JP5399642B2 - 有機無機複合組成物、成形体および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物、成形体および光学部品 Download PDF

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Description

本発明は、高屈折性、透明性、軽量性、加工性に優れる有機無機複合組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ等)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、低分散性(すなわち高いアッベ数)、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズを薄肉化するために素材自体を高屈折率化することが求められるようになっており、例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用する。これらに対応するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって高屈折率材料をつくる手法が報告されている(例えば、特許文献4参照)。レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。また、レンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散することはこれまでできなかった。
また、数平均粒子サイズ0.5〜50nmの超微粒子が分散した熱可塑性樹脂組成物を主体とする成形体であって、光波長1mm当たりの複屈折率の平均が10nm以下である樹脂組成物成形体(例えば、特許文献5)や、特定の数式で示される屈折率およびアッベ数を有する熱可塑性樹脂と、特定の平均粒子直径と屈折率とを有する無機微粒子とからなる熱可塑性材料組成物およびこれを用いた光学部品が報告されている(例えば、特許文献6、7)。これらも樹脂中に無機微粒子を分散させたものであるが、いずれも樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散するといった観点からは十分な性能を発揮するものではなかった。
有機無機複合組成物としては、例えば、表面有機修飾した無機粒子と酸性基含有樹脂を溶融混練する方法が報告されているが、無機粒子の添加量は1質量%程度であり、充分とはいえない(特許文献9)。また、無機粒子の表面修飾基と樹脂をリンカーを介して結合させる有機無機複合組成物も報告されているが(特許文献10)、結合形成に高温を要するなど操作が煩雑であり、ゲル化の懸念もあることから成形加工性の観点から充分な性能を発揮するのもではなかった。またいずれにも高屈折率のレンズに使用可能な厚い透明成形体に関しては記載されていない。
一方、フルオレン骨格を有する縮合系樹脂が種々検討されている。フルオレン骨格を有するポリエステルは1.6程度の屈折率を有し、市販の熱可塑性樹脂では最高レベルであるが(例えば、非特許文献1)、高屈折率化の要求に大しては未だ充分とはいえない。高屈折率化の目的で、フルオレン骨格を有するポリエステルを用いた有機無機複合組成物について報告されているが(特許文献11)、高屈折率のレンズに使用可能な厚さの透明成形体に関しては記載されていない。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73559号公報 特開2003−147090号公報 特開2003−73563号公報 特開2003−73564号公報 特開2004−524396号公報 特開2004−217714号公報 特表2004−352975号公報 特開2008−1820号公報 07−1ポリマーフロンティア21講演要旨集、33項、「フルオレン・ポリシランを用いた光学樹脂の特性と応用」
上記のように、高屈折性、耐熱性、透明性および軽量性を併せ持ち、さらには屈折率を任意に制御できる材料組成物、およびそれを含んで構成される光学部品は未だ見出されていない。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率とを有する有機無機複合組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、高屈折率を有する透明性に優れた特定の樹脂と無機微粒子とを原料とした有機無機複合組成物が、微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性とを有することを見出し、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位を含み、且つ、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基をポリマー鎖の非末端に有する熱可塑性樹脂と、無機粒子を含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
Figure 0005399642
[一般式(1)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
[2] 前記官能基が、
Figure 0005399642
[R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、および−CO2Hまたはその塩からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記熱可塑性樹脂が縮合系ポリマーであることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(2)で表される化合物と、該化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物とを重合させることにより得られる熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 0005399642
[一般式(2)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
[5] 前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[6] 前記構造単位が下記一般式(3)で表される構造単位であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
Figure 0005399642
[一般式(3)中、R21、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表す。jが2以上の整数であるとき、2以上のR21は互いに連結して環を形成してもよい。kが2以上の整数であるとき、2以上のR22は互いに連結して環を形成してもよい。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
[7] 前記無機粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 前記無機粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイド粒子であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] 前記無機粒子が、ジルコニウム、亜鉛、またはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[10] 前記無機粒子を5質量%以上含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[11] 熱可塑性であることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
[13] 波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする[12]に記載の成形体。
[14] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[12]または[13]に記載の成形体。
[15] [12]〜[14]のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[16] レンズ基材であることを特徴とする[15]に記載の光学部品。
本発明の有機無機複合組成物は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率を有する。また、本発明の成形体および光学部品は、優れた透明性と高い屈折率を有する。
以下において、本発明の有機無機複合組成物とその利用形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[熱可塑性樹脂]
本発明の有機無機複合組成物は、一般式(1)で表される構造単位を含み、且つ、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基をポリマー鎖の非末端に有する熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする。
(一般式(1)で表される構造単位)
Figure 0005399642
一般式(1)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。
一般式(1)中、環αおよび環βは単環式または多環式の環を表し、2つの環βはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、環α上の1つの4級炭素に連結している。また、環αと環βは、それぞれ単環式であっても多環式であってもよく、また、置換基を有していても有していなくてもよい。
環αは、単環式の環であっても多環式の環であってもよいが、好ましくは多環式の環である。多環式の環である場合、環の数は2〜5が好ましく、2〜4がより好ましく、2または3がさらに好ましい。また、各環は、脂環であっても芳香環であっても複素環であってもよい。複素環である場合、環を形成する複素原子は特に制限されないが、好ましくは窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子である。さらに、各環は、5〜7員環であることが好ましく、5または6員環であることがより好ましい。
環αの具体例としては、例えば以下のものを挙げることができるが、本発明で採用することができる環αはこれらに限定されない。以下の具体例の構造中に存在する水素原子は置換基で置換されていてもよい。
Figure 0005399642
上記具体例の中で、さらに以下のものを選択することができる。
Figure 0005399642
上記具体例の中で、さらになお以下のものを選択することができる。
Figure 0005399642
環αとしては、フルオレン環が最も好ましい。
環βは、芳香環であることが好ましく、単環式の芳香環であっても多環式の芳香環であってもよい。環βの例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α−ピロン環等が挙げられるが、好ましくはベンゼン環である。
2つのLは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族の連結基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5の脂肪族の連結基を表す。Lとしては、アルキレン基、アミノアルキレン基、オキシアルキレン基、チオアルキレン基が好ましく、オキシアルキレン基、チオアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜3のオキシアルキレン基、チオアルキレン基がさらに好ましく、炭素数2のオキシアルキレン基、チオアルキレン基が特に好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、アミノメチレン基、アミノブチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基、チオエチレン基、チオブチレン基、カルボニル基(>C=O)等が挙げられ、より好ましくはオキシエチレン基、オキシブチレン基、チオエチレン基、チオブチレン基であり、特に好ましくはオキシエチレン基、チオエチレン基である。2つのLは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
2つのnは、それぞれ独立に0または1を表し、0であることが好ましい。2つのnは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(1)で表される構造単位のより好ましい例として、下記一般式(3)で表される構造が挙げられる。
Figure 0005399642
一般式(3)中、R21、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表す。jが2以上の整数であるとき、2以上のR21は互いに連結して環を形成してもよい。kが2以上の整数であるとき、2以上のR22は互いに連結して環を形成してもよい。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。
21、R22の置換基として、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、置換または無置換のカルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基)、ニトロ基、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド基、エトキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基)、イミド基(例えば、スクシンイミド基、フタルイミド基)、イミノ基(例えば、ベンジリデンアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニリオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)、ヘテロ環類などを挙げることができる。これらの置換基は、さらにここに挙げた置換基で置換されていてもよい。
21、R22として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくは、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、塩素原子であり、特に好ましくは、メチル基、フェニル基、塩素原子である。
jおよびkはそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表し、0〜2のいずれかの整数が好ましく、0または1がより好ましい。jが2以上の整数である場合、複数のR21は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、kが2以上の整数である場合、複数のR22は互いに同一であっても異なっていてもよい。jとkは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(3)におけるL、n、Aは、一般式(1)と同じ意味を表す。
(樹脂合成に用いるジオール化合物とジチオール化合物)
一般式(1)で表される部分構造を有する樹脂は、上記部分構造を有するジオール化合物および/またはジチオール化合物を原料モノマーの1種に用い、これらのジオール化合物および/またはジチオ−ル化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物を共重合モノマーとして用いた重合体であることが好ましい。
具体的には、ジオール化合物やジチオール化合物として、下記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0005399642
[一般式(2)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
一般式(2)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(4)で表される化合物である。
Figure 0005399642
[一般式(4)中、R21、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表す。jが2以上の整数であるとき、2以上のR21は互いに連結して環を形成してもよい。kが2以上の整数であるとき、2以上のR22は互いに連結して環を形成してもよい。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
一般式(4)で表されるジオール化合物やジチオール化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができるが、本発明で用いることができるジオール化合物やジチオール化合物はこれらに限定されるものではない。なお、表中Phはフェニル基、iPrはイソプロピル基、c−C611はシクロヘキシル基を表す。
Figure 0005399642
Figure 0005399642
本発明の熱可塑性樹脂には、一般式(2)で表されないジオール化合物やジチオール化合物を、樹脂の性能を損なわない範囲で使用することもできる。そのようなジオール化合物やジチオール化合物の種類については特に制限はないが、好ましい例として以下のものを挙げることができる。
MD−1 エチレングリコール
MD−2 プロピレングリコール
MD−3 1,3−ブタンオール
MD−4 テトラメチレングリコール
MD−5 ヘキサンジオール
MD−6 ジエチレングリコール
MD−7 1,4−シクロヘキサンジオール
MD−8 1,4−シクロヘキサンジメタノール
MD−9 ビフェノール
Figure 0005399642
MD−24 MD−10のエチレンオキサイド付加体
MD−25 MD−11のエチレンオキサイド付加体
MD−26 MD−12のエチレンオキサイド付加体
MD−27 MD−13のエチレンオキサイド付加体
MD−28 MD−14のエチレンオキサイド付加体
MD−29 MD−15のエチレンオキサイド付加体
MD−30 MD−16のエチレンオキサイド付加体
MD−31 MD−17のエチレンオキサイド付加体
MD−32 MD−18のエチレンオキサイド付加体
(樹脂合成に用いる縮合反応可能な反応性化合物)
上記のジオール化合物および/またはジチオ−ル化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物について説明する。
ジオールおよび/またはジチオールと縮合反応が可能な反応性基としては、活性化アシル基(アシルクロライド、アシルブロマイド等のアシルハライド、フェノキシカルボニル基、アセトキシカルボニル基等の活性エステル基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、活性スルホニル基(たとえばスルホニルクロライド、フェニルスルホネート等)、ハライド(例えばフルオライド、アイオダイド等)、ホスゲン及びその誘導体、イソシアナート基、イソチオシアナート基、ビニル基、アクリロイル基等の不飽和基、エポキシ基、エピスルフィド基等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂の場合に用いられるジカルボン酸もしくはエステル結合形成可能な誘導体(酸クロライド、酸無水物、エステル)には特に制限はなく、脂肪族ジカルボン酸類でも芳香族ジカルボン酸類でも、それらの組合せであってもよい。好ましい例をジガルボン酸構造で以下に示すが、本発明で使用することができるものはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005399642
本発明の熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂の場合に用いられるジイソシアネート類には特に制限はなく、脂肪族ジイソシアネート類でも芳香族ジイソシアネート類でも、それらの組合せであっても良い。好ましい例として以下のものを挙げることができる。
Figure 0005399642
(無機粒子と化学結合を形成しうる官能基の導入)
本発明の熱可塑性樹脂には、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基がポリマー鎖の非末端に導入されている。ポリマー鎖の非末端に導入された官能基とは、具体的には、ポリマー鎖の側鎖に結合した官能基や、ポリマー鎖の末端以外でポリマー鎖を構成する原子に直接結合した官能基をいう。典型的な例としては、ポリマーを構成する繰返し単位に結合している官能基である。
無機粒子と化学結合を形成しうる官能基として、以下のものを例示することができる。
Figure 0005399642
[R11、R12、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、−OH、−Si(OR17n18 n[R17、R18はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表し、nは1〜3の整数を表す。]
11、R12、R13、R14、R15、R16の好ましい範囲は、次の範囲である。
アルキル基は、炭素数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基を挙げることができる。置換アルキル基には、例えばアラルキル基が含まれる。アラルキル基は、炭素数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基を挙げることができる。アルケニル基は、炭素数2〜30が好ましく、より好ましくは炭素数2〜20であり、例えばビニル基、2−フェニルエテニル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル基、2−フェニルエチニル基を挙げることができる。アリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、1−ナフチル基を挙げることができる。ここでいうアリール基の中には、ヘテロアリール基も含まれる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の置換基としては、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の他に、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)を挙げることができる。R11、R12、R13、R14として特に好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、さらに好ましいのは水素原子である。
17、R18の好ましい範囲は、R11、R12、R13、R14、R15、R16と同様である。nは、好ましくは3である。
これらの官能基の中でも、好ましくは、
Figure 0005399642
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩、または−Si(OR17m118 3-m1であり、より好ましくは、
Figure 0005399642
−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、−CO2Hまたはその塩であり、さらに好ましくは、
Figure 0005399642
または−CO2Hまたはその塩である。
無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を熱可塑性樹脂中に導入するには、該官能基もしくはその前駆体を有する重合性モノマーを用いて重合反応を行う方法や、樹脂を反応剤と反応させて該官能基もしくはその前駆体を導入する方法を挙げることができる。官能基導入量の制御の容易さから、該官能基もしくはその前駆体を有する重合モノマーを用いて重合反応を行って樹脂を得る方法を採用することが好ましい。
重合反応によって樹脂を得る場合、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーとして、ジオール化合物やジチオール化合物、ジカルボン酸化合物など、本発明で用いる他のモノマーと重合反応できるモノマーを採用することができる。好ましい例として以下のものを挙げることができるが、本発明で使用することができる官能基を有するモノマーはこれらに限定されない。
Figure 0005399642
なお、これらモノマーに含まれる無機粒子吸着性官能基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等のカチオンと塩を形成していてもよい。カルボキシル基を2つ以上含むモノマー(MC−5、MC−9)は、2つのカルボキシル基が縮合反応に供され、残りのカルボキシル基が無機粒子吸着性官能基として供される。
本発明において、上記官能基はポリマー鎖1本あたり平均0.1〜20個であることが好ましく、0.5〜10個であることがより好ましく、1〜5個であることが特に好ましい。
(樹脂の合成法)
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、上記の一般式(2)で表されるモノマーと、それと重合反応しうる基が1分子中に2つ以上存在するモノマーを少なくとも含む混合物を重合させることにより合成することができる。このとき、無機微粒子と化学結合を形成しうるモノマーも含ませておくことにより、一度の反応で目的とする樹脂を得ることができる。重合反応を行う混合物の中には、成型性等の観点から特定のモノマー成分を適宜加えておくこともできる。
合成する樹脂は熱可塑性樹脂であり、縮合系樹脂であることが好ましく、より好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂を挙げることができ、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が更に好ましく、ポリエステル系樹脂であることが特に好ましい。
これらの樹脂の製造方法については、「高分子合成の実験法」大津隆行・木下雅悦著、化学同人編(1996年)に記載された方法を適用することができる。
(樹脂の具体例)
以下に本発明で用いられる好ましい熱可塑性樹脂の例を示すが、本発明で用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。
以下の表では、ポリエステル系樹脂の具体例を、ジオール成分、ジカルボン酸成分、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーの組合せとして表記している。なお、樹脂中の無機粒子と化学結合を形成しうる官能基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等のカチオンと塩を形成していてもよい。
Figure 0005399642
その他の樹脂として、以下の例も挙げることができる。
Figure 0005399642
Figure 0005399642
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の数平均分子量は千〜500万の範囲であることが好ましく、5千〜100万の範囲であることがより好ましく、1万〜50万の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性と成型性の観点からガラス転移温度は80℃〜280℃であることが好ましく、100℃〜250℃であることがより好ましく、120℃〜230℃であることが特に好ましい。
[無機微粒子]
本発明の有機無機複合材料に用いられる無機微粒子としては特に制限はなく、例えば特開2002−241612号公報、特開2005−298717号、特開2006−70069号各公報等に記載の微粒子を用いることができる。
具体的には、酸化物微粒子(酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫等)、複酸化物微粒子(ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウムなど)、硫化物微粒子(硫化亜鉛、硫化カドミウム等)、その他半導体結晶微粒子(セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等)、あるいはLiAlSiO4、PbTiO3、Sc2312、ZrW28、AlPO4、Nb25,LiNO3などを用いることができる。なかでも、ジルコニウム、亜鉛、錫またはチタンのカルコゲナイドが好ましく、具体的には、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
無機微粒子は2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子は、屈折率、透明性、安定性などの観点から、複数の成分による複合物であってもよい。また無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)などで表面修飾しても良い。さらに目的に応じて、これらの2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率に特に制限はないが、本発明の有機無機複合材料が高屈折率を必要とする光学物品に用いられる場合には、無機微粒子は高屈折率特性を持つことが好ましい。この場合、用いられる無機微粒子の屈折率は22℃、589nmの波長において1.90〜3.00であることが好ましく、より好ましくは2.00〜2.70であり、特に好ましくは2.10〜2.50である。微粒子の屈折率が3.0以下であれば樹脂との屈折率差が比較的小さいためレイリー散乱を抑制しやすくなる傾向がある。また、屈折率が1.9以上であれば高屈折率化の効果が得られやすくなる傾向がある。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムに成形して、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率から算出する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に該数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合材料の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。
また本発明に用いられる無機微粒子は上記の平均粒子サイズを満たし、かつ粒子サイズ分布が狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が、本発明で用いられる微粒子の好ましい粒径分布範囲にも当てはまる。
ここで、上述の数平均粒子サイズとは例えば、X線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
本発明に用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。この方法の詳細は、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)等に記載されている。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中や本発明における熱可塑性樹脂が溶解した有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法を採用してもよい。この際、必要に応じて各種表面処理剤(シランカップリング剤類、アルミネートカップリング剤類、チタネートカップリング剤類、有機酸類(カルボン酸類、スルホン類、ホスホン酸類など))を共存させてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
無機微粒子の合成法としては、上記以外に、分子ビームエピタキシー法やCVD法のような真空プロセスで作製する方法など、例えば特開2006−70069号公報等に記載される各種一般的な微粒子合成法を挙げることができる。
本発明の有機無機複合材料における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
[添加剤]
本発明においては上記熱可塑性樹脂および無機微粒子以外に均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合しても良い。例えば、表面処理剤、可塑化剤、帯電防止剤、分散剤、離型剤等を挙げることができる。また前記熱可塑性樹脂以外に前記官能基を有さない樹脂を添加しても良く、このような樹脂の種類に特に制限はないが、前記熱可塑性樹脂と同様の光学物性、熱物性、分子量を有するものが好ましい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂を足しあわせた量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがよりこのましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
(表面処理剤)
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加しても良い。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50000であることが好ましく、より好ましくは100〜20000、さらに好ましくは100〜10000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(2)
A−B
一般式(2)中、Aは本発明における無機微粒子の表面と任意の化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明における樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられる。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明の熱可塑性樹脂中に導入される微粒子結合性の官能基として前記したものと同じである。
一方、前記Bの化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似であることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ−α−ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用しても良い。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で、0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
(可塑化剤)
本発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、有機無機複合材料の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の有機無機複合材料の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は、有機無機複合材料の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用できる可塑剤は樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などトータルで考える必要があり、最適な可塑剤は他の材料に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(3)で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 0005399642
(式中、B1およびB2は炭素数6〜18のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、mは0または1を表す。Xは、下記の2価の結合基のうちいずれかを表す。)
Figure 0005399642
(式中、R31およびR32はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
また、一般式(3)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
Figure 0005399642
(帯電防止剤)
本発明の有機無機複合材料の帯電圧を調節するために、帯電防止剤を添加することができる。本発明の有機無機複合材料では、光学特性改良の目的で添加した無機微粒子自体が別の効果である帯電防止効果にも寄与する場合がある。帯電防止剤を添加する場合には、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯防止剤、ノ二オン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤、あるいは帯電性微粒子などが挙げられ、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの例としては、特開2007−4131号公報、特開2003−201396号公報に記載された化合物を挙げることができる。
帯電防止剤の添加量はまちまちであるが、全固形分の0.001〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
(その他の添加剤)
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良する目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加しても良く、これらを配合する場合には有機無機複合材料の全固形分に対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
[有機無機複合材料の製造方法]
本発明の有機無機複合材料は、熱可塑性樹脂と無機微粒子等の成分を混合することにより製造することができる。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが比較的小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で上記熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合材料の好ましい製造方法としては、(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下にて表面処理し、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する方法、が挙げられる。
上記(1)の手法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合材料を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の箇所で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加しても良い。
上記(2)の場合には、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、t−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加しても良い。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。この際前記表面処理剤を添加しても良い。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合材料の溶液は、そのままキャスト成形して透明成形体を得ることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の公知の手法によって成形することが好ましい。またこの際、本発明の粉状の有機無機複合材料を直接加熱溶融あるいは圧縮などによりレンズ等の成形体に加工することもできるが、いったん押し出し法などの手法で、一定の重さ、形状を有するプリフォーム(前駆体)を作成した後、該プリフォームを圧縮成形で変形させてレンズ等の光学物品を作成することもできる。この場合目的の形状を効率的に作成するために、プリフォームに適当な曲率をもたせることもできる。
上記有機無機複合材料をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いても良い。
[光学物品]
上述の本発明の有機無機複合材料を成形することにより、本発明の光学物品を製造することができる。本発明の光学物品は、有機無機複合材料の説明で前記した屈折率や光学特性を示すものが有用である。
また本発明の光学物品としては、最大0.1mm以上の厚みを有する高屈折率の光学物品が特に有用である。好ましくは0.1〜5mmの厚みを有する光学物品への適用であり、特に好ましくは1〜3mmの厚みを有する透明物品への適用である。
これらの厚い成形体は溶液キャスト法での製造では、溶剤が抜けにくく通常容易ではないが、本発明の有機無機複合材料を用いることにより、成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に付与することができ、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する光学物品とすることができる。
本発明の有機無機複合材料を利用した光学物品は、本発明の有機無機複合材料の優れた光学特性を利用した光学物品であれば特に限定はないが、例えば、レンズ基材や、特に光を透過する光学物品(いわゆるパッシブ光学物品)に使用することも可能である。かかる光学物品を備えた機能装置としては、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。かかる光学機能装置における前記パッシブ光学物品としては、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル、フィルム、光導波路、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。
本発明の有機無機複合材料を用いた光学物品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合材料を用いて製造されたレンズ基材は、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合材料を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、撮像レンズ(車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ等;ズームレンズや、正/負のパワーレンズなど各種公知の撮像レンズを含む)、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(3)無機微粒子の分散性評価
無機微粒子と樹脂を含む成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを以下の基準により評価した。
○ 樹脂中に無機微粒子が均一に分散している
× 微粒子が凝集して成形体が白濁している
(4)光線透過率測定
測定する材料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)で測定した。
(5)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(6)ガラス転移温度
DSCの測定パンに樹脂を20mg入れ、これを窒素気流中で10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却した。この後、再度30℃から250℃まで昇温し、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度を樹脂のガラス転移温度とした。
(7)分子量測定
重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
(8)酸価測定
平沼産業製「COM−1600ST」にて、樹脂のTHF/水溶液を、アルコール性の0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定することにより測定した。
[無機微粒子分散液の調製]
(1)酸化ジルコニウム微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。微粒子の屈折率は2.1であった。
(2)酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液の調製
前記(1)で調製した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液(濃度10質量%)500gに、500gのN,N’−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N’−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって10質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液を得た。
[樹脂の合成]
(1)熱可塑性樹脂(PA−1)の合成
MA−11(東京化成製)30.7g、MD−1(東京化成製)3.0g、MB−1のジカルボン酸ジメチルエステル(東京化成製)18.8g、MC−1のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩(東京化成製)0.9gを特開平6−49186号公報の実施例1に記載の方法に準じて溶融重合し、熱可塑性樹脂PA−1を得た。
(2)熱可塑性樹脂(PA−2)の合成
MA−11(東京化成製)21.9g、MD−1(東京化成製)4.7g、MB−4のジカルボン酸ジメチルエステル(東京化成製)23.2g、MC−1のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩(東京化成製)1.5gを用いる以外は上記(1)の合成法と同様にして、熱可塑性樹脂PA−2を得た。
(3)熱可塑性樹脂(PA−28)の合成
特開2004−217647号公報の実施例2に記載の方法に準じて、MC−14のナトリウム塩を合成した。さらに特開平5−222175号公報の実施例3の合成例において、ビスフェノールAジアセテートを、MB−1/MB−7/MD−1/MA−1/MC−14=70/30/70/25/5(モル比)となるようにMC−1とMC−14のナトリウム塩に置き換えることにより、熱可塑性樹脂P−28を合成した。
(4)熱可塑性樹脂(PA−29)の合成
MA−3(本州化学製)35.2g、MD−10(東京化成製)6.8g、MB−1の酸塩化物(東京化成製)9.9g、MB−2の酸塩化物(東京化成製)9.9g、5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチル(東京化成製)とプロパンスルトン(東京化成製)から公知の方法で合成したMC−2のジカルボン酸ジメチルエステルスルホン酸ナトリウム塩を0.7g用い、高分子学会編、新高分子実験学第3巻、高分子の合成・反応(2)(共立出版)、1996年)89項〜91項に記載の界面重縮合の方法に準じて重合し、熱可塑性樹脂PA−29を得た。
(5)熱可塑性樹脂(PA−36)の合成
Chemistry-A European Journal, vol.6, issue 1, p47-53 に記載の方法でMC−16のメチルエステル体を合成した。公知の方法に従い、MB−8(東京化成製)の酸塩化物を得た。MA−27(東京化成製)12.7g、MD−10(東京化成製)13.7g、MB−8の酸塩化物29.2g、MC−16のメチルエステル体0.5gを、上記(4)の合成法と同様の方法で重合した。得られた樹脂をジクロロメタンに溶解し、過剰量のトリメチルシリルブロマイドで処理することにより、ホスホン酸ジメチルエステルを脱保護し、熱可塑性樹脂PA−36を得た。
下表に熱可塑性樹脂PA−1、PA−2、PA−28、PA−29、PA−36の数平均分子量と、樹脂一本あたりの平均官能基数、樹脂単独の屈折率を示す。
Figure 0005399642
ここにおいて、樹脂一本あたりの平均官能基数は、下記式より導いた。なお、水酸化カリウムの分子量は56とした。
Figure 0005399642
[有機無機複合組成物の調製および透明成形体(レンズ基材)の作製]
(1)実施例1
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に、樹脂(PA−1)および4−n−プロピル安息香酸(C3BA)を、質量比がPA−1/ZrO2固形分/C3BA=52/40/8となるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣をSUS製の金型で加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
(2)実施例2〜6
上記実施例1と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例4、5は、温度;250℃、圧力;13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
(3)実施例7
特開2003−73559号公報の合成例9に記載される方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。X線解析(XRD)と透過型電子顕微鏡(TEM)により、アナタ―ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。前記酸化チタン微粒子を1−ブタノールに懸濁させ、超音波処理を30分行った後、100℃にて30分加熱した。得られた白濁液を、酸化チタンの固形部分が全固形分の20質量%となる様に、熱可塑性樹脂(PA−1)が10質量%で溶解したクロロホルム溶液に撹拌しながら常温で5分かけて滴下した。得られた混合液から溶媒を留去することにより得られた濃縮残渣を実施例1と同様にして加熱圧縮成形し(温度;180℃、圧力;13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmの透明成形体(レンズ基材)を得た。
(4)実施例8〜11
上記実施例7と同様にして、表1に示す構成成分からなる有機無機複合組成物を調製して、透明成形体(レンズ基材)を得た。但し、実施例10、11は、温度;250℃、圧力;13.7MPa、時間2分で加熱圧縮成形した。
(5)比較例1
実施例1における熱可塑性樹脂(PA−1)をフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂であるOKP−4(大阪ガスケミカル(株)製、特開2008−1820号公報記載の樹脂)とする以外は、実施例1と同様にして比較例1の成形体を得た。
(6)比較例2
実施例7における熱可塑性樹脂(PA−1)をフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂であるOKP−4(大阪ガスケミカル(株)製、特開2008−1820号公報記載の樹脂)とする以外は、実施例7と同様にして比較例2の成形体を得た。
[試験例]
実施例1〜11と比較例1、2で調製した各成形体(レンズ基材)を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果を以下の表に示す。
Figure 0005399642
上の表から明らかなように、本発明により屈折率が1.65より大きく、厚さ1mmで透明性が良好な光学部品が得られた(実施例1〜11)。比較例1,2の樹脂では無機微粒子を均一に分散することができず、白濁してしまい、透明なレンズが得られなかった
また、本発明の有機無機複合組成物を用いれば、凹レンズ、凸レンズ等の金型形状に合わせて生産性よく正確にレンズ形状を形成できることを確認した。

Claims (19)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位と、無機粒子と化学結合を形成しうる官能基を有するモノマーであって、下記のMC−1〜MC−17で表されるモノマー由来の構造単位を含む熱可塑性樹脂と、無機粒子を含む有機無機複合組成物であって、
    前記無機粒子と化学結合を形成しうる官能基は前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖の非末端に導入されており、
    前記ポリマー鎖1本あたりの平均官能基数1.6〜20個であり、
    波長589nmにおいて厚さ1mm換算の光線透過率が79%以上である有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
    [一般式(1)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
    Figure 0005399642
  2. 前記官能基が、
    Figure 0005399642
    [R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基、あるいは、塩を形成しうる原子または基を表す。]、−SO3Hまたはその塩、−OSO3Hまたはその塩、および−CO2Hまたはその塩からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂が縮合系ポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、下記一般式(2)で表される化合物と、該化合物と縮合反応が可能な反応性基を1分子中に2つ以上有する化合物と、下記の構造を有するモノマーMC−1〜MC−17を重合させることにより得られる熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
    [一般式(2)中、環αおよび環βはそれぞれ独立に単環式または多環式の環を表し、2つの環βは環α上の1つの4級炭素に連結している。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
    Figure 0005399642
  5. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記の構造を有するモノマーMA−11からMA−26のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
    (表中、Phはフェニル基、iPrはイソプロピル基、c−C611はシクロヘキシル基を表す。)
  6. 前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  7. 前記ポリエステル系樹脂が、下記の構造を有するジカルボン酸MB−1からMB−20の少なくとも一種を用いて合成されるものであることを特徴とする請求項6に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
  8. 前記一般式(1)で表される構造単位が下記一般式(3)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
    [一般式(3)中、R21、R22はそれぞれ独立に置換基を表す。jおよびkはそれぞれ独立に0〜4のいずれかの整数を表す。jが2以上の整数であるとき、2以上のR21は互いに連結して環を形成してもよい。kが2以上の整数であるとき、2以上のR22は互いに連結して環を形成してもよい。2つのAはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、2つのLはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、2つのnはそれぞれ独立に0または1を表す。]
  9. 前記熱可塑性樹脂が、下記の樹脂PA−1、PA−2、PA−28、PA−29、PA−36のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
    Figure 0005399642
    Figure 0005399642
  10. 前記無機粒子の数平均粒子サイズが1〜15nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  11. 前記無機粒子が屈折率が1.90〜3.00の金属カルコゲナイド粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  12. 前記無機粒子が、ジルコニウム、亜鉛、またはチタンのカルコゲナイドを含有する粒子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  13. 前記無機粒子を5質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  14. 熱可塑性であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を成形した成形体。
  16. 屈折率が1.65以上であることを特徴とする請求項15に記載の成形体。
  17. 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項15または16に記載の成形体。
  18. 請求項15〜17のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
  19. レンズ基材であることを特徴とする請求項18に記載の光学部品。



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