JP2008239923A - 有機無機複合組成物とその製造方法、成形体および光学部品 - Google Patents

有機無機複合組成物とその製造方法、成形体および光学部品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性と高い屈折率を有する光学部品を提供する。
【解決手段】無機微粒子と、下記一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
Figure 2008239923

(Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基;L1およびL2は単結合または2価の連結基;Xは(l+m)価の連結基;Polyはビニルモノマーの重合体;lおよびmは1〜10の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折性、透明性、軽量性、加工性に優れる有機無機複合組成物、並びに、これを含んで構成されるレンズ基材(例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等を構成するレンズ)等の光学部品に関する。
近年、光学材料の研究が盛んに行われており、特にレンズ材料の分野においては高屈折性、耐熱性、透明性、易成形性、軽量性、耐薬品性・耐溶剤性等に優れた材料の開発が強く望まれている。
プラスチックレンズは、ガラスなどの無機材料に比べ軽量で割れにくく、様々な形状に加工できるため、眼鏡レンズのみならず近年では携帯カメラ用レンズやピックアップレンズ等の光学材料にも急速に普及しつつある。
それに伴い、レンズの薄肉化や撮像素子の小型化を目的として、素材自体を高屈折率化することが求められるようになっている。例えば、硫黄原子をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献1および2参照)や、ハロゲン原子や芳香環をポリマー中に導入する技術(例えば、特許文献3参照)等が活発に研究されてきた。しかし、屈折率が大きくて良好な透明性を有しており、ガラスの代替となるようなプラスチック材料は未だ開発されるに至っていない。また、光ファイバーや光導波路では、異なる屈折率を有する材料を併用したり、屈折率に分布を有する材料を使用したりする。このように屈折率が部位によって異なる材料を提供するために、屈折率を任意に調節できる技術の開発も望まれている。
有機物のみで屈折率を高めることは難しいことから、高屈折率を有する無機物を樹脂マトリックス中に分散させることによって樹脂を高屈折率化する手法が報告されている(例えば、特許文献4参照)。レイリー散乱による透過光の減衰を低減するためには、粒子サイズが15nm以下の無機微粒子を樹脂マトリックス中に均一に分散させることが好ましい。しかし、粒子サイズが15nm以下の1次粒子は非常に凝集しやすいために、樹脂マトリックス中に均一に分散させることは極めて難しい。また、レンズの厚みに相当する光路長における透過光の減衰を考慮すると、無機微粒子の添加量を制限せざるを得ない。このため、樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散することはこれまでできなかった。
また、数平均粒子サイズ0.5〜50nmの超微粒子が分散した熱可塑性樹脂組成物を主体とする成形体であって、光波長1mm当たりの複屈折率の平均が10nm以下である樹脂組成物成形体(例えば、特許文献5参照)や、特定の数式で示される屈折率およびアッベ数を有する熱可塑性樹脂と、特定の平均粒子直径と屈折率とを有する無機微粒子とからなる熱可塑性材料組成物およびこれを用いた光学部品が報告されている(例えば、特許文献6、7参照)。これらも樹脂中に無機微粒子を分散させたものであるが、いずれも樹脂の透明性を低下させずに微粒子を高濃度で樹脂マトリックスに分散するといった観点からは十分な性能を発揮するものではなかった。
一方、有機無機複合組成物としては、例えば、表面有機修飾した無機粒子と、酸性基含有樹脂を溶融混練する方法が報告されているが、無機粒子の添加量は1質量%程度であり、充分とはいえない(特許文献8参照)。また、無機粒子の表面修飾基と樹脂をリンカーを介して結合させる有機無機複合組成物も報告されているが(特許文献9参照)、結合形成に高温を要するなど操作が煩雑であり、ゲル化の懸念もあることから成形加工性の観点から充分な性能を発揮するのもではなかった。また、これらのいずれの特許文献にも、高屈折率のレンズに使用可能な厚い透明成形体に関する記載はない。
特開2002−131502号公報 特開平10−298287号公報 特開2004−244444号公報 特開2003−73559号公報 特開2003−147090号公報 特開2003−73563号公報 特開2003−73564号公報 特開2004−217714号公報 特表2004−352975号公報
高屈折性、透明性および軽量性を併せ持ち、さらには屈折率を任意に制御できる材料組成物、およびそれを含んで構成される光学部品は未だ見出されておらず、その開発が望まれていた。
本発明は前記実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、微粒子が樹脂マトリックス中に均一に分散され、優れた透明性と高い屈折率を有する有機無機複合組成物、並びに、これを用いたレンズ基材等の光学部品を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の屈折率を有する無機微粒子と特定の樹脂とを原料とした有機無機複合組成物が、微粒子の均一分散効果により、高屈折性と優れた透明性とを有することを見出し、以下に記載する本発明の完成に至った。
[1] 無機微粒子と、下記一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
一般式(1)
Figure 2008239923
(一般式(1)中、Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基を表し、L1およびL2はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、Xは(l+m)価の連結基を表し、Polyはビニルモノマーの重合体を表し、lおよびmはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。)
[2] 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1nm〜15nmであることを特徴とする[1]に記載の有機無機複合組成物。
[3] 前記無機微粒子の屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする[1]または[2]に記載の有機無機複合組成物。
[4] 前記無機微粒子としてチタン酸化物かジルコニウム酸化物の少なくとも一方を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[5] 前記熱可塑性樹脂の屈折率が1.50より大きいことを特徴とする[1]〜[4]に記載の有機無機複合組成物。
[6] 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[7] 熱可塑性であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[8] 溶媒を含まない固体であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
[9] 無機微粒子と、一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを有機溶媒中で混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合組成物の製造方法。
[10] 水、アルコール、または水とアルコールの混合物中において無機微粒子を表面処理剤の存在下で表面処理する工程と、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出する工程と、抽出した該無機微粒子を一般式(1)で表される熱可塑性樹脂と混合する工程とを含むことを特徴とする[9]に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
[11] 無機微粒子の有機溶媒分散物と、一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを混合する工程と、該混合液から溶剤を留去する工程とを含むことを特徴とする[9]または[10]に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
[12] 無機微粒子の有機溶媒分散物と、一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを混合する工程と、該混合液を再沈澱させる工程とを含むことを特徴とする[9]または[10]に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
[13] [9]〜[12]のいずれか一項に記載の製造方法により製造される有機無機複合組成物。
[14] 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする[1]〜[8]または[13]のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含む成形体。
[15] 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.63以上であることを特徴とする[14]に記載の成形体。
[16] [14]または[15]に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
[17] レンズ基材であることを特徴とする[16]に記載の光学部品。
本発明によれば優れた透明性と高い屈折率とを併せもつ有機無機複合組成物、およびこれを用いた光学部品を提供することができる。また、本発明によれば、機械的強度や耐熱性が良好な光学部品を提供しやすい。
以下において、本発明の有機無機複合組成物およびそれを含んで構成されるレンズ基材等の光学部品について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[有機無機複合組成物]
本発明の有機無機複合組成物は、無機微粒子と、特定の構造を有する熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする。本発明の有機無機複合組成物では、熱可塑性樹脂に無機微粒子が分散している。
本発明の有機無機複合組成物は、固体であることが好ましい。溶媒含有量は25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、溶媒を含まないことが最も好ましい。
本発明の有機無機複合組成物の屈折率は波長589nmにおいて1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましく、1.67以上であることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合組成物の光線透過率は、波長589nmにおいて厚さ1mm換算で70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また波長405nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率は60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であればより好ましい性質を有するレンズ基材を得やすい。なお、本発明における厚さ1mm換算の光線透過率は、有機無機複合組成物を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置(UV−3100、(株)島津製作所製)で測定した値である。
本発明の有機無機複合組成物は、ガラス転移温度が100℃〜400℃であることが好ましく、130℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば十分な耐熱性が得られやすく、ガラス転移温度が400℃以下であれば成形加工を行いやすくなる傾向がある。
以下において、本発明の有機無機複合組成物の必須構成成分である熱可塑性樹脂と無機微粒子について順に説明する。本発明の有機無機複合組成物には、これらの必須構成成分以外に、本発明の条件を満たさない樹脂、分散剤、可塑剤、離型剤等の添加剤を含んでいてもよい。
[熱可塑性樹脂]
本発明の有機無機複合組成物は、下記一般式(1)で表される熱可塑性樹脂を含む。
一般式(1)
Figure 2008239923
一般式(1)中、Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基を表し、L1およびL2はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、Xは(l+m)価の連結基を表し、Polyはビニルモノマーの重合体を表し、lおよびmはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
一般式(1)中、Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基を表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等が挙げられ、官能基が複数存在する場合は、それぞれが無機微粒子と異なる化学結合を形成しうるものであってもよい。化学結合を形成しうるか否かは、後述する実施例に記載されるような有機溶媒中において熱可塑性樹脂と無機微粒子とを混合したときに、熱可塑性樹脂の官能基が無機微粒子と化学結合を形成しうるか否かで判定する。本発明の有機無機複合組成物中において、熱可塑性樹脂の官能基は、そのすべてが無機微粒子と化学結合を形成していてもよいし、一部が無機微粒子と化学結合を形成していてもよい。
無機微粒子と化学結合を形成しうる官能基は、無機微粒子と化学結合を形成しうるものであればその構造に特に制限されないが、
Figure 2008239923
−SO3H、−OSO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基またはその塩であることが好ましい。前記官能基またはその塩としては、
Figure 2008239923
−SO3H、−CO2H、および、−Si(OR5m6 3-mからなる群より選ばれる官能基またはその塩が好ましく、
Figure 2008239923
−SO3H、−CO2H、またはこれらの塩がより好ましく、
Figure 2008239923
−SO3H、またはこれらの塩がさらに好ましい。
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、あるいは置換または無置換のフェニル基を表し、好ましくは水素原子あるいは置換または無置換のアルキル基である。mは1〜3の整数を表し、好ましくは3である。
前記置換基Aとして、例えば以下の構造を挙げることができる。
Figure 2008239923
一般式(1)中、Xは(l+m)価の連結基を表し、好ましくは2価〜20価、より好ましくは2価〜10価の連結基である。Xが2価の連結基であるとき、例えば、置換または無置換のアルキレン基、エーテル基、置換または無置換のアリーレン基、またはこれらの2つ以上を連結させた基を挙げることができる。アルキレン基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。アリーレン基の炭素数は6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。アルキレン基やアリーレン基の置換基としては、アルキル基やアリール基を挙げることができる。
Xが3価以上の連結基であるとき、例えば上記2価の連結基のうち、いずれかの芳香環または非芳香族炭素原子で枝分かれした構造を挙げることができる。Xの具体例として例えば以下の構造を挙げることができるが、一般式(1)のXとして採用することができる連結基はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008239923
一般式(1)中、L1およびL2はそれぞれ独立に、Xと硫黄原子とを結合する単結合、もしくはXと硫黄原子とを連結する2価の連結基である。2価の連結基として、例えば、置換または無置換のアルキレン基、カルボニル基、置換または無置換のイミノ基、またはこれらの2つ以上を連結させた基を挙げることができる。アルキレン基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。アルキレン基やイミノ基の置換基としては、アルキル基を挙げることができる。2価の連結基の具体例としては例えば以下の構造を挙げることができるが、一般式(1)のL1およびL2として採用することができる連結基はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008239923
一般式(1)中、Polyはビニルモノマーの重合体を表す。該ビニルモノマーとしては、例えばPolymer Handbook 2nd ed., J. Brandrup, Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものを挙げることができる。具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリル酸2-フェニルフェニル等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メタクリル酸2-フェニルフェニル等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アリル化合物としては、アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノール等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、アルキルビニルエーテル(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、マレイミド(N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド)等も挙げることができる。
Polyで表されるビニルモノマー重合体として好ましいのは、アクリレートもしくはメタアクリレートの重合体である。
前記Polyで表されるビニルモノマー重合体は単独重合体でも、2種類以上のモノマーからなる共重合体でもよい。
Polyの具体例としては例えば以下の構造を挙げることができるが、一般式(1)のPolyとして採用することができる基はこれらに限定されるものではない。[ ]内の構造は繰り返し単位を表し、繰り返し単位の添え数字は共重合比(mol比)を表す。
Figure 2008239923
一般式(1)中、lは1〜10の整数を表し、好ましくは1〜5の整数である。mは1〜10の整数を表し、好ましくは1〜5の整数である。lとmの大小関係は、l≧mであることが好ましい。
一般式(1)において、lが2以上であるとき、l個のAはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、また、l個のL1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。同様に、mが2以上であるとき、m個のL2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいし、m個のPolyはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。好ましいのは、いずれも同一である場合である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、屈折率が1.50より大きいことが好ましく、1.55より大きいことがより好ましく、1.60より大きいことがさらに好ましい。なお、本発明における屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ社製、「DR−M4」)にて波長589nmの光について測定した値である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が50℃〜400℃であることが好ましく、80℃〜380℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が50℃以上の樹脂を用いれば十分な耐熱性を有する光学部品が得られやすくなり、また、ガラス転移温度が400℃以下の樹脂を用いれば成形加工が行いやすくなる傾向がある。
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の数平均分子量は1,000〜500,000である。熱可塑性樹脂の数平均分子量は3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂の数平均分子量が1,000未満の場合は充分な力学強度のある有機無機複合組成物を得ることができない。一方、前記樹脂の数平均分子量が500,000を超えると成形加工が難しくなる。
一般式(1)で表される熱可塑性樹脂は、例えば、新高分子実験学4 高分子の合成・反応(1)付加系高分子の合成(高分子学会編)」第1章、109項〜112項に記載のように、下記一般式(2)で表されるチオール誘導体とビニルモノマーの共存下、ラジカル重合を行うことにより合成することができる。
一般式(2)
Figure 2008239923
一般式(2)中、A、L1、L2、X、Poly、l、mは、一般式(1)のそれらと同義である。
一般式(2)で表されるチオール誘導体は、多価チオール化合物の求核置換反応、求核付加反応、ラジカル付加反応など公知の方法で容易に合成できる。該チオール誘導体はクロマトグラフィーなどの手法で単離精製して次工程に用いても良いし、反応混合物のまま次工程に用いてもよい。反応混合物のl、mは混合物の平均値となり、これは1H NMRなどで容易に導くことができる。
以下に本発明で使用することができる熱可塑性樹脂の好ましい具体例(例示化合物J−1〜J−13)を挙げるが、本発明で用いることができる熱可塑性樹脂はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008239923
これらの熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、他の共重合成分を含んでもよい。
本発明の有機無機複合組成物には、本発明の条件を満たす熱可塑性樹脂とともに、本発明の条件を満たさない樹脂を含有させてもよい。例えば、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有さない樹脂と本発明の条件を満たす熱可塑性樹脂を混合して使用してもよい。無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有さない樹脂の種類に特に制限はないが、前記で挙げた光学物性、熱物性、分子量を満たすものが好ましい。
[無機微粒子]
本発明で用いられる無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、酸化錫微粒子、硫化亜鉛微粒子、チタン酸バリウム微粒子等を挙げることができ、好ましくは酸化チタン微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、硫化亜鉛微粒子、チタン酸バリウム微粒子であり、より好ましくは酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムを含む微粒子である。ただし、本発明で用いることができる無機微粒子は、ここに例示した材料に限定されるものではない。
本発明では、1種類の無機微粒子を単独で用いてもよいし、複数種の無機微粒子を併用してもよい。また、屈折率や透明性や安定性の観点から、これらの無機物の複合物として用いてもよい。またこれらの微粒子は光触媒活性低減、吸水率低減など種々の目的から、異種元素をドーピングしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面修飾した微粒子であってもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、ハロゲン化金属やアルコキシ金属を原料に用い、水を含有する反応系において加水分解することにより、所望の酸化物微粒子を得ることができる。
具体的には、酸化チタンナノ粒子の合成原料としては硫酸チタニルが例示され、酸化亜鉛ナノ粒子の合成原料としては酢酸亜鉛や硝酸亜鉛等の亜鉛塩が例示される。テトラエトキシシランやチタニウムテトライソプロポキサイド等の金属アルコキシド類も無機微粒子の原料として好適である。このような無機微粒子の合成方法としては、例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第37巻4603〜4608頁(1998年)、あるいは、ラングミュア第16巻第1号241〜246頁(2000年)に記載の方法を挙げることができる。
特にゾル生成法により酸化物ナノ粒子を合成する場合においては、例えば硫酸チタニルを原料として用いる酸化チタンナノ粒子の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し、次いで酸やアルカリによりこれを脱水縮合または解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能である。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、濾過や遠心分離等の任意の方法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適である。得られたヒドロゾルにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称DBS)やジアルキルスルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業(株)製、商標名「エレミノールJS−2」)等の適当な界面活性剤を加えて、ゾル粒子を非水溶化させて単離してもよく、例えば、「色材」57巻6号,305〜308頁(1984)に記載の公知の方法を用いることができる。
また、水中で加水分解させる方法以外の方法として、有機溶媒中で無機微粒子を作製する方法も挙げることができる。このとき、有機溶媒中には、本発明で用いる熱可塑性樹脂が溶解していてもよい。
これらの方法に用いられる溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アニソール等が例として挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、また複数種を混合して使用してもよい。
本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると該微粒子を構成する物質固有の特性が変化する場合があり、逆に大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となり、有機無機複合組成物の透明性が極端に低下する場合がある。従って、本発明で用いられる無機微粒子の数平均粒子サイズの下限値は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、上限値は好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。すなわち、本発明における無機微粒子の数平均粒子サイズとしては、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmがさらに好ましく、3nm〜5nmが特に好ましい。
ここで、上述の数平均粒子サイズは、例えばX線回折(XRD)または透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
本発明で用いられる無機微粒子の屈折率の範囲は、22℃で589nmの波長において1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることがより好ましく、2.00〜2.70であることがさらに好ましい。本発明における無機微粒子の屈折率が1.90以上であれば、屈折率が1.80より大きい有機無機複合組成物を製造しやすい。一方、屈折率が3.00以下であれば、透過率が80%以上の有機無機複合組成物を製造しやすい。
無機微粒子の屈折率は、例えば本発明で用いられる熱可塑性樹脂と複合化した複合物を透明フィルムとして、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製「DM−M4」)で屈折率を測定し、別途測定した樹脂成分のみの屈折率とから換算する方法、あるいは濃度の異なる微粒子分散液の屈折率を測定することにより微粒子の屈折率を算出する方法などによって見積もることができる。
本発明の有機無機複合組成物における無機微粒子の含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、20〜95質量%が好ましく、25〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。また、本発明における前記無機微粒子と熱可塑性樹脂(分散ポリマー)との質量比は、分散性の点から、1:0.01〜1:100が好ましく、1:0.05〜1:10がさらに好ましく、1:0.05〜1:5が特に好ましい。
[添加剤]
本発明の有機無機複合組成物には、上記の熱可塑性樹脂や無機微粒子以外に、均一分散性、成形時の流動性、離型性、耐候性等観点から適宜各種添加剤を配合してもよい。
これら添加剤の配合割合は目的に応じて異なるが、前記無機微粒子および熱可塑性樹脂の合計量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることが特に好ましい。
<表面処理剤>
本発明では、後述するように水中またはアルコール溶媒中に分散された無機微粒子を熱可塑性樹脂と混合する際に、有機溶媒への抽出性または置換性を高める目的、熱可塑性樹脂への均一分散性を高める目的、微粒子の吸水性を下げる目的、あるいは耐候性を高める目的など種々目的に応じて、上記熱可塑性樹脂以外の微粒子表面修飾剤を添加してもよい。該表面処理剤の重量平均分子量は50〜50,000であることが好ましく、より好ましくは100〜20,000、さらに好ましくは200〜10,000である。
前記表面処理剤としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(3)
A−B
一般式(3)中、Aは本発明で用いられる無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を表し、Bは本発明で用いられる熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂マトリックスに対する相溶性または反応性を有する炭素数1〜30の1価の基またはポリマーを表す。ここで、「化学結合」とは、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等をいう。
Aで表わされる基の好ましい例は、本発明で用いられる熱可塑性樹脂の官能基として前記したものと同じである。
一方、Bで表される基の化学構造は、相溶性の観点から該樹脂マトリックスの主体である熱可塑性樹脂の化学構造と同一または類似するものであることが好ましい。本発明では特に高屈折率化の観点から、前記熱可塑性樹脂とともにBの化学構造が芳香環を有していることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる、表面処理剤の例としては例えば、p−オクチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、酢酸、プロピオン酸、シクロペンタンカルボン酸、燐酸ジベンジル、燐酸モノベンジル、燐酸ジフェニル、燐酸ジ-α-ナフチル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸モノフェニルエステル、KAYAMER PM−21(商品名;日本化薬社製)、KAYAMER PM−2(商品名;日本化薬社製)、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、パラオクチルベンゼンスルホン酸、あるいは特開平5−221640号、特開平9−100111号、特開2002−187921号各公報記載のシランカップリング剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤は1種類を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
これら表面処理剤の添加量の総量は無機微粒子に対して、質量換算で0.01〜2倍であることが好ましく、0.03〜1倍であることがより好ましく、0.05〜0.5倍であることが特に好ましい。
<可塑剤>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高い場合、組成物の成形が必ずしも容易ではないことがある。このため、本発明の組成物の成形温度を下げるために可塑剤を使用してもよい。可塑化剤を添加する場合の添加量は有機無機複合組成物の総量の1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明で使用する可塑剤は、樹脂との相溶性、耐候性、可塑化効果などを総合的に勘案して決定する必要があり、最適な材料は他の組成物に依存するため一概には言えないが、屈折率の観点からは芳香環を有するものが好ましく、代表的な例として下記一般式(4)で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 2008239923
(式中、B1およびB2は炭素数6〜18のアルキル基または炭素数6〜18のアリールアルキル基を表し、mは0または1を表し、Xは
Figure 2008239923
のうちのいずれかであり、R11 およびR12 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数4以下のアルキル基を示す。)
また、一般式(4)で表される化合物において、B1,B2は炭素数6〜18の範囲内において任意のアルキル基またはアリールアルキル基を選ぶことができる。炭素数が6未満では、分子量が低すぎてポリマーの溶融温度で沸騰し、気泡を生じたりする場合がある。また、炭素数が18を超えると、ポリマーとの相溶性が悪くなる場合があり添加効果が不十分となることがある。
前記B1,B2としては、具体的に、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基や、2−ヘキシルデシル基、メチル分岐オクタデシル基等の分岐アルキル基、またはベンジル基、2−フェニルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。また、前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、次に示すものが挙げられ、中でも、W−1(花王株式会社製の商品名「KP−L155」)が好ましい。
Figure 2008239923
<その他の添加剤>
上記成分以外に、成形性を改良する目的で変性シリコーンオイル等の公知の離型剤を添加したり、耐光性や熱劣化を改良したりする目的で、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の公知の劣化防止剤を適宜添加してもよい。これらを配合する場合は、有機無機複合組成物の全固形分に対して0.1〜5質量%程度とすることが好ましい。
[有機無機複合組成物の製造方法]
本発明に用いられる無機微粒子は、少なくとも一方の高分子鎖末端に前記官能基を有する熱可塑性樹脂と化学結合して樹脂中に分散される。
本発明に用いられる無機微粒子は粒子サイズが小さく、表面エネルギーが高いため、固体で単離すると再分散させることが難しい。よって、無機微粒子は溶液中に分散された状態で熱可塑性樹脂と混合し安定分散物とすることが好ましい。複合物の好ましい製造方法としては、(1)無機粒子を上記表面処理剤の存在下に表面処理を行い、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出し、抽出した該無機微粒子を前記熱可塑性樹脂と均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法、(2)無機微粒子と熱可塑性樹脂の両者を均一に分散あるいは溶解できる溶媒を用いて両者を均一混合して無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する方法が挙げられる。
上記(1)の方法によって無機微粒子と熱可塑性樹脂の複合物を製造する場合には、有機溶媒としてトルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性の溶媒が用いられる。微粒子の有機溶剤への抽出に用いられる表面処理剤と前記熱可塑性樹脂は同種のものであっても異種のものであってもよいが、好ましく用いられる表面処理剤については、前述<表面処理剤>の欄で述べたものが挙げられる。
有機溶媒中に抽出された無機微粒子と熱可塑性樹脂を混合する際に、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマー等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記(2)の方法を採用する場合は、溶剤として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシー2−プロパノール、tert−ブタノール、酢酸、プロピオン酸等の親水的な極性溶媒の単独または混合溶媒、あるいはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、クロロベンゼン、メトキシベンゼン等の非水溶性溶媒と上記極性溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この際、前述の熱可塑性樹脂とは別に分散剤、可塑化剤、離型剤、あるいは別種のポリマーを必要に応じて添加してもよい。水/メタノールに分散された微粒子を用いる際には、水/メタノールより高沸点で熱可塑性樹脂を溶解する親水的な溶媒を添加した後、水/メタノールを濃縮留去することによって、微粒子の分散液を極性有機溶媒に置換した後、樹脂と混合することが好ましい。このとき、前記表面処理剤を添加してもよい。
上記(1)、(2)の方法によって得られた有機無機複合組成物の溶液は、そのままキャスト成形して成形体とすることもできるが、本発明では特に、該溶液を濃縮、凍結乾燥、あるいは適当な貧溶媒から再沈澱させる等の手法により溶剤を除去した後、粉体化した固形分を射出成形、圧縮成形等の手法によって成形することが好ましい。
[成形体]
本発明の有機無機複合組成物を成形することにより、本発明の成形体を製造することができる。本発明の成形体は、有機無機複合組成物の説明の欄で前記した屈折率と光学特性を示すものが有用である。中でも、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.63以上である成形体が有用である。
また本発明の成形体は最大厚みが0.1mm以上であることが好ましい。最大厚みは、好ましくは0.1〜5mmであり、さらに好ましくは1〜3mmである。これらの厚みを有する成形体は、高屈折率の光学部品として特に有用である。このような厚い成形体は、溶液キャスト法で製造しようとしても溶剤が抜けにくいため一般に容易ではない。しかしながら、本発明の有機無機複合組成物を用いれば成形が容易で非球面などの複雑な形状も容易に実現することができる。このように、本発明によれば、微粒子の高い屈折率特性を利用しながら良好な透明性を有する成形体を得ることができる。
[光学部品]
本発明の成形体は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れた成形体である。本発明の光学部品は、このような成形体からなるものである。本発明の光学部品の種類は、特に制限されない。特に、有機無機複合組成物の優れた光学特性を利用した光学部品、特に光を透過する光学部品(いわゆるパッシブ光学部品)として好適に利用することができる。かかる光学部品を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
また、光学機能装置に用いられる前記パッシブ光学部品としては、例えば、レンズ、プリズム、プリズムシート、パネル(板状成形体)、フィルム、光導波路(フィルム状やファイバー状等)、光ディスク、LEDの封止剤等が例示される。かかるパッシブ光学部品には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、無機粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
本発明の有機無機複合組成物を用いた光学部品は、特にレンズ基材に好適である。本発明の有機無機複合組成物を用いて製造されたレンズ基材は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。また、有機無機複合組成物を構成するモノマーの種類や分散させる無機微粒子の量を適宜調節することにより、レンズ基材の屈折率を任意に調節することが可能である。
本発明における「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、レンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、本発明でいうレンズ基材に付加される部材であり、本発明でいうレンズ基材そのものとは区別される。
本発明におけるレンズ基材をレンズとして利用するに際しては、本発明のレンズ基材そのものを単独でレンズとして用いてもよいし、前記のように膜や枠などを付加してレンズとして用いてもよい。本発明のレンズ基材を用いたレンズの種類や形状は、特に制限されない。本発明のレンズ基材は、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズアレイ等)に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[分析および評価方法]
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
日立製作所(株)社製「H−9000UHR型透過型電子顕微鏡」(加速電圧200kV、観察時の真空度約7.6×10-9Pa)にて行った。
(2)光線透過率測定
測定する試料を成形して厚さ1.0mmの基板を作製し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置「UV−3100」((株)島津製作所製)を用いて波長589nmの光で測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)にて、波長589nmの光について行った。
(4)X線回折(XRD)スペクトル測定
リガク(株)製「RINT1500」(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)を用いて、23℃で測定した。
(5)分子量測定
数平均分子量、重量平均分子量は、「TSKgel GMHxL」、「TSKgel G4000HxL」、「TSKgel G2000HxL」(何れも、東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラハイドロフラン、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
[有機無機複合組成物の合成]
(1)酸化チタン微粒子の合成
特開2003−73559号公報の合成例9に記載の方法に従い、酸化チタン微粒子を合成した。XRDとTEMより、アナタ―ス型酸化チタン微粒子(数平均粒子サイズは約5nm)の生成を確認した。
(2)酸化ジルコニウム微粒子の合成
50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水で溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15質量%に調整して、オートクレーブに入れ、圧力150気圧、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。TEMより数平均粒子サイズが5nmの酸化ジルコニウム微粒子の生成を確認した。
(3)酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液(1)の合成
前記(2)で合成した酸化ジルコニウム微粒子懸濁液と日本化薬製の「KAYAMER PM−21」を溶解させたトルエン溶液を混合し、50℃で8時間攪拌した後、トルエン溶液を抽出して酸化ジルコニウム微粒子トルエン分散液を作製した。
(4)酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散物(2)の調製
前記(1)で調製した酸化ジルコニウム分散物(15質量%水分散物)500gに500gのN,N'−ジメチルアセトアミドを加え約500g以下になるまで減圧濃縮して溶媒置換を行った後、N,N'−ジメチルアセトアミドの添加で濃度調整をすることによって15質量%の酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散物(2)を得た。
(5)チオール誘導体Aの合成
還流冷却器およびガス導入コックを付した300mlの三口フラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)39.2g(50mmol)、イタコン酸32.5g(250mmol)、1−メトキシ−2−プロパノール127.3gを仕込み、窒素気流下、90℃に加熱した。ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート288mgを1−メトキシ−2−プロパノール20gに溶解し添加した。90℃で2時間反応させた後、さらにジメチル2,2−アゾビスイソブチレート288mgを1−メトキシ−2−プロパノール20gに溶解し添加した。90℃で2時間反応させて後、100℃に昇温しさらに1時間反応させ、チオール誘導体Aの30質量%溶液を得た。反応液を1H NMRで解析し、l/m=5/1であることを確認した。
Figure 2008239923
(6)例示化合物J−1の合成
還流冷却器およびガス導入コックを付した300mlの三口フラスコに、チオール誘導体Aの30質量%1−メトキシ−2−プロパノール溶液4.78g(1mmol)、2−フェニルフェノキシアクリレート44.9g(0.20mol)、THF20mlを仕込み、窒素気流下80℃に加熱した。ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート92mgをTHF1mlに溶解して添加した。80℃で2時間反応させた後、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート46mgをTHF20mlに溶解して添加した。さらに80℃で2時間反応させた後、酢酸エチルで適度に希釈し、大量のメタノールに投入し沈殿させた。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、50℃で12時間真空乾燥して例示化合物J−1を得た(収率84%)。数平均分子量は36,800、重量平均分子量は59.000であった。
(7)例示化合物J−5の合成
還流冷却器およびガス導入コックを付した300mlの三口フラスコに、チオール誘導体Aの30質量%の1−メトキシ−2−プロパノール溶液4.78g(1mmol)、ベンジルメタクリレート35.2g(0.20mol)、THF14.1mlを仕込み、窒素気流下80℃に加熱した。ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート92mgをTHF1mlに溶解して添加した。80℃で2時間反応させた後、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート46mgをTHF20mlに溶解して添加した。さらに80℃で2時間反応させた後、酢酸エチルで適度に希釈し、大量のメタノールに投入し沈殿させた。沈殿を濾取した後、大量のメタノールで洗浄し、50℃で12時間真空乾燥して例示化合物J−5を得た(収率81%)。数平均分子量は29,100、重量平均分子量は49,200であった。
(8)PMMA(ポリメチルメタクリレート)の合成
メタクリル酸メチル5.00g、アゾビスイソブチロ二トリル0.25gを2−ブタノン中に加え、窒素下70℃で重合を行い、PMMAを合成した。重量平均分子量は100,000であった。
[有機無機複合組成物の調製および成形体の作製]
(1)実施例1〜4、比較例1〜4
実施例1〜4と比較例1〜4の各レンズを以下の手順で製造した。以下の手順において使用した熱可塑性樹脂の種類と無機微粒子の種類と使用量とは下記表1に示す通りとし、熱可塑性樹脂と無機微粒子の屈折率も併記した。表1において、無機微粒子の添加量は、製造される成形体の質量を基準として表示している。なお、比較例1、2では無機微粒子を添加せず熱可塑性樹脂のみを成形した。
トルエンに分散させた酸化チタン微粒子もしくは酸化ジルコニウム微粒子を、熱可塑性樹脂のアニソール溶液に5分間かけて滴下し、得られた混合物を1時間攪拌した後、溶媒を濃縮留去した。得られた有機無機複合組成物を加熱圧縮成形し(温度180℃、圧力13.7MPa、時間2分)、厚さ1mmのレンズ用成形体を作製した。成形体を切削し、断面をTEMで観察して、無機微粒子が熱可塑性樹脂中に均一に分散しているか否かを確認した。さらに光線透過率測定と屈折率測定を行った。これらの結果を下記表1に示す。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
(2)実施例5
前記酸化ジルコニウムジメチルアセトアミド分散液に熱可塑性樹脂J−1、n−オクチル安息香酸、および可塑化剤としてKP−L155(商品名;花王株式会社製)を質量比が、ZrO2固形分/J−1/n−オクチル安息香酸/KP−L155=35.7/42.9/7.1/14.3の比率になるように添加して均一に攪拌混合した後、加熱減圧下ジメチルアセトアミド溶媒を濃縮した。該濃縮残渣を実施例1と同様の条件で加熱圧縮成形して透明成形体(レンズ基材)を作成した。実施例5で得られた成形体を切削し、断面をTEMで観察した。また、光線透過率測定および屈折率測定を行った。結果を下記表1に示す。
(3)実施例6
実施例5における熱可塑性樹脂J−1をJ−5に変更した以外は実施例5と同様にして実施例6の透明成形体(レンズ基材)を作成した。実施例6で得られた成形体をそれぞれ切削し、断面をTEMで観察した。また、光線透過率測定および屈折率測定を行った。結果を下記表1に示す。
(4)実施例7
実施例5に記載した有機無機複合組成物の濃縮前のジメチルアセトアミド溶液を大過剰の水に投入して得られた沈澱を濾過、乾燥することにより実施例7の有機無機複合組成物を得た。該有機無機複合組成物を実施例1と同様にして実施例7の透明成形体(レンズ基材)を得た。実施例7で得られた透明成形体を切削し、断面をTEMで観察した。また、光線透過率測定および屈折率測定を行なった。結果を下記表1に示す。
Figure 2008239923
表1から、本発明の微粒子含有透明性成形体は高い屈折率を有するとともに、1mmの厚い成形体でも良好な透明性を示しており、光学用途に好適に使用できることが分る。
また熱可塑性樹脂を主体とした本発明の有機無機複合組成物は、生産性よくかつ型の形状に合わせて正確にレンズ形状を形成することができることを確認した。
本発明の光学部品は、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持つ有機無機複合組成物を含むものである。本発明によれば、屈折率を任意に調節した光学部品を比較的容易に提供することができる。また、機械的強度や耐熱性が良好な光学部品も提供しやすい。このため、本発明は、高屈折レンズ等の広範な光学部品の提供に有用であり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (17)

  1. 無機微粒子と、下記一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
    一般式(1)
    Figure 2008239923
    (一般式(1)中、Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基を表し、L1およびL2はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、Xは(l+m)価の連結基を表し、Polyはビニルモノマーの重合体を表し、lおよびmはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。)
  2. 前記無機微粒子の数平均粒子サイズが1nm〜15nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
  3. 前記無機微粒子の屈折率が1.90〜3.00であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
  4. 前記無機微粒子としてチタン酸化物かジルコニウム酸化物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂の屈折率が1.50より大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  6. 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  7. 熱可塑性であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  8. 溶媒を含まない固体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物。
  9. 無機微粒子と、下記一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを有機溶媒中で混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合組成物の製造方法。
    一般式(1)
    Figure 2008239923
    (一般式(1)中、Aは、無機微粒子の表面と化学結合を形成しうる官能基を有する置換基を表し、L1およびL2はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、Xは(l+m)価の連結基を表し、Polyはビニルモノマーの重合体を表し、lおよびmはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。)
  10. 水、アルコール、または水とアルコールの混合物中において無機微粒子を表面処理剤の存在下で表面処理する工程と、表面処理された無機微粒子を有機溶媒中に抽出する工程と、抽出した該無機微粒子を一般式(1)で表される熱可塑性樹脂と混合する工程とを含むことを特徴とする請求項9に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
  11. 無機微粒子の有機溶媒分散物と、一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを混合する工程と、該混合液から溶剤を留去する工程とを含むことを特徴とする請求項9または10に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
  12. 無機微粒子の有機溶媒分散物と、一般式(1)で表される熱可塑性樹脂とを混合する工程と、該混合液を再沈澱させる工程とを含むことを特徴とする請求項9または10に記載の有機無機複合組成物の製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載の製造方法により製造される有機無機複合組成物。
  14. 最大厚みが0.1mm以上であることを特徴とする請求項1〜8または13のいずれか一項に記載の有機無機複合組成物を含む成形体。
  15. 波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が70%以上であり、屈折率が1.63以上であることを特徴とする請求項14に記載の成形体。
  16. 請求項14または15に記載の成形体からなることを特徴とする光学部品。
  17. レンズ基材であることを特徴とする請求項16に記載の光学部品。
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