JP2009029939A - 有機無機複合材料、光学部品およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも高分子鎖末端または側鎖にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂と、数平均分子量が50〜10000の少なくとも一つのカルボキシル基を有する分散剤と、数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子とを含み、該熱可塑性樹脂中に該無機微粒子が分散していることを特徴とする有機無機複合材料。
【選択図】なし
Description
また、親水的な無機微粒子の添加により有機無機複合材料の成形体の耐湿性が悪化するという問題があった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、無機微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散していて、優れた透明性と高い屈折率、耐湿性を有する有機無機複合材料、ならびに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
[2] 前記分散剤が、数平均分子量100〜500であり、少なくとも一つ以上の芳香族性基を有することを特徴とする[1]に記載の有機無機複合材料。
[3] 前記分散剤が芳香族環に直接結合したカルボキシル基を有することを特徴とする[1]または[2]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[4] 前記分散剤が下記一般式(1)で表される化合物群から少なくとも一種選ばれることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[5] 前記一般式(1)のR1が、炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルキル基、または、炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルコキシ基であることを特徴とする[4]に記載の有機無機複合材料。
[6] 前記熱可塑性樹脂中のカルボキシル基数が高分子鎖1本あたり平均0.1〜20であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[7] 前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基を含むビニルモノマーを重合単位として含むランダム共重合体であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料成形物。
[8] 前記熱可塑性樹脂が、高分子末端の少なくとも1箇所にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料成形物。
[9] 前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基含有セグメントおよび疎水性セグメントで構成されるブロック共重合体であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[10] 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[11] 前記無機微粒子が、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫およびチタニアからなる群より選ばれるいずれか一種であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[12] 波長589nmにおける屈折率が1.63以上、かつ、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
[14] 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする[13]に記載の光学部品。
[16] 前記分散剤が下記一般式(1)で表される化合物群から少なくとも一種選ばれることを特徴とする[15]に記載の有機無機複合材料の製造方法。
[18] 前記分散剤が下記一般式(1)で表される化合物群から少なくとも一種選ばれることを特徴とする[17]に記載の光学部品の製造方法。
本発明の有機無機複合材料には、数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子を用いる。無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズは1〜15nmにすることが必要であり、好ましくは2〜13nmであり、より好ましくは3〜10nmである。
この方法に用いられる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
<構造的特徴>
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、少なくとも高分子鎖末端または側鎖にカルボキシル基を有することを特徴とし、樹脂中のカルボキシル基数は高分子鎖1本あたり平均0.1〜20であることが好ましく、0.3〜18であることがより好ましく、0.5〜15であることがさらに好ましい。樹脂中のカルボキシル基数は高分子鎖1本あたり平均0.1以上であれば無機微粒子との相溶性向上効果を発現しやすく、20以下であれば有機無機複合材料にしたときに熱可塑性を維持しやすい傾向がある。
(1)側鎖にカルボキシル基をランダムに有する熱可塑性樹脂
(2)高分子末端の少なくとも1箇所に、カルボキシル基を有する熱可塑性樹脂
(3)カルボキシル基含有セグメントおよび疎水性セグメントで構成されるブロック共重合体が好ましい例として挙げられるが、無機微粒子の安定分散性の観点から、(3)ブロック共重合体がより好ましい。
以下、これらの熱可塑性樹脂(1)〜(3)について、詳細に説明する。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)は、側鎖にカルボキシル基を有するランダム共重合体である。ポリマーの種類としては、ビニルモノマーの重合によって得られるビニルポリマー、ポリエーテル、開環メタセシス重合ポリマーおよび縮合ポリマー(ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなど)など従来公知のポリマーのいずれからでも選択可能であるが、ビニルポリマー、開環メタセシス重合ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルが好ましく、製造適性の点からビニルポリマーがより好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、カルボキシル基を高分子末端の少なくとも1箇所に有する。ここで、カルボキシル基は、高分子鎖の片末端のみに存在しても、両末端に存在してもよいが、高分子鎖の片末端のみに存在することが好ましい。また、カルボキシル基は末端に複数存在していてもよい。ここでいう末端とは、高分子鎖を構成する繰り返し単位と繰り返し単位で挟まれている構造を除く部分を意味する。
本発明において、ブロック共重合体とはカルボキシル基含有セグメントAと疎水性セグメントBから構成されるブロック共重合体である。前記カルボキシル基含有セグメントAとは、繰り返し単位中に少なくとも一つ以上のカルボキシル基を有するセグメントであり、前記疎水性セグメントBとは、セグメントBのみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解しない特性を有するセグメントである。前記ブロック共重合体の型としては、AB型、B1AB2型(2つの疎水性セグメントB1とB2とは同じでも異なっていてもよい)およびA1BA2型(2つのカルボキシル基含有セグメントA1とA2とは同じでも異なっていてもよい)が挙げられ、分散特性が良好な点から、AB型あるいはB1AB2型のブロック共重合体が好ましく、製造適性の点から、AB型あるいはBAB型(B1AB2型の2つの疎水性セグメントが同じ型)がより好ましく、AB型が特に好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、波長589nmにおける屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましい。
本発明に使用する前記無機微粒子は、前記樹脂を主体とする樹脂マトリックスへの相溶性を有する有機化合物(本発明では「分散剤」と称する)を配位あるいは修飾すると、該樹脂マトリックスへの微粒子の分散性が向上し、本発明の有機無機複合材料の透明性や機械的強度が向上する場合がある。分散剤の効果は、微粒子同士の凝集が抑制される効果や、上記樹脂マトリックスへの相溶性が向上する効果等の組み合わせによるものと考えられる。
一般式(1’)におけるR21およびR22が採りうる置換基は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、ハロゲン原子を挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基、アリール基が採りうる置換基としては、アルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、ハロゲン原子を挙げることができる。R21およびR22が採りうるアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10がさらに好ましく、1〜6が特に好ましい。R21およびR22が採りうるアリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。R21およびR22が採りうるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。R21およびR22として好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基であり、より好ましくは水素原子、無置換のアルキル基、無置換のアリール基であり、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、フェニルエチレン基、ジフェニルエチレン基であり、特に好ましくはメチレン基、エチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基である。nが2以上であるとき、複数のR21およびR22は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1’)におけるnは、好ましくは1〜6の整数であり。より好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは1または2の整数であり、特に好ましくは1である。
本発明の有機無機複合材料は、少なくとも高分子鎖末端、または側鎖にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂と、数平均分子量が50〜10000の少なくとも一つのカルボキシル基を有する分散剤と、数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子からなり、該熱可塑性樹脂中に数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子が分散していることを特徴とする。本発明の有機無機複合材料の製造方法は特に限定されるものではない。具体的には、熱可塑性樹脂と無機微粒子をそれぞれ独立に合成して、両者を混合させる方法、予め合成した無機微粒子の存在下で熱可塑性樹脂を合成する方法、予め合成した熱可塑性樹脂の存在下で無機微粒子を合成する方法、熱可塑性樹脂と無機微粒子の両者を同時に合成する方法等を挙げることができ、これらのいずれの方法で製造してもよい。また、分散剤を加える方法も限定されない。具体的には、樹脂と分散剤を混合した後に、無機微粒子を混合する方法、無機微粒子と分散剤を混合した後に、樹脂を混合する方法、樹脂と無機微粒子を混合した後に、分散剤を混合する方法が挙げることができ、これらのいずれの方法で作製してもよい。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の有機無機複合材料を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、成形温度を下げるために、本発明の有機無機複合材料に可塑剤を含有させてもよい。本発明で使用する可塑剤としては、一般式(4)で表される構造を有するものが好ましい。
B1,B2の基としては、具体的には、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。一般式(4)で表される化合物の具体例としては次に示すものが挙げられ、中でもW−1(花王株式会社製の商品名〔KP−L155〕)が好ましい。ただし、本発明で用いることができる可塑剤はこれらの化合物に限定されない。
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良したりする目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
本発明における有機無機複合材料の成形法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形等、一般の熱可塑性樹脂材料の成形法を採用することができるが、本発明では特に、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の粉状の有機無機複合材料を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学部品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
本発明の有機無機複合材料を成形して透明成形体を得ることにより、本発明の光学部品を製造することができる。本発明の光学部品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率、光学特性を示すものが有用である。光学部品の製造に際しては、金型を用いて成形することが好ましい。金型は、通常の光学部品の成形に用いられるものを適宜選択して採用することができる。
本発明は、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学部品に対して特に有用であり、好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学部品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する光学部品への適用である。これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、無機微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学部品とすることができる。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
(4)耐湿性
成形体を60℃・相対湿度90%の環境下に168時間保持した後、目視にて変化のない場合を○、若干のクラックが入った場合を△、全面にクラックが入った場合を×とした。
(1)チタニア微粒子の合成
0.1モル/Lの硫酸チタニル水溶液を攪拌しながら、同容量の1.5モル/Lの炭酸ナトリウム水溶液を室温で10分かけて滴下した。こうして得た白色の超微粒子の懸濁液を、3500rpmで遠心分離し、上澄み液のデカンテーションによる除去および水洗の工程を繰り返すことにより精製した。こうして得た白色沈殿を0.3モル/Lの希塩酸中に攪拌分散しながら50℃で約1時間加熱して、透明感のある酸性ヒドロゾルを得た。この酸性ヒドロゾルを氷冷し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の水溶液を加えたところ白色沈殿を生じたので、次いでトルエンで抽出し、乾燥後濃縮した。この濃縮残渣のXRDとTEMより、アナタース型チタニア微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒としてジルコニア換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理してジルコニア微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmのジルコニア微粒子の生成を確認した。
前記(2)で合成したジルコニア微粒子懸濁液と東京化成製のp−プロピル安息香酸(D−3)を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出し、ジルコニア微粒子トルエン分散液を作製した。
他の分散剤を用いる場合にも、同様の方法により調製できる。
P−3の合成:
還流冷却器、ガス導入コックを付した300ml三口フラスコに、アルドリッチ社製2−カルボキシエチルアクリレート(A−3)0.50gを添加し、2回窒素置換した後、スチレン(B−1)49.5g、酢酸エチル21.4g、さらに開始剤として和光純薬工業株式会社製V−601 0.5gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下80℃で3時間加熱した。室温に戻した後、酢酸エチル30mlを添加後、10分間攪拌し、メタノール2Lに投入し、再沈殿した。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥することによりP−3を得た(収率48%、数平均分子量19,000、重量平均分子量34,000)。
チオール誘導体Cの合成;
還流冷却器およびガス導入コックを付した300mlの三口フラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)39.2g(50mmol)、イタコン酸32.5g(250mmol)、1−メトキシ−2−プロパノール127.3gを仕込み、窒素気流下、90℃に加熱した。ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート288mgを1−メトキシ−2−プロパノール20gに溶解し添加した。90℃で2時間反応させた後、さらにジメチル2,2−アゾビスイソブチレート288mgを1−メトキシ−2−プロパノール20gに溶解し添加した。90℃で2時間反応させて後、100℃に昇温しさらに1時間反応させ、チオール誘導体Aの30質量%溶液を得た。反応液を1H NMRで解析し、l/m=5/1であることを確認した。
還流冷却器およびガス導入コックを付した300mlの三口フラスコに、チオール誘導体Cの30質量%1−メトキシ−2−プロパノール溶液4.78g(1mmol)、2−フェニルフェノキシアクリレート44.9g(0.20mol)、THF20mlを仕込み、窒素気流下80℃に加熱した。ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート92mgをTHF1mlに溶解して添加した。80℃で2時間反応させた後、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート46mgをTHF20mlに溶解して添加した。さらに80℃で2時間反応させた後、酢酸エチルで適度に希釈し、大量のメタノールに投入し沈殿させた。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、50℃で12時間真空乾燥して例示化合物Q−1を得た(収率84%)。数平均分子量36,800、重量平均分子量59.000。
還流冷却器、ガス導入コックを付した300ml三口フラスコに、tert−ブチルアクリレート12.8g、2−ブロモプロピオン酸メチルエステル0.56g、臭化銅(I)0.24g、N,N,N’,N’,N”,N”―ペンタメチルジエチレンテトラミン0.29g、メチルエチルケトン4mlからなる混合液を調製し、窒素置換した。油浴温度80℃で3時間攪拌し、スチレン91.0g、メチルエチルケトン35mlの混合液を窒素気流下添加した。油浴温度90℃で20時間攪拌し、室温に戻してからアセトン100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じる沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体R−1’を74g得た。
ブロック共重合体R−1’70gをトルエン300gに溶解し、p−トルエンスルホン酸7.0gを加え、油浴温度130℃で6時間撹拌し、室温に戻してから過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体R−1を66g得た(数平均分子量30,000、重量平均分子量33,300)。
(3)で合成したジルコニア微粒子のトルエン分散液を樹脂P−1のトルエン溶液に5分かけて滴下し、これを1時間攪拌した後、溶媒を除去することにより、有機無機複合材料を粉体として得た。
他の有機無機複合材料についても、同様の方法で調製した。
実施例1〜13と比較例1〜5の各レンズを下記の手順で製造した。使用した無機微粒子の種類と無機成分としての使用量は表4に示す通りとした。但し、比較例1では、無機微粒子を添加せず、比較例2では、分散剤を使用せず、比較例3では分散剤として、プロピオン酸を用い、比較例4および5ではアルドリッチ社製のポリスチレンを用いた。
製造した各有機無機複合材料を220℃で加熱成形し、厚さ1mmのレンズ用成形体を作成した。このとき金型からの離型性を評価した。成形体を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が熱可塑性樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果は以下の表4に記載した。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
Claims (18)
- 少なくとも高分子鎖末端または側鎖にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂と、数平均分子量が50〜10000の少なくとも一つのカルボキシル基を有する分散剤と、数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子とを含み、該熱可塑性樹脂中に該無機微粒子が分散していることを特徴とする有機無機複合材料。
- 前記分散剤が、数平均分子量100〜500であり、少なくとも一つ以上の芳香族性基を有することを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合材料。
- 前記分散剤が芳香族環に直接結合したカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合材料。
- 前記一般式(1)のR1が、炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルキル基、または、炭素数1〜7の置換もしくは無置換のアルコキシ基であることを特徴とする請求項4に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂中のカルボキシル基数が高分子鎖1本あたり平均0.1〜20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基を含むビニルモノマーを重合単位として含むランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合材料成形物。
- 前記熱可塑性樹脂が、高分子末端の少なくとも1箇所にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合材料成形物。
- 前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基含有セグメントおよび疎水性セグメントで構成されるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子が、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫およびチタニアからなる群より選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 波長589nmにおける屈折率が1.63以上、かつ、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機無機複合材料を含んで構成される光学部品。
- 光学部品がレンズ基材であることを特徴とする請求項13に記載の光学部品。
- 数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子を、数平均分子量が50〜10000の少なくとも一つのカルボキシル基を有する分散剤の存在下で、少なくとも高分子鎖末端または側鎖にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂中に分散する工程を含むことを特徴とする有機無機複合材料の製造方法。
- 数平均粒子サイズが1〜15nmの無機微粒子を、数平均分子量が50〜10000の少なくとも一つのカルボキシル基を有する分散剤の存在下で、少なくとも高分子鎖末端または側鎖にカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂中に分散して有機無機複合材料を調製する工程と、該有機無機複合材料を金型を用いて成形する工程を含むことを特徴とする光学部品の製造方法。
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