる。
例1
フェニルチオ酢酸((Phenylthio)acetic acid)、S-Phenylthioglycolic Acid)
下記構造式で表される化合物1
表わす。)
例3
下記構造式で表される化合物2
表わす。)
例4
下記構造式で表される化合物3
表わす。)
例5
下記構造式で表される化合物4
表わす。)
(ナノ粒子の表面処理方法)
表面処理剤のナノ粒子表面への処理方法としては、溶媒混合法が通常用いられる。
具体的には、ナノ粒子の溶媒分散液と表面処理剤の溶液を用意しておき、それを混合することで表面処理されたナノ粒子を得ることが出来る。
キシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどのアクリレート類その他一般の有機溶媒が使用できる。分散溶媒の量は通常粒子100重量部に対して100〜2000重量部である。
ここで得られたナノ粒子は、そのまま使用しても良いし、再沈精製、膜精製等の方法で精製して使用しても良い。
ナノ粒子と表面処理剤の重量比はナノ粒子:表面処理剤=1:0.01〜1:10の間で任意に選択することが出来る。表面処理剤を多く使用すると屈折率が低下するため、通常は1:0.01〜1:2の範囲程度、好ましくは1:0.01〜1である。
好ましくは、被覆された該ナノ粒子中の表面処理剤の量が被覆ナノ粒子に対して30wt%以上である。
(高屈折率ナノ粒子の用途)
本発明の高屈折率ナノ粒子は、各種重合モノマーに混合・分散し、高屈折率材料として使用することが出来る。
(重合モノマー)
重合モノマーとしては、(メタ)アクリレート系のUV硬化性・熱硬化性モノマー、(メタ)アクリレート系UV硬化性・熱硬化性オリゴマーあるいはこれらの複合物などが挙げられる。ナノ微粒子が分散可能なものであれば特に制限はない。
本発明において(メタ)アクリレートとは、メタアクリレートのみならずアクリレートも含まれる。
(重合モノマーの例示)
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、分子内に分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、2個以上の1個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
クリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートを挙げることが出来る。
−(CH2)x−Ar’−、
−Ar’−(CH2)x−、
−(CH2)x−Ar’−(CH2)y−
で表される基が挙げられる。Ar’はフェニレン基、ナフチレン基などの炭素数6〜29のアリーレン基を表し、x、yはそれぞれ1〜24の整数を表し、x、y及びAr’で示されるアリーレン基の炭素数の和は7〜30である。これらのアリーレン基、アラルキレン基は通常1〜12個、好ましくは2〜8個のフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
。また、Yは、Xが−S−の場合は、−S−、−SO2−、−CO−、炭素数1〜12の
アルキレン基、炭素数7〜30のアラルキレン基、または−Ar−(Y−Ar)p−が
kは平均オリゴマー化度を表す1〜5の数である。)
で表されるオリゴマーもしくは、
で表されるオリゴマーを示す。
Xが−S−の場合、Yは好ましくは、−S−または−SO2−が挙げられる。
炭素数1〜12のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6アルキレン基が用いられる。
−(CH2)x−Ar’−、
−Ar’−(CH2)x−、
−(CH2)x−Ar’−(CH2)y−
で表される。Ar’はフェニレン基、ナフチレン基などの炭素数6〜29のアリーレン基を表し、x、yはそれぞれ1〜24の整数を表し、x、y及びAr’で示されるアリーレン基の炭素数の和が7〜30、好ましくは7〜14である。
レン基としては、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基中の任意の位置に、通常1〜5個の−O−基を有していてもよい基を挙げることができる。Zは−O−又は−S−を示す。m及びnはそれぞれ1〜5、好ましくは1〜3の整数を示し、pは0〜10、好ましくは0〜5の数を示す。
α、α’−ビス(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)−2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシレン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)ジ
フェニルスルフィド、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエトキシ)ジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエトキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)ジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、
4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)ジフェニルケトン、2,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、2,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトタブロモジフェニルケトン、4,4’−ジ(β−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)−3,3’,5,5’−テトタブロモジフェニルケトン、
β,β’−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ)ジエチルエーテル、β,β’−ビス(p−(メタ)アクリロイルチオフェニルチオ)ジエチルエーテル、β,β’−ビス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ)ジエチルチオエーテル、β,β’−ビス(p−(メタ)アクリロイルチオフェニルチオ)ジエチルチオエーテルなどが挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
N−ビニルアミド化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドを挙げることが出来る。
また、ナノ粒子とモノマーの重量比は、通常1:99〜50:50、好ましくは10:90〜40:50である
(表面処理ナノ粒子含有組成物の製造方法)
表面処理ナノ粒子含有組成物の製造方法としては、重合モノマーに表面処理されたナノ粒子を混合することによって得られる。例えば、重合モノマーが溶解した溶液にナノ粒子の溶液を混合した後、溶媒を除去する。この際、ナノ粒子に凝集がある場合は、適時分散処理をかけても良い。
(成型方法)
本発明におけるナノ粒子を使用した高屈折率材料組成物を用いて光学材料を得ることが出来る。具体的には、例えば、該高屈折率材料組成物をUV硬化、熱硬化等の手法により成形する方法が挙げられる。
(屈折率の測定法)
各ナノ粒子の10wt%THF溶液を調整し、アタゴ社製アッベ屈折率計DR−M2を用いて、ナトリウムD線の波長(波長589.3nm)光の屈折率を測定した。測定値を比重から計算して100vol%に外挿し、ナノ粒子の屈折率を得た。
(モノマーとの相溶性判別方法)
得られた各ナノ粒子の10wt%溶液を調整し、下記式で表される(メタ)アクリル系モノマー1と、ナノ粒子が20wt%の濃度になるように混合した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、得られたナノ粒子とモノマーの組成物を目視で判断し、透過率80%以上のものを相溶性○、そうでないものを×とした。又、得られたナノ粒子とモノマーの組成物を目視で判断し、透明なものを相溶性○、うっすら濁っているものを△、濁っているものを×とした。
(メタ)アクリルモノマー1
合成例1
(酸化チタンナノ粒子の合成)
300mlの3つ口フラスコ内部を濃塩酸で3回洗浄する。100mlの脱塩水をフラスコに加える。窒素で系中を脱気する。4mlの濃塩酸を加え、氷浴につけて、温度を10度以下に維持する。そこに4mlのTiCl4をシリンジを用いて、2ml/minの速度で滴下する。得られた溶液を10℃以下で10分攪拌後、オイルバスに移し60℃で1hr攪拌する。得られた酸化チタンナノ粒子溶液を真空ポンプを用いて真空下で水を留去する。得られた白色粉末にTHF/EtOH(1:1混合)溶液を加えて、超音波洗浄機で超音波を照射し、透明な10wt%酸化チタンナノ粒子溶液Aを得た。酸化チタンの粒径を、XRD(粉末X線解析)を用いて測定したところ3nmであった。
合成例2
(表面処理剤1の合成)
攪拌器、温度計、冷却管及び分離器を備え付けた1リットルの四ツ口フラスコに、4,4′−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(100g)、メタクリル酸メチル(東京化成(株):270g)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(東京化成(株):0.137g)及びトルエン(関東化学(株):200g)を仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温したところへ、テトラブチルチタネート(東京化成(株):2.8g)を加えた。その後更に昇温し、100〜120℃で8時間、メタノールを留去させながら反応を行った。反応後、過剰のメタクリル酸メチルを除去し、その後、反応溶液を室温まで冷却した。この溶液にトルエン100gを加え、5%塩酸水溶液150g、続いて5%水酸化ナトリウム水溶液150gで洗浄し、更に中性になるまで150gで3回水洗浄した。この溶液にハイドロキノンモノメチルエーテル0.135gを加え、減圧下でトルエンを留去し、粗生成物を得た。粗生成物をn−ヘキサン−酢酸エチル系のシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、次式で示される表面処理剤1(32.4g)を得た。
(表面処理剤2の合成)
表面処理剤1(32.4g)をフラスコ内に入れ、アセトン(関東化学(株):30g)に溶けた無水コハク酸(東京化成(株):7.75g)、トリエチルアミン(関東化学(株):0.7
46g)を加えて混合し、60℃で3時間撹拌した。その後、5%塩酸水溶液150g1
回、水150gで3回洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧乾燥を行い、次式で表される表面処理剤2(27.5g)を得た。
(表面処理剤3の合成)
合成例2における4,4′−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(100g)の代わりに2,2‘−[パラ−フェニレンビス(メチレンチオ)]ジエタノール(236.3g)を用いる以外は合成例2と同様に行い、次式で表される表面処理剤3(18.9g)を得た。
(表面処理剤4の合成)
合成例3における表面処理剤1(32.4g)の代わりに表面処理剤3(18.9g)を用いる以外は合成例3と同様に行い、次式で表される表面処理剤4(16.5g)を得た
。
(表面処理剤5の合成)
合成例2における4,4′−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(100g)の代わりにベンジルクロライド(東京化成(株):500g)を用いる以外は合成例2と同様に行い、次式で表される表面処理剤5(640g)を得た。
(表面処理剤6の合成)
合成例3における表面処理剤1(32.4g)の代わりに表面処理剤5(100g)を用いる以外は合成例3と同様に行い、次式で表される表面処理剤6(70g)を得た。
(表面処理剤7の合成)
合成例7で合成した表面処理剤6(7.03g)及びトリフェニルフォスフィン(東京化成(株):16.43g)をフラスコ内に入れ、容器内をアルゴンで置換した後、アルゴン気流下、乾燥テトラヒドロフラン(以下THFと略記、100mL)を加えて内容物を完全に溶解した。氷浴上にフラスコを移し、窒素気流下、撹拌しながら四臭化炭素(東京化成(株):20.77g)を少量ずつ加えた後、室温にて3時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた濃縮液を減圧濾過した。濾紙上に残った固体をn−ヘキサン(純正化学(株):50mL)で二回洗浄し、濾液と洗液を合わせて減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をn−ヘキサン−酢酸エチル系のシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、2−(ベンジルチオ)エチルブロマイド(6.56g)を得た。
(フェニルチオ酢酸被覆酸化チタンナノ粒子の製造)
市販のフェニルチオ酢酸((Phenylthio)acetic acid、S-Phenylthioglycolic acid)東京化成工業(株)製)3gを27gのTHFに溶解し、フェニルチオ酢酸10wt%溶液を得た。この溶液にゆっくりと10wt%酸化チタンナノ粒子溶液A70gを滴下し、透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Aを得た。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例2
(表面処理剤1被覆酸化チタンナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤1に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Bが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例3
(表面処理剤2被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤2に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Cが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例4
(表面処理剤3被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤3に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Dが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例5
(表面処理剤4被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤4に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Eが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例6
(表面処理剤5被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤5に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Fが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例7
(表面処理剤6被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤6に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Gが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例8
(表面処理剤7被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤7に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Hが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
実施例9
(表面処理剤1被覆ナノ粒子の製造)
フェニルチオ酢酸を表面処理剤1に変更し、表面処理剤1の10wt%溶液20gに対し10wt%酸化チタンナノ粒子溶液A80gを滴下した以外は、実施例1と同様に行った。透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液Iが得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面
処理剤の量は20wt%であった。
比較例1
(シランカップリング剤処理されたナノ粒子の製造)
市販のシランカップリング剤KBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製)3gを27gのTHFに溶解し、10wt%溶液を得た。この溶液にゆっくりと10wt%酸化チタンナノ粒子溶液A70gを滴下し、80℃で3時間過加熱して透明な被覆酸化チタンナノ粒子溶液が得られた。被覆酸化チタンナノ粒子中の表面処理剤の量は30wt%であった。
比較例2
(表面処理されていないナノ粒子)
合成例1酸化チタンナノ粒子の合成で合成された10wt%酸化チタンナノ粒子溶液そのものを用いた。
比較例3
メタノールに分散されたSnO2−TiO2−ZrO2−Sb2O5複合金属酸化物(日産
化学工業株式会社製の商品名:サンコロイド HIT−301M1、複合金属酸化物濃度):30wt%、平均粒子径:5〜15nm)を用いた。
比較例4
合成例1の10wt%酸化チタンナノ粒子溶液A60gに10wt%ドデシルベンゼンスルホン酸THF溶液40gを加えて、白濁した被覆酸化チタンナノ粒子溶液を得た。被覆ナノ粒子中の表面処理剤の量は40wt%であった。
上記実施例及び比較例の実験結果を表1にまとめた。
Claims (13)
- 表面処理剤で被覆されたナノ粒子であって、屈折率が1.8以上である被覆ナノ粒子。
- 表面処理剤が、ナノ粒子に対して吸着性または反応性を有する部分(A)、表面処理剤で被覆されたナノ粒子に(メタ)アクリルモノマーに対する相溶性を付与する部分(B)、および高屈折率を有する部分(C)を有する事を特徴とする請求項1記載のナノ粒子。
- 部分(A)が、(i)イオン結合性基、(ii)ナノ粒子と反応して共有結合を形成する基、あるいは(iii)水素結合または配位結合基のいずれかであることを特徴とする請求項2記載のナノ粒子。
- イオン結合性基が、(i)酸性基またはその塩、(ii)塩基性基またはその塩のいずれかである請求項3記載のナノ粒子。
- ナノ粒子と反応して共有結合を形成する基が、−Si(OR1)3、−Ti(OR2)3、イソシアネート基、エポキシ基、エピスルフィド基、のいずれかであることを特徴とする請求項3記載のナノ粒子(式中、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜25の炭化水素基を表す)。
- 水素結合または配位結合基が水酸基、チオール基、ホスフィンオキサイドのいずれかであることを特徴とする請求項3記載のナノ粒子。
- 部分(B)が、(メタ)アクリル基、ポリアルキレングリコール基、芳香族基のいずれかであることを特徴とする請求項2記載のナノ粒子。
- 部分(C)が、少なくとも一つの硫黄原子と少なくとも一つの芳香環から構成され、かつ表面処理剤自体の屈折率1.52以上であることを特徴とする請求項2記載のナノ粒子。
- 平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のナノ粒子。
- ナノ粒子が金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のナノ粒子。
- 金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸塩のいずれかまたは混合物であることを特徴とする請求項10記載のナノ粒子。
- 該被覆ナノ粒子中の表面処理剤の量が、被覆ナノ粒子に対して30wt%以上である請求項1〜11のいずれかに記載のナノ粒子。
- ナノ粒子を溶媒に分散させた後に、表面処理剤を含有する溶液と混合し、上記分散溶媒を除去することによって表面被覆ナノ粒子を得ることを特徴とする、表面処理ナノ粒子の製造方法。
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