JP2009029938A - 有機無機複合材料および光学物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性を有し、屈折率の温度依存性が小さい有機無機複合材料を提供する。
【解決手段】少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する有機無機複合材料であって、該有機無機複合材料の波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たす有機無機複合材料。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する有機無機複合材料であって、該有機無機複合材料の波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たす有機無機複合材料。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
【選択図】なし
Description
本発明は、透明性、軽量性に優れ、屈折率の温度依存性の少ない材料組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(ズームレンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ)、OHP用レンズ、または、マイクロレンズアレイ等を構成するレンズ基材)等の光学物品に関する。
プラスチックは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学物品にも急速に普及しつつある。そして、レンズの薄型化、撮像素子の小型化、高画質化を目的として、素材自体の高屈折率化やアッベ数の制御、低複屈折化などの光学特性の改良に関する検討がなされてきた。
その一方で、プラスチックはガラスに比べて温度変化や湿度変化に対する屈折率の安定性が低いため、プラスチック製光学物品の焦点や画質等の安定性を改良することが望まれていた。
その一方で、プラスチックはガラスに比べて温度変化や湿度変化に対する屈折率の安定性が低いため、プラスチック製光学物品の焦点や画質等の安定性を改良することが望まれていた。
そこで、プラスチックの屈折率温度変化率(dn/dT)を改良するために、ホスト樹脂の屈折率温度変化率(dn/dT)とは符号が異なる温度変化率(dn/dT)を示す微粒子を複合する技術が提案されている(例えば特許文献1〜6)。この技術は、樹脂の屈折率温度変化率(dn/dT)が一般に負の値をとるため、正の屈折率温度変化率(dn/dT)を示す微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化テルル、硫化亜鉛など)を複合することにより、得られるプラスチックの屈折率温度変化率の絶対値を下げることができるという発想に基くものである。
特開2002−207101号公報
特開2002−241612号公報
特開2002−241569号公報
特開2002−241592号公報
特開2002−240901号公報
特開2006−70069号公報
しかしながら、屈折率の温度変化率(dn/dT)を改良するためにはホスト樹脂中に高濃度で微粒子を複合することが必要であり、レンズのような厚みのある成形体では、散乱を抑えて透明性を維持するのが困難である。これは樹脂の屈折率と微粒子の屈折率の差が大きいほど難しくなる。
前記特許文献では、微粒子のサイズを十分に小さくすることにより透明性を維持できることが記載されているが、ナノレベルのサイズを有する微粒子は、従来の溶融混練法等の手法では凝集が起こりやすく、ホスト樹脂中に高濃度で均一に分散することは極めて困難である。屈折率の高い微粒子によって、高屈折率化と低い温度依存性を同時に実現できれば、光学物品としての有用性は極めて大きいが、散乱による透過率低下を克服することが極めて難しいのが現状である。
前記特許文献では、微粒子のサイズを十分に小さくすることにより透明性を維持できることが記載されているが、ナノレベルのサイズを有する微粒子は、従来の溶融混練法等の手法では凝集が起こりやすく、ホスト樹脂中に高濃度で均一に分散することは極めて困難である。屈折率の高い微粒子によって、高屈折率化と低い温度依存性を同時に実現できれば、光学物品としての有用性は極めて大きいが、散乱による透過率低下を克服することが極めて難しいのが現状である。
上述のように屈折率の温度依存性が小さく、透明性に優れる有機無機複合材料は未だ見出されておらず、その開発が望まれていた。本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性を有し、屈折率の温度依存性が小さい有機無機複合材料、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学物品を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の樹脂と無機微粒子とを原料とした材料が、微粒子の均一分散効果により、優れた透明性を有しかつ屈折率の温度依存性も小さいことを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する有機無機複合材料であって、該有機無機複合材料の波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たす有機無機複合材料。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
[2] 前記|dn/dT|が下記式(B)で規定する条件を満たすことを特徴とする[1]に記載の有機無機複合材料。
式(B) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 5×10-5
[3] 前記無機微粒子の粒子サイズが1〜30nmであることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合材料。
[4] 前記熱可塑性樹脂の屈折率の波長589nmにおける温度変化率と前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率の温度変化率が互いに逆符号であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[5] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[6] 厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[7] 22℃、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
[2] 前記|dn/dT|が下記式(B)で規定する条件を満たすことを特徴とする[1]に記載の有機無機複合材料。
式(B) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 5×10-5
[3] 前記無機微粒子の粒子サイズが1〜30nmであることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合材料。
[4] 前記熱可塑性樹脂の屈折率の波長589nmにおける温度変化率と前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率の温度変化率が互いに逆符号であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[5] 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[6] 厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[7] 22℃、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[8] 前記熱可塑性樹脂が、側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[9] 前記官能基が下記から選ばれる官能基であることを特徴とする[8]に記載の有機無機複合材料。
[10] 前記官能基が前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖1本あたりに平均0.1〜20個の範囲で含まれていることを特徴とする[8]または[9]に記載の有機無機複合材料。
[11] 前記熱可塑性樹脂が一般式(1)で表されるモノマーから誘導される重合単位を含むコポリマーであることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
一般式(1)
[12] 前記熱可塑性樹脂が、高分子末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[13] 前記熱可塑性樹脂が疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[14] 前記熱可塑性樹脂の22℃、波長589nmにおける屈折率が1.55以上であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[15] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1項記載の有機無機複合材料。
[14] 前記熱可塑性樹脂の22℃、波長589nmにおける屈折率が1.55以上であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
[15] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1項記載の有機無機複合材料。
[16] [1]〜[15]のいずれか1項に記載の有機無機複合材料からなることを特徴とする光学物品。
[17] 前記光学物品が光学レンズであることを特徴とする[16]に記載の光学物品。
[17] 前記光学物品が光学レンズであることを特徴とする[16]に記載の光学物品。
本発明によれば、樹脂の透明性を低下させずに、屈折率の温度依存性の低い有機無機複合材料を提供することができる。また、本発明の有機無機複合材料はレンズ基材に成形しやすく、またレンズ基材以外の光学物品も作製しやすい。
以下において、本発明の有機無機複合材料、並びに、レンズ基材等の光学物品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[有機無機複合材料]
本発明の有機無機複合材料は、少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂および無機微粒子を含有し、波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たすことを特徴とする。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
本発明の有機無機複合材料は、少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂および無機微粒子を含有し、波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たすことを特徴とする。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5
本発明の有機無機複合材料の屈折率の温度変化率|dn/dT|は、下記式(B)で規定する条件を満たすことがより好ましい。
式(B) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 5×10-5
式(B) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 5×10-5
本発明の有機無機複合材料の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また波長405nmにおける光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有する光学物品(特にレンズ基材)を得やすい。なお、本発明における厚さ1mm換算の光線透過率は、有機無機複合材料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
また本発明の有機無機複合材料は、22℃、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることが好ましく、1.65以上であることがより好ましく、1.67以上であることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合材料は、成形体への埃の付着などを防ぐ目的から帯電しにくいことが望ましい。帯電圧は−2〜15kVであることが好ましく、−1.5〜7.5kVであることがより好ましく、−1.0〜7.0kVであることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合材料は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、ガラス転移温度が400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
本発明の有機無機複合材料は、200℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることが好ましく、230℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることがより好ましく、250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合材料の飽和吸水率は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
[無機微粒子]
本発明の有機無機複合材料に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号各公報等に記載の微粒子を用いることができる。
本発明の有機無機複合材料に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号各公報等に記載の微粒子を用いることができる。
具体的には、酸化物微粒子(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫等)、複酸化物微粒子(ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウムなど)、硫化物微粒子(硫化亜鉛、硫化カドミウム等)、その他半導体結晶微粒子(セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等)、あるいはLiAlSiO4、PbTiO3、Sc2W3O12、ZrW2O8、AlPO4、Nb2O5,LiNO3などを用いることができる。
本発明で用いられる無機微粒子として特に好ましくは、dn/dTの符号が正の粒子である。このような粒子としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、炭酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化テルル、硫化亜鉛などが挙げられる。
無機微粒子は2種類以上を併用してもよく、屈折率の温度依存性を改良する以外の課題(例えば、高屈折率化、耐熱性など)を同時に解決できるよう粒子を選択することが好ましい。
無機微粒子は2種類以上を併用してもよく、屈折率の温度依存性を改良する以外の課題(例えば、高屈折率化、耐熱性など)を同時に解決できるよう粒子を選択することが好ましい。
本発明で用いられる無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物であってもよい。また無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)などで表面修飾しても良い。さらに目的に応じて、これらの2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率に特に制限はないが、本発明の有機無機複合材料が高屈折率を必要とする光学物品に用いられる場合には、無機微粒子は上記熱温度依存性に加えて高屈折率特性を併せ持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃、589nmの波長において1.9〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.7であり、特に好ましくは2.1〜2.5である。微粒子の屈折率が3.0以下であれば樹脂との屈折率差が比較的小さいためレイリー散乱を抑制しやすくなる傾向がある。また、屈折率が1.9以上であれば高屈折率化の効果が得られやすくなる傾向がある。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムに成形して、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率から算出する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子径分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子径分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法を採用してもよい。この際、必要に応じて各種表面処理剤(シランカップリング剤類、アルミネートカップリング剤類、チタネートカップリング剤類、有機酸類(カルボン酸類、スルホン類、ホスホン酸類など))を共存させてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
無機微粒子の合成法としては、上記以外に、分子ビームエピタキシー法やCVD法のような真空プロセスで作製する方法など、例えば特開2006−70069号公報等に記載される各種一般的な微粒子合成法を挙げることができる。
本発明の有機無機複合材料における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、少なくとも高分子鎖末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂である。ここでいう化学結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合を含むものと定義する。このような熱可塑性樹脂の好ましい例として、以下の3種の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
(1)側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、少なくとも高分子鎖末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂である。ここでいう化学結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合を含むものと定義する。このような熱可塑性樹脂の好ましい例として、以下の3種の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
(1)側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
(2)高分子末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂
(3)疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体
以下、これらの熱可塑性樹脂(1)〜(3)について、詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂(1)>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)は、側鎖に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)は、側鎖に無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれ無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
無機微粒子と結合しうる官能基は、無機微粒子と化学結合を形成することによって、無機微粒子を熱可塑性樹脂中に安定に分散させる機能を有する。無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基としては、
R11、R12、R13、R14の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
R15、R16の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14と同様である。m1は、好ましくは3である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
R15、R16の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14と同様である。m1は、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を有するコポリマーであることが特に好ましい。このようなコポリマーは、下記一般式(1)で表わされるビニルモノマーを共重合することにより得ることができる。
一般式(11)および一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは−CO2−、−OCO−、−CONH−、−OCONH−、−OCOO−、−O−、−S−、−NH−、および、置換または無置換のアリーレン基からなる群より選ばれる2価の連結基を表し、より好ましくは−CO2−またはp−フェニレン基である。
Yは炭素数が1〜30である2価の連結基を表す。炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。具体的には、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンオキシカルボニル基、およびこれらを組み合わせた基を挙げることができ、好ましくはアルキレン基である。
qは0〜18の整数を表す。より好ましくは0〜10の整数であり、さらに好ましくは0〜5の整数であり、特に好ましくは0〜1の整数である。
Zは、
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびm1の定義、好ましい範囲および具体例は、それぞれ独立に、上述したR11、R12、R13、R14、R15、R16およびm1の定義、好ましい範囲および具体例と同義である。
以下に一般式(1)で表されるモノマーの具体例を挙げるが、本発明で用いることができるモノマーはこれらに限定されるものではない。
本発明において一般式(1)で表わされるモノマーと共重合可能な他の種類のモノマーとしては、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを用いることができる。
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなど等も挙げることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量は1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。前記熱可塑性樹脂(1)の重量平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にあり、1,000以上とすることにより力学強度が向上する傾向にある。
ここで、上述の重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)において、無機微粒子と結合する上記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。前記官能基の含有量がポリマー鎖一本あたり平均20個以下であれば、熱可塑性樹脂(1)が複数の無機微粒子に配位して溶液状態で高粘度化やゲル化が起こるのを防ぎやすい傾向がある。また、ポリマー鎖一本あたり平均官能基の数が0.1個以上であれば、無機微粒子を安定に分散させやすい傾向がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(1)のガラス転移温度は80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学物品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
熱可塑性樹脂(1)の屈折率と無機微粒子の屈折率差が大きい場合には、レイリー散乱が起こりやすくなるため透明性を維持して複合できる微粒子の量が少なくなる。熱可塑性樹脂(1)の屈折率が1.48程度であれば屈折率1.60レベルの透明性成形体を提供することができるが、1.65以上の屈折率を実現するためには本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)の屈折率は1.55以上であることが好ましく、1.58以上であることがより好ましい。なお、これらの屈折率は22℃、波長589nmにおける値である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(1)は、波長589nmにおける厚み1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることが特に好ましい。
以下に、本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例を挙げるが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
これらの熱可塑性樹脂(1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、熱可塑性樹脂(2)および/または(3)と併用してもよい。
<熱可塑性樹脂(2)>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、高分子末端の少なくとも1箇所に、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、官能基は、高分子鎖の片末端のみに存在しても、両末端に存在してもよいが、高分子鎖の片末端のみに存在することが好ましい。また、官能基は末端に複数存在していてもよい。ここでいう末端とは、高分子鎖を構成する繰り返し単位と繰り返し単位で挟まれている構造を除く部分を意味する。ここで、「化学結合」とは、上記熱可塑性樹脂(1)と同様に考えることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、高分子末端の少なくとも1箇所に、無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基を有する。ここで、官能基は、高分子鎖の片末端のみに存在しても、両末端に存在してもよいが、高分子鎖の片末端のみに存在することが好ましい。また、官能基は末端に複数存在していてもよい。ここでいう末端とは、高分子鎖を構成する繰り返し単位と繰り返し単位で挟まれている構造を除く部分を意味する。ここで、「化学結合」とは、上記熱可塑性樹脂(1)と同様に考えることができる。
無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基としては、
R21、R22、R23、R24、R25、R26が、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基である場合、これらの好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14の好ましい範囲として述べたものと同様である。また、m2は、3であることが好ましい。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(2)の基本骨格には特に制限はなく、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなど公知の樹脂骨格を採用することができる。好ましくはビニル重合体、ポリアリレート、および芳香族含有ポリカーボネートであり、より好ましくはビニル重合体である。これらの具体例は、上記熱可塑性樹脂(1)で述べたものと同様である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。なお、本発明における屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社製、「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、ガラス転移温度が50℃〜400℃であることが好ましく、80℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を50℃以上とすることにより、耐熱性が向上する傾向にあり、ガラス転移温度を400℃以下とすることにより、成形加工が行いやすくなる傾向がある。
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量は1,000〜500,000である。熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量は3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂(2)の数平均分子量を1,000以上とすることにより、力学強度が向上する傾向にあり、数平均分子量を500,000以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
高分子鎖末端に前記官能基を導入する方法としては、特に制限はなく、例えば、新高分子実験学4 高分子の合成・反応(3)高分子の反応と分解(高分子学会編)」第3章「末端反応性ポリマー」に記載のように、重合時に導入してもよいし、重合後、一旦単離したポリマーの末端官能基変換または主鎖分解をしてもよい。官能基および/または保護された官能基をもつ開始剤、停止剤、連鎖移動剤などを用いて重合し高分子を得る方法や、例えばビスフェノールAから得られるポリカーボネートのフェノール末端部を、官能基を含有する反応剤で修飾する方法などの高分子反応を用いることもできる。例えば、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)」110項〜112項に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた連載移動法ビニル系モノマーのラジカル重合;「新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)」255項〜256項に記載の官能基含有開始剤および/または官能基含有停止剤を用いるリビングカチオン重合;「Macromolecules,36巻」7020項〜7026項(2003年)に記載の硫黄含有連鎖移動剤を用いた開環メタセシス重合などを挙げることができる。
以下に本発明で使用することができる熱可塑性樹脂(2)の好ましい具体例(例示化合物P−1〜P−22)を挙げるが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂(2)はこれらに限定されるものではない。[ ]内の構造は繰り返し単位を表し、繰り返し単位のxおよびyは共重合比(mol比)を表す。
これらの熱可塑性樹脂(2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、他の共重合成分を含んでもよい。
<熱可塑性樹脂(3)>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(3)は、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(3)は、疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体である。
ここで、疎水性セグメント(A)とは、セグメント(A)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解しない特性を有するセグメントをいい、親水性セグメント(B)とは、セグメント(B)のみからなるポリマーが水またはメタノールに溶解する特性を有するセグメントをいう。前記ブロック共重合体の型としては、AB型、B1AB2型(2つの親水性セグメントB1とB2とは同じでも異なっていてもよい)およびA1BA2型(2つの疎水性セグメントA1とA2とは同じでも異なっていてもよい)が挙げられ、分散特性が良好な点から、AB型あるいはA1BA2型のブロック共重合体が好ましく、製造適性の点から、AB型あるいはABA型(A1BA2型の2つの疎水性セグメントが同じ型)がより好ましく、AB型が特に好ましい。
前記疎水性セグメントおよび前記親水性セグメントは、各々、ビニルモノマーの重合によって得られるビニルポリマー、ポリエーテル、開環メタセシス重合ポリマーおよび縮合ポリマー(ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなど)など従来公知のポリマーのいずれからでも選択可能であるが、ビニルポリマー、開環メタセシス重合ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルが好ましく、製造適性の点からビニルポリマーがより好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族エステル基、置換または無置換の芳香族エステル基であり、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換または無置換の脂肪族エステル基、置換または無置換の芳香族エステル基であり、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
アクリルアミド類、メタクリルアミド類、具体的には、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(モノ置換体およびジ置換体の置換基は、置換または無置換の脂肪族基、置換または無置換の芳香族基であり、前記置換基としては、例えば、メチル基、フェニル基、ナフチル基など);
オレフィン類、具体的には、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、ビニルカルバゾールなど;スチレン類、具体的には、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、トリブロモスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;
ビニルエーテル類、具体的には、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど;その他のモノマーとして、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、ビニリデンクロライド、メチレンマロンニトリル、ビニリデン、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
中でも、エステル基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;置換基が無置換の脂肪族基、置換または無置換芳香族基であるN−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドおよびN−ジ置換メタクリルアミド;スチレン類;が好ましく、エステル基が置換または無置換芳香族基であるアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;スチレン類;がより好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類;親水性の置換基を有するビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドならびにN−ジ置換メタクリルアミドなどが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類;芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類;親水性の置換基を有するビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミドならびにN−ジ置換メタクリルアミドなどが挙げられる。
親水性の置換基としては、
R31、R32、R33、R34、R35、R36が、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のアリール基である場合、これらの好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14の好ましい範囲として述べたものと同様である。また、m3は、3であることが好ましい。
前記官能基としては、
中でも、親水性セグメント(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸、エステル部位に親水性の置換基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、芳香環部に親水性の置換基を有するスチレン類が好ましい。
前記疎水性セグメント(A)を形成するビニルモノマー(A)は疎水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(B)を含有していてもよい。前記疎水性セグメント(A)に含有される前記ビニルモノマー(A)と前記ビニルモノマー(B)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記親水性セグメント(B)を形成するビニルモノマー(B)は親水性の特性を妨げない範囲で、前記ビニルモノマー(A)を含有していてもよい。前記親水性セグメント(B)に含有される前記ビニルモノマー(B)と前記ビニルモノマー(A)とのモル比は、100:0〜60:40であるのが好ましい。
前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は各々、1種類を単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。前記ビニルモノマー(A)および前記ビニルモノマー(B)は、種々の目的(例えば、酸含量調節やガラス転移点(Tg)の調節、有機溶剤や水への溶解性調節、分散物安定性の調節)に応じて選択される。
前記官能基の含有量は前記ブロック共重合体の全体に対して0.05〜5.0mmol/gであるのが好ましく、0.1〜4.5mmol/gであるのがさらに好ましく、0.15〜3.5mmol/gであるのが特に好ましい。前記官能基の含有量が少なすぎると分散適性が小さくなる場合があり、多すぎると水溶性が高くなりすぎたり、有機無機複合材料がゲル化したりする場合がある。尚、前記ブロック共重合体において、前記官能基はアルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+など)またはアンモニウムイオンなどカチオン性のイオンと塩を形成していてもよい。
前記ブロック共重合体の分子量(Mn)としては、1000〜100000が好ましく、2000〜80000であることがより好ましく、3000〜50000であることが特に好ましい。ブロック共重合体の分子量を1000以上とすることにより、安定な分散物を得やすくなる傾向にあり、100000以下とすることにより、有機溶剤への溶解性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明で用いられるブロック共重合体は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましく、1.65より大きいことが特に好ましい。なお、ここでいう、屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明において用いられるブロック共重合体は、ガラス転移温度が80℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を80℃以上とすることにより、耐熱性が向上する傾向にあり、ガラス転移温度を400℃以下とすることにより、成形加工性が向上する傾向にある。
本発明において用いられるブロック共重合体は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
前記ブロック共重合体の具体例(例示化合物Q−1〜Q−20)を以下に列挙する。尚、本発明に用いられるブロック共重合体は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
前記ブロック共重合体は、必要に応じてカルボキシル基などを保護したり、ポリマーに官能基を導入する手法を用いてリビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用して合成することができる。また、末端官能基ポリマーからのラジカル重合および末端官能基ポリマー同士の連結によって合成することができる。中でも、分子量制御やブロック共重合体の収率の点から、リビングラジカル重合およびリビングイオン重合を利用するのが好ましい。前記ブロック共重合体の製造方法については、例えば、「高分子の合成と反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1992))」、「精密重合(日本化学会編、学会出版センター発行(1993))」、「高分子の合成・反応(1)(高分子学会編、共立出版(株)発行(1995))」、「テレケリックポリマー:合成と性質、応用(R.Jerome他、Prog.Polym.Sci.Vol16.837−906頁(1991))」、「光によるブロック,グラフト共重合体の合成(Y.Yagch他、Prog.Polym.Sci.Vol15.551−601頁(1990))」、米国特許5085698号明細書などに記載されている。
これらの樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
[添加剤]
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑化剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑化剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
<表面処理剤>
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは200〜10000である。
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは200〜10000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(2)
A−B
一般式(2)
A−B
一般式(2)中、Aは本発明における無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明における樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられる。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明の熱可塑性樹脂中に導入される微粒子結合性の官能基として前記したものと同じである。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ-α-ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
<可塑化剤>
本発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、有機無機複合材料の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の有機無機複合材料の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は、有機無機複合材料の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な可塑剤は他の材料に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(3)で表される構造を有するものを挙げることができる。
本発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、有機無機複合材料の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の有機無機複合材料の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は、有機無機複合材料の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な可塑剤は他の材料に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(3)で表される構造を有するものを挙げることができる。
また、一般式(3)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
<帯電防止剤>
本発明の有機無機複合組成物の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合組成物では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の有機無機複合組成物の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合組成物では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
<その他>
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
[有機無機複合材料の製造方法]
本発明に用いられる無機微粒子は、側鎖に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
本発明に用いられる無機微粒子は、側鎖に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合体を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合材料の溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の粉状の有機無機複合材料を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学物品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
上記有機無機複合材料をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いても良い。
[光学物品]
上述の本発明の有機無機複合材料を成形することにより、本発明の光学物品を製造することができる。本発明の光学物品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学物品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学物品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学物品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学物品とすることができる。
上述の本発明の有機無機複合材料を成形することにより、本発明の光学物品を製造することができる。本発明の光学物品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学物品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学物品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学物品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学物品とすることができる。
本発明の有機無機複合材料を利用した光学物品は、本発明の有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学物品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学物品(いわゆるパッシブ光学物品)に使用することも可能である。かかる光学物品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学物品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の有機無機複合材料を用いた光学物品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合材料を用いて製造されたレンズ基材は、屈折率の温度依存性が少なく、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合材料を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率や屈折率温度依存性を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ等;ズームレンズや、正/負のパワーレンズなど各種公知の撮像レンズを含む)、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
本実施例および比較例において用いた各分析および評価方法は、下記の通りである。
本実施例および比較例において用いた各分析および評価方法は、下記の通りである。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
測定する樹脂を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
また、屈折率の温度依存性(dn/dT)は、22℃および50℃でそれぞれ屈折率を測定することにより算出した。
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
また、屈折率の温度依存性(dn/dT)は、22℃および50℃でそれぞれ屈折率を測定することにより算出した。
(4)分子量測定
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
[無機微粒子]
以下実施例で使用した無機微粒子として、酸化アルミニウムは酸化アルミニウムC(平均粒子経13nm,日本アエロジル社)を使用した。その他、Nb2O5(平均粒子サイズ約5nm)およびLiNbO3(平均粒子サイズ約5nm)はそれぞれ特開2005−298717号公報記載の方法に従って合成し、ZnS(平均粒子サイズ約5nm)は特開2006−70069号公報記載の方法に従って合成した。
以下実施例で使用した無機微粒子として、酸化アルミニウムは酸化アルミニウムC(平均粒子経13nm,日本アエロジル社)を使用した。その他、Nb2O5(平均粒子サイズ約5nm)およびLiNbO3(平均粒子サイズ約5nm)はそれぞれ特開2005−298717号公報記載の方法に従って合成し、ZnS(平均粒子サイズ約5nm)は特開2006−70069号公報記載の方法に従って合成した。
[熱可塑性樹脂の合成]
(1)熱可塑性樹脂(B−1)の合成
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gとメタクリル酸メチル4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、2−ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−1)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は80000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.49であった。
(1)熱可塑性樹脂(B−1)の合成
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gとメタクリル酸メチル4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、2−ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−1)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は80000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.49であった。
(2)熱可塑性樹脂(B−2)の合成
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gとスチレン4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−2)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は86000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.58であった。
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gとスチレン4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−2)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は86000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.58であった。
(3)熱可塑性樹脂(B−3)の合成
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gと第一工業製薬(株)製のニューフロンティアBR−30 4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−3)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は90000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.66であった。
ユニケミカル(株)製の「ホスマーPE(商品名)」0.05gと第一工業製薬(株)製のニューフロンティアBR−30 4.95gとアゾビスイソブチロニトリル0.25gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−3)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は90000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.66であった。
(4)熱可塑性樹脂(B−11)の合成
スチレン247.5g、β‐カルボキシエチルアクリレート2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−11)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は35000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
同様にして開始剤濃度および溶媒量を変えることで重量平均分子量400000および1700の熱可塑性樹脂(B−11)を合成した。該樹脂の屈折率はいずれも1.59であった。
スチレン247.5g、β‐カルボキシエチルアクリレート2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−11)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は35000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
同様にして開始剤濃度および溶媒量を変えることで重量平均分子量400000および1700の熱可塑性樹脂(B−11)を合成した。該樹脂の屈折率はいずれも1.59であった。
(5)熱可塑性樹脂(B−14)の合成
スチレン247.5g、前記官能基含有モノマー(W−6)2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−14)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
スチレン247.5g、前記官能基含有モノマー(W−6)2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−14)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(6)熱可塑性樹脂(B−17)の合成
スチレン247.5g、前記官能基含有モノマー(W−9)2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−17)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
スチレン247.5g、前記官能基含有モノマー(W−9)2.50g、および和光純薬(株)社製重合開始剤V−601(商品名)の2.5gを酢酸エチル107.1gに溶解し、窒素下80℃で重合を行い、熱可塑性樹脂(B−17)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(7)熱可塑性樹脂(P−8)の合成
<リビングラジカル重合開始剤Aの合成>
還流冷却器およびガス導入コックを付した200mlの三口フラスコに、α,α'−ジブロモ−p−キシレン20g(75.8mmol)、m−キシレン70mlを仕込み、加熱還流しながら、窒素気流下、トリイソプロピルホスファイト16.8g(80.7mmol)をm−キシレン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後3時間加熱還流し、溶媒を留去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記構造を有するリビングラジカル重合開始剤A(開始剤A)を収量53%で得た。
<リビングラジカル重合開始剤Aの合成>
還流冷却器およびガス導入コックを付した200mlの三口フラスコに、α,α'−ジブロモ−p−キシレン20g(75.8mmol)、m−キシレン70mlを仕込み、加熱還流しながら、窒素気流下、トリイソプロピルホスファイト16.8g(80.7mmol)をm−キシレン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後3時間加熱還流し、溶媒を留去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記構造を有するリビングラジカル重合開始剤A(開始剤A)を収量53%で得た。
<熱可塑性樹脂P−8の合成>
還流冷却器およびガス導入コックを付した200ml三口フラスコに臭化銅0.41g(2.86mmol)、スチレン59.6g(0.57mol)、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン0.5g(2.86mmol)、前記開始剤A1.0g(2.86mmol)を仕込み、5回窒素置換した後、窒素気流下80℃で5時間加熱した。フラスコを室温に戻した後、アルミナ30gとトルエン50mlとを添加し、10分間攪拌し、セライト濾過した。次いで、濾液を大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、これを大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥してポリマーを得た(収量38%)。
還流冷却器およびガス導入コックを付した200ml三口フラスコに臭化銅0.41g(2.86mmol)、スチレン59.6g(0.57mol)、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン0.5g(2.86mmol)、前記開始剤A1.0g(2.86mmol)を仕込み、5回窒素置換した後、窒素気流下80℃で5時間加熱した。フラスコを室温に戻した後、アルミナ30gとトルエン50mlとを添加し、10分間攪拌し、セライト濾過した。次いで、濾液を大量のメタノールに投入し、沈殿させ、沈殿を濾取した後、これを大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥してポリマーを得た(収量38%)。
次いで、ガス導入コックを付した100ml三口フラスコに前記で得られたポリマー10g、トリメチルシリルブロマイド2.3g(15mmol)、塩化メチレン40mlを仕込み、窒素気流下、室温で24時間攪拌した。さらに水10mlを添加し1時間攪拌した後、大量のメタノールに投入し、沈殿させた。沈殿を濾取した後、これを大量のメタノールで洗浄し、60℃で3時間真空乾燥して例示化合物P−8を得た。得られた化合物の収量は96%であり、数平均分子量25,200であり、重量平均分子量28,200であった。アッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(8)熱可塑性樹脂(Q−1)の合成
t−ブチルアクリレート12.8g、2−ブロモプロピオン酸メチルエステル0.56g、臭化銅(I)0.24g、N,N,N',N',N'',N''−ペンタメチルジエチレンテトラミン0.29g、メチルエチルケトン4mlからなる混合液を調製し、窒素置換する。油浴温度80℃で3時間攪拌し、スチレン91.0g、メチルエチルケトン35mlの混合液を窒素気流下添加した。油浴温度90℃で20時間攪拌し、室温に戻してからアセトン100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体Q−1を74g得た。GPCで測定した該樹脂の数平均分子量は25000、重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
t−ブチルアクリレート12.8g、2−ブロモプロピオン酸メチルエステル0.56g、臭化銅(I)0.24g、N,N,N',N',N'',N''−ペンタメチルジエチレンテトラミン0.29g、メチルエチルケトン4mlからなる混合液を調製し、窒素置換する。油浴温度80℃で3時間攪拌し、スチレン91.0g、メチルエチルケトン35mlの混合液を窒素気流下添加した。油浴温度90℃で20時間攪拌し、室温に戻してからアセトン100ml、アルミナ30gを加え30分攪拌した。この反応液をろ過し、濾液を過剰のメタノールに滴下した。生じた沈殿を濾取、メタノール洗浄、乾燥し、ブロック共重合体Q−1を74g得た。GPCで測定した該樹脂の数平均分子量は25000、重量平均分子量は28000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.59であった。
(9)比較樹脂(X−1)の合成
メタクリル酸メチル5.00g、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを2−ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、側鎖に微粒子結合性の官能基を有さない比較樹脂X−1を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は100000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.49であった。
メタクリル酸メチル5.00g、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを2−ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、側鎖に微粒子結合性の官能基を有さない比較樹脂X−1を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は100000であった。またアッベ屈折計で測定した該樹脂の屈折率は1.49であった。
比較樹脂(X−1)
(10)比較樹脂(X−2)の合成
スチレン5.00gとアゾビスイソブチロニトリル0.15gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、側鎖に微粒子結合性の官能基を含まない比較樹脂(X−2)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は105000であった。またアッベ屈折計で測定した官能基を含まない該樹脂の屈折率は1.59であった。
スチレン5.00gとアゾビスイソブチロニトリル0.15gとを、トルエン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、側鎖に微粒子結合性の官能基を含まない比較樹脂(X−2)を合成した。GPCで測定したところ重量平均分子量は105000であった。またアッベ屈折計で測定した官能基を含まない該樹脂の屈折率は1.59であった。
[有機無機複合材料の調製および光学物品の作製]
[実施例1]
酸化アルミニウムCを固形分15質量%になるようにN,N'−ジメチルアセトアミド溶媒に分散させた液に、熱可塑性樹脂B−1を固形分の質量比が、酸化アルミニウムC/B−1=44/56の比率になるように加え均一に溶解した。溶媒を減圧下、90℃で濃縮留去した後、該濃縮残渣を、加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。金型の形状を変えることによって平板形状、および凹凸形状を作成できることを確認した。実施例1で得られた成形物をそれぞれ切削し、断面をTEMで観察した結果、無機微粒子が樹脂中に均一に分散していることを確認した。また、光線透過率測定、屈折率、および屈折率の温度依存性(dn/dT)の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例1]
酸化アルミニウムCを固形分15質量%になるようにN,N'−ジメチルアセトアミド溶媒に分散させた液に、熱可塑性樹脂B−1を固形分の質量比が、酸化アルミニウムC/B−1=44/56の比率になるように加え均一に溶解した。溶媒を減圧下、90℃で濃縮留去した後、該濃縮残渣を、加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。金型の形状を変えることによって平板形状、および凹凸形状を作成できることを確認した。実施例1で得られた成形物をそれぞれ切削し、断面をTEMで観察した結果、無機微粒子が樹脂中に均一に分散していることを確認した。また、光線透過率測定、屈折率、および屈折率の温度依存性(dn/dT)の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例2〜11]
微粒子および熱可塑性樹脂を表1のように変えたこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜11の透明成形体を作成した。得られた結果を合わせて表1に示す。
微粒子および熱可塑性樹脂を表1のように変えたこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜11の透明成形体を作成した。得られた結果を合わせて表1に示す。
[比較例1〜5]
実施例1における熱可塑性樹脂B−1を比較樹脂X−1およびX−2に置き換えた以外は、実施例1と同様にして成形物を作成した(比較例1、2)。さらに比較例2に対して、粒子をZnS、Nb2O5およびLiNbO3に置き換えることにより比較例3〜5の成形物を作成した。得られた成形物はいずれも著しく白濁していたため屈折率測定はできなかった。得られた成形物を切削し、断面をTEMで観察したところ微粒子の凝集が認められた。
実施例1における熱可塑性樹脂B−1を比較樹脂X−1およびX−2に置き換えた以外は、実施例1と同様にして成形物を作成した(比較例1、2)。さらに比較例2に対して、粒子をZnS、Nb2O5およびLiNbO3に置き換えることにより比較例3〜5の成形物を作成した。得られた成形物はいずれも著しく白濁していたため屈折率測定はできなかった。得られた成形物を切削し、断面をTEMで観察したところ微粒子の凝集が認められた。
[比較例6]
比較樹脂X−2および酸化アルミニウムCを56/44の質量比になるように、2軸溶融混練機に投入し180℃で5分間、溶融混練を行った。さらに得られた混練物を上記実施例1と同様に圧縮成形することにより比較例4の成形体を作成した。得られた成形物は著しく白濁していたため屈折率測定はできなかった。また得られた成形物を切削し、断面をTEMで観察したところ微粒子の凝集が認められた。
比較樹脂X−2および酸化アルミニウムCを56/44の質量比になるように、2軸溶融混練機に投入し180℃で5分間、溶融混練を行った。さらに得られた混練物を上記実施例1と同様に圧縮成形することにより比較例4の成形体を作成した。得られた成形物は著しく白濁していたため屈折率測定はできなかった。また得られた成形物を切削し、断面をTEMで観察したところ微粒子の凝集が認められた。
[比較例7〜16]
微粒子を添加せず熱可塑性樹脂単独で比較例7〜16の成形物を作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
微粒子を添加せず熱可塑性樹脂単独で比較例7〜16の成形物を作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
表1から本発明の微粒子含有透明性成形体は1mmの厚い成形体でも良好な透明性を併せ持ち、屈折率の温度依存性が低くレンズなどの光学物品に好適に用いることができる。
また実施例1〜11の材料組成物は、いずれも耐電圧が−1.0〜7.0kVの範囲内であり、ガラス転移温度が100〜400℃の範囲内であり、250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であり、飽和吸水率は0.5質量%以下であった。
また熱可塑性樹脂を主体とした本発明の有機無機複合材料は、生産性よくかつ型の形状に合わせて正確に凹凸レンズ形状を形成することができることを確認した。
また実施例1〜11の材料組成物は、いずれも耐電圧が−1.0〜7.0kVの範囲内であり、ガラス転移温度が100〜400℃の範囲内であり、250℃で2時間保持した際の揮発成分が2質量%以下であり、飽和吸水率は0.5質量%以下であった。
また熱可塑性樹脂を主体とした本発明の有機無機複合材料は、生産性よくかつ型の形状に合わせて正確に凹凸レンズ形状を形成することができることを確認した。
本発明の有機無機複合材料は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性を有し、屈折率の温度依存性が小さい。このため、本発明は、高屈折レンズ等の広範な光学物品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。
Claims (17)
- 少なくとも高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する有機無機複合材料であって、該有機無機複合材料の波長589nmにおける屈折率の温度変化率の絶対値|dn/dT|が下記式(A)で規定する条件を満たす有機無機複合材料。
式(A) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 9×10-5 - 前記|dn/dT|が下記式(B)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合材料。
式(B) 0 ≦ |dn/dT| ≦ 5×10-5 - 前記無機微粒子の粒子サイズが1〜30nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂の屈折率の波長589nmにおける温度変化率と前記無機微粒子の波長589nmにおける屈折率の温度変化率が互いに逆符号であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記無機微粒子を20質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 厚さ1mm換算の光線透過率が波長589nmにおいて70%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 22℃、波長589nmにおける屈折率が1.60以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂が、側鎖に下記から選ばれる官能基を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記官能基が前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖1本あたりに平均0.1〜20個の範囲で含まれていることを特徴とする請求項8または9に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂が一般式(1)で表されるモノマーから誘導される重合単位を含むコポリマーであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
一般式(1)
- 前記熱可塑性樹脂が、高分子末端の少なくとも1箇所に、下記から選ばれる官能基を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂が疎水性セグメントおよび親水性セグメントで構成されるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂の22℃、波長589nmにおける屈折率が1.55以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機無機複合材料。
- 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の有機無機複合材料。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機無機複合材料からなることを特徴とする光学物品。
- 前記光学物品が光学レンズであることを特徴とする請求項16に記載の光学物品。
Priority Applications (1)
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JP2007195488A JP2009029938A (ja) | 2007-07-27 | 2007-07-27 | 有機無機複合材料および光学物品 |
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Cited By (2)
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JP2016023212A (ja) * | 2014-07-18 | 2016-02-08 | 株式会社Kri | ポリマー吸着タングステン酸ジルコニウム粒子およびそれを含む樹脂組成物 |
JPWO2014132588A1 (ja) * | 2013-02-26 | 2017-02-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 光学レンズ |
-
2007
- 2007-07-27 JP JP2007195488A patent/JP2009029938A/ja active Pending
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